JP2005072039A - 真空チャック - Google Patents
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Abstract
【課題】少なくとも吸着面の全てが高剛性かつ高熱伝導率である真空チャックを提供する。
【解決手段】真空チャック2は、少なくとも吸着面2aの全てが炭化珪素(SiC)と金属シリコン(Si)の複合体で形成された円板状体13を備えている。この円板状体13には真空吸着用の貫通孔が多数設けられている。円板状体13は、その吸着面2aと反対側の非吸着面2bの中心に立設された円柱状のプッシャ4によって支持されている。そして、円板状体13の貫通孔からの真空吸引力により、吸着面2aに半導体ウエハ3が吸着保持されるようになっている。
【選択図】 図1
【解決手段】真空チャック2は、少なくとも吸着面2aの全てが炭化珪素(SiC)と金属シリコン(Si)の複合体で形成された円板状体13を備えている。この円板状体13には真空吸着用の貫通孔が多数設けられている。円板状体13は、その吸着面2aと反対側の非吸着面2bの中心に立設された円柱状のプッシャ4によって支持されている。そして、円板状体13の貫通孔からの真空吸引力により、吸着面2aに半導体ウエハ3が吸着保持されるようになっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハの表面を研磨する際に、半導体ウエハを吸着するための真空チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハを研磨するために、半導体ウエハを吸着して研磨する真空チャックが使用されている。すなわち、半導体ウエハを真空チャックにて吸着し、定盤上に位置させ、定盤と真空チャックの双方の回転により半導体ウエハを所望の精度に研磨するものである。この真空チャックの半導体ウエハを吸着する部分は、多数の貫通孔を有するアルミニウムやステンレス鋼等の金属板、あるいは酸化アルミニウムや炭化珪素等のセラミック板から構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。この貫通孔は、直径0.5mm以下であることが必要である。直径0.5mmより大きな直径の貫通孔の場合、吸着時における孔の形状の半導体ウエハへの転写、或いは、貫通孔の空間が大きいことによる半導体ウエハの撓みの原因となる。そして、これらの金属板やセラミック板の貫通孔を介して、半導体ウエハを真空で強力に吸着し、その状態で精度の高い研磨を行うのである。
【0003】
ところが近年、半導体ウエハのサイズの大型化と研磨の高精度化が市場から要求されるようになってきている。それにより従来のサイズの半導体ウエハでは問題にならなかったが、大型の半導体ウエハでは、真空チャックも大きくなることから、半導体ウエハを真空チャックにて吸着した際に、真空チャックの撓みが大きくなりその真空度が低下する。このため真空チャックの吸着力が下がることにより研磨精度が低下する原因となっている。従って、真空チャックの素材としては高剛性の素材が要求される。
【0004】
また、もう一つの問題として、大型の半導体ウエハでは、研磨時に発生する摩擦熱による真空チャックの変形により真空度が低下し、吸着力が下がることに基づいて研磨精度が低下する原因となっている。しかも、その摩擦熱により半導体ウエハ及び真空チャックが熱変形し、研磨精度が低下する原因となっている。このため、真空チャックの素材としては高熱伝導率の素材が要求される。
【0005】
そこで、本願出願人は真空チャックの素材として高剛性かつ高熱伝導率を実現すべく検討して得られた真空チャックを提案した。すなわち、かかる真空チャックは半導体ウエハの吸着面がセラミック多孔質体で構成され、それ以外の部分がセラミック多孔質体に金属を含浸させた複合体で構成されたものである(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−320394号公報(第9頁、第1図、第2図)
【特許文献2】
特開2000−271862号公報(第3−5頁)
【特許文献3】
特開2002−36102号公報(第8頁、第1図、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には次の問題点がある。
真空チャックの半導体ウエハ吸着面は、例えば炭化珪素を焼成して得られるセラミック焼成体に金属シリコンを含浸させた後、半導体ウエハ吸着面となる部分をエッチングして多孔質化したセラミック多孔質体で構成されている。このため、半導体ウエハ吸着面の剛性は低く、熱伝導率も低くなり、真空チャックの素材に要求される高剛性かつ高熱伝導率を満たすには至らなかった。
【0008】
本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、少なくとも吸着面の全てが高剛性かつ高熱伝導率である真空チャックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明の真空チャックは、少なくとも吸着面の全てが金属とセラミックの複合体で形成された板状体に、真空吸着用の貫通孔を複数形成したことを特徴とするものである。請求項1の発明では、高熱伝導率の金属と高剛性のセラミックを併用した複合体よりなる板状体を真空チャックに用いることで、少なくとも吸着面が高剛性かつ高熱伝導率である真空チャックを実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明の真空チャックは、請求項1に記載の発明において、前記複合体は、三次元網目構造を有するセラミック多孔質体に金属を含浸させてなるものであることを特徴とするものである。請求項2の発明では、セラミック多孔質体に金属を三次元網目構造内に均質に含浸させることが可能で、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明の真空チャックは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素であることを特徴とするものである。請求項3の発明では、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、より高剛性の真空チャックを実現できる。
【0012】
請求項4に記載の発明の真空チャックは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記金属は、シリコン又はアルミニウムであることを特徴とするものである。請求項4の発明では、金属として、シリコン又はアルミニウムを用いることで、より高熱伝導率の真空チャックを実現できる。
【0013】
請求項5に記載の発明の真空チャックは、請求項1に記載の発明において、前記複合体は、セラミックの粒子と金属の粒子とを複合焼結してなるものであることを特徴とするものである。請求項5の発明では、セラミック粒子と金属の粒子とを複合焼結して複合体を形成することができ、製造工程を簡略化できる。
【0014】
請求項6に記載の発明の真空チャックは、請求項5に記載の発明において、前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素であることを特徴とするものである。請求項6の発明では、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、より高剛性の真空チャックを実現できる。
【0015】
