JP2005081547A - 印刷版材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 耐刷性とスクラッチ耐性とを両立させた印刷版材料を提供すること。
【解決手段】 基材上に画像形成層を有する印刷版材料において、ポリカチオンを含有する層及びポリアニオンを含有する層を有することを特徴とする印刷版材料。
【選択図】 なし

Description

本発明は印刷版材料に関し、更に詳しくは、コンピューター・トゥー・プレート(CTP)方式により画像形成が可能な印刷版材料に関する。
従来、平版印刷版用PS版のアルミニウム基材親水性表面、いわゆるアルミ砂目は、保水性及び耐刷性を付与するために粗面加工され、さらに親水性及び耐摩耗性を付与するために陽極酸化による酸化物皮膜層形成処理および陽極酸化皮膜層の親水化処理が行われてきた。粗面加工の方法としては、一般的には化学的(アルカリ・酸溶解等)、機械的(研磨剤を用いたブラシ研磨、サンドブラスト、液体ホーニング、粗さ転写ロールでの圧延等)、電気化学的(酸性溶液中での交流又は直流の電解処理)な粗面化が知られており、支持体表面の加工にはこれらの方法のいくつかを適宜組み合わせて、波長の異なる粗さを複数重畳させた多重的な表面粗さ構造の形成が行われている。このような多重粗さを有する表面に陽極酸化皮膜、つまりは酸化アルミ層を設け、さらにこの酸化アルミ層を例えばケイ酸塩を含有する現像液で処理することにより、表面をアルミノシリケートとすることで印刷性能が良好な親水性表面を形成している。アルミ砂目は多数の工程を経ることで親水性表面を形成しているため、安定した性能を得るには各工程の種々の条件を厳密にコントロール必要があり、また、使用するアルミ原反組成によっても性能が変化する等、品質を安定化させるために多くの労力を要する。また、電解粗面化処理、陽極酸化処理、親水化処理には、酸やアルカリの水溶液が用いられ、特に陽極酸化処理には一般に20〜40%の高濃度の硫酸水溶液が使用される等、安全性の問題や、廃液処理等の環境面の問題も有している。
電気化学的粗面化や陽極酸化を必ずしも必要としない印刷版材料用の親水性表面を有する支持体として、基材上に無機粒子を分散させたシリケート水溶液を塗布して親水性層を形成することを特徴とする支持体の製造方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
一方、親水性層に柔軟性を付与する目的で、有機素材と無機素材とを組み合わせた親水性層の検討も多くなされている。例えば、非−ゼラチン性親水性(コ)ポリマー又は(コ)ポリマー混合物を含有する親水性層、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸といった親水性樹脂を加水分解したテトラメチルオルトシリケートで架橋したバインダを用いた技術が知られている(例えば、特許文献2参照。)。また、珪酸ナトリウムや珪酸カリウム、リチウムシリケート等の珪酸塩化合物、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂等の親水性樹脂、及び所望によりさらに金属アルミニウム、金属チタン、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫、酸化珪素などの無機成分を主成分とする粉体を含有する親水性層も知られている(例えば、特許文献3参照。)。
近年、特定の薬液を用いた現像が不要で、印刷版材料の構成層の一部を印刷機上で湿し水またはインクを用いて除去する、いわゆる機上現像に対応した印刷版材料が求められている。このような機上現像タイプの印刷版材料に適用される親水性層は、現像時の親水化処理が行なえない分、さらに良好な親水性を有している必要がある。また、印刷作業環境をより良好とするため、IPA(イソプロピルアルコール)等のアルコールを含有しない湿し水を用いる動きもあり、この点に対応するためにも印刷版材料の親水性層はさらに良好な親水性が必要となってきている。このように、アルミ砂目に匹敵する親水性と、塗膜の強靭性とを両立しうる、印刷版用の親水性層に適用可能な有機無機複合バインダの技術が求められていた。
一方で、印刷データのデジタル化に伴い、安価で取り扱いが容易でPS版と同等の印刷適性を有したCTPが求められている。特に近年、特別な薬剤による現像処理が不要であって、ダイレクトイメージング(DI)機能を備えた印刷機にも適用可能な、いわゆるプロセスレスプレートへの期待が高まっている。プロセスレスプレートの画像形成方式のひとつとして有力であるのが赤外線レーザー記録であり、大きく分けて、無処理タイプ、アブレーションタイプと熱融着画像層機上現像タイプの三種の記録方法が存在する。
無処理タイプとしては、例えば、特許3064807号、特許3206297号に記載されているような、熱により親油化する架橋した親水性樹脂層を有するものが挙げられる。このタイプはプロセスレスプレートの理想系ではあるが、画像形成後の親水性と親油性との差をつけ難く、画像部のインク着肉が不十分であったり、あるいは、非画像部の地汚れが問題となったりする等の多くの問題を有している。アブレーションタイプとしては、例えば、特開平8−507727号、同6−186750号、同6−199064号、同7−314934号、同10−58636号、同10−244773号に記載されているものである。これらは、例えば、基材上に親水性層と親油性層とをいずれかの層を表層として積層し、画像形成層としたものである。表層が親水性層であれば、画像様に露光し、親水性層をアブレートさせて画像様に除去して親油性層を露出することで画像部を形成することができる。ただし、アブレートした表層の飛散物による露光装置内部の汚染が問題となるため、親水性層上にさらに水溶性の保護層を設けてアブレートした表層の飛散を防止し、印刷機上で保護層とともにアブレートした表層を除去する機上現像方式も提案されている。アブレーションタイプは、親水性層と親油性層とを個別に設計することが可能であるため、画像形成後の画像部のインク着肉不良や非画像部の地汚れ等は大きな問題とならないが、一般的に感度が低く、画像のエッジ部分にがさつきを生じる場合もあり、画質や解像度も不十分である。
これに対して、熱融着画像層機上現像タイプとしては、特許2938397号や特許2938397号に開示されているような、親水性層もしくはアルミ砂目上に画像形成層に熱可塑性微粒子と水溶性の結合剤とを用いたものが挙げられる。このタイプは、アブレーションタイプよりも高感度で、かつ、画質や解像度も良好である。このようなタイプの画像形成層に含有される水溶性の結合剤としては、カルボキシル基を有する親水性ポリマーが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
国際公開第97/1987号パンフレット 特開平11−34526号公報 特開2002−248877号公報 特開平11−265062号公報
特許文献1に記載の方法ではコスト低減を達成することは可能であるが、表面に多重的な粗さ構造を付与することができず印刷時の水量ラチチュードが不十分であり、また、結合剤は単なる水ガラスであるため柔軟性に欠け、クラックが入りやすく剥離しやすい欠点があり、耐刷性も満足のいくものではない。特許文献2に記載の技術は、有機素材を含有させ、かつ、架橋させることにより塗膜の強靭性は大きく向上する。しかし、このような親水性樹脂は親水性基が架橋によって失われるため、形成された塗膜の親水性は低下し、印刷版用の親水性層としては不十分である。特許文献3に記載の態様においても、親水性樹脂は親水性基が架橋によって失われるため、親水性層の親水性は満足のいくものではない。特許文献4に記載の技術は、熱可塑性微粒子に対する親水性ポリマーの比率が高くなると、例えば画像形成層に対して25質量%程度以上の含有量となると、画像形成能、つまりは耐刷性を著しく損なう傾向を有している。一方で、熱可塑性微粒子に対する親水性ポリマーの比率が低くなると、例えば画像形成層に対して40質量%程度以下の含有量となると、スクラッチに対する耐性が著しく劣化し、ちょっとしたこすり傷が汚れとして現れるようになる。このように、画像形成層に含有される親水性ポリマー種や含有量を変化させるのみでは、耐刷性とスクラッチ耐性とを両立させることが困難であった。
このように、熱融着画像層機上現像タイプのようなプロセスレスプレートにおいても、耐刷性とスクラッチ耐性とを両立させたプロセスレスプレートの開発が望まれていた。したがって、本発明の目的は、耐刷性とスクラッチ耐性とを両立させた印刷版材料を提供することにある。
本発明の目的は以下の手段により達成することが出来る。
