JP2005145133A - 車両用空調装置 - Google Patents

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好則 一志
Tatsumi Kumada
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Abstract

【課題】 前席乗員および後席乗員の温度を非接触温度センサにより検出して前席側および後席側の空調制御を行うに際して、後席側乗員の快適性を向上する。
【解決手段】 車室内の前席側乗員温度を非接触で検出する前席側非接触温度検出部200と、車室内の後席側乗員温度を非接触で検出する後席側非接触温度検出部100とを備え、後席側非接触温度検出部100の検出素子数を前席側非接触温度検出部200の検出素子数より多くした。
【選択図】 図5

Description

本発明は、車室内の前席乗員および後席乗員の温度を非接触温度センサにて検出し、その検出温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置に関する。
従来、非接触温度センサにより検出される検温対象物の温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置は種々知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、非接触温度センサは、具体的には、検温対象物の表面から放出される赤外線に基づいて検温対象物の表面温度を検出する赤外線温度センサである。
特許文献1では、複数の検出素子をマトリックス状に配置したマトリックス型の赤外線温度センサを用い、このマトリックス型赤外線温度センサにより車室内の乗員温度を検出し、この乗員温度の検出温度に基づいて車室内の空調制御を行う車両用空調装置が提案されている。
特開平10−230728号公報
ところで、車両の座席において前席側は乗員(運転者)が必ず着座しているのに反し、後席側は乗員が必ず着座するわけではない。そのため、車両用空調装置の設計に際しては、前席側の空調能力を後席側の空調能力より大きく設定するのが通常である。
このように、前席側空調能力が後席側空調能力より大きくなっていると、前席側への空調吹出風が後席側領域にも流れ込みやすい。その結果、後席側領域の空調は前席側領域の空調状態の影響を受けやすいので、後席側乗員の快適性確保が困難となる。
しかるに、上記特許文献1には、このような後席側乗員の快適性確保のための工夫点については何ら提示していない。
本発明は上記点に鑑み、非接触温度センサを用いて車室内の前席乗員および後席乗員の温度を検出して前席側空調手段および後席側空調手段を制御する車両用空調装置において、後席側乗員の快適性を確保することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、車室内の前席側空調ゾーン(1a、1b)を空調する前席側空調手段(5)と、
車室内の後席側空調ゾーン(1c、1d)を前記前席側空調手段(5)より小さい空調能力にて空調する後席側空調手段(6)と、
車室内の前席側乗員温度を非接触で検出する複数の検出素子(70a)を有する前席側非接触温度検出部(200、210)と、
車室内の後席側乗員温度を非接触で検出する複数の検出素子(70a)を有する後席側非接触温度検出部(100、110)と、
前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出温度に基づいて前記前席側空調手段(5)を制御するとともに、前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出温度に基づいて前記後席側空調手段(6)を制御する制御手段(8)とを備え、
前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出素子数が前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出素子数より多くなっていることを特徴としている。
これによると、前席側乗員および後席側乗員の温度検出に際して、後席側乗員の温度検出箇所を前席側乗員に比して多くすることができ、後席側乗員の温度をよりきめ細かく的確に検出できる。
従って、後席側乗員の検出温度に基づいて後席側空調制御をより的確に実行できる。この結果、後席側空調能力が前席側空調能力よりも小さいという制約があり、かつ、前席側の空調吹出風が後席側領域にも流れ込みやすいという条件下においても、後席側の快適性を維持できる。
なお、前席側非接触温度検出部(200、210)の検出素子数を後席側非接触温度検出部(100、110)の検出素子数と同数まで増やすことが考えられるが、これは、両温度検出部全体としての検出素子数が増加し、コストアップを招くので、実用上好ましくない。前席側非接触温度検出部(200、210)の検出素子数が後席側非接触温度検出部(100、110)の検出素子数より少なくても、前席側空調能力が後席側空調能力よりも大きいので、前席側の快適性は十分確保できる。
以上により、温度検出部全体としてのコストアップを抑制しつつ、前席側と後席側の両方の快適性を確保できる。
請求項2に記載の発明では、車室内の前席側空調ゾーン(1a、1b)を空調する前席側空調手段(5)と、
車室内の後席側空調ゾーン(1c、1d)を前記前席側空調手段(5)より小さい空調能力にて空調する後席側空調手段(6)と、
車室内の前席側乗員温度を検出する前席側非接触温度検出部(200、210)と、
車室内の後席側乗員温度を検出する後席側非接触温度検出部(100、110)と、
前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出温度に基づいて前記前席側空調手段(5)を制御するとともに、前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出温度に基づいて前記後席側空調手段(6)を制御する制御手段(8)とを備え、
前記後席側非接触温度検出部(100、110)が、前記前席側非接触温度検出部(200、210)よりも検出精度の高いもので構成されていることを特徴としている。
これによると、前席側乗員および後席側乗員の温度検出に際して、後席側乗員の検出精度を高めて、後席側乗員の温度をよりきめ細かく的確に検出できるので、請求項1と同様の作用効果を発揮できる。
なお、後席側非接触温度検出部(100、110)の検出精度は、具体的には、検出部製造過程におけるチューニングによって高めることができる。
請求項3に記載の発明のように、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)が1つのセンサ構造として一体構成され、
前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)が車室内の1カ所にまとめて配置されるようにしてよい。
請求項4に記載の発明のように、請求項1または2に記載の車両用空調装置において、前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)がそれぞれ独立に構成され、
前記前席側非接触温度検出部(200、210)と前記後席側非接触温度検出部(100、110)が車室内の別々の場所に分離して配置されるようにしてよい。
請求項5に記載の発明では、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置において、後席側サイド窓ガラス温度を検出する窓ガラス用非接触温度検出部(500)を備え、
窓ガラス用非接触温度検出部(500)の検出信号が制御手段(8)に入力され、前席側空調手段(5)および後席側空調手段(6)の少なくとも一方の制御のために用いられることを特徴としている。
これによると、後席側サイド窓ガラス温度に基づいて後席側空調手段(6)を制御すれば、後席側サイド窓ガラス温度を考慮した後席側重視の空調制御を実行できる。
ところで、後席側サイド窓ガラス温度に比較して前席側サイド窓ガラス温度は、車両計器盤の左右両端部に位置するサイドフェイス吹出口(後述の図1の符号56a、56bのうち左右両側の符号56a、56bの部分)からの吹出風の影響を受けて温度変化するので、正確なサイド窓ガラス温度の検出が困難となる場合が多い。
また、運転者が前かがみの姿勢で運転すると運転者の上半身が赤外線受光の妨げとなり、前席側サイド窓ガラス温度の検出が困難となる場合がある。
