JP2005008719A - 保存安定性に優れたオレフィン重合用の触媒成分 - Google Patents

保存安定性に優れたオレフィン重合用の触媒成分 Download PDF

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靖 土肥
Kazunori Okawa
和範 大川
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Abstract

【課題】遷移金属錯体を含む触媒成分を、溶液形態で長期間保存しても活性低下が起こらない触媒成分の提供。
【解決手段】不活性ガス下、室温以下で調製された(A)シクロペンタジエニル配位子を含み、シクロペンタジエニル基は置換されてもされていてもいなくてもよく、このシクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物、(B)有機アルミニウム化合物、および、(C)炭化水素化合物から成るオレフィン重合用の触媒成分であって、該組成物中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合に、下式(Eq−1)および(Eq−2)
【数1】
Figure 2005008719

を満たすオレフィン重合用の触媒成分(α)。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はオレフィン重合用固体触媒成分およびこれを用いたオレフィンの重合方法に関する。詳しくは、炭化水素化合物に遷移金属化合物と有機アルミニウム化合物がある一定の濃度で混合された触媒成分が長期間触媒成分としての能力を有する。更に詳しくは、この触媒成分を用いてオレフィンを重合した際の重合活性が長期間保存した触媒成分を用いても変化しないでオレフィンを重合することができ、効率よくポリオレフィンを製造することができる。
【0002】
【従来の技術】
オレフィン重合用の均一系触媒としては、いわゆるメタロセン化合物がよく知られている。このメタロセン化合物を、助触媒、たとえばアルミノキサン化合物とともに使用して、オレフィン類を重合しポリオレフィンを製造する方法が知られている。このようなメタロセン化合物を用いてオレフィンを重合する方法、特にα−オレフィンを立体規則的に重合する方法は、W. Kaminskyらによってアイソタクテイック重合が報告(Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 24, 507(1985))されて以来、多くの改良報告がなされている。特開平4−268307号公報や、Angew. Chem. Int. Ed. Engl, 31, 1347 (1992)、Organometallics, 13, 954 (1994)などがその例である。さらに、このような研究の一環としてシクロペンタジエニル配位子とフルオレニル配位子が架橋構造を持つメタロセン化合物を用いることにより、プロピレンがシンジオタクティックな立体規則性で重合することがJ.A.Ewenによって報告されている(J.Am.Chem.Soc.,110,6255(1988))。また、W. Kaminskyによって、同じ触媒を用いたエチレン重合が報告されている(Makromol.Chem.,193,1643(1992))。
【0003】
上記のようなメタロセン触媒をアルミノキサン化合物やメタロセンと反応してイオン対を形成する化合物とともに使用して、オレフィンの重合を行なっている。しかしながら、メタロセン化合物は溶媒に対する溶解性が非常に低い為、溶解させた際、非常に微量の水分や空気等の不純物等により容易に分解してしまうので溶液として保存できない。この結果、メタロセン触媒を炭化水素溶媒に溶解した溶液は、長期保存しておくと重合活性が著しく低下してしまう。この傾向はメタロセン化合物の希釈濃度は低い程、顕著に現れる。そのため、重合触媒溶液を保存しておくことは困難であり、重合反応を行う直前に溶液を調製する必要があった。そこで、炭化水素溶媒に溶解しやすいメタロセン等の遷移金属化合物や、炭化水素溶媒に溶解した低希釈濃度の遷移金属化合物溶液を長期保存しても重合活性が低下しない触媒成分の出現が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、上記問題のうち重合触媒の保存時の活性低下を防止すること、すなわち遷移金属化合物溶液を長期保存しても重合活性が低下しないような触媒成分を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は不活性ガス下、室温以下で調製・保存された(A)シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物、(B1)有機アルミニウム化合物、および、(C)炭化水素化合物から成るオレフィン重合用の触媒成分であって、該組成物中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合に、下式(Eq−1)および(Eq−2)を満たすオレフィン重合用の触媒成分(α)である。
【0006】
【数3】
Figure 2005008719
【0007】
さらに、本発明に係わる触媒成分(α)は、該触媒成分(α)と、(D)前記の第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物、とからなるオレフィン重合用触媒存在下でオレフィンを重合した重合活性が、調整した直後の触媒成分(α)を用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[Z]、触媒を不活性ガス下室温以下で30日間放置した成分(α)を用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[W]とした場合に、下式(Eq−3)
【0008】
【数4】
Figure 2005008719
を満たすことを特徴とする。これにより、長期間保存した触媒成分(α)を用いても触媒活性が実質的に変化することなくオレフィンを重合することができ、効率よくポリオレフィンを安定製造することができる。
さらに、本発明は、(B1)有機アルミニウム化合物が、下記一般式(I)で表わされることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分(α)の提供である。
【0009】
【化2】
Figure 2005008719
(式中、R、R、Rは、水素または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、相互に同一でも異なっていてもよい。)
加えて、(C)炭化水素化合物が、炭素数5〜15の脂肪族または芳香族炭化水素であることを特徴とするオレフィン重合用触媒成分(α)を提供するものである。
【0010】
また、室温以下で調製・保存された、上記条件を満たす触媒成分(α)を用いて、(D)前記の(A)第4族遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物とからなるオレフィン重合用触媒であり、この存在下でオレフィンを重合する方法である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の触媒成分は、不活性ガス下、室温以下で調製と保存された(A)シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物、(B1)有機アルミニウム化合物、および、(C)炭化水素化合物から成るオレフィン重合用の触媒成分であって、該組成物中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B1)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合に下式(Eq−1)を満たし、加えて、周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)が下式(Eq−2)を満たすオレフィン重合用の触媒成分(α)であることが重要である。
