JP2005121032A - ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】ポンプの高回転時に、ポンプ効率の犠牲を最少にしつつキャビテーションを防止すると共に、吐出ポート直近のエロージョンも防止可能にする。
【解決手段】ハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部に切欠き面14,15を形成し、面15の傾斜角θ2 を面14の傾斜角θ1 よりも大きくする。高回転ポンプ作用時は、ポンプ室の圧力上昇がインナギアおよびアウタギアの回転に対して遅れ気味となる結果、ポンプ室の圧力が当初はあまり上昇しない。切欠き面14によりポンプ室が吐出ポート5に連通し始めたところで、ポンプ室の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて本格的な上昇を開始するが、面14の傾斜角θ1 が小さいことから、連通度増大割合も低く、衝撃波を発生することがない。ポンプ室が面15を通過する間は連通度増大割合が高くなるも、既に圧力上昇が進行していることから、衝撃波を生ずることがない。
【選択図】図6
【解決手段】ハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部に切欠き面14,15を形成し、面15の傾斜角θ2 を面14の傾斜角θ1 よりも大きくする。高回転ポンプ作用時は、ポンプ室の圧力上昇がインナギアおよびアウタギアの回転に対して遅れ気味となる結果、ポンプ室の圧力が当初はあまり上昇しない。切欠き面14によりポンプ室が吐出ポート5に連通し始めたところで、ポンプ室の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて本格的な上昇を開始するが、面14の傾斜角θ1 が小さいことから、連通度増大割合も低く、衝撃波を発生することがない。ポンプ室が面15を通過する間は連通度増大割合が高くなるも、既に圧力上昇が進行していることから、衝撃波を生ずることがない。
【選択図】図6
Description
本発明は、自動変速機などの伝動機構に、潤滑や変速制御の目的で用いられるポンプの改良提案に関するものである。
これらの用途に用いられるポンプとしては、内接歯車ポンプを初めとして、その他、外接歯車ポンプや、ロータリーベーンポンプなど、種々の型式のものが知られている。
内接歯車ポンプを例にとって説明するとこれは、特許文献1に記載されているように構成する。
つまり図7および図8に示すように、ポンプハウジング1内にアウタギア2を回転自在に収納して具え、該アウタギアの内部に偏心配置されてその内歯に噛合するインナギア3を設ける。
そして、インナギア3とアウタギア2との間の非噛合隙間に、これらギアを軸線方向に支えるポンプハウジング1の底面1aから突出したクレッセント4を介在させ、これによりポンプ効率を高める。
つまり図7および図8に示すように、ポンプハウジング1内にアウタギア2を回転自在に収納して具え、該アウタギアの内部に偏心配置されてその内歯に噛合するインナギア3を設ける。
そして、インナギア3とアウタギア2との間の非噛合隙間に、これらギアを軸線方向に支えるポンプハウジング1の底面1aから突出したクレッセント4を介在させ、これによりポンプ効率を高める。
ポンプ作用に当たっては、インナギア3を図7に矢印で示す方向へ回転駆動し、アウタギア2を同じく矢印で示す方向へ回転させる。
この回転に伴って、インナギア3およびアウタギア2の歯溝により画成される各ポンプ室は順次、ギア回転方向遅れ側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吸入ポート(図示せず)、およびギア回転方向進み側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吐出ポート(図8に5で示す)を通過し、
各ポンプ室は吸入ポート通過時にこれから流体を補給され、吐出ポート5に連通する時これに流体を吐出して、所定のポンプ作用を行う。
この回転に伴って、インナギア3およびアウタギア2の歯溝により画成される各ポンプ室は順次、ギア回転方向遅れ側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吸入ポート(図示せず)、およびギア回転方向進み側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吐出ポート(図8に5で示す)を通過し、
各ポンプ室は吸入ポート通過時にこれから流体を補給され、吐出ポート5に連通する時これに流体を吐出して、所定のポンプ作用を行う。
かかるポンプ作用中、インナギア3およびアウタギア2の回転速度が低い低回転時は、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力が時間的な余裕もあって吸入ポートから吐出ポートに向かうにつれて着実に上昇し、問題を生ずることがないものの、