これに反し、後席側サイド窓ガラス温度は、サイドフェイス吹出口からの吹出風の影響を受けることがなく、また、運転者の前かがみ姿勢による温度検出の障害も発生しない。このため、後席側サイド窓ガラス温度に基づいて前席側空調手段(5)の制御を行えば、前席側の空調制御も的確に実行できる。
請求項6に記載の発明のように、請求項5に記載の車両用空調装置において、前記窓ガラス用非接触温度検出部(500)が少なくとも前記後席側非接触温度検出部(100、110)と1つのセンサ構造として一体構成されるようにしてよい。
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
図1は本実施形態による車両用空調装置の室内空調ユニット部の吹出口配置状態を示す平面概要図、図2は室内空調ユニット部および電気制御ブロックを含む全体構成図である。
本実施形態は、車室内1の前後左右の計4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dをそれぞれ独立して空調制御する。図1、図2は右ハンドル車の場合を示しており、空調ゾーン1aは前席右側、すなわち運転席2側の空調ゾーンであり、空調ゾーン1bは前席左側、すなわち助手席3側の空調ゾーンである。
そして、空調ゾーン1cは後席右側の空調ゾーンであり、空調ゾーン1dは後席左側の空調ゾーンである。なお、図1、図2中の前後左右の各矢印は、車両搭載時における前後左右の方向を示す。
車両用空調装置の室内空調ユニット部は前席用空調ユニット5と後席用空調ユニット6とから構成されている。前席用空調ユニット5は、前席左右の空調ゾーン1a、1bのそれぞれの空調状態(例えば、空気温度)を独立して調整するためのものであり、後席用空調ユニット6は、後席左右の空調ゾーン1c、1dのそれぞれの空調状態を独立して調整するためのものである。
前席用空調ユニット5は前席側空調手段をなすもので、車室内1の最前部の計器盤7の内側に配置されている。後席用空調ユニット6は後席側空調手段をなすもので、車室内1の最後方に配置されている。
図2に示すように、前席用空調ユニット5は、車室内1の前席側に空気を送風するためのダクト50を備えている。このダクト50の最上流部には、車室内1の前席側から内気を導入するための内気導入口50aおよび車室外から外気を導入するための外気導入口50bが設けられている。
さらに、ダクト50には、外気導入口50bおよび内気導入口50aを選択的に開閉する内外気切替ドア51が設けられており、この内外気切替ドア51には、駆動手段としてのサーボモータ51aが連結されている。
また、ダクト50内のうち外気導入口50bおよび内気導入口50aの空気下流側には、車室内1の前席側に向けて空気を送風する送風機52が設けられている。この送風機52は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ52aにより構成されている。
さらに、ダクト50内にて送風機52の空気下流側には、空気を冷却する前席側空気冷却手段としての蒸発器53が設けられている。さらに、この蒸発器53の空気下流側には、空気を加熱する前席側空気加熱手段としてのヒータコア54が設けられている。
そして、ダクト50内のうち蒸発器53の空気下流側には仕切り板57が設けられ、この仕切り板57によりダクト50内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、運転席側通路50cと助手席側通路50dとに仕切っている。
運転席側通路50cのうちヒータコア54の側方にはバイパス通路50eが形成され、助手席側通路50dのうちヒータコア54の側方にはバイパス通路50fが形成されている。これらのバイパス通路50e、50fは、それぞれ蒸発器53により冷却された冷風をヒータコア54に対してバイパスさせる。
運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいてヒータコア54の空気上流側にそれぞれ、前席側温度調整手段をなすエアミックスドア55a、55bが独立に操作可能に設けられている。運転席側エアミックスドア55aは、その開度により、運転席側通路50cを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路50eを通る量(冷風量)との比を調整して、前席運転席側への吹出空気温度を調整する。
また、助手席側エアミックスドア55bは、その開度により、助手席側通路50dを流通する冷風のうちヒータコア54を通る量(温風量)とバイパス通路50fを通る量(冷風量)との比を調整して、前席助手席側への吹出空気温度を調整する。
なお、左右のエアミックスドア55a、55bには、駆動手段としてのサーボモータ550a、550bがそれぞれ連結されており、エアミックスドア55a、55bの開度は、サーボモータ550a、550bによってそれぞれ独立に調整される。
蒸発器53は、図示しない圧縮機、凝縮器、受液器、減圧器とともに、周知の冷凍サイクルを構成している低圧側の冷却用熱交換器である。この蒸発器53は、ダクト50内を流れる空気から低圧側冷媒が蒸発潜熱を吸熱して蒸発することにより、ダクト50内の空気を冷却する。なお、冷凍サイクルの圧縮機は、車両エンジンに電磁クラッチ(図示しない)を介して連結され、電磁クラッチを断続制御することによって駆動停止制御される。
ヒータコア54は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源として蒸発器53通過後の空気を加熱する加熱用熱交換器である。
また、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうちヒータコア54の空気下流側(最下流部)には、運転席側フェイス吹出口56aおよび助手席側フェイス吹出口56bが設けられている。
運転席側フェイス吹出口56aは、運転席側通路50cから運転席2に着座する運転者の上半身に向けて空気を吹き出す。また、助手席側フェイス吹出口56bは、助手席側通路50dから助手席3に着座する助手席乗員の上半身に向けて空気を吹き出す。
さらに、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dのうち運転席側フェイス吹出口56aおよび助手席側フェイス吹出口56bの各空気上流部には、それぞれ、運転席側フェイス吹出口56aを開閉する運転席側吹出口切替ドア56cおよび助手席側フェイス吹出口56bを開閉する助手席側吹出口切替ドア56dが設けられている。これら吹出口切替ドア56cおよび56dは、それぞれ駆動手段としての運転席側サーボモータ56e、および助手席側サーボモータ56fによって開閉駆動される。
なお、運転席側フェイス吹出口56aと助手席側フェイス吹出口56bは、具体的には図1に示すようにそれぞれ、計器盤7の左右方向の中央部寄り部位に位置するセンターフェイス吹出口と計器盤7の左右方向の両端部付近に位置するサイドフェイス吹出口とに分けて配置される。
また、図1、図2には図示していないが、運転席側通路50cの最下流部には、上記運転席側フェイス吹出口56aの他に、運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口が設けられている。運転席側フット吹出口は運転席側通路50cから運転者の下半身に空気を吹き出す。運転席側デフロスタ吹出口は運転席側通路50cからフロントガラスの内表面のうち運転席側領域に空気を吹き出す。
助手席側通路50dの最下流部には、上記助手席側フェイス吹出口56bの他に、助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口が設けられている。助手席側フット吹出口は助手席側通路50dから助手席乗員の下半身に空気を吹き出す。助手席側デフロスタ吹出口は助手席側通路50dからフロントガラスの内表面のうち助手席側領域に空気を吹き出す。
そして、運転席側通路50cにおいて運転席側フット吹出口および運転席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら運転席側の各吹出口切替ドアは、上述した運転席側のサーボモータ56eにより連動して開閉駆動される。
また、助手席側通路50dにおいて助手席側フット吹出口および助手席側デフロスタ吹出口の空気上流部には、それぞれの吹出口を開閉する吹出口切替ドア(図示せず)が設けられている。そして、これら助手席側の各吹出口切替ドアは、上述した助手席側のサーボモータ56fにより連動して開閉駆動される。