(請求項1)基材上に画像形成層を有する印刷版材料において、ポリカチオンを含有する層及びポリアニオンを含有する層を有することを特徴とする印刷版材料。
(請求項2)前記ポリカチオンを含有する層及び前記ポリアニオンを含有する層が互いに隣接した層であることを特徴とする請求項1記載の印刷版材料。
(請求項3)前記ポリカチオンを含有する層が前記基材側に設けられた親水性層であり、前記ポリアニオンを含有する層が表層側に設けられた画像形成層であることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷版材料。
(請求項4)前記ポリカチオンがキチン、キチン誘導体、キトサン、キトサン誘導体から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の印刷版材料。
(請求項5)前記ポリアニオンがカルボン酸又はカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の印刷版材料。
(請求項6)前記画像形成層は、熱により親油性画像を形成する疎水化前駆体粒子を含有する機上現像可能な層であり、かつ、基材上に設けられたいずれかの層が光熱変換素材を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の印刷版材料。
本発明によれば、耐刷性とスクラッチ耐性とを両立させた印刷版材料を提供することができた。
本発明は、基材上に画像形成層を有する印刷版材料において、ポリカチオンを含有する層及びポリアニオンを含有する層を有することを特徴とする印刷版材料。本発明においては、ポリカチオンを含有する層及びポリアニオンを含有する層が互いに隣接した層であることが好ましく、さらに好ましくは、ポリカチオンを含有する層が基材側に設けられた親水性層であり、ポリアニオンを含有する層が表層側に設けられた画像形成層である態様である。
ポリカチオン性物質とポリアニオン性物質を水中で混合した場合、速やかにポリイオンコンプレックスが形成されることが知られている。このようなポリイオンコンプレックスは種々の分野で広く利用されている。ポリカチオンを含有する層上に、ポリアニオンを含有する層の水性塗布液を積層塗布した場合には、両層の界面にポリイオンコンプレックスが形成される。ポリアニオンを含有する層上に、ポリカチオンを含有する層の水性塗布液を積層塗布した場合も同様である。このように、層間にポリイオンコンプレックスが形成されると、層間の接着性が向上し、積層された塗膜全体の強度が向上する効果が得られる。印刷版材料においては、耐刷性の向上につながるものである。また、イオンコンプレックスを形成するのは層間の界面付近のみであるため、例えば後述する機上現像可能な画像形成層を用いた場合にも、非画像部の機上現像性は維持される。また、ポリイオンコンプレックス自体は親水性であるため、機上現像後に現れる非画像部となる表面の親水性を損なうこともない。
本発明において、機上現像とは、特定の薬液を用いた現像が不要で印刷版材料の構成層の一部を印刷機上で湿し水またはインクを用いて除去する現像法をいう。
本発明で用いられるポリカチオンは、例えば、N+、S+等のカチオン基を分子内に少なくとも2つ有する高分子又はその塩であって水溶性のものがあげられる。このうち、カチオン基がN+基であるものが好ましい。さらに、主鎖が多糖類系の高分子であるのが好ましい。例えば、ビニル系カチオン高分子及びカチオン化多糖、具体的には、ポリ−4(2)−ビニルピリジン、イオネンポリマー(アルドリッチ社製)、N−トリアルキルアミノメチルポリスチレン、アミノアセタール化ポリビニルアルコール、ポリ−4(5)−ビニルイミダゾール、線状ポリエチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリジアルキルジアリルアンモニウム塩、ジアルキルジアリルアンモニウム塩−SO2共重合体、カチオン化デキストラン、カチオン化デンプン、カチオン化PVP、トリメチルアンモニウム型カチオン化セルロース、ポリジメチルジアリルアンモニウム型カチオン化セルロース、カチオン化PVA、ジメチルジアリルアンモニウム塩−アクリルアミド共重合体、ジメチルラウリルアンモニウム型カチオン化セルロース、カチオン化グアガム、キトサン、ゼラチン、又はこれらの塩、例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物等があげられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用し得る。ポリカチオンの重量平均分子量は、1,000〜10,000,000であり、好ましくは、10,000〜10,000,000である。
本発明においては、ポリカチオンとしては、キチン、キチン誘導体、キトサン、キトサン誘導体から選ばれた少なくとも一つであることが好ましい。キトサンの原料であるキチンは、カニやエビなどの甲殻類、クモ、昆虫等、無脊椎動物の支持物質として自然界に広く分布し、多量に天然に存在する有機化合物である。キチンを濃アルカリと加熱すると、脱アセチル化されて遊離のアミノ基を有するキトサンが得られる。キチンの脱アセチル化度が50%以下であるものをキチンと呼び、50%以上であるものをキトサンと呼ぶ場合があるが、以下、脱アセチル化されているキチンをすべてキトサンと呼ぶこととする。キトサンは、5〜50万程度の高分子であり、保湿能が優れていることから、キトサンは化粧品用原料にも用いられて実用化されている。この保湿性は印刷版材料に用いる場合には非常に良好な親水性として機能するものである。キトサンはまた、官能基を種々の化合物で修飾することが可能であり、使用目的に応じて種々の化合物で修飾されたキトサンの誘導体も広く検討されている。例えば、特開平10−130304号、特開平11−71406号、特開平11−71407号、特開2000−38403号、特開2000−212203号、特開2000−256403号、特開2000−256404号、特開2001−240606号、特開2001−337458号、WO00/027889号、特表2002−508020号、特表2002−523528号、特開2002−226503号の各公報類に記載されたキトサン誘導体を挙げることができる。
キトサンは酸によってアミノ基が塩を形成することで酸性の水溶液に可溶であるが、中性やアルカリ性の水溶液には不溶である。しかし、特定の化合物でキトサンの官能基を修飾することで、中性やアルカリ性の水溶液にも可溶な誘導体を得ることも可能である。
例えば、キトサンのアミノ基にポリオキシアルキレン化合物を結合させることで、キトサンの親水性をより向上させ、かつ、中性やアルカリ性の水溶液にも可溶な誘導体を得ることができる。ポリオキシアルキレン化合物としては、例えば、ポリオキシエチレングリコールやポリオキシエチレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられる。ポリオキシアルキレン化合物の平均重合度は水溶性を付加するためには10以上が好ましく、18以上がより好ましい。また、キトサン誘導体水溶液の増粘の影響を少なくして取扱い性を良好とするために、平均重合度は300以下とすることが好ましい。また、キトサン誘導体中のポリオキシアルキレン基の含有量としては、40質量%から90質量%の範囲にあることがキトサンの特性を残しつつ、親水性、水溶性が付与されるため好ましい。
