JP2005024013A - バタフライ弁のシール構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】弁箱シートの装着時における脱落を防止でき、比較的小さい圧縮率で所定の面圧と接触面積を確保することができるバタフライ弁のシール構造を提供する。
【解決手段】弁箱2の内部に筒状の弁箱シート3を配置し、弁箱2の内周面のシール部材用溝15、16に弁箱の内周面と弁箱シート3の外周面との間をシールするシール部材51、52を配置し、シール部材51、52の内側面に弁箱シート3の外周面と当接する平坦部53を形成し、外側面にシール部材用溝15、16の底面と当接する平坦部54を形成し、軸心方向の両側端面にシール部材用溝15、16の両側面のそれぞれと当接する平坦部55を形成し、弁箱シート3の端部を案内する傾斜面56を内側面の両側縁に形成し、シール部材51、52に生じる弾性変形を吸収する空間をシール部材用溝15、16の対向面との間に形成する後退面57、58を外側面および両側端面に形成した。
【選択図】 図3
【解決手段】弁箱2の内部に筒状の弁箱シート3を配置し、弁箱2の内周面のシール部材用溝15、16に弁箱の内周面と弁箱シート3の外周面との間をシールするシール部材51、52を配置し、シール部材51、52の内側面に弁箱シート3の外周面と当接する平坦部53を形成し、外側面にシール部材用溝15、16の底面と当接する平坦部54を形成し、軸心方向の両側端面にシール部材用溝15、16の両側面のそれぞれと当接する平坦部55を形成し、弁箱シート3の端部を案内する傾斜面56を内側面の両側縁に形成し、シール部材51、52に生じる弾性変形を吸収する空間をシール部材用溝15、16の対向面との間に形成する後退面57、58を外側面および両側端面に形成した。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はバタフライ弁のシール構造に関し、弁箱の内部に配置する円筒状の弁箱シートと弁箱との間をシールする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば図5〜図6に示すように、メタルシートバタフライ弁1には弁箱2の内部に円筒状の薄肉金属材(ステンレス等)からなる弁箱シート3を配置するものがあり、弁箱シート3は流路軸心4と同心状に配置している。
【0003】
弁箱2および弁箱シート3を貫通して配置する弁棒5には弁体6を連結固定しており、弁体6は弁箱シート3の内部で弁棒5の軸心廻りに回転自在に設けている。弁体6の外周縁には金属材からなる弁体シート7を設けており、弁体6の全閉位置において弁体シート7が弁箱シート3の内周面に水密に当接する。
【0004】
弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間には、断面が円形をしたゴム製の弾性体からなる弁箱シール部材11と、断面が円形をしたフッ素樹脂製の弾性体からなるバックアップ部材12とを配置している。
【0005】
弁箱シール部材11は弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間に形成された隙間13をシールするものであり、Oリングを弁棒5の部分で2分割した半円状の一対のシール片11a,11bで構成している。また、バックアップ部材12も同様に、Oリングを弁棒5の部分で2分割した半円状の一対のバックアップ片12a,12bで構成している。
【0006】
弁箱2の内周面には弁箱シール部材11とバックアップ部材12とを装着するために一対の溝15,16を全周にわたって平行に形成しており、この溝15,16は弁棒5の軸心8を含む流路断面を介して上流側と下流側の対称位置に設けている。弁箱2には弁箱シート3の上流側端部と下流側端部とに隣接して弁箱シート3を固定するためにリング状のストッパー17を設けている。両ストッパー17はそれぞれ一つ割りの形状をなし、割り口18に固定板19を配置することで拡径した状態で弁箱2の内周面に形成した溝20に装着しており、固定板19はボルト21で弁箱2の内周面に取付けている。
【0007】
この種のバタフライ弁に関する先行技術としては特許文献1に開示するものがある。
【0008】
【特許文献1】特願2002−371188
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の構成において、弁箱シール部材11、バックアップ部材12により弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間に形成された隙間13をシールするためには、弁箱2の内周面と弁箱シール部材11、バックアップ部材12との間、および弁箱シート3の外周面と弁箱シール部材11、バックアップ部材12との間において十分な面圧を確保するとともに、弁箱シート3の軸心方向に所定幅を有する接触面を確保する必要がある。
