しかしながら、特許文献1に示されたセルフロック機構付きプリント基板用コネクタは、セルフロック機構における保持力が、必要に応じて両コネクタを分離するのを防止するほど大きいものではなく、かえし付きビームを含む両ハウジングは、液晶ポリマー等の熱塑性プラスチックから形成するのが好ましいとしており、対向する両プリント基板を確実に結合するものではない。
更に、特許文献1に示されたセルフロック機構付きプリント基板用コネクタは、両コネクタにそれぞれかえし付きビーム(いわゆる、ロックアーム)と開口を形成しており、このロック機構は両プリント基板間の対向間隔を大きくするものである。
例えば、前述のDVCにおけるメインプリント基板とサブプリント基板は、それぞれ実装部品と配線パターンで過密実装となっており、メインプリント基板とサブプリント基板とを支柱でねじ止めする余裕がなくなっている。近年の小型化した電子機器(例えば、携帯電話やPDA)にあっては、セルフロック方式であっても両プリント基板間の対向間隔を小さいものとし、両プリント基板間を確実に結合できるプリント基板用コネクタが求められている。
本発明は、上述した課題を解決すべく、ロック機構を有するプリント基板用コネクタにおいて、両プリント基板間の対向間隔を小さいものとし、両プリント基板間を確実に結合できるプリント基板用コネクタを提供することを目的とする。
発明者は、上記目的を満たすため、対向するコネクタを貫通してその向こう側の面で係止される構造としたことを特徴とする。より具体的には、以下のような新たなプリント基板用コネクタを発明した。
(1) 対向する一方のプリント基板にプラグが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、当該プラグと当該リセプタクルが嵌合することにより電気接続するプリント基板用コネクタであって、前記プラグは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止されることを特徴するプリント基板用コネクタ。
(2) 対向する一方のプリント基板にプラグが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、当該プラグと当該リセプタクルが嵌合することにより電気接続するプリント基板用コネクタであって、前記プラグは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記リセプタクルを貫通し、更に、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止されることを特徴するプリント基板用コネクタ。
(3) 前記プラグと前記リセプタクルとは、それぞれがプリント基板に表面実装される低背型のコネクタであることを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載のプリント基板用コネクタ。
(4) 前記一対のロックアームの先端部は、対向するように突出する一対の爪を備えており、当該一対の爪は、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止されることを特徴する(1)又は(2)のいずれかに記載のプリント基板用コネクタ。
(5) 前記一対のロックアームは金属で組成されており、当該金属で形成されるロックアームは先端部と反対側の基部が前記プラグの両翼に圧入されていることを特徴とする(4)記載のプリント基板用コネクタ。
(6) 前記一対のロックアームは金属で組成されており、当該金属で形成されるロックアームは先端部と反対側の基部が前記プラグの両翼にモールディングされていることを特徴とする(4)記載のプリント基板用コネクタ。
(7) 前記プラグはハウジングが合成樹脂で組成されており、当該プラグハウジングと前記一対のロックアームが合成樹脂材で一体に成形されていることを特徴とする(4)記載のプリント基板用コネクタ。
(8) 前記一対のロックアームの先端部は、二股に分割されていることを特徴とする(5)から(7)のいずれかに記載のプリント基板用コネクタ。
(9) 前記一対のロックアームにおける先端部の間隔は、先端部と反対側の基部の取り付け間隔より広くなっていることを特徴とする(5)から(7)いずれかに記載のプリント基板用コネクタ。
(10) 前記金属で形成されるロックアームにおける基部は、前記一方のプリント基板にはんだ接合されることを特徴とする(5)又は(6)のいずれかに記載のプリント基板用コネクタ。
