JP2005098200A - 内燃機関の気筒識別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 多気筒エンジン1のクランクセンサ21及びカムセンサ25からの信号に基づいて、所定行程位置にある気筒2を識別する場合に、停止時のクランク角位置に拘わらず、始動時にクランク軸7が1回転する前に気筒識別を行えるようにして、始動時間の短縮を図る。
【解決手段】 4サイクル4気筒エンジン1において、第1及び第4気筒2に対応する180°のクランク角範囲R1では、クランクセンサ21からの第1パルス信号の計数値が10個になるようにし、第3及び第2気筒2に対応する他方のクランク角範囲R2では16個になるようにする。カムセンサ25からの第2パルス信号の数は、第1、第3、第4及び第2気筒2にそれぞれ対応する90°の角度範囲で各々1、2、2、1となるようにする。こうすると、前記各角度範囲毎にそれぞれ計数される第1及び第2パルス信号数の組が、第1、第3、第4及び第2気筒2に対応して各々(10,1)(16,2)(10,2)(16,1)となり、これに基づいて、始動時にクランク軸7が1回転する前に気筒識別が行える。
【選択図】 図3

Description

本発明は、多気筒内燃機関のクランク軸の回転状態を検出して、所定行程位置に対応する気筒を識別する気筒識別装置に関する。
従来より、この種の気筒識別装置として、例えば特許文献1に開示されるように、4サイクル内燃機関のクランクセンサから出力されるパルス信号(クランク角信号)と、クランク軸の2回転につき1回転するカム軸の1回転中にカムセンサから1回だけ出力される気筒識別信号とに基づいて、予め設定した所定行程位置(基準位置)にある気筒を識別するようにしたものが公知である。
すなわち、4サイクル内燃機関の各気筒はそれぞれクランク軸の2回転中(720°CA)に吸気、圧縮、膨張(爆発)及び排気の4行程からなる燃焼サイクルを1回、完了するものであり、4気筒内燃機関であれば、第1〜第4の4つの気筒が例えば第1、第3、第4、第2の順に等間隔に爆発するよう、各気筒の行程間にはクランク角で180度(180°CA)の位相差が設けられている。
そこで、前記従来例のものでは、まず、例えば前記第1又は第4気筒の吸気上死点前60°CA(BTDC60°CA)を基準位置(0°)に設定し、ここでは信号が欠落するようにクランクセンサを構成して、この信号の欠落を契機としてクランク角信号の計数を開始することにより、クランク角位置を0°から360°まで検出する。また、カムセンサは、前記クランク軸の2回転(720°CA)に対し1回、例えば30°CAでのみ気筒識別信号を出力するように構成し、前記クランク角信号の20°〜40°の範囲で気筒識別信号の入力があれば、クランク軸の1回転目であると判断する一方、気筒識別信号の入力がなければ2回転目であると判断する。
そして、前記クランク角位置の検出結果(0°〜360°CA)と気筒識別信号による判断結果とを組み合わせて、例えば、クランク軸の1回転目でクランク角信号が30°CAであれば、第1気筒がBTDC30°CAの行程位置にあると識別し、同じ1回転目でクランク角信号が230°であれば、第3気筒がBTDC10°CAの行程位置にあると識別することができる。同様にして、クランク軸の2回転目であれば、クランク角信号に基づいて第4気筒、第2気筒の各行程位置を識別することができる。
特開平05−288112号公報
ところが、前記従来例のような気筒識別方法では、内燃機関の始動時に最初の気筒を識別するまでにクランク軸が1回転以上する場合があり、それまでは気筒への燃料供給や点火を行えないことから、始動時間の短縮という点で改善の余地が残されている。
すなわち、前記のように、クランク軸の1回転(360°CA)に1箇所だけ設定した基準位置からクランク角信号の計数を開始するようにすると、仮に機関停止時のクランク角位置が前記基準位置よりも少しだけ遅角側にある場合には、始動時のクランキングによりクランク軸が略1回転して、前記基準位置になった後に初めてクランク角信号の計数が開始されることになり、この計数値に基づいて気筒の識別を行うためには、クランク軸が少なくとも1回転しなくてはならないのである。
そのように気筒識別が遅れて、始動に時間がかかるということは、例えば自動車の一時的な停止状態で自動的に機関を停止させるようにした(アイドルストップ)内燃機関等において特に大きな不具合となる。
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、4サイクル多気筒内燃機関の各気筒がそれぞれクランク軸の2回転する間に1回ずつ、所定行程位置を通過することに着目し、該クランク軸の回転に同期して出力されるパルス信号の構成に工夫を凝らして、機関の停止位置に拘わらず、始動時にクランク軸が1回転する前に気筒識別を行えるようにし、もって始動時間の短縮を図ることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、クランク軸の1回転周期及び2回転周期でそれぞれパルス信号を出力する2つの信号出力器を設けるとともに、該クランク軸の2回転分のクランク角範囲(720°CA)を気筒数に等分して、この各角度範囲毎に前記各信号出力器から出力されるパルス信号数A,Bの組(順列)の種類が気筒数と同じになるように構成した。これにより、機関の始動時にクランク軸が前記1つの角度範囲を越えて回転すれば、その間に計数したパルス信号数の組(A,B)に基づいて、気筒識別を行うことができる。
