JP2005019339A - セラミックヒータおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミックヒーターの電極パッドから酸化するのを抑制するとともに、リード部材の接合強度を向上させることで耐久性が良好なセラミックヒータを提供する。
【解決手段】セラミック体2中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッド4を上記セラミック体2の表面に備え、上記電極パッド4の表面にメッキ層5を形成し、ロウ材6を介してリード部材7を取着してなるセラミックヒータ1であって、上記リード部材7におけるSiの量を0.05重量%以下とする。
【選択図】図2
【解決手段】セラミック体2中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッド4を上記セラミック体2の表面に備え、上記電極パッド4の表面にメッキ層5を形成し、ロウ材6を介してリード部材7を取着してなるセラミックヒータ1であって、上記リード部材7におけるSiの量を0.05重量%以下とする。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の空燃比検知センサ加熱用ヒータや気化器用ヒータ、半田ごて用ヒータなどに使用するセラミックヒータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空燃比センサ加熱用ヒータ等の自動車用のヒータとして図3(a)に示すようなセラミックヒータ21が多用されており、例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、アルミナを主成分とするセラミック体22中に、W、Re、Mo等の高融点金属からなる発熱抵抗体23を内蔵し、電極パッド24を介してリード部材27が接合されている。
【0003】
上記円柱状のセラミックヒータを製造する場合は、図3(b)に示すようにセラミック芯材20とセラミックシート28を用意し、セラミックシート28の一方面にW、Re、Mo等の高融点金属のペーストを印刷して発熱抵抗体23と電極引出部23aを形成した後、これらを形成した面が内側となるようにセラミックシート28を上記セラミック芯材20の周囲に巻付け、全体を焼成一体化することによりセラミックヒータ21としていた。
【0004】
セラミックシート28上には、発熱抵抗体23に電極引出部23aが接続され、該電極引出部23aの末端にスルーホール(不図示、以下同じ)が形成され裏面の電極パッド24と該電極引出部23aが接続されている。スルーホールには、必要に応じて導体ペーストが注入される。
【0005】
そして、図3(c)に示す電極パッド部周辺の部分断面図のように、セラミックヒータ21は側面に露出した電極パッド24の表面にはNiからなるメッキ層25が形成され、該メッキ層25の表面にロウ材26を介して、Ni等からなるリード部材27が接合され、このリード部材27から通電することにより発熱抵抗体23が発熱する仕組みである。
【0006】
また、上記ロウ材26の酸化や硫化を防止するため、ロウ材26の表面にはNiからなるメッキ層25が形成されており、メッキ層25を形成した後の熱処理やリード部材27をロウ付けする際の熱処理は、ロウ材26が酸化しないように還元雰囲気で熱処理していた。
【0007】
しかし、還元雰囲気中で熱処理を施した場合、水蒸気を含まないため熱処理後のセラミック体22の表面に黒ずんだ汚れ等が付着し、この付着物は洗浄しても完全に除去することが難しいため、外観不良や、酸素センサ内部に用いるセラミックヒータの場合には、使用中にこの付着物が剥離し、酸素センサ内部に形成されているPt電極と反応してセンサ特性を劣化させる恐れがあった。
【0008】
この問題に対応するため、水蒸気を含有した還元雰囲気中で熱処理を施すことによって、H2O−H2の化学平衡における乖離酸素分圧によってセラミックヒータ21に付着したカーボン残さを燃焼除去していた。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−354255号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平11−257659号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水蒸気を含有した還元雰囲気中で熱処理を施した場合、上記電極パッド24の表面に形成するメッキ層25およびロウ材26の表面には図4に示すようにガラス粒子31が析出してくる。
【0012】
このガラス粒子31は、リード部材27、セラミック体22およびロウ材26に含まれる不純物であるSiが表面に沁み出してきて酸化したものである。
【0013】
特に、リード部材27に含有されるSiは、リード部材27中の不純物酸素を除去するために添加されるものであり、リード部材27中に酸素が残ると、この酸素がリード部材27の粒界に偏析し、リード部材27に対して応力が掛かった際にリード部材27が粒界破壊し易くなる。このため、リード部材27中に酸素が残留しないようにSiを過剰に添加しており、リード部材27には0.2重量%くらいのSiが含有されていた。
【0014】
ところが、リード部材27に添加するSiが多すぎると、リード部材27中のSiと熱処理雰囲気中の酸素の相互拡散において、リード部材27中のSiの拡散速度がリード部材27中の酸素の拡散速度より大きいため、リード部材27の表面にSiの酸化物であるガラス粒子31が析出する。特に、ロウ材26との界面付近においては、ロウ材26と接触する部分のSiが拡散して析出するので、ガラス粒子31の生成量が増えガラス粒子31が粒成長する。そして、リード部材27の表面にガラス粒子31が生成して粒成長し、その析出量が多くなり、また粒径が100μm以上になると、リード部材27の酸化防止のためリード部材27の表面に形成するメッキ層25がロウ材26の表面全体を覆うことができなくなり、使用中の熱サイクルによりガラスとメッキ層の間に隙間が生成し、この隙間から空気が拡散することによりロウ材26やリード部材27が酸化してロウ材26やリード部材27の接着強度が劣化し、リード部材27のロウ付け強度を低下させるという欠点を有していた。
【0015】
例えば、図4(a)、(b)に示すように、Ag−Cu系のロウ材26の表面にガラス粒子31があると、セラミックヒータ使用中の熱サイクルにより、ロウ材26の中に存在するCuのような酸化しやすい成分が酸化し始め、Cuの酸化物からなる針状の結晶26aが表面に析出するような反応がおこり、これがロウ材26の内部まで浸透し、そこが起点となってリード部材27が剥離するという欠点を有していた。
【0016】
最近は、自動車の排気ガスに関する規制が厳しくなり、空燃比制御用に使用する酸素センサの立ち上がり速度を早くする必要が生じ、このためセラミックヒータ21の立ち上がり特性を早くすることが必要となった。このため、セラミックヒータ21の使用温度が高くなったため、このような問題が顕著になった。
【0017】
特に、自動車用に使用するセラミックヒータ21については、高い信頼性が要求されるため、1000本中1本でも上記のような不良が発生することは好ましくない。
【0018】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、本発明の目的は、セラミックヒータ21の電極パッド24から酸化するのを抑制するとともに、リード部材27の接合強度を向上させることで耐久性が良好なセラミックヒータ21を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックヒータは、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータであって、上記リード部材におけるSiの量を0.05重量%以下とすることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法は、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータの製造方法であって、発熱抵抗体を内蔵したセラミック体に電極パッドを形成した後、該電極パッドの表面にメッキ層を形成するとともに、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材を介してリード部材を接合することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法は、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧900Pa以下とすることを特徴とする。
【0022】
これによって、リード部材の耐久性が非常に良好なセラミックヒータを得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックヒータの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明のセラミックヒータ1の一実施形態を示すものであり、図1(a)はセラミックヒータ1の部分切り欠き斜視図であり、(b)は、そのセラミック体2部分の展開図である。
【0025】
本発明のセラミックヒータ1は、図1(a)に示すようにセラミック体2中に発熱抵抗体3を内蔵し、発熱抵抗体3の端部と通電する電極パッド4をセラミック体2の表面に備え、電極パッド4にメッキ層5を形成するとともに、ロウ材6を介してリード部材7が接合されている。
【0026】