後席用空調ユニット6は、車室内1の後席側に空気を送風するためのダクト60を備えている。このダクト60内の最上流部には、車室内1の後席側から内気導入口60aを通して内気のみを導入する内気導入ダクト60bが接続される。
内気導入ダクト60bの空気下流側には、車室内1の後席側に向けて空気を送風する送風機62が設けられている。この送風機62は、遠心式羽根車およびこの羽根車を回転させるブロワモータ62aにより構成されている。
なお、図2では図示の簡略化のために、前席側の送風機52および後席側の送風機62の羽根車として遠心式羽根車でなく、軸流式羽根車を図示しているが、両送風機52、62の羽根車として実際には遠心式羽根車を使用することはもちろんである。
さらに、ダクト60内において送風機62の空気下流側には、空気を冷却する後席側空気冷却手段としての蒸発器63が設けられている。この蒸発器63の空気下流側には、空気を加熱する後席側空気加熱手段としてのヒータコア64が設けられている。
そして、ダクト60内のうち蒸発器63の下流部分には仕切り板67が設けられ、この仕切り板67によりダクト60内の空気通路を車両左右両側の2つの通路、すなわち、後席右側通路(後席運転席側通路)60cと後席左側通路(後席助手席側通路)60dとに仕切っている。
後席右側通路60cのうちヒータコア64の側方にはバイパス通路60eが形成され、後席左側通路60dのうちヒータコア64の側方にはバイパス通路60fが形成されている。これらのバイパス通路60e、60fは、それぞれ蒸発器63により冷却された冷風をヒータコア64に対してバイパスさせる。
後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいてヒータコア64の空気上流側には、それぞれ後席側温度調整手段をなすエアミックスドア65a、65bが独立に操作可能に設けられている。後席右側のエアミックスドア65aは、その開度により、後席右側通路60cを流通する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)とバイパス通路60eとを通る量(冷風量)との比を調整して、後席右側への吹出空気温度を調整する。
また、後席左側のエアミックスドア65bは、その開度により、後席左側通路60dを通過する冷風のうちヒータコア64を通る量(温風量)と、バイパス通路60fを通る量(冷風量)との比を調整して、後席左側への吹出空気温度を調整する。
そして、後席左右のエアミックスドア65a、65bには、駆動手段としてのサーボモータ650a、650bがそれぞれ連結されており、後席左右のエアミックスドア65a、65bの開度は、サーボモータ650a、650bによって、それぞれ独立に調整される。
蒸発器63は、上述した周知の冷凍サイクルにおいて前席側の蒸発器53に対して並列的に配管結合される冷却用熱交換器である。
また、ヒータコア64は、車両エンジンからの温水(エンジン冷却水)を熱源として蒸発器63通過後の空気を加熱するする加熱用熱交換器である。ヒータコア64は、温水回路において前席側のヒータコア54に対し並列的に接続される。
ダクト60内の後席右側通路60cのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には後席右側フェイス吹出口66aが設けられている。この後席右側フェイス吹出口66aは、後席右側通路60cから後席の右側(すなわち、後席運転席側)に着座する乗員(以下、後席右側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
また、ダクト60内の後席左側通路60dのうちヒータコア64の空気下流側(最下流部)には後席左側フェイス吹出口66bが設けられている。後席左側フェイス吹出口66bは、後席左側通路60dから後席の左側(すなわち、後席助手席側)に着座する乗員(以下、後席左側乗員という)の上半身に向けて空気を吹き出す。
ここで、後席左右の両フェイス吹出口66a、66bの空気上流部には、それぞれフェイスドア66c、66dが設けられ、後席左右の両フェイス吹出口66a、66bを開閉するようになっている。この後席左右のフェイスドア66c、66dは、駆動手段としてのサーボモータ660c、660dによって開閉駆動される。
そして、図1、図2には図示しないが、後席右側通路60cの最下流部には、後席右側フェイス吹出口66aの他に後席右側フット吹出口が設けられている。この後席右側フット吹出口は、後席右側通路60cから空気を後席右側乗員の下半身に向けて吹き出す。
同様に、後席左側通路60dの最下流部には、後席左側フェイス吹出口66bの他に後席左側フット吹出口が設けられている。この後席左側フット吹出口は、後席左側通路60dから空気を後席左側乗員の下半身に向けて吹き出す。
この後席左右の両フット吹出口の空気上流部には、それぞれフットドア(図示せず)が設けられており、この後席左右の両フットドアは、上記サーボモータ660c、660dによってフェイスドア66c、66dと連動して開閉駆動される。
エアコンECU8は空調制御装置(空調制御手段)をなすものであって、このエアコンECU8の入力側には、外気温度センサ81、車両エンジンの冷却水温度センサ82、日射センサ83、前席側および後席側の内気温度センサ84、85および前席側および後席側の蒸発器温度センサ86、87等が接続されている。
外気温度センサ81は、車室外の外気温度を検出し、その検出温度に応じた外気温度信号TamをエアコンECU8に入力する。冷却水温度センサ82は、車両エンジンの冷却水(すなわち温水)の温度を検出し、その検出温度に応じた冷却水温度信号TwをエアコンECU8に入力する。
日射センサ83は、図1に図示するように、計器盤7の上面部(車両フロントウインドウの内側部)において、車両左右方向の略中央部分に配置され、車室内に入射される日射量を検出し、その検出した日射量に応じた日射量信号TsをエアコンECU8に入力する。
前席側内気温度センサ84は、車室内前席側の空調ゾーン1a、1b(前席側空調領域)の空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrFrをエアコンECU8に入力する。
後席側内気温度センサ85は、車室内後席側の空調ゾーン1c、1d(後席側空調領域)の空気温度を検出しその検出温度に応じた内気温度信号TrRrをエアコンECU8に入力する。
前席側蒸発器温度センサ86は、前席側蒸発器53の吹出空気温度を検出し、その検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeFrをエアコンECU8に入力する。後席側蒸発器温度センサ87は、後席側蒸発器63の吹出空気温度を検出し、その検出温度に応じた蒸発器吹出温度信号TeRrをエアコンECU8に入力する。
また、エアコンECU8の入力側には乗員により操作可能な4個の温度設定スイッチ9、10、11、12が接続されている。この4個の温度設定スイッチ9〜12から車室内の4つの空調ゾーン1a、1b、1c、1dのそれぞれに対応して乗員により設定された設定温度信号TsetFrDr、TsetFrPa、TsetRrDr、TsetRrPaがエアコンECU8に入力される。なお、各温度設定スイッチ9〜12のそれぞれ近傍には、設定温度等の設定内容を表示する設定温度表示手段としてのディスプレイ9a、10a、11a、12aが備えられている。
更に、エアコンECU8の入力側には非接触温度センサとしての赤外線温度センサ(IRセンサ)70が接続されている。この赤外線温度センサ70は本実施形態では、車室内天井部の前方側部位にて車両左右方向の中央部付近(後述の図5参照)に配置される。
なお、エアコンECU8は、アナログ/デジタル変換器、マイクロコンピュータ等を有して構成される周知のものであり、日射センサ83、各温度センサ81、82、84、85、86、87、赤外線温度センサ70および温度設定スイッチ9、10、11、12からそれぞれ出力される出力信号は、アナログ/デジタル変換器によりアナログ/デジタル変換されてマイクロコンピュータにそれぞれ入力されるように構成されている。
マイクロコンピュータは、ROM、RAMなどのメモリ、およびCPU(中央演算装置)等から構成される周知のもので、イグニッションスイッチがオンされたときに、図示しない車載バッテリから電力供給される。
赤外線温度センサ70は、検温対象物から入射される赤外線量の増減に対応して起電力が増減するサーモパイル型検出素子(以下「検出素子」と略称する)70aを用いて構成される。すなわち、赤外線温度センサ70は検温対象物の温度変化を検出素子70aの起電力変化として電気的に検出する。
