JP2005022919A - 高純度リン酸及びその製造方法 - Google Patents
高純度リン酸及びその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005022919A JP2005022919A JP2003189631A JP2003189631A JP2005022919A JP 2005022919 A JP2005022919 A JP 2005022919A JP 2003189631 A JP2003189631 A JP 2003189631A JP 2003189631 A JP2003189631 A JP 2003189631A JP 2005022919 A JP2005022919 A JP 2005022919A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- phosphoric acid
- purity
- crude
- hydrogen sulfide
- gas
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B25/00—Phosphorus; Compounds thereof
- C01B25/16—Oxyacids of phosphorus; Salts thereof
- C01B25/18—Phosphoric acid
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B25/00—Phosphorus; Compounds thereof
- C01B25/16—Oxyacids of phosphorus; Salts thereof
- C01B25/18—Phosphoric acid
- C01B25/234—Purification; Stabilisation; Concentration
- C01B25/237—Selective elimination of impurities
- C01B25/238—Cationic impurities, e.g. arsenic compounds
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B25/00—Phosphorus; Compounds thereof
- C01B25/16—Oxyacids of phosphorus; Salts thereof
- C01B25/18—Phosphoric acid
- C01B25/20—Preparation from elemental phosphorus or phosphoric anhydride
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B25/00—Phosphorus; Compounds thereof
- C01B25/16—Oxyacids of phosphorus; Salts thereof
- C01B25/18—Phosphoric acid
- C01B25/234—Purification; Stabilisation; Concentration
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C01—INORGANIC CHEMISTRY
- C01B—NON-METALLIC ELEMENTS; COMPOUNDS THEREOF; METALLOIDS OR COMPOUNDS THEREOF NOT COVERED BY SUBCLASS C01C
- C01B25/00—Phosphorus; Compounds thereof
- C01B25/16—Oxyacids of phosphorus; Salts thereof
- C01B25/18—Phosphoric acid
- C01B25/234—Purification; Stabilisation; Concentration
- C01B25/235—Clarification; Stabilisation to prevent post-precipitation of dissolved impurities
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Weting (AREA)
- Glass Compositions (AREA)
Abstract
【解決手段】本発明の高純度リン酸は、H3PO4の濃度を85重量%に換算したときの不純物含量として、Sbが200ppb以下であり且つ硫化物イオンが200ppb以下であることを特徴とする。本発明の高純度リン酸は、窒化珪素膜を有する半導体素子のエッチング液、アルミナ膜を有する液晶ディスプレイパネルのエッチング液、金属アルミニウムエッチング液、セラミックス用アルミナエッチング液、光ファイバーガラス用リン酸ガラス原料、食品添加物等として有用である。
【選択図】 なし
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高純度リン酸及びその製造方法に関するものである。更に言えば、微細素子の電気特性を劣化させる不純物を実質的に含まず、電子工業用、例えば半導体製造工程において窒化珪素膜等をエッチングによって除去するために好適に使用される高純度リン酸及びその製造方法に関するものである。本発明の高純度リン酸は、不純物の含有量が少ないという特徴から、半導体のエッチングの他に、金属アルミニウムエッチング液、液晶用エッチング液、セラミックス用アルミナエッチング液、光ファイバーガラス用リン酸ガラス原料としても好適な材料となるものである。
【0002】
【従来の技術】
リン酸の製造法には、乾式法と湿式法とがあることが知られている。乾式リン酸の製造法は、リン鉱石を原料として用い、これを電気炉で還元して、得られる黄リンを燃焼させて五酸化二リンにし、これを水和することで得ることができる。これに対し湿式リン酸の製造法は、リン鉱石を硫酸で分解し、生成する硫酸カルシウムを分離してまず希薄なリン酸を製造し、次いで高濃度まで濃縮する方法である。何れの方法で得られるリン酸においても、電子材料として用いられる場合、高純度品が要求される。
【0003】
乾式リン酸は、黄リンを経由して製造するためリン鉱石由来の不純物混入が少なく品質が湿式法によるリン酸より良いとされている。かかる乾式法によって得られる純度75乃至85重量%の高純度リン酸は、半導体のエッチングに使われている。この場合、リン酸中に不純物金属であるアンチモンや砒素が多く含まれると、半導体の製造装置によっては、シリコンウエハー上にこれら不純物金属の微粒子が残ってしまい、後工程に不具合が生じたり、そのウエハー上の微粒子を洗浄する工程が必要になるなどの問題点が発生することがある。そこで、更に高純度なリン酸が要求されている。
【0004】
乾式リン酸の精製法として、不純物金属としてアンチモン及び砒素を含みH3PO4として75乃至85重量%濃度のリン酸に、硫化水素を添加して不純物金属の沈殿物を生成させ、これを分離した後、係る分離操作を少なくとも60℃で行う電気半導体用リン酸の精製法が知られている(特許文献1参照)。かかる精製法によれば精製後のリン酸には、リン酸の濃度を85重量%に換算したときにアンチモンが13〜20ppm、砒素が0.1ppm〜0.02ppm含まれている。
【0005】