(11) 前記プラグは、デュアルインライン状に配列されている複数の第1コンタクトを備えており、当該第1コンタクトは上腕と下腕を円弧部で連結する倒立Uの字状に形成されており、当該一対の円弧部が対向するように配置されており、当該一対の上腕は当該プラグの上部にそれぞれ保持されており、当該一対の下腕の縁端部は相反するように配置されており、前記リセプタクルは、デュアルインライン状に配列されている複数の第2コンタクトを備えており、当該第2コンタクトは立設腕と横設腕とでLの字状に形成されており、当該一対の立設腕が対向するように配置されており、当該一対の横設腕は当該リセプタクルの下部にそれぞれ保持されており、前記プラグを前記リセプタクルに挿入すると、前記第2コンタクトにおける一対の立設腕は、前記第1コンタクトにおける一対の下腕の縁端部を挟むように弾性接触されることを特徴とする(3)記載のプリント基板用コネクタ。
(1)記載の発明によれば、「対向する一方のプリント基板にプラグが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、当該プラグと当該リセプタクルが嵌合することにより電気接続するプリント基板用コネクタであって、前記プラグは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止される」ことを特徴としてよい。
本発明における「プラグ」と「リセプタクル」との区別は便宜的なものであって、本質的な区別はない。シェルタイプの多極コネクタとなる「プラグ」にあっては、通常、雌コンタクトが取り付けられており、シェルタイプの多極コネクタとなる「リセプタクル」にあっては、通常、雄コンタクトが取り付けられている。
しかしながら、この「雄コンタクト」と「雌コンタクト」とは、形態による区別であって、本発明にあっては、「プラグ」にいわゆる「雄コンタクト」が取り付けられ、「リセプタクル」にいわゆる「雌コンタクト」が取り付けられてもよい。
又、本発明にあっては、対向する一方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にプラグが取り付けられていてもよい。したがって、(1)記載の発明は、「前記リセプタクルは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記プラグが取り付けられている当該一方のプリント基板における前記リセプタクルの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止される」ことを特徴としてもよい。
更に、本発明は、「対向する一方のプリント基板にプラグが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、当該プラグと当該リセプタクルが嵌合することにより電気接続するプリント基板用コネクタであって、前記プラグは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記リセプタクルを貫通し、更に、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止される」ことを特徴としてよい。
そして、本発明は、「前記プラグと前記リセプタクルとは、それぞれがプリント基板に表面実装される低背型のコネクタである」ことを特徴としてよい。
一対のロックアームはプラグハウジングの長手方向の両翼から突出しており、この一対のロックアームは、先端部に対向するように突出する楔状の一対の爪を備えている。なお、この一対のロックアームは、先端部に相反するように突出する一対の爪を備えてもよい。好適な実施様態においては、これら一対の爪が装置内の配線材等に引っ掛からないように、一対の爪を対向配置することが好ましい。
一方、一対のロックアームと対向するプリント基板には、一対の爪と係止する一対の穴が形成されている。そして、一対のロックアームの先端部を前記一対の穴に挿入すると、対向する一対の爪は前記一対の穴の内壁によって僅かに広げられる。一対のロックアームを更に挿入すると、一対のロックアームの先端部は弾性復帰して一対の穴を挟持するようにして、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止される。
一対の爪と係止する一対の穴は、リセプタクルハウジングにおける長手方向の両縁端部外に形成されてもよく、リセプタクルハウジングの長手方向の両縁部に一対の爪が通過する穴が形成され、当該リセプタクルハウジングに形成された一対の通過穴の延長下となるプリント基板に、一対の爪と係止する一対の穴が形成されてもよい。当該リセプタクルハウジングに形成された一対の通過穴は、リセプタクルハウジングにおける長手方向の両縁端部が切り欠かれた穴であってもよい。