【0012】
【数5】
Figure 2005008719
【0013】
この触媒成分(α)は(A)および(B1)を、(C)中で接触させることにより容易に調製できる。この際の接触方法は任意であるが、接触させる温度は室温以下である。なお本願で定義する「室温」とは、25±7℃である。従って「室温以下」とは32℃以下の温度であることを示す。
本発明の触媒成分(α)は、(D)前記の(A)4族遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物とからなるをオレフィン重合用触媒存在下でオレフィンを重合した重合活性が、調整した直後の触媒成分(α)を用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[Z]、触媒成分(α)を室温以下で30日間放置した後の触媒成分(α)用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[W]とした場合に、下式(Eq−3)
【0014】
【数6】
Figure 2005008719
を満たすという特徴を持つ。従って、長期保存しておいても前記の(A)第4族遷移金属化合物が分解などによりオレフィン重合用触媒として重合活性が低下することがない。なお、触媒成分(α)を保存する温度は、前記の調整温度と同じく室温以下であり、また「放置」とは撹拌等を行わない静置状態での保存であることを示す。また、触媒成分(α)を保存させる際には、通常不活性ガスの下で保管される。また、前記の「直後」とは、触媒調製後10時間以内であることをいう。
保存温度が低ければ低い程、調製直後の触媒活性を維持できる期間を伸ばせることは言うまでもなく、例えば室温下で1ヶ月間触媒活性を維持できる場合、その保存温度を0℃まで低下させた場合、その触媒活性維持期間は数倍〜数十倍まで延長できる。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。まず、本発明の触媒成分(α)を構成する(A)第4族遷移金属化合物、(B1)有機アルミニウム化合物、(C)炭化水素化合物、(D)前記第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、(B2)前記触媒成分(α)とともに、必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物について説明した後、次いで、該触媒成分(α)の調製方法について説明し、最後にオレフィン重合用触媒として使用する場合の態様とオレフィン重合方法について説明する。
【0016】
(A)シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物
本発明で用いられる(A)シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物は、公知のオレフィン重合能を有する周期律表第4族の遷移金属化合物であれば特に制限は無いが、例えば周期律表第4族の遷移金属ハロゲン化物、遷移金属アルキル化物、遷移金属アルコキシ化物、非架橋性または架橋性メタロセン化合物などである。
【0017】
より好ましくは、周期律表第4族の遷移金属ハロゲン化物、遷移金属アルキル化物、遷移金属アルコキシ化物、非架橋性または架橋性メタロセン化合物などである。これら(A)遷移金属化合物の具体例としては、遷移金属ハロゲン化物、遷移金属アルキル化物、遷移金属アルコキシ化物が挙げられ、具体的には、四塩化チタン、ジメチルチタニウムジクロライド、テトラベンジルチタン、テトラベンジルジルコニウム、テトラブトキシチタンなどが挙げられる。
非架橋性または架橋性メタロセン化合物としては、下記一般式(II)で表される化合物を例示することができる。
【0018】
【化3】
Figure 2005008719
式中、Mは周期表第4族から選ばれる少なくても1種の遷移金属原子を示し、好ましくはジルコニウム、チタン又はハフニウムである。
xは、遷移金属の原子価であり、Lの個数を示す。Lは、遷移金属に配位する配位子又は基を示し、少なくとも1個のLは、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子であり、該シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外のLは、炭素原子数が1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ(aryloxy)基、トリアルキルシリル基、SOR(ただし、Rはハロゲンなどの置換基を有していてもよい炭素原子数が1〜8の炭化水素基)、ハロゲン原子、及び水素原子からなる群より選ばれる1種の基又は原子である。
【0019】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えばシクロペンタジエニル基、アルキル置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、アルキル置換インデニル基、4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基、アルキル置換フルオレニル基などを例示することができる。これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基などが置換していてもよい。
【0020】
上記一般式(II)で表される化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基、置換シリレン基などを介して結合(架橋)されていてもよい。
このなかでも好ましいものとしては、下記一般式(III)で表される化合物を例示することができる。
【0021】
【化4】
Figure 2005008719
(式中、Mは、周期律表第IVB族の遷移金属であり、具体的には、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであり、Lは、遷移金属に配位する配位子であり、aは1以上の整数であって、Lの個数を示し、Xは遷移金属に結合する、炭素数が1〜10の炭化水素基、あるいは炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンであり、bは1以上の整数であって、Xの個数を示す。)
【0022】
