JP2005053945A - 接着性樹脂組成物、それを用いた積層体およびその製造法 - Google Patents

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Osamu Miyaji
修 宮地
Hideo Kawabata
秀雄 川端
Fumio Asada
文男 浅田
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Abstract

【課題】各種基材との接着性等に優れ、かつ耐折り曲げ白化性、透明性に優れ化粧用シート等に好適に用いられる接着性樹脂組成物および積層体ならびにその製造法を提供するものである。
【解決手段】(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、および(C)ビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の質量比が5〜60/95〜40であり、共役ジエン部分の少なくとも80%が水添飽和されているビニル芳香族化合物・共役ジエン化合物ランダム共重合体とからなる樹脂組成物(I)および/または、該樹脂成分(A)、(B)および(C)を含み、その少なくとも成分(B)を有機過酸化物の存在下に動的熱処理してなる樹脂組成物(II)を含むことを特徴とする接着性樹脂組成物を用いる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、優れた接着性を有し、耐折り曲げ白化性、透明性に優れた特定のポリオレフィン樹脂組成物からなる接着性樹脂組成物およびそれを用いた積層体ならびにその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、意匠性を有するエンボスシートを用いた化粧材、内装材等としてポリ塩化ビニル製の材料が使用されているが、焼却処理時に腐食性ガスが発生する問題が生ずるため、ポリオレフィン系樹脂からなるエンボスシートが代替材料として使用され始めている。ポリオレフィン系エンボスシートは、意匠性や加工性に優れ、幅広い分野で使用されているが、近年、利用分野が拡大し、意匠性向上の要求が高まるに伴い、(1)広範な使用環境温度における安定性、(2)複雑化したエンボス模様の転写性、すなわちエンボス加工性、(3)深いエンボス模様を賦型するため、シート厚みを増加した場合において、二次加工時あるいは衝撃を受けたときなどの耐白化性を満足する樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献1参照)。しかし、昨今の一層の生産性の向上等の厳しい要求により、基材との接着性および低温での折り曲げ白化等のさらなる性能向上が求められている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−85824号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、従来のポリオレフィン系フィルムまたはシート(以下シートと称する)の特徴である、柔軟性、透明性、降伏応力強さ、耐傷付き性(表面硬さ)等の適度なバランスを保ち、その上接着性、透明性、折り曲げ白化等の性能に優れ、上記課題を解決した接着性樹脂組成物を提供することを目的とするものである。また、該接着性樹脂組成物を用いたシートを含む積層体、および効率よく該積層体を製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、(A)ポリプロピレン系樹脂(以下、「成分A」という)、(B)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(以下、「成分B」という)、および(C)ビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の質量比が5〜60/95〜40であり、共役ジエン部分の少なくとも80%が水添飽和されているビニル芳香族化合物・共役ジエン化合物ランダム共重合体(以下、「成分C」という)とからなり、かつ成分Aが95〜40質量%、ならびに成分Bおよび成分Cの合計量が5〜60質量%であり、成分Bと成分Cとの質量比(成分B/成分C)が5〜95/95〜5である樹脂組成物(I)および/または該樹脂成分(A)、(B)及び(C)を含み、その少なくとも成分Bを有機過酸化物の存在下に動的熱処理してなる樹脂組成物(II)を含むことを特徴とする接着性樹脂組成物である。
【0006】
本発明の第2は、前記第1の接着性樹脂組成物中に下記(a)〜(d)の官能基含有モノマー単位のいずれかを含み、その含有量が0.005〜20質量%であることを特徴とする記載の接着性樹脂組成物である。
(a)カルボキシル基含有モノマー、
(b)エポキシ基含有モノマー、
(c)ヒドロキシ基含有モノマー、
(d)有機シリル基含有モノマー。
【0007】
本発明の第3は、前記第1または第2に記載の接着性樹脂組成物からなるフイルムまたはシート層(接着性樹脂組成物層)と基材層とを少なくとも含むことを特徴とする積層体である。
【0008】
本発明の第4は、基材層/印刷層/接着性樹脂組成物層/表面層とからなる層構成を少なくとも有することを特徴とする積層体である。
【0009】
本発明の第5は、前記第1または第2に記載の接着性樹脂組成物からなるフイルムまたはシート層(接着性樹脂組成物層)と表面層とを共押出し成形により、該接着性樹脂組成物層を基材層上に印刷層を介してまたは介さずに積層して融着を行うことを特徴とする積層体の製造法である。
【0010】
本発明の第6は、第5に記載の積層体の製造方法において、基材層と前記接着性樹脂組成物層とを積層する際に、少なくとも、溶融状態の接着性樹脂組成物層の基材層側の面にオゾン処理を施すことを特徴とする積層体の製造法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において使用される成分は以下の通りである。
[樹脂組成物(I)]
{ポリプロピレン系樹脂:成分A}
