JP2005021948A - 摩擦スポット接合方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦スポット接合方法において、板材自体の強度をあまり低下させることなく接合強度を向上させるとともに、接合時の板材の曲がりを防止し、さらに、接合開始時の回転ツールの旋回安定性を向上させることにより、接合強度のばらつきを低減する。
【解決手段】接合軸X(軸線)を中心として回転する回転ツール4と、該回転ツール4の先端面42と形状及び面積が略同等の先端面52を有する固定ツール5とをそれらの先端面42,52同士が対向するように配置する。そして、複数の板材からなるワークWの接合位置(接合部位)が前記接合軸X上に位置するように、前記回転ツール4の先端面42と固定ツール5の先端面52との間に前記ワークWを配置する。前記固定ツール5の先端面52には前記接合軸Xに沿って突出するピン53(ピン部)を設ける。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の板材を重ね合わせて、その接合部位の材料を塑性流動させて接合するスポット接合方法及びそのための接合装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、板材のスポット接合方法としては、抵抗溶接法やリベットによる機械的締結法等が知られている。
【0003】
しかし、抵抗溶接法には、接合時に大容量の電源が必要であること、溶接電極は汚染や損耗により寿命が短いこと、電極の冷却のために冷却水の供給設備が必要であること等、ランニングコストや品質管理の面での課題があり、リベットによる機械的締結方法には、リベット材が多数必要であることや、そのリベットにより接合物の重量の増加を招くこと等の課題がある。
【0004】
これに対し、近年、接合物の重量増加を招くことなく、安価なランニングコストで接合する方法として、摩擦スポット接合法が提案されている(例えば、後述する引用文献1、2を参照)。この方法は、先端面から突出するピンを備えた回転ツールと、複数の板材からなるワークを支持する受け具(固定ツール)とを用いて、前記回転ツールの回転により板材内に塑性流動を生じさせることによって接合を行うものである。
【0005】
具体的には、前記回転ツールと受け具とで前記ワークの接合部位を挟み込むとともに、前記回転ツールを回転させながらその回転軸の方向に押圧することにより、ピンを前記ワーク内に圧入する。そして、回転ツールの回転により発生した摩擦熱によって接合部位の材料を軟化させて、該回転ツールを前記ワーク内にさらに圧入するとともに、該ワークの板材の境界付近で材料に塑性流動を発生させる。
【0006】
前記回転ツールによって前記境界付近の材料を十分に塑性流動させた後、該回転ツールを板材から引き抜き、軟化した材料を硬化させる。こうして、複数の板材を点状に接合することができる。
【0007】
摩擦スポット接合法を用いた例としては、例えば、特許文献1に示すように、先端面が平らな固定ツールで複数の板材を支持し、先端面にピンを備えた回転ツールを回転させながら板材内に圧入することにより複数の板材の境界付近で塑性流動を生じさせる方法や、特許文献2に示すように、接合時間を短縮するために、固定ツールの先端を先細りのテーパ形状にすることにより板材との接触面積を減らし、前記回転ツールの回転により生じる摩擦熱の放熱を抑えるような構成としたものがある。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−314982号公報
【特許文献2】
特開2002−292479号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような摩擦スポット接合法では、十分な接合強度を得るためには接合部位における板材の境界付近で十分に塑性流動を生じさせるのが好ましい。そのためには、回転ツールのピンを板材内へ深く圧入する必要があるが、その場合には、ピンだけでなく前記回転ツールの先端面も一緒に材料内に圧入することになるため、該回転ツールの先端面によって板材に大きな穴が形成され、このことにより、板材自体の強度低下を招いてしまう。
【0010】
また、特許文献1に示すような従来の摩擦スポット接合法では、回転ツールの板材への圧入開始時に、該回転ツールの回転によって板材が微妙に移動してしまい、該回転ツールの旋回安定性が損なわれる可能性がある。これにより、接合後の接合部位の見栄えが悪くなるばかりか、十分に板材を軟化させることができないため接合強度のばらつきが発生しやすくなり、さらには回転ツールを損傷させるなどの問題が生じる可能性がある。
【0011】
さらに、特許文献2のように、受け具の先端に先細りのテーパ形状を設けた場合には、接合時に板材を支持する受け具と該板材との接触面積が、回転ツールの先端面と板材との接触面積に比べて小さくなるため、該回転ツールを板材に押圧すると該板材が受け具側に曲がる可能性がある。
【0012】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、摩擦スポット接合方法において、板材自体の強度をあまり低下させることなく接合強度を向上させるとともに、接合時の板材の曲がりを防止し、さらに、接合開始時の回転ツールの旋回安定性を向上させることにより、接合強度のばらつきを低減することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の解決手段では、回転ツールの先端面に対向する固定ツールの先端面にもピン部を設けて、前記回転ツールのピン部を板材の接合部位に圧入するときに、その反対側から前記固定ツールのピン部を進入させて、材料を回転ツール側に押し込むようにした。
【0014】
具体的には、請求項1の発明では、軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを用い、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合する摩擦スポット接合方法を対象とする。
