JP2005152613A - ゴルフクラブシャフト - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ゴルフクラブシャフト10のヘッドを装着するチップ側先端11からグリップを装着するバット側後端12までの全長にわたって、曲げ剛性極大点P1〜P3の後端部側に隣接し、該曲げ剛性極大点P1〜P3の剛性値(極大値)Yp1〜Yp3よりも曲げ剛性値が低い曲げ剛性低下領域R1〜R3を複数設け、シャフト全体をしなりを良くしている。
【選択図】 図3
Description
シャフトのしなりを良くするとヘッドスピードを速めることができるため、従来のシャフトは、シャフトのヘッド取付側のチップ側先端からグリップ取付側のバット側後端に向かって曲げ剛性値の増加量が増すように剛性分布したものが一般的である。このような剛性分布としたシャフトはチップ側先端部分ではしなりが発生しやすいが、シャフトの全体的なしなりは余り良くなく、よって、ヘッドスピードの向上に問題があった。そのため、従来より、シャフトの剛性分布を改良することによってヘッドスピードを上げる様々な提案がなされてきた。
また、特開2003−24490号(特許文献2)では、シャフト長さに対する中間部に、繊維強化材の繊維配向角を0°〜5°とした中間補強層を形成し、図10に示すように、チップ側先端からバット側後端に向かってシャフトの曲げ剛性値(EI値)を増加させると共に、中間補強層以外の部分では先端部側から後端部側に向かって曲げ剛性増加率が上昇するのに対し、中間補強層では曲げ剛性増加率が先端部側から後端部側に向かって低下するように剛性分布したゴルフクラブシャフトが提案されている。これにより、シャフト中間部の剛性が従来のシャフトより高くなり、スイング時にシャフト全体の撓りを利用しやすくなるため、ヘッドスピードを増加できるとしている。
また、特許文献2に示すゴルフクラブシャフトは、中間補強層を巻回したシャフト中間部のみが重く厚くなるため、スイング中に違和感を覚えるうえ、補強層部分と該部分以外との境目に段差が生じるため、仕上がりが悪くなるという問題もある。
隣接するバット側より曲げ剛性を大とした曲げ剛性極大点を複数点設け、これら曲げ剛性極大点の間に挟まれた領域に曲げ剛性低下領域を設け、該曲げ剛性低下領域をシャフト軸線方向に複数箇所設けていることを特徴とするゴルフクラブシャフトを提供している。
上記複数の曲げ剛性極大点の極大値および上記複数の曲げ剛性低下領域の極小値は同等とすると、シャフト全体のしなり感じを違和感のない良好なものとすることができる。
一方、チップ側からバット側にいくに従い上記極大値および極小値を大とすると、スイング時に手元付近で適度なしっかり感を得ながら、シャフト全体のしなり感を違和感のないものにすることができる。
これは、1.2倍未満であると、十分なしなりが得られずヘッドスピードの増大効果が小さくなり、2.0倍より大きいと、剛性値の差が大きくなりすぎてしなりがかえって悪化することによる。
上記のように曲げ剛性値を変えるためにプリプレグの弾性率を変えて、プリプレグの巻数やプリプレグの厚さを同一とすると、シャフト外径が局部的に突出したり凹んだりしないため、外形的に違和感をあたえず、かつ、シャフト重量を増加させない。
なお、プリプレグの積層体で形成する場合に限定されず、フィラメントワインディングで形成する場合にも適用でき、部分的に弾性率の相違する強化繊維を巻き付けてもよい。
図1乃至図3は、本発明の第一実施形態に係るゴルフクラブシャフト10を示すように、テーパ状の長尺の筒体からなり、シャフト10は繊維強化プリプレグ21〜24の積層体からなるテーパ状の長尺な筒体からなる。小径側のチップ側先端11にヘッド13が取り付けられ、大径側のバット側後端12にグリップ14が取り付けられている。シャフト10の全長は0.8〜1.2m、本実施形態では1050mmとしている。なお、チップ側先端11の外径は8.0mm〜12.0mm、本実施形態では9.0mmとしている。バット側後端部12の外径は13.0mm〜20.0mmの範囲で、本実施形態では15.0mmとしている。