インナギア3およびアウタギア2の回転速度が速い高回転時は、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇がインナギア3およびアウタギア2の回転に対して遅れ気味となる結果、歯溝(ポンプ室)の先行歯がクレッセント4を通過して歯溝(ポンプ室)を吐出ポート5に連通し始めた時、高圧になっている吐出ポート5から歯溝(ポンプ室)への急激な流体の流れを発生させ、所謂キャビテーションに伴うノイズや、エロージョン(壊食)の問題が生ずるのを免れなかった。
インナギア3およびアウタギア2の回転速度が速い高回転時は、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇がインナギア3およびアウタギア2の回転に対して遅れ気味となる結果、歯溝(ポンプ室)の先行歯がクレッセント4を通過して歯溝(ポンプ室)を吐出ポート5に連通し始めた時、高圧になっている吐出ポート5から歯溝(ポンプ室)への急激な流体の流れを発生させ、所謂キャビテーションに伴うノイズや、エロージョン(壊食)の問題が生ずるのを免れなかった。
これがため従来、特許文献1にも記載されているが、図7および図8に示すように、吐出ポート5に近いクレッセント4の突出隅角部を切り欠いて切欠き面6を設定し、歯溝(ポンプ室)の先行歯がクレッセント4を通過し終える前から歯溝(ポンプ室)を吐出ポート5に通じさせ始め、その後に連通開度を徐々に増大させるようにし、
これにより、高回転時における上記キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消することを狙った技術思想が提案されている。
特開平7−151065号公報
これにより、高回転時における上記キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消することを狙った技術思想が提案されている。
しかし、かかる従来の対策によってもなお、以下に説明する問題があることを確かめた。
つまり、クレッセント4の吐出ポート側の端部における突出隅角部に単一の切欠き面6を設けるというだけでは、当該切欠き面のギア回転方向における長さWを長くするとポンプ効率の低下を招くためにこれを長くするには限界があり、かかる制約の上で、切欠き面6が略クレッセント4の全高に及ぶようにするには、インナギア3およびアウタギア2の回転面に対する欠き面6の傾斜角θを大きくせざるを得ない。
つまり、クレッセント4の吐出ポート側の端部における突出隅角部に単一の切欠き面6を設けるというだけでは、当該切欠き面のギア回転方向における長さWを長くするとポンプ効率の低下を招くためにこれを長くするには限界があり、かかる制約の上で、切欠き面6が略クレッセント4の全高に及ぶようにするには、インナギア3およびアウタギア2の回転面に対する欠き面6の傾斜角θを大きくせざるを得ない。
この場合、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力は、歯溝の先行歯が順次、図7にDで示すクレッセント進入位置から、同図にEで示すクレッセント通過位置を経て、同図にFで示すクレッセント退出位置を通過する過程を追って説明すると、
低回転時、圧力上昇に時間的な余裕があることから、図9にaによって示すごとくD〜F間のクレッセント域でも徐々に上昇するが、
高回転時は同図にbで示すごとく、圧力上昇が間に合わず、E位置に至って始めて圧力が上昇し始める。
そしてE位置以後、傾斜角θの上記大きさ故に、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力は急激に上昇して衝撃波を発生し、キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消するといった目的を達成することができない。
低回転時、圧力上昇に時間的な余裕があることから、図9にaによって示すごとくD〜F間のクレッセント域でも徐々に上昇するが、
高回転時は同図にbで示すごとく、圧力上昇が間に合わず、E位置に至って始めて圧力が上昇し始める。
そしてE位置以後、傾斜角θの上記大きさ故に、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力は急激に上昇して衝撃波を発生し、キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消するといった目的を達成することができない。
従って、インナギア3およびアウタギア2の回転面に対する欠き面6の傾斜角θは、図8に示すように欠き面6がクレッセントの全高に及ばないこととなっても、或る程度小さくすることが不可欠である。
