JP2005037351A - コイル絶縁検査装置 - Google Patents

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Norihiko Akao
憲彦 赤尾
Hiroshi Shimazu
浩志 島津
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Abstract

【課題】 正確なテスト波形およびその特性値を得ることができ,精度が高い良否判定を行うことができるコイル絶縁検査装置を提供すること。
【解決手段】 まず,キャリブレーションを行う。次に,試験室内の温度・湿度,および被検査コイルの温度を測定する。次に,被検査コイルにインパルス電圧を印加し,それにより得られる電圧波形(テスト波形)を計測する。次に,テスト波形に対して補正処理(平均化処理,スムージング処理等)を行う。次に,補正処理後のテスト波形を基に特性値を抽出する。さらに,その特性値に対して,温度・湿度の変化に応じた補正処理を行う。次に,特性値が規格管理値の範囲に含まれているか否かを判定する。規格管理値は,複数のコイルの特性値を基に統計処理を行うことによって決定される値である。判定結果は,計測されたテスト波形およびその特性値のデータとともに保存される。
【選択図】 図3

Description

本発明は,各種のモータに利用されるコイルの絶縁不良を検出するためのコイル絶縁検査装置に関する。さらに詳細には,精度良くコイルの良否判定を行うことができるコイル絶縁検査装置に関するものである。
近年,低公害等の観点からハイブリッド車,電気自動車等が注目されている。従来から,これらの車両に搭載される車両駆動用モータにおいては,高精度の性能特性が要求されることから,そのモータの構成部品についても種々の性能検査が行われている。そして,モータの構成部品の1つであるコイルの絶縁検査としては,例えば被検査コイルにインパルス電圧を印加し,その後被検査コイルの両端を開放したときに発生する電圧の減衰振動波形(以下,「テスト波形」とする)を基に良否判定を行う試験方法が開示されている(例えば,特許文献1に記載されている試験方法)。
具体的には,図22のフローチャートに示すような手順によって行われる。なお,検査を開始する前提として,良品コイルから得られるテスト波形があらかじめマスタ波形として設定されているものとする。まず,被検査コイルにインパルス電圧を印加し,それにより得られるテスト波形を計測する(S21)。次に,そのテスト波形のA/D変換を行う(S22)。次に,そのテスト波形およびマスタ波形から必要な特性値を抽出する(S23)。そして,テスト波形の特性値とマスタ波形の特性値とを対比することで良否判定を行う(S24)。この良否判定の結果により,絶縁不良のコイルが検出される。
なお,特性値としては,例えば次の式(1)〜(4)にて求められるものがある(式中の各変数については図23参照)。
・ゼロクロス時間差(秒)=tm−ts (1)
・減衰比=テスト波形の減衰率/マスタ波形の減衰率 (2)
減衰率=((V3/V1)+(V4/V2))/2 (3)
・発生電圧差(V)=V1m−V1s (4)
式(1)中のtm,tsは,それぞれマスタ波形の電圧が0Vとなる時刻,テスト波形の電圧が0Vとなる時刻である。また,式(3)中のV1〜V4は,テスト波形あるいはマスタ波形の各ピーク電圧である。また,式(4)中のV1m,V1sは,それぞれマスタ波形の1次ピーク電圧,テスト波形の1次ピーク電圧である。
その他,判定区間内の面積比を特性値とすることもできる。対比する部分としては,図24に示すようにマスタ波形の面積Smとテスト波形の面積Ssとの比を特性値(面積比)とする方法と,図25に示すようにマスタ波形とテスト波形との差分の面積△Sとマスタ波形の面積Smとの比を特性値(面積差比)とする方法とがある。それぞれの特性値は次の式(5)〜(6)にて求められる。
・面積比=(1−(Ss/Sm))(5)
・面積差比=△S/Sm (6)
特開2001−215253号公報
しかしながら,前記した従来の試験方法には次のような問題があった。すなわち,実際にマスタ波形の基となったコイルが良品であるという確証がない(問題点1)。そのため,そのコイルが不良品であった場合には,的確な良否判断が行われていない。また,性能のばらつきの概念が考慮されていない(問題点2)。すなわち,マスタ波形の基となったコイルがコイルの平均的な特性を示すものであるとは限らない。そのため,良否判断を行うための基準となる上下限値(以下,「規格管理値」とする)が,必ずしも適切な範囲となるとは限らない。従って,的確な良否判定が行われている確証がない。
また,テスト波形をそのまま特性値の抽出や良否判定に利用することから,ノイズの影響を受けやすい(問題点3)。そして,そのノイズによる影響により正確な特性値が得られないため,誤判定をしてしまう危険性がある。
また,繰り返し使用することで計測装置の微調整にくるいが生じることもある。また,ときには故障することもある。そのため,インパルス電圧の設定値と実際に印加されたインパルス電圧のピーク値とが一致しているとは限らない。また,テスト波形を取得する際の電圧や減衰時間等の測定値も,実際の値から多少ずれてしまうことがある。しかしながら,それらのずれを確認する術がない(問題点4)。さらにはそのずれに対する補正機能を有していない。そのため,的確な良否判定が行われている確証がない。
また,コイルの特性は,温度や湿度によって変化することが知られている。具体的には,被検査コイルの温度,検査装置の温度,検査室内の温度,湿度,気圧等によってその特性が変化する。しかしながら,車両駆動用モータのコイルの絶縁試験に利用される検査装置では,これらの変化に対する補正機能を有していない。そのため,従来の検査装置で得られるテスト波形や特性値は,環境の変化によってかなりの影響を受けている(問題点5)。すなわち,測定値がコイル本来の特性値でないことがある。従って,コイル自体は正しく製造されていても,測定時の環境により誤判定されうる。またその逆に,不良品のコイルが良品と誤判定されうる。
また,車両駆動用モータのコイルの絶縁試験に利用される検査装置では,表示上のスケールを変更する機能を有していない(問題点6)。そのため,特に低電圧の試験では波形の変化を正確に認識できないこともあり,良否判定が正確に行われないことがある。
また,被検査コイルの個々のコイル特性(電気抵抗R,インダクタンスL,電気容量C等)は,コイルの成形時の製造条件によって異なることが知られている。具体的には,コイル線の取り回し等によってその特性にばらつきが生じる。しかしながら,車両駆動用モータのコイルの絶縁検査に利用される検査装置では,コイル特性のばらつきに対する補正機能を有していない。そのため,従来の検査装置で得られるテスト波形や特性値は,製造条件の違いによって影響を受けている(問題点7)。すなわち,コイル本来の特性値に対応する判定条件にて判定が行われないことがある。従って,コイル自体は正しく製造されていても,製造条件の違いによって誤判定されうる。
また,テスト波形の減衰比等にて良否判断を行う検査では,1次ピーク電圧や1次ゼロクロス時間を基準として減衰比等を求めている。そのため,被検査コイルの1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間がマスタ波形の1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間と等しいことが前提である。しかしながら,すべての被検査コイルに同じインパルス電圧を印加したとしても,環境の違いやコイル特性のばらつき等により,ピーク電圧およびゼロクロス時間の算出基準にばらつきが生じる(問題点8)。従って,的確な良否判定が行われている確証がない。
