JP2005017482A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構成で低コストに加熱ベルトの寄りを効果的に抑制することのできる定着装置を提供する。
【解決手段】加熱ベルト1が片側に寄ると、ベルトガイド13及びスプリング14を介して支持部材11が押され、支持部材11に支持されているユニット全体に回転力が発生する。支持部材11が軸9を中心にして回転動作をする(傾く)ことにより、ベルトが寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上りベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられてベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら加熱ベルト1の寄りが抑制される。
【選択図】 図3
【解決手段】加熱ベルト1が片側に寄ると、ベルトガイド13及びスプリング14を介して支持部材11が押され、支持部材11に支持されているユニット全体に回転力が発生する。支持部材11が軸9を中心にして回転動作をする(傾く)ことにより、ベルトが寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上りベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられてベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら加熱ベルト1の寄りが抑制される。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置における定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−75699号公報
【特許文献2】特開平11−65336号公報
一般に、フルカラー画像形成装置用の定着装置においては、複数色のカラートナーを充分に溶融させることで発色性を向上させ、定着後のトナー表面を所定の光沢度に調整し、また、OHP用紙に対しても充分な透過性を得るために、ニップ時間(幅)を充分に確保しなければならない。しかしながら、従来のローラ定着方式では、広いニップ幅を確保しようとするとローラが大径化し、圧力を上げなければならないためローラ肉厚が厚くなり、立ち上り時間が長くなってしまっていた。
【0003】
そこで、フルカラー対応でしかも立ち上り時間を短縮できる定着方式として、ニップ幅の確保に有利な加熱ベルト(定着ベルト)を用いるベルト定着装置が提案されている。加熱ベルトを用いた定着装置においては、一般的に、ベルトのループ内には加熱ベルトを加熱するための加熱ローラや定着ローラ、駆動ローラといった複数のローラが配設されており、これらのローラの回転中心の僅かな変位により加熱ベルトに寄り力が発生し、経時での加熱ベルト端部の変形や摩耗が発生する可能性がある。この現象は、加熱側に加えて加圧側にベルトを用いた定着装置においても発生するものである。
【0004】
上記特許文献1及び2には、上記現象に対応すべく、ベルトの端部で寄りを検知して、メカ的な機構でベルトが掛け渡されるローラの軸を傾動させたりして戻し力を発生させるようにした定着装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メカ的な機構によりベルトの寄りを矯正するようにした定着装置の場合、部品点数も多くなり、装置構成が複雑化してコストが増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、従来のベルト定着装置における上述の問題を解決し、簡単な構成で低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することのできる定着装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、少なくとも定着部材とテンション部材の間に懸架された無端状の加熱ベルトと、該加熱ベルトを挟んで前記定着部材に圧接される加圧部材とを備え、前記加熱ベルトと加圧部材間に形成される定着ニップに記録媒体を通過させて未定着トナーの定着を行う定着装置において、ベルト幅方向に移動する前記加熱ベルトからの押圧力を受け、前記加熱ベルトの幅方向の一方側においてベルトテンションが増大し他方側においてベルトテンションが減少するように前記テンション部材を傾けさせる力に変換する押圧力変換機構を有することにより解決される。
【0008】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力変換機構は、前記テンション部材を傾動可能に支持する支持部材と、該支持部材と前記加熱ベルトの間に介在し前記押圧力を支持部材に伝える押圧力伝達部材を有することを提案する。
【0009】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記支持部材は前記テンション部材の長手方向の中心から伸びる垂線上に位置する回転中心を有し、該支持部材及び支持部材に一体的に支持された部材の回転面と、前記テンション部材の中心と前記加圧部材の中心を通り且つ前記テンション部材の長手方向に平行な平面とが、略同一面であることを提案する。
【0010】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材に嵌装されて前記加熱ベルトの幅方向に移動可能な部材であることを提案する。
【0011】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材と前記支持部材の間に弾性部材が配設されることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材と、前記加熱ベルトの周面に凸設され前記テンション部材に当接するリブ部材とから構成されることを提案する。
【0012】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記テンション部材が前記加熱ベルトを加熱する加熱ローラであることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記定着部材が、少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材として構成された第1の定着部材と、表層に弾性層を有する回転部材として構成された第2の定着部材とからなることを提案する。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記定着部材が、表層に弾性層を有する定着ローラであることを提案する。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置により解決される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。
【0015】
従来のカラートナーを用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置のベルト定着装置においては、定着ベルトの材質として一般的にトナーに対して離型性が良く耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴムが用いられ、さらにシリコーンゴム上には離型性確保と耐久性向上の点から離型剤としてシリコーンオイルが塗布されていた。
【0016】
一方、本実施形態の画像形成装置では、樹脂母材内部に離型剤としてのワックスを内包分散させたオイルレストナーを用いており、定着ベルトの構成としては耐熱性と機械的強度を併せ持ったポリイミド等の樹脂チューブの周囲に耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴム等の材料を成型加工し、更にシリコーンゴムの表層には強度と離型性を併せ持った耐熱性樹脂が離型層として構成されている。離型層としては、耐熱性があり表面エネルギーの小さい材料が使用され、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂などが離型層の材料として使用される。
【0017】
さて、図1に示す画像形成装置の全体的な構成と動作については後述するとして、先に定着装置について説明する。