【0015】
そして、前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部を設け、前記回転ツールのピン部を前記板材の接合部位に圧入するときに、この接合部位に反対側から前記固定ツールのピン部を進入させて、当該固定ツールの先端面により板材を支持するものとする。
【0016】
この方法によれば、固定ツールと回転ツールとの間に複数の板材を挟んで、該回転ツールを回転させながらそのピン部を板材に圧入することにより、回転による摩擦熱で材料を軟化させて、塑性流動を生じさせる。このときに、前記固定ツールの先端に設けたピン部が前記軟化された材料を回転ツール側へ押し込むことで、該回転ツールの先端面を板材内に深く圧入することなく、接合部位における複数の板材の境界付近で十分な塑性流動を生じさせることができる。このことにより、接合部位における板材自体の強度低下を防ぎながら、前記接合部位における板材の境界付近での塑性流動を促進して、該境界付近での接合強度を向上させることができる。
【0017】
また、回転ツールの回転による摩擦熱で軟化した材料を固定ツールのピン部で回転ツール側に押し込むことにより、前記軟化した材料を回転ツールの近傍に移動させることができるため、該回転ツールの回転による塑性流動を効率良く生じさせることができ、接合時間を短縮することができる。
【0018】
また、固定ツールのピン部が接合部位に進入した状態では、該固定ツールの先端面で板材を支持するようにしたため、該固定ツールと板材との接触面積を十分に大きくして、該板材が固定ツール側に曲がらないようにすることができる。
【0019】
さらに、回転ツールのピン部を板材へ圧入するときに、該回転ツールを板材に押圧することによって該板材が固定ツール側に押され、該固定ツールのピン部が前記板材に食い込むことになるため、板材が固定ツールに対して滑るのを防止して、回転ツールの回転を安定させることができる。
【0020】
請求項2の発明では、軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを用い、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合する摩擦スポット接合方法を対象とする。
【0021】
そして、前記複数の板材のうち、前記固定ツール側に配置する板材以外の少なくとも一枚の板材には、前記接合部位を貫通する貫通孔を形成しておき、前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部を設け、前記回転ツールのピン部を前記板材の接合部位に圧入するときに、この接合部位に反対側から前記固定ツールのピン部を進入させて、該固定ツール側の板材の一部を前記貫通孔へ押し込むとともに、当該固定ツールの先端面により板材を支持するものとする。
【0022】
この方法によれば、摩擦スポット接合方法において、固定ツールの先端面にピン部を設けるとともに、固定ツール側の板材を除いた少なくとも一枚の板材の接合部位に貫通孔を設け、回転ツールにより軟化させた材料を該回転ツール側から貫通孔内に押し込むとともに、固定ツールのピン部によって該固定ツール側からも材料を前記貫通孔内に押し込むことで、回転ツールを板材に深く圧入することなく、前記貫通孔近傍の板材の境界で十分な塑性流動を生じさせることが可能になり、3枚以上の複数の板材を接合する場合や厚い板材を接合する場合でも板材自体の強度をあまり低下させることなく、接合強度を向上させることができる。
【0023】
また、固定ツール側を除く少なくとも一枚の板材の接合部位に貫通孔を設けたことで、該貫通孔内に回転ツールが進入しやすくなり、該回転ツールを複数の板材の境界付近で十分な塑性流動が生じる深さまでより早く圧入することができ、接合時間を大幅に短縮することができる。
【0024】
また、請求項1の発明と同様に、固定ツールのピン部が接合部位に進入した状態では、該固定ツールの先端面が板材を支持するようにしたため、該板材が前記固定ツール側に曲がらないようにすることができる。
【0025】
さらに、固定ツール側の板材を除いた少なくとも一枚の板材の接合部位に貫通孔を設けることにより、該貫通孔がない場合に比べて前記固定ツール側の板材を容易に該貫通孔側へ変形させることができるため、回転ツールの板材への圧入開始時には、前記固定ツールのピン部が板材に容易に食い込むことができ、回転ツールの回転を安定させることができる。
【0026】
請求項3の発明では、請求項1または2のいずれか一つの発明において、固定ツールの先端面は、回転ツールの先端面と形状及び面積が略同等であるものとする。これにより、板材を固定ツールの先端面で支持している状態で回転ツールを板材に押圧した場合には、前記固定ツールと板材との接触部分が、前記回転ツールと該板材との接触部分の形状や面積にほぼ等しくなるため、該板材が前記固定ツール側や回転ツール側に曲がらないようにすることができる。
【0027】
請求項4の発明では、軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを備え、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合するようにした摩擦スポット接合装置を対象とする。そして、前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部が設けられているものとする。この摩擦スポット接合装置を用いれば、請求項1または2の各発明の摩擦スポット方法を実行して、それらの発明の作用及び効果を得ることができる。
【0028】
請求項5の発明では、請求項4の発明において、固定ツールのピン部が、回転ツールの軸線と同軸の円柱状であるものとする。こうすれば、回転ツールの回転によって軟化された材料を固定ツールの円柱状のピン部により効果的に回転ツール側に押し込むことができるため、該回転ツールによる塑性流動を複数の板材の境界付近で効率良く生じさせることが可能になり、接合強度を一層向上させることができる。
