JP2005122881A - 光記録方法 - Google Patents

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健一 高田
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孝志 大野
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奈津子 信國
Michikazu Horie
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Abstract

【課題】 相変化型光学的記録媒体の線速度マージンを拡げる光記録方法を提供する。
【解決手段】 相変化型記録媒体上での異なる線速度に対応するために、線速度Vに従ってクロック周期を変えると共に、記録レーザパルスにおけるパルス分割のパラメータを変更する。長さnTのマークを形成する際に、記録パワーPwを印加する期間αiT(1≦i≦)とバイアスパワーをPbを印加する期間βiTとを交互に設けることで、レーザーパワーをm個のパルスに分割する。この分割において、線速度Vに対応させてαiT及びβiTの組合せを可変とする。線速度が大きく異なるマーク長変調記録を採用するCD−E等に好適に利用できる。特定の組成の記録層がこの方法に適したものとして開示される。
【選択図】 図1

Description

本発明は光記録方法に関する。より詳しくは、レーザー光などの照射により、情報を記録、消去、再生可能な相変化型光学的記録媒体について、記録可能な線速を広範囲に拡大し得る記録方法に関する。
近年、情報量の増大、記録・再生の高密度・高速化の要求に応える記録媒体として、レーザーを利用した光ディスクについての開発が盛んに行われている。記録可能な光ディスクには、一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何度でも可能な書換え型がある。書換え型光ディスクとしては、光磁気効果を利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化を利用した相変化媒体が挙げられる。相変化媒体は外部磁気を必要とせず、レーザー光のパワー変調だけで、記録・消去が可能である。さらに、消去及び再記録を単一ビームで同時に行う、1ビームオーバーライトが可能であるという利点を有する。1ビームオーバーライト可能な相変化記録方式では、記録膜のμmオーダーの微小部分を非晶質化させることによって記録マークを形成し、これを結晶化させることによって消去を行う場合が一般的である。このような、相変化記録方式に用いられる記録層材料としては、カルコゲン系合金薄膜を用いることが多く、例えば、Ge−Te系、Ge−Te−Sb系、In−Sb−Te系、Ge−Sn−Te系合金薄膜等が挙げられる。
一般に、書換え型の相変化記録媒体では、相異なる2つの状態(結晶化及び非晶質化)を実現するために、異なる2つのレベルのレーザー光パワーを用いる。この方式を、結晶化された初期状態から非晶質マークを形成し、また、これを再び結晶化して非晶質マークの消去を行う場合を例にとって説明する。結晶化は、記録層の結晶化温度より十分に高く、融点よりは低い温度まで記録層部分を加熱することによってなされる。この場合、結晶化が十分なされる程度に冷却速度が遅くなるように、記録層を誘電体層で挟んだり、ビームの移動方向に長い楕円形ビームを用いたりする。一方、非晶質化は融点より高い温度まで記録層を加熱し、急冷することによって行う。通常の相変化媒体において1ビームオーバーライトを行う際には、記録パルスを記録レーザーパワーとそれよりも低いパワーの消去レーザーパワーとの間で変調して、既に記録されている過去の非晶質マークを消去しながら記録を行う。この場合、誘電体層は、記録層で十分な冷却速度(過冷却速度)を得るための放熱層としての機能をも有する。さらに、上述のような、加熱・冷却過程における記録層の溶融・体積変化に伴う変形や、プラスチック基板への熱的ダメージを防ぎ、或いは、湿気による記録層の劣化を防止するためにも、上記誘電体層が重要な役割を有する。一般に、誘電体層の材質は、レーザー光に対して光学的に透明であること、融点・軟化点・分解温度が高いこと、膜形成が容易であること、適当な熱伝導性を有すること等の観点から選定される。
上記相変化媒体では、記録及び消去時の熱特性がレーザービームの走査速度、即ち、線速度によって大きく影響を受けることから、相変化媒体の作成時においては、記録および消去特性を向上させるために、目的とする記録装置の記録・消去時のディスク線速度に応じて媒体の記録層組成又は層構成を最適化する必要がある。非晶質マークの形成は、一旦記録パワーで溶融せしめた記録層を、臨界冷却速度以上の速さで冷却することによって行われる(Mitsubishi Kasei R&D Review vol.4 No2 p68-81)。この冷却速度は、同一層構成を用いた場合には線速度に依存する。つまり、高線速では冷却速度が速くなり、低線速では冷却速度は遅くなる。これを確認するため、本発明の実施例でも用いた層構成である、ポリカーボネート基板上にZnS:SiO2混合膜を100nm、GeSbTe記録層を25nm、ZnS:SiO2混合膜を20nm、Al合金膜を100nm順次に形成したディスクで、一般的な差分法を用いた熱分布シミュレーションを行った。この場合、計算上の記録パワー(レベル)Pw、及び、ベースパワー(レベル)Pbを照射し、記録層について、最高到達温度1350℃まで昇温した後に、温度が降下する過程において融点(600℃)付近における臨界冷却速度を、パルス照射開始位置から0.1μm進んだ位置で調べた。結果は、線速度が10m/s以上では数K/nsec以上、4m/sでは2.2K/nsec、1.4m/sでは0.9K/nsecであった。
一方、非晶質マークを消去するには、記録層をその結晶化温度以上で融点以下に一定時間保持する必要がある。この保温時間は、逆に、高線速では短く、低線速では長くなる傾向がある。従って、線速度の比較的大きな記録装置では、光ビームを照射した際に、その照射された部分の記録層の熱分布が時間的、空間的に比較的急峻になるため、消去時の消し残りが懸念される。かかる記録装置に対応するためには、比較的短時間で結晶化すなわちマーク消去が可能なるように、記録層に結晶化が比較的速い組成の化合物を用いたり、全体として熱の逃げにくい層構成にしたりする。逆に、線速度が比較的遅い記録装置では、前述のように冷却速度が遅くなることから、記録時の再結晶化が懸念される。そこで、線速度の比較的小さな記録装置に対応するためには、目的のマーク長さを得るために、記録マーク形成時の再結晶化を防ぐ方法として、記録層に結晶化が比較的遅い組成の化合物を用いたり、熱の逃げやすい層構成にしたりする。