また、リン酸とハロゲン化水素を接触させ砒素を除去する方法も知られている(特許文献2参照)。この方法によれば、リン酸中の砒素を1ppm以下まで除去できるとされている。更に、酸性下でハロゲン化水素を発生し得る化合物の存在下で、リン酸とハロゲン化水素を接触させると、一層砒素の除去効果が高まりリン酸中の砒素を0.1ppm以下にできるとされている。しかし、この特許文献の実施例によれば、リン酸中の砒素はP2O5濃度(65%)で0.07〜0.8ppm程度までしか除去されておらず、高純度リン酸の要求に十分こたえられるものではない。また、この方法では、過酸化水素が必要であり、また、塩化水素を吹き込む前に、塩化鉄や塩化スズを使用しなけば十分に砒素を除去できないという不都合もある。
【0006】
以上の方法とは別に、リン酸を晶析法で精製する技術が広く知られていている(例えば特許文献3参照)。この特許文献には、リン酸を所望の純度に精製するために、晶析操作、母液からの分離操作及び融解操作からなる一連の晶析精製操作を3回繰り返す方法が開示されている。また、リン酸を晶析操作で精製する基礎物性データである飽和溶解度、過飽和度と成長速度との相関、リン酸半水結晶の吸湿性、リン酸中の結晶沈降速度に関する知見(非特許文献1参照)や、流動層型晶析装置での応用例に関する知見(非特許文献2参照)も知られている。しかしながら、晶析操作によって得られたリン酸の純度については明確に記載されていない。また晶析操作はコストが高くなる等の問題点を有する。
【0007】
【特許文献1】
特開平1−131009号公報
【特許文献2】
国際公開第00/40507号パンフレット
【特許文献3】
特公昭44−14692号公報
【非特許文献1】
追村ら、「東洋曹達報告」、10、2、21(1966)
【非特許文献2】
青山ら、Proceedings of a Conference of Industrial Crystallization、pp.413〜420(1976)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、従来除去が困難とされている不純物金属であるアンチモン及び硫化物イオンの含有量が極めて少ない高純度リン酸及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、H3PO4の濃度を85重量%に換算したときの不純物含量として、Sbが200ppb以下であり且つ硫化物イオンが200ppb以下であることを特徴とする高純度リン酸を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0010】
また本発明は、不純物金属を含む粗リン酸に硫化水素ガスを過剰に吹き込み、該粗リン酸に含まれている不純物金属を硫化物として沈殿させる第1工程と、第1工程で得られたリン酸を濾過する第2工程と、第2工程終了後にリン酸と空気とを除去塔内で接触させて、リン酸中含まれる硫化水素ガスを除去する第3工程とを含み、且つ第1及び第2の工程を59℃以下で行うことを特徴とする高純度リン酸の製造方法を提供することにより前記目的を達成したものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、特に断らない限り以下の説明において「%」、「ppb」及び「ppm」はそれぞれ重量基準である。本発明においてリン酸とは、一般式H3PO4で表される成分と、H2Oとの任意の比率の混合液体である。本発明の高純度リン酸は乾式法または湿式法によって得られ、H3PO4の濃度として75〜89%のものをいう。乾式法においては、黄リンを燃焼させ更に水和させて得られる粗リン酸を精製して高純度リン酸となし、湿式法においては、リン鉱石を無機強酸で分解し、次いで濃縮して得られる粗リン酸を精製して高純度リン酸となすものである。高純度リン酸の濃度はJIS K−1449に規定される水酸化ナトリウムによる滴定法で測定する。またリン酸の濃度は、単位リン酸質量当たりの元素の質量比率として表す。
【0012】
本発明の高純度リン酸は、各種金属に対する腐食性が強いので、金属等の表面のエッチング液として好適な物質である。リン酸は他の鉱酸と比べて蒸気分圧が低いので蒸留法を適用して精製することが容易でない。また、工業的に精製することは実質的に非常に困難である。このように精製が困難であるにもかかわらず、本発明に係る高純度リン酸は、不純物金属であるSbの含有量が低いものである。
【0013】
具体的には、本発明の高純度リン酸は、H3PO4の濃度を85%に換算したときの不純物含量として、Sbが200ppb以下であり、好ましくは100ppb以下、更に好ましくは50ppb以下である。Sbが200ppbを超える場合には、本発明の高純度リン酸を例えば半導体素子や液晶ディスプレイパネルなどの電子デバイスのエッチング液として使用する場合に、シリコンウエハー等の表面にSbの粒子が付着するなどの欠点が生じることがある。
【0014】
Sbの含量が前述の値以下であることに加えて本発明の高純度リン酸は、H3PO4の濃度を85%に換算したときの不純物含量として、硫化物イオンが200ppb以下である。後述する高純度リン酸の製造方法から明らかなように、本発明の好ましい実施形態においては、リン酸中の不純物金属を除去する手段として硫化水素を用いている。その結果、不純物金属を除去した後のリン酸には硫化物イオンが不可避的に残存することがある。また、濾過工程で除くことができない硫化砒素や硫化アンチモン等の硫化物が存在する。そのような状態の高純度リン酸を、例えば反射型液晶ディスプレイパネルの反射膜に設けられたAg系薄膜やAg系電極のエッチングに使用する場合、硫化物イオンの含量が200ppbを超えると、硫化物イオンが銀と反応して硫化銀が生成し、製品の品質等に問題が生じることがある。これに対して本発明の高純度リン酸においては、不純物金属の含量は極めて僅かであり、その上不純物金属の除去に用いられる硫化物イオンの含量も極めて僅かとなっているのでそのような不都合は生じない。つまり本発明の高純度リン酸は不純物金属の低減化と硫化物イオンの低減化という二律背反の要求を共に満たすものである。ここで言う硫化物イオンは、リン酸中に含まれる全硫化物を言い、具体的には硫化水素をリン酸中に吹きこんだときに生成する硫化アンチモン、硫化ヒ素等の硫化物、残留する硫化水素を含むものである。
【0015】
また本発明の高純度リン酸は、H3PO4の濃度を85%に換算したときの不純物含量として、Asが10ppb以下、特に2ppb以下であることが、Sbの場合と同様の理由により好ましい。リン酸中のAs又はSbの含有量の測定は、ICP発光分光分析装置に水素化物発生装置(HYD)を接続した機器(ICP−HYD)で行う。測定方法の詳細は後述する実施例において詳しく説明する。また硫化物イオンの定量方法も後述する実施例において詳しく説明する。
【0016】
SbやAsなどの金属イオンは、黄リンにもともと含まれており、それが粗リン酸中にも引き続き含有されてくる。従って、高純度リン酸を得る観点からは、もともと高純度な黄リンを原料として使用することが好ましい。しかし、SbやAsがppbのオーダーになるまで精製された黄リンを得ることは非常に困難である。
【0017】
本発明の高純度リン酸の用途は、特に限定されるものではない。例えば半導体素子の製造工程において窒化珪素膜を除去するために使用するエッチング液、液晶ディスプレイパネルの製造工程においてアルミナ膜を除去するために使用するエッチング液、金属アルミニウムエッチング液、セラミックス用アルミナエッチング液、光ファイバー用リン酸ガラス原料等として好適に用いられる。
