JP2005012111A - 磁気抵抗効果素子及び薄膜磁気ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】ピンド層の磁化固定力が高く、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現できる磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置を提供すること。
【解決手段】薄膜磁気ヘッド10は、反強磁性層36と、反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、反強磁性層に接する第1強磁性層43、第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層41、及び第1強磁性層と第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層42を有するピンド層45と、フリー層34と、ピンド層とフリー層との間に設けられた中間層35とを備える。ピンド層の第1強磁性層43は、強磁性材料からなる第1層43bと、該層と非磁性スペーサ層42との間に配され強磁性材料からなる第2層43aとを有し、第1層43bのバルク散乱係数は、第2層43aのバルク散乱係数よりも低くなっている。
【選択図】 図1
【解決手段】薄膜磁気ヘッド10は、反強磁性層36と、反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、反強磁性層に接する第1強磁性層43、第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層41、及び第1強磁性層と第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層42を有するピンド層45と、フリー層34と、ピンド層とフリー層との間に設けられた中間層35とを備える。ピンド層の第1強磁性層43は、強磁性材料からなる第1層43bと、該層と非磁性スペーサ層42との間に配され強磁性材料からなる第2層43aとを有し、第1層43bのバルク散乱係数は、第2層43aのバルク散乱係数よりも低くなっている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果を利用して各種の磁気情報を読取る磁気抵抗効果素子、特にハードディスク等の磁気情報を読取る薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗効果素子の高感度化を実現するため、近年、様々の研究が進められている。フリー層とピンド層の2つの強磁性層の相対的な磁化方向に依存して電気抵抗が変化するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子は、最近の磁気抵抗効果素子の基本的構成をなすものであり、更にこれを改良したスペキュラー型のスピンバルブ等も注目を浴びている(特許文献1参照)。スペキュラー型は、極薄酸化層(NOL;Nano Oxide Layer)と金属層との界面における鏡面反射を利用して、高い磁気抵抗変化率を得るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−232035号公報(段落0004)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記スペキュラー型を利用すれば、それなりに高い磁気抵抗変化率を得ることができる。しかしながら、本発明者は、極薄酸化層を形成しなくても高い磁気抵抗変化率を得られる新規な磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの開発に迫られた。
【0005】
一方、近年、ピンド層の磁化固定作用を高めるため、いわゆるシンセティック構造が採用されている。このシンセティック構造とは、ピンド層が、反強磁性層に接する第1強磁性層と、第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層とを備えたものである。この構造では、フリー層とピンド層の第2強磁性層との相対的な磁化方向に依存して磁気抵抗変化が得られる。ところが、ピンド層の第1強磁性層は、第2強磁性層とは逆向きに磁化が固定されているため、磁気抵抗変化を妨げる作用も存在する。
【0006】
本発明は、このような事情の下でなされたものであり、ピンド層の磁化固定力が高く、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現できる磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の磁気抵抗効果素子は、反強磁性層と、前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、前記ピンド層における前記第1強磁性層は、強磁性材料からなる第1層と、当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴としている。
【0008】
本発明の磁気抵抗効果素子では、いわゆるシンセティック構造を採用しているため、ピンド層の磁化固定力が高められている。また、ピンド層の第1強磁性層に設けられたバルク散乱係数が低い方の第1層は、第1強磁性層の磁化の向きが第2強磁性層と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の第2層が第2強磁性層側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。
【0009】
ここで、バルク散乱係数とは、強磁性体の磁化方向と同じ方向のスピンを持つ上向きスピンの電子の比抵抗をρ↑、反対方向のスピンを持つ下向きスピンの電子の比抵抗をρ↓、強磁性体が常磁性状態であるときの比抵抗をρとすると、下記式(1),(2)を満たすβに相当するものである。
【0010】
ρ↑=ρ(1−β) ・・・(1)
ρ↓=ρ(1+β) ・・・(2)
また、上記第1強磁性層における第1層は、FeCr,FeCoCr,FeTa,FeMn,又はFeVによって形成されていることが好ましい。また、上記第1強磁性層における第2層は、Co,CoFe,CoFeNi,又はNiFeによって形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、ピンド層の第1強磁性層は、第1層における第2層とは反対側に、該第1層よりもバルク散乱係数が高く強磁性材料からなる第3層を更に備えることが好ましい。この場合、第3層により、ピンド層の第1強磁性層と反強磁性層との結合をより強固にすることができる。このように、バルク散乱係数の低い第1層をバルク散乱係数の高い2つの強磁性層で挟む構成にすることで、高い磁気抵抗変化率を得ることができる。
【0012】
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、フリー層における反強磁性層とは反対側に、中間層、ピンド層、及び反強磁性層の組が更に配され、フリー層の両側に位置する第1強磁性層の双方が、第1層及び第2層を有することが好適である。
【0013】
