JP2005024584A - 走査型投影露光装置及び露光方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】投影光学系を露光装置本体に搭載したあとでも、容易にディストーションや像面の調整を行うことができる走査型投影露光装置を提供する。
【解決手段】光源1から射出される光束により第1基板Mを照明する照明光学系と、第1基板のパターンの一部の像を第2基板P上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系PL1〜PL5と、第1基板を載置する第1ステージと、第2基板を載置する第2ステージとを備え、第1ステージと第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、複数の部分投影光学系PL1〜PL5の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、第1基板からの光を結像光学系へ導くための第1偏向部材と、結像光学系を介した光を第2基板へ導くための第2偏向部材と、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】光源1から射出される光束により第1基板Mを照明する照明光学系と、第1基板のパターンの一部の像を第2基板P上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系PL1〜PL5と、第1基板を載置する第1ステージと、第2基板を載置する第2ステージとを備え、第1ステージと第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、複数の部分投影光学系PL1〜PL5の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、第1基板からの光を結像光学系へ導くための第1偏向部材と、結像光学系を介した光を第2基板へ導くための第2偏向部材と、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材とを備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の部分投影光学系に対してマスクとガラス基板とを移動させつつマスクのパターンをガラス基板上に投影露光する走査型投影露光装置及び、該走査型投影露光装置を用いた露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワープロやパソコンやテレビ等の表示素子として、液晶表示パネルが多用されるようになっている。液晶表示パネルは、ガラス基板上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして製造される。このフォトリソグラフィのための装置として、マスク上に形成された原画パターンを投影光学系を介してガラス基板上のフォトレジスト層に露光する投影露光装置が用いられている。
【0003】
最近では、液晶表示パネルの大面積化の要求が高まっており、その要求に伴ってこの種の投影露光装置においても露光領域の拡大が望まれている。そこで、露光領域を拡大するために、いわゆる走査型投影露光装置が提案されている。この走査型投影露光装置では、複数の投影光学ユニットからなる投影光学系に対してマスクとガラス基板とを移動させつつ、マスクのパターンをガラス基板上に投影露光する。このような走査型投影露光装置の投影光学系は、屈折光学系と凹面鏡を含む結像光学系と反射プリズムを有する光学系を備えて構成され、中間像を一度形成し、更に同一の光学系をもう一段構成することによってマスク上のパターンをプレート上に正立正像等倍にて露光する光学系である。
【0004】
このような走査型投影露光装置の投影光学系においては、投影光学ユニットを構成するレンズやプリズムを調整することで、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等を調整可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−337463号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では大型の液晶テレビに象徴されるように、マスクの大型化に伴いプレートの大型化がますます進み、1m角を越えるようなガラス基板が使用されるようになっている。ここで、複数の投影光学ユニットからなる投影光学系を備える走査型投影露光装置を用いて800mm幅のガラス基板に対して露光を行うとすると、1つの投影光学ユニットの露光フィールドの幅が80mmの場合には、10個の投影光学ユニットを露光フィールドが一部重複露光領域を有するようにして配置する必要がある。
【0007】
投影光学ユニット単体の場合には、上述のように投影光学ユニットを構成するレンズやプリズムを調整することで、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等を調整可能であるが、投影光学ユニットを露光装置本体に組み込んだ場合には、投影光学ユニット同士が非常に近接して配置されていることから調整が非常に困難になる。したがって、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等の調整を設置先で行わざるを得ない大型のガラス基板に対して露光を行う露光装置の場合には、投影光学ユニットの調整が非常に困難となる。また、投影光学ユニットが走査方向と直行する方向に所定間隔をもって第1列として配置されると共に走査方向と直行する方向に所定間隔をもって第2列として配置されている場合であって第1列と第2列の間にアライメント系とオートフォーカス系が配置されている場合には、調整は不可能になる。更に、輸送や、梱包時にプリズム部等に触れてしまい、ディストーションや像面の状態を狂わすこともある。
【0008】
本発明の課題は、投影光学系を露光装置本体に搭載したあとでも、容易にディストーションや像面の調整を行うことができる走査型投影露光装置及び該走査型投影露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
請求項1記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
この請求項1記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易にディストーションの調整を行うことができる。
【0011】
また、請求項2記載の走査型投影露光装置は、前記複数の部分投影光学系の各々が、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2の偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を更に備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項2記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易に像面の調整を行うことができる。
【0013】
また、請求項3記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された偏心収差調整部材とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4記載の走査型投影露光装置は、前記偏心収差調整部材が、偏心ディストーション、偏心像面収差、偏心コマ収差及び偏心色収差のうち少なくとも一つを調整することを特徴とする。
【0015】
この請求項3及び請求項4記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易に偏心収差の調整を行うことができる。
【0016】
また、請求項5記載の走査型投影露光装置は、前記結像光学系が、前記第1基板のパターンからの光を集光して前記パターンの一次像を形成するための第1屈折光学系と第1凹面反射鏡とを含む第1反射屈折光学系と、前記一次像からの光を集光して前記パターンの二次像を前記第2基板上に形成するための第2屈折光学系と第2凹面反射鏡とを含む第2反射屈折光学系と、前記第1反射屈折光学系を介した光を前記一次像へ導くための第3の偏向部材と、前記一次像からの光を前記第2反射屈折光学系へ導くための第4の偏向部材とを有することを特徴とする。
【0017】
この請求項5記載の走査型投影露光装置によれば、パターンの一次像を形成するための第1反射屈折光学系と、一次像からの光を集光してパターンの二次像を形成するための第2反射屈折光学系とを備える露光装置においても、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後において、容易にディストーションの調整、像面の調整、偏心収差の調整を行うことができる。
【0018】
また、請求項6記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
この請求項6記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するパワーを有するレンズを部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは部分投影光学系の光軸に対してチルトさせることにより、ディストーションの調整を行うことができる。
【0020】
また、請求項7記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、曲率半径の異なるレンズに交換可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
この請求項7記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するパワーを有するレンズを曲率半径の異なるレンズに交換することにより、ディストーションの調整を行うことができる。
【0022】
また、請求項8記載の走査型投影露光装置は、前記像面調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
この請求項8記載の走査型投影露光装置によれば、像面調整部材を構成するパワーを有するレンズを部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは部分投影光学系の光軸に対してチルトさせることにより、像面の調整を行うことができる。
【0024】
また、請求項9記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする。
【0025】
この請求項9記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するレンズを部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより部分投影光学系の倍率を調整することができる。
【0026】
ここで、請求項9にかかる走査型投影露光装置において、前記ディストーション調整部材は、第1凹レンズ面を有する第1平凹レンズ、前記第1凹レンズ面側に向けた第1凸レンズ面と第2凸レンズ面とを有する両凸レンズ、及び前記第2凸レンズ面側に向けた第2凹レンズ面を有する第2平凹レンズを備え、前記両凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、請求項9にかかる走査型投影露光装置において、前記ディストーション調整部材は、第1凸レンズ面を有する第1平凸レンズ、前記第1凸レンズ面側に凹面を向けた第1凹レンズ面と第2凹レンズ面とを備える両凹レンズ、及び前記第2凹レンズ面側に向けた第2凸レンズ面を有する第2平凸レンズを備え、前記両凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。
【0027】
また、請求項10記載の走査型投影露光装置は、前記像面調整部材が、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする。
【0028】
この請求項10記載の走査型投影露光装置によれば、像面調整部材を構成するレンズを部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより部分投影光学系の倍率を調整することができる。
【0029】
ここで、請求項10にかかる走査型投影露光装置において、前記像面調整部材は、第1凹レンズ面を有する第1平凹レンズ、前記第1凹レンズ面側に向けた第1凸レンズ面と第2凸レンズ面とを有する両凸レンズ、及び前記第2凸レンズ面側に向けた第2凹レンズ面を有する第2平凹レンズを備えることが好ましい。ここで、前記両凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、前記第1及び第2平凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の像面を調整することが好ましい。
【0030】
また、請求項10にかかる走査型投影露光装置において、前記像面調整部材は、第1凸レンズ面を有する第1平凸レンズ、前記第1凸レンズ面側に凹面を向けた第1凹レンズ面と第2凹レンズ面とを備える両凹レンズ、及び前記第2凹レンズ面側に向けた第2凸レンズ面を有する第2平凸レンズを備えることが好ましい。ここで、前記両凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、前記第1及び前記第2平凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の像面を調整することが好ましい。
【0031】
また、請求項11記載の走査型投影露光装置は、該複数の部分投影光学系の各々が、前記部分投影光学系のフォーカス位置を調整するフォーカス位置調整機構、前記部分投影光学系の像位置を調整する像位置調整機構、前記部分投影光学系の像の回転位置を調整する像回転位置調整機構及び前記部分投影光学系の倍率を調整する倍率調整機構の中の少なくとも1つを備えることを特徴とする。
【0032】
この請求項11記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々において、フォーカス位置の調整、像位置の調整、像の回転位置の調整、倍率を調整を行うことができる。
【0033】
また、請求項12記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、該部分投影光学系のディストーションの調整を行うディストーション調整部材及び該部分投影光学系により形成された像の回転位置の調整を行う像回転位置調整機構を備えることを特徴とする。
【0034】
また、請求項13記載の走査型投影露光装置は、前記複数の部分投影光学系の各々が、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材とを備え、前記ディストーション調整部材は、前記結像光学系に備えられる前記凹面反射鏡を含んで構成され、前記像回転位置調整機構は、前記部分投影光学系に備えられる前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材を含んで構成されることを特徴とする。
【0035】
この請求項12及び請求項13記載の走査型投影露光装置によれば、結像光学系に備えられる凹面反射鏡を用いてディストーションの調整を行った場合であって像位置に回転が発生した場合には、第1偏向部材及び第2偏向部材を例えば回転させることにより像の回転位置の調整を行うことができる。
【0036】
また、請求項14記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上に投影する投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記投影光学系は、前記第1基板の中間像を形成する第1結像光学系と、前記中間像の像を形成する第2結像光学系と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第1偏向部材と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第2偏向部材とを備え、前記第1及び第2結像光学系のうち少なくとも一方は、所定の光軸に沿って配置された主レンズ群と、前記光軸に沿って配置されて該主レンズ群を介した光を反射させて再び前記主レンズ群へ戻す反射部材とを備え、該反射部材は、前記投影光学系のディストーションを調整するために、前記光軸に対する傾きと前記光軸を横切る方向での位置のうちの少なくとも一方が調整可能に構成されることを特徴とする。
【0037】
この請求項14記載の走査型投影露光装置によれば、主レンズ群との間の往復光路を形成するための反射部材の位置・姿勢を調整して、反射部材へ向かう光束の主レンズ群内の光路と、反射部材を経由した後の光束の主レンズ群内の光路とを異ならして、偏心ディストーションを発生(補正)することができる。
【0038】
そして、請求項15記載の走査型投影露光装置によれば、前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材のうちの少なくとも一方は、前記反射部材の調整に起因する像回転を補正するために、回転可能に構成されることを特徴とする。
【0039】
この請求項15記載の走査型投影露光装置によれば、反射部材の位置・姿勢を調整することに起因する像回転を打ち消すことができ、装置全体として偏心ディストーションのみを発生(補正)することができる。
【0040】
また、請求項16記載の走査型投影露光装置によれば、前記第1偏向部材は前記第1基板と前記第1結像光学系との間の光路中に配置され、前記第2偏向部材は前記第2結像光学系と前記第2基板との間に配置されることを特徴とする。
【0041】
また、請求項17記載の露光方法は、請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載の走査型投影露光装置に備えられる前記部分投影光学系に対して、前記第1基板および前記第2基板を同期移動させて走査露光を行う工程を含むことを特徴とする。
【0042】