具体的には、高線速用媒体には、層構成として記録層と反射層との間の熱絶縁層を厚くして熱を逃げにくくし、或いは、材料として例えばGeSbTe系合金を利用する場合ではGeTe−Sb2Te3ライン上の結晶化しやすい組成を利用する等の工夫がなされる。一方、低線速用では、上記熱絶縁層を薄くして熱が逃げやすい構造になるようにし、或いは、Sbを高線速用媒体に利用する場合よりも多く入れて再凝固時に結晶化しにくくする等の工夫がなされる。
上記のような記録層組成を採用し或いは層構成の最適化を行う等により、目的とする駆動装置で、良好な特性で情報の記録、消去及び再生を行うことが可能である。しかし、線速度が比較的大きな記録装置用に最適化した媒体では、結晶化速度を大きくしているので、線速度が小さな領域では、再結晶化のために非晶質ビットが形成しにくく使用できない。逆に媒体を低線速に合わせると、非晶質ビットを形成しやすい組成・層構成としているので、高線速では消去しにくい。結局、記録媒体の最適化のみでは線速度マージンを大きく広げることは出来なかった。
近年、記録、消去に費やす時間を短縮するために記録及び消去時の媒体の線速度は大きくなってきているものの、他方で、情報を実時間に沿って記録したいとする要請がある。例えば、映像や音楽等の記録の場合であり、この場合、実時間に沿って記録することが必須である。また、この場合、実時間に沿って記録を行った後には、その情報の編集のための記録は高速で行いたいという要請もある。更に、同一の記録媒体を、記録可能CDのような比較的低線速(例えば、1.2m/s〜1.4m/s及びその4−6倍速まで)での用途、及び、現行の光磁気ディスク(約10m/s以上)のような高線速での用途の双方に使い分けることができれば、マルチメディア用の記録媒体として特に好ましい。しかし、このような要求を満たすために、その記録媒体の層構成や記録層組成が最適化された本来の線速度より大幅に小さな線速度で記録を行うと、目的とするマーク長が記録できずに、情報の記録が出来ない場合があった。これは、相変化記録媒体に於いては、一般に、記録層の微小部分にレーザーを照射しその微小部分を溶融させた後にこれを急冷することにより非晶質マークを形成するが、ディスク線速度が比較的小さな場合には、前述のように、記録溶融後に再結晶化が起こり、十分な非晶質マークの形成が困難となるためと考えられる。溶融後に再結晶化した記録マークの再生波形を観察すると図1のようになり、非晶質膜部分の状態を示す図2を併せて参照すると、記録マークの前半部分では再結晶化が大きく、マーク後半部分では比較的良好に非晶質が形成されていることが判る。このことは、記録パワーに相当するレーザービームの連続照射により、マーク後半部分に相当する領域へのレーザー照射による熱が、一旦は溶融したマーク前半部分に相当する領域に伝導し、その結果、マーク前半部分が急冷されずに再結晶化してしまうことによると説明できる。この場合、マーク後半部分では、その直後に記録パワーに相当するレーザービームが照射されなくなるために、余計な熱の伝導がなく、溶融した部分が良好な非晶質になる。以上を考慮すると、記録パワーの照射開始後に、一旦パワーを落とすことによって記録パルスを分割すれば、記録層の時間的な温度変化が急冷的になり、記録時の再結晶化によるマークの劣化を抑えることが可能になると推論できる。
上記を考慮した記録方法の例としては、特開平2−165420号、特開平4−212735号、特開平5−62193号、特開平5−325258号、特開平1−116927号の各公報、JJAP. vol.30 No.4 (1991)p677-681等があり、また、オフパルスを利用したものでは第40回応用物理学関係連合会春季講演会29a-B-4、特開平7−37251号、特開平6−4867号、特開平1−253828号、特開平1−150230号、特開平1−315030号、特開平4−313816号、特開平2−199628号、特開昭63−113938号の各公報等が挙げられる。しかし、これらの方法では、いずれもパルス分割方法が一定であるために、ある一定範囲の線速度での記録時には有効であるが、線速度が大きく異なる条件下では良好な記録が行えない場合が多く、一定のパルス分割方法を用いる限り、特定の1つの媒体で対応可能な線速度の範囲には限界があった。
本発明者等は、上記問題の解決のため、線速度にあわせたパルス分割の方法をここで提案する。本発明者らは、低速度になるに従って記録層から熱を素早く逃がして非晶質化しやすいように工夫し、そのパルス分割方法を線速度に併せて指定できるようにと考えた。即ち、本発明の要旨は、記録パルスの分割方法そのものではなく、線速度に応じたパルス分割方法の変更方法にある。本発明によると、特定の1枚のディスクの線速度の使用マージンを広げることが可能になる。
本発明の記録方法は、その第1の視点において、照射光のレーザーパワーをクロック周期Tに従って記録パワーPw、消去パワーPe、及び、バイアスパワーPb(ただし、Pb≦Peとする。)の間で変調することで、光学的情報記録媒体に光学的に識別可能な複数の異なる長さの非晶質マークの形成又は消去を行って、マーク長変調記録方式でデータを記録・消去する光記録方法において、
長さnT(ただし、nは2以上の整数、nの取りうる値の最小、最大値をそれぞれnmin、nmaxとする。)を有する非晶質マークを形成するにあたっては、
各期間で一定の強度を持つ記録パワーPwを印加する期間をα1T、α2T、・・・、αmTとし且つバイアスパワーPbを印加する期間をβ1T、β2T、・・・、βmTとして、レーザーパワーの印加期間を順次にα1T、β1T、α2T、β2T、・・・、αmT、βmTとする(ただし、kを0から2迄の整数、jを0から2迄の実数とし、m=n−k、nmin−k≧1、α1+β1+・・・+αm+βm=n−jとする。)ことで、記録パワーPwを印加する期間をm個のパルスに分割して照射し、該照射において、
照射光を記録媒体上に照射する際の線速度Vを、最大線速度Vh及び最小線速度VLとして、VL≦V≦Vhの範囲で可変とし、
線速度Vの変化に応じてクロック周期Tを可変とし、
