JP2005052716A - 中空糸膜型モジュール - Google Patents

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Abstract

【課題】 血液透析時の不要物質除去性能の低下を招くことなく、浄化処理循環時の水流による衝撃や落下等による衝撃に起因するリークを発生させないことを課題とする。
【解決手段】 中空糸膜型モジュール1において、中空糸膜束4をなす中空糸膜10の両端部において、各中空糸膜10の外表面に封止した樹脂層部9の内表面9aから連続したコーティング層13を設け、前記コーティング層13は、束外周面において前記樹脂層部内表面9aからの最短長さLminが1mm以上、最長長さLmaxが6mm未満であり、且つ前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)が0.85より大きいことを特徴とする。更に好ましくは、前記コーティング層13は、前記樹脂層部内表面9aからの最短長さLminが2mm以上、最長長さLmaxが4mm以下である。更に好ましくは、前記樹脂層部9における中空糸膜束4の充填率を46%以上、65%以下とする。
【選択図】 図1

Description

本発明は中空糸膜型モジュールに関し、特に、中空糸膜型の人工透析器、血液濾過器、血漿分離器などに好適に用いられる中空糸膜型モジュールに関する。
従来、中空糸膜型モジュールとして、中空糸膜型の人工透析器、血液濾過器、血漿分離器などが知られている。例えば、中空糸膜型人工透析器においては、中空糸膜内孔に血液(被処理液)を流通させ、中空糸膜外側に透析液(浄化処理液等)を流通させて中空糸膜を介した透析を行うことによって、血液中の不要物を除去している。
中空糸膜型モジュールの一般的な構造としては、両端をウレタン等の樹脂組成物(ポッティング剤)で固定した樹脂層部を持つ中空糸膜束を収容した筒型ケーシングと、筒型ケーシングの両端に取り付けられた被処理液(血液等)の供給ポート及び排出ポートとなる接続ポートを備える閉塞蓋と、筒型ケーシングの両端部付近の外周面に形成した浄化処理液(透析液等)の供給ポート及び排出ポートとなる接続ポートを備える構造となっている。このような構造をもった中空糸膜型モジュールにおいて、中空糸膜の破損はリークを招き、被処理液(例えば血液)と浄化処理液(例えば透析液)の混合を引き起こすので、回避しなくてはならない。
そのため、従来から種々の技術手段が検討されている(例えば、特許文献1および特許文献2を参照)。これらの技術においては、筒型ケーシング両端部付近の外周面に形成した浄化処理液供給ポート及び排出ポートに対応した位置に舌片状のバッフル板を配置する技術が開示されており、浄化処理液の出入の際に水流が中空糸膜に与える衝撃を緩和するために、バッフル板の配置位置や形状、大きさ等について検討がなされている。
一方、中空糸膜の損傷によるリークは、前記のように浄化処理液が供給ポートから進入する際、または排出ポートから排出される際に、水流によって中空糸膜に衝撃が加わる場合のみではなく、中空糸膜型モジュールの輸送や取り扱い時に、偶発的に発生する落下等の衝撃によっても発生する。前記のバッフル板は、浄化処理液の出入による衝撃の緩和に対しては優れた効果が認められるが、中空糸膜型モジュールの取り扱いの際、落下等の衝撃に起因するリークを防止する効果までは有していなかった。
そこで、水流による衝撃および落下による衝撃の双方を緩和してリークをなくすことを目的として、中空糸膜型モジュールにおいて、中空糸膜束両端の樹脂層内側より浄化処理液供給ポート及び排出ポートに対応する位置まで中空糸膜束全周にわたって樹脂のコーティング層を付与する技術が開示されている(特許文献3および特許文献4を参照)。特に、特許文献3に記載の技術では、封止部を形成する樹脂形成物と同一の樹脂形成物からなるコーティング層を、封止部の内側表面から浄化処理液供給ポート及び排出ポートの内側開口に対応する領域を含めた範囲にわたって連続させた状態で中空糸膜の端部表面に設けるようにしている。更に、前記コーティング層の封止部内側表面からの長さを中空糸膜束の径方向に漸次変化させ、外周側はポート内側開口に対応する領域を含めた範囲まで設け、中心に向けて次第に短くなるようにして、全体としてお椀状となるようにしている。
しかしながら、特許文献3や特許文献4に開示された技術においては、十分な耐リーク性能を確保するために、非常に長いコーティング層を必要とした。このようにコーティング層の長さが長くなると、物質交換に有効な膜面積が小さくなるばかりか、付与されたコーティング層によって中空糸膜の外部を流れる浄化処理液の流れが影響を受けることがあり、その結果、コーティング層が長くなるほど中空糸膜型モジュールの不要物質の除去性能を低下させるおそれがあった。
