JP2005021981A - 耐食性に優れた溶接継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 原油環境及びバラスト環境での溶接継手全体の耐食性が良好で、さらに固体の硫黄分を含む腐食生成物(スラッジ)の生成を抑制できる溶接継手を提供すること。
【解決手段】 基本成分として質量%で、C:0.001〜0.2%、Si:0.01〜2.5%、Mn:0.1〜2%、Cu:0.01〜1.5%、Al:0.001〜0.1%、N:0.001〜0.01%を含有し、さらに、Mo:0.01〜0.5%、W:0.01〜1%、の1種または2種を含有する鋼材同士を溶接した溶接継手において、溶接継手部の溶接金属のCu含有量/鋼材のCu含有量、及び、(溶接金属のMo含有量+W含有量)/(鋼材のMo含有量+W含有量)をそれぞれ0.15〜3とし、さらに、溶接金属のCu含有量−鋼材のCu含有量を−0.3〜0.5%とすることで、継手の局部腐食を原油、バラスト両環境で抑制し、継手全体としての耐食性を向上させる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、溶接構造により形成される原油タンカーの油槽や、地上または地下原油タンクなどの、原油を輸送または貯蔵する鋼製油槽の原油腐食環境中で、母材部から溶接金属まで含めて優れた耐食性を有する溶接継手に関する。特に原油タンカーなどにおいて、原油が貯蔵されている面だけでなくバラストタンク面でも優れた耐食性を有する溶接継手に関する。
原油を輸送する原油タンカーの油槽や、原油を貯蔵する地上または地下原油タンクなどの、原油を輸送または貯蔵する鋼製油槽には、強度や溶接性に優れた溶接構造用鋼が使用されている。
原油中に含まれる水分、塩分や腐食性ガス成分により、鋼は腐食環境に晒される。特に、原油タンカー油槽内面では、原油中の揮発成分や、混入海水、油田塩水中の塩分、防爆のために油槽内に送られるイナートガスと呼ばれる船舶のエンジン排気ガス、昼夜の温度変動による結露などによって独特の腐食環境になり、鋼板は腐食減肉する。鋼板の腐食減肉により、所要の船体強度を維持することが難しくなると、鋼板の切替え(腐食した部材を切断して、新たな部材と溶接接合すること)が必要となり、多大なコストがかかる。さらに、前記腐食損傷に加えて、鋼製油槽内面の鋼表面に、大量の固体の硫黄分(以下、固体Sと記す)が生成・析出する。これは、腐食したデッキ裏の表面の鉄さびが触媒になり、気相中のSO2とH2Sが反応して固体Sを生成すると考えられている。鋼の腐食による新しい鉄さびの生成と、固体Sの析出が交互に生じ、鉄さびと固体Sとの層状腐食生成物が析出する。固体S層は脆いため、固体Sと鉄さびとからなる生成物は容易に剥離、脱落し、油槽底にスラッジとして堆積する。定期検査で回収するスラッジの量は、超大型原油タンカーで300トン以上と言われており、維持管理上、固体Sを主体としたスラッジの低減が強く求められていた。
すなわち、原油油槽用の鋼板として優れた耐食性を有し、かつ、固体Sを含むスラッジの生成が少ない耐食鋼板が求められていた。
鋼の防食と固体Sを主体としたスラッジの低減を同時に図る技術としては、塗装・ライニング防食が一般的であり、亜鉛やアルミニウムの溶射による防食も提案されている(例えば、非特許文献1)。しかし、施工コストがかかるという経済的な問題点に加えて、防食層の施工時のミクロな欠陥や、経年劣化で腐食が不可避的に進展するため、塗装・ライニングをしても定期的な検査と補修とが不可欠であるといった課題があった。一方、鋼材の特性によって鋼の防食とスラッジの低減を同時に図る技術は提案されていない。
鋼材側の対策技術の提案は未だ極めて少なく、いずれも耐食性の改善に限られる。例えば、船舶外板、バラストタンク、カーゴオイルタンク、鉱炭船カーゴホールド等の使用環境で優れた耐食性を有する造船用鋼が提案されている(例えば、特許文献1参照)。ここで提案されている耐食鋼は、C、Si、Mn、P、S、Alを適量含み、かつ、Cu:0.01〜2.00%、Mg:0.0002〜0.0150%を含有することにより、耐全面腐食性及び耐局部腐食性が向上するとしている。また、荷油タンク用途で優れた耐食性と造船用鋼として優れた溶接性を有する荷油タンク用耐蝕鋼が提案されている。その耐食鋼は含P−極低S−Cu−Ni−Cr−Al鋼で、溶接性を確保するために合金添加総量の上限を式値で規定し、荷油タンクに導入される防爆防止の原動機排ガスによる荷油タンク内腐食に対して優れた耐食性を有する鋼としている(例えば、特許文献2参照)。また、その外の耐食鋼は、低P−極低S−Cu−Ni−Cr−Al鋼で、溶接性を確保するために合金添加総量の上限を式値で規定し、荷油タンクに導入される防爆防止の原動機排ガスによる荷油タンク内腐食に対して優れた耐食性を有する鋼としている(例えば、特許文献3参照)。また、原油を油槽または貯蔵するタンク内で生じる腐食に対して優れた耐食性を示す耐原油タンク性に優れた鋼材及びその製造方法についての提案がされている(例えば、特許文献4参照)。ここで提案されている耐食鋼は、Cu:0.5〜1.5%、Ni:0.5〜3.0%、Cr:0.5〜2.0%を添加し、かつ合金添加量の増加に伴う局部腐食発生を抑制するために、1.0≦0.3Cu+2.0−Cr−0.5Cu≦3.8に制限し、原油タンクの気相部及び液相部で優れた耐食性を有する鋼としている。
しかしながら、上記いずれの耐食鋼も、原油油槽の環境での鋼自体の耐食性については提案されているが、特に油槽の気相部で大量に生成・剥落する固体Sの析出を、鋼材側から抑制する技術は開示されていない。それ故、タンクなど溶接構造物用途では構造物の信頼性向上、寿命延長の観点から、耐食性に優れ、かつ固体Sを主体としたスラッジの生成を抑制し、溶接施工性に優れた構造用鋼の開発が待たれていた。
