JP2005005395A - ガス給排気方法及び装置、鏡筒、露光装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガスの排気通路を作業性良く容易に構築すること。
【解決手段】密閉室Hの壁内部に排気通路10を形成し、排気通路10の下端部を排気開口部11を介して密閉室Hの下端部内と連通させる。排気通路10の上端部はフランジFLが形成されている分割鏡筒502の高さ位置まで延びている。密閉室H内のガスは、脱ガスや不純物とともに、密閉室Hの下端部の排気開口部11及び排気通路10を介して、フランジFLに形成された排気通路10の上端部から排気される。
【選択図】 図2
【解決手段】密閉室Hの壁内部に排気通路10を形成し、排気通路10の下端部を排気開口部11を介して密閉室Hの下端部内と連通させる。排気通路10の上端部はフランジFLが形成されている分割鏡筒502の高さ位置まで延びている。密閉室H内のガスは、脱ガスや不純物とともに、密閉室Hの下端部の排気開口部11及び排気通路10を介して、フランジFLに形成された排気通路10の上端部から排気される。
【選択図】 図2
Description
本発明は、密閉室内にガスを供給する一方、該密閉室内から該ガス及び密閉室内の不純物等を排気するガス給排気方法及びガス給排気装置、該ガス給排気装置を備え、光学素子を保持する鏡筒、該鏡筒を備え、マスクに形成されたパターンを基板に転写する露光装置及び露光方法に関する。
【0001】
【背景技術】
従来より、半導体デバイスや液晶表示デバイスを、リソグラフィ技術を用いて製造する際には、パターンが形成されたマスクに露光用照明光(露光光)を照射し、このマスクのパターンの像を、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウエハやガラステンプレート等の感光性基板上に投影露光する露光装置が使用されている。近年においては、基板上のショット領域に投影されるパターン形状の微細化の要求に伴い、使用される露光光は短波長化される傾向にあり、これまでの水銀ランプに代わってKrF(クリプトンフッ素)エキシマレーザ(248nm)、ArF(アルゴンフッ素)エキシマレーザ(193nm)を用いた露光装置が実用化されつつある。また、更なるパターン形状の微細化を目指してF2(フッ素)レーザ(157nm)を用いた露光装置の開発も進められている。
【0002】
露光光の波長が180nm以下といった真空紫外線光の場合、露光光の通過する空間である光路空間内に酸素分子、水分子、二酸化炭素分子、有機物などと言った、かかる波長域の光に対し強い吸収特性を備える物質(以下「吸光物質」という)が存在していると、露光光は吸光物質によって吸収されてしまい十分な強度で基板上に到達できない。したがって、真空紫外線光を用いた露光装置では、十分な光量を有する露光光でマスクのパターン像を基板上に転写するために、露光光の通過する光路空間を密閉室として外部からの吸光物質の流入を遮断するとともに、露光処理を行うに際し光路空間内に存在する吸光物質を低減する作業が行われるようになっている。従来、光路空間内の吸光物質を低減する方法としては、露光光に対する吸収性の少ない特性を有する、ヘリウム、アルゴン、窒素などといった物質(以下「不活性ガス」という)を光路空間内に供給してこの光路空間を不活性ガスで満たすといった方法がある。
【0003】
ところで、上述したような露光装置において、露光光の通過する光路空間には鏡筒により保持されている光学素子(レンズ)が複数配置されており、光路空間はこの鏡筒によって密閉室とされている。そして、密閉室である鏡筒の上部には外部よりガス供給用の配管が接続され、この配管を介して鏡筒の上部に不活性ガスが供給され、不活性ガスが鏡筒の下部まで流れた後、鏡筒の下部に接続した排気用の配管を介して鏡筒の下部から不活性ガスや吸光物質を含む不純物等が鏡筒の外に排気されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鏡筒は、その外周面の所定高さ位置に形成したフランジを介して露光装置のボディフレーム上に搭載されており、フランジがボディフレームの上端面に固定される。鏡筒のフランジよりも上方部分はボディフレームの上端面から起立して突出するが、鏡筒のフランジよりも下方部分はボディフレームの上端面に形成した取り付け穴から挿入されて、ボディフレーム内に収容される。このため、鏡筒のフランジよりも上方部分は、ボディフレームによって囲まれておらず、その周囲は空間的な余裕が比較的あるのに対し、鏡筒のフランジよりも下方部分は取り付け穴やボディフレームによって囲まれていて、その周囲は空間的な余裕がない。また、鏡筒の最下端部はウエハステージに接近し、該ウエハステージの周囲にはウエハステージ関連の周辺機器が配置されていて、鏡筒の最下端部の周囲は特に空間的な余裕がない。
【0005】
したがって、鏡筒に対して外部から配管を接続する際、鏡筒のフランジよりも下の下方部分では配管を接続するのが困難であり、特に鏡筒の最下端部では配管を接続するのが非常に困難である。
【0006】
このように、露光装置のボディフレーム内では、空間的な余裕がなく、配管作業が煩雑となって作業時の負担が大きくなり、作業性が低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガスの排気通路を作業性良く容易に構築することができるガス給排気方法及びガス給排気装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、ガスの排気通路が作業性良く構築されるとともに、鏡筒自体の組み立て作業や調整作業の能率を向上させることができる鏡筒を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、投影光学系としてこの鏡筒を備えることにより精度良い露光処理を行うことができる露光装置、光路空間内の吸光物質を低減することによって精度のよい露光処理を行うことができる露光方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する、本発明の請求項1に記載のガス給排気方法は、密閉室(H)の一端部(例えば密閉室の上端部)からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部(例えば密閉室の下端部)に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気方法において、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジ(FL)から又は該フランジ(FL)と前記密閉室(H)の一端部との間から前記密閉室の外に排気することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の給排気装置は、密閉室の一端部(例えば密閉室の上端部)からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部(例えば密閉室の下端部)に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気装置において、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジ(FL)から又は該フランジと前記密閉室(H)の一端部との間から前記密閉室の外に排気する排気機構(10,11,12,20,21,211,204)を備えてなることを特徴とする。
【0011】
すなわち、密閉室の他端部(下端部)に流れたガスは、該他端部から密閉室の外に排気されるのではなく、一旦フランジやフランジと密閉室の一端部(上端部)との間の位置まで戻され、この後フランジから又はフランジと密閉室の一端部との間の位置から密閉室の外に排気される。
【0012】
本発明の給排気方法、装置によれば、密閉室を構成する筒体のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室の壁部自身からの脱ガスや密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は次第に不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0013】
上述のガス給排気方法、ガス給排気装置において、前記密閉室の壁内部に排気通路(10)を形成し、この排気通路を介して、前記密閉室の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記密閉室の一端部との間から前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0014】
これにより、密閉室の他端部(下端部)に流れたガスを一旦フランジやフランジと密閉室の一端部(上端部)との間の位置まで戻すための配管を、密閉室を構成する筒体に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0015】
また、前記フランジの内部に前記排気通路と連通するフランジ内排気通路(20)を形成して、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、排気通路(10)及びフランジ内排気通路(20)を介して前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0016】
これにより、ガス等を排気するための配管の長さを可及的に短くすることが可能となる。
また、前記フランジと前記密閉室の一端部(上端部)との間の位置に前記排気通路と連通する排気口(12)を形成して、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、排気通路(10)及び排気口(12)を介して前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0017】
これにより、ガス等を排気するための配管がより容易となる。
また、本発明の請求項9に記載の鏡筒は、複数の光学素子(L1乃至L13等)を保持し、外周にフランジ(FL)が形成された鏡筒(PK)において、前記鏡筒(PK)の一端部と前記フランジ(FL)との間からガスを供給するガス給気装置(203,207,215)と、前記鏡筒(PK)の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記鏡筒の一端部との間から前記鏡筒の外に排気する排気機構(10,11,12,20,21,211,204)とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の鏡筒によれば、鏡筒のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0019】
上述の鏡筒において、前記鏡筒の壁内部に該鏡筒の他端部から一端部に向けて延びる排気通路(10)を形成し、この排気通路を介して、前記鏡筒の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記鏡筒の一端部との間から前記鏡筒の外に排気することが好ましい。
【0020】