また、前記特許文献3においては、前記のように不要物質の除去性能の低下を防ぐために、中空糸膜束の径方向中心部のコーティング層を外周側に比べて短くし(すなわち、コーティング層をお椀状に形成させて)、コーティング層によって失われる膜面積を最小限に留める検討をしている。しかしながら、本発明者らがコーティング層の長さについて詳細に検討したところ、コーティング層の長さが特許文献3のように浄化処理液供給ポート及び排出ポートに対応する領域まであると、浄化処理液が中空糸膜束内部に侵入できないために有効に活用できる膜面積が大幅に失われることが推定された。
さらに、ケーシングにおける浄化処理液供給ポート及び排出ポートに対応する位置における中空糸膜束の充填率(密度)を高くして、浄化処理液の流動による中空糸膜の振動を抑えることにより、中空糸膜束の破損によるリークを防ぐ方法が従来行われている。しかしながら、特許文献3にも記述されているように、この方法は、ケーシング内への中空糸膜束の装填が非常に困難となり、逆に中空糸膜束をケーシングにセットする際に中空糸膜破損を引き起こすおそれがある。そのため、特許文献3に記載の中空糸膜型モジュールにおいては、前記中空糸膜束の充填率(密度)が34%〜41%の範囲が好適であるとしている。
特開2000−42100号公報 特開2000−350781号公報 特許第3151168号公報 特開昭59−4403号公報
本発明は上述したような事情に鑑みてなされたものであり、流体による衝撃や落下等による衝撃に起因する中空糸膜端部の破損を効果的に防止し、しかも、不要物質の除去性能を高く維持できる優れた中空糸膜型モジュールを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために、特に封止部(樹脂層部)内側表面から中空糸膜外表面に連続するコーティング層の長さについて鋭意検討した。その結果、浄化処理液供給ポート及び排出ポートに対応する領域までコーティング層を付与することなしに、すなわちコーティング層の長さを従来のもの比べて大幅に短くしても、以下のような一定の条件下で均一であれば、流体による衝撃や落下等による衝撃に起因するリーク発生を大幅に低減し、しかも不要物質の除去性能を高く維持できるという効果を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はかかる目的を達成するために、以下の構成を有する。
(1)筒型ケーシング内に中空糸膜束を収容し、該中空糸膜束両端を封止部により固定すると共に前記封止部により前記ケーシング両端開口部を封止して、前記ケーシング内に中空糸膜内表面側の第一室と中空糸膜外表面側の第二室とを形成し、前記ケーシング両端部付近の外周面に前記第二室に通じる浄化処理液の供給ポート及び排出ポートを備え、前記筒型ケーシングの両端に前記第一室に通じる被処理液の供給ポート及び排出ポートを備える閉塞蓋を取り付けた中空糸膜型モジュールにおいて、前記中空糸膜束をなす各中空糸膜の端部外表面に前記封止部の内表面から連続したコーティング層を設け、前記コーティング層は、束外周面において前記封止部内表面からの最短長さLminが1mm以上、最長長さLmaxが6mm未満であり、且つ前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)が0.85より大きいことを特徴とする中空糸膜型モジュール。
(2)前記コーティング層は、前記封止部内表面からの最短長さLminが2mm以上、最長長さLmaxが4mm以下であることを特徴とする(1)記載の中空糸膜型モジュール。
(3)前記ケーシング両端開口部を封止した封止部における中空糸膜束の充填率を46%以上、65%以下としたことを特徴とする(1)または(2)記載の中空糸膜型モジュール。
(4)前記コーティング層は、前記封止部内表面からの長さLが、前記浄化処理液の供給ポート及び排出ポートまでの長さLよりも短く、且つ前記各ポート下まで至っていないことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の中空糸膜型モジュール。
本発明によれば、中空糸膜型モジュールにおいて、流体による衝撃や落下による衝撃に起因する中空糸膜の破損を防止するために単にコーティング層を封止部と中空糸膜の境界部分に設けるのではなく、その長さや形状を上記のように制御することにより、流体による衝撃や落下等による物理的衝撃に起因する中空糸膜と封止部との境界部における中空糸膜の破損を効果的に防止し、しかも、中空糸膜型モジュールの本来の機能である、不要物質の除去性能を低下させることなく高く維持し、優れた除去性能を有する中空糸膜型モジュールを提供することができる。すなわち、本来相反する効果を両立できる中空糸膜型モジュールが得られる。
また、前記コーティング層の長さを、前記封止部内表面からの最短長さLminを2mm以上、最長長さLmaxを4mm以下とすることが好ましく、この構成によれば、上述した流体による衝撃や落下等による衝撃に起因する中空糸膜の破損防止効果、および不要物質の除去性能を更に高めることができる。