【0018】
特に、微細加工が要求される半導体製造工程において、窒化珪素膜をエッチングによって除去するために本発明の高純度リン酸を用いると、エッチング後のシリコンウエハー上にSbに由来する不純物が残ることはない。リン酸に含まれる不純物には、Sbに加えてAs、Fe、Mn、Naなども知られているが、半導体の微細加工、特に線幅0.5μm以下の微細加工の分野においては、Sbに由来する不純物、特にSbに由来する不純物が最も悪影響を及ぼすことが本発明者らの検討によって判明した。従って、Sb含量の少ない本発明の高純度リン酸は、半導体の微細加工に用いられるエッチング液として極めて有用である。同様の理由から、本発明の高純度リン酸は、液晶ディスプレイパネルの電子回路の微細加工に用いられるエッチング液としても極めて有用である。
【0019】
次に、本発明の高純度リン酸の製造方法について説明する。本発明の製造方法は、大別すると第1、第2及び第3の3つの工程を含んでいる。第1工程は、SbやAsなどの不純物金属を含む粗リン酸に、硫化水素ガスを大過剰に吹き込んだ後に、該粗リン酸に含まれている不純物金属を硫化物として沈殿させる工程(吸収工程)である。第2工程は、第1工程で得られた粗リン酸を濾過する工程(濾過工程)である。これらの工程は何れも59℃以下で行うことが重要である。更に、第2工程終了後にリン酸と空気を除去塔内で接触させて、リン酸中に含まれる硫化水素ガスを除去する第3工程(脱気工程)よりなる。本発明の製造方法は、当然連続的に効率良く高純度リン酸を製造することがきるものである。
以下、それぞれの工程について詳述する。
【0020】
まず第1工程について説明する。第1工程で用いられる粗リン酸は、乾式法で得られたものでもよく、或いは湿式法で得られたものでもよいが、乾式法で得られた粗リン酸が好ましい。何れの方法で得られた粗リン酸であっても、H3PO4の濃度を85重量%に換算したときのSb含量は1〜10ppm程度であり、またAs含量は10〜100ppm程度である。乾式法で粗リン酸を製造する場合は、例えば以下の通りである。原料となる黄リン(P4)は、工業的に入手できるものであれば特に制限されるものではない。黄リン中には通常Sbが4〜40ppm程度含まれている。勿論、これよりも多くSbを含む黄リンを原料として用いても差し支えない。
【0021】
燃焼炉中で液状の黄リンを空気によって燃焼させ五酸化二リンのガスを生成させる。次いで、生成した五酸化二リンのガスを水和して粗リン酸を製造する。その反応式は以下の通りである。
P4+5O2→P4P10 (1)
P4O10+6H2O→4H3PO4 (2)
【0022】
湿式法で粗リン酸を製造する場合は、例えば以下の操作を行う。通常湿式リン酸の製造工程は、リン鉱石を硫酸で分解し、生成する硫酸カルシウムを分離してまず希薄なリン酸を製造したものを約40%程度まで濃縮し、リン酸中のヒ素及び固形分を分離除去する脱ヒ素工程、次いでリン酸中に溶解している有機物を酸化分解する酸化工程、リン酸とイソプロピルアルコールを混合し抽出液と抽出残に分離する抽出洗浄工程、抽出液中のNa分をイオン交換樹脂にて吸着除去する脱Na工程、Naを除去した抽出液中のリン酸とイソプロピルアルコールを分離する脱イソプロピルアルコール工程、リン酸中に残留している微量のイソプロピルアルコール及びフッ素を分離する脱フッ素・イソプロピルアルコール工程、酸化還元工程で除去されなかった有機物を活性炭で除去する脱有機物工程、更にリン酸を75%、85%へ濃縮する濃縮工程である。湿式リン酸の製造工程は、様々提案されているが、本発明においては、脱ヒ素工程以前のリン酸を粗リン酸とする。
【0023】
次いで前記粗リン酸に硫化水素ガスを吹きこむ。硫化水素ガスの吹き込み時の粗リン酸の温度は、本発明において極めて重要であることが、本発明者らの検討の結果判明した。具体的には、硫化水素ガスを吹き込むときの粗リン酸の温度を59℃以下とする。この温度はできるだけ低温が好ましく、リン酸の凝固点を考慮の上で決められる。例えばH3PO4の濃度が85重量%リン酸の場合、通常20〜59℃、特に20〜40℃とすることが好ましい。本発明者らが検討した結果、硫化水素ガスの吹き込み時若しくは吹き込み後、粗リン酸の温度を前記の温度以下とすることで、硫化水素ガスとSbとの反応で生じた硫化アンチモンを多量に沈殿させることができ、リン酸中に存在するSbの含量を極めて低レベルにできることが判明した。
【0024】
硫化水素ガスの吹き込みに際しては、これらを過剰で供給することも重要であることが判明した。これらの供給量に上限値は特になく、大過剰であればあるほどSbやAsの硫化物の生成が促進される。しかし、余りに大過剰に供給しても硫化物の生成は飽和する。製造経費を考慮すると供給量の上限値は、硫化水素ガスを用いる場合には、リン酸に対する溶解度内に収めるのが最良の方法である。
【0025】
かかるリン酸中へ硫化水素ガスを吹きこむ方法としては、粗リン酸を吸収塔の上部から流下させ且つ硫化水素ガスを吸収塔の下部から上昇させて両者を向流的に接触させて行う方法が好ましいが、リン酸と硫化水素ガスを並流的に接触させてもよい。かかる方法によると、硫化水素ガスを効率的にリン酸中の不純物と反応させることができる。この場合、吸収塔の内部にはテラレットやサドルを初めとする各種充填物を充填しておき、リン酸と硫化水素ガスとの接触を十分に確保することが好ましい。硫化水素ガスを吹き込むことによって、Sb及びAs並びにその他の不純物金属が、水不溶性の硫化物として生成し粗リン酸中に沈殿する。硫化水素ガスとSb及びAsとの反応式は、以下の通りである。
Sb2O3+3H2S→Sb2S3+3H2O (3)
Sb2O5+5H2S→Sb2S5+5H2O (4)
As2O3+3H2S→As2S3+3H2O (5)
As2O5+5H2S→As2S5+5H2O (6)
【0026】
硫化水素ガスの吹き込み後の粗リン酸を第2工程に付す。それに先立ち第1工程で得られた粗リン酸を熟成させることが好ましい。この熟成で、SbやAsの硫化物を十分に沈殿させることができる。熟成時間は1〜10時間であるが、工程的には通常2〜4時間で操作することで、硫化物を十分に沈殿させることができる。熟成においては特別な操作は不要であり、タンク内において粗リン酸をその硫化水素の吹き込み操作における温度に、例えばH3PO4の濃度が85重量%リン酸の場合、59℃以下、好ましくは20〜40℃程度に所定時間保てばよい。
【0027】
第2工程である硫化物の濾過工程も、第1工程と同様に59℃以下で行う。この濾過温度はリン酸の凝固点,粘度及び濾過機の能力(濾過面積)を考慮のうえ決定される。例えばH3PO4の濃度が85重量%リン酸の場合、通常20〜59℃、特に20〜40℃とすることが好ましい。高純度リン酸は、高濃度では常温で粘稠な液体であることから、濾過のためにはその温度を上昇させて粘度を低下させることが有利である。しかしリン酸の温度を上げすぎると、リン酸中に沈殿している硫化物の溶解度が高まって、せっかく沈殿させた硫化物がリン酸中に溶解してしまう。
【0028】
濾過の方法は特に制限されるものでない。濾過温度が比較的低いことから、つまりリン酸の粘度が高いことから、使用される濾過装置は濾過面積を大きくとることが有利である。濾過方法としては、加圧濾過、真空濾過が挙げられる。特にウルトラフィルタープレス等の葉状加圧濾過が好ましい。このウルトラフィルタープレスでSbやAsの硫化物を除去できる。
【0029】
濾過によって得られたリン酸は透明であり、H3PO4の濃度を85%に換算したときの不純物含量として、Sbが200ppb以下となる。またAsの含量が10ppb以下となる。