この請求項17記載の露光方法によれば、ディストーションの調整及び像面の調整を容易に行うことができる露光装置により露光が行われるため、良好な走査露光を行うことができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る露光装置について詳細に説明する。第1図は、本発明の実施の形態に係る露光装置の全体の概要構成を示す斜視図である。本実施の形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスク(第1基板)Mと基板としてのプレート(第2基板)Pとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像を基板としてのプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明する。
【0044】
尚、以下の説明においては、各図中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施の形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0045】
本実施の形態の露光装置は、マスクステージ(第1ステージ)MS(図2参照)上においてマスクホルダ(不図示)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための照明光学系ILを備えている。図2は、照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図1及び図2を参照すると、照明光学系ILは、例えば水銀ランプ又は超高圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は楕円鏡2の第1焦点位置に配置されているため、光源1から射出された照明光束は、ダイクロイックミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置に光源像を形成する。
【0046】
尚、本実施の形態では、光源1から射出された光が楕円鏡2の内面に形成された反射膜及びダイクロイックミラー3で反射されることにより、g線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光による光源像が楕円鏡2の第2焦点位置に形成される。つまり、g線、h線、及びi線を含む波長域以外の露光する上で不必要となる成分は楕円鏡2及びダイクロイックミラー3で反射される際に除去される。
【0047】
楕円鏡2の第2焦点位置にはシャッタ4が配置されている。シャッタ4は、光軸AX1に対して斜めに配置された開口板4a(図2参照)と開口板4aに形成された開口を遮蔽又は開放する遮蔽板4b(図2参照)とから構成される。シャッタ4を楕円鏡2の第2焦点位置に配置するのは、光源1から射出された照明光束が集束されているため遮蔽板4bの少ない移動量で開口板4aに形成された開口を遮蔽することができるとともに、開口を通過する照明光束の光量を急激に可変させてることによりパルス状の照明光束を得るためである。
【0048】
楕円鏡2の第2焦点位置に形成された光源像からの発散光束は、コリメートレンズ5によってほぼ平行光束に変換されて波長選択フィルタ6に入射する。波長選択フィルタ6はg線、h線、及びi線を含む波長域の光束のみを透過させるものである。波長選択フィルタ6を通過した光はリレーレンズ8を介して再び結像する。この結像位置の近傍にはライトガイド9の入射端9aが配置されている。ライトガイド9は、例えば多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイトファイバであって、光源1の数(図1では1つ)と同じ数の入射端9aと、投影光学系PLを構成する投影光学ユニット(部分投影光学系)の数(図1では5つ)と同じ数の射出端、即ち射出端9b及び他の4つの射出端(図2では射出端9bだけを示す)とを備えている。こうして、ライトガイト9の入射端9aへ入射した光は、その内部を伝播した後、射出端9b及び他の4つの射出端から分割されて射出される。尚、1つの光源1のみでは光量が不足する場合には、複数の光源を設けるとともに、各光源に対して、設けられた複数の入射端を有し、各々の入射端から入射した光をほぼ同じ光量に分割して各射出端から射出するライトガイドを設けることが好ましい。
【0049】
図2に示したように、ライトガイド9の入射端9aには、連続的に位置を可変することができるように構成されたブレード10が配置されている。このブレード10は、ライトガイド9の入射端9aの一部を遮光することによって、ライトガイド9の射出端9b及び他の4つの射出端各々から射出される光の強度を連続的に可変するためのものである。ブレード10のライトガイド9の入射端9aに対する遮光量の制御は、図2中の主制御系20が駆動装置19を制御することによって行われる。
【0050】
ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間には、コリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b(図1では図示省略)、ビームスプリッタ14b(図1では図示省略)、及びコンデンサーレンズ系15bが順に配置されている。同様に、ライトガイド9の他の4つの射出端とマスクMとの間には、コリメートレンズ、フライアイ・インテグレ一夕、開口絞り、ビームスプリッタ、及びコンデンサーレンズ系がそれそれ順に配置されている。
【0051】
尚、ここでは、説明の簡単化のために、ライトガイド9の各射出端とマスクMとの間に設けられる光学部材の構成を、ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間に設けられたコリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b、ビームスプリッタ14b、及びコンデンサーレンズ系15bに代表させて説明する。
【0052】
ライトガイド9の射出端9bから射出された発散光束は、コリメートレンズ11bによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ12bに入射する。フライアイ・インテグレータ12bは、多数の正レンスエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ12bに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。
【0053】
フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り13bにより制限された後、ビームスプリッタ14bを介して、コンデンサーレンズ系15bに入射する。尚、開口絞り13bは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための可変開口部を有する。開口絞り13bは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の開口径の比)を所望の値に設定する。
【0054】
コンデンサーレンズ系15bを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重量的に照明する。尚、ライトガイド9の他の4つの射出端から射出された発散光束も同様に、コリメートレンズ、フライアイ・インテグレータ、開口絞り、ビームスプリッタ、及びコンデンサーレンズを順に介してマスクMを重量的にそれぞれ照射する。即ち、照明光学系ILは、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図1では合計で5つ)の台形状の領域(照明視野)を照明する。尚、照明光学系ILが備える光源としては、紫外線放射タイプのLEDやLDであってもよい。
【0055】
一方、照明光学系ILに設けられる上記ビームスプリッタ14bを介した光は、図2に示すように、集光レンズ16bを介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ17bで受光される。このインテグレ一夕センサ17bの光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御系20に供給される。インテグレータセンサ17bの出力と、プレートPの表面上に照射される光の単位面積当たりのエネルギー(露光量)との相関係数は予め求められて主制御系20内に記憶されている。
【0056】
主制御系20は、プレートPが載置されるプレートステージ(第2ステージ)及びマスクMが載置されるマスクステージMSを制御する不図示のステージコントローラからのステージ系の動作情報に同期してシャッタ4の開閉動作を制御するとともに、インテグレータセン17bから出力される光電変換信号に応じて駆動装置19に対して制御信号を出力し、マスクMに照明光学系ILからの照明光を照射するタイミング及び照明光の強度を制御する。
【0057】
尚、照明光学系ILは、その照明光学特性(テレセントリシティ及び照度むら)を可変することができるように構成されている。照明光学特性を調整する方法の詳細については、例えば特開2001−305743号公報、特開2001−313250号公報、及び特開平10−189427号公報を参照されたい。また、照度むらの調整については、マスク面(プレート面)近傍又はマスク面(プレート面)と光学的に共役な面若しくはその近傍に走査方向の開口の幅が走査方向と直交する方向(非走査方向)において異なるような視野絞りを配置することによって補正することも可能である。この補正方法の詳細については、例えば特開平7−142313号公報等を参照されたい。また、かかる補正方法において、視野絞りの開口の幅を異ならせるのではなく、透過特性が非走査方向において照度むらを補正し得る分布を有する濃度分布フィルタを設ける構成であっても良い。
【0058】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図1では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。投影光学系PLを介した光は、図示しないプレートステージ上において、図示しないプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。即ち、上述したように、各投影光学ユニットPL1〜PL5は、等倍正立系として構成されているので、プレートP上において各照明領域に対応するようにY軸方向に並んだ台形状の露光領域には、パターンDPの等倍正立像が形成される。
【0059】
図1に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直行方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量がけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡25を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクステージMSは、Z方向の位置が可変に構成されている。
【0060】
同様の駆動系が、プレートステージにも設けられている。即ち、プレートステージを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)、プレートステージを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量がけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、プレートステージの位置座標が移動鏡26を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。プレートステージもマスクステージMSと同様にZ方向に移動可能に構成されている。マスクステージMS及びプレートステージのZ方向の位置は、主制御系20によって制御される。
【0061】
上述の投影光学ユニットPL1、PL3、PL5は、走査方向と直交する方向に所定間隔をもって第1列として配置されている。また、投影光学系ユニットPL2、PL4も同様に走査方向と直交する方向に所定間隔をもって第2列として配置されている。第1列の投影光学ユニットと第2列の投影光学ユニットとの間には、プレートPの位置合わせを行うためのオフアクシスのアライメント系52、及びマスクMやプレートPのフォーカスを合わせるためのオートフォーカス系54が配置されている。
【0062】
また、プレートステージ上に投影光学系PLを介してプレートP上に照射される光の照度を測定するための照度測定部29が設けられており、またプレートP上に照射される光(像)の空間分布を計測するための空間像計測装置24が設けられている。
【0063】
図3は、本発明の実施の形態にかかる投影光学ユニットPL1の構成を示す図である。なお、投影光学ユニットPL2〜PL5の構成はPL1の構成と同一である。図示の投影光学ユニットPL1は、マスクMからの光に基づいてマスクパターンの一次像を形成する第1結像光学系K1と、この一次像からの光に基づいてマスクパターンの正立正像(二次像)をガラス基板(プレート)P上に形成する第2結像光学系K2とを有する。なお、マスクパターンの一次像の形成位置の近傍には、マスクM上における投影光学ユニットPL1の視野領域(照明領域)およびガラス基板P上における投影光学ユニットPL1の投影領域(露光領域)を規定する視野絞りFSが設けられている。
【0064】
第1結像光学系K1は、マスクMから−Z方向に沿って入射する光を+X方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1偏向部材(第1の偏向部材)の第1反射面P1rを備えている。また、第1結像光学系K1は、第1反射面P1r側から順に、正の屈折力を有する第1屈折光学系G1Pと、第1反射面P1r側に凹面を向けた第1凹面反射鏡M1とを備えている。第1屈折光学系G1Pおよび第1凹面反射鏡M1はX方向に沿って配置され、全体として第1反射屈折光学系HK1を構成している。さらに、第1結像光学系K1は、第1反射屈折光学系HK1から−X方向に沿って入射する光を−Z方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第2偏向部材(第3の偏向部材)の第2反射面P2rを備えている。
【0065】
一方、第2結像光学系K2は、第2反射面P2rから−Z方向に沿って入射する光を+X方向に反射するようにガラス基板面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第3偏向部材(第4の偏向部材)の第3反射面P3rを備えている。また、第2結像光学系K2は、第3反射面P3r側から順に、正の屈折力を有する第2屈折光学系G2Pと、第3反射面P3r側に凹面を向けた第2凹面反射鏡M2とを備えている。第2屈折光学系G2Pおよび第2凹面反射鏡M2はX方向に沿って配置され、全体として第2反射屈折光学系HK2を構成している。さらに、第2結像光学系K2は、第2反射屈折光学系HK2から−X方向に沿って入射する光を−Z方向に反射するようにガラス基板面(XY平面面)に対して45°の角度で斜設された第4偏向部材(第2の偏向部材)の第4反射面P4rを備えている。なお、第2凹面反射鏡M2は、凹面である反射面の向きを変更可能に構成されている。即ち第2凹面反射鏡M2を筐体などに取り付けるためのワッシャの厚さを変更することにより反射面の向きを変更することができる。
【0066】
また、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に倍率調整部材44が設けられている。この倍率調整部材44は、ディストーション調整部材及び像面調整部材としても機能する。更に、偏心ディストーション、偏心像面収差、偏心コマ収差及び偏心色収差の調整を行う偏心収差調整部材としても機能する。
【0067】
更に、倍率調整部材44による倍率調整、ディストーション調整部材として機能する倍率調整部材44によるディストーション調整、像面調整部材として機能する倍率調整部材44による像面調整、偏心収差調整部材として機能する倍率調整部材44による偏心収差調整により発生するXYZ方向の像ずれを補正するために、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中にクサビレンズ40および像シフタを構成する平行平面板42が設けられている。ここで、クサビレンズ40は結像位置を補正する焦点位置補正手段を構成する。また、平行平面板42は結像位置を補正(シフト)する像シフト手段を構成する。
【0068】
前述したように、マスクM上に形成されたパターンは、当技術分野で一般的に使用される照明光学系からの照明光(露光光)により、ほぼ均一の照度で照明される。マスクM上の各照明領域に形成されたマスクパターンから−Z方向に沿って進行した光は、クサビレンズ40および平行平面板42を介して、第1反射面P1rに入射し、第1反射面P1rにより90°だけ偏向され、+X方向に沿って第1反射屈折光学系HK1に入射する。第1反射屈折光学系HK1に入射した光は、第1屈折光学系G1Pを介して、第1凹面反射鏡M1に達する。第1凹面反射鏡M1で反射された光は、再び第1屈折光学系G1Pを介して、−X方向に沿って第2反射面P2rに入射する。第2反射面P2rで90°だけ偏向されて−Z方向に沿って進行した光は、視野絞りFSの近傍にマスクパターンの一次像を形成する。なお、一次像のX方向における横倍率は+1倍であり、Y方向おける横倍率は−1倍である。
【0069】
マスクパターンの一次像から−Z方向に沿って進行した光は、第3反射面P3rにより90°だけ偏向され、+X方向に沿って第2反射屈折光学系HK2に入射する。第2反射屈折光学系HK2に入射した光は、第2屈折光学系G2Pを介して、第2凹面反射鏡M2に達する。第2凹面反射鏡M2で反射された光は、再び第2屈折光学系G2Pを介して、−X方向に沿って第4反射面Pr4に入射する。第4反射面Pr4で90°だけ偏向されて−Z方向に沿って進行した光は、倍率調整部材44を介して、ガラス基板P上において対応する露光領域にマスクパターンの二次像を形成する。ここで、二次像のX方向における横倍率およびY方向における横倍率はともに+1倍である。すなわち、投影光学ユニットPLを介してガラス基板P上に形成されるマスクパターン像は等倍の正立正像であり、投影光学ユニットPLは等倍正立系を構成している。
【0070】
