JP2005071637A - 加熱装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ベルトニップ式の加熱装置において、スペーサーローラを当接させるローラによるベルトの他の回転体との加熱ニップ幅の不均一を是正し、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善する。
【解決手段】加熱ニップ部nを形成する1対の回転体21・30のうちの少なくとも一方の回転体30が、無端ベルト35と、無端ベルトを他方の回転体21に圧接させて加熱ニップ部を形成する2本以上のローラ31・32と、無端ベルトに非接触で且つ2本以上のローラ間で少なくとも1本のローラに当接し共に転動するスペーサーローラ101とを有し、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とする。
【選択図】図2
【解決手段】加熱ニップ部nを形成する1対の回転体21・30のうちの少なくとも一方の回転体30が、無端ベルト35と、無端ベルトを他方の回転体21に圧接させて加熱ニップ部を形成する2本以上のローラ31・32と、無端ベルトに非接触で且つ2本以上のローラ間で少なくとも1本のローラに当接し共に転動するスペーサーローラ101とを有し、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とする。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機・プリンター・ファクシミリなどの画像情報記録装置(画像形成装置)において未定着画像を加熱・加圧定着させるための定着装置として用いて好適な、特にベルトニップ方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトニップ方式の加熱装置は、加熱ニップ部を形成する1対の回転体の少なくとも一方をベルト部材にし、加熱ニップに被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する構成のもので、加熱ニップ部の幅(被加熱材搬送方向の寸法)を大きく設定することができることで、被加熱材の搬送速度を大きくしても十分な加熱時間を確保できることが可能である等の利点がある。
【0003】
例えば特許文献1には画像定着装置としてのベルトニップ方式の加熱装置の具体的構成例が記載されている。
【0004】
1)第1の従来例
図10はその一例を示すものである。21と30は加熱ニップ部(以下、定着ニップと記す)nを形成させる1対の回転体としての、加熱ローラ(第1の定着部材、定着ローラ)と、ベルトアセンブリ(第2の定着部材、加圧部材)である。
【0005】
加熱ローラ21は回転自由に軸受保持されており、矢印の時計方向に回動駆動される。またこの加熱ローラ21は内部熱源22により加熱され、温調系により表面温度が所定の定着温度に維持されるように温調される。
【0006】
ベルトアセンブリ30は、無端ベルト35、加圧ローラ32、第1と第2の2本の支持ローラ(支持軸)33・34、アシストパッド104等からなり、ベルト35は加圧ローラ35および第1と第2の支持ローラ33・34の都合3本のローラ間に懸回張架してある。
【0007】
加圧ローラ32は不図示の加圧手段により加熱ローラ方向に押圧付勢されて加熱ローラ21に対してベルト35を挟んで所定の押圧力で圧接している。アシストパッド104はベルト35の内側で、加圧ローラ32よりもベルト移動方向上流側に配設され、不図示の加圧手段により加熱ローラ方向に押圧付勢されて加熱ローラ21に対してベルト35を挟んで所定の押圧力で圧接している。
【0008】
上記の加圧ローラ32とアシストパッド104との間におけるベルト部分と加熱ローラ21の外面部分との相互接触ニップ域が定着ニップ部nである。
【0009】
アシストパッド104はベース板105に弾性層と表面低摩擦層を設けた固定部材であり、表面低摩擦層側をベルト35の内面に接触させて配設してある。
【0010】
ベルトアセンブリ30のベルト35は加熱ローラ21の回転駆動に伴い、定着ニップ部nにおける加熱ローラ21との摩擦力で従動回転する。
【0011】
加熱ローラ21が回転駆動され、それに伴いベルトアセンブリ30のベルト35も従動回転し、加熱ローラ21が熱源22により加熱され、所定の定着温度に温調された状態において、定着ニップ部nの加熱ローラ21とベルト35との間に未定着トナー像tを担持した記録材(以下、記録シートと記す)Pが導入され、定着ニップ部nを挟持搬送されていく。その挟持搬送過程において未定着トナー像tが加熱ローラ21の熱で加熱されて記録シートPの面に固着像として熱定着される。
【0012】
定着ニップ部nの幅(ベルト移動方向の寸法)はアシストパッド104の幅寸法により広狭容易に設定することができ、定着ニップ部幅を大きく設定することで、記録シートPの搬送速度を大きくしても十分な定着時間(加熱時間)を確保することが可能である。
【0013】
また、加圧ローラ32は、紙厚が薄く紙腰の弱い記録シートに多量のトナーを定着させる場合にも、剥離爪などを必要とせず、定着ニップ部nの記録シート出口において、何の剥離装置を用いずに記録シートPを加熱ローラ21の表面から剥離できるという所謂セルフストリッピングを可能とするものである。すなわち、一般に加熱ローラ21の表面は弾性層を有しており、この弾性層に加圧ローラ32が圧接すると、前記加熱ローラ21と加圧ローラ32との圧接領域Aにおいて、加熱ローラ21の表面が弾性変形し、加熱ローラ21と加圧ローラ32との間を通過する記録シートPが加熱ローラ21から剥離する方向へ導かれるのである。
【0014】
しかし、このセルフストリッピング性能を向上させるために加圧ローラ32の圧力を大きくすると、記録シートP上の未定着画像tがずれる現象(像ずれ)が発生する。この現象は、加圧ローラ32の高い圧力によって加熱ローラ21上の弾性層に極度のゆがみが発生し、これに伴って、記録シートPの速度が増大することに起因する。この像ずれを防止するために、前記アシストパッド104が設けられている。すなわち、このアシストパッド104は、定着ニップ部n内の加圧ローラ32よりも記録シート搬送方向上流側で加熱ローラ21を極度に歪ませないように広範囲領域Cに大きな圧力をかけるためのものであり、これにより、この領域Cにおける加熱ローラ21と記録シートPとの密着力が、加熱ローラ21と加圧ローラ32との圧接領域Aにおける加圧ローラ32と記録シートPとの密着力よりも大きくなり、その結果、前記記録シートPの速度は加熱ローラ21の速度と同じになることから、前記像ずれは有効に防止されるのである。
【0015】
しかしながら、固定部材であるアシストパッド104と回転体であるベルト35の内面とは摺擦により、双方に耐久による磨耗劣化が生じる。一般に磨耗は摺擦速度と両者の加圧力により支配されるため、特に高速化を目指した場合は、ベルト35へのダメージが大きく、ベルト35やアシストパッド104の長寿命化の妨げとなる。この対策として、ベルト35の内面へのシリコンオイルオイル塗布により摺擦抵抗を下げる手法が提案されている。
【0016】
しかし、トナーの定着性や、光沢性を向上するため、アシストパッド104への加圧力を増加させた場合には、ベルト35とアシストパッド104の摺擦抵抗が原因となり、ベルト35の搬送不良(スリップ)を引き起こす。
【0017】
一般にスリップ対策としては、ベルト35内の第1または第2の支持ローラ33・34の何れかに駆動を与えてベルト35の搬送力を高める工夫がなされるが、ベルト内面に潤滑剤を塗布した系では潤滑剤がその駆動支持ローラからベルト35へ駆動効率を下げ、充分な効果が得られにくい。
【0018】
ベルト35のスリップは記録シートPの搬送不良や画像不良のみならず、加熱ローラ21の表層の摺擦による加熱ローラ表層材の傷及び、弾性層の異常変形による弾性層の劣化等、加熱ローラ21に与えるダメージも大きく、加熱ローラ21の寿命へも影響する。
【0019】
2)第2の従来例
この対策として、上記図11の加熱装置において固定部材としてのアシストパッド104を、図11のように、ベルト35の回転に従動する回転部材としての圧力補助ローラ31とした装置構成も提案されている。
【0020】
圧力補助ローラ31はステンレス等の金属軸上にシリコンゴムやシリコンスポンジ等の柔らかい弾性体で被覆された弾性体ローラであり、ベルト35の内面からベルト35を加熱ローラ21に密着させ、ベルト35と加熱ローラ21の表面がずれるのを防止するためのローラである。この構成においては、ベルト35に内接する部材31〜34の全てはベルト35と共に回転する回転部材であり、先のようなベルト34の内面との摺擦により生じる弊害を解決することが出来る。
【0021】
しかしながら、上記図11の第2の従来例のように、圧力補助ローラ31を用いたベルトニップ方式の加熱装置(定着装置)にあっては、加圧ローラ32と圧力補助ローラ31との物理的な干渉を防止するという観点からすれば、加圧ローラ32と圧力補助ローラ31とを近接して配置することが困難であり、しかも両ローラ32・31の形状からして、図11に示すように、加熱ローラ21とベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの全幅のうち、加熱ローラ21に対する、加圧ローラ32の接触部領域Aと圧力補助ローラ31の接触部領域Cとの間には、無端ベルト35のみが加熱ローラ21に接触配置される領域Bが存在した。この領域Bの幅は図10の第1の従来例において加圧ローラ32の接触部領域Aとアシストパッド104の接触部領域Cとの間に生じる無端ベルト35のみが加熱ローラ21に接触配置される領域Bよりも幅が大きい。
【0022】
このため、図11のA、B、Cに示す各接触ニップ域における加熱ローラ21に対するベルト35の圧力分布は図12のようになり、加圧ローラ32及び圧力補助ローラ31が接触していないBの領域では、かかる圧力が微小となっていた。このような状況下において、微小圧力状態となるBの領域では、トナー層中の空気及び水蒸気の活動を抑え込めるだけの圧力がなく、しかも、その範囲が広いために記録シートPが微小圧力状態となるBの領域を通過する際に、トナー層中から放出される空気及び水蒸気の絶対量が多くなり、コート紙等の通気性の低い記録シートPにおいて、微小圧力部位における画像の乱れが発生しやすくなるという技術的課題が見いだされた。
【0023】
3)第3の従来例
そこで、第3の従来例として、図13に示すような、加熱ローラ21に無端ベルト35を押圧する加圧ローラ32と、加圧ローラ32よりも記録シート搬送方向上流側で加熱ローラ21にベルト35を押圧する加圧補助ローラ31に接し、両ローラ32・31と共に転動し、且つ無端ベルト35に非接触なスペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラの軸間距離を狭めた系が提案されている。スペーサーローラ100は、外径4mmのステンレスのローラで、加圧ローラ32(外径20mm)に当接されており、加圧ローラの中心軸O1と加圧補助ローラ31(外径28mm)の中心軸O2を結んだ軸線L上において加圧補助ローラ側に配置されている。
【0024】
