JP2005163839A - 流体封入式筒型防振装置およびその製造方法 - Google Patents

流体封入式筒型防振装置およびその製造方法 Download PDF

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Akihiko Sakuragi
彰彦 櫻木
Tomoji Sato
友治 佐藤
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Abstract

【課題】 本体ゴム弾性体に目的とする予圧縮が有効に加えられることにより、本体ゴム弾性体の耐久性能の向上や流体密性の確保が有利に実現され得ることに加えて、本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼす作業やアウタ筒部材を中間スリーブに組み付ける作業が容易に実現されることにより、作業の効率が飛躍的に向上され得る新規な構造の流体封入式筒型防振装置を提供することにある。
【解決手段】 中間スリーブ18が軸方向で離隔配置された一対の環状分割筒体20,22で構成されていると共に、一体加硫成形品30の単体における一対の環状分割筒体20,22の軸方向での離隔距離よりも小さな軸方向離隔距離をもって、該一対の環状分割筒体20,22がアウタ筒部材14で固定的に位置決めされることにより、本体ゴム弾性体16に対して軸方向の予圧縮が及ぼされている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内部に封入された流体の流動作用等に基づいて防振効果を得るようにした流体封入式筒型防振装置に係り、例えば自動車用エンジンマウントやボデーマウント、デフマウント、サスペンションブッシュ等として好適に用いられ得る新規な構造の流体封入式筒型防振装置とその製造方法に関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体の一種として、例えば特許文献1〜3にも示されているように、互いに径方向に離隔配置されたインナ軸部材とアウタ筒部材を本体ゴム弾性体で連結すると共に、それらインナ軸部材とアウタ筒部材の径方向対向面間に流体室を形成し、該流体室に封入した非圧縮性流体における共振作用やずり剪断作用等の流動作用を利用して防振効果を得るようにした流体封入式の筒型防振装置が知られている。このような筒型防振装置においては、流体の流動作用に基づいて特定周波数域の振動に対して、ゴム弾性体だけでは得られ難い程に有効な防振効果を得ることができることから、例えば自動車用のサスペンションブッシュやエンジンマウント、ボデーマウント等への適用が検討されている。
また、このような筒型防振装置は、一般に、次のようにして製造されている。先ず、所定の金型内にインナ軸部材と中間スリーブを径方向で離隔配置して、これらインナ軸部材と中間スリーブの径方向対向面間に画成された成形キャビティで本体ゴム弾性体を加硫成形することにより、インナ軸部材と中間スリーブを本体ゴム弾性体で連結した一体加硫成形品を得る。また、かかる一体加硫成形品においては、本体ゴム弾性体にポケット部を設けて、かかるポケット部を中間スリーブに設けた窓部を通じて外周面に開口せしめるようにする。そして、非圧縮性流体中において一体加硫成形品にアウタ筒部材を外嵌固定して、窓部を覆蓋せしめて非圧縮性流体が封入された流体室を形成することによって、目的とする流体封入式の筒型防振装置を得るのである。
ところで、このような筒型防振装置では、本体ゴム弾性体の加硫成形時における熱収縮等に起因してゴム弾性体に引張応力が残留するおそれがあり、この残留した引張応力が筒型防振装置の耐久性やばね特性等に悪影響を及ぼすおそれがあった。
そこで、このような問題に対処するために、従来から、本体ゴム弾性体の加硫成形後に、八方絞りや十六方絞り用の所定の絞り型等を用いて、一体加硫成形品の中間スリーブに縮径加工を施すことにより、本体ゴム弾性体に径方向の予圧縮を加えて、引張応力を軽減乃至は解消せしめることが提案されている。
ところが、上述の如き筒型防振装置においては、本体ゴム弾性体の一体加硫成形品を絞り型にセットして中間スリーブに縮径加工を施して本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼした後に、絞り型から一体加硫成形品を取り出して、かかる一体加硫成形品に対してアウタ筒部材を外挿して組み付けた後、再び、別の絞り型にセットしてアウタ筒部材に縮径加工を施すことにより、アウタ筒部材を中間スリーブに対して嵌着固定することが必要であり、作業が非常に面倒で時間もかかるという問題があったのである。
特に、中間スリーブに対する絞り加工とアウタ筒部材に対する絞り加工は、加工サイズが異なることから、それぞれ、異なる絞り型を準備して絞り加工を施す必要があり、絞り型の製造や取り扱いが一層面倒となっていた。
加えて、このような筒型防振装置では、本体ゴム弾性体の外周面に被着された中間スリーブにおいて、ポケット部を開口させる複数の窓部が形成されていると共に、別体のオリフィス部材を嵌め入れるための凹部が形成されているなどされて、かかる中間スリーブが複雑な形状とされていることから、本体ゴム弾性体の加硫成形後の絞り加工に際して中間スリーブに安定した絞り加工を施すことが難しいという問題があった。そのために、絞り加工によって中間スリーブが変形してしまい、本体ゴム弾性体に対して目的とする予圧縮を及ぼすことが困難であると共に、アウタ筒部材と中間スリーブのシール性が低下してしまって流体密性が充分に確保され難くなる等の問題が発生するおそれもあったのである。
実開昭61−202738号公報 特開昭63−130945号公報 特開昭62−224746号公報
本発明は上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、本体ゴム弾性体に目的とする予圧縮が有効に加えられることにより、本体ゴム弾性体の耐久性能の向上や流体密性の確保が有利に実現され得ることに加えて、本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼす作業やアウタ筒部材を中間スリーブに組み付ける作業が容易に実現されることにより、作業の効率が飛躍的に向上され得る新規な構造の流体封入式筒型防振装置とその新規な製造方法を提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様1)
