JP2005132066A - インク着弾位置調整方法及びインクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができるインク着弾位置調整方法及びインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】記録ヘッド9の往方向、復方向それぞれの移動時にノズル8からインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターン26を作成するドット列パターン作成工程と、ドット列パターン26を読み取る読取工程と、ドット列パターン26のデータに基づいてインクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド9又はノズル8の角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する解析工程と、各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整する調整工程とを有する。
【選択図】図21
【解決手段】記録ヘッド9の往方向、復方向それぞれの移動時にノズル8からインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターン26を作成するドット列パターン作成工程と、ドット列パターン26を読み取る読取工程と、ドット列パターン26のデータに基づいてインクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド9又はノズル8の角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する解析工程と、各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整する調整工程とを有する。
【選択図】図21
Description
本発明は、インク着弾位置調整方法及びインクジェットプリンタに関する。
近年、グラビア印刷方式やフレキソ印刷方式などの製版を必要とする方式に比較して、簡便にかつ安価に画像を形成することができるという理由から、インクジェットプリンタが多く用いられるようになってきている。
このようなインクジェットプリンタとしては、インクを吐出するノズルを形成してなる記録ヘッドを有し、記録ヘッドから記録媒体に対して前記インクを吐出させながら記録ヘッドを主走査方向に往復移動させるとともに、記録媒体を主走査方向と直行する副走査方向に搬送させて画像を記録するシリアル記録方式のインクジェットプリンタがある。
シリアル記録方式のインクジェットプリンタにおいては、記録効率を高めるために、記録ヘッドの移動時の往復双方向において、ノズルからインクを吐出させて画像を記録することが行われている。
このようなインクジェットプリンタでは、記録ヘッドの個体間差や、記録ヘッドの取り付け角度の誤差、記録媒体の波うち等に起因して、インクが適正な位置に正確に着弾しない場合があり、このような場合には、往方向で記録されたドットと復方向で記録されたドットとで位置ずれが生じることにより画質が低下してしまう。
このような不都合をなくすため、従来、記録ヘッドを片方向に移動させて記録した基準パターンと記録ヘッドを双方向に移動させて基準パターンと同じパターンを記録した比較パターンとをインクの吐出タイミングを変更して複数組作成し、基準パターンと比較パターンとが最も近似している組をユーザが選択し、この選択された組に適用されている変更値に基づいてインクの吐出タイミングを調整するインク着弾位置調整方法が知られている。なお、このインク着弾位置調整方法は、複数組の基準パターンと比較パターンとを記録する際に変更する条件は、インクの吐出タイミングには限らないとされている(特許文献1参照)。
特開平10−315560号公報
しかしながら、インク着弾位置のずれの原因は多岐にわたっているにもかかわらず、従来のインクジェットプリンタでは、単一の手段により調整を行っているため、調整が煩雑になる結果、装置構成が複雑になりコストが増大するという問題があった。また、インク着弾位置のずれの原因との関係で調整が行われるとは限らないため、インク着弾位置のずれの原因を解決できない場合があり、調整に限界があるという問題があった。
具体的には、例えば、記録ヘッドに主走査方向Xにおける傾きが生じている場合に、図22(A)に示すような副走査方向Yに延びる1本のラインを記録しようとすると、図22(B)に示すように、主走査方向Xに記録ヘッド40の傾きに対応したインク着弾位置のずれが発生するとともに、記録ヘッド40を復方向Bに移動させて記録したドットについては、副走査方向Yにもインク着弾位置のずれが発生する。
このような場合において、例えば、ノズル毎のインクの吐出タイミングのみを変更することにより調整を行う場合、副走査方向Yに発生したずれを調整するのが困難であり、これを調整しようとすると装置構成が複雑になりコストが増大する。また、記録媒体の副走査方向Yへの送り量のみを変更することにより調整を行うこととすると、主走査方向Xに発生したずれを調整するのが困難である上、複数の記録ヘッドを用いて同時に画像を記録する場合には、他の記録ヘッドにより記録される画像との整合をとるのが困難になり、これを調整しようとすると装置構成が複雑になりコストが増大する。また、このようにインクの吐出タイミングや記録媒体の送り量で調整を行ったとしても、記録ヘッド40の傾きは調整されず、根本的に問題が解決したとはいえない。
そこで、本発明は、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができるインク着弾位置調整方法及び、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができ、良好な画像を得ることができるインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明によるインク着弾位置調整方法は、インクを吐出するノズルを形成してなる記録ヘッドを主走査方向に往復移動させながら前記ノズルから記録媒体に対して前記インクを吐出させるとともに、前記主走査方向と直行する副走査方向に前記記録媒体を搬送させて記録する画像の前記インクの着弾位置を調整するインク着弾位置調整方法において、前記記録ヘッドの往方向、復方向それぞれの移動時に前記ノズルからインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターンを作成するドット列パターン作成工程と、前記ドット列パターン作成工程により作成された前記ドット列パターンを読み取る読取工程と、前記読取工程により読み取られた前記ドット列パターンのデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する解析工程と、前記解析工程により分離された各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整する調整工程とを有することを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、副走査方向に並ぶ往方向、復方向それぞれ少なくとも1列のドット列からなるドット列パターンが作成され、このドット列パターンを読み取ったデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する。そして、この分離された各起因成分に対応した手段により、それぞれインクの着弾位置が補正される。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインク着弾位置調整方法において、前記ドット列パターン作成工程は、隣接するドットが互いに重なり合わないように作成されることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、ドット列パターンの隣接するドットが互いに重なり合わないため、インク着弾位置のずれの解析が容易になされる。