一方、原油油槽は一般的に溶接構造であり、全面的に塗装やライニングを施さない限り、不可避的に溶接継手部も原油油槽環境に晒される。通常行われるアーク溶接やエレクトロガス溶接では、溶接ワイヤーやフラックスを溶解させて溶接金属を形成させるため、溶接金属の組成、組織は鋼材のものと異なる方が一般的である。腐食環境中で化学組成や組織の大きく異なる金属が隣接している場合、相対的に電気化学的に卑な一方の金属が選択的に腐食される、異種金属腐食が生じやすい。選択腐食が生じると局部的に大きな腐食が生じる恐れが大となる。
耐食性を特に向上させていない普通鋼で原油環境にさらされる溶接構造物を作製する場合は、溶接方法や溶接材料によらず、表面積の圧倒的に大きい鋼材の方が電気化学的に卑となるため、溶接継手部が選択的に腐食される問題はあまり大きくない。しかしながら、耐食性に優れた鋼材により溶接構造物を形成しようとすると、溶接方法や溶接材料によっては溶接金属の方が卑となって、溶接金属が選択的に腐食され、溶接継手全体としては耐食性が損なわれる可能性が生じる。従って、原油環境にさらされる溶接構造物の耐食性を良好とするためには、鋼材だけでなく、溶接継手部にも配慮する必要があるが、現状では、この要求を満足する技術は見いだされていない。
特に、原油タンカーの場合、原油油槽の隣の槽がバラストタンクの場合、溶接継手の一方の面は原油油槽環境に曝され、他方の面はバラストタンク環境に曝される。一般にバラストタンク側は、タールエポキシ塗装などによる防食がなされるが、塗膜が経年劣化した場合、溶接金属と鋼材との間の腐食電位差に起因した選択腐食、すなわち異種金属接触腐食が発生するといった課題があった。従って、原油タンカーなどにおいては、原油面だけでなく、バラストタンク面での溶接継手部の耐食性にも配慮する必要があるが、現状では、原油環境とバラスト環境の両環境において、溶接継手全体で耐食性を確保する技術は見いだされていない。
社団法人日本造船協会第242研究部会、平成13年3月発行、「原油タンカーの新型コロージョン挙動の研究」(平成12年度報告書) 特開2002−17381号公報 特開2002−107179号公報 特開2002−107180号公報 特開2002−173736号公報
本発明は、かかる課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、溶接構造により形成される原油タンカーの油槽や、地上または地下原油タンクなどの、原油を輸送または貯蔵する鋼製油槽の原油腐食環境中及び該環境と腐食環境が類似の環境で使用される溶接構造物において、母材部から溶接金属まで含めて優れた耐食性を有する溶接継手を提供することである。特に原油タンカーなどにおいて、原油が貯蔵されている側の原油環境だけでなくバラストタンク側の環境においても合わせて優れた耐食性を有する溶接継手を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明者らは、常時気相部となる原油油槽デッキ裏での鋼の耐食性に及ぼす鋼の化学成分の影響を調査した結果、一般的な溶接構造用鋼の化学組成を基本として、Crを実質的に無添加とし、特定量のMo、Wのいずれかまたは両方とCuとを複合添加し、不純物であるP、Sの添加量を限定することにより、当該環境での耐食性を向上させることが可能であり、合わせてスラッジの生成を大幅に低減できるとの知見を得た。さらに、Mo、Wの存在状態と耐食性との関係を詳細に研究した結果、Mo、Wは固溶状態で存在する方がより一層耐食性に好ましいことも知見した。そしてさらに、該鋼材同士を溶接するに際して、溶接継手部の耐食性が鋼材と同等となるために必要な溶接金属、鋼材の化学組成や金属組織に関する要件を詳細に研究した結果、溶接金属と鋼材との間のCu、Mo、Wの含有量の比あるいは差が特定範囲にあることで、原油環境及びバラスト環境において、鋼材と溶接金属を含む溶接継手とが同等に良好な耐食性を発現すること、さらに、鋼材組織形態を適正化することも、継手の耐食性向上に有効であることを新たに知見するに至った。
本発明は、主に上記知見に基づいてなされたもので、その要旨とするところは以下の通りである。
(1) 質量%で、
C:0.001〜0.2%、
Si:0.01〜2.5%、
Mn:0.1〜2%、
P:0.03%以下、
S:0.02%以下、
Cu:0.01〜1.5%、
Al:0.001〜0.3%、
N:0.001〜0.01%、
を含有し、さらに、
Mo:0.01〜0.5%、
W:0.01〜1%
の1種または2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材同士を溶接して溶接継手を形成するに際し、該溶接継手部における溶接金属のCu、Mo、W含有量が各々下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする、耐食性に優れた溶接継手。
3≧溶接金属のCu含有量(質量%)/鋼材のCu含有量(質量%)≧0.15 ・ ・ ・(1)
3≧(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))
/(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))≧0.15 ・ ・ ・(2)
−0.3≦(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%)) ≦0.5 ・ ・ ・(3)
(2) 前記溶接継手部における溶接金属のCu、Mo、W含有量が各々下記(4)及び(5)式を満足することを特徴とする、上記(1)項に記載の耐食性に優れた溶接継手。
1.5≧溶接金属のCu含有量(質量%)