【0030】
不純物金属の除去に硫化水素ガスを使用した場合、得られたリン酸中には過剰な硫化水素が含まれている。そこでこれを除去するために、第3工程として、リン酸中に空気を通気する。これによって硫化物イオンの濃度が200ppb以下まで低められ、高純度に精製された本発明のリン酸が得られる。
【0031】
リン酸中の過剰硫化水素を除去する方法としては例えば、リン酸を除去塔の上部から流下させ且つ空気を除去塔の下部から上昇させて両者を向流的に接触させて、リン酸中に含まれる硫化水素ガスを除去する方法を用いることが好ましい。また、リン酸と空気を並流的に接触させてもよい。この場合、除去塔の内部にはテラレットやサドルを初めとする各種充填物を充填しておきリン酸と空気との接触を十分に確保することが好ましい。先に述べた通り高純度リン酸は粘度が高いことから、リン酸中に溶存している不純物ガスの除去には通常加熱釜に空気を吹き込む加熱除去方法が行われていた。これに対して本発明者らは、意外にも充填物が充填された除去塔を用いることで、高粘度のリン酸であってもその中に溶存している硫化水素ガスを容易に除去できることを知見した。しかもこの方法によれば経済的に硫化水素ガスを除去できる。
【0032】
第3工程(脱気工程)においては、リン酸の温度を凝固点以上の温度に設定すればよいが、通常25℃以上、特に50〜65℃とすることが好ましい。これによってリン酸中の溶存硫化水素ガスをほぼ完全に放出させることができる。また、リン酸中の溶存硫化水素ガスの濃度やリン酸の処理量によっては、除去塔を複数基並立させ、これらを直列に連結させて用いてもよい。この場合、各除去塔それぞれにおいてリン酸と空気とを向流的又は並流的に接触させる。
【0033】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の高純度リン酸を得る方法は前述した方法に限られず、Sb及び硫化物イオンの含量を前述した値とし得る方法であればどのような方法を用いてもよい。
【0034】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
【0035】
〔実施例1〕
(1)第1工程
燃焼塔の中で液状黄リンを空気によって燃焼させ、生成した五酸化二リンのガスを水和させて粗リン酸を製造した。黄リンはバーナーで燃焼塔に供給し、空気を過剰に吹き込んで完全燃焼させた。燃焼ガスは、冷却塔を通りながら冷却され、水和された。これによりH3PO4の濃度86重量%の粗リン酸を得た。粗リン酸中にはSbが4ppm、Asが40ppm含まれていた。
【0036】
生成した粗リン酸(86%)を35℃に調整し、粗リン酸を充填物(テラレット)が充填されている吸収塔の上部から供給し、また下部から過剰の硫化水素ガスを吹き込み、リン酸と硫化水素ガスとを向流的に十分に接触させた。これによってSbやAsの水不溶性硫化物が沈殿物として生成した。硫化水素ガスの吹き込み量は、粗リン酸(H3PO4)の濃度を85%に換算したときのSb及びAsの総当量に対して10倍当量とした。
【0037】
水不溶性硫化物を含んだ粗リン酸を、約35℃で2時間熟成させた。
【0038】
(2)第2工程
熟成終了後の粗リン酸を、葉状濾過器(ウルトラフィルタープレス)により加圧濾過を行い、不溶性の硫化物を除去して澄明なリン酸を得た。濾過時のリン酸の温度は30℃であった。
【0039】
(3)第3工程
得られた澄明なリン酸を60℃に加温し、充填物(テラレット)が充填されている除去塔の上部から供給し、また下部から空気を吹き込み、リン酸と空気とを向流的に十分に接触させた。これによりリン酸中に溶存している過剰の硫化水素を除去した後、純水を加えH3PO4の濃度85重量%の高純度リン酸を得た。
【0040】
〔実施例2〕
(1)第1工程
実施例1と同様にして粗リン酸を得た。粗リン酸中にはSbが4ppm、Asが40ppm含まれていた。生成した粗リン酸(86%)を58℃に調整し、粗リン酸を充填物(テラレット)が充填されている吸収塔の上部から供給し、また下部から過剰の硫化水素ガスを吹き込み、リン酸と硫化水素ガスとを向流的に十分に接触させた。これによってSbやAsの水不溶性硫化物が沈殿物として生成した。硫化水素ガスの吹き込み量は、粗リン酸(H3PO4)の濃度を85%に換算したときのSb及びAsの総当量に対して10倍当量とした。
【0041】
水不溶性硫化物を含んだ粗リン酸を、約55℃で2時間熟成させた。
【0042】
(2)第2工程
熟成終了後の粗リン酸を、葉状濾過器(ウルトラフィルタープレス)により加圧濾過を行い、不溶性の硫化物を除去して澄明なリン酸を得た。濾過時のリン酸の温度は52℃であった。
【0043】
(3)第3工程
得られた澄明なリン酸を60℃に加温し、充填物(テラレット)が充填されている除去塔の上部から供給し、また下部から空気を吹き込み、リン酸と空気とを向流的に十分に接触させた。これによりリン酸中に溶存している過剰の硫化水素を除去し後、純水を加えH3PO4の濃度85重量%の高純度リン酸を得た。
【0044】
〔実施例3〕
(1)第1工程
実施例1と同様にして粗リン酸を得た。粗リン酸中にはSbが4ppm、Asが40ppm含まれていた。生成した粗リン酸(86%)を40℃に調整し、粗リン酸を充填物(テラレット)が充填されている吸収塔の上部から供給し、また下部から過剰の硫化水素ガスを吹き込み、リン酸と硫化水素ガスとを向流的に十分に接触させた。これによってSbやAsの水不溶性硫化物が沈殿物として生成した。硫化水素ガスの吹き込み量は、粗リン酸(H3PO4)の濃度を85%に換算したときのSb及びAsの総当量に対して10倍当量とした。
【0045】
水不溶性硫化物を含んだ粗リン酸を、約38℃で2時間熟成させた。
【0046】
(2)第2工程
熟成終了後の粗リン酸を、葉状濾過器(ウルトラフィルタープレス)により加圧濾過を行い、不溶性の硫化物を除去して澄明なリン酸を得た。濾過時のリン酸の温度は36℃であった。
【0047】
(3)第3工程
得られた澄明なリン酸を60℃に加温し、充填物(テラレット)が充填されている除去塔の上部から供給し、また下部から空気を吹き込み、リン酸と空気とを向流的に十分に接触させた。これによりリン酸中に溶存している過剰の硫化水素を除去し後、純水を加えH3PO4の濃度85重量%高純度リン酸を得た。
【0048】
〔実施例4〕
(1)第1工程
実施例1と同様にして粗リン酸を得た。粗リン酸中にはSbが4ppm、Asが40ppm含まれていた。生成した粗リン酸(86%)を35℃に調整し、粗リン酸を充填物(テラレット)が充填されている吸収塔の上部から供給し、また下部から過剰の硫化水素ガスを吹き込み、リン酸と硫化水素ガスとを向流的に十分に接触させた。これによってSbやAsの水不溶性硫化物が沈殿物として生成した。硫化水素ガスの吹き込み量は、粗リン酸(H3PO4)の濃度を85%に換算したときのSb及びAsの総当量に対して10倍当量とした。
【0049】
水不溶性硫化物を含んだ粗リン酸を、約35℃で2時間熟成させた。
【0050】
(2)第2工程
熟成終了後の粗リン酸を、葉状濾過器(ウルトラフィルタープレス)により加圧濾過を行い、不溶性の硫化物を除去して澄明なリン酸を得た。濾過時のリン酸の温度は30℃であった。
【0051】
(3)第3工程
得られた澄明なリン酸を40℃に加温し、充填物(テラレット)が充填されている除去塔の上部から供給し、また下部から空気を吹き込み、リン酸と空気とを向流的に十分に接触させた。これによりリン酸中に溶存している過剰の硫化水素を除去し後、純水を加えH3PO4の濃度85重量%高純度リン酸を得た。