また、前記ケーシング両端開口部を封止した封止部における中空糸膜束の充填率を46%以上、65%以下とすることにより、浄化処理液の流動による中空糸膜の振動を抑えることができ、中空糸膜束の破損によるリークを更に低減することができる。
また、前記コーティング層は、前記封止部内表面からの長さLが、前記浄化処理液の供給ポート及び排出ポートまでの長さLよりも短く、且つ前記各ポート下まで至っていないため、各ポート下において第一室と第二室との間で行われる物質交換が前記コーティング層によって妨げられることがなく、透析液等の流体による衝撃を実際に受ける部分(ポート下)までコーティング層を付与しなくても、コーティング層の形状、中空糸膜の充填率等により耐リーク性に優れ、且つ中空糸膜型モジュールの本来の機能である、不要物質の除去性能を更に高めることができ、優れた除去性能を有する中空糸膜型モジュールを提供することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。図1は本発明に係る中空糸膜型モジュールの断面模式図、図2は水流による過酷リーク試験方法の説明図、図3は本発明に係る実施例及び比較例1〜5の中空糸膜型モジュールを用い、各々について水流による耐リーク性の評価、落下衝撃に対する耐リーク性の評価、尿素クリアランスの測定を行った結果を表す表図である。
中空糸膜型モジュール1は、筒型ケーシング2内に多数本の中空糸膜10からなる中空糸膜束4を収容している。この中空糸膜束4両端を、ポリウレタン等の樹脂組成物を充填して形成する封止部としての樹脂層部9により接着固定すると共に、前記ケーシング2の両端開口部をそれぞれ前記樹脂層部9により封止している。なお、前記各中空糸膜10は、該中空糸膜10の内孔の開口端が封止される事なく樹脂層部9の外側表面9bにて開口している。これにより、中空糸膜型モジュール1は、前記ケーシング2内に中空糸膜10内表面側の第一室と中空糸膜10外表面側の第二室とを形成している。また、中空糸膜型モジュール1は、前記ケーシング2の両端部付近の外周面に前記第二室に通じる浄化処理液の供給ポート11及び排出ポート12を備え、各ポート11,12に対応した位置に舌片状のバッフル板30,31を配置している。さらに、ケーシング2の両端部付近は中央部に比べて径の大きい拡径部14,15となっている。そして、この筒型ケーシング2の両端に前記第一室に通じる被処理液の供給ポート5及び排出ポート7を備える閉塞蓋6,8を取り付けて中空膜型モジュールを構成している。
上記中空糸膜10は、セルロースアセテート、銅アンモニアセルロース等のセルロース系中空糸膜や、ポリアクリルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリスルホン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン等の合成高分子系中空糸膜など、いずれでも用いることが出来るが、膜構造として、膜の外表面に短径0.5μm以上の粗い細孔部を多数有する構造の中空糸膜が好ましい。これは、コーティング層を形成する樹脂が中空糸膜外表面上の細孔に入り込み、膜の固定・保護をより強固に行えるためである。
本発明の中空糸膜型モジュール1は、筒型ケーシング2の両端部において、前記中空糸膜束4をなす各中空糸膜10の端部外表面に前記樹脂層部9の内側表面9aから連続したコーティング層13を設けている。
コーティング層13の素材は、樹脂層部9を形成する樹脂組成物との接着性の観点から互いに同一素材・組成であることが望ましい。したがって、モジュールのポッティング剤として一般的に用いられているウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコン系ポリマーなどを用いることができるが、特に限定するものではない。
コーティング層13の長さは、長くなるほど流体による衝撃や落下等による物理的衝撃を吸収し中空糸膜のリーク抑制効果を高めるが、必要以上に長くなると中空糸膜の有効膜面積が減少し、さらに浄化処理液が中空糸膜束中心部まで流れ込めないために、中空糸膜束内部の膜面積を有効に活用できずに不要物質の除去性能が大幅に低下する。具体的には、特許文献3の実施例のように、中空糸膜のリーク抑制効果を発揮するコーティング層の長さが必要以上に長く、該長さが6mm以上の場合には、不要物質の除去性能が十分に発揮できないことがあった。また、コーティング層の長さが中空糸膜束外周面上において一部分だけ短い場合には、リーク抑制効果が十分ではない場合があった。これは、コーティング層の長さが短い部分に水流が集中し、リークを引き起こすものと推定される。これらの理由から、保護のためのコーティング層13は必要最低限に留めて、均一に設ける必要がある。
