JP2005142041A - 自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよびメタルハライドランプ点灯装置 - Google Patents

自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよびメタルハライドランプ点灯装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
規格化が見込まれている水銀フリータイプの自動車前照灯用としての条件を満足することができて、かつ、近赤外方式の赤外暗視装置の光源として好適な自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよびこれを用いたメタルハライドランプ点灯装置を提供する。
【解決手段】
自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプMHLは、耐火性で透光性の気密容器1と、気密容器1内に封装された一対の電極1b、1bと、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含む第1のハロゲン化物、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属の第2のハロゲン化物、ならびに波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスを含み、水銀を本質的に含まないで気密容器1内に封入された放電媒体とを具備している。
【選択図】
図1

Description

本発明は、自動車前照灯および赤外暗視装置のそれぞれの光源を同時的に兼ね得る自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよびこれを用いたメタルハライドランプ点灯装置に関する。
自動車の安全についてはいろいろな研究が行われている(例えば、非特許文献1参照。)。非特許文献1には、自動車の安全手段としての自動車用の赤外暗視装置について記載されている。自動車用の赤外暗視装置は、「ナイトビジョン」と称されていて、赤外線の特性を利用した運転者夜間安全運転支援システムとして自動車前方の歩行者などの障害物や交通標識などの視認性を確保するための補助的な手段として開発されたもので、1999年に米国において初めて商品化された。そして、この赤外暗視装置を利用することにより、前照灯では視認できない距離にある障害物などを、赤外光を利用したカメラで撮影し、その映像を表示して運転者に視認できるようにすることができる。この装置によれば、赤外光が可視光より波長が長いため、対向車の前照灯の眩しさなどに影響されないとともに、運転者が可視光によって直接視認するより雨や霧中における障害物検出に優れた特性を有している。
自動車用の赤外暗視装置には、パッシブ方式とアクティブ方式とがある。パッシブ方式は、障害物から放射されている遠赤外光(波長8〜14μm)を遠赤外線カメラで検出する方式である。この方式は、カメラが高価であるとともに、雨、雪などの天候では映像認識が落ちるという欠点がある。これに対して、アクティブ方式は、投光器を用いて近赤外光を障害物に投射して、その反射光を近赤外線に感応するCCDカメラで検出する方式である。また、投光器に用いる赤外暗視装置用の従来の光源は、ハロゲン電球および波長補正フィルタを組み合わせて構成されていて、波長780nm〜1.2μmの近赤外光を投射する。この方式は、カメラが安価であるとともに、可視光映像に近い認識が可能である。なお、上記いずれの方式も検出した映像をヘッドアップディスプレイまたはヘッドロウディスプレイに表示するように構成されている。
また、アクティブ方式において、赤外暗視装置用の光源として、中空にセシウムハロゲン化物を封入した放電管と、その周りに設けられた近赤外線透過フィルタとを備えるランプユニットが知られている(特許文献1参照。)。特許文献1に記載されているランプユニットは、セシウムハロゲン化物としてヨウ化セシウムおよび臭化セシウムのいずれかを用いることによって、放電により近赤外線を発光させ、その近赤外線をランプの周囲に配設した近赤外線透過フィルタにより選択的に抽出することによって、赤外暗視装置の専用光源として作用させようと意図されている。また、特許文献1には、上記近赤外線透過フィルタを放電管の周りから退避可能に設けることによって、車両用フォグランプの光源として切り換えが可能なようにすることも記載されている。したがって、特許文献1のランプユニットは、暗視装置の専用光源として作用させる際には、自動車前照灯用として作用することができない。
アクティブ方式の自動車用の赤外暗視装置は、上述したようにパッシブ方式に比較して利点があるにもかかわらず、従来は、そのいずれも少なくとも赤外暗視装置の作動時には専用となる光源を用いる必要があり、そのため赤外暗視装置用の光源装置を自動車前照灯とは別に配設するか、可動部を供えた複雑な構造のフォグライトを採用する必要があるので、その分装備費が高価になるという問題がある。
これに対して、本発明者は、先に発明を実施するための一形態として自動車前照灯用光源と赤外暗視装置用光源とを兼用した光源を含む金属蒸気放電ランプなどの発明をなした。そして、当該発明は、特願2002−294617号(以下、便宜上「先願発明」という。)として出願されている。
一方、欧州では、1996年9月にELV(End of Vehicles)指令案として、市販される車両からHgを漸次全廃する提案がなされ、2000年2月3日に開催された欧州議会でEU(欧州連合)指示を承認した。これにより、Hgの使用は原則禁止された。水銀フリーのHIDランプを用いる前照灯は、2002年10月のGRE(Groupe de Rapporteuss le Eclairage)会議で承認され、2003年7月には欧州車両規定(ECE Reguration)へ採択された。その結果、Hg封入HID前照灯は、近い将来に全て水銀フリータイプに移行することになる。なお、前照灯用の水銀フリーHIDランプは、その規格化が近い将来完了する見込みである。
「照明学会誌」第86巻、第12号、第896頁〜第899頁、平成14年発行 特開2003−257367号公報
ところが、先願発明は、当該発明を実施するための一形態として自動車前照灯用光源と赤外暗視装置用光源とを兼用した光源としての一般的な範囲を開示しているものの、上記規格化が見込まれている水銀フリータイプであって、かつ、近赤外方式の赤外暗視装置の光源として好適な範囲までは開示していない。
本発明は、規格化が見込まれている水銀フリータイプの自動車前照灯用としての条件を満足することができて、かつ、近赤外方式の赤外暗視装置の光源として好適な自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよびこれを用いたメタルハライドランプ点灯装置を提供することを目的とする。
請求項1の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、耐火性で透光性の気密容器と;気密容器内に封装された一対の電極と;ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含む第1のハロゲン化物、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属の第2のハロゲン化物、ならびに波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスを含み、水銀を本質的に含まないで気密容器内に封入された放電媒体と;を具備していることを特徴としている。
本発明および以下の各発明において、特に指定しない限り用語の定義および技術的意味は次による。
<気密容器容器について> 気密容器は、耐火性で透光性でなければならない。内容積は、前照灯用であるため、一般的には0.005〜0.1ccであり、好適には0.01〜0.05ccである。また、気密容器が「耐火性で透光性」であるとは、放電ランプの通常の作動温度に十分耐える耐火性を備える材料であり、かつ、放電によって発生した所望波長域の可視光を外部に導出することができれば、どのようなもので作られていてもよい。例えば、石英ガラスや透光性アルミナ、YAGなどの多結晶または単結晶のセラミックスなどを用いることができる。なお、必要に応じて、気密容器の内面に耐ハロゲン性または耐金属性の透明性被膜を形成するか、気密容器の内面を改質することが許容される。気密容器は、好適には最大径部が内径2〜10mm、外径が5〜13mmである。
また、気密容器は、包囲部および一対の封止部を備えている。包囲部は、その内部に適当な形状をなした放電空間、好適には細長い放電空間が形成されている。なお、細長い放電空間としては、例えば放電空間をほぼ円柱状にすることができる。これにより、放電アークが水平点灯においては上方へ湾曲しようとするために、放電容器の上側の内面に接近するので、放電容器の上部の温度上昇が早くなる。また、包囲部は、その肉厚を比較的大きくすることができる。すなわち、電極間距離のほぼ中央部の肉厚をその両側の肉厚より大きくすることができる。これにより、放電容器の伝熱が良好になって放電容器の放電空間の下部およぶ側部内面に付着している放電媒体の温度上昇が早まるために、光束立ち上がりが早くなる。
一対の封止部は、包囲部を封止するとともに、電極の軸部がここに支持され、かつ、点灯回路から電流を電極へ気密に導入するのに寄与する手段であり、包囲部の両端から一体的に延在している。そして、電極を封装し、かつ、点灯回路から電流を電極へ気密に導入するために、好適には気密容器の材質が石英ガラスの場合に、封止部の内部に適当な気密封止導通手段として封着金属箔を気密に埋設している。なお、封着金属箔は、封止部の内部に埋設されて封止部が気密容器の包囲部の内部を気密に維持するのに協働しながら電流導通導体として機能するための手段であり、気密容器が石英ガラスからなる場合、材料としてはモリブデン(Mo)が最適である。モリブデンは、約350℃になると酸化するので、外部側の端部の温度がこれより温度が低くなるように埋設される。封着金属箔を封止部に埋設する方法は、特段限定されないが、例えば減圧封止法、ピンチシール法およびこれらの組み合わせ法などの中から適宜選択して採用することができる。内容積が0.1cc以下の小形でキセノン(Xe)などのガスを室温で6気圧以上封入する自動車前照灯などに用いるメタルハライドランプの場合は、後者が好適である。