なお、上述の第1反射屈折光学系HK1では、第1屈折光学系G1Pの後側焦点位置に第1凹面反射鏡M1が配置されているため、マスクM側および視野絞りFS側においてテレセントリックとなる。また、第2反射屈折光学系HK2においても、第2屈折光学系G2Pの後側焦点位置に第2凹面反射鏡M2が配置されているため、視野絞りFS側およびガラス基板P側においてテレセントリックとなる。その結果、投影光学ユニットPLは、両側(上記マスクM側およびガラス基板P側)テレセントリック光学系である。
【0071】
上述したように、投影光学ユニットPLを介してガラス基板P上に形成されるマスクパターン像は等倍の正立正像である。したがって、マスクステージMS上に保持されているマスクMと基板ステージに保持されているガラス基板Pとを一体的に同一方向(X方向)に沿って移動させることにより所望の走査露光を行うことができる。
【0072】
図4は、各投影光学ユニットのシステム構成図である。制御装置20は、第1駆動部30を制御してクサビレンズ40を相対的に移動させることによりクサビレンズ40の厚さを変えて投影光学ユニットの光軸方向の像ずれを補正する。また、制御装置20は、第2駆動部32を制御して平行平面板42をチルトさせることにより投影光学ユニットの光軸に直行する方向の像ずれを補正する。また、制御装置20は、第3駆動部34を制御して第3偏向部材の第3反射面P3r及び第4偏向部材の第4反射面P4rを有する第2直角プリズム38を回転させプレートP上に形成される像の回転位置の調整を行う。即ち、第2直角プリズム38は、像ローテータとして機能するように構成されている。更に、制御装置20は、第4駆動部36を制御して倍率調整部材44のレンズ間隔を変更することにより投影光学ユニットの倍率の調整を行う。
【0073】
次に、投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整、すなわちマスクMからガラス基板Pへの投影倍率の調整について説明する。本実施の形態にかかる投影光学系は、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5により構成される正立正像、等倍の投影光学系であるが、投影光学系を組み立てた場合には、製造誤差等により各投影光学ユニットPL1〜PL5において倍率に誤差が生じる場合ある。このような場合に各投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率を等倍にするために、各投影光学ユニットPL1〜PL5において倍率調整が行われる。
【0074】
ここで、図3においては、第1反射屈折光学系HK1の光軸をAX1、第2反射屈折光学系HK2の光軸をAX2で表している。また、視野絞りFSで規定されるマスクM上の視野領域の中心から−Z方向に進行し、視野絞りFSの中心を通り、同じく視野絞りFSで規定されるガラス基板P上の露光領域の中心に達する光線の経路を軸線AXFCで表している。図3に示すように、視野中心軸線AXFCは、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間、第2偏向部材の第2反射面P2rと第3偏向部材の第3反射面P3rとの間、および第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中においてZ方向に沿って延びている。
【0075】
また、軸線AXFCは、第1反射屈折光学系HK1と第1偏向部材の第1反射面P1rとの間、第1反射屈折光学系HK1と第2偏向部材の第2反射面P2rとの間、第2反射屈折光学系HK2と第3偏向部材の第3反射面P3rとの間、および第2反射屈折光学系HK2と第4偏向部材の第4反射面P4rとの間の光路中においてX方向に沿って延びている。さらに、軸線AXFCは、第1凹面反射鏡M1の反射面の中心(すなわち光軸AX1との交点)において光軸AX1に関して対称に折り返され、第2凹面反射鏡M2の反射面の中心(すなわち光軸AX2との交点)において光軸AX2に関して対称に折り返されている。
【0076】
倍率調整部材44は、第4反射面P4rとガラス基板Pと間の光路中において、倍率調整部材44を構成するレンズの光軸と投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸(光軸AX1および光軸AX2)とが一致するように配置されている。即ち、倍率調整部材44は、光軸AX1および光軸AX2に沿って第4反射面P4r側から順に配置された、平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成され、平凹レンズ(第1平凹レンズ)の凹面と両凸レンズの一方の凸面、両凸レンズの他方の凸面と平凹レンズ(第2平凹レンズ)の凹面とが所定の間隔で対向している。
【0077】
各投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整は、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更すること、例えば両凸レンズを、光軸方向へ移動させることにより行われる。各投影光学ユニットPL1〜PL5においては、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していることから、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合においても、偏心収差が発生することはない。しかしながら、図5に示すように、露光エリアの中心(露光中心)と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していないことから、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合に像ずれが発生する。
【0078】
従って、この倍率調整部材44による倍率調整により発生した像ずれは、像ずれ補正手段を構成するクサビレンズ40及び平行平面板42により補正を行う。即ち、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸に直行する方向の像ずれを平行平面板42をチルトさせることにより補正し、投影光学ユニットを構成するレンズの光軸方向の像ずれ(焦点位置のずれ)をクサビレンズ40を相対的に移動させることにより補正する。
【0079】
なお、本実施の形態にかかる倍率調整部材44を用いて像面形状の制御(例えば、ペッツバール像面の調整、即ちメリジオナル像面とサジタル像面を一致させた像面の湾曲を補正)することも可能である。即ち、この場合には、倍率調整部材44は、像面形状制御部材を構成し像面調整部材として機能する。する。図6(a)、図6(b)は、何れも倍率調整部材44の一例を示すものであるが、図6(b)に示す倍率調整部材は、図6(a)に示す倍率調整部材の両凸レンズを、レンズ面の曲率半径が大きい両凸レンズに変更したものである。このようにレンズ面の曲率を変更することにより結像面の制御、即ち結像面を湾曲させることができる。
【0080】
なお、この図6に示す例では、両凸レンズの両方のレンズ面の曲率半径を変更しているが、一方のレンズ面の曲率半径を変更するようにしてもよい。さらに、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの何れか1つ以上のレンズ面の曲率半径を変更することにより結像面を制御するようにしてもよい。また、レンズ面の曲率半径を変更する場合には、レンズ面の曲率半径を変更するレンズを倍率調整部材44から取り出し、加工を行った後に倍率調整部材44に戻してもよいし、レンズ面の曲率半径を変更するレンズを倍率調整部材44から取り出し、異なる曲率半径のレンズ面を有する別のレンズ(又は同一の曲率半径を有し異なる屈折率の硝材により構成されるレンズ)を倍率調整部材44に戻してもよい。
【0081】
また、上述の実施の形態では、倍率調整部材44を平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズにより構成しているが、倍率調整部材44を平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成しても良い。この場合においても、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより、例えば両凹レンズを光軸方向へ移動させることにより倍率調整を行うことができる。各投影光学ユニットPL1〜PL5においては、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していることから、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合においても、偏心収差が発生することはない。しかしながら、露光エリアの中心と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していないことから、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合に像ずれが発生する。従って、この倍率調整部材44による倍率調整により発生した像ずれは、像ずれ補正手段を構成するクサビレンズ40及び平行平面板42により補正を行う。
【0082】
また、この平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズにより構成される倍率調整部材44を用いてペッツバール像面を調整することも可能である。即ち、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズのレンズ面の中の1つ以上の曲率半径を変更することにより結像面の制御を行うことも可能である。
【0083】
また、上述の実施の形態では、倍率調整部材44を第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置しているが、倍率調整部材44を、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中及び第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中の両方に設けるようにしてもよい。
【0084】
上述の実施の形態において、倍率調整部材44がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、倍率調整部材44が結像光学系外に配置されているため、倍率調整部材44を構成するレンズ間隔の調整をきわめて容易に行うことができ、投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整を容易に行うことができる。
【0085】
また、倍率調整部材44が像面形状制御部材を構成する場合には、像面形状制御部材が結像光学系外に配置されているため、像面形状制御部材を構成する少なくとも1枚のレンズの交換がきわめて容易に行うことができ、第2基板上に形成された像面の形状を容易に制御することができる。
【0086】
また、上述の実施の形態においては、クサビレンズ40及び平行平面板42がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中に設けられているが、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に設けるようにしてもよい。
【0087】
上述の実施の形態において、クサビレンズ40及び平行平面板42がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、クサビレンズ40及び平行平面板42が結像光学系外に配置されているため、像ずれの補正をきわめて容易に行うことができる。
【0088】
また、上述の実施の形態においては、第2直角プリズム38が像ローテータとして機能するように構成されているが、第2直角プリズム38に代えて第1直角プリズム37が像ローテータとして機能するように構成してもよい。また、第2直角プリズム38及び第1直角プリズム37の双方が像ローテータとして機能するように構成してもよい。また、上述の実施の形態においては、第2凹面反射鏡M2の反射面の向きが変更可能に構成されているが、第1凹面反射鏡M1を筐体などに取り付けるためのワッシャの厚さを変更することにより第1凹面反射鏡M1の反射面の向きを変更可能に構成しても良い。
【0089】
上述のように倍率調整部材44は、ディストーション調整部材、像面調整部材、偏心収差調整部材としても機能する。即ち、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば上部の平凹レンズである第1平凹レンズをチルトさせることによりプレートP上に形成される像にディストーションが発生すると共に像シフトが発生する。しかしながら、像シフトは、像シフタを構成する平行平面板42によって調整可能であるため、倍率調整部材44を構成するレンズをチルトさせることによりプレートP上に形成される像のディストーションの調整を行うことができる。
【0090】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズをチルトさせてもプレートP上に形成される像のディストーションの調整を行うことができる。
【0091】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば上部の平凹レンズである第1平凹レンズをシフトさせることにより、プレートP上に形成される像にはディストーションがわずかに発生し、像面の傾斜が発生する。従って、倍率調整部材44を構成するレンズをシフトさせることによりプレートP上に形成される像面の調整を行うことができる。
【0092】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズをシフトさせてもプレートP上に形成される像面の調整を行うことができる。
【0093】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを異なる方向に同じ量傾斜させると、倍率調整部材44を構成する第1平凹レンズ、両凸レンズ及び第2平凹レンズの3枚で、クサビ状のガラスとみなすことができる。従って、プレートP上に形成される像に発生するディストーションはほとんど変化しないが、像面の傾斜が発生する。この場合には、第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを異なる方向に同じ量傾斜させているため、第1平凹レンズのみを傾斜させた場合に比較して、2倍の傾斜量で像面に傾斜が発生する。
【0094】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズ及び第2平凸レンズを異なる方向に同じ量傾斜させても像面を傾斜させることができる。
【0095】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを同じ方向に同じ量傾斜させると、平行平面板の傾斜と同じ効果となり、像位置のみシフトしてほとんど収差は変化しない。なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズ及び第2平凸レンズを同方向に同じ量傾斜させた場合にも像位置のみシフトしてほとんど収差は変化しない。
【0096】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、倍率調整部材44の全体を部分投影光学系の光軸に対して傾けた場合には、偏心コマ収差及び偏心色収差などの偏心収差の調整を行うことができる。
【0097】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合であって、倍率調整部材44の全体を部分投影光学系の光軸に対して傾けた場合にも偏心コマ収差及び偏心色収差などの偏心収差の調整を行うことができる。
【0098】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合には、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称なディストーション)の調整が可能になる。ここでレンズの曲率半径を1面のみ変更する場合には、ペッツバール像面が多少変化するので像面湾曲が発生するが、レンズの両面の曲率半径を組み合わせることによってレンズのもつパワーを変化させず、つまりペッツバール像面を変えないで、ディストーションのみを変化させることが可能になる。また、倍率、及びディストーションを変化させないように空気間隔を変化させると、像面湾曲と非点収差のみを修正することが可能になる。
【0099】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、中央の両凹レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合には、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称なディストーション)の調整が可能になる。
【0100】
なお、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーション、像面の調整を行う場合には、まず、第1平凹レンズ、両凸レンズ及び第2平凹レンズにより構成される倍率調整部材部44を投影光学ユニットPL1〜PL5に搭載した状態でディストーションと像面の計測を行う。計測されたディストーションと像面の収差量により、倍率調整部材44を構成するレンズの空気間隔とチルト量、及びシフト量を決定する。
【0101】
次に、投影光学ユニットPL1〜PL5から倍率調整部材部44のみ取り外し、第1平凹レンズのチルト量、及びシフト量が計算された値となるようにワッシャ等により第1平凹レンズの取り付け位置を調整する。この時、例えば、第1平凹レンズをチルトしたい場合には、第1平凹レンズの平面側と第2平凹レンズの平面側をコリメータによって計測して、この計測値に対して変化させたい量をワッシャを交換することにより調整し、再びコリメータにて計測を行なって所望の傾きになったことを確認する。こうすることで調整が計算相当量できたかどうかの確認を行うことができ、調整誤差を少なくすることが可能になる。
【0102】
