JP2005070724A - プラズマディスプレイパネル用光学フィルタ - Google Patents

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Abstract

【課題】表面硬度が高く、かつ色調補正層に含まれる色素の光劣化が解消されたPDP用光学フィルタの提供。
【解決手段】反射防止層、紫外線吸収層および色調補正層を、視認側からこの順で含み、前記反射防止層は、スパッタリング法により形成される、互いに屈折率が異なる2層以上の層が積層されてなり、前記紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記色調補正層は、色調補正能を有する色素を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
【選択図】なし

Description

本発明は、プラズマディスプレイパネル本体の前面に取り付けて用いられるプラズマディスプレイパネル用光学フィルタに関する。
従来、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」ともいう。)には、PDPの機能を向上させるため光学フィルタが取り付けられている。このようなPDP用光学フィルタは、以下の(1)〜(5)の機能が求められる。(1)薄膜ガラス製のPDP本体に対する機械的強度の付与、(2)PDPから放出される電磁波の遮蔽、(3)PDPから放出される赤外線、特に近赤外線の遮蔽、(4)外光の反射防止、(5)色調補正。
PDP用光学フィルタは、各々上記(1)〜(5)の機能を有する複数の層を積層することで形成される。具体的には、PDP本体に対して機械的強度を付与する目的でガラス等の透明基板が使用され、電磁波遮蔽目的で導電性膜、赤外線遮蔽のために赤外線吸収フィルム、外光の反射防止のために反射防止膜が使用され、色調補正目的で、可視光領域に吸収のある色素を含有した層が使用されている。
PDP用光学フィルタの一部を構成する反射防止膜としては、製造工程が容易であることから、低屈折率の樹脂膜、具体的には非結晶性の含フッ素重合体を用いて製造される樹脂膜が広く使用されている。このような含フッ素重合体を用いた反射防止膜を含むPDP用光学フィルムは、例えば特許文献1に開示されている。
PDPに要求される性能は年々厳しくなっており、PDP用光学フィルタに対する要求もより高度になっている。一例を挙げると、PDP本体を保護する役割を担うPDP用光学フィルタは、傷つき防止のため、より高い硬度を有することが求められている。このため、PDP用光学フィルタの構成要素である反射防止層についても、より高硬度のものに対する需要が生じ、従来の樹脂製の反射防止層よりも高硬度の材料で反射防止層を形成することが検討されている。
このような硬度に優れた反射防止層としては、スパッタリング法を用いて屈折率の異なる層を2層以上積層させて、該層間の屈折率の差による干渉を利用して反射を低減させる層がある。このような反射防止膜を含むPDPの表示パネルは、例えば、特許文献2に開示されている。
また、PDPに対する要求として、より画像特性に優れること、具体的には高コントラスト化、高鮮明色化が求められるようになっている。このような要求は、特定波長の可視光を選択的に吸収する色素を含んだ色調補正層を、PDP用光学フィルタに設けることで達成される。さらにPDP用光学フィルタは、リモコン等の誤動作を防ぐために近赤外線を遮蔽することが要求されている。このような要求は、PDP用光学フィルタに、近赤外線を選択的に吸収する色素を含んだ近赤外線吸収層を設けることで達成される。このような可視光線または近赤外線を選択的に吸収する色素の中には、光劣化しやすいものもある。
特許文献1に開示のPDP用光学フィルムのような反射防止膜が含フッ素重合体からなるPDP用光学フィルタでは、反射防止膜の下地として、自己修復性および紫外線吸収性を有するポリウレタン層が設けられていた。該ポリウレタン層は、色調補正層よりも視認側、すなわち光線に対して上流側に設けられていた。したがって、PDP用光学フィルタに光線、具体的には紫外線が入射した場合、紫外線は、色調補正層に到達する前にポリウレタン層で吸収されるため、色素の光劣化が問題となることはなかった。
しかし、反射防止膜をスパッタリング法で形成する場合、下地に紫外線吸収性を有するポリウレタン層を用いることができず、色調補正層に含まれる色素の光劣化が問題となる。
特開2003−4939号公報 特開平11−212475号公報
すなわち、本発明は、上述した従来技術の問題を解決するため、表面硬度が高く、かつ色調補正層に含まれる色素の光劣化が解消されたPDP用光学フィルタを提供することを目的とする。
本発明は、上述した目的を達成するため、反射防止層、紫外線吸収層および色調補正層を、視認側からこの順で含み、前記反射防止層は、スパッタリング法により形成される、互いに屈折率が異なる2層以上の層が積層されてなり、前記紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムからなり、前記色調補正層は、色調補正能を有する色素を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタを提供する。
本発明のプラズマディスプレイ用光学フィルタにおいて、前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が60℃以上であることが好ましい。
本発明のプラズマディスプレイパネル用フィルタにおいて、前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)であることが好ましい。