ところでこの場合、当該傾斜角θに応じた図8にαで示す領域におけるキャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)は回避することができるも、これより吐出ポート5に近い領域βにおけるキャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)を回避することができない。
付言すれば、従来の対策では如何にしても、吐出ポート5に近い領域βにおけるキャビテーションの問題をも確実に生じなくすることができなかった。
ところでこの場合、当該傾斜角θに応じた図8にαで示す領域におけるキャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)は回避することができるも、これより吐出ポート5に近い領域βにおけるキャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)を回避することができない。
付言すれば、従来の対策では如何にしても、吐出ポート5に近い領域βにおけるキャビテーションの問題をも確実に生じなくすることができなかった。
請求項1に記載の第1発明は、切欠き面の長さに制約があっても、吐出ポートに近い領域まで確実にキャビテーションの問題を生じなくし得るようにしたポンプを提案することを目的とする。
請求項2に記載の第2発明は、第1発明を安価に実現するポンプの構成を提案することを目的とする。
請求項3に記載の第3発明は、第1発明の目的を一層きめ細かく実現するポンプの構成を提案することを目的とする。
これらの目的のため、先ず第1発明は、
ポンプハウジング内で回転駆動されるポンプ要素を具え、該ポンプ要素により画成されたポンプ室がポンプ要素の回転に伴い順次、吸入ポートおよび吐出ポートを通過してポンプ作用を生起するようにしたポンプにおいて、
前記ポンプ要素を軸線方向に支えるポンプハウジングの底面と吐出ポートとの交差隅角部を切り欠いて、前記ポンプ室が吐出ポートに到達する直前に該ポンプ室を吐出ポートに通じさせるための切欠き面を前記ポンプハウジングに形成し、
該切欠き面をポンプ要素回転方向に連なる複数の面で構成すると共に、これら構成面のポンプ要素回転面に対する傾斜角を吐出ポートに近いものほど大きくしたことを特徴とするものである。
ポンプハウジング内で回転駆動されるポンプ要素を具え、該ポンプ要素により画成されたポンプ室がポンプ要素の回転に伴い順次、吸入ポートおよび吐出ポートを通過してポンプ作用を生起するようにしたポンプにおいて、
前記ポンプ要素を軸線方向に支えるポンプハウジングの底面と吐出ポートとの交差隅角部を切り欠いて、前記ポンプ室が吐出ポートに到達する直前に該ポンプ室を吐出ポートに通じさせるための切欠き面を前記ポンプハウジングに形成し、
該切欠き面をポンプ要素回転方向に連なる複数の面で構成すると共に、これら構成面のポンプ要素回転面に対する傾斜角を吐出ポートに近いものほど大きくしたことを特徴とするものである。
第2発明のポンプは、上記第1発明において、
前記切り欠き面を複数の平坦な面の組み合わせで構成したことを特徴とするものである。
前記切り欠き面を複数の平坦な面の組み合わせで構成したことを特徴とするものである。
第3発明のポンプは、上記第1発明において、
前記切り欠き面を所定の曲率をもって延在する円弧面で構成したことを特徴とするものである。
前記切り欠き面を所定の曲率をもって延在する円弧面で構成したことを特徴とするものである。
ポンプ要素をポンプハウジング内で回転駆動させると、ポンプ要素により画成されたポンプ室が順次、吸入ポートおよび吐出ポートを通過してポンプ作用を行うことができる。
ところで第1発明においては、ポンプ室が吐出ポートに到達する直前に、ポンプハウジングの切欠き面が当該ポンプ室を吐出ポートに通じさせ、ポンプ室を前もって圧力上昇させる。
ところで第1発明においては、ポンプ室が吐出ポートに到達する直前に、ポンプハウジングの切欠き面が当該ポンプ室を吐出ポートに通じさせ、ポンプ室を前もって圧力上昇させる。
そして上記切欠き面を、ポンプ要素回転方向に連なる複数の面で構成すると共に、これら構成面のポンプ要素回転面に対する傾斜角を吐出ポートに近いものほど大きくしたことから、
上記の圧力上昇を、高回転時であっても徐々に行わせることができて、キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消することができると共に、
切欠き面のポンプ要素回転方向における長さに制約があっても、吐出ポートに近い領域まで確実に当該問題解決を実現し得るように切欠き面を形成することができる。
上記の圧力上昇を、高回転時であっても徐々に行わせることができて、キャビテーションノイズや、エロージョン(壊食)の問題を解消することができると共に、
切欠き面のポンプ要素回転方向における長さに制約があっても、吐出ポートに近い領域まで確実に当該問題解決を実現し得るように切欠き面を形成することができる。