この実施の形態にかかる露光装置においては、倍率調整部材自体をディストーション、像面の調整に用いているため、ディストーション調整部材、像面調整部材を配置するための新たなスペースを必要としない。しかも新たな部品を追加する必要がないため、コスト的にも大きなメリットとなる。また、倍率調整部材44がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、倍率調整部材44が結像光学系外に配置されているため、倍率調整部材44を用いてディストーションの調整、像面の調整をきわめて容易に行うことができる。
【0103】
なお、上述の実施の形態の第1及び第2結像光学系K1、K2においては、典型的に、主レンズ群としての第1屈折光学系G1Pと当該主レンズ群と共軸な反射部材としての第1凹面反射鏡M1とが1つのメイン鏡筒(不図示)に収められ、主レンズ群としての第2屈折光学系G2Pと当該主レンズ群と共軸な反射部材としての第2凹面反射鏡M2とが別のメイン鏡筒(不図示)に収められる。この場合、走査型露光装置に投影光学系を組み込んだ後では、偏心ディストーションの調整を行うことが困難となる。
【0104】
ここで、第1又は第2凹面反射鏡の光軸に対する傾き(姿勢)、または光軸を横切る方向における位置を変更すれば、偏心ディストーションの調整が可能となる。上述の実施の形態のような第1及び第2結像光学系K1、K2では、主レンズ群(第1及び第2屈折光学系G1P、G2P)を通過する光路が、主レンズ群から反射部材(第1及び第2凹面反射鏡M1、M2)へ向かう場合と、反射部材から主レンズ群へ向かう場合とで光軸に関しほぼ対称になっているため、横収差を打ち消すことができる。反射部材の光軸に対する傾きや光軸を横切る方向の位置を変更すれば、光軸に関して対称的となっている往復光路を非対称にして(往路の光路と復路の光路とで主レンズ群での入射高を変えて)、偏心ディストーションを発生させることができる。なお、凹面反射鏡M1、M2をチルト(光軸に対して傾ける)させた場合には、(Z軸廻りの)像回転が発生するが、この像回転は像ローテータとして機能する第1及び/又は第2直角プリズム37、38の回転調整により補正可能である。すなわち、凹面反射鏡M1、M2と直角プリズム37、38とを連動させれば、偏心ディストーションのみの調整が可能である。具体的には、計測系で測定されたディストーション値に基づいて凹面反射鏡の傾斜量及び/又は偏心量を求めるとともに、副作用的に起こる像回転量に基づいて像ローテータとしての直角プリズムの補正量を求め、これらの算出結果に基づいて、凹面反射鏡とプリズムとを自動的に(または手動で)調整する。上述の実施の形態では、凹面反射鏡M1、M2が図示なきメイン鏡筒の端部に取り付けられるので、この凹面反射鏡M1、M2の位置・姿勢を調整することは容易となる。
【0105】
例えば、投影光学ユニットPL1〜PL5の第2結像光学系K2の第2凹面反射鏡M2の向きを変更することによっても、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーションの調整を行うことができる。この場合には、プレートP上に形成される像に回転が発生するが、像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を回転させることにより、第2凹面反射鏡M2の向きを変更することにより発生した像の回転を補正することができる。即ち、各投影光学ユニットPL1〜PL5がディストーション調整部材として機能する第2凹面反射鏡M2と像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を有するため、各投影光学ユニットPL1〜PL5においてディストーションの調整を行うことができる。
【0106】
また、第1結像光学系K1の第1凹面反射鏡M1の向きを変更することによっても、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーションの調整を行うことができる。この場合には、プレートP上に形成される像に回転が発生するが、像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を回転させることにより、第2凹面反射鏡M2の向きを変更することにより発生した像の回転を補正することができる。第1直角プリズム37を回転させることにより像ローテータとして機能させ、第1凹面反射鏡M1の向きを変更することにより発生した像の回転を補正するようにしても良い。
【0107】
なお、上述の例では反射部材として凹面反射鏡を用いているが、凹面反射鏡に代えて平面反射鏡であっても良い。また、上述の例では、第1及び第2結像光学系として、主レンズ群と凹面反射鏡とを持つ反射屈折型結像光学系を用いているが、第1及び第2結像光学系のうちの一方を屈折型光学系としても良い。また、上述の例では、2つの結像光学系を備える所謂2回結像の光学系を例にとって説明したが、1つの結像光学系を備える1回結像型の光学系(中間像を形成しない光学系)や3つの結像光学系を備える3回結像型の光学系にも適用できる。
【0108】
次に、本発明の実施の形態にかかる露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。本発明の実施の形態にかかる露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0109】
図7は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。図7のパターン形成工程S50では、本実施の形態の走査型投影露光装置を用いマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程においては、照明装置を用いてマスクが照明され、複数の投影光学ユニットに対してマスクとプレートとを移動させつつマスクのパターンがプレート上に投影露光され、ガラス基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。
【0110】
その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0111】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0112】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0113】
上述の実施の形態にかかる露光装置においては、マスク側やプレート側でアクセス可能な場所に、倍率調整部材としての機能を併せ持つディストーション調整部材や像面調整部材が設けられているため、部品を増やすことなく、安価に、容易にディストーションの調整、像面の調整を行なうことができる。ディストーションの調整においては、偏心成分と低次の回転対称成分を補正可能であり、像面調整においては、偏心成分や、像面湾曲、非点収差を補正可能である。従って、投影光学ユニットの収差が変動した場合であっても調整を容易に行なうことができ、露光装置としての性能を高く保持することができる。
【0114】
次に、本発明の各投影光学ユニットPL1〜PL5の実施例について説明する。実施例において、露光波長として、基準波長であるi線(λ=365nm)、h線(λ=405nm)、g線(λ=436nm)を使用している。(表1)に、実施例の各投影光学ユニットPLの諸元の値を掲げる。(表1)において、面番号は物体面であるマスク面から像面であるガラス基板面へ軸線AXFCにしたがって光線の進行する方向に沿ったマスク側からの面の順序を、rは各面の曲率半径を、dは各面の軸上間隔すなわち面間隔をそれぞれ示している。
【0115】
なお、(表1)においては、各面の軸上間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。したがって、面間隔dの符号は、第1反射面P1rから第1凹面反射鏡M1までの光路中では負とし、第2反射面P2rから第3反射面P3rまでの光路中では負とし、第2凹面反射鏡M2から第4反射面P4rまでの光路中では負とし、その他の光路中では正としている。そして、各面の軸上間隔dが正である光路中においては、光線の入射側に向かって凸面の曲率半径を正とし、凹面の曲率半径を負としている。逆に、各面の軸上間隔dが負である光路中においては、光線の入射側に向かって凹面の曲率半径を正とし、凸面の曲率半径を負としている。さらに、(表1)において、n(i),n(h),n(g)は、i線(λ=365nm)、h線(λ=405nm)、g線(λ=436nm)に対する屈折率をそれぞれ表している。なお、各面の軸上間隔dが負である光路中においては、屈折率の符号を負としている。
【0116】
【表1】
【0117】
この投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをθx方向に0.05°チルトさせた場合の収差変化量を表2に示す。また、露光フィールドのイメージ図を図8に示す。この時、約5μmの像シフトが発生するが、この像シフトは、像シフタによって調整可能である。従って、倍率調整部材を構成するレンズのチルトによってディストーションの調整が可能である。
【0118】
【表2】
【0119】
また、投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをθy方向に0.1°チルトさせた場合の収差変化量を表3に示す。また、露光フィールドのイメージ図を図9に示す。この時、約10μmの像シフトが発生するが、この像シフトは、像シフタによって調整可能である。従って、倍率調整部材を構成するレンズのチルトによってディストーションの調整が可能である。
【0120】
【表3】
【0121】
次に、投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをX方向に0.5mmシフトさせた場合のディストーションの変化を図10に示す。図10に示すようにディストーションの発生量は僅かであるがが、図11に示すように像面にX方向の傾斜が発生する。つまり、これを利用することにより像面調整が可能になる。なお、Y方向のシフトであっても同様にY方向の像面の傾斜を調整することが可能になる。
【0122】
次に、倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合のディストーションの変化を図12に示す。なお、レンズの交換により像面湾曲が発生するため、像面湾曲を補正するために空気間隔を最適な値に変更している。こうすることにより、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称な)の調整が可能になる。
【0123】
また、倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合に、倍率、ディストーションを変化させないように空気間隔を変化させると、像面湾曲と非点収差のみを修正することができる。表4に投影光学ユニットの倍率調整部材の部分のレンズデータを示し、表5に倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換すると共に倍率、ディストーションを変化させないように空気間隔を変化させた投影光学ユニットの倍率調整部材の部分のレンズデータを示す。この場合におけるM像の変化量は、3μm程度になる。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【発明の効果】
本発明の走査型投影露光装置によれば、部分投影光学系を露光装置本体に設置した後においても、ディストーションの調整、像面の調整を容易に行うことができる。
【0127】
また、本発明の露光方法によれば、部分投影光学系のディストーションの調整、像面の調整が良好に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを前記第2基板上に良好に投影露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる走査型露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる照明光学系構成の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットのシステム構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットの倍率調整に伴い発生する像ずれを説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる倍率調整部材において行う像面制御を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをチルトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図9】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをチルトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図10】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをシフトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図11】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをシフトした場合の像面の状態を示す図である。
【図12】本発明の実施例にかかる倍率調整部材の中央のレンズの曲率を変更した場合の露光フィールドのイメージ図である。
【符号の説明】
M…マスク、MS…マスクステージ、P…ガラス基板、40…クサビレンズ、42…平行平面板、44…倍率調整部材、PL…投影光学系、PL1〜PL5…投影光学ユニット、K1…第1結像光学系、K2…第2結像光学系、FS…視野絞り、HK1…第1反射屈折光学系、HK2…第2反射屈折光学系、G1P…第1屈折光学系、G2P…第2屈折光学系、M1…第1凹面反射鏡、M2…第2凹面反射鏡。
【発明の属する技術分野】
本発明は、第1基板のパターンの像を第2基板上に形成するための複数の部分投影光学系に対してマスクとガラス基板とを移動させつつマスクのパターンをガラス基板上に投影露光する走査型投影露光装置及び、該走査型投影露光装置を用いた露光方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ワープロやパソコンやテレビ等の表示素子として、液晶表示パネルが多用されるようになっている。液晶表示パネルは、ガラス基板上に透明薄膜電極をフォトリソグラフィの手法で所望の形状にパターニングして製造される。このフォトリソグラフィのための装置として、マスク上に形成された原画パターンを投影光学系を介してガラス基板上のフォトレジスト層に露光する投影露光装置が用いられている。
【0003】
最近では、液晶表示パネルの大面積化の要求が高まっており、その要求に伴ってこの種の投影露光装置においても露光領域の拡大が望まれている。そこで、露光領域を拡大するために、いわゆる走査型投影露光装置が提案されている。この走査型投影露光装置では、複数の投影光学ユニットからなる投影光学系に対してマスクとガラス基板とを移動させつつ、マスクのパターンをガラス基板上に投影露光する。このような走査型投影露光装置の投影光学系は、屈折光学系と凹面鏡を含む結像光学系と反射プリズムを有する光学系を備えて構成され、中間像を一度形成し、更に同一の光学系をもう一段構成することによってマスク上のパターンをプレート上に正立正像等倍にて露光する光学系である。
【0004】
このような走査型投影露光装置の投影光学系においては、投影光学ユニットを構成するレンズやプリズムを調整することで、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等を調整可能である(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−337463号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年では大型の液晶テレビに象徴されるように、マスクの大型化に伴いプレートの大型化がますます進み、1m角を越えるようなガラス基板が使用されるようになっている。ここで、複数の投影光学ユニットからなる投影光学系を備える走査型投影露光装置を用いて800mm幅のガラス基板に対して露光を行うとすると、1つの投影光学ユニットの露光フィールドの幅が80mmの場合には、10個の投影光学ユニットを露光フィールドが一部重複露光領域を有するようにして配置する必要がある。
【0007】
投影光学ユニット単体の場合には、上述のように投影光学ユニットを構成するレンズやプリズムを調整することで、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等を調整可能であるが、投影光学ユニットを露光装置本体に組み込んだ場合には、投影光学ユニット同士が非常に近接して配置されていることから調整が非常に困難になる。したがって、ディストーションや像面、像位置、フォーカス位置等の調整を設置先で行わざるを得ない大型のガラス基板に対して露光を行う露光装置の場合には、投影光学ユニットの調整が非常に困難となる。また、投影光学ユニットが走査方向と直行する方向に所定間隔をもって第1列として配置されると共に走査方向と直行する方向に所定間隔をもって第2列として配置されている場合であって第1列と第2列の間にアライメント系とオートフォーカス系が配置されている場合には、調整は不可能になる。更に、輸送や、梱包時にプリズム部等に触れてしまい、ディストーションや像面の状態を狂わすこともある。
【0008】
本発明の課題は、投影光学系を露光装置本体に搭載したあとでも、容易にディストーションや像面の調整を行うことができる走査型投影露光装置及び該走査型投影露光装置を用いた露光方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
請求項1記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材とを備えることを特徴とする。
【0010】
この請求項1記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易にディストーションの調整を行うことができる。
【0011】