上記一般式(III)において、Lは遷移金属に配位する配位子であり、そのうち少なくとも1つはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子である。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子としては、例えばシクロペンタジエニル基;メチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、トリメチルシクロペンタジエニル基、テトラメチルシクロペンタジエニル基、ペンタメチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、メチルエチルシクロペンタジエニル基、プロピルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、ブチルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、ヘキシルシクロペンタジエニル基などのアルキル置換シクロペンタジエニル基;インデニル基;4,5,6,7−テトラヒドロインデニル基;フルオレニル基などを例示することができる。これらの基はハロゲン原子、トリアルキルシリル基などが置換していてもよい。
【0023】
上記一般式(III)において、aは1以上の整数であり、Lの個数を示す。上記一般式(III)において、Mはジルコニウム、チタンまたはハフニウムである。Xは、遷移金属に結合する、炭素数が1〜10の炭化水素基、あるいは炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンである。ここで、中性、共役または非共役ジエンとは、非環状構造を有し、遷移金属とη−結合するものであり、上記のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子とは明確に区別される。炭素数が1〜10の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などを例示することができる。また、炭素数が10以下の中性、共役または非共役ジエンの具体例としては、s−シス−またはs−トランス−η−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジフェニル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−3−メチル−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジベンジル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−2,4−ヘキサジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,3−ペンタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ジトリル−1,3−ブタジエン、s−シス−またはs−トランス−η−1,4−ビス(トリメチルシリル)−1,3−ブタジエン等が挙げられる。上記一般式(I)において、bは1以上の整数であり、Xの個数を示す
【0024】
上記一般式(III)で表される化合物が、シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上含む場合、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、エチレン、プロピレンなどのアルキレン基;ジフェニルメチレンなどの置換アルキレン基;イソプロピリデンなどのアルキリデン基;シリレン基;ジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基などの置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。また、2個以上のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は、同一であっても異なっていてもよい。本明細書ではこれらの化合物を総称して「架橋メタロセン化合物」と呼ぶ。
【0025】
(B)有機アルミニウム化合物
本発明で用いられる(B1)有機アルミニウム化合物は下記一般式(I)で表わされる。
【0026】
【化5】
Figure 2005008719
(式中、R、R、Rは、水素または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、相互に同一でも異なっていてもよい。)
【0027】
上記一般式(I)で表されるアルミニウム化合物として、より具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリ tert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジイソプロピルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;一般式(i−C Al(C10 (式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0028】
この中でも好ましいものとしては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリn−アルキルアルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリ tert−ブチルアルミニウム、トリ2−メチルブチルアルミニウム、トリ3−メチルブチルアルミニウム、トリ2−メチルペンチルアルミニウム、トリ3−メチルペンチルアルミニウム、トリ4−メチルペンチルアルミニウム、トリ2−メチルヘキシルアルミニウム、トリ3−メチルヘキシルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウムが挙げられる。さらに好ましくはトリイソブチルアルミニウムが挙げられる。
【0029】
(C)炭化水素化合物
本発明で用いられる炭化水素化合物は炭素数5〜15の脂肪族または芳香族炭化水素である。具体的には、重合反応は炭化水素媒体中で実施される。このような炭化水素媒体として具体的には、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素である。このような(C)炭化水素化合物の中では、脂肪族炭化水素および脂環族炭化水素が好ましく用いられる。
【0030】
(D)第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物
本発明で用いられる(D)周期律表第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物としては特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、USP5321106号などに記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物およびカルボラン化合物などを挙げることができる。
【0031】
具体的には、ルイス酸としては、BR (Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で示される化合物が挙げられ、たとえば トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロン、トリメチルボロン、トリイソブチルボロンなどが挙げられる。
イオン性化合物としては、たとえば下記一般式(IV)で表される化合物が挙げられる。
【0032】
【化6】
Figure 2005008719
式中、Re+としては、H、カルベニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンなどが挙げられる。R〜Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、有機基、好ましくはアリール(aryl)基または置換アリール基である。
【0033】