このように所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドにし、フリー層の両側の各第1強磁性層に上記第1層及び第2層を設けることで、更に高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0014】
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置は、上記のような磁気抵抗効果素子を備えているため、ハードディスク装置の高い再生出力を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の薄膜磁気ヘッドを示す断面図であり、記録媒体対向面(以下、「エアベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)」と称する)側から若干入り込んだ付近を示す。薄膜磁気ヘッド10は、巨大磁気抵抗効果を利用するGMRヘッドであり、下部シールド層31、第1ギャップ層32、バッファ層33、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層34、非磁性の導電層(中間層)35、ピンド層45、反強磁性層36、及びキャップ層37がこの順に積層されている。尚、フリー層34、導電層35、ピンド層45、及び反強磁性層36によって、本実施形態の磁気抵抗効果素子が構成されている。
【0017】
また、薄膜磁気ヘッド10は、導電層35の広がりの方向すなわち面方向にセンス電流が流れるいわゆるCIP(Current In Plane)構造を採用している。センス電流は、一対の電極層51,52を介して、フリー層34及び導電層35等から構成されるMR膜に供給される。本実施形態では、センス電流は電極層51からMR膜に流入し、電極層52から流出するようになっている。また、各電極層51,52上には、これらを電気的に絶縁するAl2O3等からなる第2ギャップ層53が形成されている。第2ギャップ層53上には、上部シールド層54が積層されている。
【0018】
バッファ層33からキャップ層37までの積層体の周囲には、フリー層34を単磁区化するハードバイアス層55が形成されており、その積層体とハードバイアス層55との間の領域には、ハードバイアス層55の配向を制御する下地層57が形成されている。
【0019】
次に、各層の構成を詳説する。第1ギャップ層32は、Al2O3,SiO2等により形成され、厚さは例えば5nmとされる。バッファ層33は、Cu,Ta,Cr,Zr,Ti,Ru等により形成され、厚さは例えば5nmとされる。
【0020】
フリー層34は、外部磁界(例えばハードディスクの漏洩磁界)の影響で磁化の向きが変化するものであり、厚さが約1nm〜約10nmで、例えばCo,CoFe,NiFe,CoNiFe,CoZrNb等の強磁性材料で形成することができる。また、フリー層34は、CoTa,CoCrPt,CoPt等からなる上記ハードバイアス層55からの磁束によって、例えば図中右方向に単磁区化されている。
【0021】
導電層35は、ピンド層45とフリー層34との間に設けられ、Cu等の非磁性の導電材料で形成される。導電層35の厚さは例えば数nmとされる。
【0022】
ピンド層45は、反強磁性層36と交換結合して磁化の向きが固定されている。ピンド層45は、反強磁性層36に接する第1強磁性層43と、第1強磁性層43と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層41と、第1強磁性層43と第2強磁性層41との間に配された非磁性スペーサ層42とを備え、いわゆるシンセティック構造となっている。このようにシンセティック構造を採用した場合は、ピンド層の磁化の向きの固定力が強まると共に、ピンド層45からフリー層34へ及ぶ不要な漏洩磁界を低減することができる。
【0023】
第2強磁性層41は、Co,CoFe,NiFe,CoFeNi等で形成され、厚さは例えば1.0〜10nm程度にされる。
【0024】
非磁性スペーサ層42は、例えばRu,Rh,Re,Cr,Zr等の非磁性材料によって形成され、その厚さは例えば約0.2nm〜約1.2nm程度である。非磁性スペーサ層42は、第1強磁性層43と第2強磁性層41との間に反強磁性的な交換結合を生じさせ、各層43,41の磁化の方向を反対にするものである。例えば、第1強磁性層43の磁化は図における紙面奥側を向き、第2強磁性層41の磁化は紙面手前向きに固定される。
【0025】
第1強磁性層43は、バルク散乱係数の高い強磁性層(第2層)43a及び強磁性層(第3層)43cで、これらよりもバルク散乱係数が低い強磁性層(第1層)43bを挟んだ積層構造になっている。強磁性層43a,43cは、例えば、Co(バルク散乱係数βは約0.5〜0.6),CoFe(βは約0.6〜0.7),CoFeNi(βは約0.5〜0.6),NiFe(βは約0.5)等のバルク散乱係数が0.5以上で1.0以下の強磁性体で形成され、2つの強磁性層43a,43cの構成材料は同一であっても異なっていてもよい。これらの材料の中では、CoFe又はCoFeNiが最適に選ばれる。強磁性層43a,43cのそれぞれの厚さは、例えば0.1nm〜2.0nm程度にされる。一方、第1強磁性層43における強磁性層(第1層)43bは、FeCr(βは約−0.2),FeCoCr(βは約−0.1),FeTa(βは約0〜+0.2),FeMn(βは約−0.1),FeV(βは約−0.2)等のバルク散乱係数が強磁性層43a,43cよりも低い強磁性体で形成され、FeCr又はFeCoCrが最適に選ばれる。また、強磁性層43bの厚さは、例えば0.1nm〜5.0nm程度にされる。
【0026】
反強磁性層36は、上記のようにピンド層45の磁化の方向を固定するための層である。反強磁性層36は、厚さが約5nm〜約20nmで、FeMn,IrMn,PtMn等で形成することができる。反強磁性層36を形成する材料としては、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起するタイプ、或いは、熱処理により反強磁性を示すタイプのいずれでもよい。また、反強磁性層36上に積層されたキャップ層37はTa,Au,Ru,Pt等で形成することができ、厚さは例えば約5nm程度にされる。
【0027】
下部シールド層31及び上部シールド層54は、例えばNiFe等の磁性材料で形成される。各シールド層31,54は、不要な外部磁界をGMR素子が感知するのを防止する。
【0028】
以上が本実施形態の磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの構成である。上記のように、薄膜磁気ヘッド10では、いわゆるシンセティック構造を採用しているため、ピンド層45の磁化固定力が高められている。また、ピンド層45の第1強磁性層43に設けられたバルク散乱係数が低い方の強磁性層(第1層)43bは、第1強磁性層43の磁化の向きが第2強磁性層41と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の強磁性層(第2層)43aが第2強磁性層41側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。本発明者の実験では、ピンド層45の磁化が存分に固定された範囲内で、磁気抵抗変化率15.9%という高い値が得られた。これを証明する実験データについては後述の実験例で説明する。