後述する実施例において裏付けているように、本発明においては、この問題を解決するにあたり、前記中空糸膜束4をなす各中空糸膜10の外表面におけるコーティング層13は、束外周面において前記樹脂層部9の内側表面9aからの最短長さLminを1mm以上、最長長さLmaxを6mm未満にし、且つ前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)を0.85よりも大きくする必要がある。
コーティング層13の最短長さLminが1mm以上、より好ましくは2mm以上であれば、中空糸膜型モジュールの使用・洗浄条件から考えられる環境化での耐リーク性能は十分となる。ただし、コーティング層13が長すぎると有効膜面積の低下により不要物質の除去性能に影響を与える可能性があるので、前記コーティング層13の最長長さLmaxを6mm未満にする必要があり、更には4mm以下にすることが好ましい。
また、コーティング層13は、中空糸膜束4外周面において均一な長さである必要があり、コーティング層13の前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)が0.85以上であることが必要である。この(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値が0.85を下回ると、浄化処理液や洗浄液がコーティング層13の最短長さ部分に集中して流れ込み、該中空糸膜10に過大な水圧がかかるために、中空糸膜束外周面において均一にコーティング層13が設けてある場合に比較して、リーク抑制効果が低下する危険性が高くなる。コーティング層13の(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値が0.85より大きければリーク抑制効果を発揮させることが可能であり、その上限は1.0である。
流体による衝撃や落下等による衝撃(振動)を抑え、耐リーク性能を向上させるためには、中空糸膜型モジュール1の封止部9(血液接触面9b)における中空糸膜束4の充填率、即ち中空糸膜10の断面積の総和をケーシング2端部断面積で除した数値に100を掛けた値(以下、ケージング端面充填率と称する)を制御することが好ましく、具体的にはケーシング端面充填率を46%以上に設定することが好ましい。これは水流や落下による衝撃を受けた際に中空糸膜の振動幅を小さくし、中空糸膜に掛かる応力自体を緩和するためである。従って、ケーシング端面充填率は高いほど好ましいが、65%を超えるような高いケーシング端面充填率では、ケーシング2内部に中空糸膜束4をセットすることが非常に困難になり、無理にセットすると中空糸膜10の破損をきたすため、ケージング端面充填率は46%以上65%%以下に設定することが望ましい。
また、前記コーティング層13は、図1に示すように、前記樹脂層部内表面9aからの長さLが、前記浄化処理液の供給ポート11及び排出ポート12までの長さLよりも短く、且つ前記各ポート11,12下まで至っていない構成となっている。
これらの中空糸膜型モジュール1を血液浄化処理器として使用する際には、従来の装置と同様に被処理液供給ポート5より血液を供給し、浄化処理液供給ポート11より透析液を供給する。血液は、中空糸膜10の中空部(第一室)をケーシング2の他端に向かって流動し、被処理液排出ポート7より排出される。浄化処理液供給ポート11より供給された透析液は、拡径部15と中空糸膜束4の端部との間に形成された隙間を通じて中空糸膜10の外表面に接触しながら他端へ向かって流動した後、浄化処理液排出ポート12より排出される。その際、中空糸膜10表面を介する浸透圧差や濃度勾配によって血液中の老廃物が透析液側に移動すると同時に、血液中に不足する成分が透析液側より供給され、血液浄化が行われる。
これらの使用時や、使用前の洗浄時において、浄化処理液や洗浄液が供給され中空糸膜束4の隙間に進入する際、中空糸膜10に応力がかかり、樹脂層部9と中空糸膜10の境界付近(内側表面9a付近)で中空糸膜10が破断するのを、中空糸膜束4に付与したコーティング層13の応力緩和と中空糸膜束4の高い充填率により中空糸膜10の振動を抑えることにより抑制する。
以上述べたように、本発明による中空糸膜型モジュール1は、浄化処理液や洗浄液が進入する際に応力のかかる樹脂層部9と中空糸膜10の境界付近(内側表面9a付近)において、コーティング層13を各中空糸膜10の外表面に略均一な長さになるように設け、具体的には、束外周面においてその最短長さLminを1mm以上、最長長さLmaxを6mm未満にし、且つ前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)を0.85より大きくすることにより、不要物質の除去性能の低下を招くことなく高く維持し、且つ耐リーク性能を高めたものである。
すなわち、本発明によれば、中空糸膜型モジュール1において、流体による衝撃や落下による衝撃に起因する中空糸膜の破損を防止するために単にコーティング層13を樹脂層部9と中空糸膜10の境界部分に設けるのではなく、その長さや形状を上記のように制御することにより、流体による衝撃や落下等による物理的衝撃に起因する中空糸膜10と樹脂層部9との境界部における中空糸膜10の破損を効果的に防止し、しかも、中空糸膜型モジュール1の本来の機能である、不要物質の除去性能を低下させることなく高く維持し、優れた除去性能を有する中空糸膜型モジュール1を提供することができる。