流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様1の特徴とするところは、インナ軸部材と該インナ軸部材の外周側に所定距離を隔てて配された中間スリーブとの間に本体ゴム弾性体を配設し、それらインナ軸部材と中間スリーブを該本体ゴム弾性体に加硫接着すると共に、該中間スリーブに窓部を形成して該窓部を通じて外周面に開口するポケット部を該本体ゴム弾性体に設けることによって一体加硫成形品を構成する一方、該一体加硫成形品にアウタ筒部材を外挿して該中間スリーブに嵌着固定することにより該ポケット部の開口を覆蓋せしめて内部に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型防振装置において、前記中間スリーブが軸方向で離隔配置された一対の環状分割筒体で構成されていると共に、前記一体加硫成形品の単体における該一対の環状分割筒体の軸方向での離隔距離よりも小さな軸方向離隔距離をもって、該一対の環状分割筒体が前記アウタ筒部材で固定的に位置決めされることにより、前記本体ゴム弾性体に対して軸方向の予圧縮が及ぼされている流体封入式筒型防振装置にある。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、一対の環状分割筒体が、一体加硫成形品の単体における両環状分割筒体の軸方向での離隔距離よりも小さな軸方向離隔距離をもってアウタ筒部材で固定的に位置決めされることにより、軸方向に相対的に接近変位せしめられると共に、この接近変位の状態が、一体加硫成形品にアウタ筒部材が組み付けられることにより保持されるようになっている。これにより、本体ゴム弾性体が軸方向に圧縮変形されると共に、該ゴム弾性体の弾性変形に基づくゴム弾性体全体への変形や応力の伝達に基づいて、加硫成形に伴う本体ゴム弾性体の残留応力が軽減乃至は解消されることとなり、本体ゴム弾性体に対する予圧縮が施され得るのである。
すなわち、本態様では、中間スリーブを軸方向で離隔配置された一対の環状分割筒体からなる分割構造としたことにより、複雑で大掛かりな絞り型が必要となる中間スリーブへの縮径加工を行うことなく、中間スリーブを軸方向に押圧して相対的に接近変位させるだけで、中間スリーブに被着された本体ゴム弾性体に対する予圧縮を、径方向の縮径加工に比して、簡単な作業で容易に行うことが出来るのである。そして、このように中間スリーブを構成する一対の環状分割筒体を軸方向で相対的に接近変位させて固定的に位置決めした、本態様に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、本体ゴム弾性体に有効な予圧縮が及ぼされて加硫成形に伴う残留引張応力が軽減乃至は解消されることにより、良好な耐久性が発揮され得るのである。
しかも、中間スリーブには縮径方向への大きな変形が惹起されることがなく、中間スリーブそのものの変形が可及的に回避されることから、完成品である流体封入式筒型防振装置における中間スリーブの形状や寸法の安定化が図られる。その結果、中間スリーブとアウタ筒部材の間の流体密性が高度に且つ安定して達成されることとなり、製品における防振性能や信頼性の安定化が実現され得るのである。
加えて、本態様の筒型防振装置においては、一対の環状分割筒体がアウタ筒部材に固定的に位置決めされることで本体ゴム弾性体に軸方向の予圧縮が及ぼされるようになっていることから、例えば、一対の環状分割筒体を相互に軸方向に接近変位させて本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼすと同時に、それら一対の環状分割筒体をアウタ筒部材に嵌着固定することも可能であり、そのように環状分割筒体を相対的に接近変位させる工程とアウタ筒部材を外嵌固定する工程を同時に行うことによって、目的とする流体封入式筒型防振装置を少ない製造工程数で容易に製造することも可能となるのである。
(流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様2)
流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式筒型防振装置において、前記流体室を、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の軸直角方向対向面間において周方向で相互に離隔位置せしめられて軸直角方向の振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の分割流体室によって構成すると共に、前記一対の環状分割筒体の少なくとも一方において外周面に開口して周方向に延びる周方向凹溝を形成して、該周方向凹溝を該アウタ筒部材で覆蓋することにより該複数の分割流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成したことにある。
このような本態様においては、インナ軸部材の外周側に位置せしめられた環状分割筒体にオリフィス通路が形成されることにより、インナ軸部材等に形成する場合に比して、オリフィス通路の全長を大きく設定することが可能となり、オリフィス通路のチューニング自由度が十分に確保され得る。しかも、オリフィス通路を形成するための別部材を配設する必要もないことから、構造が簡略化されて製造が容易となる。特に、例えば前述の特許文献1に記載されているようなアウタ筒部材の内周面に沿って周方向に延びるオリフィス部材を採用する必要もなく、十分に長いオリフィス通路が実現可能となることから、そのようなオリフィス部材によって一対の環状分割筒体の相対的な接近方向への変位が制限されたり、流体室の容積や軸直角方向の有効ストローク長が制限されるなどといった問題の発生も有利に回避され得るのである。