加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は両ローラの半径の和R1(=r1+r2)24mmより短い22mmに設定されおり、加圧補助ローラ31の弾性層31bが、スペーサーローラ100との当接位置で約6mm加圧補助ローラの芯金31a方向に歪んでいる。
【0025】
スペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させ、加圧補助ローラ31を歪ませたことで、加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離S1を両ローラの半径の和R1より短く設定しても、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の物理的な干渉を防止できた。
【0026】
仮に、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の位置関係をそのままに維持した状態でスペーサーローラ100を取り外した際のイメージ図を図14に示す。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31が物理的に干渉していることが分かる。図13中、ベルト35は反半時計回りに回転する。ベルトに内接する加圧ローラ32と加圧補助ローラ31は共に反時計回りに回転するため、図14に示されるように、両ローラ31・32の干渉位置では加圧ローラ32は上に、加圧補助ローラ31は下に向かおうとし移動方向が相反している。このため、両ローラ32・31ひいては無端ベルト35のスムーズな駆動が出来ない。
【0027】
スペーサーローラ100を介在した従来例3の装置ではスペーサーローラが時計回りに回転するため、加圧ローラ32、加圧補助ローラ31の接点での回転方向が両ローラと順方向になり、全てのローラ31〜34及びベルト35の駆動方向に矛盾が無く、スムーズに駆動できることが分かる。従来例2の装置より加圧ローラ31と加圧補助ローラ32の軸間距離S1を両ローラの半径の和R1より短くしたことで、前記画像異常を効果的に防止している。
【0028】
スペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させえることで、加圧ローラと加圧補助ローラの干渉を防止し、画像の乱れの防止と、加熱ローラ21の長寿命化及びベルト搬送性の高速化を両立させている。
【特許文献1】
特開平9−34291号公報
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第3の従来例の加熱装置では、記録シートPとしての用紙の分離性を向上しようとして加圧ローラ32にかける圧を更に高めた際、加圧補助ローラ31が撓んで定着ニップ部長手方向の中央部付近と端部で加圧補助ローラ31によるベルト35の加熱ローラ21との接触部領域Cの幅が異なってしまう。
【0030】
図15に定着ニップ部における接触部領域Cの長手位置の幅分布のイメージ図を示す。接触部領域Cの長手位置において、端部のニップ幅が広く、中央部付近では圧が中抜けして端部近傍のニップ幅よりもニップ幅が小さい(狭い)。このため、中央付近では、端部付近よりも微小加圧領域Bが大きくなり、画像異常が発生しやすく、且つ紙しわ等が記録シートに発生して搬送不良が起き易いという問題があった。
【0031】
加圧補助ローラ31の芯金31aの径を大きくすることである程度改善されるが、加圧補助ローラ芯金径を大きくすると、弾性層31bの厚みが薄くなるため、加圧補助ローラ31によるベルト35の加熱ローラ21との接触部領域Cの幅が取り辛く、又スペーサーローラ100で加圧補助ローラ31を弾性変形できる変形量も減少するため、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1が広がり微小加圧領域Bが大きくなるという弊害が出る。
【0032】
本発明はベルトニップ式の加熱装置において、スペーサーローラを当接させるローラによるベルトの他の回転体との加熱ニップ幅の不均一を是正し、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる加熱装置、及びその加熱装置を備える画像形状装置を提供することを目的とするものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置及び画像形状装置である。
【0034】
(1)加熱ニップ部を形成する1対の回転体を有し、加熱ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する加熱装置において、少なくとも一方の回転体が、無端ベルトと、無端ベルトを他方の回転体に圧接させて加熱ニップ部を形成する2本以上のローラと、無端ベルトに非接触で且つ2本以上のローラ間で少なくとも1本のローラに当接し共に転動するスペーサーローラとを有し、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とすることを特徴とする加熱装置。
【0035】
(2)2本以上のローラとして、無端ベルトを他方の回転体に加圧する加圧ローラと、加圧ローラよりも被加熱材の搬送方向上流側で無端ベルトを他方の回転体に押圧する加圧補助ローラとを有する上記(1)に記載の加熱装置。
【0036】
(3)加圧補助ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧補助ローラとの接点で、加圧補助ローラを弾性変形させる事を特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0037】
(4)加圧ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧ローラの接点で加圧ローラを弾性変形させる事を特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0038】
(5)加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離は、加圧ローラの半径と加圧補助ローラの半径の和以下であることを特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0039】
(6)加圧補助ローラ、加圧ローラ及びスペーサーローラにおいて各々のローラ径の関係が、加圧補助ローラ>加圧ローラ>スペーサーローラの順列であることを特徴とする上記(2)ないし(5)の何れかに記載の加熱装置。
【0040】
(7)無端ベルトを加圧ローラと加圧補助ローラに2本掛けに配置し、加圧ローラと加圧補助ローラ間に少なくとも一方のローラに当接し共に転動するスペーサーローラを有することを特徴とする上記(2)ないし(6)の何れかに記載の加熱定着。
【0041】
(8)被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする上記(1)ないし(7)の何れかに記載の加熱装置。
【0042】
(9)記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、前記像加熱手段が上記(1)ないし(8)の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0043】
上記(1)の加熱装置において、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とすることによって、該スペーサーローラに当接させるローラによるベルトの他の回転体との加熱ニップ幅を略均一にでき、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる。
【0044】
【発明の実施の形態】
[第1の実施例]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に従うベルトニップ方式の加熱装置をトナー像の加熱定着装置として搭載させた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【0045】
1は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様帯電される。
【0046】
次に、レーザースキャナ3によって画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービームLbによる走査露光が施され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0047】
可視化されたトナー像は、所定のタイミングで給紙機構部7から給紙搬送された記録シート(記録材、転写材、用紙)P上に転写装置としての転写ローラ5により感光ドラム1上より転写される。
【0048】
ここで感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録シートPの先端の書き出し位置が合致するようにトップセンサ8にて記録シートPの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録シートPは感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。このトナー像が転写された記録シートPは加熱定着装置9へと搬送され、永久画像として定着される。加熱定着装置9を出た画像定着済みの記録シートPはシートパス10を搬送されて排紙トレイ11上に排出される。
【0049】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置6により感光ドラム1表面より除去され、感光ドラム1は繰り返して作像に供される。
【0050】
(2)定着装置9
図2は本実施例における定着装置9の概略断面図である。
【0051】
本実施例の定着装置9は前述した図9の第2の従来例の定着装置と同様に加圧補助ローラ31を用いたベルトニップ方式の加熱装置である。前述した図9の装置と同じ構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0052】
本実施の形態において、定着ニップ部(加熱ニップ部)nを形成する1対の回転体のうちの一方の回転体としての加熱ローラ(定着ローラ)21は、外径60mmの中空ローラで、アルミの芯金21a上にシリコンゴムからなるat厚さ2mmの耐熱弾性層21bを形成し、更にその外周面に離型層としての厚さ30μmのフッ素樹脂層21cを形成してなる三層構造で構成されている。芯金21aは此処ではアルミを用いたが、鉄等の他の金属を用いても良い。この加熱ローラ21は駆動モータMなどの駆動源により回転力が与えられて、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0053】
加熱ローラ21の表面には加熱ローラ表面の温度を検知するための温度検知素子としてサーミスタ41が当接されており、加熱ローラ内部には例えばハロゲンランプからなるヒータ22を有する。
【0054】
ヒータ22は給電回路43からの給電により発熱し、その発熱により加熱ローラ21が内部より加熱される。加熱された加熱ローラ21の表面温度がサーミスタ41で検知され、その検知温度情報が温調回路42に入力する。温調回路42はサーミスタ41で検知される加熱ローラ表面温度が所定の定着温度に維持されるように給電回路43からヒータ22への給電を制御することで加熱ローラ21を温調制御する。