これにより、鏡筒の他端部(下端部)に流れたガスを一旦フランジやフランジと鏡筒の一端部(上端部)との間の位置まで戻すための配管を、鏡筒に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0021】
また、本発明の請求項13に記載の露光装置は、マスク(220)に形成されたパターンを所定面上に転写する投影光学系(150)を備える露光装置において、前記投影光学系は複数の光学素子(L1乃至L13等)で構成され、該複数の光学素子は請求項9乃至12のいずれかに記載の鏡筒(PK)で保持されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の露光装置によれば、投影光学系の複数の光学素子を保持する鏡筒として上述した本発明の鏡筒を備えることにより、鏡筒のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、パターンの転写を精度良く行うことが出来る。
【0023】
また、本発明の請求項18に記載の露光方法は、露光光(EL)を用いてパターンを被露光基板(230)に転写露光する露光方法において、前記露光光の光路を含む空間を形成する密閉室(H)内にガスを供給する一方、該ガスが前記密閉室(H)の他端部に流れた後、前記ガスを前記密閉室(H)の外に排気するガス給排気を、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス給排気方法によって行い、前記密閉室(H)内の前記ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明の露光方法によれば、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室のガスの給排気は、密閉室を構成する筒体のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、比較的短時間で密閉室内のガスの濃度が所定値に達する。さらに、密閉室内のガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うので、精度良く露光処理を行うことが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明のガス給排気方法、ガス給排気装置、鏡筒、露光装置及び露光方法の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明のガス供給装置及び露光装置の一実施形態を示す全体構成図、図2は図1の露光装置に装備される投影光学系(鏡筒)の一実施態様を示す縦断面図、図3は図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図、図4(a)は図2又は図3の分割鏡筒504の壁部内に形成された排気通路を示す横断面図、図4(b)は図4(A)のA−A線に沿う断面図、図5は分割鏡筒503と分割鏡筒504とが接続された状態を示す縦断面図、図6は分割鏡筒の接続部の他の実施態様を示す部分縦断面図である。
【0027】
まず本実施形態の露光装置の全体構成及び動作について、図1を参照して説明する。
本実施形態においては、露光用ビームとしてF2レーザー光を用いるステップ・アンド・スキャン型投影露光装置を例示して本発明を説明する。
【0028】
露光装置100は、光源110、照明光学系120、レチクル操作部140、投影光学系(PL)150、ウエハ操作部160、アライメント系170、局所ガス供給部(パージ部)180、環境制御系200及び図示せぬ制御部等を有する。
【0029】
なお以下の説明においては、投影光学系150の光軸と直交して紙面と垂直な方向をX方向、投影光学系150の光軸と直交して紙面と平行な方向をY方向、また、X、Y方向と直交して投影光学系150の光軸と平行な方向をZ方向とする。
【0030】
光源110は、真空紫外域である波長157nmのパルスレーザー光を発生するF2レーザーである。光源110より出射された光ビームは、照明光学系120に入射される。
【0031】
照明光学系120は、光源110より射出された光ビームの整形及び照度の均一化等の処理を行い、生成した露光光を転写すべきパターンが形成されたレチクル(R)220に照射する。
【0032】
照明光学系120は、可動ミラーを有し光源110より射出された光ビームの位置合わせを行うビームマッチングユニット(BMU)121、光ビームの減光率を調整する可変減光器としての光アッテネータ122、光ビームを整形するビーム整形光学系123、露光光の光量分布を調整するオプティカル・インテグレータとしてのフライアイレンズ124、露光光の光量分布を円形、複数の偏心領域、輪状帯などで決定して照明条件を決定する開口絞り125、露光光量検出のために光ビームを分岐するビームスプリッタ126、ミラー127及び131、リレーレンズ128及び130、照明領域を規定するレチクルブラインド(視野絞り)129、コンデンサレンズ系132及びこれらを収容する照明系チャンバ133を有する。
【0033】
このような照明光学系120においては、光源110より射出された光ビームは、ビームマッチングユニット121において光軸が照明光学系120の光軸と一致するように調整され、光アッテネータ122に入射される。光アッテネータ122の減光率は、図示せぬ制御部からの制御信号に基づいて段階的又は連続的に調整されるようになっており、これにより露光光量の調整がなされる。なお、露光光量の調整は、光源110における光ビームの出力エネルギーの制御と合わせて行われる。
【0034】
光アッテネータ122を通過した光ビームは、ビーム整形光学系123において断面形状が整形され、フライアイレンズ124において光量分布が均一化された後、開口絞り125を介してビームスプリッタ126に入射される。
【0035】
ビームスプリッタ126は、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ126であって、これにより反射された光は、図示せぬインテグレータセンサに入射され光量が計測される。そして、計測された光量、及び、予め記憶されているビームスプリッタ126の透過率あるいは反射率に基づいて、図示せぬ制御部において露光光ELの光量が検出され、これに基づいてその光量の制御が行われる。
【0036】
ビームスプリッタ126を通過した露光光ELは、ミラー127によりほぼ水平方向に反射され、リレーレンズ128を介してレチクルブラインド129に達する。
【0037】
レチクルブラインド129は、レチクル220のパターン面と光学的にほぼ共役な面に配置された、レチクル220のパターン面の照明領域外(露光範囲外)を覆うことによりレチクル220の照明領域を規定する遮光板である。レチクルブラインド129は、固定ブラインド及び可動ブラインドを有し、露光光ELが照射されるレチクル220の照明領域を、投影光学系150の円形視野内で露光光ELの光軸を中心としてX方向に延びる矩形形状に規定する。またレチクルブラインド129は、走査露光中、レチクル220が移動される走査方向(本実施形態ではY方向)の照明領域の幅を所定の幅に制御する。
【0038】
レチクルブラインド129を通過した露光光ELは、リレーレンズ130、ミラー131及びコンデンサレンズ系132を介してレチクル操作部140に入射され、レチクル220のパターン面上の所定の領域を照明する。
【0039】
照明光学系120のこれらビームマッチングユニット121からコンデンサレンズ系132に至る各構成部は、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガス(透過性ガス、例えばヘリウム、窒素等)、若しくはこれらヘリウム、窒素等の混合ガスを充満させた照明系チャンバ133内に収容されている。
【0040】
照明系チャンバ133は、バルブ209を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ205を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ205及びバルブ209をそれぞれ開くことによって、照明系チャンバ133内の空気が排気される一方、照明系チャンバ133内に不活性ガスが供給されて、照明系チャンバ133内の空気が不活性ガスに置換される。
【0041】
レチクル操作部140は、投影光学系150と照明光学系120との間に設けられ、レチクル(マスク)220を保持し、照明光学系120より出射され投影光学系150に入射される露光光ELにレチクル220上のパターンの所望の領域が適切に照射されるように、その位置、姿勢を制御する。
【0042】
レチクル操作部140は、レチクルステージ141、図示せぬレーザー干渉計システム及びレチクル室142を有する。
レチクルステージ141は、所定のストロークでY方向に移動可能に、またXY平面内で回転方向及び並進方向に微動可能に、レチクル220を保持する。 レチクルステージ141は、図示しない少なくとも6つの測長軸を有するレーザー干渉計システムによって、X、Y方向の位置、X軸、Y軸及びZ軸回りの3つの回転量(ピッチング量、ローリング量、ヨーイング量)、及び、Z方向の位置(投影光学系150との間隔)が計測されている。レチクルステージ141は、これらの計測結果より図示せぬ制御部において生成される制御信号に基づいて、レチクル220を所望の位置、姿勢に調整し、また、走査露光時に、ウエハ230の移動に同期して、露光光ELの照明領域に対してレチクル220を走査方向(Y方向)に所定の速度で移動する。
【0043】
レチクルステージ141は、露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを充満させたレチクル室142に収容されている。
レチクル室142は、バルブ210を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ206を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ206及びバルブ210をそれぞれ開くことによって、レチクル室142内の空気が排気される一方、レチクル室142内に不活性ガスが供給されて、レチクル室142内の空気が不活性ガスに置換される。
【0044】
投影光学系150(PL)は、レチクル220のパターンの縮小像を、露光光ELの照明領域と共役な露光領域(ウエハ230での露光光ELの照射領域)に形成する両側テレセントリックな縮小系である。すなわち、レチクル220のパターンの像は、投影光学系150により所定の縮小倍率α(αは例えば1/4、1/5等)で縮小され、ウエハ操作部160のウエハステージ上に載置されている予め表面にフォトレジストが塗布されたウエハ230上に投影される。
【0045】
なお、本実施形態において露光光ELはF2レーザー光であるため、透過率のよい光学硝材は、螢石(CaF2)、フッ素や水素をドープした石英ガラス、及び、フッ化マグネシウム(MgF2)等に限られる。従って、投影光学系150を屈折光学部材のみで構成して所望の色収差特性等の結像特性を得るのは難しく、投影光学系150は、屈折光学部材と反射鏡を組み合わせた反射屈折系により構成する。
【0046】