前記カルベニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルカルベニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)カルベニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)カルベニウムカチオンなどの三置換カルベニウムカチオンなどが挙げられる。
前記アンモニウムカチオンとして具体的には、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリイソプロピルアンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオン、トリイソブチルアンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン、ジイソプロピルアンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンなどが挙げられる。
【0034】
前記ホスホニウムカチオンとして具体的には、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリス(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリス(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンなどが挙げられる。
上記のうち、Rとしては、カルベニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどが好ましく、特にトリフェニルカルベニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンが好ましい。
【0035】
カルベニウム塩として具体的には、トリフェニルカルベニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリス(4−メチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)カルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることができる。
【0036】
アンモニウム塩としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩などを挙げることができる。
トリアルキル置換アンモニウム塩として具体的には、たとえばトリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリプロピルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリエチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリプロピルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラフェニルボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(p−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(o−トリル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(2,4−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(4−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、ジオクタデシルメチルアンモニウムなどが挙げられる。
【0037】
N,N−ジアルキルアニリニウム塩として具体的には、たとえばN,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、 N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、 N,N−ジエチルアニリニウムテトラキス(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
ジアルキルアンモニウム塩として具体的には、たとえばジ(1−プロピル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレートなどが挙げられる。
【0038】
さらに、フェロセニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、あるいは下記式(V)または(VI)で表されるボレート化合物、または下記式(VII)で表される活性水素を含むボレート化合物、または下記式(VIII)で表されるシリル基を含むボレート化合物などを挙げることもできる。
【0039】
【化7】
Figure 2005008719
(式中、Etはエチル基を示す。)
【0040】
【化8】
Figure 2005008719
活性水素を含むボレート化合物:
【0041】
【化9】
Figure 2005008719
ここで、Bはホウ素を表す。Gは多結合性ヒドロカーボンラジカルを表し、好ましい多結合性ヒドロカーボンとしては炭素数1〜20を含むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジカルであり、Gの好ましい例としては、フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4−ブタジエン、p−フェニレンメチレンがあげられる。多結合性ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレートアニオンと結合し、Gのその他の結合rは(T−H)基と結合する。Aはカチオンである。
【0042】
上記一般式中のTはO、S、NR、またはPRを表し、Rはヒドロカルバニルラジカル、トリヒドロカルバニルシリルラジカル、トリヒドロカルバニルゲルマニウムラジカル、またはハイドライドを表す。qは1以上の整数で好ましくは1である。T−Hグループとしては、−OH、−SH、−NRH、または−PRHが挙げられ、ここでRは炭素数1〜18好ましくは炭素数1〜10のヒドロカルビニルラジカルまたは水素である。好ましいRグループはアルキル、シクロアルキル、アリル、アリルアルキルまたは炭素数1〜18を有するアルキルアリルである。−OH、−SH、−NRHまたは−PRHは、例えば、−C(O)−OH、−C(S)−SH−C(O)−NRH、及びC(O)−PRHでもかまわない。最も好ましい活性水素を有する基は−OH基である。Qは、ハイドライド、ジヒドロカルビルアミド、好ましくはジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビルオキシド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビルラジカルなどである。ここでn+zは4である。
【0043】