このようなセラミックヒータ1は、同図(b)に示すようにセラミックシート8の表面に、発熱抵抗体3と電極引出部3aが形成され、さらに、その裏面側に形成される電極パッド4との間をスルーホールで接合した構造となっている。こうして準備されたセラミックシート8をセラミック芯材10に発熱抵抗体3が内側になるように密着焼成することによって発熱抵抗体3を内蔵したセラミック体2を得ることができる。
【0027】
上記セラミックヒータ1は、例えば外径が2〜20mm、長さが40〜200mm程度の円柱状で、自動車の空燃比センサ加熱用に用いる場合には、外径が2〜4mm、長さが40〜65mmとすることが好ましい。
【0028】
上記セラミック体2を構成するセラミックシート8は、アルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックス等の各種セラミックスからなり、特に、アルミナセラミックスからなることが好ましく、例えば、Al2O3を88〜95重量%、SiO2を2〜7重量%、CaOを0.5〜3重量%、MgOを0.5〜3重量%、ZrO2を1〜3重量%からなるアルミナセラミックスを用いることが好ましい。Al2O3含有量は88重量%未満となると、ガラス質が多くなるため通電時のマイグレーションが大きくなる恐れがある。一方、Al2O3が含有量が95重量%を超えると、セラミック体2中に内蔵された発熱抵抗体3の金属層内に拡散するガラス量が減少し、セラミックヒータ1の耐久性が劣化する恐れがある。
【0029】
上記セラミック体2には発熱抵抗体3が内蔵されており、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするものであり、図1(c)に示すように発熱抵抗体3のパターンに欠陥bが生じた場合、その欠陥部分の幅tがパターン幅Tの1/2以下とすることが好ましい。これは、上記欠陥の幅tがパターン幅Tの1/2を越えると、この部分で局部発熱し、発熱抵抗体3の抵抗値が大きくなり耐久性が劣化するためである。
【0030】
このような欠陥が発生する原因は、発熱抵抗体3をプリント形成する時に、プリント製版にゴミが付着したためパターンが欠けてしまったり、異物が混入し焼成時に焼失したりすることにより発生するものと思われる。プリントや密着工程で、生のセラミックシート8を取り扱う工程があるが、この工程の清浄度を向上させるとともに、万一の欠陥の発生に関して、上記寸法以上の欠陥を取り除くための検査工程の整備が重要である。
【0031】
また、自動車用のヒータとして用いる場合には、上記発熱抵抗体3の発熱長さが3〜15mmとなるようにすることが好ましい。この発熱長さが3mmより短くなると、通電時の昇温を早くすることができるが、セラミックヒータ1の耐久性を低下させる。一方、15mmより長くすると昇温速度が遅くなり、昇温速度を早くしようとするとセラミックヒータ1の消費電力が大きくなる。
【0032】
なお、上記発熱長さとは、図1(b)で示す発熱抵抗体3における往復パターンの部分の長さfを示す。この発熱長さfは、用途により種々選択されるものである。
【0033】
さらに、上記発熱抵抗体3の両端部には電極引出部3aが形成されており、図2の部分拡大図のように、発熱抵抗体3の端部に形成された電極引出部3aにはスルーホール9を介して発熱抵抗体3に通電するための電極パッド4が接続されている。
【0034】
上記電極パッド4は、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするメタライズ層からなり、表面にメッキ層5を形成することによりロウ材6の流れを良くし、ロウ付け強度を向上させる作用をなす。
【0035】
また、電極パッド4の表面にはNi、Cr、もしくはこれらを主成分とする複合材料等からなるメッキ層5が1〜5μmの厚みで形成されるとともに、その表面にロウ材6を介してリード部材7がロウ材6によってロウ付けされる。
【0036】
ここで、図2(a)は本発明のセラミックヒータ1のリード部材7の接合部を示す斜視図であり、(b)は、ロウ材6の表面部分を拡大した部分拡大図であり、(c)はその断面図を示す。
【0037】
上記ロウ材6は、Ag−Cu、Au−Cu、Ag、Cu、Au等を主成分とし、必要に応じてバインダとなる樹脂や活性金属であるTi、Mo、V等の金属を含有してなり、酸素を含有する還元雰囲気中で溶融させてロウ付けする。
【0038】
また、上記ロウ材6は、Au−Cuロウを用いる場合はAu含有量が25〜95重量%、Au−Niロウを用いる場合はAu含有量が50〜95重量%とすると、ロウ付け温度を1000℃程度に設定でき、ロウ付け後の残留応力を低減することができる。これにより、熱サイクルにおいてロウ材6とセラミック体2の熱膨張差に起因する疲労が生じてもロウ付け強度の低下を抑制することができる。
【0039】
上記リード部材7には、Siが含有しており、リード部材7に含まれる含有量に比し約10分の1以下程度である。これは、リード部材7中のSiがリード部材7中の不純物酸素を除去するために添加されるものであり、リード部材7中に残留する酸素量が多いと、この酸素が粒界に偏析し、リード部材7に応力が掛かった際に粒界破壊し易くなる。そのため、Siを過剰に添加して酸素の残留を防止してリード部材7の強度を保持していた。しかし、この過剰なSiが酸化してガラスとなり、図2(a)に示すようにリード部材7やロウ材6の表面に析出し、これらの上に酸化防止のためのメッキ層5を形成する際に、ガラスの部分にはメッキ層5が形成されず欠陥となり、使用中の熱サイクルによりリード部材7やロウ材6が酸化してしまうという問題があった。
【0040】
そこで、本発明では、リード部材7中に含有されるSiを0.05重量%以下とすることによって、ロウ付け処理後にリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス量を減少させるとともに、その径を小さくできることを見出したものである。
【0041】
これによって、ロウ付け処理後にリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス量を減少させるとともに、その径を小さくできることを見出したものであり、セラミックヒータ使用中の熱サイクルにより、リード部材7やロウ材6の表面に生成したガラスとメッキ層5との間に隙間ができ、この隙間から酸素が拡散し、リード部材7やロウ材6が酸化することを防止できる。さらに、Siの量を0.03重量%以下とすることがより好ましい。
【0042】
また、本発明のリード部材7は、含有するSiの量を0.05重量%以下と非常に少なくしても、リード部材7中の不純物を十分に除去し、高強度のものとすることができる。
【0043】
これは、リード部材7を製造する際に、予め、原材料である金属のインゴット中に含有される酸素量を測定した上で、この酸素を除去するために添加するSi量を決定し、最終的に得られるリード部材7中に残留するSi量が0.05重量%以下となるように調整する方法、あるいは原料を溶融する際の雰囲気を真空中で行う、あるいは溶融の回数を繰り返し、リード部材7の純度を上げて不純物等のSi量を減らす方法等によって得ることができる。そのため、リード部材7の純度を高いものとして高強度なものとするとともに、ロウ付け時に生成するガラスの生成量を低減させるとともに、ガラス粒子の粒径を小さくすることができる。
【0044】
なお、上記リード部材7のSi量は、リード部材7を加圧した酸溶液中で溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって定量分析した。
【0045】
また、リード部材7としては、Ni、Fe−Ni−Co合金、4−2アロイ、Fe−Ni基合金、各種ステンレス等からなるものを使用することができ、また、リード部材7の形状としては、断面丸形状の線材や、板状の線材、ブロック状のもの等、種々の形状のものを使用することができる。特に、耐熱性が良好なNi系、Fe−Ni系合金を使用することが好ましく、発熱抵抗体3からの熱伝達により、使用中にリード部材7の温度が上昇し、劣化するのを有効に防止することができる。
【0046】
上記リード部材7としてNiやFe−Ni合金を使用する場合、その平均結晶粒径を400μm以下とすることが好ましい。上記平均粒径が400μmを越えると、使用時の振動および熱サイクルにより、ロウ付け部近傍のリード部材7が疲労し、クラックが発生しやすい。他の材質についても、例えばリード部材7を形成する材質の結晶粒径がリード部材7の厚みより大きくなると、ロウ材6とリード部材7の境界付近の粒界に応力が集中してクラックが発生しやすい。
【0047】
なお、ロウ付け時の熱処理は、ロウ付けの際の温度をできるだけ下げ、処理時間を短くすることで、リード部材7の平均結晶粒径を400μm以下と小さくすることができ、リード部材7の強度低下をより防止することができる。
【0048】
また、リード部材7を接合したロウ材6の表面には、ロウ材6の酸化を防止するためメッキ層5を形成することが好ましく、ロウ材6にメッキ層5を形成しない場合にはリード部材7全体をメッキ処理することが好ましい。
【0049】
次に、上述の構造をなすセラミックヒータの製造方法について説明する。
【0050】
まず、アルミナを主成分とし、焼結助剤としてSiO2、CaO、MgO、ZrO2を合計量で4〜12重量%含有するセラミックスラリーを成形したセラミックシート8を準備する。
【0051】
セラミックシート8の一方の主面に発熱抵抗体3および電極引出部3aをプリントもしくは転写等の手法を用いて形成し、電極引出部3aの裏面にあたるセラミックシート8の他方の主面に電極パッド4を同じくプリントもしくは転写等の手法により形成する。