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のインク着弾位置調整方法において、前記解析工程は、各ドットのずれ量を示す1次回帰直線を往復ドット列のそれぞれについて取得し、前記1次回帰直線に基づいて、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を加算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した加算平均直線を取得して角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量のいずれか一方から他方を減算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した減算平均直線を取得して時間起因成分とし、前記調整工程は、前記角度起因成分に基づいて前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、記録ヘッドの主走査方向における傾き及び記録ヘッドの記録媒体との距離方向の傾きが生じている場合には、主走査方向の傾きによるインクの着弾位置のずれは角度起因成分として表れ、記録媒体との間隔方向の傾きによるインクの着弾位置のずれは、記録媒体との間隔に誤差があることからインクが記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差となって時間起因成分として表れるため、角度起因成分に基づいて記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、時間起因成分に基づいて記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することにより、インクの着弾位置が補正される。
また、請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインク着弾位置調整方法において、前記解析工程は、往復ドット列の全ドットについて、ドットのずれ量を加算して2で除した加算平均値を求めて前記角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を減算して2で除した減算平均値を求めて前記時間起因成分とし、前記調整工程は、前記角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正することを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、ノズルのインク出射角度のずれ及びノズルのインク吐出速度のずれが生じている場合には、ノズルのインク出射角度のずれによるインクの着弾位置のずれは、角度起因成分として表れ、ノズルのインク吐出速度のずれによるインクの着弾位置のずれはインクが記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差となって時間起因成分として表れるため、角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正するとともに、時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正することにより、インクの着弾位置が補正される。
請求項5に記載の発明は、前記調整工程は、請求項4に記載のインク着弾位置調整方法において、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットのずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、画像データの補正を併用することにより、容易にインクの着弾位置が補正される。
請求項6に記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインク着弾位置調整方法において、往方向及び復方向の少なくとも一方の移動時に前記ノズルから前記インクを吐出させ一定範囲の主走査方向に並ぶドット行を記録してなるドット行パターンを作成するドット行パターン作成工程と、前記ドット行パターンを読み取る、ドット行読取工程と、前記ドット行読取工程により読み取られた前記ドット行パターンのデータよりインクの着弾位置のずれ量を求め、このずれ量に基づいてインクの吐出タイミングを補正するタイミング調整工程とを有することを特徴とする。
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体の主走査方向に波うちが発生している場合であっても、波うちにより生じた各ノズルと記録ヘッドとの距離の誤差分だけインクが落下する間にキャリッジが走査することにより生じる主走査方向における当該インクの着弾位置のずれが調整される。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のインク着弾位置調整方法において、前記タイミング調整工程は、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットのずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することを特徴とする。
請求項7に記載の発明によれば、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、画像データの補正を併用することにより、容易にインクの着弾位置のずれが調整される。
請求項8に記載のインクジェットプリンタは、インクを吐出するノズルを形成してなる記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドから記録媒体に対して前記インクを吐出させながら前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させるとともに、前記記録媒体を主走査方向と直行する副走査方向に搬送させて画像を記録するインクジェットプリンタにおいて、画像の記録に関する制御を行う制御部と、記録された画像を読取可能な読取装置とを有し、前記制御部は、前記記録ヘッドの往方向、復方向それぞれの移動時に前記ノズルからインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターンを作成させるとともに、前記読取装置に前記ドット列パターンを読み取らせ、この読み取らせた前記ドット列パターンのデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離し、この分離された各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整することを特徴とする。
請求項8に記載の発明によれば、記録ヘッドの往方向、復方向それぞれの移動時にインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターンが作成され、この作成されたドット列パターンを読み取ったデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する。そして、この分離された各起因成分に対応した手段により、それぞれインクの着弾位置が補正され、インクが適正な位置に着弾可能な状態で画像が記録される。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを調整する第1ヘッド調整機構と、前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを調整する第2ヘッド調整機構とを有し、前記制御部は、各ドットのずれ量を示す1次回帰直線を往復ドット列のそれぞれについて取得し、前記1次回帰直線に基づいて、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を加算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した加算平均直線を取得して角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量のいずれか一方から他方を減算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した減算平均直線を取得して時間起因成分とし、前記角度起因成分に基づいて前記第1ヘッド調整機構を制御して前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記第2ヘッド調整機構を制御して前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することを特徴とする。