本発明の成分Aとして用いられるポリプロピレン系樹脂としては、ホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂、ランダムポリプロピレン樹脂、およびポリプロピレン結晶部を有しかつプロピレン以外の炭素数2〜20のα−オレフィン、好ましくはエチレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1またはオクテン−1などのコモノマー15モル%以上を含有するプロピレン・α−オレフィン共重合体等を例示することができる。
成分Aは、主として、本発明の接着性樹脂組成物層の降伏応力、耐傷付き性(表面硬さ)および耐熱性の保持などの点に影響を及ぼす。これらの要求性能を最もバランスよく実現するためには、成分Aの中でも、成分Bおよび成分Cとの相溶性に優れ、かつ透明性に優れているランダムポリプロピレン樹脂が好ましく、特にエチレン含有量3〜9質量%のものが好ましい。エチレン含有量が3質量%未満では接着性樹脂組成物層の透明性が不十分な場合があり、9質量%を超えるものでは接着性樹脂組成物層の表面にベト付きが発生することがある。
【0012】
本発明に用いる成分Bおよび成分Cは、成分Aの上記特性をできるだけ損なわずに、成分A単体では不十分な柔軟性、透明性、感触、風合い、鋭角な折り曲げを伴う二次加工の際や衝撃を受けたときの白化などの点を改良し、さらに加工時の固化速度や溶融物の安定性を調整して、基材との接着性等を改良する目的で添加する。
以下、両成分に関して説明する。
【0013】
{エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム:成分B}
本発明の成分Bとして用いられるエチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとは、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムまたは微結晶性のエチレン・α−オレフィン共重合体を包含するものである。上記α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが用いられ、好ましくはプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、特にプロピレンが好ましい。
成分Bは柔軟性に優れているほか、成分Aとの相溶性に優れているため、成分A中に微細に分散して、透明性を損なわず、接着性にも優れている。上記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムのα−オレフィンの含有量は10モル%以上であり、α−オレフィン含有量15モル%以上のものが好ましい。具体的にはエチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム(EPDM)あるいはエチレン・ブテン−1共重合体ゴム等が挙げられる。
【0014】
{ビニル芳香族化合物・共役ジエン化合物ランダム共重合体の水添物:成分C}本発明で用いる成分Cは、ビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の質量比が5〜60/95〜40であるビニル芳香族化合物・共役ジエン化合物ランダム共重合体の共役ジエン部分の少なくとも80%を水添飽和したものである。成分Cは明確な融点を示す結晶部を含まないため、耐熱性に関する特性において成分Bと同等の効果を期待することはできない。しかしながら、成分A中に微細に分散して球晶のサイズを微小化するため、比較的少量の添加で透明性や耐折り曲げ白化性を改良することができるので、最終組成物の特性のバランス上有用である。
【0015】
上記ビニル芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ジメチルスチレン、ビニルナフタレン等を使用することができるが、スチレンを主成分とすることが好ましい。共役ジエン化合物としては、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン等を使用することができるが、ブタジエン、特に1,3−ブタジエンを主成分とするものを使用することが好ましい。また、ビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物の配合割合は上記の通りであるが、共役ジエン化合物の量が大きいことが好ましく、特にビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の質量比は5〜40/95〜60であることがより好ましい。共役ジエン部分の少なくとも80%以上、好ましくは90%以上が水素添加により飽和されていることが必要であり、この飽和化により耐熱性、耐候性、あるいは成分Aおよび成分Bに対する相溶性が向上する。
【0016】
これらの成分Aと、成分Bおよび成分Cとの配合比は、本発明の効果を得るためには、成分Aが95〜40質量%、ならびに成分Bおよび成分Cの合計量が5〜60質量%、好ましくは成分Aが90〜45質量%ならびに成分Bおよび成分Cの合計量が10〜55質量%の範囲が用いられ、より好ましくは成分Aが75〜50質量%ならびに成分Bおよび成分Cの合計量が25〜50質量%の範囲から選定される。
【0017】
上記の成分Aの配合量が40質量%未満では、結晶成分の量が低下するため、溶融物の固化に長時間を要し、また相対的に成分Bおよび成分Cの量が増加するため、表面にベト付き感が発生する。一方、成分Aが95質量%を超えると、溶融物の見かけ粘度の剪断速度依存性が大きくなって溶融物が不安定となり、また相対的に成分Bおよび成分Cの量が低下するため、柔軟性と透明性が不足する。
【0018】
本発明の成分Bと成分Cとの配合割合は、成分Bが95〜5重量%に対し成分Cが5〜95重量%の範囲、好ましくは成分Bが75〜25重量%に対し成分Cが25〜75重量%の範囲、さらに成分Bが40〜60重量%に対し成分Cが60〜40重量%の範囲において最も好ましい効果が得られる。
【0019】
[樹脂組成物(II)]
上記樹脂組成物(II)は、上記成分A、成分Bおよび成分Cを含み、その少なくとも成分Bを有機過酸化物の存在下に動的熱処理して得られるものである。動的熱処理とは、これらの成分を有機過酸化物の存在下に、加熱溶融した状態で、混練することにより少なくとも成分Bを部分架橋または完全架橋させるものである。