好適な実施態様において、この一対のロックアームは金属で組成されており、当該金属で形成されるロックアームは先端部と反対側の基部が前記プラグの両翼に圧入されてよく、当該金属で形成されるロックアームは先端部と反対側の基部が前記プラグの両翼にモールディングされてもよい。
又、好適な実施態様において、プラグはハウジングが合成樹脂で組成されており、当該プラグハウジングと前記一対のロックアームが合成樹脂材で一体に成形されていてもよい。一対のロックアームとプラグハウジングが一体成形される好適な合成樹脂材としては、PPS(polyphenylene sulfide、ポリフェニレンスルフィド)やPBT(polybutylene terephthalate、ポリブチレンテレフタレート)等のエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
好適な実施態様において、金属で形成される一対のロックアーム、又は合成樹脂で形成される一対のロックアームは、「一対のロックアームの先端部は、二股に分割されている」ことを特徴としてよい。このように、一対のロックアームの先端部が二股に分割されることによって、プラグの姿勢が安定する。
又、好適な実施態様において、金属で形成される一対のロックアーム、又は合成樹脂で形成される一対のロックアームは、「一対のロックアームにおける先端部の間隔は、先端部と反対側の基部の取り付け間隔より広くなっている」ことを特徴としてよい。
このような、プラグハウジングの横幅より広い幅を有する一対のロックアームは、リセプタクルハウジングの遠隔に一対の爪と係止する一対の穴を形成可能とするものである。
好適な実施態様において、「金属で形成されるロックアームにおける基部は、前記一方のプリント基板にはんだ接合される」ことを特徴としてよい。
このように、プラグハウジングに固定されているロックアームにおける基部を一方のプリント基板にはんだ接合することによって、プラグハウジングと一方のプリント基板との接合を補強するものである。
弾性を有しており、はんだ接合が容易なロックアームに適合する金属としては、銅合金例えば、りん青銅板やベリリウム青銅板であってよい。そして、ロックアームとなる銅合金板にニッケルめっきやクロムめっきが施されてよい。このロックアームは、耐磨耗性を確保するためには鋼薄板で成形されてもよい。鋼薄板にニッケルめっきやクロムめっきが施されてよい。
好適な実施態様において、「前記プラグは、デュアルインライン状に配列されている複数の第1コンタクトを備えており、当該第1コンタクトは上腕と下腕を円弧部で連結する倒立Uの字状に形成されており、当該一対の円弧部が対向するように配置されており、当該一対の上腕は当該プラグの上部にそれぞれ保持されており、当該一対の下腕の縁端部は相反するように配置されており、前記リセプタクルは、デュアルインライン状に配列されている複数の第2コンタクトを備えており、当該第2コンタクトは立設腕と横設腕とでLの字状に形成されており、当該一対の立設腕が対向するように配置されており、当該一対の横設腕は当該リセプタクルの下部にそれぞれ保持されており、前記プラグを前記リセプタクルに挿入すると、前記第2コンタクトにおける一対の立設腕は、前記第1コンタクトにおける一対の下腕の縁端部を挟むように弾性接触される」ことを特徴としてよい。
このような第1コンタクトが配列されるプラグと、第2コンタクトが配列されるリセプタクルとは、それぞれがプリント基板に表面実装される低背型のコネクタを可能とするものである。更に、第1及び第2コンタクトの接合タブがそれぞれのプリント基板に交互にはんだ接合されることによって、いわゆる千鳥配列されることによって、多極のプラグ及びリセプタクルをプリント基板に高密度に実装可能とするものである。
本発明は、「対向する一方のプリント基板にプラグが取り付けられており、対向する他方のプリント基板にリセプタクルが取り付けられており、当該プラグと当該リセプタクルが嵌合することにより電気接続するプリント基板用コネクタであって、前記プラグは両翼に一対のロックアームを備えており、当該ロックアームの先端部は、前記リセプタクルが取り付けられている当該他方のプリント基板における前記プラグの対向面から当該対向面の反対側の面まで貫通し、当該反対側の面において当該プリント基板に係止される」ので、両プリント基板間の対向間隔を従来のプリント基板用コネクタより小さいものとすることができる。
又、このようなロック機構を有するプリント基板用コネクタは、両プリント基板間を機構的にも電気的にも確実に結合できる。