/鋼材のCu含有量(質量%)≧0.3
・ ・ ・(4)
1.5≧(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))
/(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))≧0.3 ・ ・ ・(5)
(3) 鋼材の固溶Mo量と固溶W量とが下記(6)式を満足することを特徴とする、上記(1)または(2)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
固溶Mo+固溶W≧0.005% ・ ・ ・(6)
(4) 鋼材のCr含有量が0.1%未満であることを特徴とする、上記(1)〜(3)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
(5) 鋼材が質量%でさらに、
Ni:0.1〜3%、
Co:0.1〜3%、
の1種または2種を含有することを特徴とする、上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
(6) 鋼材が質量%でさらに、
Sb:0.01〜0.3%、
Sn:0.01〜0.3%、
Pb:0.01〜0.3%、
As:0.01〜0.3%、
Bi:0.01〜0.3%、
Se:0.01〜0.3%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(5)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
(7) 鋼材が質量%でさらに、
Nb:0.002〜0.2%、
V:0.005〜0.5%、
Ti:0.002〜0.2%、
Ta:0.005〜0.5%、
Zr:0.005〜0.5%、
B:0.0002〜0.005%、
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(6)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
(8) 鋼材が質量%でさらに、
Mg:0.0001〜0.01%、
Ca:0.0005〜0.01%、
Y:0.0001〜0.1%、
La:0.005〜0.1%、
Ce:0.005〜0.1%
の1種または2種以上を含有することを特徴とする、上記(1)〜(7)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
(9) 鋼材のミクロ組織が少なくともベイナイトとマルテンサイトの1種または2種から構成され、該ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が30%以上であることを特徴とする、上記(1)〜(8)項のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
本発明によれば、溶接構造により形成される原油タンカーの油槽や、地上または地下原油タンクなどの、原油を輸送または貯蔵する鋼製油槽の原油腐食環境中及び該環境と腐食環境が類似の環境で使用される溶接構造物において、母材部から溶接金属まで含めて優れた耐食性を有する溶接継手を提供することが可能となり、原油油槽及び原油油槽を有する鋼構造物、船舶の長期の信頼性向上、安全性向上、経済性の向上等に寄与する。よって、産業上の本発明の効果は極めて大きい。
本発明は前述の課題を克服し、目的を達成するもので、その具体的手段を以下に示す。
先ず、溶接継手を形成する鋼材の成分元素とその含有量についてその限定理由を説明する。文中における成分含有量の%の単位は質量%である。
Cは、0.001%未満に脱C化することは工業的には経済性を著しく阻害するため、0.001%以上含有させるが、強化元素として用いる場合には、0.002%以上の含有がより好ましい。一方、0.2%を超えて過剰に含有させると、溶接性や継手靭性の劣化等も生じ、溶接構造物用鋼として好ましくないため、本発明においては、0.001〜0.2%を限定範囲とした。
Siは、脱酸元素として必要であり、脱酸効果を発揮するためには、0.01%以上必要である。Siは耐全面腐食性向上に効果があり、また、耐局部腐食性向上にもわずかながら効果がある元素である。該効果を発現させるためには0.1%以上含有させることが好ましい。一方、Siを過度に含有させると、熱延スケールの固着(スケール剥離性の低下)を招き、スケール起因の疵が増加するため、本発明においては上限を2.5%とする。特に、耐食性とともに溶接性や母材及び継手靭性への要求が厳しい鋼の場合は、上限を0.5%とすることが好ましい。
Mnは、鋼の強度確保のために0.1%以上必要である。一方、2%超になると、溶接性の劣化や、粒界脆化感受性を高めて好ましくないため、本発明においてはMnの範囲を0.1〜2%に限定する。
Pは不純物元素であり、0.03%を超えると溶接性を劣化させるため、0.03%以下に限定する。特に、0.015%以下にした場合に、耐食性及び溶接性に良好な影響を及ぼすため、好ましい。
Sも不純物元素であり、0.02%を超えると、スラッジの生成量を増加させる傾向がある。さらに、機械的性質、特に延性を著しく劣化させるため、0.02%を上限とする。S量は耐食性や機械的性質に対して少ないほど好ましく、0.007%以下が特に好ましい。
CuはMo、Wとともに0.01%以上含有させると、原油環境、バラスト環境、両環境における耐食性向上に有効であり、さらに固体Sの生成抑制にも効果がある。1.5%を超えて含有させてもそれらの効果はほぼ飽和し、逆に鋼片の表面割れの助長、継手靭性の劣化等、悪影響も顕在化するため、本発明では上限を1.5%とする。耐食性、スラッジ生成抑制効果と製造性とのバランスから、0.01〜0.5%がより好ましい。