【0010】
ところで、弁箱シール部材11、バックアップ部材12は市販されている通常のOリングのように断面形状が円形をなすので構造的に接触面積が少ないものであり、弁箱2の内周面および弁箱シート3の外周面に対して十分な接触面積を確保するためには、弁箱2の内周面と弁箱シート3との間において弁箱シール部材11、バックアップ部材12をその断面形状の直径方向に大きな圧縮比(25%程度)で変形させる必要がある。
【0011】
このため、図7に示すように、弁箱シール部材11、バックアップ部材12は弁箱2の内周面22と弁箱シート3の外周面23との間隙幅tに比して非常に大きな直径Lの断面形状を有するものを使用し、弁箱2の内周面に形成した溝20に弁箱シール部材11、バックアップ部材12を配置した初期状態において、弁箱シール部材11、バックアップ部材12はその断面形状において半分以上を溝20から突出させ、強く圧縮して必要な接触面積を確保している。
【0012】
しかし、このような構造は溝15、16に対して弁箱シール部材11、バックアップ部材12の安定性が悪く、転がり易いものとなる。このため、図8に示すように、弁箱シート3の装着に際して、弁箱シール部材11、バックアップ部材12を溝15、16に装着した状態で弁箱シート3を軸心方向に挿入すると、弁箱シール部材11、バックアップ部材12が溝15、16から脱落し易いので、弁箱シート3の装着時には弁箱シール部材11、バックアップ部材12を何等かの手段で溝15、16に保持しておく必要がある。また、強すぎる圧縮力は弁箱シール部材11、バックアップ部材12の劣化を助長する要因と成り得る。
【0013】
本発明は上記した課題を解決するものであり、弁箱シートの装着時における脱落を防止でき、比較的小さい圧縮率で所定の面圧と接触面積を確保することができるバタフライ弁のシール構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のバタフライ弁のシール構造は、弁箱の内部に筒状の弁箱シートを配置し、弁箱シートの外周面に対面する弁箱の内周面に断面方形のシール部材用溝を弁箱シートの外周方向に沿って形成し、シール部材用溝に弁箱の内周面と弁箱シートの外周面との間をシールするシール部材を配置し、弁箱シートの内部に弁棒の軸心回りに回転して弁箱シート内の流路を開閉する弁体を配置するバタフライ弁において、シール部材は、内側面に弁箱シートの外周面と当接する平坦部を有し、外側面にシール部材用溝の底面と当接する平坦部を有し、軸心方向の両側端面にシール部材用溝の両側面のそれぞれと当接する平坦部を有し、弁箱シートの装着時に弁箱シートの端部を案内する傾斜面を内側面の両側縁に有し、弁箱シートの装着時にシール部材に生じる弾性変形を吸収する空間をシール部材用溝の対向面との間に形成する後退面を外側面および両側端面に有するものである。
【0015】
上記した構成により、弁箱シートを弁箱内に装着するのに際し、弁箱の内周面に形成したシール部材用溝にシール部材を配置した状態で、弁箱内に弁箱シートを軸心方向に挿入すると、弁箱シートの端部がシール部材の傾斜面に当接し、シール部材は、弁箱シートの通過に伴って弁箱シートの外周面とシール部材用溝の底面との間で押圧力を受けて弾性変形しつつ、傾斜面において弁箱シートの端部を内側面に案内する。
【0016】
弾性変形に際してシール部材は、後退面とシール部材用溝の対向面との間に形成する空間において弾性変形を吸収されながら、弁箱シートの径方向に圧縮されて外側面の平坦部でシール部材用溝の底面に圧接するとともに、弁箱シートの軸心方向に膨張して両側端面のそれぞれの平坦部でシール部材用溝の両側面に圧接する。このように、シール部材は各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接することで安定するとともに、各平坦部とシール部材用溝の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じることにより、弁箱シートにより軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。
【0017】