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は、本発明によるプリント基板用コネクタ(以下、基板用コネクタと略称する。)の一実施形態を示す斜視外観図である。図1において、符号1はプラグ、符号2はリセプタクルである。
図1の実施形態において、対向する一方のプリント基板10にプラグ1が取り付けられており、対向する他方のプリント基板20にリセプタクル2が取り付けられている。そして、プラグ1の中央部には複数の第1コンタクト4が配列され、リセプタクル2の中央部には複数の第2コンタクト5が配列されている。このプラグ1とこのリセプタクル2が嵌合することにより電気接続する。
図1に示されるように、プラグ1は両翼に一対のロックアーム3A及び3Bを備えている。一対のロックアーム3A及び3Bはプラグハウジング1Hの長手方向の両翼から突出しており、この一対のロックアーム3A及び3Bは、各先端部31A及び31Bにおいて対向するように突出する楔状の一対の爪32A及び32Bを備えている。
一方、一対のロックアーム3A及び3Bと対向するプリント基板20には、一対の爪32A及び32Bと係止する一対の穴20A及び20Bが形成されている。一対の爪32A及び32Bと係止する一対の穴20A及び20Bは、リセプタクルハウジング2Hにおける長手方向の両縁端部外に形成されている。
図1の実施形態において、一対のロックアーム3A及び3Bは金属で組成されており、金属で形成されるロックアーム3A及び3Bは、各先端部31A及び31Bと反対側の基部33A及び33Bが合成樹脂のプラグハウジング1Hの両翼に圧入されている。なお、金属で形成されるロックアーム3A及び3Bは、基部33A及び33Bがプラグハウジング1Hの両翼にモールディングされてもよい。
更に、プラグ1はハウジングがPPSやPBT等の合成樹脂で組成されており、このプラグハウジング1Hと一対のロックアーム3A及び3Bがこの合成樹脂材で一体に成形されていてもよい。
図1において、金属で形成されるロックアーム3A及び3Bにおける基部33A及び33Bは、プリント基板10にはんだ接合される。このように、プラグハウジング1Hに固定されているロックアーム3A及び3Bにおける基部33A及び33Bをプリント基板10にはんだ接合することによって、プラグハウジング1Hとプリント基板10との接合を補強する。
次に、図1に示される基板用コネクタの作用を図2と図3により説明する。図2は、プラグ1とリセプタクル2が嵌合する前の状態図であり、図2(a)は図1に示される基板用コネクタの正面図、図2(b)は図2(a)の右側面図である。一方、図3は、プラグ1とリセプタクル2が嵌合した状態図であり、図3(a)は図1に示される基板用コネクタの正面図、図3(b)は図3(a)の右側面図である。
図2において、一対のロックアーム3A及び3Bと対向するプリント基板20には、一対の爪32A及び32Bと係止する一対の穴20A及び20Bが形成されている。そして、プラグ1をプリント基板10と共に降下させ、一対のロックアーム3A及び3Bの先端部31A及び31Bを一対の穴20A及び20Bに挿入すると、対向する一対の爪32A及び32Bは一対の穴20A及び20Bの内壁によって僅かに広げられる。
一対のロックアーム3A及び3Bを更に挿入すると、一対のロックアーム3A及び3Bの先端部31A及び31Bは弾性復帰する。図3において、一対のロックアーム3A及び3Bは、プリント基板20を貫通して、一対の穴20A及び20Bを挟持するようにして、プリント基板20のウラ面に係止される。
このようなロック機構を有する基板用コネクタは、両プリント基板間を機構的にも電気的にも確実に結合している。そして、ロックアームの先端部は、リセプタクルが取り付けられている他方のプリント基板を貫通して当該プリント基板のウラ面に係止されているので、両プリント基板間の対向間隔を従来と比較して小さいものとすることができる。
次に、図1における一対のロックアーム3A及び3Bとは異なる構造をもつ一対のロックアーム3C及び3Dを備える基板用コネクタを図4と図5により説明する。図4は、一対のロックアーム3C及び3Dを備えるプラグ1とリセプタクル2が嵌合する前の状態図であり、図1におけるロックアームとは異なる構造をもつロックアームを備える基板用コネクタの正面図である。図5は、一対のロックアーム3C及び3Dを備えるプラグ1とリセプタクル2が嵌合した状態図であり、図1におけるロックアームとは異なる構造をもつロックアームを備える基板用コネクタの正面図である。