また、請求項2記載の走査型投影露光装置は、前記複数の部分投影光学系の各々が、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2の偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を更に備えることを特徴とする。
【0012】
この請求項2記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易に像面の調整を行うことができる。
【0013】
また、請求項3記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された偏心収差調整部材とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4記載の走査型投影露光装置は、前記偏心収差調整部材が、偏心ディストーション、偏心像面収差、偏心コマ収差及び偏心色収差のうち少なくとも一つを調整することを特徴とする。
【0015】
この請求項3及び請求項4記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々が、第1基板と第1偏向部材との間の光路中及び第2偏向部材と第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を備えるため、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後においても、容易に偏心収差の調整を行うことができる。
【0016】
また、請求項5記載の走査型投影露光装置は、前記結像光学系が、前記第1基板のパターンからの光を集光して前記パターンの一次像を形成するための第1屈折光学系と第1凹面反射鏡とを含む第1反射屈折光学系と、前記一次像からの光を集光して前記パターンの二次像を前記第2基板上に形成するための第2屈折光学系と第2凹面反射鏡とを含む第2反射屈折光学系と、前記第1反射屈折光学系を介した光を前記一次像へ導くための第3の偏向部材と、前記一次像からの光を前記第2反射屈折光学系へ導くための第4の偏向部材とを有することを特徴とする。
【0017】
この請求項5記載の走査型投影露光装置によれば、パターンの一次像を形成するための第1反射屈折光学系と、一次像からの光を集光してパターンの二次像を形成するための第2反射屈折光学系とを備える露光装置においても、複数の部分投影光学系を露光装置本体に組み込んだ後において、容易にディストーションの調整、像面の調整、偏心収差の調整を行うことができる。
【0018】
また、請求項6記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする。
【0019】
この請求項6記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するパワーを有するレンズを部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは部分投影光学系の光軸に対してチルトさせることにより、ディストーションの調整を行うことができる。
【0020】
また、請求項7記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、曲率半径の異なるレンズに交換可能に構成されていることを特徴とする。
【0021】
この請求項7記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するパワーを有するレンズを曲率半径の異なるレンズに交換することにより、ディストーションの調整を行うことができる。
【0022】
また、請求項8記載の走査型投影露光装置は、前記像面調整部材が、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする。
【0023】
この請求項8記載の走査型投影露光装置によれば、像面調整部材を構成するパワーを有するレンズを部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは部分投影光学系の光軸に対してチルトさせることにより、像面の調整を行うことができる。
【0024】
また、請求項9記載の走査型投影露光装置は、前記ディストーション調整部材が、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする。
【0025】
この請求項9記載の走査型投影露光装置によれば、ディストーション調整部材を構成するレンズを部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより部分投影光学系の倍率を調整することができる。
【0026】
ここで、請求項9にかかる走査型投影露光装置において、前記ディストーション調整部材は、第1凹レンズ面を有する第1平凹レンズ、前記第1凹レンズ面側に向けた第1凸レンズ面と第2凸レンズ面とを有する両凸レンズ、及び前記第2凸レンズ面側に向けた第2凹レンズ面を有する第2平凹レンズを備え、前記両凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、請求項9にかかる走査型投影露光装置において、前記ディストーション調整部材は、第1凸レンズ面を有する第1平凸レンズ、前記第1凸レンズ面側に凹面を向けた第1凹レンズ面と第2凹レンズ面とを備える両凹レンズ、及び前記第2凹レンズ面側に向けた第2凸レンズ面を有する第2平凸レンズを備え、前記両凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。
【0027】
また、請求項10記載の走査型投影露光装置は、前記像面調整部材が、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする。
【0028】
この請求項10記載の走査型投影露光装置によれば、像面調整部材を構成するレンズを部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより部分投影光学系の倍率を調整することができる。
【0029】
ここで、請求項10にかかる走査型投影露光装置において、前記像面調整部材は、第1凹レンズ面を有する第1平凹レンズ、前記第1凹レンズ面側に向けた第1凸レンズ面と第2凸レンズ面とを有する両凸レンズ、及び前記第2凸レンズ面側に向けた第2凹レンズ面を有する第2平凹レンズを備えることが好ましい。ここで、前記両凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、前記第1及び第2平凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の像面を調整することが好ましい。
【0030】
また、請求項10にかかる走査型投影露光装置において、前記像面調整部材は、第1凸レンズ面を有する第1平凸レンズ、前記第1凸レンズ面側に凹面を向けた第1凹レンズ面と第2凹レンズ面とを備える両凹レンズ、及び前記第2凹レンズ面側に向けた第2凸レンズ面を有する第2平凸レンズを備えることが好ましい。ここで、前記両凹レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することが好ましい。また、前記第1及び前記第2平凸レンズを前記部分投影光学系の光軸方向へ移動させることにより前記部分投影光学系の像面を調整することが好ましい。
【0031】
また、請求項11記載の走査型投影露光装置は、該複数の部分投影光学系の各々が、前記部分投影光学系のフォーカス位置を調整するフォーカス位置調整機構、前記部分投影光学系の像位置を調整する像位置調整機構、前記部分投影光学系の像の回転位置を調整する像回転位置調整機構及び前記部分投影光学系の倍率を調整する倍率調整機構の中の少なくとも1つを備えることを特徴とする。
【0032】
この請求項11記載の走査型投影露光装置によれば、複数の部分投影光学系の各々において、フォーカス位置の調整、像位置の調整、像の回転位置の調整、倍率を調整を行うことができる。
【0033】
また、請求項12記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記複数の部分投影光学系の各々は、該部分投影光学系のディストーションの調整を行うディストーション調整部材及び該部分投影光学系により形成された像の回転位置の調整を行う像回転位置調整機構を備えることを特徴とする。
【0034】
また、請求項13記載の走査型投影露光装置は、前記複数の部分投影光学系の各々が、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材とを備え、前記ディストーション調整部材は、前記結像光学系に備えられる前記凹面反射鏡を含んで構成され、前記像回転位置調整機構は、前記部分投影光学系に備えられる前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材を含んで構成されることを特徴とする。
【0035】
この請求項12及び請求項13記載の走査型投影露光装置によれば、結像光学系に備えられる凹面反射鏡を用いてディストーションの調整を行った場合であって像位置に回転が発生した場合には、第1偏向部材及び第2偏向部材を例えば回転させることにより像の回転位置の調整を行うことができる。
【0036】
また、請求項14記載の走査型投影露光装置は、光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上に投影する投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、前記投影光学系は、前記第1基板の中間像を形成する第1結像光学系と、前記中間像の像を形成する第2結像光学系と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第1偏向部材と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第2偏向部材とを備え、前記第1及び第2結像光学系のうち少なくとも一方は、所定の光軸に沿って配置された主レンズ群と、前記光軸に沿って配置されて該主レンズ群を介した光を反射させて再び前記主レンズ群へ戻す反射部材とを備え、該反射部材は、前記投影光学系のディストーションを調整するために、前記光軸に対する傾きと前記光軸を横切る方向での位置のうちの少なくとも一方が調整可能に構成されることを特徴とする。
【0037】
この請求項14記載の走査型投影露光装置によれば、主レンズ群との間の往復光路を形成するための反射部材の位置・姿勢を調整して、反射部材へ向かう光束の主レンズ群内の光路と、反射部材を経由した後の光束の主レンズ群内の光路とを異ならして、偏心ディストーションを発生(補正)することができる。
【0038】
そして、請求項15記載の走査型投影露光装置によれば、前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材のうちの少なくとも一方は、前記反射部材の調整に起因する像回転を補正するために、回転可能に構成されることを特徴とする。
【0039】
この請求項15記載の走査型投影露光装置によれば、反射部材の位置・姿勢を調整することに起因する像回転を打ち消すことができ、装置全体として偏心ディストーションのみを発生(補正)することができる。
【0040】
また、請求項16記載の走査型投影露光装置によれば、前記第1偏向部材は前記第1基板と前記第1結像光学系との間の光路中に配置され、前記第2偏向部材は前記第2結像光学系と前記第2基板との間に配置されることを特徴とする。
【0041】
また、請求項17記載の露光方法は、請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載の走査型投影露光装置に備えられる前記部分投影光学系に対して、前記第1基板および前記第2基板を同期移動させて走査露光を行う工程を含むことを特徴とする。
【0042】
この請求項17記載の露光方法によれば、ディストーションの調整及び像面の調整を容易に行うことができる露光装置により露光が行われるため、良好な走査露光を行うことができる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態に係る露光装置について詳細に説明する。第1図は、本発明の実施の形態に係る露光装置の全体の概要構成を示す斜視図である。本実施の形態においては、複数の反射屈折型の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに対してマスク(第1基板)Mと基板としてのプレート(第2基板)Pとを相対的に移動させつつマスクMに形成された液晶表示素子のパターンDPの像を基板としてのプレートP上に転写するステップ・アンド・スキャン方式の露光装置を例に挙げて説明する。
【0044】
尚、以下の説明においては、各図中に示したXYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明する。XYZ直交座標系は、X軸及びY軸がプレートPに対して平行となるよう設定され、Z軸がプレートPに対して直交する方向に設定されている。図中のXYZ座標系は、実際にはXY平面が水平面に平行な面に設定され、Z軸が鉛直上方向に設定される。また、本実施の形態ではマスクM及びプレートPを移動させる方向(走査方向)をX軸方向に設定している。
【0045】
本実施の形態の露光装置は、マスクステージ(第1ステージ)MS(図2参照)上においてマスクホルダ(不図示)を介してXY平面に平行に支持されたマスクMを均一に照明するための照明光学系ILを備えている。図2は、照明光学系ILの側面図であり、図1に示した部材と同一の部材には同一の符号を付してある。図1及び図2を参照すると、照明光学系ILは、例えば水銀ランプ又は超高圧水銀ランプからなる光源1を備えている。光源1は楕円鏡2の第1焦点位置に配置されているため、光源1から射出された照明光束は、ダイクロイックミラー3を介して、楕円鏡2の第2焦点位置に光源像を形成する。
【0046】
尚、本実施の形態では、光源1から射出された光が楕円鏡2の内面に形成された反射膜及びダイクロイックミラー3で反射されることにより、g線(436nm)の光、h線(405nm)の光、及びi線(365nm)の光を含む300nm以上の波長域の光による光源像が楕円鏡2の第2焦点位置に形成される。つまり、g線、h線、及びi線を含む波長域以外の露光する上で不必要となる成分は楕円鏡2及びダイクロイックミラー3で反射される際に除去される。
【0047】
楕円鏡2の第2焦点位置にはシャッタ4が配置されている。シャッタ4は、光軸AX1に対して斜めに配置された開口板4a(図2参照)と開口板4aに形成された開口を遮蔽又は開放する遮蔽板4b(図2参照)とから構成される。シャッタ4を楕円鏡2の第2焦点位置に配置するのは、光源1から射出された照明光束が集束されているため遮蔽板4bの少ない移動量で開口板4aに形成された開口を遮蔽することができるとともに、開口を通過する照明光束の光量を急激に可変させてることによりパルス状の照明光束を得るためである。
【0048】
楕円鏡2の第2焦点位置に形成された光源像からの発散光束は、コリメートレンズ5によってほぼ平行光束に変換されて波長選択フィルタ6に入射する。波長選択フィルタ6はg線、h線、及びi線を含む波長域の光束のみを透過させるものである。波長選択フィルタ6を通過した光はリレーレンズ8を介して再び結像する。この結像位置の近傍にはライトガイド9の入射端9aが配置されている。ライトガイド9は、例えば多数のファイバ素線をランダムに束ねて構成されたランダムライトガイトファイバであって、光源1の数(図1では1つ)と同じ数の入射端9aと、投影光学系PLを構成する投影光学ユニット(部分投影光学系)の数(図1では5つ)と同じ数の射出端、即ち射出端9b及び他の4つの射出端(図2では射出端9bだけを示す)とを備えている。こうして、ライトガイト9の入射端9aへ入射した光は、その内部を伝播した後、射出端9b及び他の4つの射出端から分割されて射出される。尚、1つの光源1のみでは光量が不足する場合には、複数の光源を設けるとともに、各光源に対して、設けられた複数の入射端を有し、各々の入射端から入射した光をほぼ同じ光量に分割して各射出端から射出するライトガイドを設けることが好ましい。
【0049】
図2に示したように、ライトガイド9の入射端9aには、連続的に位置を可変することができるように構成されたブレード10が配置されている。このブレード10は、ライトガイド9の入射端9aの一部を遮光することによって、ライトガイド9の射出端9b及び他の4つの射出端各々から射出される光の強度を連続的に可変するためのものである。ブレード10のライトガイド9の入射端9aに対する遮光量の制御は、図2中の主制御系20が駆動装置19を制御することによって行われる。
【0050】
ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間には、コリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b(図1では図示省略)、ビームスプリッタ14b(図1では図示省略)、及びコンデンサーレンズ系15bが順に配置されている。同様に、ライトガイド9の他の4つの射出端とマスクMとの間には、コリメートレンズ、フライアイ・インテグレ一夕、開口絞り、ビームスプリッタ、及びコンデンサーレンズ系がそれそれ順に配置されている。
【0051】
尚、ここでは、説明の簡単化のために、ライトガイド9の各射出端とマスクMとの間に設けられる光学部材の構成を、ライトガイド9の射出端9bとマスクMとの間に設けられたコリメートレンズ11b、フライアイ・インテグレータ12b、開口絞り13b、ビームスプリッタ14b、及びコンデンサーレンズ系15bに代表させて説明する。
【0052】
ライトガイド9の射出端9bから射出された発散光束は、コリメートレンズ11bによりほぼ平行な光束に変換された後、フライアイ・インテグレータ12bに入射する。フライアイ・インテグレータ12bは、多数の正レンスエレメントをその中心軸線が光軸AX2に沿って延びるように縦横に且つ稠密に配列することによって構成されている。従って、フライアイ・インテグレータ12bに入射した光束は、多数のレンズエレメントにより波面分割され、その後側焦点面(即ち、射出面の近傍)にレンズエレメントの数と同数の光源像からなる二次光源を形成する。即ち、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面には、実質的な面光源が形成される。