【0029】
請求項6の発明では、請求項4または5のいずれか一つの発明において、固定ツールの先端面は、回転ツールの先端面と形状及び面積が略同等であるものとする。このことにより、板材が固定ツール側及び回転ツール側のいずれにも曲がらないという請求項3の発明の作用効果を得ることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。
【0031】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る摩擦スポット接合装置Aの概略構成を示しており、この接合装置Aは、例えば自動車のボディ等に用いられるアルミニウム合金等の複数の板材を、厚み方向に重ねた状態で点状に接合するためのものである。
【0032】
前記摩擦スポット接合装置Aは、複数の板材を厚み方向に重ねたワークの接合を行う接合ガン1を備えており、この接合ガン1は、ロボット2の手首に取り付けられている。このことにより、前記接合ガン1は、図示しない治具に固定された前記ワークの接合位置(接合部位)にロボット2によって位置付けられ、該ワークの接合を行うようになっている。
【0033】
前記ロボット2には、例えば汎用の6軸垂直多関節型ロボットを用いることができる。このロボット2は、ハーネス31により制御盤3と接続されている。また、前記接合ガン1も、前記ロボット2に設けられた中継ボックス34を介して、ハーネス32,33により前記制御盤3と接続されている。該制御盤3は、前記ロボット2の6軸及び、詳しくは後述するが、前記接合ガン1に設けられた2つのモータ11,12の2軸の合計8軸を同期制御するように構成されている。
【0034】
前記接合ガン1は、図2に示すように、略円柱状の回転ツール4と固定ツール5とからなる接合ツール6を備えており、該回転ツール4と固定ツール5とによりワークWの接合位置を挟み込むようになっている。なお、前記回転ツール4及び固定ツール5は、前記接合ガン1に対してそれぞれ着脱可能に取り付けられている。
【0035】
前記回転ツール4は、2つの板材W1,W2を、その厚み方向に重ねたワークWの重ね面S1に対して直交する接合軸X(軸線)上に配設されていて、回転軸モータ11によって、この接合軸X回りに回転するように構成されている。また、前記回転ツール4は、押圧軸モータ12によって、前記接合軸Xに沿って昇降するように構成されている。前記回転軸モータ11には、インダクションモータやサーボモータ等を用い、前記押圧軸モータ12には、サーボモータを用いるのが好ましい。
【0036】
一方、前記固定ツール5は、略L字状のアーム13の先端に取り付けられていて、ワークWを挟んで前記回転ツール4と相対向するように前記接合軸X上に配設されている。
【0037】
次に、前記回転ツール4及び固定ツール5の先端部分の形状について、図3を参照しながら詳細に説明する。
【0038】
前記回転ツール4は、円柱状の本体部41と、この本体部41の先端面42から前記接合軸Xに沿って突出する円柱状のピン43(ピン部)とにより構成されている。そして、図示はしないが、このピン43の周面には、逆ねじが設けられており、該ピン43が前記ワークW内に沈み込んだ状態で回転することにより、該ピン43周辺の材料を掻き混ぜるようになっている。
【0039】
一方、前記固定ツール5は、前記回転ツール4の本体部41の先端面42と形状及び面積が略同等の先端面52を有する円柱状の本体部51と、該本体部51の先端面52から前記接合軸Xに沿って突出する円柱状のピン53(ピン部)とにより構成されている。このピン53の断面は、前記回転ツール4のピン43の断面と形状及び面積が略同等である一方、該ピン53の長さは、前記回転ツールのピン43よりも短くなっている。
【0040】
次に、前記摩擦スポット接合装置AによるワークWの接合方法について説明すると、まず、図示省略の治具によってワークWを固定し、接合ガン1を、ロボット2によって前記ワークWの接合位置に配置させる。詳しくは、接合軸X上にワークWの接合位置がくるように、接合ガン1の回転ツール4及び固定ツール5の間にワークWを配置する。そして、前記固定ツール5の先端を、ワークWの下面に当接させる。
【0041】
その後、後述するように、前記接合ガン1によってワークWの接合を行い、その接合位置でのワークWの接合が完了した後、前記接合ガン1をロボット2によって次の接合位置に移動させる。このようにして、ワークWの所定の位置での接合を順次行う。なお、ワークWを接合するときには、接合ガン1のアーム13にたわみが生じるため、ロボット2の制御によって、このアーム13に取り付けられた固定ツール5の先端位置の補正を行う。こうした位置補正は、従来から行われている制御ロジックを適用すればよい(例えば溶接ガンを用いた抵抗溶接の際に行われている制御ロジックなど)。
【0042】
次に、前記接合ガン1によるワークWの接合手順について、図4を参照しながら詳細に説明する。なお、図4は、図3に示す接合ツール6によってワークWを接合する様子を示したものであり、同一の部材については同一の符号を付している。
【0043】
まず、図4(a)に示すように、接合ガン1の回転軸モータ11により、回転ツール4を接合軸Xまわりに回転させる。そして、前記回転ツール4の回転数が目標回転数に到達した後、該回転ツール4を回転させながら、押圧軸モータ12によってワークWの表面に当接するまで該回転ツール4を下降させる。これにより、前記回転ツール4と固定ツール5とで前記ワークWを挟み込むとともに、このワークWを接合軸X方向(図4で下方向)に押圧する。こうして、前記回転ツール4のピン43を前記ワークW内に圧入する。
【0044】