なお、赤外線温度センサ70は複数個の検出素子70aをマトリックス状に配置したマトリックス型センサとして構成されている。
図3は赤外線温度センサ70の全体構成の概要を示すものであって、赤外線温度センサ70は運転席側検出部71と助手席側検出部72とを有している。この両検出部71、72はそれぞれ上記検出素子70aを複数用い、この複数の検出素子70aを所定形状に配置して構成される。
運転席側検出部71には運転席側(車両右側)の前後の空調ゾーン1a、1cの検温対象物から放出される赤外線が運転席側レンズ73により集光されて入射される。また、助手席側検出部72には、助手席側の前後の空調ゾーン1b、1dの検温対象物から放出される赤外線が助手席側レンズ74により集光されて入射される。
ここで、赤外線温度センサ70は上述のごとく車室内前方側天井部の車両左右方向中央部付近(図5)に配置されるものであるため、運転席側検出部71および運転席側レンズ73と、助手席側検出部72および助手席側レンズ74をそれぞれ車両中央部の車両前後方向の線Aに対して所定角度θ1だけ左右外側に斜めに向くように傾斜配置している。
これにより、図3の図示例では、運転席側検出部71および助手席側検出部72に対してそれぞれ車両の後方および左右側方から赤外線が所定角度θ2(θ2=2×θ1)、例えば、85°程度の範囲にわたって入射される状態を示している。なお、上記両レンズ73、74はそれぞれ赤外線透過率の高い材料で形成された1枚のレンズからなる。
図3において、電子回路75は運転席側検出部71および助手席側検出部72の各検出素子70aの起電力が入力される回路部で、コネクタ76によりエアコンECU8の入力側に接続される。
次に、図4は上記検出部71、72およびレンズ73、74を有するセンサ具体的構成を例示するもので、図4(a)(b)は図3に示す運転席側部分と助手席側部分のうちいずれか一方のみを図示しているので、赤外線温度センサ70の全体構成としては図4(a)(b)に示すセンサ構成を左右2セット備えている。
図4(a)はセンサ構成の分解斜視図で、図4(b)は図4(a)の検出部71、72の拡大斜視図である。そして、図4(c)(d)は検出部71、72の検出素子70aの具体的配置例を図示する。
赤外線温度センサ70の検出部71、72は、図4(a)に示すように支持台座77上に配置され、この検出部71、72をカップ状ケース78によって覆うようになっている。このカップ状ケース78の窓部78aに上記レンズ73、74を配置している。
検出部71、72は図4(b)に示すように基板79a上に設置されるセンサチップ79bを有し、このセンサチップ79bの表面上に複数の検出素子70aがマトリックス状に配置される。
ここで、複数の検出素子70aの各々は、レンズ73、74を通して入射される赤外線を吸収して熱に変換する赤外線吸収膜と、この赤外線吸収膜にて発生する熱量に応じた起電力を発生する熱応答素子をなす熱電対部とを備えている。
図4(c)は左右の両検出部71、72のうち、運転席側検出部71における検出素子70aの具体的配置例を示しており、検出素子群100は後席右側乗員温度検出用のものであり、検出素子70aを横2列×縦4列の形態で配置しているので、検出素子70aの数は合計8個になっている。
また、検出素子群200は前席右側乗員(運転者)温度検出用のものであり、検出素子70aを横1列×縦4列の形態で配置しているので、検出素子70aの数は合計4個になっている。また、検出素子群300は運転席側方の右側サイド窓ガラス温度検出用のものであり、検出素子70aを横1列×縦2列の形態で配置しているので、検出素子70aの数は合計2個になっている。
図4(d)は助手席側検出部72の検出素子配置例を図示しており、助手席側検出部72の検出素子70aは図4(c)と左右対称に配置されている。すなわち、検出素子群110は後席左側乗員温度検出用のものであり、8個の検出素子70aからなる。また、検出素子群210は前席左側乗員(助手席乗員)温度検出用のものであり、4個の検出素子70aからなる。また、検出素子群310は助手席側方の左側サイド窓ガラス温度検出用のものであり、2個の検出素子70aからなる。
ここで、検出素子群100、110が本発明の後席側非接触温度検出部を構成し、検出素子群200、210が本発明の前席側非接触温度検出部を構成する。
次に、上記検出素子配置例の具体的意義を図5により説明する。図5(a)は車両全体の車室内透視平面図であり、車室内前方側天井部の車両左右方向中央部付近(図5)に配置される赤外線温度センサ70の左右の検出部71、72に対して所定角度θ2(図3のθ2に対応)の範囲内の検温対象物からの赤外線が入射される。
そして、図5(b)、(c)は、赤外線温度センサ70の運転席側検出部71における検出素子配置形態と検温対象物との対応関係を示す。図5(b)に示す検出素子70a−1、70a−2の検温対象物は運転席側(車両右側)のサイド窓ガラス91である。このため、赤外線温度センサ70の位置からサイド窓ガラス91を見たときに運転席乗員(運転者)82の上半身により遮られない視界範囲に対応するように検出素子70a−1、70a−2を配置している。
これにより、サイド窓ガラス91からの赤外線が検出素子70a−1、70a−2に入射される。図5(a)において、範囲aはこのサイド窓ガラス91からの赤外線入射範囲を示す。
また、検出素子70a−3〜70a−6の検温対象物は運転席乗員92である。このため、赤外線温度センサ70の位置から運転席乗員92を見たときの視界範囲となる、運転席乗員92の上半身に対応するように検出素子70a−3〜70a−6を配置している。これにより、運転席乗員92の上半身からの赤外線が検出素子70a−3〜70a−6に入射される。図5(a)において、範囲bはこの運転席乗員92からの赤外線入射範囲を示す。
次に、図5(c)に示す検出素子70a−11〜70a−18の検温対象物は後席右側乗員93である。このため、赤外線温度センサ70の位置から後席右側乗員93を見たときのの視界範囲となる、後席右側乗員93の上半身に対応するように検出素子70a−11〜70a−18を配置している。これにより、後席右側乗員93の上半身からの赤外線が検出素子70a−11〜70a−18に入射される。
図5(a)において、範囲cは、この後席右側乗員93から検出素子70a−11〜70a−14への赤外線入射範囲を示す。また、範囲dは、この後席右側乗員93から検出素子70a−15〜70a−18への赤外線入射範囲を示す。
なお、助手席側検出部72の検出素子70aの配置形態を図5では図示していないが、上記した運転席側検出素子70a−1〜70a−6、70a−11〜70a−18と同様の考え方にて助手席側検出素子70aも配置すればよい。図5(a)において、e、f、g、hはそれぞれ助手席側検出部72の検出素子70aへの赤外線入射範囲であって、上記範囲a〜dに対応する。
次に、上記構成において本実施形態の作動を図6、図7に基づいて説明する。
エアコンECU8は、車両イグニッションスイッチが投入され電源が供給されると、メモリに記憶された制御プログラム(コンピュータプログラム)がスタートして、図6に示すフローチャートにしたがって空調制御処理を実行する。なお、図6は空調制御処理全体の概要を示す図であり、以下では、空調制御処理を前席空調制御処理と後席空調制御処理とに分けて図6を参照して説明する。
最初に、前席空調制御処理について説明する。まず、ステップS121にて前席左右の温度設定スイッチ9、10から運転席側設定温度信号TsetFrDr、助手席側設定温度信号TsetFrPaを読み込む。
次に、ステップS122にて各種センサ検出信号を読み込む。すなわち、外気温センサ81、日射センサ83、前席側内気温度センサ84および前席側蒸発器温度センサ86からそれぞれ外気温度信号Tam、日射量信号Ts、前席側内気温度信号TrFr、前席側蒸発器吹出温度信号TeFrを読み込む。更に、赤外線温度センサ70の運転席側検出部71および助手席側検出部72の検出信号(詳細は後述)を読み込む。
次に、ステップS123にて、前席運転席側空調ゾーン1aの目標吹出温度TAOFrDrおよび前席助手席側空調ゾーン1bの目標吹出温度TAOFrPaを算出する。ここで、各目標吹出温度TAOFrDr、TAOFrPaは、それぞれ車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、各空調ゾーン1a、1bの温度を各設定温度TsetFrDr、TsetFrPaに維持するために必要な目標温度である。
図7は上記前席側の両目標吹出温度TAOFrDrおよびTAOFrPaを算出するための具体的な制御処理であり、まず、ステップS1231にて運転席側日射補正係数fFrDrおよび助手席側日射補正係数fFrPaを前席側の左右のサイド窓ガラス温度差に基づいて算出する。