Alは脱酸に有用な元素であり、またAlNにより母材の加熱オーステナイト粒径微細化に有効な元素である。さらに、固体Sを含む腐食生成物の生成抑制効果も有し、有益である。ただし、これらの効果を発揮するためには0.001%以上含有する必要がある。一方、0.3%を超えて過剰に含有すると、粗大な酸化物を形成して延性を劣化させるため、0.001%〜0.3%の範囲に限定する必要がある。
Nは固溶状態では延性、靭性に悪影響を及ぼすため、好ましくないが、V、AlやTiと結びついてオーステナイト粒微細化や析出強化に有効に働くため、微量であれば機械的特性向上に有効である。また、工業的に鋼中のNを完全に除去することは不可能であり、必要以上に低減することは製造工程に過大な負荷をかけるため好ましくない。そのため、延性、靭性への悪影響が許容できる範囲で、かつ、工業的に制御が可能で、製造工程への負荷が許容できる範囲として下限を0.001%とする。過剰に含有すると、固溶Nが増加し、延性や靭性に悪影響を及ぼす可能性があるため、許容できる範囲として上限を0.01%とする。
Mo、Wは原油環境での耐食性及び固体Sの析出抑制に対して、またバラスト環境における耐食性に対してCuと同様、重要な元素であり、0.01%以上のCuとともに含有させることが必要である。MoとWとはほぼ同等の効果を有し、Moは0.01〜0.5%、Wは0.01〜1%の範囲で、各々単独あるいは両方を含有させる必要がある。Mo、Wはともに0.01%以上含有させると、耐食性及び固体Sの析出抑制に明確な効果を生じる。一方、Moは0.5%、Wは1%を超えて含有させても耐食性及び固体Sの析出抑制の向上効果は飽和する一方で、溶接性や靭性を劣化させるため、Moは0.01〜0.5%、Wは0.01〜1%に限定する。なお、析出物の生成を抑制して固溶Mo、Wを確実に確保して、一層の耐食性向上を図るためには、Mo、Wの上限を各々、0.1%、0.2%とすることがより好ましい。
上記のMo、Wの範囲は必要条件ではあるが、耐食性に対してより有効に発揮させるためには、含有量を上記範囲とした上で、MoとWの固溶量を一定以上確保することがより好ましい。すなわち、Mo、Wとが粗大な析出物を形成すると、その周りに該元素の枯渇層を生じ、耐食性効果が損なわれるため、Mo、Wは極力均一に存在することが好ましい。固溶状態のMoとWとは耐食性に対して同等の効果を有するため、両元素の固溶量の合計が0.005%以上あれば耐食性が大幅に向上する。従って、固溶Mo量と固溶N量と固溶W量とを(6)式に示すように限定した。
なお、本発明における、耐食性向上に有効な固溶Mo、固溶Wとは、全含有量から抽出残渣分析によって求められた析出量を差し引いた量を指す。すなわち、抽出残渣分析では固溶とみなされるようなごく微細な析出物の場合はほぼ固溶状態に準じて均一に鋼中に存在しているとみなせるため、耐食性には有効に働く。
以上が本発明鋼における化学組成に関する基本要件とその限定理由であるが、本発明においては、さらに、鋼の諸特性の向上等の目的で、選択的に化学組成に関する限定をする。
Crは、強化元素であり、強度調整のために必要に応じて添加することは可能であるが、Crは局部腐食進展速度を最も加速する元素であるため、0.1%以上含有させると、原油環境における耐局部腐食性を劣化させ、かつ、固体Sの生成をやや促進する。そのため、本発明においては0.1%以上含有させることは好ましくない。バラスト環境における耐食性にも好ましくない。従って、意図的には含有させないか、含有させる場合でも0.1%未満が好ましい。
Ni、Coは、母材やHAZ靭性の向上に有効な元素であり、かつ、Cu、Moを含有する鋼において、耐食性の向上、スラッジ抑制にも効果がある。両元素とも0.1%以上含有させることによって初めて、靭性向上や耐食性向上効果が明確に発現する。一方、両元素とも3%を超えて過剰に含有させることは、両元素とも高価な元素であり、経済的に不適当であるのと、溶接性の劣化を招くため、本発明においては、Ni、Coとも、含有させる場合には0.1〜3%に含有量を限定する。
Sb、Sn、Pb、As、Bi、Seは、各々、0.01%以上含有させることによって、耐食性、特に液相部での局部腐食の進展をさらに抑制する効果を有するため、必要に応じて含有させる場合の下限は0.01%とするが、各々、0.3%を超えて過剰に含有させても効果が飽和するため、他の特性への悪影響の懸念もあり、経済性も考慮して、上限を0.3%とする。
Nb、V、Ti、Ta、Zr、Bは、微量で鋼の強度を高めるのに有効な元素であり、主に強度調整のために必要に応じて含有させる。各々効果を発現するためには、Nbは0.002%以上、Vは0.005%以上、Tiは0.002%以上、Taは0.005%以上、Zrは0.005%以上、Bは0.0002%以上含有させる必要がある。一方、Nbは0.2%超、Vは0.5%超、Tiは0.2%超、Taは0.5%超、Zrは0.5%超、Nは0.005%超で、靭性劣化が顕著となるため、好ましくない。従って、必要に応じて、Nb、V、Ti、Ta、Zr、Bを含有させる場合は、Nbは0.002〜0.2%、Vは0.005〜0.5%、Tiは0.002〜0.2%、Taは0.005〜0.5%、Zrは0.005〜0.5%、Bは0.0002〜0.005%に限定する。
Mg、Ca、Y、La、Ceは介在物の形態制御に有効で、延性特性の向上に有効であり、また、大入熱溶接継手のHAZ靭性向上にも有効であり、さらに、Sを固定することによるスラッジ生成抑制効果も弱いながらあるため、必要に応じて含有させる。本発明における各元素の含有量は効果が発現する下限から下限値が決定され、各々、Mg、0.0001%、Caは0.0005%、Yは0.0001%、Laは0.005%、Ceは0.005%を下限値とする。一方、上限値は介在物が粗大化して、機械的性質、特に延性と靭性に悪影響を及ぼすか否かで決定され、本発明では、この観点から上限値を、Mg、Caは0.01%、Y、La、Ceは0.1%とする。