請求項7に記載の発明の真空チャックは、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記金属は、シリコン、アルミニウム、銅又はステンレス鋼であることを特徴とするものである。請求項7の発明では、金属として、シリコン、アルミニウム、銅又はステンレス鋼を用いることで、より高熱伝導率の真空チャックを実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空チャックの実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の真空チャックを用いる半導体ウエハ研磨装置の一例を模式的に示す図である。図1に示すように、半導体ウエハ研磨装置1は、半導体ウエハ3を吸着保持する真空チャック2と、研磨面5aを有する円板状の定盤5とから構成されている。そして、真空チャック2が半導体ウエハ3を吸着保持した状態で定盤5の研磨面5aに半導体ウエハ3を当接させた後、真空チャック2及び定盤5を回転させることにより半導体ウエハ3の表面を研磨するようになっている。
【0017】
真空チャック2は、セラミックとしての炭化珪素(SiC)に金属としてのシリコン(Si)を含浸させた複合体(以下、SiC/Si複合体とも称する)からなる板状体としての円板状体13を備えている。SiC/Si複合体は、焼成によって形成される三次元網目構造を有している。円板状体13の下面は吸着面2aであり、吸着面2aの全てがSiC/Si複合体で形成されている。
【0018】
その円板状体13には真空吸着用の貫通孔6が多数形成されている。貫通孔6の直径は0.5mmであり、孔総面積は吸着面2aの面積の1%程度である。この貫通孔6は、直径0.5mm以下であることが好ましい。直径0.5mmより大きな直径の貫通孔6の場合、吸着時における孔の形状の半導体ウエハ3への転写、或いは、貫通孔6の空間が大きいことによる半導体ウエハ3の撓みの原因となる。そして、この貫通孔6を介して、半導体ウエハ3を真空吸引力で強力に吸着し、その状態で精度の高い研磨を行うのである。真空チャック2は、円板状体13に貫通孔6が設けられて構成されている。
【0019】
真空チャック2は、半導体ウエハ3を吸着・保持する円板状体13の吸着面2aが下に向いた状態で、定盤5の上方に配置されており、吸着面2aと反対側の非吸着面2bの中心部には、円柱状のプッシャ4が垂設されている。このプッシャ4は図示しない駆動手段に連結され、この駆動手段を駆動させると、プッシャ4を介して真空チャック2が回転するようになっている。また、プッシャ4は真空チャック2を水平に支持しており、これにより、真空チャック2の吸着面2aは、定盤5の研磨面5aと平行になるように設定されている。
【0020】
また、駆動手段は、真空チャック2を上下動させることができるようになっており、真空チャック2に保持された半導体ウエハ3を、定盤5上の所定位置に下した後、所定の圧力で定盤5の研磨面5aに圧接させることができるようになっている。
【0021】
定盤5の研磨面5aには図示しない研磨クロスが貼り付けられており、定盤5の研磨面5aの反対側の面の中心部には、図示しない円柱状の回転軸が垂下され、この回転軸を回転駆動させると、定盤5が回転するようになっている。また、定盤5の内部には、図示しない流路が形成されており、この流路に冷却水等の冷媒を循環させることにより、定盤5の温度を制御できるようになっている。
【0022】
半導体ウエハ3の研磨を行う際には、まず、円板状体13の吸着面2aに半導体ウエハ3が吸着された真空チャック2と定盤5とを回転させる。次に、真空チャック2又は定盤5を上方又は下方に移動させ、半導体ウエハ3と上記研磨クロスとを摺接させることにより半導体ウエハ3の被研磨面3aの研磨を行う。
【0023】
ここで、真空チャック2は、高剛性かつ高熱伝導率を要求されるが、剛性については、ヤング率250GPa以上であることが好ましい。ヤング率が250GPa未満の場合、真空チャック2の撓みの原因となり、高精度な研磨ができなくなることがある。尚、材料の入手、コスト等の観点からヤング率の上限は500GPa程度である。また、熱伝導率については150W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が150W/m・K未満の場合、摩擦熱による真空チャック2の変形の原因となり、高精度な研磨ができなくなるおそれがある。尚、材料の入手、コスト等の観点から熱伝導率の上限は300W/m・K程度である。真空チャック2には、上記の2つの性質を同時に満たすことが求められる。
【0024】
図2は、本実施形態の真空チャック2を拡大して示す平面図であり、図3は図2のA−A線における断面図である。本実施形態の真空チャック2は、炭化珪素(SiC)多孔質体に金属シリコン(Si)を含浸させたSiC/Si複合体で形成されている。
【0025】
次に、真空チャック2の製造方法について図4に基づき説明する。
ボールミル内のポリエチレン製ポットに直径1インチのフッ素樹脂製のボールを1.5質量部、イオン交換水17質量部、分散剤1質量部及びpH調整剤2質量部を混合する。更に、SiCの粉末100質量部を加え、20時間ボールミルにて混合し原料スラリーを調製する。
【0026】
図4(a)に示すように、得られた原料スラリー7aを略有底円筒形状の型8に流し込み、そこに図4(b)に示すように、人造黒鉛を直径0.5mmに加工したカーボンピン9を差し込む。それを30℃で12時間、50℃で12時間、70℃で12時間、100℃で20時間の順に段階的に昇温して乾燥させ成形体を得る。
【0027】
次に、図4(c)に示すように、その成形体をカーボン製のルツボ10に入れ、アルゴン(Ar)雰囲気炉等の非酸化雰囲気炉にて2000℃、2時間の焼成を行い、SiC焼結体7bを得た。ここでは非酸化雰囲気炉としてAr雰囲気炉を用いたが、非酸化雰囲気炉であればAr雰囲気炉に限定されるものではなく、真空雰囲気炉等も使用可能である。また、非酸化雰囲気炉の温度、焼成時間に関しても、2000℃、2時間に限定されるものではなく、セラミック焼結体を得るために適した条件で行えばよく、本実施形態の条件は何ら本発明を限定するものではない。更に図4(d)に示すように、SiC焼結体7bを円板状に加工後、SiC焼結体7b上に金属シリコンの破砕体11を多数置いた状態で、真空雰囲気炉にて1500℃、6時間加熱することにより破砕体11が溶融され、SiC焼結体7bに含浸される。このようにしてシリコンが含浸された円板状体13が得られる。
【0028】
次に、図4(e)に示すように、その円板状体13をルツボ10から取り出して酸化雰囲気炉12内の支持台14上に置き、800℃、48時間加熱し、予め差し込んであったカーボンピン9を焼いて消失させる。そして、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、図4(f)に示すSiC/Si複合体の円板状体13よりなる真空チャック2を得る。
【0029】
さて、半導体ウエハ3の表面を研磨する場合には、円板状体13の貫通孔6より真空吸引力を作用させ、吸着面2aに半導体ウエハ3を吸着する。次いで、真空チャック2が半導体ウエハ3を吸着保持した状態で定盤5の研磨面5aに当接させた後、真空チャック2及び定盤5を回転させることにより半導体ウエハ3の表面を研磨する。
【0030】
