JP2005082781A - 導電性に優れた硬化性樹脂組成物及びその硬化物並びに燃料電池用セパレーター - Google Patents

導電性に優れた硬化性樹脂組成物及びその硬化物並びに燃料電池用セパレーター Download PDF

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Abstract

【課題】 硬化時間が短く、成形後のアフターキュアを必要としないだけでなく成形品の表面状態が良好で導電性に優れ、電気抵抗、ガス透過性、機械的強度、熱間強度に優れた硬化性樹脂組成物、硬化物及び燃料電池用セパレーターの提供。
【解決手段】 (A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)炭素充填材からなる硬化性樹脂組成物及び該硬化性樹脂組成物を硬化して得られた燃料電池用セパレーター。
【選択図】 図1

Description

本発明は、導電性に優れた硬化性樹脂組成物に関するものであり、更に詳しくは導電性に加えて耐熱性、耐蝕性に優れた硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに燃料電池用セパレーターに関するものである。
炭素系充填材と熱硬化性樹脂とからなる高伝導性素材は、導電性ペーストや低公害で高い発電効率を持つ次世代の発電装置として期待されている燃料電池のためのセパレーター等として広範囲な用途に使用されている。この燃料電池の種類としては、電解質の種類によりアルカリ型、りん酸型、固体高分子型、溶融炭酸塩型、固体電解質型などがある。これらの燃料電池には、水素含有ガスと酸素含有ガスとの電気化学反応により起電力を生ずる単位電池と積層された単位電池の隣り合う単位電池間に介在し、隣り合う単位電池双方の電極と接触して、これら単位電池間を電気的に接続すると共に、反応ガスを分離する作用をなす燃料電池用セパレーター(以下、セパレーター)とが備えられている。
なかでも固体高分子型燃料電池は、他のタイプの燃料電池と比べて低温で作動するので、電池を構成する部品について材料面での腐食の心配が少ないばかりか、低温作動の割に比較的大電流を放電可能といった特徴をもち、家庭用定置型や車載用の内燃機関の代替として注目を集めている。
この固体高分子型燃料電池を構成する部品の中で、セパレーターは一般的に導電性平板の両面又は片面に複数の平行する溝を形成してなるもので、燃料電池セル内のガス拡散電極で発電した電気を外部へ伝達すると共に、発電の過程で生成した水を排水し、当該溝を燃料電池セルへ流入する反応ガスの流路として確保するという役割を担っている。
炭素系充填材と熱硬化性樹脂とからなる高導電性素材は、過去に多くの検討がなされている。例えば、黒鉛とフェノール樹脂との組合せの提案(例えば特許文献1参照)が開示されているが、通常のフェノール樹脂を用いた場合、製造時の硬化時間が長く生産性に問題があるばかりでなく、硬化時に縮合水分や低分子物がガスとなって遊離し、成形品中に泡やピンホール、内部ボイドなどが発生する場合があるなど、特性的にもセパレーター用としては問題がある。
また、炭素充填材のバインダーとして、開環重合により硬化するフェノール樹脂との組合せの提案(特許文献2参照)がある。この系統のフェノール樹脂を用いるときは成形時の内部ボイド等は抑えられるが、成形後に200℃程度のアフターキュアを必要としており生産性に劣る。
特開昭59−213610号公報 特開平11−354135号公報
一般的に、樹脂量が多くなると常態強度は高くなるが導電性や耐熱性は低下する傾向にある。本発明は、硬化時間が短く、成形後のアフターキュアを必ずしも必要としないだけでなく、成形品の表面状態が良好であり、導電性に優れ、電気抵抗、ガス透過性、機械的強度特に80℃熱間強度に優れた硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに燃料電池用セパレーターを提供するものである。
本発明は、
[1](A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)炭素充填材からなる硬化性樹脂組成物、
[2](A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)成分である分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物において、上記フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物5〜200重量部である上記[1]に記載の硬化性樹脂組成物、
[3](A)変性ノボラック型フェノール樹脂成分と(B)多価オキサジン化合物成分の混合物の合計が5〜40重量部、(C)ラジカル重合開始剤成分が0.05〜10重量部、(D)炭素充填材成分が60〜95重量部からなる上記[1]または[2]に記載の硬化性樹脂組成物、
[4](A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂が、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して当量比20〜90当量当量のグリシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂組成物である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物、
[5](A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂が、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して20〜200当量のN−メチロールアクリルアミドを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物、
[6](C)成分であるラジカル重合開始剤が、有機過酸化物である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物
[7] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られた導電性硬化物、及び
[8] 上記[1]〜[5]のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られた燃料電池用セパレーター。
本発明の導電性に優れた硬化性樹脂組成物は、硬化時間が短く生産性に優れており、またその硬化物が導電性、耐蝕性、機械的強度、中でも耐熱性に優れ、例えば導電性ペースト、電気製品、機械部品、車両部品などの各種用途に広く適用可能であり、特に固体燃料電池用セパレーター用素材として非常に有用である。
本発明は(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物、(C)ラジカル重合開始剤、(D)炭素充填材からなる導電性に優れた硬化性樹脂組成物及びその硬化物、並びに燃料電池用セパレーターを提供するものである。
本発明における(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂としては、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100に対して20〜90当量、より好ましくは40〜75当量のグリシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂や、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して20〜200当量、より好ましくは40〜150当量のN−メチロールアクリルアミドを酸性触媒下で反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂などが挙げられる。
ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して20当量未満のグリシジル(メタ)アクリレートまたはN−メチロールアクリルアミドを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂であるときは、不飽和基が少ないために架橋密度の低下により機械的強度が劣る。
一方、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して90当量より多いグリシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂の場合、フェノール性の水酸基が少なくなり、そのため炭素充填材との密着性の低下と硬化時の流れが悪くなり硬化物の機械的強度が低下してしまう。
(A)変性ノボラック型フェノール樹脂成分と(B)多価オキサジン化合物成分の混合物の合計が5〜40重量部 また。ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して200当量より多いN−メチロールアクリルアミドを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂の場合、N−メチロールアクリルアミド同士の縮合反応が進行し低分子化合物の増加してしまい、結果として硬化物の機械的強度が低下してしまう。
尚ここで本発明におけるラジカル重合性不飽和基とは、分子の末端または炭素鎖の中間にラジカル重合活性を有する二重結合を有するものであればよく、この様な結合としてはビニル基、アリル基などが挙げられる。
本発明における(B)多価オキサジン化合物としては分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物としては、下記一般式(1)で示されるものが好適である。