特に本態様では、周方向凹溝を形成することよって形状が複雑とされると共に、厚さ寸法に部分的な差異が生じることに基因して強度差が発生する環状分割筒体に対して、絞り加工を施すと、不規則な変形が惹起せしめられるおそれがあるが、本発明の前記態様1と組み合わせて採用されることにより、本体ゴム弾性体に予圧縮を及ぼす形態が、軸方向で離隔配置せしめられた一対の環状分割筒体を軸方向に相対的に接近変位させることにより実現されることから、本体ゴム弾性体を圧縮変形させる際に、環状分割筒体の不規則な変形が有利に防止される。それ故、オリフィス通路の形状が優れた精度をもって確保され得ると共に、シール性が安定して有利に確保され得るのである。
(流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様3)
流体封入式筒型防振装置に係る本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様1又は2に係る流体封入式筒型防振装置において、前記一体加硫成形品における前記本体ゴム弾性体の軸方向両端面において、前記インナ軸部材に沿って周方向に連続して延びる環状の肉抜凹所が形成されていることにある。
このような本態様においては、こじり方向におけるばね剛性の低減化が図られることとなり、以て、要求に応じたばね特性のチューニングが有利に実現され得る。特に、上述の如き本発明の態様1乃至3の何れかに係る筒型防振装置においては、一対の環状分割筒体を軸方向で相対的に接近変位させることで本体ゴム弾性体の外周部分に対して直接的に及ぼされる予圧縮を、内周部分にまで効率的に伝達させて、本体ゴム弾性体の広い部分に対して有効な予圧縮を及ぼすことが考慮されるべきである。ここにおいて、本発明の態様3に従えば、インナ軸部材に沿って周方向に環状の肉抜凹所が形成されることにより、本体ゴム弾性体の内周部分の軸方向長さが、本体ゴム弾性体の外周部分の軸方向長さよりも小さくされることとなり、本体ゴム弾性体の外周部分に及ぼされる軸方向の変形や圧縮応力が、本体ゴム弾性体の外周部分から内周部分に向かってより効率的に伝達され得て、本体ゴム弾性体の全体に対して目的とする予圧縮をより有効に及ぼすことが可能となるのである。
特に本態様では、本体ゴム弾性体の軸方向両端面において、環状の肉抜凹所がインナ軸部材に沿って周方向に連続して延びるように形成されていることにより、インナ軸部材の外周面が実質的に肉抜凹所の壁部を含んで構成されていると共に、肉抜凹所が、インナ軸部材の外周面で最も深く、且つ外周側に向かって次第に深さ寸法が小さくなる断面形状とされている。即ち、本体ゴム弾性体の軸方向長さが、内周部分から外周に行くに従って次第に大きくされており、これによって、本体ゴム弾性体の外周部分において軸方向に及ぼされる圧縮変形が、本体ゴム弾性体の内周部分に対して、軸方向両端部分の引張応力の発生を抑えつつ効率的に及ぼされて、本体ゴム弾性体の全体に対する予圧縮が一層効果的に発揮されるのである。
(流体封入式筒型防振装置の製造方法に係る本発明の態様)
流体封入式筒型防振装置の製造方法に係る本発明の態様の特徴とするところは、(a)インナ軸部材の外周側に離隔して、一対の環状分割筒体を軸方向で相互に離隔配置せしめて、それらインナ軸部材と一対の環状分割筒体との間に本体ゴム弾性体を加硫成形することにより、該一対の環状分割筒体の軸方向対向面間に形成された窓部を通じて外周面に開口するポケット部が該本体ゴム弾性体に設けられてなる一体加硫成形品を形成する工程と、(b)該一体加硫成形品に外力を及ぼして、前記一対の環状分割筒体を軸方向で相互に接近する方向に所定距離だけ変位せしめることにより、前記本体ゴム弾性体に対して軸方向の予圧縮を及ぼす工程と、(c)該一体加硫成形品と別途に形成されて外挿されたアウタ筒部材を前記一対の環状分割筒体に対して嵌着固定することにより、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を前記本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめると共に、前記ポケット部を流体密に覆蓋して非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に該一対の環状分割筒体を軸方向で相対的に接近する方向に変位せしめた状態で固定的に位置決め保持せしめる工程とを、含む流体封入式筒型防振装置の製造方法にある。
このような本発明方法に従えば、前述の本発明の態様1乃至3の何れかに係る流体封入式筒型防振装置が有利に実現され得る。なお、本態様において、上述の(a),(b),(c)の各工程の順序等は何等限定されるものでない。具体的には、例えば、(a)の一体加硫成形品を形成する工程を完了した後に、(b)の本体ゴム弾性体に軸方向の予圧縮を及ぼす工程を完了して、その後(c)の一対の環状分割筒体を固定的に位置決め保持せしめる工程を完了するようにしても良い。或いは、(a)の工程を完了した後に、例えば本発明の実施形態に例示される如き一つの絞り型を用いて、(b)の工程と(c)の工程を同時に完了するようにしても良い。
上述の説明からも明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式筒型防振装置においては、軸方向で離隔配置された一対の環状分割筒体が軸方向に相対的に接近変位せしめられて組み付けられていることで、本体ゴム弾性体に対して軸方向の予圧縮が及ぼされる構造とされている。それ故、中間スリーブ自体の変形を回避しつつ、本体ゴム弾性体に対して有効な予圧縮を及ぼすことが可能となって、中間スリーブとアウタ筒部材の間のシール性能を安定して確保しつつ、優れた耐久性を容易に得ることが出来るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について説明する。先ず、図1〜2には、本発明の一実施形態としての自動車のサスペンションブッシュ等に用いられる防振ブッシュ10が示されている。この防振ブッシュ10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、互いに径方向に所定距離を隔てて配設されていると共に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体16によって連結された構造を有している。そして、防振ブッシュ10は、内筒金具12と外筒金具14が防振連結される各一方の部材に取り付けられることにより、それら防振連結される部材間に介装されるようになっている。