投影光学系150においては、レチクル220側の光学部材(光学素子)からウエハ230側の先端の光学部材までの全ての光学部材(投影光学系150内の露光光ELの全光路)は、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを充満させた鏡筒PK内に収容されている。
【0047】
鏡筒PKは、その外周に形成したフランジFL(図2又は図3参照)を介して露光装置の図示しないボディフレームに搭載され、固定されている。鏡筒PKは、バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ207を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ207及びバルブ211をそれぞれ開くことによって、鏡筒PK内の空気が排気される一方、鏡筒PK内に不活性ガスが供給され、鏡筒PK内の空気が不活性ガスに置換される。
【0048】
不活性ガスの給排気装置Sの部分及び該給排気装置を装備した鏡筒PK及び投影光学系150の詳細については後で図2乃至図6を参照して説明する。
ウエハ操作部160は、露光対象のウエハ(感応基板)230を保持し、その位置を制御して、これを投影光学系150から出射される露光光ELによるレチクル220のパターンの像の照射対象として供する。また、走査露光時には、レチクル操作部140におけるレチクル220の移動と同期して、ウエハ230の位置を順次移動させる。
【0049】
ウエハ操作部160は、ウエハ230を保持するウエハステージ161、ウエハステージの位置及び姿勢を検出するレーザー干渉計システム162、ウエハステージを駆動するステージ駆動系163及びウエハローダ部164を有する。
【0050】
ウエハステージ161は、ベース盤上に支持されステージ駆動系によりベース盤上をXY2次元に自在に移動可能なステージ本体、3個のZ方向アクチュエータによってステージ本体上に支持されZ方向の位置及びXY平面における傾きを調整する調整用ステージ、及び、調整用ステージ上に支持されウエハ230を表面に形成された吸着孔からの真空吸引力の作用により吸着し保持するウエハホルダを有し、ウエハローダ部164によって搬送され載置されたウエハ230を、ウエハホルダ上に所望の姿勢で保持し、露光に供する。
【0051】
レーザー干渉計システム162は、少なくとも5つの測長軸を有し、調整用ステージに形成される反射面にレーザービームを照射して、ウエハステージのX、Y方向の位置情報、及び、X軸、Y軸及びZ軸回りの3つの回転量、すなわち、ピッチング量、ローリング量及びヨーイング量を計測する。
【0052】
ステージ駆動系163は、ベース盤上に支持されたウエハステージをX,Y2次元方向に自在に移動させる。
ウエハローダ部164は、露光装置100に投入されたウエハカセットより露光処理対象のウエハ230を取り出し、ウエハステージ161のウエハホルダ上に載置する。また、露光処理の終了したウエハ230をウエハステージより回収して、新たなウエハカセットの所定の位置に収容する。
【0053】
アライメント系170は、ウエハ操作部160に保持されたウエハ230の位置を検出し所望の位置にウエハ230の位置を位置決めするために、ウエハ230のアライメントマーク及びウエハ操作部160のウエハステージに設けられる基準マーク等を検出し、検出結果を図示せぬ制御部に出力する。
【0054】
アライメント系170は、例えばハロゲンランプから発生される広帯域の光でマークを照射し、当該マークを撮像素子(CCD)で検出して得られる画像信号を制御部に出力する。制御部においては、この画像信号を波形処理して、その位置情報を検出する。
【0055】
局所ガス給排気部(局所流体給排出部)180は、投影光学系150の先端の光学部材と、ウエハ操作部160に保持されたウエハ230との間の空間(特定空間)181に不活性ガスを所定の方向から流すことにより、特定空間181内の吸光物質を排除する。また、これにより、ウエハ230のレジストから発生するアウトガスが先端の光学部材に付着するのを抑制する。
【0056】
環境制御系200は、露光装置100本体の設置環境及び露光装置100内の露光光ELの経路等を所望の状態に整えるための構成部である。
環境制御系200は、チャンバ201、フィルタ202及び給排気装置S(不活性ガス供給装置203、不活性ガス回収装置204)を有する。
【0057】
チャンバ201は、露光装置100全体を収容する環境制御チャンバ(エンバイロンメンタル・チャンバ)である。チャンバ201内には空調装置が設けられており、露光装置100に対して温度や湿度が調整されたエアーが送風され、露光装置100の設置環境が所望の状態に維持されている。
【0058】
フィルタ202は、露光装置100が設置されているチャンバ201内を清浄化するために、化学吸着及び物理吸着によりケミカルコンタミ等の不純物を除去する不純物除去フィルタ及び塵埃を除去するパーティクル除去フィルタである。前述したように、露光装置100はチャンバ201内に設けられており、フィルタ202はチャンバ201内の空調装置の風上部に設置されている。その結果、チャンバ201内においては、露光装置100に対して清浄なエアーが供給されることとなり、露光装置100の周囲から露光装置100へのケミカルコンタミ等の不純物の侵入を防止することができる。
【0059】
給排気装置Sの不活性ガス供給装置203は、照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142、投影光学系150の鏡筒152及び局所ガス給排出部180に、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを供給する。
【0060】
具体的には、不活性ガス供給装置203は、露光装置100の全体が収納されているチャンバ201の外部に設置され、不活性ガスが高純度の状態で圧縮又は液化され貯蔵されたボンベである。そして、図示せぬ制御部の制御によりバルブ205乃至208が各々開閉されることにより、前述した各構成部へ不活性ガスを供給する。
【0061】
なお、本実施の形態の露光装置100においては、波長157nmの真空紫外光を露光光ELとして使用しており、この露光光ELの吸光物質としては、酸素(O2)、水(水蒸気:H2O)、一酸化炭素(CO)、炭酸ガス(二酸化炭素:CO2)、有機物及びハロゲン化物等があり、一方、エネルギー吸収がほとんどなく、これを透過する気体としては、窒素ガス(N2)、水素(H2)及び、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、よりなる希ガスがある。また、投影光学系とウエハとの間に液体を供給する場合は、水やフッ素系不活性オイルがある。
【0062】
従って、不活性ガス供給装置203で供給する不活性ガスとしては、窒素ガス又は希ガスが好適である。本実施の形態においては、不活性ガス供給装置203は窒素ガスを供給するものとする。
【0063】
なお、窒素ガスは、波長が150nm程度までは透過性ガスとして使用することができるが、150nm以下の光に対しては吸光物質として作用する。一方、ヘリウムガスは、波長が100nm程度まで透過性ガスとして使用することができる。また、ヘリウムガスは熱伝導率が窒素ガスの約6倍であり、気圧変化に対する屈折率の変動量が窒素ガスの約1/8である。
【0064】
従って、より透過率を高くし光学系の特性を安定させたい場合や、露光光ELの波長が150nm以下のような場合には、コストは高くなるものの、不活性ガス(透過性ガス)としてヘリウムガスを使用することが望ましい。
【0065】
給排気装置Sの不活性ガス回収装置204は、不活性ガス供給装置203より不活性ガスが供給される各部、すなわち、前述した照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142、投影光学系150の鏡筒152及び局所ガス給排出部180の排気を行う真空ポンプである。
【0066】
不活性ガス回収装置204は、照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142及び投影光学系150の鏡筒152については、前述したように、不活性ガス供給装置203より不活性ガスが供給される前に各容器内の空気を吸引排気する。
【0067】
また、局所ガス給排出部180については、不活性ガス回収装置204が、露光処理中常にバルブ212,213を介して真空吸引力を作用させ続け、不活性ガス供給装置203より供給される不活性ガスを含む特定空間181内の気体を排気する。これにより不活性ガスが特定空間181内をある程度の速度で流れることとなり、ウエハ230より発生するアウトガスを特定空間181より排気することができる。
【0068】
図示せぬ制御部は、露光装置100において全体として所望の露光処理が行われるように、露光装置100の各構成部を制御する。
具体的には、ウエハローダ部による露光装置100に投入されたウエハのウエハステージへのローディング及び露光の終了したウエハのアンローディング、アライメント系170により検出された信号に基づくアライメントマークの位置検出のための信号処理、検出したウエハステージ及びウエハの位置に基づくステージ駆動系の制御、及び、走査露光時のレチクル220及びウエハ230の移動、及び、位置及び姿勢の制御等を行う。
【0069】
また、制御部は、照明光学系120のインテグレータセンサで検出したビームスプリッタ126での反射光の光量、及び、予め記憶しているビームスプリッタ126の透過率あるいは反射率に基づいて、投影光学系150に対する光の入射光量及びウエハ230上での光量を検出する。この検出結果に基づいて、光源110の発光の開始及び停止、発振周波数、及び、パルスエネルギーで定まる出力を制御し、また、光アッテネータ122における減光率を調整し、最終的にウエハ230に対する露光光ELの光量を制御する。
【0070】
次に、図2を参照して投影光学系150(PL)について詳細に説明する。
反射屈折光学系からなる投影光学系150は、レチクル220のパターンの第1中間像を形成するための屈折型の第1結像光学系G1と、凹面反射鏡CMと2つの負レンズL8,L9とから構成されて第1中間像とほぼ等倍の第2中間像(第1中間像とほぼ等倍像であってレチクルパターンの2次像)を形成するための第2結像光学系G2と、第2中間像からの光に基づいてウエハ(W)230上にレチクルパターンの最終像(レチクルパターンの縮小像)を形成するための屈折型の第3結像光学系G3とを備えている。
【0071】
第1結像光学系G1と第2結像光学系G2との間の光路中において第1中間像の形成位置の近傍には、第1結像光学系G1からの光を第2結像光学系G2に向かって偏向するための第1光路折り曲げ鏡1が配置されている。また、第2結像光学系G2と第3結像光学系G3との間の光路中において第2中間像の形成位置の近傍には、第2結像光学系G2からの光を第3光学結像系G3に向かって偏向するための第2光路折り曲げ鏡2が配置されている。第1中間像および第2中間像は、第1光路折り曲げ鏡1と第2結像光学系G2との間の光路中および第2結像光学系G2と第2光路折り曲げ鏡2との間の光路中にそれぞれ形成される。
【0072】