【0029】
次に、図2を参照して、上記の薄膜磁気ヘッド10を備えたヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。
【0030】
ハードディスク装置1は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA:Head Gimbals Assembly)15を作動させて、高速回転する記録媒体としてのハードディスク2の記録面に、薄膜磁気ヘッド10によって磁気情報を記録及び再生するものである。ヘッドジンバルアセンブリ15は、薄膜磁気ヘッド10が形成されたヘッドスライダ11を搭載したジンバル16と、これが接続されたサスペンションアーム17とを備え、支軸14周りに例えばボイスコイルモータによって回転可能となっている。ヘッドジンバルアセンブリ15を回転させると、ヘッドスライダは、ハードディスク2の半径方向、すなわちトラックラインを横切る方向に移動する。
【0031】
このようなヘッドジンバルアセンブリ15及びハードディスク装置1は、上記薄膜磁気ヘッド10を備えているため高い磁気抵抗変化率を実現でき、ひいてはハードディスク装置の高い再生出力を得ることができる。
【0032】
[第2実施形態]
次に、図3を参照して、本発明に係る磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を説明する。本実施形態の磁気抵抗効果素子及び薄膜磁気ヘッド10は、所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドとなっている。すなわち、フリー層34における反強磁性層36とは反対側に、導電層、ピンド層、及び反強磁性層の組が更に設けられている。詳しくは、バッファ層33とフリー層34との間に、反強磁性層76、ピンド層75、及び導電層65が積層されている。フリー層34からキャップ層37までの構成は、第1実施形態と同じである。
【0033】
ピンド層75は、ピンド層45と同じ構成になっている。すなわち、ピンド層75は、反強磁性層76に接する第1強磁性層73と、第1強磁性層73と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層71と、第1強磁性層73と第2強磁性層71との間に配された非磁性スペーサ層72とを備えたシンセティック構造となっている。また、第1強磁性層73は、2つの強磁性層(第2層)73a及び強磁性層(第3層)73cで、これらよりもバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)73bを挟んだ積層構造となっている。強磁性層73a,73b,73cは、それぞれ強磁性層43a,43b,43cと同じ材料にすることができる。
【0034】
このように所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドにし、フリー層34の両側の各第1強磁性層43,73にバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)を設けることで、第1実施形態と比較して更に高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を説明する。本実施形態の薄膜磁気ヘッド10では、ピンド層45における第1強磁性層43は、強磁性層(第2層)43aとこれよりもバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)43bとの2層構造になっている。このような構成にした場合も、バルク散乱係数が低い方の強磁性層43bは、第1強磁性層43の磁化の向きが第2強磁性層41と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の強磁性層43aが第2強磁性層41側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。また、第1実施形態と比較して、1層少ないため製造工程を簡略化できるという利点もある。
【0036】
[第4実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を説明する。本実施形態の薄膜磁気ヘッド10は、CIP構造ではなく、センス電流を層厚方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)型のGMRヘッドとなっている。
【0037】
本実施形態の薄膜磁気ヘッド10は、NiFe,FeAlSi等からなり下部シールド層を兼ねる下側電極層80と、これと同様の材料からなり上部シールド層を兼ねる上側電極層82とを備えている。各電極層80,82の間に、磁気抵抗効果素子を含んだ積層体が挟まれており、電極層80及び電極層82によりこの積層体にセンス電流が供給される。この積層体の構成は第1実施形態と同様であり、バッファ層33、フリー層34、非磁性の導電層35、ピンド層45、反強磁性層36、及びキャップ層37を含んでいる。
【0038】
また、磁気抵抗効果素子の側方には、ハードバイアス層55が設けられ、該層55の内側には、センス電流のリークを防止するAl2O3等からなる絶縁層81と、ハードバイアス層55の配向を制御する下地層57とが設けられている。また、上側電極層82とハードバイアス層55との間にも、絶縁層81が形成されている。
【0039】
本実施形態のようなCPP構造の薄膜磁気ヘッドによっても、第1実施形態と同じ構成の磁気抵抗効果素子を備えているため、ピンド層45の磁化固定力が高くなっており、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。
【0040】
【実施例】
続いて、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0041】
まず、CIP型のシンセティック構造を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、ピンド層における第1強磁性層に、強磁性材料からなる第1層と、該層と非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを設けて、第1層を第2層よりもバルク散乱係数が低くなるようにすることの有効性を検証する。実験では、表1に示す材料及び膜厚の積層体を用いた。また、実際の薄膜磁気ヘッドの状態ではなく、ウエハ上に各膜を積層した状態で磁気抵抗変化率を測定した。より詳しくは、Siウエハ上に表1の各層を積層した上で、ピンド層の磁化方向を固定するために、1Tの磁場を印加した状態を280℃の温度雰囲気で5時間保持した。その後、このウエハに対していわゆる4点法(電流用の電極を2つ、電圧用の電極を2つ設ける。電流は層の面方向に流す。)を利用し、磁気抵抗変化率を測定した。その結果を図6のグラフに示す。
【0042】
図6のグラフは、横軸が印加磁界を示し、縦軸が磁気抵抗変化率を示す。また、実施例1の測定結果を実線で示し、比較例1の測定結果を破線で示す。比較例1の磁気抵抗変化率の最大値は10.83%であったのに対し、実施例1の値は11.16%であった。この結果より、ピンド層にFeCr層を設けた実施例1では、FeCr層を設けない比較例1よりも高い磁気抵抗変化率が得られると同時にピンド層の磁化固定にも問題が生じないことが検証された。