ここで、前記回転ツール4をワークWに押圧することにより、該ワークWが前記固定ツール5側に押されるため、前記固定ツール5の先端に設けたピン53が前記ワークW内に圧入することになる。このことにより、前記回転ツール4がワークW内にまだ十分に沈み込んでいない「回転ツールの板材への圧入開始時」の状態でも、該ワークWが前記回転ツール4の回転に伴い滑らないようにすることができる。すなわち、前記固定ツール5のピン53を前記ワークW内に食い込ませることにより前記回転ツール4の回転軸がずれないようにすることができるため、該回転ツール4をより安定した状態で回転させることができる。このことにより、前記ワークWや回転ツール4が損傷しないようにすることができるとともに、前記回転ツール4とワークWとの摩擦熱を十分に発生させることが可能になり、接合強度のばらつきを低減することができる。
【0045】
次に、前記回転ツール4を回転させた状態で、さらにワークWへ押圧する。このことにより、前記回転ツール4のピン43がワークWを切削し、発熱するとともに、該ピン43がワークW内に沈み込んだ後には、前記回転ツール4の先端面42とワークWの表面との摩擦によって摩擦熱を生じる。
【0046】
このとき、前記固定ツール5は、ピン53がワークWの下面に食い込んだ状態のため、該固定ツール5とワークWとの接触面積は、ピン53のない場合に比べて小さくなり、固定ツール5を介して放熱される放熱量も小さくなる。その結果、ワークWの接合位置の近傍は比較的早期に軟化されるため、前記回転ツール4のピン43は、該軟化したワークW内により早く沈み込むことができる。
【0047】
また、前記回転ツール4の回転により生じた摩擦熱は、前記ワークWの板材W1からW2へ伝達され、該板材W2も軟化するため、固定ツール5のピン53は、前記回転ツール4のワークWへの押圧力に応じて該ワークW内に圧入され、前記軟化した板材W2を前記回転ツール4側へ押し込むことになる。
【0048】
そして、図4(b)に示すように、前記回転ツール4のピン43及び固定ツールのピン53をワークW内に圧入した状態で、この回転ツール4の回転及び押圧を継続させる。これにより、前記ワークW内の材料を掻き混ぜて塑性流動を生じさせる。
【0049】
このように、前記固定ツール5のピン53がワークWの軟化した材料を回転ツール4側に押し込んだ状態で、該回転ツールの回転によって材料の塑性流動を生じさせるようにしたため、該回転ツール4のピン43をワークW内に深く沈み込ませることなく、すなわち図4(c)に示すように該回転ツール4の先端面42をワーク内に深く沈み込ませることなく、該回転ツール4のピン43によって接合位置の材料を十分に掻き混ぜることが可能になる。
【0050】
そして、前記回転ツール4の回転及び押圧を継続させることにより、ワークW内の塑性流動範囲(図に点状で示した範囲)を拡大させる。
【0051】
このとき、前記回転ツール4の先端は、ワークWの板材の境界S1付近まで沈み込んでおり、該境界の界面を上下方向に大きく又は緻密にねじるように、材料に塑性流動を生じさせている。また、前記回転ツール4の先端面42は、ワークWの表面に当接しており、この先端面42とワークWの表面との接触面積がピン43と該ワークWとの接触面積に比べて大きくなるため、発熱量は接合初期よりも増大し、ワークW内の塑性流動範囲を短時間で拡大させることができる。
【0052】
一方、前記固定ツール5は、前述のとおり前記回転ツール4のワークWへの押圧力により該固定ツール5のピン53が前記ワークW内に沈み込んだ後、前記固定ツール5の先端面52で前記ワークWを支持することになる。そのため、前記固定ツール5の先端面52と前記ワークWとの接触面は、前記回転ツール4のワークWに対する接触面(回転ツール4の先端面42)の形状及び面積と略同等になる。つまり、前記回転ツール4のワークWへの押圧力を前記固定ツール5の先端面52で受けることになるため、該ワークWの前記固定ツール側5への変形を抑えることができる。なお、この実施形態では固定ツール5を固定しているが、固定ツール5を接合軸X方向にワークWに押圧するようにした場合でも、上述のように前記回転ツール4及び固定ツール5のワークWに対する接触面を略同等にすることにより、前記ワークWの回転ツール4側への変形を抑えることができる。
【0053】
このようにして、ワークW内の塑性流動を所定時間継続させた後、回転ツール4を回転させたまま、押圧軸モータ12によってこの回転ツール4を上昇させ、該回転ツール4をワークW内から引き抜く。このとき、同時に固定ツール5もワークW内から引き抜く。
【0054】
その後、ワークWは急激に冷却されて硬化し、ワークWの接合が完了する。
【0055】
このように、実施形態1に係る接合方法によれば、固定された固定ツール5の先端面52から突出するようにピン53を設けるとともに、回転ツール4を回転させながらワークWに押圧することにより、回転ツール4の回転による摩擦熱で軟化したワークWを前記ピン53によって該回転ツール4側に押し込むことができる。このことにより、前記回転ツール4をワークW内に深く沈み込ませることなく、すなわち前記回転ツール4の先端面42をワークW内に深く沈み込ませることなく、接合位置におけるワークW内、特に板材W1,W2の重ね面S1付近で十分な塑性流動を生じさせることができる。したがって、前記回転ツール4の先端面42がワークW(板材W1)に深く圧入されることによる接合部位の板厚の減少を防止ることができるため、板材自体の強度を低下させることなく、重ね面S1付近で十分な接合強度を得ることができる。
【0056】
また、軟化した材料を固定ツール5により回転ツール4側へ押し込むようにしたため、該軟化した材料を回転ツール4のより近傍に移動させることができ、該回転ツール4によって効率良く塑性流動を生じさせることができる。このことにより、接合時間を短縮することができる。
【0057】
なお、前記固定ツール5のピン53の形状は、前記回転ツール4の円柱状のピン43と形状や面積が略同等の断面を有するものに限らない。以下に、ピン53に他の形状を適用した場合の例について説明する。
【0058】
