JP2005115243A - 反射型スクリーン及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高輝度、高コントラストの画像が得られる反射型スクリーン及びその製造方法を提供する。
【解決手段】支持体11上に、高屈折率の第1の光学膜とこれより低い屈折率をもつ第2の光学膜とが交互に積層されて2n+1(nは1以上の整数である。)層からなり、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜12が形成され、光学多層膜12上に、接着層13を介して複数の透明球体141が一層に配列され、透明球体141の一部が接着層13から露出し、固着されてビーズ層14が形成されてなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、明光下において高輝度、高コントラストの画像を見ることができる反射型スクリーン及びその製造方法に関する。
近年、会議等において発言者が資料を提示する方法としてオーバヘッドプロジェクタやデータプロジェクタが広く用いられている。また、一般家庭においても液晶を用いたビデオプロジェクタや動画フィルムプロジェクタが小型・軽量化、低価格化により普及しつつある。
これらのプロジェクタの映写方法は光源から出力された光をライトバルブによって光変調して画像光を形成し、この画像光をレンズ等の光学系を通して出射して反射型スクリーン上に映写するものである。
この種のプロジェクタとしては、カラー画像を表示させることができるものがあり、光源として三原色である赤色(Red=R)、緑色(Green=G)、青色(Blue=B)を含んだ白色光を発するランプが用いられ、ライトバルブとしては主に透過型の液晶パネルが用いられている。このプロジェクタでは、光源から出射された白色光が、照明光学系によって赤色光、緑色光および青色光の各色の光線に分離され、これら光線が所定の光路に収束される。これら光束が液晶パネルにより画像信号に応じて空間的に変調され、変調された光束が光合成部によってカラー画像光として合成され、合成されたカラー画像光が投影レンズによりスクリーンに拡大投射される。
このようなプロジェクタに用いられる反射型スクリーンは、スクリーン前方のプロジェクタ(フロントプロジェクタ)から照射される画像光を反射して反射光により投影画像を見ることができるようにしたものがあるが、良好な視認性を得るために、高輝度、高コントラストの画像を表示することが求められている。
反射型スクリーンとしては、従来から表面にエンボスを施した白色スクリーンが使用されていたが、反射される画像光のコントラストや輝度は不充分であった。また、図14に示すように、スクリーンのセンターに入射してくるプロジェクタ光は、反射されてプロジェクタの位置する方向に戻ってくるが、スクリーンのコーナーに入射してくるプロジェクタ光は反射されてその大部分がスクリーンの外側方向に戻るようになる。したがって、図15に示すように、プロジェクタ位置付近の観察者は、スクリーンのセンターでは明るく、コーナーでは暗いという輝度分布のある画像を見ることになる。
そこで近年では、基材上の反射層の上に光集束性のある透明ビーズを均一に並べた構成の反射型スクリーンが開示されている(例えば、特許文献1参照。)。これにより、反射される画像光の輝度が従来のものよりも向上した。
しかしながら、そのような反射型スクリーンでは、輝度が向上したにも関わらず、部屋の外乱光(蛍光灯の光、太陽光)の影響でコントラストの弱い画像となり、適切なコントラストの画像とするためには室内を暗くする必要があった。
上記問題に対して、波長領域に応じて選択的に光を反射する選択反射層を用いて、プロジェクタから投影される画像光を主に反射し、プロジェクタ以外の例えば蛍光灯や太陽等からの光、すなわち外光は反射しないようにしたスクリーンが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。このスクリーンは、支持体に選択反射層が形成され、選択反射層の前面に反射光を散乱させる拡散層が、さらに選択反射層の背後に透過光を吸収する吸収層が設けられている。また、選択反射層は高屈折率の光学膜と低屈折率の光学膜とが交互に積層された光学多層膜であり、プロジェクタ光の波長領域、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)の三原色波長領域の光を反射し、三原色波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する。このスクリーンにおいては、外光の影響を大幅に低減することができるため、部屋が明るい状態でもスクリーンゲインを下げることなく黒レベルを下げることができ、コントラストの高い鮮明な映像を表示することが可能となっている。
特開平3−53232号公報 特開2003−270725号公報
しかしながら、高圧水銀ランプなどを光源とするプロジェクタの光と外光、とくに蛍光灯の光との間では、両者の光の波長特性が非常に似通っているために上記光学多層膜によってもプロジェクタ光のみを選択的に反射することは困難であった。
また、上記高屈折率層及び低屈折率層はスパッタリング法などドライプロセスにより形成されることを前提としていたため、成膜装置の真空排気される処理室の大きさが制約されるとともにその処理室に挿入できる支持体の大きさも制約され、スクリーンの大画面化が困難であった。また、ドライプロセスであるために大量生産にも限界があった。
また、プロジェクタ光、外光それぞれのスクリーンに入射する角度を利用した拡散板あるいは遮光板が提案されているが、スクリーンの構造が複雑になったり、あるいは、周期的なスクリーン構造によりモアレが発生したりするなどの問題があり好ましくなかった。
また、通常のスクリーンでは、スクリーンから反射される光を有効に視聴者の方向に向ける、いわゆるゲインコントロールが必要となるが、その構造が複雑となり作ることが困難であった。
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、高輝度、高コントラストの画像が得られる反射型スクリーン及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明者は、透明ビーズの再帰反射特性、上記光学多層膜の選択反射特性に着目し、鋭意検討を行った結果、上記問題を解決し本発明を成すに至った。