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を少なくとも1つ解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,正確なテスト波形およびその特性値を得ることができ,精度が高い良否判定を行うことができるコイル絶縁検査装置を提供することにある。
この課題の解決を目的としてなされたコイル絶縁検査装置は,コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置であって,被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,電圧波形取得手段にて取得された被検査コイルの電圧波形からその特性値を抽出する特性値抽出手段と,特性値抽出手段にて抽出された特性値が,その特性値の種類ごとに設定された管理値の範囲内であるか否かにより絶縁の良否の絶対評価を行う絶対評価手段とを有するものである。
すなわちこのコイル絶縁検査装置では,電圧波形取得手段にて取得した電圧波形,すなわち被検査コイルのテスト波形からその特性値を抽出している。そして,その特性値が管理値の範囲内であるか否かにより良否判定を行っている。ここでいう管理値とは,絶縁の良否判断を行うために基準となる範囲の上下限値を規定した値である。すなわち,マスタ波形を設定することなくテスト波形のみで良否判定を行っている。そのため,マスタ波形が適切であるか否かの問題(問題点1)は発生しない。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は,的確な良否判定を行うことができる。
また,本発明の別のコイル絶縁検査装置は,コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置であって,被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,複数のマスタ用電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果から検査の基準となるマスタ波形を作成するマスタ波形作成手段と,マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,電圧波形取得手段にて取得された被検査コイルの電圧波形とからそれぞれの特性値を抽出する特性値抽出手段と,特性値抽出手段にて抽出されたマスタ波形の特性値と被検査コイルの電圧波形の特性値とを対比し,その対比結果を基に絶縁の良否の相対評価を行う相対評価手段とを有するものである。
すなわちこのコイル絶縁検査装置では,マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,電圧波形取得手段にて取得した電圧波形(テスト波形)とからそれぞれ特性値を抽出している。そして,それらの特性値を対比することで良否判定を行っている。すなわち,マスタ波形とテスト波形とを対比することで良否判定が行われている。さらにマスタ波形は,複数のマスタ用電圧波形を基に作成される。ここでいうマスタ用電圧波形とは,被検査コイル以外のコイルの波形であって,電圧波形取得手段にて取得したものであってもよいし,あらかじめ良品コイルの波形として用意したものであってもよい。そして,それらマスタ用電圧波形を代表する波形を算出する。代表する波形としては,例えばマスタ用電圧波形を平均化した波形がある。その他,中央値,最頻値等からマスタ波形を作成してもよい。これによりマスタ波形は,コイルの代表的な特性を備えることになる。よって,マスタ波形に関する問題(問題点1)および性能のばらつきに関する問題(問題点2)が緩和される。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は,的確な良否判定を行うことができる。
また,本発明の別のコイル絶縁検査装置は,コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置であって,被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,代表波形作成手段にて作成された代表波形からその特性値を抽出する特性値抽出手段と,特性値抽出手段にて抽出された特性値が,その特性値の種類ごとに設定された管理値の範囲内であるか否かにより絶縁の良否の絶対評価を行う絶対評価手段とを有するものである。
すなわちこのコイル絶縁検査装置では,代表波形作成手段にてインパルス電圧を複数回印加することで得られる複数の電圧波形から被検査コイルの代表波形を作成している。これにより,電圧波形に発生するノイズの影響(問題点3)が緩和され,正確な電圧波形およびその特性値を得ることができる。なお,電圧波形取得手段にて取得される電圧波形,あるいは被検査コイルの代表波形に対してスムージングを行ってもよい。これにより,波形が滑らかになり,より正確な波形およびその特性値を取得することができる。さらにこのコイル絶縁検査装置では,マスタ波形を設定することなくテスト波形のみで良否判定が行われているため,マスタ波形が適切であるか否かの問題(問題点1)は発生しない。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は正確なテスト波形を得ることができ,良否判定の精度が高い。
また,本発明の別のコイル絶縁検査装置は,コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置であって,被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,複数のマスタ用電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果から検査の基準となるマスタ波形を作成するマスタ波形作成手段と,マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,代表波形作成手段にて作成された代表波形とからそれぞれの特性値を抽出する特性値抽出手段と,特性値抽出手段にて抽出されたマスタ波形の特性値と代表波形の特性値とを対比し,その対比結果を基に絶縁の良否の相対評価を行う相対評価手段とを有するものである。
すなわちこのコイル絶縁検査装置では,代表波形作成手段にて複数の電圧波形から被検査コイルの代表波形を作成することで,ノイズの影響(問題点3)を緩和している。また,マスタ波形作成手段にて複数のマスタ用電圧波形からマスタ波形を作成することで,マスタ波形に関する問題(問題点1)および性能のばらつきに関する問題(問題点2)を緩和している。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は正確なテスト波形を得ることができ,良否判定の精度が高い。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,標準検体に電圧を印加し,それにより得られた電圧波形を取得するとともにその電圧波形を基にキャリブレーションを行うキャリブレーション手段を有し,キャリブレーション手段は,被検査コイルにインパルス電圧を印加する前に自動的にキャリブレーションを行うこととするとよりよい。すなわち,計測装置の微調整を自動的に行うことで,測定値のずれに関する問題(問題点4)を緩和している。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は,正確な測定値を得ることができる。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,複数のコイルの特性値を取得し,それらの特性値を基に統計処理を行うことで良否判定に必要な管理値を決定する管理値決定手段を有することとするとよりよい。すなわち,良否判定に必要な管理値を複数のコイルのデータから決定している。これにより,性能のばらつきに関する問題(問題点2)が緩和される。従って,本発明のコイル絶縁検査装置は,的確な良否判定を行うことができる。