本発明のプラズマディスプレイ用フィルタにおいて、前記色調補正層は、さらに近赤外線吸収能を有する色素を含有することが好ましい。
本発明のPDP用光学フィルタは、反射防止層、紫外線吸収層および色調補正層を、視認側からこの順で含む構成であるため、PDP用光学フィルタの視認側からの入射光による色調補正層の色素の光劣化が防止されている。
本発明のPDP用光学フィルタは、光学フィルタの視認側に位置する反射防止膜がスパッタリング法により形成された無機層であるため、表面硬度に高く、傷付き防止性に優れている。
本発明のPDP用光学フィルタでは、紫外線吸収層が、Tgが高い、好ましくはTgが60℃以上の熱可塑性樹脂フィルムに紫外線吸収剤を含有されている。このため、熱可塑性樹脂フィルム中で紫外線吸収剤が移動する可能性が低減されており、PDP用光学フィルタの他の構成要素、具体的には例えばガラス基材、色調補正層または反射防止層の一部をなす他の熱可塑性樹脂フィルムと粘着剤を介して接合させる場合に、粘着性が阻害されない。
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は、本発明のPDP用光学フィルタの一構成例を示す概念図である。図1のPDP用光学フィルタ1では、透明基板2上に、色調補正層3、紫外線吸収層4および反射防止層5がこの順に積層されている。すなわち、本発明のPDP用光学フィルタ1では、反射防止層5、紫外線吸収層4および色調補正層3が視認側からこの順で形成されている。本発明において、“視認側”とは、PDP用光学フィルタをPDP本体に設置した際に、前面となる側を意味する。これに対して、反対側、すなわちPDP本体に近い側を“本体側”とする。
色調補正層3は、色調補正能を有する色素を含有する層である。紫外線吸収層4は、熱可塑性樹脂フィルムに紫外線吸収剤を含有させた層である。反射防止層5は、スパッタリング法により形成される、互いに屈折率が異なる2層以上の層を積層させてなる層である。図1の態様では、反射防止層が、紫外線吸収層4をなす熱可塑性樹脂フィルムの視認側の面にスパッタリング法により形成されている。
但し、本発明のPDP用光学フィルタは、必ずしも図1に示す構成に限定されず、少なくとも上記定義した反射防止層、紫外線吸収層および色調補正層を視認側からこの順で含んでいればよい。本発明のPDP用光学フィルタ1の構成例のバリエーションを図2に示す。図2(a)のPDP用光学フィルタ1は、紫外線吸収層4である熱可塑性樹脂フィルムの本体側の面を色調補正能を有する色素で着色加工することで色調補正層3が形成されている。色調補正層3および紫外線吸収層4をなす熱可塑性樹脂フィルムと、透明基板2とは粘着剤10により接合されている。
図2(b)〜(e)のPDP用光学フィルタ1は、下地ガラス2を色調補正能を有する色素で着色加工することで、色調補正層3を形成したものである。図2(b)のPDP用光学フィルタ1では、下地ガラス2の本体側の面が着色加工されている。一方、図2(c)のPDP用光学フィルタ1では、下地ガラス2の視認側の面が着色加工されている。図2(d)および(e)は、それぞれ反射防止層5が紫外線吸収層4とは異なる熱可塑性樹脂フィルム20上にスパッタリング法により形成されている。
図2(f)〜(k)は、熱可塑性樹脂フィルムを色調補正能を有する色素で着色加工することで色調補正層3が形成されている。図2(f)〜(i)は、紫外線吸収層4とは別の熱可塑性樹脂フィルム20を着色加工することで色調補正層3が形成されている。図2(f)および(g)は、色調補正層3をなす熱可塑性樹脂フィルム20が、透明基板2と紫外線吸収層4との間に配置されている。図2(f)では、熱可塑性樹脂フィルム20の視認側の面が着色加工されており、図2(g)では、熱可塑性樹脂フィルム20の本体側の面が着色加工されている。図2(h)および(i)は、色調補正層3をなす熱可塑性樹脂フィルム20が、透明基板2の本体側に形成されている。図2(h)では熱可塑性樹脂フィルム20の視認側の面が着色加工されており、図2(i)では熱可塑性樹脂フィルム20の本体側の面が着色加工されている。図2(j)および(k)は、図2(d)および(e)と同様に、反射防止層5が紫外線吸収層4とは異なる熱可塑性樹脂フィルム20上にスパッタリング法により形成されている。図2(j)は、紫外線吸収層4をなす熱可塑性樹脂フィルムが、透明基板2と反射防止層5との間に配置されており、熱可塑性樹脂フィルムの本体側の面が着色加工されている。図2(k)は、紫外線吸収層4をなす熱可塑性樹脂フィルムが、透明基板2の本体側に形成されており、熱可塑性フィルムの本体側の面が着色加工されている。
図2(l)〜(n)は、図1と同様に、粘着剤中に色調補正能を有する色素を含有させることで色調補正層3が形成されている。図2(l)は、透明基板2の本体側に色調補正層3が形成されている。図2(m)および(n)は、図(j)および(k)と同様に反射防止層5が、紫外線吸収層4とは異なる熱可塑性樹脂フィルム20上にスパッタリング法により形成されている。但し、それぞれ透明基板2の視認側および本体側を着色加工する代わりに、各々の側に色素を含む粘着剤層を設けることで色調補正層3が形成されている。
本発明のPDP用光学フィルタ1は、反射防止層5、紫外線吸収層4および色調補正層3が視認側から見てこの順に形成されている限り、図1および図2に示したもの以外であってもよい。例えば、図2(f)〜(i)に示すような紫外線吸収層4とは異なる熱可塑性樹脂フィルムを着色加工して、色調補正層3を形成する場合、色調補正層3は、色調補正能を有する色素を含有する熱可塑性樹脂フィルムであってもよい。すなわち、熱可塑性樹脂原料中に色調補正能を有する色素を添加したものをフィルムに成形してもよい。
以下、本発明のPDP用光学フィルタ1を構成する各層について、より具体的に説明する。