キトサンのアミノ基に還元性の糖類(単糖、二糖、三糖以上のオリゴ糖等)を結合させることによっても中性やアルカリ性の水溶液への溶解性を付与することができる。あるいはまた、キトサンのCH2OH基をCOOX基(XはH、Na、Kのいずれかを示す)へと酸化させることによっても中性やアルカリ性の水溶液への溶解性を付与することができる。また、米国特許5730876号明細書に記載されているキトサンの酸性水溶液から分離膜を用いて精製する方法や、特開2002−69101号公報に記載されている、キトサンの酸性水溶液から酸をイオン交換により除去する方法によっても水溶性で6.5程度のpHを呈するキトサンを得ることができる。ポリカチオンの層中における含有量は、概ね0.1〜50質量%であり、好ましくは0.2〜30質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明に用いられるポリアニオンは、アニオン基を有する水溶性高分子又はその塩である。このうち、アニオン基が−COOH又は−SO3Hであるものが好ましく、アニオン基がカルボキシル基であるカルボン酸もしくはカルボン酸塩がより好ましい。さらに、アニオン基を有する高分子又はその塩は、直鎖状ポリカルボン酸系高分子が好ましく、例えばポリ(メタ)アクリル酸またはこの塩、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体がある。具体的には、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリイタコン酸、カルボキシビニルポリマー、エチレン無水マレイン酸共重合体、メチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、エチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、n−ブチルビニルエーテル無水マレイン酸共重合体、イソプロピル無水マレイン酸共重合体およびそれらの開環体、ポリスチレンスルホン酸、ポリエチレンスルホン酸、ポリビニル硫酸、グリオキシル酸による部分アセタール化ポリビニルアルコール、ポリリン酸、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ペクチン又はこれらの塩、例えばナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニウム塩等があげられる。これらは、単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用し得る。ポリアニオンの重量平均分子量は、概ね1,000〜10,000,000であり、好ましくは、10,000〜10,000,000である。これらの中でも、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース塩、アルギン酸塩が特に好ましい。ポリアニオンの層中における含有量は、概ね0.1〜50質量%であり、好ましくは0.2〜30質量%、より好ましくは0.5〜10質量%である。
本発明に係る画像形成層は、熱により親油性画像を形成する疎水化前駆体粒子を含有することが好ましい。本発明において、疎水化前駆体微粒子とは、赤外レーザー露光等によって発生する熱により、親油性画像部を形成することのできる微粒子であれば、特に限定されるものではないが、その中でも熱可塑性微粒子または親油性素材を内包するマイクロカプセルであることが好ましい。
熱可塑性微粒子としては、熱溶融性微粒子、熱融着性微粒子として当該技術分野で公知の素材を挙げることができる。熱可塑性微粒子としての好ましい粒径の範囲は、50nm〜5μmであり、80nm〜2μmがより好ましく、100nm〜1μmがさらに好ましい。
熱溶融性微粒子とは、熱可塑性素材の中でも特に溶融した際の粘度が低く、一般的にワックスとして分類される素材で形成された微粒子である。物性としては、軟化点40℃以上120℃以下、融点60℃以上150℃以下であることが好ましく、軟化点40℃以上100℃以下、融点60℃以上120℃以下であることが更に好ましい。融点が60℃未満では保存性が問題であり、融点が300℃よりも高い場合はインク着肉感度が低下する。
使用可能な素材としては、例えば、パラフィン、ポリオレフィン、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックス等が挙げられる。これらは分子量800から10000程度のものであり、また乳化しやすくするためにこれらのワックスを酸化し、水酸基、エステル基、カルボキシル基、アルデヒド基、ペルオキシド基などの極性基を導入することもできる。更には、軟化点を下げたり作業性を向上させるためにこれらのワックスに、例えば、ステアロアミド、リノレンアミド、ラウリルアミド、ミリステルアミド、硬化牛脂肪酸アミド、パルミトアミド、オレイン酸アミド、米糖脂肪酸アミド、ヤシ脂肪酸アミド又はこれらの脂肪酸アミドのメチロール化物、メチレンビスステラロアミド、エチレンビスステラロアミドなどを添加することも可能である。又、クマロン−インデン樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン樹脂、アクリル樹脂、アイオノマー、これらの樹脂の共重合体も使用することができる。
これらの中でも、ポリエチレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、脂肪酸系ワックスの何れかを含有することが好ましい。これらの素材は融点が比較的低く、溶融粘度も低いため、高感度の画像形成を行うことができる。又、これらの素材は潤滑性を有するため、印刷版材料の表面に剪断力が加えられた際のダメージが低減し、擦りキズ等による印刷汚れ耐性が向上する。
又、熱溶融性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱溶融性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱溶融性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱溶融性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。
また、熱溶融性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は、公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。
構成層中での熱溶融性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
熱融着性微粒子としては、熱可塑性疎水性高分子重合体微粒子が挙げられ、該熱可塑性疎水性高分子重合体粒子の軟化温度に特定の上限はないが、温度は高分子重合体微粒子の分解温度より低いことが好ましい。また、高分子重合体の重量平均分子量(Mw)は10,000〜1,000,000の範囲であることが好ましい。
高分子重合体微粒子を構成する高分子重合体の具体例としては、例えば、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、エチレン−ブタジエン共重合体等のジエン(共)重合体類、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等の合成ゴム類、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、メチルメタクリレート−メタクリル酸共重合体、メチルアクリレート−(N−メチロールアクリルアミド)共重合体、ポリアクリロニトリル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ポリ酢酸ビニル、酢酸ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル(共)重合体、酢酸ビニル−(2−エチルヘキシルアクリレート)共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン等及びそれらの共重合体が挙げられる。これらのうち、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸(共)重合体、ビニルエステル(共)重合体、ポリスチレン、合成ゴム類が好ましく用いられる。高分子重合体微粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、気相重合法等、公知の何れの方法で重合された高分子重合体からなるものでもよい。溶液重合法又は気相重合法で重合された高分子重合体を微粒子化する方法としては、高分子重合体の有機溶媒に溶解液を不活性ガス中に噴霧、乾燥して微粒子化する方法、高分子重合体を水に非混和性の有機溶媒に溶解し、この溶液を水又は水性媒体に分散、有機溶媒を留去して微粒子化する方法等が挙げられる。又、何れの方法においても、必要に応じ重合あるいは微粒子化の際に分散剤、安定剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレングリコール等の界面活性剤やポリビニルアルコール等の水溶性樹脂を用いてもよい。また、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等を含有させても良い。