上記一般式の[B−Qn(Gq(T−H)r)z]として、例えば、トリフェニル(ヒドロキシフェニル)ボレート、ジフェニルージ(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリフェニル(2,4−ジヒドロキシフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(2,4−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(3,5−ジメチルフェニル)(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス〔3,5−ジ(トリフルオロメチル)フェニル〕(ヒドロキシフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(2−ヒドロキシエチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシブチル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)〔4−(4−ヒドロキシフェニル)フェニル〕ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ヒドロキシ−2−ナフチル)ボレートなどが挙げられ、最も好ましくはトリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ヒドキシフェニル)ボレートである。さらに上記ボレート化合物の−OH基を−NHR(ここで、Rはメチル、エチル、tーブチル)で置換したものも好ましい。
【0044】
ボレート化合物の対カチオンであるAとしては、カルボニウムカチオン、トロピルリウムカチオン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンなどが挙げられる。またそれ自信が還元されやすい金属の陽イオンや有機金属の陽イオンも挙げられる。これらカチオンの具体例としては、トリフェニルカルボニウムイオン、ジフェニルカルボニウムイオン、シクロヘプタトリニウム、インデニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、2,4,6−ペンタメチルアンモニウム、N,N−ジメチルフェニルアンモニウム、ジ−(i−プロピル)アンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェニルホスホニウム、トリホスホニウム、トリジメチルフェニルホスホニウム、トリ(メチルフェニル)ホスホニウム、トリフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルオキソニウムイオン、トリエチルオキソニウムイオン、ピリニウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオン、パラジュウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイオンなどが挙げられる。なかでも特にアンモニウムイオンが好ましい。
シリル基を含むボレート化合物:
【0045】
【化10】
Figure 2005008719
ここで、Bはホウ素を表す。Gは多結合性ヒドロカーボンラジカルを表し、好ましい多結合性ヒドロカーボンとしては炭素数1〜20を含むアルキレン、アリレン、エチレン、アルカリレンラジカルであり、Gの好ましい例としては、フェニレン、ビスフェニレン、ナフタレン、メチレン、エチレン、プロピレン、1,4−ブタジエン、p−フェニレンメチレンがあげられる。多結合性ラジカルGはr+1の結合、すなわち一つの結合はボレートアニオンと結合し、Gのその他の結合rは(SiR)基と結合する。Aはカチオンである。
【0046】
上記一般式中のR、R、Rはヒドロカルバニルラジカル、トリヒドロカルバニルシリルラジカル、トリヒドロカルバニルゲルマニウムラジカル、水素ラジカル、アルコキシラジカル、ヒドロキシラジカルまたはハロゲン化合物ラジカル、を表す。R、R、Rは同一でも独立でも良い。Qは、ハイドライド、ジヒドロカルビルアミド、好ましくはジアルキルアミド、ハライド、ヒドロカルビルオキシド、アルコキシド、アリルオキシド、ハイドロカルビル、置換ハイドロカルビルラジカルなどであり、さらに好ましくはペンタフルオロベンジルラジカルである。ここでn+zは4である。
上記一般式の[B−Qn(Gq(SiR)r)z]として、例えば、トリフェニル(4−ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、ジフェニルージ(4−ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、トリフェニル(4−ジメチルメトキシシリルフェニル)ボレート、トリ(p−トリル)(4−トリエトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ジメチルクロロシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−ジメチルメトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(4−トリメトキシシリルフェニル)ボレート、トリス(ペンタフルオロフェニル)(6−ジメチルクロロシリル−2ナフチル)ボレートなどが挙げられる。
ボレート化合物の対カチオンであるA 上記式(VII)中の Aと同じものが挙げられる。
【0047】
ボラン化合物として具体的には、たとえばデカボラン(14)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0048】
カルボラン化合物として具体的には、たとえば4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
尚、上記のような前記第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(D)は、2種以上混合して用いることができる。
【0049】
(B2)有機アルミニウム化合物
(B2)有機アルミニウム化合物としては、上記の(B1)有機アルミニウム化合物があげられる。加えて、下記一般式(IX)で表される有機アルミニウム化合物、下記一般式(X)で表される周期律表第I族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物、または有機アルミニウムオキシ化合物などを挙げることができる。
【0050】
【化11】
Figure 2005008719
(式中、R およびR は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である。)
【0051】
【化12】
Figure 2005008719
(式中、M はLi、NaまたはKを示し、R は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)
上記一般式(IX)で表される有機アルミニウム化合物としては、例えば下記一般式(XI)、(XII)、または(XIII)で表される化合物などを例示できる。
【0052】
【化13】
Figure 2005008719
(式中、R およびR は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)
【0053】
【化14】
Figure 2005008719
(式中、R は炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3である。)
【0054】
【化15】
Figure 2005008719
(式中、R およびR は、互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である。)
【0055】