iを1≦i≦mの整数として、前記分割された個々の記録パワーPwの印加期間幅をαiT、個々のバイアスパワーの印加期間幅をβiTとし、2≦i≦m−1を満たすiにおいてαi+βi=1.0とし、
前記全てのiに対して、VL<V1<V2<VhのときαiL≦αi1≦αi2≦αih、且つαiL<αihとし、
更に、α1h>αih(2≦i≦m)とし、2≦i≦mのiにおいてαih=0.5とすることを特徴とする。
また、本発明の記録方法は、その第2の視点において、照射光のレーザーパワーをクロック周期Tに従って記録パワーPw、消去パワーPe、及び、バイアスパワーPb(ただし、Pb/Pe≦0.25とする。)の間で変調することで、光学的情報記録媒体に光学的に識別可能な複数の異なる長さの非晶質マークの形成又は消去を行って、マーク長変調記録方式でデータを記録・消去する光記録方法において、
長さnT(ただし、nは2以上の整数、nの取りうる値の最小、最大値をそれぞれnmin、nmaxとする。)を有する非晶質マークを形成するにあたっては、
各期間で一定の強度を持つ記録パワーPwを印加する期間をα1T、α2T、・・・、αmTとし且つバイアスパワーPbを印加する期間をβ1T、β2T、・・・、βmTとして、レーザーパワーの印加期間を順次にα1T、β1T、α2T、β2T、・・・、αmT、βmTとする(ただし、kを0から2迄の整数、jを0から2迄の実数とし、m=n−k、nmin−k≧1、α1+β1+・・・+αm+βm=n−jとする。)ことで、記録パワーPwを印加する期間をm個のパルスに分割して照射し、該照射において、
照射光を記録媒体上に照射する際の線速度Vを、最大線速度Vh及び最小線速度VLとして、VL≦V≦Vhの範囲で可変とし、
線速度Vの変化に応じてクロック周期Tを可変とし、
iを1≦i≦mの整数として、前記分割された個々の記録パワーPwの印加期間幅をαiTとし、線速度VがVL、V1、V2、Vhのときのαiを夫々、αiL、αil、αi2、αihとするとき、
前記全てのiに対して、VL<V1<V2<VhのときαiL≦αi1≦αi2≦αih、且つαiL<αihとし、
更に、α1h>αih(2≦i≦m)とし、2≦i≦mのiにおいてαih=0.5とすることを特徴とする。
本発明の記録方式を用いることにより、媒体の材質を変えることなく、媒体の線速度マージン、特に、低線速側のマージンを広げることができ、広い線速度の範囲でオーバーライト記録が可能となる。また、記録データのフォーマットには互換性がありながら、記録時の線速度が異なる種々のドライブに対して同一の媒体で対応でき、各線速用に最適化する必要がなくなるので、媒体互換性の問題が解消できる。
線速度がほぼ一定である記録方法としては、一般的なCLV(Constant Linear Velocity)、ゾーンごとに線速度が一定であるZCLV(Zoned CLV)等がある(尾上守夫監修.光ディスク技術.ラジオ技術社)。ZCLV形式においては、ゾーン内では若干線速度は変化するが全体として線速度はほぼ一定に保たれている。今日においては、CDの線速を1倍速(1.2m/s〜1.4m/s)の間で可変とすること自体は公知の技術である。
例えば、ある最大線速度Vhの時に採用されるクロック周期をThとする。nを指定すると、nThによって記録されるマーク長さが決まる。低線速度Vで同じ長さのマークを記録するには、クロック周期Tを計算上(Vh/V)×Thとし、nTパルスにより同じ長さのマークが得られる筈である。線速に応じてこのようにクロック周期Tを調整することは既に一般的に行われている。しかし、実際には熱拡散によるマーク長の拡大、あるいは再結晶化によるマーク長短縮により、必ずしも所望のマーク長が得られない。このようなことは、最低線速度VLが4〜6m/s未満の低線速度の場合に特に起こりやすい。そこで、記録パルスを分割し、個々の分割パルス幅を短くすることで記録層内の温度分布を調整する。このマーク長変調した記録方法を図3に示す。このようなマーク長変調を利用する変調方式には、1−7変調、EFM変調等がある。これらのマーク長記録では、記録マークの始端位置と後端位置とが記録データに対応するため特に重要である。
本発明においては、線速度に対応してパルス分割方法を決めるパラメータm=n−k、n−j=(α1+β1+・・・・・+αm+βm)、nmin−k≧1を条件として、αiT及びPbのうち少なくとも一方を下記の法則に従って可変とし、同一の媒体の適用可能線速を広げる構成を採用する。即ち、本発明では、線速度が小さく冷却速度が遅くなった場合には、記録パワーPwがオンとなるパルス幅αiTを短くし、オフとなる時間βiTを長くし、又は、記録パワーPwがオフとなる期間βiTに印加されるレーザー光パワー(バイアスパワー)Pbiを低線速ほど低くすることで、1マーク内に熱がたまることを抑制して冷却速度を増大せしめ、再結晶化を防止する。あるいは、これらに加えて、1つのマークを記録するために分割された記録パルスの1つが、後続する記録パルスにより再加熱されることを抑制するために、分割された記録パルス間に照射される光エネルギーを制御することにより、非晶質マーク形成のために溶融された領域の冷却速度を制御する。より定式化するならば、相変化型光記録媒体に情報を記録する線速度の範囲(VL〜Vh)において、VL<V1<V2<Vhとなる線速度V1、V2においては、1≦i≦mなるすべてのiに対して、
αiL≦αi1≦αi2≦αih (1)
が成立するようにする。ここで、αiL、αi1、αi2、αihはそれぞれ、VL、V1、V2、Vhの時の分割された個々のパルス幅である。
上記に代えて、或いは、上記に加えて、上記βiT期間における各バイアスパワーPbiと消去パワーPeとの比Pbi/Peをθiとし、θiL、θi1、θi2及びθihを、同様に夫々VL、V1、V2及びVhのときのθiとするとき、
θiL≦θi1≦θi2≦θih (2)
とすることが出来る。
上記いずれの場合にも、少なくともVLにおいては、
αiL<αih (3)
又は、
θiL<θih (4)
が少なくとも1つのiに対して成り立つようにする。但し、当然のことながら、記録パワーPw、消去パワーPeは個々の線速によって異なる値をとる。