以上が本発明における化学組成に関する限定理由であるが、さらに、鋼材のミクロ組織形態を規定することでより確実に溶接継手部の耐局部腐食特性を向上させることができる。すなわち、上記組成範囲の鋼材同士を溶接し、該溶接継手における溶接金属と鋼材とのCu、Mo、Wの組成比あるいは差を後述するように適正範囲に規定した場合、溶接金属及び鋼材の溶接熱影響部組織が、少なくともアシキュラーフェライトあるいはベイナイトを含む低温変態組織からなり、その場合に、鋼材のミクロ組織が少なくともベイナイトとマルテンサイトの1種または2種から構成され、該ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が30%以上であることが好ましい。ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が30%未満で、フェライトあるいはフェライト−パーライト主体組織となると、鋼材側の腐食が選択的に進むため、わずかながら鋼材の耐食性が劣化する。ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が30%以上であれば、組織的的には溶接金属、溶接熱影響部、鋼材が耐食性からみてほぼ同等となって、局部腐食を起こし難く、溶接継手全体としての耐食性が安定的に向上する。
上記理由により組成、組織を規定した鋼材同士を溶接して溶接継手を形成するに際し、溶接継手及び母材全体での均一腐食性を高め、溶接金属、鋼材各々の耐食性を有効に発現させて、溶接継手全体の耐食性を向上させるためには、溶接金属と鋼材の化学組成のバランスが重要で、特に耐食性発現に必須のCu、Mo、Wの溶接金属と鋼材との比が下記(1)式及び(2)式を満足する必要がある。
3≧溶接金属のCu含有量(質量%)/鋼材のCu含有量(質量%)≧0.15 ・ ・ ・(1)
3≧(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))
/(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))≧0.15 ・ ・ ・(2)
Cuに関して、(1)式に示すように溶接金属中の質量%/鋼材中の質量%が3超であると、溶接金属近傍の溶接熱影響部から母材にかけての鋼材が選択的に腐食されるため、好ましくない。一方、Cuの溶接金属中の質量%/鋼材中の質量%が0.15未満でであると、溶接金属が電気化学的に卑となって、溶接金属の局部腐食が顕著となるため避けるべきである。従って、質量%で3〜0.15としたが、3〜0.3が好ましい。また、Mo、Wも同様に規定する必要があるが、Mo、Wは腐食挙動に対してほぼ同等の効果を有するため、MoとWの合計量を規定すればよく、Cuと同様、(2)式に示すようにMoとWとの合計量で、溶接金属中の質量%/鋼材中の質量%は3〜0.15が必須であるが3〜0.3が好ましい。Cu、及びMo、Wの合計量、各々の溶接金属中の質量%/鋼材中の質量%は1に近い方が溶接金属あるいは鋼材のどちらかが選択的に腐食される可能性が小さく、(4)式及び(5)式に示すように、Cu、及び、MoとWの合計量、各々の溶接金属中の質量%/鋼材中の質量%は1.5〜0.3の範囲内とすることが、より好ましい。
さらに、バラストタンク(海水)環境で、選択腐食をおこさずに良好な耐食性を示す溶接継手を得るは、下記(3)式を満たす必要がある。
−0.3≦(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%)) ≦0.5 ・ ・ ・(3)
本発明者らはバラストタンク環境での溶接継手の選択腐食挙動と母材及び溶接金属の組成及び組織の影響を鋭意研究した結果、1)母材及び溶接金属の各々の腐食電位の差が起動力となり、電池を形成して異種金属接触腐食を生じること、2)腐食電位の差が一定値以下の場合、異種金属接触腐食はほとんど無視できること、3)腐食電位の差は、溶接金属中Cuと母材中Cuに支配的に依存すること、を明らかにした。
鋼材のCu含有量が溶接金属のCu含有量よりも0.3%を超えて多い場合、溶接金属部が選択的に加速腐食するので、(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%))の下限を−0.3に限定した。また、鋼材のCu含有量が溶接金属のCu含有量よりも0.5%を超えて少ない場合、母材熱影響部で顕著な選択腐食が発生するので、(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%))の上限を0.5%とした。より安定的にバラスト環境での継手全体の耐食性を確保するためには、(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%))は−0.2〜0.2がより好ましい。
以下に、本発明の効果を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
以上が、本発明の要件についての説明であるが、さらに、実施例に基づいて本発明の効果を示す。試作鋼は真空溶解または転炉により溶製し、インゴットまたは鋼片を鋼板に製造した。鋼板は水冷型の加工熱処理(TMCP)または熱間圧延後の再加熱焼入・焼戻し(QT)により所定の強度・靭性に調整された板厚15〜50mmの鋼板に製造した。比較例においては通常の熱間圧延(AR)、制御圧延(CR)により製造した鋼板も含む。表1、2に化学組成を示す。
Figure 2005021981
Figure 2005021981