これらは、前記成分A、成分Bおよび成分Cを有機過酸化物の存在下で動的熱処理したもの、または成分Aと成分Bをあらかじめ有機過酸化物の存在下で動的熱処理し、さらに成分Cを加熱混合したもの、あるいは成分Bと成分Cを有機過酸化物の存在下で動的熱処理し、さらに成分Aを加熱混合したものを包含するものである。勿論成分B単独を有機過酸化物の存在下で動的熱処理したものに成分Aおよび成分Cを加熱混合したものでも差し支えない。本動的熱処理により、特に成分Aは架橋は進行せず分解反応が主としておこり、成分Bが選択的に架橋されるものである。これらの動的熱処理方法は、ポリオレフィン系エラストマー(TPO)の製造に通常行われている一般的な方法である。
なお、該樹脂組成物(II)の動的熱処理においては、上記ポリオレフィン系エラストマーの製造の際に行われている鉱物油等の配合物を所定量配合しても良い。
【0020】
本発明においては、上記樹脂組成物(I)または樹脂組成物(II)中に(a)カルボキシル基含有モノマー、(b)エポキシ基含有モノマー、(c)ヒドロキシ基含有モノマーおよび(d)有機シリル基含有モノマーの少なくとも1種の官能基含有モノマー単位を接着性樹脂組成物中に0.005〜20質量%の割合で含有させることにより、さらに接着性を向上させることができる。
【0021】
上記官能基含有モノマーの(a)カルボキシル基含有モノマーとしては、カルボン酸基、カルボン酸エステル基または酸無水基を含有するモノマー、具体的にはマレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸、あるいはこれらα,β−不飽和ジカルボン酸または不飽和モノカルボン酸のエステルまたは無水物が挙げられる。特に無水マレイン酸が好ましい。
【0022】
該(b)エポキシ基含有モノマーとしてはアクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、イタコン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸モノグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸ジグリシジルエステル、ブテントリカルボン酸トリグリシジルエステルおよびα−クロロアリル、マレイン酸、クロトン酸、フマ−ル酸等のグリシジルエステル類またはビニルグリシジルエ−テル、アリルグリシジルエ−テル、グリシジルオキシエチルビニルエ−テル、スチレン−p−グリシジルエ−テルなどのグリシジルエ−テル類、p−グリシジルスチレンなどが挙げられるが、特に好ましいものとしてはメタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエ−テル等を挙げることができる。
【0023】
該(c)ヒドロキシ基含有モノマーとしては1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0024】
該(d)有機シリル基含有モノマーとしてはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセチルシラン、ビニルトリクロロシランなどが挙げられる。
【0025】
本発明の樹脂組成物(I)または樹脂組成物(II)中に官能基を含有するモノマー単位を導入する方法としては、▲1▼上記樹脂組成物(I)および/または樹脂組成物(II)に上記官能基を含有するポリオレフィン系樹脂をブレンドする方法、▲2▼樹脂組成物(I)および/または樹脂組成物(II)を官能基含有モノマーでグラフト変性する方法、▲3▼樹脂組成物(I)のいずれかの1成分を該官能基含有モノマーでグラフト変性する方法、▲4▼樹脂組成物(II)を得るために動的熱処理する際に官能基含有モノマーでグラフト変性して導入する方法等が挙げられるが、特にこれらの方法に限定されるものではない。
【0026】
本発明において、官能基を導入する第1の方法は、▲1▼上記樹脂組成物(I)および/または樹脂組成物(II)に官能基を含有するポリオレフィン系樹脂をブレンドする方法であり、そこに用いられる官能基を含有するポリオレフィン系樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂に上記官能基含有モノマーを有機過酸化物の存在下に予めグラフトさせた変性ポリオレフィン系樹脂、あるいはエチレンを必須とし、所望により他のα−オレフィンの共存下で上記官能基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体等が挙げられる。
【0027】
上記のポリオレフィン系樹脂を官能基含有モノマーでグラフト変性する方法としては、ポリオレフィン系樹脂を有機過酸化物および官能基含有モノマーの存在下に、押出機等で加熱溶融混練あるいは適当な溶剤に溶解し撹拌すること等により行われる。中でも押出機を用いる方法は簡便で経済的であるので好ましい。
【0028】
以下にグラフト変性ポリオレフィン系樹脂について説明する。
{ポリオレフィン系樹脂}
上記グラフト変性ポリオレフィン系樹脂に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエチレン(LDPE)、エチレン・ビニルエステル共重合体、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体などの高圧ラジカル法エチレン(共)重合体;チーグラー系触媒、フィリップス系触媒、メタロセン系触媒等(これらをチーグラー系触媒等と称する)による低・中・高圧重合によって得られる高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン等のポリエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等のエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム;ポリプロピレン単独重合体、プロピレンとエチレンとのランダム共重合体、ブロック共重合体等のポリプロピレン系重合体;炭素数4〜10のα−オレフィンの単独重合体又はその共重合体等が挙げられる。