【0052】
〔比較例1〕
(1)第1工程
実施例1と同様にして粗リン酸を得た。粗リン酸中にはSbが4ppm、Asが40ppm含まれていた。生成した粗リン酸(86%)を65℃に調整し、過剰の硫化水素を吹き込んだ。これによってSbやAsの水不溶性硫化物が沈殿物として生成した。硫化水素の吹き込み量は、粗リン酸(H3PO4)の濃度を85%に換算したときのSb及びAsの総当量に対して10倍当量とした。
【0053】
水不溶性硫化物を含んだ粗リン酸を、約64℃で2時間熟成させた。
【0054】
(2)第2工程
熟成終了後の粗リン酸を、葉状濾過器(ウルトラフィルタープレス)により加圧濾過を行い、不溶性の硫化物を除去して澄明なリン酸を得た。濾過時のリン酸の温度は63℃であった。
【0055】
(3)第3工程
得られた澄明なリン酸を60℃に加温し、充填物(テラレット)が充填されている除去塔の上部から供給し、また下部から空気を吹き込み、リン酸と空気とを向流的に十分に接触させた。これによりリン酸中に溶存している過剰の硫化水素を除去し後、純水を加え85%高純度リン酸を得た。
【0056】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られたリン酸について以下の方法でSb及びAsの含有量を分析した。また硫化物イオンの含有量を分析した。これらの結果を以下の表1に示す。
【0057】
〔Sbの分析方法〕
(1)試料50.0gを200mlビーカーに秤り取り、水を加え約100mlとする。突沸防止のため沸石数個を入れ、更に時計皿で蓋をして、電熱器上で煮沸し液量を約50ml以下とする。
(2){ICP(JY238)使用時試料調製法}
冷却後、100mlメスフラスコに移し入れ、塩酸(無ヒ素35〜37%)を10ml加え、更に水を加えて液面を標線に合わせた後、メスフラスコを振る。これとは別に、ブランク液及び標準液(Sb0.2ppm)として、100mlメスフラスコに塩酸(無ヒ素35〜37%)10mlを加えたものも調製する。(3)ICP分析装置(還元気化法)によって、標準液(Sb0.2ppm)を用いSbの含有量を測定する(波長:231.147nm)。
(4)以下の式からSbの測定値を算出する。
Sb測定値(ppb)=読値(ppb)×100/試料(g)
【0058】
ICP−HYD法の操作手順は次の通りである。
使用の1時間以上前にICP本体の電源を入れ、安定させておく。
1)溶液の準備
▲1▼ブランク液、標準液及び試料溶液に、HCl(無ヒ素35〜37%)を1molになるように加えておく(100ml中にHCl 10mlの割合で加える)。
▲2▼1%NaBH4: NaBH410gを精秤し、NaOH20gとともに1000mlのビーカーに入れ、水約500mlを加えて溶解し、水で1000mlに希釈する。
▲3▼洗浄液:HCl 2mol
2)ICP−HYDの条件
パワー:1.0kW又は1.2kW
プラズマガス:12−14l/min
ネブライザーガス:0.6l/min 圧力はゼロに近くなる。
シースガス:0.4l/min
プラズマが安定になったら、チューブを洗浄液及びNaBH4溶液に入れる。
3)測定
▲1▼Sb測定用HYD法のファイルを設定する。
▲2▼ブランク液及び標準液の順に測定して検量線を作成し、次に試料溶液を測定する。
【0059】
〔Asの分析方法〕
標準液としてAsの0.1ppm液を用意する。またICP分析装置の測定波長として193.696nmを用いる。これら以外は前述したSbの分析方法と同様とする。
【0060】
〔硫化物イオンの分析方法〕
(1)図1に示す装置を用いた。装置は硫化水素ガスの発生瓶1及び検知管2を備えている。検知管2は細径部と該細径部の下端に連結された太径部とからなる。検知管2はその上下端が開口している。検知管2は、容量目盛り0〜1.5mlであり、一目盛りは0.01mlであった。試料100gを発生瓶1にはかりとり、これに塩化第一スズ溶液(塩化第一スズ8gを濃度36%の塩酸500gに溶かし水で1リットルにする)40mlと砂状亜鉛4gとを加える。これによって発生瓶1内に硫化水素ガスが発生する。この瓶1に直ちに酢酸鉛シリカゲルを充填した検知管2を連結する。連結にはゴム栓3を用いる。酢酸鉛シリカゲルは、酢酸鉛5gをメチルアルコール500mlに溶かし、これに白色シリカゲル(500〜297ミクロン)500gを加えてよく混合し、約10分間放置後、ステンレス製バットに薄い層となるように広げて自然乾燥させて得られたものである。検知管2の細径部における上下端には脱脂綿4が詰められており、その間に酢酸鉛シリカゲルが充填される。検知管2の太径部における下端開口部にも脱脂綿4が詰められている。この脱脂綿4は発生瓶1に入っている試料のミストが検知管2内を上昇することを防止するために用いられる。
(2)硫化水素ガスは検知管2内を上昇し、検知管2に充填されている白色の酢酸鉛を茶色の硫化鉛に変化させる。これによって検知管2内は上方に向かって次第に白色から茶色に変化していく。発生瓶1を35〜40℃水浴中に約1時間放置後、検知管2を取り外す。取り外された検知管2の下端を机上に軽く数回叩き、茶色に変化した容積を0.01mlまで読みとる。
(3)前記(1)及び(2)の操作とは別に、茶色に変化した容積と硫化水素の量(mg)との検量線を作成する。検量線の作成には、まず硫化水素標準比較液を調製する。調製方法は次の通りである。先ず、硫化ナトリウム7gを水酸化ナトリウム溶液(6w/v%)に溶かし水で1リットルとした原液を調製する。原液のヨード滴定を行い力価を決定する。決定された力価に基づき、原液から正確に硫化水素10mg相当量を採取する。採取された原液に水を加えて1リットルとし、これを標準比較液とする。標準比較液の1mlには0.01mgのH2Sが含まれる。
(4)調製された標準比較液を0ml(硫化水素0mg)、1.0ml(硫化水素0.01mg)、5.0ml(硫化水素0.05mg)とり、発生瓶1入れ、そこに水を加えてで約50mlとする。更に塩化第一スズ溶液50mlと砂状亜鉛4gを加え硫化水素ガスを発生させる。次に前記(1)及び(2)の操作を行い、標準比較液がそれぞれ0ml、1.0ml、5.0mlの場合の、茶色に変化した検知管2の容積を求める。これらの結果から、茶色に変化した検知管2の容積と硫化水素の量(mg)との検量線を作成する。
(5)測定値の算出
(2)で読みとられた、茶色に変化した検知管2の容積と検量線とから、硫化水素の量(mg)を求める。そして次式から硫化物イオンの量(ppb)を有効数字2桁で求める。
【0061】
【数1】
【0062】
【表1】
【0063】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例の高純度リン酸(本発明品)は、Sb及びAs並びに硫化物イオンの含有量が極めて少ないことが判る。これに対して比較例のリン酸にはSb及びAsが多量に含まれており、また硫化物イオンの含有量も高いことが判る。
【0064】
【発明の効果】
以上、詳述した通り、本発明の高純度リン酸は、従来除去が困難とされている不純物金属であるアンチモンの含有量及び硫化物イオンの含有量が極めて少ないものである。本発明の高純度リン酸は、窒化珪素膜を有する半導体素子のエッチング液、アルミナ膜を有する液晶ディスプレイパネルのエッチング液、金属アルミニウムエッチング液、セラミックス用アルミナエッチング液、光ファイバーガラス用リン酸ガラス原料、食品添加物等として有用である。また本発明の製造方法によれば、このような高純度リン酸を容易に且つ経済的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】硫化物イオンの分析方法を示す説明図である。