【0055】
定着ニップ部nを形成する1対の回転体のうちのもう一方の回転体であるベルトアセンブリ30において、無端ベルト35は、加圧ローラ32と第1および第2支持ローラ33・34の都合3本のローラ間に懸回張架されて加熱ローラ21に圧接されることにより、該加熱ローラとの間に所定幅のニップ部nを形成している。
【0056】
無端ベルト35は、例えば耐熱性樹脂であるポリイミドフィルムなどで構成され、表面にはPFA等の離型層が形成されている。
【0057】
また、本実施の形態では、加圧ローラ32は、加熱ローラ21と無端ベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの出口に配設される加圧ローラを兼用しており、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱ローラ21の中心に向かって付勢されており、無端ベルト35を加熱ローラ21に押圧している。ここで、加圧ローラ(支持ローラ)32は外径20mmのローラで少なくとも加熱ローラ21よりも高硬度に形成されており、加圧ローラ32の加熱ローラ21に対する圧接部Aでは加熱ローラ21が弾性変形し、記録シートPのセルフストリッピング機能を維持するようになっている。加圧ローラ32と加熱ローラ21の圧接部Aのニップ幅は約3mmに設定した。
【0058】
更に、無端ベルト35の内側には、不図示の圧縮コイルスプリングにより圧接配置される補助加圧ローラ31が設けられている。前記補助加圧ローラ31は、外径28mmの弾性ローラでステンレスの芯金31a上に低硬度耐熱弾性体31bであるシリコンスポンジを有してなり、加熱ローラ21の中心軸方向に向かって上記コイルスプリングによって無端ベルト35を加熱ローラ21に加圧している。加圧補助ローラ31の加圧により無端ベルト35が加熱ローラ21に圧接される圧接部Cのニップ幅は約15mmである。加圧補助ローラ31は加熱ローラ21より低硬度に形成されており、圧接部Cにおける加熱ローラ21への加圧の平均面圧は、圧接部Aにおける加圧ローラ32の加熱ローラ21への加圧の平均面圧より低い。此処で、平均面圧とは「各圧接部C・Aのニップ部にかかる総圧」を「各圧接部C・Aのニップ部の面積」で割り算した値である。
【0059】
スペーサーローラ101は、図3に示すように、長手方向端部の外径d1が4mm、中央部の外径d2が7mmの正クラウン形状のステンレス製のローラで、加圧ローラ32に当接されており、加圧ローラ32の中心軸O1と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線L上の加圧補助ローラ側に配置されている。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は、例えば両ローラの半径の和R1(=r1+r2)24mmより短い23mmに設定されており、加圧補助ローラの弾性層31bが、スペーサーローラ101との当接位置で約5〜7mm加圧補助ローラ31の芯金31a方向に歪んでいる。図4に示すように、スペーサーローラ101を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させ、加圧補助ローラ31を歪ませたことで、加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離S1を、両ローラの半径の和R1より短く、若しくはその和R1と等しく設定し(S1≦R1(=r1+r2))、これによって加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の物理的な干渉を防止している。
【0060】
無端ベルト35と加熱ローラ21の定着ニップ部nの内、加圧ローラ32により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をA、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をC、これら圧接部のニップ幅AとCの間の微小加圧領域をBとすると、長手方向中央でA:3mm、B:12mm、C:19mmとなる。長手方向端部ではニップ幅Cは20mmであった。
【0061】
一方、スペーサーローラ101がストレート形状の第3の従来例では、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅Cは、定着ニップ部nの長手方向において、端部で20mm、中央で17mmであった。
【0062】
本実施例ではスペーサーローラ101の形状を端部外径4mm、中央外径7mmの正クラウン形状としたことで、ニップ幅Cの不均一を是正している。
【0063】
このメカニズムに関する予測をスペーサーローラと加圧補助ローラのみを抽出し、本実施例のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形をモデル化した図5で説明する。
【0064】
(a)は定着ニップ部nにおいてスペーサーローラの長手方向中央部近傍による加圧補助ローラの変形を、(b)は同スペーサーローラの長手方向端部近傍による加圧補助ローラの変形をモデル化したイメージ図である。
【0065】
(a)及び(b)を参照してスペーサーローラ101による加圧補助ローラ31の変形ついて説明する。
【0066】
短い破線(点線)は当接物(スペーサーローラ)のない状態の加圧補助ローラ31の形状を示す。スペーサーローラ101は図中F1の力でF1方向に加圧補助ローラ31を変形させている。このとき、加圧補助ローラ31はF1の方向に弾性変形するが、このとき、一部の力はQ及びRの方向に弾性層31bを押す方向に働く。スペーサーローラ101の外径が、端部より中央の方が大きい(d1<d2)ので、加圧補助ローラ31に作用するQ及びR方向への力は端部よりも中央の方が大きく、これに応じて加圧補助ローラ中央の変形量を加圧補助ローラ端部の変形量よりも大きくでき、これによってニップ幅Cの不均一を効果的に是正できたと考えている。これにより、画像異常の発生と記録シートの搬送不良が改善される。
【0067】
次に、(a)及び(b)を参照して加熱ローラ21に対する加圧補助ローラ31の変形ついて説明する。
【0068】
長い破線は加熱ローラ21を存在させたときの該加熱ローラの位置を示す。即ちL1、L2はそれぞれ図示しないベルトを挟んで加圧補助ローラ31と加熱ローラ21とで形成されるニップ幅、D1、D2はそれぞれ加圧補助ローラ31の加熱ローラ21への侵入量を示す。加圧補助ローラ31において、スペーサーローラ中央部の侵入量D1は該ローラ31の撓みにより、スペーサーローラ端部の侵入量D2よりも小さい(D1<D2)。しかし、スペーサーローラ101の侵入による加圧補助ローラ31の変形が端部より中央が大きいため、スペーサーローラ中央部のニップ幅L1は、同ローラ端部のニップ幅L2と大きく変わらずに確保することが出来た。
【0069】
図13に示される従来例の装置において、ストレート形状のスペーサーローラ100による加圧補助ローラ31の変形をモデル化したイメージ図を図16に示す。
【0070】
従来例装置では、スペーサーローラ100がストレート形状であることから、加熱ローラ21への加圧補助ローラ31の侵入量D1、D2が、そのまま加熱ローラ21へと加圧補助ローラ31のニップ幅の差につながるため、(b)に示すスペーサーローラの端部と(a)に示すスペーサーローラ中央部のニップ幅L1、L2の差が比較的大きいことが分かる。
【0071】
尚、図6において1点鎖線で示されるようにスペーサーローラ101を加熱ローラー21方向から見た背面側(加圧補助ローラ31の中心軸O2を通り、加熱ローラ21の中心軸O4と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線L4に対する垂線L5に対し、加熱ローラー21と反対)に位置することで、加圧補助ローラ31のたわみに対するバックアップローラとして直接、圧の中抜け防止に機能するため、より効果的である。このときも、スペーサーローラ101の形状を正クラウン形状にすると、バックアップの効率が上げることが出来る。
【0072】
[第2の実施例]
スペーサーローラ101で、加圧ローラ21の撓みをバックアップする系において、スペーサーローラ101の形状を正クラウン形状にすることで、加圧ローラ31の撓みをより補正した定着装置例を第2の実施例として図7を用いて説明する。
【0073】
同図において、本実施例に係る定着装置は、モータMにて回転駆動される加熱ローラ21と、この加熱ローラ21に圧接配置される無端ベルト35とを備えている。
【0074】
本実施例において、加熱ローラ21は、外径60mmの中空ローラで、アルミの芯金21a上にシリコンゴムからなる厚さ2mmの耐熱弾性層21bを形成し、更にその外周面に離型層として厚さ30μmのフッ素樹脂層21cを形成してなる三層構造で構成されている。芯金21aは此処ではアルミを用いたが、鉄等の他の金属を用いても良い。加熱ローラ表面には加熱ローラ表面の温度を検知するための温度検知素子としてサーミスタ(図示せず)が当接されており、加熱ローラ内部には例えばハロゲンランプからなるヒータ22を有する。なお、加熱ローラ21の温調制御は前述した第1実施例の定着装置と同じであるので、その説明を援用する。
【0075】
一方、無端ベルト35は、例えば耐熱性樹脂であるポリイミドフィルムなどで構成され、表面にはPFA等の離型層が形成されている。
【0076】
また、本実施の形態では、加圧ローラ32は、加熱ローラ21と無端ベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの出口に配設される加圧ローラを兼用しており、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱ローラ21の中心に向かって付勢されており、無端ベルト35を加熱ローラ21に押圧している。ここで、加圧ローラ(支持ローラ)32は外径20mmのローラで少なくとも加熱ローラ21よりも高硬度に形成されており、加圧ローラ32の加熱ローラ21に対する圧接部Aでは加熱ローラ21が弾性変形し、記録シートPのセルフストリッピング機能を維持するようになっている。加圧ローラ32と加熱ローラ21の圧接部Aのニップ幅は約3mmに設定した。
【0077】
更に、無端ベルト35の内側には、不図示の圧縮コイルスプリングにより圧接配置される補助加圧ローラ31が設けられている。前記補助加圧ローラ31は、外径50mmの弾性ローラでステンレスの芯金31a上に低硬度耐熱弾性体31bであるシリコンスポンジを有してなり、加熱ローラ21の中心軸方向に向かって上記コイルスプリングによって無端ベルト35を加熱ローラ21に加圧している。加圧補助ローラ31の加圧により無端ベルト35が加熱ローラ21に圧接される圧接部Cのニップ幅は約20mmである。加圧補助ローラ31は加熱ローラ21より低硬度に形成されており、圧接部Cにおける加熱ローラ21への加圧の平均面圧は、圧接部Aにおける加圧ローラ32の加熱ローラ21への加圧の平均面圧より低い。
【0078】