より詳細には、内筒金具12は、小径の略円筒形状を有している。また、内筒金具12の軸方向両端部には、それぞれ、大径の環状カラー部が外周面に突出して一体形成されている。また、内筒金具12の径方向外方には、所定距離を隔てて中間スリーブとしての金属スリーブ18が配設されている。
この金属スリーブ18は、一対の環状分割筒体としての第一リング金具20と第二リング金具22から構成されている。これら第一及び第二リング金具20,22は、大径の略円環形状を呈している。また、第一リング金具20の外径寸法と第二リング金具22の外径寸法が、略同じとされている一方、第一リング金具20の内径寸法が、第二リング金具22の内径寸法よりも大きくされている。即ち、第二リング金具22の厚さ寸法が、第一リング金具20のそれよりも大きくされている。また、第一リング金具20や第二リング金具22の形成材料は、特に限定されるものでないが、本実施形態では、例えば第一リング金具20が鉄等の金属材で形成されていると共に、第二リング金具22がアルミニウム合金等の金属材で形成されている。
また、第二リング金具22には、図3にも拡大して示されているように、周方向凹溝としての周溝24が設けられている。周溝24は、第二リング金具22の周方向に略一周弱の長さで連続して延び、且つ第二リング金具22の外周面に開口して形成されている。また、周溝24の周方向両端部が、第二リング金具22の軸方向一方の面に開口して形成された連通孔26,26の各一方を通じて、それぞれ、軸方向に開口せしめられている。
さらに、第一リング金具20と第二リング金具22が、内筒金具12に外挿されて、内筒金具12と径方向で所定距離を隔てて離隔配置されていると共に、これら内筒金具12や第一リング金具20、第二リング金具22が、略同一中心軸上に位置決め配置されている。また、特に本実施形態では、第一リング金具20と第二リング金具22が、内筒金具12に外挿せしめられた状態で、軸方向に所定の離隔距離:L1 をもって離隔配置されている(図4参照。)。これにより、第一リング金具20と第二リング金具22が、内筒金具12の軸方向両端部近くに位置決め配置されている。
また、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間には、周方向の全体に亘って延びる円環形状をもって窓部28が形成されている。
また、第一及び第二リング金具20,22からなる金属スリーブ18と内筒金具12の径方向対向面間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。本体ゴム弾性体16の内周面が、内筒金具12の外周面に加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の外周面が、第一リング金具20の内周面と第二リング金具22の内周面に対して、それぞれ、加硫接着されている。これにより、本体ゴム弾性体16が、内筒金具12や第一及び第二リング金具20,22を備えた一体加硫成形品30として形成されている。なお、このような一体加硫成形品30の単体においては、本体ゴム弾性体16の加硫成形に伴う熱収縮等によって、第一リング金具20と第二リング金具22が、自ずから相互に軸方向で接近する方向に接近変位せしめられることとなる。以て、第一リング金具20と第二リング金具22における軸方向の所定の離隔距離:L1 が、加硫成形前に所定の成形型に両リング金具20,22を位置決め配置した際の両リング金具20,22における軸方向の所定の離隔距離(図示せず)よりも所定長さ短くされている。
そして、第一及び第二リング金具20,22に加硫接着された本体ゴム弾性体16における軸方向両端部分の外周面を除く軸方向中間部分の外周面が第一及び第二リング金具20,22の各外周面と周方向の全周に亘って略面一とされており、窓部28から露呈されている。換言すれば、本体ゴム弾性体16が窓部28内に充填されている。なお、一体加硫成形品30の型成形時の取り扱い等の理由から、本体ゴム弾性体16の内周面が、内筒金具12の軸方向中間部分の外周面に加硫接着されて、内筒金具12の軸方向両端部の外周面と略面一とされていると共に、該軸方向両端部の外周面には加硫接着されないようになっている。
さらに、本体ゴム弾性体16には、内筒金具12を挟んだ径方向一方向(図2中、左右)で対向位置せしめられるようにして一対のポケット部32,32が設けられている。これらポケット部32,32は、略内筒金具12に達する底部を有し、且つ本体ゴム弾性体16の略半周弱の領域において、それぞれ、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間に形成された窓部28を通じて、本体ゴム弾性体16の外周面に凹所状に開口している。
更にまた、内筒金具12の軸方向中間部分には、略矩形平板形状を呈するストッパブロック34が固設されており、その両端部分が、各ポケット部32の底壁部から所定長さで突出位置せしめられている。これにより、後述の如く、外筒金具14が一体加硫成形品30に組み付けられた状態で軸直角方向に大きな振動が入力された際に、内筒金具12がストッパブロック34を介して外筒金具14に当接されるようになっている。即ち、ストッパブロック34には、内筒金具12と外筒金具14の間の過大な変位を軽減乃至は防止するストッパ機能が付与されている。なお、ストッパブロック34の外周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のゴム層が全体に亘って被着されている。