【0052】
次に、電極引出部3aと電極パッド4との間にスルーホール9を形成し、該スルーホール9にW、Mo、Reの少なくとも1種類を主成分とする導電材料を充填するか、もしくはスルーホール9の内側面に塗布することにより、電極引出部3aと電極パッド6が電気的に接続できるようにする。
【0053】
その後、発熱抵抗体3および電極引出部3aの上にセラミックシート8とほぼ同等の組成からなるコート層を形成した後、セラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に周回密着して筒状の生成形体を成形する。こうして得られた生成形体を1500〜1650℃の還元雰囲気中で焼成してセラミック体2とする。
【0054】
その後、電極パッド4の表面に電解メッキ法や無電解メッキ法によりNi、Cr等の金属からなるメッキ層5を形成する。
【0055】
次に、Ag−Cu等を主成分とするロウ材6を介して電極パッド4とリード部材7とを酸素を含有した還元雰囲気中で熱処理することによって接合する。本発明のリード部材7では予めSi量を調整してSiが0.5重量%以下であるリード部材7を用いるため、酸素を含有した還元雰囲気中で熱処理するだけでリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス粒子11の析出量を少なくして、粒径を小さくすることができるため、リード部材7やロウ材6の全面にメッキ層5を形成することが可能となり、セラミックヒータ1の耐久性を改善することができる。
【0056】
次に、このようにして形成したロウ材6の表面にNi、Cr等の金属から成るメッキ層5を形成する。その後、酸素を含有した還元雰囲気中でリード部材7をロウ付けすることでセラミックヒータ1が完成する。
【0057】
なお、ロウ付け温度は具体的には、Ag−Cuロウであれば770〜870℃、Au−Cuロウであれば950〜1050℃、Agロウであれば1000〜1100℃でロウ付け処理を行う。
【0058】
また、セラミックヒータ1を湿度が高い雰囲気中で使用する場合、Au系、Cu系のロウ材6を用いることによってマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0059】
さらに、図2(a)に示すように電極パッド4の端部からロウ材6の端部までの距離kが少なくとも0.2mm以上とすることが好ましく、距離kが0.2mm未満であると、電極パッド4の端部がロウ材6の収縮時に引っ張られて剥離しやすくなり、ロウ付け強度が低下するためである。
【0060】
次いで、本発明のセラミックヒータの他の実施形態を説明する。
【0061】
上述の実施形態では、Si量の少ないリード部材7を用いることでロウ材6の表面に析出するガラス粒子11の粒成長を抑制して、その表面に欠陥のないメッキ層5を形成し、耐久性の高いセラミックヒータ1とするものであるが、この実施形態では、リード部材7に含まれるSi量が多い場合においても、ロウ付け時の熱処理条件を制御することでガラス粒子11の析出量を低減させ、粒成長を抑制するものである。
【0062】
この熱処理条件として、図2(a)に示すようにセラミック体2に形成した電極パッド4の表面にメッキ層5を形成し、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材6を介してリード部材7を接合するものである。
【0063】
このように、熱処理を行う炉内を複数のゾーンに分割し、低温域の水蒸気分圧を高くし、高温域の水蒸気分圧を低くすることによって、水蒸気が水素と酸素に乖離することにより生成される炉内の平衡酸素分圧を低減させることで、リード部材7に含有されるSiの酸化を抑制して、リード部材7やロウ材6に含まれるSiに起因するガラス粒子11の径を小さくすることができる。
【0064】
特に、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧900Pa以下とすることが好ましい。
【0065】
第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満では、リード部材7やロウ材6中のSiは、酸化の反応速度が遅いため、図2(a)〜(c)に示すようなガラス粒子11があまり成長しない。そのため600℃未満の温度域では水蒸気分圧を900Pa以上2400Pa以下と大きくすることで雰囲気中の水蒸気からの乖離酸素分圧を大きくして、セラミック体2表面に付着した有機物の燃焼除去を優先する。
【0066】
ここで、上記水蒸気分圧が900Pa未満となると、有機物を完全に燃焼除去することができない。一方、2400Paを越えると、メッキ層5やロウ材6、リード部材7等の金属部材の表面が酸化して劣化したり、外観が悪いものとなる。
【0067】
そして、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満の温度域では、使用するロー材6が溶解しリード部材7と電極パッド4とを接合させる為の温度域で(低温域に対し何をする温度域なのかを補充してください、温度が高いためリード部材7やロウ材6中のSiの酸化の反応速度が早い。そこで水蒸気分圧を900Pa以下と小さくすることで雰囲気中の水蒸気からの乖離酸素分圧を低減しSiの酸化を抑制し、ガラス粒子11の析出量を低減させ、粒径を小さくすることができる。上記水蒸気分圧は低ければ低いほどよく、ガス中の水蒸気分圧を450Pa以下とすることがより好ましく、さらには300Pa以下とすることがよい。
【0068】
また、高温域における水蒸気分圧は600Pa以下とすることがより好ましい。
【0069】
さらに、水蒸気分圧を分割したゾーン間で細かく制御することも可能である。
【0070】
なお、この水蒸気分圧は、ロウ付け用の炉内に導入するガスを予め温度調整した水槽中に通して飽和水蒸気圧とすることにより調整することができる。この飽和水蒸気圧を与える温度を露点というが、ガスの露点を0℃以下に調整する場合は、ガスを導入する配管を0℃以下の所定温度に冷却すればよい。また、露点を室温以上にする場合、上記水槽以降の配管温度について、露点以上の温度に調整することが必要である。
【0071】
このように第1熱処理工程、第2熱処理工程を制御した熱処理方法を用いたセラミックヒータ1は、ロウ材6の表面に析出するガラス粒子11の最大径hを100μm以下とすることができ、使用中の熱サイクルによりロウ材6が酸化してリード部材7の引張強度が減少するような問題を防止することができる。ガラス粒子11の粒成長を防止できない場合には、図2(c)に示したようにリード部材7やロウ材6の表面に形成するメッキがかからない部分が発生し、使用中の熱サイクルによりメッキ層5とガラス粒子11の間に隙間が発生し、リード部材7やロウ材6が酸化し、リード部材7のロウ付け部分の強度が劣化し、セラミックヒータの耐久性が低下してしまうの好ましくない。特に、このガラス粒子11の最大径hを30μm以下、特に10μm以下にすることがより好ましくリード部材7の引張強度の耐久性を向上させることができる。
【0072】
ここで、ガラス粒子11の最大径とは、形状が楕円状である場合には長径をいい、略ドーム状である場合は、ガラス粒子11を真上から見た場合の投影図における長径をいう。上記ガラス粒子11の最大径hの測定方法としては、金属顕微鏡、メジャースコープ、電子顕微鏡等の装置を使用して、任意のエリアを観察することにより測定することができる。なお、精度を高めるためにも、測定エリアを複数に増やすことが好ましい。
【0073】
なお、本発明のセラミックヒータ1は、上述の2つの実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能であり、特に第1の実施形態に記載したようにSiの含有量を低減させたリード部材7を用いる事も可能である。
【0074】
【実施例】
次いで、本発明のセラミックヒータの実施例を示す。
【0075】
(実施例1)
先ず、図1に示すようなセラミックヒータ試料を得るため、セラミック体2としてAl2O3を主成分とし、SiO2、CaO、MgO、ZrO2を合計10重量%以内になるように調整したセラミックシート8に、W−Reからなる発熱抵抗体3とWからなる電極引出部3aをプリントした。また、セラミックシート8の裏面には電極パッド4をプリントした。発熱抵抗体3は、発熱長さ5mmで4往復のパターンとなるように作製した。
【0076】
そして、Wからなる電極引出部3aの末端には、スルーホールを形成し、ここにペーストを注入することにより電極パッド4と電極引出部3a間の導通をとった。スルーホールの位置は、ロウ付けを実施した場合にロウ付け部の内側に入るように形成した。
【0077】
次いで、発熱抵抗体3の表面にセラミックシート8と略同一の成分からなるコート層を形成して充分乾燥した後、さらに上記セラミックシート8と略同一の組成のセラミックスを分散させた密着液を塗布して、こうして準備したセラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に密着し、1500〜1600℃で焼成した。
【0078】
さらに、上記電極パッド4の表面にNiからなる厚み3μmのメッキ層5を形成し、Au−Cuからなるロウ材6を用いて、表1に示す如くSiの含有量とし、Niを主成分とする直径0.8mmのリード部材7を還元雰囲気中830℃でロウ付けし、さらにその表面にNiからなる3μmのメッキ層5を形成して700℃で熱処理した。
【0079】
このメッキ層5のロウ付け処理の際、H2−N2ガスを温度調整した水の中をくぐらせて、H2−N2ガス中の酸素量を露点の調整により調整した。