<一対の電極について> 一対の電極は、放電空間に臨むように気密容器内に封装されている。なお、電極間距離は、好ましくは5mm以下、さらに好適には4.2±0.3mmである。また、電極は、その直径が好ましくは長手方向に沿ってほぼ同一の直棒状をなした軸部を備えている。なお、軸部の直径は、好ましくは0.25mm以上、さらに好適には0.45mm以下である。そして、軸部から直径が大きくなることなしに先端に至り、かつ、先端が平坦な端面を形成するか、アークの起点となる先端が曲面ないし切頭円錐形を形成している。あるいは、軸部の先端に軸部より径大の部分を形成することができる。
また、一対の電極は、耐火性で、導電性の金属、例えば純タングステン(W)、ドープドタングステン、レニウム(Re)、タングステン−レニウム(W−Re)合金などを用いて形成することができる。
<放電媒体について> 放電媒体は、気密容器の内部に封入されて放電を生起する媒体として作用し、第1のハロゲン化物、第2のハロゲン化物およびガスを含み、かつ、水銀を本質的に含まない。
(第1のハロゲン化物について) 第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含み、主として可視領域の発光金属として作用する。好ましくはナトリウム(Na)およびスカンジウム(Sc)を含み、所望により希土類金属が付加された態様である。これにより白色発光を高効率で発生させることができる。なお、希土類金属としては例えばディスプロシウム(Dy)、ツリウム(Tm)などである。
(第2のハロゲン化物について) 第2のハロゲン化物は、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属のハロゲン化物である。なお、本発明において、「近赤外領域に主発光がある」とは、発光スペクトルが輝線スペクトルおよび連続スペクトルの如何にかかわらず、最も大きな放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在すること、ならびに赤外暗視装置に対して明らかに貢献し得る実効的な放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在することを含む概念である。なぜなら、これらのいずれの場合であっても、赤外暗視装置用の光源として効果的な近赤外光を放射するからである。しかし、最も大きな放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在すれば、赤外暗視装置を感応させる赤外光の放射エネルギーが最少になり、それに伴い可視光発生に振り向ける放射エネルギーを多くできるので、より一層好ましいことである。
一般に「近赤外領域」とは、波長780〜2μmの範囲をいうが、本発明においてはこのような近赤外領域の中でも上記の波長780〜800nmの範囲における近赤外領域内に主発光がある金属であればよい。また、第2のハロゲン化物を構成する金属は、上記の条件を満足する金属の一種および複数種のいずれであってもよい。波長780〜800nmの近赤外領域の放射エネルギーは、自動車用の赤外暗視装置が高感度に感応する。しかし、最適にはルビジウム(Rb)である。なお、セシウム(Cs)は、この種のメタルハライドランプにおける通常の動作圧力において、後述するように波長760.9〜1012.0nmの範囲内に輝線スペクトルの発光を生じるが、主発光が840〜930nmの範囲に存在し、波長780〜800nmの近赤外領域の放射エネルギーが赤外暗視装置に対して明らかに貢献し得る実効的な放射エネルギーを有していないので、本発明における第2のハロゲン化物には該当しない。
図1は、放電媒体の第1および第3のハロゲン化物ならびにガスとしてScI−NaI−ZnI−Xeを封入したメタルハライドランプに、RbIを封入したものと、CsIを封入したものとのそれぞれの分光分布特性を重畳した分光分布特性曲線図に、さらに後述する図5に示すCCDカメラの感度特性を重畳した曲線図である。
ルビジウム(Rb)は、761.9、775.7、775.9、780.0、794.7、887.3nmの発光線があり、図1から理解できるように、波長770〜800nm、とりわけ780〜800nmの範囲内に顕著に発光している。これに対して、セシウム(Cs)は、図1に点線で示すように、800〜900nmの範囲内に顕著な発光線を有している。そして、CCDカメラの感度特性から、実質的な赤外暗視装置に対する効果は、ルビジウム(Rb)の発光の方が優れており、同じ近赤外領域の放射パワーであれば、セシウム(Cs)の35%増しの効果がある。実際のランプの場合には、近赤外領域にはナトリウム(Na)発光(波長818.3、819.4、1138.1、1140.1nm)およびキセノン(Xe)発光(波長820〜1000nm)などがあるので、その差は小さくなるが、それでも15〜20%程度増しの効果がある。
さらに、第1および第2のハロゲン化物を構成するハロゲンについて説明する。すなわち、反応性については、ヨウ素が最も適当であり、少なくとも上記主発光金属は、主としてヨウ化物として封入される。しかし、要すれば、ヨウ化物および臭化物のように異なるハロゲンの化合物を併用することができる。
(ガスについて) ガスは、波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスが封入される。なお、「近赤外領域に主発光がある」とは、第2のハロゲン化物におけるのと同様に、発光スペクトルが輝線スペクトルおよび連続スペクトルの如何にかかわらず、最も大きな放射エネルギーを有する波長領域が上記近赤外域に存在すること、ならびに赤外暗視装置に対して明らかに貢献し得る実効的な放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在することを含む概念である。波長820〜1000nmの近赤外領域の放射エネルギーは、自動車用の赤外暗視装置が有効に感応する。本発明において、ガスの種類は特段限定されない。しかし、上記の条件に合致するガスとしては、キセノン(Xe)が最適であることが分かった。
すなわち、キセノン(Xe)は、近赤外領域として823.1、881.9、895.2、904.5、916.2、937.4、951.3、979.9、992.3nmに発光線を有しているので、上記近赤外領域の放射エネルギーを多く放射する。図2は、キセノンのみを封入したランプの分光分布曲線であり、図中の波長表記は、簡略化のために小数点以下を省略しているが、上記近赤外領域の放射の波長分布を理解することができる。
図3は、放電媒体の第1および第3のハロゲン化物ならびにガスとしてScI−NaI−ZnI−Xeを封入したメタルハライドランプにおいて、Xeの発光を推定した分光分布特性曲線を示している。なお、図は、図2から推定されるXeの単独発光を重ねて作成したものである。また、図中の波長表記は、簡単化のために小数点以下を省略している。
図3から理解できるように、図中「Na」と表記して示す発光線は、Naの波長818.3、819.4nmの発光線であるが、これらの波長に密に接近してXeの波長823nm(正確には823.1nm)の発光線が重畳している。このように、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおける近赤外領域の一部の発光は、上述したランプの基礎となる構成部分によるものである。なお、図中に見られる広帯域にわたる連続発光は、電子が関与する発光である。
しかし、図3におけるようなNa発光、Xe発光および電子が関与する連続発光だけでは、赤外暗視装置用の光源として長い距離にわたる所要の視認距離を得るのに必要な近赤外の放射パワーが得られない。そこで、本発明においては、上述したように第2のハロゲン化物としてルビジウム(Rb)のハロゲン化物を封入しているので、所要の視認距離を得ることができるのである。
また、キセノン(Xe)は、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプの始動ガスおよび緩衝ガスとして作用するばかりでなく、点灯直後のハロゲン化物の蒸気圧が低い段階で白色の可視光発光を行うが、これを適当圧封入することによって光束立ち上がりに所要に寄与するとともに、近赤外領域の放射を多くするのに寄与するところが大きくなる。キセノンの好ましい封入圧は、6気圧以上、より好適には8〜16気圧の範囲で封入することにより、上記近赤外領域の放射エネルギーを多く放射するとともに、点灯直後の発光金属の蒸気圧が低いときに立ち上がり時の光束としてキセノンの白色発光を寄与させることができる。このため、点灯直後から自動車前照灯用のHIDランプとしての白色発光の規格を満足することができる。
(水銀について) さらに、水銀について言及しておく。本発明において、「水銀を本質的に含まない」とは、水銀を全く封入していないだけでなく、気密容器の内容積1cc当たり0.5〜1mg、場合によっては1.5mg程度の水銀が存在していることを許容するという意味である。しかし、水銀を全く封入しないことは環境上望ましいことである。従来のように水銀蒸気によって放電ランプのランプ電圧を所要に高くする場合、短アーク形においては気密容器の内容積1cm当たり20〜40mg、さらに場合によっては50mg以上封入していたことからすれば、水銀量が実質的に頗る少ないといえる。
<本発明の作用について> 本発明は、上記の構成を具備していることにより、以下の作用を奏する。
1.本発明のメタルハライドランプを点灯装置に接続して点灯すると、放電媒体中の第1のハロゲン化物を構成する金属による可視光と、第2のハロゲン化物を構成する金属による波長780〜800nmの近赤外光とが発生する。これに加えて、ガスの放電により820〜1000nmの近赤外光が発生する。
すなわち、第1のハロゲン化物を構成するナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)または希土類金属は、主として白色系の可視光を放射する。しかし、ナトリウム(Na)は、いわゆるD線と称される強い可視光の特性スペクトル(発光線)の他に、近赤外領域の819.4nmにも大きな発光線を有し、さらに1138.1、1140.1nmにも比較的大きな発光線を有している。これらの近赤外光、特に819nmの発光線は、赤外暗視装置用の光源としても貢献する。
可視光は、第1のハロゲン化物を構成する発光金属およびその封入量の選択によって自動車前照灯用としての規格、例えば日本電球工業会規格 JEL−215−1998を満足させることができる。なお、上記規格は、いずれも定格入力35±3Wで、D2S形の場合、全光束が3200±450lmであり、D2R形の場合、全光束が2800±450lmである。