熱融着性微粒子は水に分散可能であることが好ましく、その平均粒径は0.01〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜3μmである。平均粒径が0.01μmよりも小さい場合、熱融着性微粒子を含有する層の塗布液を後述する多孔質な親水性層上に塗布した際に、熱融着性微粒子が親水性層の細孔中に入り込んだり、親水性層表面の微細な凹凸の隙間に入り込んだりしやすくなり、機上現像が不十分になって、地汚れの懸念が生じる。熱融着性微粒子の平均粒径が10μmよりも大きい場合には、解像度が低下する。熱融着性微粒子は内部と表層との組成が連続的に変化していたり、もしくは異なる素材で被覆されていてもよい。被覆方法は公知のマイクロカプセル形成方法、ゾルゲル法等が使用できる。構成層中の熱融着性微粒子の含有量としては、層全体の1〜90質量%が好ましく、5〜80質量%がさらに好ましい。
マイクロカプセルとしては、例えば特開2002−2135号公報や特開2002−19317号公報に記載されている親油性素材を内包するマイクロカプセルを挙げることができる。親油性素材としては、好ましくは疎水性樹脂であり、具体例としては、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、尿素樹脂、ヒドロキシスチレン樹脂が挙げられる。疎水性樹脂としては、赤外線レーザー露光による熱で軟化又は溶融するものがより好ましい。さらに熱により架橋する樹脂であればより好ましい。このことから、エポキシ基、メチロール基等の熱反応性基を有する樹脂が好ましい。本発明に用いられる好ましいマイクロカプセル壁は、3次元架橋を有し、溶剤によって膨潤する性質を有するものであり、このような性質を有するマイクロカプセルの壁材に使用可能な素材としては、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、およびこれらの混合物が好ましく、特に、ポリウレアおよびポリウレタンが好ましい。マイクロカプセル壁に熱反応性官能基を有する化合物を導入しても良い。マイクロカプセルは平均径で0.1〜10μmであることが好ましく、0.3〜5μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。マイクロカプセルの壁の厚さは径の1/100〜1/5であることが好ましく、1/50〜1/10であることがより好ましい。マイクロカプセルの含有量は画像形成層全体の5〜100質量%であり、20〜95質量%であることが好ましく、40〜90質量%であることがさらに好ましい。その他、マイクロカプセルの壁材となる素材、およびマイクロカプセルの製造方法は公知の素材および方法を用いることができる。たとえば、「新版マイクロカプセル その製法・性質・応用」(近藤保、小石真純著/三共出版株式会社発行)に記載されているか、引用されている文献に記載されている公知の素材および方法を参考にすることができる。
本発明の印刷版材料の層構成としては、特に制限を受けるものではなく、例えば下記のような種々の態様が挙げられる。
a. インクジェット方式により画像様に形成された層(ポリアニオンと疎水化前駆体粒子を含有)/親水性層(ポリカチオンを含有)/基材
この態様は、親水性層上にポリアニオンとワックス微粒子とを含有する水性インクをインクジェット方式により画像様に付与し、乾燥することによって作成することができる。水性インクは親水性層上でイオンコンプレックスを形成して増粘し、インクの広がりを防止し、かつ、インクを親水性層に強固に固定する。このようにして作成された印刷版材料は、ワックス微粒子の融点以上に加熱することによってワックスが溶融して画像部が親油化し、印刷版とすることができる。
なお、上記のポリアニオンとポリカチオンを交換した態様でも同様の効果が得られるのは言うまでもない。これは以下においても同様である。
b. 親水性層(ポリカチオン含有)/親油性アブレーション層(ポリアニオン含有)/基材
この態様においては、親油性層と親水性層との層間接着が強固となり耐刷性が向上する。架橋剤を特に用いる必要がないため、親水性層の親水性を劣化させる懸念もない。また、この態様においては、親水性層上にポリアニオンを含有する水溶性または水膨潤性の保護層を設けることもできる。保護層と親水性層との接着が良好となって、スクラッチ耐性が向上する。また、保護層が除去された後も親水性層の親水性を損なうことがない。
c. 画像形成層(疎水化前駆体粒子とポリアニオンを含有)/親水性表面処理層(ポリカチオン)/アルミ砂目
この態様においては、画像形成層とアルミ砂目界面にポリイオンコンプレックス薄層が形成されるため、圧力によって疎水化前駆体粒子がアルミ砂目表面にこすり付けられて固着し、汚れとなるのを防止する効果が得られる。ポリイオンコンプレックス薄層は、画像形成層中のポリアニオン含有量が少ない場合でも(例えば10質量%以下でも)形成されるため、画像形成能、つまりは耐刷性を維持したまま、スクラッチ耐性を向上させることが可能になる。また、この態様においては、親水性層上にポリカチオンを含有する水溶性または水膨潤性の保護層を設けることもできる。保護層と画像形成性層との接着が良好となって、スクラッチ耐性がさらに向上する。また、未露光部の画像形成層への湿し水の浸透を損なうことがないため、機上現像性の劣化もない。
d. 画像形成層(疎水化前駆体粒子とポリアニオンを含有)/親水性層(ポリカチオン)/基材
この態様においても、上記と同様に画像形成層と親水性層界面にポリイオンコンプレックス薄層が形成されるため、耐刷性を維持したまま、スクラッチ耐性を向上させることが可能になる。また、同様に親水性層上にポリカチオンを含有する水溶性または水膨潤性の保護層を設けることもできる。
以上のa〜dの態様の中でもcとdの層構成の態様が特に好ましい。
さらに、本発明の印刷版材料の好ましい態様は、基材上に設けられたいずれかの層が光熱変換素材を含有することである。光熱変換素材を含有することにより、赤外線レーザー露光による画像記録が可能となる。光熱変換素材としては下記のような素材を挙げることができる。
一般的な赤外吸収色素であるシアニン系色素、クロコニウム系色素、ポリメチン系色素、アズレニウム系色素、スクワリウム系色素、チオピリリウム系色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素などの有機化合物、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系、ジチオール系、インドアニリン系の有機金属錯体などが挙げられる。具体的には、特開昭63−139191号、特開昭64−33547号、特開平1−160683号、特開平1−280750号、特開平1−293342号、特開平2−2074号、特開平3−26593号、特開平3−30991号、特開平3−34891号、特開平3−36093号、特開平3−36094号、特開平3−36095号、特開平3−42281号、特開平3−97589号、特開平3−103476号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。また、特開平11−240270号、特開平11−265062号、特開2000−309174号、特開2002−49147号、特開2001−162965号、特開2002−144750号、特開2001−219667号の各公報に記載の化合物も好ましく用いることができる。
顔料としては、カーボン、グラファイト、金属、金属酸化物等が挙げられる。カーボンとしては特にファーネスブラックやアセチレンブラックの使用が好ましい。粒度(d50)は100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることが更に好ましい。
グラファイトとしては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子を使用することができる。金属としては粒径が0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下の微粒子であれば何れの金属であっても使用することができる。形状としては球状、片状、針状等何れの形状でも良い。特にコロイド状金属微粒子(Ag、Au等)が好ましい。
金属酸化物としては、可視光域で黒色を呈している素材、または素材自体が導電性を有するか、半導体であるような素材を使用することができる。前者としては、黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物が挙げられる。後者とては、例えばSbをドープしたSnO2(ATO)、Snを添加したIn23(ITO)、TiO2、TiO2を還元したTiO(酸化窒化チタン、一般的にはチタンブラック)などが挙げられる。又、これらの金属酸化物で芯材(BaSO4、TiO2、9Al23・2B2O、K2O・nTiO2等)を被覆したものも使用することができる。これらの粒径は、0.5μm以下、好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下である。