シール部材は、弁箱シートを弁箱内に装着した状態において、弾性変形の反発力により、外側面の平坦部でシール部材用溝の底面に圧接し、両側端面のそれぞれの平坦部でシール部材用溝の両側面に圧接し、内側面の平坦部で弁箱シートの外周面に圧接することで、従来の断面円形のシール部材に比べて小さな圧縮率で弁箱シートと弁箱との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保できる。この圧縮率の低減は大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有利となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先に図5〜図6において説明したものと同様の部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
図1〜図4において、弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間の間隙13をシールするゴム製の弾性体からなるシール部材51、52は、弁箱2の内周面に形成した一対のシール部材用溝15、16に配置しており、シール部材用溝15、16は断面方形をなして弁箱2の内面に全周にわたって平行に形成している。
【0020】
弁箱シール部材51、52は弁棒5の部分で2分割してなり、一方の弁箱シール部材51をシール部材用溝15に配置し、他方の弁箱シール部材52をシール部材用溝16に配置している。弁箱シール部材51、52の端部は弁棒5に装着した弁棒軸封シール材(図示省略)に圧接している。
【0021】
シール部材51、52は、内側面に弁箱シート3の外周面に当接する平坦部53を有し、外側面にシール部材用溝15、16の底面と当接する平坦部54を有し、弁箱シート3の軸心方向の両側端面にシール部材用溝15、16の両側面のそれぞれと当接する平坦部55を有している。
【0022】
図3に示すように、シール部材51、52は無負荷の初期状態において、内側の部位が弁箱2のシール部材用溝15、16から突出して内側面が弁箱シート3の外周面より径方向内側に位置し、両側端面の平坦部55がシール部材用溝15、16の両側面から所定間隙を隔てた位置にあり、内側面の両側縁に形成した傾斜面56が弁箱シート3の端部に対向し、外側面および両側端面のそれぞれに形成した後退面57、58がシール部材用溝15、16の底面および両側面に対向している。
【0023】
シール部材51、52の傾斜面56は弁箱シート3の装着時に弁箱シート3の端部を案内するものである。シール部材51、52の外側面の後退面57は平坦部54から弁箱シート3の径方向内側に向けて後退して断面U字状の曲面をなし、シール部材51、52の両側端面の後退面58は弁箱シート3の径方向に対して平坦部55から所定角度に傾斜して軸心方向に後退する傾斜面をなしており、後退面57、58はシール部材用溝15、16の各対向面との間にそれぞれ空間59、60を形成し、この空間59、60において弁箱シート3の装着時にシール部材51、52に生じる弾性変形を吸収する。
【0024】
以下、上記した構成における作用を説明する。図3に示すように、弁箱シート3を弁箱2の内部に装着するのに先立って弁箱2の内周面に形成したシール部材用溝にシール部材51、52を配置する。
【0025】
この状態で弁箱2の内部に弁箱シート3を軸心方向に挿入すると、弁箱シート3の端部がシール部材51、52のそれぞれの傾斜面56に当接し、シール部材51、52は弁箱シート3の通過に伴って弁箱シート3の外周面とシール部材用溝15、16の底面との間で押圧力を受けて弾性変形しつつ、傾斜面56において弁箱シート3の端部を内側面に案内する。
【0026】
図4に示すように、弾性変形に際してシール部材51、52は、後退面57、58とシール部材用溝15、16の各対向面との間に形成する空間59、60において弾性変形を吸収されながら、弁箱シート3の径方向に圧縮されて外側面の平坦部54でシール部材用溝15、16の底面に圧接するとともに、弁箱シート3の軸心方向に膨張して両側端面のそれぞれの平坦部55でシール部材用溝15、16の両側面に圧接する。
【0027】
このように、シール部材51、52は各平坦部53、54、55でシール部材用溝15、16の対向面に圧接することで安定するとともに、各平坦部53、54、55とシール部材用溝15、16の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じるにより、弁箱シート3により軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。
【0028】