第1発明においては更に、上記切欠き面の形成に際し、上記ポンプ要素を軸線方向に支えるポンプハウジングの底面と吐出ポートとの交差隅角部を切り欠いて当該切欠き面を形成したことから、
クレッセントを持たない内接歯車ポンプや、その他、歯車ポンプに限らず、ロータリベーンポンプ等のあらゆるポンプに対し本発明の着想を適用して所期の目的を達成することができる。
クレッセントを持たない内接歯車ポンプや、その他、歯車ポンプに限らず、ロータリベーンポンプ等のあらゆるポンプに対し本発明の着想を適用して所期の目的を達成することができる。
第2発明においては、上記切り欠き面を複数の平坦な面の組み合わせにより構成したため、当該切欠き面の加工が容易で、安価に第1発明の目的を達成することができる。
第3発明においては、上記切り欠き面を所定の曲率をもって延在する円弧面で構成したから、第1発明の目的を一層きめ細かく実現して如何なる要求にも応えることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1乃至図4は、本発明の参考例になる自動変速機用の内接歯車ポンプで、図中、図7および図8におけると同様の部分を同一符号にて示す。
図1および図2に明示するように、ポンプハウジング1内にアウタギア2を回転自在に収納して設け、このアウタギアの内部に偏心配置されてその内歯に噛合するインナギア3を設け、これらのポンプ要素を、ポンプハウジング1の開口部に被せて取着したポンプカバー7でポンプハウジング1内に封入する。
図1乃至図4は、本発明の参考例になる自動変速機用の内接歯車ポンプで、図中、図7および図8におけると同様の部分を同一符号にて示す。
図1および図2に明示するように、ポンプハウジング1内にアウタギア2を回転自在に収納して設け、このアウタギアの内部に偏心配置されてその内歯に噛合するインナギア3を設け、これらのポンプ要素を、ポンプハウジング1の開口部に被せて取着したポンプカバー7でポンプハウジング1内に封入する。
インナギア3とアウタギア2との間の非噛合隙間に、これらギアを軸線方向に支えるポンプハウジング1の底面1aから突出したクレッセント4を介在させ、これにより、後述のポンプ作用中における効率を高めるようにする。
ポンプハウジング1には更に、図3に明示するように吐出ポート5および吸入ポート8を形成し、吐出ポート5をインナギア3およびアウタギア2間の吐出域と、ポンプハウジング1の外部との間に延在させ、吸入ポート8をインナギア3およびアウタギア2間の吸入域と、ポンプハウジング1の外部との間に延在させる。
そして図3および図4に明示するように、吐出ポート5に近いクレッセント4の端部における突出隅角部を切り欠いて2個の平坦面9,10よりなる切欠き面を形成し、これにより、インナギア3およびアウタギア2の歯溝により画成されるポンプ室を、吐出ポート5に到達する直前から吐出ポート5に通じさせるようにする。
ここで、インナギア3およびアウタギア2の回転方向(クレッセント4の長手方向)における切欠き面9,10の長さWは、当該切り欠き面の形成によるポンプ効率の低下が問題にならない範囲で最も長い値とし、この長さWを適切に配分して決めた長さW1 の範囲に平坦切欠き面9を、また、長さW2 の範囲に平坦切欠き面10をそれぞれ延在させる。
ここで、インナギア3およびアウタギア2の回転方向(クレッセント4の長手方向)における切欠き面9,10の長さWは、当該切り欠き面の形成によるポンプ効率の低下が問題にならない範囲で最も長い値とし、この長さWを適切に配分して決めた長さW1 の範囲に平坦切欠き面9を、また、長さW2 の範囲に平坦切欠き面10をそれぞれ延在させる。
しかして、後者の平坦切欠き面10はいずれにしても、ポンプハウジング底面1aの近くまで、つまり、クレッセント4の略全高に亘り延在させ、
インナギア3およびアウタギア2の回転面に対する平坦切欠き面9および平坦切欠き面10の傾斜角θ1 ,θ2 は、吐出ポート5に近い平坦切欠き面10の傾斜角θ2 の方が平坦切欠き面9の傾斜角θ1 よりも大きくなるように決定することとする。
インナギア3およびアウタギア2の回転面に対する平坦切欠き面9および平坦切欠き面10の傾斜角θ1 ,θ2 は、吐出ポート5に近い平坦切欠き面10の傾斜角θ2 の方が平坦切欠き面9の傾斜角θ1 よりも大きくなるように決定することとする。
ポンプ作用に当たっては、インナギア3を図1に矢印で示す方向へ回転駆動し、アウタギア2を同じく矢印で示す方向へ回転させる。
この回転に伴って、インナギア3およびアウタギア2の歯溝により画成される各ポンプ室は順次、ギア回転方向遅れ側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吸入ポート8、およびギア回転方向進み側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吐出ポート5を通過する。