(式中のRは水素又は炭化水素基である)
上記式(1)で示される化学構造単位において、Rで示される炭化水素基としては、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、置換フェニル基等の炭素原子数1〜10の炭化水素基が挙げられる。また、置換フェニレン環に結合する水素の代わりに置換される置換基としてはメチル基、エチル基、プロピル基等特に制限はない。
前記分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物は、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物、ホルムアルデヒド類及び第1級アミンを溶剤中において反応させて合成することができる。これら材料から分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物を合成する方法としては、フェノール性水酸基を有する化合物と第1級アミン及び溶剤を仕込み、ついでホルムアルデヒド類を約70〜110℃の反応温度で、約20〜120分反応させ、その後120℃以下の温度で減圧下に脱溶剤して製造する方法が好ましい。
該フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えばビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン〔ビスフェノールF〕、2、2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン〔ビスフェノールS〕などのビスフェノール化合物、トリスフェノール化合物、テトラフェノール化合物などの低分子フェノール化合物や、フェノール樹脂を挙げることができる。
前記第1級アミンの例としては、メチルアミン、エチルアミン、ブチルアミン、プロピルアミン、シクロヘキシルアミン等の脂肪族アミン類、アニリン、トルイジン等の芳香族アミンなどが挙げられる。耐熱面から、芳香族アミンが好ましい。ホルムアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドの他、ホルマリン、パラホルムアルデヒドなどを用いることができる。
本発明において、(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物において、上記(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物が5〜200重量部、好ましくは20〜120重量部が好適である。(A)変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対し(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物が5重量部未満であると耐熱性が十分に改善されず、また(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物が200重量部を超えると硬化が遅く機械的強度が十分に発揮されない。
本発明において、(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物形状は粉末−粉末状、液−液状、固形溶融物、液−粉末状等であってよく、特に制限はない。
本発明における(A)ノボラック樹脂とグリシジル(メタ)アクリレートとの反応は、触媒を用いる公知慣用の方法により、70℃〜150℃、好ましくは75℃〜100℃の温度範囲で行い樹脂を合成することができる。この合成の際には、反応中のゲル化を防止する目的や生成物の保存安定性、更には硬化性の調整の目的で重合禁止剤を用いても良い。触媒としては特に限定されないが、塩基性触媒が好ましく、特にエポキシ基と反応性を有する第2級アミンまたは分子内第3級アミン基と水酸基の両方を有する化合物を使用することが好ましい。
固体高分子型燃料電池用としては、アミン類が水分などによりセパレーターから溶出する可能性があり、これがあるとガス拡散層の触媒の劣化を招くため好ましくなく、このためグリシジル(メタ)アクリレートと反応し、硬化した後では樹脂骨格内に入り固定化される触媒が好ましい。
また(A)ノボラック樹脂とN−メチロールアクリルアミドとの反応においては、前記のグリシジル(メタ)アクリレートにおけると同様に、触媒を用いて70℃〜150℃、好ましくは75℃〜100℃の温度範囲で樹脂化反応をすることができる。触媒としては特に限定されるものではないがこの場合には酸性触媒が好ましい。樹脂を合成する際には、反応中のゲル化を防止する目的や、生成物の保存安定性、更には硬化性の調整の目的で重合禁止剤を用いても良い。
本発明における(C)ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、アゾビス系化合物等のラジカル重合開始剤が挙げられる。有機過酸化物としては、ジアルキルパーオキサイド、アシルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド、パーオキシエステルなど公知のものを用いることができる。具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジ(2−エチルヘキサノイル)パーオキシヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5ジブチルパーオキシヘキサンなどが挙げられ、アゾビス系化合物としてはアゾビスイソブチロニトリルその他のアゾビス系重合開始剤を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤は1種でもよく、2種以上混合して用いても良い。また、その配合割合は(A)変性ノボラック型フェノール樹脂成分と(B)多価オキサジン化合物成分の混合物の合計が100重量部に対して0.05〜10重量部がよく、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明における(D)炭素充填材としては導電性を有する炭素質物質であれば良く、カーボンブラック、人造黒鉛、天然黒鉛、カーボンファイバー、カーボン短繊維、グラッシーカーボンなど及びこれらの2種類またはそれ以上の複合物を用いることができる。これらの中で特に黒鉛粉末を用いることが好ましい。黒鉛粉末としては平均粒径が3〜200μmのものが好ましい。また、その配合割合は(A)変性ノボラック型フェノール樹脂成分と(B)多価オキサジン化合物成分の混合物の合計が5〜40重量部に対して60〜95重量部がよく、より好ましくは70〜90重量部である。60重量部未満であると電気特性が劣り好ましくなく、95重量部より多くなると樹脂成分が少なくなりすぎて機械的強度が低下してしまう。
本発明の硬化性樹脂組成物は、(A)変性ノボラック型フェノール樹脂、(B)多価オキサジン化合物、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)炭素充填材のほかに、ラジカル重合可能な一般的なビニルエステル樹脂や(メタ)アクリル酸エステルモノマー、具体的にはフェノキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート等やフェノール性水酸基との反応可能なエポキシ基含有するエポキシ樹脂などの化合物やイソシアネート基含有の化合物等(以下これらを一括して「第三モノマー」という。)との併用も可能である。第三モノマーの配合比は(A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物100重量部に対し150重量部以下であり、これらの総合計したものが、(A)+(B)成分として硬化性樹脂組成物中に5〜40重量部配合されることになる。
本発明の硬化性樹脂組成物を得るには、上記各成分をロール、ニーダー、バンバリミキサー、ヘンシェルミキサー、プラネタリミキサーなど樹脂分野で一般的に用いられている混合機を使用し、なるべく均一に混合させるのが好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は(A)変性ノボラック型フェノール樹脂成分中にラジカル重合性の不飽和基を有するため、ラジカル重合開始剤の存在により硬化が早く、生産性を向上させることができる。この不飽和基のラジカル重合性分は樹脂骨格中に含まれるためフェノール樹脂特有の脆さが解消され、高強度(靭性)な硬化物を得ることができる。耐熱性としては通常のフェノール樹脂に匹敵するものであり、フェノール樹脂を用いているためラジカル重合のみの硬化物に比して耐熱性は優れている。
また変性ノボラック樹脂中にフェノール性水酸基を残すことにより、オキサジン環の開環重合時の触媒作用をもたらし、硬化を早くするとともにフェノール樹脂と反応させて耐熱性が向上する。
本発明の導電性硬化物としては、体積固有抵抗が50mΩcm以下が好ましく、より好ましくは30mΩcm以下である。また、強度としては45MPa以上が好ましい。また、80℃熱間曲げ強度としては40MPa以上が好ましい。更に、表面状態も重要であり、表面状態が悪いと長期耐久性に悪影響を及ぼす可能性があるため、成形板表面は凹凸の無いことが好ましい。
以下に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は実施例に何ら限定されるものではない。測定方法を以下に示す。
体積固有抵抗はJIS H0602に準拠し、4端子測定法により測定した。曲げ強度はJIS K6911に準拠し曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。80℃熱間曲げ強度は、80℃の恒温槽に試験片を30分間保持し、その後80℃の恒温槽中でJIS K6911に準拠し曲げ強度及び曲げ弾性率を測定した。
(合成例1)
温度計、攪拌機、ジムロート冷却管を備えた3口セパラブルフラスコにポリスチレン換算重量平均分子量が3000のノボラック型フェノール樹脂100重量部、メチルエチルケトン100重量部、グリシジルメタクリレート101重量部、ジメチルエタノールアミン2重量部を仕込み、80℃で7時間反応させた。この時のノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量とグリシジル(メタ)アクリレートの当量比は約100:75である。その後、減圧下にて溶媒を除去することによりポリスチレン換算重量平均分子量6000の変性ノボラック樹脂を得た。
(合成例2)
ポリスチレン換算重量平均分子量が約370のノボラック型フェノール樹脂100重量部を用い、グリシジルメタクリレート68重量部、反応触媒としてジメチルアミンを用いること以外は合成例1と同様の条件で合成を行った。この時のノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量とグリシジルメタクリレートの当量比は約100:50である。このとき、ポリスチレン換算重量平均分子量600の変性ノボラック樹脂を得た。
(合成例3)
ポリスチレン換算重量平均分子量が3000のノボラック型フェノール樹脂100重量部を用い、Nメチロールアクリルアミド144重量部、反応触媒としてパラトルエンスルホン酸1重量部を用いること以外は合成例1と同様の条件で合成を行った。この時のノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量とN−メチロールアクリルアミドの当量比は約100:150である。このとき、ポリスチレン換算重量平均分子量5000の変性ノボラック樹脂を得た。
(合成例4)
ポリスチレン換算重量平均分子量が3000のノボラック型フェノール樹脂100重量部を用い、Nメチロールアクリルアミド72重量部、反応触媒としてパラトルエンスルホン酸1重量部を用いること以外は合成例1と同様の条件で合成を行った。この時のノボラック型フェノール樹脂のフェノール性水酸基当量とN−メチロールアクリルアミドの当量比は約100:75である。このとき、ポリスチレン換算重量平均分子量5000の変性ノボラック樹脂を得た。
(実施例1)
分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物としてはビスフェノールA型ベンゾオキサジン(四国化成工業社製)を用いた。
表1の配合に従って、成分Aとして合成例1にて合成した変性ノボラック樹脂、成分Bとしてジクミルパーオキサイド、成分Cとして人造黒鉛(平均粒径35μm)を70℃の小型ニーダーにて30分間混合し、樹脂組成物を得た。この配合物を180℃で3分間加圧加熱成形して作成した厚さ4mm、幅10mm、長さ100mmの試験片を用いて曲げ強度を測定した。さらに、図1に示す最大厚み2.0mm、最小厚み1.0mm、溝深さ1.0mm、溝幅2mm、条幅2mmの薄板(セパレーター)を試作した。硬化条件は180℃で3分であり、アフターキュアは行わなかった。ここで得られた薄板は体積固有抵抗が6mΩcmであり、燃料電池用セパレーターに要求される特性を充分満足していた。また、成形性を見るため図1に示す、最大厚み2.0mm、最小厚み1.0mm、溝深さ1.0mm、溝幅2mm、条幅2mmの薄板作製時の180℃−1分以内での脱型の可否の確認を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例2〜6)
実施例1と同様にして、表1に示す配合にて厚さ4mm、幅10mm、長さ100mmの試験片と最大厚み2.0mm、最小厚み1.0mm、溝深さ1.0mm、溝幅2mm、条幅2mmの薄板を作成し、評価を行った。その結果を表1に示す。