具体的に、請求項1の発明は、多気筒内燃機関にクランク軸の1回転につき1回転するように設けられ、略全周に亘って所定角度毎にパルス発生部が形成されるとともに、気筒の所定行程位置に対応する基準パルス発生部の回転方向側に隣接するパルス発生部が連続して所定数、欠落して第1の非パルス発生部とされた第1回転体と、前記クランク軸の2回転につき1回転するように設けられ、少なくとも1つのパルス発生部が形成された第2回転体と、該第1及び第2回転体の近傍にそれぞれ配設され、その回転に伴うパルス発生部の通過に応じてパルス信号を出力する第1及び第2信号出力器と、該第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されたパルス信号を入力して、気筒識別を行う識別手段と、を備えた内燃機関の気筒識別装置を前提とする。
そして、前記第1回転体には、周方向に180度離れた2箇所にそれぞれ基準パルス発生部を設定して、2つの第1非パルス発生部を設けるとともに、これを境に周方向に区分された2つの角度範囲におけるパルス発生部の数が互いに異なるように、少なくとも一方の角度範囲のパルス発生部を1つ以上、欠落させる。一方、前記第2回転体には、前記第1回転体の各角度範囲にそれぞれ対応する4つの角度範囲のうち、隣り合わない2つの角度範囲で互いに異なる数となるように複数のパルス発生部を形成する。そうして、前記識別手段は、前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号を前記各角度範囲毎に計数し、この計数値に基づいて前記所定行程位置に対応する気筒を識別するものとする。
前記の構成により、例えば4つの気筒が等間隔で爆発する4サイクル4気筒内燃機関について説明すると、始動時のクランキングによってクランク軸が回転するときには、これに同期して第1及び第2回転体がそれぞれ回転し、その回転に伴うパルス発生部の通過に応じて、第1及び第2信号出力器からそれぞれパルス信号が出力されて、識別手段に入力される。このときに第1回転体の2つの角度範囲(180°CA)のうちのいずれかが第1信号出力器の近傍を通過すれば、その間に該第1信号出力器と第2信号出力器とからそれぞれ出力されたパルス信号の計数値に基づいて、前記識別手段により気筒識別が行われる。
すなわち、第1〜第4気筒の爆発順序が第1、第3、第4、第2であるとすると、前記第1回転体の2つの角度範囲は、例えば一方の角度範囲が第1及び第4気筒に対応し、他方の角度範囲が第3及び第2気筒に対応していて、その一方の角度範囲におけるパルス発生部の数が他方に比べて少なくなっているから、そのパルス発生部の通過に対応して第1信号出力器から出力されるパルス信号を計数すれば、この計数値に基づいていずれの角度範囲であるか、即ち前記第1又は第4気筒のいずれかか、或いは第3又は第2気筒のいずれかか、のどちらであるか判別することができる。
また、前記第2回転体においては、前記第1回転体の各角度範囲にそれぞれ対応する4つの角度範囲(90°CA)のうち、隣り合わない2つの角度範囲におけるパルス発生部の数が互いに異なっているから、前記4つの気筒のうち爆発順序が連続しない気筒(第1及び第4気筒、第3及び第2気筒)同士では、当該気筒に対応する角度範囲の通過に伴い第2信号出力器から出力されるパルス信号の数が互いに異なるものとなる。
従って、前記第2回転体の4つの角度範囲毎、即ちクランク軸が半回転する毎にそれぞれ第1及び第2信号出力器から出力されるパルス信号の計数値A,Bの組(A,B)は、第1〜第4の各気筒でそれぞれ異なる4種類になり、これにより気筒識別が可能になる。
より具体的には、例えば、第1及び第4気筒に対応する第1回転体の一方の角度範囲におけるパルス発生部の数AをA=iとし、第3及び第2気筒に対応する他方の角度範囲におけるパルス発生部の数AをA=jとし(i≠j)、また、第2回転体のパルス発生部の数Bを、前記第1,第3,第4,第2の各気筒に対応する4つの角度範囲において、隣り合わない2つの角度範囲におけるパルス発生部の数が互いに異なるように、例えばm、n、n、mとする(m≠n)。そうすると、前記パルス信号の計数値の組(A,B)は、第1気筒に対応して(i,m)に、第3気筒に対応して(j、n)に、第4気筒に対応して(i,n)に、また、第2気筒に対応して(j,m)になり、これに基づいて気筒識別が行えるものである。
かくして前記の構成によれば、内燃機関の始動時に、クランク軸の回転に伴い前記第2回転体のいずれか1つの角度範囲が第2信号出力器の近傍を通過すればよく、機関停止時のクランク角位置に拘わらず、クランク軸が1回転する前に気筒識別を行うことができるので、従来例(特許文献1)のものに比べて始動時間の短縮が図られる。
請求項2の発明は、前記構成の気筒識別装置において、第1回転体の2つの角度範囲のうちの一方にはパルス発生部を所定数以上、連続して欠落させて第2非パルス発生部を設け、また、第2回転体のパルス発生部は、前記第1回転体の第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までに対応する範囲以外に設けるものとする。そして、識別手段には、第1及び第2信号出力器からの各パルス信号をそれぞれ計数する第1及び第2カウント部と、該各カウント部におけるパルス信号の計数値を前記第1信号出力器からのパルス信号が前記所定数以上、欠落したときに初期化するリセット部と、を備えるものとする。
この構成では、第1及び第2回転体の回転に伴い第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号が第1及び第2カウント部によりカウント(計数)されるとともに、第1回転体の第1非パルス発生部が第1信号出力器の近傍を通過して、パルス信号が所定数欠落すると、各カウント部におけるパルス信号の計数値がリセット部により初期化される。こうして、各角度範囲毎のパルス信号の計数が行われる。