すなわち、前記課題を解決するために提供する請求項1の発明に係る反射型スクリーンは、支持体上に、高屈折率の第1の光学膜とこれより低い屈折率をもつ第2の光学膜とが交互に積層されて2n+1(nは1以上の整数である。)層からなり、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜が形成され、前記光学多層膜上に、接着層を介して複数の透明球体が一層に配列され、前記透明球体の一部が接着層から露出し、固着されてビーズ層が形成されてなることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項2の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記支持体が透明であり、前記光学多層膜が支持体の両面に形成されてなることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項3の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記接着層が、光学多層膜側から順に透明層と黒色層とが積層された2層構造であることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項4の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記光学多層膜は、最外層が第1の光学膜で形成された積層構造を有することを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項5の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記第1の光学膜が、金属酸化物の微粒子と分散剤と結合剤とを含む材料を塗布して得られる膜であり、前記第2の光学膜がフッ素含有樹脂またはSiO2微粒子を含む材料を塗布して得られる膜であることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項6の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記特定の波長領域が、赤、緑、青の各波長領域を含むことを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項7の発明に係る反射型スクリーンは、請求項1の発明において、前記支持体の背面側に黒色光吸収層を備えたことを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項8の発明に係る反射型スクリーンの製造方法は、支持体上に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する2n+1(nは1以上の整数である。)層の光学多層膜と、前記光学多層膜上に、複数の透明球体が1層に配列され、接着層を介して該透明球体の一部が露出して固着されたビーズ層とを備えた反射型スクリーンの製造方法であって、前記光学多層膜の製造工程が、高屈折率の第1の光学膜を塗布により形成する第1塗布工程と、前記第1の光学膜よりも低い屈折率の第2の光学膜を塗布により形成する第2塗布工程とを有し、前記第1塗布工程と第2塗布工程とを交互に行うことからなることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項9の発明に係る反射型スクリーンの製造方法は、請求項8の発明において、前記ビーズ層の製造工程が、前記光学多層膜上に樹脂を含む塗液を塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜中に複数の透明球体を1層に配列し、該透明球体の一部が該塗膜表面から露出するように埋め込む工程と、前記塗膜を硬化させて接着層とする工程とを含むものであることを特徴とする。
前記課題を解決するために提供する請求項10の発明に係る反射型スクリーンの製造方法は、請求項9の発明において、前記塗膜が、光学多層膜側から透明塗膜と黒色塗膜とが順に塗布され、硬化により透明層と黒色層とが積層された2層構造となることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、透明球体(ビーズ)のもつ再帰反射特性により、スクリーンで反射された光はプロジェクタの出射方向に戻る為、プロジェクタと同じ方向から視聴することによって、高輝度の画像を見ることができる。また、スクリーンのセンターあるいはコーナーに当った光は、同じく視聴者の方向(プロジェクタの出射方向)に戻るため、センターとコーナーの輝度比がつきにくく、より均一な画像が楽しめる。
また、透明球体の再帰特性により、外乱光は外乱光の来た方向に再帰されるため、スクリーン上の画像に対する外乱光の影響は大きく低減され高コントラストの画像となる。さらに、透明球体を透過した光は光学多層膜で選択的に反射されるため、より高コントラストの画像となる。したがって、周辺が明るい環境下でも高輝度、高コントラストの映像を楽しむことができる。
また、分散された透明球体自体が、結像層としての役目も果たすため、従来結像層として備えられていた拡散板が省略できる。その結果、拡散板を使った場合に生じる表面反射が低減できるとともに、拡散板あるいはその接着層における光のロスが低減できる。
請求項2に記載の発明により、片面当りの積層数は同じであっても従来の片面のみに光学多層膜が設けられたスクリーンよりも2倍の積層数となるため、高い反射率を得ることが可能となる。また、光学多層膜の形成を塗布によればスクリーンの大型化が容易であり、低コスト化が可能である。
請求項3に記載の発明により、接着層に設けられた黒色層により入射する外乱光を吸収することが可能となり、外乱光の影響をより低減化するためより高コントラストの画像とすることができる。また、この黒色層の厚みをコントロールすることにより、吸収させる外乱光の角度依存性をコントロールすることができる。
請求項4,5に記載の発明により、プロジェクタ光入射側及びその反対側の最外層が高屈折率の第1の光学膜となる奇数層の構成となり、選択反射層としての機能が優れたものとなる。また、第1の光学膜、第2の光学膜それぞれの光学膜厚を任意に設定できるため、所望の波長領域の光を反射し、その波長領域以外の波長領域の光を透過する特性を有する光学多層膜とすることが可能となり、プロジェクタ光源に対応させた高輝度、高コントラスト、高反射率のスクリーンが実現可能となる。