(比較例1〜3)
表2に示す配合(実施例1における混合物に代え、比較例1〜2においては多価オキサジン化合物を配合せずに変性ノボラック型フェノール樹脂のみを用い、比較例3においては変性ノボラック型フェノール樹脂を用いずに多価オキサジン化合物のみを用いた。)にて厚さ4mm、幅10mm、長さ100mmの試験片と最大厚み2.0mm、最小厚み1.0mm、溝深さ1.0mm、溝幅2mm、条幅2mmの薄板を作成し、評価を行った。その結果を表2に示す。なお比較例3は硬化不良を生じてしまい試験片を作製することができなかった。
(比較例4〜5)
比較例4は、多価オキサジン化合物に代えフェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂、商品名BRL−274、昭和高分子株式会社製、樹脂固形分76%)を用いる以外は実施例1と同様に、また比較例5は変性ノボラック型フェノール樹脂に代え通常のノボラック型フェノール樹脂を、表2に示す配合にて厚さ4mm、幅10mm、長さ100mmの試験片と最大厚み2.0mm、最小厚み1.0mm、溝深さ1.0mm、溝幅2mm、条幅2mmの薄板を作成し、評価を行った。その結果を表2に示す。ただし、表中のフェノール樹脂使用部数は樹脂固形分換算した値とした。結果、硬化不良を生じてしまい試験片を作製することができなかった。