上記プリプレグ21〜24には、カーボン繊維からなる強化繊維F21、F22、F24、F23a〜F23b、F24にエポキシ樹脂を含浸させている。
プリプレグ21〜24の樹脂率は20wt%以上45wt%以下の範囲とし、厚みは0.01mm以上0.3mm以下、好ましくは0.05mm以上0.15mm以下の範囲内としている。弾性率は5t/mm2以上100t/mm2以下の範囲とし、強化繊維に対して0°方向の曲げ強度は100kgf/mm2以上200kgf/mm2の範囲内としている。プリプレグ目付量は5g/m2以上500g/m2以下の範囲とし、カーボン繊維目付量は5g/m2以上300g/m2以下の範囲のものを使用している。
なお、強化繊維にはガラス繊維、ボロン繊維を用いてもよく、樹脂にはエポキシ樹脂以外の熱硬化性樹脂を使用してもよい。
即ち、チップ側先端11から150mm間隔で、高弾性率プリプレグ23a、低弾性率プリプレグ23b、高弾性率プリプレグ23a低弾性率プリプレグ23b、高弾性率プリプレグ23a、低弾性率プリプレグ23b、高弾性率プリプレグ23aの順に交互に配置している。
詳しくは、シャフト10のチップ側先端11に近接した位置に第1極大点P1、軸線方向に225mmあけて第2極大点P1、225mmあけて第3極大点P3、225mmあけたバット側後端に第4極大点P4を形成している。
同様に、第2極大点P2と第3極大点P3の間には第2曲げ剛性低下領域R2が形成され、該第2曲げ剛性低下領域R2の曲げ剛性値は第2極大点P2の剛性値Yp2よりも低い曲げ剛性値となっている。同様に、第3極大点P3と第4極大点P4の間には第3曲げ剛性低下領域R3が形成され、該第3曲げ剛性低下領域R3の曲げ剛性値は第3極大点P3の剛性値Yp3よりも低い曲げ剛性値となっている。
また、シャフト10の先端部11から400mmまでの範囲に曲げ剛性低下領域R1の全領域を配置しているため、ヘッド13が走りやすくなり、ヘッドスピードを効果的に上げることができる。
また、極大点P1のバット側には、曲げ剛性値がYp1よりも低い曲げ剛性低下領域R1、極大点P2の後端部側には、曲げ剛性値がYp2よりも低い曲げ剛性低下領域R2を設けている。各領域R1、R2の曲げ剛性極小点Q1、Q2の曲げ剛性値(極小値)Yq1、Yq2は、Yq1<Yq2としている。
シャフトと組み合わせたヘッドは、素材をチタンとし、体積を380cc、重さを200gとし、グリップは特製ラバーグリップとし、クラブ番手はW#1とした。
図2に示す上記第一実施形態と同一構成とした。即ち、剛性調整用のストレート層のプリプレグを、シャフトの先端部から150mm間隔で、高弾性率プリプレグa(三菱レイヨン株式会社製 MR35DC−125S)と低弾性率プリプレグc(日本グラファイトファイバー株式会社製 E1026D−12N)とを交互に配置し、バット側後端に上記高弾性率プリプレグaを配置し、計7枚のプリプレグで構成した。また、高弾性率プリプレグaの弾性率は30t/mm2とし、低弾性率プリプレグcの弾性率は5t/mm2とした。その結果、曲げ剛性分布は図3と同じ結果(図8の曲線A)となった。
図4に示す上記第二実施形態と同一構成とした。即ち、シャフトの先端部から順に、長さ150mmの上記高弾性率プリプレグa、長さ300mmの上記低弾性率プリプレグc、長さ150mmの高弾性率プリプレグa、長さ300mmの低弾性率プリプレグcを配置し、残る後端部までの範囲に高弾性率プリプレグaを配置した。また、高弾性率プリプレグaの弾性率は30t/mm2とし、低弾性率プリプレグcの弾性率は5t/mm2とした。その結果、曲げ剛性分布は図5と同じ結果(図8の曲線B)となった。
上記第三実施形態と同一構成とした。即ち、シャフトの先端部から順に、長さ150mmの高弾性率プリプレグd(三菱レイヨン株式会社製 HRX350C−130S)、長さ300mmの上記低弾性率プリプレグc、長さ150mmの上記高弾性率プリプレグd、長さ300mmの上記低弾性率プリプレグcを配置し、残る後端部までの範囲に超高弾性率プリプレグe(日本グラファイトファイバー株式会社製 E8026C−12S)を配置して形成し、高弾性率プリプレグdの弾性率は40t/mm2とし、超高弾性率プリプレグeの弾性率は80t/mm2とし、低弾性率プリプレグcの弾性率は5t/mm2とした。その結果、曲げ剛性分布は図7と同じ結果(図8の曲線C)となった。