透明基板2は、PDP用光学フィルタ1に要求される機能のうち、PDP本体に機械的強度を付与するものである。このため、高い剛性を有する透明材料で製造される。このような高剛性の透明材料としては、具体的にはガラス、透明で高剛性の高分子材料から適宜選択して使用することができる。好ましくはガラス、強化もしくは半強化ガラス、ポリカーボネート、又はポリアクリレートなどが挙げられる。
透明基板2の厚さは、要求特性(例えば、強度、軽量性)等によって適宜決定されるが、通常は0.1〜10mmの範囲であり、より好ましくは2〜4mmである。
色調補正層3は、色調補正能を有する色素を含有する層であり、PDP用光学フィルタ1に対して要求される機能のうち、透過可視光の色調補正を行い、PDPの画像特性の向上、より具体的には高コントラスト化および高鮮明色化を図るものである。
この色調補正は、PDP用光学フィルタ1を透過する可視光のうち、特定波長の可視光を選択的に吸収することによって達成される。したがって、色調補正層3に含有される色素は、特定波長の可視光を選択的に吸収するものであり、色素は染料と顔料のいずれも使用できる。「特定波長の可視光を選択的に吸収する」とは、可視光の波長領域(波長380〜780nm)の光のうち、特定波長領域の光を特異的に吸収することを指す。ここで色素によって特異的に吸収される波長領域は、単一の波長領域であってもよく、または複数の波長領域であってもよい。
このような特定波長を吸収する色素としては、具体的には例えば、アゾ系、縮合アゾ系、フタロシアニン系、アンスラキノン系、インジゴ系、ペリノン系、ペリレン系、ジオキサジン系、キナクリドン系、メチン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、ピロール系、チオインジゴ系、金属錯体系などの周知の有機顔料および有機染料、無機顔料が挙げられる。これらの中でも、耐候性が良好であることから、フタロシアニン系、アンスラキノン系色素が特に好ましい。なお、上記した色素のうちいずれか1種類を色調補正層3に含有させてもよいし、2種類以上を含有させてもよい。
色調補正層3には、PDP本体内に封入された放電ガス、例えばネオンとキセノンの二成分ガス、からの余分な発光色(主に560〜610nmに波長領域)を選択的に吸収・減衰させるための1種類若しくは複数種類の色調補正剤を混合して含有させることが好ましい。このような色素構成とすることによって、PDPの表示画面から発せられる可視光のうち、放電ガスの発光に起因する余分な光が色調補正層3に吸収・減衰され、その結果PDPの表示画面から発する可視光の表示色を表示目標の表示色に近づけることができ、自然な色調を表示し得る。
色調補正層3には、さらに、近赤外線吸収能を有する色素が含有されていることが好ましい。該色素は染料と含量のいずれも使用できる。ここで「近赤外線吸収能を有する色素)」とは、少なくとも近赤外領域(波長780〜1300nm)の光の一部を吸収できる色素であればよく、該色素が他の波長領域、例えば可視光にも吸収能を有している色素であってもよい。色調補正層3に近赤外線吸収能を有する色素を含有させれば、独立した層として近赤外線吸収層を形成することなしに、PDP用光学フィルタに要求される2つの機能、すなわち色調補正と、PDPから放出される近赤外線の遮蔽とを実現することができる。
このような近赤外線吸収剤の具体例としては、ポリメチン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、金属錯体系、アミニウム系、イモニウム系、ジイモニウム系、アンスラキノン系、ジチオール金属錯体系、ナフトキノン系、インドールフェノール系、アゾ系、トリアリルメタン系の化合物などが挙げられる。PDP用光学フィルタ1で近赤外線吸収能が要求されるのは、主として熱線吸収や電子機器のノイズ防止である。このためには、最大吸収波長が750〜1100nmである近赤外線吸収能を有する色素が好ましく、金属錯体系、アミニウム系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、ジイモニウム系が特に好ましい。なお、近赤外線吸収能を有する色素を、色調補正層3に含有させる場合、上記の色素のうちいずれか1種類を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
本発明のPDP用光学フィルタ1において、色調補正層3は、図1および図2に示すように、色調補正能を有する色素を含有する限り様々な態様を取りことができる。色調補正層3は、その態様に応じて好適な方法で形成すればよい。例えば、図2(l)〜(n)に示すように、粘着剤中に色調補正能を有する色素を含有させた態様の場合、粘着剤中に色調補正能を有する色素を染料または顔料として添加して、塗布して所望の厚さを有する色調補正層3を形成すればよい。粘着剤としては、市販されている粘着剤を使用することができるが、好ましい具体例としては、アクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、ポリウレタン、酢酸ビニル共重合体、スチレンーアクリル共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、スチレンーブタジエン共重合体系ゴム、ブチルゴム、又はシリコーン樹脂等の粘着剤を挙げることができる。
図2(a)および図2(f)〜(k)に示すような、熱可塑性樹脂フィルムを着色加工して、色調補正層3を形成する態様の場合や、図2(b)〜(e)に示すような透明基板2を着色加工して色調補正層3を形成する態様の場合、色調補正能を有する色素を染料または顔料として、そのまま、または溶剤に溶解させて、塗布および乾燥させて、所望の厚さを有する色調補正層3を形成すればよい。この目的で使用される溶剤としては、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エーテル系溶剤、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、エチルセロソルブ等のエーテルアルコール系溶剤、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤等が挙げられる。
