JP2005119576A - キャスター - Google Patents
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Abstract
【課題】手押し車や車椅子及び各種運搬車などに取り付けられるキャスターにおいて、旋回性を維持したまま、走行路面上のわずかな段差や小石などの比較的低い障害物の乗り越えを容易とし、また、このような障害物を連続的に乗り越えることができ円滑な走行を可能とするキャスターを提供する。
【解決手段】走行車輪6よりも回転半径を大きくし、通常走行時のセット状態にて一方が前記走行車輪6よりも前方に位置する当接部25を回転方向に対して等間隔に二箇所備え、前記車軸5が挿通される長孔30を有し、該長孔30に車軸5を挿通させることで、長孔30内を車軸5が移動して乗越えフレーム20が車軸5に対して偏心しながら回転可能な状態で、該乗越えフレーム20を主枠3にて支持し、主枠3と乗越えフレーム20との間に、該乗越えフレーム20を前記セット状態に保持する復帰手段である弾性部材13を有するリンク機構10を介装した。
【選択図】図1
【解決手段】走行車輪6よりも回転半径を大きくし、通常走行時のセット状態にて一方が前記走行車輪6よりも前方に位置する当接部25を回転方向に対して等間隔に二箇所備え、前記車軸5が挿通される長孔30を有し、該長孔30に車軸5を挿通させることで、長孔30内を車軸5が移動して乗越えフレーム20が車軸5に対して偏心しながら回転可能な状態で、該乗越えフレーム20を主枠3にて支持し、主枠3と乗越えフレーム20との間に、該乗越えフレーム20を前記セット状態に保持する復帰手段である弾性部材13を有するリンク機構10を介装した。
【選択図】図1
Description
本発明は、手押し車や車椅子及び各種運搬車などに取り付けられるキャスターに関する。
従来から、手押し車などに取り付けられるキャスターの走行車輪は、安定性の向上や荷物の積み下ろしのため、また収納を容易にするために小径のものが多い。そのため、特に荷台に重量物を載せて手で押しながら搬送する場合、わずかな段差や小石などの障害物を乗り越えて通過するときに、車輪を持ち上げたり、一度後退して勢いをつけ直したりする必要が生じる。このように、重量物などを搬送する場合、特に女性や老人などの非力な人が使用するには困難な面が多く、円滑な走行が難しいことがある。
このような問題を解決するため、走行車輪の両外側に、車軸と同軸に滑車を取り付け、この滑車が転動するガイド溝を有するガイドフレームを備えることで、走行路面上の段差を容易に通過することを可能とする技術(特許文献1参照)や、走行車輪よりも大きい径の扇状や弓状の補助車輪を備え、この補助車輪によって段差の乗り降りを行い、段差乗越え能力の向上を図った技術(特許文献2参照)が公知となっている。
本発明が解決しようとする問題点は、手押し車などのキャスターに備えられる径の小さい走行車輪によって、走行路面上の段差などの障害物を乗り越えようとすると、重量物などを搬送する際に困難な面が多いという点である。また、こうした障害物が走行路面上に連続して存在する場合に、円滑な走行が妨げられるという点である。
前記特許文献1において示されている技術は、段差を乗り越えようとする際に、車軸に過大な荷重がかかり、この荷重がかかる部分の強度を向上させる必要が生じる。また、走行車輪の両側に設けられるガイドフレームが、側面視において走行車輪よりもはみ出る部分が広範囲となっており、キャスターの旋回時に周囲の物にぶつかったり引っかかったりして円滑な旋回の妨げになる場合も生じることも考えられる。そして、意匠的な外観も良いとはいえない。また、前記特許文献2において示されている技術では、補助車輪によって段差の乗り降りを行った後、この補助車輪がばねによって付勢回転して元の状態に戻る構造であり、段差を乗り越え及び下り降りる際に、それぞれ旋回が拘束される構造となっているので、段差などの障害が連続的に存在する場合に円滑な走行を行うことが難しい。
そこで、本発明においては、手押し車や各種運搬車などに取り付けられるキャスターにおいて、旋回性を維持したまま、走行路面上のわずかな段差や小石などの比較的低い障害物の乗り越えを容易とし、また、このような障害物を連続的に乗り越えることができ円滑な走行を可能とするキャスターを提供する。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、本体の下部に取り付けられる取付基体と、該取付基体に旋回軸により軸着されて該旋回軸を中心に水平方向に旋回可能な主枠と、該主枠の両側から下方に向けて延設される両脚部と、該両脚部間に水平方向に懸架される車軸によって支承される走行車輪とを有するキャスターにおいて、前記走行車輪よりも回転半径を大きくし、通常走行時のセット状態にて一方が前記走行車輪よりも前方に位置する当接部を回転方向に対して等間隔に二箇所備え、前記車軸が挿通される長孔を有し、該長孔に車軸を挿通させることで、長孔内を車軸が移動して乗越えフレームが車軸に対して偏心しながら回転可能な状態で、該乗越えフレームを主枠にて支持し、主枠と乗越えフレームとの間に、該乗越えフレームを前記セット状態に保持する復帰手段を有するリンク機構を介装したものである。