【0080】
なお、リード部材7のSiの量は、リード部材7を製造する際、予めNiのインゴット中に含有される酸素量を測定した上で、この酸素を除去するために添加するSi量を決定し、最終的に得られるリード部材7中に残留するSi量を調整して作製し、リード部材7のSi量はリード部材7を加圧した酸溶液中で溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって定量分析した。
【0081】
そして、各試料のセラミックヒータのリード部材7の接合部について、ロウ付け後に表面に析出したガラス粒子11の粒径を1000倍の電子顕微鏡写真を5mm2撮影し、画像処理装置を用いてガラス粒子11の最大径hを測定した。また、ガラス粒子11の生成量については、同様にリード部材11の接合部表面の電子顕微鏡写真からガラス粒子11の面積割合を画像解析により測定しその面積率を算出した。
【0082】
また、各試料を350℃の恒温槽に5分間入れて温度が安定した後強制急冷し、さらに恒温槽に入れる熱サイクル試験を2000サイクル実施し、さらに、500℃の恒温層に500時間放置するという耐久試験を実施し、その後、ロウ材6表面のメッキ層5の変化を観察し、メッキ層5にロウ材6のCuの酸化物が析出した生成物が発生したものは×、メッキ層5に一部に変色域がみられたものを△とし、酸化のような変化の見られないものを○とした。このテストは、使用中の熱サイクルの加速試験に相当する。
【0083】
また、上記熱サイクルを実施した耐久試験後の各試料におけるリード部材7の引張強度を、引張試験機を用いてリード部材7をセラミック体2の表面から垂直に引っ張ることによって測定した。
【0084】
各試料は10個づつ用意しその平均値を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から判るように、リード部材7に含有されるSiの量が0.08重量%以上である試料(No.6〜9)は、ロウ付け後のリード部材7の表面に最大径hが100μmを越えるガラス粒子11が析出してガラス粒子11の面積率が0.53〜0.82%と大きいことが判る。さらに耐久試験後の引張強度が18N以下に低下して、リード部材7やロウ材6の外観に、図4(a)に示したような酸化がみられた。
【0087】
これに対し、リード部材7のSi含有量を0.05重量%以下とした試料(No.1〜5)は、ガラス粒子11の大きさが79μm以下であり、ガラス粒子11の面積率も0.50%以下と非常に低いことが判る。さらに耐久試験後の引張強度は、30N以上と大きく、リード部材7やロウ材6の外観は、Siの含有量が0.05重量%の試料(No.5)は、メッキ層5の一部に変色域が見られたが、図4(a)にしめしたような酸化はなく、変色域もみられず良好であった。
【0088】
(実施例2)
次いで、上述の実施形態と同様に図1に示すように、電極パッド4の表面にNiからなる厚み3μmのメッキ層5を形成し、Au−Cuからなるロウ材6を用いて、直径0.8mm、Niを主成分とし、Siを0.2重量%含有するリード部材7を表2に示す如く熱処理条件でロウ付けし、さらにその表面にNiからなる3μmのメッキ層5を端部に形成して700℃で熱処理した。
【0089】
上記リード部材7の熱処理条件は、第1熱処理工程として温度600℃未満、第2熱処理工程として温度600〜1000℃とし、水蒸気分圧を予め温度調整した水槽中に通して飽和水蒸気圧として種々の水蒸気分圧に調整したガスを炉内で発生させることで調整した。
【0090】
そして、各試料のセラミックヒータのリード部材7の接合部について、ロウ付け後に表面に析出したガラス粒子11の粒径を1000倍の電子顕微鏡写真を5mm2撮影し、画像処理装置を用いてガラス粒子11の最大径hを測定した。また、ガラス粒子11の生成量については、同様にリード部材11の接合部表面の電子顕微鏡写真からガラス粒子11の面積割合を画像解析により測定しその面積率を算出した
また、各試料におけるセラミック体の表面をオージェ分析によって観察し、セラミック体の表面の汚れ(有機物)の付着の有無を調べた。
【0091】
さらに、各試料を350℃の恒温槽に5分間入れて温度が安定した後強制急冷し、さらに恒温槽に入れる熱サイクル試験を2000サイクル実施し、さらに、500℃の恒温層に500時間放置するという耐久試験を実施し、その後、ロウ材6表面のメッキ層5の変化をSEM(電子顕微鏡)によって観察し、メッキ層5にロウ材6のCuの酸化物が析出した生成物が発生したものは×、メッキ層5に一部に変色域がみられたものを△とし、酸化のような変化の見られないものを○とした。このテストは、使用中の熱サイクルの加速試験に相当する。
【0092】
また、上記熱サイクルを実施した耐久試験後の各試料におけるリード部材7の引張強度を、引張試験機を用いてリード部材7をセラミック体2の表面から垂直に引っ張ることによって測定した。
【0093】
各試料は10個づつ用意しその平均値を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2から明らかなように、セラミックヒータの製造方法において、リード部材をロウ材を介して接合する際の熱処理を、低温域で水蒸気分圧を上昇させていない第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させていない第2熱処理工程とを行った試料(No.1、2、10、15)のうち、低温域、高温域ともに水蒸気分圧の高い試料(No.10)、2つの熱処理工程を有さず、高温で水蒸気分圧の高い条件とした試料(No.15)は、ともに析出したガラス粒子11の最大径hが110μm以上、ガラス粒子11の面積率が0.72%以上と非常に大きく、耐久試験後のリード部材7の引張強度は16N以下と大きく低下するとともに、耐久試験後にメッキ層5の表面に酸化物が生成し変色や欠陥が見られた。また、低温域、高温域ともに水蒸気分圧の低い試料(No.1、2)は、高温域での水蒸気分圧が低いためガラス粒子の析出は少ないものの、低温域での水蒸気分厚が低いためセラミック体2表面に付着した有機物を完全に燃焼除去できないことがわかった。
【0096】
これに対し、リード部材をロウ材を介して接合する際の熱処理を、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有するものとした試料(No.3〜9、11〜14)は、ガラス粒子11の最大径hが58μm以下、面積率も0.36%以下と小さく、またセラミック体の汚れやも無く、耐久試験後の外観検査でメッキ層5の表面に酸化物も無かった。さらに、耐久試験後のリード部材7の引張り強度が30N以上と大きいものであった。
【0097】
特に、第1熱処理工程として、低温域での水蒸気分圧を900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、高温域での水蒸気分圧を900Pa以下とした試料(No.4〜8、11〜13)は、ガラス粒子11の最大径hが41μm以下、面積率も0.21%以下と小さく、耐久試験後のリード部材7の引張り強度も35N以上とより大きいものであった。
【0098】
【発明の効果】
本発明のセラミックヒータによれば、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータであって、上記リード部材におけるSiの量を0.05重量%以下とすることから、ガラス粒子の最大粒径が100μm以下、ガラス粒子の面積率が0.5%以下となり、耐久性良好なセラミックヒータとすることができた。
【0099】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法によれば、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータの製造方法であって、発熱抵抗体を内蔵したセラミック体に電極パッドを形成した後、該電極パッドの表面にメッキ層を形成するとともに、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材を介してリード部材を接合することから、ガラス粒子の最大粒径が100μm以下、ガラス粒子の面積率が0.5%以下となり、耐久性良好なセラミックヒータとすることができることが判った。
【0100】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法によれば、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧以上900Pa以下とすることから、セラミックヒータの表面に汚れが残ることがなく、ガラス粒子の粒径が100μm以下となるセラミックヒータを安定して供給できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のセラミックヒータの一実施形態を示す斜視図、(b)はその展開斜視図、(c)は同図(b)の発熱抵抗体の欠陥を示す部分拡大図である。
【図2】(a)は本発明のセラミックヒータに用いられる電極パッド周辺の部分斜視図、(b)はそのロウ材表面の部分拡大図、(c)はその一部を拡大した断面図である。
【図3】(a)は従来のセラミックヒータを示す斜視図、(b)はその展開斜視図、(c)はその電極パッド部分を拡大した断面図である。
【図4】(a)は従来のセラミックヒータに用いるロウ材の酸化する様子を示す拡大図、(b)はその電極パッド周辺の部分斜視図である。
【符号の説明】
1:セラミックヒータ
2:セラミック体
3:発熱抵抗体