表3には鋼板の製造方法、組織形態、固溶Mo、W量、機械的性質を示す。組織中のベイナイト、マルテンサイト相の測定は、表面下2mm、板厚の1/4、板厚中心部、各々の位置において10視野以上の走査型電子顕微鏡による倍率1000〜5000倍の組織写真を撮影し、画像解析装置により平均面積率(観察断面中の面積割合、%)を求めた。固溶Mo、W量は、黒皮を除去した鋼板全厚試料について抽出残渣分析により行った。鋼板(母材)の引張特性は圧延方向に直角な方向で板厚中心部から丸棒引張試験片を採取して室温にて測定した。鋼板の靭性は同様に圧延方向に直角な方向で板厚中心部から標準2mmVノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、種々の温度で試験を行って破面遷移温度(vTrs)を求めた。
Figure 2005021981
表1、2の化学組成を有する鋼片を用いて製造した表3の鋼板について、表4に示す化学組成の溶接材料を用いて、被覆アーク溶接(SMAW)あるいはサブマージアーク溶接(SAW)継手を作製した。表4の組成はSMAW溶接においては手棒の化学組成であり、SAW溶接においては溶接ワイヤの組成を示している。なお、SAW溶接においては、フラックスはJIS Z 3352相当のものを用いた。開先は全てV開先とした。
Figure 2005021981
表5には溶接条件と溶接金属(WM)中のCu、Mo、W量、及び、Cu、MoとWとの合計(Mo+W)の溶接金属と鋼板との成分比、さらに溶接金属中のCu量と鋼板中のCu量の差を示す。溶接材料を変化させることで、これらの成分比あるいは成分差を本発明の範囲外も含めて変化させている。
Figure 2005021981
表6、表7は原油環境の耐食性を評価するための腐食試験結果である。表6は継手としての耐局部腐食性を評価するための試験であり、表7は主として鋼材の耐全面腐食性とスラッジ生成挙動を評価するための試験である。一方、表8はバラスト環境での継手の耐食性を評価するための試験結果である。
Figure 2005021981
Figure 2005021981
Figure 2005021981
表6の継手としての耐局部腐食性を評価するための試験条件は下記の通りである。
表5に示す溶接方法で作成された溶接継手から試験片を採取して、原油油槽環境を模擬した環境での継手の腐食試験を行った。図1に模式図を示すように、溶接金属(WM)、溶接熱影響部(HAZ)、母材(BM)を含むように長さ80mm、幅40mm、厚さ4mmの試験片を溶接継手における鋼板表面1mmの位置から採取し、試験片全面を機械研削し、600番の湿式研磨後、80mm×40mmの表の一面のみを残して端面、裏面を塗料で被覆した。該試験片を、pHが0.2の、20mass%NaClを溶解した1体積%HCl水溶液、の2種類の腐食液中に浸漬した。浸漬条件は、液温30℃、浸漬時間24hで実施し、溶接金属(WM)、溶接熱影響部(HAZ)、母材(BM)各位置における最大腐食深さを測定し、腐食速度に換算(mm/年)して評価した。該腐食液組成は、実際の鋼構造物で局部腐食が発生する際の環境の条件を模擬したもので、該腐食試験での腐食速度の低減に応じて実環境で局部腐食の進展速度が低減される。
次に、鋼材の全面腐食性、スラッジ生成挙動を調査するための腐食試験条件は下記の通りである。
表3に示す鋼板から、長さ40mm、幅40mm、厚さ4mmの試験片を鋼板の板厚1/4位置が試験片の厚さ中心になるように採取した。試験片全面を機械研削し、600番の湿式研磨後、40mm×40mmの表面を残して裏面と端面を塗料で被覆した。試作鋼の腐食速度、及び、固体Sを主体とするスラッジの生成速度は図2に示す試験装置を用いて評価した。表9には、腐食試験で使用したガスの組成を示す。
Figure 2005021981
ガスは、露点調整水槽2を通して、一定の露点(30℃)に調整した後、試験チャンバー3に送った。腐食試験前に、NaClの付着量が1000mg/m2となるように、試験片4の表面にNaCl水溶液を塗布、乾燥させ、試験チャンバー内の恒温ヒーター板5に水平に設置した。ヒーター制御器6を制御することにより、図3に示すような、20℃×1時間と40℃×1時間の計2時間/サイクルの温度サイクルを与え、試験片表面で乾湿繰り返しが生じるようにした。720サイクル後に腐食減量から腐食速度を、試験片表面に生成した生成物質量からスラッジ生成速度を評価した。なお、生成物は化学分析及びX線分析で、オキシ水酸化鉄(鉄さび)及び固体Sであることは予備試験により確認している。
バラストタンク環境での耐食性を評価するための腐食試験条件は下記の通りである。
溶接継手から、図1と試験片サイズは異なるが、同様の位置関係で、溶接金属を中心に4mm厚×100mm幅×100mm長さの腐食試験片を採取した。試験片全面を機械研削し、600番の湿式研磨後、80mm×40mmの表の一面のみを残して端面、裏面を塗料で被覆した。試験面を下向きのまま、40℃人工海水中浸漬1週間−40℃湿度100%雰囲気保持1週間の試験を1サイクルとして12サイクル実施後、選択腐食の程度を、徐錆後板厚計測して評価した。
実施例のうち、先ず、機械的性質に関しては、表3に示すように、本発明の要件を満足している鋼板番号A1〜A16の鋼板は全て溶接構造用鋼として十分な母材特性を有していることが明らかである。比較例のうち、鋼板番号B3、B4は、成分含有量として各々Mo、Cが過剰なため、本発明の化学組成を有する鋼板に比べて靭性が著しく劣る。また、鋼板番号B6、B7は各々Cu、S量が過大なため、後述するように耐食性が劣るが、靱性も本発明例に比べて劣っており、好ましくない。