スペーサーローラ101は、長手方向端部の外径が5.5mm、中央部の外径が6.5mmの正クラウン形状のステンレス製のローラで、加圧ローラ32に当接されており、加圧ローラ32の中心軸O1と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線Lに対して加熱ローラ21の反対側で加圧補助ローラ側に配置されている。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は両ローラの半径の和R1(=r1+r2)35mmより短い33mmに設定されおり、加圧補助ローラの弾性層31bが、スペーサーローラ101との当接位置で加圧補助ローラ31の芯金31a方向に歪んでいる。
【0079】
無端ベルト35と加熱ローラ21の定着ニップ部nの内、加圧ローラ32により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をA、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をC、これら圧接部のニップ幅AとCの間の微小加圧領域をBとすると、長手方向中央でA:約3mm、B:約10mm、C:約20mmとなる。
【0080】
本実施例装置では、図8に示すように、加熱ローラ中心軸O4と加圧ローラ中心軸O1を結んだ直線αと、加圧ローラ中心O1軸とスペーサーローラ中心軸O3とを結んだ直線βのなす角θ2が約115度、加圧補助ローラの中心軸O2とスペーサーローラの中心軸O3とを結んだ直線γと、先の直線βのなす角θ1が約135度となる点にスペーサーローラ101を設定した。
【0081】
スペーサーローラ101の中心を加熱ローラ方向から見た加圧ローラ32の背面側(加熱ローラ中心軸O4と加圧ローラ中心軸O1を結んだ直線αに対する加圧ローラ32の中心軸O1を通る垂線α’に対し、加熱ローラ21と反対側)に位置することで加圧補助ローラ31のたわみを補正するバックアップローラとして加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cにおける長手方向中央の圧の中抜け防止に機能する。
【0082】
従来装置で用いられる外径6mmのストレート形状のスペーサーローラ100に対し、正クラウン形状のスペーサーローラ101は、その形状からニップ幅Cにおける長手方向中央部を選択的にバックアップするため、加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差をより小さくすることが出来る。
【0083】
ちなみに、ストレート形状のスペーサーローラ100を用いた従来の定着装置では、加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差分は約1mm、正クラウン形状のスペーサーローラ101を用いた本実施例の定着装置の差分は約0.5mm、スペーサーローラ自体を用いない従来例2の定着装置の差分は約1.5mmであり、本実施例の正クラウン形状のスペーサーローラを用いる事の効果が覗われる。
【0084】
[第3の実施例]
第3の実施例として、第1の実施例装置の加熱ローラ21、加圧ローラ32、加圧補助ローラ31、スペーサーローラ101と同様の物を用い、それらを同様に配置して、無端ベルト35の支持方法のみを変化させた定着装置例を示す。
【0085】
図9に本実施例に係る定着装置の概略断面図を示す。
【0086】
本実施例では、ベルトアセンブリ30において、無端ベルト35を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に張架し、第1の実施例で用いた支持軸(支持ローラ33・34)を2本無くしている。この系においても、第1の実施例同様にスペーサーローラ101を正クラウン形状とし、それを加圧ローラ32、加圧補助ローラ31間に介在させることで、加圧補助ローラ31と加熱ローラー21間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差の不均一を是正し、記録シート搬送性の向上に対し効果を確認出来た。
【0087】
更に、無端ベルト35の周長をより短くすることが可能となり、支持軸も2本減らせたことで定着装置全体の低熱容量化を実現している。スペーサーローラを用いない従来の2本ローラ張架タイプのベルト定着システムと比較しても、2軸間の距離をより小さく狭められたことでベルトの周長を最大限に短くすることが出来る。
【0088】
第1の実施例では連続画像形成中の温度低下が165℃温調でスタートした際に、135℃の温度低下が見られたが、本実施例では30℃の温度低下に抑えられた。ベルトの表面積の低減によるベルト表面からの放熱と、支持軸への熱損失を低減できた効果である。この結果、待機中の温調温度を5℃削減し、待機中の消費電力を削減し、省エネルギー化に成功した。又、定着装置全体の低熱容量化を実現したことで、電力投入からの昇温速度も向上し、ウェイトタイムも削減できた。
【0089】
加圧補助ローラ31は、加熱ローラ21を弾性変形させる必要性が無いため、低硬度なローラを用い無端ベルト35を挟んで加熱ローラ21とで高速定着に必要なニップ幅を確保する構成がよい。このため、加圧補助ローラ31をスペーサーローラ101の圧接によって大きく変形出来るため、外径を大きくしても微小加圧領域Bがさほど広がらない。
【0090】
加圧ローラ32は、用紙分離性確保のため、加熱ローラ21の弾性層21bをひずませるために剛体もしくは硬質な弾性体に設定せざるを得ない。よって、加圧ローラ32のスペーサーローラ101による弾性変形は加圧補助ローラ31に比べ殆んど望めないため、加圧ローラ径のアップ(UP)は、微小加圧領域Bの拡大につながる。
【0091】
又、スペーサーローラ101は加圧ローラ32と加圧補助ローラ31が干渉しない範囲内で小さい方が熱容量的に良い。又、スペーサーローラ101が必要以上に大きいと(例えば加圧ローラー並以上に大きいと)、ニップ領域Cのスペーサーローラ側がスペーサーローラに押されて小さくなるため、微小加圧領域Bの拡大につながる。
【0092】
よって3つのローラ31・32・101において各々のローラ径の関係は
加圧補助ローラ31>加圧ローラ32>スペーサーローラ101
とすることで、微小加圧領域Bを最小限に抑えつつ、定着ニップ部nを最大限に確保することが出来る。
【0093】
[その他]
1)本実施の形態において、各実施例では記録シートPの未定着トナー画像面側にローラ(加熱ローラ21)を用い、非未定着トナー画像面側に無端ベルト35を用いた加熱定着装置を示したが、記録シートPの未定着トナー画像面側に無端ベルト35を用い、非未定着トナー画像面側にローラ(加熱ローラ21)を用いた加熱定着装置としてよい。また、記録シートPの未定着画像面側及び非未定着画像面側に無端ベルトを用いた加熱定着装置としてよい。この場合、少なくとも1本のベルトの内部から2本以上のローラで該ベルトを他のベルトに加圧して定着ニップ部を形成する画像加熱定着装置において、2本以上のローラのうち少なくとも一方のローラが弾性体である場合に、2本のローラ間にスペーサーローラを介在することで、同等の効果が得られるものである。
【0094】
2)各実施例の加熱定着装置において、一方の回転体である無端ベルトに代えて、ロール巻きにした長尺の有端ベルトを用いてよい。その場合、有端ベルトを繰り出し軸側から加圧ローラと加圧補助ローラを経由させて巻き取り軸側へ所定の速度で走行させる構成にする。
【0095】
3)各実施例装置において、加圧ローラ21を加圧補助ローラ31と共に、若しくは加圧ローラ21だけをスペーサーローラ101によって弾性変形させてよい。この場合、加圧ローラに弾性層を設け、スペーサーローラと加圧ローラの接点で加圧ローラを弾性変形させる構成にする。
【0096】
4)本発明の加熱装置は実施例の画像加熱定着装置としての使用に限られず、未定着画像を記録材に仮に定着せしめる仮定着装置、定着画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の像加熱装置としても有効である。またその他、例えば、紙幣等のシワ除去用の熱プレス装置、熱ラミネート装置、紙等の含水分を蒸発させる加熱乾燥装置など、シート状部材を加熱処理する加熱装置として用いても有効であることは勿論である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱ニップ部を形成する1対の回転体を有し、加熱ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する加熱装置において、スペーサーローラの正クラウン形状によって当該スペーサーローラを当接させるローラによるベルトの他方の回転体との加熱ニップ幅を略均一にでき、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施例における加熱装置(定着装置)の概略構成図である。
【図3】図2に示す加熱装置におけるスペーサーローラの長手方向の概略断面図である。
【図4】図2に示す加熱装置における加圧ローラ、加圧補助ローラ及びスペーサーローラの配置関係を説明する拡大概略図である。
【図5】図2に示す加熱装置のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形を説明するイメージ図である。
【図6】図2に示す加熱装置の定着ニップ部近傍の拡大概略断面図である。
【図7】第2の実施例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図8】図7に示す加熱装置の定着ニップ部近傍の拡大概略断面図である。
【図9】第3の実施例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図10】第1の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図11】第2の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図12】図11に示す加熱装置における定着ニップ部の圧力分布を説明するイメージ図である。
【図13】第3の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図14】図13に示す加熱装置においてスペーサーローラを取り外したときに摺擦する加圧ローラと加圧補助ローラを示す説明図である。
【図15】図13に示す加熱装置において加熱ローラと加圧補助ローラ間の長手方向のニップ幅の変化を示す説明図である。
【図16】図13に示す加熱装置のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形を説明するイメージ図である。
【符号の説明】
21:加熱ローラ、22:ヒーター、31:加圧補助ローラ、
32:加圧ローラ、33:支持ローラ、34:支持ローラ、
35:無端ベルト、101:スペーサーローラ、
104:アシストパッド、n:定着ニップ部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、複写機・プリンター・ファクシミリなどの画像情報記録装置(画像形成装置)において未定着画像を加熱・加圧定着させるための定着装置として用いて好適な、特にベルトニップ方式の加熱装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ベルトニップ方式の加熱装置は、加熱ニップ部を形成する1対の回転体の少なくとも一方をベルト部材にし、加熱ニップに被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する構成のもので、加熱ニップ部の幅(被加熱材搬送方向の寸法)を大きく設定することができることで、被加熱材の搬送速度を大きくしても十分な加熱時間を確保できることが可能である等の利点がある。