さらに,前記したコイル絶縁検査装置の管理値決定手段は,絶対評価手段あるいは相対評価手段にて良品と評価されたコイルの特性値を統計処理の要素として再利用することとするとよりよい。すなわち,管理値を決定するための要素として,良品コイルのデータを自動的に追加することとしている。これにより,検査を実施する度に管理値を決定するための要素が増加し,検査をすればするほどより正確な管理値を求めることができる。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,温度および湿度の少なくとも一方を検出する環境データ取得手段と,環境データ取得手段の検出結果に応じて特性値の補正処理を行う環境補正手段とを有することとするとよりよい。あるいは,被検査コイルの温度,装置本体の温度,試験室内の温度,湿度,気圧の少なくとも1つを検出する環境特性データ取得手段と,環境特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行う環境特性補正手段とを有することとするとよりよい。すなわち,良否判定を行う前に,環境補正手段あるいは環境特性補正手段にて温度,湿度等の環境に関するデータを基に特性値を補正している。そして,この補正値を基に良否判定を行うことで,環境に関する問題(問題点5)を緩和している。なお,補正する対象は,特性値に限らず管理値,テスト波形等であってもよい。また,計測装置の微調整を行ってもよい。これにより,本発明のコイル絶縁検査装置は,的確な良否判定を行うことができる。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,被検査コイルの電圧波形のうちの検査に必要な部分を抜き出し,抜き出し部分中の電圧の最大値および最小値に合わせて表示上のスケールを自動的に変更するスケール変更手段を有することとするとよりよい。すなわち,本発明のコイル絶縁検査装置は,検査に必要な部分を抜き出すとともに表示上のスケールを自動的に変更している。これにより,分解能に関する問題(問題点6)が緩和される。なお,被検査コイルに印加するインパルス電圧のピーク値に合わせて表示上のスケールを変更するとしてもよい。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,被検査コイルのコイル特性を検出するコイル特性データ取得手段と,コイル特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行うコイル特性補正手段とを有することとするとよりよい。すなわち,良否判定を行う前に,コイル特性補正手段にて被検査コイルの特性(LCR)に関するデータを基に特性値を補正している。そして,この補正値を基に良否判定を行うことで,製造条件に関する問題(問題点7)を緩和している。なお,補正する対象は特性値に限らず管理値,テスト波形等であってもよい。また,計測装置の微調整を行ってもよい。これにより,本発明のコイル絶縁検査装置は,より的確な良否判定を行うことができる。
また,これら本発明のコイル絶縁検査装置は,標準検体に電圧を印加したときに得られるピーク電圧およびゼロクロス時間の少なくとも一方を取得する標準特性データ手段を有し,標準特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行う標準特性補正手段とを有することとするとよりよい。すなわち,良否判定を行う前に,標準特性補正手段にて標準検体のピーク電圧やゼロクロス時間を基に特性値を補正している。そして,この補正値を基に良否判断を行うことで,試験条件に関する問題(問題点8)を緩和している。なお,補正する対象は特性値に限らず管理値,テスト波形等であってもよい。また,計測装置の微調整を行ってもよい。これにより,本発明のコイル絶縁検査装置は,より的確な良否判定を行うことができる。
本発明によれば,前記した問題点1ないし問題点8の少なくとも1つを解決することができている。従って,正確なテスト波形およびその特性値を得ることができ,精度が高い良否判定を行うことができるコイル絶縁検査装置が提供されている。
以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお,本実施の形態は,車両駆動用モータのコイルの絶縁検査装置に本発明を適用したものである。
実施の形態に係るコイル絶縁検査装置100は,図1に示すようにインパルス試験器2と,データ処理計算機3と,切替ボックス4と,ノイズフィルタ5と,制御盤6と,ワーク温度測定器7と,温度・湿度測定器8とを備えている。検査対象ワーク1は,ステータコイルとしてU,V,Wの各相に被検査コイルを備えている。インパルス試験器2は,検査対象ワーク1に対してインパルス電圧を印加するものである。インパルス試験器2は,切替ボックス4を介して検査対象ワーク1と電気的に接続されている。データ処理計算機3は,インパルス電圧を印加することによって被検査コイルから得られる電圧の減衰振動波形を基に,検査対象ワーク1の良否判定を行うものである。判定結果は,データ処理計算機3に付設されたモニタ31やプリンタ33等の出力手段に出力される。検査者は,例えば図2に示すようにモニタ31を通じて試験結果を知ることができる。さらに,検査者は,キーボードやマウス32等の入力手段により出力内容を加工することができる。切替ボックス4は,検査対象ワーク1の測定箇所の切替えを行うものである。具体的に本形態の測定箇所としては,UV間,VW間,WU間の3箇所がある。ワーク温度測定器7は,検査対象ワーク1中のモータの温度を測定するものである。測定器としては,接触タイプのものであってもよいし,非接触タイプのものであってもよい。温度・湿度測定器8は,試験室内の温度および湿度を測定するものである。
次に,コイル絶縁検査装置100による検査方法について説明する。本検査では,検査対象ワーク1に対してインパルス電圧を印加し,その後被検査コイルの両端に発生する電圧波形を計測する。そして,その波形から得られる特性値を基にコイルの良否判定を行う。なお,一般的に特性値の評価方法としては,相対評価と絶対評価との2つがある。ここでいう「相対評価」とは,基準となる波形(マスタ波形)と被検査コイルから得られる波形(テスト波形)とを対比して,その対比結果を基に良否判定を行う方法である。相対評価の例としては,従来の技術に記載した試験方法がある。一方,「絶対評価」とは,被検査コイルから得られる波形(テスト波形)のみで良否判定を行う方法である。絶対評価ではマスタ波形を使用しないため,マスタ波形に関する問題(問題点1)は発生しない。以下,絶対評価でのコイル絶縁検査の手順について,図3のフローチャートに基づいて説明する。
[絶対評価の形態]
まず,コイル絶縁検査装置100に対してキャリブレーションを行う(S11)。すなわち,設定電圧の変更や計測装置の微調整等を必要に応じて行う。具体的には,図4に示すように標準コイルにて所定のピーク電圧および所定の減衰時間(ゼロクロス時間)を測定する。なお,ここでいう標準コイルとは,一般的な特性を備えたコイルのことであり,検査のためのマスタとして利用されるわけではない。次に,各測定値が許容範囲内であるか否かを判断する。なお,図5に示すように標準抵抗にてピーク電圧および減衰時間を測定し,その測定値が許容範囲内であるか否かを判断してもよい。いずれの場合であっても,測定値が許容範囲内となるように調整を行う。このキャリブレーションにより測定値のずれに関する問題(問題点4)が緩和される。キャリブレーションは,コイル1つを検査する度に行うとしてもよいし,所定の検査回数ごとに行うとしてもよい。いずれのタイミングにしてもコイルの絶縁検査とともに自動的に行われる。なお,検査者が任意のタイミングで行うことができるようにしてもよい。
次に,試験環境のデータを取得する(S12)。具体的には,温度・湿度測定器8にて試験室内の温度や湿度を測定する。また,ワーク温度測定器7にて検査対象ワーク1の温度を測定する。具体的には,被検査コイルが巻かれたステータの温度を測定する。なお,温度や湿度が変化する要因としては,夏/冬や昼/夜での温度差,モータの自己発熱等がある。
次に,インパルス試験器2にて検査対象ワーク1に対してインパルス電圧を印加する。そして,被検査コイルの両端に発生する電圧波形(テスト波形)を計測する(S13)。また,検査対象ワーク1には,複数回にわたりインパルス電圧を印加する。そしてその都度,テスト波形が計測される。すなわち,1つのコイルに対して複数のテスト波形を取得する。次に,計測された各テスト波形のA/D変換を行う(S14)。
次に,デジタル化されたテスト波形の補正処理を行う(S15)。具体的には,平均化処理およびスムージング処理を行う。平均化処理では,S13の処理にて計測された複数のテスト波形を平均化する。すなわち,S13の処理にて計測された複数のテスト波形は,図6(A)に示すようにノイズの影響から必ずしも一致しているとは限らない。そのため,1本の電圧波形から正確な特性値を得られるとは限らない。そこで,平均化処理を行うことで,図6(B)に示すように1本の滑らかな波形を作成する。すなわち,被検査コイルから得られる波形の代表波形を作成する。なお,代表波形を作成する処理としては,平均化処理に限るものではない。例えば,中央値や最頻値等の代表値から作成することもできる。一方,スムージング処理では,個々のテスト波形についてスムージングを行う。すなわち,S13の処理にて計測された各テスト波形には,図7(A)に示すようにノイズの影響で多少のがたつきが生じている。そこで,スムージング処理を行うことで,図7(B)に示すような滑らかな波形を作成する。なお,スムージング処理は,平均化処理後の代表波形に対して行ってもよい。これらの補正処理によりノイズに関する問題(問題点3)が緩和される。また,テスト波形を滑らかにすることによって,コイル絶縁検査装置100自体の分解能不足を補うことができる。
なお,前記した補正処理は,S13の処理にて計測されたテスト波形全体について必ずしも行う必要はない。すなわち,テスト波形のうち,検査を行う部分を限定し,その限定部分についてのみ補正処理を行うこととしてもよい。言い替えると,テスト波形のうち,ノイズの影響を非常に受けやすい部分や,特性値の抽出が困難となる部分については補正処理を行わないこととしてもよい。本形態では,図8に示すように検査に必要な部分(図8の破線の内部)を抽出し,その抽出した部分についてのみ補正処理を行う。すなわち,計測開始直後の電圧のピーク値付近は,ノイズの影響を受けやすいために検査から除外する。また,計測開始から所定の時間が経過した後は,電圧の変化が微小であって特性値の抽出が困難なために検査から除外する。これにより,ノイズに関する問題(問題点3)がより緩和される。
また,検査に必要な部分を抜き出し,抜き出した部分に合わせて表示上のスケールを変更することで,コイル絶縁検査装置100の分解能不足を補うことができる。すなわち,テスト波形全体を判定する場合には,図8に示したように±1500Vの範囲のスケールが必要となる。そのため,8ビット(256ドット)の分解能を備えた検査装置では,1ドットあたり3000/256≒11.7Vとなる。一方,抽出した部分を判定する場合には,図6に示したように±500Vの範囲のスケールで十分である。そのため,8ビットの分解能を備えた検査装置では,1ドットあたり1000/256≒3.9Vとなる。すなわち,1ドットあたりの電圧が小さくなる。勿論,電圧(V)だけではなく,時間(μs)に関しても1ドットあたりの時間が短くなる。よって,判定する部分を抜き出すとともに表示上のスケールを自動的に変更することで,分解能に関する問題(問題点6)が緩和される。
次に,補正処理後のテスト波形から必要な特性値を抽出する(S16)。特性値としては,図9に示すようにピーク電圧(以下,プラス側のピーク電圧を「プラスピーク電圧」,マイナス側のピーク電圧を「マイナスピーク電圧」とする。),ゼロクロス時間等がある。本形態では,図8に示したように検査に必要な部分を限定しているため,2次プラスピーク電圧,2次マイナスピーク電圧,および3次ゼロクロス時間の3つの特性値が抽出される。ここで,テスト波形には補正処理が施されているため,がたつきがない滑らかな波形になっている。そのため,正確な特性値が求められる。
特に,図10に示すようにゼロクロス時間(ここでは3次)を求める場合,従来の検査装置では0Vに近いポイントa(9.80μs)もしくはポイントb(9.85μs)を抽出し,そのポイントでの時刻をゼロクロス時間とみなしていた。そのため,従来の検査装置,特に分解能が低い検査装置では正確な良否判定を行うことができていなかった。しかしながら,本形態では,図10に示したように0Vに近似するプラス側のポイントaとマイナス側のポイントbとを抽出し,それらのポイントa,bを結ぶ直線abの式を求め,その式から電圧が本当に0Vとなる時刻(およそ9.84μs)を算出する。これにより,コイル絶縁検査装置100の分解能不足を補うことができ,より正確なゼロクロス時間が求められる。
次に,S12の処理にて測定した温度および湿度のデータを基に,特性値の補正処理を行う(S17)。すなわち,環境の変化に応じた補正処理を行う。例えば,コイルの導線の抵抗値は,温度が高いと大きく,温度が低いと小さい。そのため,測定値の温度を考慮してピーク電圧等の特性値を補正する。同様に,コイル内部の寄生容量についても温度・湿度の影響を受ける。これらについても考慮して特性値を補正する。これにより,環境の変化に関する問題(問題点5)が緩和される。
次に,補正後の特性値に対する良否判定を行う(S18)。具体的には,特性値ごとに設定された規格管理値の範囲内に,補正後の特性値があるか否かが判断される。この規格管理値は,複数のコイルから得られる特性値を基に,統計処理を行うことで決定する値である。例えば,図11に示すように30個の良品コイルの特性値を取得し,特性値ごとに平均値を算出する。さらに,特性値ごとに標準偏差を算出し,標準偏差と平均値とから規格管理値を決定する。図11の例では,2次プラスピーク電圧の平均値が418V,標準偏差から求められる許容値(3σ)が8Vであることから,規格管理値を418±8[V]としている。すなわち,複数の良品コイルからコイルの平均的な特性を求め,その特性から規格管理値を決定している。そのため,性能のばらつきに関する問題(問題点2)が緩和される。
次に,判定結果をモニタ等31に出力する。また,判定結果とともにこれまでの検査の過程で得られたデータ(テスト波形,特性値,温度・湿度等)を保存する(S19)。なお,前記した規格管理値は,所定回数の検査を行うごとに更新される。そこで,規格管理値を更新する際に,保存されているデータを利用することができる。すなわち,本形態の検査装置にて良品と判定されたコイルの特性値を,規格管理値を決定する際の統計処理の要素として再利用することができる。これにより,規格管理値を決定する際のサンプル数が検査を行う度に増加することになる。従って,規格管理値を更新する度に,規格管理値が適切な値に近づくことになる。また,データを保存することで,検査の履歴を表示することができる。すなわち,特性値等の時系列管理を行うことができる。このデータの保存処理により絶対評価でのコイル絶縁検査が終了する。
[相対評価の形態]