また、第1結像光学系G1は直線状に延びた光軸AX1を有し、第3結像光学系G3は直線状に延びた光軸AX3を有し、光軸AX1と光軸AX3とは共通の単一光軸である基準光軸AXと一致するように設定されている。なお、基準光軸AXは、重力方向(すなわち鉛直方向)に沿って位置決めされている。その結果、レチクル220及びウエハ230は、重力方向と直交する面、すなわち水平面に沿って互いに平行に配置されている。加えて、第1結像光学系G1を構成するすべてのレンズ及び第3結像光学系G3を構成するすべてのレンズも、基準光軸AX上において水平面に沿って配置されている。
【0073】
一方、第2結像光学系G2も直線状に延びた光軸AX2を有し、この光軸AX2は基準光軸AXと直交するように設定されている。さらに、第1光路折り曲げ鏡1および第2光路折り曲げ鏡2はともに平面状の反射面を有し、2つの反射面を有する1つの光学部材(1つの光路折り曲げ鏡FM)として一体的に構成されている。なお、この2つの反射面の交線(厳密にはその仮想延長面の交線)が第1結像光学系G1のAX1、第2結像光学系G2のAX2、および第3結像光学系G3のAX3と一点で交わるように設定されている。
【0074】
レチクル220のパターンの1次像(第1中間像)を形成するための第1結像光学系G1は、各レンズL2乃至L7から構成されている。また、投影光学系150のうち最もレチクル220側には、投影光学系150内のパージ空間の蓋の機能を有する平行平面板L1が設けられている。平行平面板L1およびレンズL2乃至L7は、分割鏡筒(サブバレル)301乃至307にそれぞれ収納されている。
【0075】
平行平面板1L及び各レンズL2乃至L7は、分割鏡筒301乃至307のそれぞれに、フレーム311乃至317を介して接続されている。なお、フレーム311乃至317には、投影光学系150の内部に流入される不活性ガス(ヘリウム、窒素等)を通過させるための開口が、その周方向に沿った複数の位置に設けられている。なお、平行平面板L1とフレーム311と分割鏡筒301との間は気密構造となっている。
【0076】
第1結像光学系G1には、レンズL2,L3,L4,L5,L6,L7を光軸方向(Z方向)へ移動させ、θx,θy方向へ傾斜させるためのアクチュエータが設けられている。このアクチュエータは、光軸から等距離であって周方向(θz方法)で異なる3箇所の位置にピッチ120°で設けられている。アクチュエータとしては、リニアモータ、ピエゾ素子、加圧流体または気体により駆動されるシリンダ機構などを用いることができる。3箇所のアクチュエータの駆動量を同量とすると、レンズのそれぞれを光軸方向へ移動させることができる。また、3箇所のアクチュエータの駆動量が各々異なるように設定することにより、レンズのそれぞれをθx,θy方向へ傾斜させることができる。また、レンズL3をXY平面内で移動させるためのアクチュエータが設けられている。
【0077】
投影光学系150(PL)は、第1光路折り曲げ鏡1及び第2光路折り曲げ鏡2が一体に形成された光路折り曲げ鏡FMを備えている。光路折り曲げ鏡FMは、例えば上面及び下面が直角二等辺三角形状である三角柱状の部材における2つの側面にアルミニウム等の金属を蒸着することにより形成されている。なお、金属膜の代わりに、誘電体多層膜を蒸着しても良い。また、第1光路折り曲げ鏡1及び第2光路折り曲げ鏡2を1つの部材上に形成する代わりに、2つの平面鏡を互いに直交するように保持しても良い。
【0078】
第2結像光学系G2は、レンズL8,L9と、凹面反射鏡CMとを備えている。この凹面反射鏡CMの材料としては、SiC或いはSiCとSiとのコンポジット材を用いることができる。このとき、脱ガス防止のために凹面反射鏡CM全体をSiCでコーティングすることが好ましい。また、凹面反射鏡CMの反射面は、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成される。なお、金属膜の代わりに、誘電体多層膜を蒸着しても良い。凹面反射鏡材料としては、低熱膨張材料を用いても良い。
【0079】
光路折り曲げ鏡FM及びレンズL8は分割鏡筒401に収納され、レンズL9は分割鏡筒402に収納され、凹面反射鏡CMは分割鏡筒403に収納されている。分割鏡筒401には、光路折り曲げ鏡FMを保持するための保持部材410が取り付けられている。この保持部材410と分割鏡筒401との間に、光路折り曲げ鏡FM(第1及び第2光路折り曲げ鏡)のθx,θy,θz方向の姿勢及びXYZ方向の位置を調整するための機構を設けても良い。また、第2結像光学系G2のレンズL8,L9は、支持部材411,412によってそれぞれ支持されており、凹面反射鏡CMは、支持部材413によって支持されている。
【0080】
第3結像光学系G3は、レンズL10乃至L13と可変開口絞りユニットASとを備えている。ここで、レンズL10は分割鏡筒501に収納され、レンズL11は分割鏡筒502に収納されている。この分割鏡筒502には、その外周所定高さ位置に露光装置のボディフレーム(図示せず)によって支持されるフランジFLが設けられている。
【0081】
可変開口絞りユニットASは分割鏡筒503に収納され、レンズ12,L13は分割鏡筒504,505にそれぞれ収納されている。レンズL10乃至L13は、セルによってそれぞれ保持されている。分割鏡筒501,502,504,505とセルはフレーム521,522,524,525によってそれぞれ接続されている。なお、フレーム521,522,524には、投影光学系150(PL)内部に流入される不活性ガス(ヘリウム、窒素等)を通過させるための開口が、その周方向に沿った複数の位置に設けられている。そして、レンズL13とセルとの間が気密構造となっている。また、第3結像光学系G3には、レンズL10乃至L12を光軸方向(Z方向)へ移動させ、θx,θy方向へ傾斜させるためのアクチュエータが設けられている。
【0082】
上記複数の分割鏡筒によって投影光学系150(PL)の各レンズ(光学素子)を保持する鏡筒PKが構成され、これら分割鏡筒のそれぞれを接続することによって、投影光学系150(PL)における露光光ELの光路空間である鏡筒PK内は密閉された密閉室Hとされている。
【0083】
次に、投影光学系150(PL)の鏡筒PK内である密閉室Hに不活性ガスを供給し、またこの密閉室Hから供給した不活性ガスを密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや不純物等とともに排気する給排気装置Sについて詳細に説明する。
【0084】
給排気装置Sは、密閉室Hの上端部から供給された不活性ガスが密閉室Hの下端部まで流れた後、該不活性ガスを排気する、密閉室Hの壁内部に形成された複数の排気通路10と、この排気通路10と連通する、フランジFLの内部に形成された複数のフランジ内排気通路20とを備える。
【0085】
密閉室Hの上端部は、配管215及び配管バルブ207を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。
排気通路10は、第3結像光学系G3のレンズL11乃至L13及び可変絞りユニットASを保持する鏡筒PK(分割鏡筒502,503,504,505)の壁内部に光軸AX3方向に延びて形成されている。
【0086】
排気通路10の下端は、分割鏡筒505の内周面に形成した排気開口部11を介して密閉室Hの下端部内と連通しており、密閉室Hの下端部まで流れた不活性ガスはこの排気開口部11から脱ガスや不純物とともに排気通路10内に流入する。排気通路10の上端部は、フランジFLが形成されている分割鏡筒502の高さ位置まで延び、該上端部でフランジ内排気通路20の内端部(フランジFLの分割鏡筒502側の端部)と連通しており、排気通路10内を上昇した不活性ガス等は排気通路10の上端部からフランジ内通路20に流入する。フランジ内通路20の外端部は、フランジFLの外周面において配管21に接続され、該外端部から配管21及び配管バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に接続されている。フランジ内排気通路20に流入した不活性ガス等は、配管21、配管バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に回収される。
【0087】
排気通路10は、図4(a)に示すように分割鏡筒504(502,503,505)の周方向に等間隔に6箇所形成されている。排気通路10は、例えばドリル加工によって設けられた貫通孔である。排気通路10をドリル加工などによって形成した貫通孔とすることにより、例えば不活性ガスの流入量に応じた排気量を得るため、孔の内径を任意に設定することが可能である。
【0088】
フランジFLには露光装置のボディフレームに固定するための締結部材(ボルト)用の軸方向に貫通した取付孔(図示せず)が複数箇所設けられており、フランジ内排気通路20は、この取付孔を避けるようにして、その周方向に等間隔に6箇所放射状に延びるように形成されている。
【0089】
分割鏡筒504の上端面は適度に研磨されており、図4(a)に示すように、分割鏡筒504の上端面には、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の外側位置にシール部材30が配置されている。このシール部材30は、例えばOリングによって構成されている。このシール部材30の配置によれば、鏡筒PK内の不活性ガスが外部に漏れることがない。このOリングの代わりに、コーティングや貼り付けなどによって排気通路10の外側位置に設けられたフッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製のシートをシール部材30として使用することも可能である。
【0090】
分割鏡筒間のOリングなどのシール部材を設ける場合の変形例について説明する。
本実施形態では、図4(a)に示すように、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の外側位置にOリングなどのシール部材30を配置した場合を示したが、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の内側位置にOリングなどのシール部材30を設ける構成であってもよい。このシール部材30の配置では排気通路10のガスが装置外に漏れる可能性があるが、鏡筒PK内の不活性ガスが外部に漏れることがない。また、Oリングなどのシール部材30を各排気通路10の周りに配置してもよい。この場合、Oリングの形状は、排気通路10よりも一回り大きい外形を有するものを使用すればよい。
【0091】
また、分割鏡筒の接合部に溝を形成し、この溝を減圧排気することでリーク物質を排除することでもシール可能である。本減圧溝方式ではOリング等のシール部材30との併用も可能で、より好ましい。
【0092】
以上、分割鏡筒504について説明したが、第3結像光学系G3の他の分割鏡筒501,502,503,505についても同様の構成を有している。また、第1結像光学系G1の分割鏡筒301,302,303,304,305,306,307、第2結像光学系G2の分割鏡筒401等についてもシール部材30が配置されている。
【0093】
前述したように、投影光学系150(PL)の鏡筒PKは複数の分割鏡筒を接続することにより構成されている。図5は、分割鏡筒のうち、可変絞りユニットASを支持する分割鏡筒503とレンズ12を支持する分割鏡筒504とを接続した状態を示している。図5に示すように、分割鏡筒503の排気通路10と分割鏡筒504の排気通路10も互いに接続されている。