このとき、真空チャック2の円板状体13は、焼成された炭化珪素の三次元網目構造の空隙部にシリコンが含浸された構造を有し、そのヤング率が320GPa、熱伝導率が200W/m・K程度であり、高剛性かつ高熱伝導率のものである。このため、円板状体13の形状が良好に保持されるとともに、放熱性能も良好である。従って、真空チャック2は、円板状体13自体の撓みや研磨によって発生する摩擦熱による変形が抑制され、その平坦性が確保される。その結果、半導体ウエハ3を微小なうねりなどを生じさせることなく、高精度に研磨することができる。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
・本実施形態の真空チャック2は、吸着面2aの全てが金属とセラミックの複合体で形成され、吸着用の貫通孔6を施した構成になっているため、撓みや摩擦熱による変形を抑制し、吸着力の低下を回避して、大型の半導体ウエハでも高精度で研磨することができる。
【0032】
・本実施形態の真空チャック2は、セラミック多孔質体に金属を含浸させることで、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0033】
・本実施形態の真空チャック2は、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、剛性を向上させることができる。
・本実施形態の真空チャック2は、金属として、シリコン又はアルミニウムを用いることで、熱伝導率を向上させることができる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
実施例1では、炭化珪素(SiC)多孔質体に金属シリコン(Si)を含浸させたSiC/Si複合体の円板状体よりなる真空チャックを前述の図4に示す工程に従って作製した。
【0035】
ボールミル内のポリエチレン製ポットに直径1インチのフッ素樹脂ボールを1.5質量部、イオン交換水17質量部、分散剤としてのスチレン−マレイン酸共重合体(ATOFINA Chemical製SMA1440H)を1質量部、及びpH調整剤としての2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(関東化学製)2質量部を混合した。更に、平均粒径57μmのSiC粉末(粒子)であるGP#240(信濃電気製錬(株) 製)を70重量%、平均粒径0.5μmのSiC粉末であるウルトラファイン(イビデン(株)製)を30重量%の混合物100質量部を加え、20時間ボールミルにて混合し原料スラリーを調製した。
【0036】
得られた原料スラリーを型8に流し込み、そこに人造黒鉛(イビデン(株)製ET−10)を直径0.5mmに加工したカーボンピン9を差し込んだ。それを30℃で12時間、50℃で12時間、70℃で12時間、100℃で20時間の順に段階的に昇温して乾燥させ成形体を得た。
【0037】
次に、その成形体をカーボン製のルツボ10に入れ、アルゴン(Ar)雰囲気炉にて2000℃、2時間の焼成を行い、SiC焼結体7bを得た。更に、それを円板状に加工後、金属シリコンの破砕体11とSiC焼結体7bを接触させ、真空雰囲気炉にて1500℃、6時間で破砕体11を溶融させ、SiC焼結体7bに含浸させることでSiC/Si複合体の円板状体13を得た。
【0038】
次に、その円板状体13を酸化雰囲気炉にて800℃、48時間加熱し、予め差し込んであったカーボンピン9を焼いて消失させ、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、SiC/Si複合体の円板状体13よりなる真空チャック2を得た。
【0039】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は320GPa、熱伝導率は200W/m・Kであった。
(実施例2)
実施例2では、SiC多孔質体にアルミニウム(Al)を含浸させたSiC/Al複合体よりなる真空チャック2を作製した。
【0040】
この作製においては、原料スラリーの製作からSiC焼結体7bを円板状に加工するまでは、実施例1と同じである。Alの含浸では、SiC焼結体7bを溶融させたAlに浸漬させ、Alを含浸させた。
【0041】
次に、実施例1と同様にカーボンピン9を焼いて消失させ、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、SiC/Al複合体よりなる円板状体13の真空チャック2を得た。
【0042】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は280GPa、熱伝導率は240W/m・Kであった。
(実施例3)
実施例3では、SiC粒子とSi粒子との複合焼結によるSiC/Si複合体の真空チャック2を作製した。
【0043】
すなわち、平均粒径57μmのSiCパウダーであるGP#240(信濃電気製錬(株) 製)を70重量%、平均粒径0.5μmのSiCパウダーであるウルトラファイン(イビデン(株)製)を30重量%の混合物100質量部、Siパウダー(平均粒径5μm)35質量部、及びフェノールレジンBRL204(昭和高分子(株)製)5質量部を乾式混合し顆粒を得た。
【0044】
得られた顆粒を一軸金型プレス50MPaにて成形し、直径350mmの円板とし、乾燥後、ホットプレス(一軸加圧焼成炉)にて、圧力10MPa、1450℃3時間にてSiC/Si複合体を作製した。
【0045】
次に、作製したSiC/Si複合体を、グラインディング、ラップ等にて円板状に加工し、放電加工により直径0.5mmの真空吸着用の貫通孔6を設け、SiC粒子とSi粒子との複合焼結によるSiC/Si複合体の真空チャック2を作製した。
【0046】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は300GPa、熱伝導率は190W/m・Kであった。
また、実施例3では、セラミックによる高剛性と金属による高熱伝導率を確保しながらも、工程を簡略化することができた。
(比較例1)
比較例1では、アルミナ焼結体の真空チャックを作製した。
【0047】
A96のアルミナ顆粒をカーボン型にて仮成形したものを水圧プレス(130MPa)にて成形体にした後、切削加工により、所定の形状にし、真空吸着用の貫通孔を設けた。
【0048】
次に、切削加工された成形体を大気炉(酸化雰囲気炉)にて燒結させアルミナ焼結体の真空チャックを作製した。その際の温度は、常温から2℃/min.の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃にて1時間経過後、500℃から5℃/min.の昇温速度で1500℃まで昇温し、1500℃にて1時間である。
【0049】
こうして得られた真空チャックのヤング率は350GPa、熱伝導率は30W/m・Kであった。
(比較例2)
比較例2では、ステンレス鋼の真空チャックを作製した。
【0050】
SUS304素材に所定の形状に加工し、真空吸着用の貫通孔を形成し、ステンレス鋼の真空チャックを作製した。
こうして得られた真空チャックのヤング率は200GPa、熱伝導率は20W/m・Kであった。
(比較例3)
比較例3では、SiC緻密質体の真空チャックを作製した。
【0051】
SiCパウダーであるウルトラファイン(イビデン(株)製)100質量部、フェノールレジンBRL204(昭和高分子(株)製)3質量部、シュタルク製炭化硼素0.64質量部、及び、メタノール140質量部を混合し原料スラリーを作製した。その原料スラリーをスプレードライヤーにて80℃で乾燥し、顆粒にした。
【0052】