【0043】
【表1】
【0044】
次に、本発明が、薄膜磁気ヘッドがセンス電流を層厚方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)構造を採用する場合でも有効であることを説明する。
【0045】
まず、表2に示すように、比較例2として、ピンド層にFeCr層を設けない積層体を準備した。この積層体では、ピンド層をシンセティック構造にした。一方、実施例2として、ピンド層の第1強磁性層を、FeCr層(第1層)の両側をこれよりもバルク散乱係数が高い強磁性層(第2層、第3層)で挟んだ構造の積層体を準備した。そして、それぞれの磁気抵抗変化率を測定したところ、比較例2で1.45%であったのに対し、実施例2では2.5%という結果であった。これにより、本発明がCPP構造を採用した場合にも有効であることが立証された。
【0046】
【表2】
【0047】
次に、最大の磁気抵抗変化率を求めた実験について説明する。まず、ピンド層における第1強磁性層のFeCr層(第1層)の厚さを0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nm、2.8nmの5通りで磁気抵抗変化率を測定し、最適なFeCr層の厚さを求めた。このときの各層の材料及び膜厚を表3に示す。また、測定したFeCr層の各膜厚と磁気抵抗変化率の関係を図7のグラフに示す。このグラフから判るように、FeCr層の厚さが1.0nmのときに、最大の磁気抵抗変化率を示すことが判明した。
【0048】
【表3】
【0049】
次に、FeCr層を厚さ1.0nmに固定する一方、第2強磁性層の膜厚を変えて、磁気抵抗変化率の最大値を求めた。但し、薄膜磁気ヘッドとして有効に機能するには、ピンド層がピン反転を起こしてはならないため、ピンド層の磁化を充分に固定できる範囲内で最大の磁気抵抗変化率を求めた。表4に、このときの各層の材料及び膜厚を示す。また、表5及び図8に、第2強磁性層の膜厚を2.0nm、2.5nm、3.0nm、3.5nmの4通りで測定した磁気抵抗変化率(%)及びHpin(Oe)を示す。図8において、符号Aを付したものが磁気抵抗変化率(%)を示し、符号Bを付したものがHpin(Oe)を示す。Hpinは、ピンド層がピン反転を起こす限界の磁場である。この実験においては、磁化方向が180°回転した場合(つまり完全に逆向きとなった場合)のみをピン反転とせず、一方向に固定されていた磁化が90°よりも大きな角度回転し、その反対側に傾いた場合に、ピン反転が生じたものとした。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
一般的に第2強磁性層の厚さを厚くすると、磁気抵抗変化率が増加するがピンド層の磁化固定力は低下する。ところが、本実施例の場合、第1強磁性層が、バルク散乱係数が高い2つの強磁性層でバルク散乱係数がこれらよりも低い強磁性層を挟んだ積層構造となっており、非磁性スペーサ側のバルク散乱係数が高い強磁性層と第2強磁性層が強く結合し、第2強磁性層の厚さを増すことによって生じる磁化固定力の低下を防いでいる。
【0053】
表5及び図8に示すように、第2強磁性層の厚さを厚くすると、磁気抵抗変化率が増加する。表5中、磁気抵抗変化率の最大値は、サンプル番号4(第2強磁性層の厚さは3.5nm)である。ところが、このサンプルではHpinが600(Oe)程度しかなく、これではピンド層のピン反転が容易に起こってしまい、薄膜磁気ヘッドとしては実用化が困難である。この点を考慮すると、Hpinが実用化に耐え得る値(1485(Oe))となっているサンプル番号3(第2強磁性層の厚さは3.0nm)の15.9%が、磁気抵抗変化率の有効な値となる。つまり、本発明によれば、極薄酸化層(NOL)を設けなくても、約16%という極めて高い磁気抵抗変化率を実現することができると共に、ピンド層の磁化固定力も高くすることができる。
【0054】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の磁気抵抗効果素子は、薄膜磁気ヘッドのほかにも、磁気メモリ、移動体センサ等の各種の磁気センサ等にも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る磁気抵抗効果素子によれば、ピンド層の磁化固定力が高く、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現できる。また、本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置は、このような磁気抵抗効果素子を備えているため、ハードディスク装置の高い再生出力を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係るハードディスク装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第4実施形態を示す図である。
【図6】FeCr層(第1層)を設けた場合(実線)と設けない場合(破線)の磁気抵抗変化率を示すグラフである。
【図7】FeCr層(第1層)の厚さと磁気抵抗変化率の関係を示すグラフである。
【図8】第2強磁性層の厚さと磁気抵抗変化率及びHpinとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ハードディスク装置、2…ハードディスク、10…薄膜磁気ヘッド、15…ヘッドジンバルアセンブリ、31…下部シールド層、32…ギャップ層、33…バッファ層、34…フリー層、35…導電層(中間層)、36…反強磁性層、37…キャップ層、41…第2強磁性層、42…非磁性スペーサ層、43…第1強磁性層、43a…強磁性層(第2層)、43b…強磁性層(第1層)、43c…強磁性層(第3層)、45…ピンド層、51,52…電極層、53…ギャップ層、54…上部シールド層、55…ハードバイアス層、57…下地層、65…導電層、71…第2強磁性層、72…非磁性スペーサ層、73…第1強磁性層、73a…強磁性層(第2層)、73b…強磁性層(第1層)、73c…強磁性層(第3層)、75…ピンド層、76…反強磁性層、80…下側電極層、81…絶縁層、82…上側電極層。
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁気抵抗効果を利用して各種の磁気情報を読取る磁気抵抗効果素子、特にハードディスク等の磁気情報を読取る薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
磁気抵抗効果素子の高感度化を実現するため、近年、様々の研究が進められている。フリー層とピンド層の2つの強磁性層の相対的な磁化方向に依存して電気抵抗が変化するスピンバルブ型磁気抵抗効果素子は、最近の磁気抵抗効果素子の基本的構成をなすものであり、更にこれを改良したスペキュラー型のスピンバルブ等も注目を浴びている(特許文献1参照)。スペキュラー型は、極薄酸化層(NOL;Nano Oxide Layer)と金属層との界面における鏡面反射を利用して、高い磁気抵抗変化率を得るものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−232035号公報(段落0004)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記スペキュラー型を利用すれば、それなりに高い磁気抵抗変化率を得ることができる。しかしながら、本発明者は、極薄酸化層を形成しなくても高い磁気抵抗変化率を得られる新規な磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの開発に迫られた。