図4に示されるように、一対のロックアーム3C及び3Dは、プラグ1の底面から延出して直ちに相反するようにそれぞれ直角に折り曲げられており、更に直角に折り曲げられてリセプタクル2側に突出している一対の先端部31C及び31Dが形成されている。
そして、この一対のロックアーム3C及び3Dは、各先端部31C及び31Dにおいて対向するように突出する楔状の一対の爪32C及び32Dを備えている。この一対のロックアーム3C及び3Dにおける先端部31C及び31Dの間隔は、先端部31C及び31Dと反対側の各基部33C及び33Dの取り付け間隔より広くなっている。
図4の実施形態において、この一対のロックアーム3C及び3Dは金属で組成されており、金属で形成されるロックアーム3C及び3Dは、基部33C及び33Dが合成樹脂のプラグハウジング1Hの両翼に圧入されている。なお、金属で形成されるロックアーム3C及び3Dは、基部33C及び33Dがプラグハウジング1Hの両翼にモールディングされてもよい。更に、プラグ1はハウジングがPPSやPBT等の合成樹脂で組成されており、このプラグハウジング1Hと一対のロックアーム3C及び3Dがこの合成樹脂材で一体に成形されていてもよい。
図4において、一対のロックアーム3C及び3Dと対向するプリント基板20には、一対の爪32C及び32Dと係止する一対の穴20C及び20Dが形成されている。そして、プラグ1をプリント基板10と共に降下させ、一対のロックアーム3C及び3Dの先端部31C及び31Dを一対の穴20C及び20Dに挿入すると、対向する一対の爪32C及び32Dは一対の穴20C及び20Dの内壁によって僅かに広げられる。
一対のロックアーム3C及び3Dを更に挿入すると、一対のロックアーム3C及び3Dの先端部31C及び31Dは弾性復帰する。図5において、一対のロックアーム3C及び3Dは、プリント基板20を貫通し、一対の穴20C及び20Dを挟持するようにして、プリント基板20のウラ面に係止される。
図5に示されるように、プラグハウジング1Hの横幅より広い幅を有する一対のロックアーム3C及び3Dは、リセプタクルハウジング2Hの遠隔に一対の爪32C及び32Dと係止する一対の穴20C及び20Dを形成可能とするものである。このように、リセプタクルハウジング2Hの両翼近傍以外にも一対の爪32C及び32Dと係止する一対の穴20C及び20Dを形成できる。
次に、図1に示されたプラグ1とリセプタクル2の構造を図6と図7により説明する。図6は、プラグ1とリセプタクル2が嵌合する前の状態図であり、図2に示された状態での縦断面図である。一方、図7は、プラグ1とリセプタクル2が嵌合した状態図であり、図3に示された状態での縦断面図である。
図1に最も良く示されているように、プラグ1は、デュアルインライン状に配列されている複数の第1コンタクト4を備えている。そして、図6に示されるように、第1コンタクト4は上腕4Aと下腕4Bを円弧部4Cで連結する倒立Uの字状に形成されている。一対の円弧部4Cが対向するように線対称に配置されている。一対の上腕4Aはプラグハウジング1Hの上部にそれぞれ保持されており、一対の下腕4Bの縁端部は相反するように配置されている。
一方、図1に最も良く示されているように、リセプタクル2は、デュアルインライン状に配列されている複数の第2コンタクト5を備えている。そして、図6に示されるように、第2コンタクト5は立設腕5Aと横設腕5BとでLの字状に形成されている。一対の立設腕5Aが対向するように線対称に配置されている。一対の横設腕5Bはリセプタクルハウジング2Hの下部にそれぞれ保持されている。
図6に示されたプラグ1をリセプタクル2に挿入すると、一対の下腕4Bは、一対の横設腕5Bに挟まれて互いに近づくように弾性変形する。一対の下腕4Bと一対の横設腕5Bと相対的にすべり結合させて、プラグ1をリセプタクル2に更に挿入すると図7に示された状態になる。
図7においては、第2コンタクト5における一対の立設腕5Aは、第1コンタクト4における一対の下腕4Bの縁端部を挟むように弾性接触している。又、下腕4Bの縁端部が一対の立設腕5Aに形成されている窪みに入り込んで、プラグ1をリセプタクル2を嵌合状態に維持している。
図1に示されるように、このような第1コンタクト4が配列されるプラグ1と、第2コンタクト5が配列されるリセプタクル2とは、それぞれがプリント基板に表面実装される低背型のコネクタを可能とするものである。更に、第1及び第2コンタクトの接合タブがそれぞれのプリント基板に交互にはんだ接合されることによって、いわゆる千鳥配列にはんだ接合されることによって、多極のプラグ及びリセプタクルをプリント基板に高密度に実装可能とするものである。