請求項6に記載の発明により、RGB光源に対してコントラストが高い良好な映像が鑑賞可能なスクリーンを得ることが可能となる。
請求項7に記載の発明により、光学多層膜を透過した光が吸収されるため、よりコントラストが高い良好な映像が鑑賞可能となる。
請求項8〜10に記載の発明により、ドライプロセスによる場合よりもサイズの大きな支持体上に光学多層膜をより簡便に形成できるため、高輝度、高コントラストの大画面スクリーンの大量生産が可能となる。
以下に、本発明に係る反射型スクリーンの第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明に係る反射型スクリーンの構成を示す断面図である。
図1に示すように、スクリーン10は、支持体11の両面に光学多層膜12が設けられ、おもて面側の光学多層膜12上に接着層13を介してビーズ層14が設けられ、背面側の光学多層膜12上に黒色光吸収層15が設けられた構成である。
支持体11は透明であり、透明フィルム、ガラス板、アクリル板、メタクリルスチレン板、ポリカーボネート板、レンズ等の所望の光学特性を満足するものであればよい。光学特性として、上記支持体11を構成する材料の屈折率は1.3〜1.7、ヘイズは8%以下、透過率は80%以上が好ましい。また、支持体11にアンチグレア機能をもたせてもよい。
透明フィルムはプラスチックフィルムが好ましく、このフィルムを形成する材料としては、例えばセルロース誘導体(例、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース及びニトロセルロース)、ポリメチルメタアクリレート、メチルメタクリレートと他のアルキル(メタ)アクリレート、スチレンなどといったビニルモノマーとの共重合体などの(メタ)アクリル系樹脂;ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR−39)などのポリカーボネート系樹脂;(臭素化)ビスフェノールA 型のジ(メタ)アクリレートの単独重合体ないし共重合体、(臭素化)ビスフェノールA のモノ(メタ)アクリレートのウレタン変性モノマーの重合体および共重合体などといった熱硬化性(メタ)アクリル系樹脂;ポリエステル、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートおよび不飽和ポリエステル;アクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エポキシ樹脂などが好ましい。また、耐熱性を考慮したアラミド系樹脂の使用も可能である。この場合には加熱温度の上限が200℃以上となり、その温度範囲が幅広くなることが予想される。
プラスチックフィルムは、これらの樹脂を伸延あるいは溶剤に希釈後フィルム状に成膜して乾燥するなどの方法で得ることができる。厚さは剛性の面からは厚いほうがよいが、ヘイズの面からは薄いほうが好ましく、通常25〜500μm程度である。
また、上記プラスチックフィルムの表面がハードコートなどの被膜材料で被覆されたものであってもよく、無機物と有機物からなる光学多層膜の下層にこの被膜材料を存在させることによって、付着性、硬度、耐薬品性、耐久性、染色性などの諸物性を向上させることも可能である。
また、支持体11上に光学機能性薄膜、あるいは透明支持体表面処理として、下塗り層を設けてもよい。下塗り層は、オルガノアルコキシメタル化合物やポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタンが挙げられる。また、コロナ放電、UV照射処理を行うのが好ましい。
光学多層膜12は、本発明の根幹をなすものであり、第1の光学膜として高屈折率の光学膜12Hと、第2の光学膜として低屈折率の光学膜12Lとが交互に積層された構成である。詳しくは、支持体11上から、まず高屈折率の光学膜12Hが設けられ、ついで低屈折率の光学膜12Lが設けられ、以降光学膜12Hと光学膜12Lとが交互に設けられ、最後に光学膜12Hが設けられた構成であり、2n+1層(nは1以上の整数である。)からなる積層膜となっている。
光学膜12Hは、支持体11、または光学膜12Lの上に後述する光学膜用材料Aを塗布した後に硬化反応により形成される光学膜である。この光学膜12Hは屈折率を調整するために微粒子が含まれている
光学膜12Hの膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。15μmより厚くすると、分散し切れなかった微粒子によるヘイズ成分が増大して光学膜としての機能が得られないからである。
また、光学膜12Hの屈折率は、1.70〜2.10とすることが好ましい。屈折率を2.10よりも高くすると、微粒子の分散性が不充分となって光学膜としての機能が損なわれる。また、屈折率を1.70よりも低くすると、光学膜12Lを積層した場合の反射特性が十分ではなくなり、スクリーンとしての特性が不充分となる。
光学膜12Lは、光学膜12Hの上に後述する光学膜用材料Bを塗布した後に硬化反応により形成される屈折率1.30〜1.69の光学膜である。光学膜12Lの屈折率は光学膜用材料Bに含まれる樹脂の種類、場合によっては微粒子の種類及び添加量などにより決まる。なお、屈折率が1.69よりも高くなると光学膜12Hとの屈折率の差が確保できず、光学膜12Hに積層した場合の反射特性が十分ではなくなり、スクリーンとしての特性が不充分となる。また、1.3よりも低い屈折率をもった膜を形成することが困難であり、屈折率1.3が製造上の下限となる。
光学膜12Lの膜厚は、80nm〜15μm、より好ましくは600〜1000nmとする。
以上の構成により、光学多層膜12は、赤色、緑色、青色の三波長帯の光に対して高反射特性を有し、少なくともこれらの波長領域以外の可視波長域の光に対しては高透過特性を有するようになる。なお、光学膜12H,13Lそれぞれの屈折率や厚みを調整することにより、光学多層膜12として反射する三波長帯の波長位置をシフトさせて調整することが可能であり、これによりプロジェクタから投射される光の波長に対応させた光学多層膜12とすることができる。
なお、光学多層膜12を構成する光学膜12H,13Lの層数は特に限定されるものではなく、所望の層数とすることができる。また、光学多層膜12はプロジェクタ光の入射側及びその反対側の最外層が光学膜12Hとなる奇数層により構成されることが好ましい。光学多層膜12を奇数層の構成とすることにより、偶数層とした構成の場合よりも三原色波長帯域フィルターとして機能が優れたものとなる。