【0005】
一方、近年、ピンド層の磁化固定作用を高めるため、いわゆるシンセティック構造が採用されている。このシンセティック構造とは、ピンド層が、反強磁性層に接する第1強磁性層と、第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層と、第1強磁性層と第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層とを備えたものである。この構造では、フリー層とピンド層の第2強磁性層との相対的な磁化方向に依存して磁気抵抗変化が得られる。ところが、ピンド層の第1強磁性層は、第2強磁性層とは逆向きに磁化が固定されているため、磁気抵抗変化を妨げる作用も存在する。
【0006】
本発明は、このような事情の下でなされたものであり、ピンド層の磁化固定力が高く、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現できる磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、本発明の磁気抵抗効果素子は、反強磁性層と、前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、前記ピンド層における前記第1強磁性層は、強磁性材料からなる第1層と、当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴としている。
【0008】
本発明の磁気抵抗効果素子では、いわゆるシンセティック構造を採用しているため、ピンド層の磁化固定力が高められている。また、ピンド層の第1強磁性層に設けられたバルク散乱係数が低い方の第1層は、第1強磁性層の磁化の向きが第2強磁性層と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の第2層が第2強磁性層側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。
【0009】
ここで、バルク散乱係数とは、強磁性体の磁化方向と同じ方向のスピンを持つ上向きスピンの電子の比抵抗をρ↑、反対方向のスピンを持つ下向きスピンの電子の比抵抗をρ↓、強磁性体が常磁性状態であるときの比抵抗をρとすると、下記式(1),(2)を満たすβに相当するものである。
【0010】
ρ↑=ρ(1−β) ・・・(1)
ρ↓=ρ(1+β) ・・・(2)
また、上記第1強磁性層における第1層は、FeCr,FeCoCr,FeTa,FeMn,又はFeVによって形成されていることが好ましい。また、上記第1強磁性層における第2層は、Co,CoFe,CoFeNi,又はNiFeによって形成されていることが好ましい。
【0011】
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、ピンド層の第1強磁性層は、第1層における第2層とは反対側に、該第1層よりもバルク散乱係数が高く強磁性材料からなる第3層を更に備えることが好ましい。この場合、第3層により、ピンド層の第1強磁性層と反強磁性層との結合をより強固にすることができる。このように、バルク散乱係数の低い第1層をバルク散乱係数の高い2つの強磁性層で挟む構成にすることで、高い磁気抵抗変化率を得ることができる。
【0012】
また、本発明の磁気抵抗効果素子において、フリー層における反強磁性層とは反対側に、中間層、ピンド層、及び反強磁性層の組が更に配され、フリー層の両側に位置する第1強磁性層の双方が、第1層及び第2層を有することが好適である。
【0013】
このように所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドにし、フリー層の両側の各第1強磁性層に上記第1層及び第2層を設けることで、更に高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0014】
本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置は、上記のような磁気抵抗効果素子を備えているため、ハードディスク装置の高い再生出力を実現できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る磁気抵抗効果素子、薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ、及びハードディスク装置の好適な実施形態について詳細に説明する。尚、同一要素には同一符号を用いるものとし、重複する説明は省略する。
【0016】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態の薄膜磁気ヘッドを示す断面図であり、記録媒体対向面(以下、「エアベアリング面(ABS:Air Bearing Surface)」と称する)側から若干入り込んだ付近を示す。薄膜磁気ヘッド10は、巨大磁気抵抗効果を利用するGMRヘッドであり、下部シールド層31、第1ギャップ層32、バッファ層33、外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層34、非磁性の導電層(中間層)35、ピンド層45、反強磁性層36、及びキャップ層37がこの順に積層されている。尚、フリー層34、導電層35、ピンド層45、及び反強磁性層36によって、本実施形態の磁気抵抗効果素子が構成されている。
【0017】
また、薄膜磁気ヘッド10は、導電層35の広がりの方向すなわち面方向にセンス電流が流れるいわゆるCIP(Current In Plane)構造を採用している。センス電流は、一対の電極層51,52を介して、フリー層34及び導電層35等から構成されるMR膜に供給される。本実施形態では、センス電流は電極層51からMR膜に流入し、電極層52から流出するようになっている。また、各電極層51,52上には、これらを電気的に絶縁するAl2O3等からなる第2ギャップ層53が形成されている。第2ギャップ層53上には、上部シールド層54が積層されている。
【0018】
バッファ層33からキャップ層37までの積層体の周囲には、フリー層34を単磁区化するハードバイアス層55が形成されており、その積層体とハードバイアス層55との間の領域には、ハードバイアス層55の配向を制御する下地層57が形成されている。
【0019】
次に、各層の構成を詳説する。第1ギャップ層32は、Al2O3,SiO2等により形成され、厚さは例えば5nmとされる。バッファ層33は、Cu,Ta,Cr,Zr,Ti,Ru等により形成され、厚さは例えば5nmとされる。
【0020】