また、特に前記第1回転体の一方の角度範囲が第1信号出力器の近傍を通過するときには、当該角度範囲の途中に設けられた第2非パルス発生部においてパルス信号が所定数欠落することで、リセット部による計数値の初期化が行われ、当該第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までのパルス発生部によるパルス信号はキャンセルされる。このように一方の角度範囲から出力されるパルス信号の一部をキャンセルすれば、当該一方の角度範囲におけるパルス発生部の欠落数をあまり多くしなくても、その一方の角度範囲に対応するパルス信号の計数値が他方の角度範囲に比べてかなり少なくなり、両者の差が十分に大きくなるので、ノイズを考慮しても2つの角度範囲を確実に判別することができる。
すなわち、内燃機関の始動時にはスタータモータ等の作動に起因するノイズの発生が予想され、これによりパルス信号の計数値に誤差の生じる虞れがあるが、そうなったとしても、前記のように一方の角度範囲から出力されるパルス信号の一部をキャンセルして、2つの角度範囲にそれぞれ対応するパルス信号の計数値の差を十分に大きくすれば、両者を確実に判別できるものである。尚、そのように信号がキャンセルされることを考慮して、これに対応する第2回転体の角度範囲(前記第1回転体の第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までに対応する範囲)にはパルス発生部を形成せず、その範囲以外にパルス発生部を形成している。
次に、請求項3の発明では、前記第1回転体の一方の角度範囲、即ち第2非パルス発生部が設けられている方の角度範囲におけるパルス発生部の数を、該第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までに形成されているものを除いて数えて、他方の角度範囲よりも4以上、少なくする。
こうすれば、第1回転体の他方の角度範囲から出力されれるパルス信号の数は、一方の角度範囲に比べて4以上、多くなるから、機関始動時の耐ノイズ性が十分に高くなるとともに、クランク軸が半回転する前に気筒識別を行える可能性がある。すなわち、2つの角度範囲にそれぞれ対応するパルス信号数が大きく異なる場合、例えば機関停止時のクランク角位置が前記他方の角度範囲の途中に対応する位置あるときには、機関始動時にクランク軸の回転に伴い最初に計数されるパルス信号の数が一方の角度範囲に対応する信号数を越えることがあり、こうなると直ちに他方の角度範囲であると判別できるから、その時点で第2信号出力器から所定数のパルスが入力していれば、すぐに気筒識別が行えるのである。
また、請求項4の発明では、前記第1回転体の基準パルス発生部を気筒の上死点前50度以上70度以下(BTDC50〜70°CA)のクランク角範囲に対応付けて設定する。すなわち、一般的な内燃機関の構造上、機関停止時のクランク角位置は大体BTDC70〜110°CAの範囲となることが多いから、基準パルス発生部をBTDC50〜70°CAの範囲に設定すれば、始動時にはクランキングの開始後直ちに基準パルス発生部を通過して、識別手段により気筒識別に必要なパルス信号の計数が開始されることになる。よって、実際に気筒識別に要する時間が短くなり、実質的に始動時間の短縮が図られる。
本発明は、上述した4気筒内燃機関だけではなく、例えば6気筒や8気筒のように偶数個の気筒を有する多気筒内燃機関に適用可能である。すなわち、偶数個の気筒を有する多気筒内燃機関に前記請求項1と同じ前提構成の気筒識別装置を備える場合、第1回転体には、その全周を気筒数の半数の角度範囲に等分するように、少なくとも2つの基準パルス発生部を設定し、これに応じて少なくとも2つの非パルス発生部を設ける一方、その各角度範囲にそれぞれ対応するように前記第2回転体の全周を気筒数の角度範囲に等分する。また、該第1及び第2回転体にそれぞれ形成するパルス発生部の数は、第1回転体の各角度範囲毎のパルス発生部の数を変数Aで表し、第2回転体の各角度範囲毎のパルス発生部の数を変数Bで表したときに、その変数A,Bの組(A,B)の種類が気筒数と同じになるように設定する。そして、識別手段において前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号を前記各角度範囲毎に計数し、この計数値の組み合わせによって所定行程位置に対応する気筒を識別する(請求項5の発明)。
前記構成の気筒識別装置によれば、前記請求項1の発明と同様に、クランク軸の回転に伴い各気筒にそれぞれ対応する角度範囲毎に第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号数の組(A,B)が互いに異なっているので、機関始動時のクランク軸の回転に伴い、第1及び第2回転体がそれぞれいずれか1つの角度範囲を越えて回転すれば、その間に計数したパルス信号数の組(A,B)に基づいて、気筒識別を行うことができる。これにより、クランク軸が1回転する前に気筒判別を行って始動時間を短縮することができる。