上記一般式(XI)、(XII)、または(XIII)で表されるアルミニウム化合物として、より具体的には、;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;一般式R 2.5 Al(OR0.5 などで表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドなどの部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドなどその他の部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドなどの部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムなどを挙げることができる。
【0056】
また、上記一般式(IX)で表される化合物に類似する化合物も使用することができ、例えば窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物を挙げることができる。このような化合物として具体的には、
(C AlN(C )Al(C
などを挙げることができる。
【0057】
上記一般式(X)で表される化合物としては、例えば、LiAl(C、LiAl(C15 などを挙げることができる。
また重合系内で上記有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、たとえばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組み合わせ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組み合わせなどを使用することもできる。
これらのうち、有機アルミニウム化合物が好ましい。
上記一般式(IX)で表される有機アルミニウム化合物、または上記一般式(X)で表されるI族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0058】
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。
従来公知のアルミノキサンは、たとえば下記のような方法によって製造することができ、通常、炭化水素溶媒の溶液として得られる。
(1) 吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類、たとえば塩化マグネシウム水 和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウ ム水和物などの炭化水素媒体懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニ ウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる 方法。
(2) ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの媒体中で、トリア ルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用さ せる方法。
(3) デカン、ベンゼン、トルエンなどの媒体中でトリアルキルアルミニウムなどの有機ア ルミニウム化合物に、ジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸 化物を反応させる方法。
【0059】
なお該アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。また回収された上記のアルミノキサンの溶液から溶媒または未反応有機アルミニウム化合物を蒸留して除去した後、溶媒に再溶解またはアルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンを調製する際に用いられる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(XI)で表される有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
【0060】
上記のような有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。なお、トリメチルアルミニウムから調製されるアルミノキサンは、メチルアルミノキサンあるいはMAOと呼ばれ、特によく用いられる化合物である。
アルミノキサンの調製に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分または上記芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素のハロゲン化物とりわけ、塩素化物、臭素化物などの炭化水素溶媒が挙げられる。さらにエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類を用いることもできる。これらの溶媒のうち特に芳香族炭化水素または脂肪族炭化水素が好ましい。
【0061】
また本発明で用いられるベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物は、60℃のベンゼンに溶解するAl成分がAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、特に好ましくは2%以下であり、ベンゼンに対して不溶性または難溶性である。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物としては、下記一般式(XIV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物を挙げることもできる。
【0062】
【化16】
Figure 2005008719
(式中、Rは炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。Rは、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子または炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
【0063】
上記一般式(XIV)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、下記一般式(XV)で表されるアルキルボロン酸と有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
【0064】
【化17】
Figure 2005008719
(式中、Rは前記と同じ基を示す。)
【0065】
上記一般式(XV)で表されるアルキルボロン酸の具体的なものとしては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸などが挙げられる。これらの中では、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
【0066】
このようなアルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物として具体的には、上記一般式(IX)または(X)で表される有機アルミニウム化合物として例示したものと同様の有機アルミニウム化合物を挙げることができる。
これらのうち、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、特にトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