これにより各ポンプ室は吸入ポート8に通過する時これから流体を補給され、吐出ポート5に連通する時これに流体を吐出して、所定のポンプ作用を行う。
この回転に伴って、インナギア3およびアウタギア2の歯溝により画成される各ポンプ室は順次、ギア回転方向遅れ側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吸入ポート8、およびギア回転方向進み側におけるクレッセント4の端部近くにおいてポンプハウジング1に形成した吐出ポート5を通過する。
これにより各ポンプ室は吸入ポート8に通過する時これから流体を補給され、吐出ポート5に連通する時これに流体を吐出して、所定のポンプ作用を行う。
かかるポンプ作用中、インナギア3およびアウタギア2の回転速度が低い低回転時なら、切欠き面9,10の設置がなくても、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力は時間的な余裕があることから、図9にaで示すように吸入ポート8から吐出ポート5に向かうにつれて着実に上昇し、キャビテーションに伴うノイズや、エロージョン(壊食)の問題を生ずることがない。
ここで、インナギア3およびアウタギア2の回転速度が速い高回転時のポンプ作用について説明するに、この高回転時は、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇がインナギア3およびアウタギア2の回転に対して遅れ気味となる結果、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のD位置からE位置に達するまでの間は、図9にcで示すように歯溝(ポンプ室)の圧力があまり上昇し得ない。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のE位置を通過することで切欠き面9により歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に連通し始めたところで該歯溝(ポンプ室)の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて図9にcで示すごとくに本格的な上昇を開始する。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のE位置を通過することで切欠き面9により歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に連通し始めたところで該歯溝(ポンプ室)の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて図9にcで示すごとくに本格的な上昇を開始する。
ところで、切欠き面9の傾斜角θ1 が小さいことから、歯溝(ポンプ室)の吐出ポート5に対する連通度増大割合も低く、当該歯溝(ポンプ室)の圧力上昇は図9にcで示すように比較的ゆるやかなものとなる。
従って、歯溝(ポンプ室)に衝撃波が発生することがなくて、キャビテーションノイズや、図4の対応領域αにおけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
従って、歯溝(ポンプ室)に衝撃波が発生することがなくて、キャビテーションノイズや、図4の対応領域αにおけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が切欠き面10を通過している間はその傾斜勾配θ2 の大きさ故に、歯溝(ポンプ室)の吐出ポート5に対する連通度増大割合が高くなるも、既に当該歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が進行していることから、歯溝(ポンプ室)に衝撃波を生ずることはなく、
その内部圧力は以後も図9にcで示すように滑らかに上昇して、キャビテーションに伴うノイズや、図4の対応領域βにおけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
その内部圧力は以後も図9にcで示すように滑らかに上昇して、キャビテーションに伴うノイズや、図4の対応領域βにおけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
ところで、吐出ポート5に近い側の切欠き面10の傾斜角θ2 を他方の切欠き面9の傾斜角θ1よりも大きくしたから、
これら切り欠き面の形成長さWに前記の制約があっても、歯溝(ポンプ室)の内部圧力を図9にcで示すように滑らかに上昇させ得る切欠き面9,10の傾斜角でありながら、切欠き面9,10をクレッセント4の略全高に亘って延在させ得て、吐出ポート5に極く近い図4の領域βのエロージョン(壊食)も確実に防止することができる。
