JP2005043475A - 受像シート及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性が向上し、高画質及び高光沢の画像が得られる受像シート、及び該受像シートを用いた画像形成方法の提供。
【解決手段】支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと可塑剤とを含む受像シート。該離型層における水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である態様、前記可塑剤がポリアルキレンオキサイドポリオール化合物である態様、前記受像層が、架橋反応化合物を含む態様、が好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと可塑剤とを含む受像シート。該離型層における水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である態様、前記可塑剤がポリアルキレンオキサイドポリオール化合物である態様、前記受像層が、架橋反応化合物を含む態様、が好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性が向上し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに好適に用いられる受像シート、及び該受像シートを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真において、高光沢及び高画質の画像を得るため、低分子量ポリマー又は可塑剤を添加し、定着温度において低弾性率であり、かつ低粘度である受像層を設けることが試みられている。しかし、この場合、定着部でオフセットが発生したり、保存時にフィルム同士が接着してしまうという問題がある。
また、受像層に低分子量ポリマーを添加すると、シートを折り曲げ時に受像層にヒビ割れが発生してしまうという問題がある。
【0003】
前記課題を解決するため、例えば、基材フィルムの少なくとも一方の面に、トナー画像を形成するための受容層、該受容層上に離型層を有し、前記離型層がワックスを含有する記録シートが提案されている(特許文献1参照)。また、支持体上に、熱可塑性樹脂を含有するトナー受像層及びその他の層に、シリコーン化合物、フッ素化合物及びワックスから選択される離型剤を含有する電子写真用受像シートが提案されている(特許文献2参照)。しかし、前記特許文献1及び2の提案では、耐オフセット性は向上するが、受像層の表面エネルギー及びトナー埋め込み効果が低下して、画質が悪化してしまうという問題がある。
【0004】
また、透明フィルム製支持体に受像層としてバインダーとの相溶性を改良する可塑剤を配合した電子写真用受像シートが提案されている(特許文献3参照)。
また、フィルム基材と画像受容層とを有し、該画像受容層が熱可塑性樹脂と、分子内に少なくとも1個の芳香環を有する可塑剤及びポリアルキレンオキサイドポリオール可塑剤から選択される少なくとも1種を含む画像記録用透明フィルムが提案されている(特許文献4参照)。前記特許文献3及び4の提案では、OHPでの投影画質の向上(トナーの埋め込み性の向上)は図れるが、耐オフセット性及び耐接着性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、支持体上にトナー受像層を含む1以上の構成層を有し、前記構成層の少なくとも1層に可塑剤が含まれており、前記トナー受像層の流出開始温度が30℃以上で且つトナー樹脂の流出開始温度+10℃より低い電子写真用受像材料が提案されている(特許文献5参照)。この提案によれば、光沢の優れた反射画像が得られるが、耐オフセット性及び耐接着性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、基体上に、第1コーティングと、第2コーティングとをこの順に有し、前記第1コーティングが架橋剤と、触媒と、架橋性バインダーとを含むと共に、前記第2コーティングがバインダーと、第4級化合物とを含む記録シートが提案されている(特許文献6参照)。この提案によれば、耐ブロッキング性は向上するが、画質が低下してしまうという問題がある。
また、透明支持体の表面に、硬化された樹脂からなる下塗層が設けられ、該下塗層上に熱可塑性樹脂からなる受像層を有する電子写真用被転写フィルムが提案されている(特許文献7参照)。この提案によれば、オフセット発生の防止は図れるが、画質が低下してしまうという問題がある。
【0007】
更に、前記従来技術においては、シートを折り曲げた時のヒビ割れの発生を防止できることについて開示も示唆もされていない。
【0008】
一方、近時、環境面への適合性から水分散性ポリマーや水溶性ポリマーの使用が望まれているが、水分散性ポリマーや水溶性ポリマーは、高温高湿下での吸湿性が高いため、水分による可塑化が生じ、オフセットや接着故障が生じやすくなるという問題がある。また、前記水分散性ポリマーや水溶性ポリマーを用いた水系塗布は、塗布液の表面エネルギーが高いため、高速塗布(特に、スライドコート、カーテンコート等)すると、塗布層の液割れや面荒れ等が生じ易くなる。このため、塗布液の動的表面張力を下げる目的で界面活性剤が添加されているが、塗布適性は改良されても高温高湿下において接着故障が生じてしまうという問題がある。
【0009】
したがって水分散性ポリマーや水溶性ポリマーを使用した場合において、耐オフセット性、折り曲げ時のヒビ割れ防止及び耐接着性のいずれもが向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られる電子写真用受像シート及び画像形成方法は、未だ提供されておらず、更なる改良が望まれているのが現状である。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−212292号公報
【特許文献2】
特開2002−162771号公報
【特許文献3】
特開昭60−135974号公報
【特許文献4】
特開平9−152736号公報
【特許文献5】
特開2000−275891号公報
【特許文献6】
特開平6−40146号公報
【特許文献7】
特開平10−171145号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに好適に用いられる受像シート及び該受像シートを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと可塑剤とを含むことを特徴とする受像シートである。
<2> 電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに用いられる前記<1>に記載の受像シートである。
<3> 離型層における水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の受像シートである。
<4> フッ素化合物が、スルホコハク酸型フッ素化合物であり、該フッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)が45mN/m以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の受像シートである。
<5> 離型層の厚みが、0.1〜10μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の受像シートである。
<6> 離型層における表面エネルギーが40mN/m以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の受像シートである。
<7> 可塑剤がポリアルキレンオキサイドポリオール化合物である前記<1>から<6>のいずれかに記載の受像シートである。
<8> ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の数平均分子量(Mn)が1,000〜300,000であり、融点が40〜80℃である前記<7>に記載の受像シートである。
<9> 受像層が、架橋反応化合物を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の受像シートである。
<10> 架橋反応化合物が、自己架橋型の架橋反応化合物である前記<9>に記載の受像シートである。
<11> 架橋反応化合物が、N−メチロール基及びシラノール基のいずれかを含有する自己縮合型の架橋反応化合物である前記<9>から<10>のいずれかに記載の受像シートである。
<12> 受像層の厚みが、2〜20μmである前記<1>から<11>のいずれかに記載の受像シートである。
<13> 受像層における130℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×102〜1.0×106Paである前記<1>から<12>のいずれかに記載の受像シートである。
<14> 支持体が、原紙の少なくとも一方の面に、ポリオレフィン樹脂層を設けてなる前記<1>から<13>のいずれかに記載の受像シートである。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の受像シートを用い、該受像シートが電子写真用受像シートである場合における画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートのトナー画像面を定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<16> 電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、熱ローラにより定着する前記<15>に記載の画像形成方法である。
<17> 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<18> 定着ベルトの表面にシリコーンゴム層を設け、該シリコーンゴム層上にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<19> フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する前記<17>から<18>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0013】
本発明の受像シートは、支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとポリアルキレンオキサイドポリオール化合物とを含む。本発明の受像シートにおいては、前記離型層が、高いガラス転移温度を有する水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、フッ素化合物を含み、耐ブロッキング性及び耐オフセット性が向上する。前記受像層が、粘弾性に優れた水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとポリアルキレンオキサイドポリオール化合物を含み、折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)及び画質が向上する。その結果、これらが相俟って、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート、インクジェット記録シートなどに好適なものである。
【0014】
本発明の画像形成方法は、本発明の前記受像シートを用い、該受像シートが電子写真用受像シートである場合における画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートのトナー画像面を定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。これにより、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、定着ローラ及び定着ベルトにオフセットすることのない安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(受像シート)
本発明の受像シートは、支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、バック層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0016】
前記受像シートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート、及びインクジェット記録シートから選択されるいずれかに用いることができるが、これらの中でも、電子写真用受像シートが好適である。
以下、前記受像シートを電子写真用受像シートに用いた場合について具体的に説明する。
【0017】
−離型層−
前記離型層は、上述したように、前記受像層の上層として設けられ、特に、耐ブロッキング性及び耐オフセット性の向上を図る役割を果たすものである。
前記離型層は、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、フッ素化合物とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、ガラス転移温度(Tg)は45℃以上が好ましく、47℃以上がより好ましい。前記ガラス転移温度が、45℃未満であると、耐接着性が低下してしまうことがある。
【0018】
前記水溶性ポリマーとしては、リサーチ・ディスクロージャー17,643号の26頁、同18,716号の651頁、同307,105号の873〜874頁、特開昭64−13546号公報の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、などが挙げられる。
具体的には、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ビニルピロリドン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ナイロン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ゼラチン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウム等の含有量を減らした所謂脱灰ゼラチンなどが好適である。
【0019】
前記水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、水溶性ポリエステル樹脂として瓦応化学工業(株)製の各種プラスコート、大日本インキ化学工業製ファインテックスESシリーズなどが挙げられる。水溶性アクリル樹脂として日本純薬製ジュリマーATシリーズ;大日本インキ化学工業製ファインテックス6161、K−96;星光化学工業製ハイロスNL−1189、BH−997L、等が挙げられる。
【0020】
前記水分散性樹脂としては、例えば、水分散アクリル樹脂、水分散ポリエステル樹脂、水分散ポリスチレン系樹脂、水分散ウレタン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョン、各種熱可塑性樹脂を水分散した樹脂やエマルジョン、又はこれらの共重合体、混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記水分散性樹脂の市販品としては、水分散ポリエステル樹脂としては東洋紡製バイロナールシリーズ;高松油脂製ペスレジンAシリーズ;花王製タフトンUEシリーズ;日本合成化学製ポリエスターWRシリーズ;ユニチカ製エリーテルシリーズ、などが挙げられる。水分散アクリル樹脂としては、星光化学工業製ハイロスXE、KE、PE、HEシリーズ、日本純薬製ジュリマーETシリーズ等が挙げられる。
【0022】
また、前記熱可塑性樹脂として、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。これは、界面活性剤を使用しない自己分散型なので、高湿雰囲気でも吸湿性が低く、水分による軟化点低下が少なく、定着時のオフセット発生、保存時のシート間接着故障の発生を抑制できる。また、水系であるため環境性、作業性に優れている。更に、凝集エネルギーが高い分子構造をとりやすいポリエステル樹脂を用いているので、保存環境では十分な硬度を有しながら、電子写真の定着工程では低弾性(低粘性)の溶融状態となり、トナーが受像層に埋め込まれて十分な高画質が達成可能となる。
(1)数平均分子量(Mn)は5000〜10000が好ましく、5000〜7000がより好ましい。
(2)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は≦4が好ましく、Mw/Mn≦3がより好ましい。
(3)ガラス転移温度(Tg)は40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
(4)体積平均粒子径は20〜200nmが好ましく、40〜150mmがより好ましい。
【0023】
前記フッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、水系塗布での高速塗布を可能とすべく、動的表面張力の低減効果が高い点から、スルホコハク酸型フッ素化合物が好ましい。
前記スルホコハク酸型フッ素化合物としては、例えば、下記構造式で表されるものが好適である。
【0024】
【化1】
【0025】
前記フッ素化合物の添加量は、前記離型層に対し0.005〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%がより好ましい。前記フッ素化合物の添加量が、0.005質量%未満であると、動的表面張力が高くなって塗布適性が低下することがあり、0.5質量%超えると、トナー定着性に悪影響が出て画質(光沢等)が低下することがある。
【0026】
前記フッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)は45mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましい。前記動的表面張力(10Hz)が、45mN/mを超えると、スライドコートやカーテンコートでの高速塗布で塗布液が乱れて、塗布層の面荒れが生じてしまうことがある。
ここで、前記動的表面張力(10Hz)は、Kruss社(独)製、Bubble Pressure Tensiometer BP2 MK−II、などにより測定することができる。
【0027】
なお、前記離型層には、前記フッ素化合物以外にも、その他の離型剤を併用することができる。前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、シリコーン化合物、ワックス及びマット剤から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0028】
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のシリコーン化合物、フッ素化合物、又はワックスも好ましく用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記シリコーン化合物としては、シリコーンオイルとして無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。市販品として信越化学工業製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627;東芝シリコーン製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8417、SM8709、東芝シリコーン製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製BY16−880、東芝シリコーン製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8411、SF8413;東芝シリコーン製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A);東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410;東芝シリコーン製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8427、SF8428、東芝シリコーン製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8416、東芝シリコーン製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製FS1265、東芝シリコーン製FQF501など)、シリコーンゴムやシリコーン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119;東芝シリコーン製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的には、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂又はこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物などが挙げられる。市販品として大日精化製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023;日本油脂製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770;東亜合成化学製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115;東芝シリコーン製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型、過酸化物硬化型、紫外線硬化型が挙げられる。市販品として東芝シリコーン製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022等)、などが挙げられる。
【0030】
前記フッ素化合物としては、例えば、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510;トーケムプロダクツ製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E;旭硝子製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145;三井フロロケミカル製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035;大日精化製ダイアロマーFF203、FF204;旭硝子製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100;トーケムプロダクツ製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH;住友3M製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物又はその塩(例えば無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(例えばフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
【0031】
前記ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、天然ワックス、などが挙げられる。
【0032】
前記合成炭化水素としては、例えば、ポリエチレンワックス(市販品として中京油脂製ポリロンA、393、H−481;三洋化成製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成製ビスコール330−P、550−P、660−P)、フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞製FT100、FT−0070など)、酸アミド化合物又は酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなどが挙げられる。市販品として中京油脂製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)などが挙げられる。
【0033】
前記変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成製QN−7700)、アクリル酸変性ワックス、フッ素変性ワックス、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)などが挙げられる。
【0034】
前記水素化ワックスとしては、例えば、硬化ヒマシ油(市販品として伊藤製油製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油製のCPオイル、CPオイル−Sなど)、などが挙げられる。
【0035】
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましく、特に植物系ワックスが好ましい。前記天然ワックスとしては、特に、前記受像層の熱可塑性樹脂として水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型ワックスが好ましい。
【0036】
前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(市販品として日本精鑞製EMUSTAR−0413、中京油脂製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油製精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点から、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
前記動物系ワックスとしては、例えば、蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、等が挙げられる。