波長780〜1000nmの近赤外光は、上記のように第1および第2のハロゲン化物とガスとにより発生するので、第1および第2のハロゲン化物を構成する金属および封入量の選択と、ガスの種類および封入圧力の選択とを適切に行うことにより、その所要量を、同時に所要量の可視光を確保しながら、容易に得ることができる。
2.自動車用としてのアクティブ方式の赤外暗視装置の場合、その近赤外線カメラの感度特性が759nm付近をピークとして長波長側へ徐々に感度が低下していくCCD撮像素子を装備している。しかしながら、このCCD撮像素子は、波長1200nm辺りまで感応する感度特性を有している。
したがって、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、上述のように波長780〜1000nmの近赤外光と可視光とを同時に発生するので、その近赤外光を赤外暗視装置用の光源として利用するとともに、その可視光を前記規格が満足される形で自動車前照灯用として同時に利用可能であることが理解できるであろう。
3.本発明によれば、近赤外光を放射するガスをキセノン(Xe)などのように始動ガスおよび緩衝ガスを兼ねるとともに、可視光をも放射する物質をもって構成することができる。これにより、主として点灯直後の光束立ち上がり時に白色の可視光を補うとともに、点灯中は緩衝ガスとして水銀に代わってプラズマの熱を保持するように作用する。したがって、ガスの封入圧を高くすることによって、メタルハライドランプの熱損失が減少して全光束が増加する。このため、自動車前照灯用の光源として前記規格をより一層満足しやすくなる。
また、上記のガスは、第2のハロゲン化物とは別に近赤外光を放射するので、この近赤外光を赤外暗視装置用の光源として利用することができる。このため、自動車前照灯用の光源として所要量の可視光を確保することが容易になるので、それに伴って第2のハロゲン化物の封入量をなるべく少なくして、その分可視光を多く発生させるように構成することが可能になる。
4.本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを装着可能な自動車前照灯は、次のとおりである。すなわち、自動車前照灯には、プロジェクタ4灯式、リフレクタ4灯方式、プロジェクタ2灯方式およびリフレクタ2灯方式がある。
プロジェクタ4灯方式は、ロービーム用としてD3SまたはD4Sタイプのメタルハライドランプ2灯を、ハイビーム用としてハロゲン電球2灯を、それぞれ用いている。そして、メタルハライドランプから放射される光のうち、ハイビームになる方向に放射される光を、前照灯に遮光体を配設するなどによりカットする。本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいては、ハイビームになる方向に放射される光のうち近赤外光のみを例えば近赤外光フィルタなどを用いて選択的に導出するようにすれば、この近赤外光を赤外暗視装置用の光源とすることができる。リフレクタ4灯方式は、ロービーム用としてD3RまたはD4Rタイプのメタルハライドランプ2灯を、ハイビーム用としてハロゲン電球2灯を、それぞれ用いている。D3RまたはD4Rタイプのメタルハライドランプは、D3SまたはD4Sタイプのメタルハライドランプの外管に不要なグレアを防止するための遮光膜を形成している。ハイビーム用として2灯のハロゲン電球を用いる点は、プロジェクタ4灯方式と同様である。なお、D3SおよびD3Rタイプは、口金部にイグナイタを備えている以外は、D4SおよびD4Rタイプと同様の仕様である。
これに対して、プロジェクタ2灯方式の場合には、D3RまたはD4Rタイプのメタルハライドランプ2灯の点灯位置をロービームとハイビームとで切り換える構成である。切り換える手段は、例えば遮光板を機械的に動かして切り換える。リフレクタ2灯方式の場合は、D4Rタイプのメタルハライドランプ2灯の点灯位置をロービームとハイビームとで切り換える構成である。切り換える手段は、例えばメタルハライドランプの位置を機械的に動かして切り換える。
次に、図4に示すアクティブ方式の赤外暗視装置における動作原理を説明する概念図および図5に示す赤外暗視装置に用いるCCDカメラの分光感度特性曲線図を参照して、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを用いる際におけるアクティブ方式の赤外暗視装置の動作原理を説明する。図において、HDは自動車前照灯、NCは赤外暗視カメラ、HMは障害物である。
自動車前照灯HDは、その内部に本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを装備していて、点灯により放射される可視光VLがロービームの照射パターンとなるように外部へ指向される。これに対して、点灯により可視光VLと同時に放射される近赤外光IRは、可視光遮蔽体などを用いることによって可視光VLと分離され、かつ、ハイビーム方向に指向されて前方を照射する。
赤外暗視カメラNCは、自動車に搭載されている。そして、自動車前照灯HDから投射される近赤外光によって照明された走行中の自動車前方にある障害物HM、例えば人などを撮影して、その映像を車内の運転者が認知し得るように、例えばヘッドアップディスプレイ(図示しない。)に表示する。また、赤外暗視カメラNCは、近赤外光に感応する半導体撮像素子、例えばCCD撮像素子を備えている。このCCD撮像素子は、CCDカメラとして一般に広く用いられているもので、図2に示す分光感度特性を有している。
すなわち、近赤外光領域においては、波長759nm付近に感度のピークがあり、波長780〜800nmの範囲において感度が頗る高い。また、波長800〜930nmの範囲においても感度がかなり高い。さらに、波長780〜1000nmの範囲において感応し得る。なお、赤外暗視カメラNCにおいて、可視光に対する感応を抑制するために、赤外線フィルタを併用することができる。
したがって、自動車から照射される近赤外光の放射パワーが大きいほど赤外暗視装置による撮影可能距離が大きくなって視認距離が長くなる。一方、障害物HM、例えば人などの側から見ると、走行中の自動車から近赤外光を照射された場合、これによる眩しさは特段感じない。
請求項2の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、安定点灯時における、波長380〜780nmの可視領域と、波長780〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が2.0〜3.2:1であることを特徴としている。
本発明は、可視領域と波長780〜1200nmの近赤外領域の好ましい放射パワー比を規定している。すなわち、上記の放射パワー比であれば、可視光が自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足できると同時に、赤外暗視装置用の光源として所要以上の長距離にわたる暗視が可能になるだけの近赤外光の光束を得ることができる。なお、上記放射パワー比が2.5〜2.9:1の範囲内であれば、より好ましい結果が得られる。
これに対して、上記放射パワー比が2.0未満になると、近赤外光の放射パワーが大きくなって赤外視認距離が長くなるものの、その反面で可視光の放射パワーが小さくなって自動車前照灯用の光源として利用される可視光の全光束が少なくなりすぎて、前記規格を満足しなくなる。また、上記放射パワー比が3.2を超えると、可視光の放射パワーが大きくなって自動車前照灯用の光源として利用される可視光の全光束は大きくなるものの、その反面で近赤外光の放射パワーが小さくなって赤外視認距離が短くなりすぎてしまう。
請求項3の発明の自動車前照灯用メタルハライドランプは、請求項1または2記載の自動車前照灯用メタルハライドランプにおいて、安定点灯時における、波長780〜800nmの近赤外領域と、波長780〜1000nmの近赤外領域との放射パワー比が0.1〜0.33:1であることを特徴としている。
本発明は、近赤外光の中でも赤外暗視装置に対して、より一層効果的な波長領域の放射パワーの比率を規定している。すなわち、波長780〜800nmの領域は、近赤外光に感応する赤外暗視装置におけるカメラの感度特性の中で感度が頗る高い領域であり、したがってこの領域の近赤外光の割合が上記放射パワー比の範囲内であれば、小さい放射パワーで所要以上の赤外視認距離でも暗視映像を撮影することができる。その結果、可視光発光により大きな放射パワーを振り向けることが可能になる。なお、上記放射パワー比が0.18〜0.26:1の範囲内であれば、より好ましい結果が得られる。
これに対して、上記放射パワー比が0.1未満であると、自動車前照灯用の光源として利用される可視光の全光束は大きくなるものの、その反面で赤外暗視装置の暗視映像の撮影に必要な近赤外光が少なくなるので、赤外視認距離が短くなりすぎる。また、上記放射パワー比が0.33を超えると、有効な赤外光が多くて赤外視認距離が長くなるものの、その反面で可視光が不足して自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足しなくなる。
請求項4の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし3のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属は、ルビジウム(Rb)であることを特徴としている。
本発明は、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある第2のハロゲン化物を構成する金属として好適な金属を規定している。すなわち、ルビジウム(Rb)は、前述したように波長770〜800nmの範囲、とりわけ波長780〜800nmの範囲内で顕著に発光する。この発光範囲は、赤外暗視装置の感度特性の特に感度の高い領域にほぼ合致している。このため、本発明においては、第2のハロゲン化物としてルビジウムを用いることにより、近赤外光の放射パワーが小さい割に暗視距離を長くすることが可能になる。また、近赤外光の放射パワーが小さい分、可視光に振り向ける放射パワーを大きくすることができるので、全光束を高めて自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を容易に満足させることができるようになる。さらに、第2のハロゲン化物を構成する金属としてルビジウムを用いることで、請求項2および3の条件を容易に満足することができる。