請求項2においては、前記乗越えフレームは、前記リンク機構によって前記主枠に対し揺動可能に支持される揺動フレームと、該揺動フレームと一体的に相対回転可能に支持され、前記長孔を有し、前記当接部を回転方向に対して等間隔に二箇所備える回転フレームと、を備えるものである。
請求項3においては、前記リンク機構を、前記主枠の内側に設けたものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、旋回性を維持したまま、走行路面上のわずかな段差や小石などの比較的低い障害物の乗り越えが容易となる。また、当接部を乗越えフレームの回転方向に対して等間隔に二箇所備えることによって、障害物などを乗り越えた際、乗越えフレームが半回転することでセット状態に復帰することができるので、一度段差を乗り越えてからセット状態に復帰するまでのキャスターの進む距離が短くなり、障害物などが狭い間隔で連続している場合にも、連続して乗り越えることが可能となる。
また、乗越えフレームは、該乗越えフレームと主枠との間に介装されるリンク機構によって支持されており、車軸等に軸支される構造とはなっていないので、障害物を乗り越える際の本体の荷重は乗越えフレーム側のみにかかることとなり、既存のキャスターの構成部材の強度の向上を図る必要がない。
また、乗越えフレームは、該乗越えフレームと主枠との間に介装されるリンク機構によって支持されており、車軸等に軸支される構造とはなっていないので、障害物を乗り越える際の本体の荷重は乗越えフレーム側のみにかかることとなり、既存のキャスターの構成部材の強度の向上を図る必要がない。
請求項2においては、乗越えフレームの当接部の形態を調整することによって、乗越えフレームを作用させる障害物の高さの範囲を調整することができる。また、セット状態において乗越えフレームの回転フレームが、旋回軸を中心とする主枠及び走行車輪の回転範囲内に配置された状態となるので、乗越えフレームを備えることによっても、主枠及び走行車輪の旋回時の回転半径が大きくならず、キャスターの旋回性を維持することができる。さらに、側面視における乗越えフレームの走行車輪からはみ出る範囲が従来技術などと比較して狭く、意匠的な外観を損なうこともない。
請求項3においては、主枠の左右両側においてリンク機構による突出部をなくすことができ、該主枠によってリンク機構が保護されるため、走行中の衝突などによる外部からの衝撃や巻き込みなどの外乱による乗越えフレームの作動の妨げを防止することができ、より円滑な走行が可能となる。また、側面視においてリンク機構を主枠によって覆うことができるため、意匠的な外観の向上を図ることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明に係るキャスターの側面図、図2は同じく正面図、図3は乗越えフレームの構造を示す斜視図、図4は同じく側面図、図5は図4におけるA−A断面図、図6は回転フレームと揺動フレームとの連結方法の別実施例を示す斜視図、図7は乗越えフレームの作用を示す説明図、図8は本発明に係るキャスターの別実施例を示す側面図、図9は同じく正面図である。
図1は本発明に係るキャスターの側面図、図2は同じく正面図、図3は乗越えフレームの構造を示す斜視図、図4は同じく側面図、図5は図4におけるA−A断面図、図6は回転フレームと揺動フレームとの連結方法の別実施例を示す斜視図、図7は乗越えフレームの作用を示す説明図、図8は本発明に係るキャスターの別実施例を示す側面図、図9は同じく正面図である。
まず、本発明に係るキャスターの一実施例の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
本発明に係るキャスターは、手押し車などの本体に取り付けられる取付基体1によって該本体の下部に取り付けられるものである。該取付基体1には、その中央部に旋回軸2が垂直に設けられており、この旋回軸2を介して取付基体1に主枠3が水平方向に旋回可能に軸着されている。