ここで、前席運転席側(右側)のサイド窓ガラス温度は、赤外線温度センサ70の運転席側検出部71のうち検出素子70a−1、70a−2(図5(b))により検出される温度Ta1、Ta2の平均値{=(Ta1+Ta2)/2}である。
同様に、前席助手席側(左側)のサイド窓ガラス温度は、赤外線温度センサ70の助手席側検出部72のうち、上記検出素子70a−1、70a−2に対応する2つの検出素子(図示せず)により検出される温度Tb1、Tb2の平均値{=(Tb1+Tb2)/2}である。
図7のステップS1231の制御特性は前席側の左右のサイド窓ガラス温度差と両係数fFrDr、fFrPaとの関係を定めるものであって、マイクロコンピュータのメモリに予め設定、記憶されている。従って、前席側の左右のサイド窓ガラス温度差を求めることにより、この温度差に基づいて両係数fFrDr、fFrPaを決定できる。
具体的には、実線で示す運転席側日射補正係数fFrDrは上記温度差が増大するにつれて増大するように決定される。また、破線で示す助手席側日射補正係数fFrPaは上記温度差が増大するにつれて逆に減少するように決定される。
なお、図7のステップS1231の制御特性から分かるように、左右のサイド窓ガラス温度差の値が正か負かにより日射方向が検出されることになり、この両係数fFrDr、fFrPaの算出によって、前席側の各座席2、3ごとの偏日射補正を行うことができる。
次に、ステップS1232にて運転席側日射量TsFrDrおよび助手席側日射量TsFrPaを算出する。具体的には、日射センサ83により検出される車室内への日射量Tsに運転席側日射補正係数fFrDrを乗算して、運転席側日射量TsFrDrを算出する。また、日射量Tsに助手席側日射補正係数fFrPaを乗算して、助手席側日射量TsFrPaを算出する。
次に、ステップS1233にて前席運転席側目標吹出温度TAOFrDrをメモリに予め記憶されている下記の数式(1)に基づいて算出する。
TAOFrDr=KsetFrDr×TsetFrDr
−Kir×FrDrTir−KrFr×TrFr
−KsFr×TsFrDr−Kam×Tam+CFrDr…(数式1)
この数式1において、TsetFrDrは運転席側温度設定スイッチ10により設定された運転席側設定温度である。
FrDrTirは前席右側の運転者の表面温度であり、このFrDrTirは、赤外線温度センサ70の運転席側検出部71のうち前席右側用検出素子70a−3〜70a−6(図5(b))により検出される温度である。具体的には、この4個の検出素子70a−3〜70a−6の検出温度Tc3〜Tc6の平均値{FrDrTir=(Tc3+Tc4+Tc5+Tc6)/4}である。
次に、TrFrは、前席側内気温度センサ84により検出される前席側内気温度である。また、TsFrDrはステップS1232にて算出した前席運転席側領域への日射量である。また、Tamは外気温度センサ81により検出される外気温度である。
なお、数式1中のKsetFrDr、Kir、KrFr、KsFr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CFrDrは定数である。
また、ステップS1233では、前席助手席側目標吹出温度TAOFrPaを下記の数式(2)に基づいて算出する。
TAOFrPa=KsetFrPa×TsetFrPa
−Kir×FrPaTir−KrFr×TrFr
−KsFr×TsFrPa−Kam×Tam+CFrPa…(数式2)
この数式2において、TsetFrPaは助手席側温度設定スイッチ9により設定された助手席側設定温度である。
FrPaTirは前席左側の助手席乗員の表面温度であり、このFrPaTirは、赤外線温度センサ70の助手席側検出部72のうち、4個の前席左側用検出素子(図示せず)により検出される温度である。この4個の前席左側用検出素子は上記4個の前席右側用検出素子70a−3〜70a−6に対応して設けられる。
FrPaTirは、具体的には、この4個の前席左側用検出素子の検出温度Td3〜Td6の平均値{FrPaTir=(Td3+Td4+Td5+Td6)/4}である。
次に、TrFrは、数式1と同じ前席側内気温度である。また、TsFrPaはステップS1232にて算出した前席助手席側領域への日射量である。また、Tamは数式1と同じ外気温度である。
なお、数式2中のKsetFrPa、Kir、KrFr、KsFr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CFrPaは定数である。
次に、図6のステップS124にて内外気モードをTAOFrPa、TAOFrDrの平均値(以下、前席用目標吹出温度平均値という)に基づいて決定する。具体的には、前席用目標吹出温度平均値が所定の低温側領域にあるときは内外気モードを内気100%の内気循環モードとし、前席用目標吹出温度平均値が所定の高温側領域にあるときは内外気モードを外気100%の外気導入モードとする。そして、前席用目標吹出温度平均値がこの低温側領域と高温側領域との間の中間温度領域にあるときは内外気モードを内気と外気の両方が同時に導入される内外気混入モードとする。
次に、ステップS125にて前席運転席側の吹出モードをTAOFrDrに基づいて決定し、前席助手席側の吹出モードをTAOFrPaに基づいて決定する。具体的には、TAOFrDrが低温側から上昇するにつれて、前席運転席側の空調ゾーン1aの吹出モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。
同様に、TAOFrPaが低温側から上昇するにつれて、前席助手席側の空調ゾーン1bの吹出モードをフェイス(FACE)モード→バイレベル(B/L)モード→フット(FOOT)モードと順次自動的に切り替える。
次に、ステップS126にて上述の前席用目標吹出温度平均値に基づいて、前席側送風機モータ52aに印加するブロワ電圧を決定する。このブロワ電圧により送風機モータ52aの回転数を変化させ、それにより、前席側送風機52の風量を制御することができる。前席用目標吹出温度平均値が所定の低温側領域および高温側領域にあるときはブロワ電圧を高くして風量を大きくし、そして、前席用目標吹出温度平均値がこの低温側領域と高温側領域との間の中間温度領域にあるときはブロワ電圧を低くするようにブロワ電圧を決定する。
次に、ステップS127において前席運転席側のエアミックスドア55aの目標開度SWFrDrを次の数式3により算出し、また、前席助手席側のエアミックスドア55bの目標開度SWFrPaを次の数式4により算出する。
SWFrDr={(TAOFrDr−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%) ・・・(数式3)
SWFrPa={(TAOFrPa−TeFr)/(Tw−TeFr)}×100(%) ・・・(数式4)
なお、数式3、4において、TeFrは前席側蒸発器温度センサ86により検出される前席側蒸発器吹出温度、Twは冷却水温度センサ82により検出される冷却水(温水)温度である。SWFrDrおよびSWFrPa=0%は最大冷房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路50e、50fを流れる。また、SWFrDrおよびSWFrPa=100%は最大暖房位置であり、運転席側通路50cおよび助手席側通路50dにおいて蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がヒータコア54に流入して加熱される。
以上のように決定した内外気切替モード、吹出モード、ブロワ電圧、目標開度SWFrDrおよびSWFrPaのそれぞれを示す各制御信号をステップS128において、サーボモータ51a、550a、550b、56e、56f、送風機モータ52a等に出力して、送風機52、内外気切替ドア51、吹出口切替ドア56c、56d、エアミックスドア55a、55b等の作動を制御する。
その後、ステップS129において、一定時間τ経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121〜S129)が繰り返される。このような演算、処理の繰り返しによって前席空調ゾーン1a、1bの空調が自動的に制御されることになる。
次に、後席側の空調制御処理について説明する。なお、後席側の空調制御処理のうち、前席側と共通部分の説明は簡略化する。まず、ステップ121にて後席側左右の温度設定スイッチ11、12から設定温度信号TsetRrDr、TsetRrPaを読み込む。