請求項9に記載の発明によれば、記録ヘッドの主走査方向における傾き及び記録ヘッドの記録媒体との距離方向の傾きが生じている場合には、主走査方向の傾きによるインクの着弾位置のずれは角度起因成分として表れ、記録媒体との間隔方向の傾きによるインクの着弾位置のずれは、記録媒体との間隔に誤差があることからインクが記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差となって時間起因成分として表れるため、角度起因成分に基づいて記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、時間起因成分に基づいて記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することにより、インクの着弾位置が補正される。
請求項10に記載の発明は、請求項8又は請求項9に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記記録ヘッドは、インク流路を形成する圧電素子と前記圧電素子に接続される圧電素子駆動回路を有し、前記圧電素子駆動回路によりパルス状信号電圧が印加されることにより前記圧電素子が膨張してインク流路を圧縮してインクを吐出するようになっており、前記制御部は、往復ドット列の全ドットについて、ドットのずれ量を加算して2で除した加算平均値を求めて前記角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を減算して2で除した減算平均値を求めて前記時間起因成分とし、前記角度起因成分に基づいて前記圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の印加タイミングを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の電圧値を補正することを特徴とする。
請求項10に記載の発明によれば、ノズルのインク出射角度のずれ及びノズルのインク吐出速度のずれが生じている場合には、ノズルのインク出射角度のずれによるインクの着弾位置のずれは、角度起因成分として表れ、ノズルのインク吐出速度のずれによるインクの着弾位置のずれはインクが記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差となって時間起因成分として表れるため、角度起因成分に基づいて圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の印加タイミングするとともに、時間起因成分に基づいて圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の電圧値を補正することにより、インクの着弾位置が調整される。
請求項11に記載の発明は、請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタにおいて、前記制御部は、往方向及び復方向の少なくとも一方の移動時に前記ノズルから前記インクを吐出させ一定範囲の主走査方向に並ぶドット行を記録してなるドット行パターンを作成させるとともに、前記読取装置に前記ドット行パターンを読み取らせ、この読み取らせた前記ドット列パターンのデータによりインクの着弾位置のずれ量を求め、このずれ量に基づいてインクの吐出タイミングを補正することを特徴とする。
請求項11に記載の発明によれば、記波うちにより生じた各ノズルと記録ヘッドとの距離の誤差分だけインクが落下する間にキャリッジが走査することにより生じる主走査方向における当該インクの着弾位置のずれが調整され、録媒体の主走査方向に波うちが発生している場合であっても、インクが適正な位置に着弾可能な状態で画像が記録される。
請求項1に記載の発明によれば、インクの着弾位置のずれを各起因成分に分離し、分離した各起因成分に対応した手段により、それぞれインクの着弾位置を調整するため、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができる。
請求項2に記載の発明によれば、インク着弾位置のずれの起因成分の分析が容易であるため、より容易に個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を行うことができる。
請求項3に記載の発明によれば、角度起因成分に基づいて記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、時間起因成分に基づいて記録ヘッドの記録媒体との間隔方向における傾きを補正することにより、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができる。
請求項4に記載の発明によれば、時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正するとともに、角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正することにより、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した適切かつ調整を容易にすることができる。
請求項5に記載の発明によれば、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、画像データの補正を併用するため、容易にインクの着弾位置を調整することができる。
請求項6に記載の発明によれば、記録媒体の波うちにより生じたインク着弾位置のずれを適切かつ容易に調整することができる。
請求項7に記載の発明によれば、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、画像データの補正を併用するため、容易にインクの着弾位置を調整することができる。
請求項8に記載の発明によれば、インクの着弾位置のずれを起因成分に分離し、分離した各起因成分に対応した手段により、それぞれインクの着弾位置を調整するため、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができ、良好な画像を得ることができる。
請求項9に記載の発明によれば、角度起因成分に基づいて記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、時間起因成分に基づいて記録ヘッドの記録媒体との間隔方向における傾きを補正することにより、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した調整を適切かつ容易にすることができ、良好な画像を得ることができる。
請求項10に記載の発明によれば、時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正するとともに、角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正することにより、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した適切かつ調整を容易にすることができ、良好な画像を得ることができる。
請求項11に記載の発明によれば、記録媒体の波うちにより生じたインク着弾位置のずれを適切かつ容易に調整することができ、良好な画像を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態を、図1から図21を参照して説明する。