請求項5の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項4記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、ルビジウム(Rb)のハロゲン化物は、気密容器の内容積1cc当たり0.2〜8mgであることを特徴としている。
本発明は、第2のハロゲン化物としてルビジウム(Rb)を封入する場合の好適な封入量を規定している。すなわち、上記の範囲内であれば、自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足する全光束と、自動車前照灯がロービーム照明時にその照明範囲より遠い距離にある障害物を赤外暗視装置として赤外視認することが可能になる。
これに対して、ルビジウムのハロゲン化物の封入量が気密容器の内容積1cc当たり0.2mg未満であると、近赤外光の放射パワーが小さくなりすぎて赤外暗視装置の赤外視認距離が短くなる。また、反対に上記封入量が8mgを超えると、可視光の放射パワーが小さくなりすぎて自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足する全光束が得られなくなる。
請求項6の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、耐火性で透光性の気密容器と;気密容器内に封装された一対の電極と;ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含む第1のハロゲン化物、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属の第2のハロゲン化物、ならびに波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスを含み、水銀を本質的に含まないで気密容器内に封入された放電媒体と;を具備し、可視光が自動車前照灯用として、近赤外光が赤外暗視装置用として、それぞれ同時に利用されることを特徴としている。
本発明は、請求項1の発明との対比において、第2のハロゲン化物が波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属のハロゲン化物を含んでいる点および可視光が自動車前照灯用として、また近赤外光が赤外暗視装置用として、それぞれ同時に利用される点において特徴付けられている。
すなわち、波長840〜930nmの近赤外領域は、自動車暗視装置における赤外線カメラの感度特性のピーク波長からいくらかずれてはいるものの、未だ十分に感度の高い領域であり、したがって比較的小さな放射パワーであっても赤外暗視映像を撮影することができる。なお、「近赤外領域に主発光がある」とは、請求項1におけるのと同様に発光スペクトルが輝線スペクトルおよび連続スペクトルの如何にかかわらず、最も大きな放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在すること、ならびに赤外暗視装置に対して明らかに貢献し得る実効的な放射エネルギーを有する波長領域が近赤外域に存在することを含む概念である。また、上記波長領域は、例えばセシウム(Cs)などのハロゲン化物を用いることにより容易に得ることができる。
また、本発明において、可視光は、主として第1のハロゲン化物を形成する金属の蒸気が放電により発光して発生する。近赤外光は、主として第2のハロゲン化物を形成する金属の蒸気およびガスが放電により発光する。そして、可視光および近赤外光は、同時に利用される。すなわち、可視光は、自動車前照灯用として利用される一方で、同時に近赤外光は、赤外暗視装置用として利用される。
気密容器、一対の電極、ならびに放電媒体のうち第1のハロゲン化物、ガスおよび水銀については請求項1において説明したのと同様である。
請求項7の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項7記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、安定点灯時において、波長380〜780nmの可視領域と、波長800〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が1.8〜3.1:1であることを特徴としている。
本発明は、可視領域と波長800〜1200nmの近赤外領域の好ましい放射パワー比を規定している。すなわち、上記の放射パワー比であれば、可視光が自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足できると同時に、赤外暗視装置用の光源として所要以上の長距離にわたる赤外暗視が可能になるだけの近赤外光の光束を得ることができる。なお、上記放射パワー比が2.2〜2.7:1の範囲内であれば、より好ましい結果が得られる。したがって、本発明は、可視光を自動車前照灯用として利用し、同時に近赤外光を赤外暗視装置用として利用するのに好適である。
これに対して、上記放射パワー比が1.8未満になると、近赤外光の放射パワーが大きくなって赤外視認距離が長くなるものの、その反面で可視光の放射パワーが小さくなって自動車前照灯用の光源として利用される可視光の全光束が少なくなりすぎて、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足しなくなる。また、上記放射パワー比が3.1を超えると、可視光の放射パワーが大きくなって自動車前照灯用の光源として利用される可視光の全光束は大きくなるものの、その反面で近赤外光の放射パワーが小さくなって赤外視認距離が短くなりすぎてしまう。
請求項8の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項6または7記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属は、セシウム(Cs)であることを特徴としている。
本発明は、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある第2のハロゲン化物を構成する金属として好適な金属を規定している。すなわち、セシウム(Cs)は、波長760.9、801.5、807.9、852.1、876.1、894.3、920.8、917.2、1002.0、1012.0nmの発光線があり、波長840〜930nmの範囲内で顕著に発光する。この発光範囲は、赤外暗視装置の感度特性の感度の高い領域にほぼ合致している。このため、本発明においては、第2のハロゲン化物としてセシウムを用いることにより、近赤外光の放射パワーが小さい割に赤外暗視距離を長くすることが可能になる。また、近赤外光の放射パワーが小さい分、可視光に振り向ける放射パワーを大きくすることができるので、全光束を高めて自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を容易に満足させることができるようになる。さらに、第2のハロゲン化物を構成する金属としてセシウムを用いることで、請求項7および8の条件を容易に満足することができる。
請求項9の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項8記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、セシウム(Cs)のハロゲン化物は、気密容器の内容積1cc当たり0.2〜10mgであることを特徴としている。
本発明は、第2のハロゲン化物としてセシウム(Cs)を封入する場合の好適な封入量を規定している。すなわち、上記の範囲内であれば、自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足する全光束と、自動車前照灯がロービーム照明時にその照明範囲より遠い距離にある障害物を赤外暗視装置として赤外視認することが可能になる。
これに対して、セシウムのハロゲン化物の封入量が気密容器の内容積1cc当たり0.2mg未満であると、近赤外光の放射パワーが小さくなりすぎて赤外暗視装置の赤外視認距離が短くなる。また、反対に上記封入量が10mgを超えると、可視光の放射パワーが小さくなりすぎて自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての前記規格を満足する全光束が得られなくなる。
請求項10の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし9のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、放電媒体は、相対的に蒸気圧が大きくて、かつ、第1のハロゲン化物に比較して可視領域に発光しにくい金属の少なくとも一種を含む第3のハロゲン化物を含んでいることを特徴としている。
本発明は、放電媒体が第1および第2のハロゲン化物に加えて第3のハロゲン化物を含んでいる構成を規定している。すなわち、第3のハロゲン化物は、金属の蒸気圧が相対的に高いので、水銀に代わってメタルハライドランプのランプ電圧を形成するのに寄与する。このため、水銀を封入しなくてもランプ電圧を高くして、同一のランプ電力を投入する際にランプ電流を小さくするのに効果的である。この条件に合致する金属としては、例えばマグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、アルミニウム(Al)、アンチモン(Sb)、ベリリウム(Be)、レニウム(Re)、ガリウム(Ga)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)およびスズ(Sn)などを用いることができる。第3のハロゲン化物を構成する金属には、上記のグループの一種または複数種を併用することができる。
請求項11の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし10のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)およびスカンジウム(Sc)のハロゲン化物を主体として構成されていることを特徴としている。
本発明は、自動車前照灯用の光源として好適な第1のハロゲン化物の構成を規定している。すなわち、第1のハロゲン化物は、主として可視光を発光する金属のハロゲン化物であるが、これを上記のように構成することにより、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足する白色光を効率よく発生させることができる。しかし、第1のハロゲン化物は、上記2種の金属のみでもよいが、所望により希土類金属などを補助的に添加することが許容される。