これらの光熱変換素材のうち黒色酸化鉄や二種以上の金属を含有する黒色複合金属酸化物がより好ましい素材として挙げられる。
黒色酸化鉄(Fe34)としては、平均粒子径0.01〜1μmであり、針状比(長軸径/短軸径)が1〜1.5の範囲の粒子であることが好ましく、実質的に球状(針状比1)であるか、もしくは、八面体形状(針状比約1.4)を有していることが好ましい。このような黒色酸化鉄粒子としては、例えば、チタン工業社製のTAROXシリーズが挙げられる。球状粒子としては、BL−100(粒径0.2〜0.6μm)、BL−500(粒径0.3〜1.0μm)等を好ましく用いることができる。また、八面体形状粒子としては、ABL−203(粒径0.4〜0.5μm)、ABL−204(粒径0.3〜0.4μm)、ABL−205(粒径0.2〜0.3μm)、ABL−207(粒径0.2μm)等を好ましく用いることができる。さらに、これらの粒子表面をSiO2等の無機物でコーティングした粒子も好ましく用いることができ、そのような粒子としては、SiO2でコーティングされた球状粒子:BL−200(粒径0.2〜0.3μm)、八面体形状粒子:ABL−207A(粒径0.2μm)が挙げられる。
黒色複合金属酸化物としては、具体的には、Al、Ti、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sb、Baから選ばれる二種以上の金属からなる複合金属酸化物である。これらは、特開平8−27393号、特開平9−25126号、特開平9−237570号、特開平9−241529号、特開平10−231441号等の各公報に開示されている方法により製造することができる。黒色複合金属酸化物としては、特にCu−Cr−Mn系またはCu−Fe−Mn系の複合金属酸化物であることが好ましい。Cu−Cr−Mn系の場合には、6価クロムの溶出を低減させるために、特開平8−27393号公報に開示されている処理を施すことが好ましい。これらの複合金属酸化物は添加量に対する着色、つまり、光熱変換効率が良好である。これらの黒色複合金属酸化物は平均1次粒子径が1μm以下であることが好ましく、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲にあることがより好ましい。平均1次粒子径が1μm以下とすることで、添加量に対する光熱変換能がより良好となり、平均1次粒子径が0.01〜0.5μmの範囲とすることで添加量に対する光熱変換能がより良好となる。ただし、添加量に対する光熱変換能は、粒子の分散度にも大きく影響を受け、分散が良好であるほど良好となる。したがって、これらの黒色複合金属酸化物粒子は、層の塗布液に添加する前に、別途公知の方法により分散して、分散液(ペースト)としておくことが好ましい。平均1次粒子径が0.01未満となると分散が困難となるため好ましくない。分散には適宜分散剤を使用することができる。分散剤の添加量は複合金属酸化物粒子に対して0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。
基材としては、印刷版の基板として使用される公知の材料を使用することができる。例えば、金属板、プラスチックフィルム、ポリオレフィン等で処理された紙、上記材料を適宜貼り合わせた複合基材等が挙げられる。基材の厚さとしては、印刷機に取り付け可能であれば特に制限されるものではないが、50〜500μmのものが一般的に取り扱いやすい。
金属板としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられるが、比重と剛性との関係から特にアルミニウムが好ましい。アルミニウム板は、通常その表面に存在する圧延・巻取り時に使用されたオイルを除去するためにアルカリ、酸、溶剤等で脱脂した後に使用される。脱脂処理としては特にアルカリ水溶液による脱脂が好ましい。また、塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。例えば、ケイ酸塩やシランカップリング剤等のカップリング剤を含有する液に浸漬するか、液を塗布した後、十分な乾燥を行なう方法が挙げられる。陽極酸化処理も易接着処理の一種と考えられ、使用することができる。また、陽極酸化処理と上記浸漬または塗布処理を組み合わせて使用することもできる。また、公知の方法で粗面化されたアルミニウム基材、いわゆるアルミ砂目を、親水性表面を有する基材として使用することもできる。
プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、セルロースエステル類等を挙げることができる。
本発明に用いる基材としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。これらプラスチックフィルムは塗布層との接着性を向上させるために、塗布面に易接着処理や下塗り層塗布を行なうことが好ましい。易接着処理としては、コロナ放電処理や火炎処理、プラズマ処理、紫外線照射処理等が挙げられる。また、下塗り層としては、ゼラチンやラテックスを含む層等が挙げられる。下塗り層に、有機または無機の公知の導電性素材を含有させることもできる。また、裏面のすべり性を制御する(例えば版胴表面との摩擦係数を低減させる)目的で、裏面コート層を設けた基材も好ましく使用することができる。
本発明に用いられるの印刷版材料の態様のひとつとして、基材上に親水性層を有する態様が挙げられる。親水性層は一層であっても良いし、複数の層から形成されていても良い。親水性層の付量としては、0.1〜10g/m2が好ましく、0.2〜5g/m2がより好ましい。
親水性層に用いられる親水性素材としては、金属酸化物が好ましい。金属酸化物としては、金属酸化物微粒子を含むことが好ましい。例えば、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。該金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他の何れの形態でも良い。平均粒径としては、3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。又、粒子表面に表面処理がなされていても良い。金属酸化物微粒子はその造膜性を利用して結合剤としての使用が可能である。有機の結合剤を用いるよりも親水性の低下が少なく、親水性層への使用に適している。
本発明には、特にコロイダルシリカが好ましく使用できる。コロイダルシリカは比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高いという利点があり、炭素原子を含まない素材が91質量%以上というような層においても良好な強度を得ることができる。
コロイダルシリカとしては、ネックレス状コロイダルシリカ、平均粒径20nm以下の微粒子コロイダルシリカを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカはコロイド溶液としてアルカリ性を呈することが好ましい。ネックレス状コロイダルシリカとは1次粒子径がnmのオーダーである球状シリカの水分散系の総称であり、1次粒粒子径が10〜50nmの球状コロイダルシリカが50〜400nmの長さに結合した「パールネックレス状」のコロイダルシリカを意味する。パールネックレス状(即ち真珠ネックレス状)とは、コロイダルシリカのシリカ粒子が連なって結合した状態のイメージが真珠ネックレスの様な形状をしていることを意味している。ネックレス状コロイダルシリカを構成するシリカ粒子同士の結合は、シリカ粒子表面に存在する−SiOH基が脱水結合した−Si−O−Si−と推定される。ネックレス状のコロイダルシリカとしては、具体的には日産化学工業(株)製の「スノーテックス−PS」シリーズなどが挙げられる。ネックレス状コロイダルシリカを添加することにより、層の多孔性を確保しつつ、強度を維持することが可能となり、層の多孔質化材として好ましく使用できる。
製品名としては「スノーテックス−PS−S(連結した状態の平均粒子径は110nm程度)」、「スノーテックス−PS−M(連結した状態の平均粒子径は120nm程度)」及び「スノーテックス−PS−L(連結した状態の平均粒子径は170nm程度)」があり、これらにそれぞれ対応する酸性の製品が「スノーテックス−PS−S−O」、「スノーテックス−PS−M−O」及び「スノーテックス−PS−L−O」である。これらの中でも、アルカリ性である「スノーテックスPS−S」、「スノーテックスPS−M」、「スノーテックスPS−L」を用いると、親水性層の強度が向上し、また、印刷枚数が多い場合でも地汚れの発生が抑制され、特に好ましい。