図1は、本発明に係るインク着弾位置調整方法を適用したインクジェットプリンタの実施の一形態を示したもので、シリアルヘッド方式のインクジェットプリンタ1である。インクジェットプリンタ1は、図1に示すように、棒状のガイドレール2を有しており、このガイドレール2には、キャリッジ3が支持されている。このキャリッジ3は、キャリッジ駆動機構4(図4参照)によって主走査方向Xをガイドレール2に沿って往復移動するようになっている。
また、インクジェットプリンタ1には、キャリッジ3の移動位置や移動速度を検知するためのエンコーダ37を構成するスケール部5が、ガイドレール2に沿って設けられている。そして、キャリッジ3の裏面には、スケール部5に設けられているマークを読取るエンコーダ37のセンサ部6が設けられている。
キャリッジ3には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)ライトイエロー(LY)、ライトマゼンタ(LM)、ライトシアン(LC)、ライトブラック(LK)の各色のインクを記録媒体7に対して吐出するノズル8(図2参照)が設けられた記録ヘッド9が搭載されている。
記録ヘッド9は、図2に示すように、圧電素子10を有しており、この圧電素子10には、リード線11及び電極12を介して、圧電素子駆動回路13が接続されている。圧電素子10と対向する位置には流路板14が設けられており、これら圧電素子10と流路板14とによってインク流路15が形成されている。圧電素子10は、圧電素子駆動回路13によりパルス状信号電圧が印加されると膨張するようになっており、これにより、インク流路15が圧縮されるようになっている。インク流路15の一端は、ノズル8に連通しており、他端は複数のインク流路(図示しない)に共通の液室16に連通している。
また、記録ヘッド9は、ヘッド調整機構17(図4参照)により、図3に示すように、基板18に支持されるための支持部19を支点として、記録媒体7との間隔方向すなわち記録媒体7の表面からの高さ方向及び主走査方向Xに回動可能とされており、これにより、記録媒体7表面からの高さ方向の傾き及び主走査方向Xにおける傾きが調整されるようになっている。
キャリッジ3の移動可能範囲の中央部分は、記録媒体7に記録を行う記録領域とされており、この記録領域には、記録媒体7を非記録面から水平に支持するプラテン20が設けられている。
また、インクジェットプリンタ1には、主走査方向Xに直行する副走査方向Yに記録媒体7を送るための搬送機構36(図4参照)が設けられている。搬送機構36は、画像記録時において、キャリッジ3の動作に合わせて、記録媒体7の搬送と停止とを繰り返して記録媒体7を間欠的に搬送する。
記録領域の副走査方向Yにおける下流側であって、記録媒体7の搬送経路上方には、記録ヘッド9により記録媒体7にインクを吐出して作成されるインクの着弾位置のずれを測定するための着弾位置測定パターンを読み取る読取装置21が設けられている。
読取装置21は、記録媒体7に光を照射する光源(図示しない)と記録媒体7からの反射光を反射させるミラー(図示しない)とが一体的に構成され、記録媒体7の全幅にわたって配置されたミラーユニット(図示しない)を有している。また、読取装置21は、例えばCCD(Charge Coupled Diode)により構成され光を光電変換する撮像素子(図示しない)とを有しており、この撮像素子の前面にはミラーユニットからの光を結像素子に結像させるレンズ(図示しない)を有している。
図4は、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1を制御するための制御装置を示したものであり、この制御装置は、たとえば、CPU22、RAM23、ROM24からなり、ROM24に記録された処理プログラムをRAM23に展開してCPU22によりこの処理プログラムを実行する制御部25を有している。
この制御部25は、前述の処理プログラムに従い、キャリッジ駆動機構4、エンコーダ37、搬送機構36、圧電素子駆動回路13、及びヘッド調整機構17等の動作状況等のステータスに基づいて、各部材の動作を制御するようになっている。
特に、インクジェットプリンタ1では、制御部25は、記録ヘッド9より吐出されたインクが記録媒体7に着弾する位置のずれを測定するための着弾位置測定パターンを作成するように記録ヘッド9を制御するようになっている。着弾位置測定パターンには、全てのノズル8からインクを吐出させ少なくとも1列の副走査方向に並ぶドット列を、記録ヘッド9の往方向A及び復方向Bの各移動時に記録してなるドット列パターン26(図5(A)参照)と、全てのノズル8からインクを吐出させ一定範囲の主走査方向に並ぶドット行を、往方向A及び復方向Bの少なくとも一方の移動時に記録してなるドット行パターン27(図5(B)参照)とがある。なお、ノズル8を主走査方向X及び副走査方向Yにずらして配置されていることにより、すべてのノズル8からインクを吐出させると、副走査方向Yに隣接するドット同士が重なり合う場合には、間引きをして所定のノズル8からインクを吐出させるようにしてもよい。
例えば、制御部25は、図5(A)に示すように、キャリッジ駆動機構4を作動させて記録ヘッド9を往方向Aへ移動させるとともに、圧電素子駆動回路13を作動させて所定位置に3列の往路ドット列28を記録させ、記録ヘッド9を復方向Bへ移動させるとともに、往路ドット列28の主走査方向Xに並べて3列の復路ドット列29を記録させることにより、ドット列パターン26を作成させるようになっている。また、図5(B)に示すように、記録ヘッド9を往方向Aへ移動させるとともに一定範囲でインクを吐出させて、往路ドット行画像30を記録させ、記録媒体7を搬送させた後に、記録ヘッド9を復方向Bへ移動させるとともに一定範囲でインクを吐出させて、復路ドット行画像31を記録させることより、ドット行パターン27を作成させるようになっている。
インクジェットプリンタ1では、制御部25には、読取装置21が接続されており、制御部25は、搬送機構36を作動させて着弾位置測定パターンが記録された記録媒体7を搬送させるとともに、読取装置21を作動させて着弾位置測定パターンを読み取らせるようになっている。そして、制御部25は、読取装置21により読み取られたドット列パターン26を解析することにより、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッド9より吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド9又はノズル8の角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離し、各起因成分に基づいて、インクの着弾位置を調整するようになっている。また、制御部25は、読み取られたドット行パターン27よりインクの着弾位置のずれを測定し、このずれ量に基づいてインクの着弾位置を調整するようになっている。
具体的には、ROM24には、適正な位置にインクを着弾させて記録した適正ドット列パターンが記憶されており、制御部25は、ドット列パターン26を読み取ったデータに基づいて、往路ドット列28及び復路ドット列29の互いに隣接するドット列について、各ドットとこれに対応する適正ドット列の各ドットとの距離を着弾位置のずれとして測定し、往復それぞれのドット列について副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドット毎のずれを示す往路1次回帰直線32(図8及び図12参照)及び復路1次回帰直線33(図8及び図12参照)を取得するようになっている。なお、往路ドット列28及び復路ドット列29の各ドットについて、主走査方向Xに並ぶ3つのドットのずれの平均値から往路1次回帰直線32及び復路1次回帰直線33をそれぞれ取得するようにしてもよい。