【0053】
フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面に形成された多数の二次光源からの光束は、フライアイ・インテグレータ12bの後側焦点面の近傍に配置された開口絞り13bにより制限された後、ビームスプリッタ14bを介して、コンデンサーレンズ系15bに入射する。尚、開口絞り13bは、対応する投影光学ユニットPL1の瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、照明に寄与する二次光源の範囲を規定するための可変開口部を有する。開口絞り13bは、この可変開口部の開口径を変化させることにより、照明条件を決定するσ値(投影光学系PLを構成する各投影光学ユニットPL1〜PL5の瞳面の開口径に対するその瞳面上での二次光源像の開口径の比)を所望の値に設定する。
【0054】
コンデンサーレンズ系15bを介した光束は、パターンDPが形成されたマスクMを重量的に照明する。尚、ライトガイド9の他の4つの射出端から射出された発散光束も同様に、コリメートレンズ、フライアイ・インテグレータ、開口絞り、ビームスプリッタ、及びコンデンサーレンズを順に介してマスクMを重量的にそれぞれ照射する。即ち、照明光学系ILは、マスクM上においてY軸方向に並んだ複数(図1では合計で5つ)の台形状の領域(照明視野)を照明する。尚、照明光学系ILが備える光源としては、紫外線放射タイプのLEDやLDであってもよい。
【0055】
一方、照明光学系ILに設けられる上記ビームスプリッタ14bを介した光は、図2に示すように、集光レンズ16bを介して光電変換素子よりなるインテグレータセンサ17bで受光される。このインテグレ一夕センサ17bの光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を介して主制御系20に供給される。インテグレータセンサ17bの出力と、プレートPの表面上に照射される光の単位面積当たりのエネルギー(露光量)との相関係数は予め求められて主制御系20内に記憶されている。
【0056】
主制御系20は、プレートPが載置されるプレートステージ(第2ステージ)及びマスクMが載置されるマスクステージMSを制御する不図示のステージコントローラからのステージ系の動作情報に同期してシャッタ4の開閉動作を制御するとともに、インテグレータセン17bから出力される光電変換信号に応じて駆動装置19に対して制御信号を出力し、マスクMに照明光学系ILからの照明光を照射するタイミング及び照明光の強度を制御する。
【0057】
尚、照明光学系ILは、その照明光学特性(テレセントリシティ及び照度むら)を可変することができるように構成されている。照明光学特性を調整する方法の詳細については、例えば特開2001−305743号公報、特開2001−313250号公報、及び特開平10−189427号公報を参照されたい。また、照度むらの調整については、マスク面(プレート面)近傍又はマスク面(プレート面)と光学的に共役な面若しくはその近傍に走査方向の開口の幅が走査方向と直交する方向(非走査方向)において異なるような視野絞りを配置することによって補正することも可能である。この補正方法の詳細については、例えば特開平7−142313号公報等を参照されたい。また、かかる補正方法において、視野絞りの開口の幅を異ならせるのではなく、透過特性が非走査方向において照度むらを補正し得る分布を有する濃度分布フィルタを設ける構成であっても良い。
【0058】
マスクM上の各照明領域からの光は、各照明領域に対応するようにY軸方向に沿って配列された複数(図1では合計で5つ)の投影光学ユニットPL1〜PL5からなる投影光学系PLに入射する。投影光学系PLを介した光は、図示しないプレートステージ上において、図示しないプレートホルダを介してXY平面に平行に支持されたプレートP上にパターンDPの像を形成する。即ち、上述したように、各投影光学ユニットPL1〜PL5は、等倍正立系として構成されているので、プレートP上において各照明領域に対応するようにY軸方向に並んだ台形状の露光領域には、パターンDPの等倍正立像が形成される。
【0059】
図1に戻り、前述したマスクステージMSには、マスクステージMSを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)が設けられている。また、マスクステージMSを走査直行方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量がけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、マスクステージMSの位置座標が移動鏡25を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。更に、マスクステージMSは、Z方向の位置が可変に構成されている。
【0060】
同様の駆動系が、プレートステージにも設けられている。即ち、プレートステージを走査方向であるX軸方向に沿って移動させるための長いストロークを有する走査駆動系(不図示)、プレートステージを走査直交方向であるY軸方向に沿って微小量だけ移動させるとともにZ軸廻りに微小量がけ回転させるための一対のアライメント駆動系(不図示)が設けられている。そして、プレートステージの位置座標が移動鏡26を用いたレーザ干渉計(不図示)によって計測され且つ位置制御されるように構成されている。プレートステージもマスクステージMSと同様にZ方向に移動可能に構成されている。マスクステージMS及びプレートステージのZ方向の位置は、主制御系20によって制御される。
【0061】
上述の投影光学ユニットPL1、PL3、PL5は、走査方向と直交する方向に所定間隔をもって第1列として配置されている。また、投影光学系ユニットPL2、PL4も同様に走査方向と直交する方向に所定間隔をもって第2列として配置されている。第1列の投影光学ユニットと第2列の投影光学ユニットとの間には、プレートPの位置合わせを行うためのオフアクシスのアライメント系52、及びマスクMやプレートPのフォーカスを合わせるためのオートフォーカス系54が配置されている。
【0062】
また、プレートステージ上に投影光学系PLを介してプレートP上に照射される光の照度を測定するための照度測定部29が設けられており、またプレートP上に照射される光(像)の空間分布を計測するための空間像計測装置24が設けられている。
【0063】
図3は、本発明の実施の形態にかかる投影光学ユニットPL1の構成を示す図である。なお、投影光学ユニットPL2〜PL5の構成はPL1の構成と同一である。図示の投影光学ユニットPL1は、マスクMからの光に基づいてマスクパターンの一次像を形成する第1結像光学系K1と、この一次像からの光に基づいてマスクパターンの正立正像(二次像)をガラス基板(プレート)P上に形成する第2結像光学系K2とを有する。なお、マスクパターンの一次像の形成位置の近傍には、マスクM上における投影光学ユニットPL1の視野領域(照明領域)およびガラス基板P上における投影光学ユニットPL1の投影領域(露光領域)を規定する視野絞りFSが設けられている。
【0064】
第1結像光学系K1は、マスクMから−Z方向に沿って入射する光を+X方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第1偏向部材(第1の偏向部材)の第1反射面P1rを備えている。また、第1結像光学系K1は、第1反射面P1r側から順に、正の屈折力を有する第1屈折光学系G1Pと、第1反射面P1r側に凹面を向けた第1凹面反射鏡M1とを備えている。第1屈折光学系G1Pおよび第1凹面反射鏡M1はX方向に沿って配置され、全体として第1反射屈折光学系HK1を構成している。さらに、第1結像光学系K1は、第1反射屈折光学系HK1から−X方向に沿って入射する光を−Z方向に反射するようにマスク面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第2偏向部材(第3の偏向部材)の第2反射面P2rを備えている。
【0065】
一方、第2結像光学系K2は、第2反射面P2rから−Z方向に沿って入射する光を+X方向に反射するようにガラス基板面(XY平面)に対して45°の角度で斜設された第3偏向部材(第4の偏向部材)の第3反射面P3rを備えている。また、第2結像光学系K2は、第3反射面P3r側から順に、正の屈折力を有する第2屈折光学系G2Pと、第3反射面P3r側に凹面を向けた第2凹面反射鏡M2とを備えている。第2屈折光学系G2Pおよび第2凹面反射鏡M2はX方向に沿って配置され、全体として第2反射屈折光学系HK2を構成している。さらに、第2結像光学系K2は、第2反射屈折光学系HK2から−X方向に沿って入射する光を−Z方向に反射するようにガラス基板面(XY平面面)に対して45°の角度で斜設された第4偏向部材(第2の偏向部材)の第4反射面P4rを備えている。なお、第2凹面反射鏡M2は、凹面である反射面の向きを変更可能に構成されている。即ち第2凹面反射鏡M2を筐体などに取り付けるためのワッシャの厚さを変更することにより反射面の向きを変更することができる。
【0066】
また、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に倍率調整部材44が設けられている。この倍率調整部材44は、ディストーション調整部材及び像面調整部材としても機能する。更に、偏心ディストーション、偏心像面収差、偏心コマ収差及び偏心色収差の調整を行う偏心収差調整部材としても機能する。
【0067】
更に、倍率調整部材44による倍率調整、ディストーション調整部材として機能する倍率調整部材44によるディストーション調整、像面調整部材として機能する倍率調整部材44による像面調整、偏心収差調整部材として機能する倍率調整部材44による偏心収差調整により発生するXYZ方向の像ずれを補正するために、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中にクサビレンズ40および像シフタを構成する平行平面板42が設けられている。ここで、クサビレンズ40は結像位置を補正する焦点位置補正手段を構成する。また、平行平面板42は結像位置を補正(シフト)する像シフト手段を構成する。
【0068】
前述したように、マスクM上に形成されたパターンは、当技術分野で一般的に使用される照明光学系からの照明光(露光光)により、ほぼ均一の照度で照明される。マスクM上の各照明領域に形成されたマスクパターンから−Z方向に沿って進行した光は、クサビレンズ40および平行平面板42を介して、第1反射面P1rに入射し、第1反射面P1rにより90°だけ偏向され、+X方向に沿って第1反射屈折光学系HK1に入射する。第1反射屈折光学系HK1に入射した光は、第1屈折光学系G1Pを介して、第1凹面反射鏡M1に達する。第1凹面反射鏡M1で反射された光は、再び第1屈折光学系G1Pを介して、−X方向に沿って第2反射面P2rに入射する。第2反射面P2rで90°だけ偏向されて−Z方向に沿って進行した光は、視野絞りFSの近傍にマスクパターンの一次像を形成する。なお、一次像のX方向における横倍率は+1倍であり、Y方向おける横倍率は−1倍である。
【0069】
マスクパターンの一次像から−Z方向に沿って進行した光は、第3反射面P3rにより90°だけ偏向され、+X方向に沿って第2反射屈折光学系HK2に入射する。第2反射屈折光学系HK2に入射した光は、第2屈折光学系G2Pを介して、第2凹面反射鏡M2に達する。第2凹面反射鏡M2で反射された光は、再び第2屈折光学系G2Pを介して、−X方向に沿って第4反射面Pr4に入射する。第4反射面Pr4で90°だけ偏向されて−Z方向に沿って進行した光は、倍率調整部材44を介して、ガラス基板P上において対応する露光領域にマスクパターンの二次像を形成する。ここで、二次像のX方向における横倍率およびY方向における横倍率はともに+1倍である。すなわち、投影光学ユニットPLを介してガラス基板P上に形成されるマスクパターン像は等倍の正立正像であり、投影光学ユニットPLは等倍正立系を構成している。
【0070】
なお、上述の第1反射屈折光学系HK1では、第1屈折光学系G1Pの後側焦点位置に第1凹面反射鏡M1が配置されているため、マスクM側および視野絞りFS側においてテレセントリックとなる。また、第2反射屈折光学系HK2においても、第2屈折光学系G2Pの後側焦点位置に第2凹面反射鏡M2が配置されているため、視野絞りFS側およびガラス基板P側においてテレセントリックとなる。その結果、投影光学ユニットPLは、両側(上記マスクM側およびガラス基板P側)テレセントリック光学系である。
【0071】
上述したように、投影光学ユニットPLを介してガラス基板P上に形成されるマスクパターン像は等倍の正立正像である。したがって、マスクステージMS上に保持されているマスクMと基板ステージに保持されているガラス基板Pとを一体的に同一方向(X方向)に沿って移動させることにより所望の走査露光を行うことができる。
【0072】
図4は、各投影光学ユニットのシステム構成図である。制御装置20は、第1駆動部30を制御してクサビレンズ40を相対的に移動させることによりクサビレンズ40の厚さを変えて投影光学ユニットの光軸方向の像ずれを補正する。また、制御装置20は、第2駆動部32を制御して平行平面板42をチルトさせることにより投影光学ユニットの光軸に直行する方向の像ずれを補正する。また、制御装置20は、第3駆動部34を制御して第3偏向部材の第3反射面P3r及び第4偏向部材の第4反射面P4rを有する第2直角プリズム38を回転させプレートP上に形成される像の回転位置の調整を行う。即ち、第2直角プリズム38は、像ローテータとして機能するように構成されている。更に、制御装置20は、第4駆動部36を制御して倍率調整部材44のレンズ間隔を変更することにより投影光学ユニットの倍率の調整を行う。
【0073】
次に、投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整、すなわちマスクMからガラス基板Pへの投影倍率の調整について説明する。本実施の形態にかかる投影光学系は、複数の投影光学ユニットPL1〜PL5により構成される正立正像、等倍の投影光学系であるが、投影光学系を組み立てた場合には、製造誤差等により各投影光学ユニットPL1〜PL5において倍率に誤差が生じる場合ある。このような場合に各投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率を等倍にするために、各投影光学ユニットPL1〜PL5において倍率調整が行われる。
【0074】
ここで、図3においては、第1反射屈折光学系HK1の光軸をAX1、第2反射屈折光学系HK2の光軸をAX2で表している。また、視野絞りFSで規定されるマスクM上の視野領域の中心から−Z方向に進行し、視野絞りFSの中心を通り、同じく視野絞りFSで規定されるガラス基板P上の露光領域の中心に達する光線の経路を軸線AXFCで表している。図3に示すように、視野中心軸線AXFCは、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間、第2偏向部材の第2反射面P2rと第3偏向部材の第3反射面P3rとの間、および第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中においてZ方向に沿って延びている。
【0075】
また、軸線AXFCは、第1反射屈折光学系HK1と第1偏向部材の第1反射面P1rとの間、第1反射屈折光学系HK1と第2偏向部材の第2反射面P2rとの間、第2反射屈折光学系HK2と第3偏向部材の第3反射面P3rとの間、および第2反射屈折光学系HK2と第4偏向部材の第4反射面P4rとの間の光路中においてX方向に沿って延びている。さらに、軸線AXFCは、第1凹面反射鏡M1の反射面の中心(すなわち光軸AX1との交点)において光軸AX1に関して対称に折り返され、第2凹面反射鏡M2の反射面の中心(すなわち光軸AX2との交点)において光軸AX2に関して対称に折り返されている。
【0076】
倍率調整部材44は、第4反射面P4rとガラス基板Pと間の光路中において、倍率調整部材44を構成するレンズの光軸と投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸(光軸AX1および光軸AX2)とが一致するように配置されている。即ち、倍率調整部材44は、光軸AX1および光軸AX2に沿って第4反射面P4r側から順に配置された、平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成され、平凹レンズ(第1平凹レンズ)の凹面と両凸レンズの一方の凸面、両凸レンズの他方の凸面と平凹レンズ(第2平凹レンズ)の凹面とが所定の間隔で対向している。
【0077】
各投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整は、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更すること、例えば両凸レンズを、光軸方向へ移動させることにより行われる。各投影光学ユニットPL1〜PL5においては、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していることから、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合においても、偏心収差が発生することはない。しかしながら、図5に示すように、露光エリアの中心(露光中心)と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していないことから、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合に像ずれが発生する。
【0078】
従って、この倍率調整部材44による倍率調整により発生した像ずれは、像ずれ補正手段を構成するクサビレンズ40及び平行平面板42により補正を行う。即ち、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸に直行する方向の像ずれを平行平面板42をチルトさせることにより補正し、投影光学ユニットを構成するレンズの光軸方向の像ずれ(焦点位置のずれ)をクサビレンズ40を相対的に移動させることにより補正する。
【0079】
なお、本実施の形態にかかる倍率調整部材44を用いて像面形状の制御(例えば、ペッツバール像面の調整、即ちメリジオナル像面とサジタル像面を一致させた像面の湾曲を補正)することも可能である。即ち、この場合には、倍率調整部材44は、像面形状制御部材を構成し像面調整部材として機能する。する。図6(a)、図6(b)は、何れも倍率調整部材44の一例を示すものであるが、図6(b)に示す倍率調整部材は、図6(a)に示す倍率調整部材の両凸レンズを、レンズ面の曲率半径が大きい両凸レンズに変更したものである。このようにレンズ面の曲率を変更することにより結像面の制御、即ち結像面を湾曲させることができる。
【0080】
なお、この図6に示す例では、両凸レンズの両方のレンズ面の曲率半径を変更しているが、一方のレンズ面の曲率半径を変更するようにしてもよい。さらに、倍率調整部材44を構成する平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズの何れか1つ以上のレンズ面の曲率半径を変更することにより結像面を制御するようにしてもよい。また、レンズ面の曲率半径を変更する場合には、レンズ面の曲率半径を変更するレンズを倍率調整部材44から取り出し、加工を行った後に倍率調整部材44に戻してもよいし、レンズ面の曲率半径を変更するレンズを倍率調整部材44から取り出し、異なる曲率半径のレンズ面を有する別のレンズ(又は同一の曲率半径を有し異なる屈折率の硝材により構成されるレンズ)を倍率調整部材44に戻してもよい。
【0081】
また、上述の実施の形態では、倍率調整部材44を平凹レンズ、両凸レンズ及び平凹レンズにより構成しているが、倍率調整部材44を平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成しても良い。この場合においても、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより、例えば両凹レンズを光軸方向へ移動させることにより倍率調整を行うことができる。各投影光学ユニットPL1〜PL5においては、投影光学ユニットPL1〜PL5を構成するレンズの光軸と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していることから、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合においても、偏心収差が発生することはない。しかしながら、露光エリアの中心と倍率調整部材44を構成するレンズの光軸とが一致していないことから、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズの間隔を変更することにより倍率の調整を行った場合に像ずれが発生する。従って、この倍率調整部材44による倍率調整により発生した像ずれは、像ずれ補正手段を構成するクサビレンズ40及び平行平面板42により補正を行う。
【0082】
また、この平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズにより構成される倍率調整部材44を用いてペッツバール像面を調整することも可能である。即ち、倍率調整部材44を構成する平凸レンズ、両凹レンズ及び平凸レンズのレンズ面の中の1つ以上の曲率半径を変更することにより結像面の制御を行うことも可能である。
【0083】
また、上述の実施の形態では、倍率調整部材44を第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置しているが、倍率調整部材44を、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、マスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中及び第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中の両方に設けるようにしてもよい。
【0084】
上述の実施の形態において、倍率調整部材44がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、倍率調整部材44が結像光学系外に配置されているため、倍率調整部材44を構成するレンズ間隔の調整をきわめて容易に行うことができ、投影光学ユニットPL1〜PL5の倍率調整を容易に行うことができる。
【0085】
また、倍率調整部材44が像面形状制御部材を構成する場合には、像面形状制御部材が結像光学系外に配置されているため、像面形状制御部材を構成する少なくとも1枚のレンズの交換がきわめて容易に行うことができ、第2基板上に形成された像面の形状を容易に制御することができる。
【0086】
また、上述の実施の形態においては、クサビレンズ40及び平行平面板42がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中に設けられているが、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に設けるようにしてもよい。
【0087】
上述の実施の形態において、クサビレンズ40及び平行平面板42がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、クサビレンズ40及び平行平面板42が結像光学系外に配置されているため、像ずれの補正をきわめて容易に行うことができる。
【0088】
また、上述の実施の形態においては、第2直角プリズム38が像ローテータとして機能するように構成されているが、第2直角プリズム38に代えて第1直角プリズム37が像ローテータとして機能するように構成してもよい。また、第2直角プリズム38及び第1直角プリズム37の双方が像ローテータとして機能するように構成してもよい。また、上述の実施の形態においては、第2凹面反射鏡M2の反射面の向きが変更可能に構成されているが、第1凹面反射鏡M1を筐体などに取り付けるためのワッシャの厚さを変更することにより第1凹面反射鏡M1の反射面の向きを変更可能に構成しても良い。
【0089】
上述のように倍率調整部材44は、ディストーション調整部材、像面調整部材、偏心収差調整部材としても機能する。即ち、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば上部の平凹レンズである第1平凹レンズをチルトさせることによりプレートP上に形成される像にディストーションが発生すると共に像シフトが発生する。しかしながら、像シフトは、像シフタを構成する平行平面板42によって調整可能であるため、倍率調整部材44を構成するレンズをチルトさせることによりプレートP上に形成される像のディストーションの調整を行うことができる。
【0090】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズをチルトさせてもプレートP上に形成される像のディストーションの調整を行うことができる。
【0091】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば上部の平凹レンズである第1平凹レンズをシフトさせることにより、プレートP上に形成される像にはディストーションがわずかに発生し、像面の傾斜が発生する。従って、倍率調整部材44を構成するレンズをシフトさせることによりプレートP上に形成される像面の調整を行うことができる。
【0092】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズをシフトさせてもプレートP上に形成される像面の調整を行うことができる。
【0093】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを異なる方向に同じ量傾斜させると、倍率調整部材44を構成する第1平凹レンズ、両凸レンズ及び第2平凹レンズの3枚で、クサビ状のガラスとみなすことができる。従って、プレートP上に形成される像に発生するディストーションはほとんど変化しないが、像面の傾斜が発生する。この場合には、第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを異なる方向に同じ量傾斜させているため、第1平凹レンズのみを傾斜させた場合に比較して、2倍の傾斜量で像面に傾斜が発生する。
【0094】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズ及び第2平凸レンズを異なる方向に同じ量傾斜させても像面を傾斜させることができる。
【0095】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば第1平凹レンズ及び第2平凹レンズを同じ方向に同じ量傾斜させると、平行平面板の傾斜と同じ効果となり、像位置のみシフトしてほとんど収差は変化しない。なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、第1平凸レンズ及び第2平凸レンズを同方向に同じ量傾斜させた場合にも像位置のみシフトしてほとんど収差は変化しない。
【0096】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、倍率調整部材44の全体を部分投影光学系の光軸に対して傾けた場合には、偏心コマ収差及び偏心色収差などの偏心収差の調整を行うことができる。
【0097】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合であって、倍率調整部材44の全体を部分投影光学系の光軸に対して傾けた場合にも偏心コマ収差及び偏心色収差などの偏心収差の調整を行うことができる。
【0098】
また、倍率調整部材44が平凹レンズ(第1平凹レンズ)、両凸レンズ及び平凹レンズ(第2平凹レンズ)により構成されている場合、即ちパワーを有するレンズにより構成されている場合に、例えば中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合には、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称なディストーション)の調整が可能になる。ここでレンズの曲率半径を1面のみ変更する場合には、ペッツバール像面が多少変化するので像面湾曲が発生するが、レンズの両面の曲率半径を組み合わせることによってレンズのもつパワーを変化させず、つまりペッツバール像面を変えないで、ディストーションのみを変化させることが可能になる。また、倍率、及びディストーションを変化させないように空気間隔を変化させると、像面湾曲と非点収差のみを修正することが可能になる。
【0099】
なお、倍率調整部材44が平凸レンズ(第1平凸レンズ)、両凹レンズ及び平凸レンズ(第2平凸レンズ)により構成されている場合に、中央の両凹レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合には、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称なディストーション)の調整が可能になる。
【0100】
なお、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーション、像面の調整を行う場合には、まず、第1平凹レンズ、両凸レンズ及び第2平凹レンズにより構成される倍率調整部材部44を投影光学ユニットPL1〜PL5に搭載した状態でディストーションと像面の計測を行う。計測されたディストーションと像面の収差量により、倍率調整部材44を構成するレンズの空気間隔とチルト量、及びシフト量を決定する。
【0101】
次に、投影光学ユニットPL1〜PL5から倍率調整部材部44のみ取り外し、第1平凹レンズのチルト量、及びシフト量が計算された値となるようにワッシャ等により第1平凹レンズの取り付け位置を調整する。この時、例えば、第1平凹レンズをチルトしたい場合には、第1平凹レンズの平面側と第2平凹レンズの平面側をコリメータによって計測して、この計測値に対して変化させたい量をワッシャを交換することにより調整し、再びコリメータにて計測を行なって所望の傾きになったことを確認する。こうすることで調整が計算相当量できたかどうかの確認を行うことができ、調整誤差を少なくすることが可能になる。
【0102】
この実施の形態にかかる露光装置においては、倍率調整部材自体をディストーション、像面の調整に用いているため、ディストーション調整部材、像面調整部材を配置するための新たなスペースを必要としない。しかも新たな部品を追加する必要がないため、コスト的にも大きなメリットとなる。また、倍率調整部材44がマスクMと第1偏向部材の第1反射面P1rとの間の光路中、第4偏向部材の第4反射面P4rとガラス基板Pとの間の光路中に配置されているため、即ち、倍率調整部材44が結像光学系外に配置されているため、倍率調整部材44を用いてディストーションの調整、像面の調整をきわめて容易に行うことができる。
【0103】
なお、上述の実施の形態の第1及び第2結像光学系K1、K2においては、典型的に、主レンズ群としての第1屈折光学系G1Pと当該主レンズ群と共軸な反射部材としての第1凹面反射鏡M1とが1つのメイン鏡筒(不図示)に収められ、主レンズ群としての第2屈折光学系G2Pと当該主レンズ群と共軸な反射部材としての第2凹面反射鏡M2とが別のメイン鏡筒(不図示)に収められる。この場合、走査型露光装置に投影光学系を組み込んだ後では、偏心ディストーションの調整を行うことが困難となる。
【0104】
ここで、第1又は第2凹面反射鏡の光軸に対する傾き(姿勢)、または光軸を横切る方向における位置を変更すれば、偏心ディストーションの調整が可能となる。上述の実施の形態のような第1及び第2結像光学系K1、K2では、主レンズ群(第1及び第2屈折光学系G1P、G2P)を通過する光路が、主レンズ群から反射部材(第1及び第2凹面反射鏡M1、M2)へ向かう場合と、反射部材から主レンズ群へ向かう場合とで光軸に関しほぼ対称になっているため、横収差を打ち消すことができる。反射部材の光軸に対する傾きや光軸を横切る方向の位置を変更すれば、光軸に関して対称的となっている往復光路を非対称にして(往路の光路と復路の光路とで主レンズ群での入射高を変えて)、偏心ディストーションを発生させることができる。なお、凹面反射鏡M1、M2をチルト(光軸に対して傾ける)させた場合には、(Z軸廻りの)像回転が発生するが、この像回転は像ローテータとして機能する第1及び/又は第2直角プリズム37、38の回転調整により補正可能である。すなわち、凹面反射鏡M1、M2と直角プリズム37、38とを連動させれば、偏心ディストーションのみの調整が可能である。具体的には、計測系で測定されたディストーション値に基づいて凹面反射鏡の傾斜量及び/又は偏心量を求めるとともに、副作用的に起こる像回転量に基づいて像ローテータとしての直角プリズムの補正量を求め、これらの算出結果に基づいて、凹面反射鏡とプリズムとを自動的に(または手動で)調整する。上述の実施の形態では、凹面反射鏡M1、M2が図示なきメイン鏡筒の端部に取り付けられるので、この凹面反射鏡M1、M2の位置・姿勢を調整することは容易となる。
【0105】
例えば、投影光学ユニットPL1〜PL5の第2結像光学系K2の第2凹面反射鏡M2の向きを変更することによっても、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーションの調整を行うことができる。この場合には、プレートP上に形成される像に回転が発生するが、像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を回転させることにより、第2凹面反射鏡M2の向きを変更することにより発生した像の回転を補正することができる。即ち、各投影光学ユニットPL1〜PL5がディストーション調整部材として機能する第2凹面反射鏡M2と像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を有するため、各投影光学ユニットPL1〜PL5においてディストーションの調整を行うことができる。
【0106】
また、第1結像光学系K1の第1凹面反射鏡M1の向きを変更することによっても、投影光学ユニットPL1〜PL5のディストーションの調整を行うことができる。この場合には、プレートP上に形成される像に回転が発生するが、像ローテータとして機能する第2直角プリズム38を回転させることにより、第2凹面反射鏡M2の向きを変更することにより発生した像の回転を補正することができる。第1直角プリズム37を回転させることにより像ローテータとして機能させ、第1凹面反射鏡M1の向きを変更することにより発生した像の回転を補正するようにしても良い。
【0107】
なお、上述の例では反射部材として凹面反射鏡を用いているが、凹面反射鏡に代えて平面反射鏡であっても良い。また、上述の例では、第1及び第2結像光学系として、主レンズ群と凹面反射鏡とを持つ反射屈折型結像光学系を用いているが、第1及び第2結像光学系のうちの一方を屈折型光学系としても良い。また、上述の例では、2つの結像光学系を備える所謂2回結像の光学系を例にとって説明したが、1つの結像光学系を備える1回結像型の光学系(中間像を形成しない光学系)や3つの結像光学系を備える3回結像型の光学系にも適用できる。
【0108】
次に、本発明の実施の形態にかかる露光装置をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法について説明する。本発明の実施の形態にかかる露光装置では、プレート(ガラス基板)上に所定のパターン(回路パターン、電極パターン等)を形成することによって、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を得ることができる。
【0109】
図7は、マイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法を説明するためのフローチャートである。図7のパターン形成工程S50では、本実施の形態の走査型投影露光装置を用いマスクのパターンを感光性基板(レジストが塗布されたガラス基板等)に転写露光する、所謂光リソグラフィ工程が実行される。この光リソグラフィ工程においては、照明装置を用いてマスクが照明され、複数の投影光学ユニットに対してマスクとプレートとを移動させつつマスクのパターンがプレート上に投影露光され、ガラス基板上には多数の電極等を含む所定パターンが形成される。
【0110】