次に,相対評価でのコイル絶縁検査について説明する。相対評価であっても機器構成は図1に示した絶対評価の構成と異ならない。ただし相対評価では,良否判断の基準となるマスタ波形をあらかじめ作成しておく必要がある。このマスタ波形は,複数のコイルから得られる電圧波形を平均化することによって作成される。すなわち,図12(A)に示すように良品コイルから得られる電圧波形であっても,1つ1つの電圧波形の特性値にはばらつきがある。そのため,図12(B)に示すように平均化処理を行うことで代表的なコイルの電圧波形が算出される。この平均化された波形をマスタ波形とすることで,マスタ波形に関する問題(問題点1)および性能のばらつきに関する問題(問題点2)が緩和される。勿論,マスタ波形を作成する際には,スムージング処理を行ってもよい。また,マスタ波形を作成する際に算出される値は,平均値に限らず,中央値,最頻値等の代表値であってもよい。以下,相対評価でのコイル絶縁検査の手順について,再び図3のフローチャートに基づいて説明する。
まず,絶対評価と同様にキャリブレーションを行う(S11)。これにより,測定値のずれに関する問題(問題点4)が緩和される。次に,温度・湿度を測定する(S12)。次に,被検査コイルから得られる電圧波形,すなわちテスト波形を計測する(S13)。テスト波形は,インパルス電圧を複数回にわたり印加することによりその都度計測される。次に,計測されたテスト波形のA/D変換を行う(S14)。次に,テスト波形に対して平均化,スムージング処理等の補正処理を行う(S15)。これによりノイズに関する問題(問題点3)が緩和される。次に,マスタ波形およびテスト波形から必要な特性値を抽出する(S16)。また,抽出した特性値に対して温度および湿度の補正処理を行う(S17)。これにより,環境の変化に関する問題(問題点5)が緩和される。次に,マスタ波形の特性値とテスト波形の特性値とを対比して良否判定を行う(S18)。次に,判定結果をモニタ等31に出力する。また,判定結果とともにこれまでに得られたデータを保存する(S19)。このデータの保存処理により相対評価でのコイル絶縁検査が終了する。
次に,判定結果の出力例について説明する。図13は,絶対評価と相対評価とを同時に行った場合の判定結果の一覧を表示する画面を示している。この画面では,特性値(プラスピーク電圧,ゼロクロス時間等)ごとに判定結果が表示されている。さらに特性値のうち,各ピーク電圧およびゼロクロス時間に関しては,次数(図9参照)ごとに判定結果が表示されている。さらに,各判定項目の判定結果を踏まえた総合評価の結果が表示されている。また,必要に応じて各テスト波形を表示することが可能となっている。これらにより,検査結果について容易に確認することができる。
また,特性値ごと(各ピーク電圧およびゼロクロス時間についてはさらに次数ごと)に,規格管理値の上限値および下限値が表示されている。この規格管理値が表示されているセルは入力が可能であり,その入力によって規格管理値を任意の値に変更することが可能である。また,特性値ごと(各ピーク電圧およびゼロクロス時間についてはさらに次数ごと)に,良否判定を行うか否かを選択することができる。すなわち,判定を行う部分を指定することができる。これにより,ノイズの影響を受けやすい部分や性能評価に影響を及ぼさない部分を判定対象から除外することができる。また,良否判定を行わない項目については,その項目のセルが色分けされている。これにより,検査対象項目を容易に識別することができる。
また,特性値,テスト波形等のデータは内蔵HD等に記録される。特性値のデータとしては,日付,管理番号,測定箇所,特性値ごとの規格管理値等があり,それらのデータが1つのファイルにまとめられて所定の形式で保存されている。また,テスト波形のデータとしては,日付,管理番号,測定箇所,サンプリング時間,時間ごとの電圧値等があり,これらのデータも1つのファイルにまとめられて所定の形式で保存されている。また,これらのファイルには,温度・湿度のデータを追加してもよい。また,相対評価を行った場合には,マスタ波形の情報が追加される。ファイルの保存形式としては,例えばCSV形式がある。保存されているファイルは容易に読み出すことができるため,検査結果を容易に再利用することができる。また,検査の履歴を知ることができるため,設備の異常箇所等を容易に検知することができる。
また,保存用のファイル名は,日付,管理番号,測定箇所等が含まれたものになっている。例えば,テスト波形のファイル名は次のように定義される。なお,定義中の「通し番号」は,検査開始から連番で付せられる数値である。
“ファイル名”=“マスタ波形名”+“ ”+“日付”+“ ”+“通し番号”+“ ”+“測定箇所”
例えば,マスタ波形名が“StatorA 1.4kV”,日付が2003年1月30日,通し番号が005番,測定箇所がUV間であった場合には,テスト波形のファイル名は次のようになる。
“ファイル名”=“StatorA 1.4kV 030130 005 UV”
前記したようにファイル名には日付,通し番号,測定箇所が付されているため,ファイル名を基に特定のテスト波形等を抽出することができる。図14はファイルの検索画面を示している。検索する際には,マスタ波形,日付,測定箇所等を指定する。そして,検索開始ボタンを押下することにより,指定された項目に応じたファイル,すなわちそのファイルに対応した特性値,テスト波形等が抽出される。これにより,記録されているデータの中から容易に必要な情報を抽出することができる。
なお,本形態のコイル絶縁検査装置100では,特性値に対して温度等の変化に関する補正処理を行っているが,環境に関する補正は特性値に対して行うものに限らない。例えば,規格管理値に対して補正処理を行い,補正後の規格管理値を基に良否判定を行うとしてもよい。また,テスト波形に対して補正処理を行い,補正後のテスト波形を基に良否判定を行うとしてもよい。なお,相対評価を行う場合には,テスト波形だけではなくマスタ波形についても補正処理を行う。また,キャリブレーションを行う際に環境に関する補正処理を行ってもよい。すなわち,環境の変化に応じて計測装置等の調節を行ってもよい。いずれの手段によっても,環境変化に関する問題(問題点5)が緩和される。
また,本形態のコイル絶縁検査装置100では,判定する部分を抽出するとともに表示上のスケールを変更することで分解能を高めているが,この他にインパルス電圧のピーク値に追従してスケールを変更してもよい。例えば,図15(A)に示すようにフルスケールが±1500Vの範囲の検査装置に500Vのインパルス電圧を印加した場合,それにより得られる電圧波形の変化が認識しにくい。そこで,インパルス電圧のピーク値に合わせて表示上のスケールを変更することで,図15(B)に示すようにフルスケールが±500Vの範囲となり,1ドットあたりの電圧が小さくなる。そのため,波形の変化が際立って表れる。従って,インパルス電圧のピーク値に合わせて自動的にスケールを変更することでも,分解能に関する問題(問題点6)が緩和される。
[変形例1]
次に,環境の変化に関する補正処理を行うコイル絶縁検査装置の変形例を説明する。本形態のコイル絶縁検査装置101は,図16に示すように気圧測定器81と,装置温度測定器82とを備えている。すなわち,本形態のコイル絶縁検査装置101は,被検査コイルの温度と検査室内の温度,湿度とを測定することができることに加え,検査室内の気圧と検査装置の温度とを測定することができる点で前述したコイル絶縁検査装置100と異なる。これらの測定結果を基に特性値,規格管理値あるいはテスト波形を補正することで,より精細に環境の変化に対応することができる。よって,環境変化に関する問題(問題点5)が一層緩和される。