次に、一軸プレス機、カーボン型を用いて10MPaの成形圧にて仮成形した後、水圧プレス機を用いて130MPaの圧力にて成形した。続いて、これを所定の形状に加工し、真空吸着用の貫通孔を設けた後、Ar雰囲気炉にて2100℃、5時間の焼成を行いSiC緻密質体の真空チャックを作製した。
【0053】
こうして得られた真空チャックのヤング率は400GPa、熱伝導率は90W/m・Kであった。
(比較例4)
平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末(#400)100質量部と平均粒径0.3μmのα型炭化珪素粉末(GMF−15H2)30質量部とを均一に混合した。次に、この混合物100質量部に対して、ポリビニルアルコール5質量部、フェノール樹脂3質量部、水50質量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより均一な混合物を得た。この混合物を所定時間乾燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、スプレードライ法等を用いて顆粒化した。このとき、顆粒の水分率を約0.8質量%になるように調整した。
【0054】
次いで、上記混合物の顆粒を、金属製押し型を用いて、125MPaのプレス圧力で成形した。得られた円板状の生成形体(直径200mm、厚さ25mm)の密度は2.6g/cm3であった。続いて、黒鉛製ルツボに上記生成形体を挿入し、タンマン型焼成炉を使用して、1気圧のアルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/分、2200℃で4時間保持することで上記生成形体の焼成を行い、その後切削加工を施すことにより、直径が200mm、厚さが25mmの多孔質セラミックからなる円板状体を得た。この多孔質セラミックの気孔率は20%であった。
【0055】
次いで、得られた円板状体にフェノール樹脂(炭化率30質量%)を予め真空含浸し、かつ乾燥した。その後、円板状体の表面に金属シリコンを含むスラリーをコーティングした。ここで、スラリーとしては、平均粒径が20μm、純度が99.9999質量%以上の金属シリコン粉末100質量部と、5質量%アクリル酸エステル−ベンゼン溶液60質量部とが混合されたものを用いた。そして、金属シリコンをコーティングした円板状体をアルゴンガス気流中で450℃/時間の昇温速度で加熱し、最高温度1450℃で約1時間保持した。このような処理により金属シリコンを円板状体中へ浸透させて金属−多孔質炭化珪素複合体を得た。尚、炭化珪素100質量部に対する金属シリコンの含浸量は30質量部であった。
【0056】
得られた金属−多孔質炭化珪素複合体の熱伝導率は210W/m・K、密度は3.0g/cm3であった。また、多孔質炭化珪素結晶の平均粒径は30μmであり、詳しくは平均粒径1.0μmの微結晶を20体積%、平均粒径40μmの粗結晶を80体積%含んでいた。続いて、金属−多孔質炭化珪素複合体の一主面の外周部及び側面に、エポキシ樹脂からなるエッチングレジストを形成した。このとき、金属−多孔質炭化珪素複合体のエッチングレジスト非形成部の直径は180mmであった。
【0057】
そして、フッ化水素:硝酸:水=1:1:1(体積比)からなるエッチング液中に、上記金属−多孔質炭化珪素複合体を浸漬し、180秒経過後引き上げ、前記一主面に厚さ0.5mmの多孔質炭化珪素層を形成した。その後、熱処理により上記エッチングレジストを除去することで、一主面に多孔質炭化珪素層を有する金属−多孔質炭化珪素複合体を製造した。得られた金属−多孔質炭化珪素複合体の多孔質炭化珪素層非形成面から多孔質炭化珪素層に貫通する吸引孔(直径5mm)をドリル加工により7本形成し、真空チャックを作製した。
【0058】
以上の各実施例及び各比較例のヤング率、熱伝導率に、それを用いて直径300mmの半導体ウエハを研磨した際のウエハ平坦度も加えてまとめた結果を表1に示した。尚、ウエハ平坦度は、平面測定器(黒田精工社製 ナノメトロ)により、研磨面の最も高い点と最も低い点の差(距離)を表す。また、比較例4のヤング率及び熱伝導率は、吸着面を構成する多孔質炭化珪素層の値を示す。
【0059】
【表1】
表1に示したように、各実施例による真空チャック2はヤング率が250GPa以上で、熱伝導率が150W/m・K以上であり、両方の性質を満たしている。そして、その真空チャック2を用いて半導体ウエハを研磨した結果、各比較例の真空チャックを用いた場合よりウエハ平坦度に優れていることがわかった。
【0060】
尚、前記実施形態及び実施例を次のように変更して構成することも可能である。
・ 前記実施形態及び各実施例では、真空チャック全体を金属とセラミックの複合体で形成したが、例えば金属の含浸時に、含浸する金属を半導体ウエハの吸着面のサイズの仕切板で囲い、そのエリア内のみに金属を含浸させるようにしてもよい。これにより、半導体ウエハの吸着面のみを金属とセラミックの複合体とし、その他の部分を別の素材で形成することができる。
【0061】
・ セラミック多孔質体に含浸させる金属の形態は、円柱体等の粒状体、或いは粉末等であってもよい。
・ セラミックとして、アルミナ、炭化珪素及び窒化珪素から選ばれる2種以上を組合せて使用してもよく、金属としてシリコンとアルミニウムを組合せて使用してもよい。
【0062】
更に、前記実施形態及び実施例から把握できる請求項以外の技術的思想について、その効果と共に記載する。
・前記貫通孔は、直径0.5mm以下の円孔である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の真空チャック。この構成によれば、吸着時における貫通孔の形状の半導体ウエハへの転写、或いは、貫通孔の空間が大きいことによる半導体ウエハの撓みが防止できる。
【0063】
・前記セラミックは、粒径の異なるセラミック粒子の混合物である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の真空チャック。この構成によれば、粒径の小さいセラミック粒子が粒径の大きいセラミック粒子の間に介在し、セラミック多孔質体の三次元網目構造を効率よく形成できる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の真空チャックによれば、少なくとも吸着面の全てを高剛性かつ高熱伝導率にすることができる。
【0065】
請求項2に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0066】
請求項3に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、剛性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、熱伝導率を向上させることができる。
【0067】
請求項5に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、製造工程を簡略化することができる。
請求項6に記載の発明の真空チャックによれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、剛性を向上させることができる。
【0068】
請求項7に記載の発明の真空チャックによれば、請求項5又は請求項6に記載の発明の効果に加え、熱伝導率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における真空チャックを用いる半導体ウエハ研磨装置を模式的に示す正面図。
【図2】実施形態の真空チャックを拡大して示す平面図。