また、一体加硫成形品30の本体ゴム弾性体16には、軸方向両端面からそれぞれ軸方向内方に所定長さで延びて、内筒金具12に沿って周方向に連続して延びる肉抜凹所としての肉抜部36が形成されている。肉抜部36は、軸方向内方から外方に向かって略円錐状に次第に径寸法が大きくなる逆テーパ面形状とされている。これにより、本体ゴム弾性体16におけるこじり方向のばね剛性が調節されるようになっている。
さらに、このような一体加硫成形品30には、外筒金具14が外挿されている。外筒金具14は、大径の略円筒形状を呈していると共に、その内周面には、薄肉のシールゴム層42が略全体に亘って被着されている。そして、外筒金具14が絞り加工されると共に、外筒金具14の軸方向両端部分が径方向内方に屈曲せしめられて、第一及び第二リング金具20,22の各一方に、それぞれ、嵌着固定されている。これにより、第一リング金具20と第二リング金具22が外筒金具14で固定的に位置決め固定されていると共に、外筒金具14が一体加硫成形品30に対して外嵌固定されている。また、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間に形成された窓部28に充填された本体ゴム弾性体16が、シールゴム層42を介して外筒金具14に実質的に直接に密着して重ね合わされている。
特に本実施形態では、かかる外筒金具14が一体加硫成形品30に外嵌固定された状態で、第一リング金具20と第二リング金具22が、一体加硫成形品30の単体における軸方向での所定の離隔距離:L1 よりも小さな軸方向離隔距離:L2 をもって軸方向に相対的に接近位置せしめられている(図6参照。)。これにより、本体ゴム弾性体16が、第一及び第二リング金具20,22が相対的に接近変位する方向(図1,6中、上下)に圧縮変形されている。即ち、本体ゴム弾性体16の外周部分が軸方向に圧縮変形せしめられており、かかる圧縮応力が本体ゴム弾性体16の外周部分から内周部分にまで伝達されていて、全体に有効な予圧縮が及ぼされている。これにより、本実施形態に係る本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮が及ぼされている。また、それと共に、窓部28内に充填された本体ゴム弾性体16が、窓部28から外周面上に盛り上がるように膨出変形せしめられて、本体ゴム弾性体16の外筒金具14に対する面圧が大きく確保されている。
それによって、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間に形成された窓部28や第二リング金具22に形成された周溝24が、外筒金具14で、それぞれ、流体密に覆蓋されている。更に、一対のポケット部32,32が、外部空間に対して密閉されており、各ポケット部32内には、非圧縮性流体が封入された分割流体室としての受圧室38が形成されている。即ち、本実施形態では、内筒金具12と外筒金具14の軸直角方向対向面間において軸直角方向の振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる流体室が、周方向で相互に離隔位置せしめられた一対の受圧室38,38を含んで構成されている。また、周溝24が外部空間に対して密閉されることにより、周溝24と外筒金具14が協働して第二リング金具22の周方向に略一周弱の長さで延びるオリフィス通路40を形成している。かかるオリフィス通路40は、要求される防振効果に基づいて、通路断面積:Aと通路長さ:Lの比の値:A/Lが設定変更されるようになっている。更に、オリフィス通路40の周方向両端部が、第二リング金具22に形成された連通孔26,26の各一方を通じて、それぞれ、各受圧室38に連通されており、以て、両受圧室38,38が、オリフィス通路40を通じて相互に連通されている。従って、軸直角方向における特定周波数域の振動入力時には、オリフィス通路40を流動せしめられる流体の共振作用等に基づいて、オリフィス通路40を通じて一方の受圧室38と他方の受圧室38の間での流体流動が生ぜしめられて、該オリフィス通路40を通じて流動する流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようになっている。
なお、封入流体としては、水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が採用され、特に流体の共振作用に基づく防振効果を得るためには粘性率が0.1Pa・s以下の低粘性流体が有利に採用される。更にまた、流体の封入は、例えば、一体加硫成形品30への外筒金具14の組み付けを流体中で行うことによって為される。
次に、上述の如き構造とされた防振ブッシュ10の製造方法の一具体例に関して、図4〜6等を参照しつつ説明するが、本実施形態は、かかる具体例に限定されるものでない。
先ず、図示しない所定の金型内にストッパブロック34を組み付けた内筒金具12と第一リング金具20と第二リング金具22を、それぞれ、収容して、第一リング金具20および第二リング金具22を内筒金具12の径方向外方に所定距離を隔てて離隔配置させると共に、軸方向で所定の離隔距離をもって相互に離隔配置させる。これにより、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間に周方向の全周に亘って延びるように窓部28を形成する。また、内筒金具12と第一及び第二リング金具20,22の径方向対向面間に本体ゴム弾性体16を加硫成形することにより、一体加硫成形品30を得る。また、本体ゴム弾性体16の加硫成形に際して、本体ゴム弾性体16の外周面には、内筒金具12を挟んだ径方向一方向で対向位置せしめるようにして一対のポケット部32,32を窓部28を通じて外周面に開口して形成する。なお、本体ゴム弾性体16の加硫成形後に該ゴム弾性体16に熱収縮等が及ぼされることに伴い第一リング金具20と第二リング金具22が、自ずから相互に軸方向で接近する方向に変位して、軸方向に所定の離隔距離:L1 をもって離隔配置されている。
また、内周面にシールゴム層42を被着した外筒金具14を、一体加硫成形品30とは別に形成する。更に、外筒金具14における軸方向一方(図4中、下方)の端部を径方向内方に所定長さで屈曲させる。
さらに、非圧縮性流体中にて、外筒金具14および一体加硫成形品30を、図4〜5に示される如き絞り型44にセットする。