請求項12の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし11のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスは、キセノン(Xe)であることを特徴としている。
本発明は、波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスの好適な構成を規定している。すなわち、キセノン(Xe)は、820〜1000nmの近赤外領域に823.1、881.9、895.2、904.5、916.2、937.4、951.3、979.9、992.3nmの発光線を有しており、赤外暗視装置の近赤外線に感応するCCDカメラの光源として好適な近赤外光を放電により発生する。また、メタルハライドランプの点灯直後であって、第1のハロゲン化物を構成する金属による可視光発光が十分でないときにも、白色光を発生するために、発光色が点灯直後から自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足して光色立ち上がりが早くなる。
請求項13の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項12記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、キセノン(Xe)は、その封入圧が6気圧以上であることを特徴としている。
本発明は、キセノン(Xe)の好適な封入圧を規定している。すなわち、キセノンは、水銀を封入しないメタルハライドランプの場合、緩衝ガスとして水銀に代わってプラズマの温度を保持する作用を行い、その封入圧を高くするにしたがいランプの熱損失が減少して全光束が増加する。また、これと同時に波長820〜100nmの近赤外光の発光も増大する。そして、キセノンの封入圧が6気圧以上であれば、全光束が自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足するように構成することが可能になる。また、近赤外光の発光も増大して赤外暗視装置による障害物の赤外視認距離が長くなる。なお、キセノン(Xe)の封入圧は、室温換言すれば25℃におけるものとする。
請求項14の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし13のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、定格ランプ電力が35±3Wの範囲内にあることを特徴としている。
本発明は、自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプが自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格に適合する定格ランプ電力を有する構成を規定している。すなわち、上記の範囲内にあれば、定格入力が自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足する。この範囲は、ハロゲン電球の自動車前照灯用の光源に対してほぼ半分の電力である。
請求項15の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし14のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、D3SまたはD4Sタイプであって、全光束が2750lm以上であることを特徴としている。
本発明は、自動車前照灯の前記規格のうちプロジェクタ4灯方式およびプロジェクタ2灯方式用に適合するメタルハライドランプを規定している。
請求項16の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし14のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、D3RまたはD4Rタイプであって全光束が2350lm以上であることを特徴としている。
本発明は、自動車前照灯の前記規格のうちリフレクタ4灯方式およびリフレクタ2灯方式用に適合するメタルハライドランプを規定している。
請求項17の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項1ないし5のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、暗視装置用として主として760nm以上の波長を利用することを特徴としている。
本発明は、第2のハロゲン化物が780〜800nmの近赤外域に主発光がある金属のハロゲン化物を含んでいる構成の場合に好適な赤外暗視装置用の利用波長範囲を規定している。
請求項18の発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプは、請求項6ないし9のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおいて、暗視装置用として主として800nm以上の波長を利用することを特徴としている。
本発明は、第2のハロゲン化物が840〜930nmの近赤外域に主発光がある金属のハロゲン化物を含んでいる構成の場合に好適な赤外暗視装置用の利用波長範囲を規定している。
請求項19の発明のメタルハライドランプ点灯装置は、請求項1ないし18のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプと;自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを付勢する点灯装置と;を具備していることを特徴としている。
本発明において、「自動車前照灯本体」とは、自動車前照灯から自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプおよび点灯回路を除いた残余の全ての部分を意味する。
点灯回路は、自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを点灯する手段であり、電子化されたものが好適であるが、要すればコイルおよび鉄心を主体とするものであってもよい。
また、自動車前照灯用の点灯回路の場合、自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプの点灯直後4秒までの最高入力電力を安定時のランプ電力の2〜4倍、好適には2〜3倍とすることにより、光束立ち上がりを自動車前照灯用として必要な範囲内に入るように早くすることができる。
さらに、820〜1000nmの近赤外光を放射するガスとしてキセノン(Xe)の封入圧を6〜18気圧の範囲でX(気圧)とし、メタルハライドランプの点灯直後4秒までの最高入力電力をAA(W)としたとき、AAが数式AA>−2.5X+102.5を満足するように構成することにより、点灯直後4秒までの光束立ち上がりを早めて自動車用前照灯に必要な前照灯前面の代表点での光度8000cdを得ることができる。上記数式のようにキセノンの封入圧と最高入力電力とが直線的な関係になるのは、蒸気圧の低い放電媒体のみであるから、始動後4秒後の時点ではキセノンの発光が圧倒的になっているからである。キセノンの発光量は、その封入圧とその時の電力とで決まるので、キセノンの封入圧が低ければ、入力電力を多くすればよい。反対に、キセノンの封入圧が高ければ、入力電力を少なくすればよい。なお、本発明において、自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプの点灯は、交流点灯および直流点灯のいずれであってもよい。
さらにまた、点灯回路は、所要により無負荷出力電圧を200V以下に構成することができる。水銀フリーのメタルハライドランプは、一般に水銀入りのメタルハライドランプに比較して、ランプ電圧が低いので、点灯回路の無負荷出力電圧を200V以下にすることができる。これにより、点灯回路の小形化が可能になる。
請求項1ないし18の各発明によれば、主として可視光を放射する第1のハロゲン化物に加えて主として近赤外光の特定波長領域を放射する第2のハロゲン化物および820〜100nmの近赤外光を放射するガスを封入していることにより、第2のハロゲン化物およびガスから放射される近赤外光を、さらに構成によっては第1のハロゲン化物から放射される近赤外光を、自動車前照灯からの可視光で照射しにくい距離にある遠方の障害物に投射して、その反射光を赤外暗視装置で受光して映像化することができるとともに、自動車前照灯としての前記規格に適合する大きさの全光束の可視光を得ることができる。
したがって、本発明によれば、規格化が見込まれている水銀フリータイプの自動車前照灯用のメタルハライドランプとしての条件を満足することができるとともに、自動車用の赤外暗視装置の光源としても兼用可能な自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項1の発明によれば、加えて少なくとも第2のハロゲン化物の金属により放射される波長780〜800nmの近赤外領域に主発光のある近赤外光と、ガスにより放射される波長820〜1000nmの近赤外光と、が相加して赤外暗視装置用の光源として利用可能となるばかりでなく、その中でも波長780〜800nmの近赤外領域に主発光のある近赤外光は赤外暗視装置の感度がとりわけ高いので、第2のハロゲン化物の金属による放射パワーを相対的に小さくしてその分第1のハロゲン化物の金属による可視領域の放射パワーを大きくすることで、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足することが可能となる水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項2の発明によれば、加えて安定点灯時において、波長380〜780nmの可視領域と、波長780〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が3.2〜2.0:1であることにより、上記放射パワー比が好適化されて、近赤外光の放射パワーをなるべく小さくしてその分可視光領域の放射パワーを大きくすることができるため、可視光が自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足することが可能となる水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