本発明に係るキャスターは、手押し車などの本体に取り付けられる取付基体1によって該本体の下部に取り付けられるものである。該取付基体1には、その中央部に旋回軸2が垂直に設けられており、この旋回軸2を介して取付基体1に主枠3が水平方向に旋回可能に軸着されている。
主枠3は、その両側から下方に向けて両側部4・4が延設されて正面視において門状となっており、この両側部4・4間の下部には水平方向に車軸5が懸架され、この車軸5に走行車輪6が支承されている。両脚部4・4は、本体進行方向に対して前記旋回軸2の後側に位置しており、本発明に係るキャスターは、本体旋回後などにおいても、本体を前方に押し進めることによって進行方向に対して常に同じ側を前側とするように構成されている。
そして、前記主枠3の内側には、走行車輪6の左右両側及び接地面の一部を覆うように乗越えフレーム20が設けられている。該乗越えフレーム20は、乗越えフレーム20に形成される長孔30に車軸5を挿通することで主枠3に支持されており、主枠3と乗越えフレーム20との間にはリンク機構10が介装されている。該リンク機構10は主枠3に設けられている。
リンク機構10は、前記車軸5の上方において主枠3に設けられている支承部11aによって回動可能に支持され、該支承部11aから下方に向けて延設されている第一連結プレート11と、該第一連結プレート11の下端部の連結軸11bにその一端が支承され、この連結軸11bから前上方に延設されている他端側を乗越えフレーム20側に設けられる支承部12aに支承されている第二連結プレート12と、この第二連結プレート12の中途部に形成されている係止孔12bにその一端が係止され、他端が主枠3の前上方に設けられる係止部13aに係止されているばね等の弾性部材13とから構成されている。
次に、乗越えフレーム20の構成について図3及び図4を加えて説明する。
乗越えフレーム20は、金属製、より好ましくは加工を容易とする樹脂素材などにより、軽量かつ十分な強度を有するように構成されている。
乗越えフレーム20は、その主たる部分を構成する回転フレーム21と、該回転フレーム21の左右両側に、該回転フレーム21に対して相対回転可能に設けられる揺動フレーム22・22とから構成される。
乗越えフレーム20は、金属製、より好ましくは加工を容易とする樹脂素材などにより、軽量かつ十分な強度を有するように構成されている。
乗越えフレーム20は、その主たる部分を構成する回転フレーム21と、該回転フレーム21の左右両側に、該回転フレーム21に対して相対回転可能に設けられる揺動フレーム22・22とから構成される。
回転フレーム21は、走行車輪6の厚さよりも広い間隔を隔てて対向配置される側板23・23と、該側板23・23を接合する接合板24・24とから構成される。
側板23は、円形状の基部23aと、この基部23aの外周側に二箇所形成される延設部23b・23bとを有しており、この延設部23b・23bは、その形状及び配置を円形状の基部23aの側面視における中心点C(図4参照)に対して点対称としている。また、延設部23b・23bは、回転フレーム21の回転半径が走行車輪6の回転半径よりも大きくなるように形成され、回転フレーム21の回転方向に対して等間隔に二箇所形成される。
そして、左右の側板23・23の各延設部23b・23bがそれぞれ接合板24・24によって接合され、一体的に回転フレーム21を構成している。
側板23は、円形状の基部23aと、この基部23aの外周側に二箇所形成される延設部23b・23bとを有しており、この延設部23b・23bは、その形状及び配置を円形状の基部23aの側面視における中心点C(図4参照)に対して点対称としている。また、延設部23b・23bは、回転フレーム21の回転半径が走行車輪6の回転半径よりも大きくなるように形成され、回転フレーム21の回転方向に対して等間隔に二箇所形成される。
そして、左右の側板23・23の各延設部23b・23bがそれぞれ接合板24・24によって接合され、一体的に回転フレーム21を構成している。
前記接合板24・24は、回転フレーム21の回転方向に対して略接線方向に沿うように設けられ、この接合板24・24が段差などの障害物(以下単に障害物という)を乗り越える際に、走行車輪6よりも先に当接する当接部25を構成する部分となる。つまり、回転フレーム21において、前記延設部23b・23bとこれら延設部23b・23bを接合する接合板24によって当接部25を構成しているのである。すなわち、回転フレーム21は、側板23の基部23aの中心点Cに対して、その配置及び形状を点対称に二箇所当接部25を有している。
また、当接部25を構成する接合板24の外側面には、該当接部25が障害物に当接した際に、その衝撃を吸収するための緩衝部材26が貼設されている。この緩衝部材26は、ゴムや硬質スポンジ等の弾性素材によって構成され、長期間の使用による摩耗が発生した際は、張り替えることができる構成とすることもできる。