以上、説明したように、本発明に係る内燃機関の気筒識別装置によると、クランク軸の1回転及び2回転毎にそれぞれ複数のパルス信号を出力する第1及び第2信号出力器を設け、該クランク軸2回転分のクランク角範囲(720°CA)を気筒数に等分した各角度範囲毎に、前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号数A,Bの組(順列)が互いに異なるものとなるようにしたので、機関始動時にクランク軸が前記1つの角度範囲を越えて回転すれば、その間に計数したパルス信号の数に基づいて気筒識別を行うことができ、これにより、機関の停止位置に拘わらず、始動時にクランク軸が1回転する前に気筒識別を行って、始動時間を短縮することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係る気筒識別装置Sを備えたエンジン1(内燃機関)の概略構成を模式的に示し、この実施形態のエンジン1は、図には1つのみ示すが、4つのシリンダ(気筒)2,2,…が直列に配置された4気筒ガソリンエンジンである。図示の如く、気筒2の上端はシリンダブロック3の上端面に開口していて、そこに載置されたシリンダヘッド4の下面により閉塞されている。該気筒2内にはピストン5が往復動可能に嵌挿されていて、このピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が区画されている。一方、ピストン5の下方のクランクケース内にはクランク軸7が配設され、コネクティングロッド8によってピストン5と連結されている。
前記シリンダヘッド4には、各気筒2毎にその軸心に沿うようにして点火プラグ9が配設されている。この点火プラグ9の先端の電極は燃焼室6に臨むように配置され、一方、点火プラグ9の基端部は点火回路10に接続されている。この点火回路10にはイグナイタ及びイグニッションコイルが含まれており、後述のECU20からの制御信号を受けて各気筒2毎に所定のタイミングで点火プラグ9に通電する。また、各気筒2の周縁部には燃料噴射弁12が配設されていて、その先端の噴口が燃焼室6を臨む一方、燃料噴射弁12の基端部は図示しない燃料供給系に接続されており、後述のECU20からの制御信号を受けて各気筒2毎に所定のタイミングで燃料噴射弁12が作動することで、燃料を燃焼室6に直接、噴射供給するようになっている。
また、前記シリンダヘッド4には、各気筒2毎の燃焼室6に臨んで開口するように吸気ポート13及び排気ポート14がそれぞれ形成され、図示しないが、その各ポート開口部にはそれぞれカム軸により開閉されるように吸気弁及び排気弁が配設されている。このカム軸は吸気側及び排気側に1本ずつ設けられていて、共通のタイミングベルト(又はチェーン)によってクランク軸7に駆動連結されており、該クランク軸7の2回転につき吸気及び排気カム軸がそれぞれ1回転して、その間に4つの気筒2,2,…がそれぞれ吸気、圧縮、膨張(爆発)及び排気の4行程からなる燃焼サイクルを1回、完了するようになっている。
より具体的に、この実施形態では、第1〜第4の4つの気筒2,2,…が、第1気筒、第3気筒、第4気筒、第2気筒の順に互いに180°CAの位相差をもって爆発するようになっており、各気筒2毎に吸気行程では、クランク軸7の半回転する間にピストン5が下降し、この間、開かれている吸気弁を介して吸気通路15から燃焼室6に空気が吸入される。続いて圧縮行程では吸気弁及び排気弁が閉じられ、クランク軸7の半回転する間にピストン5が上昇する。また、前記吸気行程乃至圧縮行程の所定タイミングで燃料噴射弁12から燃焼室6に向かって燃料が噴射される。そして、吸気上死点(TDC)近傍で点火プラグ9により混合気に点火されると、膨張する燃焼ガスの圧力によってピストン5が押し下げられ(膨張行程)、最後に排気行程では排気弁が開かれて、燃焼室6から排気通路16に噴出した既燃ガスが触媒コンバータ等により浄化されて、大気中に放出される。
そのようなエンジン1の運転制御は、該エンジン1に設けられた各種センサからの信号をエンジンコントロールユニット20(以下、ECUという)に入力して、このECU20によりエンジン1の運転状態に応じて前記点火回路10や燃料噴射弁12を制御することにより、実現される。すなわち、ECU20は、クランク軸7に配設したセンサ21(クランクセンサ)からの信号に基づいて該クランク軸7の回転角(クランク角位置)を検出するとともに、カム軸に配設したセンサ25(カムセンサ)からの信号を入力して、各気筒2毎にそれぞれ適切なタイミング(クランク角位置)でもって燃料噴射弁12や点火回路10を作動させるようになっている。
前記クランクセンサ21は、クランク軸7の端部に一体に回転するように取り付けられ、外周部に略全周に亘って所定角度(この実施形態では10°)毎に凸部22a,22a,…が形成された第1ロータ22(第1回転体)と、この第1ロータ22の外周部近傍に配置された第1信号出力器としての電磁ピックアップコイル23とからなり、このピックアップコイル23は、第1ロータ22の回転に伴いその外周の凸部22a,22a,…が通過する度にコイルのインダクタンスが変化して、略矩形波のパルス信号を出力するようになっている。この意味で、前記ロータ22の凸部22aを以下、パルス発生部という。
また、前記カムセンサ25は、この実施形態では排気側のカム軸に配設されており、前記クランクセンサ21と同様にカム軸の端部に取り付けロータ26(第2回転体)の外周部に合計6つの凸部26a,26a,…(パルス発生部)を形成し、このロータ26の外周部近傍に第2信号出力器としての電磁ピックアップコイル27を配置したものである。
そして、ECU20には、前記クランクセンサ21からのパルス信号A(いわゆるクランク角信号であり、以下、第1パルス信号ともいう)を入力して計数する第1カウント部20aと、前記カムセンサ25からのパルス信号B(以下、第2パルス信号という)を入力して計数する第2カウント部20bと、前記第1パルス信号が所定数以上、欠落したときに各カウント部20a,20bにおける信号の計数値を初期化するカウンタリセット部20cと、そうしてリセットされるまでの信号計数値に基づいて気筒識別を行う気筒識別部20dと、がそれぞれソフトウェアルーチン(プログラム)の形態で備えられている。従って、この実施形態では、ECU20が、クランクセンサ21及びカムセンサ25からの第1及び第2パルス信号を入力して、気筒識別を行う識別手段を構成している。