【0037】
前記鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点から、融点が70〜95℃のモンタンワックスが特に好ましい。
【0038】
前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(市販品として日本精鑞製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136;中京油脂製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139;日石三菱石油製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X;中京油脂製セロゾール967、M、;日石三菱石油製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)、などが挙げられる。
【0039】
なお、前記離型剤としては、これらの誘導体、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは反応性の置換基を有していてもよい。
【0040】
前記離型層には、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれか、前記フッ素化合物、前記離型剤以外にも、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、マット剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の成分等を含有することができる。
【0041】
前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられるが、マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子(無機マット剤)と有機粒子(有機マット剤)とに分類できる。無機マット剤の材料としては、例えば、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)、ガラス、などが挙げられる。
【0042】
前記無機マット剤としては、例えば、***特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0043】
前記有機マット剤の材料としては、例えば、デンプン、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース)及び合成樹脂が含まれる。合成樹脂は、水不溶性又は水難溶性であることが好ましい。水不溶性又は水難溶性の合成樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニリデン、などが挙げられる。
なお、以上のポリマーに使用されるモノマーを組み合わせたコポリマーを用いてもよい。前記コポリマーとしては、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。親水性の繰り返し単位を形成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンスルホン酸が含まれる。
有機マット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号公報、特開昭57−14835号公報に記載されたものが挙げられる。
【0044】
また、前記マット剤としては、二種類以上の固体粒子を併用してもよい。前記固体粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μmが好ましく、4〜30μmがより好ましい。前記マット剤の使用量は、0.01〜0.5g/m2が好ましく、0.02〜0.3g/m2がより好ましい。
【0045】
前記離型層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜8μmがより好ましい。前記離型層の厚みが、0.1μm未満であると、離型層を設けた効果が発揮されず、耐接着性及び耐オフセット性が悪化することがあり、10μmを超えると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがある。
【0046】
前記離型層における表面エネルギーは40mN/m以下が好ましい。前記離型層の表面エネルギーが、40mN/mを超えると、耐接着性及び耐オフセット性が低下することがある。
ここで、前記離型層における表面エネルギーは、例えば、公知の接触角測定器を用いて測定することができる。
【0047】
−受像層−
前記受像層は、上述したように、前記離型層の下層として設けられ、特に、折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)及び画質の向上を図る役割を果たすものである。
前記受像層は、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、可塑剤とを含み、架橋反応化合物、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、粘弾性に優れたものが好ましく、前記離型層と同様のものを用いることができる。
【0048】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、画質の向上が図れ、耐接着性の低下がない点からポリアルキレンオキサイドポリオール化合物が好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物は、一般に、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドのようなポリアルキレンオキサイドの鎖と、これらに連結された2個以上の末端ヒドロキシル基とを、有する化合物を意味する。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の数平均分子量(Mn)は、1,000〜300,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。
前記数平均分子量が1000未満であると、オフセットが低下し易くなることがあり、前記数平均分子量が300,000を超えると、画質改良の効果が得られないことがあり、また、水への溶解性が低下することがある。
【0049】
また、前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の融点は40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
前記融点が40℃未満であると、オフセットが低下し易くなることがあり、前記融点が80℃を超えると、画質改良の効果が得られないことがあり、また、水への溶解性が低下することがある。
【0050】
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物としては、例えば、下記構造式(I)から(V)、及びアルキレンジオールから選択されるものが好適に挙げられる。
【0051】
HO(CH2CH2O)nH 構造式(I)
前記構造式(I)において、nは、2〜100の整数である。
前記構造式(I)で表される化合物は、ポリエチレングリコールと呼ばれ、例えば、HO(CH2CH2O)2OH、HO(CH2CH2O)8.7OH(Mw≒400、液体)、HO(CH2CH2O)67.7OH(Mw≒3000、粉末)、などが挙げられる。市販品としては、例えば、三洋化成工業社製の「PEG200」、「PEG300」、「PEG400」、「PEG600」、「PEG1000」、等が挙げられる。
【0052】
R10O(CH2CH2O)n−OH 構造式(II)
前記構造式(II)において、R10は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、などが挙げられる。nは、2〜100の整数を表す。
前記構造式(II)で表される化合物は、ポリエーテル系モノアルコールと呼ばれ、例えば、Et(CH2CH2O)2−OH(液体)、Et(CH2CH2O)3−OH(液体)、Me(CH2CH2O)90.1−OH(Mw≒4000、ワックス状)、などが挙げられる。ただし、Etは、エチル基を表す。Meは、メチル基を表す。
【0053】
HO(CH2CH2CH2CH2O)nH 構造式(III)
前記構造式(III)において、nは、8〜30の整数である。
前記構造式(III)で表される化合物は、一般に、ポリテトラメチレングリコールと呼ばれ、例えば、三洋化成工業社製の「PTMG650」、「PTMG1000」、等が挙げられる。
【0054】
ただし、前記構造式(IV)中、nは、1〜20の整数である。
前記構造式(IV)で表される化合物は、一般に、ポリプロピレングリコールと呼ばれ、例えば、三洋化成工業社製の「PP200」、「PP400」、「PP1000」、等が挙げられる。
【0055】
【化2】
ただし、前記構造式(V)中、nは1〜20の整数である。
前記構造式(V)で表される化合物は、一般に、ポリプロピレングリコールグリセリントリエーテルと呼ばれ、三洋化成工業社製の「GP250」、「GP600」、「GP1000」、等が挙げられる。
【0056】
また、アルキレンジオールとしては、例えば、HO−CHCH3−CHCH3−OH(2,3−ブタンジオール、液体)、HO−(CH2)5−OH(液体)、などが挙げられる。
【0057】
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の配合量は、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーから選択されるいずれかのポリマー100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の配合量が、1質量部未満であると、画質の改良効果が認められなくなることがあり、50質量部を超えると、耐オフセット性及び耐接着性が低下することがある。
【0058】
前記受像層には、前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物以外にも、電子写真用受像シートに普通に用いられているその他の可塑剤を併用することができる。
前記その他の可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究・上」「可塑剤の研究・下」(高分子化学協会編)、「便覧・ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に記載されているものを用いることができるが、具体的には以下のA−1からA−41に記載されたものが挙げられる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
また、前記その他の可塑剤としては、例えば、エステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類等)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類等)、エーテル類、アルコール類、パラフィン類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類、シリコーンオイル類、フッ素化合物類などの化合物も使用することができる(特開昭59−83154号、特開昭59−178451号、特開昭59−178453号、特開昭59−178454号、特開昭59−178455号、特開昭59−178457号、特開昭62−174754号、特開昭62−245253号、特開昭61−209444号、特開昭61−200538号、特開昭62−8145号、特開昭62−9348号、特開昭62−30247号、特開昭62−136646号、特開昭62−174754号、特開昭62−245253号、特開昭61−209444号、特開昭61−200538号、特開昭62−8145号、特開昭62−9348号、特開昭62−30247号、特開昭62−136646号、特開平2−235694号の各公報等参照)。
【0066】
更に、前記その他の可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、脂肪族2塩基酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、エポキシ可塑剤、その他の可塑剤、などが挙げられる。
前記フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸のC7〜C10混合エステル、フタル酸メチルオレイル、などが挙げられる。
前記脂肪族2塩基酸エステルとしては、例えば、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、などが挙げられる。
前記グリコールエステルとしては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、ペンタエリスリトール、などが挙げられる。
前記脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル、などが挙げられる。
前記リン酸エステルとしては、例えば、トリクレシル、トリオクチル、オクチルジフェニル、トリフェニル、トリクロロエチル、クレジルジフェニル、などが挙げられる。
前記エポキシ可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、などが挙げられる。
前記その他の可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンCl 40%、塩素化パラフィンCl 52%、塩素化n−パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、などが挙げられる。
【0067】
また、前記その他の可塑剤としては、ポリマーの低分子量品も用いることができる。市販品として、旭電化工業製アデカサイザーPN−170、PN−1430;C.P.HALL社製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40;理化ハーキュレス製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン485LFK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテツクスLC、クリスタレツクス3085、等を挙げることができる。これらは、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用することもできる。
【0068】
前記受像層に添加する架橋反応化合物としては、低分子化合物を含まず、耐オフセット性の向上に対して悪影響を及ぼすことがない点で自己架橋型の架橋反応化合物が好ましい。また、前記架橋反応化合物としては、100℃以下の比較的低温で架橋反応が生じるものが、加熱処理エネルギーが少なくて済み、支持体として両面ポリオレフィン樹脂ラミネート紙を用いた場合にも該ポリオレフィン樹脂層に面荒れが生じない点で好ましい。また、前記架橋反応化合物としては、表面に親水性官能基を有し、内部に架橋を形成するための反応基を多く含むコアシエル構造のポリマー微粒子が好ましい。前記官能基としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、N−メチロール(メタ)アクリルアミド(−CONHCH2OH)、スルホン酸基、アミド基、アミノ基、三級、四級アンモニウム塩基、水酸基等が挙げられる。また、粒子内部やコア部に含まれる反応基としては、エポキシ基、イソシアネート基、シリルエーテル基、ハロゲン化アルキル基、等が挙げられる。
【0069】
前記架橋反応化合物としては、例えば、(1)N−メチロール基及びシラノール基のいずれかを有する自己縮合型の架橋反応化合物、(2)コアとシェルに相互に反応する官能基を含有する自己架橋型の架橋反応化合物、などが挙げられる。
【0070】
前記(1)のN−メチロール基含有自己縮合型の架橋反応化合物としては、例えば、N−メチロール基が共重合したアクリル樹脂、などが挙げられる。市販品としては、例えば、SX410−01、SX410−02、SX410−03、SX410−04(いずれもJSR社製)などが挙げられる。
前記(1)のシラノール基含有自己縮合型の架橋反応化合物としては、例えば、シラノール基が共重合したウレタン樹脂(シラノール基含有ポリウレタンエマルジョンのシラノール基自己縮合)、などが挙げられる。市販品としては、例えば、WS−7000、WS−5000、WS−4000(いずれも三井タケダケミカル社製)などが挙げられる。
【0071】
前記(2)のシラノール基が共重合したアクリルシリコーンエマルジョン(シラノール基自己縮合)としては、市販品としてアクアブリッドASIシリーズ(ダイセル化学製)、などが挙げられる。
前記(2)のアクリルウレタンエマルジョン(コア/シェル=官能基含有アクリル/ウレタン)としては、市販品としてアクアブリッドAUシリーズ(AU−124、AU−131、ダイセル化学製)、などが挙げられる。
前記(2)のエポキシアクリルエマルジョン(コア/シェル=エポキシ/アミン基含有アクリル)としては、市販品としてアクアブリッドAEシリーズ(AEA61、ダイセル化学製)、などが挙げられる。
【0072】
前記架橋反応化合物の配合量は、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーから選択されるいずれかのポリマー100質量部に対し1〜50質量部が好ましく、1.5〜20質量部がより好ましい。
前記配合量が、1質量部未満であると、耐オフセット性に対する効果が低くなることがあり、50質量部を超えると、ひび割れ性と画質が低下することがある。
【0073】
前記受像層の厚みは、2〜20μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。前記受像層の厚みが、2μm未満であると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがあり、20μmを超えると、耐接着性及び耐オフセット性が低下することがある。
【0074】
前記受像層における130℃での貯蔵弾性率(G’)は、1.0×102〜1.0×106Paが好ましい。前記貯蔵弾性率が、1.0×102Pa未満であると、耐接着性及び耐オフセット性が悪化することがあり、1.0×106Paを超えると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがある。
【0075】
前記受像層には、更に必要に応じて適宜選択した各種添加剤、例えば、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の成分等を含有することができる。
【0076】
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料、等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。前記蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物、などが挙げられる。前記蛍光増白剤の市販品としては、例えば、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0077】
前記白色顔料としては、無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等)を用いることができる。
前記有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ、カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロー、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)、又無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
なお、前記顔料の形状としては、特に制限はないが、画像定着時の伝熱性(低熱伝導性)に優れる点で、中空粒子形状であるのが好ましい。
【0078】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
水不溶性染料としては、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料、などが挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0079】
前記着色剤の、前記受像層における含有量は、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。前記着色剤の含有量が、0.1g/m2未満であると、受像層における光透過率が高くなることがあり、8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0080】
前記受像層における、前記着色剤及び前記天然ワックスの含有量(g/m2)比(着色剤/天然ワックス)としては、0.1/2〜8/0.1が好ましく、0.5/1.5〜5/0.2がより好ましい。
前記含有量比が、前記数値範囲に満たないと、電子写真用受像シートにおける不透明性が不充分なことがあり、前記数値範囲を超えると、耐オフセット性が劣ることがある。
【0081】
前記フィラーとしては、有機フィラー又は無機フィラーが挙げられる。バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。
前記フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
前記フィラーとしては、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。前記フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、受像層の表面が粗面化し易い。
【0082】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。前記シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。前記シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、前記多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0083】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。前記アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。前記アルミナは、多孔質であるのが好ましい。前記多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。前記多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/g程度が好ましい。
【0084】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量100質量部に対し5〜2000質量部が好ましい。
【0085】
前記架橋剤は、受像層の保存安定性及び熱可塑性等を調整するために配合することができる。前記架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0086】
前記架橋剤としては、これとは別に、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。
前記カップリング剤としては、例えば、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤、などが挙げられる。また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0087】
前記受像層には、トナーの転写、付着等を調整したり、受像層の帯電接着を防止するために、帯電制御剤を含有させることが好ましい。前記帯電制御剤としては、従来から公知の各種帯電制御剤を使用することができる。前記帯電制御剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられる。
【0088】
トナーが負電荷を有する場合、受像層に配合される帯電制御剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良く、これらの複合酸化物で使用しても良い。
前記金属酸化物としては、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiO2に対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0089】
前記受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良のため、受像層自身の安定性改良のため、各種添加剤を含めることができる。前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤、などが挙げられる。
【0090】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物、などが挙げられる。なお、前記酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0091】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0092】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0093】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが好適である。
【0094】
