JP2005126393A - 放香防虫製品 - Google Patents
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Abstract
【課題の解決】常温揮散性防虫成分として、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
【化1】
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種を担体に含浸させ、これ自体又はこれを通気性保持体に収納してなる防虫材を、放香器に取りはずし可能に装填した放香防虫製品。
【選択図】図1
Description
一方、防虫性、すなわちある種の害虫忌避効果を有するハーブ成分を上記香料成分に置き換えて、芳香を発するとともに虫よけ効果を兼備した製剤を提供しようとする試みもある。しかしながら、ハーブ成分の防虫作用は弱く、例えば玄関に置いたような場合、芳香感を与えるだけに留まり、満足のいく虫よけ効果を奏し得ない。
一方、特開2003−189777号公報は、薬液吸液性の加工体に揮散性薬剤を含む定量の薬液を供給しうる薬液供給装置を開示する。ここでは、揮散性薬剤として、後記する一般式(I)の殺虫剤を含み得るとの記載があるものの、幾多の殺虫剤、殺菌剤、忌避剤、芳香剤等のうちの一例として一般式(I)の化合物を挙げているに過ぎず、もちろん、特開2000−247807号公報と同様、通常の放香機能を保持した上で、所望の時期(例えば夏季)だけ虫よけ作用を付与しようとする発想は全くない。
(1)常温揮散性防虫成分として、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種を担体に含浸させ、これ自体又はこれを通気性保持体に収納してなる防虫材を、放香器に取りはずし可能に装填した放香防虫製品。
(2)常温揮散性防虫成分の1日あたりの揮散量を0.2〜10mg/日とした(1)に記載の放香防虫製品。
(3)芳香器が造花を備えてなり、かつ防虫材を造花の集合体が形成する間隙に装填した(1)又は(2)に記載の放香防虫製品。
(4)担体が、セルロース製ビーズ、又はセルロース製シートもしくはハニカム構造体である(1)ないし(3)のいずれかに記載の放香防虫製品。
(5)担体の総表面積が、50〜300cm2である(1)ないし(4)のいずれかに記載の放香防虫製品。
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種であり、従来のアレスリン、フラメトリン及びプラレトリンに比べて蒸気圧が高く、蚊、ハエ、ブユ、ユスリカなどの害虫に対する虫よけ効果や吸血阻止効果も優れている。防虫成分の酸成分において、不斉炭素に基づく光学異性体や幾何異性体が存在する場合、それらの各々や任意の混合物も本発明に包含されることはもちろんである。
なかでも、一般式(II)
(式中、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物に該当する化合物B、化合物E、化合物H及び化合物Jが好適である。
担体の材質としては吸液性担体が用いられ、例えば紙、パルプ、ビスコースなどのセルロース系担体、2,4,6−トリイソプロピル−1,3,5−トリオキサン[商品名:サンサブリ(小川香料株式会社製)]、トリシクロドデカン[商品名:アイサワーD(出光石油化学株式会社製)]、アダマンタンなどの昇華性物質、エチレン−酢酸ビニール系樹脂、オレフィンポリマーなどの合成樹脂担体、ケイ酸カルシウムなどの無機質担体などがあげられる。なかでも、天然由来の紙、パルプ、ビスコースなどのセルロース系担体が好ましく、これらを粒状もしくは略粒状で、その平均外径が2mm〜8mm程度となるように形成したビーズが使いやすい。例えば、発泡セルロースビーズ[商品名:ビスコパール(レンゴー株式会社製)]が好適で、薬剤含浸性をより高めた材質のものも入手可能である。
また、吸液性担体はシート状もしくはハニカム構造体であってよく、この場合、襞状に形成すると表面積が増えるので防虫成分の揮散量を高め得る。
担体の総表面積が拡がるにつれて防虫成分の揮散量は増加するが、本発明では放香器にコンパクトな形態で取りはずし可能に装填することを特徴としているため、50〜300cm2、なかんずく50〜100cm2程度が好ましい。