【図3】図2のA−A線における断面図。
【図4】(a)〜(f)は真空チャックの製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
2…真空チャック、2a…吸着面、6…真空吸着用の貫通孔、13…板状体としての円板状体。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体ウエハの表面を研磨する際に、半導体ウエハを吸着するための真空チャックに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体ウエハを研磨するために、半導体ウエハを吸着して研磨する真空チャックが使用されている。すなわち、半導体ウエハを真空チャックにて吸着し、定盤上に位置させ、定盤と真空チャックの双方の回転により半導体ウエハを所望の精度に研磨するものである。この真空チャックの半導体ウエハを吸着する部分は、多数の貫通孔を有するアルミニウムやステンレス鋼等の金属板、あるいは酸化アルミニウムや炭化珪素等のセラミック板から構成されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照。)。この貫通孔は、直径0.5mm以下であることが必要である。直径0.5mmより大きな直径の貫通孔の場合、吸着時における孔の形状の半導体ウエハへの転写、或いは、貫通孔の空間が大きいことによる半導体ウエハの撓みの原因となる。そして、これらの金属板やセラミック板の貫通孔を介して、半導体ウエハを真空で強力に吸着し、その状態で精度の高い研磨を行うのである。
【0003】
ところが近年、半導体ウエハのサイズの大型化と研磨の高精度化が市場から要求されるようになってきている。それにより従来のサイズの半導体ウエハでは問題にならなかったが、大型の半導体ウエハでは、真空チャックも大きくなることから、半導体ウエハを真空チャックにて吸着した際に、真空チャックの撓みが大きくなりその真空度が低下する。このため真空チャックの吸着力が下がることにより研磨精度が低下する原因となっている。従って、真空チャックの素材としては高剛性の素材が要求される。
【0004】
また、もう一つの問題として、大型の半導体ウエハでは、研磨時に発生する摩擦熱による真空チャックの変形により真空度が低下し、吸着力が下がることに基づいて研磨精度が低下する原因となっている。しかも、その摩擦熱により半導体ウエハ及び真空チャックが熱変形し、研磨精度が低下する原因となっている。このため、真空チャックの素材としては高熱伝導率の素材が要求される。
【0005】
そこで、本願出願人は真空チャックの素材として高剛性かつ高熱伝導率を実現すべく検討して得られた真空チャックを提案した。すなわち、かかる真空チャックは半導体ウエハの吸着面がセラミック多孔質体で構成され、それ以外の部分がセラミック多孔質体に金属を含浸させた複合体で構成されたものである(例えば、特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−320394号公報(第9頁、第1図、第2図)
【特許文献2】
特開2000−271862号公報(第3−5頁)
【特許文献3】
特開2002−36102号公報(第8頁、第1図、第2図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来技術には次の問題点がある。
真空チャックの半導体ウエハ吸着面は、例えば炭化珪素を焼成して得られるセラミック焼成体に金属シリコンを含浸させた後、半導体ウエハ吸着面となる部分をエッチングして多孔質化したセラミック多孔質体で構成されている。このため、半導体ウエハ吸着面の剛性は低く、熱伝導率も低くなり、真空チャックの素材に要求される高剛性かつ高熱伝導率を満たすには至らなかった。
【0008】
本発明は以上のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、少なくとも吸着面の全てが高剛性かつ高熱伝導率である真空チャックを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明の真空チャックは、少なくとも吸着面の全てが金属とセラミックの複合体で形成された板状体に、真空吸着用の貫通孔を複数形成したことを特徴とするものである。請求項1の発明では、高熱伝導率の金属と高剛性のセラミックを併用した複合体よりなる板状体を真空チャックに用いることで、少なくとも吸着面が高剛性かつ高熱伝導率である真空チャックを実現することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明の真空チャックは、請求項1に記載の発明において、前記複合体は、三次元網目構造を有するセラミック多孔質体に金属を含浸させてなるものであることを特徴とするものである。請求項2の発明では、セラミック多孔質体に金属を三次元網目構造内に均質に含浸させることが可能で、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明の真空チャックは、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素であることを特徴とするものである。請求項3の発明では、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、より高剛性の真空チャックを実現できる。
【0012】
請求項4に記載の発明の真空チャックは、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明において、前記金属は、シリコン又はアルミニウムであることを特徴とするものである。請求項4の発明では、金属として、シリコン又はアルミニウムを用いることで、より高熱伝導率の真空チャックを実現できる。
【0013】
請求項5に記載の発明の真空チャックは、請求項1に記載の発明において、前記複合体は、セラミックの粒子と金属の粒子とを複合焼結してなるものであることを特徴とするものである。請求項5の発明では、セラミック粒子と金属の粒子とを複合焼結して複合体を形成することができ、製造工程を簡略化できる。
【0014】
請求項6に記載の発明の真空チャックは、請求項5に記載の発明において、前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素であることを特徴とするものである。請求項6の発明では、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、より高剛性の真空チャックを実現できる。
【0015】
請求項7に記載の発明の真空チャックは、請求項5又は請求項6に記載の発明において、前記金属は、シリコン、アルミニウム、銅又はステンレス鋼であることを特徴とするものである。請求項7の発明では、金属として、シリコン、アルミニウム、銅又はステンレス鋼を用いることで、より高熱伝導率の真空チャックを実現できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の真空チャックの実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の真空チャックを用いる半導体ウエハ研磨装置の一例を模式的に示す図である。図1に示すように、半導体ウエハ研磨装置1は、半導体ウエハ3を吸着保持する真空チャック2と、研磨面5aを有する円板状の定盤5とから構成されている。そして、真空チャック2が半導体ウエハ3を吸着保持した状態で定盤5の研磨面5aに半導体ウエハ3を当接させた後、真空チャック2及び定盤5を回転させることにより半導体ウエハ3の表面を研磨するようになっている。