耐食性については、先ず表6の継手の局部腐食性をみると、鋼材の化学組成及び溶接金属と鋼材との化学組成比が本発明を満足している継手番号WA1〜WA18の溶接継手においては、溶接方法や入熱によらず、WM、HAZ、BMにわたってほぼ均一に腐食が生じており、かつその腐食速度も十分低くなっている。
一方、比較例の継手番号WB1〜WB9の溶接継手の場合は、下記に示しように、本発明の要件を満足していないために、上述したように、機械的性質が本発明に比べて劣っているか、あるいは/及び、局部的に腐食速度が著しく大きくなっていて原油環境中での溶接継手全体としての耐食性が本発明に比べて著しく劣ることが明白である。
すなわち、継手番号WB1及びWB2は、鋼材の化学組成のうち、耐食性確保に必須な元素の全部あるいは一部が含有されておらず、鋼材の化学組成が本発明を満足していないために、鋼材自体の耐局部腐食性が劣っており、そのため、WMに比べてHAZ、BMの腐食速度が著しく大きい。
継手番号WB3は、Moが過大に含有されているため、表3に示すように、鋼板の靭性が十分でない。また、鋼材の固溶Mo量が他の本発明例に比べて過小であるため、本発明例の中ではBMの腐食速度が若干大きい。
継手番号WB4は、C量が過大なため、鋼材の靭性が構造用鋼として十分でない。
継手番号WB5は、Crが意図的に添加されていて、含有量が過大なため、BM、HAZの腐食速度が著しく大きく、好ましくない。
継手番号WB6は、Cu及びMoについて、WMと鋼材との組成比、すなわち、溶接金属のCu含有量/鋼材のCu含有量、及び、(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))/(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))が過小なため、WMが選択的に腐食されて、WMの腐食速度が著しく大きくなるため、溶接継手としての耐食性が十分でない。また、上述したように、鋼材のCu含有量自体が過大なため、鋼材の靱性も劣る。
継手番号WB7は、鋼材のS含有量が過大なために鋼材の靱性、延性が劣る。耐局部腐食性は大きくは劣化していないが、本発明例に比べて若干見劣りする。
継手番号B8は、WM中のCu、Moが過大なため、溶接金属のCu含有量/鋼材のCu含有量、及び、(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))/(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))が過大となり、そのため、HAZの局部腐食が顕著となっており、継手全体の耐食性が劣る。
継手番号B9は、溶接金属中のCuが過小なため、溶接金属のCu含有量/鋼材のCu含有量が本発明範囲を逸脱して過小となり、WMが選択的に腐食され、好ましくない。
次に、鋼板について、主として耐全面腐食性と耐スラッジ性を調べた表7の結果によれば、本発明の化学組成を有する鋼板番号A1〜A16の鋼板の腐食速度とスラッジ生成速度はCu、Mo、Wのいずれをも含まない、比較例の鋼板番号B1の鋼板に比べて、ともに確実に30%以下に低減しており、優れた耐全面腐食性と耐スラッジ性を有することが明らかであり、従って、本発明の要件を満足する鋼を用いて形成された溶接継手においては、HAZ近傍のBMだけでなく、鋼材全体において良好な耐食性、耐スラッジ性を示すことができる。
一方、比較例の鋼板番号B1、B2、及び、B5、さらにB7は本発明の化学組成に関する要件を満足していないため、鋼板自体の耐全面腐食性と耐スラッジ性のいずれかあるいは両方が劣っており、本発明の要件を満足しない鋼を用いて形成した溶接継手全体としては十分な耐食性が期待できないことが明らかである。
すなわち、鋼板番号B1は、耐食性発現に必須のCu、Mo、Wのいずれをも含まないために鋼板自体の耐食性、耐スラッジ性も本発明例に比べて極めて劣る。
鋼板番号B2も、Mo、Wが含有されておらず、耐食性発現に必要な要件が達成されていないため、鋼板自体の耐食性、耐スラッジ性が本発明例に比べて劣る。
鋼板番号B5は、Cr量が高いために、特にスラッジの生成促進が著しく、好ましくない。耐全面腐食性も若干劣る。
鋼板番号B7は、S量が過大なため、耐全面腐食性、耐スラッジ性が劣る。特に耐スラッジ性の劣化が大きい。
なお、比較例のうち、鋼板番号B3、B4、及びB6は、耐全面腐食性、耐スラッジ性については改善されているものの、成分含有量として各々Mo、C、及びCuが過剰なため、本発明の化学組成を有する鋼板に比べて靭性が著しく劣っており、構造用鋼としては機械的性質が不十分な例である。
最後に、表8に示す試験結果により、バラスト環境における溶接継手の耐局部腐食性を示す。
鋼材の化学組成及び溶接金属と鋼材との化学組成比が本発明を満足している継手番号WA1〜WA18の溶接継手においては、バラスト環境を再現した腐食試験においても、溶接方法や入熱によらず、WM、HAZ、BMにわたってほぼ均一に腐食が生じており、かつその腐食速度も十分低くなっており、本発明により、バラスト環境において、継手全体として良好な耐食性が得られることが明白である。
一方、継手番号WB1〜WB2、WB5〜WB9は、バラスト環境での継手の耐食性に対して本発明の要件を満足していないために、バラスト環境において継手全体としての耐食性が劣っている例である。
すなわち、継手番号WB1及びWB2は、鋼材の化学組成のうち、耐食性確保に必須な元素の全部あるいは一部が含有されておらず、鋼材の化学組成が本発明を満足していないために、鋼材自体のバラスト環境での耐食性が劣っており、そのため、特にHAZ、BMの腐食量が著しく大きく、継手としての耐食性が十分でない。
継手番号WB5は、Crが意図的に添加されていて、含有量が過大なため、特にBM、HAZの腐食量が著しく大きく、好ましくない。