なお、含浸に際し、必要ならば適宜、石油系、芳香族炭化水素系、アルコール系などの溶剤を用いることができ、また必要に応じ界面活性剤、分散剤、安定剤、着色剤、帯電防止剤などを適宜配合してもよいが、防虫成分の使用時の揮散性能を考慮すると、防虫成分濃度が可能な限り高濃度(例えば50重量%以上)の油性原液を使用するのが好ましい。更に、常温揮散性防虫成分の揮散性能に支障を来たさない限りにおいて、揮散性の高い他の殺虫、防虫、忌避成分(例えば、ディート、ヒノキチオール等)、殺菌剤、消臭剤等を添加して多目的薬剤組成物とすることもできる。
なお、本発明で用いる防虫材は、放香器に取りはずし可能に装填されることを特徴とするので、必要に応じ取り付け具を備えるのが好ましい。
通気性のセルロース系素材、不織布もしくはプラスチックフィルム製袋も一般に入手できるものを任意に使用できるが、常温揮散性防虫成分の担体からの揮散を抑えすぎないように留意する必要がある。また、防虫材に使用の終点を示すインジケーター機能(例えば変色機能)を付与すれば一層便利である。
本発明で用いられる放香器は、ボトルに充填した芳香液を吸液芯で吸い上げ蒸散させるタイプ、芳香ゲル収納容器と蒸散孔を有するキャップから構成されるタイプ、陶器製品等に含浸させた芳香成分を徐々に放散させるタイプなど、一般に入手できる種々の形態を採用できる。
芳香成分としては、例えばオレンジ油、レモン油、ライム油、ユズ油、ラベンダー油、ペパーミント油、ユーカリ油、ジャスミン油、檜油、緑茶精油等の天然香料や、リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデヒド、クミンアルデヒド、ベンジルアセテート、リモネン、α−ピネン、δ−ドデカラクトン等の合成香料があげられ、これらは通常の方法に従って芳香液や芳香ゲル等に調製される。
なお、防虫材が装填される近傍に、電池やゼンマイ等で駆動するファンを備え、防虫成分の揮散を高めることは有用である。本発明では、極弱い風力を与えるだけで十分なので、ゼンマイ等による物理的手段がより適している。
造花は、布又はプラスチック製で、アジサイ、スズラン、バラ、除虫菊など、各種の花を模して作製される。プラスチックの材質としては、薬剤非吸着性のポリエスル(PET、PBTなど)、ポリアミド、ポリアセタール等が好ましいが、造花の集合体が形成する間隙が比較的大きい場合などはPEやPPでも構わない。
また、造花の見かけの体積は100〜1000cm3程度がよく、ここで、見かけの体積とは、以下の測定方法に従って得られる値を意味する。
1)先ず造花部分をプラスチック製の袋に入れる。
2)上記袋を外部より軽く押さえて内部の空気を抜きながら、造花の外周に相当する部分を袋外部よりヒートシールして袋を密封する。
3)次に、水の張った大きめの腰高シャーレに上記2)で得られた造花入りの袋を沈め、その際の体積の増加分を「造花の見かけの体積」とする。
更に、造花の枝の材質として屈曲性の高いものを用い、造花の位置関係を任意に変えられる形態を採用することも有用である。
粒径3mmで緑色に着色したビスコパール0.8gに、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物E)100mgとパラフィン系溶剤20mgからなる薬液を均一に含浸させ、この薬剤含浸担体2を金属製ネット保持体3に収納して防虫材(葉を模した形状)4を調製した。放香器5に備えられた造花(スズランを模して作製)6の茎部に、前記防虫材4を装填して、本発明の放香防虫製品1を得た。なお、放香器5は、ジャスミン系芳香液を充填し吸液芯7を具備した薬液ボトル8の上部に造花支持台9が配設されたものである。
こうして得られた放香防虫製品1をリビングのサイドボードの上に置いて夏季使用したところ、常温揮散性防虫成分の1日あたりの揮散量は1.4mg/日で、およそ2ケ月間にわたり、蚊の刺咬被害を受けることなく芳香感を満喫できた。また、防虫材4は造花本来の葉とほとんど区別がつかず、造花のインテリア性を損なうこともなかった。10月以降は防虫材4を取りはずし、放香機能のみ奏する製品として使用を継続した。