【0094】
分割鏡筒503と分割鏡筒504との間で且つ排気通路10の外側にはシール部材30が設けられている。したがって、鏡筒PKの外部から分割鏡筒503と分割鏡筒504との接続面を介して不純物ガス(酸素などの吸光物質)が侵入することがない。万が一侵入したとしても鏡筒PK内部に至る前に排気通路10内に流入してしまい、該排気通路10内を流れる不活性ガス等とともにフランジ内排気通路20に運ばれて排気されるので問題はない。
【0095】
分割鏡筒503と分割鏡筒504とを接続する際には、分割鏡筒504の上に分割鏡筒503を載せ、それぞれの分割鏡筒503,504の排気通路10がつなぎ合わさるように且つ各分割鏡筒503,504の中心軸(光軸)が互いに一致するようにして、分割鏡筒503を分割鏡筒504上で摺動させて位置合わせを行う。他の分割鏡筒と同様に、分割鏡筒503は、重量が重いので、分割鏡筒504上での摺動を可能にするように分割鏡筒503を若干持ち上げ、シール部材30のシール効果を維持しつつ動かして位置合わせを行う。位置合わせの終了後、分割鏡筒503と分割鏡筒504とをボルト等の固定部材(図示せず)によって固定する。なお、図5に示すように本実施形態では各分割鏡筒が直胴状になっているが、図6に示すように、分割鏡筒の端部にフランジ部31を設け、このフランジ部30を介して分割鏡筒どうしをボルトなどの固定部材により互いに接続するようにしてもよい。この場合、接続面が大きくなるので、シール部材30を設けやすくなるとともに、分割鏡筒を固定する際、ボルトやクランプ等の固定部材も設けやすくなる。
【0096】
以上、分割鏡筒503と分割鏡筒504とを接続する場合について説明したが、第3結像光学系G3の他の分割鏡筒501,502,503,505、第1結像光学系G1の分割鏡筒301,302,303,304,305,306,307、第2結像光学系G2の分割鏡筒401等の分割鏡筒どうしの接続についても同様にして行われる。
【0097】
次に、上述のように構成された給排気装置Sによって鏡筒PK内に形成された露光光ELの光路空間である密閉室H内に不活性ガスを供給、排気する方法及び密閉室Hに不活性ガスが供給された露光装置100を用いてレチクル220に形成されたパターン像をウエハ230に露光する方法について説明する。
【0098】
不活性ガス供給装置203から不活性ガスが配管215及び配管バルブ207を通って密閉室Hの上端部に供給される。供給された不活性ガスは各レンズを支持するフレームに形成された開口を介して密閉室H全体に行き渡る。不活性ガスは、密閉室Hの下端部に流れた後、密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや露光光を吸収する酸素などの不純物とともに密閉室Hの下端部の排気開口部11から排気通路10内に流入する。次いで、不活性ガス、脱ガス、不純物等は、排気通路10内を上昇してフランジFLが形成される高さ位置とほぼ同じである排気通路10の上端部に至り、この上端部からフランジ内排気通路20に流れる。この後、不活性ガス、脱ガス、不純物等は、フランジ内排気通路20から配管バルブ211及び配管21を通って不活性ガス回収装置204に送られる。不活性ガス回収装置204では不活性ガスを回収し、再生する。
【0099】
以上、投影光学系150(PL)の鏡筒PK内に不活性ガスを供給する方法について説明したが、照明光学系120の照明系チャンバ133についてもバルブ205,209を開き、照明系チャンバ133内の空気を排気する一方、照明系チャンバ133内に不活性ガスを供給して、照明系チャンバ133内を不活性ガスで充満させる。また、レチクル室142についてもバルブ206,210を開き、レチクル室142内の空気を排気する一方、レチクル室142内に不活性ガスを供給して、レチクル室142内を不活性ガスで充満させる。さらに、投影光学系150の先端とウエハ操作部160に保持されたウエハ230との間の空間(特定空間)181についても、バルブ208,212,213を開き、局所ガス給排気部180によって不活性ガスを所定の方向から流すことにより、特定空間181内の吸光物質を排除する。
【0100】
なお、レチクル室142も特定空間181と同様に密閉しない構造にし、不活性ガスを所定の方向から流してレチクル室142内の吸光物質を排除するように局所的にパージするように構成してもよい。
【0101】
このようにして光源110からウエハ230に至るまでの光路全体にわたって露光光ELがほとんど吸収されることのない雰囲気が形成される。光路空間を形成する密閉室H内の不活性ガスの濃度が所定値に達したら、レチクルステージ141に支持されたレチクル220に照明光学系120より露光光ELを照明し、レチクル220に形成されたパターンの像を、投影光学系150を介してウエハ230に転写する。ここで、不活性ガスの濃度の所定値とは、真空紫外線光である露光光ELの光量を減衰させることなく所望の精度でパターン形成することができる程度の不活性ガス濃度値である。光路空間内の不活性ガスの濃度が所定値に達したか否かは、光路空間の一部に設けられた不活性ガス濃度計、あるいは吸光物質濃度計の計測値に基づいて判断される。
【0102】
本実施形態によれば、密閉室Hの上端部から不活性ガスを供給し、該不活性ガスが密閉室Hの下端部に流れた後、排気開口部11から排気通路10を通してフランジFLの高さ位置まで引き上げて、該フランジFL内に設けたフランジ内排気通路20を介して排気するようにしているので、鏡筒PKのフランジFLよりも下の部分(配管作業の困難な箇所)に排気用の配管を接続しなくても済む。また、フランジFL内部に排気通路20を形成しているので、フランジFLの有効活用を図ることができ、またこれにより排気用の配管の長さを可及的に短くすることが出来る。また、フランジFL自体は鏡筒PKの重量を支えるもので、充分に強度があり、フランジ内排気通路20を形成しても問題は生じない。さらに、密閉室H全体に不活性ガスを行き渡らせてから脱ガス、不純物等とともに排気することができ、密閉室H全体を比較的短時間のうちに不活性ガスで充満させることができる。
【0103】
また、密閉室H内の不活性ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うようにしたので、十分な光量を有する露光光ELで精度良く露光処理を行うことができる。
【0104】
図3は、図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図である。図3中、図2に示す部分と同一構成部分には同一符号が付してある。
本変形例では、排気通路10aの上端がフランジFLの高さ位置を越えるように排気通路10aを、鏡筒PK(分割鏡筒502,503,504,505)の壁部内に光軸に沿って形成し、該排気通路10aを、鏡筒PKの上端部とフランジFLとの間の位置(分割鏡筒502のフランジFLよりも高い位置)の外周面に形成した排気口12と連通させている。排気口12は、配管バルブ211及び配管21を介して不活性ガス回収装置204に接続されている。排気通路10aは鏡筒PKの周方向に沿って等間隔に6箇所形成され、排気口12は排気通路10aに合わせて鏡筒PKの周方向に沿って等間隔に6箇所形成されている。
【0105】
本変形例においても、不活性ガス供給装置203から不活性ガスが配管215及び配管バルブ207を通って密閉室Hの上端部に供給され、供給された不活性ガスは各レンズを支持するフレームに形成された開口を介して密閉室H全体に行き渡る。不活性ガスは、密閉室Hの下端部に流れた後、密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや露光光を吸収する酸素などの不純物とともに密閉室Hの下端部の排気開口部11から排気通路10a内に流入し、該排気通路10a内を上昇して排気通路10aの上端部に至り、この上端部からフランジFLよりも高い位置にある排気口12から配管バルブ211及び配管21を通って不活性ガス回収装置204に送られる。不活性ガス回収装置204では不活性ガスを回収し、再生する。
【0106】
本変形例によれば、鏡筒PKのフランジFLよりも下の部分(配管作業の困難な箇所)に排気用の配管を接続しなくても済む。また、フランジFL内部にフランジ内排気通路20を形成する代わりに、排気通路10aをフランジFLが形成された高さ位置よりも高い位置まで延ばし、鏡筒PK(分割鏡筒502)の外周面に排気通路10aに連通する排気口12を設けているので、フランジFLの内部にフランジ内排気通路20を形成する場合に比して加工が簡単である。また、図2に示す場合にあっては、フランジFLの取付孔の位置を回避するようにフランジ内排気通路20を形成していて、フランジFLの取付孔の位置に拘束されるが、図3の変形例では排気口12の位置にこのような拘束がなく、設計の自由度がある。
【0107】
図2の本実施の形態及び図3の変形例では、排気通路10,10aをいずれも鏡筒PKの壁内部に形成した場合を示したが、例えば鏡筒PKの外周面又は内周面にパイプを沿わせて固定し、このパイプを排気通路10,10aとしてもよい。また、このパイプを光軸方向に延びるように直線状に形成する他に螺旋状に形成するようにしてもよい。
【0108】
密閉室Hから排気された不活性ガス、脱ガス、不純物等から不活性ガスを不活性ガス回収装置204によって回収し、再生するようした場合を説明したが、不活性ガスを回収、再生することなく、脱ガス等とともにそのまま外部に排気するようにしてもよい。
【0109】
本実施形態では、反射屈折系で構成される投影光学系について説明したが、投影光学系の構成は、この構成に限られるものではない。例えば、屈折光学部材(レンズ)で構成される屈折系の投影光学系、あるいは、反射光学部材(反射ミラー)で構成される反射系の投影光学系であってもよい。
【0110】
本実施形態の露光装置として、ステップ・アンド・スキャン型投影露光装置を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばレチクル220とウエハ230とを静止した状態でレチクル220のパターンを照明し、ウエハ230を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置にも適用することが出来る。
【0111】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば角形のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置や薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0112】
本実施形態においては、露光用ビームとしてF2レーザー光を用いた場合を示したが、これに限定されるものではなく、例えばKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)などを用いることもできる。