次に、図1における一対のロックアーム3A及び3Bとは異なる構造をもつ一対のロックアーム3E及び3Fを備える基板用コネクタを図8により説明する。図8は、一対のロックアーム3E及び3Fを備える基板用コネクタの実施形態を示す斜視外観図である。図8において、図1と同符号の構成品は作用を同じとするのでその説明を割愛する。
図8に示されるように、プラグ1は両翼に一対のロックアーム3E及び3Fを備えている。一対のロックアーム3E及び3Fはプラグハウジング1Hの長手方向の両翼から突出しており、この一対のロックアーム3E及び3Fは、各先端部31E及び31Fにおいて対向するように突出する楔状の一対の爪32E及び32Fを備えている。
図1における一対のロックアーム3A及び3Bと、図8における一対のロックアーム3E及び3Fとの違いは、図8のロックアーム3E及び3Fの各先端部31E及び31Fが、二股に分割されていることである。ロックアーム3A及び3BがいわゆるT字状に形成されているのに対し、ロックアーム3E及び3FはいわゆるH字状に形成されている。
このように、一対のロックアーム3E及び3Fの各先端部31E及び31Fが二股に分割されることによって、この一対のロックアーム3E及び3Fがリセプタクルハウジング2Hにおける長手方向の両縁端部外に形成されている一対の穴20E及び20Fに挿入され係止されてプラグ1の姿勢が安定する。
図8の実施形態において、この一対のロックアーム3E及び3Fは金属で組成されており、金属で形成されるロックアーム3E及び3Fは、基部33E及び33Fが合成樹脂のプラグハウジング1Hの両翼に圧入されている。なお、金属で形成されるロックアーム3E及び3Fは、基部33E及び33Fがプラグハウジング1Hの両翼にモールディングされてもよい。更に、プラグ1はハウジングがPPSやPBT等の合成樹脂で組成されており、このプラグハウジング1Hと一対のロックアーム3E及び3Fがこの合成樹脂材で一体に成形されていてもよい。
次に、図1におけるプラグ1とリセプタクル2とは異なる構造をもつ基板用コネクタを図9により説明する。図9は、プラグ11とリセプタクル21を備える基板用コネクタの実施形態を示す斜視外観図である。図9において、図1と同符号の構成品は作用を同じとするのでその説明を割愛する。
図9の実施形態において、対向する一方のプリント基板10にプラグ11が取り付けられており、対向する他方のプリント基板20にリセプタクル21が取り付けられている。そして、プラグ11の中央部には複数の第1コンタクト4が配列され、リセプタクル21の中央部には複数の第2コンタクト5が配列されている。このプラグ11とこのリセプタクル21が嵌合することにより電気接続する。
図9に示されるように、プラグ11は両翼に一対のロックアーム3A及び3Bを備えている。一対のロックアーム3A及び3Bはプラグハウジング11Hの長手方向の両翼から突出しており、この一対のロックアーム3A及び3Bは、各先端部31A及び31Bにおいて対向するように突出する楔状の一対の爪32A及び32Bを備えている。
一方、一対のロックアーム3A及び3Bと対向するリセプタクル21には、一対の爪32A及び32Bが貫通する一対の穴21A及び21Bが形成されている。一対の爪32A及び32Bが貫通する一対の穴21A及び21Bは、リセプタクルハウジング21Hにおける長手方向の両端部に形成されている。
なお、図9に示されるリセプタクル21は、図1に示されたリセプタクルハウジング2Hの両端部を延長し、この両端部に一対の穴21A及び21Bを形成したものである。一方、プラグ11は、図1に示されたプラグハウジング1Hの両端部の構造をリセプタクル21と嵌合するように変更したものである。
次に、図9に示される基板用コネクタの作用を図10と図11により説明する。図10は、プラグ11とリセプタクル21が嵌合する前の状態図であり、図10(a)は図9に示される基板用コネクタの正面図、図10(b)は図10(a)の右側面図である。一方、図11は、プラグ11とリセプタクル21が嵌合した状態図であり、図11(a)は図9に示される基板用コネクタの正面図、図11(b)は図11(a)の右側面図である。
図10において、一対のロックアーム3A及び3Bと対向するプリント基板20には、一対の爪32A及び32Bと係止する一対の穴20A及び20Bが形成されている。そして、プラグ11をプリント基板10と共に降下させ、一対のロックアーム3A及び3Bの先端部31A及び31Bを、リセプタクル21に形成された一対の穴21A及び21Bを貫通させ、更に一対の穴20A及び20Bに挿入すると、対向する一対の爪32A及び32Bは一対の穴20A及び20Bの内壁によって僅かに広げられる。