本発明で用いられる有機アルミニウムオキシ化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いられる。
また、本発明では、前記第4族遷移金属化合物(A)が炭化水素化合物(C)と均一な溶液を形成していることが好ましい。
【0067】
触媒成分(α)の調製方法並びに保存方法
温度、混合方法、などについて簡単に記載する。
触媒成分(α)を調製するにおいて、各成分の添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)成分(A)を成分(C)に溶解させた後、成分(B1)を成分(C)に溶解させた溶 液を添加する方法。
(2)成分(B1)を成分(C)に溶解させた後、成分(A)を成分(C)に溶解させた溶 液を添加する方法。
(3)成分(A)を成分(C)に溶解させた後、成分(B1)を添加する方法。
(2) 成分(B1)を成分(C)に溶解させた後、成分(A)を添加する方法。
(4)成分(A)と成分(B1)を混合させた後、成分(C)を添加する方法。
また、調製する温度、言い換えれば接触させる温度は室温以下である。なお本願で定義する「室温」とは、既述したように25±7℃である。従って、「室温以下」とは32℃以下の温度を指し、工場現場での現実的な冷却能力を考慮すれば調製時の温度の下限は0℃である。
【0068】
オレフィン重合用触媒として使用する場合の態様とオレフィン重合方法
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、前記第4族遷移金属化合物(A)、(B1) 有機アルミニウム化合物、(C)炭化水素化合物からなる触媒成分(α)と(D)前記の第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物と共に、必要に応じて後述するような特定の有機化合物成分(E)を含むこともできる。
(E)有機化合物成分
本発明において、(E)有機化合物成分は、必要に応じて、重合性能および生成ポリマーの物性を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物およびスルホン酸塩等が挙げられるが、この限りではない。
重合の際には、各成分の使用法、添加順序は任意に選ばれるが、以下のような方法が例示される。
(1)触媒成分(α)および成分(D)を任意の順序で重合器に添加する方法。
(2) 触媒成分(α)、成分(D)、成分(B2)を任意の順序で重合器に添加する方法。
上記(1)、(2)の各方法においては、各触媒成分の少なくとも2つ以上は予め接触されていてもよい。
【0069】
本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下にエチレンあるいは炭素原子数が3以上のオレフィンを単独重合あるいは共重合させる方法である。
ここで炭素原子数が3以上のオレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどの炭素原子数が3〜20のα−オレフィンを挙げることができる。オレフィンは2種以上用いることももちろん可能である。
本発明では、重合反応は炭化水素媒体中で実施される。このような炭化水素媒体として具体的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、ガソリン、灯油、軽油などの石油留分などを挙げることができる。さらに、重合に用いるオレフィンを用いることもできる。
【0070】
本発明では、上記のようなオレフィン重合用触媒の存在下に重合を行うが、この際には、上記第4族遷移金属化合物(A)は、重合反応系内の遷移金属原子の濃度として通常、10−8〜10−2グラム原子/リットル、好ましくは10−7〜10−3グラム原子/リットルの範囲の量で用いられる。
前記第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(D)は、第4族遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子1モルに対して、通常、約1〜500モル、好ましくは1〜300モルとなるような量で用いられる。
また、場合によって用いられる、有機アルミニウム化合物(B2)は、第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(D)1モルに対して、通常、約1〜500モル、好ましくは1〜300モル、さらに好ましくは1〜200モルとなるような量で用いられる。
また触媒成分(α)と、前記第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物(D)は、触媒成分(α)中の第4族遷移金属化合物(A)中の遷移金属原子1モルに対して、通常、約1〜500モル、好ましくは1〜300モルとなるような量で用いられる。
また、場合によって用いられる、有機アルミニウム化合物(B2)は、触媒成分(α)中の第4族遷移金属化合物(A)1モルに対して、通常、約1〜25000モル、好ましくは約1〜10000モルとなるような量で用いられる。
本発明では、重合温度は−10℃〜300℃、好ましくは0〜250℃、より好ましくは50〜250℃、特に好ましくは60〜200℃の範囲で行われる。重合圧力は、通常大気圧〜100kg/cm、好ましくは大気圧〜50kg/cm、より好ましくは大気圧〜40kg/cmの範囲である。
【0071】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0072】
〔実施例1〕
[触媒成分1の調製]
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル0.005ミリモルをヘキサンに溶解させ、0.05ミリモル/リットルのヘキサン溶液を調製した。これにZrに対して100当量のAlに当るトリイソブチルアルミニウム0.5ミリモルを加えて攪拌し、触媒溶液を調製した。
該組成物中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合にy/x =100、x=0.05であった。
[重合]
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにプロピレンを80gとヘキサンを装入し合計1リットルにした。次に系内の温度を145℃に昇温した後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPa−Gに保ち、トリイソブチルアルミニウム0.3mmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.04mmolおよび上記で調製した直後のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル/ヘキサン溶液[触媒成分1](ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル:0.0002mmol相当)を窒素で圧入することにより重合を開始した。150℃で30分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、80℃で減圧下で一晩乾燥した。その結果、溶融粘度が1050mPa・sの重合体60.8gを得た。結果を表1、2に示す。
【0073】
〔実施例2〕
上記で用いた調製直後の[触媒成分1]の代わりに、室温で30日間保存した触媒成分1を用いたこと以外は実施例1と同様に重合を行った。その結果、溶融粘度が880mPa・sの重合体56.8gを得た。結果を表1、2に示す。