【0003】
例えば特許文献1には画像定着装置としてのベルトニップ方式の加熱装置の具体的構成例が記載されている。
【0004】
1)第1の従来例
図10はその一例を示すものである。21と30は加熱ニップ部(以下、定着ニップと記す)nを形成させる1対の回転体としての、加熱ローラ(第1の定着部材、定着ローラ)と、ベルトアセンブリ(第2の定着部材、加圧部材)である。
【0005】
加熱ローラ21は回転自由に軸受保持されており、矢印の時計方向に回動駆動される。またこの加熱ローラ21は内部熱源22により加熱され、温調系により表面温度が所定の定着温度に維持されるように温調される。
【0006】
ベルトアセンブリ30は、無端ベルト35、加圧ローラ32、第1と第2の2本の支持ローラ(支持軸)33・34、アシストパッド104等からなり、ベルト35は加圧ローラ35および第1と第2の支持ローラ33・34の都合3本のローラ間に懸回張架してある。
【0007】
加圧ローラ32は不図示の加圧手段により加熱ローラ方向に押圧付勢されて加熱ローラ21に対してベルト35を挟んで所定の押圧力で圧接している。アシストパッド104はベルト35の内側で、加圧ローラ32よりもベルト移動方向上流側に配設され、不図示の加圧手段により加熱ローラ方向に押圧付勢されて加熱ローラ21に対してベルト35を挟んで所定の押圧力で圧接している。
【0008】
上記の加圧ローラ32とアシストパッド104との間におけるベルト部分と加熱ローラ21の外面部分との相互接触ニップ域が定着ニップ部nである。
【0009】
アシストパッド104はベース板105に弾性層と表面低摩擦層を設けた固定部材であり、表面低摩擦層側をベルト35の内面に接触させて配設してある。
【0010】
ベルトアセンブリ30のベルト35は加熱ローラ21の回転駆動に伴い、定着ニップ部nにおける加熱ローラ21との摩擦力で従動回転する。
【0011】
加熱ローラ21が回転駆動され、それに伴いベルトアセンブリ30のベルト35も従動回転し、加熱ローラ21が熱源22により加熱され、所定の定着温度に温調された状態において、定着ニップ部nの加熱ローラ21とベルト35との間に未定着トナー像tを担持した記録材(以下、記録シートと記す)Pが導入され、定着ニップ部nを挟持搬送されていく。その挟持搬送過程において未定着トナー像tが加熱ローラ21の熱で加熱されて記録シートPの面に固着像として熱定着される。
【0012】
定着ニップ部nの幅(ベルト移動方向の寸法)はアシストパッド104の幅寸法により広狭容易に設定することができ、定着ニップ部幅を大きく設定することで、記録シートPの搬送速度を大きくしても十分な定着時間(加熱時間)を確保することが可能である。
【0013】
また、加圧ローラ32は、紙厚が薄く紙腰の弱い記録シートに多量のトナーを定着させる場合にも、剥離爪などを必要とせず、定着ニップ部nの記録シート出口において、何の剥離装置を用いずに記録シートPを加熱ローラ21の表面から剥離できるという所謂セルフストリッピングを可能とするものである。すなわち、一般に加熱ローラ21の表面は弾性層を有しており、この弾性層に加圧ローラ32が圧接すると、前記加熱ローラ21と加圧ローラ32との圧接領域Aにおいて、加熱ローラ21の表面が弾性変形し、加熱ローラ21と加圧ローラ32との間を通過する記録シートPが加熱ローラ21から剥離する方向へ導かれるのである。
【0014】
しかし、このセルフストリッピング性能を向上させるために加圧ローラ32の圧力を大きくすると、記録シートP上の未定着画像tがずれる現象(像ずれ)が発生する。この現象は、加圧ローラ32の高い圧力によって加熱ローラ21上の弾性層に極度のゆがみが発生し、これに伴って、記録シートPの速度が増大することに起因する。この像ずれを防止するために、前記アシストパッド104が設けられている。すなわち、このアシストパッド104は、定着ニップ部n内の加圧ローラ32よりも記録シート搬送方向上流側で加熱ローラ21を極度に歪ませないように広範囲領域Cに大きな圧力をかけるためのものであり、これにより、この領域Cにおける加熱ローラ21と記録シートPとの密着力が、加熱ローラ21と加圧ローラ32との圧接領域Aにおける加圧ローラ32と記録シートPとの密着力よりも大きくなり、その結果、前記記録シートPの速度は加熱ローラ21の速度と同じになることから、前記像ずれは有効に防止されるのである。
【0015】
しかしながら、固定部材であるアシストパッド104と回転体であるベルト35の内面とは摺擦により、双方に耐久による磨耗劣化が生じる。一般に磨耗は摺擦速度と両者の加圧力により支配されるため、特に高速化を目指した場合は、ベルト35へのダメージが大きく、ベルト35やアシストパッド104の長寿命化の妨げとなる。この対策として、ベルト35の内面へのシリコンオイルオイル塗布により摺擦抵抗を下げる手法が提案されている。
【0016】
しかし、トナーの定着性や、光沢性を向上するため、アシストパッド104への加圧力を増加させた場合には、ベルト35とアシストパッド104の摺擦抵抗が原因となり、ベルト35の搬送不良(スリップ)を引き起こす。
【0017】
一般にスリップ対策としては、ベルト35内の第1または第2の支持ローラ33・34の何れかに駆動を与えてベルト35の搬送力を高める工夫がなされるが、ベルト内面に潤滑剤を塗布した系では潤滑剤がその駆動支持ローラからベルト35へ駆動効率を下げ、充分な効果が得られにくい。
【0018】
ベルト35のスリップは記録シートPの搬送不良や画像不良のみならず、加熱ローラ21の表層の摺擦による加熱ローラ表層材の傷及び、弾性層の異常変形による弾性層の劣化等、加熱ローラ21に与えるダメージも大きく、加熱ローラ21の寿命へも影響する。
【0019】
2)第2の従来例
この対策として、上記図11の加熱装置において固定部材としてのアシストパッド104を、図11のように、ベルト35の回転に従動する回転部材としての圧力補助ローラ31とした装置構成も提案されている。
【0020】
圧力補助ローラ31はステンレス等の金属軸上にシリコンゴムやシリコンスポンジ等の柔らかい弾性体で被覆された弾性体ローラであり、ベルト35の内面からベルト35を加熱ローラ21に密着させ、ベルト35と加熱ローラ21の表面がずれるのを防止するためのローラである。この構成においては、ベルト35に内接する部材31〜34の全てはベルト35と共に回転する回転部材であり、先のようなベルト34の内面との摺擦により生じる弊害を解決することが出来る。
【0021】
しかしながら、上記図11の第2の従来例のように、圧力補助ローラ31を用いたベルトニップ方式の加熱装置(定着装置)にあっては、加圧ローラ32と圧力補助ローラ31との物理的な干渉を防止するという観点からすれば、加圧ローラ32と圧力補助ローラ31とを近接して配置することが困難であり、しかも両ローラ32・31の形状からして、図11に示すように、加熱ローラ21とベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの全幅のうち、加熱ローラ21に対する、加圧ローラ32の接触部領域Aと圧力補助ローラ31の接触部領域Cとの間には、無端ベルト35のみが加熱ローラ21に接触配置される領域Bが存在した。この領域Bの幅は図10の第1の従来例において加圧ローラ32の接触部領域Aとアシストパッド104の接触部領域Cとの間に生じる無端ベルト35のみが加熱ローラ21に接触配置される領域Bよりも幅が大きい。
【0022】
このため、図11のA、B、Cに示す各接触ニップ域における加熱ローラ21に対するベルト35の圧力分布は図12のようになり、加圧ローラ32及び圧力補助ローラ31が接触していないBの領域では、かかる圧力が微小となっていた。このような状況下において、微小圧力状態となるBの領域では、トナー層中の空気及び水蒸気の活動を抑え込めるだけの圧力がなく、しかも、その範囲が広いために記録シートPが微小圧力状態となるBの領域を通過する際に、トナー層中から放出される空気及び水蒸気の絶対量が多くなり、コート紙等の通気性の低い記録シートPにおいて、微小圧力部位における画像の乱れが発生しやすくなるという技術的課題が見いだされた。
【0023】
3)第3の従来例
そこで、第3の従来例として、図13に示すような、加熱ローラ21に無端ベルト35を押圧する加圧ローラ32と、加圧ローラ32よりも記録シート搬送方向上流側で加熱ローラ21にベルト35を押圧する加圧補助ローラ31に接し、両ローラ32・31と共に転動し、且つ無端ベルト35に非接触なスペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラの軸間距離を狭めた系が提案されている。スペーサーローラ100は、外径4mmのステンレスのローラで、加圧ローラ32(外径20mm)に当接されており、加圧ローラの中心軸O1と加圧補助ローラ31(外径28mm)の中心軸O2を結んだ軸線L上において加圧補助ローラ側に配置されている。
【0024】
加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は両ローラの半径の和R1(=r1+r2)24mmより短い22mmに設定されおり、加圧補助ローラ31の弾性層31bが、スペーサーローラ100との当接位置で約6mm加圧補助ローラの芯金31a方向に歪んでいる。
【0025】
スペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させ、加圧補助ローラ31を歪ませたことで、加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離S1を両ローラの半径の和R1より短く設定しても、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の物理的な干渉を防止できた。
【0026】
仮に、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の位置関係をそのままに維持した状態でスペーサーローラ100を取り外した際のイメージ図を図14に示す。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31が物理的に干渉していることが分かる。図13中、ベルト35は反半時計回りに回転する。ベルトに内接する加圧ローラ32と加圧補助ローラ31は共に反時計回りに回転するため、図14に示されるように、両ローラ31・32の干渉位置では加圧ローラ32は上に、加圧補助ローラ31は下に向かおうとし移動方向が相反している。このため、両ローラ32・31ひいては無端ベルト35のスムーズな駆動が出来ない。
【0027】
スペーサーローラ100を介在した従来例3の装置ではスペーサーローラが時計回りに回転するため、加圧ローラ32、加圧補助ローラ31の接点での回転方向が両ローラと順方向になり、全てのローラ31〜34及びベルト35の駆動方向に矛盾が無く、スムーズに駆動できることが分かる。従来例2の装置より加圧ローラ31と加圧補助ローラ32の軸間距離S1を両ローラの半径の和R1より短くしたことで、前記画像異常を効果的に防止している。