図5に、前記ピン53が回転ツール4のピン43とは断面の大きさが異なる円柱状の場合を示す。図5(a)は、前記ピン53が回転ツール4のピン43よりも大きい場合を示している。この場合には、材料を前記回転ツール4側に押し込む面積が大きくなるため、より広い範囲の材料を該回転ツール4で掻き混ぜることが可能になる。すなわち、より広い範囲での接合を行うことができるため、ワークWの接合強度を向上させることができる。なお、このピン形状では、前記ピン53に図3のピン形状と同じ力が加わった場合に、該ピン53の先端の圧力が図3のものに比べて小さくなるため、ワークWの固定ツール5側の板材W2が薄板で軟質材の場合に用いると効果的である。
【0059】
前記図5の(b)は、固定ツール5のピン53の断面が回転ツール4のピン43よりも小さい場合を示している。このピン形状では、図3のピン形状と同じ力が加わった場合には、ワークWに対するピン53の先端の圧力が大きくなるため、該ピン53がワークWに圧入されやすくなり、該ピン53のワークWに対する押し込み速度を速くすることができる。このことにより、回転ツール4側に材料をより速く押し込むことができるようになるため、接合を短時間で行うことができる。なお、このピン形状では、ピン先端の圧力を大きくすることができるため、ワークWの固定ツール5側の板材W2が硬質材の場合に用いると効果的である。
【0060】
次に、回転ツール4の旋回安定性をさらに向上させるために、固定ツール5のピン53を円柱状以外の形状にした場合を図6に示す。図6(a)は、前記ピン53が半球状の場合を示しており、このピン形状では、先端が平面の円柱状の場合に比べてワークW内へ押し込まれやすい形状になっているため、前記回転ツール4の旋回安定性をより向上させることができる。また、ワークW内へ押し込まれやすい半球状の形状にすることにより、該ワークWに対する押し込み速度を速くすることができる。
【0061】
前記図6の(b)は、前記ピン53が円錐状の場合を示しており、この形状では、前述の半球状の場合(図6(a))よりもさらにワークW内に押し込み易い形状になっているため、前記回転ツール4の旋回安定性を一層向上させることができるとともに、ワークWに対する押し込み速度もさらに向上させることができる。
【0062】
なお、上記のようなピン形状の中から前記ピン53にどの形状を用いるかは、ワークWの板材の厚みや材質、要求される接合時間や接合強度等の条件を考慮して決める。
【0063】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係る接合手順を示し、この実施形態2の接合ツール6は実施形態1のもの(図4参照)と同じ構成であり、接合するワークが一部異なるだけなので、以下、同一の部分には同一の符号を付し異なる部分だけを説明する。すなわち、この実施形態2では、3枚の板材W10,W11,W12を厚み方向に重ね、その中間板W11に貫通孔を設けたワークWの接合手順について説明する。
【0064】
前記ワークWは、図7(a)に示すように比較的薄い板W10,W12の間に比較的厚い板W11を挟んだ構成になっており、その厚板W11には、接合軸Xに沿って貫通孔H10が設けられている。なお、この貫通孔H10は、上述した回転ツール4のピン43よりも大きい断面を有している。
【0065】
以下に、接合ツール6によって前記ワークWを接合する手順を説明する。
【0066】
まず、このワークWに回転ツール4を回転させながら押圧すると、該回転ツール4とワークW表面との間で摩擦が生じ、その摩擦熱により薄板W10が軟化する。さらに前記回転ツール4を前記ワークWに押圧することにより、図7(b)に示すように、前記軟化した薄板W10の一部が該回転ツール4のピン43によって厚い板W11の貫通孔H10内に押し込まれる。
【0067】
一方、前記回転ツール4の回転により発生する摩擦熱は、該回転ツール4側の薄板W10だけでなく、厚い板W11を介して固定ツール5側の薄板W12まで伝達され、該薄板W12も軟化させる。この状態で、前記回転ツール4のワークWへの押圧に伴い該ワークWが固定ツール5側に押されるため、該固定ツール5が前記ワークWの薄板W12を貫通孔H10内に押し込むことになる。
【0068】
そして、前記回転ツール4は回転しながらワークWの貫通孔H10内に圧入されることにより、該貫通孔H10内に押し込まれた材料を掻き混ぜて塑性流動を生じさせる。さらに、前記回転ツール4のピン43が前記貫通孔H10に挿入された状態では、前記回転ツール4の先端面42がワークWの表面との間で摩擦を生じるため、その摩擦熱により前記貫通孔H10周辺の材料を軟化させる。この軟化した材料も、前記回転ツール4の先端面42及びピン43により前記貫通孔H10内に押し込まれ、該回転ツール4の回転により掻き混ぜられる。このことにより、図7(c)に示すように、貫通孔H10内及びその周辺で材料の塑性流動を生じさせることができるため、該貫通孔H10近傍の重ね面S10,S11でも材料の塑性流動を生じさせることができる。
【0069】
こうして、厚板W11、薄板W10,W12の3枚の板材からなるワークWをスポット接合することができる。
【0070】
この実施形態2に係る接合方法では、固定ツール5の先端にピン53を設けるとともに、ワークWに貫通孔H10を設け、回転ツール4の回転による摩擦熱で軟化した材料を回転ツール4及び固定ツール5で前記貫通孔H10内に押し込むようにしたため、該貫通孔H10内の各板材の重ね面S10,S11付近で十分な塑性流動を生じさせることができ、3枚の板材からなるワークでも十分な接合強度を得ることができる。また、回転ツール4をワークW内に深く沈み込ませることなく、塑性流動を生じさせることができるため、前記回転ツール4の先端面42がワークW内に深く圧入されることによる板材の厚みの減少を防ぐことができ、板材自体の強度低下を防ぐことができる。
【0071】
そして、前記貫通孔H10を設けることにより、回転ツール4をワークW内により早く沈み込ませることができるとともに、貫通孔H10内に軟化した材料を押し込むことにより、回転ツール4の周辺にワークWの材料を集めることができるため、該回転ツール4による塑性流動をより早く且つ効率よく行うことができ、接合時間を大幅に短縮することができる。