(気筒識別の考え方)
次に、本発明の特徴部分として、前記クランクセンサ21の詳しい構造と、これにより得られるクランク角信号(第1パルス信号)及びカムセンサ25からの第2パルス信号に基づいて行われる気筒識別の方法について説明する。
図2に拡大して示すように、クランクセンサ21のロータ22に形成された多数のパルス発生部22a,22a,…のうち、周方向に180度離れた2箇所のもの(図には斜線を入れて示す)がそれぞれ各気筒2の所定行程位置に対応する基準パルス発生部に設定されている。この基準パルス発生部22aは、この実施形態では各気筒2の吸気上死点前60°CA(BTDC60°CA)に対応するように設定されており、エンジン1の運転中にこの行程位置において気筒2を識別することで、当該気筒2に対して適切なタイミングで点火することができるようになっている。尚、基準パルス発生部22a,22aは必ずしも前記クランク角位置に設定する必要はないが、例えばBTDC70°〜50°CAの範囲に対応するように設定するのが好ましい。
また、前記ロータ22のパルス発生部22a,22a,…は、前記各基準パルス発生部22aの回転方向側にそれぞれ隣接するものが連続して2つ欠落されて、パルス信号の欠落する第1の非パルス発生部22b,22bとされており、さらに、各基準パルス発生部22aを境に周方向に180°ずつ2等分された2つの角度範囲R1,R2のうちの一方(以下、第1角度範囲という)には、途中のパルス発生部22a,22aを連続して2つ欠落させた第2非パルス発生部22cが設けられている。この第1角度範囲R1は、この実施形態ではエンジン1の第1気筒又は第4気筒のBTDC240°CA〜BTDC60°CAに対応しており、一方、他方の角度範囲R2(以下、第2角度範囲という)は第3気筒又は第2気筒のBTDC240°CA〜BTDC60°CAに対応している。
一方、カムセンサ25のロータ26は、詳細は図示しないが、前記クランクセンサ21のロータ22の各角度範囲R1,R2に対応する4つの角度範囲(90°)に分かれており、この各角度範囲がそれぞれ第1、第3、第4及び第2気筒のBTDC240°CA〜BTDC60°CAに対応していて、そのうちの第1及び第3気筒に対応する角度範囲にはそれぞれ2個のパルス発生部26aが形成され、また、第4及び第2気筒に対応する角度範囲にはそれぞれ1個のパルス発生部26aが形成されている。
前記構成のクランクセンサ21及びカムセンサ25においては、クランク軸7の回転に同期してロータ22,26がそれぞれ回転し、その回転に伴うパルス発生部22a,22a,…,26a,26a,…の通過に応じて、ピックアップコイル23,27からパルス信号が出力され、ECU20に入力される。このようにしてクランクセンサ21から出力される第1パルス信号(クランクセンサ信号)と、カムセンサ25から出力される第2パルス信号(カムセンサ信号)とを、それぞれ、第2気筒の吸気上死点(#2気筒TDC)からクランク軸7が2回転する間、クランク角の変化に対応付けて示したのが図3であり、この図に白抜きの三角印(△)で示す基準パルス信号(基準パルス発生部22a,22aに対応するパルス信号)にそれぞれ挟まれた4つの区間が、エンジン1の各気筒2に対応する角度範囲(クランク角で180°、カム角では90°)である。
同図において、第1気筒に対応する角度範囲<1>(第1気筒のBTDC240°CA〜BTDC60°CA)は、クランクセンサ21のロータ22における第1角度範囲R1に対応していて、クランクセンサ21からは第1パルス信号Aが14個出力され、カムセンサ25からは第2パルス信号が1個出力される。また、続く第3気筒に対応する角度範囲<3>は、クランクセンサ21のロータ22における第2角度範囲R2に対応していて、クランクセンサ21からは第1パルス信号が16個出力され、カムセンサ25からは第2パルス信号が2個出力される。
同様に、第4気筒に対応する角度範囲<4>(ロータ22の第1角度範囲R1に対応)では、クランクセンサ21から第1パルス信号が14個出力され、カムセンサ25から第2パルス信号が2個出力される。また、第2気筒に対応する角度範囲<2>(ロータ22の第2角度範囲R2に対応)では、クランクセンサ21から第1パルス信号が16個出力され、カムセンサ25から第2パルス信号が1個出力される。
但し、詳しくは後述するが、前記角度範囲<1>、<4>においてクランクセンサ21のロータ22の第1角度範囲R1から出力されるパルス信号の計数値は、途中の第2非パルス発生部22cにおけるパルス信号の欠落に応じてキャンセルされるので、第1気筒及び第4気筒に対応する第1パルス信号の計数値は10パルスとなる。また、その際にはカムセンサ25から出力されるパルス信号の計数値もキャンセルされることになるが、図示の通り、クランクセンサ21の信号がキャンセルされる角度範囲(ロータ22の第1角度範囲R1において第2非パルス発生部22cから回転方向側に最も近い第1非パルス発生部22bまでの範囲)に対応するカムセンサ25のロータ26の角度範囲にはパルス発生部26aは形成されていない。
かくして、前記クランクセンサ21及びカムセンサ25から出力される第1及び第2パルス信号をそれぞれECU20に入力して計数すれば、その計数値の組(順列)は、第1気筒に対応して(10,1)となり、第3気筒に対応して(16,2)となり、第4気筒に対応して(10,2)となり、第2気筒に対応して(16,1)となって、4つの気筒2,2,…でそれぞれ異なるものとなるから、この計数値の組に基づいて気筒識別を行うことができるのである。