これら切り欠き面の形成長さWに前記の制約があっても、歯溝(ポンプ室)の内部圧力を図9にcで示すように滑らかに上昇させ得る切欠き面9,10の傾斜角でありながら、切欠き面9,10をクレッセント4の略全高に亘って延在させ得て、吐出ポート5に極く近い図4の領域βのエロージョン(壊食)も確実に防止することができる。
なお、上記した参考例においては、クレッセント4に設ける切欠き面を2個の平坦切欠き面9,10で構成したが、
図5に示すように3個の平坦切欠き面11,12,13で構成してもよいし、勿論それよりも多くの平坦切欠き面で構成することができる。
そして、平坦切欠き面11,12,13を3個以上にする場合、その数が多いほど歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が滑らかになると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を一層きめ細かく達成することができる。
図5に示すように3個の平坦切欠き面11,12,13で構成してもよいし、勿論それよりも多くの平坦切欠き面で構成することができる。
そして、平坦切欠き面11,12,13を3個以上にする場合、その数が多いほど歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が滑らかになると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を一層きめ細かく達成することができる。
更に図示はしなかったが、クレッセント4に設ける切欠き面を平坦切欠き面で構成する代わりに、所定の曲率で延在する円弧面で構成してもよい。
この場合、切欠き面の形成が平坦切欠き面ほど容易ではないが、その反面、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇を究極的に滑らかにし得ると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を究極的にきめ細かく達成することができる。
この場合、切欠き面の形成が平坦切欠き面ほど容易ではないが、その反面、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇を究極的に滑らかにし得ると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を究極的にきめ細かく達成することができる。
また上記の参考例ではいずれも、クレッセント4が存在するポンプを前提とし、当該クレッセント4に、平坦切欠き面9,10(11,12,13)で構成される切欠き面や、円弧面で構成される切欠き面を設けることとしたから、クレッセント4が存在しないポンプにあっては、上記した本発明の着想を適用できない。
本発明は、上記したクレッセント4が存在しないポンプであっても、同様の考え方により同様に所期の目的を達成することができるようにしたものである。
かようにクレッセント4が存在しないポンプにあっては、図6に一実施例を示すように、
インナギア3およびアウタギア2を軸線方向に支持するポンプハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部を切り欠いて2個の平坦切欠き面14,15を形成し、吐出ポート5に近い平坦切欠き面15の傾斜角θ2 を他方の平坦切欠き面14の傾斜角θ1 よりも大きくする。
この場合も、歯溝(ポンプ室)の先行歯が平坦切欠き面14から平坦切欠き面15に向かう間、歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に対して徐々に開度を増大されることから、また、平坦切欠き面14,15の傾斜角θ1 ,θ2 の間に、θ2>θ1 の関係があることから、前記各参考例におけると同様の作用効果を達成することができる。
かようにクレッセント4が存在しないポンプにあっては、図6に一実施例を示すように、
インナギア3およびアウタギア2を軸線方向に支持するポンプハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部を切り欠いて2個の平坦切欠き面14,15を形成し、吐出ポート5に近い平坦切欠き面15の傾斜角θ2 を他方の平坦切欠き面14の傾斜角θ1 よりも大きくする。
この場合も、歯溝(ポンプ室)の先行歯が平坦切欠き面14から平坦切欠き面15に向かう間、歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に対して徐々に開度を増大されることから、また、平坦切欠き面14,15の傾斜角θ1 ,θ2 の間に、θ2>θ1 の関係があることから、前記各参考例におけると同様の作用効果を達成することができる。