光学多層膜12の具体的な層数は3〜7層の奇数層とすることが好ましい。層数が2以下の場合には反射層としての機能が十分ではないためである。一方、層数が多いほど反射率は増加するが、層数8以上では反射率の増加率が小さくなり、光学多層膜12の形成所要時間をかけるほど反射率の改善効果が得られなくなるためである。
ビーズ層14は、図2に示すように複数の透明球体141が光学多層膜12の表面上に透明の接着層13を介して一層に配列され、透明球体141の一部が接着層13から露出し、固着された層である。ここで、透明球体141は光学多層膜12の表面を覆うように配列されるが、その配列はランダムでよく、光学多層膜12表面に対して水平方向に隙間があってもよい。また、透明球体141は、その直径の1/2程度の領域が接着層13から露出していることが最も好ましい。
図3にビーズ層14の再帰反射特性を模式的に示す。
透明球体141に入射した光は、透明球体141のレンズ効果により絞られ、ビーズ層14の下の光学多層膜12に当り反射され、その反射された光は入射してきた方向に戻る(再帰反射特性)。したがって、図4に示すように、スクリーンのセンター、コーナーそれぞれの反射光はいずれもプロジェクタの位置する方向に戻るため、プロジェクタ位置付近にいる観察者は、スクリーンのセンターとコーナーとの間で輝度差が少ない画像を見ることができる。
透明球体141は、光をできるだけ透過する透明の球体であり、その屈折率は1.4以上であることが好ましい。透明球体141の屈折率が変わると、透明球体141のレンズ効果が変わり、集光性及び焦点距離が変わる。本発明では屈折率を1.4以上とすることにより、透明球体141に入射した光が十分に集光され、レンズ効果が有効に生かされるようになる。また、焦点距離に関しては、できるだけ反射面(光学多層膜12表面)の位置が焦点となるように透明球体141の径、透明球体141と光学多層膜12との距離などを設計すると光の利用効率が向上する。なお、透明球体141は、例えばガラスビーズでよい。
また、透明球体141の直径は、小さいほうが透明球体141を密に配列したときに透明球体141の間隔をできるだけ小さくできるために光の利用効率が向上し、高解像度画像の表現力に優れ、透明球体141の配列に何らかの周期性が生じたときにもモアレ模様が生じにくい等の利点があり、好ましい。
なお、2つ以上の周期的なパターンがあるとき、パターン同志が干渉し合い、モアレが生じることが一般に知られている。プロジェクタと反射型スクリーンとの組み合わせにおいては、画素パターンとスクリーンのパターンとが干渉し合い、モアレが生じる。このモアレ低減方法としては、両者のピッチ差を4.5倍以上にするとよいことが知られている(特開平3−168630号公報)。
ここで例えば、80インチ縦横比9:16のスクリーンにフルHD(1920x920)の画像を投影する場合を考えると、画素ピッチは922μmとなる。直径200μmのビーズを使用した場合を考えると、ピッチ差は922/200=4.61(≒4.5)となり、直径200μmを超えるとモアレの問題が新たに生じる。
従って、本発明では、他の要因(充填率、光利用効率等)も考慮すると、透明球体141の大きさとして直径100μm以下であることが好ましい。
接着層13は、透明球体141を光学多層膜12上に固着するための透明樹脂層である。接着剤が硬化されて形成されるものであるが、ホットメルトタイプ、紫外線硬化タイプ、熱硬化タイプなどのいずれの透明接着剤でもよく、ビーズ層14の形成方法に応じて適宜選択されればよい。また、必要により拡散剤を分散してもよい。
黒色光吸収層15は、光学多層膜12を透過した光を吸収させるためのもので、例えば、図1では光学多層膜12の最外層表面に黒色の樹脂フィルムを貼り付けた態様を示している。あるいは、黒色塗料を塗布して形成してもよい。
上記スクリーン10によって、スクリーンに入射する外光を排除しつつ、プロジェクタからの特定波長の光を反射し、外光などのそれ以外の波長領域の入射光を透過・吸収する選択反射が可能となり、スクリーン10上の映像の黒レベルを下げて高コントラストを達成するものであり、図5に示すように周辺光のある部屋が明るい状態でも光輝度、高コントラストの映像を表示することが可能となる。例えば、グレーティング・ライト・バルブ(GLV)を用いた回折格子型プロジェクタのようなRGB光源からの光を投射した場合にスクリーン10上でコントラストが高く、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できるようになる。
すなわち、スクリーン10に入射する光は、ビーズ層14において集光され光学多層膜12に到達する。当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分の大部分は透過されて黒色光吸収層15で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみが選択的に反射される。ここで、その特定波長領域の光には外光成分も含まれているが、プロジェクタ光と外光のスクリーン10への入射角は異なることから、光学多層膜12の反射光のうち、外光成分はビーズ層14においてプロジェクタ位置方向とは異なる周辺光の光源方向に戻され、プロジェクタ光成分はプロジェクタ位置方向(視聴者)に戻される。したがって、画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高輝度、高コントラスト化が可能となる。
なお、本発明に係る反射型スクリーンとして、支持体の片面(おもて面)に上記と同じ構成の光学多層膜が形成され、その光学多層膜の最外層表面に上記と同じ構成の接着層を介したビーズ層が形成され、支持体の裏面に黒色光吸収層が形成された構成としてもよい。このスクリーンでも、画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、高輝度、高コントラスト化が可能である。
ここで、上記第1の光学膜12H及び第2の光学膜12Lを形成するための塗料である光学膜用材料A及びBについて説明する。
(1)光学膜用材料A
光学膜用材料Aは、微粒子と、有機溶媒と、エネルギーを吸収して硬化反応を起こす結合剤と、親油基および親水基からなる分散剤とを含有する。