3a:電極引出部
4:電極パッド
5:メッキ層
6:ロウ材
7:リード部材
8:セラミックシート
9:スルーホール
10:セラミック芯材
11:ガラス粒子
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用の空燃比検知センサ加熱用ヒータや気化器用ヒータ、半田ごて用ヒータなどに使用するセラミックヒータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空燃比センサ加熱用ヒータ等の自動車用のヒータとして図3(a)に示すようなセラミックヒータ21が多用されており、例えば、特許文献1や特許文献2に示されているように、アルミナを主成分とするセラミック体22中に、W、Re、Mo等の高融点金属からなる発熱抵抗体23を内蔵し、電極パッド24を介してリード部材27が接合されている。
【0003】
上記円柱状のセラミックヒータを製造する場合は、図3(b)に示すようにセラミック芯材20とセラミックシート28を用意し、セラミックシート28の一方面にW、Re、Mo等の高融点金属のペーストを印刷して発熱抵抗体23と電極引出部23aを形成した後、これらを形成した面が内側となるようにセラミックシート28を上記セラミック芯材20の周囲に巻付け、全体を焼成一体化することによりセラミックヒータ21としていた。
【0004】
セラミックシート28上には、発熱抵抗体23に電極引出部23aが接続され、該電極引出部23aの末端にスルーホール(不図示、以下同じ)が形成され裏面の電極パッド24と該電極引出部23aが接続されている。スルーホールには、必要に応じて導体ペーストが注入される。
【0005】
そして、図3(c)に示す電極パッド部周辺の部分断面図のように、セラミックヒータ21は側面に露出した電極パッド24の表面にはNiからなるメッキ層25が形成され、該メッキ層25の表面にロウ材26を介して、Ni等からなるリード部材27が接合され、このリード部材27から通電することにより発熱抵抗体23が発熱する仕組みである。
【0006】
また、上記ロウ材26の酸化や硫化を防止するため、ロウ材26の表面にはNiからなるメッキ層25が形成されており、メッキ層25を形成した後の熱処理やリード部材27をロウ付けする際の熱処理は、ロウ材26が酸化しないように還元雰囲気で熱処理していた。
【0007】
しかし、還元雰囲気中で熱処理を施した場合、水蒸気を含まないため熱処理後のセラミック体22の表面に黒ずんだ汚れ等が付着し、この付着物は洗浄しても完全に除去することが難しいため、外観不良や、酸素センサ内部に用いるセラミックヒータの場合には、使用中にこの付着物が剥離し、酸素センサ内部に形成されているPt電極と反応してセンサ特性を劣化させる恐れがあった。
【0008】
この問題に対応するため、水蒸気を含有した還元雰囲気中で熱処理を施すことによって、H2O−H2の化学平衡における乖離酸素分圧によってセラミックヒータ21に付着したカーボン残さを燃焼除去していた。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−354255号公報
【0010】
【特許文献2】
特開平11−257659号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、水蒸気を含有した還元雰囲気中で熱処理を施した場合、上記電極パッド24の表面に形成するメッキ層25およびロウ材26の表面には図4に示すようにガラス粒子31が析出してくる。
【0012】
このガラス粒子31は、リード部材27、セラミック体22およびロウ材26に含まれる不純物であるSiが表面に沁み出してきて酸化したものである。
【0013】
特に、リード部材27に含有されるSiは、リード部材27中の不純物酸素を除去するために添加されるものであり、リード部材27中に酸素が残ると、この酸素がリード部材27の粒界に偏析し、リード部材27に対して応力が掛かった際にリード部材27が粒界破壊し易くなる。このため、リード部材27中に酸素が残留しないようにSiを過剰に添加しており、リード部材27には0.2重量%くらいのSiが含有されていた。
【0014】
ところが、リード部材27に添加するSiが多すぎると、リード部材27中のSiと熱処理雰囲気中の酸素の相互拡散において、リード部材27中のSiの拡散速度がリード部材27中の酸素の拡散速度より大きいため、リード部材27の表面にSiの酸化物であるガラス粒子31が析出する。特に、ロウ材26との界面付近においては、ロウ材26と接触する部分のSiが拡散して析出するので、ガラス粒子31の生成量が増えガラス粒子31が粒成長する。そして、リード部材27の表面にガラス粒子31が生成して粒成長し、その析出量が多くなり、また粒径が100μm以上になると、リード部材27の酸化防止のためリード部材27の表面に形成するメッキ層25がロウ材26の表面全体を覆うことができなくなり、使用中の熱サイクルによりガラスとメッキ層の間に隙間が生成し、この隙間から空気が拡散することによりロウ材26やリード部材27が酸化してロウ材26やリード部材27の接着強度が劣化し、リード部材27のロウ付け強度を低下させるという欠点を有していた。
【0015】
例えば、図4(a)、(b)に示すように、Ag−Cu系のロウ材26の表面にガラス粒子31があると、セラミックヒータ使用中の熱サイクルにより、ロウ材26の中に存在するCuのような酸化しやすい成分が酸化し始め、Cuの酸化物からなる針状の結晶26aが表面に析出するような反応がおこり、これがロウ材26の内部まで浸透し、そこが起点となってリード部材27が剥離するという欠点を有していた。
【0016】
最近は、自動車の排気ガスに関する規制が厳しくなり、空燃比制御用に使用する酸素センサの立ち上がり速度を早くする必要が生じ、このためセラミックヒータ21の立ち上がり特性を早くすることが必要となった。このため、セラミックヒータ21の使用温度が高くなったため、このような問題が顕著になった。
【0017】
特に、自動車用に使用するセラミックヒータ21については、高い信頼性が要求されるため、1000本中1本でも上記のような不良が発生することは好ましくない。
【0018】
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、本発明の目的は、セラミックヒータ21の電極パッド24から酸化するのを抑制するとともに、リード部材27の接合強度を向上させることで耐久性が良好なセラミックヒータ21を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックヒータは、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータであって、上記リード部材におけるSiの量を0.05重量%以下とすることを特徴とする。
【0020】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法は、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータの製造方法であって、発熱抵抗体を内蔵したセラミック体に電極パッドを形成した後、該電極パッドの表面にメッキ層を形成するとともに、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材を介してリード部材を接合することを特徴とする。
【0021】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法は、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧900Pa以下とすることを特徴とする。
【0022】
これによって、リード部材の耐久性が非常に良好なセラミックヒータを得ることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のセラミックヒータの実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本発明のセラミックヒータ1の一実施形態を示すものであり、図1(a)はセラミックヒータ1の部分切り欠き斜視図であり、(b)は、そのセラミック体2部分の展開図である。
【0025】
本発明のセラミックヒータ1は、図1(a)に示すようにセラミック体2中に発熱抵抗体3を内蔵し、発熱抵抗体3の端部と通電する電極パッド4をセラミック体2の表面に備え、電極パッド4にメッキ層5を形成するとともに、ロウ材6を介してリード部材7が接合されている。
【0026】
このようなセラミックヒータ1は、同図(b)に示すようにセラミックシート8の表面に、発熱抵抗体3と電極引出部3aが形成され、さらに、その裏面側に形成される電極パッド4との間をスルーホールで接合した構造となっている。こうして準備されたセラミックシート8をセラミック芯材10に発熱抵抗体3が内側になるように密着焼成することによって発熱抵抗体3を内蔵したセラミック体2を得ることができる。
【0027】
上記セラミックヒータ1は、例えば外径が2〜20mm、長さが40〜200mm程度の円柱状で、自動車の空燃比センサ加熱用に用いる場合には、外径が2〜4mm、長さが40〜65mmとすることが好ましい。
【0028】