その後、露光された基板は、現像工程、エッチング工程、レジスト剥離工程等の各工程を経ることによって、基板上に所定のパターンが形成され、次のカラーフィルタ形成工程S52へ移行する。
【0111】
次に、カラーフィルタ形成工程S52では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応した3つのドットの組がマトリックス状に多数配列されたり、又はR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を複数水平走査線方向に配列したカラーフィルタを形成する。そして、カラーフィルタ形成工程S52の後に、セル組み立て工程S54が実行される。セル組み立て工程S54では、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板、及びカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタ等を用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。
【0112】
セル組み立て工程S54では、例えば、パターン形成工程S50にて得られた所定パターンを有する基板とカラーフィルタ形成工程S52にて得られたカラーフィルタとの間に液晶を注入して、液晶パネル(液晶セル)を製造する。その後、モジュール組立工程S56にて、組み立てられた液晶パネル(液晶セル)の表示動作を行わせる電気回路、バックライト等の各部品を取り付けて液晶表示素子として完成させる。上述の液晶表示素子の製造方法によれば、極めて微細な回路パターンを有する液晶表示素子をスループット良く得ることができる。
【0113】
上述の実施の形態にかかる露光装置においては、マスク側やプレート側でアクセス可能な場所に、倍率調整部材としての機能を併せ持つディストーション調整部材や像面調整部材が設けられているため、部品を増やすことなく、安価に、容易にディストーションの調整、像面の調整を行なうことができる。ディストーションの調整においては、偏心成分と低次の回転対称成分を補正可能であり、像面調整においては、偏心成分や、像面湾曲、非点収差を補正可能である。従って、投影光学ユニットの収差が変動した場合であっても調整を容易に行なうことができ、露光装置としての性能を高く保持することができる。
【0114】
次に、本発明の各投影光学ユニットPL1〜PL5の実施例について説明する。実施例において、露光波長として、基準波長であるi線(λ=365nm)、h線(λ=405nm)、g線(λ=436nm)を使用している。(表1)に、実施例の各投影光学ユニットPLの諸元の値を掲げる。(表1)において、面番号は物体面であるマスク面から像面であるガラス基板面へ軸線AXFCにしたがって光線の進行する方向に沿ったマスク側からの面の順序を、rは各面の曲率半径を、dは各面の軸上間隔すなわち面間隔をそれぞれ示している。
【0115】
なお、(表1)においては、各面の軸上間隔dは、反射される度にその符号を変えるものとする。したがって、面間隔dの符号は、第1反射面P1rから第1凹面反射鏡M1までの光路中では負とし、第2反射面P2rから第3反射面P3rまでの光路中では負とし、第2凹面反射鏡M2から第4反射面P4rまでの光路中では負とし、その他の光路中では正としている。そして、各面の軸上間隔dが正である光路中においては、光線の入射側に向かって凸面の曲率半径を正とし、凹面の曲率半径を負としている。逆に、各面の軸上間隔dが負である光路中においては、光線の入射側に向かって凹面の曲率半径を正とし、凸面の曲率半径を負としている。さらに、(表1)において、n(i),n(h),n(g)は、i線(λ=365nm)、h線(λ=405nm)、g線(λ=436nm)に対する屈折率をそれぞれ表している。なお、各面の軸上間隔dが負である光路中においては、屈折率の符号を負としている。
【0116】
【表1】
【0117】
この投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをθx方向に0.05°チルトさせた場合の収差変化量を表2に示す。また、露光フィールドのイメージ図を図8に示す。この時、約5μmの像シフトが発生するが、この像シフトは、像シフタによって調整可能である。従って、倍率調整部材を構成するレンズのチルトによってディストーションの調整が可能である。
【0118】
【表2】
【0119】
また、投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをθy方向に0.1°チルトさせた場合の収差変化量を表3に示す。また、露光フィールドのイメージ図を図9に示す。この時、約10μmの像シフトが発生するが、この像シフトは、像シフタによって調整可能である。従って、倍率調整部材を構成するレンズのチルトによってディストーションの調整が可能である。
【0120】
【表3】
【0121】
次に、投影光学ユニットの倍率調整部材の上部の平凹レンズをX方向に0.5mmシフトさせた場合のディストーションの変化を図10に示す。図10に示すようにディストーションの発生量は僅かであるがが、図11に示すように像面にX方向の傾斜が発生する。つまり、これを利用することにより像面調整が可能になる。なお、Y方向のシフトであっても同様にY方向の像面の傾斜を調整することが可能になる。
【0122】
次に、倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合のディストーションの変化を図12に示す。なお、レンズの交換により像面湾曲が発生するため、像面湾曲を補正するために空気間隔を最適な値に変更している。こうすることにより、偏心成分のディストーションとは異なる低次のディストーション(回転対称な)の調整が可能になる。
【0123】
また、倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換した場合に、倍率、ディストーションを変化させないように空気間隔を変化させると、像面湾曲と非点収差のみを修正することができる。表4に投影光学ユニットの倍率調整部材の部分のレンズデータを示し、表5に倍率調整部材の中央の両凸レンズを曲率半径の異なるレンズと交換すると共に倍率、ディストーションを変化させないように空気間隔を変化させた投影光学ユニットの倍率調整部材の部分のレンズデータを示す。この場合におけるM像の変化量は、3μm程度になる。
【0124】
【表4】
【0125】
【表5】
【0126】
【発明の効果】
本発明の走査型投影露光装置によれば、部分投影光学系を露光装置本体に設置した後においても、ディストーションの調整、像面の調整を容易に行うことができる。
【0127】
また、本発明の露光方法によれば、部分投影光学系のディストーションの調整、像面の調整が良好に行われていることから、第1基板に形成されたパターンを前記第2基板上に良好に投影露光することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にかかる走査型露光装置の全体の概略構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態にかかる照明光学系構成の側面図である。
【図3】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットのシステム構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態にかかる各投影光学ユニットの倍率調整に伴い発生する像ずれを説明するための図である。
【図6】本発明の実施の形態にかかる倍率調整部材において行う像面制御を説明するための図である。
【図7】本発明の実施の形態にかかるマイクロデバイスとしての液晶表示素子を製造する方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをチルトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図9】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをチルトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図10】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをシフトした場合の露光フィールドのイメージ図である。
【図11】本発明の実施例にかかる倍率調整部材のレンズをシフトした場合の像面の状態を示す図である。
【図12】本発明の実施例にかかる倍率調整部材の中央のレンズの曲率を変更した場合の露光フィールドのイメージ図である。
【符号の説明】
M…マスク、MS…マスクステージ、P…ガラス基板、40…クサビレンズ、42…平行平面板、44…倍率調整部材、PL…投影光学系、PL1〜PL5…投影光学ユニット、K1…第1結像光学系、K2…第2結像光学系、FS…視野絞り、HK1…第1反射屈折光学系、HK2…第2反射屈折光学系、G1P…第1屈折光学系、G2P…第2屈折光学系、M1…第1凹面反射鏡、M2…第2凹面反射鏡。
Claims (17)
- 光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、
前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、
前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、
前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、
前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置されたディストーション調整部材と
を備えることを特徴とする走査型投影露光装置。 - 前記複数の部分投影光学系の各々は、前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2の偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された像面調整部材を更に備えることを特徴とする請求項1記載の走査型投影露光装置。
- 光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、
前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、
前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、
前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材と、
前記第1基板と前記第1偏向部材との間の光路中及び前記第2偏向部材と前記第2基板との間の光路中の少なくとも一方に配置された偏心収差調整部材と
を備えることを特徴とする走査型投影露光装置。 - 前記偏心収差調整部材は、偏心ディストーション、偏心像面収差、偏心コマ収差及び偏心色収差のうち少なくとも一つを調整することを特徴とする請求項3記載の走査型投影露光装置。
- 前記結像光学系は、前記第1基板のパターンからの光を集光して前記パターンの一次像を形成するための第1屈折光学系と第1凹面反射鏡とを含む第1反射屈折光学系と、
前記一次像からの光を集光して前記パターンの二次像を前記第2基板上に形成するための第2屈折光学系と第2凹面反射鏡とを含む第2反射屈折光学系と、
前記第1反射屈折光学系を介した光を前記一次像へ導くための第3の偏向部材と、
前記一次像からの光を前記第2反射屈折光学系へ導くための第4の偏向部材とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。 - 前記ディストーション調整部材は、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする請求項1、請求項2及び請求項5の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。
- 前記ディストーション調整部材は、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、曲率半径の異なるレンズに交換可能に構成されていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項5及び請求項6の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。
- 前記像面調整部材は、パワーを有するレンズを含み、前記レンズは、前記部分投影光学系の光軸と直交する面内でシフトまたは前記部分投影光学系の光軸に対してチルト可能に構成されていることを特徴とする請求項2または請求項5に記載の走査型投影露光装置。
- 前記ディストーション調整部材は、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする請求項1、請求項2及び請求項5乃至請求項7の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。
- 前記像面調整部材は、少なくとも2枚のレンズにより構成され、前記レンズの少なくとも一方を前記部分投影光学系の光軸方向に移動させることにより前記部分投影光学系の倍率を調整することを特徴とする請求項2、請求項5及び請求項8の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。
- 前記複数の部分投影光学系の各々は、該部分投影光学系のフォーカス位置を調整するフォーカス位置調整機構、前記部分投影光学系の像位置を調整する像位置調整機構、前記部分投影光学系の像の回転位置を調整する像回転位置調整機構及び前記部分投影光学系の倍率を調整する倍率調整機構のうち少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項1乃至請求項10の何れか一項に記載の走査型投影露光装置。
- 光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上にそれぞれ投影する複数の部分投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、
前記複数の部分投影光学系の各々は、該部分投影光学系のディストーションの調整を行うディストーション調整部材及び該部分投影光学系により形成された像の回転位置の調整を行う像回転位置調整機構を備えることを特徴とする走査型投影露光装置。 - 前記複数の部分投影光学系の各々は、屈折光学系と凹面反射鏡とを含む結像光学系と、前記第1基板からの光を前記結像光学系へ導くための第1偏向部材と、前記結像光学系を介した光を前記第2基板へ導くための第2偏向部材とを備え、
前記ディストーション調整部材は、前記結像光学系に備えられる前記凹面反射鏡を含んで構成され、前記像回転位置調整機構は、前記部分投影光学系に備えられる前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材を含んで構成されることを特徴とする請求項12に記載の走査型投影露光装置。 - 光源から射出される光束により第1基板を照明する照明光学系と、前記第1基板のパターンの一部の像を第2基板上に投影する投影光学系と、前記第1基板を載置する第1ステージと、前記第2基板を載置する第2ステージとを備え、前記第1ステージと前記第2ステージとを走査方向に同期移動させて走査露光を行う走査型投影露光装置において、
前記投影光学系は、前記第1基板の中間像を形成する第1結像光学系と、前記中間像の像を形成する第2結像光学系と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第1偏向部材と、前記第1基板と前記第2基板との間の光路中に配置されて光を偏向させる第2偏向部材とを備え、
前記第1及び第2結像光学系のうち少なくとも一方は、所定の光軸に沿って配置された主レンズ群と、前記光軸に沿って配置されて該主レンズ群を介した光を反射させて再び前記主レンズ群へ戻す反射部材とを備え、
該反射部材は、前記投影光学系のディストーションを調整するために、前記光軸に対する傾きと前記光軸を横切る方向での位置のうちの少なくとも一方が調整可能に構成されることを特徴とする走査型投影露光装置。 - 前記第1偏向部材及び前記第2偏向部材のうちの少なくとも一方は、前記反射部材の調整に起因する像回転を補正するために、回転可能に構成されることを特徴とする請求項14に記載の走査型投影露光装置。
- 前記第1偏向部材は前記第1基板と前記第1結像光学系との間の光路中に配置され、前記第2偏向部材は前記第2結像光学系と前記第2基板との間に配置されることを特徴とする請求項14又は請求項15に記載の走査型投影露光装置。
- 請求項1乃至請求項16の何れか一項に記載の走査型投影露光装置に備えられる前記部分投影光学系に対して、前記第1基板および前記第2基板を同期移動させて走査露光を行う工程を含むことを特徴とする露光方法。
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JP2003186655A JP2005024584A (ja) | 2003-06-30 | 2003-06-30 | 走査型投影露光装置及び露光方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013250556A (ja) * | 2012-05-30 | 2013-12-12 | Ultratech Inc | マイクロリソグラフィーのための等倍率大型反射屈折レンズ |
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JP2014032278A (ja) * | 2012-08-02 | 2014-02-20 | Canon Inc | 投影露光装置 |
JP2017534918A (ja) * | 2014-10-29 | 2017-11-24 | シャンハイ マイクロ エレクトロニクス イクイプメント(グループ)カンパニー リミティド | 露光装置の調整装置及び調整方法 |
-
2003
- 2003-06-30 JP JP2003186655A patent/JP2005024584A/ja active Pending
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