微粒子は、成膜された後の光学膜の屈折率を調整するために添加される高屈折率材料の微粒子であり、Ti、Zr、Al、Ce、Sn、La、In、Y、Sb、等の酸化物、または、In- Sn等の合金酸化物が挙げられる。なお、光触媒を抑える目的でTi酸化物にAl、Zr等の酸化物が適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
また、微粒子の比表面積は55〜85 m2/gが好ましく、75〜85 m2/gであることがより好ましい。比表面積がこの範囲にあると、微粒子の分散処理により、光学膜用材料中における微粒子の粒度で100nm以下に抑えることが可能となり、ヘイズの非常に小さな光学膜を得ることが可能である。
有機溶媒は、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒等が用いられる。これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。また、低い表面エネルギーをもつ支持体や光学膜上に塗布するためには、より低い表面張力をもつ溶媒を選択することが望ましく、例えばメチルイソブチルケトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
結合剤は、熱硬化性樹脂、紫外線(UV)硬化型樹脂、電子線(EB)硬化型樹脂等があげられる。熱硬化性樹脂、UV硬化型樹脂、EB硬化型樹脂の例としてはポリスチレン樹脂、スチレン共重合体、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、ポリアミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。その他の環状(芳香族、複素環式、脂環式等)基を有するポリマーでもよい。また、炭素鎖中にフッ素、シラノール基の入った樹脂でも構わない。
上記樹脂を硬化反応させる方法は放射線または熱いずれでもよいが、紫外線照射により樹脂の硬化反応を行う場合には、重合開始剤の存在下で行うことが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート等のパーオキシド系開始剤が挙げられる。これらの開始剤の使用量は、重合性単量体合計100重量部あたり0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部とする。
分散剤は、親油基と親水基とからなり、微粒子の分散性を向上させる。分散剤の親油基の重量平均分子量は110〜3000である。分子量が110よりも低いと、有機溶媒に対して十分に溶解しないなどの弊害が生じ、分子量が3000を超えると光学膜中の微粒子の十分な分散性を得ることができない。なお、分散剤には、結合材と硬化反応を起こすための官能基を有していてもよい。
分散剤に含まれる親水基の極性官能基の量は、10-3〜10-1mol/gである。官能基がこれより少ない、あるいは多い場合には、微粒子の分散に対する効果が発現せず、分散性低下などにつながる。極性官能基として以下に示すような官能基は凝集状態にならないため、有用である。-SO3M、-OSO3M、-COOM、P=O(OM)2(ここで、式中Mは、水素原子あるいは、リチウム、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属である。)、3級アミン、4級アンモニウム塩が挙げられる。R1(R2)(R3)NHX(ここで、式中R1、R2、R3は、水素原子あるいは炭化水素基であり、X-は塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン元素イオンあるいは無機・有機イオンである。)。また、-OH、-SH、-CN、エポキシ基等の極性官能基もある。これら分散剤は、1種単独で用いられることが可能であるが、2種以上を併用することも可能である。塗膜における本発明の分散剤は、総量で上記微粒子100重量部に対して、20〜60重量部、好ましくは、38から55重量部である。
光学膜用材料Aは塗布により塗膜とされた後、放射線または熱によって硬化反応が促進され高屈折率タイプの第1の光学膜12Hとなる。
(2)光学膜用材料B
光学膜用材料Bは、有機溶媒と、結合剤とを含有するものである。結合剤は有機溶媒に溶解されており、必要に応じてその中に微粒子が添加され分散されていてもよい。
結合剤は、紫外線などの放射線、熱からのエネルギーにより硬化反応を起こす官能基を分子内に有する樹脂であり、フッ素系樹脂などが好適である。
微粒子は、成膜された後の光学膜の屈折率を調整するために必要に応じて添加される低屈折率材料の微粒子であり、SiO2、MgF2、あるいは中空微粒子、フッ素系樹脂からなる微粒子が挙げられる。また、Ti、Zr、Al、Ce、Sn、La、In、Y、Sb、等の酸化物、または、In- Sn等の合金酸化物が添加されていてもよい。なお、光触媒を抑える目的でTi酸化物にAl、Zr等の酸化物が適当量含有されたとしても、本発明の効果を妨げるものではない。
有機溶媒は、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール等のアルコール系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、乳酸エチル、エチレングリコールアセテート等のエステル系溶媒、含フッ素溶媒としては、パーフルオロベンゼン、ペンタフルオロベンゼン、1,3−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、1,4−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンなどの含フッ素芳香族炭化水素類、パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリプロピルアミンなどの含フッ素アルキルアミン類、パーフルオロヘキサン、パーフルオロオクタン、パーフルオロデカン、パーフルオロドデカン、パーフルオロ−2,7−ジメチルオクタン、1,3−ジクロロ−1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン、1H−1,1−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−1,3−ジクロロパーフルオロプロパン、1H−パーフルオロブタン、2H,3H−パーフルオロペンタン、3H,4H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、2H,3H−パーフルオロ−2−メチルペンタン、パーフルオロ−1,2−ジメチルヘキサン、パーフルオロ−1,3−ジメチルヘキサン、1H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロヘキサン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロオクタン、1H−パーフルオロデカン、1H,1H,1H,2H,2H−パーフルオロデカンなどの含フッ素脂肪族炭化水素類、パーフルオロデカリン、パーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ−1,3,5−トリメチルシクロヘキサンなどの含フッ素脂環族炭化水素類、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン、フッ素含有低分子量ポリエーテルなどの含フッ素エーテル類を単独または混合して用いることが可能である。例えば、光学膜用材料Aに用いられる有機溶媒をメチルイソブチルケトンとし、光学膜用材料Bに用いられる有機溶媒を含フッ素アルコール(C6F13C2H4OH)とパーフルオロブチルアミンとの混合溶媒(95:5)とする。また、これら有機溶媒は必ずしも100%純粋である必要はなく、異性体、未反応物、分解物、酸化物、水分等の不純成分が20%以下であれば含まれていてもかまわない。
また、光学膜用材料Bは塗布により塗膜とされた後、硬化反応により第1の光学膜よりも低屈折率の第2の光学膜12Lとなる。
上記光学膜用材料A,Bの製造に当たっては、混練工程、分散工程及びこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程によって行われる。本発明において使用する微粒子、樹脂、溶媒など全ての原料は何れの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。分散及び混練には、アジター、ペイントシェーカー等の従来公知の装置を用いればよい。
つぎに、本発明に係る反射スクリーン10の製造方法について以下に説明する。
(s11)支持体11としてポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用意し、当該支持体11を光学膜用材料Aで満たされた槽に浸漬し、引き上げるディッピング方式により支持体11の両面に所定量の光学膜用材料Aを塗布する。
(s12)光学膜用材料Aの塗膜を乾燥させ所定膜厚の光学膜12Hを形成する。
(s13)ついで、光学膜12Hが形成された支持体11を光学膜用材料Bで満たされた槽に浸漬し、引き上げるディッピング方式により支持体11の両面にある光学膜12H上に所定量の光学膜用材料Bを塗布する。
(s14)光学膜用材料Bの塗膜を乾燥させ、所定膜厚の光学膜12Lを形成する。これにより、光学膜12Hと光学膜12Lとの積層構成となる。
(s15)ついで、光学膜12Hと12Lとが積層された支持体11を光学膜用材料Aで満たされた槽に浸漬し、引き上げることにより支持体11の両面最外層にある光学膜12L上に所定量の光学膜用材料Aを塗布する。
(s16)光学膜用材料Aの塗膜を乾燥後、紫外線を照射して光学膜用材料Aを硬化させ、所定膜厚の光学膜12Hを形成する。以降、ステップs13〜s16までの処理を所定回数行い、支持体11の両面に光学多層膜12を形成する。
以下、ビーズ層14の製造工程について、図6を参照しながら説明する。
(s17)光学多層膜12のおもて面に透明接着剤を塗布して塗膜131を形成する(図6(a))。
(s18)つぎに、塗膜131上に複数の透明球体141を1層となるように配置する(図6(b))。
(s19)プレスにより透明球体141を塗膜131に押し込む(図6(c))。
(s1a)塗膜131を硬化させて透明接着層13とし、光学多層膜12上に接着層13で固着されたビーズ層14を形成する(図6(d))。
(s1b)ついで、光学多層膜12の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、黒色光吸収層15を形成し、本発明に係る反射型スクリーン10とする。
なお、ここでは光学膜用材料A,Bがディッピング方式により塗布される場合を示したが、このほかグラビア塗布、ロール塗布、ブレード塗布、ダイコーティングなど従来公知の塗布方式によって光学膜用材料A,Bそれぞれが塗布されてもよい。
上記塗膜131の硬化方法は、加熱、紫外線照射など用いられる接着剤の種類に応じて選べばよい。
また、光学多層膜12上にガラスビーズをポリビニールアルコール(PVA)に分散させた溶液をスプレーコートしてビーズ層14を形成してもよい。
つぎに、本発明に係る反射型スクリーンの第2の実施の形態について説明する。
本発明に係る反射型スクリーン20は、接着層の構成のみが第1の実施の形態における反射型スクリーンと異なり、それ以外は第1の実施の形態と同じである。以下、第1の実施の形態と異なる部分である接着層を中心に説明する。
図7に、本実施の形態における接着層及びビーズ層の構成を示す。
接着層23は、支持体11側から順に透明層231と黒色層232とが積層された2層構造である。すなわち、ビーズ層14は、複数の透明球体141が光学多層膜12の表面上に1層に配列され、透明層231及び黒色層232を介して透明球体141の一部が透明層231及び黒色層232から露出した状態で固着された構成である。なお、透明球体141、透明層231は第1の実施の形態で適用されるものと同じでよい。
黒色層232は、カーボンブラックあるいは黒色顔料が分散された黒色の樹脂層であり、樹脂成分は透明層231の樹脂成分と同じでよい。
図8は黒色層232の機能を説明する図である。
ビーズ層14に入射してきた光のうち、正面から入射してきた光は第1の実施の形態と同様に、透明球体141のレンズ効果により絞られ、ビーズ層14の下の光学多層膜12に当り反射され、その反射された光は入射してきた方向に戻る(図8(a))。これに対して、ビーズ層14に斜めに入射してきた光は、透明球体141を通り、黒色層232に当り吸収され、スクリーンから出射されることはない(図8(b))。これにより、プロジェクタ位置以外からスクリーンに入射する光(周辺光)を吸収することができ、プロジェクタ光の反射光(画像光)への影響を排除することができる。