【0028】
スペーサーローラ100を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させえることで、加圧ローラと加圧補助ローラの干渉を防止し、画像の乱れの防止と、加熱ローラ21の長寿命化及びベルト搬送性の高速化を両立させている。
【特許文献1】
特開平9−34291号公報
【0029】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記第3の従来例の加熱装置では、記録シートPとしての用紙の分離性を向上しようとして加圧ローラ32にかける圧を更に高めた際、加圧補助ローラ31が撓んで定着ニップ部長手方向の中央部付近と端部で加圧補助ローラ31によるベルト35の加熱ローラ21との接触部領域Cの幅が異なってしまう。
【0030】
図15に定着ニップ部における接触部領域Cの長手位置の幅分布のイメージ図を示す。接触部領域Cの長手位置において、端部のニップ幅が広く、中央部付近では圧が中抜けして端部近傍のニップ幅よりもニップ幅が小さい(狭い)。このため、中央付近では、端部付近よりも微小加圧領域Bが大きくなり、画像異常が発生しやすく、且つ紙しわ等が記録シートに発生して搬送不良が起き易いという問題があった。
【0031】
加圧補助ローラ31の芯金31aの径を大きくすることである程度改善されるが、加圧補助ローラ芯金径を大きくすると、弾性層31bの厚みが薄くなるため、加圧補助ローラ31によるベルト35の加熱ローラ21との接触部領域Cの幅が取り辛く、又スペーサーローラ100で加圧補助ローラ31を弾性変形できる変形量も減少するため、加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1が広がり微小加圧領域Bが大きくなるという弊害が出る。
【0032】
本発明はベルトニップ式の加熱装置において、スペーサーローラを当接させるローラによるベルトの他の回転体との加熱ニップ幅の不均一を是正し、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる加熱装置、及びその加熱装置を備える画像形状装置を提供することを目的とするものである。
【0033】
【課題を解決するための手段】
本発明は下記の構成を特徴とする加熱装置及び画像形状装置である。
【0034】
(1)加熱ニップ部を形成する1対の回転体を有し、加熱ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する加熱装置において、少なくとも一方の回転体が、無端ベルトと、無端ベルトを他方の回転体に圧接させて加熱ニップ部を形成する2本以上のローラと、無端ベルトに非接触で且つ2本以上のローラ間で少なくとも1本のローラに当接し共に転動するスペーサーローラとを有し、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とすることを特徴とする加熱装置。
【0035】
(2)2本以上のローラとして、無端ベルトを他方の回転体に加圧する加圧ローラと、加圧ローラよりも被加熱材の搬送方向上流側で無端ベルトを他方の回転体に押圧する加圧補助ローラとを有する上記(1)に記載の加熱装置。
【0036】
(3)加圧補助ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧補助ローラとの接点で、加圧補助ローラを弾性変形させる事を特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0037】
(4)加圧ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧ローラの接点で加圧ローラを弾性変形させる事を特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0038】
(5)加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離は、加圧ローラの半径と加圧補助ローラの半径の和以下であることを特徴とする上記(2)に記載の加熱装置。
【0039】
(6)加圧補助ローラ、加圧ローラ及びスペーサーローラにおいて各々のローラ径の関係が、加圧補助ローラ>加圧ローラ>スペーサーローラの順列であることを特徴とする上記(2)ないし(5)の何れかに記載の加熱装置。
【0040】
(7)無端ベルトを加圧ローラと加圧補助ローラに2本掛けに配置し、加圧ローラと加圧補助ローラ間に少なくとも一方のローラに当接し共に転動するスペーサーローラを有することを特徴とする上記(2)ないし(6)の何れかに記載の加熱定着。
【0041】
(8)被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする上記(1)ないし(7)の何れかに記載の加熱装置。
【0042】
(9)記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、前記像加熱手段が上記(1)ないし(8)の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
【0043】
上記(1)の加熱装置において、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とすることによって、該スペーサーローラに当接させるローラによるベルトの他の回転体との加熱ニップ幅を略均一にでき、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる。
【0044】
【発明の実施の形態】
[第1の実施例]
(1)画像形成装置例
図1は本発明に従うベルトニップ方式の加熱装置をトナー像の加熱定着装置として搭載させた画像形成装置の一例の概略構成図である。
【0045】
1は感光ドラムであり、OPC、アモルファスSe、アモルファスSi等の感光材料がアルミニウムやニッケルなどのシリンダ状の基盤上に形成されている。感光ドラム1は矢印の方向に回転駆動され、その表面は帯電装置としての帯電ローラ2によって一様帯電される。
【0046】
次に、レーザースキャナ3によって画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザービームLbによる走査露光が施され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像装置4でトナー像として現像、可視化される。現像方法としては、ジャンピング現像法、2成分現像法、FEED現像法などが用いられ、イメージ露光と反転現像とを組み合わせて用いられることが多い。
【0047】
可視化されたトナー像は、所定のタイミングで給紙機構部7から給紙搬送された記録シート(記録材、転写材、用紙)P上に転写装置としての転写ローラ5により感光ドラム1上より転写される。
【0048】
ここで感光ドラム1上のトナー像の画像形成位置と記録シートPの先端の書き出し位置が合致するようにトップセンサ8にて記録シートPの先端を検知し、タイミングを合わせている。所定のタイミングで搬送された記録シートPは感光ドラム1と転写ローラ5に一定の加圧力で挟持搬送される。このトナー像が転写された記録シートPは加熱定着装置9へと搬送され、永久画像として定着される。加熱定着装置9を出た画像定着済みの記録シートPはシートパス10を搬送されて排紙トレイ11上に排出される。
【0049】
一方、感光ドラム1上に残存する転写残りの残留トナーは、クリーニング装置6により感光ドラム1表面より除去され、感光ドラム1は繰り返して作像に供される。
【0050】
(2)定着装置9
図2は本実施例における定着装置9の概略断面図である。
【0051】
本実施例の定着装置9は前述した図9の第2の従来例の定着装置と同様に加圧補助ローラ31を用いたベルトニップ方式の加熱装置である。前述した図9の装置と同じ構成部材・部分には同じ符号を付して再度の説明を省略する。
【0052】
本実施の形態において、定着ニップ部(加熱ニップ部)nを形成する1対の回転体のうちの一方の回転体としての加熱ローラ(定着ローラ)21は、外径60mmの中空ローラで、アルミの芯金21a上にシリコンゴムからなるat厚さ2mmの耐熱弾性層21bを形成し、更にその外周面に離型層としての厚さ30μmのフッ素樹脂層21cを形成してなる三層構造で構成されている。芯金21aは此処ではアルミを用いたが、鉄等の他の金属を用いても良い。この加熱ローラ21は駆動モータMなどの駆動源により回転力が与えられて、矢印の時計方向に所定の周速度で回転駆動される。
【0053】
加熱ローラ21の表面には加熱ローラ表面の温度を検知するための温度検知素子としてサーミスタ41が当接されており、加熱ローラ内部には例えばハロゲンランプからなるヒータ22を有する。
【0054】
ヒータ22は給電回路43からの給電により発熱し、その発熱により加熱ローラ21が内部より加熱される。加熱された加熱ローラ21の表面温度がサーミスタ41で検知され、その検知温度情報が温調回路42に入力する。温調回路42はサーミスタ41で検知される加熱ローラ表面温度が所定の定着温度に維持されるように給電回路43からヒータ22への給電を制御することで加熱ローラ21を温調制御する。
【0055】
定着ニップ部nを形成する1対の回転体のうちのもう一方の回転体であるベルトアセンブリ30において、無端ベルト35は、加圧ローラ32と第1および第2支持ローラ33・34の都合3本のローラ間に懸回張架されて加熱ローラ21に圧接されることにより、該加熱ローラとの間に所定幅のニップ部nを形成している。
【0056】
無端ベルト35は、例えば耐熱性樹脂であるポリイミドフィルムなどで構成され、表面にはPFA等の離型層が形成されている。
【0057】
また、本実施の形態では、加圧ローラ32は、加熱ローラ21と無端ベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの出口に配設される加圧ローラを兼用しており、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱ローラ21の中心に向かって付勢されており、無端ベルト35を加熱ローラ21に押圧している。ここで、加圧ローラ(支持ローラ)32は外径20mmのローラで少なくとも加熱ローラ21よりも高硬度に形成されており、加圧ローラ32の加熱ローラ21に対する圧接部Aでは加熱ローラ21が弾性変形し、記録シートPのセルフストリッピング機能を維持するようになっている。加圧ローラ32と加熱ローラ21の圧接部Aのニップ幅は約3mmに設定した。
【0058】
更に、無端ベルト35の内側には、不図示の圧縮コイルスプリングにより圧接配置される補助加圧ローラ31が設けられている。前記補助加圧ローラ31は、外径28mmの弾性ローラでステンレスの芯金31a上に低硬度耐熱弾性体31bであるシリコンスポンジを有してなり、加熱ローラ21の中心軸方向に向かって上記コイルスプリングによって無端ベルト35を加熱ローラ21に加圧している。加圧補助ローラ31の加圧により無端ベルト35が加熱ローラ21に圧接される圧接部Cのニップ幅は約15mmである。加圧補助ローラ31は加熱ローラ21より低硬度に形成されており、圧接部Cにおける加熱ローラ21への加圧の平均面圧は、圧接部Aにおける加圧ローラ32の加熱ローラ21への加圧の平均面圧より低い。此処で、平均面圧とは「各圧接部C・Aのニップ部にかかる総圧」を「各圧接部C・Aのニップ部の面積」で割り算した値である。