【0029】
(低密度ポリエチレン)
上記高圧ラジカル重合法によって得られた低密度ポリエチレン(LDPE)は、MFRが0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で選択される。この範囲であれば、メルトテンションが適切な範囲となり、成形加工性が向上する。また、LDPEの密度は、0.91〜0.94g/cm、さらに好ましくは0.91〜0.935g/cmの範囲である。LDPEのメルトテンションは、1.5〜25g、好ましくは3〜20g、さらに好ましくは3〜15gである。また、LDPEの分子量分布Mw/Mnは、3.0〜12、好ましくは4.0〜8.0の範囲のものが選択される。
【0030】
(エチレン・ビニルエステル共重合体)
上記エチレン・ビニルエステル共重合体とは、高圧ラジカル重合法で製造されるエチレンを主成分とするプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオル酢酸ビニルなどのビニルエステル単量体との共重合体である。中でも、特に好ましいものとしては、酢酸ビニルを挙げることができる。また、エチレン50〜99.5質量%、ビニルエステル0.5〜50質量%、他の共重合可能な不飽和単量体0〜49.5質量%からなる共重合体が好ましい。特に、ビニルエステルの含有量は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の範囲である。エチレン・ビニルエステル共重合体のMFRは、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で選択される。
【0031】
(エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体)
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体としては、エチレン・(メタ)アクリル酸またはそのアルキルエステル共重合体が挙げられ、これらのコモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル等を挙げることができる。この中でも特に好ましいものとして、(メタ)アクリル酸のメチル、エチル等のアルキルエステルを挙げることができる。特に、(メタ)アクリル酸エステルの含有量は3〜30質量%、好ましくは5〜25質量%の範囲である。
エチレンとα,β−不飽和カルボン酸またはその誘導体との共重合体のMFRは0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分である。
具体的にはエチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル、エチレン・無水マレイン酸・アクリル酸エチル等のエチレン・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体金属塩(アイオノマー)等が挙げられる。
【0032】
上記の低密度ポリエチレン等の重合法である高圧ラジカル法とは、圧力500〜3500kg/cmG(49〜343MPa・Gauge)の範囲、重合温度は100〜400℃の範囲、チューブ状リアクター、オートクレーブリアクターを使用して、有機または無機の過酸化物等の遊離基発生剤の存在下で重合される方法である。
【0033】
上記のチーグラー系触媒等を用いる低・中・高圧重合およびその他の公知の方法によるポリエチレン系重合体としては、密度0.94〜0.97g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.91〜0.94g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、密度が0.86〜0.91g/cmの超低密度ポリエチレン(VLDPE)が挙げられる。
【0034】
(高密度ポリエチレン)
高密度ポリエチレンは密度0.94〜0.97g/cmの範囲で、チーグラー系触媒等を用いる低・中・高圧法で実質的に溶媒の存在しない気相重合法、スラリー重合法、溶液重合法等で単段重合法、多段重合法で、エチレン単独もしくは少量のα−オレフィンとの共重合体により製造される。
MFRは、0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、さらに好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で選択される。
また、α−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0035】
(直鎖状低密度ポリエチレン)
チーグラー系触媒等による直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)は、密度が0.91〜0.94g/cm、好ましくは0.91〜0.93g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、MFRは0.01〜100g/10分、好ましくは0.05〜80g/10分、より好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で選択されることが望ましい。
また、α−オレフィンは、炭素数3〜20、好ましくは炭素数4〜12の範囲のものであり、具体的にはプロピレン、ブテン−1、4−メチル−ペンテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げることができる。
【0036】
(超低密度ポリエチレン)
チーグラー系触媒等による超低密度ポリエチレン(VLDPE)とは、密度が0.86〜0.91g/cm、好ましくは0.89〜0.905g/cmの範囲のエチレン・α−オレフィン共重合体であり、LLDPEとエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(EPR、EPDM)の中間の性状を示すポリエチレンである。また、MFRは0.01〜100g/10分、好ましくは0.1〜50g/10分の範囲で選択されることが望ましい。