特に、Peは、それのみを直流的に一回だけ照射したときに、非晶質マークを消去できるパワーに選ばれる。より具体的には、fmax=1/(2nmaxT)、又は、fmin=1/(2nminT)なる単一周波数(デューティ比50%)で記録したマーク上に直流的にPeを照射したときに、消去された信号のキャリアレベルの減衰が約20dB以上となるPeが選ばれる。或いは、fmax=1/(2nmaxT)なる単一周波数なる(デューティ比50%)で記録したマーク上に、fmin=1/(nminT)なる単一周波数(デューティ比50%)の信号でオーバーライト(このとき、記録パルスは分割してもしなくても良いが、PwとPeの2値で変調を行う)したときに、fminのキャリアレベルと消去されたfmaxのキャリアレベルの差が約20dB以上となるようにPeを選ぶ。なお、Pwはfmax及びfminの記録信号のC/N比(Carrier to Noise 比)が約45dB以上となるように選ばれる。
Pw、Peおよび、クロック周期Tを記録時の線速に応じて変更することは公知である。しかし、本発明のごとく、パルス分割方法を線速に応じて、しかも一定の法則に従って変化させることは、本発明者等が最初に提案するものである。これらのパルス分割方法を記述するパラメータは、線速に応じて連続的に変化させてもよいが、一定の線速の範囲ごとに段階的に変化させてもよい。
上記の光記録方法で、記録パワーをオフとするβiT期間におけるバイアスパワーPbiが、通常の3値変調記録を行う場合の消去に必要なパワーPe以下の任意値をとり(図4)、しかもPbiの値がβiTの間に変化し数種類のレベルをとってもよいものとすることが出来る。この場合、熱分布を細かく制御することが可能になり、非晶質マークの形が整えられ、また、記録信号のジッターを良好にすることが可能になる。また、より急冷的になるために、再結晶化領域を小さくすることが可能で、記録感度が向上する場合もある。ここで、Pbiが0になるとサーボ信号がとれなくなり、トラッキングサーボがかからなくなるので好ましくない。また、PbiがPeを超えると、記録層が溶融するため、かえって消去不可能となるため好ましくない。結局、Pbiは、0より大でPe以下であることが好ましい。
Vが10m/sとなる高線速では、特にPbをPb=Pe(一定)としてオーバーライトできる媒体が望ましい。高線速では、クロック周期が短くPbの切り替え回路に高速応答性が必要になるためである。しかし、低線速で使用する場合には、クロック周期が長く、パルス制御回路の応答性に対する要求が緩和されるので、非晶質マークの形を整えるために、Pbを1種類の値ではなく、数種類の組み合わせにすることは、回路を複雑にするものの、時には好ましい。図5(b)に例示した4Tマークのためのパターンでは、βiTの期間中に、まず、0<Pb<Peをとり、次いで、Pb=Peと変化する場合を挙げた。また、図5(a)に例示したパターンでは、先にPb=Peをとり、その後Pb<Peと変化する例をあげた。このように、βiTにおいてPbiが複数の値PbiJ(但し、βi=ΣJβiJであり、PbiJは、βi内をさらに分割した区間βiJTにおいてとるバイアスパワー値)をとりうる場合には、上記θiに代えて、
θi=Σj(PbijβijT)/(Pe・βiT)
を定義し、(2)式及び(4)式が成り立つようにする。
上記の光記録方法において、マーク先端部は、直前のレーザーパワーが消去パワーであり、通常は温度が上がりにくいため、先頭の分割パルスのパルス幅をその後に続くパルスより長くすると良い場合がある。この例を図6(a)に示した。また、個々の分割された記録パルスの立ち上がりは、必ずしもクロック周期と同期している必要はないが、パルス制御回路を簡単にするためには、同期していることが望ましい。ただし、その場合にも、一つのマーク長に対する先頭パルスまたは最終パルスの立ち上がりだけをクロック周期Tから高々Tだけずらすことは、異なるマーク間の熱干渉を補正する上で効果がある。さらには、先行するマークとの熱干渉を抑制するため、後続マークの先頭パルスの直前(最大でも2T時間経過以前)にオフパルス区間を設けることも複雑にはなるが有効である。この例を図6(b)に示した。
記録パワーPwは、個々の線速においては、パルス長nTに依存せず一定であり、且つ、一つのマーク内の分割された個々のパルス相互で一定であることが、パルス制御回路を簡素化する上で望ましい。しかしながら、1つのマーク内の先頭パルスの記録パワーから後続するパルスの記録パワーを段階的に変化させる、特に後続パルスの記録パワーを低めにすることは、時には有効となる。場合によっては、さらに、nTマークを記録するのに、必要なパルス長nT分のレーザーパワー、つまり、(α1+β1+・・・・・+αm+βm)=nとなるパルス列を印加すると、加熱時間が長くなりすぎて、必要な長さより長いマークが書けてしまうことがある。その場合には、(α1+β1+・・・・・+αm+βm)=n−j(jは0<j≦2の範囲の実数)として、それに応じてパルス分割数m=n−kを変化させてもよい。図7には、例として、βi(1≦i≦m−1)を一定とし、βmのみ異なる値とするパターンを例示した。この場合、βmの調整により、n−jを変化させ、所望のマーク長nTを得ることができる。
線速に応じて変化させるべきパルス分割方法のパラメータは前述のように少なくとも2種類あるが、このパラメータのうち、パルス分割数m=n−k、パルス長n−j、及び、αi+βiを線速によらず一定とし、VL<V1<V2<Vhとなる線速度V1、V2において、(1)−(4)式の全てが成り立つようにすることは、パルス制御回路を簡素化する上で望ましい。より一層望ましくは、使用する最大線速度Vhにおいて、
α1h=0.5、1.0、又は1.5、及び
β1h=αih=0.5(2≦i≦m)
とし、且つ、全ての線速度において、
αi+βi=1.0(2≦i≦m)
とする。このようにすると、個々の記録パルスの立ち上がりが、一定の遅延は別として、基準クロックに同期する。従って、パルス制御回路の設計が更に容易になる。ここで、線速度VL≦V<Vhの範囲の線速度Vにおいて、低線速になればなるほど、パルス幅を短くして再結晶化を防げばよい。しかし、あまりパルス幅を短くすると、記録感度が悪くなり好ましくないので、実際上は0.05<αiと下限を設けることが好ましい。
本発明では、マーク長変調記録を対象とするが、マーク端検出方式には制限されない。すなわち、Jpn.J.Appl.Phys.、Vol.31(1992)、584-589ppに開示されているような、単純な直流レベルによるスライス、又は、2回微分によるピーク検出のいずれでもよい。また、同文献に開示されているような、マーク端の検出をマーク前端と後端とで別々に行う方法も有効である。