項3の発明によれば、加えて安定点灯時において、波長780〜800nmの近赤外領域と、波長780〜1000nmの近赤外領域との放射パワー比が0.1〜0.33:1であることにより、上記放射パワー比が好適化されて、可視光が自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足することが可能となる水銀フリータイプの自動車前照灯用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項4の発明によれば、加えて波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属がルビジウム(Rb)であることにより、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属として好適な金属を用いた水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項5の発明によれば、加えてルビジウム(Rb)のハロゲン化物が気密容器の内容積1cc当たり0.2〜8mgであることにより、ルビジウム(Rb)の封入量が好適化されて波長780〜800nmの近赤外領域に主発光のある近赤外光が可視光と適切な割合で放射する水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項6の発明によれば、加えて少なくとも第2のハロゲン化物により放射される波長840〜930nmの近赤外領域に主発光のある近赤外光と、ガスにより放射される波長820〜1000nmの近赤外光と相加するので、第2のハロゲン化物の金属による波長840〜930nmの近赤外領域に主発光のある近赤外光を少なくしてその分第1のハロゲン化物の金属による可視光を多くすることで、近赤外光を自動車暗視装置用の光源として利用可能なため、可視光が多くなって自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足することが可能となり、可視光が自動車前照灯用として、近赤外光が赤外暗視装置用として、それぞれ同時に利用される水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項7の発明によれば、加えて安定点灯時において、波長380〜780nmの可視領域と、波長800〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が3.1〜1.8:1であることにより、上記放射パワー比が好適化されて、近赤外光の放射パワーをなるべく小さくしてその分可視光の放射パワーを大きくすることができるため、可視光が自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格を満足することが可能となる水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項8の発明によれば、加えて波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属がセシウム(Cs)であることにより、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属として好適な金属を用いた水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項9の発明によれば、加えてセシウム(Cs)のハロゲン化物が気密容器の内容積1cc当たり0.2〜10mgであることにより、セシウム(Cs)の封入量が好適化されて波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある近赤外光が可視光と適切な割合の放射パワー比で放射する水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項10の発明によれば、加えて放電媒体が相対的に蒸気圧が大きくて、かつ、第1のハロゲン化物に比較して可視領域に発光しにくい金属の少なくとも一種を含む第3のハロゲン化物を含んでいることにより、水銀を本質的に封入しなくてもランプ電圧が高くなって所要のランプ電力を投入しやすくなる水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項11の発明によれば、加えて第1のハロゲン化物がナトリウム(Na)およびスカンジウム(Sc)のハロゲン化物を主体として構成されていることにより、白色発光を高効率で発光する水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項12の発明によれば、加えて波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスがキセノン(Xe)であることにより、波長820〜1000nmの近赤外光を放射するとともに、点灯直後に白色光を放射して光色立ち上がりの早い水銀フリータイプの自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項13の発明によれば、加えてキセノン(Xe)の封入圧が6気圧以上であることにより、可視光の全光束が増加するとともに、波長820〜1000nmの発光が増大する自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項14の発明によれば、加えて定格ランプ電力が35±3Wの範囲内にあることにより、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格に規定された定格入力に適合する自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項15の発明によれば、加えてD3SまたはD4Sタイプであって、全光束が2750lm以上であることにより、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格におけるプロジェクタ4灯方式およびプロジェクタ2灯方式に適合する自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項16の発明によれば、加えてD3RまたはD4Rタイプであって全光束が2350lm以上であることにより、自動車前照灯用のメタルハライドランプの前記規格におけるプロジェクタ2方式およびリフレクタ2灯方式に適合する自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項17の発明によれば、加えて赤外暗視装置用として主として760nm以上の波長を利用することにより、第2のハロゲン化物が波長780〜800nmの近赤外光を放射する金属のハロゲン化物である場合に効果的な自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項18の発明によれば、加えて赤外暗視装置用として主として800nm以上の波長を利用することにより、第2のハロゲン化物が波長840〜930nmの近赤外光を放射する金属のハロゲン化物である場合に効果的な自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを提供することができる。
請求項19の発明によれば、請求項1ないし18の発明の効果を有するメタルハライドランプ点灯装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
図6および図7は、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを実施するための第1の形態を示し、図6はD4Sタイプのランプ全体の正面図、図7は同じく平面図である。自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプMHLは、発光管IT、絶縁チューブT、外管OTおよび口金Bからなる。
発光管ITは、気密容器1、一対の電極1b、1b、封着金属箔2、一対の外部リード線3A、3Bおよび放電媒体からなる。
気密容器1は、包囲部1aおよび一対の封止部1a1を備えている。包囲部1aは、中空の紡錘形状に成形されてなり、その両端に一対の細長い封止部1a1を一体に備えているとともに、内部に細長いほぼ円柱状の放電空間1cが形成されている。放電空間1cの内容積は、0.05cc以下である。
電極1bは、純タングステン線からなり、軸方向の先端部、中間部および基端部にわたり軸部の直径が同じで、かつ、先端部および中間部の一部が放電空間1c内に露出している。また、電極1bの基端部が封止部1a1に埋設された後述する封着金属箔2に溶接されるとともに、中間部が封止部1a1に緩く支持されることによって気密容器1の所定の位置に配設されている。
なお、各図において、左方の封止部1a1を形成した後、封止管1a2が切断されないで封止部1a1の下部から一体に延長していて、口金B内へ延在している。
封着金属箔2は、モリブデン箔からなり、気密容器1の封止部1a1内に気密に埋設されている。
放電媒体は、第1ないし第3のハロゲン化物およびガスからなる。第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含んでいる。第2のハロゲン化物は、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属のハロゲン化物を含んでいる。第3のハロゲン化物は、相対的に蒸気圧が大きくて、かつ、第1のハロゲン化物に比較して可視領域に発光しにくい金属の少なくとも一種を含むハロゲン化物を含んでいる。ガスは、希ガスからなる。
一対の外部リード線3A、3Bは、その先端が気密容器1の両端の封止部1a1内において封着金属箔2の他端に溶接され、基端側が外部へ導出されている。各図において放電容器ITから右方へ導出された外部リード線3Aは、中間部が後述する外管OTに沿って折り返されて後述する口金B内に導入されて口金Bの外周面に配設されたリング状をなす一方の口金端子t1に接続している。図6において放電容器ITから左方へ導出された外部リード線3Bは、管軸に沿って延在して口金B内に導出されて図示されていない中央に配設されたピン状をなす他方の口金端子に接続している。