図4に示すように、シール部材51、52は、弁箱シート3を弁箱2の内部に装着した状態において、弾性変形の反発力により、外周面の平坦部54でシール部材用溝15、16の底面に圧接し、両側端面のそれぞれの平坦部55でシール部材用溝15、16の両内側面に圧接し、内周面の平坦部53で弁箱シート3の外周面に圧接することで、無負荷の状態(二点鎖線で示す)から弁箱シート3を装着した圧縮状態に弾性変形するまでの圧縮率を、従来の断面円形のシール部材に比べて小さくしても、弁箱シート3と弁箱2との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保でき、圧縮率の低減は大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有利となる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、弁箱シートの装着に際してシール部材が傾斜面において弁箱シートの端部を内側面に案内し、各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接して安定するとともに、各平坦部とシール部材用溝の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じることにより、弁箱シートにより軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。また、シール部材は各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接することで、従来の断面円形のシール部材に比べて小さな圧縮率で弁箱シートと弁箱との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保でき、大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有効な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるメタルシートバタフライ弁を示す断面図である。
【図2】同メタルシートバタフライ弁の要部断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシール部材の無負荷状態を示す断面図である。
【図4】同シール部材の圧縮状態を示す断面図である。
【図5】従来のメタルシートバタフライ弁を示す断面図である。
【図6】同メタルシートバタフライ弁の要部断面図である。
【図7】従来のシール部材の圧縮状態を示す断面図である。
【図8】同シール部材の無負荷状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 弁箱
3 弁箱シート
15、16 シール部材用溝
51、52 シール部材
53、54、55 平坦部
56 傾斜面
57、58 後退面
59、60 空間
【発明の属する技術分野】
本発明はバタフライ弁のシール構造に関し、弁箱の内部に配置する円筒状の弁箱シートと弁箱との間をシールする技術に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば図5〜図6に示すように、メタルシートバタフライ弁1には弁箱2の内部に円筒状の薄肉金属材(ステンレス等)からなる弁箱シート3を配置するものがあり、弁箱シート3は流路軸心4と同心状に配置している。
【0003】
弁箱2および弁箱シート3を貫通して配置する弁棒5には弁体6を連結固定しており、弁体6は弁箱シート3の内部で弁棒5の軸心廻りに回転自在に設けている。弁体6の外周縁には金属材からなる弁体シート7を設けており、弁体6の全閉位置において弁体シート7が弁箱シート3の内周面に水密に当接する。
【0004】
弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間には、断面が円形をしたゴム製の弾性体からなる弁箱シール部材11と、断面が円形をしたフッ素樹脂製の弾性体からなるバックアップ部材12とを配置している。
【0005】
弁箱シール部材11は弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間に形成された隙間13をシールするものであり、Oリングを弁棒5の部分で2分割した半円状の一対のシール片11a,11bで構成している。また、バックアップ部材12も同様に、Oリングを弁棒5の部分で2分割した半円状の一対のバックアップ片12a,12bで構成している。
【0006】