ここにおいて、本実施形態に係る防振ブッシュ10の製造において採用される絞り型は、何等限定されるものでなく、従来から公知の各種絞り型が採用可能であることから、本実施形態で採用される絞り型44の説明を簡単にする。
かかる絞り型44は、上型46、下型48、第一の中型50および第二の中型52を含んで構成されている。上型46は、厚肉の略円筒形状を呈しており、その中央孔には、軸方向上方(図4中、上方)から軸方向下方(図4中、下方)に向かって円錐状に次第に径寸法が大きくなる逆テーパ状面54が設けられている。また、上型46における中央孔の上端縁部には、径方向内方に所定長さで突出する段差部56が、周方向に連続に乃至は不連続に延びるようにして形成されている。また、下型48は、大径の略円板形状を呈していると共に、その中央部分には、略平面視円形状の保持凹所58が軸方向上方に向かって開口して形成されている。
さらに、第一の中型50は、略逆向き有底円筒形状を有しており、上底部の外径寸法が上型46の段差部56の内径寸法よりも僅かに小さくされていると共に、下端筒壁部の外径寸法が、一体加硫成形品30における第一リング金具20や第二リング金具22の外径寸法と略同じに設定されている。また、第一の中型50の軸方向中間部分には、径方向外方に向かって環状の段差部60が突設されている。更に、第一の中型50における段差部60の外周面には、軸方向下方(図4中、下方)から軸方向上方(図4中、上方)に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ状面62が形成されている。また、テーパ状面62における軸方向下方から上方に向かう勾配の大きさが、上型46の逆テーパ状面54における軸方向下方から上方に向かう勾配の大きさと略同じとされている。また、第一の中型50の底壁部の中央には、支持ロッド64が、軸方向下方に向かって突設されている。この支持ロッド64は、小径の略円柱形状を有していると共に、その外径寸法が、一体加硫成形品30における内筒金具12の内径寸法よりも僅かに小さくされている。
更にまた、第二の中型52は、略円筒形状を呈していると共に、周方向で12等分された12個の細片型66から構成されている。そして、これら12個の細片型66が、下型48の保持凹所58を囲むようにして下型48に載置されて、各細片型66が下型48の中央部分(保持凹所58)に接近/離隔する径方向に変位可能に支持されている。なお、図面上に明示されていないが、下型48には、各細片型66を径方向に移動案内せしめる溝部や駆動アーム等が、必要に応じて、配設されている。
また、第二の中型52の外周面、換言すれば各細片型66の外周面には、軸方向下方(図4中、下方)から軸方向上方(図4中、上方)に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ状面68が、第二の中型52の軸方向上端部から中間部分に亘って形成されている。また、テーパ状面68における軸方向下方から上方に向かう勾配の大きさが、上型46の逆テーパ状面54のそれと略同じとされている。また、第二の中型52の中央孔の上端部分、換言すると各細片型66の内周面の上端部分には、周方向の全長に亘ってかしめ片70が突設されている。かしめ片70は、略三角断面形状とされており、その内周面が軸方向下方から上方に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ状とされている。
而して、このような構造とされた絞り型44を非圧縮性流体中に設置すると共に、前述したように、外筒金具14と一体加硫成形品30を該絞り型44にセットする。
当該外筒金具14と一体加硫成形品30の絞り型44へのセットに際しては、先ず、外筒金具14を一体加硫成形品30に外挿して、第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向対向面間に形成された窓部28に充填された本体ゴム弾性体16を、外筒金具14に被着されたシールゴム層42を介して外筒金具14に実質的に直接に密着して重ね合わせると共に、該外筒金具14の径方向内方に屈曲した端部に一体加硫成形品30における第二リング金具22を載置して保持する。そして、一体加硫成形品30を保持した外筒金具14を第二の中型52に内挿して、外筒金具14を下型48に載置すると共に、一体加硫成形品30における内筒金具12の下端部分を下型48の保持凹所58に嵌め込んで支持させる。
また、第一の中型50を一体加硫成形品30の上方から該一体加硫成形品30に向かって導き、第一の中型50に設けられた支持ロッド64を一体加硫成形品30における内筒金具12に内挿すると共に、その下端部分を一体加硫成形品30における第一リング金具20の上端部分に当接させる。更に、上型48を第一の中型50の上方から該第一の中型50に導いて、上型48の内周面に形成された逆テーパ状面54を、第一の中型50に形成されたテーパ状面62と第二の中型52(各細片型66)に形成されたテーパ状面68に当接させるようにすると共に、上型46の段差部56を第一の中型50の段差部60に当接させるようにして、上型46を図示しない駆動装置を用いて軸方向上方から下方に向かって駆動変位させる。
而して、図6にも示されているように、上型46の段差部56と第一の中型50の段差部60が互いに当接すると共に、上型46が軸方向上方から下型48に当接するまで駆動変位することにより、第一の中型50を軸方向下方に向かって変位させて、一体加硫成形品30に軸方向の圧力を及ぼす。これにより、一体加硫成形品30の単体における第一リング金具20と第二リング金具22の軸方向での所定の離隔距離:L1 が所定の離隔距離:L2 になるまで、第一リング金具20と第二リング金具22が軸方向に相対的に接近変位すると共に、該変位に伴い本体ゴム弾性体16が、第一及び第二リング金具20,22が相対的に接近変位する方向(図6中、上下)に圧縮変形する。即ち、本体ゴム弾性体16の外周部分に軸方向の圧縮応力が及ぼされて、本体ゴム弾性体16の外周部分から内周部分に向かって伝達される。以て、本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮を及ぼす。また、それと共に、窓部28に充填された本体ゴム弾性体16が、窓部28から外周面上に盛り上がるようように膨出変形することとなり、本体ゴム弾性体16の外筒金具14に対する面圧が大きく確保されている。