【0072】
また、前記実施形態1と同様に、前記固定ツール5のピン53がワークWに圧入された状態では、該固定ツール5の先端面52で前記ワークWを支持することができ、該先端面52とワークWとの接触面は前記回転ツール4の先端面42と前記ワークWとの接触面と形状及び面積が略同等になるため、該ワークWが固定ツール5側に曲がらないようにすることができる。
【0073】
さらに、ワークWに貫通孔H10を設けることにより、回転ツール4の該ワークWへの圧入開始時には、固定ツール5のピン53がワークWに容易に食い込んで、前記回転ツール4の回転軸を安定させることができる。
【0074】
(実施形態3)
図8は、本発明の実施形態3に係る接合手順を示し、この実施形態3の接合ツール6も前記実施形態1、2のもの(図4、図7参照)と同じ構成であり、接合するワークが一部異なるだけなので、以下、同一の部分には同一の符号を付し異なる部分だけを説明する。すなわち、この実施形態3では、3枚の板材W20,W21,W22を厚み方向に重ねるとともに、回転ツール4側に配設された板材W20,W21に貫通孔を設けたワークWの接合手順について説明する。
【0075】
前記ワークWは、図8(a)に示すように回転ツール4側から比較的厚い板W20、比較的薄い板W21,W22の順に厚み方向に重ねられており、該厚板W20及び薄板W21には、接合軸Xに沿って貫通孔H20,H21が設けられている。なお、これらの貫通孔H20,H21は、上述した回転ツール4のピン43よりも大きい断面を有しているものの、該貫通孔H20,H21の孔径は前記回転ツール4の沈み込み量に関係するため、前記ワークWの各板材の厚みや材質等を考慮してそれらの孔径を決定する。
【0076】
以下に、接合ツール6によって前記ワークWを接合する手順を説明する。
【0077】
まず、このワークWに回転ツール4を回転させながら押圧すると、該回転ツール4のピン43は貫通孔H20,H21内に挿入されるとともに、該回転ツール4の先端面42とワークW表面との間で摩擦が生じ、その摩擦熱により前記貫通孔H20,H21周辺の厚板W20が軟化する。さらに回転ツール4をワークWに押圧することにより、図8(b)に示すように、前記軟化した厚板W20の一部が該回転ツール4の先端面42により貫通孔H20,H21内に押し込まれる。
【0078】
一方、前記回転ツール4の先端面42とワークWとの間で発生する摩擦熱は、該回転ツール4側の厚板W20だけでなく、薄板W21を介して固定ツール5側の薄板W22まで伝達され、該薄板W22も軟化させる。この状態で、前記回転ツール4をワークWへ押圧することにより、ワークWが固定ツール5側に押され、該固定ツール5が前記ワークWの薄板W22の一部を貫通孔H20,H21内に押し込む。
【0079】
そして、前記回転ツール4を回転させながらワークWの貫通孔H20,H21内に圧入することにより、図8(c)に示すように、該貫通孔H20,H21内に押し込まれた材料を掻き混ぜ、塑性流動を生じさせる。このことにより、貫通孔H20,H21近傍の重ね面S20,S21で塑性流動を生じさせることができるため、3枚の板材W20,W21,W22からなるワークWを接合することができる。
【0080】
この実施形態3に係る接合方法では、固定ツール5側以外の2枚の板材W20,W21に貫通孔H20,H21を設けるとともに、軟化した板材を回転ツール4及び固定ツール5により前記貫通孔H20,H21内に押し込むようにしたため、該貫通孔H20,H21内の各板材の重ね面付近で十分な塑性流動を生じさせることができ、3枚の板材からなるワークでも十分な接合強度を得ることができる。また、必要以上に回転ツール4をワークW内に沈み込ませることなく、塑性流動を生じさせることができるため、板材の厚み減少による板材自体の強度低下を防ぐことができる。
【0081】
そして、固定ツール5側以外の2枚の板材W20,W21に貫通孔H20,H21を設けることにより、前記実施形態2に比べて回転ツール4をワークW内により一層早く沈み込ませることができるため、該回転ツール4による塑性流動をさらに早く且つ効率よく行うことができ、接合時間を大幅に短縮することができる。
【0082】
また、前記実施形態1及び2と同様に、前記固定ツール5のピン53がワークWに圧入された状態では、該固定ツール5の先端面52で前記ワークWを支持することができるため、該ワークWが固定ツール5側に曲がらないようにすることができる。
【0083】
(実施形態4)
図9は、本発明の実施形態4に係る接合手順を示し、この実施形態4の接合ツール6もまた実施形態1〜3のもの(図4等参照)と同じ構成であり、接合するワークが一部異なるだけなので、以下、同一の部分には同一の符号を付し異なる部分だけを説明する。すなわち、この実施形態4では、2枚の板材W30,W31を厚み方向に重ねるとともに、回転ツール4側に配設された板材W30に貫通孔を設けたワークWの接合手順について説明する。
【0084】
前記ワークWは、図9(a)に示すように回転ツール4側から比較的厚い板W30、比較的薄い板W31の順に厚み方向に重ねられており、その厚板W30には、接合軸Xに沿って貫通孔H30が設けられている。なお、この貫通孔H30は、上述した回転ツール4のピン43よりも大きい断面を有している。
【0085】
以下に、接合ツール6によって前記ワークWを接合する手順を説明する。
【0086】
まず、このワークWに回転ツール4を回転させながら押圧すると、該回転ツール4のピン43は貫通孔H30内に挿入されるとともに、該回転ツール4の先端面42とワークW表面との間で摩擦が生じ、その摩擦熱により前記貫通孔H30周辺の厚板W30が軟化する。さらに回転ツール4をワークWに押圧することにより、図9(b)に示すように、前記軟化した厚板W30の一部が該回転ツール4の先端面42により貫通孔H30内に押し込まれる。
【0087】