弁箱2の内周面には弁箱シール部材11とバックアップ部材12とを装着するために一対の溝15,16を全周にわたって平行に形成しており、この溝15,16は弁棒5の軸心8を含む流路断面を介して上流側と下流側の対称位置に設けている。弁箱2には弁箱シート3の上流側端部と下流側端部とに隣接して弁箱シート3を固定するためにリング状のストッパー17を設けている。両ストッパー17はそれぞれ一つ割りの形状をなし、割り口18に固定板19を配置することで拡径した状態で弁箱2の内周面に形成した溝20に装着しており、固定板19はボルト21で弁箱2の内周面に取付けている。
【0007】
この種のバタフライ弁に関する先行技術としては特許文献1に開示するものがある。
【0008】
【特許文献1】特願2002−371188
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来の構成において、弁箱シール部材11、バックアップ部材12により弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間に形成された隙間13をシールするためには、弁箱2の内周面と弁箱シール部材11、バックアップ部材12との間、および弁箱シート3の外周面と弁箱シール部材11、バックアップ部材12との間において十分な面圧を確保するとともに、弁箱シート3の軸心方向に所定幅を有する接触面を確保する必要がある。
【0010】
ところで、弁箱シール部材11、バックアップ部材12は市販されている通常のOリングのように断面形状が円形をなすので構造的に接触面積が少ないものであり、弁箱2の内周面および弁箱シート3の外周面に対して十分な接触面積を確保するためには、弁箱2の内周面と弁箱シート3との間において弁箱シール部材11、バックアップ部材12をその断面形状の直径方向に大きな圧縮比(25%程度)で変形させる必要がある。
【0011】
このため、図7に示すように、弁箱シール部材11、バックアップ部材12は弁箱2の内周面22と弁箱シート3の外周面23との間隙幅tに比して非常に大きな直径Lの断面形状を有するものを使用し、弁箱2の内周面に形成した溝20に弁箱シール部材11、バックアップ部材12を配置した初期状態において、弁箱シール部材11、バックアップ部材12はその断面形状において半分以上を溝20から突出させ、強く圧縮して必要な接触面積を確保している。
【0012】
しかし、このような構造は溝15、16に対して弁箱シール部材11、バックアップ部材12の安定性が悪く、転がり易いものとなる。このため、図8に示すように、弁箱シート3の装着に際して、弁箱シール部材11、バックアップ部材12を溝15、16に装着した状態で弁箱シート3を軸心方向に挿入すると、弁箱シール部材11、バックアップ部材12が溝15、16から脱落し易いので、弁箱シート3の装着時には弁箱シール部材11、バックアップ部材12を何等かの手段で溝15、16に保持しておく必要がある。また、強すぎる圧縮力は弁箱シール部材11、バックアップ部材12の劣化を助長する要因と成り得る。
【0013】
本発明は上記した課題を解決するものであり、弁箱シートの装着時における脱落を防止でき、比較的小さい圧縮率で所定の面圧と接触面積を確保することができるバタフライ弁のシール構造を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のバタフライ弁のシール構造は、弁箱の内部に筒状の弁箱シートを配置し、弁箱シートの外周面に対面する弁箱の内周面に断面方形のシール部材用溝を弁箱シートの外周方向に沿って形成し、シール部材用溝に弁箱の内周面と弁箱シートの外周面との間をシールするシール部材を配置し、弁箱シートの内部に弁棒の軸心回りに回転して弁箱シート内の流路を開閉する弁体を配置するバタフライ弁において、シール部材は、内側面に弁箱シートの外周面と当接する平坦部を有し、外側面にシール部材用溝の底面と当接する平坦部を有し、軸心方向の両側端面にシール部材用溝の両側面のそれぞれと当接する平坦部を有し、弁箱シートの装着時に弁箱シートの端部を案内する傾斜面を内側面の両側縁に有し、弁箱シートの装着時にシール部材に生じる弾性変形を吸収する空間をシール部材用溝の対向面との間に形成する後退面を外側面および両側端面に有するものである。
【0015】
上記した構成により、弁箱シートを弁箱内に装着するのに際し、弁箱の内周面に形成したシール部材用溝にシール部材を配置した状態で、弁箱内に弁箱シートを軸心方向に挿入すると、弁箱シートの端部がシール部材の傾斜面に当接し、シール部材は、弁箱シートの通過に伴って弁箱シートの外周面とシール部材用溝の底面との間で押圧力を受けて弾性変形しつつ、傾斜面において弁箱シートの端部を内側面に案内する。
【0016】