図2及び図3は、第1実施例の定着装置10Aの要部構成を示すもので、図2は正断面図、図3は側面図である。この図に示す定着装置10Aは、加熱ベルト(定着ベルト)1,加圧ローラ2,加熱ローラ3,駆動ローラ4,定着部材5及びベルトガイド6,加熱ローラ3を支持する支持部材11等からなり、これらが図示しない定着ケーシングに収められている。
【0018】
加熱ベルト1は加熱ローラ3、駆動ローラ4、樹脂ホルダ5aとパッド5bとからなる定着部材5及びベルトガイド6を内包している。加熱ベルト1の基材としては、50〜90μmの厚みに成型されたポリイミド等の耐熱性樹脂ベルトや、30〜50μmの厚みのNi電鋳あるいはSUS等からなる金属ベルトが用いられる。その基材表面にはオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有する。またカラー画像形成装置に用いるベルト定着装置の場合には、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が充分な平滑性を維持するように、基材と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を100〜400μ程度の厚みの範囲で適宜設けた構成が一般的である。
【0019】
加熱ローラ3はアルミ等の熱伝導性の良好な金属ローラとして構成され、加熱ローラ3の中には熱源としてのハロゲンヒータ7を持ち、加熱ベルト1に対して熱を供給する構成になっている。また加熱ローラ3の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ7の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加熱ローラ3に対向する位置で加熱ベルト1の表面にはサーミスタ16が接触して配置されており、該サーミスタ16の検出値に基づいて加熱ベルト1の表面を所定の温度に制御している。加熱ローラ3は支持部材11にベアリング12を介して回転自在に支持されるとともに、その回転中心は位置固定され、加熱ベルト1により従動回転されている。本例における加熱ローラ3は、加熱ベルト1が懸架されるテンション部材である。
【0020】
定着部材5のパッド5bはシリコーンゴム或いは発泡シリコーンゴム等の弾性体により構成されており、耐熱性樹脂からなるホルダ5aに耐熱性接着剤等により接着されている。定着部材5のホルダ5aの側面にはベルトガイド6が取付けられており、大きな半径で加熱ベルト1をニップ部の入口へ導く構成になっている。加熱ベルト1が加圧ローラ2に圧接されているニップ部においては、加圧ローラ2の回転駆動によって加熱ベルト1が引張られる力が働く。このときベルトガイド6の半径が小さいと加熱ベルト1にとって負荷抵抗となり、定着ベルトのスリップやユニット負荷トルクの増大といった不具合が発生する可能性があるため、本例ではベルトガイド6を大径なものとしている。ベルトガイド6の加熱ベルト1との接触面及びパッド5bの加熱ベルト1への接触面には、いずれも図示しない低摩擦化部材が設けられており摺動抵抗を極力低減するような構成になっている。
【0021】
なお、加圧ローラ2と加熱ベルト1間の摩擦係数をμ1、駆動ローラと加熱ベルト1間の摩擦係数をμ2、パッド5b(及びベルトガイド6)と加熱ベルト1間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されている。これにより、加熱ベルト1がスリップすることなく駆動される。
【0022】
加圧ローラ2は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、表面には両面定着時にオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有している。カラー画像形成装置に用いる本例のベルト定着装置では、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が充分な平滑性を維持するように、加圧ローラ2の芯金と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を0.2〜1.0mmの厚み範囲で適宜設けた構成を採用している。設計仕様としてのゴムの厚みは、立ち上り時間の仕様により熱容量の上限厚み以下にしなければならないため、画質と立ち上り時間の重み付けにより決定される。加圧ローラ2の中には熱源としてのハロゲンヒータ8を配設し、加圧ローラ2の表面にはサーミスタ17を接触させて設け、加熱ベルト1の表面を所定の温度に制御している。また加圧ローラ2の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ8の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加圧ローラ2は、図示しない側板にベアリング等を介して回転自在に支持されるとともに回転中心は位置固定され、図示しない本体駆動からのギヤ系列より回転駆動されている。
【0023】
駆動ローラ4は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、その表面にシリコーンゴムあるいは発泡シリコーンゴム等の弾性層を成型した構成になっている。弾性層の厚みやゴム硬度は、定着装置の立ち上り時間からの制約により決まる熱容量の仕様と、カラー画像の表面平滑性が不充分な場合に問題となる梨地画像あるいは柚肌画像を解消するために大きな圧力が必要となる場合には、弾性層の厚みを薄くするとともにゴム硬度を高くしなければならない。駆動ローラ4のゴム層の厚みは望ましくは1〜5mmの範囲であり、ゴム硬度はアスカC硬度で50〜90Hsの範囲に設計される。立ち上り時間の速いマシンの場合には、一般的に発泡シリコーンゴム等の熱伝導性の悪い材料が用いられる。駆動ローラ4は加圧ローラ2に対して軸間距離が固定された状態で所定の食込み量で(加熱ベルト1を挟んで)圧接されており、互いの弾性層でニップを形成している。軸間固定で所定のニップ幅を確保するためには、定着可能温度における互いのローラの熱膨張を考慮して食込み量を決める必要がある。なお、本例においては駆動ローラ4が第2定着部材としての機能も果たしており、第1定着部材であある定着部材5とともに、定着ニップを形成させるための定着部材を構成している。
【0024】
加熱ベルト1は、駆動ローラ4の回転により図2において時計回りに回動される。その加熱ベルト1には上記の如く加圧ローラ2が圧接され、加熱ベルト1と加圧ローラ2の間に形成される定着ニップ内に記録シート(図示せず)を図の右から左方向に通過させることにより、記録シートに担持される未定着トナー像がシート上に定着される。
【0025】
次に、図3を参照して、加熱ベルト1の寄りを抑制するための押圧力変換機構について説明する。
加熱ベルト1のループ内に配設された加熱ローラ3は、ベアリング12と共にローラ両端部を支持部材11に支持されている。支持部材11は、ほぼ通紙範囲の中心(加熱ローラ3の長手方向の中心)の延長線上に設けられた回転軸9を回転中心として揺動可能になっており、したがって加熱ローラ3も支持部材11と共に揺動可能となっている。加熱ローラ3の両端部には、ローラ軸に遊嵌されて移動可能なリング状部材であるベルトガイド13,13がはめ込まれている。このベルトガイド13,13は、加熱ベルト1が寄った場合にベルト端部に押されて軸方向に移動する。ベルトガイド13,13の外側には、加熱ベルト1の寄り力(押圧力)を緩衝するための圧縮スプリング14,14が嵌装されている。
【0026】
このように構成された押圧力変換機構においては、加熱ベルト1が片側に寄った場合、ベルトガイド13及びスプリング14を介してベアリング12が押され、その結果、支持部材11に支持されているユニット全体に回転力が発生する。
加熱ベルト1が寄って、支持部材11が回転軸9を中心にして回転動作をする(傾く)ことにより、加熱ベルト1が寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上るとともにベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられるとともにベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら、加熱ベルト1は端部に過大な力が働くこと無く経時においても安定して駆動が行われ、加熱ベルト1の耐久性も維持できる。本例の定着装置においては、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0027】