Claims (9)
- H3PO4の濃度を85重量%に換算したときの不純物含量として、Sbが200ppb以下であり且つ硫化物イオンが200ppb以下であることを特徴とする高純度リン酸。
- 粗リン酸に、硫化水素ガスを過剰に吹きこみ、該粗リン酸に含まれている不純物金属を硫化物として沈殿させる第1工程と、第1工程で得られたリン酸を濾過する第2工程と、第2工程終了後にリン酸と空気とを除去塔内で接触させて、リン酸中に含まれる硫化水素ガスを除去する第3工程とを行い、且つ第1及び第2の工程を59℃以下で行うことで得られる請求項1記載の高純度リン酸。
- 前記粗リン酸は、黄リンを燃焼させて五酸化二リンをガス生成させた後、該ガスを水和させて得られる乾式リン酸である請求項1又は2記載の高純度リン酸。
- 電子デバイスのエッチングに用いられる請求項1〜3の何れかに記載の高純度リン酸。
- 不純物金属を含む粗リン酸に硫化水素ガスを過剰に吹き込み、該粗リン酸に含まれている不純物金属を硫化物として沈殿させる第1工程と、第1工程で得られたリン酸を濾過する第2工程と、第2工程終了後にリン酸と空気とを除去塔内で接触させて、リン酸中含まれる硫化水素ガスを除去する第3工程とを含み、且つ第1及び第2の工程を59℃以下で行うことを特徴とする高純度リン酸の製造方法。
- 第1工程と第2工程との間に熟成工程を行う請求項4記載の高純度リン酸の製造方法。
- 第1工程は、粗リン酸と硫化水素ガスとを、充填物を充填した吸収塔内で接触させて行う請求項5又は6記載の高純度リン酸の製造方法。
- 第3工程は、リン酸と空気とを、充填物を充填した除去塔内で接触させて行う請求項5〜7の何れかに記載の高純度リン酸の製造方法。
- 前記不純物金属を含む粗リン酸は、黄リンを燃焼させて五酸化二リンをガス生成させた後、該ガスを水和させて得られる乾式リン酸である請求項5〜8の何れかに記載の高純度リン酸の製造方法。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003189631A JP4316946B2 (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 高純度リン酸及びその製造方法 |
KR1020057011686A KR100729320B1 (ko) | 2003-07-01 | 2004-06-28 | 고순도 인산 및 그 제조 방법 |
PCT/JP2004/009112 WO2005003026A1 (ja) | 2003-07-01 | 2004-06-28 | 高純度リン酸及びその製造方法 |
CNB2004800015995A CN100340474C (zh) | 2003-07-01 | 2004-06-28 | 高纯度磷酸及其制造方法 |
EP04746581A EP1640340B1 (en) | 2003-07-01 | 2004-06-28 | High purity phosphoric acid and process for producing the same |
US10/539,441 US7470414B2 (en) | 2003-07-01 | 2004-06-28 | High purity phosphoric acid and process of producing the same |
TW093119492A TWI272246B (en) | 2003-07-01 | 2004-06-30 | High purity phosphoric acid and method for production thereof |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003189631A JP4316946B2 (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 高純度リン酸及びその製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009052398A Division JP2009114064A (ja) | 2009-03-05 | 2009-03-05 | 高純度リン酸及びその製造方法 |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005022919A true JP2005022919A (ja) | 2005-01-27 |
JP2005022919A5 JP2005022919A5 (ja) | 2006-03-09 |
JP4316946B2 JP4316946B2 (ja) | 2009-08-19 |
Family
ID=33562298
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003189631A Expired - Lifetime JP4316946B2 (ja) | 2003-07-01 | 2003-07-01 | 高純度リン酸及びその製造方法 |
Country Status (7)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7470414B2 (ja) |
EP (1) | EP1640340B1 (ja) |
JP (1) | JP4316946B2 (ja) |
KR (1) | KR100729320B1 (ja) |
CN (1) | CN100340474C (ja) |
TW (1) | TWI272246B (ja) |
WO (1) | WO2005003026A1 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008189537A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-21 | Nippon Refine Kk | 複数の金属イオンを含むリン酸水溶液から精製リン酸を得る方法及び装置 |
JP2012017230A (ja) * | 2010-07-09 | 2012-01-26 | Nippon Chem Ind Co Ltd | 高純度元素リンの製造方法および高純度リン酸の製造方法 |
JP2022502835A (ja) * | 2018-09-12 | 2022-01-11 | フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド | エッチング組成物 |
Families Citing this family (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7824633B2 (en) * | 2006-11-21 | 2010-11-02 | Freeport-Mcmoran Corporation | System and method for conversion of molybdenite to one or more molybdenum oxides |
JP2008247733A (ja) * | 2007-03-14 | 2008-10-16 | Niro Process Technology Bv | リン酸リッチストリームの精製 |