前記受像層に使用され得る材料としては、上述したように公知の写真用添加剤を添加することができる。前記写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0095】
前記離型層及び前記受像層は、前記支持体上に、離型層用塗布液及び受像層用塗布液スライドコート、カーテンコート等の高速塗布しても液割れや面荒れ等の問題が生じることなく、高速塗布適性に優れたものである。
【0096】
〔支持体〕
前記支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられる。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。これらの中でも、平滑光沢性及び伸縮性に優れている点から、両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したラミネート紙が好ましい。
【0097】
−原紙−
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0098】
前記原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するため、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
【0099】
前記原紙としては、電子写真用受像シート用支持体に使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製の合成パルプ、或いは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
【0100】
前記原紙の原料としてのパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)、等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、例えば、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮性を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
【0101】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、等が挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)などに記載のものを用いることができる。
【0102】
前記表面サイズ処理に使用される処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、などが含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
【0103】
前記原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。前記Ea/Eb値が、1.5未満、及び2.0を超える範囲では、原紙の剛性や、カール性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことがある。
【0104】
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用する。これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の数式より求めることができる。
E=ρc2(1−n2)
前記数式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは、密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
【0105】
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記数式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。前記数式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
【0106】
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/m2が好ましく、100〜200g/m2がより好ましい。
【0107】
−合成紙−
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙である。前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
【0108】
−合成樹脂シート(フィルム)−
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレン、延伸ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステル、ナイロンフィルム、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどが挙げられる。
【0109】
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。前記コート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙、等が挙げられる。
【0110】
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(i)〜(viii)に示す熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0111】
(i)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられる。
(ii)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂、等が挙げられる。
【0112】
(iii)ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
(iv)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(v)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(vi)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(vii)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(viii)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0113】
なお、前記樹脂には、蛍光増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
【0114】
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに対し、各種の樹脂、ゴムからなる高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0115】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるため、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0116】
前記高密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとは、ブレンド比率(質量比)が1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましく、3/7〜7/3が更に好ましい。
前記支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。
前記ポリエチレンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、メルトインデックスが、1.0〜40g/10分が好ましい。
なお、前記シート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0117】
前記支持体の厚みとしては、25〜300μmが好ましく、50〜260μmがより好ましく、75〜220μmが更に好ましい。前記支持体の剛度としては、特に制限はなく、目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0118】
前記電子写真用受像シートにおけるその他の層としては、例えば、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0119】
前記バック層は、前記電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、受像層の反対側に設けられるのが好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、前記電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成が受像層側と同様であってもよい。前記バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、特にマット剤、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
【0120】
前記密着改良層は、前記電子写真用受像シートにおいて、支持体及び受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、前記電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及び受像層の間に、更にクッション層等を設けることが好ましい。
【0121】
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及び受像層の間、受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。前記支持体、受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、前記中間層は、例えば、支持体及び受像層の間に存在させることができる。
【0122】
なお、前記電子写真用受像シートの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0123】
前記電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、受像層にトナーを受容させて使用される。前記トナーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。
【0124】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、前記受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、離型剤、その他の成分を含有する。
【0125】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレン等のスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸等のビニルカルボン酸類、などのビニル系モノマーの単独重合体又はその共重合体、更に、各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの中でも、前記受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いることが好ましい。
【0126】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられている顔料、染料、などを使用することができる。前記顔料としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、などが挙げられる。
前記染料としては、例えば、アクリジン系染料、キサンテン系染料、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、アジン系染料、アントラキノン系染料、チオインジコ系染料、ジオキサジン系染料、チアジン系染料、アゾメチン系染料、インジコ系染料、チオインジコ系染料、フタロシアニン系染料、アニリンブラック系染料、ポリメチン系染料、トリフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系染料、チアジン系染料、チアゾール系染料、キサンテン系染料、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0127】
−トナー 離型剤−
前記トナーの離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスの分子量は1000以下が好ましく、300〜1000がより好ましい。
【0128】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができるが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0129】
原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル又はその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリル、などが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、例えば、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロン、などが挙げられる。
原料化合物のうちモノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、などが挙げられる。ジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール等のグリコール類、などが挙げられる。トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタン、などが挙げられる。
【0130】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0131】
−トナー その他の成分−
前記トナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。前記内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0132】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロム等の錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御、廃水汚染を減少する観点から水に溶解し難い材料が好ましい。
【0133】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどが挙げられる。前記無機微粒子としては、通常、トナー表面の外添剤を全て使用することができる。前記無機微粒子は、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0134】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、又は、これらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸塩系アニオン界面活性剤、リン酸エステル系アニオン界面活性剤、せっけん系アニオン界面活性剤、等が挙げられる。前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミン塩型カチオン系界面活性剤、4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤、等が挙げられる。前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール系非イオン性界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系非イオン性界面活性剤、多価アルコール系非イオン性界面活性剤、等が挙げられる。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0135】
なお、前記トナーには、更に必要に応じて外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粒子又は有機粒子等が挙げられる。
前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機粒子としては、例えば、脂肪酸又はその誘導体、これらの金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。
これらの外添剤の平均粒径は、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0136】
前記トナーの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により製造することが好ましい。
【0137】
−トナー物性等−
前記トナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)は1.3以下が好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は0.95以上が好ましい。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記数式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
前記数式中、Lは、トナー粒子の最大長を表す。Sは、トナー粒子の投影面積を表す。
前記トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0138】
なお、前記トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0139】
<インクジェット記録材料>
前記インクジェット記録材料としては、例えば、支持体上に、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を受容できる前記色材受容層として、本発明の前記受像層を有し、該受像層上に離型層を有するものが挙げられる。
【0140】
<熱転写材料>
前記熱転写材料としては、例えば、支持体上に、少なくとも熱溶融性インク受容層として、本発明の受像層を有し、該受像層上に離型層を有し、感熱ヘッドにより加熱して熱溶融性インク層からインクを熱転写シート上に溶融転写する方式などが挙げられる。
【0141】
<昇華転写材料>
前記昇華転写材料としては、例えば、支持体上に、少なくとも熱拡散性色素(昇華性色素)受容層として、本発明の受像層を有し、該受像層上に離型層を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱してインク層から熱拡散性色素を昇華転写シート上に転写する昇華転写方式などが挙げられる。
【0142】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、第1の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、前記電子写真用受像シートにおけるトナー画像面を、定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
また、本発明の画像形成方法は、第2の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、前記電子写真用受像シートにおけるトナー画像面を、定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
なお、転写の方法としては、通常の電子写真方法で使用される方法、例えば、現像ローラ上に形成したトナー画像を直接電子写真用受像シートに転写する直接転写方式、或いは中間転写ベルト等に一次転写した後、電子写真用受像シートに転写する中間転写ベルト方式がある。環境安定性及び高画質化の面から、中間転写ベルト方式が好ましくは使用される。
【0143】
以下、典型的な定着ベルトを有する画像形成装置の一例を示す図1に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の態様は、図1に示される態様に限定されるものではない。
まず、画像形成装置(図示せず)でトナー12が電子写真用受像シート1に転写される。トナー12が付着した受像シート1は、搬送設備(図示せず)でA点に運ばれ、加熱ローラ14と加圧ローラ15の間を通過し、電子写真用受像シート1の受像層或いはトナー12が十分に軟化する温度(定着温度)及び圧力で加熱及び加圧される。
【0144】
ここで、定着温度とは、A点における加熱ローラ14と加圧ローラ15とニップ部の位置で測定した受像層表面の温度を意味し、例えば、80〜190℃、より好ましくは、100〜170℃である。また、圧力は、加熱ローラ(14)と加圧ローラ15とニップ部で測定した受像層表面の圧力を意味し、例えば、1〜10kg/cm2が好ましく、2〜7kg/cm2がより好ましい。その後、電子写真用受像シート1は、定着ベルト13により冷却装置16に運ばれて、例えば、受像層のポリマー及び/又はトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の温度が好ましく、20〜80℃がより好ましく、特に室温(25℃)に冷却されることが好ましい。
冷却された電子写真用受像シート1は、更に定着ベルト13によりB点に運ばれ、定着ベルト13は、テンションローラ17上を移動する。従って、B点にて電子写真用受像シート1と定着ベルト13が剥離する。なお、電子写真用受像シートが自身の剛性(腰の強さ)でベルトから剥離するようにテンションロールの径を小さく設定することが好ましい。
【0145】
前記定着ベルトの表面は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂から選択される少なくとも1種からなる薄膜が形成されることが好ましい。中でも、ベルト部材の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記ベルト部材の表面にシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
【0146】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有するものが好ましい。
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、下記(A)〜(D)成分を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適である。
(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、及び(D)有効量の触媒
【0147】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0148】
【化3】
【0149】
前記一般式(1)において、R10は、非置換又は置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基が好ましい。
a,eは、それぞれ0又は1の整数を表す。b,dは、それぞれ1〜4の整数を表す。cは、0〜8の整数を表す。また、xは、1以上が好ましく、10〜30がより好ましい。
【0150】
前記(A)成分としては、下記一般式(2)で示すものを挙げることができる。
【化4】
【0151】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0152】
また、前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、前記硬化剤としては、上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することが好ましい。即ち、前記フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成される。
【0153】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0154】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、前記(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個が好ましく、特に1〜5個となるような割合で配合することが好ましい。
【0155】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記一般式(1)の単位、又は上記一般式(1)において、R10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等のSiH基であるものが好ましく、下記一般式(3)で示すものを挙げることができる。
【0156】
【化5】
【0157】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。前記充填剤としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト、ベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤、などが挙げられる。