大きさが2×3cmの波状段ボールを高さ3cmに積層して形成したセルロース製ハニカム構造体10に、4−メトキシメチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジル−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(化合物H)200mgとパラフィン系溶剤50mgからなる薬液を含浸させ、これを防虫材4として供した。ラベンダー系芳香ゲル収納容器11の上方に設けた通気性シート12の上に防虫材4(10)を載置し、蒸散孔13とゼンマイ[図示せず]で駆動するファン14を有するキャップ15を被せて本発明の放香防虫製品1を得た。
こうして得られた放香防虫製品1を、夏の間玄関の棚に置いて使用した。朝、ゼンマイを手動させて外出したところ、日中ファンが作動して防虫成分と香料が効率的に拡散し、夕方の帰宅時に玄関から蚊が侵入するのを完全に抑止できるとともに、芳香感を楽しめた。常温揮散性防虫成分の1日あたりの揮散量は3.0mg/日で、この1日毎のサイクルを2ケ月間継続できた。その後、防虫材4(10)を取りはずし、冬季は放香機能のみ奏する製品として使用した。
密閉した6畳の部屋の中央床面に金網で固定したマウスと供試放香防虫製品を設置し、アカイエカ雌成虫50匹を放ち、2時間後供試虫を回収して吸血虫数を数え、吸血率を求めた(供試放香防虫製品区)。同時に同じ広さの部屋で薬剤を設置せずに同様の試験を行い(コントロール区)、その吸血率から次式により吸血阻止率を求めた。
これに対し、比較例1のように、蒸気圧の比較的低いd,d−T80−プラレトリンを用いた場合、蚊に対する吸血阻止効果が低かった。特開2000−247807号公報の開示技術に基づく比較例2では、放香機能と虫よけ作用を分けることができず、また、広い面積のシート状含浸担体を要するため、この薬剤含浸担体を用いて造花を形成した結果は、インテリア性が劣るばかりか、薬剤含浸担体に皮膚等が触れやすいという安全性上の危惧が免れ得なかった。更に、特開2003−189777号公報が開示する比較例3の方法では、エアゾールの種類を替えて所望の時期だけ虫よけ作用を付与することはできるが、エアゾールを多種類準備する必要がある上、比較例2と同様に安全性上の問題が避けられず本発明の目的に合致しなかった。
2.薬剤含浸担体
3.金属製ネット保持体
4.防虫材
5.放香器
6.造花
7.吸液芯
8.薬液ボトル
9.造花支持台
10.ハニカム構造体
11.芳香ゲル収納容器
12.通気性シート
13.蒸散孔
14.ファン
15.キャップ
Claims (5)
- 常温揮散性防虫成分として、エムペントリン、テフラメトリン及び一般式(I)
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表す。Xが水素原子の時、Yはビニル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2,2−ジクロロビニル基、2,2−ジフルオロビニル基又は2−クロロ−2−トリフルオロメチルビニル基を表し、Xがメチル基の時、Yはメチル基を表す。また、Zは水素原子、フッ素原子、メチル基、メトキシメチル基又はプロパルギル基を表す)で表されるフッ素置換ベンジルアルコールエステル化合物から選ばれた1種又は2種を担体に含浸させ、これ自体又はこれを通気性保持体に収納してなる防虫材を、放香器に取りはずし可能に装填したことを特徴とする放香防虫製品。 - 常温揮散性防虫成分の1日あたりの揮散量を0.2〜10mg/日としたことを特徴とする請求項1に記載の放香防虫製品。
- 芳香器が造花を備えてなり、かつ防虫材を造花の集合体が形成する間隙に装填したことを特徴とする請求項1又は2に記載の放香防虫製品。
- 担体が、セルロース製ビーズ、又はセルロース製シートもしくはハニカム構造体であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の放香防虫製品。
- 担体の総表面積が、50〜300cm2であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の放香防虫製品。
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