また、色調補正層3が、色調補正能を有する色素を含有する熱可塑性樹脂フィルムである場合、フィルムの原料となる熱可塑性樹脂を所望の溶剤に溶解させて、色調補正能を有する色素を染料または顔料として添加して得た溶液を塗布し、乾燥させて所望の厚さを有する色調補正層3を形成すればよい。ここで使用する溶剤は、原料となる樹脂を溶解することができ、かつ添加される染料または顔料を溶解または分散することができればよい。このような溶剤としては、[0025]に例示したものを使用することができる。
色調補正能を有する色素を含む溶液、または色調補正能を有する色素およびフィルムの原料樹脂とを含む溶液を塗布して色調補正層3を形成する方法において、塗工法としては、例えばディップコート法、ロールコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、コンマコート法、ダイコート法などを選択できる。これらのコート法は連続加工が可能であり、バッチ式の蒸着法などに比べて生産性が優れている。または薄く均一な塗膜を形成できるスピンコート法も採用し得る。
色調補正層3の厚さは、十分な色調補正能を得るために0.5μm以上であることが好ましい。また、光透過性、より具体的には可視光線透過性が優れることから40μm以下が好ましい。また、色調補正層3の厚さが、40μm以下であると、所望の染料若しくは顔料、または染料等とフィルムの原料となる樹脂を含む溶液を塗布して、色調補正層3を形成する場合に、溶媒が残留しにくい、色調補正層3を形成する際の操作性が容易である。色調補正層3の厚さは、1〜25μmであることが特に好ましい。
色調補正層3が、色調補正能を有する色素を含有する粘着剤層または色調補正能を有する色素を含有する熱可塑性樹脂フィルムである場合、色素は、粘着剤または熱可塑性樹脂に対して、0.1質量%以上含有されることが好ましい。特に1質量%以上が好ましい。また、色調補正層3が近赤外線吸収能を有する色素を含有する場合、該色素の量は、熱可塑性樹脂に対して、0.1質量%以上含まれることが好ましく、特に2質量%以上が好ましい。また、粘着剤または熱可塑性樹脂フィルムの物性を保つため、色調補正能を有する色素の量、または色調補正能を有する色素と近赤外線吸収能を有する色素の合計量を、10質量%以下に抑えることが好ましい。
本発明のPDP用光学フィルタ1において、紫外線吸収層4は、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムであり、紫外線吸収層4よりも本体側に位置する色調補正層3に含まれる色素の光劣化を防止する。
ここでフィルムを構成する熱可塑性樹脂は、Tgが60℃以上であることが好ましい。粘着剤または接着剤として使用されるもののように、Tgが低い熱可塑性樹脂中に紫外線吸収剤を含有させると、紫外線吸収剤が粘着界面または接着界面に移動して、粘着性または接着性を阻害するおそれがある。紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムのTgが60℃以上であれば、熱可塑性樹脂フィルム中で紫外線吸収剤が移動する可能性が低減され、PDP用光学フィルタ1の他の構成要素、具体的には例えばガラス基材2、色調補正層3または反射防止層5の一部をなす他の熱可塑性樹脂フィルム20と粘着剤を介して接合させる場合に、粘着性が阻害されない。紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムのTgは、好ましくは80℃以上である。
熱可塑性樹脂フィルムを構成するTgが60℃以上の樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートに代表される芳香族ポリエステル、ナイロン6、ナイロン66に代表される脂肪族ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート等が例示される。これらの中、芳香族ポリエステルが好ましく、特に耐熱性、機械的強度に優れる二軸延伸フィルムを形成し得るポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましい。
熱可塑性樹脂フィルムに含有させる紫外線吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤、例えばサリチル酸系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物などを好ましく使用することができる。これらの中、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、環状イミノエステル系化合物が好ましい。ポリエステルに配合するものとしては、特に環状イミノエステル系化合物が好ましい。
熱可塑性樹脂フィルム中における紫外線吸収剤の含有量は0.1〜5質量%であることが好ましく、0.2〜3質量%であることがさらに好ましい。紫外線吸収剤の含有量が0.1〜5質量%であると、PDP用光学フィルタ1の視認側から入射する紫外線を吸収し、色調補正層3に含まれる色素の光劣化を防止する効果に優れており、かつ熱可塑性樹脂フィルムが機械的特性に優れている。
熱可塑性樹脂をフィルムに成形するには、公知の方法を用いることができる。例えば二軸延伸法を用いることで耐熱性および機械的強度に優れたフィルムを製造することができる。