つまり、前記したポンプ作用中、インナギア3およびアウタギア2の回転速度が低い低回転時なら、切欠き面14,15の設置がなくても、インナギア3およびアウタギア2の歯溝(ポンプ室)の圧力は時間的な余裕があることから、図9にaで示すように吸入ポート8から吐出ポート5に向かうにつれて着実に上昇し、キャビテーションに伴うノイズや、エロージョン(壊食)の問題を生ずることがない。
ここで、インナギア3およびアウタギア2の回転速度が速い高回転時のポンプ作用について説明するに、この高回転時は、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇がインナギア3およびアウタギア2の回転に対して遅れ気味となる結果、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のD位置からE位置に達するまでの間は、図9にcで示すように歯溝(ポンプ室)の圧力があまり上昇し得ない。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のE位置を通過することで切欠き面14により歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に連通し始めたところで該歯溝(ポンプ室)の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて図9にcで示すごとくに本格的な上昇を開始する。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が図3のE位置を通過することで切欠き面14により歯溝(ポンプ室)が吐出ポート5に連通し始めたところで該歯溝(ポンプ室)の圧力は、高圧になっている吐出ポート5からの流体流を受けて図9にcで示すごとくに本格的な上昇を開始する。
ところで、切欠き面14の傾斜角θ1 が小さいことから、歯溝(ポンプ室)の吐出ポート5に対する連通度増大割合も低く、当該歯溝(ポンプ室)の圧力上昇は図9にcで示すように比較的ゆるやかなものとなる。
従って、歯溝(ポンプ室)に衝撃波が発生することがなくて、キャビテーションノイズや、対応領域(図4の領域αに相当)におけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
従って、歯溝(ポンプ室)に衝撃波が発生することがなくて、キャビテーションノイズや、対応領域(図4の領域αに相当)におけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
そして、歯溝(ポンプ室)の先行歯が切欠き面15を通過している間はその傾斜勾配θ2 の大きさ故に、歯溝(ポンプ室)の吐出ポート5に対する連通度増大割合が高くなるも、既に当該歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が進行していることから、歯溝(ポンプ室)に衝撃波を生ずることはなく、
その内部圧力は以後も図9にcで示すように滑らかに上昇して、キャビテーションに伴うノイズや、対応領域(図4の領域βに相当)におけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
その内部圧力は以後も図9にcで示すように滑らかに上昇して、キャビテーションに伴うノイズや、対応領域(図4の領域βに相当)におけるエロージョン(壊食)の発生を解消することができる。
なお上記した実施例においては、ポンプハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部を切り欠いて2個の平坦切欠き面14,15を形成したから、図1乃至図5の参考例に示すようなクレッセント4を持たないポンプに対して本発明の着想を適用して、上記のように参考例におけると同様な作用効果を達成することができる。
ところで上記実施例では、上記の作用効果を達成するための切欠き面を2個の平坦切欠き面14,15で構成したが、
図5の参考例におけると同様に3個の平坦切欠き面で構成してもよいし、勿論それよりも多くの平坦切欠き面で構成することができる。
そして、平坦切欠き面を3個以上にする場合、その数が多いほど歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が滑らかになると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を一層きめ細かく達成することができる。
ところで上記実施例では、上記の作用効果を達成するための切欠き面を2個の平坦切欠き面14,15で構成したが、
図5の参考例におけると同様に3個の平坦切欠き面で構成してもよいし、勿論それよりも多くの平坦切欠き面で構成することができる。
そして、平坦切欠き面を3個以上にする場合、その数が多いほど歯溝(ポンプ室)の圧力上昇が滑らかになると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を一層きめ細かく達成することができる。