【0113】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のガス給排気方法や請求項5に記載の給排気装置によれば、密閉室の他端部に流れたガスを、該他端部から密閉室の外に排気するのではなく、一旦フランジやフランジと密閉室の一端部との間の位置(フランジよりも上の部分)まで戻し、フランジから又はフランジと密閉室の一端部との間の位置から密閉室の外に排気するようにしているので、密閉室を構成する筒体のフランジと筒体の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部から他端部に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室の壁部自身からの脱ガスや密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は次第に不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0114】
請求項2に記載のガス給排気方法や請求項6に記載の給排気装置によれば、密閉室の壁内部に排気通路を形成し、この排気通路を介して、密閉室の他端部に流れたガスを、フランジから又は該フランジと密閉室の一端部との間から密閉室の外に排気するようにしているので、密閉室の他端部に流れたガスを一旦フランジやフランジと密閉室の一端部との間の位置まで戻すための配管を、密閉室を構成する筒体に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0115】
請求項3に記載のガス給排気方法や請求項7に記載の給排気装置によれば、フランジの内部に排気通路と連通するフランジ内排気通路を形成して、密閉室の他端部に流れたガスを、排気通路及びフランジ内排気通路を介して密閉室の外に排気するようにしているので、ガス等を排気するための配管の長さを可及的に短くすることが可能となる。
【0116】
請求項4に記載のガス給排気方法や請求項8に記載の給排気装置によれば、フランジと密閉室の一端部との間の位置(フランジよりも上の部分)に排気通路と連通する排気口を形成して、密閉室の他端部に流れたガスを、排気通路及び排気口を介して前記密閉室の外に排気するようにしているので、ガス等を排気するための配管がより容易となる。
【0117】
請求項9に記載の鏡筒よれば、鏡筒の一端部とフランジとの間からガスを供給するガス給気装置と、鏡筒の他端部に流れたガスを、フランジから又はフランジと鏡筒の一端部との間(フランジよりも上の部分)から鏡筒の外に排気する排気機構とを含むので、鏡筒のフランジと鏡筒の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部から他端部に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0118】
請求項10に記載の鏡筒によれば、鏡筒の壁内部に鏡筒の他端部から一端部に向けて延びる排気通路を形成し、この排気通路を介して、鏡筒の他端部に流れたガスを、フランジから又は該フランジと鏡筒の一端部との間から鏡筒の外に排気するようにしているので、鏡筒の他端部に流れたガスを一旦フランジやフランジと鏡筒の一端部との間の位置まで戻すための配管を、鏡筒に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなく、ガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0119】
請求項13に記載の露光装置によれば、投影光学系は複数の光学素子で構成され、該複数の光学素子は請求項9乃至12のいずれかに記載の鏡筒で保持されているので、鏡筒のフランジと鏡筒の他端部との間(鏡筒のフランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部から他端部に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、パターンの転写を精度良く行うことが出来る。
【0120】
請求項18に記載の露光方法によれば、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室内にガスを供給する一方、ガスが密閉室の他端部に流れた後、ガスを密閉室の外に排気するガス給排気を、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス給排気方法によって行い、密閉室内の前記ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うようにしているので、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室のガスの給排気は、密閉室を構成する筒体のフランジと筒体の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、比較的短時間で密閉室内のガスの濃度が所定値に達する。さらに、密閉室内のガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うので、精度良く露光処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス供給装置及び露光装置の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の露光装置に装備される投影光学系(鏡筒)の実施態様を示す縦断面図である。
【図3】図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図4(a)は図2又は図3の分割鏡筒504の壁部内に形成された排気通路を示す横断面図である。図4(b)は図4(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図5】分割鏡筒503と分割鏡筒504とが接合された状態を示す縦断面図である。
【図6】分割鏡筒の接続部の他の実施態様を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
10 排気通路
11 排気用開口部
12 排気口
20 フランジ内排気通路
21 配管
150 投影光学系
203 不活性ガス供給装置
204 不活性ガス回収装置
207,211 配管バルブ
215 配管
PK 鏡筒
H 密閉室
S 給排気装置
【0001】
【背景技術】
従来より、半導体デバイスや液晶表示デバイスを、リソグラフィ技術を用いて製造する際には、パターンが形成されたマスクに露光用照明光(露光光)を照射し、このマスクのパターンの像を、投影光学系を介してフォトレジスト等の感光剤が塗布された半導体ウエハやガラステンプレート等の感光性基板上に投影露光する露光装置が使用されている。近年においては、基板上のショット領域に投影されるパターン形状の微細化の要求に伴い、使用される露光光は短波長化される傾向にあり、これまでの水銀ランプに代わってKrF(クリプトンフッ素)エキシマレーザ(248nm)、ArF(アルゴンフッ素)エキシマレーザ(193nm)を用いた露光装置が実用化されつつある。また、更なるパターン形状の微細化を目指してF2(フッ素)レーザ(157nm)を用いた露光装置の開発も進められている。
【0002】
露光光の波長が180nm以下といった真空紫外線光の場合、露光光の通過する空間である光路空間内に酸素分子、水分子、二酸化炭素分子、有機物などと言った、かかる波長域の光に対し強い吸収特性を備える物質(以下「吸光物質」という)が存在していると、露光光は吸光物質によって吸収されてしまい十分な強度で基板上に到達できない。したがって、真空紫外線光を用いた露光装置では、十分な光量を有する露光光でマスクのパターン像を基板上に転写するために、露光光の通過する光路空間を密閉室として外部からの吸光物質の流入を遮断するとともに、露光処理を行うに際し光路空間内に存在する吸光物質を低減する作業が行われるようになっている。従来、光路空間内の吸光物質を低減する方法としては、露光光に対する吸収性の少ない特性を有する、ヘリウム、アルゴン、窒素などといった物質(以下「不活性ガス」という)を光路空間内に供給してこの光路空間を不活性ガスで満たすといった方法がある。
【0003】
ところで、上述したような露光装置において、露光光の通過する光路空間には鏡筒により保持されている光学素子(レンズ)が複数配置されており、光路空間はこの鏡筒によって密閉室とされている。そして、密閉室である鏡筒の上部には外部よりガス供給用の配管が接続され、この配管を介して鏡筒の上部に不活性ガスが供給され、不活性ガスが鏡筒の下部まで流れた後、鏡筒の下部に接続した排気用の配管を介して鏡筒の下部から不活性ガスや吸光物質を含む不純物等が鏡筒の外に排気されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鏡筒は、その外周面の所定高さ位置に形成したフランジを介して露光装置のボディフレーム上に搭載されており、フランジがボディフレームの上端面に固定される。鏡筒のフランジよりも上方部分はボディフレームの上端面から起立して突出するが、鏡筒のフランジよりも下方部分はボディフレームの上端面に形成した取り付け穴から挿入されて、ボディフレーム内に収容される。このため、鏡筒のフランジよりも上方部分は、ボディフレームによって囲まれておらず、その周囲は空間的な余裕が比較的あるのに対し、鏡筒のフランジよりも下方部分は取り付け穴やボディフレームによって囲まれていて、その周囲は空間的な余裕がない。また、鏡筒の最下端部はウエハステージに接近し、該ウエハステージの周囲にはウエハステージ関連の周辺機器が配置されていて、鏡筒の最下端部の周囲は特に空間的な余裕がない。
【0005】
したがって、鏡筒に対して外部から配管を接続する際、鏡筒のフランジよりも下の下方部分では配管を接続するのが困難であり、特に鏡筒の最下端部では配管を接続するのが非常に困難である。
【0006】
このように、露光装置のボディフレーム内では、空間的な余裕がなく、配管作業が煩雑となって作業時の負担が大きくなり、作業性が低下する。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガスの排気通路を作業性良く容易に構築することができるガス給排気方法及びガス給排気装置を提供することを目的とする。
【0007】
また、ガスの排気通路が作業性良く構築されるとともに、鏡筒自体の組み立て作業や調整作業の能率を向上させることができる鏡筒を提供することを目的とする。
【0008】
さらに、投影光学系としてこの鏡筒を備えることにより精度良い露光処理を行うことができる露光装置、光路空間内の吸光物質を低減することによって精度のよい露光処理を行うことができる露光方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する、本発明の請求項1に記載のガス給排気方法は、密閉室(H)の一端部(例えば密閉室の上端部)からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部(例えば密閉室の下端部)に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気方法において、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジ(FL)から又は該フランジ(FL)と前記密閉室(H)の一端部との間から前記密閉室の外に排気することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に記載の給排気装置は、密閉室の一端部(例えば密閉室の上端部)からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部(例えば密閉室の下端部)に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気装置において、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジ(FL)から又は該フランジと前記密閉室(H)の一端部との間から前記密閉室の外に排気する排気機構(10,11,12,20,21,211,204)を備えてなることを特徴とする。