また、前記コーティング層13の長さLを、前記樹脂層部内表面9aからの最短長さLminを2mm以上、最長長さLmaxを4mm以下とすることが好ましく、これにより、上述した流体による衝撃や落下等による衝撃に起因する中空糸膜の破損防止効果、および不要物質の除去性能を更に高めることができる。
また、前記ケーシング両端開口部を封止した樹脂層部9における中空糸膜束4の充填率を46%以上、65%以下とすることにより、浄化処理液の流動による中空糸膜10の振動を抑えることができ、中空糸膜束4の破損によるリークを更に低減することができる。
また、前記コーティング層13は、前記樹脂層部内表面からの長さLが、前記浄化処理液の供給ポート11及び排出ポート12までの長さLよりも短く、且つ前記各ポート11,12下まで至っていないため、各ポート11,12下において第一室と第二室との間で行われる物質交換が前記コーティング層13によって妨げられることがなく、透析液等の流体による衝撃を実際に受ける部分(ポート11,12下)までコーティング層を付与しなくても、コーティング層の形状、中空糸膜の充填率等により耐リーク性に優れ、且つ中空糸膜型モジュールの本来の機能である、不要物質の除去性能を更に高めることができ、優れた除去性能を有する中空糸膜型モジュールを提供することができる。
中空糸膜型モジュール1の製造にあたり、中空糸膜10を7000本〜14000本程度を束ねて中空糸膜束4を調整する。この際に、中空糸膜束4にシリコン等のフィルムを巻きつけておく。フィルムで巻くことにより、中空糸膜10の破損が防げるのと同時に、該中空糸膜束4がケーシング2に挿入し易くなるからである。
続いて、フィルムを巻きつけた状態の中空糸膜束4を、ケーシング2内部に挿入し、フィルムのみを抜き取ることにより中空糸膜束4をケーシング2内にセットする。このような方法により、中空糸膜束4をケーシング2内に高い充填率で効率よく挿入できる。
中空糸膜束4をセットしたケーシング2を、遠心成型機のターンテーブル上に取り付けられたポッティング治具に浄化処理液供給ポート11及び浄化処理液排出ポート12を上向きにして取り付ける。そして硬化により樹脂層部9を形成する接着剤を供給するための分配タンク(図示せず)からチューブを両ポート11,12に挿入する。
分配タンクの取り付けが終了したら、ポッティングを行うポッティング工程に移るが、ポッティング工程は、2回の接着剤注入工程と2回の遠心工程からなっている。
まず、接着剤注入工程では、遠心成型機のターンテーブルを所定の回転数にて回転させながらケーシング2の両端部に遠心力を作用させ、この回転状態において、分配タンクに接着剤を注入する。ここで、接着剤は、中空糸膜型モジュールのポッティング剤として一般的に用いられるウレタン系接着剤やエポキシ系接着剤等、初期において流動性を有し時間の経過により硬化するものであれば特に限定はしない。
分配タンクに注入された接着剤は、遠心力により注入チューブに分配され、チューブにより浄化処理液供給ポート11及び浄化処理液排出ポート12内に吐出され、両ポート11,12内を自重で落下してケーシング2内部に流入する。注入された接着剤は、さらに遠心力によってケーシング2の両端に向けて移動すると同時に、ケーシング2の拡径部14及び15と中空糸膜束4との隙間に流れ込み、外周に行き渡る。その後、中空糸膜10同士の隙間に侵入する。
このように注入された接着剤は、中空糸膜10の間隙を自重力と遠心力により流動してケーシング2端面に到達し、ケーシング2端面より中空糸膜10の間隙に充填されるが、接着剤の注入量が増加するにしたがって接着剤のレベルが上昇するので、中空糸膜束4の端部から次第に浸す長さを増加させる。つまり、所定量の接着剤を注入すれば所定の長さの中空糸膜束4が端部から接着剤に浸る。このように、所定の長さにわたって中空糸膜束4が接着剤に浸ったならば、接着剤の注入を中止して遠心工程に移行する。
遠心工程は、ケーシング2の回転によってケーシング2の端部に接着剤を集めて維持しつつ、接着剤を硬化させる工程である。この後、2回目の接着剤の注入工程に移行する。
2回目の接着剤注入工程においても、1回目と同様に、回転を保った状態で分配タンクに接着剤を注入する。2回目に注入する接着剤は、1回目に注入した接着剤と同一組成のものが好ましいが、その成分を特に限定はしない。