更に図示はしなかったが、ポンプハウジング底面1aと、吐出ポート5との交差隅角部を切り欠いて設ける切欠き面を平坦切欠き面で構成する代わりに、所定の曲率で延在する円弧面で構成してもよい。
この場合、切欠き面の形成が平坦切欠き面ほど容易ではないが、その反面、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇を究極的に滑らかにし得ると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を究極的にきめ細かく達成することができる。
この場合、切欠き面の形成が平坦切欠き面ほど容易ではないが、その反面、歯溝(ポンプ室)の圧力上昇を究極的に滑らかにし得ると共に、前記実施の形態で説明した作用効果を究極的にきめ細かく達成することができる。
1 ポンプハウジング
2 アウタギア
3 インナギア
4 クレッセント
5 吐出ポート
7 ポンプカバー
8 吸入ポート
9 平坦切欠き面
10 平坦切欠き面
11 平坦切欠き面
12 平坦切欠き面
13 平坦切欠き面
14 平坦切欠き面
15 平坦切欠き面
2 アウタギア
3 インナギア
4 クレッセント
5 吐出ポート
7 ポンプカバー
8 吸入ポート
9 平坦切欠き面
10 平坦切欠き面
11 平坦切欠き面
12 平坦切欠き面
13 平坦切欠き面
14 平坦切欠き面
15 平坦切欠き面
Claims (3)
- ポンプハウジング内で回転駆動されるポンプ要素を具え、該ポンプ要素により画成されたポンプ室がポンプ要素の回転に伴い順次、吸入ポートおよび吐出ポートを通過してポンプ作用を生起するようにしたポンプにおいて、
前記ポンプ要素を軸線方向に支えるポンプハウジングの底面と吐出ポートとの交差隅角部を切り欠いて、前記ポンプ室が吐出ポートに到達する直前に該ポンプ室を吐出ポートに通じさせるための切欠き面を前記ポンプハウジングに形成し、
該切欠き面をポンプ要素回転方向に連なる複数の面で構成すると共に、これら構成面のポンプ要素回転面に対する傾斜角を吐出ポートに近いものほど大きくしたことを特徴とするポンプ。 - 請求項1に記載のポンプにおいて、
前記切り欠き面を複数の平坦な面の組み合わせで構成したことを特徴とするポンプ。 - 請求項1に記載のポンプにおいて、
前記切り欠き面を所定の曲率をもって延在する円弧面で構成したことを特徴とするポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004323943A JP2005121032A (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004323943A JP2005121032A (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | ポンプ |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23220497A Division JP3634125B2 (ja) | 1997-08-28 | 1997-08-28 | ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005121032A true JP2005121032A (ja) | 2005-05-12 |
Family
ID=34617038
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004323943A Pending JP2005121032A (ja) | 2004-11-08 | 2004-11-08 | ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2005121032A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010138905A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Zahnradfab Friedrichshafen Ag | 最適化された騒音抑制部が設けられた内接ギヤポンプ |
-
2004
- 2004-11-08 JP JP2004323943A patent/JP2005121032A/ja active Pending
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JP2010138905A (ja) * | 2008-12-10 | 2010-06-24 | Zahnradfab Friedrichshafen Ag | 最適化された騒音抑制部が設けられた内接ギヤポンプ |
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