上記セラミック体2を構成するセラミックシート8は、アルミナ質セラミックス、窒化珪素質セラミックス、窒化アルミニウム質セラミックス、炭化珪素質セラミックス等の各種セラミックスからなり、特に、アルミナセラミックスからなることが好ましく、例えば、Al2O3を88〜95重量%、SiO2を2〜7重量%、CaOを0.5〜3重量%、MgOを0.5〜3重量%、ZrO2を1〜3重量%からなるアルミナセラミックスを用いることが好ましい。Al2O3含有量は88重量%未満となると、ガラス質が多くなるため通電時のマイグレーションが大きくなる恐れがある。一方、Al2O3が含有量が95重量%を超えると、セラミック体2中に内蔵された発熱抵抗体3の金属層内に拡散するガラス量が減少し、セラミックヒータ1の耐久性が劣化する恐れがある。
【0029】
上記セラミック体2には発熱抵抗体3が内蔵されており、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするものであり、図1(c)に示すように発熱抵抗体3のパターンに欠陥bが生じた場合、その欠陥部分の幅tがパターン幅Tの1/2以下とすることが好ましい。これは、上記欠陥の幅tがパターン幅Tの1/2を越えると、この部分で局部発熱し、発熱抵抗体3の抵抗値が大きくなり耐久性が劣化するためである。
【0030】
このような欠陥が発生する原因は、発熱抵抗体3をプリント形成する時に、プリント製版にゴミが付着したためパターンが欠けてしまったり、異物が混入し焼成時に焼失したりすることにより発生するものと思われる。プリントや密着工程で、生のセラミックシート8を取り扱う工程があるが、この工程の清浄度を向上させるとともに、万一の欠陥の発生に関して、上記寸法以上の欠陥を取り除くための検査工程の整備が重要である。
【0031】
また、自動車用のヒータとして用いる場合には、上記発熱抵抗体3の発熱長さが3〜15mmとなるようにすることが好ましい。この発熱長さが3mmより短くなると、通電時の昇温を早くすることができるが、セラミックヒータ1の耐久性を低下させる。一方、15mmより長くすると昇温速度が遅くなり、昇温速度を早くしようとするとセラミックヒータ1の消費電力が大きくなる。
【0032】
なお、上記発熱長さとは、図1(b)で示す発熱抵抗体3における往復パターンの部分の長さfを示す。この発熱長さfは、用途により種々選択されるものである。
【0033】
さらに、上記発熱抵抗体3の両端部には電極引出部3aが形成されており、図2の部分拡大図のように、発熱抵抗体3の端部に形成された電極引出部3aにはスルーホール9を介して発熱抵抗体3に通電するための電極パッド4が接続されている。
【0034】
上記電極パッド4は、W、Mo、Re等の高融点金属を主成分とするメタライズ層からなり、表面にメッキ層5を形成することによりロウ材6の流れを良くし、ロウ付け強度を向上させる作用をなす。
【0035】
また、電極パッド4の表面にはNi、Cr、もしくはこれらを主成分とする複合材料等からなるメッキ層5が1〜5μmの厚みで形成されるとともに、その表面にロウ材6を介してリード部材7がロウ材6によってロウ付けされる。
【0036】
ここで、図2(a)は本発明のセラミックヒータ1のリード部材7の接合部を示す斜視図であり、(b)は、ロウ材6の表面部分を拡大した部分拡大図であり、(c)はその断面図を示す。
【0037】
上記ロウ材6は、Ag−Cu、Au−Cu、Ag、Cu、Au等を主成分とし、必要に応じてバインダとなる樹脂や活性金属であるTi、Mo、V等の金属を含有してなり、酸素を含有する還元雰囲気中で溶融させてロウ付けする。
【0038】
また、上記ロウ材6は、Au−Cuロウを用いる場合はAu含有量が25〜95重量%、Au−Niロウを用いる場合はAu含有量が50〜95重量%とすると、ロウ付け温度を1000℃程度に設定でき、ロウ付け後の残留応力を低減することができる。これにより、熱サイクルにおいてロウ材6とセラミック体2の熱膨張差に起因する疲労が生じてもロウ付け強度の低下を抑制することができる。
【0039】
上記リード部材7には、Siが含有しており、リード部材7に含まれる含有量に比し約10分の1以下程度である。これは、リード部材7中のSiがリード部材7中の不純物酸素を除去するために添加されるものであり、リード部材7中に残留する酸素量が多いと、この酸素が粒界に偏析し、リード部材7に応力が掛かった際に粒界破壊し易くなる。そのため、Siを過剰に添加して酸素の残留を防止してリード部材7の強度を保持していた。しかし、この過剰なSiが酸化してガラスとなり、図2(a)に示すようにリード部材7やロウ材6の表面に析出し、これらの上に酸化防止のためのメッキ層5を形成する際に、ガラスの部分にはメッキ層5が形成されず欠陥となり、使用中の熱サイクルによりリード部材7やロウ材6が酸化してしまうという問題があった。
【0040】
そこで、本発明では、リード部材7中に含有されるSiを0.05重量%以下とすることによって、ロウ付け処理後にリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス量を減少させるとともに、その径を小さくできることを見出したものである。
【0041】
これによって、ロウ付け処理後にリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス量を減少させるとともに、その径を小さくできることを見出したものであり、セラミックヒータ使用中の熱サイクルにより、リード部材7やロウ材6の表面に生成したガラスとメッキ層5との間に隙間ができ、この隙間から酸素が拡散し、リード部材7やロウ材6が酸化することを防止できる。さらに、Siの量を0.03重量%以下とすることがより好ましい。
【0042】
また、本発明のリード部材7は、含有するSiの量を0.05重量%以下と非常に少なくしても、リード部材7中の不純物を十分に除去し、高強度のものとすることができる。
【0043】
これは、リード部材7を製造する際に、予め、原材料である金属のインゴット中に含有される酸素量を測定した上で、この酸素を除去するために添加するSi量を決定し、最終的に得られるリード部材7中に残留するSi量が0.05重量%以下となるように調整する方法、あるいは原料を溶融する際の雰囲気を真空中で行う、あるいは溶融の回数を繰り返し、リード部材7の純度を上げて不純物等のSi量を減らす方法等によって得ることができる。そのため、リード部材7の純度を高いものとして高強度なものとするとともに、ロウ付け時に生成するガラスの生成量を低減させるとともに、ガラス粒子の粒径を小さくすることができる。
【0044】
なお、上記リード部材7のSi量は、リード部材7を加圧した酸溶液中で溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって定量分析した。
【0045】
また、リード部材7としては、Ni、Fe−Ni−Co合金、4−2アロイ、Fe−Ni基合金、各種ステンレス等からなるものを使用することができ、また、リード部材7の形状としては、断面丸形状の線材や、板状の線材、ブロック状のもの等、種々の形状のものを使用することができる。特に、耐熱性が良好なNi系、Fe−Ni系合金を使用することが好ましく、発熱抵抗体3からの熱伝達により、使用中にリード部材7の温度が上昇し、劣化するのを有効に防止することができる。
【0046】
上記リード部材7としてNiやFe−Ni合金を使用する場合、その平均結晶粒径を400μm以下とすることが好ましい。上記平均粒径が400μmを越えると、使用時の振動および熱サイクルにより、ロウ付け部近傍のリード部材7が疲労し、クラックが発生しやすい。他の材質についても、例えばリード部材7を形成する材質の結晶粒径がリード部材7の厚みより大きくなると、ロウ材6とリード部材7の境界付近の粒界に応力が集中してクラックが発生しやすい。
【0047】
なお、ロウ付け時の熱処理は、ロウ付けの際の温度をできるだけ下げ、処理時間を短くすることで、リード部材7の平均結晶粒径を400μm以下と小さくすることができ、リード部材7の強度低下をより防止することができる。
【0048】
また、リード部材7を接合したロウ材6の表面には、ロウ材6の酸化を防止するためメッキ層5を形成することが好ましく、ロウ材6にメッキ層5を形成しない場合にはリード部材7全体をメッキ処理することが好ましい。
【0049】
次に、上述の構造をなすセラミックヒータの製造方法について説明する。
【0050】
まず、アルミナを主成分とし、焼結助剤としてSiO2、CaO、MgO、ZrO2を合計量で4〜12重量%含有するセラミックスラリーを成形したセラミックシート8を準備する。
【0051】
セラミックシート8の一方の主面に発熱抵抗体3および電極引出部3aをプリントもしくは転写等の手法を用いて形成し、電極引出部3aの裏面にあたるセラミックシート8の他方の主面に電極パッド4を同じくプリントもしくは転写等の手法により形成する。
【0052】
次に、電極引出部3aと電極パッド4との間にスルーホール9を形成し、該スルーホール9にW、Mo、Reの少なくとも1種類を主成分とする導電材料を充填するか、もしくはスルーホール9の内側面に塗布することにより、電極引出部3aと電極パッド6が電気的に接続できるようにする。
【0053】
その後、発熱抵抗体3および電極引出部3aの上にセラミックシート8とほぼ同等の組成からなるコート層を形成した後、セラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に周回密着して筒状の生成形体を成形する。こうして得られた生成形体を1500〜1650℃の還元雰囲気中で焼成してセラミック体2とする。
【0054】
その後、電極パッド4の表面に電解メッキ法や無電解メッキ法によりNi、Cr等の金属からなるメッキ層5を形成する。
【0055】