【0037】
(エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム)
また、前記エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしては、密度が0.86〜0.91g/cmのエチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム等が挙げられ、該エチレン・プロピレン共重合体ゴムとしては、エチレンおよびプロピレンを主成分とするランダム共重合体(EPM)、および第3成分としてジエンモノマー(ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等)を加えたものを主成分とするランダム共重合体(EPDM)が挙げられる。
【0038】
(ポリプロピレン系樹脂等)
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン・α−オレフィンとの共重合体が挙げられ、具体的にはプロピレンとエチレンとのランダム共重合体、プロピレンとエチレンとのブロック共重合体等が挙げられる。
また、他の例としては炭素数4〜10のα−オレフィンの単独重合体又は該α−オレフィンと他のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。
【0039】
{官能基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体}
次にエチレンを必須とし、所望により他のα−オレフィンの共存下で官能基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体について説明する。
上記官能基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体としては例えば官能基含有モノマーとして(a)カルボキシル基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体の例としては、エチレンとα,β−不飽和カルボン酸とのランダム共重合体が挙げられる。具体例としては、アクリル酸、メタクリル酸、フラン酸、クロトン酸、ビニル酢酸、ペンテン酸等の不飽和モノカルボン酸類:マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸等のα,β−不飽和ジカルボン酸、またはその無水物等が挙げられる。
具体的なエチレン共重合体には、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸・酢酸ビニル共重合体、エチレン・無水マレイン酸・(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の2元または多元ランダム共重合体が挙げられる。特にエチレンと無水マレイン酸との2元または多元共重合体が好ましい。
【0040】
また、該(b)エポキシ基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体の例としては、エチレン・アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・アクリル酸グリシジル・酢酸ビニル共重合体等を挙げることができる。
【0041】
また、該(c)ヒドロキシ基含有モノマーを共重合したエチレン共重合体の例としては、エチレン・1−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン・ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
【0042】
本発明において、官能基を導入する第2の方法は、▲2▼樹脂組成物(I)および/または樹脂組成物(II)を官能基含有モノマーでグラフト変性する方法である。すなわち、成分A、成分Bおよび成分Cの混合物である樹脂組成物(I)および/または樹脂組成物(II)と官能基含有モノマーとを有機過酸化物の存在下に反応させ、その構成成分の本来的性質を損なわずにグラフト変性する方法である。
特に樹脂組成物(II)においては、動的熱処理により、部分または完全架橋物が存在する熱可塑性エラストマーとなっているため、所望により鉱物油等の熱可塑性エラストマーを製造する時に添加する配合剤を加えてもよい。
【0043】
本発明において、官能基を導入する第3の方法は、▲3▼樹脂組成物(I)のいずれか1成分を該官能基含有モノマーでグラフト変性する方法である。すなわち、成分A、成分Bあるいは成分Cのいずれかを該官能基含有モノマーでグラフト変性した後、これを他の成分と混合して樹脂組成物(I)とするものである。なお、グラフト変性を押出機内で行う場合、グラフト変性と混合を同一の押出機で行っても良いし、逐次に連続的に行っても差し支えない。
【0044】
本発明において、官能基を導入する第4の方法としては、▲4▼樹脂組成物(II)を得るために動的熱処理する際に同時に官能基含有モノマーでグラフト変性して導入する方法である。すなわち、該組成物の少なくとも成分Bを有機過酸化物の存在下で動的熱処理を行う際に、官能基モノマーを同時に存在させることにより、グラフト変性と部分架橋もしくは完全架橋した樹脂組成物(II)を得る方法である。また、押出機を用いて動的熱処理する場合、押出機のサイドから官能基含有モノマー、あるいは鉱物油などの添加剤とともに添加してもよい。
【0045】
より具体的には、▲4▼−1:成分A、成分B、成分Cと官能基含有モノマー(Mと略す)の1種及び有機過酸化物(Pと略す)を同時に配合し、架橋と変性を行う方法である{(A+B+C+M+P)→架橋・変性→樹脂組成物(II)}。
【0046】
また他の方法は、予め成分Aおよび/または成分Cと成分Bとを動的熱処理して架橋した後、次いで変性する方法であり、大略以下の4通りの方法が挙げられる。
▲4▼−2a:予め成分A、成分Bを有機過酸化物Pで架橋して、次いで成分Cと官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pとを溶融混合してモノマーMでグラフト変性する方法{(A+B+P)→架橋→(該架橋物+C+M+P)→変性→樹脂組成物(II)}である。