加熱ベルト1の寄りによって支持部材に回転力が働く作用(押圧力変換機構の作用)について補足説明する。加熱ベルト1が寄ると、ベルトガイド13がベルトに押されることによりスプリング14が圧縮しながらベアリング12を押す。
ベアリング12は支持部材11に固定されており、ベアリング12を介して支持部材11の端部に軸方向(加熱ローラ3の軸方向=長手方向)への移動力が働く。ところが、支持部材11は回転軸9を中心として回転する構造体であるため、軸方向の移動力は回転力に変換される。図3において、加熱ベルト1が左側に寄った場合、支持部材11は時計回りに回動することになる。
【0028】
本例においては、加熱ローラ3を、加熱ベルト1が懸架されるテンション部材とすることによって、装置構成を簡略化することができる。また、第1定着部材であある定着部材5と第2定着部材としての駆動ローラ4で定着ニップを形成しており、ニップ幅を大きくして定着性を向上させている。
【0029】
さらに、本例においては、ベルトガイド13が加熱ベルト1と支持部材11の間に介在してベルトからの押圧力を支持部材11に伝える押圧力伝達部材であり、その押圧力伝達部材と支持部材11の間に弾性部材であるスプリング14を配置して押圧力を緩衝させている。ベルトガイド13が加熱ローラ3の軸方向(加熱ベルト1の幅方向)に移動可能なので、ベルトの寄りを効率的に支持部材に伝達し、押圧力の変換が効率的に行われ、ベルトの寄り抑制を効果的に抑制できる。
【0030】
図4は、第2実施例の定着装置10Bの要部構成を示す側面図である。図1及び図2の定着装置10Aと同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0031】
図4(a)に示すように、本実施例の定着装置10Bにおいては、加熱ベルト1の内周面の端部(両側端部)にリブ15が設けられている。そして、図4(b)に示すように、左右両側のリブ15,15の内側に、加熱ローラ3の本体部分及び駆動ローラの本体部分が収まるように構成されている。なお、図示されていないが、定着装置10Bも定着装置10Aと同様に定着部材5及びベルトガイド6を備えており、定着部材5及びベルトガイド6も左右両側のリブ15,15の内側に収まるように構成されている。支持部材11の構成は定着装置10Aと同じであり、加熱ローラ3がベアリング12,12を介して支持部材11により支持されている。
【0032】
本実施例の定着装置10Bでは、加熱ベルト1に寄りが生じた場合、リブ15が加熱ローラ3の本体部分の端面に当接し、加熱ローラ3をその軸方向に押圧する。例えば、図4において左側に加熱ベルト1が寄った場合、右側のリブ15が加熱ローラ3の端面に当接して左方向に移動させようとする。加熱ローラ3の軸は、図示しないCリング等によりベアリング12に対して抜け止めされており、加熱ローラ3の移動(加熱ベルト1の寄り)はベアリング12を介して支持部材11に伝えられる。
【0033】
本例においては、リブ15と加熱ローラ3が加熱ベルト1の押圧力を支持部材11に伝えており、リブ15と加熱ローラ3が押圧力伝達部材を構成するものである。本例では、押圧力伝達部材を構成する部品点数が少なく、構成を簡略化することができる。
【0034】
支持部材11の構成は定着装置10Aと同じであり、回転軸9を中心にして回動可能に支持されているため、加熱ベルト1の寄りによって、支持部材11が回転軸9を中心にして回転動作をすることにより、加熱ベルト1が寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上るとともにベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられるとともにベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら、加熱ベルト1は端部に過大な力が働くこと無く経時においても安定して駆動が行われ、加熱ベルト1の耐久性も維持できる。本例の定着装置においては、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0035】
図5は、第3実施例の定着装置10Cの要部構成を示す側面図である。図1及び図2の定着装置10Aと同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0036】
本実施例の定着装置10Cは、前記実施例の定着装置10A及び10Bとは異なり、定着部材5及びベルトガイド6を備えておらず、加熱ベルト1は加熱ローラ3と定着ローラ18とに掛け渡されている。支持部材11は定着装置10A及び10Bと同じである。定着ローラ18は表層に弾性層を有し、加熱ベルト1を挟んで加圧ローラ2と圧接され、加熱ベルト1と加圧ローラ2の間に所定のニップ幅を形成する。したがって、定着ローラ18は回転部材として構成された定着部材である。定着部材として定着ローラ18を用いることにより、定着装置の構成を簡略化することができる。
【0037】
加熱ベルト1の寄りを抑制するための押圧力変換機構としては、図1及び図2で説明した定着装置10Aと同様の構成としても良いし、図4で説明した定着装置10Bと同様の構成としても良い。すなわち、加熱ローラ3の端部にベルトガイド13及びスプリング14を介在させて支持部材11を回動させても良いし、加熱ベルト1の内周面両側端部にリブ15を設けて支持部材11を回動させても良い。加熱ベルト1の寄りを抑制する作用については上記説明したとおりである。本例の定着装置においても、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0038】
ところで、上記各実施例の定着装置において、図2及び図5から明らかなように、加熱ローラ3の中心と加圧ローラ2の中心(ローラ軸方向から見た場合の中心)を結ぶ線と、支持部材11の回転軸9の軸線とは略直交するように設けられている。そのため、支持部材11によって支持されたユニット(例えば、定着装置10Aの場合は、支持部材11、加熱ローラ3のほか、ベアリング12等の部材を含む)が、回転軸9を中心として回転するときの回転面と、加熱ローラ3の中心と加圧ローラ2の中心を通り且つ加熱ローラ3の長手方向(軸方向)に平行な平面とが、略同一面にあることになる。このような構成により、加熱ベルト1の戻し力が増大し、定着ベルトの寄りが効果的に防止される。また、その結果として、定着ベルトの耐久性を向上させる効果も奏する。
【0039】
また、第1実施例の定着装置10Aにおいては、加熱ローラ3の両端部にリング状のベルトガイド13と圧縮スプリング14が嵌装されており、これらを介して支持部材11によって支持されたユニットが回転するようになっている。このような構成により、定着ベルト端部の変形が効果的に防止され、耐久性を向上させることができる。
【0040】
また、第2実施例の定着装置10Bにおいては、加熱ベルト1の内周面の端部にリブ15を設け、このリブを介して支持部材11によって支持されたユニットが回転するようになっている。このような構成により、定着ベルト端部の変形が効果的に防止され、耐久性を向上させることができる。
【0041】
なお、上記各実施例の定着装置においては、加熱ローラ3を支持部材11に支持させる構成としたが、定着ベルトが掛け渡される他の任意の部材を支持部材11に支持させる構成とすることもできる。例えば、加熱ローラ3の他に補助ローラ(テンションローラ)を設け、その補助ローラを支持部材11に支持させてベルトの寄りを抑制するように構成することも可能である。あるいは、加熱ローラ3に代えて補助ローラ(テンションローラ)を設け、そのテンションローラを支持部材11に支持させてベルトの寄りを抑制するように構成することもできる。その場合、外部加熱手段により加熱ベルト1の加熱を行うようにしても良い。また、誘導加熱により加熱ベルト1の加熱を行うようにしても良い。
【0042】
また、押圧力伝達部材としては、加熱ベルト1の寄りがない状態での加熱ローラ3におけるベルトの外側両端部に傾斜部(端部に向かって径が順次大きくなる構成で、断面図で見ると次第に径が大きくなってローラ面が傾斜して表される構成)を設け、加熱ベルト1が片寄った場合にその傾斜部にベルトの寄る力(押圧力)が作用して加熱ローラ3が支持部材11を押圧して回転させるように構成することも可能である。
【0043】
最後に、図1の画像形成装置について説明する。
この図に示す画像形成装置は、いわゆるタンデム型のフルカラー装置であり、画像読み取り部を備えて複写装置として構成されたものである。定着装置としては上記説明した各実施例のものを装着可能であり、図1では定着装置の符号を10Aとしてある。