次に、ステップS122にて前席側の場合と同様に各種センサ信号の読み込みを行う。次に、ステップS123にて、後席右側(運転席側)空調ゾーン1cの目標吹出温度TAORrDrおよび後席左側(助手席側)空調ゾーン1dの目標吹出温度TAORrPaを算出する。
ここで、各目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaは、それぞれ車両環境条件(空調熱負荷条件)の変動にかかわらず、各空調ゾーン1c、1dの温度を各設定温度TsetRrDr、TsetRrPaに維持するために必要な目標温度である。後席右側目標吹出温度TAORrDrはメモリに予め記憶されている下記の数式(5)に基づいて算出する。
TAORrDr=KsetRrDr×TsetRrDr
−Kir×RrDrTir−KrRr×TrRr
−KsRr×TsRrDr−Kam×Tam+CRrDr…(数式5)
この数式5において、TsetRrDrは後席右側温度設定スイッチ11により設定された後席右側設定温度である。
RrDrTirは後席右側乗員の表面温度であり、このRrDrTirは、赤外線温度センサ70の運転席側検出部71のうち、後席右側用検出素子70a−11〜70a−18(図5(c))により検出される温度である。具体的には、8個の検出素子70a−11〜70a−18の検出温度Tf1〜Tf8の平均値{RrDrTir=(Tf1+Tf2…+Tf8)/8}である。
次に、TrRrは、後席側内気温度センサ85により検出される後席側内気温度である。また、TsRrDrは後席右側領域への日射量であるが、このTsRrDrはステップS1232にて算出される前席右側領域への日射量TsFrDrとの相関性が高いので、本実施形態ではTsRrDrとしてTsFrDrの値をそのまま用いる。
また、Tamは外気温度センサ81により検出される外気温度である。
なお、数式5中のKsetRrDr、Kir、KrRr、KsRr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CRrDrは定数である。
また、ステップS123では、後席左側目標吹出温度TAORrPaを下記の数式(6)に基づいて算出する。
TAORrPa=KsetRrPa×TsetRrPa
−Kir×RrPaTir−KrRr×TrRr
−KsRr×TsRrPa−Kam×Tam+CRrPa…(数式6)
この数式6において、TsetRrPaは後席左側温度設定スイッチ12により設定された後席左側設定温度である。
RrPaTirは後席左側乗員の表面温度であり、このRrPaTirは、赤外線温度センサ70の助手席側検出部72のうち、8個の後席左側用検出素子(図示せず)により検出される温度である。この8個の後席左側用検出素子は上記8個の後席右側用検出素子70a−11〜70a−18に対応して設けられる。
RrPaTirは、具体的には、この8個の後席左側用検出素子の検出温度Tg1〜Tg8の平均値{RrPaTir=(Tg1+Tg2…+Tg8)/8}である。
次に、TrRrは、数式5と同じ後席側内気温度である。また、TsRrPaは後席左側領域への日射量であって、TsRrDrと同様に、本実施形態ではTsRrPaとして、ステップS1232にて算出される前席左側領域への日射量TsFrPaの値をそのまま用いる。また、Tamは数式5と同じ外気温度である。
なお、数式6中のKsetRrPa、Kir、KrRr、KsRr、Kamは、制御ゲイン(係数)であり、CRrPaは定数である。
次に、図6のステップS125に移行して後席左右両側の吹出モードをそれぞれ上記後席右側目標吹出温度TAORrDrと後席左側目標吹出温度TAORrPaとに基づいて決定する。この後席側の吹出モード決定は前席側の吹出モード決定と同様に行えばよい。なお、図6のステップS124の内外気モード決定は前席側のみの制御処理であるから、後席側の制御処理では行わない。
次に、ステップS126にて上述の後席左右の目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaの平均値、すなわち、後席用目標吹出温度平均値に基づいて、後席側送風機モータ62aに印加するブロワ電圧を決定する。この後席側ブロワ電圧の決定も前席側のブロワ電圧の決定と同様に行えばよい。
次に、ステップS127において後席右側のエアミックスドア65aの目標開度SWRrDrを次の数式7により算出し、また、後席左側のエアミックスドア65bの目標開度SWRrPaを次の数式8により算出する。
SWRrDr={(TAORrDr−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%) ・・・(数式7)
SWRrPa={(TAORrPa−TeRr)/(Tw−TeRr)}×100(%) ・・・(数式8)
なお、数式7、8において、TeRrは後席側蒸発器温度センサ87により検出される後席側蒸発器吹出温度、Twは冷却水温度センサ82により検出される冷却水(温水)温度である。
SWRrDrおよびSWRrPa=0%は最大冷房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて後席側蒸発器63通過後の空気(冷風)の全量がバイパス通路60e、60fを流れる。また、SWRrDrおよびSWRrPa=100%は最大暖房位置であり、後席右側通路60cおよび後席左側通路60dにおいて後席側蒸発器53通過後の空気(冷風)の全量がヒータコア64に流入して加熱される。
以上のように決定した後席側吹出モード、後席側ブロワ電圧、後席側エアミックスドア目標開度SWRrDrおよびSWRrPaのそれぞれを示す各制御信号をステップS128において、サーボモータ650a、650b、660c、660dおよび送風機モータ62a等に出力して、後席側送風機62、後席側吹出口切替ドア66c、66d、後席側エアミックスドア65a、65b等の作動を制御する。
その後、ステップS129において、一定時間τ経過すると、ステップS121の処理に戻り、上述の空調制御処理(ステップS121〜S129)が繰り返される。このような演算、処理の繰り返しによって後席空調ゾーン1c、1dの空調が自動的に制御されることになる。
ところで、車両用空調装置では、既述したように、乗員(運転者)が必ず着座する前席側空調ゾーン1a、1bの空調を後席側空調ゾーン1c、1dよりも優先的に行うために、前席用空調ユニット5の空調能力が後席用空調ユニット6の空調能力よりも大きくなるように設計する。具体的には、前席側送風機52の送風能力、前席側熱交換器53、54の伝熱性能等を後席側送風機62の送風能力、後席側熱交換器63、64の伝熱性能等よりも大きくする。
このように、前席側空調能力が後席側空調能力より大きくなっていると、前席側への空調吹出風が後席側領域にも流れ込み、その結果、後席側領域の空調は前席側領域の空調状態の影響を受けやすいので、後席側乗員の快適性確保が困難となる。
この点を考慮して、本実施形態による赤外線温度センサ70では、図5に例示するように、前席側乗員の温度を検出する検出素子70a−3〜70a−6の数(4個)に比較して後席側乗員の温度を検出する検出素子70a−11〜70a−18の数(8個)を多くしている。
これにより、前席側乗員および後席側乗員の温度検出に際して、後席側乗員の温度検出箇所を前席側乗員に比して多くすることができ、後席側乗員の温度RrDrTir、RrPaTirをよりきめ細かく的確に検出できる。
従って、後席左右の目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaをこの的確な後席側乗員温度RrDrTir、RrPaTirに基づいて的確に算出できる。よって、この後席左右の目標吹出温度に基づいて、後席側空調制御(エアミックスドア65a、65bによる吹出空気温度制御、送風機62による風量制御等)をより的確に実行できる。
この結果、後席用空調ユニット6の空調能力が前席用空調ユニット5の空調能力よりも小さいという制約があり、かつ、前席側の空調吹出風が後席側領域にも流れ込みやすいという条件下においても、後席側の快適性を維持できる。
なお、前席側乗員の温度を検出する検出素子数を後席側乗員の温度を検出する検出素子数と同数まで増やすことが考えられるが、これは、赤外線温度センサ70全体としての検出素子数が増加し、コストアップを招くので、実用上好ましくない。前席側乗員の温度を検出する検出素子数が後席側の検出素子数より少なくても、前席用空調ユニット5の空調能力が後席用空調ユニット6の空調能力よりも大きいので、前席側の快適性は十分確保できる。