熱可塑性樹脂に紫外線吸収剤を添加する方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の重合工程、フィルム製膜前の溶融工程での熱可塑性樹脂への練込み、二軸延伸フィルムへの含浸などを例示することができる。特に、熱可塑性樹脂の重合度低下を防止する意味でもフィルム製膜前の溶融工程で熱可塑性樹脂中に練込むことが好ましい。その際の紫外線吸収剤の練込みは、該剤の粉体の直接添加法、該剤を高濃度に含有するマスターポリマーを製膜用ポリマーに添加するマスターバッチ法などにより行うことができる。
紫外線吸収層4は、厚さが5〜250μmの範囲であることが好ましい。紫外線吸収層4の厚さが5〜250μmの範囲であると、PDP用光学フィルタ1の視認側から入射する紫外線を吸収する効果に優れており、かつ光透過性、具体的には可視光線透過性に優れている。紫外線吸収層4の厚さは、好ましくは50〜200μmであり、より好ましくは80〜200μmである。
反射防止層5は、屈折率が異なる層を積層して、該層を通過する光の干渉性を利用して、可視領域における反射率の低減を図るものである。本発明のPDP用光学フィルタでは、反射防止層5が、スパッタリング法により形成される、少なくとも各々1層以上である高屈折率層と低屈折率層とが交互に積層されている。この積層構造は、高屈折率層と低屈折率層の2層構造であってもよく、高屈折率層の両側に低屈折率層を設けたサンドイッチ構造の3層構造であってもよく、複数の高屈折率層と複数の低屈折率層を交互に積層した4層以上の積層構造であってもよい。但し、積層構造の最も視認側に位置する層は、低屈折率層であることが好ましい。積層させる層数は、必要に応じて適宜選択することができるが、好ましい層数は2〜7である。積層構造の総数が2〜7であると、反射防止特性に優れており、かつ生産性にも優れている。これらの層はそれぞれ、優れた反射防止特性を得るため、後述する所定の膜厚(屈折率n×層厚d) を構成するのが好ましい。
反射防止層5において、高屈折率層は、スパッタリング法で形成される、屈折率(n)が1.65以上の層であることが好ましい。このようなスパッタリング法で形成される高屈折率層としては、具体的には、TiO2 、Ta2 5 、ZrO2 、SnO2 、In2 3 、ITO(スズインジウム酸化物)、ZnO、AlでドープしたZnO(AZO)等が挙げられる。これらの中でも、ITOおよびAZOが好ましい。
低屈折率層は、スパッタリング法で形成される、屈折率(n)が1.5以下の層であることが好ましい。このようなスパッタリング法で形成される低屈折率層としては、具体的にはSiO2 、MgF、Al2 3 等が好ましい。これらの中でもSiO2 が好ましい。
反射防止層5の可視光線反射率としては、400nmから700nmの光の波長領域で5%以下であることが好ましい。さらに波長550nmにおける反射率が2%以下、さらには1%以下であることが好ましい。反射防止層の各層の厚みは、下記式を満足する光学膜厚となるように設定すると、効果が最も高くなるので好ましい。
d=0.25×λ/n
上記の式において、dは層厚み(nm)、λは光の波長(550nm)、nは層構成物質の屈折率を表す。
また、本発明のPDP用光学フィルタは、上記構成に加えてPDP用光学フィルタに要求される機能を満たすため他の構成要素を含んでもよく、むしろ含むことが好ましい。
このような他の構成要素としては、具体的にはPDPから発せられる電磁波をカットするための電磁波遮蔽層、PDPから発せられる近赤外線を遮蔽するための近赤外線吸収層、最表面の汚れを防止するための防汚層、フィルタ表面を保護するためのハードコート層等が挙げられる。これら他の構成要素は、特に限定されず、公知のものを広く選択することができる。
電磁波遮蔽層としては、例えば、特開2003−5663号公報に開示された導電性フィルムが挙げられる。同公報では、導電性フィルムとして、メッシュフィルム、金属透明導電性フィルムが例示されている。メッシュフィルムとしては、フォトリソグラフィー等のリソグラフィーにより得られるメッシュフィルム、繊維メッシュフィルムが例示されており、金属透明導電性フィルムとしては、透明な金属薄膜や、透明な樹脂フィルムに透明な金属薄膜を積層したもの、より具体的には、Agスパッタフィルム、ITO蒸着フィルムが例示されている。透明な樹脂フィルムに透明な金属薄膜を積層したものとは、透明な樹脂フィルムにスパッタリング法または蒸着法により、ITO、AZO、AgPd等の金属薄膜を積層させたものである。ここで、金属薄膜は、単層であってもよく、異なる金属薄膜を積層させたものであってもよい。
電磁波遮蔽層の厚さは、必要に応じて適宜選択することができるが、全体として80〜400μmであるのが好ましい。樹脂フィルムに金属薄膜を積層させた金属透明導電性フィルムの場合、金属薄膜の厚さは100〜500nmであるのが好ましく、樹脂フィルムの厚さは80〜300μmであるのが好ましい。
電磁波遮蔽層の構成材料は、適宜選択可能であるが、例えば、金属透明導電性フィルムの場合、構成材料として用いられる金属は、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、チタン、タングステン、スズ、鉛、鉄、銀、クロム;ステンレス等のこれらの合金が例示され、中でも、銅、ステンレス、アルミニウムが好ましい。一方、金属透明導電性フィルムの構成材料として用いられる樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、アクリル樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリスチレン、セルローストリアセテート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、金属イオン架橋エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、セロファンが例示され、中でも、PET、PMMA、PCが好ましい。