比較例6はレゾール樹脂中の水分や縮合水のためラジカル重合が進行せず。
比較例7は硬化時間が短すぎるためやや硬化不良。
上記の実施例及び比較例で得た成形体の粘弾性を測定した。
測定試料としては、180℃で3分間加圧、加熱成形して作製した厚さ4mm、幅10mm、長さ50mmの実施例2(図2)と比較例1(図3)の成形体を用いた。動的粘弾性測定の条件は、昇温速度2.0℃/分、周波数1Hzで50℃から250℃まで昇温した。そのときの、貯蔵弾性率E’とtanδ(損失弾性率と動的弾性率の比)を示す。測定装置は強制振動型粘弾性測定装置(オリエンテック社製、レオバイブロンIII型)を用いた。
比較例1の資料においては80℃付近から貯蔵弾性率E’の低下が見られるが、実施例2の資料では、およそ150℃付近までは貯蔵弾性率E’の低下は見られず、従って本発明品の耐熱性がフェノール樹脂並みであることがわかる。
以上からも本発明の硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性の速硬化性を有する上、その硬化体はフェノール樹脂とほぼ匹敵する耐熱性を兼ね備えた非常に優れた硬化物が与えられるものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化時間が短く生産性に優れ、ガスの発生が少なく内部ボイドの発生に少ない硬化性樹脂組成物を生産性高く製造できるものであり、それからは耐熱性、耐蝕性、耐酸化性、耐薬品性、曲げ強度、曲げ弾性率等の機械的性質に優れ並びに体積固有抵抗が小さいなどの特性のある硬化物が得られるので耐酸化性、耐薬品性、耐食性などを必要とする硬化体、特に燃料電池用セパレーターとして利用可能なものである。
実施例及び比較例で成形した燃料電池用セパレーターの斜視図 実施例2において成形した成形体の粘弾性曲線 比較例1において成形した成形体の粘弾性曲線