また、コロイダルシリカは粒子径が小さいほど結合力が強くなることが知られており、本発明には平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカを用いることが好ましく、3〜15nmであることが更に好ましい。又、前述のようにコロイダルシリカの中ではアルカリ性のものが地汚れ発生を抑制する効果が高いため、アルカリ性のコロイダルシリカを使用することが特に好ましい。平均粒径がこの範囲にあるアルカリ性のコロイダルシリカとしては日産化学社製の「スノーテックス−20(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−30(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−40(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−N(粒子径10〜20nm)」、「スノーテックス−S(粒子径8〜11nm)」、「スノーテックス−XS(粒子径4〜6nm)」が挙げられる。平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカは前述のネックレス状コロイダルシリカと併用することで、層の多孔質性を維持しながら、強度をさらに向上させることが可能となり、特に好ましい。平均粒径が20nm以下であるコロイダルシリカ/ネックレス状コロイダルシリカの比率は95/5〜5/95が好ましく、70/30〜20/80がより好ましく、60/40〜30/70が更に好ましい。
本発明の印刷版材料の親水性層は金属酸化物として多孔質金属酸化物粒子を含むことが好ましい。多孔質金属酸化物粒子としては、後述する多孔質シリカ又は多孔質アルミノシリケート粒子もしくはゼオライト粒子を好ましく用いることができる。
多孔質シリカ粒子は一般に湿式法又は乾式法により製造される。湿式法ではケイ酸塩水溶液を中和して得られるゲルを乾燥、粉砕するか、中和して析出した沈降物を粉砕することで得ることができる。乾式法では四塩化珪素を水素と酸素と共に燃焼し、シリカを析出することで得られる。これらの粒子は製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。多孔質シリカ粒子としては、湿式法のゲルから得られるものが特に好ましい。多孔質アルミノシリケート粒子は例えば特開平10−71764号公報に記載されている方法により製造される。即ち、アルミニウムアルコキシドと珪素アルコキシドを主成分として加水分解法により合成された非晶質な複合体粒子である。粒子中のアルミナとシリカの比率は1:4〜4:1の範囲で合成することが可能である。又、製造時にその他の金属のアルコキシドを添加して3成分以上の複合体粒子として製造したものも本発明に使用できる。これらの複合体粒子も製造条件の調整により多孔性や粒径を制御することが可能である。粒子の多孔性としては、分散前の状態で細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/g以下であることが更に好ましい。細孔容積は塗膜の保水性と密接に関連しており、細孔容積が大きいほど保水性が良好となって印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなるが、2.5ml/gよりも大きくなると粒子自体が非常に脆くなるため塗膜の耐久性が低下する。細孔容積が1.0ml/g未満の場合には、印刷時の汚れにくさ、水量ラチチュードの広さが不充分となる。粒径としては、親水性層に含有されている状態で(例えば分散時に破砕された場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。不必要に粗大な粒子が存在すると親水性層表面に多孔質で急峻な突起が形成され、突起周囲にインクが残りやすくなって非画線部汚れやブランケット汚れが劣化する場合がある。
ゼオライトは結晶性のアルミノケイ酸塩であり、細孔径が0.3〜1nmの規則正しい三次元網目構造の空隙を有する多孔質体である。天然及び合成ゼオライトを合わせた一般式は、次のように表される。
(M1、M21/2)m(AlmSin2(m+n))・xH2
ここで、M1、M2は交換性のカチオンであって、M1はLi+、Na+、K+、Tl+、Me4+(TMA)、Et4+(TEA)、Pr4+(TPA)、C7152+、C816+等であり、M2はCa2+、Mg2+、Ba2+、Sr2+、C8182 2+等である。また、n≧mであり、m/nの値、つまりはAl/Si比率は1以下となる。Al/Si比率が高いほど交換性カチオンの量が多く含まれるため極性が高く、従って親水性も高い。好ましいAl/Si比率は0.4〜1.0であり、更に好ましくは0.8〜1.0である。xは整数を表す。
使用されるゼオライト粒子としては、Al/Si比率が安定しており、また粒径分布も比較的シャープである合成ゼオライトが好ましく、例えばゼオライトA:Na12(Al12Si1248)・27H2O;Al/Si比率1.0、ゼオライトX:Na86(Al86Si106384)・264H2O;Al/Si比率0.811、ゼオライトY:Na56(Al56Si136384)・250H2O;Al/Si比率0.412等が挙げられる。Al/Si比率が0.4〜1.0である親水性の高い多孔質粒子を含有することで親水性層自体の親水性も大きく向上し、印刷時に汚れにくく、水量ラチチュードも広くなる。また、指紋跡の汚れも大きく改善される。Al/Si比率が0.4未満では親水性が不充分であり、上記性能の改善効果が小さくなる。粒径としては、親水性層に含有されている状態で(分散破砕工程を経た場合も含めて)、実質的に1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることが更に好ましい。
本発明に係る印刷版材料の親水性層は、金属酸化物として層状粘土鉱物粒子を含んでもよい。該層状鉱物粒子としては、カオリナイト、ハロイサイト、タルク、スメクタイト(モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サボナイト等)、バーミキュライト、マイカ(雲母)、クロライトといった粘土鉱物及び、ハイドロタルサイト、層状ポリケイ酸塩(カネマイト、マカタイト、アイアライト、マガディアイト、ケニヤアイト等)等が挙げられる。中でも、単位層(ユニットレイヤー)の電荷密度が高いほど極性が高く、親水性も高いと考えられる。好ましい電荷密度としては0.25以上、更に好ましくは0.6以上である。このような電荷密度を有する層状鉱物としては、スメクタイト(電荷密度0.25〜0.6;陰電荷)、バーミキュライト(電荷密度0.6〜0.9;陰電荷)等が挙げられる。特に、合成フッ素雲母は粒径等安定した品質のものを入手することができ好ましい。又、合成フッ素雲母の中でも、膨潤性であるものが好ましく、自由膨潤であるものが更に好ましい。層状鉱物のインターカレーション化合物(ピラードクリスタル等)や、イオン交換処理を施したもの、表面処理(シランカップリング処理、有機バインダとの複合化処理等)を施したものも使用することができる。
平板状層状鉱物粒子のサイズとしては、層中に含有されている状態で(膨潤工程、分散剥離工程を経た場合も含めて)、平均粒径(粒子の最大長)が20μm以下であり、又平均アスペクト比(粒子の最大長/粒子の厚さ)が20以上の薄層状であることが好ましく、平均粒径が5μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましく、平均粒径が1μm以下であり、平均アスペクト比が50以上であることが更に好ましい。粒子サイズが上記範囲にある場合、薄層状粒子の特徴である平面方向の連続性及び柔軟性が塗膜に付与され、クラックが入りにくく乾燥状態で強靭な塗膜とすることができる。また、粒子物を多く含有する塗布液においては、層状粘土鉱物の増粘効果によって、粒子物の沈降を抑制することができる。粒子径が上記範囲をはずれると、引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。又、アスペクト比が上記範囲以下である場合、柔軟性が不充分となり、同様に引っかきによるキズ抑制効果が低下する場合がある。
層状鉱物粒子の含有量としては、層全体の0.1〜30質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがより好ましい。特に膨潤性合成フッ素雲母やスメクタイトは少量の添加でも効果が見られるため好ましい。層状鉱物粒子は、塗布液に粉体で添加してもよいが、簡便な調液方法(メディア分散等の分散工程を必要としない)でも良好な分散度を得るために、層状鉱物粒子を単独で水に膨潤させたゲルを作成した後、塗布液に添加することが好ましい。