注入された接着剤は、1回目の注入と同様に、ケーシング2の両端に向けて移動する。ところが、1回目に注入した接着剤がすでに硬化して樹脂層部9の一部を形成しているため、接着剤は、ケーシング2の拡径部14,15と中空糸膜束4の間隙に沿って束円周方向に進行しながら中空糸膜10の隙間に進入していく。本発明に係るコーティング層13は、接着剤の拡径部14,15へ供給される速度と中空糸膜10間に進入する速度が異なり、拡径部14,15と中空糸膜束4との間隙に接着剤が滞留するために形成されるものである。接着剤の拡径部14,15への供給速度と接着剤の中空糸膜10間への進入速度へ支配的因子である接着剤の粘度によりコーティング層13の長さ及びその均一性が決まる。
所定量の接着剤を供給した後、1回目の遠心工程と同様に筒型ケーシング2の回転を継続し、2回目の遠心工程を行う。この時、接着剤は適度な粘度を有しているために、接着剤に浸った中空糸膜10の外表面には、接着剤が端部方向に流動した後も付着した状態で残り、コーティング層13が形成される。このようにコーティング層13の長さは中空糸膜10の外表面が接着剤に浸った長さに相当するが、接着剤のケーシング2への供給速度、拡径部14,15における接着剤の粘度、遠心の際の回転数、中空糸膜10の充填率等の因子によって、コーティング層13の長さや形状を制御することが可能である。本発明においては、コーティング層13は中空糸膜束4の外周面に樹脂層部9の内側表面9aより全周にわたって且つ均一な長さを持った形状となる。
2回目注入接着剤が硬化した後に、遠心回転を停止してモジュール化工程に移行する。接着剤を完全に硬化させ、平滑な樹脂層部9の外側表面9bを作製する為に、ケーシング2より突出した樹脂層部9の外側部分を、ケーシング2の端部開口と同一面となるように切断除去して各中空糸膜10の両端を開口させ、この両端に閉塞蓋6及び8を装着して、図1に示すような中空糸膜型モジュール1とする。
以上、説明した製造方法によれば、両端部に遠心力が作用するようにケーシング2を回転させ、この状態で接着剤を2回に分けて、ケーシング2の端部の浄化処理液供給ポート11及び排出ポート12を通して注入することにより、浄化処理液、洗浄液等の衝撃により応力が集中する樹脂層部9と中空糸膜10の境界部に全周に渡って略均一長さのコーティング層13の付与が可能となる。
樹脂組成物としての接着剤(ポッティング剤)の1回目注入量、2回目注入量の比を変化させ、注入速度、ケーシング2に注入した際の接着剤の粘度を調整することにより、コーティング層13の長さを精度良く制御することが可能となる。
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例に用いた測定法、評価法について説明する。
〔コーティング層の長さの測定〕
後述のとおり製造した各中空糸膜型モジュール1について、コーティング層13の長さを測定した。すなわち、浄化処理液供給ポート11および浄化処理液排出ポート12に近接する中空糸膜10を起点として、束円周上を左右何れかの方向にほぼ45度ずつ移動した箇所でそれぞれ約5〜10本分の中空糸膜のコーティング層の長さを測定した。これら計8箇所の全平均値をコーティング層の長さとした。
〔水流による耐リーク性の評価〕
使用時の水流による耐リーク性については、図2に示す回路装置を組み立てて評価した。
図2に示すように、加圧タンク20内の圧力を約24.5kPa/cmに調整し、回路にセットした中空糸膜型モジュール1の被処理液供給ポート5と浄化処理液供給ポート11から同時に加圧水を注入した(注入時間2分/回)。そして、注入毎に約14.7kPa/cmの圧力で被処理液側に空気を注入し、気泡発生の有無を指標にリーク発生の確認を繰り返した。
水流による耐リーク性の判定は、例えば、8回目の加圧水注入でリークが確認されたものを「水流耐リーク性8」とした。この操作は、最大を25回まで実施し、25回加圧水注入を繰り返してもリークが確認できない中空糸膜型モジュールについては「耐リーク性>25」とした。
〔落下衝撃に対する耐リーク性の評価〕
落下衝撃に対する耐リーク性については、梱包箱に詰められている輸送段階よりも、使用の際に中空糸膜型モジュールを直接床面に落下させた際の衝撃が最大と考えられるため、中空糸膜型モジュール1本単位での落下破壊試験を行った。
まず、中空糸膜型モジュール1の中空糸膜10の内表面側流路および外表面側流路に、一旦満水になるように純水を充填した後、外表面側流路の充填水を浄化処理液供給ポート11及び浄化処理液排出ポート12より各1.5ml抜き取って中空糸膜型モジュール1内に空間を形成させた。
この中空糸膜型モジュール1を1.2mの高さから被処理液排出ポート7を突設した閉塞蓋8(あるいは被処理液ポート5を突設した閉塞蓋6)を下方に向けてコンクリート床へ自由落下させ、落下毎に約14.7kPa/cmの圧力で被処理液側に空気を注入し、気泡発生の有無を指標にリーク発生の確認を繰り返した。落下試験の繰り返しにおいては、被処理液供給ポート5、被処理液排出ポート7の特定はしないが、同じポート側を下方ににして繰り返し落下させる。
落下衝撃に対する耐リーク性の判定は、例えば、3回目の落下においてリークが確認されたものについては「落下リーク性3」とした。また、最高10回まで繰り返し、10回目の落下においてもリークが確認できない中空糸膜型モジュールについては「落下リーク性>10」とした。