以上により、赤外線温度センサ70全体としてのコストアップを抑制しつつ、前席側と後席側の両方の快適性を確保できる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、図5に示すように赤外線温度センサ70を車室内前方側天井部の車両左右方向中央部付近の1カ所に配置しているが、第2実施形態では、図8(a)に示すように、車室内天井部の前後2カ所に前席用赤外線温度センサ70A、および後席用赤外線温度センサ70Bを配置している。
前席用赤外線温度センサ70Aは第1実施形態の赤外線温度センサ70と同一位置(車室内前方側天井部)に配置されるものであり、図5(b)に示す前席側のサイド窓ガラス温度検出用の検出素子70a−1、70a−2と、前席乗員温度検出用の検出素子70a−3〜70a−6を備えている。
これに対し、後席用赤外線温度センサ70Bは車室内天井部のうち後席4の上方部(車室内天井部の後席側領域)の車両左右方向中央部付近に配置される。この後席用赤外線温度センサ70Bにおいても、図3、図4に示すセンサ構造と基本的に同一のセンサ構造を有している。すなわち、図3の運転席側検出部71に対応する後席右側(後席運転席側)の検出部と、図3の助手席側検出部72に対応する後席左側(後席助手席側)の検出部とを備えている。
そして、後席用赤外線温度センサ70Bにおいては、その検出素子配置形態と検温対象物との具体的な対応関係が図8(b)に示すようになっている。図8(b)は後席用赤外線温度センサ70Bの後席右側検出部における検出素子70a−21〜70a−36の配置形態を示すものであって、横4列×縦4列の合計16個の検出素子70a−21〜70a−36をマトリックス状に配置している。
この16個の検出素子のうち、合計10個の検出素子70a−21〜70a−28、70a−31、70a−32、70a−35、70a−36の検温対象物は後席右側乗員93である。従って、この10個の検出素子70a−21〜70a−28、70a−31、70a−32、70a−35、70a−36は後席右側乗員93が後席4に着座した姿勢において後席右側乗員93の膝部から後席右側乗員93の頭部までに至る略L状の形態に配置されている。
従って、第2実施形態では、この10個の検出素子により後席右側乗員の温度検出部100が構成される。
次に、2個の検出素子70a−29、70a−30の検温対象物は後席右側ドアの内装材部分94である。従って、この2個の検出素子70a−29、70a−30は、センサ70Bの位置から後席右側ドアの内装材部分94を見たときの内装材部分視界範囲に対応するように検出素子70a−25、70a−26の上側に隣接配置されている。この2個の検出素子70a−29、70a−30により後席右側の内装材温度検出部400が構成される。
なお、内装材部分94は後席右側ドアのサイド窓ガラス95の下方に位置するドア本体部の内装材部分である。
次に、2個の検出素子70a−33、70a−34の検温対象物は後席右側ドアのサイド窓ガラス95である。従って、この2個の検出素子70a−33、70a−34は、センサ70Bの位置から後席右側ドアのサイド窓ガラス95を見たときのサイド窓ガラス視界範囲に対応するように、検出素子70a−29、70a−30の更に上側に隣接配置されている。この2個の検出素子70a−33、70a−34により後席右側のサイド窓ガラス温度検出部500が構成される。
なお、図8(a)において、範囲iは図8(b)の検出素子群70a−21、70a−25、70a−29、70a−33への赤外線入射範囲を示し、範囲jは図8(b)の検出素子群70a−22、70a−26、70a−30、70a−34への赤外線入射範囲を示し、範囲kは図8(b)の検出素子群70a−23、70a−27、70a−31、70a−35への赤外線入射範囲を示し、範囲mは図8(b)の検出素子群70a−24、70a−28、70a−32、70a−36への赤外線入射範囲を示す。
また、図8(a)において、n、o、p、qはそれぞれセンサ70Bの後席左側検出部の検出素子70aへの赤外線入射範囲であって、上記範囲i〜mに対応する。
第2実施形態によると、後席右側乗員93の温度RrDrTirを、10個の検出素子70a−21〜70a−28、70a−31、70a−32、70a−35、70a−36の検出温度Th1〜Th10の平均値として算出できる。
すなわち、RrDrTir=(Th1+Th2…+Th10)/10であり、後席右側乗員93の温度RrDrTirをきめ細かく的確に算出できる。同様に、後席左側乗員の温度RrPaTirの温度も10個の検出素子(図示せず)の検出温度の平均値によってきめ細かく的確に算出できる。
また、後席右側ドアのサイド窓ガラス95の温度は、2個の検出素子70a−33、70a−34の検出温度Tj1、Tj2の平均値{(Tj1+Tj2)/2}として算出でき、同様に、後席左側ドアのサイド窓ガラスの温度も、2個の検出素子(図示せず)の検出温度の平均値として算出できる。
従って、第2実施形態では、後席側左右のサイド窓ガラス温度の温度差に基づいて後席側左右の日射量TsRrDrおよびTsRrPaを前席側とは独立に算出できる。図9はこの後席側左右の日射量算出のためのフローチャートであり、ステップS1234は図7のステップS1231に対応するもので、横軸の温度差は後席側左右のサイド窓ガラス温度の温度差である。従って、ステップS1234では後席右側日射補正係数fRrDrおよび後席左側日射補正係数fRrPaを後席左右のサイド窓ガラス温度差に基づいて算出できる。
そして、次のステップS1235では、日射センサ83により検出される車室内への日射量Tsに後席右側日射補正係数fRrDrを乗算して、後席右側日射量TsRrDrを算出し、また、日射量Tsに後席左側日射補正係数fRrPaを乗算して、後席左側日射量TsRrPaを算出する。
このようにして、後席右側日射量TsRrDrおよび後席左側日射量TsRrPaを前席側左右の日射量TsFrDr、TsFrPaとは別に独立に算出できる。従って、このTsRrDrを第1実施形態における数式(5)のTsRrDrに適用して、後席右側目標吹出温度TAORrDrを算出すれば、このTAORrDrをより的確に算出できる。
同様に、上記TsRrPaを第1実施形態における数式(6)のTsRrPaに適用して、後席左側目標吹出温度TAORrPaを算出すれば、このTAORrPaをより的確に算出できる。
また、第2実施形態によると、後席右側ドアの内装材部分94の温度を2個の検出素子70a−29、70a−30の検出温度Tk1、Tk2の平均値{(Tk1+Tk2)/2}として算出でき、同様に、後席左側ドアの内装材部分の温度も、2個の検出素子(図示せず)の検出温度の平均値として算出できる。
ここで、後席側左右の内装材部分94の温度(表面温度)は、後席側左右の乗員周囲の内気温度との相関が非常に高い温度である。従って、この後席側左右の内装材部分94の温度をも考慮して、後席側左右の目標吹出温度TAORrDr、TAORrPaを算出すれば、このTAORrDr、TAORrPaをより的確に算出できる。
なお、第1実施形態における数式(5)の後席側内気温度TrRrの代わりに後席右側の内装材部分温度を適用し、また、第1実施形態における数式(6)の後席側内気温度TrRrの代わりに後席左側の内装材部分温度を適用して、TAORrDr、TAORrPaをそれぞれ算出するようにしてもよい。
(第3実施形態)
第1、第2実施形態では、いずれも、赤外線温度センサ70、70A、70Bにおいて車室内の前席側乗員の温度を検出する前席用検出素子の数よりも車室内の後席側乗員の温度を検出する後席用検出素子の数の方を多くして、後席側の乗員温度をより的確に検出するようにしているが、第3実施形態では、これとは別の考え方にて後席側の乗員温度をより的確に検出するようにしている。
図10は第3実施形態の考え方を説明するグラフであり、横軸に赤外線温度センサ70、70A、70Bの雰囲気温度をとり、縦軸に赤外線温度センサ70、70A、70Bの前席用検出部200、210および後席用検出部100、110の検出誤差をとっている。
第3実施形態では、前席用検出部200、210と後席用検出部100、110とを比較したときに、後席用検出部100、110を前席用検出部200、210よりも検出精度の高いもので構成している。ここで、後席用検出部100、110は、具体的には、その製造過程におけるチューニングによって検出精度が前席用検出部200、210よりも高くなるようにしている。