また、回転フレーム21の左右両側の略中央部、即ち側板23の基部23aの略中央部には、側面視において前記接合板24と略平行方向に長い長孔30が形成されている。この長孔30は、車軸5が挿通され、乗越えフレーム20を偏心しながら回転可能とするためのものであり、乗越えフレーム20が該長孔30内に車軸5を移動させて偏心しながら回転する際に、その回転が円滑に行われるのに十分な長さ及び幅を有している。つまり、この長孔30の幅の長さは車軸5の直径よりも長くなっており、乗越えフレーム20の偏心しながらの回転にともなう車軸5の軌道を妨げない形状を有している。さらに、長孔30を車軸5の軌道に対して若干余裕を持って形成することにより、長期間使用によって走行車輪6が擦り減り該走行車輪6の外径が小さくなった場合にも対応できる構成としている。
一方、揺動フレーム22は、その外径を回転フレーム21の側板23の基部23aの外径よりも小さく形成される円環状のプレートであり、回転フレーム21の左右両側において側板23の基部23aと同心配置された状態で取付板27・27によって位置決めされ、回転フレーム21と相対回転可能に取り付けられる。
また、揺動フレーム22は、前記回転フレーム21に形成される長孔30を側面視において塞ぐことのないように、その内径を長孔30の長手方向の長さと略同一に形成される。さらに、揺動フレーム22の内周面には、その一端部に、後述するセット状態において車軸5が収まることとなる切欠き部22aが車軸5の径に合わせて形成されている。
続いて、回転フレーム21と揺動フレーム22との連結方法について説明する。図3から図6を用いて説明する。
揺動フレーム22は、回転フレーム21を構成する側板23の基部23aと同心配置された状態で、側面視で長孔30と重ならない位置に対向配置される略半月状の2つの取付板27・27を、回転フレーム21の左右両外側から側板23にビスやボルト等の固着部材28によって固定することによって取り付けられる。
つまり、図3及び図5に示すように、揺動フレーム22の内周面22b及び、該内周面22bと接する取付板27・27の押え面27bは、内側(走行車輪6側)にむけてそれぞれテーパ状に形成されており、取付板27・27を回転フレーム21に固定することによって、該取付板27・27の押え面27b・27bによって位置決めされているのである。
揺動フレーム22は、回転フレーム21を構成する側板23の基部23aと同心配置された状態で、側面視で長孔30と重ならない位置に対向配置される略半月状の2つの取付板27・27を、回転フレーム21の左右両外側から側板23にビスやボルト等の固着部材28によって固定することによって取り付けられる。
つまり、図3及び図5に示すように、揺動フレーム22の内周面22b及び、該内周面22bと接する取付板27・27の押え面27bは、内側(走行車輪6側)にむけてそれぞれテーパ状に形成されており、取付板27・27を回転フレーム21に固定することによって、該取付板27・27の押え面27b・27bによって位置決めされているのである。
このようにして、揺動フレーム22は、回動フレーム21の左右両側面において、取付板27・27によって位置決めされた状態で、該揺動フレーム22の内周面22bが取付板27・27の押え面27b・27bに沿って相対回転可能に設けられている。
また、回転フレーム21と揺動フレーム22との連結方法の別実施例として、図6に示すように、前記取付板27・27を回転フレーム21側に一体的に形成し、揺動フレーム22を嵌合する構成としたり、別途係止部などを形成して係止する構成としたりすること等によって、固着部材を用いることなくはめ込み式に構成することもできる。
つまり、回転フレーム21と揺動フレーム22との連結方法は、特に上記実施例に限定されるものではなく、揺動フレーム22が回転フレーム21の左右両側部において位置決めされた状態で、回転フレーム21と揺動フレーム22とが一体的に相対回転可能に連結される構成であればよい。
つまり、回転フレーム21と揺動フレーム22との連結方法は、特に上記実施例に限定されるものではなく、揺動フレーム22が回転フレーム21の左右両側部において位置決めされた状態で、回転フレーム21と揺動フレーム22とが一体的に相対回転可能に連結される構成であればよい。
以上のように、乗越えフレーム20は、リンク機構10によって主枠3に対し揺動可能に支持される揺動フレーム22と、該揺動フレーム22と一体的に相対回転可能に支持され、長孔30を有し、当接部25を回転方向に対して等間隔に二箇所備える回転フレーム21とを備えている。