気密容器1の包囲部1aの内部空間1c内には、放電媒体が封入されている。放電媒体は、第1ないし第3のハロゲン化物およびガスを含み、水銀を本質的に含んでいない。第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属のハロゲン化物を含んでいる。第2のハロゲン化物は、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属のハロゲン化物からなる。第3のハロゲン化物は、相対的に蒸気圧が大きくて、かつ、第1のハロゲン化物に比較して可視領域に発光しにくい金属の少なくとも一種を含む金属のハロゲン化物である。ガスは、希ガスからなる。
外管OTは、紫外線カット性能を備えており、内部に放電容器ITを収納していて、両端の縮径部4(図では右方の一端のみが示されている。)が放電容器ITの封止部1a1にガラス溶着している。しかし、外管OTの内部は気密ではなく、外気に連通している。
絶縁チューブTは、セラミックスのチューブからなり、外部リード線3Aを被覆している。
口金Bは、自動車前照灯用として規格化されているもので、放電容器ITおよび外管OTを中心軸に沿って植立して支持していて、自動車前照灯の背面に着脱可能に装着される。また、装着時に電源側のランプソケットと接続し得るように筒状部の外周面に配設されたリング状をなす一方の口金端子t1と、筒状部の内部に形成された一端開放の凹部内において中央で軸方向に突出して配設されたピン状をなす他方の口金端子とを備えて構成されている。
本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを実施するための図6および図7に示す第1の形態において、以下の仕様である。
放電容器IT
気密容器1a:石英ガラス製、球体長7mm、最大外径6mm、全長約50mm、
最大内径2.6mm、内容積0.025cc
電極1b :直径0.35mmのタングステン線、電極間距離4.2mm
放電媒体
第1のハロゲン化物:ZnI−NaI−ScI、封入量は表1による。
第2のハロゲン化物:RbI、封入量は表1による。
第3のハロゲン化物:ZnI、封入量は表1による。
ガス :キセノン(Xe)、封入圧は表1による。
外管OT :外径9mm、内径7mm、内部雰囲気;大気圧(大気)
点灯直後投入電力:85W
定格ランプ電力:35W

図8は、本発明の実施例1におけるランプLの分光分布特性曲線図である。図から理解できるように、本形態においては、近赤外領域が主としてルビジウム(Rb)の波長780〜800nmの発光、ナトリウム(Na)の波長819.4nmの発光およびキセノン(Xe)の波長880〜1000nmの発光により構成されている。
Figure 2005142041

なお、表1において、ランプA〜Dは、比較例であり、これらは放電媒体が第2のハロゲン化物を含んでいない。また、ランプAは、水銀を0.5mg封入している。
次に、実施例1の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおける性能について説明する。すなわち、実施例1および比較例のランプをそれぞれ2本ずつ選び、自動車前照灯に装着して安定時の定格ランプ電力35Wで点灯して、放射パワー比A、放射パワー比B、全光束(lm)および赤外視認距離(m)の性能指標について測定した。なお、自動車前照灯は、ロービームの方向に可視光を照射し、ハイビームの方向に可視光を吸収して波長780nm以上の赤外光を照射するように分離発光の機能を備えた構成になっている。そして、CCDカメラを備えた赤外暗視装置は、自動車前照灯から照射される赤外光が遠方の障害物に当たって生じる反射光を受光し、撮影して映像化する。また、赤外視認距離は、自動車の左右の前照灯には同種のランプを装着し、夜間の暗黒中で、歩行者の視認可能な距離を測定する実験により得た。すなわち、赤外視認距離は、歩行者が短い距離から順次遠ざかる過程において、視認できる最大距離を複数人がそれぞれ測定して、その平均値によって求めた。その結果を表2に示す。なお、表2において、ランプA〜Vは、表1のそれと同じランプを示す。放射パワー比Aは、(波長380〜780nmの可視領域の放射パワー)/(波長780〜1200nmの近赤外領域の放射パワー)である。また、放射パワー比Bは、(波長780〜800nmの近赤外領域の放射パワー)/(波長780〜1000nmの近赤外領域の放射パワー)である。
Figure 2005142041

この実験から以下のことが判明した。
すなわち、可視領域の全光束と、近赤外領域の放射パワー換言すれば赤外視認距離とは、相反する傾向を有している。したがって、近赤外領域の放射パワーが増加して赤外暗視装置での赤外視認距離が増加すると、可視領域の放射パワーが減少し、ランプの全光束は減少する。
上記の相反する傾向を示す指標として放射パワー比Aを採用する。表2において、全光束2750lm(D4Sタイプの規格下限値)以上、赤外視認距離80m以上となるのは、放射パワー比Aが3.2から2.1までの範囲である。すなわち、この放射パワー比Aの範囲は、定格入力35W一定のときの全光束の規格範囲内でなるべく赤外視認距離を大きくする好適な範囲を示している。
ところで、放射パワー比Aの他に、図5に示すCCD撮像素子の感度特性を考慮した指標として放射パワー比Bを採用する。CCDカメラの感度は、波長780nm以上においては、長波長になるほど低下する。そのため、放射パワー比Bは、波長780〜800nmの間の放射パワーを波長780〜1000nmの放射パワーで除算した値であり、それは主要な近赤外領域(780〜1000nm)の放射パワーのうち、CCDカメラの感度の大きい波長780〜800nmの近赤外領域の放射パワーが占める割合である。上記の実験から、表2において、全光束2750lm(D4Sタイプの規格下限値)以上、赤外視認距離80m以上となるのは放射パワー比Bが0.12から0.33の範囲である。放射パワー比Bが0.33以上になると、可視領域の放射に影響を及ぼし、赤外視認距離は大きいが、全光束は規格外となる。
次に、本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを実施するための第2の形態を説明する。本形態は、ランプの構造が図6および図7に示す第1の形態と同様である。しかし、放電媒体の構成が異なっている。すなわち、第2のハロゲン化物が波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属のハロゲン化物を含んでいる。その他の構成は、第1の形態と同じである。
本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを実施するための第2の形態において、以下の仕様であり、その他の構成は実施例と同じである。
放電媒体
第1のハロゲン化物:ZnI−NaI−ScI、封入量は表3による。
第2のハロゲン化物:CsI、封入量は表3による。
第3のハロゲン化物:ZnI、封入量は表3による。
ガス :キセノン(Xe)、封入圧は表3による。

図9は、本発明の実施例2におけるランプLの分光分布特性曲線図である。図から理解できるように、本形態においては、近赤外領域が主としてセシウム(Cs)の波長840〜930nmの発光、ナトリウム(Na)の波長819.4nmの発光およびキセノン(Xe)の波長880〜1000nmの発光により構成されている。
Figure 2005142041

なお、表3において、ランプA〜Dは、比較例であり、これらは放電媒体が第2のハロゲン化物を含んでいない。また、ランプAは、水銀を0.5mg封入している。
次に、実施例1の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおける性能について説明する。すなわち、実施例2および比較例のランプをそれぞれ2本ずつ選び、 次に、実施例2の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプにおける性能について説明する。すなわち、実施例2および比較例のランプをそれぞれ2本ずつ選び、自動車前照灯に装着して安定時の定格ランプ電力35Wで点灯して、放射パワー比A、放射パワー比B、全光束(lm)および赤外視認距離(m)の性能指標について測定した。なお、自動車前照灯は、ロービームの方向に可視光を照射し、ハイビームの方向に可視光を吸収して波長780nm以上の赤外光を照射するように分離発光の機能を備えた構成になっている。そして、CCDカメラを備えた赤外暗視装置は、自動車前照灯から照射される赤外光が遠方の障害物に当たって生じる反射光を受光し、撮影して映像化する。また、赤外視認距離は、自動車の左右の前照灯には同種のランプを装着し、夜間の暗黒中で、歩行者の視認可能な距離を測定する実験により得た。すなわち、赤外視認距離は、歩行者が短い距離から順次遠ざかる過程において、視認できる最大距離を複数人がそれぞれ測定して、その平均値によって求めた。その結果を表4に示す。なお、表4において、ランプA〜Vは、表3のそれと同じランプを示す。放射パワー比Aは、(波長380〜780nmの可視領域の放射パワー)/(波長780〜1200nmの近赤外領域の放射パワー)である。
Figure 2005142041

この実験から以下のことが判明した。
すなわち、実施例1におけると同様に、可視領域の全光束と、近赤外領域の放射パワー換言すれば赤外視認距離とは、相反する傾向を有している。したがって、近赤外領域の放射パワーが増加して赤外暗視装置での赤外視認距離が増加すると、可視領域の放射パワーが減少し、ランプの全光束は減少する。
上記の相反する傾向を示す指標として放射パワー比Aを採用する。表4において、全光束2750lm(D4Sタイプの規格下限値)以上、赤外視認距離80m以上となるのは、放射パワー比Aが3.0から1.8までの範囲である。すなわち、この放射パワー比Aの範囲は、定格入力35W一定のときの全光束の規格範囲内でなるべく赤外視認距離を大きくする好適な範囲を示している。
図10は、本発明のメタルハライドランプ点灯装置を実施するための一形態を示す回路図である。図において、メタルハライドランプ点灯装置は、自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ27および点灯回路OCを具備している。
自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ27は、前記第1および第2の形態におけるいずれの構成であってもよい。
点灯回路OCは、直流電源21、チョッパ22、制御手段23、ランプ電流検出手段24、ランプ電圧検出手段25、イグナイタ26、およびフルブリッジインバータ28により構成されていて、上記メタルハライドランプ27を点灯直後に直流点灯し、その後交流点灯する。