シャフトの先端部から順に、長さ300mmの上記高弾性率プリプレグa、長さ450mmの上記高弾性率プリプレグd、残る後端部までの範囲に高弾性率プリプレグaを配置して形成し、高弾性率プリプレグaの弾性率は30t/mm2とし、高弾性率プリプレグdの弾性率は40t/mm2とした。その結果、曲げ剛性分布は図8の曲線Dに示すとおりとなった。
シャフトの先端部から順に、長さ450mmの上記高弾性率プリプレグa、長さ150mmの上記超高弾性率プリプレグe、残る後端部までの範囲に高弾性率プリプレグaを配置して形成し、高弾性率プリプレグaの弾性率は30t/mm2とし、超高弾性率プリプレグeの弾性率は80t/mm2とした。その結果、曲げ剛性分布は図8の曲線Eに示すとおりとなった。
剛性調整用のストレート層全体を、弾性率が30t/mm2である1枚の連続した上記高弾性率プリプレグaのみで形成した。その結果、曲げ剛性分布は図8の曲線Fに示すとおりとなった。
インパクト前の直前1000μs、3000μsでのヘッド位置を計測することでH/Sを算出した。
各打点とSSとの距離を測定し、この距離のバラツキを測定した。
テスター10名が各シャフトにつき10球ずつ打撃し、10点満点で評価を行い(点数が高いほどフィーリングが良い)、その平均値を表3に示した。このテスター10名の平均ハンデは9であり、平均年齢は48歳であった。
これら比較例1〜3は、剛性値低下領域が1箇所のみ、または皆無であり、表3からは、ヘッドスピードが上がらず、スイートスポットからのバラツキも大きいことが分かった。従って、しなやか撓りが得られず、かつ、スイングにも違和感があると推察でき、このことはフィーリング評価が低いことからも裏付けられた。
11 チップ側先端
12 バット側後端
21〜24 プリプレグ
23a 高弾性率プリプレグ
23c 低弾性率プリプレグ
23d 超高弾性率プリプレグ
P1〜P4 曲げ剛性極大点
Q1〜Q3 曲げ剛性極小点
R1〜R3 曲げ剛性低下領域
Yp1〜Yp4 曲げ剛性極大値
Yq1〜Yq3 曲げ剛性極小値
Claims (6)
- ゴルフクラブシャフトのヘッド取付側のチップ側先端からグリップ取付側のバット側後端にわたる曲げ剛性分布において、
隣接するバット側より曲げ剛性を大とした曲げ剛性極大点を複数点設け、これら曲げ剛性極大点の間に挟まれた領域に曲げ剛性低下領域を設け、該曲げ剛性低下領域をシャフト軸線方向に複数箇所設けていることを特徴とするゴルフクラブシャフト。 - 上記複数の曲げ剛性極大点の極大値および上記複数の曲げ剛性低下領域の極小値は同等、あるいはチップ側からバット側にいくに従い増大させている請求項1に記載のゴルフクラブシャフト。
- 上記曲げ剛性低下領域のシャフト軸方向の長さを50mm以上400mm以下の範囲内としている請求項1または請求項2に記載のゴルフクラブシャフト。
- 上記曲げ剛性低下領域を、上記チップ側先端から500mmの領域に少なくとも1箇所設けている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
- チップ側極大点の極大値は、該極大値に隣接するバット側の曲げ剛性低下領域の極小点の極小値の1.2倍以上2倍以下の範囲内に設定している請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
- プリプレグの積層体からなり、該プリプレグは複数のバイアス層およびストレート層を構成するプリプレグを備え、上記ストレート層の少なくとも一層は曲げ剛性調整層とし、厚さを同一で弾性率の相違する複数のプリプレグを、シャフト軸線方向で分割して配置し
て、上記曲げ剛性分布の構成としている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のゴルフクラブシャフト。
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