【0158】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が挙げられるが、これらの錯体はアルコール系化合物、エーテル系化合物、炭化水素化合物などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0159】
前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0160】
前記ベルト部材としては、耐熱性樹脂製又は金属製のベルト本体の表面を前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られる。更に必要に応じて、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、前記加熱硬化の温度、及び時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、100〜500℃にて5秒〜5時間の範囲でベルト本体の種類及び製造方法などに応じて適宜選択される。
【0161】
前記ベルト部材の表面に形成するフルオロカーボンシロキサンゴム層の厚さは特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、20〜500μmが好ましく、40〜200μmがより好ましい。
【0162】
前記ベルト部材の表面粗さ〔算術平均粗さ(Ra)〕としては、特に、表面平滑性に優れ、良好な光沢を有する受像シートが効率的に製造される点で、20μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。なお、前記表面粗さ(Ra)は、JIS B0601、JIS B0651、及びJIS B0652に従って測定することができる。
【0163】
前記電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記、特に図1に示した方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0164】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0165】
前記画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0166】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0167】
(実施例1)
−電子写真用受像シートの作製−
−−支持体の作製−−
原紙として坪量160g/m2の上質紙を用いた。該原紙の裏面に、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とを質量比(HDPE/LDPE)が7/3に混合し、該混合物を押出コーティング(310℃)して、厚み15μmの裏面ポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、前記原紙の表面に、低密度ポリエチレン(LDPE)を押出コーティング(310℃)して、厚み31.7μmの表面ポリエチレン樹脂層を形成した。
以上により、両面ポリエチレン樹脂被覆支持体を作製した。該支持体の光透過率を、直読ヘイズメーター(スガ試験機HGM−2DP)を用いて測定した結果、12.1%であった。
【0168】
−−下塗り層の形成−−
前記支持体の表面側の面に、ゼラチン5質量部及び水95質量部を混合し、乾燥後の塗布量が0.1g/m2となるようにワイヤーコーターで塗布乾燥し、下塗り層を形成した。
【0169】
−−裏面層の形成−−
前記支持体の裏面側に、水分散アクリル樹脂(星光化学工業(株)製、ハイロスXBH−997L、固形分濃度=28.3質量%)100質量部、パラフィンワックス(中京油脂(株)製、ハイドリンD−337、固形分濃度=30質量%)4.5質量部、及びイオン交換水33質量部を混合し、乾燥後の塗布量が8.2g/m2となるようにワイヤーコーターで塗布乾燥し、裏面層を形成した。
【0170】
−−離型層及び受像層の形成−−
<二酸化チタン分散液の調製>
二酸化チタン(タイペーク(登録商標)A−220、石原産業製)40.0g、PVA102(株式会社クラレ製)2.0g、及びイオン交換水58.0gを混合し、日本精機製作所製NBK−2を用いて分散させて、二酸化チタン分散液(二酸化チタン顔料40質量%)を調製した。
【0171】
<離型層用塗布液の調製>
水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、エリーテルKZA−1449、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃)100質量部、フッ素化合物としてのK(動的表面張力=35mN/m、表7参照)0.04質量部、カルナバワックス(中京油脂製、セロゾール524、固形分濃度=30質量%)5質量部、及び前記二酸化チタン水分散液7.5質量を混合して離型層用塗布液を調製した。
【0172】
<受像層用塗布液の調製>
水分散アクリル樹脂(星光化学工業株式会社製、ハイロスHE−1335、固形分濃度=45質量%)100質量部、可塑剤としてのC(融点=55℃、数平均分子量(Mn)=3,000、表8参照)2質量部、界面活性剤(日本油脂株式会社製、ラピゾールB−90、固形分濃度=10質量%)2質量部、及びイオン交換水30質量部を混合して受像層用塗布液を調製した。
【0173】
次に、前記支持体における下塗り層上に、前記受像層用塗布液及び前記離型層用塗布液をスライドコーターにより塗布速度60m/分で同時塗布し、100℃にて3分間乾燥し、厚みが8μmの受像層、厚みが5μmの離型層を形成した。
以上により、実施例1の電子写真用受像シートを作製した。
【0174】
(実施例2)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液のフッ素化合物Kをフッ素化合物L(動的表面張力=20mN/m、表7参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真用受像シートを作製した。
【0175】
(実施例3)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液の可塑剤Cを可塑剤F(融点=60℃、数平均分子量(Mn)=3,500、表8参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真用受像シートを作製した。
【0176】
(実施例4)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液に架橋反応化合物(ダイセル化学製、アクアブリッドAU−131、固形分濃度=40質量%)20質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電子写真用受像シートを作製した。
【0177】
(実施例5)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液に架橋反応化合物(三井武田ケミカル社製、タケラックWS−5000、固形分濃度=30質量%)25質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真用受像シートを作製した。
【0178】
(実施例6)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層の厚み5μmを0.05μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の電子写真用受像シートを作製した。
【0179】
(実施例7)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層の厚み5μmを12μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真用受像シートを作製した。
【0180】
(実施例8)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液の水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製、エリーテルKZA−1449、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃)を、水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製、エリーテルKZAテストサンプル、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=42℃)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の電子写真用受像シートを作製した。
【0181】
(実施例9)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液のフッ素化合物Kをフッ素化合物R(動的表面張力=54mN/m、表7参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の電子写真用受像シートを作製した。
【0182】
(比較例1)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液中にフッ素化合物を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真用受像シートを作製した。
【0183】
(実施例10)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層の厚み8μmを1μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の電子写真用受像シートを作製した。
【0184】
(実施例11)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層の厚み8μmを23μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例11の電子写真用受像シートを作製した。
【0185】
(実施例12)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液中の可塑剤Cを可塑剤B(融点=35℃、数平均分子量(Mn)=400、表8参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12の電子写真用受像シートを作製した。
【0186】
(比較例2)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液中に可塑剤としてのポリアルキレンオキサイドポリオール化合物を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真用受像シートを作製した。
【0187】
【表7】
表7中、動的表面張力は、K〜Rのフッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)である(単位:mN/m)。
【0188】
【表8】
*水溶性:◎・・・優れている、○・・・良好、×・・・不良
【0189】
<評価>
得られた実施例1〜12及び比較例1〜2の各電子写真用受像シートについて、以下のようにして、離型層における表面エネルギー、塗布面状、耐オフセット性、光沢度、ヒビ割れ、及び耐接着性を評価した。結果を表11に示す。
【0190】
−画像形成−
プリント用画像として、白ベタ、グレー(画像のR=G=B=50%)、黒(100%)、及び女性のポートレイト画像を使用した。前記電子写真装置としては、定着部を下記の定着ベルト装置に改造した富士ゼロックス製カラーレーザープリンター(C−2220)を用いた。
定着ベルト基材として、ポリイミド製のベース層上にシリコーンゴム用プライマーとしてのDY39−115(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を塗布後、風乾30分の後、シリコーンゴム前駆体としてのDY35−796AB(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)100質量部、及びn−ヘキサン30質量部とを混合した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成し、120℃にて10分の一次加硫を行い、厚み40μmのシリコーンゴム層を形成した。
このシリコーンゴム層上に、フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610(信越化学工業社製)100質量部、及びフッ素系溶媒(m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロアルカン、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の混合溶剤)20質量部からなる塗布液に浸漬して塗膜を形成した後、120℃にて10分の一次加硫、180℃にて4時間の二次加硫を行い、厚み20μmのフルオロカーボンシロキサンゴム層を有する定着ベルトを用いた。
【0191】
前記電子写真装置の印刷速度は、原則として30mm/秒とし、トナーの定着温度は、加熱ローラの温度を155℃、加圧ローラの温度を130℃とした。この装置を使用して、電子写真用受像シートに上記ポートレイト画像及び白ベタ、グレー、黒の5cm角のパターンを転写した。
【0192】
<離型層における表面エネルギーの測定>
各電子写真用受像シートの離型層における表面エネルギーを協和界面科学(株)製、接触角測定器 CA−A型により測定した。
【0193】
<塗布面状の評価>
各電子写真用受像シートの塗布面状を、照明下において、下記基準に基づいて肉眼判定した。
〔評価基準〕
◎・・・全く面荒れなし。
○・・・僅かに面状の乱れがあるが、実用上問題のないレベルである。
△・・・面状の乱れがあり、実用上問題となるレベルである。
×・・・明確な面状の荒れが見られる。
【0194】
<耐オフセット性の評価>
各電子写真用受像シートを、前記電子写真装置を用いて、30℃で80%RH環境にて定着部を正常に通過させた際、画像面に貝殻状のムラが発生したか否かについて、下記評価基準により評価した。結果を表11に示す。本発明においては、「○以上」が実用上許容されるレベルである。
〔評価基準〕
◎・・・貝殻状のムラが全く発生しなかった。
○・・・貝殻状のムラがごく僅かに発生したが、実用上問題の無いレベルであった。
△・・・貝殻状のムラが若干発生した。
×・・・貝殻状のムラが強く発生した。
【0195】
<光沢度の評価>
各電子写真用受像シートを、前記電子写真装置を用い、B/W条件で濃度を6段階(0%、20%、40%、60%、80%、及び100%)に10cm四方で絵出しして画像を形成した。得られた各画像についてJIS Z8741に準じてデジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5G)を用いて20度光沢度を測定し、その最小値を記録した。なお、光沢度は、75以上が実用上許容されるレベルである。
【0196】
<ヒビ割れの評価>
前記電子写真用受像シートに対し、前記電子写真装置を用いて、黒色の最大濃度で均一10cm四方の画像を絵出した後、10℃、15%RH環境に1日間放置した。その後、直径が1cm、2cm、3cm、4cm、及び5cmの丸棒を用意し、画像面が外側になるように大径の棒から順次小径の棒に巻き付け、ヒビが発生しなかった最小径を記録した。なお、直径3cm以下が実用上許容されるレベルである。
【0197】
<耐接着性の評価>
各電子写真用受像シートを、80%RH下、40℃にて24時間保存した後、電子写真用受像シート同士を対向させて重ね合わせ、3.5cm四方、500gの荷重を加え、同一環境下で7日間設置した後、サンプルを引き離す際の状態を、下記評価基準により評価した。なお、「2以下」が実用上許容されるレベルである。
〔評価基準〕
1・・・剥離音、接着跡共に無し。
2・・・軽微な剥離音又は接着跡が残る。
3・・・接着跡が1/4未満である。
4・・・1/4〜1/2未満が接着した。
5・・・1/2以上が接着した。
【0198】
【表9】離型層
*KZA−1449:水分散ポリエステル樹脂、エリーテルKZA−1449、ユニチカ(株)製、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃
【0199】
【表10】受像層
*HE−1335:水分散アクリル樹脂、ハイロスHE−1335、星光化学工業(株)製、固形分濃度=45質量%
*AU−131:ダイセル化学製、アクアブリッドAU−131、固形分濃度=40質量%
*WS−5000:三井武田ケミカル社製、タケラックWS−5000、固形分濃度=30質量%
【0200】
【表11】
【0201】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られる受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子写真装置におけるベルト定着装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電子写真用受像シート
12 トナー
13 定着ベルト
14 加熱ローラ
15 加圧ローラ
16 冷却装置
17 テンションローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性が向上し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに好適に用いられる受像シート、及び該受像シートを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真において、高光沢及び高画質の画像を得るため、低分子量ポリマー又は可塑剤を添加し、定着温度において低弾性率であり、かつ低粘度である受像層を設けることが試みられている。しかし、この場合、定着部でオフセットが発生したり、保存時にフィルム同士が接着してしまうという問題がある。
また、受像層に低分子量ポリマーを添加すると、シートを折り曲げ時に受像層にヒビ割れが発生してしまうという問題がある。
【0003】
前記課題を解決するため、例えば、基材フィルムの少なくとも一方の面に、トナー画像を形成するための受容層、該受容層上に離型層を有し、前記離型層がワックスを含有する記録シートが提案されている(特許文献1参照)。また、支持体上に、熱可塑性樹脂を含有するトナー受像層及びその他の層に、シリコーン化合物、フッ素化合物及びワックスから選択される離型剤を含有する電子写真用受像シートが提案されている(特許文献2参照)。しかし、前記特許文献1及び2の提案では、耐オフセット性は向上するが、受像層の表面エネルギー及びトナー埋め込み効果が低下して、画質が悪化してしまうという問題がある。
【0004】
また、透明フィルム製支持体に受像層としてバインダーとの相溶性を改良する可塑剤を配合した電子写真用受像シートが提案されている(特許文献3参照)。
また、フィルム基材と画像受容層とを有し、該画像受容層が熱可塑性樹脂と、分子内に少なくとも1個の芳香環を有する可塑剤及びポリアルキレンオキサイドポリオール可塑剤から選択される少なくとも1種を含む画像記録用透明フィルムが提案されている(特許文献4参照)。前記特許文献3及び4の提案では、OHPでの投影画質の向上(トナーの埋め込み性の向上)は図れるが、耐オフセット性及び耐接着性が低下してしまうという問題がある。
【0005】
また、支持体上にトナー受像層を含む1以上の構成層を有し、前記構成層の少なくとも1層に可塑剤が含まれており、前記トナー受像層の流出開始温度が30℃以上で且つトナー樹脂の流出開始温度+10℃より低い電子写真用受像材料が提案されている(特許文献5参照)。この提案によれば、光沢の優れた反射画像が得られるが、耐オフセット性及び耐接着性が低下してしまうという問題がある。
【0006】
また、基体上に、第1コーティングと、第2コーティングとをこの順に有し、前記第1コーティングが架橋剤と、触媒と、架橋性バインダーとを含むと共に、前記第2コーティングがバインダーと、第4級化合物とを含む記録シートが提案されている(特許文献6参照)。この提案によれば、耐ブロッキング性は向上するが、画質が低下してしまうという問題がある。
また、透明支持体の表面に、硬化された樹脂からなる下塗層が設けられ、該下塗層上に熱可塑性樹脂からなる受像層を有する電子写真用被転写フィルムが提案されている(特許文献7参照)。この提案によれば、オフセット発生の防止は図れるが、画質が低下してしまうという問題がある。
【0007】
更に、前記従来技術においては、シートを折り曲げた時のヒビ割れの発生を防止できることについて開示も示唆もされていない。
【0008】
一方、近時、環境面への適合性から水分散性ポリマーや水溶性ポリマーの使用が望まれているが、水分散性ポリマーや水溶性ポリマーは、高温高湿下での吸湿性が高いため、水分による可塑化が生じ、オフセットや接着故障が生じやすくなるという問題がある。また、前記水分散性ポリマーや水溶性ポリマーを用いた水系塗布は、塗布液の表面エネルギーが高いため、高速塗布(特に、スライドコート、カーテンコート等)すると、塗布層の液割れや面荒れ等が生じ易くなる。このため、塗布液の動的表面張力を下げる目的で界面活性剤が添加されているが、塗布適性は改良されても高温高湿下において接着故障が生じてしまうという問題がある。
【0009】
したがって水分散性ポリマーや水溶性ポリマーを使用した場合において、耐オフセット性、折り曲げ時のヒビ割れ防止及び耐接着性のいずれもが向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られる電子写真用受像シート及び画像形成方法は、未だ提供されておらず、更なる改良が望まれているのが現状である。
【0010】
【特許文献1】
特開平11−212292号公報
【特許文献2】
特開2002−162771号公報
【特許文献3】
特開昭60−135974号公報
【特許文献4】
特開平9−152736号公報
【特許文献5】
特開2000−275891号公報
【特許文献6】
特開平6−40146号公報
【特許文献7】
特開平10−171145号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに好適に用いられる受像シート及び該受像シートを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと可塑剤とを含むことを特徴とする受像シートである。
<2> 電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに用いられる前記<1>に記載の受像シートである。
<3> 離型層における水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である前記<1>から<2>のいずれかに記載の受像シートである。
<4> フッ素化合物が、スルホコハク酸型フッ素化合物であり、該フッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)が45mN/m以下である前記<1>から<3>のいずれかに記載の受像シートである。
<5> 離型層の厚みが、0.1〜10μmである前記<1>から<4>のいずれかに記載の受像シートである。
<6> 離型層における表面エネルギーが40mN/m以下である前記<1>から<5>のいずれかに記載の受像シートである。
<7> 可塑剤がポリアルキレンオキサイドポリオール化合物である前記<1>から<6>のいずれかに記載の受像シートである。
<8> ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の数平均分子量(Mn)が1,000〜300,000であり、融点が40〜80℃である前記<7>に記載の受像シートである。
<9> 受像層が、架橋反応化合物を含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の受像シートである。
<10> 架橋反応化合物が、自己架橋型の架橋反応化合物である前記<9>に記載の受像シートである。
<11> 架橋反応化合物が、N−メチロール基及びシラノール基のいずれかを含有する自己縮合型の架橋反応化合物である前記<9>から<10>のいずれかに記載の受像シートである。
<12> 受像層の厚みが、2〜20μmである前記<1>から<11>のいずれかに記載の受像シートである。
<13> 受像層における130℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×102〜1.0×106Paである前記<1>から<12>のいずれかに記載の受像シートである。
<14> 支持体が、原紙の少なくとも一方の面に、ポリオレフィン樹脂層を設けてなる前記<1>から<13>のいずれかに記載の受像シートである。
<15> 前記<1>から<14>のいずれかに記載の受像シートを用い、該受像シートが電子写真用受像シートである場合における画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートのトナー画像面を定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法である。
<16> 電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、熱ローラにより定着する前記<15>に記載の画像形成方法である。
<17> 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<18> 定着ベルトの表面にシリコーンゴム層を設け、該シリコーンゴム層上にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成方法である。
<19> フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する前記<17>から<18>のいずれかに記載の画像形成方法である。
【0013】