【0059】
スペーサーローラ101は、図3に示すように、長手方向端部の外径d1が4mm、中央部の外径d2が7mmの正クラウン形状のステンレス製のローラで、加圧ローラ32に当接されており、加圧ローラ32の中心軸O1と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線L上の加圧補助ローラ側に配置されている。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は、例えば両ローラの半径の和R1(=r1+r2)24mmより短い23mmに設定されており、加圧補助ローラの弾性層31bが、スペーサーローラ101との当接位置で約5〜7mm加圧補助ローラ31の芯金31a方向に歪んでいる。図4に示すように、スペーサーローラ101を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に介在させ、加圧補助ローラ31を歪ませたことで、加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離S1を、両ローラの半径の和R1より短く、若しくはその和R1と等しく設定し(S1≦R1(=r1+r2))、これによって加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の物理的な干渉を防止している。
【0060】
無端ベルト35と加熱ローラ21の定着ニップ部nの内、加圧ローラ32により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をA、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をC、これら圧接部のニップ幅AとCの間の微小加圧領域をBとすると、長手方向中央でA:3mm、B:12mm、C:19mmとなる。長手方向端部ではニップ幅Cは20mmであった。
【0061】
一方、スペーサーローラ101がストレート形状の第3の従来例では、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅Cは、定着ニップ部nの長手方向において、端部で20mm、中央で17mmであった。
【0062】
本実施例ではスペーサーローラ101の形状を端部外径4mm、中央外径7mmの正クラウン形状としたことで、ニップ幅Cの不均一を是正している。
【0063】
このメカニズムに関する予測をスペーサーローラと加圧補助ローラのみを抽出し、本実施例のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形をモデル化した図5で説明する。
【0064】
(a)は定着ニップ部nにおいてスペーサーローラの長手方向中央部近傍による加圧補助ローラの変形を、(b)は同スペーサーローラの長手方向端部近傍による加圧補助ローラの変形をモデル化したイメージ図である。
【0065】
(a)及び(b)を参照してスペーサーローラ101による加圧補助ローラ31の変形ついて説明する。
【0066】
短い破線(点線)は当接物(スペーサーローラ)のない状態の加圧補助ローラ31の形状を示す。スペーサーローラ101は図中F1の力でF1方向に加圧補助ローラ31を変形させている。このとき、加圧補助ローラ31はF1の方向に弾性変形するが、このとき、一部の力はQ及びRの方向に弾性層31bを押す方向に働く。スペーサーローラ101の外径が、端部より中央の方が大きい(d1<d2)ので、加圧補助ローラ31に作用するQ及びR方向への力は端部よりも中央の方が大きく、これに応じて加圧補助ローラ中央の変形量を加圧補助ローラ端部の変形量よりも大きくでき、これによってニップ幅Cの不均一を効果的に是正できたと考えている。これにより、画像異常の発生と記録シートの搬送不良が改善される。
【0067】
次に、(a)及び(b)を参照して加熱ローラ21に対する加圧補助ローラ31の変形ついて説明する。
【0068】
長い破線は加熱ローラ21を存在させたときの該加熱ローラの位置を示す。即ちL1、L2はそれぞれ図示しないベルトを挟んで加圧補助ローラ31と加熱ローラ21とで形成されるニップ幅、D1、D2はそれぞれ加圧補助ローラ31の加熱ローラ21への侵入量を示す。加圧補助ローラ31において、スペーサーローラ中央部の侵入量D1は該ローラ31の撓みにより、スペーサーローラ端部の侵入量D2よりも小さい(D1<D2)。しかし、スペーサーローラ101の侵入による加圧補助ローラ31の変形が端部より中央が大きいため、スペーサーローラ中央部のニップ幅L1は、同ローラ端部のニップ幅L2と大きく変わらずに確保することが出来た。
【0069】
図13に示される従来例の装置において、ストレート形状のスペーサーローラ100による加圧補助ローラ31の変形をモデル化したイメージ図を図16に示す。
【0070】
従来例装置では、スペーサーローラ100がストレート形状であることから、加熱ローラ21への加圧補助ローラ31の侵入量D1、D2が、そのまま加熱ローラ21へと加圧補助ローラ31のニップ幅の差につながるため、(b)に示すスペーサーローラの端部と(a)に示すスペーサーローラ中央部のニップ幅L1、L2の差が比較的大きいことが分かる。
【0071】
尚、図6において1点鎖線で示されるようにスペーサーローラ101を加熱ローラー21方向から見た背面側(加圧補助ローラ31の中心軸O2を通り、加熱ローラ21の中心軸O4と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線L4に対する垂線L5に対し、加熱ローラー21と反対)に位置することで、加圧補助ローラ31のたわみに対するバックアップローラとして直接、圧の中抜け防止に機能するため、より効果的である。このときも、スペーサーローラ101の形状を正クラウン形状にすると、バックアップの効率が上げることが出来る。
【0072】
[第2の実施例]
スペーサーローラ101で、加圧ローラ21の撓みをバックアップする系において、スペーサーローラ101の形状を正クラウン形状にすることで、加圧ローラ31の撓みをより補正した定着装置例を第2の実施例として図7を用いて説明する。
【0073】
同図において、本実施例に係る定着装置は、モータMにて回転駆動される加熱ローラ21と、この加熱ローラ21に圧接配置される無端ベルト35とを備えている。
【0074】
本実施例において、加熱ローラ21は、外径60mmの中空ローラで、アルミの芯金21a上にシリコンゴムからなる厚さ2mmの耐熱弾性層21bを形成し、更にその外周面に離型層として厚さ30μmのフッ素樹脂層21cを形成してなる三層構造で構成されている。芯金21aは此処ではアルミを用いたが、鉄等の他の金属を用いても良い。加熱ローラ表面には加熱ローラ表面の温度を検知するための温度検知素子としてサーミスタ(図示せず)が当接されており、加熱ローラ内部には例えばハロゲンランプからなるヒータ22を有する。なお、加熱ローラ21の温調制御は前述した第1実施例の定着装置と同じであるので、その説明を援用する。
【0075】
一方、無端ベルト35は、例えば耐熱性樹脂であるポリイミドフィルムなどで構成され、表面にはPFA等の離型層が形成されている。
【0076】
また、本実施の形態では、加圧ローラ32は、加熱ローラ21と無端ベルト35との接触ニップ域である定着ニップ部nの出口に配設される加圧ローラを兼用しており、不図示の圧縮コイルスプリングによって加熱ローラ21の中心に向かって付勢されており、無端ベルト35を加熱ローラ21に押圧している。ここで、加圧ローラ(支持ローラ)32は外径20mmのローラで少なくとも加熱ローラ21よりも高硬度に形成されており、加圧ローラ32の加熱ローラ21に対する圧接部Aでは加熱ローラ21が弾性変形し、記録シートPのセルフストリッピング機能を維持するようになっている。加圧ローラ32と加熱ローラ21の圧接部Aのニップ幅は約3mmに設定した。
【0077】
更に、無端ベルト35の内側には、不図示の圧縮コイルスプリングにより圧接配置される補助加圧ローラ31が設けられている。前記補助加圧ローラ31は、外径50mmの弾性ローラでステンレスの芯金31a上に低硬度耐熱弾性体31bであるシリコンスポンジを有してなり、加熱ローラ21の中心軸方向に向かって上記コイルスプリングによって無端ベルト35を加熱ローラ21に加圧している。加圧補助ローラ31の加圧により無端ベルト35が加熱ローラ21に圧接される圧接部Cのニップ幅は約20mmである。加圧補助ローラ31は加熱ローラ21より低硬度に形成されており、圧接部Cにおける加熱ローラ21への加圧の平均面圧は、圧接部Aにおける加圧ローラ32の加熱ローラ21への加圧の平均面圧より低い。
【0078】
スペーサーローラ101は、長手方向端部の外径が5.5mm、中央部の外径が6.5mmの正クラウン形状のステンレス製のローラで、加圧ローラ32に当接されており、加圧ローラ32の中心軸O1と加圧補助ローラ31の中心軸O2を結んだ軸線Lに対して加熱ローラ21の反対側で加圧補助ローラ側に配置されている。加圧ローラ32と加圧補助ローラ31の軸間距離S1は両ローラの半径の和R1(=r1+r2)35mmより短い33mmに設定されおり、加圧補助ローラの弾性層31bが、スペーサーローラ101との当接位置で加圧補助ローラ31の芯金31a方向に歪んでいる。
【0079】
無端ベルト35と加熱ローラ21の定着ニップ部nの内、加圧ローラ32により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をA、加圧補助ローラ31により無端ベルト35が加熱ローラ21に加圧される圧接部のニップ幅をC、これら圧接部のニップ幅AとCの間の微小加圧領域をBとすると、長手方向中央でA:約3mm、B:約10mm、C:約20mmとなる。
【0080】
本実施例装置では、図8に示すように、加熱ローラ中心軸O4と加圧ローラ中心軸O1を結んだ直線αと、加圧ローラ中心O1軸とスペーサーローラ中心軸O3とを結んだ直線βのなす角θ2が約115度、加圧補助ローラの中心軸O2とスペーサーローラの中心軸O3とを結んだ直線γと、先の直線βのなす角θ1が約135度となる点にスペーサーローラ101を設定した。
【0081】
スペーサーローラ101の中心を加熱ローラ方向から見た加圧ローラ32の背面側(加熱ローラ中心軸O4と加圧ローラ中心軸O1を結んだ直線αに対する加圧ローラ32の中心軸O1を通る垂線α’に対し、加熱ローラ21と反対側)に位置することで加圧補助ローラ31のたわみを補正するバックアップローラとして加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cにおける長手方向中央の圧の中抜け防止に機能する。
【0082】
従来装置で用いられる外径6mmのストレート形状のスペーサーローラ100に対し、正クラウン形状のスペーサーローラ101は、その形状からニップ幅Cにおける長手方向中央部を選択的にバックアップするため、加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差をより小さくすることが出来る。
【0083】