TWI391320B (zh) * | 2008-10-16 | 2013-04-01 | Ecophos S A | 高純度磷酸生產之製程 |
CN101531353B (zh) * | 2009-04-28 | 2013-09-25 | 云南省化工研究院 | 一种用黄磷直接制取电子级磷酸的方法 |
CN101691213B (zh) * | 2009-10-10 | 2011-07-20 | 武汉工程大学 | 脱除湿法磷酸中金属离子的工艺 |
WO2013142022A1 (en) | 2012-03-23 | 2013-09-26 | Kennecott Utah Copper Llc | Process for the conversion of molybdenite to molybdenum oxide |
DE102014006278B3 (de) * | 2014-05-02 | 2015-02-26 | Remondis Aqua Gmbh & Co. Kg | Verfahren zur Reinigung von Roh-Phosphorsäure (z.B. MGA-Säure) durch Zugabe von Aschen aus Abfall-Verbrennungsanlagen umfassend die Gewinnung von reiner Phosphorsäure, Kalziumsulfat, wasserlöslichen Kalziumhydrogenphosphaten und Metallsalz-Lösung |
CN104588381A (zh) * | 2014-12-30 | 2015-05-06 | 铜陵鑫克精细化工有限责任公司 | 溶剂萃取法净化湿法磷酸的萃取装置的清洗方法 |
KR101955186B1 (ko) | 2017-09-07 | 2019-03-07 | 손원일 | 초고순도 인산 제조용 반응기 |
KR102633772B1 (ko) * | 2018-04-12 | 2024-02-05 | 오씨아이 주식회사 | 고순도 인산의 제조 방법 |
CN108910850A (zh) * | 2018-09-25 | 2018-11-30 | 湖北兴福电子材料有限公司 | 一种热法电子级磷酸脱砷方法 |
CN112279230A (zh) * | 2019-07-23 | 2021-01-29 | 东泰高科装备科技有限公司 | 磷酸的制备方法 |
CN113955731B (zh) * | 2021-12-08 | 2024-03-01 | 昆明云盘山农牧科技有限公司 | 一种含有颗粒状饲料级磷酸二氢钙制备方法 |
PL440852A1 (pl) * | 2022-04-04 | 2023-10-09 | Alventa Spółka Akcyjna | Sposób oczyszczania kwasu fosforowego(V) na potrzeby krystalizacji statycznej do otrzymywania kwasu jakości odpowiedniej dla branży półprzewodników |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US2174158A (en) * | 1937-11-11 | 1939-09-26 | Du Pont | Phosphoric acid purification |
JPS4414692Y1 (ja) | 1966-12-15 | 1969-06-23 | ||
DE2109970C3 (de) * | 1971-03-03 | 1980-03-20 | Hoechst Ag, 6000 Frankfurt | Verfahren und Vorrichtung zur Entarsenierung von Polyphosphorsäure |
JPS5673608A (en) * | 1979-11-20 | 1981-06-18 | Mitsui Toatsu Chem Inc | Removing method for organic matter in wet process phosphoric acid |
DE3134847A1 (de) * | 1981-09-03 | 1983-03-17 | Hoechst Ag, 6000 Frankfurt | "verfahren zur gewinnung cadmium-freier rohphosphorsaeure" |
US4816241A (en) * | 1982-02-16 | 1989-03-28 | J. R. Simplot Co. | Gaseous reduction of phosphoric acid |
DE3604483A1 (de) | 1986-02-13 | 1987-08-20 | Hoechst Ag | Verfahren zum entfernen von schwermetallen aus mineralsaeuren |
US4804526A (en) * | 1987-10-13 | 1989-02-14 | Fmc Corporation | Process for purifying phosphoric acid for electrical semiconductor use |
JPH0648712A (ja) * | 1992-07-31 | 1994-02-22 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 燐酸液の精製法 |
JPH06171913A (ja) * | 1992-12-10 | 1994-06-21 | Mitsui Toatsu Chem Inc | 燐酸液の改質方法 |
CN1139072A (zh) * | 1995-06-26 | 1997-01-01 | 广东湛化企业集团公司 | 湿法磷酸净化脱氟、除重金属技术 |
CN1180658A (zh) * | 1997-11-18 | 1998-05-06 | 张瑞宁 | 高纯磷酸生产新工艺 |
DE69932857T2 (de) * | 1998-12-28 | 2007-03-01 | Toyo Boseki K.K. | Verfahren zur reinigung von phosphorsäure |
-
2003
- 2003-07-01 JP JP2003189631A patent/JP4316946B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
2004
- 2004-06-28 KR KR1020057011686A patent/KR100729320B1/ko active IP Right Grant
- 2004-06-28 EP EP04746581A patent/EP1640340B1/en not_active Expired - Fee Related
- 2004-06-28 US US10/539,441 patent/US7470414B2/en active Active
- 2004-06-28 CN CNB2004800015995A patent/CN100340474C/zh not_active Expired - Lifetime
- 2004-06-28 WO PCT/JP2004/009112 patent/WO2005003026A1/ja active Application Filing