弾性変形に際してシール部材は、後退面とシール部材用溝の対向面との間に形成する空間において弾性変形を吸収されながら、弁箱シートの径方向に圧縮されて外側面の平坦部でシール部材用溝の底面に圧接するとともに、弁箱シートの軸心方向に膨張して両側端面のそれぞれの平坦部でシール部材用溝の両側面に圧接する。このように、シール部材は各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接することで安定するとともに、各平坦部とシール部材用溝の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じることにより、弁箱シートにより軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。
【0017】
シール部材は、弁箱シートを弁箱内に装着した状態において、弾性変形の反発力により、外側面の平坦部でシール部材用溝の底面に圧接し、両側端面のそれぞれの平坦部でシール部材用溝の両側面に圧接し、内側面の平坦部で弁箱シートの外周面に圧接することで、従来の断面円形のシール部材に比べて小さな圧縮率で弁箱シートと弁箱との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保できる。この圧縮率の低減は大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有利となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。先に図5〜図6において説明したものと同様の部材については同一符号を付して説明を省略する。
【0019】
図1〜図4において、弁箱2の内周面と弁箱シート3の外周面との間の間隙13をシールするゴム製の弾性体からなるシール部材51、52は、弁箱2の内周面に形成した一対のシール部材用溝15、16に配置しており、シール部材用溝15、16は断面方形をなして弁箱2の内面に全周にわたって平行に形成している。
【0020】
弁箱シール部材51、52は弁棒5の部分で2分割してなり、一方の弁箱シール部材51をシール部材用溝15に配置し、他方の弁箱シール部材52をシール部材用溝16に配置している。弁箱シール部材51、52の端部は弁棒5に装着した弁棒軸封シール材(図示省略)に圧接している。
【0021】
シール部材51、52は、内側面に弁箱シート3の外周面に当接する平坦部53を有し、外側面にシール部材用溝15、16の底面と当接する平坦部54を有し、弁箱シート3の軸心方向の両側端面にシール部材用溝15、16の両側面のそれぞれと当接する平坦部55を有している。
【0022】
図3に示すように、シール部材51、52は無負荷の初期状態において、内側の部位が弁箱2のシール部材用溝15、16から突出して内側面が弁箱シート3の外周面より径方向内側に位置し、両側端面の平坦部55がシール部材用溝15、16の両側面から所定間隙を隔てた位置にあり、内側面の両側縁に形成した傾斜面56が弁箱シート3の端部に対向し、外側面および両側端面のそれぞれに形成した後退面57、58がシール部材用溝15、16の底面および両側面に対向している。
【0023】
シール部材51、52の傾斜面56は弁箱シート3の装着時に弁箱シート3の端部を案内するものである。シール部材51、52の外側面の後退面57は平坦部54から弁箱シート3の径方向内側に向けて後退して断面U字状の曲面をなし、シール部材51、52の両側端面の後退面58は弁箱シート3の径方向に対して平坦部55から所定角度に傾斜して軸心方向に後退する傾斜面をなしており、後退面57、58はシール部材用溝15、16の各対向面との間にそれぞれ空間59、60を形成し、この空間59、60において弁箱シート3の装着時にシール部材51、52に生じる弾性変形を吸収する。
【0024】
以下、上記した構成における作用を説明する。図3に示すように、弁箱シート3を弁箱2の内部に装着するのに先立って弁箱2の内周面に形成したシール部材用溝にシール部材51、52を配置する。
【0025】
この状態で弁箱2の内部に弁箱シート3を軸心方向に挿入すると、弁箱シート3の端部がシール部材51、52のそれぞれの傾斜面56に当接し、シール部材51、52は弁箱シート3の通過に伴って弁箱シート3の外周面とシール部材用溝15、16の底面との間で押圧力を受けて弾性変形しつつ、傾斜面56において弁箱シート3の端部を内側面に案内する。
【0026】
図4に示すように、弾性変形に際してシール部材51、52は、後退面57、58とシール部材用溝15、16の各対向面との間に形成する空間59、60において弾性変形を吸収されながら、弁箱シート3の径方向に圧縮されて外側面の平坦部54でシール部材用溝15、16の底面に圧接するとともに、弁箱シート3の軸心方向に膨張して両側端面のそれぞれの平坦部55でシール部材用溝15、16の両側面に圧接する。