【0044】
図1に示す複写装置は、給紙テーブル200の上に装置本体100を搭載し、その装置本体100の最上部にはスキャナ300が配置され、さらにその上に原稿自動搬送装置(ADF)400を設けてある。
【0045】
装置本体100のほぼ中央には、無端ベルト状の中間転写体を中心とする中間転写ユニット60が設けられている。この中間転写ベルトの上辺に沿って4つの作像ユニット50が並べて配置されている。各作像ユニット50は図6に示すように、左から順にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各ユニットである。
各作像ユニット50においては、感光体ドラム51の周囲には現像ユニット52やクリーニングユニット53等の電子写真プロセスに必要な各機器が配置されている。
【0046】
中間転写ベルト61は、図6に示す如く、3つの支持ローラ62〜64に張架されて図中時計回りに回転搬送可能に設けている。この図示例では、支持ローラ63の左外側に、ベルト上の残留トナーを除去するクリーニング手段66を設けている。中間転写ベルト61の内側で、各作像ユニットの感光体ドラム51に対向する位置に、一次転写手段である転写ローラ65が配置されている。
【0047】
上記各作像ユニット50の上方には露光装置40(図1)が配設されている。
露光装置40からの書き込みレーザ光Lは、各作像ユニット50の感光体ドラム51にそれぞれ照射される。
【0048】
中間転写ユニット60の下方には、二次転写手段である二次転写ベルト装置70が配置されている。本実施形態における二次転写手段70は、2つのローラ72,73間に無端ベルトである二次転写ベルト71を掛け渡して構成している。
二次転写ベルト71は、中間転写ユニット60の支持ローラ64に押し当てて配置され、中間転写ベルト61上の画像を記録材(転写紙等)に二次転写する。本例では、一方のローラ73が二次転写ローラとして構成され、図示しない電源部より二次転写バイアスが印加される。。
【0049】
図1に戻り、二次転写ベルト装置70の左方には、用紙上の転写画像を定着するための定着装置として、先に説明した定着装置10Aが設けられている。第2,第3実施例の定着装置10B,10Cとすることも可能である。二次転写ベルト装置70は、画像転写後の用紙を定着装置10Aへと搬送する機能も備えている。定着装置10Aの左方には排紙トレイ69が設けられている。排紙トレイ69とは反対側の装置側面には、手差しトレイ68が設けられている。
【0050】
また、装置本体100の最下部には、シート反転部が設けられている。その下方、給紙テーブル200には2段の給紙カセット61,61が内蔵されている。
【0051】
さて、本例のカラー複写装置を用いてコピーをとるときは、ADF400の原稿トレイ又はコンタクトガラス上に原稿をセットする。そして、図示しない操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、スキャナが駆動され、光源からの反射光をミラーで反射することにより図示しない結像レンズを通して読取りセンサに入れ、原稿情報を読み取る。
【0052】
また、同じく操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、図示しない駆動モータで支持ローラ62,63,64の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転させ、中間転写ベルト61を回転搬送する。同時に、個々の作像ユニット50において感光体51を回転させ、各感光体51上にそれぞれ、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体61の回動とともに、それらの単色画像を一次転写ローラ65に電界を印加することにより中間転写ベルト61上に順次転写して合成カラー画像を形成する。
【0053】
一方、スタートスイッチが押されると、給紙テーブル200又は手差しトレイ68から用紙を繰り出し、レジストローラ67に突き当てて一時停止させる。
そして、中間転写ベルト61上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ67を回転し、中間転写ベルト61と二次転写ユニット70との間に用紙を送り込み、この二次転写ユニット70で画像を転写して用紙上にカラー画像を記録する。画像転写後の用紙は定着装置10Aに送られ、トナー像を定着されて排紙トレイ69に排出される。
【0054】
一方、画像転写後の中間転写ベルト61は、除帯電チャージャにて中間転写ベルト61およびベルト上の残留トナーの除電を行い、その後中間転写体クリーニング装置66で残留トナーを除去し、タンデム方式の画像形成部による再度の画像形成に備える。
【0055】
定着装置前後の記録シートの動きを詳細に述べると、2次転写部から未定着像を表面に載せた状態で定着装置10Aに侵入してきた記録シートは、定着装置の入口ガイド板によりやや上方に持ち上げられて定着ニップに挟み込まれ、熱と圧力により記録シート上にトナー像が定着される。記録シートは、記録シート上面の未定着像が加熱ベルト1側を向き、記録シート裏面が加圧ローラ2側を向いた状態で加熱ベルト1と加圧ローラ2の間で搬送及び定着がおこなわれる。
【0056】
本発明のベルト定着装置によって、トナーを記録シート上に定着させる工程について説明する。
トナーは加熱ベルト1及びヒータ8を内蔵した耐熱性弾性部材である加圧ローラ2により粘性が低い状態まで加熱され、さらに加圧ローラ2の加圧力の作用により記録シートの繊維中に浸透していく。その後トナーが冷えて固まったときにトナーと紙繊維同士は強固に定着される。但し、このときに加熱ベルト1から分離する時点でのトナー層の温度が軟化温度Ts以下であると、トナーの樹脂は充分に軟化せず、従って記録シートの繊維中にも浸透していかないため充分な定着強度が得られない。また一方、加熱ベルト1から分離する時点でのトナー層表面温度が流出開始温度Tf以上であると、トナーの樹脂粘度が低くなりすぎ、記録シートの繊維中には充分浸透していくものの加熱ベルト1の離型層との間の離型性が悪化してしまい、加熱ベルト1へのトナーオフセットや加熱ベルト1への記録シート巻き付きといった不具合になってしまうので、定着後のトナー層表面温度がTsからTfの範囲になるように定着温度の制御温度を決めており、望ましくはその中央に近い領域で温度偏差(リップル)が小さい制御システムであることが望ましい。
【0057】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜の変更が可能である。もちろん、画像形成装置としては複写機以外のプリンタやファクシミリであっても良いことは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、ベルト幅方向に移動する加熱ベルトからの押圧力を受け、加熱ベルトの幅方向の一方側においてベルトテンションが増大し他方側においてベルトテンションが減少するようにテンション部材を傾けさせる力に変換する押圧力変換機構を有するので、簡単な構成で低コストに加熱ベルトの片寄りを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。
【図2】第1実施例の定着装置の要部構成を示す正断面図である。
【図3】第1実施例の定着装置の要部構成を示す側面図である。
【図4】第2実施例の定着装置の要部構成を示す側面図である。
【図5】第3実施例の定着装置の要部構成を示す正断面図である。
【図6】図1の画像形成装置の作像部付近を詳しく示す拡大図である。
【符号の説明】
1 加熱ベルト(定着ベルト)
2 加圧ローラ(加圧部材)
3 加熱ローラ(テンション部材)
4 駆動ローラ(第2定着部材)
5 定着部材(第1定着部材)
7,8 ハロゲンヒータ(加熱手段)
11 支持部材
13 ベルトガイド
14 圧縮スプリング(弾性部材)
15 リブ
18 定着ローラ(定着部材)
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置における定着装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開2000−75699号公報
【特許文献2】特開平11−65336号公報