そして、制御部25は、往復1次回帰直線32,33に基づいて、同一のノズル8からインクを吐出して記録された往復それぞれのドットのずれ量を加算して2で除した値を、副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドットについて求め、これらの値を直線グラフに表した加算平均直線34(図9及び図13参照)を取得するとともに、前記往復1次回帰直線32,33に基づいて、同一のノズル8からインクを吐出して記録された往路のドットのずれ量から復路のドットのずれ量を減算して2で除した値を、副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドットについて求め、これらの値を直線グラフに表した減算平均直線35(図9及び図13参照)を取得するようになっている。
加算平均直線34は、インクの着弾位置のずれが主走査方向Xにおける記録ヘッド9の角度の誤差に起因することを示す角度起因成分であり、減算平均直線35は、インクの着弾位置のずれがインクが記録ヘッド9より吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因することを示す時間起因成分となっている。
具体的には、加算平均直線34の傾きは、記録ヘッド9の主走査方向Xにおける傾きを表しており、制御部25は、加算平均直線34に基づいて(1)式により記録ヘッド9の主走査方向Xの傾き角度を求め、この傾き角度に基づいて、ヘッド調整機構17を作動させて記録ヘッド9の傾きを調整するようになっている。
記録ヘッド9の副走査方向Yの傾き角度
=sin-1{(最上流ドットずれ量−最下流ドットずれ量)/ドット列長} (1)
=sin-1{(最上流ドットずれ量−最下流ドットずれ量)/ドット列長} (1)
一方、上述の減算平均直線35により表されたずれは、記録ヘッド9の高さ方向の傾きにより生じるノズル8の記録媒体7の表面からの高さの誤差分だけインクが落下する間にキャリッジ3が走査することにより生じる主走査方向Xにおける当該インクの着弾位置のずれを表している。そこで、制御部25は、減算平均直線35に基づいて(2)式により記録ヘッド9の副走査方向Yの下流側端部について、インク飛翔時間の誤差から記録ヘッド9の高さの誤差を算出して高さ調整値とし、この高さ調整値に基づいてヘッド調整機構17を作動させて記録ヘッド9の傾きを調整するようになっている。
記録ヘッド9の高さ調整値=基準インク吐出速度
×{(最上流ドットずれ量−最下流ドットずれ量)/主走査速度} (2)
×{(最上流ドットずれ量−最下流ドットずれ量)/主走査速度} (2)
ここで、加算平均直線34及び減算平均直線35と、記録ヘッド9の主走査方向Xにおける傾き及び高さ方向の傾きとの関係について詳細に説明する。便宜上、先ず、ドットのずれが記録ヘッド9の主走査方向Xにおける傾きのみに起因して生じている場合について説明すると、例えば、図6に示すように、記録ヘッド9が支持部19を支点として往方向Aに傾いて基板18に支持されている場合、ドット列パターン26は、図7に示すように、副走査方向Yの下流側のドットほど適正位置より往方向Aにずれて記録される。なお、図中に破線で表したドットは適正位置を示す。
これは、記録ヘッド9が主走査方向Xに傾いている場合には、ノズル列も主走査方向Xに傾いており、この傾いたノズル列よりインクが吐出されて記録されたドット列も、ノズル列の傾きに対応して傾くことによるものである。そして、図6の例では、記録ヘッド9が往方向Aに移動しながらドット列を記録する場合においても、復方向Bに移動しながらドット列を記録する場合おいても、記録ヘッド9が往方向Aに傾いていることには変わりがないため、往復ドット列ともに往方向Aにずれるものである。
この場合において、往方向Aへのずれをプラス、復方向Bへのずれをマイナスとすると、往路1次回帰直線32及び復路1次回帰直線33は、図8に示すように、ともに副走査方向下流側のドットほどプラス方向のずれが大きくなる右上がりの直線となる。
したがって、往路のドットのずれ量から復路のドットのずれ量を減算して2で除すると0となるため、減算平均直線35は、図9に示すようにy=0の直線となり、このことは、インク飛翔時間のずれがなく、記録ヘッド9の高さ方向の傾きがないことを表している。一方、加算平均直線34は右上がりの直線となる。加算平均直線34は、ノズル列の傾きに対応するものであることから、この加算平均直線34の傾き角度θは、図6に示すように、記録ヘッド9の主走査方向Xにおける傾きがθであることを表している。そこで、このθだけ記録ヘッド9をマイナス方向すなわち復方向Bへ回動させることにより、主走査方向Xにおける傾きを調整するとよい。
したがって、往路のドットのずれ量から復路のドットのずれ量を減算して2で除すると0となるため、減算平均直線35は、図9に示すようにy=0の直線となり、このことは、インク飛翔時間のずれがなく、記録ヘッド9の高さ方向の傾きがないことを表している。一方、加算平均直線34は右上がりの直線となる。加算平均直線34は、ノズル列の傾きに対応するものであることから、この加算平均直線34の傾き角度θは、図6に示すように、記録ヘッド9の主走査方向Xにおける傾きがθであることを表している。そこで、このθだけ記録ヘッド9をマイナス方向すなわち復方向Bへ回動させることにより、主走査方向Xにおける傾きを調整するとよい。
次に、ドットのずれが、記録ヘッド9の記録媒体7の表面からの高さ方向の傾きのみに起因して生じている場合について説明する。例えば、図10に示すように、記録ヘッド9が支持部19を支点として副走査方向Yの下流側端部が高くなるように傾いて基板18に支持されている場合、ドット列パターン26は、図11に示すように、往復各ドット列パターン26が、副走査方向Yの下流側のドットほど適正位置よりそれぞれ進行方向の逆側にずれて記録される。
これは、図10の例では、記録ヘッド9は副走査方向Yの下流側端部が高くなった状態で傾いており、副走査方向Yの下流側ほどインクが記録ヘッド9より吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間が長くなり、記録ヘッド9が往方向Aに移動しながらドット列を記録する場合においては、副走査方向の下流側のノズル8から吐出されたインクは、飛翔時間の誤差分だけ落下する間に記録ヘッド9が往方向Aに移動するため、この移動量分往方向Aと逆側にずれた位置に着弾し、復方向Bに移動しながらドット列を記録する場合おいては、副走査方向Yの下流側のノズル8から吐出されたインクは、飛翔時間の誤差分だけ落下する間に記録ヘッド9が復方向Bに移動するため、この移動量分復方向Bと逆側にずれた位置に着弾することによるものである。
この場合において、往方向Aへのずれをプラス、復方向Bへのずれをマイナスとすると、図12に示すように、往路1次回帰直線32は、副走査方向下流側のドットほどプラス方向のずれが小さくなる右下がりの直線、復路1次回帰直線33は、副走査方向下流側のドットほどプラス方向のずれが大きくなる右上がりの直線となる。
したがって、往復のドットのずれ量を加算して2で除すると0となるため、加算平均直線34は、図13に示すようにy=0の直線となり、このことは、記録ヘッド9の副走査方向Yにおける傾きがないことを表している。一方、減算平均直線35は、右上がりの直線となり、この減算平均直線35に表されるずれ量は、記録ヘッド9の高さ方向の傾きに起因するインク着弾位置のずれ量を表していることから、このずれ量に基づいて、記録ヘッド9の高さ調整値を算出し、この高さ調整値だけ記録ヘッド9の副走査方向Yの最下流側端部が、記録媒体7に対して下方へ移動するように記録ヘッド9を回動させることにより、記録ヘッド9の高さ方向における傾きを調整するとよい。
また、制御部25は、往復各ドット列の副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドットについて、往路1次回帰直線32及び復路1次回帰直線33の対応するドットからのずれ量をそれぞれの取得するようになっている。これは、適正ドット位置からのずれ量は、記録ヘッド9の主走査方向Xの傾き及び高さ方向の傾きに起因するずれを含んでいるため、これら記録ヘッド9の傾きによらない個々のドットのずれ量を取得する趣旨である。以下、この各ドットの1次回帰直線32,33からのずれ量を補正ずれ量という。
制御部25は、往復ドット列のそれぞれのドットについて、同一のノズル8からインクを吐出して記録されたドットの補正ずれ量の一方から他方を減算して2で除した減算平均値を全ドットについてそれぞれ求めるとともに、ドットの補正ずれ量を加算して2で除した加算平均値を全ドットについてそれぞれ求めるようになっている。