電磁波遮蔽層は、PDP用光学フィルタの本体側に形成しても、視認側に形成してもよい。視認側に形成する場合は、図1を例にすると、透明基板2と反射防止膜5との間であればどこに形成してもよく、特に限定されない。但し、電磁波遮蔽層を透明基板2の本体側に形成する場合、電磁波遮蔽層とPDP本体との界面での可視光線の反射を防止するため、電磁波遮蔽層の本体側に反射防止膜を設けることが好ましい。この反射防止膜は、PDP用光学フィルタの視認側に位置する反射防止層5と違って、高硬度である必要はない。したがって、上記したスパッタリング法により形成される反射防止層であってもよく、または従来の含フッ素重合体で形成される反射防止膜であってもよい。
近赤外線吸収層は、近赤外線吸収剤を含有する構造を広く含み、色調補正層に関して図1および図2に挙げたいずれの構造であってもよい。したがって、近赤外線吸収層の形成方法、厚さ等については上述した色調補正層に関する記載を参考にすることができる。また、近赤外線吸収能を有する色素の具体例についても上述した通りである。但し、近赤外線吸収層は、色調補正層と同一の層、すなわち、色調補正層に色調補正能を有する色素と、近赤外線吸収能を有する色素とを含有させたものであることが好ましい。
防汚層は、反射防止層の保護膜的な効果を狙うもので、外的要因により汚れた表面を清掃することで反射防止効果を常に保つことができるものである。この層の形成材料としては、透明性を有し、反射防止特性を損なわないものが必要である。例えば、フルオロアルキル基含有樹脂やフルオロカーボンやフルオロシラン等、あるいはこれらの化合物等が好ましい。また指紋拭き取り性には、メチル基を導入した化合物も適している。
防汚層の形成方法としては適用材料に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、プラズマ重合やロールコート法、スプレーコート法、ディップコート法等各種コーティング法を用いることができる。防汚層は反射防止特性を損なうことが無いよう、通常膜厚は30nm以下で形成される。
本発明のPDP用光学フィルタ1は、PDP本体の表示面に取り付けて用いることができる。ここで、PDP本体の表示面に取り付ける際、該表示面に光学フィルタを直接貼り付けてもよく、または、該表示面との間に間隔をおいて設置してもよい。
本発明のPDP用光学フィルタ1は、光学フィルタ1の視認側に位置する反射防止層5がスパッタリング法により形成された無機層であるため、表面硬度が高く、傷付き防止性に優れている。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
紫外線吸収層4として、紫外線吸収剤を含有する厚さ100μmのPETフィルム(HBLF84、帝人デュポンフィルム社製)を用い、該PETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームソースによる乾式洗浄を実施した。この乾式洗浄は、アルゴンガスに酸素ガス33%を混合して、出力100Wのイオンビームソースによりイオン化されたArイオンおよび酸素イオンを、PETフィルム表面に照射することで実施した。
次に、ITOターゲット(インジウム:錫=90:10)を用いたマグネトロンスパッタリングにより、該PETフィルム表面にITO層(高屈折率層:屈折率2.06)を成膜した。このとき0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ガスとしてはアルゴンガスに酸素ガスを2%混合し、ターゲットのパワー密度を1.3W/cm2 とし、20nmを目標に成膜した。
次に、多結晶Siターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該ITO膜表面にSiO2 層(低屈折率層:屈折率1.46)を成膜した。このとき、アルゴンガスと酸素ガス40%を導入し、0.35Paの圧力で周波数200kHz、反転パルス幅2.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を3.2W/cm2 とし、30nmを目標に成膜した。
次に、5%Al2 3 ドープされたZnO2 ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該SiO2 層の表面にAZO層(高屈折率層:屈折率1.93)を成膜した。このとき、アルゴンガスと、酸素ガス5%を導入し、0.35Paの圧力で周波100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を3.7W/cm2 とし、120nmを目標に成膜した。
次に、多結晶Siターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AZO層表面にSiO2 層(低屈折率層:屈折率1.46)を成膜した。このとき、アルゴンガスと酸素ガス40%を導入し、0.25Paの圧力で周波数200kHz、反転パルス幅2.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を3.5W/cm2 とし、90nmを目標に成膜した。これにより、紫外線吸収層4上に高屈折率層、低屈折率層、高屈折率層および低屈折率層がこの順で積層された反射防止層5が形成された。