図17は,環境データを基に特性値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。なお,図17中,図3で示したフローチャートと同一番号のステップは,そのステップと同一の手順を示している(なお,後述する図18,図19も同様とする)。まず,環境データを取得する(S12−1)。ここでいう環境データとは,被検査コイルの温度,コイル絶縁検査装置101の温度,検査室内の温度,湿度,気圧等のことである。なお,これらのデータは必ずしもすべて取得する必要はなく,補正する項目に応じて取得すればよい。次に,インパルス波形を測定し(S13),得られたインパルス波形から特性値を抽出する(S16)。次に,S12−1の処理で取得した環境データを基に,S16の処理で抽出した特性値を補正する(S17−1)。次に,補正した特性値を基に被検査コイルの良否判定を行う(S18)。これにより,環境の変化に対応した検査が実施される。なお,環境データの取得は,特性値の補正処理(S17−1)の前段階であればいつでもよい。
図18は,環境データを基に規格管理値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。まず,環境データを取得する(S12−1)。次に,インパルス波形を測定し(S13),得られたインパルス波形から特性値を抽出する(S16)。次に,S12−1の処理で取得した環境データを基に,規格管理値を補正する(S17−2)。次に,S16の処理にて抽出された特性値が補正処理後の規格管理値の条件を満たすか否かの判定を行う(S18)。これにより,環境の変化に対応した検査が実施される。なお,環境データの取得は,規格管理値の補正処理(S17−2)の前段階であればいつでもよい。また,規格管理値の補正処理は,良否判定処理(S18)の前段階であればいつでもよい。
図19は,環境データを基にテスト波形を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。まず,環境データを取得する(S12−1)。次に,インパルス波形を測定する(S13)。次に,S12−1の処理で取得した環境データを基に,インパルス波形(テスト波形)を補正する(S13−1)。次に,補正処理後のインパルス波形から特性値を抽出する(S16)。次に,S16の処理にて抽出された特性値特性値を基に被検査コイルの良否判定を行う(S18)。これにより,環境の変化に対応した検査が実施される。なお,環境データの取得は,インパルス波形の補正処理(S13−1)の前段階であればいつでもよい。
[変形例2]
次に,製造条件のばらつきに関する補正処理を行うコイル絶縁検査装置の変形例を説明する。本形態のコイル絶縁検査装置102は,図20に示すようにLCRメータ21を備えている。すなわち,本形態のコイル絶縁検査装置102は,被検査コイルの電気容量や被検査コイルとステータコアとの間の電気抵抗等を測定することができる点で前述したコイル絶縁検査装置100と異なる。これらの測定結果を基に特性値,規格管理値あるいはテスト波形を補正することで,被検査コイルのコイル特性のばらつきに対応することができる。よって,製造条件のばらつきに関する問題(問題点7)が一層緩和される。
なお,検査手順については,図17ないし図19に示した環境データを基に特性値等を補正する検査手順と同様である。すなわち,環境データの取得処理をコイル特性の取得処理に置換し,取得したコイル特性を基に補正を行うことで,製造条件のばらつきに対応した検査が実施される。
[変形例3]
次に,ピーク電圧やゼロクロス時間等の算出基準のばらつきに関する補正処理を行うコイル絶縁検査装置の変形例を説明する。なお,本形態のコイル絶縁検査装置は,前述したコイル絶縁検査装置100と構成上の差異はないが,データ処理計算機3の処理内容が異なる。本形態では,標準抵抗あるいは標準コイルの,1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間と,被検査コイルの,1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間とを比較し,その比較結果を基に特性値,規格管理値,テスト波形のいずれか1つを補正する。これにより,被検査コイルのピーク電圧およびゼロクロス時間のばらつきに対応することができる。よって,算出基準のばらつきに関する問題(問題点8)が緩和される。
図21は,標準コイルのデータを基に特性値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。なお,図21中,図3で示したフローチャートと同一番号のステップは,そのステップと同一の手順を示している。まず,標準コイルのデータを取得する(S12−2)。ここでいう標準コイルのデータとは,標準コイルのインパルス波形,またその波形から得られる1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間のことである。なお,これらのデータは必ずしもすべて取得する必要はなく,補正する項目に応じて取得すればよい。次に,インパルス波形を測定し(S13),得られたインパルス波形から特性値を抽出する(S16)。次に,S12−2の処理で取得した標準コイルのデータを基に,S16の処理で抽出した特性値を補正する(S17−3)。次に,補正した特性値を基に被検査コイルの良否判定を行う(S18)。これにより,ピーク電圧やゼロクロス時間のばらつきに対応した検査が実施される。なお,標準コイルのデータの取得は,特性値の補正処理(S17−3)の前段階であればいつでもよい。また,標準コイルのデータの取得は,検査の都度,標準コイルにインパルス電圧を印加することで取得しもよいし,標準コイルのデータをあらかじめ記録しておき,検査の都度そのデータを読み出すこととしてもよい。
以上詳細に説明したように本形態のコイル絶縁検査装置100では,マスタ波形に関する問題(問題点1)の対策として,テスト波形そのものから良否判定を行う絶対評価を行うこととしている。これにより,マスタ波形に関する問題自体が発生しない。また,相対評価を行う場合であっても,複数のコイルから得られる電圧波形(マスタ用電圧波形)を平均化したものをマスタ波形として採用することとしている。そのため,不良品コイルの波形をマスタ波形とすることはない。また,マスタ波形がコイルのうちの代表的な特性を備えた波形となるため,性能のばらつきの問題も緩和されている。従って,高精度の良否判定を行うことができるコイル絶縁検査装置が実現されている。
また,性能のばらつきに関する問題(問題点2)の対策として,複数のコイルから得られる特性値を基に規格管理値を決定することとしている。具体的には,特性値ごとに平均値や標準偏差を算出し,それらの値によりコイルの的確な規格管理値が算出されている。このため,良否判定の精度は高い。また,本形態の検査にて良品と判定されたコイルの特性値を,規格管理値を更新する際の特性値のデータに自動的に追加することとしている。そして,そのデータが反映された規格管理値を定期的に更新することとしている。これにより,検査を実施すればするほど規格管理値を決定するためのデータが多くなり,より正確な規格管理値を算出することができる。よって,良否判定の精度は,検査回数が多ければ多いほど高い。
また,ノイズに関する問題(問題点3)の対策として,被検査コイルに対してインパルス電圧を複数回にわたって印加することとしている。そして,それにより得られた複数のテスト波形に対して補正処理を行うこととしている。具体的には,平均化処理およびスムージング処理を行うこととしている。さらには,ノイズの影響が少ない部分を抽出し,その部分に含まれる特性値を基に良否判定を行うこととしている。これにより,ノイズの影響を緩和することができている。よって,正確なテスト波形およびその特性値を得ることができ,その良否判定は精度が高い。
また,測定値のずれに関する問題(問題点4)の対策として,テスト波形を計測する前にキャリブレーションを行うこととしている。さらに,キャリブレーションを自動的に行うこととしている。これにより,正確な値を測定することができ,誤判定が抑制される。