各減算平均値は、インクの着弾位置のずれが、インクの吐出速度のずれにより生じる飛翔時間の誤差に起因することを示す時間起因成分であり、加算平均値は、インクの着弾位置のずれが、各ノズル8の主走査方向Xにおけるインクの出射角度の誤差に起因することを示す角度起因成分となっている。
具体的には、各減算平均値は、インクの吐出速度のずれにより生じるインクが記録媒体7に着弾するまでに要する時間の誤差分だけインクが落下する間にキャリッジ3が走査することにより生じる主走査方向における当該インクの着弾位置のずれを表している。そこで、制御部25は、各減算平均値に基づいて、式(3)によりインク飛翔時間の誤差からインクの吐出速度のずれ量を算出し、この算出された吐出速度のずれ量に基づいて、式(4)により圧電素子駆動回路13から各ノズル8に対して印加される電圧の補正値を取得して、この補正値に基づいて圧電素子駆動回路を制御してインクの吐出速度のずれを調整するようになっている。
吐出速度のずれ量=基準インク吐出速度−ノズルと記録媒体との距離×主走査速度
/(適正着弾位置+減算平均値) (3)
/(適正着弾位置+減算平均値) (3)
電圧補正値=現在の電圧値−吐出速度対電圧係数×吐出速度のずれ量 (4)
一方、上述の加算平均値は、各ノズル8の主走査方向Xにおけるインクの出射角度の誤差により生じる主走査方向Xにおける当該インクの着弾位置のずれを表しており、制御部25は、加算平均値に基づいて、エンコーダ37と同期をとって圧電素子駆動回路13を制御して、パルス状信号電圧の印加タイミングをインクが適正位置に着弾するように調整するようになっている。また、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットの補正ずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することによりインクの着弾位置のずれを調整するようになっている。
ここで、減算平均値及び加算平均値と、ノズル8のインク吐出速度のずれ及びノズル8のインク出射角度のずれとの関係について詳細に説明する。便宜上、先ず、ドットのずれがノズル8のインク吐出速度のずれのみに起因して生じている場合について説明すると、この場合においては、ドット列パターン26は、例えば、図14に示すように、往路ドットが適正位置より進行方向にずれているときは、これに対応する復路ドットも進行方向にずれており、往路ドットが適正位置より進行方向の逆側にずれているときは、これに対応する復路ドットも進行方向の逆側にずれて記録される。
これは、吐出速度が遅いノズル8からインクが吐出される場合は、インクが記録ヘッド9より吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間が長くなり、記録ヘッド9の主走査速度との関係で、吐出されたインクが適正位置を通過した後に記録媒体7に着弾するため、記録ヘッド9が往方向Aに移動しているときは、往方向Aと逆側にずれが生じ、記録ヘッド9が復方向Bに移動しているときは、復方向Bと逆側にずれが生じることによるものである。同様に、吐出速度が速いノズル8からインクが吐出される場合は、インクが記録ヘッド9より吐出されてから記録媒体7に着弾するまでの飛翔時間が短くなり、記録ヘッド9の主走査速度との関係で、吐出されたインクが適正位置まで移動する前に記録媒体7に着弾するため、記録ヘッド9が往方向Aに移動しているときは、往方向Aにずれが生じ、記録ヘッド9復方向Bに移動しているときは、復方向Bにずれが生じる。
この場合において、往方向Aへのずれをプラス、復方向Bへのずれをマイナスとして、往復それぞれのドット列について副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドット毎のずれをグラフに示すと、図15に示すように、X軸に対して対称なグラフとなる。
したがって、往復のドットの補正ずれ量を加算して2で除すると0となるため、全ドットの加算平均値をグラフに示すと、図16に示すようにy=0の直線となり、このことは、各ノズル8の主走査方向Xにおけるインクの出射角度のずれに起因する主走査方向Xにおけるインクの着弾位置のずれが生じていないことを表す。一方、全ドットの減算平均値をグラフに示すと、図16のようになり、各減算平均値は、対応するノズル8のインク吐出速度のずれに起因するインクの着弾位置のずれを表していることから、各減算平均値から圧電素子駆動回路13より各ノズル8に対して印加される電圧の補正値を算出し、この補正値に基づいて圧電素子駆動回路を制御してインクの吐出速度のずれを調整するとよい。
次に、ドットのずれがノズル8のインク出射角度のずれのみに起因して生じている場合について説明すると、この場合においては、ドット列パターン26は、例えば、図17に示すように、往路ドットが適正位置より往方向Aにずれているときは、これに対応する復路ドットも往方向Aにずれており、往路ドットが適正位置より復方向Bにずれているときは、これに対応する復路ドットも復方向Bにずれて記録される。
これは、出射角度が往方向Aにずれたノズル8からインクが吐出される場合は、インクも適正位置より往方向Aにずれて着弾し、出射角度が復方向Bにずれたノズル8からインクが吐出される場合は、インクも適正位置より復方向Bにずれて着弾することによるものであり、記録ヘッド9が往方向Aに移動しているときであっても、復方向Bに移動しているときであっても、出射角度のずれの方向には変わりがないためである。
この場合において、往方向Aへのずれをプラス、復方向Bへのずれをマイナスとして、往復それぞれのドット列について副走査方向Yの最上流から最下流までの全ドット毎のずれをグラフに示すと、図18に示すように、互いに重なり合うグラフとなる。
したがって、往復のドットの補正ずれ量を減算して2で除すると0となるため、全ドットの減算平均値をグラフに示すと、図19に示すようにy=0の直線となり、このことは、各ノズル8のインク吐出速度のずれに起因する主走査方向におけるインクの着弾位置のずれが生じていないことを表す。一方、全ドットの加算平均値をグラフに示すと、図19のようになり、各加算平均値は、対応するノズル8の主走査方向におけるインクの出射角度のずれに起因するインクの着弾位置のずれを表していることから、例えば、ノズル8が往方向Aに傾いている場合において、記録ヘッド9を往方向Aに移動させながら記録を行うときには、加算平均値分だけ手前の位置にインクが着弾するタイミングでパルス状信号電圧の印加するように調整し、記録ヘッド9を復方向Bに移動させながら記録を行うときには、加算平均値分だけ先の位置にインクが着弾するタイミングでパルス状信号電圧を印加するように調整するとよい。
さらに、制御部25は、ノズル8のインク吐出速度のずれ及びノズル8のインク出射角度のずれを調整した後に、ドット行パターン27を作成して読取装置21に読み取らせるようになっている。そして、ROM24には、適正な位置にインクを着弾させて記録した適正ドット行パターン27が記憶されており、制御部25は、読取装置21により読み取られたドット行パターン27のデータに基づいて、主走査方向に並ぶドット列のうち往路ドット行パターン27の副走査方向における最上流の主走査方向ドット列及び復路ドット行パターン27の副走査方向における最上流の主走査方向ドット列について、各ドットとこれに対応する適正ドットとの距離を着弾位置のずれとしてそれぞれ測定するようになっている。なお、各ドットについて、往復ドット行パターン27のそれぞれについて副走査方向に並ぶ全てのドットのずれの平均値を求めるようにしてもよい。
この着弾位置のずれは、記録媒体7の主走査方向Xに発生した波うちによって生じた各ノズル8と記録ヘッド9との距離の誤差分だけインクが落下する間にキャリッジ3が走査することにより生じる主走査方向Xにおける当該インクの着弾位置のずれを表している。