一対のロックアーム3A及び3Bを更に挿入すると、一対のロックアーム3A及び3Bの先端部31A及び31Bは弾性復帰する。図11において、一対のロックアーム3A及び3Bは、プリント基板20を貫通し、一対の穴20A及び20Bを挟持するようにして、プリント基板20のウラ面に係止される。
このようなロック機構を有する基板用コネクタは、両プリント基板間を機構的にも電気的にも確実に結合している。ロックアームの先端部は、リセプタクルが取り付けられている他方のプリント基板を貫通して当該プリント基板のウラ面に係止されているので、両プリント基板間の対向間隔を従来と比較して小さいものとすることができる。
次に、リセプタクル側に一対のロックアームを有する基板用コネクタを図12より説明する。図12は、リセプタクル側に一対のロックアームを有する基板用コネクタの実施形態を示す斜視外観図である。符号12はプラグ、符号22はリセプタクルである。図12において、図1と同符号の構成品は作用を同じとするのでその説明を割愛する。
図12の実施形態において、対向する一方のプリント基板10にプラグ12が取り付けられており、対向する他方のプリント基板20にリセプタクル22が取り付けられている。そして、プラグ12の中央部には複数の第1コンタクト4が配列され、リセプタクル22の中央部には複数の第2コンタクト5が配列されている。このプラグ12とこのリセプタクル22が嵌合することにより電気接続する。
図12に示されるように、リセプタクル22は両翼に一対のロックアーム3G及び3Hを備えている。一対のロックアーム3G及び3Hはリセプタクルハウジング22Hの長手方向の両翼から突出しており、この一対のロックアーム3G及び3Hは、各先端部31G及び31Hにおいて対向するように突出する楔状の一対の爪32G及び32Hを備えている。
一方、一対のロックアーム3G及び3Hと対向するプラグ12には、一対の爪32G及び32Hが貫通する一対の穴12A及び12Bが形成されている。一対の爪32G及び32Hが貫通する一対の穴12A及び12Bは、プラグハウジング12Hにおける長手方向の両端部に形成されている。
図12の実施形態において、一対のロックアーム3G及び3Hは金属で組成されており、金属で形成されるロックアーム3G及び3Hは、各先端部31G及び31Hと反対側の基部33G及び33Hが合成樹脂のリセプタクルハウジング22Hの両翼に圧入されている。なお、金属で形成されるロックアーム3G及び3Hは、基部33G及び33Hがリセプタクルハウジング22Hの両翼にモールディングされてもよい。
更に、リセプタクル22はハウジングがPPSやPBT等の合成樹脂で組成されており、このリセプタクルハウジング22Hと一対のロックアーム3G及び3Hがこの合成樹脂材で一体に成形されていてもよい。
図12において、金属で形成されるロックアーム3G及び3Hにおける基部33G及び33Hは、プリント基板20にはんだ接合される。このように、リセプタクルハウジング22Hに固定されているロックアーム3G及び3Hにおける基部33G及び33Hをプリント基板20にはんだ接合することによって、リセプタクルハウジング22Hとプリント基板20との接合を補強する。
次に、図12に示される基板用コネクタの作用を図13と図14により説明する。図13は、プラグ12とリセプタクル22が嵌合する前の状態図であり、図12に示される基板用コネクタの正面図である。一方、図14は、プラグ12とリセプタクル22が嵌合した状態図であり、図12に示される基板用コネクタの正面図である。
図13において、一対のロックアーム3G及び3Hと対向するプリント基板10には、一対の爪32G及び32Hと係止する一対の穴10A及び10Bが形成されている。そして、プラグ12をプリント基板10と共に降下させ、一対のロックアーム3G及び3Hの先端部31G及び31Hを、プラグ12に形成された一対の穴12A及び12Bを貫通させ、更に一対の穴10A及び10Bに挿入すると、対向する一対の爪32G及び32Hは一対の穴10A及び10Bの内壁によって僅かに広げられる。
一対のロックアーム3G及び3Hを更に挿入するべくプラグ12を降下させると、一対のロックアーム3G及び3Hの先端部31G及び31Hは弾性復帰する。図14において、一対のロックアーム3G及び3Hは、プリント基板10を貫通し、一対の穴10A及び10Bを挟持するようにして、プリント基板10のウラ面に係止される。
このようなロック機構を有する基板用コネクタは、両プリント基板間を機構的にも電気的にも確実に結合している。ロックアームの先端部は、プラグが取り付けられている一方のプリント基板を貫通して当該プリント基板のウラ面に係止されているので、両プリント基板間の対向間隔を従来と比較して小さいものとすることができる。