〔尿素クリアランスの測定〕
尿素の除去性能については、ダイアライザー性能評価基準(日本人工臓器学会、昭和57年9月)に従い、血液側流速200ml/分、透析液側流速500ml/分、膜間差圧(TMP)0Pa(0mmHg)で実施し、血液入口側の尿素濃度(Cin)、血液出口側の尿素濃度(Cout)をそれぞれ測定して下記式(1)により溶質のクリアランスを算出した。この尿素クリアランスの単位はml/分である。測定は、各中空糸膜型モジュールについて、それぞれランダムに5本を取り出して測定した。
尿素クリアランス=200×(Cin−Cout)/Cin ……(1)
なお、尿素クリアランスとは、本測定条件においては、200ml/分で中空糸膜型モジュールに供給される被処理液のうち、尿素が除去されて浄化された被処理液量を示すものである。
<実施例1>
長さ282mmのケーシング2を用いてポリスルホン系樹脂を主たる原材料とした半透性の中空糸膜10(内径200μm、膜圧45μm)からなる中空糸膜束4(中空糸膜9700本)をケーシング端面充填率が46.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を一定速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型モジュール(以下、中空糸膜型血液処理器)を組み立てた。
この実施例1に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<実施例2>
実施例1と同様のケーシング2及び中空糸膜束4を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率46.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この実施例2に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<実施例3>
実施例1と同様のケーシング2及び中空糸膜束4を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率65.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この実施例3に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<実施例4>
実施例1と同様のケーシング2及び中空糸膜束4を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率65.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度55℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この実施例4に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<比較例1>
実施例1と同様のケーシング2及び中空糸膜束4を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率45.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この比較例1に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<比較例2>
実施例1と同様のケーシング及び中空糸膜束を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率66.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この比較例2に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<比較例3>
実施例1と同様のケーシング及び中空糸膜束を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率46.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を1200rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この比較例3に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<比較例4>