フリー層34は、外部磁界(例えばハードディスクの漏洩磁界)の影響で磁化の向きが変化するものであり、厚さが約1nm〜約10nmで、例えばCo,CoFe,NiFe,CoNiFe,CoZrNb等の強磁性材料で形成することができる。また、フリー層34は、CoTa,CoCrPt,CoPt等からなる上記ハードバイアス層55からの磁束によって、例えば図中右方向に単磁区化されている。
【0021】
導電層35は、ピンド層45とフリー層34との間に設けられ、Cu等の非磁性の導電材料で形成される。導電層35の厚さは例えば数nmとされる。
【0022】
ピンド層45は、反強磁性層36と交換結合して磁化の向きが固定されている。ピンド層45は、反強磁性層36に接する第1強磁性層43と、第1強磁性層43と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層41と、第1強磁性層43と第2強磁性層41との間に配された非磁性スペーサ層42とを備え、いわゆるシンセティック構造となっている。このようにシンセティック構造を採用した場合は、ピンド層の磁化の向きの固定力が強まると共に、ピンド層45からフリー層34へ及ぶ不要な漏洩磁界を低減することができる。
【0023】
第2強磁性層41は、Co,CoFe,NiFe,CoFeNi等で形成され、厚さは例えば1.0〜10nm程度にされる。
【0024】
非磁性スペーサ層42は、例えばRu,Rh,Re,Cr,Zr等の非磁性材料によって形成され、その厚さは例えば約0.2nm〜約1.2nm程度である。非磁性スペーサ層42は、第1強磁性層43と第2強磁性層41との間に反強磁性的な交換結合を生じさせ、各層43,41の磁化の方向を反対にするものである。例えば、第1強磁性層43の磁化は図における紙面奥側を向き、第2強磁性層41の磁化は紙面手前向きに固定される。
【0025】
第1強磁性層43は、バルク散乱係数の高い強磁性層(第2層)43a及び強磁性層(第3層)43cで、これらよりもバルク散乱係数が低い強磁性層(第1層)43bを挟んだ積層構造になっている。強磁性層43a,43cは、例えば、Co(バルク散乱係数βは約0.5〜0.6),CoFe(βは約0.6〜0.7),CoFeNi(βは約0.5〜0.6),NiFe(βは約0.5)等のバルク散乱係数が0.5以上で1.0以下の強磁性体で形成され、2つの強磁性層43a,43cの構成材料は同一であっても異なっていてもよい。これらの材料の中では、CoFe又はCoFeNiが最適に選ばれる。強磁性層43a,43cのそれぞれの厚さは、例えば0.1nm〜2.0nm程度にされる。一方、第1強磁性層43における強磁性層(第1層)43bは、FeCr(βは約−0.2),FeCoCr(βは約−0.1),FeTa(βは約0〜+0.2),FeMn(βは約−0.1),FeV(βは約−0.2)等のバルク散乱係数が強磁性層43a,43cよりも低い強磁性体で形成され、FeCr又はFeCoCrが最適に選ばれる。また、強磁性層43bの厚さは、例えば0.1nm〜5.0nm程度にされる。
【0026】
反強磁性層36は、上記のようにピンド層45の磁化の方向を固定するための層である。反強磁性層36は、厚さが約5nm〜約20nmで、FeMn,IrMn,PtMn等で形成することができる。反強磁性層36を形成する材料としては、熱処理しなくても反強磁性を示し、強磁性材料との間に交換結合磁界を誘起するタイプ、或いは、熱処理により反強磁性を示すタイプのいずれでもよい。また、反強磁性層36上に積層されたキャップ層37はTa,Au,Ru,Pt等で形成することができ、厚さは例えば約5nm程度にされる。
【0027】
下部シールド層31及び上部シールド層54は、例えばNiFe等の磁性材料で形成される。各シールド層31,54は、不要な外部磁界をGMR素子が感知するのを防止する。
【0028】
以上が本実施形態の磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの構成である。上記のように、薄膜磁気ヘッド10では、いわゆるシンセティック構造を採用しているため、ピンド層45の磁化固定力が高められている。また、ピンド層45の第1強磁性層43に設けられたバルク散乱係数が低い方の強磁性層(第1層)43bは、第1強磁性層43の磁化の向きが第2強磁性層41と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の強磁性層(第2層)43aが第2強磁性層41側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。本発明者の実験では、ピンド層45の磁化が存分に固定された範囲内で、磁気抵抗変化率15.9%という高い値が得られた。これを証明する実験データについては後述の実験例で説明する。
【0029】
次に、図2を参照して、上記の薄膜磁気ヘッド10を備えたヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置について説明する。
【0030】
ハードディスク装置1は、ヘッドジンバルアセンブリ(HGA:Head Gimbals Assembly)15を作動させて、高速回転する記録媒体としてのハードディスク2の記録面に、薄膜磁気ヘッド10によって磁気情報を記録及び再生するものである。ヘッドジンバルアセンブリ15は、薄膜磁気ヘッド10が形成されたヘッドスライダ11を搭載したジンバル16と、これが接続されたサスペンションアーム17とを備え、支軸14周りに例えばボイスコイルモータによって回転可能となっている。ヘッドジンバルアセンブリ15を回転させると、ヘッドスライダは、ハードディスク2の半径方向、すなわちトラックラインを横切る方向に移動する。
【0031】
このようなヘッドジンバルアセンブリ15及びハードディスク装置1は、上記薄膜磁気ヘッド10を備えているため高い磁気抵抗変化率を実現でき、ひいてはハードディスク装置の高い再生出力を得ることができる。
【0032】
[第2実施形態]
次に、図3を参照して、本発明に係る磁気抵抗効果素子及びこれを備えた薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を説明する。本実施形態の磁気抵抗効果素子及び薄膜磁気ヘッド10は、所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドとなっている。すなわち、フリー層34における反強磁性層36とは反対側に、導電層、ピンド層、及び反強磁性層の組が更に設けられている。詳しくは、バッファ層33とフリー層34との間に、反強磁性層76、ピンド層75、及び導電層65が積層されている。フリー層34からキャップ層37までの構成は、第1実施形態と同じである。
【0033】
ピンド層75は、ピンド層45と同じ構成になっている。すなわち、ピンド層75は、反強磁性層76に接する第1強磁性層73と、第1強磁性層73と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層71と、第1強磁性層73と第2強磁性層71との間に配された非磁性スペーサ層72とを備えたシンセティック構造となっている。また、第1強磁性層73は、2つの強磁性層(第2層)73a及び強磁性層(第3層)73cで、これらよりもバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)73bを挟んだ積層構造となっている。強磁性層73a,73b,73cは、それぞれ強磁性層43a,43b,43cと同じ材料にすることができる。