さらに該SiO2 層の表面に厚さ2nmのフッ素系の防汚層30を形成した。PETフィルム4のITO膜を形成した側とは反対側の面に粘着剤10(リンテック社製、SY)を塗布し、後述する手順で色調補正層3を設けた。さらに粘着剤10(リンテック社製、SY)を塗布して、該粘着剤10を介してガラス製の透明基板2(2.5mm)に貼合させて、図3に示すPDP用光学フィルタ40が得られた。色調補正層3は、以下の手順で作製した。すなわち、色素としては、ABS594(Exciton Inc.製)を0.56%、KAYASET ORANGE A−N(日本化薬社製)を1.16%、KAYASET VIOLET A−R日本化薬社製)を0.268%、KAYASET BLUE A−2R(日本化薬社製)を0.395%、KAYASORB IRG−022(日本化薬社製)を4.44%、イーエクスカラー IR−14(日本触媒社製)を1.57%およびイーエクスカラー IR−12(日本触媒社製)を1.18%となるようにシクロペンタノンとジクロロメタンを1:1の割合の溶液に溶解し、乾燥膜厚6μmになるように、粘着剤10を塗布したPETフィルム4の面上に塗布した。
(視感透過率、視感反射率)
図3のPDP用光学フィルタ40について、分光光度計(島津製作所製、UV3150PC)を用いて、視認側(防汚層30側)からの入射光に対する透過率を波長300〜1300nmの範囲で測定し、可視光波長領域(380〜780nm)の視感透過率と、波長370nmの紫外光に対する透過率(T370)を求めた。さらに、下記手順で波長380〜780nmの範囲で反射率(片面反射)を算出し、視感反射率(JIS Z8701−1999において規定されている反射の刺激値Y)を求めた。
PDP用光学フィルタ40の非測定側(低反射膜60側)をその反射の影響がないように艶消し用の黒塗料などで塗布した状態で、分光光度計で分光立体角を測定し、JIS Z8701に従って反射率(片面光線反射)を算出した。算出式は以下の通りである。
T=K∫780 380 S(λ)y(λ) R(λ) dλ
T:片面光線反射率
S(λ) :色の表示に用いる標準の光の分布
y(λ) :XYZ表示系における等色関数
R(λ) :分光立体角反射率。
この結果、視間反射率0.49%、視感透過率93.5%であった。また、波長370nmでの透過率は0.8%と低かった。図5および図6に、透過率および反射率の測定結果をそれぞれ示した。
図3に示すPDP用光学フィルタ40について、防汚層30を光源側に向けてキセノン光を200mJ照射し、照射前後の光学特性を測定した。透過色の色座標変化はxが0.0037、yが0.0083であった。
上記で得られたPDP用光学フィルタ40の透明基板2の色調補正層3とは反対側の面に、粘着剤10を介して電磁波遮蔽層50を貼合した。電磁波遮蔽層50は以下の手順で製造した。
電磁波遮蔽層50の基材には、厚さ100μmのPETフィルムを用い、該PETフィルム表面の洗浄を目的としたイオンビームソースによる乾式洗浄を実施した。この乾式洗浄は、アルゴンガスに酸素ガス33%を混合して、出力100Wのイオンビームソースによりイオン化されたArイオンおよび酸素イオンを、PETフィルム表面に照射することで実施した。
次に、5%Al2 3 ドープされたZnO2 ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該PETフィルム表面にAZO層を成膜した。このとき、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を4.6W/cm2 とし、43nmを目標に成膜した。
次に、AgPd1%ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AZO層表面にAgPd層を成膜した。このとき、アルゴンガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅5.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を0.29W/cm2 とし、10nmを目標に成膜した。
次に、5%Al2 3 ドープされたZnO2 ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AgPd層表面にAZO層を成膜した。このとき、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を4.6W/cm2 とし、86nmを目標に成膜した。
次に、AgPd1%ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AZO層表面にAgPd層を成膜した。このとき、アルゴンガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅5.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を0.34W/cm2 とし、10.5nmを目標に成膜した。
次に、5%Al2 3 ドープされたZnO2 ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AgPd層表面にAZO層を成膜した。このとき、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を4.6W/cm2 とし、86nmを目標に成膜した。
次に、AgPd1%ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AZO層表面にAgPd層を成膜した。このとき、アルゴンガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅5.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を0.29W/cm2 とし、10nmを目標に成膜した。