本発明の親水性層にはその他の添加素材として、ケイ酸塩水溶液も使用することができる。ケイ酸Na、ケイ酸K、ケイ酸Liといったアルカリ金属ケイ酸塩が好ましく、そのSiO2/M2O比率はケイ酸塩を添加した際の塗布液全体のpHが13を超えない範囲となるように選択することが無機粒子の溶解を防止する上で好ましい。
また、金属アルコキシドを用いた、いわゆるゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーも使用することができる。ゾル−ゲル法による無機ポリマーもしくは有機−無機ハイブリッドポリマーの形成については、例えば「ゾル−ゲル法の応用」(作花済夫著/アグネ承風社発行)に記載されているか、又は本書に引用されている文献に記載されている公知の方法を使用することができる。
親水性層には本発明のポリカチオンまたはポリアニオンを含有させることができる.親水性層にポリカチオンまたはポリアニオンを含有させることにより、親水性層の表面形状を好ましい状態形成する効果も得られる。
親水性層の表面は、PS版のアルミ砂目のように0.1〜50μmピッチの凹凸構造を有することが好ましく、この凹凸により保水性や画像部の保持性が向上する。
このような凹凸構造は、親水性層に適切な粒径のフィラーを適切な量含有させて形成することも可能であるが、親水性層の塗布液に前述のアルカリ性コロイダルシリカと本発明のポリカチオンまたはポリアニオンとを含有させ、親水性層を塗布、乾燥させる際に相分離を生じさせて形成することがより良好な印刷性能を有する構造を得ることができ、好ましい。
凹凸構造の形態(ピッチ及び表面粗さなど)はアルカリ性コロイダルシリカの種類及び添加量、ポリカチオンまたはポリアニオンの種類及び添加量、その他添加材の種類及び添加量、塗布液の固形分濃度、ウエット膜厚、乾燥条件等で適宜コントロールすることが可能である。凹凸構造のピッチとしては0.2〜30μmであることがより好ましく、0.5〜20μmであることが更に好ましい。又、ピッチの大きな凹凸構造の上に、それよりもピッチの小さい凹凸構造が形成されているような多重構造の凹凸構造が形成されていてもよい。表面粗さとしては、Raで100〜1000nmが好ましく、150〜600nmがより好ましい。
親水性層の膜厚としては、0.01〜50μmであり、好ましくは0.2〜10μmであり、更に好ましくは0.5〜3μmである。本発明の親水性層(の塗布液)には、塗布性改善等の目的で水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。該界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。本発明の親水性層はリン酸塩を含むことができる。本発明では親水性層の塗布液がアルカリ性であることが好ましいため、リン酸塩としてはリン酸三ナトリウムやリン酸水素二ナトリウムとして添加することが好ましい。リン酸塩を添加することで、印刷時の網の目開きを改善する効果が得られる。リン酸塩の添加量としては、水和物を除いた有効量として、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%が更に好ましい。
本発明に用いられる印刷版材料の好ましい態様として、親水性層上に機上現像可能な画像形成層を有する態様が挙げられる。画像形成層は、赤外線レーザーによる露光によって発生する熱によって画像形成するものであることが好ましい。
本発明の画像形成層の好ましい態様のひとつとして、画像形成層が疎水化前駆体粒子を含有する態様が挙げられることは前記した。本発明の画像形成層にはさらに以下のような素材を含有させることができる。画像形成層には上述の光熱変換素材を含有させることができる。画像形成層は一部が機上現像されるため、可視光での着色の少ない素材を用いることが好ましく、色素を用いることが好ましい。画像形成層がポリアニオンを含有する場合には、光熱変換色素はアニオン性であることが好ましく、ポリカチオンを含有する場合には、光熱変換色素はカチオン性であることが好ましい。
画像形成層には、本発明のポリカチオンまたはポリアニオンを極度にゲル化させない素材として、水溶性樹脂、水分散性樹脂を含有させることができる。水溶性樹脂、水分散性樹脂としては、オリゴ糖、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体の共役ジエン系重合体ラテックス、アクリル系重合体ラテックス、ビニル系重合体ラテックス等の樹脂が挙げられる。これらのなかでは、オリゴ糖が好ましい。オリゴ糖としては、ラフィノース、トレハロース、マルトース、ガラクトース、スクロース、ラクトースといったものが挙げられるが、特にトレハロースが好ましい。また、画像形成層には、水溶性の界面活性剤を含有させることができる。Si系、又はF系等の界面活性剤を使用することができるが、特にSi元素を含む界面活性剤を使用することが印刷汚れを生じる懸念がなく、好ましい。界面活性剤の含有量は親水性層全体(塗布液としては固形分)の0.01〜3質量%が好ましく、0.03〜1質量%が更に好ましい。さらに、pH調整のための酸(リン酸、酢酸等)またはアルカリ(水酸化ナトリウム、ケイ酸塩、リン酸塩等)を含有していても良い。
画像形成層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
画像形成層の上層として保護層を設けることもできる。保護層に用いる素材としては、本発明のポリカチオンまたはポリアニオンを好ましく用いることができる。前述のように、画像形成層がポリアニオンを含有する場合は、保護層がポリカチオンを含有する態様が好ましく、画像形成層がポリカチオンを含有する場合は、保護層がポリアニオンを含有する態様が好ましい。また、特開2002−19318号公報や特開2002−6948号公報に記載されている親水性オーバーコート層も好ましく用いることができる。保護層の付き量としては、0.01〜10g/m2であり、好ましくは0.1〜3g/m2であり、さらに好ましくは0.2〜2g/m2である。
本発明の印刷版材料の好ましい態様である、赤外線レーザー熱溶融・熱融着方式の印刷版材料の画像形成層は、赤外線レーザー露光部が親油性の画像部となり、未露光部の層が除去されて非画像部となる。未露光部の除去は、水洗によっても可能であるが、印刷機上で湿し水およびまたはインクを用いて除去する、いわゆる機上現像することも十分に可能である。印刷機上での画像形成層の未露光部の除去は、版胴を回転させながら水付けローラーやインクローラーを接触させて行なうことができるが、下記に挙げる例のような、もしくは、それ以外の種々のシークエンスによって行なうことができる。また、その際には、印刷時に必要な湿し水水量に対して、水量を増加させたり、減少させたりといった水量調整を行ってもよく、水量調整を多段階に分けて、もしくは、無段階に変化させて行ってもよい。
(1)印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(2) 印刷開始のシークエンスとして、インクローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、水付けローラーを接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
(3) 印刷開始のシークエンスとして、水付けローラーとインクローラーとを実質的に同時に接触させて版胴を1回転〜数十回転回転させ、次いで、印刷を開始する。
以下に本発明を実施例で詳述するが、これらに限定されない。
《基材の作製》
〈基材1〉
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を、50℃の1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬し、溶解量が2g/m2になるように溶解処理を行い水洗した後、25℃の0.1質量%塩酸水溶液中に30秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いでこのアルミニウム板を、塩酸10g/L、アルミを0.5g/L含有する電解液により、正弦波の交流を用いて、ピーク電流密度が60A/dm2の条件で電解粗面化処理を行なった。この際の電極と試料表面との距離は10mmとした。電解粗面化処理は12回に分割して行い、一回の処理電気量(陽極時)を40C/dm2とし、合計で480C/dm2の処理電気量(陽極時)とした。