本発明を適用できる光記録媒体は、いわゆる相変化型記録媒体であって、結晶状態を未記録状態とし、非晶質の記録マークを形成する形式のものである。この種の相変化媒体の構成の1例を図8に示す。もちろん、本発明はこの層構成に限定されるものではない。図8において、基板1上に、下部保護層2、相変化型の記録層3、上部保護層4、金属または半導体からなる反射層5、及び、紫外線または熱硬化樹脂からなる保護層6が順次に形成されている。符号2−5で示した各層は、通常はスパッタ法で成膜される薄膜である。記録再生用の集束光は、一般に、透明基板1を透過して記録層3に照射される。記録層3は記録パワーPwの照射により局所的に加熱されて溶融し、集束光照射光のオフにより、急激に冷却され、固化する際に非晶質となる。非晶質マークはPeの照射により、融点以下で結晶化温度以上の温度となるように加熱されて再結晶化され、消去される。このような原理でオーバーライトできる記録層材料としては、すでに述べたようなGeSbTe合金(なかでも、GeTeとSb2Te3の疑似2元合金)、Sb70Te30共晶組成の近傍でAg、Cu、Au、Ge、Pd、Pt等を添加したものが挙げられる。これらの合金では、特にSb量の制御により、結晶化速度および非晶質形成能、あるいは結晶化温度を制御し、使用する線速度にあわせて最適化を行っている。例えば、GeTe−Sb2Te3疑似2元合金にSbを添加していくと、非晶質形成能が増し、結晶化速度が遅くなるので、低線速向きとなる。また、記録層2や保護層4の厚み、保護層2、4及び反射層5の熱伝導率を制御することで、記録時に形成された溶融領域の過冷却速度を制御することでも、線速に適合させる制御が可能となる。例えば、保護層の熱伝導率を高くする、或いは、記録層および上部保護層の厚みを15−30nmとして、記録層から反射層への熱拡散を促進すると、非晶質形成が促進されるので、低線速向きとなる。
本発明の具体的な応用例としては、記録可能なコンパクトディスク(CD−E)が挙げられる。CD−Eでは、VL=1.2〜1.4m/sであり、1倍速、及び、2、4、6倍速の全てで記録再生できれば望ましい。このような、CD−Eの使用方法は、公表されてはいないが、現在すでに市場に出回っている、ライトワンス型の記録可能CD(CD−R、CD−Recrordable)では、1−6倍速の広線速で記録可能であることが望ましいとされている。この場合、好ましいパルス分割方法としては、まず、マーク長変調方式としてm=n、n−1、又は、n−2なるEFM変調を採用し、VとしてVL、2VL、4VLまたは、6VLの有限個の値を取りうるものとする。線速2VL以上においてα1h=1.5又は1.0、β1h=αih=0.5(2≦i≦m)とし、且つ、全ての線速度において、αi+βi-1=1.0(2≦i≦m)としている。更に、線速度2VLではPbi=Pr±0.5mW(1≦i≦m、Prは再生光パワー)、線速度Vh=4VL又は6VLにおいてはPbi=Pe±0.5mW(1≦i≦m)、線速度VLにおいては0.05<αi<0.5(2≦i≦m)及びα1L≦α1hとなるように線速度に応じて記録パルス分割方法を変更させる。但し、βm≠0.5(0であり得る)とする。すなわち、各マーク最後端のオフパルス期間はマーク内のオフパルス期間と異なる時間とすることが出来る。こうすることで、種々の線速度で記録を行う多種のドライブ装置に対して、1種類の媒体で対応できる。
上記光記録方法に適したCD−E記録媒体として、より具体的には、基板上に少なくとも下部誘電体保護層、{(GeTe)y(Sb2Te31-y1-xSbx(0≦x<0.1、0.2<y<0.9)記録層、上部誘電体保護層、金属反射層を順に設けてなり、記録層膜厚が15−30nm、上部誘電体保護層膜厚が10−30nmとした相変化型媒体が挙げられる。或いは、この記録層を、My(Te1-xSbx1-y(0≦y<0.3、0.5<x<0.9、M=In、Ga、Zn、Ge、Sn、Si、Co、Cr、Cu、Ag、Au、Pd、Pt、S、Se、Oのうちの少なくとも1種)に代えてもよい。特開平4−212735号公報及び特開平5−62193号公報は、特にCD線速において書き換え可能なGeSbTe記録層を用いた相変化型記録媒体に関する方法の先願であり、長マークで記録パルスを分割する記録方法が示されている。しかし、上記2倍速2VLにおけるパルス分割方法は示唆すらされておらず、また、2、4、6倍速で記録するときに生じる線速度依存性の問題についてはなんら触れていない。更に、ある一定の法則に従って記録パルス分割方法を変更して、線速依存性を克服する方法については、全く開示されていない。特開平7−37251号公報、及びその発明者等による学会発表(International symposium on Optical Memory、 1995、 Knanazawa、 Japan、 No.P-33)においては、AgInSbTe記録層を用いたCD−E媒体の例及びその記録方法が例示されている。しかしながら、やはり、線速度依存性の問題及びその解決方法についてはなんら開示されていない。
上記例において、最小線速度VLが1.2〜1.4m/Sの範囲にあるマーク長変調記録にあっては、mをm=n、n−1又はn−2に選定し、線速度VがV=VL、2VL、4VL、又は、6VLの有限個の値をもとるものと選定し、この各線速度Vにおいて、iが2≦i≦mの範囲では、αi+βi=1.0とし、且つ、iが1≦i≦mの範囲ではPbi=Pr±0.5mWとし、線速度Vが低下するとき、全てのiに対してαiが単調に減少するように構成することが出来る。また、この場合、βm≠0とすることが、トラッキングサーボの観点から好ましい。
本発明のもう一つの有効な利用方法は、一定角速度(constant angular velocity、CAV)で回転する相変化型ディスクの内外周の線速度差によって生じる線速度依存性を解消することである。すなわち、記録領域の内外周の半径が2倍以上になるような半径の大きな媒体では、内外周に2倍以上の線速度差が生じる。線速度依存性を克服するために、内外周で記録層組成や層構成を変化させることは、製造時に特別の工夫を要し困難である。そこで内外周の線速度に応じて、本発明に従って記録パルス分割方法を変化させることにより、半径方向に均一な媒体においても、ディスク全面にわたって不都合無く情報を記録できる。この記録パルス分割方法の半径位置に伴う変更は、例えば、通常のZCAV(Zoned CAV)方式の媒体では、半径位置における基準クロック周期の切り替えと連動して行えば良い。