(気筒識別の手順)
以下に、前記ECU20において、前記クランクセンサ21及びカムセンサ25からの信号に基づいて気筒識別を行う具体的な手順を、図4のフローチャート図に基づいて説明する。
図示のフローにおいて、スタート(START)後のステップS1では、エンジン1のクランクセンサ21からのパルス信号A(第1パルス信号)とカムセンサ25からのパルス信号B(第2パルス信号)とをそれぞれ入力し(第1・第2パルス信号検出読み込み)、続くステップS2において前記第1パルス信号Aよりパルス信号の欠落があるかどうか(非パルス発生有り?)判定する。この判定がNOであればステップS1にリターンする一方、判定がYESであればステップS3に進み、その後、再びパルス信号が欠落した後に最初のパルス信号が入力するまで、第1パルス信号Aを計数する(次の非パルス発生が終わるまでAの信号数カウント)。また、ステップS4では、前記ステップS3と同様にして、次の非パルス発生が終わるまで第2パルス信号Bを計数する。
そして、ステップS5において前記第1パルス信号Aの計数値が予め設定した所定数α以下かどうか判別し、YESでA≦αであればステップS6に進んで、第1及び第2パルス信号A,Bの計数値を初期化した後に、前記ステップS3,S4にリターンして、再び信号の計数を行う(カウント値リセットし、再カウント開始)。一方、前記ステップS5において第1パルス信号Aの計数値が所定数αよりも大きくて(A>α)NOであれば、ステップS7〜S13に進んで、気筒識別を行う。
そのようにクランク角信号(第1パルス信号)Aが所定数α(例えば、ノイズを考慮して6〜9のいずれか1つの値に設定)以下のときに一旦、信号の計数値をキャンセルするのは、前記第1角度範囲R1に対応してクランクセンサ21から出力されるパルス信号の計数値を、途中の第2非パルス発生部22cにおいてキャンセルするためである。すなわち、第3及び第2気筒に対応するクランクセンサ21のロータ22の第1角度範囲R1には、合計14個のパルス発生部22a,22a,…が形成されているが、図3に示すように、基準パルス発生部22aを含めた最初の4つのパルス信号が出力された後で、第2非パルス発生部22cにおけるパルス信号の欠落によって、それまでの計数値4(≦α)はクリアされるのである。
換言すれば、前記一方の角度範囲R1に対応する第1パルス信号は、ロータ22の第2非パルス発生部22cから回転方向側に最も近い第1非パルス発生部22bまでに形成されているパルス発生部22a,22a,…からのものを除いて数えるようになっていて、これにより、該第1角度範囲R1におけるパルス発生部22a,22a,…の欠落数をあまり多くしなくても、その角度範囲R1に対応するパルス信号の計数値(この実施形態では10)を他方の角度範囲R2に対応するパルス信号の計数値(この実施形態では16)に比べてかなり少なくすることができる。このことで、以下に述べるステップS7において2つの角度範囲R1,R2を確実に判別することができるようになる。
すなわち、前記ステップS5において第1パルス信号計数値A>αと判定して進んだステップS7では、今度は該計数値Aが所定数β以上かどうか判定する(A≧β)。この所定数βは、クランクセンサ21のロータ22の第1又は第2角度範囲R1,R2のいずれであるか判別するための敷居値であり、本来、第1角度範囲R1であればA=10であり、第2角度歯にR2であればA=16であるから、βの値は11〜16のいずれでもよいのだが、この実施形態では、ノイズの影響を考慮して、例えばβ=15に設定している。
この点について詳しくは、一般的にエンジン1の始動時にはスタータモータの作動等に起因するノイズの発生が予想され、これによりパルス信号の計数値に誤差の生じる虞れがある。すなわち、例えばロータ22の第1角度範囲R1からのパルス信号を計数しているときに大きなノイズが3回、進入すれば、これによりパルス信号の計数値は、10+3=13個になる可能性があるが、仮にそうなったとしても、前記したように第1角度範囲R1に対応する本来のパルス信号数を第2角度範囲R2よりも5つも少なくしておいて、両者を判別する敷居値βを大きめの値(15)に設定することで、両者を確実に判別することができるのである。
但し、前記第1及び第2角度範囲R1,R2に対応する信号計数値の差は必ずしも6個にする必要はなく、ノイズの影響を考慮しても4個以上であれば十分であり、極言すれば、2〜3個であっても問題はないと考えられる。
そうして、前記ステップS7の判定がYESでA≧βであれば、これは実質的にA=16ということで、クランクセンサ21のロータ22の第2角度範囲R2に対応するということであるから、後述のステップS11に進む。一方、判定がNOでA<αであれば、これは実質的にA=10ということで、前記ロータ22の第1角度範囲R1に対応するということであるから、ステップS8に進んで、今度はカムセンサ25からの第2パルス信号Bの計数値が1かどうか判定する。そして、この判定がYESであれば(B=1)、要するに第1及び第2パルス信号の計数値の組(A,B)が(10,1)であり、これは第1気筒に対応するから、ステップS9に進んで第1気筒である(#1気筒)と識別して、終了する(END)。一方、前記ステップS8の判定がNOであれば、第2パルス信号B=2であり、(A,B)=(10,2)になって第4気筒に対応するから、ステップS10に進んで第4気筒である(#4気筒)と識別して、終了する。