【0017】
真空チャック2は、セラミックとしての炭化珪素(SiC)に金属としてのシリコン(Si)を含浸させた複合体(以下、SiC/Si複合体とも称する)からなる板状体としての円板状体13を備えている。SiC/Si複合体は、焼成によって形成される三次元網目構造を有している。円板状体13の下面は吸着面2aであり、吸着面2aの全てがSiC/Si複合体で形成されている。
【0018】
その円板状体13には真空吸着用の貫通孔6が多数形成されている。貫通孔6の直径は0.5mmであり、孔総面積は吸着面2aの面積の1%程度である。この貫通孔6は、直径0.5mm以下であることが好ましい。直径0.5mmより大きな直径の貫通孔6の場合、吸着時における孔の形状の半導体ウエハ3への転写、或いは、貫通孔6の空間が大きいことによる半導体ウエハ3の撓みの原因となる。そして、この貫通孔6を介して、半導体ウエハ3を真空吸引力で強力に吸着し、その状態で精度の高い研磨を行うのである。真空チャック2は、円板状体13に貫通孔6が設けられて構成されている。
【0019】
真空チャック2は、半導体ウエハ3を吸着・保持する円板状体13の吸着面2aが下に向いた状態で、定盤5の上方に配置されており、吸着面2aと反対側の非吸着面2bの中心部には、円柱状のプッシャ4が垂設されている。このプッシャ4は図示しない駆動手段に連結され、この駆動手段を駆動させると、プッシャ4を介して真空チャック2が回転するようになっている。また、プッシャ4は真空チャック2を水平に支持しており、これにより、真空チャック2の吸着面2aは、定盤5の研磨面5aと平行になるように設定されている。
【0020】
また、駆動手段は、真空チャック2を上下動させることができるようになっており、真空チャック2に保持された半導体ウエハ3を、定盤5上の所定位置に下した後、所定の圧力で定盤5の研磨面5aに圧接させることができるようになっている。
【0021】
定盤5の研磨面5aには図示しない研磨クロスが貼り付けられており、定盤5の研磨面5aの反対側の面の中心部には、図示しない円柱状の回転軸が垂下され、この回転軸を回転駆動させると、定盤5が回転するようになっている。また、定盤5の内部には、図示しない流路が形成されており、この流路に冷却水等の冷媒を循環させることにより、定盤5の温度を制御できるようになっている。
【0022】
半導体ウエハ3の研磨を行う際には、まず、円板状体13の吸着面2aに半導体ウエハ3が吸着された真空チャック2と定盤5とを回転させる。次に、真空チャック2又は定盤5を上方又は下方に移動させ、半導体ウエハ3と上記研磨クロスとを摺接させることにより半導体ウエハ3の被研磨面3aの研磨を行う。
【0023】
ここで、真空チャック2は、高剛性かつ高熱伝導率を要求されるが、剛性については、ヤング率250GPa以上であることが好ましい。ヤング率が250GPa未満の場合、真空チャック2の撓みの原因となり、高精度な研磨ができなくなることがある。尚、材料の入手、コスト等の観点からヤング率の上限は500GPa程度である。また、熱伝導率については150W/m・K以上であることが好ましい。熱伝導率が150W/m・K未満の場合、摩擦熱による真空チャック2の変形の原因となり、高精度な研磨ができなくなるおそれがある。尚、材料の入手、コスト等の観点から熱伝導率の上限は300W/m・K程度である。真空チャック2には、上記の2つの性質を同時に満たすことが求められる。
【0024】
図2は、本実施形態の真空チャック2を拡大して示す平面図であり、図3は図2のA−A線における断面図である。本実施形態の真空チャック2は、炭化珪素(SiC)多孔質体に金属シリコン(Si)を含浸させたSiC/Si複合体で形成されている。
【0025】
次に、真空チャック2の製造方法について図4に基づき説明する。
ボールミル内のポリエチレン製ポットに直径1インチのフッ素樹脂製のボールを1.5質量部、イオン交換水17質量部、分散剤1質量部及びpH調整剤2質量部を混合する。更に、SiCの粉末100質量部を加え、20時間ボールミルにて混合し原料スラリーを調製する。
【0026】
図4(a)に示すように、得られた原料スラリー7aを略有底円筒形状の型8に流し込み、そこに図4(b)に示すように、人造黒鉛を直径0.5mmに加工したカーボンピン9を差し込む。それを30℃で12時間、50℃で12時間、70℃で12時間、100℃で20時間の順に段階的に昇温して乾燥させ成形体を得る。
【0027】
次に、図4(c)に示すように、その成形体をカーボン製のルツボ10に入れ、アルゴン(Ar)雰囲気炉等の非酸化雰囲気炉にて2000℃、2時間の焼成を行い、SiC焼結体7bを得た。ここでは非酸化雰囲気炉としてAr雰囲気炉を用いたが、非酸化雰囲気炉であればAr雰囲気炉に限定されるものではなく、真空雰囲気炉等も使用可能である。また、非酸化雰囲気炉の温度、焼成時間に関しても、2000℃、2時間に限定されるものではなく、セラミック焼結体を得るために適した条件で行えばよく、本実施形態の条件は何ら本発明を限定するものではない。更に図4(d)に示すように、SiC焼結体7bを円板状に加工後、SiC焼結体7b上に金属シリコンの破砕体11を多数置いた状態で、真空雰囲気炉にて1500℃、6時間加熱することにより破砕体11が溶融され、SiC焼結体7bに含浸される。このようにしてシリコンが含浸された円板状体13が得られる。
【0028】
次に、図4(e)に示すように、その円板状体13をルツボ10から取り出して酸化雰囲気炉12内の支持台14上に置き、800℃、48時間加熱し、予め差し込んであったカーボンピン9を焼いて消失させる。そして、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、図4(f)に示すSiC/Si複合体の円板状体13よりなる真空チャック2を得る。
【0029】
さて、半導体ウエハ3の表面を研磨する場合には、円板状体13の貫通孔6より真空吸引力を作用させ、吸着面2aに半導体ウエハ3を吸着する。次いで、真空チャック2が半導体ウエハ3を吸着保持した状態で定盤5の研磨面5aに当接させた後、真空チャック2及び定盤5を回転させることにより半導体ウエハ3の表面を研磨する。
【0030】
このとき、真空チャック2の円板状体13は、焼成された炭化珪素の三次元網目構造の空隙部にシリコンが含浸された構造を有し、そのヤング率が320GPa、熱伝導率が200W/m・K程度であり、高剛性かつ高熱伝導率のものである。このため、円板状体13の形状が良好に保持されるとともに、放熱性能も良好である。従って、真空チャック2は、円板状体13自体の撓みや研磨によって発生する摩擦熱による変形が抑制され、その平坦性が確保される。その結果、半導体ウエハ3を微小なうねりなどを生じさせることなく、高精度に研磨することができる。
【0031】
本実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
・本実施形態の真空チャック2は、吸着面2aの全てが金属とセラミックの複合体で形成され、吸着用の貫通孔6を施した構成になっているため、撓みや摩擦熱による変形を抑制し、吸着力の低下を回避して、大型の半導体ウエハでも高精度で研磨することができる。
【0032】
・本実施形態の真空チャック2は、セラミック多孔質体に金属を含浸させることで、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0033】