一般に、フルカラー画像形成装置用の定着装置においては、複数色のカラートナーを充分に溶融させることで発色性を向上させ、定着後のトナー表面を所定の光沢度に調整し、また、OHP用紙に対しても充分な透過性を得るために、ニップ時間(幅)を充分に確保しなければならない。しかしながら、従来のローラ定着方式では、広いニップ幅を確保しようとするとローラが大径化し、圧力を上げなければならないためローラ肉厚が厚くなり、立ち上り時間が長くなってしまっていた。
【0003】
そこで、フルカラー対応でしかも立ち上り時間を短縮できる定着方式として、ニップ幅の確保に有利な加熱ベルト(定着ベルト)を用いるベルト定着装置が提案されている。加熱ベルトを用いた定着装置においては、一般的に、ベルトのループ内には加熱ベルトを加熱するための加熱ローラや定着ローラ、駆動ローラといった複数のローラが配設されており、これらのローラの回転中心の僅かな変位により加熱ベルトに寄り力が発生し、経時での加熱ベルト端部の変形や摩耗が発生する可能性がある。この現象は、加熱側に加えて加圧側にベルトを用いた定着装置においても発生するものである。
【0004】
上記特許文献1及び2には、上記現象に対応すべく、ベルトの端部で寄りを検知して、メカ的な機構でベルトが掛け渡されるローラの軸を傾動させたりして戻し力を発生させるようにした定着装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、メカ的な機構によりベルトの寄りを矯正するようにした定着装置の場合、部品点数も多くなり、装置構成が複雑化してコストが増大するという問題がある。
【0006】
本発明は、従来のベルト定着装置における上述の問題を解決し、簡単な構成で低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することのできる定着装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、少なくとも定着部材とテンション部材の間に懸架された無端状の加熱ベルトと、該加熱ベルトを挟んで前記定着部材に圧接される加圧部材とを備え、前記加熱ベルトと加圧部材間に形成される定着ニップに記録媒体を通過させて未定着トナーの定着を行う定着装置において、ベルト幅方向に移動する前記加熱ベルトからの押圧力を受け、前記加熱ベルトの幅方向の一方側においてベルトテンションが増大し他方側においてベルトテンションが減少するように前記テンション部材を傾けさせる力に変換する押圧力変換機構を有することにより解決される。
【0008】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力変換機構は、前記テンション部材を傾動可能に支持する支持部材と、該支持部材と前記加熱ベルトの間に介在し前記押圧力を支持部材に伝える押圧力伝達部材を有することを提案する。
【0009】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記支持部材は前記テンション部材の長手方向の中心から伸びる垂線上に位置する回転中心を有し、該支持部材及び支持部材に一体的に支持された部材の回転面と、前記テンション部材の中心と前記加圧部材の中心を通り且つ前記テンション部材の長手方向に平行な平面とが、略同一面であることを提案する。
【0010】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材に嵌装されて前記加熱ベルトの幅方向に移動可能な部材であることを提案する。
【0011】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材と前記支持部材の間に弾性部材が配設されることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材と、前記加熱ベルトの周面に凸設され前記テンション部材に当接するリブ部材とから構成されることを提案する。
【0012】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記テンション部材が前記加熱ベルトを加熱する加熱ローラであることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記定着部材が、少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材として構成された第1の定着部材と、表層に弾性層を有する回転部材として構成された第2の定着部材とからなることを提案する。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記定着部材が、表層に弾性層を有する定着ローラであることを提案する。
また、前記の課題は、本発明により、請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置を備える画像形成装置により解決される。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。
【0015】
従来のカラートナーを用いた複写機、プリンター、ファクシミリ等の画像形成装置のベルト定着装置においては、定着ベルトの材質として一般的にトナーに対して離型性が良く耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴムが用いられ、さらにシリコーンゴム上には離型性確保と耐久性向上の点から離型剤としてシリコーンオイルが塗布されていた。
【0016】
一方、本実施形態の画像形成装置では、樹脂母材内部に離型剤としてのワックスを内包分散させたオイルレストナーを用いており、定着ベルトの構成としては耐熱性と機械的強度を併せ持ったポリイミド等の樹脂チューブの周囲に耐熱性と弾性を併せ持ったシリコーンゴム等の材料を成型加工し、更にシリコーンゴムの表層には強度と離型性を併せ持った耐熱性樹脂が離型層として構成されている。離型層としては、耐熱性があり表面エネルギーの小さい材料が使用され、例えばシリコーン樹脂、フッ素樹脂例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などの高分子樹脂などが離型層の材料として使用される。
【0017】
さて、図1に示す画像形成装置の全体的な構成と動作については後述するとして、先に定着装置について説明する。
図2及び図3は、第1実施例の定着装置10Aの要部構成を示すもので、図2は正断面図、図3は側面図である。この図に示す定着装置10Aは、加熱ベルト(定着ベルト)1,加圧ローラ2,加熱ローラ3,駆動ローラ4,定着部材5及びベルトガイド6,加熱ローラ3を支持する支持部材11等からなり、これらが図示しない定着ケーシングに収められている。
【0018】
加熱ベルト1は加熱ローラ3、駆動ローラ4、樹脂ホルダ5aとパッド5bとからなる定着部材5及びベルトガイド6を内包している。加熱ベルト1の基材としては、50〜90μmの厚みに成型されたポリイミド等の耐熱性樹脂ベルトや、30〜50μmの厚みのNi電鋳あるいはSUS等からなる金属ベルトが用いられる。その基材表面にはオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有する。またカラー画像形成装置に用いるベルト定着装置の場合には、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が充分な平滑性を維持するように、基材と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を100〜400μ程度の厚みの範囲で適宜設けた構成が一般的である。
【0019】
加熱ローラ3はアルミ等の熱伝導性の良好な金属ローラとして構成され、加熱ローラ3の中には熱源としてのハロゲンヒータ7を持ち、加熱ベルト1に対して熱を供給する構成になっている。また加熱ローラ3の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ7の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加熱ローラ3に対向する位置で加熱ベルト1の表面にはサーミスタ16が接触して配置されており、該サーミスタ16の検出値に基づいて加熱ベルト1の表面を所定の温度に制御している。加熱ローラ3は支持部材11にベアリング12を介して回転自在に支持されるとともに、その回転中心は位置固定され、加熱ベルト1により従動回転されている。本例における加熱ローラ3は、加熱ベルト1が懸架されるテンション部材である。
【0020】