ちなみに、ストレート形状のスペーサーローラ100を用いた従来の定着装置では、加熱ローラ21と加圧補助ローラ31間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差分は約1mm、正クラウン形状のスペーサーローラ101を用いた本実施例の定着装置の差分は約0.5mm、スペーサーローラ自体を用いない従来例2の定着装置の差分は約1.5mmであり、本実施例の正クラウン形状のスペーサーローラを用いる事の効果が覗われる。
【0084】
[第3の実施例]
第3の実施例として、第1の実施例装置の加熱ローラ21、加圧ローラ32、加圧補助ローラ31、スペーサーローラ101と同様の物を用い、それらを同様に配置して、無端ベルト35の支持方法のみを変化させた定着装置例を示す。
【0085】
図9に本実施例に係る定着装置の概略断面図を示す。
【0086】
本実施例では、ベルトアセンブリ30において、無端ベルト35を加圧ローラ32と加圧補助ローラ31間に張架し、第1の実施例で用いた支持軸(支持ローラ33・34)を2本無くしている。この系においても、第1の実施例同様にスペーサーローラ101を正クラウン形状とし、それを加圧ローラ32、加圧補助ローラ31間に介在させることで、加圧補助ローラ31と加熱ローラー21間のニップ幅Cの長手方向端部と中央部の差の不均一を是正し、記録シート搬送性の向上に対し効果を確認出来た。
【0087】
更に、無端ベルト35の周長をより短くすることが可能となり、支持軸も2本減らせたことで定着装置全体の低熱容量化を実現している。スペーサーローラを用いない従来の2本ローラ張架タイプのベルト定着システムと比較しても、2軸間の距離をより小さく狭められたことでベルトの周長を最大限に短くすることが出来る。
【0088】
第1の実施例では連続画像形成中の温度低下が165℃温調でスタートした際に、135℃の温度低下が見られたが、本実施例では30℃の温度低下に抑えられた。ベルトの表面積の低減によるベルト表面からの放熱と、支持軸への熱損失を低減できた効果である。この結果、待機中の温調温度を5℃削減し、待機中の消費電力を削減し、省エネルギー化に成功した。又、定着装置全体の低熱容量化を実現したことで、電力投入からの昇温速度も向上し、ウェイトタイムも削減できた。
【0089】
加圧補助ローラ31は、加熱ローラ21を弾性変形させる必要性が無いため、低硬度なローラを用い無端ベルト35を挟んで加熱ローラ21とで高速定着に必要なニップ幅を確保する構成がよい。このため、加圧補助ローラ31をスペーサーローラ101の圧接によって大きく変形出来るため、外径を大きくしても微小加圧領域Bがさほど広がらない。
【0090】
加圧ローラ32は、用紙分離性確保のため、加熱ローラ21の弾性層21bをひずませるために剛体もしくは硬質な弾性体に設定せざるを得ない。よって、加圧ローラ32のスペーサーローラ101による弾性変形は加圧補助ローラ31に比べ殆んど望めないため、加圧ローラ径のアップ(UP)は、微小加圧領域Bの拡大につながる。
【0091】
又、スペーサーローラ101は加圧ローラ32と加圧補助ローラ31が干渉しない範囲内で小さい方が熱容量的に良い。又、スペーサーローラ101が必要以上に大きいと(例えば加圧ローラー並以上に大きいと)、ニップ領域Cのスペーサーローラ側がスペーサーローラに押されて小さくなるため、微小加圧領域Bの拡大につながる。
【0092】
よって3つのローラ31・32・101において各々のローラ径の関係は
加圧補助ローラ31>加圧ローラ32>スペーサーローラ101
とすることで、微小加圧領域Bを最小限に抑えつつ、定着ニップ部nを最大限に確保することが出来る。
【0093】
[その他]
1)本実施の形態において、各実施例では記録シートPの未定着トナー画像面側にローラ(加熱ローラ21)を用い、非未定着トナー画像面側に無端ベルト35を用いた加熱定着装置を示したが、記録シートPの未定着トナー画像面側に無端ベルト35を用い、非未定着トナー画像面側にローラ(加熱ローラ21)を用いた加熱定着装置としてよい。また、記録シートPの未定着画像面側及び非未定着画像面側に無端ベルトを用いた加熱定着装置としてよい。この場合、少なくとも1本のベルトの内部から2本以上のローラで該ベルトを他のベルトに加圧して定着ニップ部を形成する画像加熱定着装置において、2本以上のローラのうち少なくとも一方のローラが弾性体である場合に、2本のローラ間にスペーサーローラを介在することで、同等の効果が得られるものである。
【0094】
2)各実施例の加熱定着装置において、一方の回転体である無端ベルトに代えて、ロール巻きにした長尺の有端ベルトを用いてよい。その場合、有端ベルトを繰り出し軸側から加圧ローラと加圧補助ローラを経由させて巻き取り軸側へ所定の速度で走行させる構成にする。
【0095】
3)各実施例装置において、加圧ローラ21を加圧補助ローラ31と共に、若しくは加圧ローラ21だけをスペーサーローラ101によって弾性変形させてよい。この場合、加圧ローラに弾性層を設け、スペーサーローラと加圧ローラの接点で加圧ローラを弾性変形させる構成にする。
【0096】
4)本発明の加熱装置は実施例の画像加熱定着装置としての使用に限られず、未定着画像を記録材に仮に定着せしめる仮定着装置、定着画像を担持した記録材を再加熱してつや等の画像表面性を改質する表面改質装置等の像加熱装置としても有効である。またその他、例えば、紙幣等のシワ除去用の熱プレス装置、熱ラミネート装置、紙等の含水分を蒸発させる加熱乾燥装置など、シート状部材を加熱処理する加熱装置として用いても有効であることは勿論である。
【0097】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、加熱ニップ部を形成する1対の回転体を有し、加熱ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する加熱装置において、スペーサーローラの正クラウン形状によって当該スペーサーローラを当接させるローラによるベルトの他方の回転体との加熱ニップ幅を略均一にでき、画像異常の発生と被加熱材の搬送不良を改善できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例における画像形成装置の概略構成図である。
【図2】第1の実施例における加熱装置(定着装置)の概略構成図である。
【図3】図2に示す加熱装置におけるスペーサーローラの長手方向の概略断面図である。
【図4】図2に示す加熱装置における加圧ローラ、加圧補助ローラ及びスペーサーローラの配置関係を説明する拡大概略図である。
【図5】図2に示す加熱装置のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形を説明するイメージ図である。
【図6】図2に示す加熱装置の定着ニップ部近傍の拡大概略断面図である。
【図7】第2の実施例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図8】図7に示す加熱装置の定着ニップ部近傍の拡大概略断面図である。
【図9】第3の実施例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図10】第1の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図11】第2の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図12】図11に示す加熱装置における定着ニップ部の圧力分布を説明するイメージ図である。
【図13】第3の従来例における加熱装置(定着装置)の概略断面図である。
【図14】図13に示す加熱装置においてスペーサーローラを取り外したときに摺擦する加圧ローラと加圧補助ローラを示す説明図である。
【図15】図13に示す加熱装置において加熱ローラと加圧補助ローラ間の長手方向のニップ幅の変化を示す説明図である。
【図16】図13に示す加熱装置のスペーサーローラによる加圧補助ローラの変形を説明するイメージ図である。
【符号の説明】
21:加熱ローラ、22:ヒーター、31:加圧補助ローラ、
32:加圧ローラ、33:支持ローラ、34:支持ローラ、
35:無端ベルト、101:スペーサーローラ、
104:アシストパッド、n:定着ニップ部。
Claims (9)
- 加熱ニップ部を形成する1対の回転体を有し、加熱ニップ部に被加熱材を導入して挟持搬送させて加熱する加熱装置において、
少なくとも一方の回転体が、無端ベルトと、無端ベルトを他方の回転体に圧接させて加熱ニップ部を形成する2本以上のローラと、無端ベルトに非接触で且つ2本以上のローラ間で少なくとも1本のローラに当接し共に転動するスペーサーローラとを有し、スペーサーローラの長手形状を正クラウン形状とすることを特徴とする加熱装置。 - 2本以上のローラとして、無端ベルトを他方の回転体に加圧する加圧ローラと、加圧ローラよりも被加熱材の搬送方向上流側で無端ベルトを他方の回転体に押圧する加圧補助ローラとを有する請求項1に記載の加熱装置。
- 加圧補助ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧補助ローラとの接点で、加圧補助ローラを弾性変形させる事を特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
- 加圧ローラは弾性層を有し、スペーサーローラと加圧ローラの接点で加圧ローラを弾性変形させる事を特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
- 加圧ローラと加圧補助ローラの軸間距離は、加圧ローラの半径と加圧補助ローラの半径の和以下であることを特徴とする請求項2に記載の加熱装置。
- 加圧補助ローラ、加圧ローラ及びスペーサーローラにおいて各々のローラ径の関係が、加圧補助ローラ>加圧ローラ>スペーサーローラの順列であることを特徴とする請求項2ないし5の何れかに記載の加熱装置。
- 無端ベルトを加圧ローラと加圧補助ローラに2本掛けに配置し、加圧ローラと加圧補助ローラ間に少なくとも一方のローラに当接し共に転動するスペーサーローラを有することを特徴とする請求項2ないし6の何れかに記載の加熱定着。
- 被加熱材が画像を担持した記録材であることを特徴とする請求項1ないし7の何れかに記載の加熱装置。
- 記録材上に画像を形成する像形成手段と、該記録材上の画像を加熱する像加熱手段とを有する画像形成装置において、前記像加熱手段が請求項1ないし8の何れかに記載の加熱装置であることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003209020A JP2005071637A (ja) | 2003-08-27 | 2003-08-27 | 加熱装置及び画像形成装置 |
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Family Applications (1)
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2003
- 2003-08-27 JP JP2003209020A patent/JP2005071637A/ja active Pending
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