一方、前記回転ツール4の回転により発生する摩擦熱は、該回転ツール4側の厚板W30だけでなく、固定ツール5側の薄板W31まで伝達され、該薄板W31も軟化させる。この状態で、前記回転ツール4をワークWへ押圧することにより、ワークWが固定ツール5側に押され、該固定ツール5が前記ワークワークWの薄板W31の一部を貫通孔H30内に押し込む。
【0088】
そして、前記回転ツール4は回転しながらワークWの貫通孔H30内に圧入されるため、図9(c)に示すように、該貫通孔H30内に押し込まれた材料を掻き混ぜ、塑性流動を生じさせる。このことにより、貫通孔H30近傍の重ね面S30で塑性流動が生じるため、2枚の板材W30,W31からなるワークWを接合することができる。
【0089】
この実施形態4に係る接合方法では、回転ツール4側の板材W30に貫通孔H30を設けることにより、該貫通孔H30のない場合に比べて回転ツール4をワークW内により早く沈み込ませることができるとともに、前記回転ツール4のピン43の先端が比較的短時間で薄板W31の表面に接触することになるため、前記ピン43の先端と薄板W31の表面との摩擦によって生じた摩擦熱によっても該薄板W31を軟化させることができる。そして、固定ツール5によって前記貫通孔H30内に軟化した板材を押し込むことにより、前記回転ツール4の周辺に軟化した材料を集めることができる。これらのことにより、該回転ツール4による塑性流動をより早く、且つ効率よく行うことができ、接合時間を大幅に短縮することができる。
【0090】
さらに、ワークWに貫通孔H30を設けるとともに、軟化した板材を回転ツール4及び固定ツール5により前記貫通孔H30内に押し込むようにしたため、回転ツール4をワークW内に深く沈み込ませることなく、該貫通孔H30内の板材の重ね面付近で十分な塑性流動を生じさせることができる。したがって、十分な接合強度を得ることができるとともに、板材の厚み減少による板材自体の強度低下を防ぐことができる。
【0091】
(実施形態5)
実施形態5は、接合装置の構成が前記実施形態1〜4とは異なる実施形態である。具体的には、図10に示すように、実施形態5に係る接合装置Bでは、ロボット2の手首に、ワークWを保持するハンドリングツール7が設けられており、接合ガン1は、前記ロボット2とは別に設置された架台8に取り付けられている。
【0092】
上記ロボット2は、分岐ボックス35を介してハーネス31により制御盤3に接続されている。また、接合ガン1は、ハーネス33により互いに接続された中継ボックス34を介して、上記分岐ボックス35及び制御盤3に対しハーネス32,36により接続されている。
【0093】
この接合装置BによってワークWの接合を行う場合は、ハンドリングツール7でワークWを保持し、この保持したワークWの接合位置を、前記ロボット2によって、定置された接合ガン1の回転ツール4及び固定ツール5の間に位置づける。そして、上記接合ガン1によって、前述したようなワークWの接合を行う。
【0094】
(実施形態6)
図11に示す実施形態6は、回転軸モータ11、押圧軸モータ12及び回転ツール4等を備えた接合ユニット8を定置式手動接合装置Cに適用したものである。この接合装置Cでは、下部取付部材75に固定ツール5が固定されるとともに、該固定ツール5のピン53の軸線Xの延長線上で、上部取付部材76に前記接合ユニット8が固定されている。
【0095】
この接合装置Cでは、前記回転ツール4と固定ツール5との間にワークの接合位置がくるように該ワークの位置を調整し、起動スイッチ77を押してワークの接合を行う。
【0096】
(実施形態7)
図12に示す実施形態7は、複数の接合ユニット8を用いた定置式自動接合装置Dを示したものである。この接合装置Dでは、複数箇所の接合が同時にできるように、下部取付部材75に複数の固定ツール5が設けられ、該固定ツール5に対応して、上部取付部材76(図示は省略)に接合ユニット8が取り付けられている。
【0097】
この接合装置Dでは、接合する板材W1,W2を、作業者やロボット等により装置内の位置決めユニット(図示は省略)にセットし、その後、前記接合ユニット8と固定ツール5とにより板材W1,W2の接合を行う。なお、装置内に固定された接合ユニット8に移動機構を設け、各接合部を移動させながら接合を行ってもよい。
【0098】
(実施形態8)
図13に示す実施形態8は、接合ガン1を、移動レール78からバランサー79、吊り金具80を介して吊り下げた手動式のものである。この接合ガン1は、バランサー79と吊り金具80とによって任意の姿勢をとることができるため、作業者は、接合ガン1を把持して、位置決め具(図示は省略)内にセットされたワークに対して、作業を行いやすい姿勢でワークの接合を行うことができる。
【0099】
なお、前記接合ガン1には接合装置の電源のON/OFFを行う起動スイッチ81が設けられており、前記接合ガン1と制御盤3との間は制御ハーネス82で接続されている。
【0100】
(他の実施形態)
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その他の種々の実施形態を包含するものである。すなわち、前記各実施形態では、2枚または3枚の板材を重ねたワークをスポット接合するようにしているが、これに限らず、例えば4枚以上の板材を重ね合わせたワークを接合するようにしてもよい。
【0101】
前記各実施形態では、受け具を固定しているが、これに限らず、例えばモータ等により受け具をワークに対して接合軸X方向に押圧するようにしてもよい。
【0102】
また、前記実施形態2〜4では、ワークWにそれぞれ設けた貫通孔H10,H20,H21,H30を回転ツール4のピン43よりも大きい断面にしているが、これに限らず、該ピン43と同等若しくはそれよりも小さい断面にしてもよい。