本発明の受像シートは、支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとポリアルキレンオキサイドポリオール化合物とを含む。本発明の受像シートにおいては、前記離型層が、高いガラス転移温度を有する水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、フッ素化合物を含み、耐ブロッキング性及び耐オフセット性が向上する。前記受像層が、粘弾性に優れた水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとポリアルキレンオキサイドポリオール化合物を含み、折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)及び画質が向上する。その結果、これらが相俟って、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られ、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート、インクジェット記録シートなどに好適なものである。
【0014】
本発明の画像形成方法は、本発明の前記受像シートを用い、該受像シートが電子写真用受像シートである場合における画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートのトナー画像面を定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。これにより、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、定着ローラ及び定着ベルトにオフセットすることのない安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
(受像シート)
本発明の受像シートは、支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、更に必要に応じて適宜選択したその他の層、例えば、バック層、中間層、下塗り層、クッション層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを有してなる。これらの各層は単層構造であってもよいし、積層構造であってもよい。
【0016】
前記受像シートとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート、及びインクジェット記録シートから選択されるいずれかに用いることができるが、これらの中でも、電子写真用受像シートが好適である。
以下、前記受像シートを電子写真用受像シートに用いた場合について具体的に説明する。
【0017】
−離型層−
前記離型層は、上述したように、前記受像層の上層として設けられ、特に、耐ブロッキング性及び耐オフセット性の向上を図る役割を果たすものである。
前記離型層は、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、フッ素化合物とを含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、ガラス転移温度(Tg)は45℃以上が好ましく、47℃以上がより好ましい。前記ガラス転移温度が、45℃未満であると、耐接着性が低下してしまうことがある。
【0018】
前記水溶性ポリマーとしては、リサーチ・ディスクロージャー17,643号の26頁、同18,716号の651頁、同307,105号の873〜874頁、特開昭64−13546号公報の(71)頁〜(75)頁に記載されたもの、などが挙げられる。
具体的には、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−ビニルピロリドン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性アクリル樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ナイロン樹脂、水溶性エポキシ樹脂、ゼラチン、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゼラチンとしては、例えば、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウム等の含有量を減らした所謂脱灰ゼラチンなどが好適である。
【0019】
前記水溶性ポリマーの市販品としては、例えば、水溶性ポリエステル樹脂として瓦応化学工業(株)製の各種プラスコート、大日本インキ化学工業製ファインテックスESシリーズなどが挙げられる。水溶性アクリル樹脂として日本純薬製ジュリマーATシリーズ;大日本インキ化学工業製ファインテックス6161、K−96;星光化学工業製ハイロスNL−1189、BH−997L、等が挙げられる。
【0020】
前記水分散性樹脂としては、例えば、水分散アクリル樹脂、水分散ポリエステル樹脂、水分散ポリスチレン系樹脂、水分散ウレタン樹脂、アクリル樹脂エマルジョン、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョン、各種熱可塑性樹脂を水分散した樹脂やエマルジョン、又はこれらの共重合体、混合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0021】
前記水分散性樹脂の市販品としては、水分散ポリエステル樹脂としては東洋紡製バイロナールシリーズ;高松油脂製ペスレジンAシリーズ;花王製タフトンUEシリーズ;日本合成化学製ポリエスターWRシリーズ;ユニチカ製エリーテルシリーズ、などが挙げられる。水分散アクリル樹脂としては、星光化学工業製ハイロスXE、KE、PE、HEシリーズ、日本純薬製ジュリマーETシリーズ等が挙げられる。
【0022】
また、前記熱可塑性樹脂として、下記(1)〜(4)の特性を満たす自己分散型水系ポリエステル樹脂エマルジョンを用いることが好ましい。これは、界面活性剤を使用しない自己分散型なので、高湿雰囲気でも吸湿性が低く、水分による軟化点低下が少なく、定着時のオフセット発生、保存時のシート間接着故障の発生を抑制できる。また、水系であるため環境性、作業性に優れている。更に、凝集エネルギーが高い分子構造をとりやすいポリエステル樹脂を用いているので、保存環境では十分な硬度を有しながら、電子写真の定着工程では低弾性(低粘性)の溶融状態となり、トナーが受像層に埋め込まれて十分な高画質が達成可能となる。
(1)数平均分子量(Mn)は5000〜10000が好ましく、5000〜7000がより好ましい。
(2)分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)は≦4が好ましく、Mw/Mn≦3がより好ましい。
(3)ガラス転移温度(Tg)は40〜100℃が好ましく、50〜80℃がより好ましい。
(4)体積平均粒子径は20〜200nmが好ましく、40〜150mmがより好ましい。
【0023】
前記フッ素化合物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、水系塗布での高速塗布を可能とすべく、動的表面張力の低減効果が高い点から、スルホコハク酸型フッ素化合物が好ましい。
前記スルホコハク酸型フッ素化合物としては、例えば、下記構造式で表されるものが好適である。
【0024】
【化1】
【0025】
前記フッ素化合物の添加量は、前記離型層に対し0.005〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.2質量%がより好ましい。前記フッ素化合物の添加量が、0.005質量%未満であると、動的表面張力が高くなって塗布適性が低下することがあり、0.5質量%超えると、トナー定着性に悪影響が出て画質(光沢等)が低下することがある。
【0026】
前記フッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)は45mN/m以下が好ましく、40mN/m以下がより好ましい。前記動的表面張力(10Hz)が、45mN/mを超えると、スライドコートやカーテンコートでの高速塗布で塗布液が乱れて、塗布層の面荒れが生じてしまうことがある。
ここで、前記動的表面張力(10Hz)は、Kruss社(独)製、Bubble Pressure Tensiometer BP2 MK−II、などにより測定することができる。
【0027】
なお、前記離型層には、前記フッ素化合物以外にも、その他の離型剤を併用することができる。前記離型剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、シリコーン化合物、ワックス及びマット剤から選択される少なくとも1種が挙げられる。
【0028】
前記離型剤としては、例えば、幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特許第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のシリコーン化合物、フッ素化合物、又はワックスも好ましく用いることができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
前記シリコーン化合物としては、シリコーンオイルとして無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイルなどが挙げられる。市販品として信越化学工業製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627;東芝シリコーン製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8417、SM8709、東芝シリコーン製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製BY16−880、東芝シリコーン製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8411、SF8413;東芝シリコーン製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A);東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410;東芝シリコーン製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8427、SF8428、東芝シリコーン製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8416、東芝シリコーン製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製FS1265、東芝シリコーン製FQF501など)、シリコーンゴムやシリコーン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119;東芝シリコーン製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的には、オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂又はこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物などが挙げられる。市販品として大日精化製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023;日本油脂製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770;東亜合成化学製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300;東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115;東芝シリコーン製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型、過酸化物硬化型、紫外線硬化型が挙げられる。市販品として東芝シリコーン製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022等)、などが挙げられる。
【0030】
前記フッ素化合物としては、例えば、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510;トーケムプロダクツ製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E;旭硝子製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145;三井フロロケミカル製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035;大日精化製ダイアロマーFF203、FF204;旭硝子製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100;トーケムプロダクツ製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH;住友3M製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物又はその塩(例えば無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(例えばフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
【0031】
前記ワックスとしては、例えば、合成炭化水素、変性ワックス、水素化ワックス、天然ワックス、などが挙げられる。
【0032】
前記合成炭化水素としては、例えば、ポリエチレンワックス(市販品として中京油脂製ポリロンA、393、H−481;三洋化成製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成製ビスコール330−P、550−P、660−P)、フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞製FT100、FT−0070など)、酸アミド化合物又は酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなどが挙げられる。市販品として中京油脂製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)などが挙げられる。
【0033】
前記変性ワックスとしては、例えば、アミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成製QN−7700)、アクリル酸変性ワックス、フッ素変性ワックス、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)などが挙げられる。
【0034】
前記水素化ワックスとしては、例えば、硬化ヒマシ油(市販品として伊藤製油製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油製のCPオイル、CPオイル−Sなど)、などが挙げられる。
【0035】
前記天然ワックスとしては、植物系ワックス、動物系ワックス、鉱物系ワックス及び石油ワックスから選択される少なくともいずれかが好ましく、特に植物系ワックスが好ましい。前記天然ワックスとしては、特に、前記受像層の熱可塑性樹脂として水系の熱可塑性樹脂を用いた場合の相溶性等の点で、水分散型ワックスが好ましい。
【0036】
前記植物系ワックスとしては、例えば、カルナバワックス(市販品として日本精鑞製EMUSTAR−0413、中京油脂製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油製精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点から、融点が70〜95℃のカルナバワックスが特に好ましい。
前記動物系ワックスとしては、例えば、蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、等が挙げられる。
【0037】
前記鉱物系ワックスとしては、例えば、モンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシン、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、などが挙げられる。これらの中でも、特に、耐オフセット性、耐接着性、通紙性、光沢感が優れ、ひび割れが生じ難く、高画質の画像を形成可能な電子写真用受像シートを提供可能である点から、融点が70〜95℃のモンタンワックスが特に好ましい。
【0038】
前記石油ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス(市販品として日本精鑞製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136;中京油脂製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139;日石三菱石油製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X;中京油脂製セロゾール967、M、;日石三菱石油製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)、などが挙げられる。
【0039】
なお、前記離型剤としては、これらの誘導体、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは反応性の置換基を有していてもよい。
【0040】
前記離型層には、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれか、前記フッ素化合物、前記離型剤以外にも、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、マット剤、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の成分等を含有することができる。
【0041】
前記マット剤としては、種々の公知のものが挙げられるが、マット剤として用いられる固体粒子は、無機粒子(無機マット剤)と有機粒子(有機マット剤)とに分類できる。無機マット剤の材料としては、例えば、酸化物(例えば、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム)、アルカリ土類金属塩(例えば、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、硫酸マグネシウム)、ハロゲン化銀(例えば、塩化銀、臭化銀)、ガラス、などが挙げられる。
【0042】
前記無機マット剤としては、例えば、***特許2529321号、英国特許760775号、同1260772号、米国特許1201905号、同2192241号、同3053662号、同3062649号、同3257206号、同3322555号、同3353958号、同3370951号、同3411907号、同3437484号、同3523022号、同3615554号、同3635714号、同3769020号、同4021245号、同4029504号の各明細書に記載されたものが挙げられる。
【0043】
前記有機マット剤の材料としては、例えば、デンプン、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース)及び合成樹脂が含まれる。合成樹脂は、水不溶性又は水難溶性であることが好ましい。水不溶性又は水難溶性の合成樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレート、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニリデン、などが挙げられる。
なお、以上のポリマーに使用されるモノマーを組み合わせたコポリマーを用いてもよい。前記コポリマーとしては、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。親水性の繰り返し単位を形成するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート及びスチレンスルホン酸が含まれる。
有機マット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号公報、特開昭57−14835号公報に記載されたものが挙げられる。
【0044】
また、前記マット剤としては、二種類以上の固体粒子を併用してもよい。前記固体粒子の平均粒径は、例えば、1〜100μmが好ましく、4〜30μmがより好ましい。前記マット剤の使用量は、0.01〜0.5g/m2が好ましく、0.02〜0.3g/m2がより好ましい。
【0045】
前記離型層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、0.2〜8μmがより好ましい。前記離型層の厚みが、0.1μm未満であると、離型層を設けた効果が発揮されず、耐接着性及び耐オフセット性が悪化することがあり、10μmを超えると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがある。
【0046】
前記離型層における表面エネルギーは40mN/m以下が好ましい。前記離型層の表面エネルギーが、40mN/mを超えると、耐接着性及び耐オフセット性が低下することがある。
ここで、前記離型層における表面エネルギーは、例えば、公知の接触角測定器を用いて測定することができる。
【0047】
−受像層−
前記受像層は、上述したように、前記離型層の下層として設けられ、特に、折り曲げ時のヒビ割れ防止性(耐クニック性)及び画質の向上を図る役割を果たすものである。
前記受像層は、水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと、可塑剤とを含み、架橋反応化合物、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記水溶性ポリマー又は水分散性ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、粘弾性に優れたものが好ましく、前記離型層と同様のものを用いることができる。
【0048】
前記可塑剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、画質の向上が図れ、耐接着性の低下がない点からポリアルキレンオキサイドポリオール化合物が好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物は、一般に、ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドのようなポリアルキレンオキサイドの鎖と、これらに連結された2個以上の末端ヒドロキシル基とを、有する化合物を意味する。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の数平均分子量(Mn)は、1,000〜300,000が好ましく、1,000〜10,000がより好ましい。
前記数平均分子量が1000未満であると、オフセットが低下し易くなることがあり、前記数平均分子量が300,000を超えると、画質改良の効果が得られないことがあり、また、水への溶解性が低下することがある。
【0049】
また、前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の融点は40〜80℃が好ましく、50〜70℃がより好ましい。
前記融点が40℃未満であると、オフセットが低下し易くなることがあり、前記融点が80℃を超えると、画質改良の効果が得られないことがあり、また、水への溶解性が低下することがある。
【0050】
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物としては、例えば、下記構造式(I)から(V)、及びアルキレンジオールから選択されるものが好適に挙げられる。
【0051】
HO(CH2CH2O)nH 構造式(I)
前記構造式(I)において、nは、2〜100の整数である。
前記構造式(I)で表される化合物は、ポリエチレングリコールと呼ばれ、例えば、HO(CH2CH2O)2OH、HO(CH2CH2O)8.7OH(Mw≒400、液体)、HO(CH2CH2O)67.7OH(Mw≒3000、粉末)、などが挙げられる。市販品としては、例えば、三洋化成工業社製の「PEG200」、「PEG300」、「PEG400」、「PEG600」、「PEG1000」、等が挙げられる。
【0052】
R10O(CH2CH2O)n−OH 構造式(II)
前記構造式(II)において、R10は、炭素数1〜10のアルキル基を表し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、などが挙げられる。nは、2〜100の整数を表す。
前記構造式(II)で表される化合物は、ポリエーテル系モノアルコールと呼ばれ、例えば、Et(CH2CH2O)2−OH(液体)、Et(CH2CH2O)3−OH(液体)、Me(CH2CH2O)90.1−OH(Mw≒4000、ワックス状)、などが挙げられる。ただし、Etは、エチル基を表す。Meは、メチル基を表す。
【0053】
HO(CH2CH2CH2CH2O)nH 構造式(III)
前記構造式(III)において、nは、8〜30の整数である。
前記構造式(III)で表される化合物は、一般に、ポリテトラメチレングリコールと呼ばれ、例えば、三洋化成工業社製の「PTMG650」、「PTMG1000」、等が挙げられる。
【0054】
ただし、前記構造式(IV)中、nは、1〜20の整数である。
前記構造式(IV)で表される化合物は、一般に、ポリプロピレングリコールと呼ばれ、例えば、三洋化成工業社製の「PP200」、「PP400」、「PP1000」、等が挙げられる。
【0055】
【化2】
ただし、前記構造式(V)中、nは1〜20の整数である。