第3実施形態によると、センサ雰囲気温度の変化、および検温対象物(乗員)の温度の変化にかかわらず、常に、後席用検出部100、110の検出誤差を図10のように前席用検出部200、210よりも小さくできる。これにより、後席側乗員の温度を的確に検出して、後席側の空調制御を的確に行うことができる。
なお、第3実施形態においては、後席用検出部100、110の検出素子数を第1、第2実施形態と同様に前席用検出部200、210の検出素子数より多くしてもよいが、後席用検出部100、110の検出精度を高くしているので、後席用検出部100、110の検出素子数を前席用検出部200、210の検出素子と同数にしてもよい。
(他の実施形態)
なお、上記の実施形態では、車室内天井において車両左右方向の中央部に赤外線温度センサ70、70A、70Bを配置し、この左右方向中央部の赤外線温度センサ70、70A、70Bに運転席側検出部71と助手席側検出部72、あるいは後席右側検出部と後席左側検出部を備えるようにしているが、赤外線温度センサとして、運転席側検出部71あるいは後席右側検出部を構成する車両右側赤外線温度センサと、助手席側検出部72あるいは後席左側検出部を構成する車両左側赤外線温度センサとを独立に構成し、この2つの赤外線温度センサを、車室内天井の車両左右方向の右側部と左側部とに分割して配置してもよい。
このような赤外線温度センサの左右分割配置によると、乗員のうち、左右の窓側の日射を受ける部位の表面温度が検出しやすくなる。従って、乗員温度の日射による影響を検出しやすくなる。
また、上記の実施形態では、複数の検出素子70aの検出温度を単純に平均化して、乗員温度を算出する例について説明したが、複数の検出素子70aの各検出部位ごとに空調熱負荷や温感への影響度合いに応じた重み付け処理を行って、乗員等の検温対象部の温度を算出ようにしてもよい。これによれば、乗員等の検温対象部の温度を空調制御上、より一層的確に算出できる。
また、上記の実施形態では、日射センサ83を車室内の前席側のみに配置する場合について説明したが、日射センサ83を車室内の前席側と後席側の両方に配置してもよい。この場合は、前席側左右の日射量TsFrDr、TsFrPaを算出する際のTs(図7のステップS1232参照)として、前席側日射センサ83により検出される前席側日射量を用い、後席側左右の日射量TsRrDr、TsRrPaを算出する際のTs(図9のステップS1235参照)として、後席側日射センサにより検出される後席側日射量を用いればよい。
また、上記の実施形態では、車室内前席側を空調する前席側空調ユニット5と、車室内後席側を空調する後席側空調ユニット6とをそれぞれ車室内前後の別の場所に独立に構成しているが、後席側空調手段を前席側空調ユニット5内に一体に構成する車両用空調装置も周知である。この車両用空調装置においても、前席側通風路に比して後席側通風路の通風圧損が大きくなり、前席側空調能力に比して後席側空調能力が小さくなっている。従って、このように後席側空調手段を前席側空調ユニット5内に一体に構成する車両用空調装置に対して本発明を適用してもよい。
本発明の第1実施形態による車両用空調装置の吹出口配置状態を示す平面概要図である。 本発明の第1実施形態による車両用空調装置の室内空調ユニット部および電気制御ブロックを含む模式的全体構成図である。 本発明の第1実施形態による赤外線温度センサの概要図である。 本発明の第1実施形態による赤外線温度センサの具体的構成の説明図である。 (a)は第1実施形態による赤外線温度センサの配置位置と赤外線入射範囲を示す車両平面図、(b)は赤外線温度センサの前席側検出素子の配置形態の説明図、(c)は赤外線温度センサの後席側検出素子の配置形態の説明図である。 本発明の第1実施形態によるエアコンECUの制御処理の概要を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態による前席側目標吹出空気温度算出の具体的制御処理を示すフローチャートである。 (a)は第2実施形態による赤外線温度センサの配置位置と赤外線入射範囲を示す車両平面図、(b)は第2実施形態の赤外線温度センサの後席側検出素子の配置形態の説明図である。 本発明の第2実施形態による後席側日射量算出の具体的制御処理を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態を説明するもので、赤外線温度センサの検出誤差を示すグラフである。
符号の説明
1a、1b…前席側空調ゾーン、1c、1d…後席側空調ゾーン、
5…前席側空調ユニット(前席側空調手段)、6…後席側空調ユニット(後席側空調手段)、
8…エアコンECU(空調制御手段)、70…赤外線温度センサ(非接触温度センサ)、
70a…検出素子、100、110…後席側非接触温度検出部、
200、210…前席側非接触温度検出部。

Claims (6)

  1. 車室内の前席側空調ゾーン(1a、1b)を空調する前席側空調手段(5)と、
    車室内の後席側空調ゾーン(1c、1d)を前記前席側空調手段(5)より小さい空調能力にて空調する後席側空調手段(6)と、
    車室内の前席側乗員温度を非接触で検出する複数の検出素子(70a)を有する前席側非接触温度検出部(200、210)と、
    車室内の後席側乗員温度を非接触で検出する複数の検出素子(70a)を有する後席側非接触温度検出部(100、110)と、
    前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出温度に基づいて前記前席側空調手段(5)を制御するとともに、前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出温度に基づいて前記後席側空調手段(6)を制御する制御手段(8)とを備え、
    前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出素子数が前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出素子数より多くなっていることを特徴とする車両用空調装置。
  2. 車室内の前席側空調ゾーン(1a、1b)を空調する前席側空調手段(5)と、
    車室内の後席側空調ゾーン(1c、1d)を前記前席側空調手段(5)より小さい空調能力にて空調する後席側空調手段(6)と、
    車室内の前席側乗員温度を検出する前席側非接触温度検出部(200、210)と、
    車室内の後席側乗員温度を検出する後席側非接触温度検出部(100、110)と、
    前記前席側非接触温度検出部(200、210)の検出温度に基づいて前記前席側空調手段(5)を制御するとともに、前記後席側非接触温度検出部(100、110)の検出温度に基づいて前記後席側空調手段(6)を制御する制御手段(8)とを備え、
    前記後席側非接触温度検出部(100、110)が、前記前席側非接触温度検出部(200、210)よりも検出精度の高いもので構成されていることを特徴とする車両用空調装置。
  3. 前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)が1つのセンサ構造として一体構成され、
    前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)が車室内の1カ所にまとめて配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  4. 前記前席側非接触温度検出部(200、210)および前記後席側非接触温度検出部(100、110)がそれぞれ独立に構成され、
    前記前席側非接触温度検出部(200、210)と前記後席側非接触温度検出部(100、110)が車室内の別々の場所に分離して配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用空調装置。
  5. 後席側サイド窓ガラス温度を検出する窓ガラス用非接触温度検出部(500)を備え、
    前記窓ガラス用非接触温度検出部(500)の検出信号が前記制御手段(8)に入力され、前記前席側空調手段(5)および前記後席側空調手段(6)の少なくとも一方の制御のために用いられることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両用空調装置。
  6. 前記窓ガラス用非接触温度検出部(500)が少なくとも前記後席側非接触温度検出部(100、110)と1つのセンサ構造として一体構成されることを特徴とする請求項5に記載の車両用空調装置。
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