【0034】
このように所謂デュアルタイプスピンバルブヘッドにし、フリー層34の両側の各第1強磁性層43,73にバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)を設けることで、第1実施形態と比較して更に高い磁気抵抗変化率が得られる。
【0035】
[第3実施形態]
次に、図4を参照して、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を説明する。本実施形態の薄膜磁気ヘッド10では、ピンド層45における第1強磁性層43は、強磁性層(第2層)43aとこれよりもバルク散乱係数の低い強磁性層(第1層)43bとの2層構造になっている。このような構成にした場合も、バルク散乱係数が低い方の強磁性層43bは、第1強磁性層43の磁化の向きが第2強磁性層41と逆であることに起因する磁気抵抗変化の低下を抑制するため、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。しかも、バルク散乱係数が高い方の強磁性層43aが第2強磁性層41側に設けられているため、ピンド層の磁化固定力を高い値にすることができる。また、第1実施形態と比較して、1層少ないため製造工程を簡略化できるという利点もある。
【0036】
[第4実施形態]
次に、図5を参照して、本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を説明する。本実施形態の薄膜磁気ヘッド10は、CIP構造ではなく、センス電流を層厚方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)型のGMRヘッドとなっている。
【0037】
本実施形態の薄膜磁気ヘッド10は、NiFe,FeAlSi等からなり下部シールド層を兼ねる下側電極層80と、これと同様の材料からなり上部シールド層を兼ねる上側電極層82とを備えている。各電極層80,82の間に、磁気抵抗効果素子を含んだ積層体が挟まれており、電極層80及び電極層82によりこの積層体にセンス電流が供給される。この積層体の構成は第1実施形態と同様であり、バッファ層33、フリー層34、非磁性の導電層35、ピンド層45、反強磁性層36、及びキャップ層37を含んでいる。
【0038】
また、磁気抵抗効果素子の側方には、ハードバイアス層55が設けられ、該層55の内側には、センス電流のリークを防止するAl2O3等からなる絶縁層81と、ハードバイアス層55の配向を制御する下地層57とが設けられている。また、上側電極層82とハードバイアス層55との間にも、絶縁層81が形成されている。
【0039】
本実施形態のようなCPP構造の薄膜磁気ヘッドによっても、第1実施形態と同じ構成の磁気抵抗効果素子を備えているため、ピンド層45の磁化固定力が高くなっており、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現することができる。
【0040】
【実施例】
続いて、実施例に基づいて、本発明をより具体的に説明する。
【0041】
まず、CIP型のシンセティック構造を有する薄膜磁気ヘッドにおいて、ピンド層における第1強磁性層に、強磁性材料からなる第1層と、該層と非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを設けて、第1層を第2層よりもバルク散乱係数が低くなるようにすることの有効性を検証する。実験では、表1に示す材料及び膜厚の積層体を用いた。また、実際の薄膜磁気ヘッドの状態ではなく、ウエハ上に各膜を積層した状態で磁気抵抗変化率を測定した。より詳しくは、Siウエハ上に表1の各層を積層した上で、ピンド層の磁化方向を固定するために、1Tの磁場を印加した状態を280℃の温度雰囲気で5時間保持した。その後、このウエハに対していわゆる4点法(電流用の電極を2つ、電圧用の電極を2つ設ける。電流は層の面方向に流す。)を利用し、磁気抵抗変化率を測定した。その結果を図6のグラフに示す。
【0042】
図6のグラフは、横軸が印加磁界を示し、縦軸が磁気抵抗変化率を示す。また、実施例1の測定結果を実線で示し、比較例1の測定結果を破線で示す。比較例1の磁気抵抗変化率の最大値は10.83%であったのに対し、実施例1の値は11.16%であった。この結果より、ピンド層にFeCr層を設けた実施例1では、FeCr層を設けない比較例1よりも高い磁気抵抗変化率が得られると同時にピンド層の磁化固定にも問題が生じないことが検証された。
【0043】
【表1】
【0044】
次に、本発明が、薄膜磁気ヘッドがセンス電流を層厚方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)構造を採用する場合でも有効であることを説明する。
【0045】
まず、表2に示すように、比較例2として、ピンド層にFeCr層を設けない積層体を準備した。この積層体では、ピンド層をシンセティック構造にした。一方、実施例2として、ピンド層の第1強磁性層を、FeCr層(第1層)の両側をこれよりもバルク散乱係数が高い強磁性層(第2層、第3層)で挟んだ構造の積層体を準備した。そして、それぞれの磁気抵抗変化率を測定したところ、比較例2で1.45%であったのに対し、実施例2では2.5%という結果であった。これにより、本発明がCPP構造を採用した場合にも有効であることが立証された。
【0046】
【表2】
【0047】
次に、最大の磁気抵抗変化率を求めた実験について説明する。まず、ピンド層における第1強磁性層のFeCr層(第1層)の厚さを0.5nm、1.0nm、1.5nm、2.0nm、2.8nmの5通りで磁気抵抗変化率を測定し、最適なFeCr層の厚さを求めた。このときの各層の材料及び膜厚を表3に示す。また、測定したFeCr層の各膜厚と磁気抵抗変化率の関係を図7のグラフに示す。このグラフから判るように、FeCr層の厚さが1.0nmのときに、最大の磁気抵抗変化率を示すことが判明した。
【0048】
【表3】
【0049】
次に、FeCr層を厚さ1.0nmに固定する一方、第2強磁性層の膜厚を変えて、磁気抵抗変化率の最大値を求めた。但し、薄膜磁気ヘッドとして有効に機能するには、ピンド層がピン反転を起こしてはならないため、ピンド層の磁化を充分に固定できる範囲内で最大の磁気抵抗変化率を求めた。表4に、このときの各層の材料及び膜厚を示す。また、表5及び図8に、第2強磁性層の膜厚を2.0nm、2.5nm、3.0nm、3.5nmの4通りで測定した磁気抵抗変化率(%)及びHpin(Oe)を示す。図8において、符号Aを付したものが磁気抵抗変化率(%)を示し、符号Bを付したものがHpin(Oe)を示す。Hpinは、ピンド層がピン反転を起こす限界の磁場である。この実験においては、磁化方向が180°回転した場合(つまり完全に逆向きとなった場合)のみをピン反転とせず、一方向に固定されていた磁化が90°よりも大きな角度回転し、その反対側に傾いた場合に、ピン反転が生じたものとした。
【0050】
【表4】
【0051】
【表5】
【0052】
一般的に第2強磁性層の厚さを厚くすると、磁気抵抗変化率が増加するがピンド層の磁化固定力は低下する。ところが、本実施例の場合、第1強磁性層が、バルク散乱係数が高い2つの強磁性層でバルク散乱係数がこれらよりも低い強磁性層を挟んだ積層構造となっており、非磁性スペーサ側のバルク散乱係数が高い強磁性層と第2強磁性層が強く結合し、第2強磁性層の厚さを増すことによって生じる磁化固定力の低下を防いでいる。