前記構造式(V)で表される化合物は、一般に、ポリプロピレングリコールグリセリントリエーテルと呼ばれ、三洋化成工業社製の「GP250」、「GP600」、「GP1000」、等が挙げられる。
【0056】
また、アルキレンジオールとしては、例えば、HO−CHCH3−CHCH3−OH(2,3−ブタンジオール、液体)、HO−(CH2)5−OH(液体)、などが挙げられる。
【0057】
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の配合量は、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーから選択されるいずれかのポリマー100質量部に対し、1〜50質量部が好ましく、2〜30質量部がより好ましい。
前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の配合量が、1質量部未満であると、画質の改良効果が認められなくなることがあり、50質量部を超えると、耐オフセット性及び耐接着性が低下することがある。
【0058】
前記受像層には、前記ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物以外にも、電子写真用受像シートに普通に用いられているその他の可塑剤を併用することができる。
前記その他の可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)、「可塑剤その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究・上」「可塑剤の研究・下」(高分子化学協会編)、「便覧・ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に記載されているものを用いることができるが、具体的には以下のA−1からA−41に記載されたものが挙げられる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
また、前記その他の可塑剤としては、例えば、エステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類等)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類等)、エーテル類、アルコール類、パラフィン類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類、シリコーンオイル類、フッ素化合物類などの化合物も使用することができる(特開昭59−83154号、特開昭59−178451号、特開昭59−178453号、特開昭59−178454号、特開昭59−178455号、特開昭59−178457号、特開昭62−174754号、特開昭62−245253号、特開昭61−209444号、特開昭61−200538号、特開昭62−8145号、特開昭62−9348号、特開昭62−30247号、特開昭62−136646号、特開昭62−174754号、特開昭62−245253号、特開昭61−209444号、特開昭61−200538号、特開昭62−8145号、特開昭62−9348号、特開昭62−30247号、特開昭62−136646号、特開平2−235694号の各公報等参照)。
【0066】
更に、前記その他の可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、脂肪族2塩基酸エステル、グリコールエステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、エポキシ可塑剤、その他の可塑剤、などが挙げられる。
前記フタル酸エステルとしては、例えば、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジn−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸のC7〜C10混合エステル、フタル酸メチルオレイル、などが挙げられる。
前記脂肪族2塩基酸エステルとしては、例えば、コハク酸ジイソデシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、などが挙げられる。
前記グリコールエステルとしては、例えば、ジエチレングリコールジベンゾエート、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、ペンタエリスリトール、などが挙げられる。
前記脂肪酸エステルとしては、例えば、オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル、などが挙げられる。
前記リン酸エステルとしては、例えば、トリクレシル、トリオクチル、オクチルジフェニル、トリフェニル、トリクロロエチル、クレジルジフェニル、などが挙げられる。
前記エポキシ可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、などが挙げられる。
前記その他の可塑剤としては、例えば、トリメリット酸トリオクチル、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル、塩素化パラフィンCl 40%、塩素化パラフィンCl 52%、塩素化n−パラフィン、ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、トリアセチン、トリブチリン、トルエンスルホンアミド、アルキルベンゼン、ビフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、などが挙げられる。
【0067】
また、前記その他の可塑剤としては、ポリマーの低分子量品も用いることができる。市販品として、旭電化工業製アデカサイザーPN−170、PN−1430;C.P.HALL社製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40;理化ハーキュレス製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン485LFK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテツクスLC、クリスタレツクス3085、等を挙げることができる。これらは、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用することもできる。
【0068】
前記受像層に添加する架橋反応化合物としては、低分子化合物を含まず、耐オフセット性の向上に対して悪影響を及ぼすことがない点で自己架橋型の架橋反応化合物が好ましい。また、前記架橋反応化合物としては、100℃以下の比較的低温で架橋反応が生じるものが、加熱処理エネルギーが少なくて済み、支持体として両面ポリオレフィン樹脂ラミネート紙を用いた場合にも該ポリオレフィン樹脂層に面荒れが生じない点で好ましい。また、前記架橋反応化合物としては、表面に親水性官能基を有し、内部に架橋を形成するための反応基を多く含むコアシエル構造のポリマー微粒子が好ましい。前記官能基としては、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、N−メチロール(メタ)アクリルアミド(−CONHCH2OH)、スルホン酸基、アミド基、アミノ基、三級、四級アンモニウム塩基、水酸基等が挙げられる。また、粒子内部やコア部に含まれる反応基としては、エポキシ基、イソシアネート基、シリルエーテル基、ハロゲン化アルキル基、等が挙げられる。
【0069】
前記架橋反応化合物としては、例えば、(1)N−メチロール基及びシラノール基のいずれかを有する自己縮合型の架橋反応化合物、(2)コアとシェルに相互に反応する官能基を含有する自己架橋型の架橋反応化合物、などが挙げられる。
【0070】
前記(1)のN−メチロール基含有自己縮合型の架橋反応化合物としては、例えば、N−メチロール基が共重合したアクリル樹脂、などが挙げられる。市販品としては、例えば、SX410−01、SX410−02、SX410−03、SX410−04(いずれもJSR社製)などが挙げられる。
前記(1)のシラノール基含有自己縮合型の架橋反応化合物としては、例えば、シラノール基が共重合したウレタン樹脂(シラノール基含有ポリウレタンエマルジョンのシラノール基自己縮合)、などが挙げられる。市販品としては、例えば、WS−7000、WS−5000、WS−4000(いずれも三井タケダケミカル社製)などが挙げられる。
【0071】
前記(2)のシラノール基が共重合したアクリルシリコーンエマルジョン(シラノール基自己縮合)としては、市販品としてアクアブリッドASIシリーズ(ダイセル化学製)、などが挙げられる。
前記(2)のアクリルウレタンエマルジョン(コア/シェル=官能基含有アクリル/ウレタン)としては、市販品としてアクアブリッドAUシリーズ(AU−124、AU−131、ダイセル化学製)、などが挙げられる。
前記(2)のエポキシアクリルエマルジョン(コア/シェル=エポキシ/アミン基含有アクリル)としては、市販品としてアクアブリッドAEシリーズ(AEA61、ダイセル化学製)、などが挙げられる。
【0072】
前記架橋反応化合物の配合量は、前記水分散性ポリマー及び水溶性ポリマーから選択されるいずれかのポリマー100質量部に対し1〜50質量部が好ましく、1.5〜20質量部がより好ましい。
前記配合量が、1質量部未満であると、耐オフセット性に対する効果が低くなることがあり、50質量部を超えると、ひび割れ性と画質が低下することがある。
【0073】
前記受像層の厚みは、2〜20μmが好ましく、3〜8μmがより好ましい。前記受像層の厚みが、2μm未満であると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがあり、20μmを超えると、耐接着性及び耐オフセット性が低下することがある。
【0074】
前記受像層における130℃での貯蔵弾性率(G’)は、1.0×102〜1.0×106Paが好ましい。前記貯蔵弾性率が、1.0×102Pa未満であると、耐接着性及び耐オフセット性が悪化することがあり、1.0×106Paを超えると、画質、特にトナーによるレリーフ性及び光沢性が低下することがある。
【0075】
前記受像層には、更に必要に応じて適宜選択した各種添加剤、例えば、着色剤、フィラー、架橋剤、帯電制御剤、その他の成分等を含有することができる。
【0076】
前記着色剤としては、蛍光増白剤、白色顔料、有色顔料、染料、等が挙げられる。
前記蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。該蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistry of Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。前記蛍光増白剤としては、例えば、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物、などが挙げられる。前記蛍光増白剤の市販品としては、例えば、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B;Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0077】
前記白色顔料としては、無機顔料(例えば、酸化チタン、炭酸カルシウム等)を用いることができる。
前記有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(例えば、アゾレーキ、カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ、モノアゾイエロー、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系、クロモフタルイエロー、クロモフタルレッド)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロー、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(例えば、マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)、又無機顔料(例えば、酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等)、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、前記顔料としては、特に酸化チタンが好ましい。
なお、前記顔料の形状としては、特に制限はないが、画像定着時の伝熱性(低熱伝導性)に優れる点で、中空粒子形状であるのが好ましい。
【0078】
前記染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。
油溶性染料としては、アントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。
水不溶性染料としては、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料、などが挙げられる。
なお、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
【0079】
前記着色剤の、前記受像層における含有量は、0.1〜8g/m2が好ましく、0.5〜5g/m2がより好ましい。前記着色剤の含有量が、0.1g/m2未満であると、受像層における光透過率が高くなることがあり、8g/m2を超えると、ヒビ割れ、耐接着等の取り扱い性が悪いことがある。
【0080】
前記受像層における、前記着色剤及び前記天然ワックスの含有量(g/m2)比(着色剤/天然ワックス)としては、0.1/2〜8/0.1が好ましく、0.5/1.5〜5/0.2がより好ましい。
前記含有量比が、前記数値範囲に満たないと、電子写真用受像シートにおける不透明性が不充分なことがあり、前記数値範囲を超えると、耐オフセット性が劣ることがある。
【0081】
前記フィラーとしては、有機フィラー又は無機フィラーが挙げられる。バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。
前記フィラーとしては、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
前記フィラーとしては、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。前記無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。前記フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なお、前記フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、受像層の表面が粗面化し易い。
【0082】
前記シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。該シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。前記シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。前記シリカの平均粒径としては、200〜5000nmが好ましい。
前記シリカは、多孔質であるのが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、4〜120nmが好ましく、4〜90nmがより好ましい。また、前記多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0083】
前記アルミナには、無水アルミナ及びアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。前記アルミナの平均粒径としては、4〜300nmが好ましく、4〜200nmがより好ましい。前記アルミナは、多孔質であるのが好ましい。前記多孔質アルミナの平均孔径としては、50〜500nmが好ましい。前記多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積としては、0.3〜3ml/g程度が好ましい。
【0084】
前記アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
前記フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量100質量部に対し5〜2000質量部が好ましい。
【0085】
前記架橋剤は、受像層の保存安定性及び熱可塑性等を調整するために配合することができる。前記架橋剤としては、反応基としてエポキシ基、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0086】
前記架橋剤としては、これとは別に、水素結合、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
前記架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。
前記カップリング剤としては、例えば、クロロシラン類、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤、などが挙げられる。また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0087】
前記受像層には、トナーの転写、付着等を調整したり、受像層の帯電接着を防止するために、帯電制御剤を含有させることが好ましい。前記帯電制御剤としては、従来から公知の各種帯電制御剤を使用することができる。前記帯電制御剤としては、例えば、カチオン界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。例えば、第4級アンモニウム塩、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられる。
【0088】
トナーが負電荷を有する場合、受像層に配合される帯電制御剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
前記導電性金属酸化物としては、例えば、ZnO、TiO2、SnO2、Al2O3、In2O3、SiO2、MgO、BaO、MoO3、等が挙げられる。これらは、単独で使用しても良く、これらの複合酸化物で使用しても良い。
前記金属酸化物としては、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnOに対して、Al、In等、TiO2に対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0089】
前記受像層に使用され得る材料には、出力画像の安定性改良のため、受像層自身の安定性改良のため、各種添加剤を含めることができる。前記添加剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、酸化防止剤、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、金属錯体、光安定剤、防腐剤、防かび剤、などが挙げられる。
【0090】
前記酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物、などが挙げられる。なお、前記酸化防止剤については、特開昭61−159644号公報などに記載されている。
【0091】
前記老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0092】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
【0093】
前記金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載されているものが好適である。
【0094】
前記受像層に使用され得る材料としては、上述したように公知の写真用添加剤を添加することができる。前記写真用添加剤としては、例えば、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下、RDと略記する)No.17643(1978年12月)、同No.18716(1979年11月)及び同No.307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめて示す。
【0095】
前記離型層及び前記受像層は、前記支持体上に、離型層用塗布液及び受像層用塗布液スライドコート、カーテンコート等の高速塗布しても液割れや面荒れ等の問題が生じることなく、高速塗布適性に優れたものである。
【0096】
〔支持体〕
前記支持体としては、例えば、原紙、合成紙、合成樹脂シート、コート紙、ラミネート紙、等が挙げられる。これらの支持体は、単層構成でもよく、2層以上の積層構成でもよい。これらの中でも、平滑光沢性及び伸縮性に優れている点から、両面にポリオレフィン樹脂層を被覆したラミネート紙が好ましい。
【0097】
−原紙−
前記原紙としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、具体的には、上質紙、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0098】
前記原紙には、表面に所望の中心線平均粗さを付与するため、例えば、特開昭58−68037号公報に記載されているように、繊維長分布(例えば、24メッシュスクリーン残留分と、42メッシュスクリーン残留分との合計が、例えば、20〜45質量%であり、かつ24メッシュスクリーン残留分が5質量%以下)のパルプ繊維を使用するのが好ましい。また、マシンカレンダー及びスーパーカレンダー等で熱及び圧力を加えて表面処理することにより、中心線平均粗さを調整することができる。
【0099】
前記原紙としては、電子写真用受像シート用支持体に使用されるものとして公知の材料であれば特に制限なく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、針葉樹、広葉樹等の天然パルプ、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂製の合成パルプ、或いは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
【0100】
前記原紙の原料としてのパルプとしては、原紙の表面平滑性、剛性及び寸法安定性(カール性)を同時にバランス良く、かつ十分なレベルにまで向上させる点から、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)が望ましいが、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹サルファイトパルプ(LBSP)、等を使用することもできる。
前記パルプの叩解には、例えば、ビータ、リファイナー等を使用できる。
前記パルプのカナダ標準濾水度は、抄紙工程において紙の収縮性を制御できるため、200〜440mlC.S.F.がより好ましく、250〜380mlC.S.F.が更に好ましい。
前記パルプを叩解した後に得られるパルプスラリー(以下、「パルプ紙料」と称することがある)には、更に必要に応じて、各種添加剤、例えば、填料、乾燥紙力増強剤、サイズ剤、湿潤紙力増強剤、定着剤、pH調整剤、その他の薬剤などが添加される。
【0101】
前記填料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、白土、タルク、酸化チタン、珪藻土、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、等が挙げられる。
前記乾燥紙力増強剤としては、例えば、カチオン化澱粉、カチオン化ポリアクリルアミド、アニオン化ポリアクリルアミド、両性ポリアクリルアミド、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、等が挙げられる。
前記サイズ剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、パラフィンワックス、アルキルケテンダイマー、アルケニル無水琥珀酸(ASA)、エポキシ化脂肪酸アミド等の高級脂肪酸を含有する化合物、等が挙げられる。
前記湿潤紙力増強剤としては、例えば、ポリアミンポリアミドエピクロロヒドリン、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ化ポリアミド樹脂、等が挙げられる。前記定着剤としては、例えば、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉等のカチオン性ポリマー、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、例えば、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、等が挙げられる。
前記その他の薬剤としては、例えば、消泡剤、染料、スライムコントロール剤、蛍光増白剤、等が挙げられる。
更に必要に応じて、柔軟化剤等を添加することもできる。前記柔軟化剤としては、例えば、新・紙加工便覧(紙薬タイム社編)554〜555頁(1980年発行)などに記載のものを用いることができる。
【0102】
前記表面サイズ処理に使用される処理液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、水溶性高分子化合物、耐水性物質、顔料、などが含まれていてもよい。
前記水溶性高分子化合物としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロースサルフェート、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、等が挙げられる。