また,環境の変化に関する問題(問題点5)の対策として,ワークの温度,試験室内の温度,湿度,気圧等を測定することとしている。そして,測定した温度等を基に特性値を補正することとしている。なお,補正する対象は特性値に限らず規格管理値,テスト波形等であってもよい。そして,補正後のデータにて被検査コイルの良否判定を行うこととしている。これにより,環境が変化する場合であっても,的確な判定を行うことができる。
また,分解能に関する問題(問題点6)の対策として,検査に必要な部分を抜き出すこととしている。そして,抜き出した部分における電圧の最大値および最小値に合わせて表示上のスケールを変更することとしている。あるいは,印加するインパルス電圧のピーク値に合わせて表示上のスケールを変更することとしている。これにより,分解能が向上し,より精度が高い良否判定を行うことができる。
また,製造条件のばらつきに関する問題(問題点7)の対策として,被検査コイルの個々の特性値(LCR)を測定することとしている。そして,測定した温度等を基に特性値を補正し,補正後のデータにて被検査コイルの良否判定を行うこととしている。なお,補正する対象は特性値に限らず規格管理値,テスト波形等であってもよい。これにより,コイル特性が個々の被検査コイルごとに異なる場合であっても,的確な判定を行うことができる。
また,1次ピーク電圧,1次ゼロクロス時間等の試験条件のばらつきに関する問題(問題点8)の対策として,標準コイルあるいは標準抵抗の,1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間を取得することとしている。そして,取得したデータを基に特性値を補正し,補正後のデータにて被検査コイルの良否判定を行うこととしている。なお,補正する対象は特性値に限らず規格管理値,テスト波形等であってもよい。これにより,1次ピーク電圧および1次ゼロクロス時間のばらつきの問題を緩和することができ,より的確な判定を行うことができる。
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,本実施の形態では,車両駆動用モータのコイルについて検査を行っているが,これに限るものではない。すなわち,家電製品用モータに利用されるコイルのコイル絶縁検査装置に本発明を適用してもよい。
なお,上述した本発明の実施形態には,特許請求の範囲に記載した発明以外にも,以下の付記に示すような発明が含まれる。
[付記1]コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
前記電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,
前記代表波形作成手段にて作成された代表波形からその特性値を抽出する特性値抽出手段と,
前記特性値抽出手段にて抽出された特性値が,その特性値の種類ごとに設定された管理値の範囲内であるか否かにより絶縁の良否の絶対評価を行う絶対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記2]コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
前記電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,
複数のマスタ用電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果から検査の基準となるマスタ波形を作成するマスタ波形作成手段と,
前記マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,前記代表波形作成手段にて作成された代表波形とからそれぞれの特性値を抽出する特性値抽出手段と,
前記特性値抽出手段にて抽出されたマスタ波形の特性値と代表波形の特性値とを対比し,その対比結果を基に絶縁の良否の相対評価を行う相対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記3]付記2に記載するコイル絶縁検査装置において,
前記マスタ波形作成手段は,マスタ用電圧波形を平均化し,その結果からマスタ波形を作成することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記4]付記2または付記3に記載するコイル絶縁検査装置において,
前記マスタ波形作成手段は,各マスタ用電圧波形,あるいは作成したマスタ波形に対してスムージングを行うことを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記5]付記1から付記4のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
前記被検査波形作成手段は,取得した複数の電圧波形を平均化し,その結果から被検査波形を作成することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記6]付記1から付記5のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
前記被検査波形作成手段は,各電圧波形,あるいは作成した被検査波形に対してスムージングを行うことを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記7]付記1または付記2に記載するコイル絶縁検査装置において,
温度および湿度の少なくとも一方を検出する環境データ取得手段と,
前記環境データ取得手段の検出結果に応じて規格管理値の補正処理を行う環境補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記8]付記1または付記2に記載するコイル絶縁検査装置において,
温度および湿度の少なくとも一方を検出する環境データ取得手段と,
前記環境データ取得手段の検出結果に応じて電圧波形の補正処理を行う環境補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記9]付記1または付記2に記載するコイル絶縁検査装置において,
温度および湿度の少なくとも一方を検出する環境データ取得手段と,
前記環境データ取得手段の検出結果に応じて計測装置の調整を行う環境補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
[付記10]付記1または付記2に記載するコイル絶縁検査装置において,
被検査コイルに印加されるインパルス電圧のピーク値に合わせて表示上のスケールを自動的に変更するスケール追従変更手段を有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
実施の形態に係るコイル絶縁検査装置のシステム構成を示すブロック図である。 実施の形態に係るコイル絶縁検査装置の外観を示す図である。 実施の形態に係る検査手順を示すフローチャートである。 標準コイルに電圧を印加した場合に発生する電圧波形を示す図である。 標準抵抗に電圧を印加した場合に発生する電圧波形を示す図である。 テスト波形の平均化の例を示す図である。 テスト波形のスムージング化の例を示す図である。 テスト波形の抜き出しの例を示す図である。 テスト波形の特性値の例を示す図である。 テスト波形の3次ゼロクロス時間付近の詳細を示す図である。 規格管理値を決定するための統計処理結果の例を示す図である。 マスタ波形の平均化の例を示す図である。 判定結果の表示画面の例を示す図である。 保存データの検索画面の例を示す図である。 印加電圧に追従してフルスケールを変更する例を示す図である。 変形例1に係るコイル絶縁検査装置のシステム構成を示すブロック図である。 環境の変化に対して特性値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。 環境の変化に対して規格管理値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。 環境の変化に対してテスト波形を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。 変形例2に係るコイル絶縁検査装置のシステム構成を示すブロック図である。 試験条件のばらつきに対して特性値を補正する場合の検査手順を示すフローチャートである。 従来の検査方法に係る検査手順を示すフローチャートである。 従来の検査方法に係る特性値の例(波形)を示す図である。 従来の検査方法に係る特性値の例(面積比)を示す図である。 従来の検査方法に係る特性値の例(面積差比)を示す図である。