直流電源21は、後述するチョッパ22に対して直流電源を供給する手段であって、バッテリーまたは整流化直流電源が用いられる。自動車の場合には、一般的にバッテリーが用いられる。しかし、交流を整流する整流化直流電源であってもよい。必要に応じて電解コンデンサ21aを並列接続して雑音吸収や平滑化を行う。
チョッパ22は、直流電圧を所要値の直流電圧に変換するDC−DC変換回路であって、後述するフルブリッジインバータ28を介して上記メタルハライドランプ27を所要に制御する。直流電源電圧が低い場合には、昇圧チョッパを用い、反対に高い場合には降圧チョッパを用いる。
制御手段23は、チョッパ22を制御する。たとえば、点灯直後には上記メタルハライドランプ27に定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流をチョッパ22からフルブリッジインバータ28を経由して流し、その後時間の経過とともに徐々にランプ電流を絞っていき、やがて定格ランプ電流にするように制御する。また、制御手段23は、ランプ電流とランプ電圧と相当するそれぞれの検出信号が後述するように帰還入力されることにより、定電力制御信号を発生して、チョッパ22を定電力制御する。さらに、制御手段23は、時間的な制御パターンが予め組み込まれたマイコンが内蔵されていて、点灯直後には定格ランプ電流の3倍以上のランプ電流を上記メタルハライドランプ27に流し、時間の経過とともにランプ電流を絞るようにチョッパ22を制御するように構成されている。
ランプ電流検出手段24は、フルブリッジインバータ28を介してランプと直列に挿入されていて、ランプ電流に相当する電流を検出して制御手段13に制御入力する。
ランプ電圧検出手段25は、同様にフルブリッジインバータ28を介して上記メタルハライドランプ27と並列的に接続されていて、ランプ電圧に相当する電圧を検出して制御手段23に制御入力する。
イグナイタ26は、フルブリッジインバータ28と上記メタルハライドランプ27との間に介在していて、始動時に約20kV程度の始動パルス電圧を上記メタルハライドランプ27に供給できるように構成されている。
フルブリッジインバータ28は、4つのMOSFETQ1、Q2、Q3およびQ4からなるブリッジ回路、ブリッジ回路28aのMOSFETQ1およびQ3と、Q2およびQ4とを交互にスイッチングさせるゲートドライブ回路28bおよび極性反転回路INVから構成されていて、チョッパ22からの直流電圧を上記スイッチングにより矩形波の低周波交流電圧に変換して、上記メタルハライドランプ27に印加して、上記メタルハライドランプ27を低周波交流点灯させる。なお、点灯直後の直流点灯時には、ブリッジ回路17aの例えばMOSFETQ1およびQ3を継続的にオンさせ、Q2およびQ4をオフさせる。
そうして、点灯回路OCを用いて上記メタルハライドランプ27を最初直流点灯し、その後矩形波の低周波交流で点灯すると、点灯直後から所要の光束を発生する。これにより、自動車前照灯に本形態のメタルハライドランプ点灯装置を組み込んだ場合、電源投入後1秒後に定格に対して光束25%、4秒後に光束80%の点灯を実現することができる。
放電媒体の第1および第3のハロゲン化物ならびにガスとしてScI−NaI−ZnI−Xeを封入したメタルハライドランプに、RbIを封入したものと、CsIを封入したものとのそれぞれの分光分布特性を重畳した分光分布特性曲線図に、さらに後述する図5に示すCCDカメラの感度特性を重畳した曲線図 キセノンのみを封入したランプの分光分布曲線図 放電媒体の第1および第3のハロゲン化物ならびにガスとしてScI−NaI−ZnI−Xeを封入したメタルハライドランプにおいて、Xeの発光を推定した分光分布特性曲線図 アクティブ方式の赤外暗視装置における動作原理を説明する概念図 赤外暗視装置に用いるCCDカメラの分光感度特性曲線図 本発明の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを実施するための第1の形態を示すD4Sタイプのランプ全体の正面図 同じく平面図 本発明の実施例1におけるランプLの分光分布特性曲線図 本発明の実施例2におけるランプLの分光分布特性曲線図 本発明のメタルハライドランプ点灯装置を実施するための一形態を示す回路図
符号の説明
Cs…セシウムの発光線、Na…ナトリウムの発光線、Rb…ルビジウムの発光線、CCD感度…CCD撮像素子の感度特性曲線

Claims (19)

  1. 耐火性で透光性の気密容器と;
    気密容器内に封装された一対の電極と;
    ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含む第1のハロゲン化物、波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属の第2のハロゲン化物、ならびに波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスを含み、水銀を本質的に含まないで気密容器内に封入された放電媒体と;
    を具備していることを特徴とする自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  2. 安定点灯時において、波長380〜780nmの可視領域と、波長780〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が3.2〜2.0:1であることを特徴とする請求項1記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  3. 安定点灯時において、波長780〜800nmの近赤外領域と、波長780〜1000nmの近赤外領域との放射パワー比が0.1〜0.33:1であることを特徴とする請求項1または2記載の自動車前照灯用メタルハライドランプ。
  4. 波長780〜800nmの近赤外領域に主発光がある金属は、ルビジウム(Rb)であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  5. ルビジウム(Rb)のハロゲン化物は、気密容器の内容積1cc当たり0.2〜8mgであることを特徴とする請求項4記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  6. 耐火性で透光性の気密容器と;
    気密容器内に封装された一対の電極と;
    ナトリウム(Na)、スカンジウム(Sc)および希土類金属の少なくとも一種の金属を含む第1のハロゲン化物、波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属の第2のハロゲン化物、ならびに波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスを含み、水銀を本質的に含まないで気密容器内に封入された放電媒体と;
    を具備し、可視光が自動車前照灯用として、近赤外光が赤外暗視装置用として、それぞれ同時に利用されることを特徴とする自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  7. 安定点灯時において、波長380〜780nmの可視領域と、波長800〜1200nmの近赤外領域との放射パワー比が3.1〜1.8:1であることを特徴とする請求項6記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  8. 波長840〜930nmの近赤外領域に主発光がある金属は、セシウム(Cs)であることを特徴とする請求項7記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  9. セシウム(Cs)のハロゲン化物は、気密容器の内容積1cc当たり0.2〜10mgであることを特徴とする請求項8記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  10. 放電媒体は、相対的に蒸気圧が大きくて、かつ、第1のハロゲン化物に比較して可視領域に発光しにくい金属の少なくとも一種を含む第3のハロゲン化物を含んでいることを特徴とする請求項1ないし9のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  11. 第1のハロゲン化物は、ナトリウム(Na)およびスカンジウム(Sc)のハロゲン化物を主体として構成されていることを特徴とする請求項1ないし10のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  12. 波長820〜1000nmの近赤外領域に主発光があるガスは、キセノン(Xe)であることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  13. キセノン(Xe)は、その封入圧が6気圧以上であることを特徴とする請求項12記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  14. 定格ランプ電力が35±3Wの範囲内にあることを特徴とする請求項1ないし13のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  15. D3SまたはD4Sタイプであって、全光束が2750lm以上であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  16. D3RまたはD4Rタイプであって全光束が2350lm以上であることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  17. 暗視装置用として主として760nm以上の波長を利用することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  18. 暗視装置用として主として800nm以上の波長を利用することを特徴とする請求項6ないし9のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプ。
  19. 請求項1ないし18のいずれか一記載の自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプと;
    自動車前照灯・赤外暗視装置兼用メタルハライドランプを付勢する点灯装置と;
    を具備していることを特徴とするメタルハライドランプ点灯装置。
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