例えば、記録ヘッド9が往方向Aに移動しながらドット行パターン27を記録した場合においては図20に示すように、記録媒体7の波うちにより記録媒体7と記録ヘッド9との距離が大きくなっていく状態で記録されたドットは、主走査方向における間隔が疎になり、記録媒体7と記録ヘッド9との距離が小さくなっていく状態で記録されたドットは、主走査方向における間隔が密になっており、インクの着弾位置にずれが生じている。
ところで、この記録媒体7の主走査方向に生じた波うちは、記録媒体7の基本特性、インクジェットプリンタの搬送系やプラテンの特性、環境温湿度等の条件が同じであれば、概ね同様に発生するものであるため、ドット行パターン27のドットのずれに基づいて、インクの着弾位置を調整することにより、着弾位置のずれを解消させることが可能である。
そこで、制御部25は、エンコーダ37と同期をとって圧電素子駆動回路13を制御して、パルス状信号電圧の印加タイミングをインクが適正位置に着弾するように調整するようになっている。また、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットのずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することによりインクの着弾位置のずれを調整するようになっている。
次に、本実施形態の作用について説明する。
記録媒体7に画像の記録を行おうとする際には、図21に示すように、制御部25により搬送機構36、キャリッジ駆動機構4、圧電素子駆動回路13が作動し、ドット列パターン26が作成され(S1)、ドット列パターン26が作成されると読取装置21が作動して、ドット列パターン26を読み取る(S2)。
次に、制御部25により、読み取ったデータに基づいて、各ドットとこれに対応する適正ドット列の各ドットとの距離を着弾位置のずれとして測定し、往復それぞれの全ドット毎のずれを示す往路1次回帰直線32及び復路1次回帰直線33を取得する(S3)。そして、往復1次回帰直線32,33に基づいて、同一のノズル8により記録されたドットのずれ量を加算して2で除した値から加算平均直線34を取得するとともに、往復1次回帰直線32,33に基づいて、同一のノズル8により記録されたドットのずれ量の一方から他方を減算して2で除した値から減算平均直線35を取得することにより、インクの着弾位置のずれを角度起因成分と時間起因成分とに分離する(S4)。
次に、角度起因成分である加算平均直線34の傾きθを算出し(S5)、このθが0でない場合には(S6=Y)、制御部25により、ヘッド調整機構17が作動してθ分だけ記録ヘッド9が主走査方向Xに回動して、主走査方向Xにおける記録ヘッド9の傾きが調整される(S7)。
θが0である場合(S6=N)又は記録ヘッド9の主走査方向Xの傾きが調整された後は、時間起因成分である減算平均直線35に基づいて、インク飛翔時間の誤差から記録ヘッド9の高さの誤差を算出して高さ調整値Tとし(S8)、Tが0でない場合は(S9=Y)、制御部25によりヘッド調整機構17が作動してT分だけ記録ヘッド9の副走査方向Yの下流側端部が高さ方向に回動して、高さ方向における記録ヘッド9の傾きが調整される(S10)。
Tが0である場合(S9=N)又は記録ヘッド9の高さ方向の傾きが調整された後は、制御部25により各ドットの1次回帰直線32,33からのずれ量が、それぞれ補正ずれ量として取得される(S11)。
次に、制御部25により、読み取ったデータに基づいて、各ドットとこれに対応する適正ドット列の各ドットとの距離を着弾位置のずれとして測定し、往路復路において同一のノズル8により記録されたドットのずれ量の一方から他方を減算して2で除した減算平均値をするとともに、取得同一のノズル8により記録されたドットのずれ量を加算して2で除した加算平均値を取得することにより、インクの着弾位置のずれを時間起因成分と角度起因成分とに分離する(S12)。
次に、時間起因成分である減算平均値に基づいて、制御部25により、インク飛翔時間の誤差からインクの吐出速度のずれ量を算出し、この算出された吐出速度のずれ量に基づいて、圧電素子駆動回路13から各ノズル8に対して印加される電圧の補正値Eを取得する(S14)。このEが0でない場合には(S15=Y)、制御部25により、圧電素子駆動回路を制御してEに基づいて印加電圧値が調整される(S16)。
Eが0である場合(S15=N)又は印加電圧値が調整された後は、角度起因成分である加算平均値が0でない場合は(S17=Y)、制御部25により、エンコーダ37と同期をとって加算平均値に基づいて圧電素子駆動回路13が作動し、パルス状信号電圧の印加タイミングが、インクが適正位置に着弾するように調整される(S18)。
加算平均値が0である場合(S17=N)又はパルス状信号電圧の印加タイミングが調整された後、制御部25により、搬送機構36、キャリッジ駆動機構4、圧電素子駆動回路13が作動し、ドット行パターン27が作成され(S19)、ドット行パターン27が作成されると読取装置21が作動して、ドット行パターン27を読み取る(S20)。
次に、制御部25により、読み取ったデータに基づいて、各ドットとこれに対応する適正ドットとの距離を着弾位置のずれ量として測定し(S21)、このずれ量が0でない場合には(S22=Y)、制御部25により、エンコーダ37と同期をとってずれ量に基づいて圧電素子駆動回路13が作動し、パルス状信号電圧の印加タイミングが、インクが適正位置に着弾するように調整される(S23)。
ずれ量が0の場合(S22=N)又はパルス状信号電圧の印加タイミングが調整されると、インク着弾位置のずれの調整が終了し、この後に画像の記録動作が行われる。
以上より、本実施形態によれば、1次回帰直線32,33によるインクの着弾位置のずれを角度起因成分と時間起因成分とに分離し、角度起因成分に基づいて記録ヘッド9の主走査方向における傾きを補正するとともに、時間起因成分に基づいて記録ヘッド9の前記記録媒体7との間隔方向における傾きを補正し、1次回帰直線32,33からの各ドットのずれ量である補正ずれ量を時間起因成分と角度起因成分とに分離し、時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正するとともに、角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正することにより、個々のインク着弾位置のずれの原因に対応した適切かつ調整を容易にすることができ、良好な画像を得ることができる。さらに、ドット行パターン27のインク着弾位置のずれ量に基づいてインクの吐出タイミングを補正することにより、記録媒体7の波うちに起因して生じたインク着弾位置のずれを適切かつ容易に調整することができ、より良好な画像を得ることができる。
なお、本実施形態においては、インク着弾位置測定パターンを読み取る読取装置21と、読み取られたインク着弾位置測定パターンに基づいてインクの着弾位置のずれを起因成分に分離し、分離した各起因成分に対応した手段によりそれぞれインクの着弾位置を調整する制御部25とを備えるインクジェットプリンタにより、本発明によるインク着弾位置調整方法を実表するようにしたが、本発明によるインク着弾位置調整方法はこれに限るものではない。例えば、インク着弾位置測定パターンを読み取る読取装置21及び読み取られたインク着弾位置測定パターンに基づいてインクの着弾位置のずれを起因成分に分離する制御装置をインクジェットプリンタとは別に構成し、ユーザが各起因成分に基づいて、記録ヘッド9の傾きを調整したり、パルス状信号電圧の電圧値及び印加タイミングを設定するようにしてもよい。
1 インクジェットプリンタ
7 記録媒体
8 ノズル
9 記録ヘッド
17 ヘッド調整機構
21 読取装置
25 制御部
26 ドット列パターン
27 ドット行パターン
32 往路1次回帰直線
33 復路1次回帰直線
34 加算平均直線
35 減算平均直線
7 記録媒体
8 ノズル
9 記録ヘッド
17 ヘッド調整機構
21 読取装置
25 制御部
26 ドット列パターン
27 ドット行パターン
32 往路1次回帰直線
33 復路1次回帰直線
34 加算平均直線
35 減算平均直線
Claims (11)
- インクを吐出するノズルを形成してなる記録ヘッドを主走査方向に往復移動させながら前記ノズルから記録媒体に対して前記インクを吐出させるとともに、前記主走査方向と直行する副走査方向に前記記録媒体を搬送させて記録する画像の前記インクの着弾位置を調整するインク着弾位置調整方法において、