・本実施形態の真空チャック2は、セラミックとして、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素を用いることで、剛性を向上させることができる。
・本実施形態の真空チャック2は、金属として、シリコン又はアルミニウムを用いることで、熱伝導率を向上させることができる。
【0034】
【実施例】
(実施例1)
実施例1では、炭化珪素(SiC)多孔質体に金属シリコン(Si)を含浸させたSiC/Si複合体の円板状体よりなる真空チャックを前述の図4に示す工程に従って作製した。
【0035】
ボールミル内のポリエチレン製ポットに直径1インチのフッ素樹脂ボールを1.5質量部、イオン交換水17質量部、分散剤としてのスチレン−マレイン酸共重合体(ATOFINA Chemical製SMA1440H)を1質量部、及びpH調整剤としての2,2’,2”−ニトリロトリエタノール(関東化学製)2質量部を混合した。更に、平均粒径57μmのSiC粉末(粒子)であるGP#240(信濃電気製錬(株) 製)を70重量%、平均粒径0.5μmのSiC粉末であるウルトラファイン(イビデン(株)製)を30重量%の混合物100質量部を加え、20時間ボールミルにて混合し原料スラリーを調製した。
【0036】
得られた原料スラリーを型8に流し込み、そこに人造黒鉛(イビデン(株)製ET−10)を直径0.5mmに加工したカーボンピン9を差し込んだ。それを30℃で12時間、50℃で12時間、70℃で12時間、100℃で20時間の順に段階的に昇温して乾燥させ成形体を得た。
【0037】
次に、その成形体をカーボン製のルツボ10に入れ、アルゴン(Ar)雰囲気炉にて2000℃、2時間の焼成を行い、SiC焼結体7bを得た。更に、それを円板状に加工後、金属シリコンの破砕体11とSiC焼結体7bを接触させ、真空雰囲気炉にて1500℃、6時間で破砕体11を溶融させ、SiC焼結体7bに含浸させることでSiC/Si複合体の円板状体13を得た。
【0038】
次に、その円板状体13を酸化雰囲気炉にて800℃、48時間加熱し、予め差し込んであったカーボンピン9を焼いて消失させ、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、SiC/Si複合体の円板状体13よりなる真空チャック2を得た。
【0039】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は320GPa、熱伝導率は200W/m・Kであった。
(実施例2)
実施例2では、SiC多孔質体にアルミニウム(Al)を含浸させたSiC/Al複合体よりなる真空チャック2を作製した。
【0040】
この作製においては、原料スラリーの製作からSiC焼結体7bを円板状に加工するまでは、実施例1と同じである。Alの含浸では、SiC焼結体7bを溶融させたAlに浸漬させ、Alを含浸させた。
【0041】
次に、実施例1と同様にカーボンピン9を焼いて消失させ、そのカーボンピン9が存在していた空間を真空吸着用の貫通孔6となるよう形成し、SiC/Al複合体よりなる円板状体13の真空チャック2を得た。
【0042】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は280GPa、熱伝導率は240W/m・Kであった。
(実施例3)
実施例3では、SiC粒子とSi粒子との複合焼結によるSiC/Si複合体の真空チャック2を作製した。
【0043】
すなわち、平均粒径57μmのSiCパウダーであるGP#240(信濃電気製錬(株) 製)を70重量%、平均粒径0.5μmのSiCパウダーであるウルトラファイン(イビデン(株)製)を30重量%の混合物100質量部、Siパウダー(平均粒径5μm)35質量部、及びフェノールレジンBRL204(昭和高分子(株)製)5質量部を乾式混合し顆粒を得た。
【0044】
得られた顆粒を一軸金型プレス50MPaにて成形し、直径350mmの円板とし、乾燥後、ホットプレス(一軸加圧焼成炉)にて、圧力10MPa、1450℃3時間にてSiC/Si複合体を作製した。
【0045】
次に、作製したSiC/Si複合体を、グラインディング、ラップ等にて円板状に加工し、放電加工により直径0.5mmの真空吸着用の貫通孔6を設け、SiC粒子とSi粒子との複合焼結によるSiC/Si複合体の真空チャック2を作製した。
【0046】
こうして得られた真空チャック2のヤング率は300GPa、熱伝導率は190W/m・Kであった。
また、実施例3では、セラミックによる高剛性と金属による高熱伝導率を確保しながらも、工程を簡略化することができた。
(比較例1)
比較例1では、アルミナ焼結体の真空チャックを作製した。
【0047】
A96のアルミナ顆粒をカーボン型にて仮成形したものを水圧プレス(130MPa)にて成形体にした後、切削加工により、所定の形状にし、真空吸着用の貫通孔を設けた。
【0048】
次に、切削加工された成形体を大気炉(酸化雰囲気炉)にて燒結させアルミナ焼結体の真空チャックを作製した。その際の温度は、常温から2℃/min.の昇温速度で500℃まで昇温し、500℃にて1時間経過後、500℃から5℃/min.の昇温速度で1500℃まで昇温し、1500℃にて1時間である。
【0049】
こうして得られた真空チャックのヤング率は350GPa、熱伝導率は30W/m・Kであった。
(比較例2)
比較例2では、ステンレス鋼の真空チャックを作製した。
【0050】
SUS304素材に所定の形状に加工し、真空吸着用の貫通孔を形成し、ステンレス鋼の真空チャックを作製した。
こうして得られた真空チャックのヤング率は200GPa、熱伝導率は20W/m・Kであった。
(比較例3)
比較例3では、SiC緻密質体の真空チャックを作製した。
【0051】
SiCパウダーであるウルトラファイン(イビデン(株)製)100質量部、フェノールレジンBRL204(昭和高分子(株)製)3質量部、シュタルク製炭化硼素0.64質量部、及び、メタノール140質量部を混合し原料スラリーを作製した。その原料スラリーをスプレードライヤーにて80℃で乾燥し、顆粒にした。
【0052】
次に、一軸プレス機、カーボン型を用いて10MPaの成形圧にて仮成形した後、水圧プレス機を用いて130MPaの圧力にて成形した。続いて、これを所定の形状に加工し、真空吸着用の貫通孔を設けた後、Ar雰囲気炉にて2100℃、5時間の焼成を行いSiC緻密質体の真空チャックを作製した。
【0053】
こうして得られた真空チャックのヤング率は400GPa、熱伝導率は90W/m・Kであった。
(比較例4)
平均粒径30μmのα型炭化珪素粉末(#400)100質量部と平均粒径0.3μmのα型炭化珪素粉末(GMF−15H2)30質量部とを均一に混合した。次に、この混合物100質量部に対して、ポリビニルアルコール5質量部、フェノール樹脂3質量部、水50質量部を配合した後、ボールミル中にて5時間混合することにより均一な混合物を得た。この混合物を所定時間乾燥して水分をある程度除去した後、その乾燥混合物を適量採取し、スプレードライ法等を用いて顆粒化した。このとき、顆粒の水分率を約0.8質量%になるように調整した。
【0054】
次いで、上記混合物の顆粒を、金属製押し型を用いて、125MPaのプレス圧力で成形した。得られた円板状の生成形体(直径200mm、厚さ25mm)の密度は2.6g/cm3であった。続いて、黒鉛製ルツボに上記生成形体を挿入し、タンマン型焼成炉を使用して、1気圧のアルゴン雰囲気中、昇温速度10℃/分、2200℃で4時間保持することで上記生成形体の焼成を行い、その後切削加工を施すことにより、直径が200mm、厚さが25mmの多孔質セラミックからなる円板状体を得た。この多孔質セラミックの気孔率は20%であった。