前記耐水性物質としては、例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、塩化ビニリデン共重合体等のラテックス・エマルジョン類、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、等が挙げられる。
前記顔料としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン、等が挙げられる。
【0103】
前記原紙は、剛性及び寸法安定性(カール性)の向上を図る点で、縦方向ヤング率(Ea)と横方向ヤング率(Eb)の比(Ea/Eb)が1.5〜2.0の範囲にあることが好ましい。前記Ea/Eb値が、1.5未満、及び2.0を超える範囲では、原紙の剛性や、カール性が悪くなり易く、搬送時の走行性に支障をきたすことがある。
【0104】
一般に、紙の「こし」は、叩解の様式の相違に基づいて異なることが分かっており、叩解後、抄紙してなる紙が持つ弾性力(率)を紙の「こし」の程度を表す重要な因子として用いることができる。特に、紙が持つ粘弾性体の物性を示す動的弾性率と密度との関係を利用する。これに超音波振動素子を使って紙中を伝播する音速を測定することにより、紙の弾性率を下記の数式より求めることができる。
E=ρc2(1−n2)
前記数式において、Eは、動的弾性率を意味する。ρは、密度を意味する。cは、紙中の音速を意味する。nは、ポアソン比を意味する。
【0105】
また、通常の紙の場合、n=0.2程度であるため、下記数式で計算しても大差なく、算出することができる。
E=ρc2
即ち、紙の密度、音速を測定することができれば、容易に弾性率を求めることができる。前記数式において、音速を測定する場合には、ソニックテスターSST−110型(野村商事(株)製)等の公知の各種機器を用いることができる。
【0106】
前記原紙の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、30〜500μmが好ましく、50〜300μmがより好ましく、100〜250μmが更に好ましい。前記原紙の坪量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、例えば、50〜250g/m2が好ましく、100〜200g/m2がより好ましい。
【0107】
−合成紙−
前記合成紙は、セルロース以外のポリマー繊維を主成分とする紙である。前記ポリマー繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維、などが挙げられる。
【0108】
−合成樹脂シート(フィルム)−
前記合成樹脂シート(フィルム)としては、合成樹脂をシート状に成形したもの等が挙げられ、例えば、ポリプロピレン、延伸ポリエチレン、延伸ポリプロピレン、ポリエステルフィルム、延伸ポリエステル、ナイロンフィルム、延伸により白色にしたフィルム、白色顔料を含む白色フィルムなどが挙げられる。
【0109】
−コート紙−
前記コート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙であり、用途に応じて、塗工量が異なる。前記コート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙、等が挙げられる。
【0110】
前記原紙等の表面に塗工する樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。前記熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の(i)〜(viii)に示す熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0111】
(i)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等が挙げられる。
(ii)エステル結合を有する熱可塑性樹脂である。例えば、ジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、アルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等が挙げられる。
具体的には、特開昭59−101395号公報、同63−7971号公報、同63−7972号公報、同63−7973号公報、同60−294862号公報などに記載のものを挙げることができる。
また、市販品としては、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130;花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010;ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、KZA−7049、KZA−1449;日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188;星光化学工業社製のハイロスシリーズの各種熱可塑性樹脂、等が挙げられる。
【0112】
(iii)ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
(iv)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
(v)ポリスルホン樹脂等が挙げられる。
(vi)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等が挙げられる。
(vii)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等が挙げられる。
(viii)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
なお、前記熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0113】
なお、前記樹脂には、蛍光増白剤、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラック等の顔料や染料等を必要に応じて含有させておくことができる。
【0114】
−ラミネート紙−
前記ラミネート紙は、原紙等のシートに対し、各種の樹脂、ゴムからなる高分子シート又はフィルム等をラミネートした紙である。前記ラミネート材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリカーボネート、ポリイミド、トリアセチルセルロース、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0115】
前記ポリオレフィンは、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるため、ポリプロピレン、ポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンド等を用いるのが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いるのが最も好ましい。
【0116】
前記高密度ポリエチレンと前記低密度ポリエチレンとは、ブレンド比率(質量比)が1/9〜9/1が好ましく、2/8〜8/2がより好ましく、3/7〜7/3が更に好ましい。
前記支持体の両面に熱可塑性樹脂層を形成する場合、支持体の裏面は、例えば、高密度ポリエチレン、或いは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いて形成されるのが好ましい。
前記ポリエチレンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、メルトインデックスが、1.0〜40g/10分が好ましい。
なお、前記シート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0117】
前記支持体の厚みとしては、25〜300μmが好ましく、50〜260μmがより好ましく、75〜220μmが更に好ましい。前記支持体の剛度としては、特に制限はなく、目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましい。
【0118】
前記電子写真用受像シートにおけるその他の層としては、例えば、バック層、密着改良層、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、及び、平滑化層等が挙げられる。これらの層は、単層構成であってもよく、2以上の層より構成されていてもよい。
【0119】
前記バック層は、前記電子写真用受像シートにおいて、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、受像層の反対側に設けられるのが好ましい。
前記バック層の色としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、前記電子写真用受像シートが、裏面にも画像を形成する両面出力型受像シートの場合、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成が受像層側と同様であってもよい。前記バック層には、上記で説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤としては、特にマット剤、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、単層構成であってもよく、2層以上の積層構成であってもよい。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラ等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
【0120】
前記密着改良層は、前記電子写真用受像シートにおいて、支持体及び受像層の密着性を改良する目的で、形成するのが好ましい。密着改良層には、前述の各種の添加剤を配合することができ、特に架橋剤を配合するのが好ましい。また、前記電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、該密着改良層及び受像層の間に、更にクッション層等を設けることが好ましい。
【0121】
前記中間層は、例えば、支持体及び密着改良層の間、密着改良層及びクッション層の間、クッション層及び受像層の間、受像層及び保存性改良層との間等に形成することができる。前記支持体、受像層、及び、中間層からなる電子写真用受像シートの場合には、前記中間層は、例えば、支持体及び受像層の間に存在させることができる。
【0122】
なお、前記電子写真用受像シートの厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、50〜350μmが好ましく、100〜280μmがより好ましい。
【0123】
前記電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、受像層にトナーを受容させて使用される。前記トナーとしては、公知のものから適宜選択して用いることができる。
【0124】
<トナー>
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、前記受像層にトナーを受容させて使用される。
前記トナーは、結着樹脂と着色剤とを少なくとも含有し、更に必要に応じて、離型剤、その他の成分を含有する。
【0125】
−トナー 結着樹脂−
前記結着樹脂としては、スチレン、パラクロルスチレン等のスチレン類;ビニルナフタレン、塩化ビニル、臭化ビニル、弗化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメチレン脂肪族カルボン酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリルロニトリル、アクリルアミド等のビニルニトリル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物類;メタクリル酸、アクリル酸、桂皮酸等のビニルカルボン酸類、などのビニル系モノマーの単独重合体又はその共重合体、更に、各種ポリエステル類を使用することができ、各種ワックス類を併用することも可能である。
これらの中でも、前記受像層に用いたものと同一系統の樹脂を用いることが好ましい。
【0126】
−トナー 着色剤−
前記着色剤としては、通常トナーに用いられている顔料、染料、などを使用することができる。前記顔料としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、パーメネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアンカーミン3B、ブリリアンカーミン6B、デイポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオクサレレート、などが挙げられる。
前記染料としては、例えば、アクリジン系染料、キサンテン系染料、アゾ系染料、ベンゾキノン系染料、アジン系染料、アントラキノン系染料、チオインジコ系染料、ジオキサジン系染料、チアジン系染料、アゾメチン系染料、インジコ系染料、チオインジコ系染料、フタロシアニン系染料、アニリンブラック系染料、ポリメチン系染料、トリフェニルメタン系染料、ジフェニルメタン系染料、チアジン系染料、チアゾール系染料、キサンテン系染料、などが挙げられる。
これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤の含有量は、2〜8質量%の範囲が好ましい。着色剤の含有量が2質量%以上であれば着色力が弱くなることもなく、一方、8質量%以下であれば、透明性が損なわれることもないので好ましい。
【0127】
−トナー 離型剤−
前記トナーの離型剤としては、原理的には、公知のワックス全てが使用可能であるが、比較的低分子量の高結晶性ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、アミドワックス、ウレタン化合物など窒素を含有する極性ワックスなどが特に有効である。ポリエチレンワックスの分子量は1000以下が好ましく、300〜1000がより好ましい。
【0128】
前記ウレタン結合を有する化合物は、低分子量であっても極性基による凝集力の強さにより、固体状態を保ち、融点も分子量のわりには高く設定できるので好適である。分子量の好ましい範囲は300〜1000である。原料は、ジイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせ、モノイソシアン酸とモノアルコールとの組み合わせ、ジアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリアルコール類とモノイソシアン酸との組み合わせ、トリイソシアン酸化合物類とモノアルコール類との組み合わせなど、種々の組み合わせを選択することができるが、高分子量化させないために、多官能基と単官能基の化合物を組み合わせることが好ましく、また等価の官能基量となるようにすることが重要である。
【0129】
原料化合物のうちモノイソシアン酸化合物としては、例えば、イソシアン酸ドデシル、イソシアン酸フェニル又はその誘導体、イソシアン酸ナフチル、イソシアン酸ヘキシル、イソシアン酸ベンジル、イソシアン酸ブチル、イソシアン酸アリル、などが挙げられる。
ジイソシアン酸化合物としては、例えば、ジイソシアン酸トリレン、ジイソシアン酸4、4’ジフェニルメタン、ジイソシアン酸トルエン、ジイソシアン酸1、3−フェニレン、ジイソシアン酸ヘキサメチレン、ジイソシアン酸4−メチル−m−フェニレン、ジイソシアン酸イソホロン、などが挙げられる。
原料化合物のうちモノアルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、などが挙げられる。ジアルコール類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリメチレングリコール等のグリコール類、などが挙げられる。トリアルコール類としては、トリメチロールプロパン、トリエチロールプロパン、トリメタノールエタン、などが挙げられる。
【0130】
これらのウレタン化合物類は、通常の離型剤のように、混練時に樹脂や着色剤とともに混合して、混練粉砕型トナーとしても使用できる。また、前記乳化重合凝集溶融法トナーに用いる場合には、水中にイオン性界面活性剤や高分子酸や高分子塩基などの高分子電解質とともに分散し、融点以上に加熱してホモジナイザーや圧力吐出型分散機で強い剪断をかけて微粒子化し、1μm以下の離型剤粒子分散液を調製し、樹脂粒子分散液、着色剤分散液などとともに用いることができる。
【0131】
−トナー その他の成分−
前記トナーには、内添剤、帯電制御剤、無機微粒子等のその他の成分を配合することができる。前記内添剤としては、フェライト、マグネタイト、還元鉄、コバルト、ニッケル、マンガン等の金属、合金、又はこれら金属を含む化合物などの磁性体を使用することができる。
【0132】
前記帯電制御剤としては、例えば、4級アンモニウム塩化合物、ニグロシン系化合物、アルミニウム、鉄、クロム等の錯体からなる染料、トリフェニルメタン系顔料などが挙げられる。なお、凝集、溶融時の安定性に影響するイオン強度の制御、廃水汚染を減少する観点から水に溶解し難い材料が好ましい。
【0133】
前記無機微粒子としては、シリカ、アルミナ、チタニア、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、リン酸三カルシウムなどが挙げられる。前記無機微粒子としては、通常、トナー表面の外添剤を全て使用することができる。前記無機微粒子は、イオン性界面活性剤、高分子酸、高分子塩基で分散して使用することが好ましい。
【0134】
更に、乳化重合、シード重合、顔料分散、樹脂粒子分散、離型剤分散、凝集、又は、これらの安定化などに界面活性剤を用いることができる。前記界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン系界面活性剤、非イオン性界面活性剤などが挙げられる。前記アニオン界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系アニオン界面活性剤、スルホン酸塩系アニオン界面活性剤、リン酸エステル系アニオン界面活性剤、せっけん系アニオン界面活性剤、等が挙げられる。前記カチオン系界面活性剤としては、例えば、アミン塩型カチオン系界面活性剤、4級アンモニウム塩型カチオン系界面活性剤、等が挙げられる。前記非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール系非イオン性界面活性剤、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系非イオン性界面活性剤、多価アルコール系非イオン性界面活性剤、等が挙げられる。その際の分散手段としては、回転せん断型ホモジナイザーやメデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどの一般的なものが使用可能である。
【0135】
なお、前記トナーには、更に必要に応じて外添剤を添加してもよい。前記外添剤としては、無機粒子又は有機粒子等が挙げられる。
前記無機粒子としては、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4、等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機粒子としては、例えば、脂肪酸又はその誘導体、これらの金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。
これらの外添剤の平均粒径は、例えば、0.01〜5μmが好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
【0136】
前記トナーの製造方法は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、(i)樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、(ii)前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び(iii)前記付着粒子を加熱し融合してトナー粒子を形成する工程、とを含むトナーの製造方法により製造することが好ましい。
【0137】
−トナー物性等−
前記トナーの体積平均粒子径は0.5μm以上10μm以下が好ましい。
前記トナーの体積平均粒子径が小さすぎると、トナーのハンドリング(補給性、クリーニング性、流動性等)に悪影響が生じる場合があり、また、粒子生産性が低下する場合がある。一方、トナーの体積平均粒子径が大きすぎると、粒状性、転写性に起因する画質、解像度に悪影響を与える場合がある。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ体積平均粒度分布指数(GSDv)は1.3以下が好ましい。
前記体積平均粒度分布指数(GSDv)と数平均粒度分布指数(GSDn)との比(GSDv/GSDn)は0.95以上が好ましい。
また、前記トナーは、該トナーの体積平均粒子径範囲を満たし、かつ下記数式で表される形状係数の平均値は1.00〜1.50が好ましい。
形状係数=(π×L2)/(4×S)
前記数式中、Lは、トナー粒子の最大長を表す。Sは、トナー粒子の投影面積を表す。
前記トナーが上記条件を満たす場合には、画質、特に、粒状性、解像度に効果があり、また、転写に伴う抜けやブラーが生じにくく、平均粒径が小さくなくてもハンドリング性に悪影響が出にくくなる。
【0138】
なお、前記トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G’(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが、定着工程での画質向上とオフセット性の防止の面から適当である。
【0139】
<インクジェット記録材料>
前記インクジェット記録材料としては、例えば、支持体上に、水性インク(色材として染料又は顔料を用いたもの)及び油性インク等の液状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印画に供する固体状インク等を受容できる前記色材受容層として、本発明の前記受像層を有し、該受像層上に離型層を有するものが挙げられる。
【0140】
<熱転写材料>
前記熱転写材料としては、例えば、支持体上に、少なくとも熱溶融性インク受容層として、本発明の受像層を有し、該受像層上に離型層を有し、感熱ヘッドにより加熱して熱溶融性インク層からインクを熱転写シート上に溶融転写する方式などが挙げられる。
【0141】
<昇華転写材料>
前記昇華転写材料としては、例えば、支持体上に、少なくとも熱拡散性色素(昇華性色素)受容層として、本発明の受像層を有し、該受像層上に離型層を設けた構成を有し、感熱ヘッドにより加熱してインク層から熱拡散性色素を昇華転写シート上に転写する昇華転写方式などが挙げられる。
【0142】
(画像形成方法)
本発明の画像形成方法は、第1の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成した後、前記電子写真用受像シートにおけるトナー画像面を、定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
また、本発明の画像形成方法は、第2の態様として、前記電子写真用受像シートに、トナー画像を形成し、熱ローラにより定着した後、更に、前記電子写真用受像シートにおけるトナー画像面を、定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離する。
なお、転写の方法としては、通常の電子写真方法で使用される方法、例えば、現像ローラ上に形成したトナー画像を直接電子写真用受像シートに転写する直接転写方式、或いは中間転写ベルト等に一次転写した後、電子写真用受像シートに転写する中間転写ベルト方式がある。環境安定性及び高画質化の面から、中間転写ベルト方式が好ましくは使用される。
【0143】
以下、典型的な定着ベルトを有する画像形成装置の一例を示す図1に基づいて具体的に説明する。なお、本発明の態様は、図1に示される態様に限定されるものではない。
まず、画像形成装置(図示せず)でトナー12が電子写真用受像シート1に転写される。トナー12が付着した受像シート1は、搬送設備(図示せず)でA点に運ばれ、加熱ローラ14と加圧ローラ15の間を通過し、電子写真用受像シート1の受像層或いはトナー12が十分に軟化する温度(定着温度)及び圧力で加熱及び加圧される。
【0144】
ここで、定着温度とは、A点における加熱ローラ14と加圧ローラ15とニップ部の位置で測定した受像層表面の温度を意味し、例えば、80〜190℃、より好ましくは、100〜170℃である。また、圧力は、加熱ローラ(14)と加圧ローラ15とニップ部で測定した受像層表面の圧力を意味し、例えば、1〜10kg/cm2が好ましく、2〜7kg/cm2がより好ましい。その後、電子写真用受像シート1は、定着ベルト13により冷却装置16に運ばれて、例えば、受像層のポリマー及び/又はトナーに使用されるバインダー樹脂の軟化点以下又はガラス転移点+10℃以下の温度が好ましく、20〜80℃がより好ましく、特に室温(25℃)に冷却されることが好ましい。
冷却された電子写真用受像シート1は、更に定着ベルト13によりB点に運ばれ、定着ベルト13は、テンションローラ17上を移動する。従って、B点にて電子写真用受像シート1と定着ベルト13が剥離する。なお、電子写真用受像シートが自身の剛性(腰の強さ)でベルトから剥離するようにテンションロールの径を小さく設定することが好ましい。
【0145】
前記定着ベルトの表面は、シリコーンゴム、フッ素ゴム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂から選択される少なくとも1種からなる薄膜が形成されることが好ましい。中でも、ベルト部材の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様、前記ベルト部材の表面にシリコーンゴム製の層を有し、かつ該シリコーンゴム層の表面にフルオロカーボンシロキサンゴム製の層を設ける態様が好ましい。