Claims (8)

  1. (A)フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物、(C)ラジカル重合開始剤及び(D)炭素充填材からなる硬化性樹脂組成物。
  2. (A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)成分である分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物との混合物において、上記フェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂100重量部に対して、分子内に複数のオキサジン環を持つ多価オキサジン化合物5〜200重量部である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. (A)変性ノボラック型フェノール樹脂と(B)多価オキサジン化合物成分の混合物の合計が5〜40重量部、(C)ラジカル重合開始剤成分が変性ノボラック型フェノール樹脂(A)と多価オキサジン化合物成分の混合物(C)の合計100重量部に対し0.05〜10重量部、(D)炭素充填材成分が60〜95重量部からなる請求項1または2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. (A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂が、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100当量に対して20〜90当量のグリシジル(メタ)アクリレートを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. (A)成分であるフェノール性水酸基とラジカル重合性不飽和基を共に構造中に含有する変性ノボラック型フェノール樹脂が、ノボラック樹脂のフェノール性水酸基100に対して20〜200当量のN−メチロールアクリルアミドを反応させることにより得られる変性ノボラック樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. (C)成分であるラジカル重合開始剤が、有機過酸化物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られた導電性硬化物。
  8. 請求項1〜6いずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られた燃料電池用セパレーター。
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