【0053】
表5及び図8に示すように、第2強磁性層の厚さを厚くすると、磁気抵抗変化率が増加する。表5中、磁気抵抗変化率の最大値は、サンプル番号4(第2強磁性層の厚さは3.5nm)である。ところが、このサンプルではHpinが600(Oe)程度しかなく、これではピンド層のピン反転が容易に起こってしまい、薄膜磁気ヘッドとしては実用化が困難である。この点を考慮すると、Hpinが実用化に耐え得る値(1485(Oe))となっているサンプル番号3(第2強磁性層の厚さは3.0nm)の15.9%が、磁気抵抗変化率の有効な値となる。つまり、本発明によれば、極薄酸化層(NOL)を設けなくても、約16%という極めて高い磁気抵抗変化率を実現することができると共に、ピンド層の磁化固定力も高くすることができる。
【0054】
以上、本発明者によってなされた発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本発明の磁気抵抗効果素子は、薄膜磁気ヘッドのほかにも、磁気メモリ、移動体センサ等の各種の磁気センサ等にも適用することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る磁気抵抗効果素子によれば、ピンド層の磁化固定力が高く、且つ、高い磁気抵抗変化率を実現できる。また、本発明の薄膜磁気ヘッド、ヘッドジンバルアセンブリ及びハードディスク装置は、このような磁気抵抗効果素子を備えているため、ハードディスク装置の高い再生出力を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明に係るハードディスク装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第2実施形態を示す図である。
【図4】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明に係る薄膜磁気ヘッドの第4実施形態を示す図である。
【図6】FeCr層(第1層)を設けた場合(実線)と設けない場合(破線)の磁気抵抗変化率を示すグラフである。
【図7】FeCr層(第1層)の厚さと磁気抵抗変化率の関係を示すグラフである。
【図8】第2強磁性層の厚さと磁気抵抗変化率及びHpinとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…ハードディスク装置、2…ハードディスク、10…薄膜磁気ヘッド、15…ヘッドジンバルアセンブリ、31…下部シールド層、32…ギャップ層、33…バッファ層、34…フリー層、35…導電層(中間層)、36…反強磁性層、37…キャップ層、41…第2強磁性層、42…非磁性スペーサ層、43…第1強磁性層、43a…強磁性層(第2層)、43b…強磁性層(第1層)、43c…強磁性層(第3層)、45…ピンド層、51,52…電極層、53…ギャップ層、54…上部シールド層、55…ハードバイアス層、57…下地層、65…導電層、71…第2強磁性層、72…非磁性スペーサ層、73…第1強磁性層、73a…強磁性層(第2層)、73b…強磁性層(第1層)、73c…強磁性層(第3層)、75…ピンド層、76…反強磁性層、80…下側電極層、81…絶縁層、82…上側電極層。
Claims (8)
- 反強磁性層と、
前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、
前記ピンド層における前記第1強磁性層は、
強磁性材料からなる第1層と、
当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、
前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴とする磁気抵抗効果素子。 - 前記第1強磁性層における前記第1層は、FeCr,FeCoCr,FeTa,FeMn,又はFeVによって形成されていることを特徴とする請求項1記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記第1強磁性層における前記第2層は、Co,CoFe,CoFeNi,又はNiFeによって形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記ピンド層の前記第1強磁性層は、前記第1層における前記第2層とは反対側に、前記第1層よりもバルク散乱係数が高く強磁性材料からなる第3層を更に備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項記載の磁気抵抗効果素子。
- 前記フリー層における前記反強磁性層とは反対側に、前記中間層、前記ピンド層、及び前記反強磁性層の組が更に配され、
前記フリー層の両側に位置する前記第1強磁性層の双方が、前記第1層及び前記第2層を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のうち何れか一項記載の磁気抵抗効果素子。 - 反強磁性層と、
前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、
前記ピンド層における前記第1強磁性層は、
強磁性材料からなる第1層と、
当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、
前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴とする薄膜磁気ヘッド。 - 薄膜磁気ヘッドをジンバルに搭載したヘッドジンバルアセンブリであって、
前記薄膜磁気ヘッドは、
反強磁性層と、
前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、
前記ピンド層における前記第1強磁性層は、
強磁性材料からなる第1層と、
当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、
前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴とするヘッドジンバルアセンブリ。 - 磁気情報を書込み可能なハードディスクと、前記ハードディスクの前記磁気情報を読取る薄膜磁気ヘッドと、を備えるハードディスク装置であって、
前記薄膜磁気ヘッドは、
反強磁性層と、
前記反強磁性層と交換結合して磁化の向きが固定されるとともに、前記反強磁性層に接する第1強磁性層、前記第1強磁性層と磁化の方向が逆方向にされた第2強磁性層、及び前記第1強磁性層と前記第2強磁性層との間に配された非磁性スペーサ層を有するピンド層と、
外部磁界に応じて磁化の向きが変化するフリー層と、
前記ピンド層と前記フリー層との間に設けられた中間層と、を備え、
前記ピンド層における前記第1強磁性層は、
強磁性材料からなる第1層と、
当該第1層と前記非磁性スペーサ層との間に配され強磁性材料からなる第2層とを有し、
前記第1層のバルク散乱係数は、前記第2層のバルク散乱係数より低いことを特徴とするハードディスク装置。
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