【0011】
すなわち、密閉室の他端部(下端部)に流れたガスは、該他端部から密閉室の外に排気されるのではなく、一旦フランジやフランジと密閉室の一端部(上端部)との間の位置まで戻され、この後フランジから又はフランジと密閉室の一端部との間の位置から密閉室の外に排気される。
【0012】
本発明の給排気方法、装置によれば、密閉室を構成する筒体のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室の壁部自身からの脱ガスや密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は次第に不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0013】
上述のガス給排気方法、ガス給排気装置において、前記密閉室の壁内部に排気通路(10)を形成し、この排気通路を介して、前記密閉室の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記密閉室の一端部との間から前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0014】
これにより、密閉室の他端部(下端部)に流れたガスを一旦フランジやフランジと密閉室の一端部(上端部)との間の位置まで戻すための配管を、密閉室を構成する筒体に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0015】
また、前記フランジの内部に前記排気通路と連通するフランジ内排気通路(20)を形成して、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、排気通路(10)及びフランジ内排気通路(20)を介して前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0016】
これにより、ガス等を排気するための配管の長さを可及的に短くすることが可能となる。
また、前記フランジと前記密閉室の一端部(上端部)との間の位置に前記排気通路と連通する排気口(12)を形成して、前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、排気通路(10)及び排気口(12)を介して前記密閉室の外に排気することが好ましい。
【0017】
これにより、ガス等を排気するための配管がより容易となる。
また、本発明の請求項9に記載の鏡筒は、複数の光学素子(L1乃至L13等)を保持し、外周にフランジ(FL)が形成された鏡筒(PK)において、前記鏡筒(PK)の一端部と前記フランジ(FL)との間からガスを供給するガス給気装置(203,207,215)と、前記鏡筒(PK)の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記鏡筒の一端部との間から前記鏡筒の外に排気する排気機構(10,11,12,20,21,211,204)とを含むことを特徴とする。
【0018】
本発明の鏡筒によれば、鏡筒のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0019】
上述の鏡筒において、前記鏡筒の壁内部に該鏡筒の他端部から一端部に向けて延びる排気通路(10)を形成し、この排気通路を介して、前記鏡筒の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記鏡筒の一端部との間から前記鏡筒の外に排気することが好ましい。
【0020】
これにより、鏡筒の他端部(下端部)に流れたガスを一旦フランジやフランジと鏡筒の一端部(上端部)との間の位置まで戻すための配管を、鏡筒に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0021】
また、本発明の請求項13に記載の露光装置は、マスク(220)に形成されたパターンを所定面上に転写する投影光学系(150)を備える露光装置において、前記投影光学系は複数の光学素子(L1乃至L13等)で構成され、該複数の光学素子は請求項9乃至12のいずれかに記載の鏡筒(PK)で保持されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の露光装置によれば、投影光学系の複数の光学素子を保持する鏡筒として上述した本発明の鏡筒を備えることにより、鏡筒のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、パターンの転写を精度良く行うことが出来る。
【0023】
また、本発明の請求項18に記載の露光方法は、露光光(EL)を用いてパターンを被露光基板(230)に転写露光する露光方法において、前記露光光の光路を含む空間を形成する密閉室(H)内にガスを供給する一方、該ガスが前記密閉室(H)の他端部に流れた後、前記ガスを前記密閉室(H)の外に排気するガス給排気を、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス給排気方法によって行い、前記密閉室(H)内の前記ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うことを特徴とする。
【0024】
本発明の露光方法によれば、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室のガスの給排気は、密閉室を構成する筒体のフランジの下方部分に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部(上端部)から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、比較的短時間で密閉室内のガスの濃度が所定値に達する。さらに、密閉室内のガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うので、精度良く露光処理を行うことが出来る。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下本発明のガス給排気方法、ガス給排気装置、鏡筒、露光装置及び露光方法の実施形態について図1乃至図6を参照して説明する。
【0026】
図1は本発明のガス供給装置及び露光装置の一実施形態を示す全体構成図、図2は図1の露光装置に装備される投影光学系(鏡筒)の一実施態様を示す縦断面図、図3は図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図、図4(a)は図2又は図3の分割鏡筒504の壁部内に形成された排気通路を示す横断面図、図4(b)は図4(A)のA−A線に沿う断面図、図5は分割鏡筒503と分割鏡筒504とが接続された状態を示す縦断面図、図6は分割鏡筒の接続部の他の実施態様を示す部分縦断面図である。
【0027】
まず本実施形態の露光装置の全体構成及び動作について、図1を参照して説明する。
本実施形態においては、露光用ビームとしてF2レーザー光を用いるステップ・アンド・スキャン型投影露光装置を例示して本発明を説明する。
【0028】
露光装置100は、光源110、照明光学系120、レチクル操作部140、投影光学系(PL)150、ウエハ操作部160、アライメント系170、局所ガス供給部(パージ部)180、環境制御系200及び図示せぬ制御部等を有する。
【0029】
なお以下の説明においては、投影光学系150の光軸と直交して紙面と垂直な方向をX方向、投影光学系150の光軸と直交して紙面と平行な方向をY方向、また、X、Y方向と直交して投影光学系150の光軸と平行な方向をZ方向とする。
【0030】
光源110は、真空紫外域である波長157nmのパルスレーザー光を発生するF2レーザーである。光源110より出射された光ビームは、照明光学系120に入射される。
【0031】
照明光学系120は、光源110より射出された光ビームの整形及び照度の均一化等の処理を行い、生成した露光光を転写すべきパターンが形成されたレチクル(R)220に照射する。
【0032】
照明光学系120は、可動ミラーを有し光源110より射出された光ビームの位置合わせを行うビームマッチングユニット(BMU)121、光ビームの減光率を調整する可変減光器としての光アッテネータ122、光ビームを整形するビーム整形光学系123、露光光の光量分布を調整するオプティカル・インテグレータとしてのフライアイレンズ124、露光光の光量分布を円形、複数の偏心領域、輪状帯などで決定して照明条件を決定する開口絞り125、露光光量検出のために光ビームを分岐するビームスプリッタ126、ミラー127及び131、リレーレンズ128及び130、照明領域を規定するレチクルブラインド(視野絞り)129、コンデンサレンズ系132及びこれらを収容する照明系チャンバ133を有する。
【0033】
このような照明光学系120においては、光源110より射出された光ビームは、ビームマッチングユニット121において光軸が照明光学系120の光軸と一致するように調整され、光アッテネータ122に入射される。光アッテネータ122の減光率は、図示せぬ制御部からの制御信号に基づいて段階的又は連続的に調整されるようになっており、これにより露光光量の調整がなされる。なお、露光光量の調整は、光源110における光ビームの出力エネルギーの制御と合わせて行われる。
【0034】
光アッテネータ122を通過した光ビームは、ビーム整形光学系123において断面形状が整形され、フライアイレンズ124において光量分布が均一化された後、開口絞り125を介してビームスプリッタ126に入射される。
【0035】
ビームスプリッタ126は、透過率が高く反射率が低いビームスプリッタ126であって、これにより反射された光は、図示せぬインテグレータセンサに入射され光量が計測される。そして、計測された光量、及び、予め記憶されているビームスプリッタ126の透過率あるいは反射率に基づいて、図示せぬ制御部において露光光ELの光量が検出され、これに基づいてその光量の制御が行われる。
【0036】
ビームスプリッタ126を通過した露光光ELは、ミラー127によりほぼ水平方向に反射され、リレーレンズ128を介してレチクルブラインド129に達する。
【0037】