次に、Ag−Cu等を主成分とするロウ材6を介して電極パッド4とリード部材7とを酸素を含有した還元雰囲気中で熱処理することによって接合する。本発明のリード部材7では予めSi量を調整してSiが0.5重量%以下であるリード部材7を用いるため、酸素を含有した還元雰囲気中で熱処理するだけでリード部材7やロウ材6の表面に生成するガラス粒子11の析出量を少なくして、粒径を小さくすることができるため、リード部材7やロウ材6の全面にメッキ層5を形成することが可能となり、セラミックヒータ1の耐久性を改善することができる。
【0056】
次に、このようにして形成したロウ材6の表面にNi、Cr等の金属から成るメッキ層5を形成する。その後、酸素を含有した還元雰囲気中でリード部材7をロウ付けすることでセラミックヒータ1が完成する。
【0057】
なお、ロウ付け温度は具体的には、Ag−Cuロウであれば770〜870℃、Au−Cuロウであれば950〜1050℃、Agロウであれば1000〜1100℃でロウ付け処理を行う。
【0058】
また、セラミックヒータ1を湿度が高い雰囲気中で使用する場合、Au系、Cu系のロウ材6を用いることによってマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0059】
さらに、図2(a)に示すように電極パッド4の端部からロウ材6の端部までの距離kが少なくとも0.2mm以上とすることが好ましく、距離kが0.2mm未満であると、電極パッド4の端部がロウ材6の収縮時に引っ張られて剥離しやすくなり、ロウ付け強度が低下するためである。
【0060】
次いで、本発明のセラミックヒータの他の実施形態を説明する。
【0061】
上述の実施形態では、Si量の少ないリード部材7を用いることでロウ材6の表面に析出するガラス粒子11の粒成長を抑制して、その表面に欠陥のないメッキ層5を形成し、耐久性の高いセラミックヒータ1とするものであるが、この実施形態では、リード部材7に含まれるSi量が多い場合においても、ロウ付け時の熱処理条件を制御することでガラス粒子11の析出量を低減させ、粒成長を抑制するものである。
【0062】
この熱処理条件として、図2(a)に示すようにセラミック体2に形成した電極パッド4の表面にメッキ層5を形成し、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材6を介してリード部材7を接合するものである。
【0063】
このように、熱処理を行う炉内を複数のゾーンに分割し、低温域の水蒸気分圧を高くし、高温域の水蒸気分圧を低くすることによって、水蒸気が水素と酸素に乖離することにより生成される炉内の平衡酸素分圧を低減させることで、リード部材7に含有されるSiの酸化を抑制して、リード部材7やロウ材6に含まれるSiに起因するガラス粒子11の径を小さくすることができる。
【0064】
特に、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧900Pa以下とすることが好ましい。
【0065】
第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満では、リード部材7やロウ材6中のSiは、酸化の反応速度が遅いため、図2(a)〜(c)に示すようなガラス粒子11があまり成長しない。そのため600℃未満の温度域では水蒸気分圧を900Pa以上2400Pa以下と大きくすることで雰囲気中の水蒸気からの乖離酸素分圧を大きくして、セラミック体2表面に付着した有機物の燃焼除去を優先する。
【0066】
ここで、上記水蒸気分圧が900Pa未満となると、有機物を完全に燃焼除去することができない。一方、2400Paを越えると、メッキ層5やロウ材6、リード部材7等の金属部材の表面が酸化して劣化したり、外観が悪いものとなる。
【0067】
そして、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満の温度域では、使用するロー材6が溶解しリード部材7と電極パッド4とを接合させる為の温度域で(低温域に対し何をする温度域なのかを補充してください、温度が高いためリード部材7やロウ材6中のSiの酸化の反応速度が早い。そこで水蒸気分圧を900Pa以下と小さくすることで雰囲気中の水蒸気からの乖離酸素分圧を低減しSiの酸化を抑制し、ガラス粒子11の析出量を低減させ、粒径を小さくすることができる。上記水蒸気分圧は低ければ低いほどよく、ガス中の水蒸気分圧を450Pa以下とすることがより好ましく、さらには300Pa以下とすることがよい。
【0068】
また、高温域における水蒸気分圧は600Pa以下とすることがより好ましい。
【0069】
さらに、水蒸気分圧を分割したゾーン間で細かく制御することも可能である。
【0070】
なお、この水蒸気分圧は、ロウ付け用の炉内に導入するガスを予め温度調整した水槽中に通して飽和水蒸気圧とすることにより調整することができる。この飽和水蒸気圧を与える温度を露点というが、ガスの露点を0℃以下に調整する場合は、ガスを導入する配管を0℃以下の所定温度に冷却すればよい。また、露点を室温以上にする場合、上記水槽以降の配管温度について、露点以上の温度に調整することが必要である。
【0071】
このように第1熱処理工程、第2熱処理工程を制御した熱処理方法を用いたセラミックヒータ1は、ロウ材6の表面に析出するガラス粒子11の最大径hを100μm以下とすることができ、使用中の熱サイクルによりロウ材6が酸化してリード部材7の引張強度が減少するような問題を防止することができる。ガラス粒子11の粒成長を防止できない場合には、図2(c)に示したようにリード部材7やロウ材6の表面に形成するメッキがかからない部分が発生し、使用中の熱サイクルによりメッキ層5とガラス粒子11の間に隙間が発生し、リード部材7やロウ材6が酸化し、リード部材7のロウ付け部分の強度が劣化し、セラミックヒータの耐久性が低下してしまうの好ましくない。特に、このガラス粒子11の最大径hを30μm以下、特に10μm以下にすることがより好ましくリード部材7の引張強度の耐久性を向上させることができる。
【0072】
ここで、ガラス粒子11の最大径とは、形状が楕円状である場合には長径をいい、略ドーム状である場合は、ガラス粒子11を真上から見た場合の投影図における長径をいう。上記ガラス粒子11の最大径hの測定方法としては、金属顕微鏡、メジャースコープ、電子顕微鏡等の装置を使用して、任意のエリアを観察することにより測定することができる。なお、精度を高めるためにも、測定エリアを複数に増やすことが好ましい。
【0073】
なお、本発明のセラミックヒータ1は、上述の2つの実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更は可能であり、特に第1の実施形態に記載したようにSiの含有量を低減させたリード部材7を用いる事も可能である。
【0074】
【実施例】
次いで、本発明のセラミックヒータの実施例を示す。
【0075】
(実施例1)
先ず、図1に示すようなセラミックヒータ試料を得るため、セラミック体2としてAl2O3を主成分とし、SiO2、CaO、MgO、ZrO2を合計10重量%以内になるように調整したセラミックシート8に、W−Reからなる発熱抵抗体3とWからなる電極引出部3aをプリントした。また、セラミックシート8の裏面には電極パッド4をプリントした。発熱抵抗体3は、発熱長さ5mmで4往復のパターンとなるように作製した。
【0076】
そして、Wからなる電極引出部3aの末端には、スルーホールを形成し、ここにペーストを注入することにより電極パッド4と電極引出部3a間の導通をとった。スルーホールの位置は、ロウ付けを実施した場合にロウ付け部の内側に入るように形成した。
【0077】
次いで、発熱抵抗体3の表面にセラミックシート8と略同一の成分からなるコート層を形成して充分乾燥した後、さらに上記セラミックシート8と略同一の組成のセラミックスを分散させた密着液を塗布して、こうして準備したセラミックシート8をセラミック芯材10の周囲に密着し、1500〜1600℃で焼成した。
【0078】
さらに、上記電極パッド4の表面にNiからなる厚み3μmのメッキ層5を形成し、Au−Cuからなるロウ材6を用いて、表1に示す如くSiの含有量とし、Niを主成分とする直径0.8mmのリード部材7を還元雰囲気中830℃でロウ付けし、さらにその表面にNiからなる3μmのメッキ層5を形成して700℃で熱処理した。
【0079】
このメッキ層5のロウ付け処理の際、H2−N2ガスを温度調整した水の中をくぐらせて、H2−N2ガス中の酸素量を露点の調整により調整した。
【0080】
なお、リード部材7のSiの量は、リード部材7を製造する際、予めNiのインゴット中に含有される酸素量を測定した上で、この酸素を除去するために添加するSi量を決定し、最終的に得られるリード部材7中に残留するSi量を調整して作製し、リード部材7のSi量はリード部材7を加圧した酸溶液中で溶解し、誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)によって定量分析した。
【0081】
そして、各試料のセラミックヒータのリード部材7の接合部について、ロウ付け後に表面に析出したガラス粒子11の粒径を1000倍の電子顕微鏡写真を5mm2撮影し、画像処理装置を用いてガラス粒子11の最大径hを測定した。また、ガラス粒子11の生成量については、同様にリード部材11の接合部表面の電子顕微鏡写真からガラス粒子11の面積割合を画像解析により測定しその面積率を算出した。
【0082】