【0146】
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有するものが好ましい。
前記フルオロカーボンシロキサンゴムとしては、下記(A)〜(D)成分を含有するフルオロカーボンシロキサンゴム組成物の硬化物が好適である。
(A)下記一般式(1)のフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するフルオロカーボンポリマー、(B)1分子中に2個以上の≡SiH基を含有し、上記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物中の脂肪族不飽和基量に対して上記≡SiH基の含有量が1〜4倍モル量であるオルガノポリシロキサン及び/又はフルオロカーボンシロキサン、(C)充填剤、及び(D)有効量の触媒
【0147】
前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーは、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するフルオロカーボンシロキサンを主成分とし、脂肪族不飽和基を有するものである。
【0148】
【化3】
【0149】
前記一般式(1)において、R10は、非置換又は置換の炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、又は炭素数2〜3のアルケニル基であり、特にメチル基が好ましい。
a,eは、それぞれ0又は1の整数を表す。b,dは、それぞれ1〜4の整数を表す。cは、0〜8の整数を表す。また、xは、1以上が好ましく、10〜30がより好ましい。
【0150】
前記(A)成分としては、下記一般式(2)で示すものを挙げることができる。
【化4】
【0151】
前記(B)成分において、≡SiH基を有するオルガノポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を分子中に少なくとも2個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンを挙げることができる。
【0152】
また、前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、前記(A)成分のフルオロカーボンポリマーが脂肪族不飽和基を有するものであるときには、前記硬化剤としては、上述したオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することが好ましい。即ち、前記フルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和基と、オルガノハイドロジェンポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水素原子との間で生ずる付加反応によって硬化物が形成される。
【0153】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、付加硬化型のシリコーンゴム組成物に使用される種々のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用することができる。
【0154】
前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、一般にその≡SiH基の数が、前記(A)成分のフルオロカーボンシロキサン中の脂肪族不飽和炭化水素基1個に対して、少なくとも1個が好ましく、特に1〜5個となるような割合で配合することが好ましい。
【0155】
また、≡SiH基を有するフルオロカーボンとしては、上記一般式(1)の単位、又は上記一般式(1)において、R10がジアルキルハイドロジェンシロキシ基であり、かつ末端がジアルキルハイドロジェンシロキシ基又はシリル基等のSiH基であるものが好ましく、下記一般式(3)で示すものを挙げることができる。
【0156】
【化5】
【0157】
前記(C)成分の充填剤としては、一般的なシリコーンゴム組成物に使用されている種々の充填剤を用いることができる。前記充填剤としては、例えば、煙霧質シリカ、沈降性シリカ、カーボン粉末、二酸化チタン、酸化アルミニウム、石英粉末、タルク、セリサイト、ベントナイト等の補強性充填剤、アスベスト、ガラス繊維、有機繊維等の繊維質充填剤、などが挙げられる。
【0158】
前記(D)成分の触媒としては、付加反応用触媒として公知とされている塩化白金酸、アルコール変性塩化白金酸、塩化白金酸とオレフィンとの錯体、白金黒又はパラジウムをアルミナ、シリカ、カーボンなどの担体に担持したもの、ロジウムとオレフィンとの錯体、クロロトリス(トリフェニルフォスフィン)ロジウム(ウィルキンソン触媒)、ロジウム(III)アセチルアセトネートなどのような周期律表第VIII族元素又はその化合物が挙げられるが、これらの錯体はアルコール系化合物、エーテル系化合物、炭化水素化合物などの溶剤に溶解して用いることが好ましい。
【0159】
前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物においては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、種々の配合剤を添加することができる。例えば、ジフェニルシランジオール、低重合度の分子鎖末端水酸基封鎖ジメチルポリシロキサン、ヘキサメチルジシラザン等の分散剤、酸化第一鉄、酸化第二鉄、酸化セリウム、オクチル酸鉄等の耐熱性向上剤、顔料等の着色剤等を必要に応じて配合することができる。
【0160】
前記ベルト部材としては、耐熱性樹脂製又は金属製のベルト本体の表面を前記フルオロカーボンシロキサンゴム組成物で被覆し、加熱硬化することによって得られる。更に必要に応じて、m−キシレンヘキサフロライド、ベンゾトリフロライド等の溶剤で希釈して塗工液とし、スプレーコート、ディップコート及びナイフコート等の一般的なコーティング法によって塗布することができる。また、前記加熱硬化の温度、及び時間は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができ、通常、100〜500℃にて5秒〜5時間の範囲でベルト本体の種類及び製造方法などに応じて適宜選択される。
【0161】
前記ベルト部材の表面に形成するフルオロカーボンシロキサンゴム層の厚さは特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、20〜500μmが好ましく、40〜200μmがより好ましい。
【0162】
前記ベルト部材の表面粗さ〔算術平均粗さ(Ra)〕としては、特に、表面平滑性に優れ、良好な光沢を有する受像シートが効率的に製造される点で、20μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、1μm以下が更に好ましい。なお、前記表面粗さ(Ra)は、JIS B0601、JIS B0651、及びJIS B0652に従って測定することができる。
【0163】
前記電子写真用受像シートに画像を形成する方法は、定着ベルトを使用した電子写真方法であれば、上記、特に図1に示した方法に制限されるものではない。通常の電子写真法であれば、いずれも適用することができる。
例えば、前記電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0164】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写或いはバイアスローラ転写に代わって、或いは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号公報及び特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径のトナーを使用する場合には好ましい。
【0165】
前記画像形成方法によれば、定着オイルのないオイルレス機を使用しても、電子写真用受像シート及びトナーの剥離性、或いは受像シート及びトナー成分のオフセットを防止でき、安定した給紙を実現できると共に、これまでにない良好な光沢性を有し、写真感覚に富む、良好な画像を実現できる。
【0166】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
【0167】
(実施例1)
−電子写真用受像シートの作製−
−−支持体の作製−−
原紙として坪量160g/m2の上質紙を用いた。該原紙の裏面に、高密度ポリエチレン(HDPE)と低密度ポリエチレン(LDPE)とを質量比(HDPE/LDPE)が7/3に混合し、該混合物を押出コーティング(310℃)して、厚み15μmの裏面ポリエチレン樹脂層を形成した。
次に、前記原紙の表面に、低密度ポリエチレン(LDPE)を押出コーティング(310℃)して、厚み31.7μmの表面ポリエチレン樹脂層を形成した。
以上により、両面ポリエチレン樹脂被覆支持体を作製した。該支持体の光透過率を、直読ヘイズメーター(スガ試験機HGM−2DP)を用いて測定した結果、12.1%であった。
【0168】
−−下塗り層の形成−−
前記支持体の表面側の面に、ゼラチン5質量部及び水95質量部を混合し、乾燥後の塗布量が0.1g/m2となるようにワイヤーコーターで塗布乾燥し、下塗り層を形成した。
【0169】
−−裏面層の形成−−
前記支持体の裏面側に、水分散アクリル樹脂(星光化学工業(株)製、ハイロスXBH−997L、固形分濃度=28.3質量%)100質量部、パラフィンワックス(中京油脂(株)製、ハイドリンD−337、固形分濃度=30質量%)4.5質量部、及びイオン交換水33質量部を混合し、乾燥後の塗布量が8.2g/m2となるようにワイヤーコーターで塗布乾燥し、裏面層を形成した。
【0170】
−−離型層及び受像層の形成−−
<二酸化チタン分散液の調製>
二酸化チタン(タイペーク(登録商標)A−220、石原産業製)40.0g、PVA102(株式会社クラレ製)2.0g、及びイオン交換水58.0gを混合し、日本精機製作所製NBK−2を用いて分散させて、二酸化チタン分散液(二酸化チタン顔料40質量%)を調製した。
【0171】
<離型層用塗布液の調製>
水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ株式会社製、エリーテルKZA−1449、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃)100質量部、フッ素化合物としてのK(動的表面張力=35mN/m、表7参照)0.04質量部、カルナバワックス(中京油脂製、セロゾール524、固形分濃度=30質量%)5質量部、及び前記二酸化チタン水分散液7.5質量を混合して離型層用塗布液を調製した。
【0172】
<受像層用塗布液の調製>
水分散アクリル樹脂(星光化学工業株式会社製、ハイロスHE−1335、固形分濃度=45質量%)100質量部、可塑剤としてのC(融点=55℃、数平均分子量(Mn)=3,000、表8参照)2質量部、界面活性剤(日本油脂株式会社製、ラピゾールB−90、固形分濃度=10質量%)2質量部、及びイオン交換水30質量部を混合して受像層用塗布液を調製した。
【0173】
次に、前記支持体における下塗り層上に、前記受像層用塗布液及び前記離型層用塗布液をスライドコーターにより塗布速度60m/分で同時塗布し、100℃にて3分間乾燥し、厚みが8μmの受像層、厚みが5μmの離型層を形成した。
以上により、実施例1の電子写真用受像シートを作製した。
【0174】
(実施例2)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液のフッ素化合物Kをフッ素化合物L(動的表面張力=20mN/m、表7参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例2の電子写真用受像シートを作製した。
【0175】
(実施例3)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液の可塑剤Cを可塑剤F(融点=60℃、数平均分子量(Mn)=3,500、表8参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例3の電子写真用受像シートを作製した。
【0176】
(実施例4)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液に架橋反応化合物(ダイセル化学製、アクアブリッドAU−131、固形分濃度=40質量%)20質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の電子写真用受像シートを作製した。
【0177】
(実施例5)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液に架橋反応化合物(三井武田ケミカル社製、タケラックWS−5000、固形分濃度=30質量%)25質量部を添加した以外は、実施例1と同様にして、実施例5の電子写真用受像シートを作製した。
【0178】
(実施例6)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層の厚み5μmを0.05μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の電子写真用受像シートを作製した。
【0179】
(実施例7)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層の厚み5μmを12μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例7の電子写真用受像シートを作製した。
【0180】
(実施例8)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液の水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製、エリーテルKZA−1449、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃)を、水分散ポリエステル樹脂(ユニチカ(株)製、エリーテルKZAテストサンプル、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=42℃)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例8の電子写真用受像シートを作製した。
【0181】
(実施例9)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液のフッ素化合物Kをフッ素化合物R(動的表面張力=54mN/m、表7参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例9の電子写真用受像シートを作製した。
【0182】
(比較例1)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記離型層用塗布液中にフッ素化合物を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例1の電子写真用受像シートを作製した。
【0183】
(実施例10)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層の厚み8μmを1μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例10の電子写真用受像シートを作製した。
【0184】
(実施例11)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層の厚み8μmを23μmに変えた以外は、実施例1と同様にして、実施例11の電子写真用受像シートを作製した。
【0185】
(実施例12)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液中の可塑剤Cを可塑剤B(融点=35℃、数平均分子量(Mn)=400、表8参照)に代えた以外は、実施例1と同様にして、実施例12の電子写真用受像シートを作製した。
【0186】
(比較例2)
−電子写真用受像シートの作製−
実施例1において、前記受像層用塗布液中に可塑剤としてのポリアルキレンオキサイドポリオール化合物を添加しない以外は、実施例1と同様にして、比較例2の電子写真用受像シートを作製した。
【0187】
【表7】
表7中、動的表面張力は、K〜Rのフッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)である(単位:mN/m)。
【0188】
【表8】
*水溶性:◎・・・優れている、○・・・良好、×・・・不良
【0189】
<評価>
得られた実施例1〜12及び比較例1〜2の各電子写真用受像シートについて、以下のようにして、離型層における表面エネルギー、塗布面状、耐オフセット性、光沢度、ヒビ割れ、及び耐接着性を評価した。結果を表11に示す。
【0190】
−画像形成−
プリント用画像として、白ベタ、グレー(画像のR=G=B=50%)、黒(100%)、及び女性のポートレイト画像を使用した。前記電子写真装置としては、定着部を下記の定着ベルト装置に改造した富士ゼロックス製カラーレーザープリンター(C−2220)を用いた。
定着ベルト基材として、ポリイミド製のベース層上にシリコーンゴム用プライマーとしてのDY39−115(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)を塗布後、風乾30分の後、シリコーンゴム前駆体としてのDY35−796AB(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)100質量部、及びn−ヘキサン30質量部とを混合した塗布液を浸漬塗布により塗膜を形成し、120℃にて10分の一次加硫を行い、厚み40μmのシリコーンゴム層を形成した。
このシリコーンゴム層上に、フルオロカーボンシロキサンゴム前駆体であるSIFEL610(信越化学工業社製)100質量部、及びフッ素系溶媒(m−キシレンヘキサフロライド、パーフロロアルカン、パーフロロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)の混合溶剤)20質量部からなる塗布液に浸漬して塗膜を形成した後、120℃にて10分の一次加硫、180℃にて4時間の二次加硫を行い、厚み20μmのフルオロカーボンシロキサンゴム層を有する定着ベルトを用いた。
【0191】
前記電子写真装置の印刷速度は、原則として30mm/秒とし、トナーの定着温度は、加熱ローラの温度を155℃、加圧ローラの温度を130℃とした。この装置を使用して、電子写真用受像シートに上記ポートレイト画像及び白ベタ、グレー、黒の5cm角のパターンを転写した。
【0192】
<離型層における表面エネルギーの測定>
各電子写真用受像シートの離型層における表面エネルギーを協和界面科学(株)製、接触角測定器 CA−A型により測定した。
【0193】
<塗布面状の評価>
各電子写真用受像シートの塗布面状を、照明下において、下記基準に基づいて肉眼判定した。
〔評価基準〕
◎・・・全く面荒れなし。
○・・・僅かに面状の乱れがあるが、実用上問題のないレベルである。
△・・・面状の乱れがあり、実用上問題となるレベルである。
×・・・明確な面状の荒れが見られる。
【0194】
<耐オフセット性の評価>
各電子写真用受像シートを、前記電子写真装置を用いて、30℃で80%RH環境にて定着部を正常に通過させた際、画像面に貝殻状のムラが発生したか否かについて、下記評価基準により評価した。結果を表11に示す。本発明においては、「○以上」が実用上許容されるレベルである。
〔評価基準〕
◎・・・貝殻状のムラが全く発生しなかった。
○・・・貝殻状のムラがごく僅かに発生したが、実用上問題の無いレベルであった。
△・・・貝殻状のムラが若干発生した。
×・・・貝殻状のムラが強く発生した。
【0195】
<光沢度の評価>
各電子写真用受像シートを、前記電子写真装置を用い、B/W条件で濃度を6段階(0%、20%、40%、60%、80%、及び100%)に10cm四方で絵出しして画像を形成した。得られた各画像についてJIS Z8741に準じてデジタル変角光沢度計(スガ試験機製、UGV−5G)を用いて20度光沢度を測定し、その最小値を記録した。なお、光沢度は、75以上が実用上許容されるレベルである。
【0196】
<ヒビ割れの評価>
前記電子写真用受像シートに対し、前記電子写真装置を用いて、黒色の最大濃度で均一10cm四方の画像を絵出した後、10℃、15%RH環境に1日間放置した。その後、直径が1cm、2cm、3cm、4cm、及び5cmの丸棒を用意し、画像面が外側になるように大径の棒から順次小径の棒に巻き付け、ヒビが発生しなかった最小径を記録した。なお、直径3cm以下が実用上許容されるレベルである。
【0197】
<耐接着性の評価>
各電子写真用受像シートを、80%RH下、40℃にて24時間保存した後、電子写真用受像シート同士を対向させて重ね合わせ、3.5cm四方、500gの荷重を加え、同一環境下で7日間設置した後、サンプルを引き離す際の状態を、下記評価基準により評価した。なお、「2以下」が実用上許容されるレベルである。
〔評価基準〕
1・・・剥離音、接着跡共に無し。
2・・・軽微な剥離音又は接着跡が残る。
3・・・接着跡が1/4未満である。
4・・・1/4〜1/2未満が接着した。
5・・・1/2以上が接着した。
【0198】
【表9】離型層
*KZA−1449:水分散ポリエステル樹脂、エリーテルKZA−1449、ユニチカ(株)製、固形分濃度=30質量%、ガラス転移温度(Tg)=48℃、流動開始温度=100.4℃
【0199】
【表10】受像層
*HE−1335:水分散アクリル樹脂、ハイロスHE−1335、星光化学工業(株)製、固形分濃度=45質量%
*AU−131:ダイセル化学製、アクアブリッドAU−131、固形分濃度=40質量%
*WS−5000:三井武田ケミカル社製、タケラックWS−5000、固形分濃度=30質量%
【0200】
【表11】
【0201】
【発明の効果】
本発明によると、従来における問題を解決することができ、耐オフセット性、耐接着性、及び折り曲げ時のヒビ割れ防止が向上し、高速塗布適性を有し、高画質及び高光沢の画像が得られる受像シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の電子写真装置におけるベルト定着装置の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電子写真用受像シート
12 トナー
13 定着ベルト
14 加熱ローラ
15 加圧ローラ
16 冷却装置
17 テンションローラ
Claims (19)
- 支持体と、該支持体上に受像層と、離型層とをこの順に少なくとも有し、該離型層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかとフッ素化合物とを含むと共に、前記受像層が水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかと可塑剤とを含むことを特徴とする受像シート。
- 電子写真用受像シート、溶融熱転写記録シート、昇華熱転写記録シート及びインクジェット記録シートのいずれかに用いられる請求項1に記載の受像シート。
- 離型層における水溶性ポリマー及び水分散性ポリマーのいずれかのガラス転移温度(Tg)が45℃以上である請求項1から2のいずれかに記載の受像シート。
- フッ素化合物が、スルホコハク酸型フッ素化合物であり、該フッ素化合物の5g/l水溶液における動的表面張力(10Hz)が45mN/m以下である請求項1から3のいずれかに記載の受像シート。
- 離型層の厚みが、0.1〜10μmである請求項1から4のいずれかに記載の受像シート。
- 離型層における表面エネルギーが40mN/m以下である請求項1から5のいずれかに記載の受像シート。
- 可塑剤がポリアルキレンオキサイドポリオール化合物である請求項1から6のいずれかに記載の受像シート。
- ポリアルキレンオキサイドポリオール化合物の数平均分子量(Mn)が1,000〜300,000であり、融点が40〜80℃である請求項7に記載の受像シート。
- 受像層が、架橋反応化合物を含む請求項1から8のいずれかに記載の受像シート。
- 架橋反応化合物が、自己架橋型の架橋反応化合物である請求項9に記載の受像シート。
- 架橋反応化合物が、N−メチロール基及びシラノール基のいずれかを含有する自己縮合型の架橋反応化合物である請求項9から10のいずれかに記載の受像シート。
- 受像層の厚みが、2〜20μmである請求項1から11のいずれかに記載の受像シート。
- 受像層における130℃での貯蔵弾性率(G’)が1.0×102〜1.0×106Paである請求項1から12のいずれかに記載の受像シート。
- 支持体が、原紙の少なくとも一方の面に、ポリオレフィン樹脂層を設けてなる請求項1から13のいずれかに記載の受像シート。
- 請求項1から14のいずれかに記載の受像シートを用い、該受像シートが電子写真用受像シートである場合における画像形成方法であって、前記電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、該電子写真用受像シートのトナー画像面を定着ベルト及び定着ローラにより加熱及び加圧し、冷却した後、前記定着ベルトから剥離することを特徴とする画像形成方法。
- 電子写真用受像シートにトナー画像を形成した後、熱ローラにより定着する請求項15に記載の画像形成方法。
- 定着ベルトの表面にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた請求項15から16のいずれかに記載の画像形成方法。
- 定着ベルトの表面にシリコーンゴム層を設け、該シリコーンゴム層上にフルオロカーボンシロキサンゴム層を設けた請求項15から16のいずれかに記載の画像形成方法。
- フルオロカーボンシロキサンゴムが、主鎖にパーフルオロアルキルエーテル基及びパーフルオロアルキル基の少なくともいずれかを有する請求項17から18のいずれかに記載の画像形成方法。
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