▲4▼−2b:予め成分A、成分Bを有機過酸化物Pで架橋して、次いで官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pとを溶融混合してグラフト変性した後に成分Cを後添加配合する方法{(A+B+P)→架橋→(該架橋物+M+P)→変性→(該変性物+C)→樹脂組成物(II)}である。
▲4▼−2c:予め成分B、成分Cを有機過酸化物Pで架橋して、次いで成分Aと官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pとを溶融混合してグラフト変性する方法{(B+C+P)→架橋→(該架橋物+A+M+P)→変性→樹脂組成物(II)}である。
▲4▼−2d:予め成分B、成分Cを有機過酸化物Pおよび官能基含有モノマーMで架橋、変性して、次いで成分Aを後配合する方法{(B+C+P+M)→架橋・変性→(該架橋変性物+A)→樹脂組成物(II)}である。
【0047】
また他の方法は、予め成分(B)のみを動的熱処理して架橋した後、または成分(A)および/または成分(C)と変性する方法等であり、大略以下の3通りの方法が挙げられる。
▲4▼−3a:予め成分Bを有機過酸化物Pで架橋した後、成分A、成分C、官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pを配合して、変性する方法{(B+P)→架橋→(該架橋物+A+C+M+P)→変性→樹脂組成物(II)}である。
▲4▼−3b:予め成分Bを有機過酸化物Pで架橋した後、成分A、官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pを配合して変性し、成分Cを後添加する方法{(B+P)→架橋→(該架橋物+A+M+P)→変性→(該変性物+C)→樹脂組成物(II)}である。
▲4▼−3c:予め成分Bを有機過酸化物Pで架橋した後、成分C、官能基含有モノマーMおよび有機過酸化物Pを配合して変性し、成分Aを後添加する方法{(B+P)→架橋→(該架橋物+C+M+P)→変性→(該変性物+A)→樹脂組成物(II)}である。
これらの変性方法は、所望により適宜選択されるものである。
【0048】
なお、本発明の接着性樹脂組成物には、成分A、成分Bおよび成分Cに加えて、本発明の主旨を損なわない範囲で、他の樹脂を添加してもよい。また、用途に応じて、酸化防止剤(例えば、フェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物等)、耐候剤(例えば、ヒンダード・アミン系化合物)、滑剤(例えば、高級脂肪酸アミド、フッ素系樹脂、金属石鹸等)、抗ブロック剤(例えば、珪酸類、炭酸塩類等)などの添加剤、あるいは意匠性の効果を上げるために少量の有機顔料または無機顔料を、本発明の主旨を損なわない範囲で添加してもよい。
【0049】
上記のようにして得られた接着性樹脂組成物は単独でシートに成形して使用してもよく、さらにエンボスシートとして使用しもよい。エンボスシートを製造するには、公知のエンボスロールなどを用いることができる。エンボス加工はシートの片面のみに施してもよく、また両面に施してもよい。
本発明のシートあるいはエンボスシートの用途としては、耐候性、耐熱性および柔軟性に高い性能が要求され、かつ優れた透明性、意匠性、感触などが要求される分野に好適である。例えば、包装材、産業容器、化粧品容器、食料品容器等、および文具、玩具、ビデオカセットケース類、賦型フイルム等を例示することができる。
【0050】
[積層体]
本発明の第2は、上記接着性樹脂組成物層を基材に積層した積層体に関するものである。本発明に使用する基材としては、特に限定されるものではなく、具体的な材料としては、紙、合成樹脂、ゴム、木材、セラミックス、ガラス、金属等が挙げられる。これらは、フイルム、シート、板、中空体等の種々の成形品として利用され、例えば合成樹脂フイルムまたは合成樹脂シート、発泡フイルムまたは発泡シート、多孔フイルム、ゴムシート、不織布、織布、金属箔、板、ガラス板等が挙げられる。
【0051】
紙としては、クラフト紙、和紙、グラシン紙、板紙等が挙げられ、これらは印刷等の加工を施したものでもよい。
【0052】
合成樹脂フイルムまたは合成樹脂シートとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリビニアルコール樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、アクリル樹脂等から成形されたフイルムまたはシートが挙げられる。これらの中でもポリオレフィンが接着性、経済性等の点で最も汎用性があり適当である。これらは、延伸、印刷、蒸着等の2次加工されたものでも良い。
【0053】
発泡フイルムまたは発泡シートとしては、特に限定されるものではないが、一般的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を用いたものが挙げられる。これらの中でもポリオレフィンが経済性、耐熱性、機械的強度等の点で好ましい。
【0054】
多孔フイルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート等により製造されるが、特にポリプロピレンからなる多孔フイルムが経済性、耐熱性、機械的強度等の点で好ましい。多孔フイルムの製造は、上記樹脂にフイラー等を配合し、製膜後配向する方法、あるいは溶剤で抽出する方法等により適宜行うことができ、特に限定されるものではない。
【0055】
ゴムシートとしては、エチレン・プロピレン共重合体ゴム、エチレン・プロピレン・ジエン共重合体ゴム、スチレン・ブタジエン共重合体、アクリロニトリル・スチレン共重合体ゴム、SIS(スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体)、SBS(スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体)、ポリウレタン等を用いたものが挙げられる。
【0056】