次に、5%Al2 3 ドープされたZnO2 ターゲットを用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AgPd層表面にAZO層を成膜した。このとき、アルゴンガスに3体積%の酸素ガスを混合して導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ターゲットのパワー密度を4.1W/cm2 とし、43nmを目標に成膜した。
次に、ITOターゲット(インジウム:錫=90:10)を用いたマグネトロンスパッタリングにより、該AZO層表面にITO層を成膜した。このとき0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μsecのパルススパッタリングを行い、ガスとしてはアルゴンガスに酸素ガスを5%混合し、ターゲットのパワー密度を0.49W/cm2 とし、5nmを目標に成膜した。
このようにして形成した電磁波遮蔽層50の表面に、低反射膜60(リアルックRL7700(日本油脂製))を貼合した。これにより図4に示す構成のPDP用光学フィルタ1を得た。
(実施例2)
実施例1と同様にして、紫外線吸収層をなすPETフィルム4上に反射防止層5および防汚層30をこの順に形成する。PETフィルム4の反射防止層5を形成したのと反対側の面に色調補正層3として、色素を含有する粘着剤10を塗布する。すなわち、実施例2では、図3に示すPDP用光学フィルタ40における色調補正層3およびその上下に位置する粘着剤10とが同一の構成要素となっている。該色調補正層3を介してガラス製の透明基板2に貼合させ、PDP用光学フィルタ40を得ることができる。該PDP用光学フィルタ40について、防汚層30を光源側に向けて実施例1と同様の照射試験を実施すると、実施例1と同様光学特性の変化はあまりない。
色調補正層3としては、ABS594(Exciton Inc.製)を0.0922%、KAYASET VIOLET A−R日本化薬社製)を0.0874%、KAYASET BLUE A−2R(日本化薬社製)を0.0563%を、シクロペンタノンとジクロロメタンとを1:1の割合で含む溶媒に5%溶液となるように調合する。これに粘着剤10の主剤となる東洋インキ製BPS5896を固形分37%、硬化剤である東洋インキ製BXX4773を主剤に対して0.5%添加して、色素濃度を30%の溶液としてPETフィルム4に乾燥膜厚30μmになるように塗布する。
(比較例)
実施例の紫外線吸収剤を含有するPETフィルム4の代わりに、紫外線吸収剤を含まないPETフィルム4を用いたこと以外は、実施例1と同様の手順でPDP用光学フィルタ40を得た。比較例のPDP用光学フィルタ40についても、実施例と同様に図3のPDP用光学フィルタ40について、キセノン光照射を行い、照射前後の光学特性を測定した。透過色の色座標変化はxが0.0076、yが0.0160であった。また、視感透過率、T370および視感反射率を測定した。その結果、視間反射率0.59%、視感透過率94.7%であった。また、T370nmの透過率は、58%と高かった。図7および図8に、透過率および反射率の測定結果をそれぞれ示した。
比較例のPDP用光学フィルタ40に比べて、実施例1のPDP用光学フィルタ40は、紫外線遮蔽能を示すT370が著しく低く、ほぼ0%であった。これは実施例1のPDP用光学フィルタ要素40が紫外線遮蔽性に優れていることを示している。この結果から、PDP用光学フィルタ40の構成中、紫外線吸収層4に対して本体側に位置する色調補正層3に含まれる色素の光劣化が解消されることが予想される。
本発明のPDP用光学フィルタの一構成例を示す概念図である。 (a)〜(n)は、本発明のPDP用光学フィルタの構成例を示す概念図である。 実施例1のPDP用光学フィルタの構成を示す概念図である。 実施例1のPDP用光学フィルタの構成を示す概念図であり、図3の構成に加えてさらに電磁遮蔽層が形成されている。 実施例1のPDP用光学フィルタの透過率の測定結果を示すグラフである。 実施例1のPDP用光学フィルタの反射率の測定結果を示すグラフである。 比較例のPDP用光学フィルタの透過率の測定結果を示すグラフである。 比較例のPDP用光学フィルタの反射率の測定結果を示すグラフである。
符号の説明
1:PDP用光学フィルタ
2:透明基板
3:色調補正層
4:紫外線吸収層
5:反射防止層
10:粘着剤
20:熱可塑性樹脂フィルム
30:防汚層
40:PDP用光学フィルタ
50:電磁波遮蔽層
60:低反射膜

Claims (4)

  1. 反射防止層、紫外線吸収層および色調補正層を、視認側からこの順で含み、
    前記反射防止層は、スパッタリング法により形成される、互いに屈折率が異なる2層以上の層が積層されてなり、
    前記紫外線吸収層は、紫外線吸収剤を含有する熱可塑性樹脂フィルムからなり、
    前記色調補正層は、色調補正能を有する色素を含有することを特徴とするプラズマディスプレイパネル用光学フィルタ。
  2. 前記熱可塑性樹脂は、ガラス転移点(Tg)が60℃以上の熱可塑性樹脂である請求項1に記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
  3. 前記熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート(PET)である請求項1または2に記載のプラズマディスプレイ用光学フィルタ。
  4. 前記色調補正層は、さらに近赤外線吸収能を有する色素を含有する請求項1ないし3のいずれかに記載のプラズマディスプレイ用フィルタ。
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