定着部材5のパッド5bはシリコーンゴム或いは発泡シリコーンゴム等の弾性体により構成されており、耐熱性樹脂からなるホルダ5aに耐熱性接着剤等により接着されている。定着部材5のホルダ5aの側面にはベルトガイド6が取付けられており、大きな半径で加熱ベルト1をニップ部の入口へ導く構成になっている。加熱ベルト1が加圧ローラ2に圧接されているニップ部においては、加圧ローラ2の回転駆動によって加熱ベルト1が引張られる力が働く。このときベルトガイド6の半径が小さいと加熱ベルト1にとって負荷抵抗となり、定着ベルトのスリップやユニット負荷トルクの増大といった不具合が発生する可能性があるため、本例ではベルトガイド6を大径なものとしている。ベルトガイド6の加熱ベルト1との接触面及びパッド5bの加熱ベルト1への接触面には、いずれも図示しない低摩擦化部材が設けられており摺動抵抗を極力低減するような構成になっている。
【0021】
なお、加圧ローラ2と加熱ベルト1間の摩擦係数をμ1、駆動ローラと加熱ベルト1間の摩擦係数をμ2、パッド5b(及びベルトガイド6)と加熱ベルト1間の摩擦係数をμ3としたとき、μ1>μ2>μ3の関係となるように設定されている。これにより、加熱ベルト1がスリップすることなく駆動される。
【0022】
加圧ローラ2は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、表面には両面定着時にオイルレストナーとの離型性を確保するためにPFA或いはPTFE等からなる離型層を有している。カラー画像形成装置に用いる本例のベルト定着装置では、種々の表面性の記録シートに対して定着後の画像表面が充分な平滑性を維持するように、加圧ローラ2の芯金と離型層の間に弾性層としてシリコーンゴム等の耐熱性ゴム層を0.2〜1.0mmの厚み範囲で適宜設けた構成を採用している。設計仕様としてのゴムの厚みは、立ち上り時間の仕様により熱容量の上限厚み以下にしなければならないため、画質と立ち上り時間の重み付けにより決定される。加圧ローラ2の中には熱源としてのハロゲンヒータ8を配設し、加圧ローラ2の表面にはサーミスタ17を接触させて設け、加熱ベルト1の表面を所定の温度に制御している。また加圧ローラ2の内周面には耐熱性の黒色塗装が施されており、ハロゲンヒータ8の輻射熱を効率的に吸収しやすいようになっている。加圧ローラ2は、図示しない側板にベアリング等を介して回転自在に支持されるとともに回転中心は位置固定され、図示しない本体駆動からのギヤ系列より回転駆動されている。
【0023】
駆動ローラ4は、芯金がアルミや鉄等の金属ローラからなっており、その表面にシリコーンゴムあるいは発泡シリコーンゴム等の弾性層を成型した構成になっている。弾性層の厚みやゴム硬度は、定着装置の立ち上り時間からの制約により決まる熱容量の仕様と、カラー画像の表面平滑性が不充分な場合に問題となる梨地画像あるいは柚肌画像を解消するために大きな圧力が必要となる場合には、弾性層の厚みを薄くするとともにゴム硬度を高くしなければならない。駆動ローラ4のゴム層の厚みは望ましくは1〜5mmの範囲であり、ゴム硬度はアスカC硬度で50〜90Hsの範囲に設計される。立ち上り時間の速いマシンの場合には、一般的に発泡シリコーンゴム等の熱伝導性の悪い材料が用いられる。駆動ローラ4は加圧ローラ2に対して軸間距離が固定された状態で所定の食込み量で(加熱ベルト1を挟んで)圧接されており、互いの弾性層でニップを形成している。軸間固定で所定のニップ幅を確保するためには、定着可能温度における互いのローラの熱膨張を考慮して食込み量を決める必要がある。なお、本例においては駆動ローラ4が第2定着部材としての機能も果たしており、第1定着部材であある定着部材5とともに、定着ニップを形成させるための定着部材を構成している。
【0024】
加熱ベルト1は、駆動ローラ4の回転により図2において時計回りに回動される。その加熱ベルト1には上記の如く加圧ローラ2が圧接され、加熱ベルト1と加圧ローラ2の間に形成される定着ニップ内に記録シート(図示せず)を図の右から左方向に通過させることにより、記録シートに担持される未定着トナー像がシート上に定着される。
【0025】
次に、図3を参照して、加熱ベルト1の寄りを抑制するための押圧力変換機構について説明する。
加熱ベルト1のループ内に配設された加熱ローラ3は、ベアリング12と共にローラ両端部を支持部材11に支持されている。支持部材11は、ほぼ通紙範囲の中心(加熱ローラ3の長手方向の中心)の延長線上に設けられた回転軸9を回転中心として揺動可能になっており、したがって加熱ローラ3も支持部材11と共に揺動可能となっている。加熱ローラ3の両端部には、ローラ軸に遊嵌されて移動可能なリング状部材であるベルトガイド13,13がはめ込まれている。このベルトガイド13,13は、加熱ベルト1が寄った場合にベルト端部に押されて軸方向に移動する。ベルトガイド13,13の外側には、加熱ベルト1の寄り力(押圧力)を緩衝するための圧縮スプリング14,14が嵌装されている。
【0026】
このように構成された押圧力変換機構においては、加熱ベルト1が片側に寄った場合、ベルトガイド13及びスプリング14を介してベアリング12が押され、その結果、支持部材11に支持されているユニット全体に回転力が発生する。
加熱ベルト1が寄って、支持部材11が回転軸9を中心にして回転動作をする(傾く)ことにより、加熱ベルト1が寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上るとともにベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられるとともにベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら、加熱ベルト1は端部に過大な力が働くこと無く経時においても安定して駆動が行われ、加熱ベルト1の耐久性も維持できる。本例の定着装置においては、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0027】
加熱ベルト1の寄りによって支持部材に回転力が働く作用(押圧力変換機構の作用)について補足説明する。加熱ベルト1が寄ると、ベルトガイド13がベルトに押されることによりスプリング14が圧縮しながらベアリング12を押す。
ベアリング12は支持部材11に固定されており、ベアリング12を介して支持部材11の端部に軸方向(加熱ローラ3の軸方向=長手方向)への移動力が働く。ところが、支持部材11は回転軸9を中心として回転する構造体であるため、軸方向の移動力は回転力に変換される。図3において、加熱ベルト1が左側に寄った場合、支持部材11は時計回りに回動することになる。
【0028】
本例においては、加熱ローラ3を、加熱ベルト1が懸架されるテンション部材とすることによって、装置構成を簡略化することができる。また、第1定着部材であある定着部材5と第2定着部材としての駆動ローラ4で定着ニップを形成しており、ニップ幅を大きくして定着性を向上させている。
【0029】
さらに、本例においては、ベルトガイド13が加熱ベルト1と支持部材11の間に介在してベルトからの押圧力を支持部材11に伝える押圧力伝達部材であり、その押圧力伝達部材と支持部材11の間に弾性部材であるスプリング14を配置して押圧力を緩衝させている。ベルトガイド13が加熱ローラ3の軸方向(加熱ベルト1の幅方向)に移動可能なので、ベルトの寄りを効率的に支持部材に伝達し、押圧力の変換が効率的に行われ、ベルトの寄り抑制を効果的に抑制できる。
【0030】
図4は、第2実施例の定着装置10Bの要部構成を示す側面図である。図1及び図2の定着装置10Aと同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0031】
図4(a)に示すように、本実施例の定着装置10Bにおいては、加熱ベルト1の内周面の端部(両側端部)にリブ15が設けられている。そして、図4(b)に示すように、左右両側のリブ15,15の内側に、加熱ローラ3の本体部分及び駆動ローラの本体部分が収まるように構成されている。なお、図示されていないが、定着装置10Bも定着装置10Aと同様に定着部材5及びベルトガイド6を備えており、定着部材5及びベルトガイド6も左右両側のリブ15,15の内側に収まるように構成されている。支持部材11の構成は定着装置10Aと同じであり、加熱ローラ3がベアリング12,12を介して支持部材11により支持されている。
【0032】