継手番号WB6は、鋼材のCu量が溶材に比べて過大なため、溶接金属のCuと鋼材のCuとの含有量の差が本発明の範囲を大きく逸脱しているため、特にWMの腐食量が大きく、継手全体としての耐食性が劣る。
継手番号WB7は、鋼材のS量が過大なため、バラスト環境の耐食性も若干劣る。
継手番号WB8は、WMのCu含有量が過大なため、HAZ、BMが選択的に腐食され、継手全体の耐食性としては劣る。
継手番号WB9は、継手番号WB8とは反対に、WMのCu含有量が過小なため、WMが選択的に腐食され、継手全体の耐食性としては劣る。
なお、比較例のうち、鋼板番号B3、B4、及びB6は、バラスト環境での継手耐食性は改善されているものの、成分含有量として各々Mo、C、及びCuが過剰なため、本発明の化学組成を有する鋼板に比べて靭性が著しく劣っており、構造用鋼としては機械的性質が不十分な例である。
以上の実施例から、本発明によれば、原油環境及びバラスト環境において、溶接継手全体として優れた耐食性を示し、さらに固体の硫黄分を含む腐食生成物(スラッジ)の生成を抑制できることが明白である。
原油環境における耐局部腐食性を調べるための継手の耐食性試験における試験片採取要領を模式的に示す図である。 原油環境における耐全面腐食性を調べるための腐食試験装置の構成図である。 図2の腐食試験装置を用いた腐食試験において、試験片に付加した温度サイクルを説明する図である。
符号の説明
1 混合ガス源
2 露点調整水槽
3 試験チャンバー
4 試験片
5 恒温ヒーター板
6 ヒーター制御部

Claims (9)

  1. 質量%で、
    C:0.001〜0.2%、
    Si:0.01〜2.5%、
    Mn:0.1〜2%、
    P:0.03%以下、
    S:0.02%以下、
    Cu:0.01〜1.5%、
    Al:0.001〜0.3%、
    N:0.001〜0.01%、
    を含有し、さらに、
    Mo:0.01〜0.5%、
    W:0.01〜1%
    の1種または2種を含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなる鋼材同士を溶接して溶接継手を形成するに際し、該溶接継手部における溶接金属のCu、Mo、W含有量が各々下記(1)〜(3)式を満足することを特徴とする、耐食性に優れた溶接継手。
    3≧溶接金属のCu含有量(質量%)/鋼材のCu含有量(質量%)≧0.15 ・ ・ ・(1)
    3≧(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))
    /(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))≧0.15 ・ ・ ・(2)
    −0.3≦(溶接金属のCu含有量(質量%)−鋼材のCu含有量(質量%)) ≦0.5 ・ ・ ・(3)
  2. 前記溶接継手部における溶接金属のCu、Mo、W含有量が各々下記(4)及び(5)式を満足することを特徴とする、請求項1に記載の耐食性に優れた溶接継手。
    1.5≧溶接金属のCu含有量(質量%)
    /鋼材のCu含有量(質量%)≧0.3
    ・ ・ ・(4)
    1.5≧(溶接金属のMo含有量+W含有量(質量%))
    /(鋼材のMo含有量+W含有量(質量%))≧0.3 ・ ・ ・(5)
  3. 鋼材の固溶Mo量と固溶W量とが下記(6)式を満足することを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
    固溶Mo+固溶W≧0.005% ・ ・ ・(6)
  4. 鋼材のCr含有量が0.1%未満であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
  5. 鋼材が質量%でさらに、
    Ni:0.1〜3%、
    Co:0.1〜3%、
    の1種または2種を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
  6. 鋼材が質量%でさらに、
    Sb:0.01〜0.3%、
    Sn:0.01〜0.3%、
    Pb:0.01〜0.3%、
    As:0.01〜0.3%、
    Bi:0.01〜0.3%、
    Se:0.01〜0.3%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
  7. 鋼材が質量%でさらに、
    Nb:0.002〜0.2%、
    V:0.005〜0.5%、
    Ti:0.002〜0.2%、
    Ta:0.005〜0.5%、
    Zr:0.005〜0.5%、
    B:0.0002〜0.005%、
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
  8. 鋼材が質量%でさらに、
    Mg:0.0001〜0.01%、
    Ca:0.0005〜0.01%、
    Y:0.0001〜0.1%、
    La:0.005〜0.1%、
    Ce:0.005〜0.1%
    の1種または2種以上を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
  9. 鋼材のミクロ組織が少なくともベイナイトとマルテンサイトの1種または2種から構成され、該ベイナイトとマルテンサイトの合計の面積率が30%以上であることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の耐食性に優れた溶接継手。
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