また、各回の粗面化処理の間に4秒間の休止時間を設けた。電解粗面化後は、50℃に保たれた1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に浸漬して、粗面化された面のスマット含めた溶解量が1.2g/m2になるようにエッチングし、水洗し、次いで25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に10秒間浸漬し、中和処理した後水洗した。次いで、20%硫酸水溶液中で、20Vの定電圧条件で電気量が150C/dm2となるように陽極酸化処理を行い、さらに水洗した。次いで、水洗後の表面水をスクイーズした後、70℃に保たれた1質量%のリン酸二水素ナトリウム水溶液に30秒間浸漬し、水洗を行った後に80℃で5分間乾燥し、基材1を得た。基材1のRaは450nmであった(WYKO社製RST Plusを使用し、40倍で測定した)。
〈基材2〉
厚さ175μmの二軸延伸ポリエステルフィルムフィルムの両面に、8W/m2・分のコロナ放電処理を施し、次いで、一方の面に下記下引き塗布液aを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液bを乾燥膜厚0.1μmになるように塗布し、各々180℃、4分間乾燥させた(下引き面A)。また反対側の面に下記下引き塗布液cを乾燥膜厚0.8μmになるように塗設後にコロナ放電処理(8W/m2・分)を行いながら下引き塗布液dを乾燥膜厚1.0μmになるように塗布し、それぞれ180℃、4分間乾燥させた(下引き面B)。塗布後の25℃、25%RHでの表面電気抵抗は108Ωであった。このようにして、両面に下引き層を形成した基材を得た。
〈下引き塗布液a〉
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=60/39/1の3元系共重合ラテックス(Tg=75℃) 6.3%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 1.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 92.0%
〈下引き塗布液b〉
ゼラチン 1%
アニオン系界面活性剤S−1 0.05%
硬膜剤H−1 0.02%
マット剤(シリカ、平均粒径3.5μm) 0.02%
防黴剤F−1 0.01%
水 98.9%
Figure 2005081547
〈下引き塗布液c〉
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=20/40/40の3元系共重合ラテックス 0.4%(固形分基準)
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート/アセトアセトキシエチルメタクリレート=39/40/20/1の4元系共重合ラテックス 7.6%
アニオン系界面活性剤S−1 0.1%
水 91.9%
〈下引き塗布液d〉
成分d−1/成分d−2/成分d−3=66/31/1の導電性組成物
6.4%
硬膜剤H−2 0.7%
アニオン系界面活性剤S−1 0.07%
水 92.83%
成分d−1;
スチレンスルホン酸ナトリウム/マレイン酸=50/50の共重合体からなるアニオン性高分子化合物
成分d−2;
スチレン/グリシジルメタクリレート/ブチルアクリレート=40/40/20からなる3成分系共重合ラテックス
成分d−3;
スチレン/イソプレンスルホン酸ナトリウム=80/20からなる高分子活性剤
Figure 2005081547
以上、%は質量%を表す。
《水溶性キトサン誘導体の合成》
特開平11−71406号に記載の方法を用い、キトサンの窒素原子にポリオキシアルキレン基が結合した水溶性キトサン誘導体を合成した。キトサンとしては、数平均分子量30000で、脱アセチチル化度が86%のものを用い、ポリオキシアルキレンとしては、PEG(PEG #4000、Mw:3000、和光純薬社製)を用いた。得られた水溶性キトサン誘導体のポリオキシエチレン基の含有量は60質量%であった。
《印刷版材料の作製》
表1記載の親水性層塗布液組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分15質量%の親水性層(1)〜(6)の塗布液を得た。
Figure 2005081547
数字は質量部を表す。
次に、表2記載の画像形成層塗布液組成の素材をホモジナイザを用いて十分に攪拌混合した後、濾過して、固形分10質量%の画像形成層(1)〜(4)の塗布液を得た。
Figure 2005081547
数字は質量部を表す。
表3に示した基材、親水性層、画像形成層の組み合わせで、基材上に親水性層の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が表3に示した値となるように塗布し、100℃で3分間乾燥した。次いで、60℃、72時間のエイジング処理を行った。次いで、親水性層上に、画像形成層の塗布液を、ワイヤーバーを用いて乾燥後の付量が0.6g/m2となるように塗布し、55℃で3分間乾燥した。次いで、40℃、24時間のエイジング処理を行って、本発明に係る印刷版材料1〜6(本発明試料1〜6),及び比較印刷版材料1〜5(比較試料1〜5)を得た。
Figure 2005081547
《赤外線レーザー露光による画像形成》
上記で作製した各印刷版材料を露光ドラムに巻付け固定した。露光には波長830nm、スポット径約18μmのレーザービームを用い、露光エネルギーを250mJ/cm2として、2400dpi(本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。)、175線で画像を形成した。露光した画像はベタ画像と1〜99%の網点画像とを含むものである。
《印刷》
印刷機:三菱重工業(株)製DAIYA1F−1を用いて、上質紙(しらおい)、湿し水:アストロマーク3(日研化学研究所製)2質量%、インク(東洋インク社製TKハイユニティ紅)を使用して印刷を行った。印刷版材料は露光後そのままの状態で版胴に取り付け、PS版と同じ刷り出しシークエンスを用いて印刷した。
《印刷評価》
〈耐刷性評価〉
2万枚までの印刷を行い、3%網点画像が欠け始めた時点の印刷枚数を耐刷性の指標とした。結果を表1に示した。
〈スクラッチ汚れ評価〉
露光後、印刷前の各印刷版材料の非画像部に、HEIDON試験機で触針として0.3mmφのサファイアを用いて荷重を変化させてスクラッチ傷を付けた。荷重は25gから25g刻みで150gまで変化させた。印刷評価での刷り出しから100枚目の印刷物で、スクラッチ傷が汚れとして確認できない最大荷重を評価し、表3に示した。
表3より、本発明の印刷版材料はスクラッチ耐性および耐刷性に優れることがわかる。

Claims (6)

  1. 基材上に画像形成層を有する印刷版材料において、ポリカチオンを含有する層及びポリアニオンを含有する層を有することを特徴とする印刷版材料。
  2. 前記ポリカチオンを含有する層及び前記ポリアニオンを含有する層が互いに隣接した層であることを特徴とする請求項1記載の印刷版材料。
  3. 前記ポリカチオンを含有する層が前記基材側に設けられた親水性層であり、前記ポリアニオンを含有する層が表層側に設けられた画像形成層であることを特徴とする請求項1又は2記載の印刷版材料。
  4. 前記ポリカチオンがキチン、キチン誘導体、キトサン、キトサン誘導体から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の印刷版材料。
  5. 前記ポリアニオンがカルボン酸又はカルボン酸塩であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の印刷版材料。
  6. 前記画像形成層は、熱により親油性画像を形成する疎水化前駆体粒子を含有する機上現像可能な層であり、かつ、基材上に設けられたいずれかの層が光熱変換素材を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の印刷版材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2007034642A1 (ja) * 2005-09-21 2007-03-29 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. 平版印刷版材料、その製造方法、画像形成方法、画像形成装置、印刷方法
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