本実施例の定着装置10Bでは、加熱ベルト1に寄りが生じた場合、リブ15が加熱ローラ3の本体部分の端面に当接し、加熱ローラ3をその軸方向に押圧する。例えば、図4において左側に加熱ベルト1が寄った場合、右側のリブ15が加熱ローラ3の端面に当接して左方向に移動させようとする。加熱ローラ3の軸は、図示しないCリング等によりベアリング12に対して抜け止めされており、加熱ローラ3の移動(加熱ベルト1の寄り)はベアリング12を介して支持部材11に伝えられる。
【0033】
本例においては、リブ15と加熱ローラ3が加熱ベルト1の押圧力を支持部材11に伝えており、リブ15と加熱ローラ3が押圧力伝達部材を構成するものである。本例では、押圧力伝達部材を構成する部品点数が少なく、構成を簡略化することができる。
【0034】
支持部材11の構成は定着装置10Aと同じであり、回転軸9を中心にして回動可能に支持されているため、加熱ベルト1の寄りによって、支持部材11が回転軸9を中心にして回転動作をすることにより、加熱ベルト1が寄った側で加熱ローラ3の軸が持ち上るとともにベルトテンションが増大し、同時に反対側で加熱ローラ3の軸は押し下げられるとともにベルトテンションが低減する。その結果、加熱ベルト1にはベルトテンションの大きくなった側から小さくなった側に移動させる力が働くため、支持部材11が所定の角度だけ回転した後に加熱ベルト1は反対側に移動し始める。この動作を所定の移動幅の中で繰り返しながら、加熱ベルト1は端部に過大な力が働くこと無く経時においても安定して駆動が行われ、加熱ベルト1の耐久性も維持できる。本例の定着装置においては、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0035】
図5は、第3実施例の定着装置10Cの要部構成を示す側面図である。図1及び図2の定着装置10Aと同様の部分については説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0036】
本実施例の定着装置10Cは、前記実施例の定着装置10A及び10Bとは異なり、定着部材5及びベルトガイド6を備えておらず、加熱ベルト1は加熱ローラ3と定着ローラ18とに掛け渡されている。支持部材11は定着装置10A及び10Bと同じである。定着ローラ18は表層に弾性層を有し、加熱ベルト1を挟んで加圧ローラ2と圧接され、加熱ベルト1と加圧ローラ2の間に所定のニップ幅を形成する。したがって、定着ローラ18は回転部材として構成された定着部材である。定着部材として定着ローラ18を用いることにより、定着装置の構成を簡略化することができる。
【0037】
加熱ベルト1の寄りを抑制するための押圧力変換機構としては、図1及び図2で説明した定着装置10Aと同様の構成としても良いし、図4で説明した定着装置10Bと同様の構成としても良い。すなわち、加熱ローラ3の端部にベルトガイド13及びスプリング14を介在させて支持部材11を回動させても良いし、加熱ベルト1の内周面両側端部にリブ15を設けて支持部材11を回動させても良い。加熱ベルト1の寄りを抑制する作用については上記説明したとおりである。本例の定着装置においても、定着ベルトの寄りを抑制するための構成が簡単であり、低コストにベルトの寄りを効果的に抑制することができる。
【0038】
ところで、上記各実施例の定着装置において、図2及び図5から明らかなように、加熱ローラ3の中心と加圧ローラ2の中心(ローラ軸方向から見た場合の中心)を結ぶ線と、支持部材11の回転軸9の軸線とは略直交するように設けられている。そのため、支持部材11によって支持されたユニット(例えば、定着装置10Aの場合は、支持部材11、加熱ローラ3のほか、ベアリング12等の部材を含む)が、回転軸9を中心として回転するときの回転面と、加熱ローラ3の中心と加圧ローラ2の中心を通り且つ加熱ローラ3の長手方向(軸方向)に平行な平面とが、略同一面にあることになる。このような構成により、加熱ベルト1の戻し力が増大し、定着ベルトの寄りが効果的に防止される。また、その結果として、定着ベルトの耐久性を向上させる効果も奏する。
【0039】
また、第1実施例の定着装置10Aにおいては、加熱ローラ3の両端部にリング状のベルトガイド13と圧縮スプリング14が嵌装されており、これらを介して支持部材11によって支持されたユニットが回転するようになっている。このような構成により、定着ベルト端部の変形が効果的に防止され、耐久性を向上させることができる。
【0040】
また、第2実施例の定着装置10Bにおいては、加熱ベルト1の内周面の端部にリブ15を設け、このリブを介して支持部材11によって支持されたユニットが回転するようになっている。このような構成により、定着ベルト端部の変形が効果的に防止され、耐久性を向上させることができる。
【0041】
なお、上記各実施例の定着装置においては、加熱ローラ3を支持部材11に支持させる構成としたが、定着ベルトが掛け渡される他の任意の部材を支持部材11に支持させる構成とすることもできる。例えば、加熱ローラ3の他に補助ローラ(テンションローラ)を設け、その補助ローラを支持部材11に支持させてベルトの寄りを抑制するように構成することも可能である。あるいは、加熱ローラ3に代えて補助ローラ(テンションローラ)を設け、そのテンションローラを支持部材11に支持させてベルトの寄りを抑制するように構成することもできる。その場合、外部加熱手段により加熱ベルト1の加熱を行うようにしても良い。また、誘導加熱により加熱ベルト1の加熱を行うようにしても良い。
【0042】
また、押圧力伝達部材としては、加熱ベルト1の寄りがない状態での加熱ローラ3におけるベルトの外側両端部に傾斜部(端部に向かって径が順次大きくなる構成で、断面図で見ると次第に径が大きくなってローラ面が傾斜して表される構成)を設け、加熱ベルト1が片寄った場合にその傾斜部にベルトの寄る力(押圧力)が作用して加熱ローラ3が支持部材11を押圧して回転させるように構成することも可能である。
【0043】
最後に、図1の画像形成装置について説明する。
この図に示す画像形成装置は、いわゆるタンデム型のフルカラー装置であり、画像読み取り部を備えて複写装置として構成されたものである。定着装置としては上記説明した各実施例のものを装着可能であり、図1では定着装置の符号を10Aとしてある。
【0044】
図1に示す複写装置は、給紙テーブル200の上に装置本体100を搭載し、その装置本体100の最上部にはスキャナ300が配置され、さらにその上に原稿自動搬送装置(ADF)400を設けてある。
【0045】
装置本体100のほぼ中央には、無端ベルト状の中間転写体を中心とする中間転写ユニット60が設けられている。この中間転写ベルトの上辺に沿って4つの作像ユニット50が並べて配置されている。各作像ユニット50は図6に示すように、左から順にブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各ユニットである。
各作像ユニット50においては、感光体ドラム51の周囲には現像ユニット52やクリーニングユニット53等の電子写真プロセスに必要な各機器が配置されている。
【0046】
中間転写ベルト61は、図6に示す如く、3つの支持ローラ62〜64に張架されて図中時計回りに回転搬送可能に設けている。この図示例では、支持ローラ63の左外側に、ベルト上の残留トナーを除去するクリーニング手段66を設けている。中間転写ベルト61の内側で、各作像ユニットの感光体ドラム51に対向する位置に、一次転写手段である転写ローラ65が配置されている。
【0047】
上記各作像ユニット50の上方には露光装置40(図1)が配設されている。
露光装置40からの書き込みレーザ光Lは、各作像ユニット50の感光体ドラム51にそれぞれ照射される。
【0048】
中間転写ユニット60の下方には、二次転写手段である二次転写ベルト装置70が配置されている。本実施形態における二次転写手段70は、2つのローラ72,73間に無端ベルトである二次転写ベルト71を掛け渡して構成している。
二次転写ベルト71は、中間転写ユニット60の支持ローラ64に押し当てて配置され、中間転写ベルト61上の画像を記録材(転写紙等)に二次転写する。本例では、一方のローラ73が二次転写ローラとして構成され、図示しない電源部より二次転写バイアスが印加される。。
【0049】
図1に戻り、二次転写ベルト装置70の左方には、用紙上の転写画像を定着するための定着装置として、先に説明した定着装置10Aが設けられている。第2,第3実施例の定着装置10B,10Cとすることも可能である。二次転写ベルト装置70は、画像転写後の用紙を定着装置10Aへと搬送する機能も備えている。定着装置10Aの左方には排紙トレイ69が設けられている。排紙トレイ69とは反対側の装置側面には、手差しトレイ68が設けられている。
【0050】
また、装置本体100の最下部には、シート反転部が設けられている。その下方、給紙テーブル200には2段の給紙カセット61,61が内蔵されている。
【0051】
さて、本例のカラー複写装置を用いてコピーをとるときは、ADF400の原稿トレイ又はコンタクトガラス上に原稿をセットする。そして、図示しない操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、スキャナが駆動され、光源からの反射光をミラーで反射することにより図示しない結像レンズを通して読取りセンサに入れ、原稿情報を読み取る。
【0052】
また、同じく操作パネル上に設けられたスタートスイッチを押すと、図示しない駆動モータで支持ローラ62,63,64の1つを回転駆動して他の2つの支持ローラを従動回転させ、中間転写ベルト61を回転搬送する。同時に、個々の作像ユニット50において感光体51を回転させ、各感光体51上にそれぞれ、ブラック,イエロー,マゼンタ,シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写体61の回動とともに、それらの単色画像を一次転写ローラ65に電界を印加することにより中間転写ベルト61上に順次転写して合成カラー画像を形成する。
【0053】
一方、スタートスイッチが押されると、給紙テーブル200又は手差しトレイ68から用紙を繰り出し、レジストローラ67に突き当てて一時停止させる。
そして、中間転写ベルト61上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ67を回転し、中間転写ベルト61と二次転写ユニット70との間に用紙を送り込み、この二次転写ユニット70で画像を転写して用紙上にカラー画像を記録する。画像転写後の用紙は定着装置10Aに送られ、トナー像を定着されて排紙トレイ69に排出される。
【0054】
一方、画像転写後の中間転写ベルト61は、除帯電チャージャにて中間転写ベルト61およびベルト上の残留トナーの除電を行い、その後中間転写体クリーニング装置66で残留トナーを除去し、タンデム方式の画像形成部による再度の画像形成に備える。
【0055】
定着装置前後の記録シートの動きを詳細に述べると、2次転写部から未定着像を表面に載せた状態で定着装置10Aに侵入してきた記録シートは、定着装置の入口ガイド板によりやや上方に持ち上げられて定着ニップに挟み込まれ、熱と圧力により記録シート上にトナー像が定着される。記録シートは、記録シート上面の未定着像が加熱ベルト1側を向き、記録シート裏面が加圧ローラ2側を向いた状態で加熱ベルト1と加圧ローラ2の間で搬送及び定着がおこなわれる。
【0056】
本発明のベルト定着装置によって、トナーを記録シート上に定着させる工程について説明する。
トナーは加熱ベルト1及びヒータ8を内蔵した耐熱性弾性部材である加圧ローラ2により粘性が低い状態まで加熱され、さらに加圧ローラ2の加圧力の作用により記録シートの繊維中に浸透していく。その後トナーが冷えて固まったときにトナーと紙繊維同士は強固に定着される。但し、このときに加熱ベルト1から分離する時点でのトナー層の温度が軟化温度Ts以下であると、トナーの樹脂は充分に軟化せず、従って記録シートの繊維中にも浸透していかないため充分な定着強度が得られない。また一方、加熱ベルト1から分離する時点でのトナー層表面温度が流出開始温度Tf以上であると、トナーの樹脂粘度が低くなりすぎ、記録シートの繊維中には充分浸透していくものの加熱ベルト1の離型層との間の離型性が悪化してしまい、加熱ベルト1へのトナーオフセットや加熱ベルト1への記録シート巻き付きといった不具合になってしまうので、定着後のトナー層表面温度がTsからTfの範囲になるように定着温度の制御温度を決めており、望ましくはその中央に近い領域で温度偏差(リップル)が小さい制御システムであることが望ましい。
【0057】
以上、本発明を図示例により説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜の変更が可能である。もちろん、画像形成装置としては複写機以外のプリンタやファクシミリであっても良いことは言うまでもない。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の定着装置及び画像形成装置によれば、ベルト幅方向に移動する加熱ベルトからの押圧力を受け、加熱ベルトの幅方向の一方側においてベルトテンションが増大し他方側においてベルトテンションが減少するようにテンション部材を傾けさせる力に変換する押圧力変換機構を有するので、簡単な構成で低コストに加熱ベルトの片寄りを効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る定着装置の一例が装着された画像形成装置の断面構成図である。
【図2】第1実施例の定着装置の要部構成を示す正断面図である。
【図3】第1実施例の定着装置の要部構成を示す側面図である。
【図4】第2実施例の定着装置の要部構成を示す側面図である。
【図5】第3実施例の定着装置の要部構成を示す正断面図である。
【図6】図1の画像形成装置の作像部付近を詳しく示す拡大図である。
【符号の説明】
1 加熱ベルト(定着ベルト)
2 加圧ローラ(加圧部材)
3 加熱ローラ(テンション部材)
4 駆動ローラ(第2定着部材)
5 定着部材(第1定着部材)
7,8 ハロゲンヒータ(加熱手段)
11 支持部材
13 ベルトガイド
14 圧縮スプリング(弾性部材)
15 リブ
18 定着ローラ(定着部材)
Claims (10)
- 少なくとも定着部材とテンション部材の間に懸架された無端状の加熱ベルトと、該加熱ベルトを挟んで前記定着部材に圧接される加圧部材とを備え、前記加熱ベルトと加圧部材間に形成される定着ニップに記録媒体を通過させて未定着トナーの定着を行う定着装置において、
ベルト幅方向に移動する前記加熱ベルトからの押圧力を受け、前記加熱ベルトの幅方向の一方側においてベルトテンションが増大し他方側においてベルトテンションが減少するように前記テンション部材を傾けさせる力に変換する押圧力変換機構を有することを特徴とする定着装置。 - 前記押圧力変換機構は、前記テンション部材を傾動可能に支持する支持部材と、該支持部材と前記加熱ベルトの間に介在し前記押圧力を支持部材に伝える押圧力伝達部材を有することを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記支持部材は前記テンション部材の長手方向の中心から伸びる垂線上に位置する回転中心を有し、該支持部材及び支持部材に一体的に支持された部材の回転面と、前記テンション部材の中心と前記加圧部材の中心を通り且つ前記テンション部材の長手方向に平行な平面とが、略同一面であることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
- 前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材に嵌装されて前記加熱ベルトの幅方向に移動可能な部材であることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
- 前記押圧力伝達部材と前記支持部材の間に弾性部材が配設されることを特徴とする、請求項2又は4に記載の定着装置。
- 前記押圧力伝達部材が、前記テンション部材と、前記加熱ベルトの周面に凸設され前記テンション部材に当接するリブ部材とから構成されることを特徴とする、請求項2に記載の定着装置。
- 前記テンション部材が前記加熱ベルトを加熱する加熱ローラであることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記定着部材が、少なくとも定着ニップ側に弾性部を有する非回転部材として構成された第1の定着部材と、表層に弾性層を有する回転部材として構成された第2の定着部材とからなることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記定着部材が、表層に弾性層を有する定着ローラであることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の定着装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。
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