実施例1と同様のケーシング及び中空糸膜束を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率46.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を600rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度50℃)、粘度400〜800mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際の1/4の注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この比較例4に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<比較例5>
実施例1と同様のケーシング及び中空糸膜束を用いた。中空糸膜束4をケーシング端面充填率46.0%となるようにケーシング2内に装填し、ケーシング2を900rpmの回転数で遠心させながら(遠心温度55℃)、粘度200〜400mPasに調整したウレタン系接着剤を実施例1の際と同じ注入速度にて2回に分けて所定量注入した。ウレタン系接着剤が硬化した後、両端面を切断し、中空糸膜内部を外部に開放し、閉塞蓋6および8を取り付けて中空糸膜型血液処理器を組み立てた。
この比較例5に係る中空糸膜型血液処理器のコーティング層の最短長さLmin、最長長さLmax、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値は、図3に示す通りであった。
<実験例>
実施例1〜4及び比較例1〜5の中空糸膜型血液処理器を用い、各々について水流による耐リーク性の評価、落下衝撃に対する耐リーク性の評価、尿素クリアランスの測定を行った。
結果は図3に示す通りであった。図3から明らかなように、本発明に係る実施例1〜4の中空糸膜型モジュール(中空糸膜型血液処理器)においては、コーティング層13の長さは、中空糸膜束4の円周方向全周にわたって設けられており、(最短長さLmin)/(最長長さLmax)の値が0.85より大きく、さらに最長長さLmaxが6mm未満、最短長さLminが1mm以上である形状のコーティング層を有している。その結果、水流による耐リーク性や落下衝撃に対する耐リーク性に優れ、しかも不要物質除去性能も高く維持できる優れた中空糸膜型モジュールを実現できた。
一方、上記本発明の要件を満足しないコーティング層を有する比較例1〜5においては、優れた耐リーク性と不要物質除去性能とを同時に満足するものは得られなかった。
本発明に係る中空糸膜型モジュールの一実施形態を説明するための断面模式図である。 水流による過酷リーク試験方法を説明するための模式説明図である。 本発明に係る実施例1〜4、及び比較例1〜5の各々の中空糸膜型モジュールについて、水流による耐リーク性の評価、落下衝撃に対する耐リーク性の評価、尿素クリアランスの測定を行った結果を表す表図である。
符号の説明
1 …中空糸膜型モジュール
2 …筒型ケーシング
4 …中空糸膜束
5 …被処理液供給ポート
6 …閉塞蓋
7 …被処理液排出ポート
8 …閉塞蓋
9 …樹脂層部(封止部)
9a …樹脂層部の内側表面
9b …樹脂層部の外側表面
10 …中空糸膜
11 …浄化処理液供給ポート
12 …浄化処理液排出ポート
13 …コーティング層
14,15 …拡径部
20 …加圧タンク
30,31 …バッフル板

Claims (4)

  1. 筒型ケーシング内に中空糸膜束を収容し、該中空糸膜束両端を封止部により固定すると共に前記封止部により前記ケーシング両端開口部を封止して、前記ケーシング内に中空糸膜内表面側の第一室と中空糸膜外表面側の第二室とを形成し、前記ケーシング両端部付近の外周面に前記第二室に通じる浄化処理液の供給ポート及び排出ポートを備え、前記筒型ケーシングの両端に前記第一室に通じる被処理液の供給ポート及び排出ポートを備える閉塞蓋を取り付けた中空糸膜型モジュールにおいて、
    前記中空糸膜束をなす各中空糸膜の端部外表面に前記封止部の内表面から連続したコーティング層を設け、前記コーティング層は、束外周面において前記封止部内表面からの最短長さLminが1mm以上、最長長さLmaxが6mm未満であり、且つ前記最短長さと前記最長長さの比(Lmin)/(Lmax)が0.85より大きいことを特徴とする中空糸膜型モジュール。
  2. 前記コーティング層は、前記封止部内表面からの最短長さLminが2mm以上、最長長さLmaxが4mm以下であることを特徴とする請求項1記載の中空糸膜型モジュール。
  3. 前記ケーシング両端開口部を封止した封止部における中空糸膜束の充填率を46%以上、65%以下としたことを特徴とする請求項1または2記載の中空糸膜型モジュール。
  4. 前記コーティング層は、前記封止部内表面からの長さLが、前記浄化処理液の供給ポート及び排出ポートまでの長さLよりも短く、且つ前記各ポート下まで至っていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空糸膜型モジュール。
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