不織布としては、マルチフィラメントの集積物やステープルファイバーを集積したランダム不織布、延伸フイルムを割繊した後、経緯積層した不織布、フラットヤーンを経緯積層した不織布等が挙げられる。織布としては、合成樹脂のフラットヤーンやマルチフィラメント、天然繊維、合成繊維、ガラス繊維、カーボン繊維等の有機および無機繊維の織布が挙げられる。
【0057】
また、金属箔または板としては、アルミニウム、鉄、ニッケル、金、銀等の箔・板が挙げられる。これらの中でも、特にアルミニウム箔が経済性や諸物性等の点で好ましい。
【0058】
本発明の積層体は、前記接着性樹脂組成物からなるフイルムまたはシート(以下、単に「シート」ともいう)層(接着性樹脂組成物層)と基材層とを少なくとも含む積層体であり、特に好ましい積層体は、基材層/印刷層/接着性樹脂組成物層/表面層とからなる積層体である。
このような印刷層を含むことにより任意の印刷模様の施された基材を用いれば意匠性の優れた製品となる。特に本発明の中でも接着性樹脂組成物層は透明性の優れたシートとなることが特長であり、上記の構成とすることにより、第一に、印刷層に対して保護層として機能することが挙げられる。すなわち、意匠性を損なわないで、物理的損傷要因および化学的劣化要因に対する保護層となり、また、適切な添加剤を加えることにより紫外線などの劣化要因に対しても保護層として極めて優れた効果を発揮する。特長の第二として、優れた意匠性を付与し得る点が挙げられる。すなわち、シートはエンボス加工が施されることが好ましく、エンボス模様を通して印刷層を見るので、極めて優れた意匠的効果を発揮する。
なお、上記の表面層は接着性樹脂組成物層を保護することを主な目的とし、本発明の接着性樹脂組成物と共押出し成形により積層されることが好ましいため、接着性樹脂組成物と相性の良いポリオレフィン系樹脂が好ましい。中でも比較的硬度のあるポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0059】
上記積層体の用途としては、耐候性、耐熱性と柔軟性に高い性能が要求され、かつ、優れた透明性、意匠性、感触が要求される分野に好適である。例えば、産業用一般容器、食料品容器、化粧品容器等の表面被覆、および文具、玩具、家具、オーディオケース等の外装部材、あるいは扉部材などに使用される建装材化粧シート等が挙げられる。
【0060】
[積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は特に限定されるものではなく、押出ラミネート法、ドライラミネート法、共押出法等、公知の方法で製造されるが、好ましくは本発明の接着性樹脂組成物層と表面層とを共押出し成形により、印刷層を介してまたは介さずに、該接着性樹脂組成物層を基材層上に積層して融着を行うことを特徴とし、好ましくは基材層と前記接着性樹脂組成物層とを積層する際に、少なくとも、溶融状態の接着性樹脂組成物層の基材層側の面にオゾン処理を施すことが好ましい。
本発明の積層体において、その目的によりさらに層間の接着強度が必要である場合には、基材層の表面に接着剤を塗布することなどが好ましい。前記接着剤としては、従来ポリオレフィン用に市販されているものなど特に限定されるものではなく、ウレタン系、ポリエステル系、水性アクリルエマルジョン系等のものを使用することができるが、印刷インキとの組合せを考慮してウレタン系の接着剤が最も適当である。接着剤の塗布方法も一般的な方法であればよく、特別に制約されるものではない。接着剤の塗布量は、多すぎるとシートの折り曲げ時に白化が発生し易いため、厚みは1〜10μmが適当である。
【0061】
前記オゾン処理装置としては、一般的なものであればよく特に限定されるものではない。オゾン処理量については、低濃度高流量型および高濃度低流動型があり、その優劣は定め難いが、流量が多すぎると溶融樹脂の膜搖れや温度低下等の悪影響が考えられるため、オゾン濃度20〜50g/Nm、空気流量1〜10Nm/時間が適当である。
【0062】
本発明の積層体の製造方法では、上記の接着性樹脂組成物と共押出方法およびオゾン処理を組み合わせることにより、接着強度と透明性、折り曲げ白化等の性能を効率的に、かつ飛躍的に向上させることが可能となったものである。
【0063】
【実施例】
以下実施例により、さらに詳述する。
[使用樹脂]
○成分A:プロピレン・エチレン共重合体(ランダムポリプロピレン樹脂)
MFR(230℃−2.16kg荷重)=9g/10分、融点130℃、エチレン含量=7質量%、銘柄:PC741R サンアロマー株式会社製
○成分B1:エチレン・プロピレン共重合体ゴム(EPR)
MFR(230℃−2.16kg荷重)=4g/10分、プロピレン含量=16モル%(22質量%)、銘柄:EP912P JSR株式会社製
○成分B2:超低密度ポリエチレン(VLDPE)
特開昭60−149605号公報の実施例2に記載された触媒および製造条件に準拠してエチレンとブテン−1の共重合体を製造した。
密度0.890g/cm、MFR(190℃−2.16kg荷重)=20g/10分、融点85℃、ブテン−1含量=20モル%
○成分C:スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物(HSBR)
MFR(230℃−2.16kg荷重)=9g/10分、スチレン含量=10質量%、水添飽和率=80%以上、銘柄:ダイナロン 1320P JSR株式会社製
○成分D:無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン
ホモポリプロピレンに無水マレイン酸を1.4質量%グラフトした変性ポリプロピレン(銘柄:P9000M 日本ポリオレフィン(株)製)をプロピレン・エチレン共重合体(ランダムポリプロピレン樹脂:MFR(230℃−2.16kg荷重)=9g/10分、融点130℃、エチレン含量=7質量%)で希釈して成分Dとした。各希釈量は、表4に記載した配合量で接着性樹脂組成物の無水マレイン酸含有量が0.015質量%となるようにした。
○表面層:ホモポリプロピレン樹脂
MFR(230℃−2.16kg荷重)=8g/10分、融点160℃、銘柄:PX600N サンアロマー株式会社製
【0064】
[積層条件]
押出機:90mmφ、L/D=32