このような構成の乗越えフレーム20が、前記主枠3の内側において、回転フレーム21の側板23・23によって走行車輪6の左右側方を、接合板24・24によって走行車輪6の接地面の一部を覆うように配置された状態で、長孔30に車軸を挿通させることで、該長孔30内を車軸5が移動して乗越えフレーム20が車軸5に対して偏心しながら回転可能な状態で、該乗越えフレーム20を主枠3にて支持されている。この状態では、第二連結プレート12は、前記リンク機構10の弾性部材13によって主枠3側に付勢されている。
この支持された状態において、乗越えフレーム20は、長孔30内に車軸5を移動させて走行車輪6の周りを偏心しながら回転し、リンク機構10の弾性部材13によって復帰する構成となっている。すわわち、この弾性部材13がリンク機構10における復帰手段である。この乗越えフレーム20の回転にともなって回転フレーム21は回転し、揺動フレーム22はこの回転フレーム21の回転に応じて一定範囲を揺動する構成となっている。
通常走行時において乗越えフレーム20は、第二連結プレート12によって弾性部材13を介して上方に付勢されるとともに、揺動フレーム22に形成された切欠き部22aに車軸5が嵌ることによって位置決めされた状態を保持している。そして、通常路面を走行する際には、このセット状態で走行車輪6によって走行する。
このような乗越えフレーム20の通常走行時における状態(図1に示す状態)を以下「セット状態」という。
このような乗越えフレーム20の通常走行時における状態(図1に示す状態)を以下「セット状態」という。
このセット状態において、乗越えフレーム20は、一方の当接部25が走行車輪6よりも進行方向に対して前方に位置するように配置され支持されており、図1に示すように、走行路面から当接部25の下端までの高さをH1、当接部25の下端から当接部25の上端までの間隔をH2とすると、間隔H2の範囲内に高さを有する障害物が走行路面上に存在する場合に、この障害物を乗り越えて通過しようとすると乗越えフレーム20が作用する。言い換えると、高さH1の範囲内にその高さを有する障害物が走行路面上に存在した場合は、この障害物を乗り越えて通過しようとしても乗越えフレーム20は作用しないのである。
つまり、セット状態における乗越えフレーム20の当接部25の下端と走行路面との間の高さH1は、走行車輪6によっても容易に乗越えられる障害物の高さの範囲に設定され、このような障害物が走行路面上に存在しても、その都度乗越えフレーム20が作用することがないようにし、円滑な走行を可能としている。
つまり、セット状態における乗越えフレーム20の当接部25の下端と走行路面との間の高さH1は、走行車輪6によっても容易に乗越えられる障害物の高さの範囲に設定され、このような障害物が走行路面上に存在しても、その都度乗越えフレーム20が作用することがないようにし、円滑な走行を可能としている。
また、本実施の形態では、このセット状態における側面視での当接部25の水平面に対する角度θは約30°となるようにし、この乗越えフレーム20によって乗越え可能な障害物の高さ、即ち前記高さH1と間隔H2との合計を約3cmに設定している。なお、当接部25の水平面に対する角度θ及び乗越え可能な高さの設定は、本実施の形態に限定されるものではない。つまり、当接部25の形態を調整することによって、乗越えフレーム20を作用させる障害物の高さの範囲を調整することができる。
また、セット状態において乗越えフレーム20は、旋回軸2を中心とする主枠3及び走行車輪6の回転範囲内に配置された状態となっている。つまり、乗越えフレーム20を備えることによっても、旋回軸2を中心とする主枠3及び走行車輪6の旋回時の回転半径が大きくならないので、キャスターの旋回性を維持することができる。また、側面視において走行車輪6からはみ出る範囲が従来技術などと比較して狭くなっており、意匠的な外観を損なうこともない。
続いて、以上のような構成の乗越えフレーム20を具備するキャスターによって、実際に障害物としての段差を乗り越える際の作用について図1及び図7の(a)〜(f)に沿って説明していく。なお、説明の便宜上、紙面の右側を進行方向とし、また、段差を乗り越える前に走行車輪6より前方に位置する当接部を25aとし、もう一方の当接部を25bとする。
本体走行中、走行路面上に上述の間隔H2の範囲内に高さを有する段差が存在する場合、まず、このときのセット状態において前側に位置する当接部25aがこの段差に走行車輪6よりも先に当接する((a)参照)。この状態から、手押し車などの場合前方に力を加えたまま進行しようとすると、長孔30内に車軸5を移動させながら当接部25aの内側面(前記接合板24の内側面)を走行車輪6が上って行く。つまり、当接部25aの接合板24が段差を緩和して傾斜にする役割を果たす。この接合板24の内側面を走行車輪6が上って行く過程においては、本体の荷重は全て走行車輪6と接合板24の内側面との接触面にかかっている状態にある。