【0103】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明に係る摩擦スポット接合方法によると、回転ツールのピン部と対向するように固定ツールの先端にもピン部を設け、このピン部により軟化した板材の一部を回転ツール側へ押し込むことにより、該回転ツールを板材に深く圧入することなく、板材の境界付近で材料の十分な塑性流動を生じさせることができるため、板材自体の強度を低下させることなく、接合強度を向上させることができ、しかも、接合時間を短縮することができる。また、スポット接合の開始時には、前記固定ツールのピン部を板材に食い込ませて、回転ツールの回転軸を安定させることができる一方、固定ツールのピン部が接合部位に進入した状態では、該固定ツールの先端面で板材を支持することで、該板材が前記固定ツール側に曲がらないようにすることができる。
【0104】
請求項2記載の発明によると、前記請求項1の発明と同様に、固定ツールの先端面にピン部を設けるとともに、該固定ツール側の板材以外の少なくとも一枚の板材に貫通孔を設けて、軟化した材料を該回転ツール及び固定ツールのピン部によりそれぞれ貫通孔内に押し込むことにより、3枚以上の複数の板材を接合する場合や厚い板材を接合する場合でも前記請求項1の発明と同様の効果を得ることができ、さらに、接合時間を大幅に短縮することができる。
【0105】
請求項3記載の発明によると、複数の板材を形状及び面積が略同等の2つのツール先端面により挟むことで、板材がいずれのツールの側にも曲がらないようにすることができる。
【0106】
請求項4記載の発明に係る摩擦スポット接合装置によると、前記請求項1または2の発明の方法を実行して、その効果を得ることができる。
【0107】
請求項5記載の発明によると、固定ツールの先端面に設けた円柱状のピン部により、材料を効率良く回転ツール側に押し込んで、接合強度を一層向上させることができる。
【0108】
請求項6記載の発明によると、請求項3の発明と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1に係る接合装置の概略構成を示す図である。
【図2】接合ガンの概略構成を示す図である。
【図3】接合ツールの先端部分を示す図である。
【図4】図3の接合ツールによるワークの接合の様子を示す図である。
【図5】回転ツールのピンの断面と大きさが異なる固定ツールのピン形状を示す図である。
【図6】円柱状以外の固定ツールのピン形状を示す図である。
【図7】実施形態2に係る図4相当図である。
【図8】実施形態3に係る図4相当図である。
【図9】実施形態4に係る図4相当図である。
【図10】実施形態5に係る図1相当図である。
【図11】実施形態6に係る図1相当図である。
【図12】実施形態7に係る図1相当図である。
【図13】実施形態8に係る図1相当図である。
【符号の説明】
A 摩擦スポット接合装置
4 回転ツール
5 固定ツール
42 回転ツールの先端面(先端面)
43 回転ツールのピン(ピン部)
52 固定ツールの先端面(先端面)
53 固定ツールのピン(ピン部)
X 接合軸(軸線)
W ワーク(重ね合わせた複数の板材)
H10,H20,H21,H30 貫通孔

Claims (6)

  1. 軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを用い、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合する摩擦スポット接合方法において、
    前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部を設け、
    前記回転ツールのピン部を前記板材の接合部位に圧入するときに、この接合部位に反対側から前記固定ツールのピン部を進入させて、当該固定ツールの先端面により板材を支持するようにしたことを特徴とする摩擦スポット接合方法。
  2. 軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを用い、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合する摩擦スポット接合方法において、
    前記複数の板材のうち、前記固定ツール側に配置する板材以外の少なくとも一枚の板材には、前記接合部位を貫通する貫通孔を形成しておき、
    前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部を設け、
    前記回転ツールのピン部を前記板材の接合部位に圧入するときに、この接合部位に反対側から前記固定ツールのピン部を進入させて、該固定ツール側の板材の一部を前記貫通孔へ押し込むとともに、当該固定ツールの先端面により板材を支持するようにしたことを特徴とする摩擦スポット接合方法。
  3. 請求項1または2のいずれかの摩擦スポット接合方法において、
    固定ツールの先端面は、回転ツールの先端面と形状及び面積が略同等であることを特徴とする摩擦スポット接合方法
  4. 軸線に沿って先端面から突出するピン部を備えた回転ツールと、該回転ツールと先端面同士が対向するように配置された固定ツールとを備え、重ね合わせた複数の板材の接合部位を前記回転ツール及び固定ツールにより挟むとともに、該回転ツールを回転させながら前記軸線の方向に押圧し、前記ピン部を板材の接合部位内に圧入することにより、当該接合部位にて材料の塑性流動を生じさせてスポット接合するようにした摩擦スポット接合装置において、
    前記固定ツールの先端面には、前記軸線に沿って突出するようにピン部が設けられていることを特徴とする摩擦スポット接合装置。
  5. 請求項4の摩擦スポット接合装置において、
    固定ツールのピン部が、回転ツールの軸線と同軸の円柱状であることを特徴とする摩擦スポット接合装置。
  6. 請求項4または5のいずれかの摩擦スポット接合装置において、
    前記固定ツールの先端面は、前記回転ツールの先端面と形状及び面積が略同等であることを特徴とする摩擦スポット接合装置。
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