実施例1と2から、前記(Eq−3)で定義される [W]/[Z]は、 [W]/[Z]=0.93であった。
【0074】
〔比較例1〕
[触媒成分2の調製]
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル0.005ミリモルをヘキサンに溶解させ、0.05ミリモル/リットルのヘキサン溶液を調製した。
[重合]
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにプロピレンを80gとヘキサンを装入し合計1リットルにした。次に系内の温度を145℃に昇温した後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPa−Gに保ち、トリイソブチルアルミニウム0.3mmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.04mmolおよび上記で調製した直後のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル/ヘキサン溶液[触媒成分2](ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル:0.0002mmol相当)を窒素で圧入することにより重合を開始した。150℃で30分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、80℃で減圧下で一晩乾燥した。その結果、溶融粘度が1410mPa・sの重合体50.2gを得た。結果を表1、2に示す。
【0075】
〔比較例2〕
上記で用いた調製直後の触媒成分2の代わりに、室温で30日間保存した触媒成分2を用いたこと以外は比較例1と同様に重合を行った。その結果、溶融粘度が4470mPa・sの重合体23.1gを得た。結果を表1、2に示す。
比較例1と2から、前記(Eq−3)で定義される [W]/[Z]は、0.46であった。
【0076】
〔比較例3〕
[触媒成分3の調製]
ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル0.005ミリモルをヘキサンに溶解させ、0.05ミリモル/リットルのヘキサン溶液を調製した。これにZrに対して10当量のAlに当るトリイソブチルアルミニウム0.05ミリモルを加えて攪拌し、触媒溶液を調製した。
該組成物中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合にy/x =10、x=0.05であった。
[重合]
次に、充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにプロピレンを80gとヘキサンを装入し合計1リットルにした。次に系内の温度を145℃に昇温した後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を3MPa−Gに保ち、トリイソブチルアルミニウム0.3mmol、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.04mmolおよび上記で調製した直後のビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル/ヘキサン溶液[触媒成分3](ビス(n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジメチル:0.0002mmol相当)を窒素で圧入することにより重合を開始した。150℃で30分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンをパージした。得られたポリマー溶液を、80℃で減圧下で一晩乾燥した。その結果、溶融粘度が810mPa・sの重合体56.2gを得た。結果を表1、2に示す。
【0077】
〔比較例4〕
上記でもちいた調製した直後の触媒成分3の代わりに、室温で30日間保存した触媒成分3を用いたこと以外は比較例3と同様に重合を行った。その結果、溶融粘度が2000mPa・sの重合体32.6gを得た。結果を表1、2に示す。
比較例3と4から、前記(Eq−3)で定義される [W]/[Z]は、0.58であった。
【0078】
【表1】
Figure 2005008719
【0079】
【表2】
Figure 2005008719
【0080】
【発明の効果】
炭化水素溶媒に溶解した低希釈濃度の遷移金属化合物溶液を長期保存しても重合活性が低下しないことにより、安定した重合活性が得られ、触媒成分を溶液として長期保存することが可能となった。

Claims (8)

  1. 不活性ガス下、室温以下で調製と保存された(A)シクロペンタジエニル骨格を有する周期律表第4族遷移金属化合物、(B1)有機アルミニウム化合物、および、(C)炭化水素化合物から成るオレフィン重合用の触媒成分であって、該触媒成分中の(A)周期律表第4族遷移金属化合物の濃度をx (mmol/L)、(B1)有機アルミニウム化合物の濃度をy(mmol/L)とした場合に、下式(Eq−1)および(Eq−2)
    Figure 2005008719
    を満たすオレフィン重合用の触媒成分(α)。
  2. 請求項1記載の、室温以下で調製と保存された触媒成分(α)と、(D)前記第4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物、とからなるオレフィン重合用触媒存在下でオレフィンを重合した際の重合活性が、調整した直後の触媒成分(α)を用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[Z]、不活性ガス下室温以下で30日間放置した触媒成分(α)用いて重合した単位時間当たりの重合活性を[W]とした場合に、下式(Eq−3)
    Figure 2005008719
    を満たす請求項1に記載の触媒成分(α)。
  3. (B1)有機アルミニウム化合物が、下記一般式(I)で表わされることを特徴とする請求項1記載の触媒成分(α)。
    Figure 2005008719
    (式中、R、R、Rは、水素または炭素数1〜20の炭化水素基を示し、相互に同一でも異なっていてもよい。)
  4. (C)炭化水素化合物が、炭素数5〜15の脂肪族または芳香族炭化水素であることを特徴とする請求項1記載の触媒成分(α)。
  5. 前記の(A)4族遷移金属化合物が、前記(C)炭化水素化合物と均一な溶液を形成することを特徴とする請求項1記載の触媒成分(α)。
  6. 前記の(A)第4族遷移金属化合物がシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を1個以上含む第4族遷移金属化合物であって、該第4族遷移金属と結合する炭素数1〜10の炭化水素基、または炭素数10以下の中性、共役または非共役ジエンを含むものであることを特徴とする請求項1記載の触媒成分(α)。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の触媒成分(α)と、(D)前記4族遷移金属化合物(A)と反応してイオン対を形成する化合物、および必要に応じて(B2)有機アルミニウム化合物とからなることを特徴とするオレフィン重合用触媒。
  8. 請求項7に記載のオレフィン重合用触媒存在下でオレフィンを重合する方法。
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