これに対し、前記ステップS7においてYES(A=16)と判定して進んだステップS11では、前記ステップS8と同様にして第2パルス信号Bの計数値が1かどうか判定し、YESであれば(B=1)ステップS12に進んで、第2気筒である(#2気筒)と識別して、終了する一方、NOであれば(B=2)ステップS13に進んで、第3気筒である(#3気筒)と識別して、終了する。
以上、説明したフローのステップS3〜S6の手順が、第1パルス信号Aを計数する第1カウント部20aと、第2パルス信号Bを計数する第2カウント部20bと、それらの計数値を第1パルス信号の欠落に応じてリセット(初期化)するカウンタリセット部20cに対応している。また、ステップS7〜S13の手順が、前記第1及び第2パルス信号A,Bの計数値に基づいて気筒識別を行う気筒識別部20dに対応している。
したがって、この実施形態に係る内燃機関の気筒識別装置Sによると、エンジン1の始動時に、クランク軸7と一体にクランクセンサ21のロータ22が回転し、その2つの角度範囲R1,R2のいずれかがピックアップコイル23の近傍を通過すれば、その間に該クランクセンサ21とカムセンサ25とからそれぞれ出力される第1及び第2パルス信号A,Bの計数値の組(A,B)に基づいて、その次に第1、第3、第4及び第2のいずれの気筒が吸気上死点を迎えるか識別することができる。すなわち、クランク軸7が1回転する前に気筒識別を行って、当該気筒への燃料噴射、点火等の制御を開始することができ、これにより従来よりも始動時間を短縮することができる。
また、前記クランクセンサ21のロータ22の第1角度範囲R1に第2非パルス発生部22cを設けて、一部のパルス信号の計数値をキャンセルすることにより、パルス信号自体の欠落数はあまり多くせずに、2つの角度範囲R1,R2にそれぞれ対応するパルス信号の計数値の差を十分に大きくすることができ、これにより、ノイズが発生しても両者を確実に判別することができる。そのようにパルス信号自体の欠落数を抑えることで、クランクセンサ21の本来の機能であるクランク角位置の検出精度を十分に高く維持することができる。
さらに、この実施形態では、前記ロータ22において基準パルス発生部22a,22aを気筒2のBTDC60°CAに対応付けて設定し、BTDC90°〜60°CAに対応するように第1非パルス発生部22b,22bを設けている。このことで、一般的なエンジン1は、その構造上、停止時のクランク角位置が大体BTDC110〜70°CAの範囲となることが多いから、始動時にはクランキングの開始後直ちにパルス信号の欠落が発生し、気筒識別のためのパルス信号の計数が開始されることになり、これにより、実質的に始動時間のさらなる短縮が図られる。
尚、この実施形態の気筒識別装置Sでは、エンジン1の第1及び第4気筒2,2に対応する第1角度範囲R1ではクランクセンサ21からの第1パルス信号の計数値が10個になるようにし、一方、第3及び第2気筒2に対応する他方のクランク角範囲R1では16個になるようにするとともに、カムセンサ25からの第2パルス信号の数は、第1、第3、第4及び第2気筒2にそれぞれ対応して1、2、2、1となるようにしているが、これらの数値には何ら限定されない。すなわち、前記クランクセンサ21からの信号数は第1及び第2角度範囲R1,R2で相互に異なっていればよく、また、カムセンサ25からの信号数は、点火順序が隣り合わない気筒同士(即ち、第1及び第4気筒、第3及び第2気筒)で異なる値となるように、ロータ26の互いに隣接しない角度範囲(90°)において相互に異なる数のパルス発生部26aが形成されていればよい。
また、前記実施形態では、図4のフローのステップS1〜S5に示すように、非パルス発生が少なくとも2回あった後に、気筒識別を行うようにしているが、必ずしもこれに限るものではない。すなわち、上述したように、クランクセンサ21のロータ2の第1及び第2角度範囲R1,R2に各々対応するパルス信号数は10個及び16個であるから、仮に両者を判別するための敷居値βをβ=11(ステップS7)とした場合、ノイズを考慮しなければ、前記第2角度範囲R2からの信号数が11以上になった段階で直ちに該第2角度範囲R2であることを判別でき、クランク軸7が半回転する前に気筒識別を行える可能性がある。
より詳しくは、例えば、まず、エンジン始動時には前記非パルス発生がなくてもパルス信号の計数を開始するようにする。そうすると、仮にエンジン1の停止時のクランク角位置が前記第2角度範囲R2の途中で、ロータ22の基準パルス発生部22aから数えて5番目のパルス発生部22aまでに対応する位置であれば(図3を参照)、始動時のクランキングに伴い該ロータ22が回転したときに最初に計数される第1パルス信号数(クランクセンサ信号数)が11以上となり、これにより第2角度範囲R2であることが判別できる。そして、その時点で第2パルス信号数(カムセンサ信号数)が2であれば、第3気筒と識別でき、1であれば第2気筒と識別できる。
さらに、前記実施形態では、本発明に係る気筒識別装置Sを4サイクル4気筒ガソリン直噴エンジン1に適用しているが、本発明の適用対象となる内燃機関は直噴式エンジンでなくてもよいことは勿論であり、また、ガソリンエンジンでなくディーゼルエンジンやLPGエンジン等であってもよいし、いずれのエンジン1においても4気筒には限定されず、例えば6気筒、8気筒、10気筒、12気筒等であってもよい。
本発明の実施形態に係る気筒識別装置を備えたエンジンの概略構造図。 クランクセンサの構成を拡大して示す説明図。 クランク軸が2回転する間にクランクセンサ及びカムセンサからそれぞれ出力されるパルス信号の様子をクランク角の変化に対応付けて示すタイムチャート図。 気筒識別の手順を示すフローチャート図。
符号の説明
S 気筒識別装置
1 エンジン(多気筒内燃機関)
2 気筒
7 クランク軸
20 エンジンコントローラ(ECU:識別手段)