符号の説明
1 検査対象ワーク
2 インパルス試験器
3 データ処理計算機
7 ワーク温度測定器
8 温度・湿度測定器
21 LCRメータ
81 気圧測定器
82 装置温度測定器
100 コイル絶縁検査装置

Claims (12)

  1. コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
    前記電圧波形取得手段にて取得された被検査コイルの電圧波形からその特性値を抽出する特性値抽出手段と,
    前記特性値抽出手段にて抽出された特性値が,その特性値の種類ごとに設定された管理値の範囲内であるか否かにより絶縁の良否の絶対評価を行う絶対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  2. コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
    複数のマスタ用電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果から検査の基準となるマスタ波形を作成するマスタ波形作成手段と,
    前記マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,前記電圧波形取得手段にて取得された被検査コイルの電圧波形とからそれぞれの特性値を抽出する特性値抽出手段と,
    前記特性値抽出手段にて抽出されたマスタ波形の特性値と被検査コイルの電圧波形の特性値とを対比し,その対比結果を基に絶縁の良否の相対評価を行う相対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  3. コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
    前記電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,
    前記代表波形作成手段にて作成された代表波形からその特性値を抽出する特性値抽出手段と,
    前記特性値抽出手段にて抽出された特性値が,その特性値の種類ごとに設定された管理値の範囲内であるか否かにより絶縁の良否の絶対評価を行う絶対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  4. コイルの絶縁不良を検出するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルにインパルス電圧を印加したときの電圧波形を取得する電圧波形取得手段と,
    前記電圧波形取得手段から得られる被検査コイルについての複数の電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果からその被検査コイルの代表波形を作成する代表波形作成手段と,
    複数のマスタ用電圧波形を基にそれらの電圧波形を代表する波形を算出し,その結果から検査の基準となるマスタ波形を作成するマスタ波形作成手段と,
    前記マスタ波形作成手段にて作成されたマスタ波形と,前記代表波形作成手段にて作成された代表波形とからそれぞれの特性値を抽出する特性値抽出手段と,
    前記特性値抽出手段にて抽出されたマスタ波形の特性値と代表波形の特性値とを対比し,その対比結果を基に絶縁の良否の相対評価を行う相対評価手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    標準検体に電圧を印加し,それにより得られた電圧波形を取得するとともにその電圧波形を基にキャリブレーションを行うキャリブレーション手段を有し,
    前記キャリブレーション手段は,被検査コイルにインパルス電圧を印加する前に自動的にキャリブレーションを行うことを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    複数のコイルの特性値を取得し,それらの特性値を基に統計処理を行うことで良否判定に必要な管理値を決定する管理値決定手段を有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  7. 請求項6に記載するコイル絶縁検査装置において,
    前記管理値決定手段は,前記絶対評価手段あるいは前記相対評価手段にて良品と評価されたコイルの特性値を統計処理の要素として再利用することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    温度および湿度の少なくとも一方を検出する環境データ取得手段と,
    前記環境データ取得手段の検出結果に応じて特性値の補正処理を行う環境補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  9. 請求項1から請求項7のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルの温度,装置本体の温度,検査室内の温度,湿度,気圧の少なくとも1つを検出する環境特性データ取得手段と,
    前記環境特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行う環境特性補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  10. 請求項1から請求項9のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルの電圧波形のうちの検査に必要な部分を抜き出し,抜き出し部分中の電圧の最大値および最小値に合わせて表示上のスケールを自動的に変更するスケール変更手段を有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  11. 請求項1から請求項10のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    被検査コイルのコイル特性を検出するコイル特性データ取得手段と,
    前記コイル特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行うコイル特性補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
  12. 請求項1から請求項11のいずれか1つに記載するコイル絶縁検査装置において,
    標準検体に電圧を印加したときに得られるピーク電圧およびゼロクロス時間の少なくとも一方を取得する標準特性データ手段を有し,
    前記標準特性データ取得手段の検出結果に応じて特性値,規格管理値,被検査コイルの電圧波形のいずれか1つの補正処理を行う標準特性補正手段とを有することを特徴とするコイル絶縁検査装置。
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