本発明の光記録方法をより簡便に且つ有効に利用するため、使用するディスクに、予め例えば凹凸のピット情報でパルス分割に関する情報を記録する。そのパルス分割情報は、例えば、上記パラメータ(Pw、Pe、Pb、m、j、k、αi、βi)のうち可変とするものの組合せを、使用する線速度に合わせて変更するように記載されていることが好ましい。この記載は、VL≦V≦Vhの範囲の線速度Vにおいて、VL及びVhにおける線速度のみに関して分割方法が記載され、その間のVについしては、VL及びVhに対するパラメータを補間して利用することが可能である。また、上記のCD−Eでは、リードインエリアにある蛇行した溝の周波数変調により、上記パルス分割に関する情報をあらかじめ基板に記載してもよい。ディスク駆動装置は、予めディスクに記載されたパルス分割方法を読みとり、指定されたパルス分割方法及び線速度で記録を行うパルス分割スキームを自動的に実施する。このようなディスク駆動装置を採用することにより、線速依存性は相互に異なるものの、記録情報のフォーマットが相互に同じ複数の相変化媒体が市場に共存した場合にも、その互換性をとることが可能となる。つまり、本発明は、ある特定の相変化媒体上に、ある特定の固定されたパルス分割方法のみを採用したディスク駆動装置で記録した場合に、再結晶化が生じて正常なマークが記録されないという問題を解消し得る。
上記のように、本発明では、線速度に対応してパルス分割方法を変えることで、線速度の大きく違う条件、例えばVh≧2VLの線速度範囲で記録を行っても、ディスク上に良好な温度分布を作ることが可能となり、低線速における再結晶化や、高線速における消し残り等が抑えられて、1枚のディスクを相変化媒体では、従来不可能とされてきた広い線速において使用できる。
以下に本発明の実施形態例(実施例)を示すが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、680nmのレーザーダイオード、NA=0.60の光学レンズを搭載したパルステック社製光ディスクドライブテスタを用いて記録(1ビーム・オーバーライト)を行った。再生光パワーPrは1.0mWで線速によらず一定とした。また、クロック周期Tは線速に反比例させるものとし、1.4m/sでの記録時にT=143nsec(7MHz)、10m/sでT=20.0nsecとなるように選定した。
[実施例1、比較例1、2] 実施例1として、ポリカーボネート基板上に(ZnS)80(SiO220[mol%]層を100nm、Ge22.2Sb22.2Te55.6[at%]層を25nm、(ZnS)80(SiO220[mol%]層を20nm、Al合金層を100nm順次にマグネトロンスパッタリング法にて積層し、更にその上に紫外線硬化樹脂を4μm設けることにより作成したディスクを用いた。まず、3T/9T/7T/9T/11T/9T(下線部がマーク、下線無し部がマーク間に相当する)のパターンを繰り返し含む繰返しパターンによる評価を行った。適当な条件で数回オーバーライトした後に、再生信号中の11T/9T信号振幅のピーク波高値の中心レベルでスライスし、マーク長を検出した。検出にはタイムインターバルアナライザー(TIA、ヒューレットパッカード製、E1725A)及び簡易法(Jpn.J.App l.Phys.、Vol.31(1992)、584-589pp等に開示された簡易ピーク検出法)を用いた。
線速度10m/sにおいて図9(a)で示すようなパターン、すなわち、m=n−j、j=0(Pe=Pbであるから、j=0.2でも同じ)、α1=1.5、β1=0.5、αi=βi=0.5(i≧2)としたパルス分割法を用いた(例えば、Proc.Int.Symp.on Optical Memory、1991、291-296pp参照)。Pw=12.0mW、Pe=4.0mWでオーバーライトを行い、図10(a)に示したオッシログラフのような良好な再生波形が得られた。同様に、クロック周期を線速に応じて調節し、適当なPw及びPeを選ぶことで、20m/sまでの範囲でオーバーライトを試みたところ、すべて、良好な記録波形がえられた。また、3T、7T、11Tのマーク長でTの10%未満という良好なマーク長ジッターが得られた。
比較例1として、同様の構成でパルス分割のパターンを線速度で変化させず、クロック周期Tのみを調整し、1.4m/sでオーバーライトを試みた。この場合、いかなるPwとPeの組み合わせにおいても、7Tおよび11Tマークの記録が不可能であった。図10(b)にその波形の一例(比較的ましな例)を示した。マーク長が長い場合に、マーク前半部分がマーク後半部分の記録時の余熱により再結晶化し、非晶質マークの記録ができなかったものと考えられる。更に、比較例2として、1.4m/s用に最適化するために、記録層の組成を先の例よりSbリッチとしたGe23Sb28Te49としたところ、非晶質マークは十分に形成されたものの、結晶化速度が遅いため、10m/sでは非晶質マークの消去比が不十分であり、オーバーライトには適さなかった。
そこで、最も困難なケースとして、10−20m/sで使用する高線速用媒体で1.4m/sでも良好な記録を行うために、本発明の趣旨に従って、以下のようにパルス分割方法の最適化を試みた。
[実施例2] 線速度10−20m/s用に最適化したディスクを用いて、線速度1.4m/sで上記の繰返しマーク長パターンによるオーバーライトを試みた。m=n、j=0.2、Pe=4mWとし、PbはPb=Pbi=0.2mWと一定にし、且つ、nTマーク形成のためのn個の分割記録パルスの幅Tpを、Tp=αiTと一定にし、記録パワーPwを可変とした。このパルスパターンを図9(b)に示した。Tp≧50nsecでは、ほとんど非晶質化せず、TIAによるマーク端の検出そのものができなかった。図11(a)及び(b)は夫々、Tpをさらに短くした場合のマーク長及びマーク長ジッターのPw依存性を各nTマーク(3T、7T、11T)について示す。Tp=30nsec未満(即ち、0.21T未満)とした場合に、Pw=14〜17mWにおいて、記録マークnTに対応した適正なマーク長と、0.1T未満の良好なジッターが選られた。なお、Tp=12nsec(0.084T)では、PwとしてPw>16mW以上が必要であり、上記テスタでは感度不足であった。
本実施例では、βiについては、βn以外はみな等しく、βnのみをj=0.2となるように調整している。