そして、走行車輪6が当接部25の接合板の内側面を上るとともに乗越えフレーム20が回転し、走行車輪6の下端が段差よりも高い位置に持ち上げられ((b)参照)、そのまま乗越えフレーム20が回転し、接合板24が進行方向に対して下り坂となる位置((c)参照)から、長孔30内を車軸5が移動しながら走行車輪6がこの接合板24の内側面に沿って走行路面に接地する((d)参照)。
その後、乗越えフレーム20はリンク機構10の弾性部材13によって引き上げられるように回転する。つまり、乗越えフレーム20は、復帰手段としての弾性部材13によって付勢された状態にあるので、走行車輪6の後側に回った当接部25a内側面とは、走行車輪6の接地面と接触した状態となっており、走行車輪6の回転にともなって当接部25aが上方に上がる((e)参照)。
そして、そのまま乗越えフレーム20が走行車輪6の回転及び弾性部材13の付勢力によって回転し、上述のセット状態に復帰する((f)参照)。このセット状態においては、前記当接部25aに対称に配置される当接部25bが前側に位置した状態となっている。つまり、乗越えフレーム20が180度回転し、段差乗り越えの際に最初に当接した当接部25aと反対側の当接部25bが走行車輪6よりも前方に位置した状態のセット状態となっているのである。言い換えると、段差を一度乗り越える度に、前側に位置する当接部25が交互に入れ替わる構造となっている。
このような一連の乗り越え動作において、乗越えフレーム20の回転を促す主な力に着目すると、段差に当接してから走行車輪6が当接部25aの内側面を乗り越えるまでは、本体を進行方向に押し進める力によって回転する。そして、走行車輪6が当接部25aの内側面を乗り越えた後は、弾性部材13の付勢力によって乗越えフレーム20が上方に引き上げられることにより当接部25aの内側面が走行車輪6の接地面に接触した状態となり、この当接部25aの内側面と走行車輪6との摩擦力が加わって乗越えフレーム20が回転し、段差乗り越えの際に最初に当接した当接部25aと反対側の位置に設けられている当接部25bが前側に位置したセット状態へと復帰する。
また、同じく一連の乗り越え動作において、本体の荷重は、走行車輪6が当接部25aの内側面を乗り越えている間は、この当接部25aの内側面と走行車輪6との接触面にかかっており、走行車輪6が当接部25aの内側面を乗り越える前及び乗り越えた後は、走行車輪6の接地面と走行路面との接触面にかかっている。つまり、通常走行時及び乗り越え動作時において、車軸5にかかる荷重は常に一定となっているのである。
以上のような過程によって、本発明のキャスターは、乗越えフレーム20が半回転することによって段差を容易に乗り越えることができる。
以上のような過程によって、本発明のキャスターは、乗越えフレーム20が半回転することによって段差を容易に乗り越えることができる。
このように、当接部25を乗越えフレーム20の回転方向に対して等間隔に二箇所備えることによって、段差を乗り越える際に、乗越えフレーム20は半回転してセット状態に復帰することができるのである。すなわち、一度段差を乗り越えてから、段差を乗り越える準備ができているセット状態に復帰するまでのキャスターの進む距離が短くなるのである。よって、段差が狭い間隔で連続している場合にも、この乗越えフレーム20によって連続して乗り越えることが可能となる。
また、乗越えフレーム20は、該乗越えフレーム20と主枠3との間に介装されるリンク機構10によって支持されており、車軸5等に軸支される構造とはなっていないので、障害物を乗り越える際の本体の荷重は乗越えフレーム20側のみにかかり、既存のキャスターの構成部材にかかることがない。つまり、例えば車軸5等のような既存のキャスターの構成部材の強度の向上を図る必要がない。
また、乗越えフレーム20は、該乗越えフレーム20と主枠3との間に介装されるリンク機構10によって支持されており、車軸5等に軸支される構造とはなっていないので、障害物を乗り越える際の本体の荷重は乗越えフレーム20側のみにかかり、既存のキャスターの構成部材にかかることがない。つまり、例えば車軸5等のような既存のキャスターの構成部材の強度の向上を図る必要がない。
続いて、本発明に係るキャスターの別実施例について図8及び図9を用いて説明する。なお、前記実施例と同一の形態及び機能を有する部材については、同一符号を付して説明を省略する。