- 2004-06-30 TW TW093119492A patent/TWI272246B/zh active
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008189537A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-21 | Nippon Refine Kk | 複数の金属イオンを含むリン酸水溶液から精製リン酸を得る方法及び装置 |
JP2012017230A (ja) * | 2010-07-09 | 2012-01-26 | Nippon Chem Ind Co Ltd | 高純度元素リンの製造方法および高純度リン酸の製造方法 |
JP2022502835A (ja) * | 2018-09-12 | 2022-01-11 | フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド | エッチング組成物 |
JP7504081B2 (ja) | 2018-09-12 | 2024-06-21 | フジフイルム エレクトロニック マテリアルズ ユー.エス.エー., インコーポレイテッド | エッチング組成物 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
WO2005003026A1 (ja) | 2005-01-13 |
CN100340474C (zh) | 2007-10-03 |
TWI272246B (en) | 2007-02-01 |
KR100729320B1 (ko) | 2007-06-15 |
US7470414B2 (en) | 2008-12-30 |
EP1640340A4 (en) | 2007-07-18 |
JP4316946B2 (ja) | 2009-08-19 |
KR20050099497A (ko) | 2005-10-13 |
TW200502163A (en) | 2005-01-16 |
US20060073088A1 (en) | 2006-04-06 |
EP1640340A1 (en) | 2006-03-29 |
EP1640340B1 (en) | 2012-08-01 |
CN1717366A (zh) | 2006-01-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4316946B2 (ja) | 高純度リン酸及びその製造方法 | |
KR101484954B1 (ko) | 고순도 인산의 제조방법 | |
US5028407A (en) | Method of production of high purity fusible silica | |
KR20110081165A (ko) | 규산염 용액으로부터 고순도 sio2의 제조 방법 | |
TW201623146A (zh) | 高純度氧化矽溶膠及其製造方法 | |
JP2009209041A (ja) | リン酸の精製方法および高純度ポリリン酸 | |
JP5179095B2 (ja) | 高純度水酸化アルミニウムの製造方法及びその方法により得られる高純度水酸化アルミニウム | |
JP6728731B2 (ja) | フッ化水素酸と硝酸の回収方法 | |
JPH0481526B2 (ja) | ||
TW200930663A (en) | Method of recycling fluoride from a waste solution including hydrofluoric acid to produce fluosilicate | |
NO336277B1 (no) | Fremgangsmåte for å fjerne kvikksølv fra gass | |
JP2009114064A (ja) | 高純度リン酸及びその製造方法 | |
US4213952A (en) | Recovery of hydrofluoric acid from fluosilicic acid with high pH hydrolysis | |
JP3131433B2 (ja) | 高純度リン酸の製造方法 | |
US4213951A (en) | Recovery of hydrofluoric acid from fluosilicic acid with high pH hydrolysis | |
JP2003095648A (ja) | 高純度フッ化カルシウムおよびその中間体の製造方法 | |
KR101239605B1 (ko) | 수산화 알루미늄겔 입자 및 그 제조 방법 | |
CN110078035B (zh) | 一种去除黄磷中硫的方法 | |
TWI257915B (en) | Processes for purifying phosphoric acid | |
JPH11236218A (ja) | 硫酸銀の回収方法 | |
CN115215345B (zh) | 一种提纯氟硅酸法副产白炭黑及制备冰晶石的方法 | |
TWI797542B (zh) | 由廢緩衝氧化物蝕刻劑中回收氨且製備氟鹽晶體與二氧化矽固體的方法 | |
JPS63203731A (ja) | 高純度金属ビスマスの製造方法 | |
JP2020121310A (ja) | フッ化水素酸と硝酸の回収方法 | |
JPH01230422A (ja) | 高純度シリカ及びその製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20050927 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051003 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080819 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081015 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090106 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090305 |
|
A911 | Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090413 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090519 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090521 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 4316946 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120529 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130529 Year of fee payment: 4 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140529 Year of fee payment: 5 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |