JP2005015002A - 易開封性包装体 - Google Patents
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Abstract
【課題】かさ高で形態を保持したい内容物の包装に適し、易開封のために複雑な操作加工工程を必要とせず、シール強度と密封性の信頼性が高く、しかも手で容易に開封できる易開封性包装体を提供する。
【解決手段】フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされ、かさ高の内容物が密封された易開封性包装体であって、Aは一方向直線カット性を有する層と熱融着性樹脂層とを含み、Bは一方向直線カット性を有さない層と熱融着性樹脂層を含み、周辺部に囲まれた部分が内容物を収納する凹部を構成するよう立体的に絞り成型されており、熱シール部内にはAとBを貫通した切込みによる摘みが、Aの一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向に設けられている。
【選択図】 図3
【解決手段】フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされ、かさ高の内容物が密封された易開封性包装体であって、Aは一方向直線カット性を有する層と熱融着性樹脂層とを含み、Bは一方向直線カット性を有さない層と熱融着性樹脂層を含み、周辺部に囲まれた部分が内容物を収納する凹部を構成するよう立体的に絞り成型されており、熱シール部内にはAとBを貫通した切込みによる摘みが、Aの一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向に設けられている。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、比較的嵩高の食品類などの包装に適した、手で容易に包装体を開封できる易開封性包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層フィルムの熱シール袋に密封充填された商品を購入した消費者が、前記密封袋を開封して商品を取り出す方法としては、鋏、包丁、ナイフ等の袋切断用具を使用して袋を切断して開封する方法か、若しくはこれら用具を用いずに手で簡便に開封する方法として、袋の端部例えばプラスチック袋の熱シールされた端部にノッチ等を設け、それを起点として袋を引き裂いて開封する方法や、袋の熱シール部を易剥離性として、周辺部を剥離して開封する方法が一般的であった。
【0003】
前者の熱シール部端部に設けたノッチを有する、例えば3方または4方シール包装袋やピロー包装袋では、開封の際には、袋のシール端部のノッチ部から袋を引き裂くことにより開口部を形成し、この開口部から内容物を取り出す必要がある。その場合、取り出す内容物が饅頭等の型崩れし易いものであったり、薄焼き煎餅やクッキー等割れ易いものであると、袋の表裏のフィルムを引き裂く時に、表裏のフィルム間に存在する前記内容物が、その2枚のフィルムに挟まれたままで引き裂かれ、変形したり破壊したりしてしまう欠点がある。
【0004】
また、トレー入りの内容物を密封した袋を、前記と同じノッチから袋を引き裂いて開封する際には、開封の引き裂き片がトレーに引っ掛かり、スムーズに開封できないことが多かった。これを防止するために、シールする辺の端部から周辺部に至る部分に非接着部を形成し、非接着部のフィルム端部から接着部の一部に食い込むノッチを間隔をおいて2箇所設け、この2箇所のノッチの間を指で摘んで袋の片面のみをノッチの間隔幅で帯状に開封できる易開封性包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合開封に際してノッチを付与した周辺部分の表裏のフィルムを切り離す必要があり、周辺部を易剥離性にすることによって表裏のフィルムを剥離して切り離す。そのためには、袋全面の周辺部を易剥離性にするかノッチ部分のみを易剥離性にする必要があるが、シール全面を易剥離性にした場合は、流通段階での周辺部の破損の心配がある。また、部分的に開封に必要な分だけ易剥離性にするには、その部分のみ易剥離加工処理を行う必要があった。
【0005】
また、ピロー包装袋であるが合掌周辺部に間隔をおいてノッチを2箇所設け、ノッチ間の合掌周辺部を摘んで引き裂くことによって袋を円周状に開封する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この場合も合掌周辺部の根元で左右のフィルムを切り離す必要があり、開封を進行させるフィルムと反対側のフィルムの合掌周辺部の根元に当たる部分に微細な傷痕を設けることによって、反対側のフィルムをその部分で切断して切り離すようになっている。そのため、微細な傷痕を付与する工程が別途必要になり、また、傷痕を付与した部分の強度が低下する問題点があった。
【0006】
つまり、上記のような開封方法では、袋の形状によらずに周辺部で一方のフィルムをもう一方のフィルムから切り離す必要がある。つまり、弱接着の易剥離性シールにして剥離によるか、易裂性にしてフィルム切断によるかの違いはあるが、いずれにせよ、この切り離す必要性のために上記のような問題点が発生していた。
【0007】
後者の易剥離性包装体の代表例として、袋のシール強度を弱シールとしたポテトチップ等のピロー形状の包装袋などが良く知られている。この袋の開封は、袋の表裏のフィルムを指で摘まんで互いに反対方向に引張ることによって、袋の上または下の周辺部と合掌周辺部との交差部を引き剥がしてシールを剥離し、開口部を形成する。しかし、この方法は、弱シール強度が必ずしも均一で無く、また手で袋を両側に引張る力のかけ具合も個人差があり、必ずしもきれいに開口部を得られ無い欠点がある。また、シール強度が低いことによる流通段階での周辺部の破損の心配がある。
【0008】
ところで、別の包装体の例として、あらかじめ立体的に絞り成型したフィルム(以下、底フィルムという場合がある)に別の蓋のフィルム(以下、蓋フィルムという場合がある)を熱シールした包装体がある。この包装体は、比較的嵩の高いブロック状のハム類等の内容物を形態を崩さずに見栄え良く包装できる特徴を有する。
【0009】
このような包装体の開封にあたっては、蓋のフィルムと底フィルムとの間の熱シール部を易剥離性の弱シールとし、これを剥離させて行うのが一般である。しかし、内容物の周り全面を剥離するにはそれなりの時間と慣れを要する。また、包装体の見栄えやコスト面から、開封時の摘み代を十分には取りにくく手指の力がかけづらいため、開封しがたい欠点があった。また、この絞り包装体の密封性を確実にするために、易剥離性の弱シールとせずに通常のシール強度を有する包装体として引き裂いて開封する方法も考えられる。しかし、内容物の嵩が高いために、収納部分の底フィルムと蓋フィルムとの間に距離があり、両フィルムの引裂きがスムースには行い難い。そのため開封しづらく、開封の際に内容物の形態が崩れたり、開封の勢い余って内容物が床面等に転げ落ち、汚染されてしまったりする場合もあった。
【0010】
さらに、上記したように、易開封性とするためにシール強度を弱めるのは、流通時における周辺部の破損防止の観点から限界がある。特に嵩の高い内容物の場合、嵩が高いことに起因して形状的に周辺部に無理がかかりやすい。また嵩に対応して内容物の重量も大きくなるため、この点からも周辺部に強度が必要となる。さらに、このような包装体に適した内容物としては、ハム、ベーコン、魚肉練り製品などがあげられるが、これらは含水率が高くて表面がウェット状態にある。そのため、雑菌が混入すると腐敗しやすく、表面がドライ状態の内容物よりもさらに密封シールの確実性が要求される。つまり、いずれにせよシール強度のレベルを高めに設定せざるを得ず、易開封性とするのはなかなかに困難である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−230971号公報
【特許文献2】
特開2001−55248号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、比較的かさ高で形態を保持したい内容物の包装体に適し、易開封のために複雑な操作加工工程を必要とせず、包装体のシール強度と密封性の信頼性が高く、しかも、手で容易に開封できる易開封性包装体を提供することを目的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記問題課題即ち、周辺部を弱剥離性にしたり傷痕を設けたりして包装体のシール密封性の信頼性を損ねること無く、かつ易開封性を満足すると言う矛盾する課題を鋭意研究した結果、本発明に到達した。
【0014】
即ち、本発明は、フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされ、かさ高の内容物が密封された易開封性包装体であって、前記フィルムAは、一方向直線カット性を有するフィルム層と熱融着性樹脂層とを含む積層フィルムであり、前記フイルムBは、前記一方向直線カット性を有さないフィルム層と熱融着性樹脂層を含む積層フィルムであって、前記周辺部に囲まれた部分が前記内容物を収納する凹部を構成するよう立体的に絞り成型されており、さらに前記周辺部の熱シール部内には、当該熱シール部を貫通した切込みによる摘みが、前記フィルムAの前記一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向に設けられていることを特徴とする易開封性包装体である。
【0015】
ここで、前記の包装体が、真空包装されたものであることは望ましい。また、前記の包装体が、ガス充填包装されたものであることは望ましい。また、前記のフィルムA及び前記のフィルムBが、ガスバリア性を有することは望ましい。また、前記の内容物が、含水率の高い食品類であることは望ましい。また、前記の内容物が、蛋白質食品であることは望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、易開封性包装体を構成するフィルムA、内容物4、フィルムBを、紙面に向かって上下方向に各々の相対位置をずらした状態で示した斜視図である。被包装物であるブロック形状のハム等のごとき内容物4がフィルムBの凹部5に収納され、フィルムAがフィルムBの凹部5の蓋となるように重ね合わされ、フィルムAとフィルムB接する周辺部2が互いに熱シールされることにより、密封包装がなされる。
【0017】
この包装体1に適する内容物4は嵩が高いものである。ここで、嵩が高いとは、平面形状の2枚のフィルムに挟んで真空包装した場合に、内容物4に力がかかって形態の一部が押しつぶされてしまったりすることにより、または、フィルムBまたはAに多くの皺が生じることにより、包装後の見栄えが悪くなり、また密封も不完全になりやすいような形態を指している。つまり、包装後の見映えを良くするためには、包装袋をあらかじめ立体に成型しておく必要がある程度の、立体的形状またはブロック形状等をなしている形態をいう。なお、内容物4は、スライスされたものを重ねた結果、嵩が高くなったものであっても良い。
【0018】
この包装体1に適する内容物4としては、含水率が比較的高くて嵩が高いために、形態が三次元的で比較的押しつぶされたりして部分的に崩れやすく、さらに雑菌が混入した場合に問題となるような食品類等が望ましい。例えば、ハム、ベーコン、ソーセージ、魚肉練り製品等の蛋白質加工製品類や、饅頭や羊羹などの菓子類、ブロック生肉や魚介類または魚介類の切り身等である。
【0019】
ここで、フィルムBは、熱成型性を有する積層フィルムをあらかじめ絞り成型して、熱シールがなされる周辺部2に囲まれた中央部分に、内容物を収納するための三次元形状の凹部5を設けて容器状としたフィルムである。また、フィルムAは、底フィルムの凹部5および周辺部に対して蓋状に機能するフィルムであって、かつ一方向直線カット性を有するフィルムである。各フィルムの詳細は後述する。
【0020】
図2は、図1の各部分から包装された後の易開封性包装体の例を示した斜視図である。図2の包装体1の熱シールされた周辺部2内には、互いに熱シールされたフィルムAとフィルムBを貫通した切り込み3−1と切り込みにより手指により摘めるようになった摘み3−2とが設けられている。この切り込み3−1は、矢印aであらわすフィルムAの一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向となるように設けられていることが望ましい。切り込み3−1の形状は、コまたはU、V字などの形状が望ましい。このような切り込みにより、摘み3−2は摘んで引き裂き易いようになる。すなわち切り込み3−1は、フィルムAの直線カット方向(矢印aの方向)と略平行に切込み3−1の対称軸が配置されるようになされ、かつ切込み3−1はフィルムAの直線カット方向に沿って包装体1の外縁に最も近い部分が切り込まれるようになされる一方、直線カット方向に沿って包装体1の外縁から最も離れた部分には切り込みがなされずに、摘み3−2が包装体1につながったままとなるようになされていることが望ましい。その結果、摘み3−2が手指で摘みえるツマミ形状を形成する。
【0021】
摘み3−2の大きさは、指先で摘んで引張ることができる大きさであれば良く、具体的には5mmから15mm程度であることが望ましい。また、摘み3は、例えば鍵孔形状のように指先で摘む部分のみ摘み易い様に大きくしても良い。包装体の外縁から最も離れた部分の切り込み先端の間隔は、包装体を開封した時のフィルムAの引き裂き幅を規定し、引き裂き幅を変更したい場合はこの間隔を変更すれば良い。切込み3−1及び摘み3−2は、包装体1を構成する際に付与されることが好ましい。
【0022】
ここで、切り込み3−1を形成した近傍に位置してシールされる周辺部2の一部を、包装体1の内部側に突出させてその部分を局部的に他のシールされる周辺部より広幅としても良い。このようにすることによって、包装体の周辺部分の内側の端縁と切り込み3−1の先端との間隔が短くなることによる、切り込みからの意図しない破袋事故の可能性を減少することができる。また、図2では切込み3−1は左側の周辺部2−1に設けた例を示しているが、右側の周辺部2−2に設けても良いし、両側の周辺部2−1及び2−2に同時に2箇所設けることもできる。
【0023】
図3は、包装体1を開封する途中の状態を表した斜視図である。なお、図3中の破線は、フィルムBに成型された凹部5の位置を示している。包装体1の開封は、摘み3−2を指で起して摘み、図3のフィルムA内の矢印(a)で示した直線カット方向に引張る。フィルムAは直線カット性を有するため、摘み3−2の幅と略同じ幅の直線状の引き裂き線10に沿って引き裂ける。
【0024】
その際、フィルムBは直線カット性を有さないため、直線カット性を有するフィルムAのa方向の引き裂き力に影響されて、包装体内側のシール端縁から少し中に入った個所で、引き裂き線11の様に先細り状になって引き裂けて一部が切り取られ、開封片12と一緒にフィルムBから分離する。その結果、その後はフィルムAだけが、たやすく開封片12として切り取られていく。
【0025】
このようにして、たやすく開封できる包装体1は、シール部を易剥離性としたり、裏側のフィルムのシール際に易裂き加工をする必要が無いため、包装体の強度を損なうこと無く、表側のフィルムAのみを所定の幅で引き裂いて開封することができる。また、摘み3−2に続く開封片12による引き裂きは、開封を開始した周辺部2−1から、直線カット性方向に沿って相対する周辺部2−2に達して停止する。このため、開封片12は、包装体に付いたまま残って塵として散乱することが無い。内容物4は、フィルムAの開封片12を取り去った空間部13を押し広げることによって、簡単に包装体1から取り出すことができる。
【0026】
図4は、包装体1を構成するフィルムAとフィルムBの断面と、それぞれの相対方向とを示した概念図である。フィルムAは、一方向直線カット性を有する積層フィルムであり、少なくとも一方向直線カット性を有するフィルム層6−1と熱融着性樹脂フィルム層9−1を含む。フィルムAは、熱融着性樹脂フィルム層9−1がフィルムBと接するように配置する。
【0027】
一方向直線カット性とは、文字通り一方向に直線的に切り裂け易い性質を言い、具体的には、以下の測定方法で定義される性質を言う。即ち、積層フィルム製造時の流れ方向及び流れ方向に直角方向に沿って250mm四方の正方形にフィルムを切出す。直線カット性を試験する方向と垂直な切出し片の端縁に30mm間隔をおいて図5のように2箇所のノッチを入れる。30mmの切れ目を指で掴んで直線カット方向と平行な方向にフィルムを引き裂く(図5の点線のようにフィルムが切れる)。
【0028】
一般にフィルムは、分子の配向方向や樹脂のブレンドした成分の配向方向によっては、フィルムの切れ具合がフィルムの引裂き方向によって異なることがあるため、上記の引き裂き試験をフィルムの左方向、右方向についてそれぞれ行い、引き裂いた時の引裂きの先端が細くなった方のフィルムの先端”X”の幅をもって直線カット性を判断する。いずれの方向についても、Xの値が5mm未満または引裂きが対向する端縁まで至らないものを直線カット性が無いフィルムと言う。つまり、フィルムAは、少なくともいずれかの一方向について、先端”X”の幅が5mm以上となるフィルムである。
【0029】
図4の例に示したように、フィルムAは、基材フィルム層6−1、一方向直線カット性を有するフィルム層7及び熱融着性樹脂フィルム層9−1からなる積層フィルムとすることが望ましい。袋の要求特性によっては、基材フィルム層6−1と一方向直線カット性を有するフィルム層7の積層の順番は逆でも良いし、基材フィルム層6−1は無くても良い。また図示していないが、この他の中間フィルム層が積層されていても良い。更に、図2のフィルムAは、直線カット性のあるフィルムを層構成の一部に用いて積層フィルムに直線カット性を付与しているが、この他の方法として例えば、特開平9−156649号公報に記載されているフィルムの分子配向性が相違する2枚のフィルムを背中合せに積層した、即ち2枚のフィルムが1組になって直線カット性を発揮するような組合せのフィルム層を層構成の一部に用いてフィルムAに直線カット性を付与しても良い。
【0030】
フィルムAの基材フィルム層6−1として使用できるフィルムとしては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルムなどの二軸延伸フィルムなどがあげられる。
【0031】
一方向直線カット性を有するフィルム層7として使用できるフィルムとしては、一軸延伸延伸ポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの縦一軸または横一軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムや、例えば特開平7−113015号公報に記載された様なナイロン6樹脂にポリメタキシリレンアジパミド樹脂を混合して層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、また例えば特開平11−300916号公報に記載されたような、ポリエチレンテレフタレート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂を混合して層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムなどがあげられる。
【0032】
熱融着性樹脂フィルム層9−1として使用できるものとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと共重合可能なビニル化合物との共重合樹脂、或いはポリプロピレン系樹脂フィルムなどがあげられる。
【0033】
図4に示されたもう一方のフィルムBは、図2の包装体1の底を構成するフィルムで、一方向直線カット性を有さない積層フィルムであり、かつ熱成型性を有するフィルムであって、あらかじめ絞り成型により成型されているものである。フィルムBは、少なくとも基材フィルム層6−2と熱融着性樹脂フィルム層9−2を有する積層フィルムであることが望ましく、図4の例では、これに中間フィルム層8が設けられている。しかし、この中間フィルム層8は無くても良いし、逆に他の中間フィルム層がさらに積層されていても良い。
【0034】
フィルムBは、一方向直線カット性を有さないから、上記の測定方法により測定した先端”X”の幅が、いずれの方向に関しても5mm未満となる。この性質を有することにより、包装体を開封する際にフィルムAが主に切り裂かれ、フィルムBは比較的切り裂かれない状態に保持される。
【0035】
また、フィルムBは熱成型性を有するフィルムである。熱成型性とは、絞り成型を行う際、すなわち熱をかけてフィルムまたはシートを軟化させて、真空または圧縮空気などの力で軟化したフィルムを引き伸ばして型に押し当てようとする時に、熱によりフィルムが収縮したりすることなく、十分引き伸ばされて型に押し当てられ、かつ型からフィルムを取り出したときに型通りに成型される性質を言う。
【0036】
熱成型性を有するためには、フィルムBの基材フィルム層6−2の材料として、熱可塑性樹脂を用いる。そして、樹脂を押し出しダイのスリットから押出し、溶融ポリマーを延伸しない状態で冷却することにより、一般に延伸していないかその程度が低い無延伸基材フィルムを得る。これを適宜ラミネートすることによりフィルムBが得られる。なお、フィルムBに中間フィルム層8を設ける場合は、この中間フィルム層8も熱成型性を有していることが望ましい。
【0037】
基材フィルム層6−2や中間フィルム層8として用いることができるフィルムは、無延伸のポリアミドフィルム、非結晶性のポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムなどが例示される。
【0038】
熱融着性樹脂フィルム層9−2として使用できるものは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと共重合可能なビニル化合物との共重合樹脂、或いはポリプロピレン系樹脂フィルムなどがあげられる。熱シールの融着のし易さ及びシール強度レベルの高さと安定性の面から、熱融着性樹脂フィルム層9−1及び9−2の樹脂は同種であることが好ましい。
【0039】
このようにして得られるフィルムBは、その中央部分が凹形の容器形状となり、その容器形状部分が内容物の収納部分となるように絞り成型される。容器形状への成型は、予熱して軟化させたフィルムBを真空や圧力空気などを用いて容器の形状の金型に押付けた後に冷却して行う、いわゆる真空成型法や圧縮空気成型法を用いることができる。この場合、熱可塑性樹脂層9−2が凹型の内側となるように成型する。このようにあらかじめ絞り成型されることにより、包装時に生じる皺を減少せしめることができ、包装後は見栄え良く、かつ密封も良好となる。
【0040】
フィルムAとフィルムBは、いずれもガスバリア性を有するフィルムであることが望ましい。農産、畜産魚介類等の内容物は、酸素の存在下で、微生物の増殖による腐敗、発酵等による変質が促進される。そのため、包装体の外部から進入する酸素を極力少なくするためである。また、内容物が吸湿しては都合の悪い物の場合には、包装体外部からの水分の侵入による吸湿の防止を図ることが望ましいし、また、内容物の臭いや水分などを包装体の外に出さないことが望ましい場合もある。
【0041】
ガスバリア性有りの判断基準は、酸素の透過を防止することが望ましい内容物の場合は、酸素の透過率として20cc/m2/24Hr/atm以下であり、好ましくは10cc/m2/24Hr/atm以下である。また、水分の透過を防止することが望ましい内容物の場合は、水分透過率として20g/m2/24Hr以下であり、好ましくは10g/m2/24Hr以下である。
【0042】
このようなガスバリア性を適宜フィルムAに持たせるには、基材フィルム層6−1にポリ塩化ビニリデン樹脂層もしくはエチレンビニルアルコール樹脂を主体とする樹脂層をコーティングしたフィルムや、金属酸化物、金属などを蒸着したフィルムを選択するか、新たな中間フィルム層としてガスバリア性を有するフィルム、例えばアルミニウムなどの金属箔、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルムやこれらと他の樹脂との共押出しフィルムなどのフィルムを積層することができる。
【0043】
フィルムBにガスバリア性を持たせるには、熱成型性を有するバリア性フィルム層、例えば、ある程度の酸素バリア性であれば良いときなどには無延伸ナイロンフィルム、バリア性が大きく要求されるときにはポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルムやこれらと他の樹脂との共押出しフィルムなどを積層することができる。なお、ガスバリア性以外にアロマバリア性を持たせることが望ましい場合についても同様である。
【0044】
フィルムAまたはBの製膜方法は、特に制限されるものでは無く、フィルム同士を接着剤を用いて積層するドライ或いはウェットラミネーション法、フィルム同志をTダイスから押出した溶融ポリエチレンなどで積層するサンドラミネーション法、Tダイスから溶融ポリエチレンなどを押出すことによって積層する押出しラミネーション法、低融点の熱融着制樹脂を用いたサーマルラミネーション法などが目的に応じて用いられる。
【0045】
内容物の変質を防止又は軽減するためには、包装体の内部空間の空気を除去して真空化し、内部空間における微生物の繁殖の原因となる酸素を除去する真空包装を用いることが望ましい。また、ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミソーセージ、燻製肉等の肉類加工品、チーズたら、かまぼこ等、魚肉加工品、または、裂きイカ、のしイカ、燻製イカ等のイカ加工品類などの魚介類の加工品等の含水率の高い蛋白質食品を包装する場合は、包装体の内部空間の空気を窒素や炭酸ガスなどのガスで置換するガス充填包装を用いてもよい。なお、真空包装やガス充填包装を行う場合は、包装体を構成するフィルムAとフィルムBには、ガスバリア性を有するものを用いることが好ましい。
【0046】
包装体には、消費者が袋の開封開始部分を認知させるためのマークや指示文があらかじめ印刷されていても良いし、引き裂き方法を理解させるための説明図や説明文が印刷されていても良い。以下、実施例、比較例を用いて具体的に説明する。
【0047】
【実施例1】
ユニチカ株式会社製の厚み12μmの縦方向直線カット性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムであるエンブレットPCと、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムとを用い、両者の間に、Tダイスより密度0.920g/cm3で厚み15μmの低密度ポリエチレンを押出し、ポリウレタン系アンカーコート剤を介したサンドラミネーション法により貼り合せ積層して、フィルムAとした。
【0048】
フィルムAで用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、直線カット性を有さないが熱絞り成型性を有する、厚み16μmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルムであるルミラーF865を基材として、ポリウレタン系接着剤を用いて厚さ80μmの直鎖状ポリエチレン樹脂フィルムとドライラミネート法により貼り合わせ積層してフィルムBとした。
【0049】
製袋機で、フィルムAとフィルムBの低密度ポリエチレンフィルム面同士を対向させて二軸繰出し機から連続的に繰出すと共にそれぞれ同調させながら、熱絞り成型機にフィルムBを送り出して熱絞り成型し、フィルムBの中央部に深さ10mm×横220mm×縦200mmの凹部を成型した。そして、フィルムBの凹部の中に、笹かまぼこ5枚を凹部の形に合うように少しずらした形で充填し、次に、フィルムAの低密度ポリエチレンフィルム面をフィルムBに沿わせて凹部を密封できる状態において、真空装置を稼動させて凹部内の空気を抜きながら凹部の周辺部を4方熱シールした。なお、周辺部分の一辺に40mmの幅でラベルシールの形(ヘッダー部)ができるようにした。同様な真空密封包装体を複数作った。
【0050】
この包装体の熱シールされた周辺部内に、図2に記載したのと同様に、フィルムAの直線カット方向に合わせて、幅5.5mm、長さ(図2における矢印a方向の長さに相当)が7mmの、コの字型の切り込みを設けた。なお、切り込みの先端と、シールされた周辺部の内縁端との間隔は2mmとした。
【0051】
この切り込みにより形成された摘みを指で摘んで、直線カット方向(図2の矢印a方向)に引張って開封したところ、フィルムBが包装体内側のシール端縁から5mm凹部側に食い込んだ所で、図3の11の様に先端が先細り状になって開封片12から切り取られ、その後、容易かつ安定してフィルムAの元々の約5.5mmの幅で、引き続いて引き裂き開封することができた。引き裂きは、左側シール2−1と対向する右側周辺部2−2のシール際で止まり、摘みにつながった開封片12は、袋から切り離されること無く袋に付いたまま残った。フィルムBがほとんど切り裂かれなかったので、ヘッダー部のラベルシールは、包装体と一体のままであった。開封の際に内容物を壊したり、落としてしまったりすることは無かった。また、この開封口を軽く指で開く事で、内容物をスムースに取り出すことができた。
【0052】
【実施例2】
ユニチカ株式会社製の厚み12μmの縦方向直線カット性のポリエチレンテレフタレートフィルムであるエンブレットPCと、ガスバリア層としての厚さ12μmのエチレンビニルアルコール樹脂フィルムと、厚さ40μmのタマポリ株式会社製の縦方向直線カット性の直鎖状低密度ポリエチレン多層フィルムであるMZ−710Uとを、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法によりこの順番に従って積層し、続いて幅300mmにスリットしてからロールに巻き取り、フィルムAとした。
【0053】
直線カット性を有さないが熱絞り成型用である厚み16μmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルムであるルミラーF865と、ガスバリア層としての厚さ20μmの熱絞り成型用の株式会社クラレのエチレンビニルアルコール樹脂フィルムであるエバールEF−Eと、厚み80μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとを、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法によりこの順番に従って積層し、続いて幅300mmにスリットしてからロールに巻き取り、フィルムBとした。
【0054】
続いて、製袋機で、フィルムAとフィルムBの低密度ポリエチレンフィルム面同士を対向させて二軸繰出し機から連続的に繰出すと共にそれぞれ同調させながら、熱絞り成型機にフィルムBを送り出して熱絞り成型してフィルムBの中央部に深さ10mm×横100mm×縦150mmの凹部を設けた。そして、フィルムBの凹部に入る大きさの、スライスしたハム6枚を重ねて凹部内に収納し、次に、フィルムAの低密度ポリエチレンフィルム面をフィルムBに接するように沿わせて凹部を密封できる状態におき、真空装置を稼動させて凹部内の空気を抜きながら同時に窒素ガスを充填してから、凹部の周辺部を4方熱シールしてガスパック密封包装体を作成した。包装体のシール部に、実施例1と同様な切り込みを実施例1と同様にして付与した。これと同様の作業をくり返し行って、同様の包装体を複数作成した。
【0055】
この包装体は、内容物により開封が邪魔されることも無く、スムースに開封することができた。また、開封口を軽く指で開くことで、内容物をスムースに取り出すことができた。
【0056】
【比較例1】
実施例1のフィルムAのうち、厚み12μmの縦方向直線カット性のポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚み12μmで直線カット性のない通常のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして複数の包装体を得た。
【0057】
包装体を開封しようとして摘みを指で摘んで引張ったところ、フィルムAがフイルムBと共に切り取られてしまった。また、開封の状態は包装体によりバラバラで、内容物に当たる個所で開封が停止したり、内容物が破壊されしたりした。そのため、安定したスムースな開封はできなかった。
【0058】
【発明の効果】
易開封のために複雑な操作加工工程を必要とせず、嵩の高い内容物を収納した絞り成型された包装体であるにもかかわらず、シール部の密封性の信頼性を低下させることが無く、しかも、手で容易に安定した開封が行えて、内容物が簡単に取り出せる。その際、開封片が包装体から分離して散乱することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】易開封性包装体を構成する各部分を、分離して示した斜視図である。
【図2】易開封性包装体の斜視図である。
【図3】易開封性包装体の開封途中状態の斜視図である。
【図4】フィルムA及びフィルムBの積層構成を示す断面図である。
【図5】一方向直線カット性の測定方法を示す概念図である。
【符号の説明】
A フィルムA
B フィルムB
1 易開封性包装体
2 周辺部(熱シール部)
2−1 側部熱シール部
2−2 側部熱シール部
3−1 切り込み
3−2 摘み
4 内容物
5 凹部
6−1 基材フィルム層
6−2 基材フィルム層
7 一方向直線カット性を有するフィルム層
8 中間フィルム層
9−1 熱融着性樹脂フィルム層
9−2 熱融着性樹脂フィルム層
10 フィルムAの直線状引き裂き線
11 フィルムBの先細り状引き裂き線
12 開封片
13 開封片を取り去った後のフィルムAの空間
【発明が属する技術分野】
本発明は、比較的嵩高の食品類などの包装に適した、手で容易に包装体を開封できる易開封性包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、積層フィルムの熱シール袋に密封充填された商品を購入した消費者が、前記密封袋を開封して商品を取り出す方法としては、鋏、包丁、ナイフ等の袋切断用具を使用して袋を切断して開封する方法か、若しくはこれら用具を用いずに手で簡便に開封する方法として、袋の端部例えばプラスチック袋の熱シールされた端部にノッチ等を設け、それを起点として袋を引き裂いて開封する方法や、袋の熱シール部を易剥離性として、周辺部を剥離して開封する方法が一般的であった。
【0003】
前者の熱シール部端部に設けたノッチを有する、例えば3方または4方シール包装袋やピロー包装袋では、開封の際には、袋のシール端部のノッチ部から袋を引き裂くことにより開口部を形成し、この開口部から内容物を取り出す必要がある。その場合、取り出す内容物が饅頭等の型崩れし易いものであったり、薄焼き煎餅やクッキー等割れ易いものであると、袋の表裏のフィルムを引き裂く時に、表裏のフィルム間に存在する前記内容物が、その2枚のフィルムに挟まれたままで引き裂かれ、変形したり破壊したりしてしまう欠点がある。
【0004】
また、トレー入りの内容物を密封した袋を、前記と同じノッチから袋を引き裂いて開封する際には、開封の引き裂き片がトレーに引っ掛かり、スムーズに開封できないことが多かった。これを防止するために、シールする辺の端部から周辺部に至る部分に非接着部を形成し、非接着部のフィルム端部から接着部の一部に食い込むノッチを間隔をおいて2箇所設け、この2箇所のノッチの間を指で摘んで袋の片面のみをノッチの間隔幅で帯状に開封できる易開封性包装袋が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この場合開封に際してノッチを付与した周辺部分の表裏のフィルムを切り離す必要があり、周辺部を易剥離性にすることによって表裏のフィルムを剥離して切り離す。そのためには、袋全面の周辺部を易剥離性にするかノッチ部分のみを易剥離性にする必要があるが、シール全面を易剥離性にした場合は、流通段階での周辺部の破損の心配がある。また、部分的に開封に必要な分だけ易剥離性にするには、その部分のみ易剥離加工処理を行う必要があった。
【0005】
また、ピロー包装袋であるが合掌周辺部に間隔をおいてノッチを2箇所設け、ノッチ間の合掌周辺部を摘んで引き裂くことによって袋を円周状に開封する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、この場合も合掌周辺部の根元で左右のフィルムを切り離す必要があり、開封を進行させるフィルムと反対側のフィルムの合掌周辺部の根元に当たる部分に微細な傷痕を設けることによって、反対側のフィルムをその部分で切断して切り離すようになっている。そのため、微細な傷痕を付与する工程が別途必要になり、また、傷痕を付与した部分の強度が低下する問題点があった。
【0006】
つまり、上記のような開封方法では、袋の形状によらずに周辺部で一方のフィルムをもう一方のフィルムから切り離す必要がある。つまり、弱接着の易剥離性シールにして剥離によるか、易裂性にしてフィルム切断によるかの違いはあるが、いずれにせよ、この切り離す必要性のために上記のような問題点が発生していた。
【0007】
後者の易剥離性包装体の代表例として、袋のシール強度を弱シールとしたポテトチップ等のピロー形状の包装袋などが良く知られている。この袋の開封は、袋の表裏のフィルムを指で摘まんで互いに反対方向に引張ることによって、袋の上または下の周辺部と合掌周辺部との交差部を引き剥がしてシールを剥離し、開口部を形成する。しかし、この方法は、弱シール強度が必ずしも均一で無く、また手で袋を両側に引張る力のかけ具合も個人差があり、必ずしもきれいに開口部を得られ無い欠点がある。また、シール強度が低いことによる流通段階での周辺部の破損の心配がある。
【0008】
ところで、別の包装体の例として、あらかじめ立体的に絞り成型したフィルム(以下、底フィルムという場合がある)に別の蓋のフィルム(以下、蓋フィルムという場合がある)を熱シールした包装体がある。この包装体は、比較的嵩の高いブロック状のハム類等の内容物を形態を崩さずに見栄え良く包装できる特徴を有する。
【0009】
このような包装体の開封にあたっては、蓋のフィルムと底フィルムとの間の熱シール部を易剥離性の弱シールとし、これを剥離させて行うのが一般である。しかし、内容物の周り全面を剥離するにはそれなりの時間と慣れを要する。また、包装体の見栄えやコスト面から、開封時の摘み代を十分には取りにくく手指の力がかけづらいため、開封しがたい欠点があった。また、この絞り包装体の密封性を確実にするために、易剥離性の弱シールとせずに通常のシール強度を有する包装体として引き裂いて開封する方法も考えられる。しかし、内容物の嵩が高いために、収納部分の底フィルムと蓋フィルムとの間に距離があり、両フィルムの引裂きがスムースには行い難い。そのため開封しづらく、開封の際に内容物の形態が崩れたり、開封の勢い余って内容物が床面等に転げ落ち、汚染されてしまったりする場合もあった。
【0010】
さらに、上記したように、易開封性とするためにシール強度を弱めるのは、流通時における周辺部の破損防止の観点から限界がある。特に嵩の高い内容物の場合、嵩が高いことに起因して形状的に周辺部に無理がかかりやすい。また嵩に対応して内容物の重量も大きくなるため、この点からも周辺部に強度が必要となる。さらに、このような包装体に適した内容物としては、ハム、ベーコン、魚肉練り製品などがあげられるが、これらは含水率が高くて表面がウェット状態にある。そのため、雑菌が混入すると腐敗しやすく、表面がドライ状態の内容物よりもさらに密封シールの確実性が要求される。つまり、いずれにせよシール強度のレベルを高めに設定せざるを得ず、易開封性とするのはなかなかに困難である。
【0011】
【特許文献1】
特開平10−230971号公報
【特許文献2】
特開2001−55248号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、比較的かさ高で形態を保持したい内容物の包装体に適し、易開封のために複雑な操作加工工程を必要とせず、包装体のシール強度と密封性の信頼性が高く、しかも、手で容易に開封できる易開封性包装体を提供することを目的課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記問題課題即ち、周辺部を弱剥離性にしたり傷痕を設けたりして包装体のシール密封性の信頼性を損ねること無く、かつ易開封性を満足すると言う矛盾する課題を鋭意研究した結果、本発明に到達した。
【0014】
即ち、本発明は、フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされ、かさ高の内容物が密封された易開封性包装体であって、前記フィルムAは、一方向直線カット性を有するフィルム層と熱融着性樹脂層とを含む積層フィルムであり、前記フイルムBは、前記一方向直線カット性を有さないフィルム層と熱融着性樹脂層を含む積層フィルムであって、前記周辺部に囲まれた部分が前記内容物を収納する凹部を構成するよう立体的に絞り成型されており、さらに前記周辺部の熱シール部内には、当該熱シール部を貫通した切込みによる摘みが、前記フィルムAの前記一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向に設けられていることを特徴とする易開封性包装体である。
【0015】
ここで、前記の包装体が、真空包装されたものであることは望ましい。また、前記の包装体が、ガス充填包装されたものであることは望ましい。また、前記のフィルムA及び前記のフィルムBが、ガスバリア性を有することは望ましい。また、前記の内容物が、含水率の高い食品類であることは望ましい。また、前記の内容物が、蛋白質食品であることは望ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明を図面を参照しながら説明する。図1は、易開封性包装体を構成するフィルムA、内容物4、フィルムBを、紙面に向かって上下方向に各々の相対位置をずらした状態で示した斜視図である。被包装物であるブロック形状のハム等のごとき内容物4がフィルムBの凹部5に収納され、フィルムAがフィルムBの凹部5の蓋となるように重ね合わされ、フィルムAとフィルムB接する周辺部2が互いに熱シールされることにより、密封包装がなされる。
【0017】
この包装体1に適する内容物4は嵩が高いものである。ここで、嵩が高いとは、平面形状の2枚のフィルムに挟んで真空包装した場合に、内容物4に力がかかって形態の一部が押しつぶされてしまったりすることにより、または、フィルムBまたはAに多くの皺が生じることにより、包装後の見栄えが悪くなり、また密封も不完全になりやすいような形態を指している。つまり、包装後の見映えを良くするためには、包装袋をあらかじめ立体に成型しておく必要がある程度の、立体的形状またはブロック形状等をなしている形態をいう。なお、内容物4は、スライスされたものを重ねた結果、嵩が高くなったものであっても良い。
【0018】
この包装体1に適する内容物4としては、含水率が比較的高くて嵩が高いために、形態が三次元的で比較的押しつぶされたりして部分的に崩れやすく、さらに雑菌が混入した場合に問題となるような食品類等が望ましい。例えば、ハム、ベーコン、ソーセージ、魚肉練り製品等の蛋白質加工製品類や、饅頭や羊羹などの菓子類、ブロック生肉や魚介類または魚介類の切り身等である。
【0019】
ここで、フィルムBは、熱成型性を有する積層フィルムをあらかじめ絞り成型して、熱シールがなされる周辺部2に囲まれた中央部分に、内容物を収納するための三次元形状の凹部5を設けて容器状としたフィルムである。また、フィルムAは、底フィルムの凹部5および周辺部に対して蓋状に機能するフィルムであって、かつ一方向直線カット性を有するフィルムである。各フィルムの詳細は後述する。
【0020】
図2は、図1の各部分から包装された後の易開封性包装体の例を示した斜視図である。図2の包装体1の熱シールされた周辺部2内には、互いに熱シールされたフィルムAとフィルムBを貫通した切り込み3−1と切り込みにより手指により摘めるようになった摘み3−2とが設けられている。この切り込み3−1は、矢印aであらわすフィルムAの一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向となるように設けられていることが望ましい。切り込み3−1の形状は、コまたはU、V字などの形状が望ましい。このような切り込みにより、摘み3−2は摘んで引き裂き易いようになる。すなわち切り込み3−1は、フィルムAの直線カット方向(矢印aの方向)と略平行に切込み3−1の対称軸が配置されるようになされ、かつ切込み3−1はフィルムAの直線カット方向に沿って包装体1の外縁に最も近い部分が切り込まれるようになされる一方、直線カット方向に沿って包装体1の外縁から最も離れた部分には切り込みがなされずに、摘み3−2が包装体1につながったままとなるようになされていることが望ましい。その結果、摘み3−2が手指で摘みえるツマミ形状を形成する。
【0021】
摘み3−2の大きさは、指先で摘んで引張ることができる大きさであれば良く、具体的には5mmから15mm程度であることが望ましい。また、摘み3は、例えば鍵孔形状のように指先で摘む部分のみ摘み易い様に大きくしても良い。包装体の外縁から最も離れた部分の切り込み先端の間隔は、包装体を開封した時のフィルムAの引き裂き幅を規定し、引き裂き幅を変更したい場合はこの間隔を変更すれば良い。切込み3−1及び摘み3−2は、包装体1を構成する際に付与されることが好ましい。
【0022】
ここで、切り込み3−1を形成した近傍に位置してシールされる周辺部2の一部を、包装体1の内部側に突出させてその部分を局部的に他のシールされる周辺部より広幅としても良い。このようにすることによって、包装体の周辺部分の内側の端縁と切り込み3−1の先端との間隔が短くなることによる、切り込みからの意図しない破袋事故の可能性を減少することができる。また、図2では切込み3−1は左側の周辺部2−1に設けた例を示しているが、右側の周辺部2−2に設けても良いし、両側の周辺部2−1及び2−2に同時に2箇所設けることもできる。
【0023】
図3は、包装体1を開封する途中の状態を表した斜視図である。なお、図3中の破線は、フィルムBに成型された凹部5の位置を示している。包装体1の開封は、摘み3−2を指で起して摘み、図3のフィルムA内の矢印(a)で示した直線カット方向に引張る。フィルムAは直線カット性を有するため、摘み3−2の幅と略同じ幅の直線状の引き裂き線10に沿って引き裂ける。
【0024】
その際、フィルムBは直線カット性を有さないため、直線カット性を有するフィルムAのa方向の引き裂き力に影響されて、包装体内側のシール端縁から少し中に入った個所で、引き裂き線11の様に先細り状になって引き裂けて一部が切り取られ、開封片12と一緒にフィルムBから分離する。その結果、その後はフィルムAだけが、たやすく開封片12として切り取られていく。
【0025】
このようにして、たやすく開封できる包装体1は、シール部を易剥離性としたり、裏側のフィルムのシール際に易裂き加工をする必要が無いため、包装体の強度を損なうこと無く、表側のフィルムAのみを所定の幅で引き裂いて開封することができる。また、摘み3−2に続く開封片12による引き裂きは、開封を開始した周辺部2−1から、直線カット性方向に沿って相対する周辺部2−2に達して停止する。このため、開封片12は、包装体に付いたまま残って塵として散乱することが無い。内容物4は、フィルムAの開封片12を取り去った空間部13を押し広げることによって、簡単に包装体1から取り出すことができる。
【0026】
図4は、包装体1を構成するフィルムAとフィルムBの断面と、それぞれの相対方向とを示した概念図である。フィルムAは、一方向直線カット性を有する積層フィルムであり、少なくとも一方向直線カット性を有するフィルム層6−1と熱融着性樹脂フィルム層9−1を含む。フィルムAは、熱融着性樹脂フィルム層9−1がフィルムBと接するように配置する。
【0027】
一方向直線カット性とは、文字通り一方向に直線的に切り裂け易い性質を言い、具体的には、以下の測定方法で定義される性質を言う。即ち、積層フィルム製造時の流れ方向及び流れ方向に直角方向に沿って250mm四方の正方形にフィルムを切出す。直線カット性を試験する方向と垂直な切出し片の端縁に30mm間隔をおいて図5のように2箇所のノッチを入れる。30mmの切れ目を指で掴んで直線カット方向と平行な方向にフィルムを引き裂く(図5の点線のようにフィルムが切れる)。
【0028】
一般にフィルムは、分子の配向方向や樹脂のブレンドした成分の配向方向によっては、フィルムの切れ具合がフィルムの引裂き方向によって異なることがあるため、上記の引き裂き試験をフィルムの左方向、右方向についてそれぞれ行い、引き裂いた時の引裂きの先端が細くなった方のフィルムの先端”X”の幅をもって直線カット性を判断する。いずれの方向についても、Xの値が5mm未満または引裂きが対向する端縁まで至らないものを直線カット性が無いフィルムと言う。つまり、フィルムAは、少なくともいずれかの一方向について、先端”X”の幅が5mm以上となるフィルムである。
【0029】
図4の例に示したように、フィルムAは、基材フィルム層6−1、一方向直線カット性を有するフィルム層7及び熱融着性樹脂フィルム層9−1からなる積層フィルムとすることが望ましい。袋の要求特性によっては、基材フィルム層6−1と一方向直線カット性を有するフィルム層7の積層の順番は逆でも良いし、基材フィルム層6−1は無くても良い。また図示していないが、この他の中間フィルム層が積層されていても良い。更に、図2のフィルムAは、直線カット性のあるフィルムを層構成の一部に用いて積層フィルムに直線カット性を付与しているが、この他の方法として例えば、特開平9−156649号公報に記載されているフィルムの分子配向性が相違する2枚のフィルムを背中合せに積層した、即ち2枚のフィルムが1組になって直線カット性を発揮するような組合せのフィルム層を層構成の一部に用いてフィルムAに直線カット性を付与しても良い。
【0030】
フィルムAの基材フィルム層6−1として使用できるフィルムとしては、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂フィルム、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド系樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂フィルムなどの二軸延伸フィルムなどがあげられる。
【0031】
一方向直線カット性を有するフィルム層7として使用できるフィルムとしては、一軸延伸延伸ポリエチレンフィルム、一軸延伸ポリプロピレンフィルムなどの縦一軸または横一軸延伸ポリオレフィン系樹脂フィルムや、例えば特開平7−113015号公報に記載された様なナイロン6樹脂にポリメタキシリレンアジパミド樹脂を混合して層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、また例えば特開平11−300916号公報に記載されたような、ポリエチレンテレフタレート樹脂にポリブチレンテレフタレート樹脂を混合して層分離構造と延伸条件を工夫した二軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムなどがあげられる。
【0032】
熱融着性樹脂フィルム層9−1として使用できるものとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと共重合可能なビニル化合物との共重合樹脂、或いはポリプロピレン系樹脂フィルムなどがあげられる。
【0033】
図4に示されたもう一方のフィルムBは、図2の包装体1の底を構成するフィルムで、一方向直線カット性を有さない積層フィルムであり、かつ熱成型性を有するフィルムであって、あらかじめ絞り成型により成型されているものである。フィルムBは、少なくとも基材フィルム層6−2と熱融着性樹脂フィルム層9−2を有する積層フィルムであることが望ましく、図4の例では、これに中間フィルム層8が設けられている。しかし、この中間フィルム層8は無くても良いし、逆に他の中間フィルム層がさらに積層されていても良い。
【0034】
フィルムBは、一方向直線カット性を有さないから、上記の測定方法により測定した先端”X”の幅が、いずれの方向に関しても5mm未満となる。この性質を有することにより、包装体を開封する際にフィルムAが主に切り裂かれ、フィルムBは比較的切り裂かれない状態に保持される。
【0035】
また、フィルムBは熱成型性を有するフィルムである。熱成型性とは、絞り成型を行う際、すなわち熱をかけてフィルムまたはシートを軟化させて、真空または圧縮空気などの力で軟化したフィルムを引き伸ばして型に押し当てようとする時に、熱によりフィルムが収縮したりすることなく、十分引き伸ばされて型に押し当てられ、かつ型からフィルムを取り出したときに型通りに成型される性質を言う。
【0036】
熱成型性を有するためには、フィルムBの基材フィルム層6−2の材料として、熱可塑性樹脂を用いる。そして、樹脂を押し出しダイのスリットから押出し、溶融ポリマーを延伸しない状態で冷却することにより、一般に延伸していないかその程度が低い無延伸基材フィルムを得る。これを適宜ラミネートすることによりフィルムBが得られる。なお、フィルムBに中間フィルム層8を設ける場合は、この中間フィルム層8も熱成型性を有していることが望ましい。
【0037】
基材フィルム層6−2や中間フィルム層8として用いることができるフィルムは、無延伸のポリアミドフィルム、非結晶性のポリエステルフィルム、ポリスチレンフィルムなどが例示される。
【0038】
熱融着性樹脂フィルム層9−2として使用できるものは、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレンと共重合可能なビニル化合物との共重合樹脂、或いはポリプロピレン系樹脂フィルムなどがあげられる。熱シールの融着のし易さ及びシール強度レベルの高さと安定性の面から、熱融着性樹脂フィルム層9−1及び9−2の樹脂は同種であることが好ましい。
【0039】
このようにして得られるフィルムBは、その中央部分が凹形の容器形状となり、その容器形状部分が内容物の収納部分となるように絞り成型される。容器形状への成型は、予熱して軟化させたフィルムBを真空や圧力空気などを用いて容器の形状の金型に押付けた後に冷却して行う、いわゆる真空成型法や圧縮空気成型法を用いることができる。この場合、熱可塑性樹脂層9−2が凹型の内側となるように成型する。このようにあらかじめ絞り成型されることにより、包装時に生じる皺を減少せしめることができ、包装後は見栄え良く、かつ密封も良好となる。
【0040】
フィルムAとフィルムBは、いずれもガスバリア性を有するフィルムであることが望ましい。農産、畜産魚介類等の内容物は、酸素の存在下で、微生物の増殖による腐敗、発酵等による変質が促進される。そのため、包装体の外部から進入する酸素を極力少なくするためである。また、内容物が吸湿しては都合の悪い物の場合には、包装体外部からの水分の侵入による吸湿の防止を図ることが望ましいし、また、内容物の臭いや水分などを包装体の外に出さないことが望ましい場合もある。
【0041】
ガスバリア性有りの判断基準は、酸素の透過を防止することが望ましい内容物の場合は、酸素の透過率として20cc/m2/24Hr/atm以下であり、好ましくは10cc/m2/24Hr/atm以下である。また、水分の透過を防止することが望ましい内容物の場合は、水分透過率として20g/m2/24Hr以下であり、好ましくは10g/m2/24Hr以下である。
【0042】
このようなガスバリア性を適宜フィルムAに持たせるには、基材フィルム層6−1にポリ塩化ビニリデン樹脂層もしくはエチレンビニルアルコール樹脂を主体とする樹脂層をコーティングしたフィルムや、金属酸化物、金属などを蒸着したフィルムを選択するか、新たな中間フィルム層としてガスバリア性を有するフィルム、例えばアルミニウムなどの金属箔、ポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルムやこれらと他の樹脂との共押出しフィルムなどのフィルムを積層することができる。
【0043】
フィルムBにガスバリア性を持たせるには、熱成型性を有するバリア性フィルム層、例えば、ある程度の酸素バリア性であれば良いときなどには無延伸ナイロンフィルム、バリア性が大きく要求されるときにはポリ塩化ビニリデン樹脂フィルム、エチレンビニルアルコール樹脂フィルムやこれらと他の樹脂との共押出しフィルムなどを積層することができる。なお、ガスバリア性以外にアロマバリア性を持たせることが望ましい場合についても同様である。
【0044】
フィルムAまたはBの製膜方法は、特に制限されるものでは無く、フィルム同士を接着剤を用いて積層するドライ或いはウェットラミネーション法、フィルム同志をTダイスから押出した溶融ポリエチレンなどで積層するサンドラミネーション法、Tダイスから溶融ポリエチレンなどを押出すことによって積層する押出しラミネーション法、低融点の熱融着制樹脂を用いたサーマルラミネーション法などが目的に応じて用いられる。
【0045】
内容物の変質を防止又は軽減するためには、包装体の内部空間の空気を除去して真空化し、内部空間における微生物の繁殖の原因となる酸素を除去する真空包装を用いることが望ましい。また、ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミソーセージ、燻製肉等の肉類加工品、チーズたら、かまぼこ等、魚肉加工品、または、裂きイカ、のしイカ、燻製イカ等のイカ加工品類などの魚介類の加工品等の含水率の高い蛋白質食品を包装する場合は、包装体の内部空間の空気を窒素や炭酸ガスなどのガスで置換するガス充填包装を用いてもよい。なお、真空包装やガス充填包装を行う場合は、包装体を構成するフィルムAとフィルムBには、ガスバリア性を有するものを用いることが好ましい。
【0046】
包装体には、消費者が袋の開封開始部分を認知させるためのマークや指示文があらかじめ印刷されていても良いし、引き裂き方法を理解させるための説明図や説明文が印刷されていても良い。以下、実施例、比較例を用いて具体的に説明する。
【0047】
【実施例1】
ユニチカ株式会社製の厚み12μmの縦方向直線カット性を有するポリエチレンテレフタレートフィルムであるエンブレットPCと、厚み40μmの直鎖状低密度ポリエチレン樹脂フィルムとを用い、両者の間に、Tダイスより密度0.920g/cm3で厚み15μmの低密度ポリエチレンを押出し、ポリウレタン系アンカーコート剤を介したサンドラミネーション法により貼り合せ積層して、フィルムAとした。
【0048】
フィルムAで用いたポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、直線カット性を有さないが熱絞り成型性を有する、厚み16μmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルムであるルミラーF865を基材として、ポリウレタン系接着剤を用いて厚さ80μmの直鎖状ポリエチレン樹脂フィルムとドライラミネート法により貼り合わせ積層してフィルムBとした。
【0049】
製袋機で、フィルムAとフィルムBの低密度ポリエチレンフィルム面同士を対向させて二軸繰出し機から連続的に繰出すと共にそれぞれ同調させながら、熱絞り成型機にフィルムBを送り出して熱絞り成型し、フィルムBの中央部に深さ10mm×横220mm×縦200mmの凹部を成型した。そして、フィルムBの凹部の中に、笹かまぼこ5枚を凹部の形に合うように少しずらした形で充填し、次に、フィルムAの低密度ポリエチレンフィルム面をフィルムBに沿わせて凹部を密封できる状態において、真空装置を稼動させて凹部内の空気を抜きながら凹部の周辺部を4方熱シールした。なお、周辺部分の一辺に40mmの幅でラベルシールの形(ヘッダー部)ができるようにした。同様な真空密封包装体を複数作った。
【0050】
この包装体の熱シールされた周辺部内に、図2に記載したのと同様に、フィルムAの直線カット方向に合わせて、幅5.5mm、長さ(図2における矢印a方向の長さに相当)が7mmの、コの字型の切り込みを設けた。なお、切り込みの先端と、シールされた周辺部の内縁端との間隔は2mmとした。
【0051】
この切り込みにより形成された摘みを指で摘んで、直線カット方向(図2の矢印a方向)に引張って開封したところ、フィルムBが包装体内側のシール端縁から5mm凹部側に食い込んだ所で、図3の11の様に先端が先細り状になって開封片12から切り取られ、その後、容易かつ安定してフィルムAの元々の約5.5mmの幅で、引き続いて引き裂き開封することができた。引き裂きは、左側シール2−1と対向する右側周辺部2−2のシール際で止まり、摘みにつながった開封片12は、袋から切り離されること無く袋に付いたまま残った。フィルムBがほとんど切り裂かれなかったので、ヘッダー部のラベルシールは、包装体と一体のままであった。開封の際に内容物を壊したり、落としてしまったりすることは無かった。また、この開封口を軽く指で開く事で、内容物をスムースに取り出すことができた。
【0052】
【実施例2】
ユニチカ株式会社製の厚み12μmの縦方向直線カット性のポリエチレンテレフタレートフィルムであるエンブレットPCと、ガスバリア層としての厚さ12μmのエチレンビニルアルコール樹脂フィルムと、厚さ40μmのタマポリ株式会社製の縦方向直線カット性の直鎖状低密度ポリエチレン多層フィルムであるMZ−710Uとを、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法によりこの順番に従って積層し、続いて幅300mmにスリットしてからロールに巻き取り、フィルムAとした。
【0053】
直線カット性を有さないが熱絞り成型用である厚み16μmの東レ株式会社製ポリエチレンテレフタレートフィルムであるルミラーF865と、ガスバリア層としての厚さ20μmの熱絞り成型用の株式会社クラレのエチレンビニルアルコール樹脂フィルムであるエバールEF−Eと、厚み80μmの直鎖状低密度ポリエチレンフィルムとを、ポリウレタン系接着剤を用いたドライラミネート法によりこの順番に従って積層し、続いて幅300mmにスリットしてからロールに巻き取り、フィルムBとした。
【0054】
続いて、製袋機で、フィルムAとフィルムBの低密度ポリエチレンフィルム面同士を対向させて二軸繰出し機から連続的に繰出すと共にそれぞれ同調させながら、熱絞り成型機にフィルムBを送り出して熱絞り成型してフィルムBの中央部に深さ10mm×横100mm×縦150mmの凹部を設けた。そして、フィルムBの凹部に入る大きさの、スライスしたハム6枚を重ねて凹部内に収納し、次に、フィルムAの低密度ポリエチレンフィルム面をフィルムBに接するように沿わせて凹部を密封できる状態におき、真空装置を稼動させて凹部内の空気を抜きながら同時に窒素ガスを充填してから、凹部の周辺部を4方熱シールしてガスパック密封包装体を作成した。包装体のシール部に、実施例1と同様な切り込みを実施例1と同様にして付与した。これと同様の作業をくり返し行って、同様の包装体を複数作成した。
【0055】
この包装体は、内容物により開封が邪魔されることも無く、スムースに開封することができた。また、開封口を軽く指で開くことで、内容物をスムースに取り出すことができた。
【0056】
【比較例1】
実施例1のフィルムAのうち、厚み12μmの縦方向直線カット性のポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、厚み12μmで直線カット性のない通常のポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして複数の包装体を得た。
【0057】
包装体を開封しようとして摘みを指で摘んで引張ったところ、フィルムAがフイルムBと共に切り取られてしまった。また、開封の状態は包装体によりバラバラで、内容物に当たる個所で開封が停止したり、内容物が破壊されしたりした。そのため、安定したスムースな開封はできなかった。
【0058】
【発明の効果】
易開封のために複雑な操作加工工程を必要とせず、嵩の高い内容物を収納した絞り成型された包装体であるにもかかわらず、シール部の密封性の信頼性を低下させることが無く、しかも、手で容易に安定した開封が行えて、内容物が簡単に取り出せる。その際、開封片が包装体から分離して散乱することがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】易開封性包装体を構成する各部分を、分離して示した斜視図である。
【図2】易開封性包装体の斜視図である。
【図3】易開封性包装体の開封途中状態の斜視図である。
【図4】フィルムA及びフィルムBの積層構成を示す断面図である。
【図5】一方向直線カット性の測定方法を示す概念図である。
【符号の説明】
A フィルムA
B フィルムB
1 易開封性包装体
2 周辺部(熱シール部)
2−1 側部熱シール部
2−2 側部熱シール部
3−1 切り込み
3−2 摘み
4 内容物
5 凹部
6−1 基材フィルム層
6−2 基材フィルム層
7 一方向直線カット性を有するフィルム層
8 中間フィルム層
9−1 熱融着性樹脂フィルム層
9−2 熱融着性樹脂フィルム層
10 フィルムAの直線状引き裂き線
11 フィルムBの先細り状引き裂き線
12 開封片
13 開封片を取り去った後のフィルムAの空間
Claims (6)
- フィルムAとフィルムBとが重ねられて周辺部が熱シールされ、かさ高の内容物が密封された易開封性包装体であって、前記フィルムAは、一方向直線カット性を有するフィルム層と熱融着性樹脂層とを含む積層フィルムであり、前記フイルムBは、前記一方向直線カット性を有さないフィルム層と熱融着性樹脂層を含む積層フィルムであって、前記周辺部に囲まれた部分が前記内容物を収納する凹部を構成するよう立体的に絞り成型されており、さらに前記周辺部の熱シール部内には、当該熱シール部を貫通した切込みによる摘みが、前記フィルムAの前記一方向直線カット方向に沿って引裂き易い方向に設けられていることを特徴とする易開封性包装体。
- 包装体が、真空包装されたものであることを特徴とする請求項1記載の易開封性包装体。
- 包装体が、ガス充填包装されたものであることを特徴とする請求項1記載の易開封性包装体。
- フィルムA及びフィルムBが、ガスバリア性を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の易開封性包装体。
- 内容物が、含水率の高い食品類であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の易開封性包装体。
- 内容物が、蛋白質食品であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の易開封性包装体。
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---|---|---|---|
JP2003183753A JP2005015002A (ja) | 2003-06-27 | 2003-06-27 | 易開封性包装体 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010070217A (ja) * | 2008-09-18 | 2010-04-02 | Mitsubishi Plastics Inc | 易開封性深絞り包装体 |
JP7493991B2 (ja) | 2020-04-22 | 2024-06-03 | 理想科学工業株式会社 | 部品保持部材 |
-
2003
- 2003-06-27 JP JP2003183753A patent/JP2005015002A/ja active Pending
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