また、図9に示すように、黒色層232の厚みを調整することにより、プロジェクタ光の外乱となる周辺光の影響を排除する割合をコントロールすることができる。すなわち、図9(a)から図9(c)にかけて黒色層232を厚くするほど、より浅い入射角度の光も吸収されるようになる。
本発明の反射型スクリーン20により次のような効果が得られる。
すなわち、スクリーンに入射する光は、ビーズ層14において集光され、プロジェクタ位置以外からの入射光(周辺光)は黒色層232に当り吸収される。また、プロジェクタ位置からの入射光は光学多層膜12に到達する。当該光学多層膜12にて入射光に含まれる外光成分の大部分は透過されて黒色光吸収層15で吸収され、映像に関わる特定波長領域の光のみが選択的に反射される。ここで、その特定波長領域の光には外光成分が含まれている場合もあるが、プロジェクタ光と外光のスクリーン20への入射角は異なることから、光学多層膜12の反射光のうち、外光成分はビーズ層14においてプロジェクタ位置方向とは異なる周辺光の光源方向に戻され、プロジェクタ光成分はプロジェクタ位置方向(視聴者)に戻される。したがって、画像光への外光の影響を高いレベルで排除することができ、従来にない高輝度、高コントラスト化が可能となる。
つぎに、本発明に係る反射型スクリーン20の製造方法について以下に説明する。ここでは、第1の実施の形態の反射型スクリーン10と製造方法が異なるビーズ層14の製造工程以降について、図10を参照しながら説明する。
(s27)光学多層膜12のおもて面に透明接着剤を塗布して塗膜233を形成する(図10(a))。
(s28)つぎに、塗膜233上に黒色接着剤を塗布して塗膜234を形成する(図10(b))。
(s29)つぎに、塗膜233,234上に複数の透明球体141を1層となるように配置する(図10(c))。
(s2a)プレスにより透明球体141を塗膜233,234に押し込む(図10(d))。
(s2b)塗膜233,234を硬化させて透明層231、黒色層232の接着層23とし、接着層23により光学多層膜12上にビーズ層23を固着する(図10(e))。
(s2c)ついで、光学多層膜12の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、黒色光吸収層15を形成し、本発明に係る反射型スクリーン20とする。
上記本発明を実際に実施した例を以下に説明する。この実施例は例示であり、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1における光学膜用材料Aである塗料(I),光学膜用材料Bである塗料(II)の組成と製造方法及びスクリーン製造方法を以下に示す。
(1)塗料(I)
・微粒子:TiO2微粒子
(石原産業社製、平均粒径約20nm、屈折率2.48) 100重量部
・分散剤:シランカップリング剤
(日本ユニカー社製、A−174) 20重量部
・有機溶媒:メチルエチルケトン 4800重量部
まず、上記微粒子、分散剤、有機溶媒を所定量混合し、ペイントシェーカーで分散処理を行い、微粒子分散液を得た。この微粒子分散液に結合剤として、UV硬化性樹脂であるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬社製、商品名DPHA)をTiO2微粒子100重量部に対して33重量部添加し、また、重合開始剤のダロキュア1173を結合剤に対して3重量部添加して、攪拌機にて攪拌処理を行い、塗料(I)とした。なお、この塗料の粘度は、2.3cpsであり、比重は0.9g/cmであった。
(2)塗料(II)
低屈折率膜用の塗料(II)の最終組成を下記に示す。
・結合剤:フッ化エチレン共重合物樹脂
(ダイキン工業社製、4フッ化エチレン共重合物、溶媒酢酸ブチル、固形分50wt%、屈折率1.42) 20重量部
・有機溶媒:メチルイソブチルケトン 100重量部
この塗料の粘度は、4.0cpsであり、比重は0.84g/cmであった。
(3)スクリーン製造方法
(s31)透明PETフィルム(厚み188μm、東レ社製、商品名U426)の両面に塗料(I)をディッピング方式で塗布した。
(s32)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥後、紫外線(UV)硬化(500mJ/cm2)させ、片面当たり膜厚850nmの高屈折率の光学膜を形成する。
(s33)ついで、その高屈折率の光学膜上に塗料(II)をディッピング方式で塗布した。
(s34)塗料(II)の塗膜を室温で乾燥後させ、膜厚1020nmの低屈折率の光学膜を形成する。
(s35)光学膜(II)上にステップs11と同一条件で塗料(I)を塗布する。
(s36)塗料(I)の塗膜を室温で乾燥後、紫外線(UV)硬化(500mJ/cm2)させ、片面当たり膜厚850nmの高屈折率の光学膜を形成する。これこれによりPETフィルム上に光学膜(I)/光学膜(II)/光学膜(I)の3層の光学多層膜を得た。その構成を図11に示す。また、その光学多層膜の反射波長特性を図12に示す。
(s37)つぎに、光学多層膜のおもて面にホットメルト接着層として、ポリエステル系の樹脂(東洋紡績製 バイロン200)を乾燥後の厚みが30μmになるようにコントロールしてブレードコート法で塗布する。
(s38)その塗膜上に平均粒径50μmのガラスビーズ(屈折率2.25、密度4.6)を密に配置する。
(s39)ステップs38で作製されたものをホットプレス機により温度120℃、圧力3kgf/cmで加圧し、数分間保持した後、常温まで冷却する。
以上の条件をコントロールすることにより、図13に示すように光学設計値(平均粒径の半分25μmが接着層に埋め込まれ、ビーズと光学多層膜との距離が5μm)に近い構造を達成した。
(s3a)ついで、光学多層膜の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、黒色光吸収層を形成し、実施例1の反射型スクリーンとした。
実施例1のスクリーンに、高圧水銀ランプを用いたプロジェクタのRGB光源からの光を投射し、プロジェクタ位置で当該スクリーンを見たところ、輝度分布が均一で、高輝度・高コントラストの、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できることが確認された。
(実施例2)