前記記録ヘッドの往方向、復方向それぞれの移動時に前記ノズルからインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターンを作成するドット列パターン作成工程と、
前記ドット列パターン作成工程により作成された前記ドット列パターンを読み取る読取工程と、
前記読取工程により読み取られた前記ドット列パターンのデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離する解析工程と、
前記解析工程により分離された各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整する調整工程とを有することを特徴とするインク着弾位置調整方法。 - 前記ドット列パターン作成工程は、隣接するドットが互いに重なり合わないように作成されることを特徴とする請求項1に記載のインク着弾位置調整方法。
- 前記解析工程は、各ドットのずれ量を示す1次回帰直線を往復ドット列のそれぞれについて取得し、前記1次回帰直線に基づいて、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を加算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した加算平均直線を取得して前記角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量のいずれか一方から他方を減算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した減算平均直線を取得して前記時間起因成分とし、前記調整工程は、前記角度起因成分に基づいて前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインク着弾位置調整方法。
- 前記解析工程は、往復ドット列の全ドットについて、ドットのずれ量を加算して2で除した加算平均値を求めて前記角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を減算して2で除した減算平均値を求めて前記時間起因成分とし、前記調整工程は、前記角度起因成分に基づいてインクの吐出タイミングを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいてインクの吐出速度を補正することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のインク着弾位置調整方法。
- 前記調整工程は、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットのずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することを特徴とする請求項4に記載のインク着弾位置調整方法。
- 往方向及び復方向の少なくとも一方の移動時に前記ノズルから前記インクを吐出させ一定範囲の主走査方向に並ぶドット行を記録してなるドット行パターンを作成するドット行パターン作成工程と、
前記ドット行パターンを読み取る、ドット行読取工程と、
前記ドット行読取工程により読み取られた前記ドット行パターンのデータよりインクの着弾位置のずれ量を求め、このずれ量に基づいてインクの吐出タイミングを補正するタイミング調整工程とを有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のインク着弾位置調整方法。 - 前記タイミング調整工程は、ドットのずれにより1画素以上のずれが生じる場合には、ドットのずれ量に基づいて、記録を行おうとする画像の画像データを補正することを特徴とする請求項6に記載のインク着弾位置調整方法。
- インクを吐出するノズルを形成してなる記録ヘッドを有し、前記記録ヘッドから記録媒体に対して前記インクを吐出させながら前記記録ヘッドを主走査方向に往復移動させるとともに、前記記録媒体を主走査方向と直行する副走査方向に搬送させて画像を記録するインクジェットプリンタにおいて、画像の記録に関する制御を行う制御部と、記録された画像を読取可能な読取装置とを有し、前記制御部は、前記記録ヘッドの往方向、復方向それぞれの移動時に前記ノズルからインクを吐出させ少なくとも副走査方向に並ぶ1列のドット列を記録してなるドット列パターンを作成させるとともに、前記読取装置に前記ドット列パターンを読み取らせ、この読み取らせた前記ドット列パターンのデータに基づいて、インクの着弾位置のずれを、インクが記録ヘッドより吐出されてから記録媒体に着弾するまでの飛翔時間の誤差に起因する時間起因成分と、主走査方向に対する記録ヘッド又はノズルの角度の誤差に起因する角度起因成分とに分離し、この分離された各起因成分に基づいてインクの着弾位置を調整することを特徴とするインクジェットプリンタ。
- 前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを調整する第1ヘッド調整機構と、前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを調整する第2ヘッド調整機構とを有し、前記制御部は、各ドットのずれ量を示す1次回帰直線を往復ドット列のそれぞれについて取得し、前記1次回帰直線に基づいて、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を加算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した加算平均直線を取得して角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量のいずれか一方から他方を減算して2で除した値を全ドットについて求め直線グラフに表した減算平均直線を取得して時間起因成分とし、前記角度起因成分に基づいて前記第1ヘッド調整機構を制御して前記記録ヘッドの主走査方向における傾きを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記第2ヘッド調整機構を制御して前記記録ヘッドの前記記録媒体との間隔方向における傾きを補正することを特徴とする請求項8に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記記録ヘッドは、インク流路を形成する圧電素子と前記圧電素子に接続される圧電素子駆動回路を有し、前記圧電素子駆動回路によりパルス状信号電圧が印加されることにより前記圧電素子が膨張してインク流路を圧縮してインクを吐出するようになっており、前記制御部は、往復ドット列の全ドットについて、ドットのずれ量を加算して2で除した加算平均値を求めて前記角度起因成分とするとともに、同一のノズルからインクを吐出して記録されたドットのずれ量を減算して2で除した減算平均値を求めて前記時間起因成分とし、前記角度起因成分に基づいて前記圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の印加タイミングを補正するとともに、前記時間起因成分に基づいて前記圧電素子駆動回路により印加されるパルス状信号電圧の電圧値を補正することを特徴とする請求項8又は請求項9に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記制御部は、往方向及び復方向の少なくとも一方の移動時に前記ノズルから前記インクを吐出させ一定範囲の主走査方向に並ぶドット行を記録してなるドット行パターンを作成させるとともに、前記読取装置に前記ドット行パターンを読み取らせ、この読み取らせた前記ドット列パターンのデータによりインクの着弾位置のずれ量を求め、このずれ量に基づいてインクの吐出タイミングを補正することを特徴とする請求項8から請求項10のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
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