20a 第1カウント部
20b 第2カウント部
20c カウンタリセット部
20d 気筒識別部
21 クランクセンサ
22 ロータ(第1回転体)
22a パルス発生部、基準パルス発生部
22b 第1非パルス発生部
22c 第2非パルス発生部
R1 第1角度範囲(一方の角度範囲)
R2 第2角度範囲(他方の角度範囲)
23 ピックアップコイル(第1信号出力器)
25 カムセンサ
26 ロータ(第2回転体)
26a パルス発生部
27 ピックアップコイル(第2信号出力器)

Claims (5)

  1. 多気筒内燃機関にクランク軸の1回転につき1回転するように設けられ、略全周に亘って所定角度毎にパルス発生部が形成されるとともに、気筒の所定行程位置に対応する基準パルス発生部の回転方向側に隣接するパルス発生部が連続して所定数、欠落して第1の非パルス発生部とされた第1回転体と、
    前記クランク軸の2回転につき1回転するように設けられ、少なくとも1つのパルス発生部が形成された第2回転体と、
    前記第1及び第2回転体の近傍にそれぞれ配設され、その回転に伴うパルス発生部の通過に応じてパルス信号を出力する第1及び第2信号出力器と、
    前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されたパルス信号を入力して、気筒識別を行う識別手段と、を備えた内燃機関の気筒識別装置において、
    前記第1回転体には、周方向に180度離れた2箇所にそれぞれ基準パルス発生部が設定されて、2つの第1非パルス発生部が設けられているとともに、これを境に周方向に区分された2つの角度範囲におけるパルス発生部の数が互いに異なるように、少なくとも一方の角度範囲のパルス発生部が1つ以上、欠落され、
    前記第2回転体には、前記第1回転体の各角度範囲にそれぞれ対応する4つの角度範囲のうち、隣り合わない2つの角度範囲で互いに異なる数となるように複数のパルス発生部が形成され、
    前記識別手段は、前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号を前記各角度範囲毎に計数し、この計数値に基づいて前記所定行程位置に対応する気筒を識別するように構成されている
    ことを特徴とする内燃機関の気筒識別装置。
  2. 第1回転体の2つの角度範囲のうちの一方には、パルス発生部を所定数以上、連続して欠落させて第2非パルス発生部が設けられ、
    第2回転体のパルス発生部は、前記第1回転体の第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までに対応する範囲以外に設けられ、
    識別手段は、
    第1及び第2信号出力器からの各パルス信号をそれぞれ計数する第1及び第2カウント部と、
    該各カウント部におけるパルス信号の計数値を、前記第1信号出力器からのパルス信号が前記所定数以上、欠落したときに初期化するリセット部とを備えている
    ことを特徴とする請求項1に記載の気筒識別装置。
  3. 第2非パルス発生部が設けられている第1回転体の一方の角度範囲におけるパルス発生部の数は、該第2非パルス発生部から回転方向側に最も近い第1非パルス発生部までに形成されているものを除いて数えると、他方の角度範囲に比べて4以上、少ないことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の気筒識別装置。
  4. 基準パルス発生部が気筒の上死点前50度以上70度以下のクランク角範囲に対応付けて設定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の気筒識別装置。
  5. 偶数個の気筒を有する多気筒内燃機関に装備され、クランク軸の1回転につき1回転するように設けられて、略全周に亘って所定角度毎にパルス発生部が形成されるとともに、気筒の所定行程位置に対応する基準パルス発生部の回転方向側に隣接するパルス発生部が連続して所定数、欠落して非パルス発生部とされた第1回転体と、
    前記クランク軸の2回転につき1回転するように設けられ、少なくとも1つのパルス発生部が形成された第2回転体と、
    前記第1及び第2回転体の近傍にそれぞれ配設され、該回転体の回転に伴うパルス発生部の通過に応じてパルス信号を出力する第1及び第2信号出力器と、
    前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されたパルス信号を入力して、気筒識別を行う識別手段と、を備えた内燃機関の気筒識別装置において、
    前記第1回転体には、その全周を気筒数の半数の角度範囲に等分するように、少なくとも2つの基準パルス発生部が設定され、これに応じて少なくとも2つの非パルス発生部が設けられる一方、その各角度範囲にそれぞれ対応するように前記第2回転体の全周が気筒数の角度範囲に等分されており、
    前記第1及び第2回転体にそれぞれ形成されているパルス発生部の数は、第1回転体の各角度範囲毎のパルス発生部の数を変数Aで表し、第2回転体の各角度範囲毎のパルス発生部の数を変数Bで表したときに、その変数A,Bの組(A,B)の種類が気筒数と同じになるように設定され、
    前記識別手段は、前記第1及び第2信号出力器からそれぞれ出力されるパルス信号を前記各角度範囲毎に計数し、この計数値の組み合わせによって前記所定行程位置に対応する気筒を識別するように構成されている
    ことを特徴とする内燃機関の気筒識別装置。
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