また、各試料を350℃の恒温槽に5分間入れて温度が安定した後強制急冷し、さらに恒温槽に入れる熱サイクル試験を2000サイクル実施し、さらに、500℃の恒温層に500時間放置するという耐久試験を実施し、その後、ロウ材6表面のメッキ層5の変化を観察し、メッキ層5にロウ材6のCuの酸化物が析出した生成物が発生したものは×、メッキ層5に一部に変色域がみられたものを△とし、酸化のような変化の見られないものを○とした。このテストは、使用中の熱サイクルの加速試験に相当する。
【0083】
また、上記熱サイクルを実施した耐久試験後の各試料におけるリード部材7の引張強度を、引張試験機を用いてリード部材7をセラミック体2の表面から垂直に引っ張ることによって測定した。
【0084】
各試料は10個づつ用意しその平均値を表1に示す。
【0085】
【表1】
【0086】
表1から判るように、リード部材7に含有されるSiの量が0.08重量%以上である試料(No.6〜9)は、ロウ付け後のリード部材7の表面に最大径hが100μmを越えるガラス粒子11が析出してガラス粒子11の面積率が0.53〜0.82%と大きいことが判る。さらに耐久試験後の引張強度が18N以下に低下して、リード部材7やロウ材6の外観に、図4(a)に示したような酸化がみられた。
【0087】
これに対し、リード部材7のSi含有量を0.05重量%以下とした試料(No.1〜5)は、ガラス粒子11の大きさが79μm以下であり、ガラス粒子11の面積率も0.50%以下と非常に低いことが判る。さらに耐久試験後の引張強度は、30N以上と大きく、リード部材7やロウ材6の外観は、Siの含有量が0.05重量%の試料(No.5)は、メッキ層5の一部に変色域が見られたが、図4(a)にしめしたような酸化はなく、変色域もみられず良好であった。
【0088】
(実施例2)
次いで、上述の実施形態と同様に図1に示すように、電極パッド4の表面にNiからなる厚み3μmのメッキ層5を形成し、Au−Cuからなるロウ材6を用いて、直径0.8mm、Niを主成分とし、Siを0.2重量%含有するリード部材7を表2に示す如く熱処理条件でロウ付けし、さらにその表面にNiからなる3μmのメッキ層5を端部に形成して700℃で熱処理した。
【0089】
上記リード部材7の熱処理条件は、第1熱処理工程として温度600℃未満、第2熱処理工程として温度600〜1000℃とし、水蒸気分圧を予め温度調整した水槽中に通して飽和水蒸気圧として種々の水蒸気分圧に調整したガスを炉内で発生させることで調整した。
【0090】
そして、各試料のセラミックヒータのリード部材7の接合部について、ロウ付け後に表面に析出したガラス粒子11の粒径を1000倍の電子顕微鏡写真を5mm2撮影し、画像処理装置を用いてガラス粒子11の最大径hを測定した。また、ガラス粒子11の生成量については、同様にリード部材11の接合部表面の電子顕微鏡写真からガラス粒子11の面積割合を画像解析により測定しその面積率を算出した
また、各試料におけるセラミック体の表面をオージェ分析によって観察し、セラミック体の表面の汚れ(有機物)の付着の有無を調べた。
【0091】
さらに、各試料を350℃の恒温槽に5分間入れて温度が安定した後強制急冷し、さらに恒温槽に入れる熱サイクル試験を2000サイクル実施し、さらに、500℃の恒温層に500時間放置するという耐久試験を実施し、その後、ロウ材6表面のメッキ層5の変化をSEM(電子顕微鏡)によって観察し、メッキ層5にロウ材6のCuの酸化物が析出した生成物が発生したものは×、メッキ層5に一部に変色域がみられたものを△とし、酸化のような変化の見られないものを○とした。このテストは、使用中の熱サイクルの加速試験に相当する。
【0092】
また、上記熱サイクルを実施した耐久試験後の各試料におけるリード部材7の引張強度を、引張試験機を用いてリード部材7をセラミック体2の表面から垂直に引っ張ることによって測定した。
【0093】
各試料は10個づつ用意しその平均値を表2に示す。
【0094】
【表2】
【0095】
表2から明らかなように、セラミックヒータの製造方法において、リード部材をロウ材を介して接合する際の熱処理を、低温域で水蒸気分圧を上昇させていない第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させていない第2熱処理工程とを行った試料(No.1、2、10、15)のうち、低温域、高温域ともに水蒸気分圧の高い試料(No.10)、2つの熱処理工程を有さず、高温で水蒸気分圧の高い条件とした試料(No.15)は、ともに析出したガラス粒子11の最大径hが110μm以上、ガラス粒子11の面積率が0.72%以上と非常に大きく、耐久試験後のリード部材7の引張強度は16N以下と大きく低下するとともに、耐久試験後にメッキ層5の表面に酸化物が生成し変色や欠陥が見られた。また、低温域、高温域ともに水蒸気分圧の低い試料(No.1、2)は、高温域での水蒸気分圧が低いためガラス粒子の析出は少ないものの、低温域での水蒸気分厚が低いためセラミック体2表面に付着した有機物を完全に燃焼除去できないことがわかった。
【0096】
これに対し、リード部材をロウ材を介して接合する際の熱処理を、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有するものとした試料(No.3〜9、11〜14)は、ガラス粒子11の最大径hが58μm以下、面積率も0.36%以下と小さく、またセラミック体の汚れやも無く、耐久試験後の外観検査でメッキ層5の表面に酸化物も無かった。さらに、耐久試験後のリード部材7の引張り強度が30N以上と大きいものであった。
【0097】
特に、第1熱処理工程として、低温域での水蒸気分圧を900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、高温域での水蒸気分圧を900Pa以下とした試料(No.4〜8、11〜13)は、ガラス粒子11の最大径hが41μm以下、面積率も0.21%以下と小さく、耐久試験後のリード部材7の引張り強度も35N以上とより大きいものであった。
【0098】
【発明の効果】
本発明のセラミックヒータによれば、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータであって、上記リード部材におけるSiの量を0.05重量%以下とすることから、ガラス粒子の最大粒径が100μm以下、ガラス粒子の面積率が0.5%以下となり、耐久性良好なセラミックヒータとすることができた。
【0099】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法によれば、セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータの製造方法であって、発熱抵抗体を内蔵したセラミック体に電極パッドを形成した後、該電極パッドの表面にメッキ層を形成するとともに、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材を介してリード部材を接合することから、ガラス粒子の最大粒径が100μm以下、ガラス粒子の面積率が0.5%以下となり、耐久性良好なセラミックヒータとすることができることが判った。
【0100】
また、本発明のセラミックヒータの製造方法によれば、上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧以上900Pa以下とすることから、セラミックヒータの表面に汚れが残ることがなく、ガラス粒子の粒径が100μm以下となるセラミックヒータを安定して供給できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明のセラミックヒータの一実施形態を示す斜視図、(b)はその展開斜視図、(c)は同図(b)の発熱抵抗体の欠陥を示す部分拡大図である。
【図2】(a)は本発明のセラミックヒータに用いられる電極パッド周辺の部分斜視図、(b)はそのロウ材表面の部分拡大図、(c)はその一部を拡大した断面図である。
【図3】(a)は従来のセラミックヒータを示す斜視図、(b)はその展開斜視図、(c)はその電極パッド部分を拡大した断面図である。
【図4】(a)は従来のセラミックヒータに用いるロウ材の酸化する様子を示す拡大図、(b)はその電極パッド周辺の部分斜視図である。
【符号の説明】
1:セラミックヒータ
2:セラミック体
3:発熱抵抗体
3a:電極引出部
4:電極パッド
5:メッキ層
6:ロウ材
7:リード部材
8:セラミックシート
9:スルーホール
10:セラミック芯材
11:ガラス粒子
Claims (3)
- セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータであって、上記リード部材におけるSiの量を0.05重量%以下とすることを特徴とするセラミックヒータ。
- セラミック体中に発熱抵抗体を内蔵し、該発熱抵抗体に通電する電極パッドを上記セラミック体の表面に備え、上記電極パッドの表面にメッキ層を形成し、ロウ材を介してリード部材を取着してなるセラミックヒータの製造方法であって、発熱抵抗体を内蔵したセラミック体に電極パッドを形成した後、該電極パッドの表面にメッキ層を形成するとともに、低温域で水蒸気分圧を上昇させた第1熱処理工程と、高温域で水蒸気分圧を低下させた第2熱処理工程とを有する熱処理によってロウ材を介してリード部材を接合することを特徴とするセラミックヒータの製造方法。
- 上記第1熱処理工程として、温度200℃以上600℃未満、水蒸気分圧900Pa以上2400Pa以下、第2熱処理工程として、温度600℃以上1000℃未満、水蒸気分圧900Pa以下とすることを特徴とする請求項2に記載のセラミックヒータの製造方法。
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