また、一体加硫成形品30に軸方向の予圧縮を及ぼすと共に、上型46の逆テーパ状面54と第二の中型52のテーパ状面68が当接する際のテーパ作用により、上型46が軸方向上方から下型48に当接するまで駆動変位することに伴い第二の中型52を構成する12個の細片型66が径方向外方から内方に向かって変位する。これにより、外筒金具14に十二方絞りの縮径加工を施すと共に、かしめ片70が外筒金具14の軸方向上端部分に当接してかしめ加工を施す。以て、本体ゴム弾性体16に径方向の予圧縮を及ぼすと共に、前述の如く、本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮を及ぼした状態で、これら第一及び第二リング金具20,22を外筒金具14に位置決め固定すると共に、外筒金具14の軸方向上端部にかしめ加工を施して、該上端部分を流体密に覆蓋する。それによって、一対のポケット部32,32を流体密に覆蓋して非圧縮性流体が封入された一対の受圧室38,38を形成する。
なお、本実施形態では、一体加硫成形品30に及ぼされる軸方向の圧縮力と径方向の圧縮力の大きさの関係や、シールゴム層42と本体ゴム弾性体16におけるばね特性や形状等の相違等に基づき、上述の如き組み付け状態下において、外筒金具14に被着されたシールゴム層42が、一体加硫成形品30の窓部28から本体ゴム弾性体16側に入り込むようにして膨出変形している。
これにより、本実施形態では、一体加硫成形品30に外力を及ぼして、第一リング金具20と第二リング金具22を軸方向で相互に接近する方向に所定距離:L1 から所定距離:L2 になるまで変位せしめることにより、本体ゴム弾性体16に対して軸方向の予圧縮を及ぼす工程と、外筒金具14を第一リング金具20と第二リング金具22に対して嵌着固定することにより、内筒金具12と外筒金具14を本体ゴム弾性体16で弾性的に連結せしめると共に、ポケット部32を流体密に覆蓋して非圧縮性流体が封入された一対の流体室38,38を形成し、更に第一リング金具20と第二リング金具22を軸方向で相対的に接近する方向に変位せしめた状態で固定的に位置決め保持せしめる工程とが、同一の絞り型44を用いて同時に完了する。而して、絞り型44から成形品を離型することにより、本実施形態の防振ブッシュ10が実現される。
上述の如き構造とされた防振ブッシュ10においては、金属スリーブ18が、軸方向で離隔配置された第一リング金具20と第二リング金具22を含んで構成されていると共に、これら第一及び第二リング金具20,22を軸方向に相対的に接近変位せしめることによって本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮が及ぼされるようにしたことにより、金属スリーブ18が軸方向に容易に且つ安定して圧縮変形せしめられることとなり、延いては本体ゴム弾性体16の圧縮変形が容易に且つ安定して実現され得る。それ故、金属スリーブ18の圧縮変形に際して不規則な変形が防止されると共に、本体ゴム弾性体16に予圧縮が有効に加えられることとなり、金属スリーブ18と外筒金具14のシール性の確保と本体ゴム弾性体16の耐久性能の向上が併せて高度に達成される。
また、本実施形態では、肉抜部36が本体ゴム弾性体16の軸方向各端面において内筒金具12に沿って周方向に連続して延びるように形成されていることにより、第一及び第二リング金具20,22を軸方向に相対的に接近変位させることに伴い本体ゴム弾性体16の外周部分に及ぼされる圧縮応力が、本体ゴム弾性体16の外周部分から内周部分に向かってより一層効率的にされることとなり、本体ゴム弾性体16に対する予圧縮をより効果的に加えることが可能となる。
また、本実施形態では、外筒金具14の一体加硫成形品30への組み付けに際して、窓部28内に充填された本体ゴム弾性体16の外周面が外筒金具14に実質的に直接に密着して重ね合わされるようになっていることにより、本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮が及ぼされた際に、本体ゴム弾性体16が軸方向に圧縮変形されることに伴い窓部28内で外周面上に盛り上がるように膨出変形されることとなり、ゴム弾性体16の外筒金具14に対する面圧が大きく確保され得る。それ故、本体ゴム弾性体16と外筒金具14が密着状態に保持されて、一対の受圧室38,38間の短絡が安定して防止されることにより、防振効果が安定して発揮され得るのである。
また、本実施形態では、第二リング金具22の厚さ寸法が第一リング金具20の厚さ寸法よりも大きくされていることにより、第二リング金具22において周溝24の設計自由度が大きく確保されることから、オリフィス通路40のチューニング自由度が有利に確保され得る。しかも、オリフィス通路40が設けられない第一リング金具20の厚さ寸法が小さくされていることにより、該リング金具20内に加硫成形された本体ゴム弾性体16のゴムボリュームや軸直角方向の有効自由長が効率的に確保され得ると共に、軽量化も有利に図られ得る。
さらに、本実施形態に係る防振ブッシュ10の製造方法に従えば、本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮を及ぼすと共に、外筒金具14を一体加硫成形品30に組み付けることが出来、更に、外筒金具14に絞り加工を施して本体ゴム弾性体16に径方向の予圧縮を及ぼすことが可能となる。それ故、ゴム弾性体16の引張応力の残留が有利に解消されて、耐久性能の更なる向上が図られ得ることに加え、それら複数の工程が一つの絞り型44を用いて同時に実現されることにより、作業効率が飛躍的に向上され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、これはあくまでも例示であり、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、外筒金具に絞り加工が施されることにより、本体ゴム弾性体に径方向の予圧縮が及ぼされるようになっていたが、かかる絞り加工は、必要に応じて施されるものであり、必須の作業でない。