【0027】
このように、シール部材51、52は各平坦部53、54、55でシール部材用溝15、16の対向面に圧接することで安定するとともに、各平坦部53、54、55とシール部材用溝15、16の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じるにより、弁箱シート3により軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。
【0028】
図4に示すように、シール部材51、52は、弁箱シート3を弁箱2の内部に装着した状態において、弾性変形の反発力により、外周面の平坦部54でシール部材用溝15、16の底面に圧接し、両側端面のそれぞれの平坦部55でシール部材用溝15、16の両内側面に圧接し、内周面の平坦部53で弁箱シート3の外周面に圧接することで、無負荷の状態(二点鎖線で示す)から弁箱シート3を装着した圧縮状態に弾性変形するまでの圧縮率を、従来の断面円形のシール部材に比べて小さくしても、弁箱シート3と弁箱2との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保でき、圧縮率の低減は大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有利となる。
【0029】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、弁箱シートの装着に際してシール部材が傾斜面において弁箱シートの端部を内側面に案内し、各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接して安定するとともに、各平坦部とシール部材用溝の対向面との圧接により大きな摩擦抵抗が生じることにより、弁箱シートにより軸心方向へ押圧力されてシール部材用溝から抜け出ることを防止できる。また、シール部材は各平坦部でシール部材用溝の対向面に圧接することで、従来の断面円形のシール部材に比べて小さな圧縮率で弁箱シートと弁箱との間をシールするのに必要な面圧および接触面積を確保でき、大きな圧縮率に由来する劣化を抑制して恒久的なシール性能の維持に有効な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態におけるメタルシートバタフライ弁を示す断面図である。
【図2】同メタルシートバタフライ弁の要部断面図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシール部材の無負荷状態を示す断面図である。
【図4】同シール部材の圧縮状態を示す断面図である。
【図5】従来のメタルシートバタフライ弁を示す断面図である。
【図6】同メタルシートバタフライ弁の要部断面図である。
【図7】従来のシール部材の圧縮状態を示す断面図である。
【図8】同シール部材の無負荷状態を示す断面図である。
【符号の説明】
2 弁箱
3 弁箱シート
15、16 シール部材用溝
51、52 シール部材
53、54、55 平坦部
56 傾斜面
57、58 後退面
59、60 空間
Claims (1)
- 弁箱の内部に筒状の弁箱シートを配置し、弁箱シートの外周面に対面する弁箱の内周面に断面方形のシール部材用溝を弁箱シートの外周方向に沿って形成し、シール部材用溝に弁箱の内周面と弁箱シートの外周面との間をシールするシール部材を配置し、弁箱シートの内部に弁棒の軸心回りに回転して弁箱シート内の流路を開閉する弁体を配置するバタフライ弁において、シール部材は、内側面に弁箱シートの外周面と当接する平坦部を有し、外側面にシール部材用溝の底面と当接する平坦部を有し、軸心方向の両側端面にシール部材用溝の両側面のそれぞれと当接する平坦部を有し、弁箱シートの装着時に弁箱シートの端部を案内する傾斜面を内側面の両側縁に有し、弁箱シートの装着時にシール部材に生じる弾性変形を吸収する空間をシール部材用溝の対向面との間に形成する後退面を外側面および両側端面に有することを特徴とするバタフライ弁のシール構造。
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---|---|---|---|---|
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-
2003
- 2003-07-03 JP JP2003190729A patent/JP2005024013A/ja active Pending
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