本実施例においては、上述の実施例におけるリンク機構10を、前記主枠3の内側に設けたことを特徴としている。
つまり、正面視で門上に形成されている主枠3の左右方向の間隔を広くすることで、該主枠3と乗越えフレーム20との間にスペースを設け、このスペースにリンク機構10を設ける構成とする。この場合、第一連結プレート11、第二連結プレート12及び弾性部材13を主枠3の内側に配置し、第一連結プレート11の支承部11a及び弾性部材13の上端を係止する係止部13aも主枠3の内側から設ける構成とする。
本実施例においては、上述の実施例におけるリンク機構10を、前記主枠3の内側に設けたことを特徴としている。
つまり、正面視で門上に形成されている主枠3の左右方向の間隔を広くすることで、該主枠3と乗越えフレーム20との間にスペースを設け、このスペースにリンク機構10を設ける構成とする。この場合、第一連結プレート11、第二連結プレート12及び弾性部材13を主枠3の内側に配置し、第一連結プレート11の支承部11a及び弾性部材13の上端を係止する係止部13aも主枠3の内側から設ける構成とする。
このような構成とすることにより、主枠3の左右両側においてリンク機構10による突出部をなくすことができ、該主枠3によってリンク機構10が保護されるため、走行中の衝突などによる外部からの衝撃や巻き込みなどの外乱による乗越えフレーム20の作動の妨げを防止することができ、より円滑な走行が可能となる。また、側面視においてリンク機構10を主枠3によって覆うことができるため、意匠的な外観の向上を図ることができる。
1 取付基体
2 旋回軸
3 主枠
4 脚部
5 車軸
6 走行車輪
10 リンク機構
13 弾性部材
20 乗越えフレーム
21 回転フレーム
22 揺動フレーム
25 当接部
30 長孔
2 旋回軸
3 主枠
4 脚部
5 車軸
6 走行車輪
10 リンク機構
13 弾性部材
20 乗越えフレーム
21 回転フレーム
22 揺動フレーム
25 当接部
30 長孔
Claims (3)
- 本体の下部に取り付けられる取付基体と、該取付基体に旋回軸により軸着されて該旋回軸を中心に水平方向に旋回可能な主枠と、該主枠の両側から下方に向けて延設される両脚部と、該両脚部間に水平方向に懸架される車軸によって支承される走行車輪とを有するキャスターにおいて、
前記走行車輪よりも回転半径を大きくし、通常走行時のセット状態にて一方が前記走行車輪よりも前方に位置する当接部を回転方向に対して等間隔に二箇所備え、前記車軸が挿通される長孔を有し、該長孔に車軸を挿通させることで、長孔内を車軸が移動して乗越えフレームが車軸に対して偏心しながら回転可能な状態で、該乗越えフレームを主枠にて支持し、主枠と乗越えフレームとの間に、該乗越えフレームを前記セット状態に保持する復帰手段を有するリンク機構を介装したことを特徴とするキャスター。 - 前記乗越えフレームは、前記リンク機構によって前記主枠に対し揺動可能に支持される揺動フレームと、該揺動フレームと一体的に相対回転可能に支持され、前記長孔を有し、前記当接部を回転方向に対して等間隔に二箇所備える回転フレームと、を備えることを特徴とする請求項1に記載のキャスター。
- 前記リンク機構を、前記主枠の内側に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャスター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003358844A JP2005119576A (ja) | 2003-10-20 | 2003-10-20 | キャスター |
Applications Claiming Priority (1)
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Country | Link |
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Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP7492466B2 (ja) | 2021-02-09 | 2024-05-29 | 株式会社フジタ | 車輪及び車両 |
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-
2003
- 2003-10-20 JP JP2003358844A patent/JP2005119576A/ja active Pending
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