ダイス設定温度:250℃
成形速度:70m/分
エアーギャップ:120mm
【0065】
[試験法]
{接着強度}
上記成形法にて得られた多層シートをM方向に15mm幅の短冊状にカットし、接着層とPPシート層間の接着強度をテンシロンを用い測定した。引張速度は300mm/分、剥離方向はT方向とした。
{折り曲げ白化}
ASTM D1593−81「ポリ塩化ビニルシートに関わる特性試験」に指定された機器を用いて、0℃、10℃および20℃の環境下で折り曲げ試験を実施し、シートの白化状態を観察した。評価結果は以下の基準で表した。
○:全く白化せず
△:一部白化
×:全面白化
{透明性}
上記積層体の基材層の印刷の図柄を透視し、目視観察した。評価結果は以下の基準で表した。
○:明らかに透明で完全に視認できるもの
○〜△:透明で視認ができるもの
△:一部視認できないもの
×:明らかに白濁が生じ視認できないもの
【0066】
<実施例1>
厚さ200μmのポリプロピレンシート(出光ユニテック社製:ピュアレイ FG−100)に印刷を施した基材の印刷面にアンカーコート剤(大日精化工業(株)製 セイカダイン2710=1、セイカダイン2710B=2、市販の酢酸エチル=15の質量比率の混合物)を塗布し、ドライヤー温度80℃で乾燥させた後、表1に記載したように、成分Aのプロピレン・エチレン共重合体90質量%、成分BとしてEPR(B1)5質量%および成分CのHSBR5質量%からなる接着性樹脂組成物層(ADと称する)と、表面層(Fと称す)のホモポリプロピレン樹脂を厚み比率AD:15μm/F:80μmで共押出し、その溶融樹脂の接着性樹脂組成物の基材との接着面をオゾン処理(オゾン量:30g/m−3m/時間)により、表面を活性化して積層した。
上記の積層体の接着強度、折り曲げ白化および透明性を評価した結果を表1に示した。その結果、基材との接着強度、0℃の折り曲げ白化および透明性が若干低下するものの、特に10℃、20℃における折り曲げ試験による白化は見られず良好であり、実用的には問題がないものであった。
【0067】
<実施例2〜5>
表1に示した各成分を配合し、実施例1と全く同様の試験を行った。その結果を同じく表1に示した。基材との接着強度、各温度での耐折り曲げ白化、透明性がいずれも良好であった。
【0068】
<実施例6>
表1に示した各成分を配合し、実施例1と全く同様の試験を行った。その結果を同じく表1に示した。基材との接着強度、耐折り曲げ白化が良好であり、透明性は若干低下するものの、実用には十分耐えうるものであった。
【0069】
【表1】
Figure 2005053945
【0070】
<比較例1〜9>
表2および3に示す配合成分および配合比率の接着性樹脂組成物で、実施例1と同様にして積層体を製造し、その評価結果を表2および3に示した。
【0071】
【表2】
Figure 2005053945
【0072】
【表3】
Figure 2005053945
【0073】
<実施例7〜11>
接着性樹脂組成物として成分B、成分Cおよび無水マレイン酸グラフト化ポリプロピレン(成分D)を所定の割合で配合したものを用いて表4に示す組成比で配合し、実施例1と同様にして積層体を製造し、その評価を表4に示した。なお官能基含有モノマー単位の含有量は接着性樹脂組成物中の官能基量をIR(赤外分析法)により測定した値である。基材との接着強度、0℃〜20℃での耐折り曲げ白化および透明性のいずれも良好で、特に基材との接着強度が高いものであった。
【0074】
【表4】
Figure 2005053945
【0075】
【発明の効果】
本発明の接着性樹脂組成物は優れた接着性を有し、耐折り曲げ白化性、透明性に優れており、本組成物を印刷した基材に積層すると、基材の意匠性を維持することが可能であり、しかも接着強度が強いことから、化粧用シート等に好適に用いられる。また本発明の積層体の製造法によると、本接着性樹脂組成物を効率よく製造することが可能となる。

Claims (6)

  1. (A)ポリプロピレン系樹脂(以下、「成分A」という)、(B)エチレン・α−オレフィン共重合体ゴム(以下、「成分B」という)、および
    (C)ビニル芳香族化合物/共役ジエン化合物の質量比が5〜60/95〜40であり、共役ジエン部分の少なくとも80%が水添飽和されているビニル芳香族化合物・共役ジエン化合物ランダム共重合体(以下、「成分C」という)とからなり、
    かつ成分Aが95〜40質量%、ならびに成分Bおよび成分Cの合計量が5〜60質量%であり、成分Bと成分Cとの質量比(成分B/成分C)が5〜95/95〜5である樹脂組成物(I)および/または該樹脂成分(A)、(B)および(C)を含み、その少なくとも成分Bを有機過酸化物の存在下に動的熱処理してなる樹脂組成物(II)を含むことを特徴とする接着性樹脂組成物。
  2. 前記接着性樹脂組成物中に下記(a)〜(d)の官能基含有モノマー単位のいずれかを含み、その含有量が0.005〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
    (a)カルボキシル基含有モノマー、
    (b)エポキシ基含有モノマー、
    (c)ヒドロキシ基含有モノマー、
    (d)有機シリル基含有モノマー。
  3. 請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物からなるフイルムまたはシート層(接着性樹脂組成物層)と基材層とを少なくとも含む積層体。
  4. 基材層/印刷層/接着性樹脂組成物層/表面層とからなる層構成を少なくとも有することを特徴とする請求項3に記載の積層体。
  5. 請求項1または2に記載の接着性樹脂組成物からなるフイルムまたはシート層(接着性樹脂組成物層)と表面層とを共押出し成形により、該接着性樹脂組成物層を、基材層上に印刷層を介してまたは介さずに、積層して融着を行うことを特徴とする積層体の製造法。
  6. 基材層と前記接着性樹脂組成物層とを積層する際に、少なくとも、溶融状態の接着性樹脂組成物層の基材層側の面にオゾン処理を施すことを特徴とする請求項6に記載の積層体の製造法。
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