[実施例3] Tp=20nsec(αi=0.14)、m=n、j=0.2、Pe=4.0mWの条件下で、PbおよびPwを可変とした。図12(a)及び(b)に夫々、マーク長及びマーク長ジッターのPw、Pb依存性を図11(a)及び(b)と同様に示す。Pbが1mW程度より小さければ、Pw=14〜17mWで、ほぼ0.1T以下の良好なジッターが得られた。なお、0<Pb<Prとしても、トラッキングサーボ等に影響はなかった。Pb=0.2mWとPbをPrより低くしても、この程度の時間であれば、トラッキングサーボははずれない。
実施例2、3から、1.4m/s〜20m/sといった広範囲の線速度で使用する場合には、特に、低線速側において、αiを小さくすることと、Pbを小さくすることを併用すると良好な結果が得られることが判明した。
[実施例4] Tp=20nsec(αi=0.14T)、Pb=0.2mW、Pe=4mWにおいて、m=n又はm=n−1とした場合のマーク長およびマーク長ジッターのPw及びj依存性を夫々、図13(m=nの場合)、図14(m=n−1の場合)に示した。マーク長は、n−j=Σ(αi+βi)に強く依存する。m=n、及び、m=n−1のいずれにおいてもj=0.2〜0.7の範囲に最適点が存在することがわかる。m=n−1の場合には、1.4m/s〜20m/sの範囲において、mを一定とし、n−j及びαiのみを線速度に応じて変化させればよいことから好ましい。パルス制御回路としては、mが線速に応じて変化する場合より一定にできるほうが回路構成上好ましいからである。また、n=3、7、11のマーク長を含む繰返しパターンを用いて良好な結果を得たことにより、n=3から11の全てのマーク長を含むパターンが採用される、例えば、コンパクトディスク(CD)で用いられるEFM変調方式において、広範囲の線速度でオーバーライトが可能になったことを意味する。但し、T=143nsecでの最短マーク長である3Tは0.6μmに相当し、現行のCDより高密度である。しかし、これが、現行のCDなみの0.8〜0.9μmとなっても、若干のパルス幅等の最適化を行えば、同様に広範囲の線速度でオーバーライト可能になる。一方、最短マーク長がさらに小さくなる、例えば、ディジタルビデオディスクにおけるマーク長変調記録でも同様である。むしろ、マーク長が短い方が、再結晶化が起こりにくいので、線速依存性に関する問題は軽減される。このような高密度記録媒体においても、本発明のパルス分割方法は適用可能である。
[実施例5] 10m/sと1.4m/sとの間の中間線速において、上記相変化媒体に上記繰返しパターンをオーバーライトすることとし、例として、2.8m/sにおける記録を行なった。その結果、Tp=15−20ナノ秒、j=0.2、m=n、Pe=4mW、Pb=0.2mWとしたパルス分割パターンにおいて、Pw=約15mW以上で、適正なマーク長及び0.1T以下の良好なジッターが得られた。したがって、本実施例の媒体に対しては、少なくとも、CD線速の1−2倍速においては、同じパターンを適用できる。一方、CD線速の約4倍速である5.6m/sにおいては、m=n−1、j=0.0、Pb=Pe、Tp=20nsecとしたところ、Pw=16mW及びPe=4mWで、0.1T以下の良好なジッターが得られた。
[実施例6] 本発明は、高線速と低線速でのパルス長変調方式が異なる場合にも適用できる。本実施例6では、実際に、10−20m/sの範囲では、コンピュータ周辺機器と光記録媒体で用いられる、n=2から8迄のマーク長からなる(1、7)RLL(run-length-limited)符号を用い、1.4m/sにおいてはEFM変調を用いてオーバーライトすることを試みた。この場合、クロック周期Tを一定としたほうがマーク端検出回路が容易になる。もっとも、必ずしも厳密に一致する必要はない。物理的な最短マーク長は、その媒体の物理的特性で決まる線密度の下限であるから、一定にしたほうが良い。そこで、上記(1、7)変調における最短マーク2TとEFM変調における3Tマークをいずれも0.6μmとするようにクロック周期を変えることが有効となる。図15(a)〜(c)に夫々、線速10m/s(EFM変調)、5.6m/s(EFM変調)、及び、1.4m/s(1−7変調)におけるアイパターンを示した。同図にみるように、各線速において良好な波形が得られており、最短マークにおいても、マーク長ジッターは0.1T未満であった。
[実施例7] 記録媒体として、記録層にAgInSbTeの合金薄膜を用い、層構成としては実施例1と同様としたものを用意した。記録には、波長が780nmの半導体レーザ、NA=0.55の光学レンズを用いた。CD2倍線速4.8m/sにおいて、EFM変調方式に対して、図16に示したパルス分割方式で、Pw=12mW、Pe=6mW、Pb=Pr=0.8mWのパターンにより記録したところ、良好なアイパターンが得られた。すなわち各マークのジッターがクロック周期の10%未満となった。この媒体を同じパルス分割方式で、クロック周期を倍にしてCD1倍速で記録したところ、再結晶化が著しく、良好なアイパターンが選られなかった。しかし、αiを0.33(2≦i≦m、α1は1.0で変化させず)、Pw=11mw、Pe=5mW、Pb=Pr=0.8mWとしたところ、良好なアイパターンが得られた。
従来の非晶質マークの反射特性を示すグラフ。 図1の非晶質マークの構造を示す模式的平面図。 nTマークを記録するマーク長変調方式におけるパルスパターンを例示する波形図。 本発明で採用されるマーク長変調におけるパルスパターンを例示する波形図。 (a)及び(b)は夫々、4Tマークを記録するパルスパターンを例示する波形図。 (a)及び(b)は夫々、パルス印加期間を変えたときのパルスパターンを例示する波形図。 本発明の実施例で採用されるパルスパターンを例示する波形図。 本発明で採用される記録媒体の層構成を示す断面図。 (a)及び(b)は夫々、本発明の実施例で採用されるパルスパターンの波形図。 (a)及び(b)は夫々、実施例1及び比較例1の再生波形を示すオッシログラフ写真。 (a)及び(b)は夫々、実施例2におけるマーク長及びジッターの記録パワー依存性を示すグラフ。 (a)及び(b)は夫々、実施例3における図11(a)及び(b)と同様なグラフ。 (a)及び(b)は夫々、実施例4における図11(a)及び(b)と同様なグラフ。 (a)及び(b)は夫々、実施例4における、m=n及びm=n−1のときの図13と同様な図。 (a)〜(c)は夫々、EFM変調、又は、1−7変調における再生されたアイパターンを示すオッシログラフ写真。 実施例7における記録波形のパターンを示す波形図。
符号の説明
1 基板