また、前記実施形態では、例示の如き防振ブッシュの製造方法や絞り型等に限定されるものでない。例えば、非圧縮性流体中で、外筒金具を一体加硫成形品に外挿せしめると共に、外筒金具の軸方向両端部分にかしめ加工を施して、一体加硫成形品を外筒金具に保持させると共に、非圧縮性流体中または大気中において、かかる外筒金具を組み付けた一体加硫成形品に軸方向の圧力を及ぼすことにより、本体ゴム弾性体に軸方向の予圧縮を加えて、防振ブッシュが実現されるようにしても良い。
また、前記実施形態では、第二リング金具に周溝が設けられることにより、オリフィス通路が形成されていたが、第二リング金具に代えて或いは加えて第一リング金具に周溝を設けることにより、オリフィス通路の設ける位置や数等を適宜に設定変更するようにしても良い。
また、前記実施形態では、オリフィス通路が第二リング金具において周方向に一周弱の長さで形成されていたが、周方向に螺旋状に延びるようにして一周以上の長さで形成するようにしても良い。
また、前記実施形態では、受圧室にオリフィス通路を形成するためのオリフィス部材が設けられていなかったが、要求される防振性能等によっては、該オリフィス部材を受圧室に設けることも可能である。
加えて、前記実施形態では、オリフィス通路を通じて流動する流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮される防振ブッシュに対して、本発明を適用したものの一具体例が示されていたが、本発明は、これに限定されるものでなく、例えば、オリフィス通路を設けずに流体室に封入された高粘性流体のずり剪断作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようにした防振ブッシュの他、各種の流体封入式筒型防振装置に対して適用されることは勿論可能である。
本発明の一実施形態としての防振ブッシュを示す説明図であり、図2におけるI−I断面に相当する図である。 図1における防振ブッシュを示す横断面説明図である。 図1における防振ブッシュの一部を構成する第二リング金具をモデル的に示す斜視説明図である。 図1における防振ブッシュを製造する際の一具体例としての製造工程の一形態をモデル的に示す縦断面説明図である。 図4におけるV−V断面図である。 図1における防振ブッシュを製造する際の一具体例としての製造工程の別の形態を示す縦断面説明図である。
符号の説明
10 防振ブッシュ
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
18 金属スリーブ
20 第一リング金具
22 第二リング金具
28 窓部
30 一体加硫成形品
32 ポケット部
38 受圧室

Claims (4)

  1. インナ軸部材と該インナ軸部材の外周側に所定距離を隔てて配された中間スリーブとの間に本体ゴム弾性体を配設し、それらインナ軸部材と中間スリーブを該本体ゴム弾性体に加硫接着すると共に、該中間スリーブに窓部を形成して該窓部を通じて外周面に開口するポケット部を該本体ゴム弾性体に設けることによって一体加硫成形品を構成する一方、該一体加硫成形品にアウタ筒部材を外挿して該中間スリーブに嵌着固定することにより該ポケット部の開口を覆蓋せしめて内部に非圧縮性流体が封入された流体室を形成した流体封入式筒型防振装置において、
    前記中間スリーブが軸方向で離隔配置された一対の環状分割筒体で構成されていると共に、前記一体加硫成形品の単体における該一対の環状分割筒体の軸方向での離隔距離よりも小さな軸方向離隔距離をもって、該一対の環状分割筒体が前記アウタ筒部材で固定的に位置決めされることにより、前記本体ゴム弾性体に対して軸方向の予圧縮が及ぼされていることを特徴とする流体封入式筒型防振装置。
  2. 前記流体室を、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の軸直角方向対向面間において周方向で相互に離隔位置せしめられて軸直角方向の振動入力時に相対的な圧力変動が生ぜしめられる複数の分割流体室によって構成すると共に、前記一対の環状分割筒体の少なくとも一方において外周面に開口して周方向に延びる周方向凹溝を形成して、該周方向凹溝を該アウタ筒部材で覆蓋することにより該複数の分割流体室を相互に連通するオリフィス通路を形成した請求項1に記載の流体封入式筒型防振装置。
  3. 前記一体加硫成形品における前記本体ゴム弾性体の軸方向両端面において、前記インナ軸部材に沿って周方向に連続して延びる環状の肉抜凹所が形成されている請求項1又は2に記載の流体封入式筒型防振装置。
  4. インナ軸部材の外周側に離隔して、一対の環状分割筒体を軸方向で相互に離隔配置せしめて、それらインナ軸部材と一対の環状分割筒体との間に本体ゴム弾性体を加硫成形することにより、該一対の環状分割筒体の軸方向対向面間に形成された窓部を通じて外周面に開口するポケット部が該本体ゴム弾性体に設けられてなる一体加硫成形品を形成する工程と、
    該一体加硫成形品に外力を及ぼして、前記一対の環状分割筒体を軸方向で相互に接近する方向に所定距離だけ変位せしめることにより、前記本体ゴム弾性体に対して軸方向の予圧縮を及ぼす工程と、
    該一体加硫成形品と別途に形成されて外挿されたアウタ筒部材を前記一対の環状分割筒体に対して嵌着固定することにより、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を前記本体ゴム弾性体で弾性的に連結せしめると共に、前記ポケット部を流体密に覆蓋して非圧縮性流体が封入された流体室を形成し、更に該一対の環状分割筒体を軸方向で相対的に接近する方向に変位せしめた状態で固定的に位置決め保持せしめる工程と
    を、含むことを特徴とする流体封入式筒型防振装置の製造方法。
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