実施例1の光学多層膜の上につぎの手順で接着層、ビーズ層及び黒色光吸収層を形成し、実施例2の反射型スクリーンとした。
(s47)光学多層膜のおもて面にホットメルト接着層として、ポリエステル系の樹脂(東洋紡績製 バイロン200)を乾燥後に所定の厚みとなるようにコントロールしてブレードコート法で塗布する。
(s48)その透明塗膜を乾燥させた後、黒色ホットメルト接着層として、上記ポリエステル系樹脂にカーボンブラックを分散した塗料を乾燥後に所定の厚みとなるようにコントロールしてブレードコート法で塗布し、2層構造の塗膜とする。なお、1層目の透明塗膜、2層目の黒色塗膜の厚みは、設定した外光のスクリーンへの許容入射角度から光学設計により決定した。
(s49)ステップs48で作製した2層構造の塗膜上に平均粒径50μmのガラスビーズ(屈折率2.25、密度4.6)を密に配置する。
(s4a)ステップs49で作製されたものをホットプレス機により温度120℃、圧力3kgf/cmで加圧し、数分間保持した後、常温まで冷却する。
以上の条件をコントロールすることにより、光学設計値(平均粒径の半分25μmが接着層に埋め込まれ、ビーズと反射層の距離が5μm)に近い構造を達成した。
(s4b)ついで、光学多層膜の裏面に黒色の光吸収剤を含有した樹脂を塗布し、黒色光吸収層を形成し、実施例2の反射型スクリーンとした。
実施例2のスクリーンに、高圧水銀ランプを用いたプロジェクタのRGB光源からの光を投射し、プロジェクタ位置で当該スクリーンを見たところ、輝度分布が均一で、高輝度・高コントラストの、外光の映り込みのない良好な映像が鑑賞できることが確認された。
本発明に係る反射型スクリーンの構成を示す断面図である。 本発明に係る反射型スクリーンの第1の実施の形態における接着層、ビーズ層の構成を示す断面図である。 ビーズ層の再帰反射特性の説明図である。 本発明に係る反射型スクリーンからの反射光をプロジェクタ位置から見た場合の輝度分布を示す模式図である。 本発明に係る反射型スクリーンの使用例を示す図である。 本発明に係る反射型スクリーンの第1の実施の形態におけるビーズ層の製造工程図である。 本発明に係る反射型スクリーンの第2の実施の形態における接着層、ビーズ層の構成を示す断面図である。 黒色層の機能の説明図である。 第2の実施の形態における黒色層の厚みと吸収される光の入射角度との関係を示す図である。 本発明に係る反射型スクリーンの第2の実施の形態におけるビーズ層の製造工程図である。 実施例における光学多層膜の構造を示す断面図である。 実施例における光学多層膜の反射波長特性を示す図である。 実施例における接着層、ビーズ層の構造を示す断面図である。 従来の反射型スクリーンの反射特性の説明図である。 従来の反射型スクリーンからの反射光をプロジェクタ位置から見た場合の輝度分布を示す模式図である。
符号の説明
10…反射型スクリーン、11…支持体、12…光学多層膜、12H…高屈折率光学膜、12L…低屈折率光学膜、13,23…接着層、14…ビーズ層、15…黒色光吸収層、141…透明球体、231…透明接着層、232…黒色層、131,233,234…塗膜。

Claims (10)

  1. 支持体上に、高屈折率の第1の光学膜とこれより低い屈折率をもつ第2の光学膜とが交互に積層されて2n+1(nは1以上の整数である。)層からなり、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する光学多層膜が形成され、
    前記光学多層膜上に、接着層を介して複数の透明球体が一層に配列され、前記透明球体の一部が接着層から露出し、固着されてビーズ層が形成されてなることを特徴とする反射型スクリーン。
  2. 前記支持体が透明であり、前記光学多層膜が支持体の両面に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  3. 前記接着層が、光学多層膜側から順に透明層と黒色層とが積層された2層構造であることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  4. 前記光学多層膜は、最外層が第1の光学膜で形成された積層構造を有することを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  5. 前記第1の光学膜が、金属酸化物の微粒子と分散剤と結合剤とを含む材料を塗布して得られる膜であり、前記第2の光学膜がフッ素含有樹脂またはSiO2微粒子を含む材料を塗布して得られる膜であることを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  6. 前記特定の波長領域が、赤、緑、青の各波長領域を含むことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  7. 前記支持体の背面側に黒色光吸収層を備えたことを特徴とする請求項1に記載の反射型スクリーン。
  8. 支持体上に、特定の波長領域の光に対して高反射特性を有し、前記特定の波長領域以外の少なくとも可視波長領域に対して高透過特性を有する2n+1(nは1以上の整数である。)層の光学多層膜と、前記光学多層膜上に、複数の透明球体が1層に配列され、接着層を介して該透明球体の一部が露出して固着されたビーズ層とを備えた反射型スクリーンの製造方法であって、
    前記光学多層膜の製造工程が、
    高屈折率の第1の光学膜を塗布により形成する第1塗布工程と、
    前記第1の光学膜よりも低い屈折率の第2の光学膜を塗布により形成する第2塗布工程とを有し、
    前記第1塗布工程と第2塗布工程とを交互に行うことからなることを特徴とする反射型スクリーンの製造方法。
  9. 前記ビーズ層の製造工程が、
    前記光学多層膜上に樹脂を含む塗液を塗布して塗膜を形成する工程と、
    前記塗膜中に複数の透明球体を1層に配列し、該透明球体の一部が該塗膜表面から露出するように埋め込む工程と、
    前記塗膜を硬化させて接着層とする工程と
    を含むものであることを特徴とする請求項8に記載の反射型スクリーンの製造方法。
  10. 前記塗膜が、光学多層膜側から透明塗膜と黒色塗膜とが順に塗布され、硬化により透明層と黒色層とが積層された2層構造となることを特徴とする請求項9に記載の反射型スクリーンの製造方法。
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