【0055】
次いで、得られた円板状体にフェノール樹脂(炭化率30質量%)を予め真空含浸し、かつ乾燥した。その後、円板状体の表面に金属シリコンを含むスラリーをコーティングした。ここで、スラリーとしては、平均粒径が20μm、純度が99.9999質量%以上の金属シリコン粉末100質量部と、5質量%アクリル酸エステル−ベンゼン溶液60質量部とが混合されたものを用いた。そして、金属シリコンをコーティングした円板状体をアルゴンガス気流中で450℃/時間の昇温速度で加熱し、最高温度1450℃で約1時間保持した。このような処理により金属シリコンを円板状体中へ浸透させて金属−多孔質炭化珪素複合体を得た。尚、炭化珪素100質量部に対する金属シリコンの含浸量は30質量部であった。
【0056】
得られた金属−多孔質炭化珪素複合体の熱伝導率は210W/m・K、密度は3.0g/cm3であった。また、多孔質炭化珪素結晶の平均粒径は30μmであり、詳しくは平均粒径1.0μmの微結晶を20体積%、平均粒径40μmの粗結晶を80体積%含んでいた。続いて、金属−多孔質炭化珪素複合体の一主面の外周部及び側面に、エポキシ樹脂からなるエッチングレジストを形成した。このとき、金属−多孔質炭化珪素複合体のエッチングレジスト非形成部の直径は180mmであった。
【0057】
そして、フッ化水素:硝酸:水=1:1:1(体積比)からなるエッチング液中に、上記金属−多孔質炭化珪素複合体を浸漬し、180秒経過後引き上げ、前記一主面に厚さ0.5mmの多孔質炭化珪素層を形成した。その後、熱処理により上記エッチングレジストを除去することで、一主面に多孔質炭化珪素層を有する金属−多孔質炭化珪素複合体を製造した。得られた金属−多孔質炭化珪素複合体の多孔質炭化珪素層非形成面から多孔質炭化珪素層に貫通する吸引孔(直径5mm)をドリル加工により7本形成し、真空チャックを作製した。
【0058】
以上の各実施例及び各比較例のヤング率、熱伝導率に、それを用いて直径300mmの半導体ウエハを研磨した際のウエハ平坦度も加えてまとめた結果を表1に示した。尚、ウエハ平坦度は、平面測定器(黒田精工社製 ナノメトロ)により、研磨面の最も高い点と最も低い点の差(距離)を表す。また、比較例4のヤング率及び熱伝導率は、吸着面を構成する多孔質炭化珪素層の値を示す。
【0059】
【表1】
表1に示したように、各実施例による真空チャック2はヤング率が250GPa以上で、熱伝導率が150W/m・K以上であり、両方の性質を満たしている。そして、その真空チャック2を用いて半導体ウエハを研磨した結果、各比較例の真空チャックを用いた場合よりウエハ平坦度に優れていることがわかった。
【0060】
尚、前記実施形態及び実施例を次のように変更して構成することも可能である。
・ 前記実施形態及び各実施例では、真空チャック全体を金属とセラミックの複合体で形成したが、例えば金属の含浸時に、含浸する金属を半導体ウエハの吸着面のサイズの仕切板で囲い、そのエリア内のみに金属を含浸させるようにしてもよい。これにより、半導体ウエハの吸着面のみを金属とセラミックの複合体とし、その他の部分を別の素材で形成することができる。
【0061】
・ セラミック多孔質体に含浸させる金属の形態は、円柱体等の粒状体、或いは粉末等であってもよい。
・ セラミックとして、アルミナ、炭化珪素及び窒化珪素から選ばれる2種以上を組合せて使用してもよく、金属としてシリコンとアルミニウムを組合せて使用してもよい。
【0062】
更に、前記実施形態及び実施例から把握できる請求項以外の技術的思想について、その効果と共に記載する。
・前記貫通孔は、直径0.5mm以下の円孔である請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の真空チャック。この構成によれば、吸着時における貫通孔の形状の半導体ウエハへの転写、或いは、貫通孔の空間が大きいことによる半導体ウエハの撓みが防止できる。
【0063】
・前記セラミックは、粒径の異なるセラミック粒子の混合物である請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の真空チャック。この構成によれば、粒径の小さいセラミック粒子が粒径の大きいセラミック粒子の間に介在し、セラミック多孔質体の三次元網目構造を効率よく形成できる。
【0064】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明の真空チャックによれば、少なくとも吸着面の全てを高剛性かつ高熱伝導率にすることができる。
【0065】
請求項2に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、セラミックと金属のそれぞれの長所である、高剛性と高熱伝導率をより高いレベルで両立させることができる。
【0066】
請求項3に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加え、剛性を向上させることができる。
請求項4に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の発明の効果に加え、熱伝導率を向上させることができる。
【0067】
請求項5に記載の発明の真空チャックによれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、製造工程を簡略化することができる。
請求項6に記載の発明の真空チャックによれば、請求項5に記載の発明の効果に加え、剛性を向上させることができる。
【0068】
請求項7に記載の発明の真空チャックによれば、請求項5又は請求項6に記載の発明の効果に加え、熱伝導率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における真空チャックを用いる半導体ウエハ研磨装置を模式的に示す正面図。
【図2】実施形態の真空チャックを拡大して示す平面図。
【図3】図2のA−A線における断面図。
【図4】(a)〜(f)は真空チャックの製造工程を示す断面図。
【符号の説明】
2…真空チャック、2a…吸着面、6…真空吸着用の貫通孔、13…板状体としての円板状体。
Claims (7)
- 少なくとも吸着面の全てが金属とセラミックの複合体で形成された板状体に、真空吸着用の貫通孔を複数形成したことを特徴とする真空チャック。
- 前記複合体は、三次元網目構造を有するセラミック多孔質体に金属を含浸させてなるものである請求項1に記載の真空チャック。
- 前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素である請求項1又は請求項2に記載の真空チャック。
- 前記金属は、シリコン又はアルミニウムである請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の真空チャック。
- 前記複合体は、セラミックの粒子と金属の粒子とを複合焼結してなるものである請求項1に記載の真空チャック。
- 前記セラミックは、アルミナ、炭化珪素又は窒化珪素である請求項5に記載の真空チャック。
- 前記金属は、シリコン、アルミニウム、銅又はステンレス鋼である請求項5又は請求項6に記載の真空チャック。
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