2 下部保護層
3 記録層
4 上部保護層
5 反射層
6 保護層

Claims (10)

  1. 照射光のレーザーパワーをクロック周期Tに従って記録パワーPw、消去パワーPe、及び、バイアスパワーPb(ただし、Pb≦Peとする。)の間で変調することで、光学的情報記録媒体に光学的に識別可能な複数の異なる長さの非晶質マークの形成又は消去を行って、マーク長変調記録方式でデータを記録・消去する光記録方法において、
    長さnT(ただし、nは2以上の整数、nの取りうる値の最小、最大値をそれぞれnmin、nmaxとする。)を有する非晶質マークを形成するにあたっては、
    各期間で一定の強度を持つ記録パワーPwを印加する期間をα1T、α2T、・・・、αmTとし且つバイアスパワーPbを印加する期間をβ1T、β2T、・・・、βmTとして、レーザーパワーの印加期間を順次にα1T、β1T、α2T、β2T、・・・、αmT、βmTとする(ただし、kを0から2迄の整数、jを0から2迄の実数とし、m=n−k、nmin−k≧1、α1+β1+・・・+αm+βm=n−jとする。)ことで、記録パワーPwを印加する期間をm個のパルスに分割して照射し、該照射において、
    照射光を記録媒体上に照射する際の線速度Vを、最大線速度Vh及び最小線速度VLとして、VL≦V≦Vhの範囲で可変とし、
    線速度Vの変化に応じてクロック周期Tを可変とし、
    iを1≦i≦mの整数として、前記分割された個々の記録パワーPwの印加期間幅をαiT、個々のバイアスパワーの印加期間幅をβiTとし、2≦i≦m−1を満たすiにおいてαi+βi=1.0とし、
    前記全てのiに対して、VL<V1<V2<VhのときαiL≦αi1≦αi2≦αih、且つαiL<αihとし、
    更に、α1h>αih(2≦i≦m)とし、2≦i≦mのiにおいてαih=0.5とすることを特徴とする光記録方法。
  2. 照射光のレーザーパワーをクロック周期Tに従って記録パワーPw、消去パワーPe、及び、バイアスパワーPb(ただし、Pb/Pe≦0.25とする。)の間で変調することで、光学的情報記録媒体に光学的に識別可能な複数の異なる長さの非晶質マークの形成又は消去を行って、マーク長変調記録方式でデータを記録・消去する光記録方法において、
    長さnT(ただし、nは2以上の整数、nの取りうる値の最小、最大値をそれぞれnmin、nmaxとする。)を有する非晶質マークを形成するにあたっては、
    各期間で一定の強度を持つ記録パワーPwを印加する期間をα1T、α2T、・・・、αmTとし且つバイアスパワーPbを印加する期間をβ1T、β2T、・・・、βmTとして、レーザーパワーの印加期間を順次にα1T、β1T、α2T、β2T、・・・、αmT、βmTとする(ただし、kを0から2迄の整数、jを0から2迄の実数とし、m=n−k、nmin−k≧1、α1+β1+・・・+αm+βm=n−jとする。)ことで、記録パワーPwを印加する期間をm個のパルスに分割して照射し、該照射において、
    照射光を記録媒体上に照射する際の線速度Vを、最大線速度Vh及び最小線速度VLとして、VL≦V≦Vhの範囲で可変とし、
    線速度Vの変化に応じてクロック周期Tを可変とし、
    iを1≦i≦mの整数として、前記分割された個々の記録パワーPwの印加期間幅をαiTとし、線速度VがVL、V1、V2、Vhのときのαiを夫々、αiL、αil、αi2、αihとするとき、
    前記全てのiに対して、VL<V1<V2<VhのときαiL≦αi1≦αi2≦αih、且つαiL<αihとし、
    更に、α1h>αih(2≦i≦m)とし、2≦i≦mのiにおいてαih=0.5とすることを特徴とする光記録方法。
  3. 2≦i≦m−1を満たすiにおいてαi+βi=1.0としたことを特徴とする、請求項2に記載の光記録方法。
  4. α1h=0.5とすることを特徴とする、請求項1乃至3の何れか1項に記載の光記録方法。
  5. 2≦i≦mの範囲のiに対して、αiが一定であり、且つ、α1>αiであることを特徴とする、請求項1乃至4の何れか1項に記載の光記録方法。
  6. 最大線速度Vhを1.2〜1.4m/sの範囲にある最小線速度VLの2〜6倍の範囲とするマーク長変調記録であって、
    mをm=n、n−1又はn−2に選定し、
    線速度VがV=VL、2VL、4VL、又は、6VLの有限個の値をもとるものと選定し、
    上記各線速度Vにおいて、iが2≦i≦mの範囲において、αi+βi=1.0とし、且つ、iが1≦i≦mの範囲において、Prを再生光パワーとして、Pbi=Pr±0.5mWとし、
    線速度Vが低下するとき、全てのiに対してαiが単調に減少することを特徴とする、請求項1乃至5の何れか1項に記載の光記録方法。
  7. 1≦i<mの範囲のiに対してβiが一定値をとり、且つ、βmが、該一定値とは異なり、且つ、0であり得ることを特徴とする、請求項1乃至6の何れか1項に記載の光記録方法。
  8. 使用する最大線速度Vhを、1.2〜1.4m/sの範囲にある最小線速度VLの2〜6倍の範囲とし、m=n、n−1又はn−2としたマーク長変調のEFM変調を用い、
    線速度VをVL、2VL、4VL又は6VLの有限個の値として選定し、
    線速度Vが2VL以上において、α1h=1.5又は1.0、iが1≦i≦mの範囲においてβ1h=αih=0.5(2≦i≦m)とし、
    全ての線速度Vにおいて、iが2≦i≦mの範囲においてαi+βi-1=1.0とし、
    線速度Vが2VLにおいて、iが1≦i≦mの範囲に対して、Prを再生光パワーとして、Pbi=Pr±0.5mWとし、
    線速度VがVLにおいて、iが1≦i≦mの範囲において0.05<αi<0.5、且つ、α1L≦α1hとし、
    線速度VhにおいてPbi=Peとすることを特徴とする、請求項1乃至7の何れか1項に記載の光記録方法。
  9. βm≠0.5であることを特徴とする、請求項8に記載の光記録方法。
  10. 前記光学的情報記録媒体が、使用される線速度Vに従って複数のパルス分割方法から1つを選択するように、Pw、Pe、Pb、m、j、k、αi及びβiのうち可変とするものの組合せをパルス分割情報として記録してなる媒体であることを特徴とする、請求項1乃至9の何れか1項に記載の光記録方法。
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