レチクルブラインド129は、レチクル220のパターン面と光学的にほぼ共役な面に配置された、レチクル220のパターン面の照明領域外(露光範囲外)を覆うことによりレチクル220の照明領域を規定する遮光板である。レチクルブラインド129は、固定ブラインド及び可動ブラインドを有し、露光光ELが照射されるレチクル220の照明領域を、投影光学系150の円形視野内で露光光ELの光軸を中心としてX方向に延びる矩形形状に規定する。またレチクルブラインド129は、走査露光中、レチクル220が移動される走査方向(本実施形態ではY方向)の照明領域の幅を所定の幅に制御する。
【0038】
レチクルブラインド129を通過した露光光ELは、リレーレンズ130、ミラー131及びコンデンサレンズ系132を介してレチクル操作部140に入射され、レチクル220のパターン面上の所定の領域を照明する。
【0039】
照明光学系120のこれらビームマッチングユニット121からコンデンサレンズ系132に至る各構成部は、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガス(透過性ガス、例えばヘリウム、窒素等)、若しくはこれらヘリウム、窒素等の混合ガスを充満させた照明系チャンバ133内に収容されている。
【0040】
照明系チャンバ133は、バルブ209を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ205を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ205及びバルブ209をそれぞれ開くことによって、照明系チャンバ133内の空気が排気される一方、照明系チャンバ133内に不活性ガスが供給されて、照明系チャンバ133内の空気が不活性ガスに置換される。
【0041】
レチクル操作部140は、投影光学系150と照明光学系120との間に設けられ、レチクル(マスク)220を保持し、照明光学系120より出射され投影光学系150に入射される露光光ELにレチクル220上のパターンの所望の領域が適切に照射されるように、その位置、姿勢を制御する。
【0042】
レチクル操作部140は、レチクルステージ141、図示せぬレーザー干渉計システム及びレチクル室142を有する。
レチクルステージ141は、所定のストロークでY方向に移動可能に、またXY平面内で回転方向及び並進方向に微動可能に、レチクル220を保持する。 レチクルステージ141は、図示しない少なくとも6つの測長軸を有するレーザー干渉計システムによって、X、Y方向の位置、X軸、Y軸及びZ軸回りの3つの回転量(ピッチング量、ローリング量、ヨーイング量)、及び、Z方向の位置(投影光学系150との間隔)が計測されている。レチクルステージ141は、これらの計測結果より図示せぬ制御部において生成される制御信号に基づいて、レチクル220を所望の位置、姿勢に調整し、また、走査露光時に、ウエハ230の移動に同期して、露光光ELの照明領域に対してレチクル220を走査方向(Y方向)に所定の速度で移動する。
【0043】
レチクルステージ141は、露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを充満させたレチクル室142に収容されている。
レチクル室142は、バルブ210を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ206を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ206及びバルブ210をそれぞれ開くことによって、レチクル室142内の空気が排気される一方、レチクル室142内に不活性ガスが供給されて、レチクル室142内の空気が不活性ガスに置換される。
【0044】
投影光学系150(PL)は、レチクル220のパターンの縮小像を、露光光ELの照明領域と共役な露光領域(ウエハ230での露光光ELの照射領域)に形成する両側テレセントリックな縮小系である。すなわち、レチクル220のパターンの像は、投影光学系150により所定の縮小倍率α(αは例えば1/4、1/5等)で縮小され、ウエハ操作部160のウエハステージ上に載置されている予め表面にフォトレジストが塗布されたウエハ230上に投影される。
【0045】
なお、本実施形態において露光光ELはF2レーザー光であるため、透過率のよい光学硝材は、螢石(CaF2)、フッ素や水素をドープした石英ガラス、及び、フッ化マグネシウム(MgF2)等に限られる。従って、投影光学系150を屈折光学部材のみで構成して所望の色収差特性等の結像特性を得るのは難しく、投影光学系150は、屈折光学部材と反射鏡を組み合わせた反射屈折系により構成する。
【0046】
投影光学系150においては、レチクル220側の光学部材(光学素子)からウエハ230側の先端の光学部材までの全ての光学部材(投影光学系150内の露光光ELの全光路)は、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを充満させた鏡筒PK内に収容されている。
【0047】
鏡筒PKは、その外周に形成したフランジFL(図2又は図3参照)を介して露光装置の図示しないボディフレームに搭載され、固定されている。鏡筒PKは、バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に接続され、またバルブ207を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。従って、バルブ207及びバルブ211をそれぞれ開くことによって、鏡筒PK内の空気が排気される一方、鏡筒PK内に不活性ガスが供給され、鏡筒PK内の空気が不活性ガスに置換される。
【0048】
不活性ガスの給排気装置Sの部分及び該給排気装置を装備した鏡筒PK及び投影光学系150の詳細については後で図2乃至図6を参照して説明する。
ウエハ操作部160は、露光対象のウエハ(感応基板)230を保持し、その位置を制御して、これを投影光学系150から出射される露光光ELによるレチクル220のパターンの像の照射対象として供する。また、走査露光時には、レチクル操作部140におけるレチクル220の移動と同期して、ウエハ230の位置を順次移動させる。
【0049】
ウエハ操作部160は、ウエハ230を保持するウエハステージ161、ウエハステージの位置及び姿勢を検出するレーザー干渉計システム162、ウエハステージを駆動するステージ駆動系163及びウエハローダ部164を有する。
【0050】
ウエハステージ161は、ベース盤上に支持されステージ駆動系によりベース盤上をXY2次元に自在に移動可能なステージ本体、3個のZ方向アクチュエータによってステージ本体上に支持されZ方向の位置及びXY平面における傾きを調整する調整用ステージ、及び、調整用ステージ上に支持されウエハ230を表面に形成された吸着孔からの真空吸引力の作用により吸着し保持するウエハホルダを有し、ウエハローダ部164によって搬送され載置されたウエハ230を、ウエハホルダ上に所望の姿勢で保持し、露光に供する。
【0051】
レーザー干渉計システム162は、少なくとも5つの測長軸を有し、調整用ステージに形成される反射面にレーザービームを照射して、ウエハステージのX、Y方向の位置情報、及び、X軸、Y軸及びZ軸回りの3つの回転量、すなわち、ピッチング量、ローリング量及びヨーイング量を計測する。
【0052】
ステージ駆動系163は、ベース盤上に支持されたウエハステージをX,Y2次元方向に自在に移動させる。
ウエハローダ部164は、露光装置100に投入されたウエハカセットより露光処理対象のウエハ230を取り出し、ウエハステージ161のウエハホルダ上に載置する。また、露光処理の終了したウエハ230をウエハステージより回収して、新たなウエハカセットの所定の位置に収容する。
【0053】
アライメント系170は、ウエハ操作部160に保持されたウエハ230の位置を検出し所望の位置にウエハ230の位置を位置決めするために、ウエハ230のアライメントマーク及びウエハ操作部160のウエハステージに設けられる基準マーク等を検出し、検出結果を図示せぬ制御部に出力する。
【0054】
アライメント系170は、例えばハロゲンランプから発生される広帯域の光でマークを照射し、当該マークを撮像素子(CCD)で検出して得られる画像信号を制御部に出力する。制御部においては、この画像信号を波形処理して、その位置情報を検出する。
【0055】
局所ガス給排気部(局所流体給排出部)180は、投影光学系150の先端の光学部材と、ウエハ操作部160に保持されたウエハ230との間の空間(特定空間)181に不活性ガスを所定の方向から流すことにより、特定空間181内の吸光物質を排除する。また、これにより、ウエハ230のレジストから発生するアウトガスが先端の光学部材に付着するのを抑制する。
【0056】
環境制御系200は、露光装置100本体の設置環境及び露光装置100内の露光光ELの経路等を所望の状態に整えるための構成部である。
環境制御系200は、チャンバ201、フィルタ202及び給排気装置S(不活性ガス供給装置203、不活性ガス回収装置204)を有する。
【0057】
チャンバ201は、露光装置100全体を収容する環境制御チャンバ(エンバイロンメンタル・チャンバ)である。チャンバ201内には空調装置が設けられており、露光装置100に対して温度や湿度が調整されたエアーが送風され、露光装置100の設置環境が所望の状態に維持されている。
【0058】
フィルタ202は、露光装置100が設置されているチャンバ201内を清浄化するために、化学吸着及び物理吸着によりケミカルコンタミ等の不純物を除去する不純物除去フィルタ及び塵埃を除去するパーティクル除去フィルタである。前述したように、露光装置100はチャンバ201内に設けられており、フィルタ202はチャンバ201内の空調装置の風上部に設置されている。その結果、チャンバ201内においては、露光装置100に対して清浄なエアーが供給されることとなり、露光装置100の周囲から露光装置100へのケミカルコンタミ等の不純物の侵入を防止することができる。
【0059】
給排気装置Sの不活性ガス供給装置203は、照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142、投影光学系150の鏡筒152及び局所ガス給排出部180に、F2レーザー光である露光光ELに対してエネルギー吸収の少ない不活性ガスを供給する。
【0060】
具体的には、不活性ガス供給装置203は、露光装置100の全体が収納されているチャンバ201の外部に設置され、不活性ガスが高純度の状態で圧縮又は液化され貯蔵されたボンベである。そして、図示せぬ制御部の制御によりバルブ205乃至208が各々開閉されることにより、前述した各構成部へ不活性ガスを供給する。
【0061】
なお、本実施の形態の露光装置100においては、波長157nmの真空紫外光を露光光ELとして使用しており、この露光光ELの吸光物質としては、酸素(O2)、水(水蒸気:H2O)、一酸化炭素(CO)、炭酸ガス(二酸化炭素:CO2)、有機物及びハロゲン化物等があり、一方、エネルギー吸収がほとんどなく、これを透過する気体としては、窒素ガス(N2)、水素(H2)及び、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)、ラドン(Rn)、よりなる希ガスがある。また、投影光学系とウエハとの間に液体を供給する場合は、水やフッ素系不活性オイルがある。
【0062】
従って、不活性ガス供給装置203で供給する不活性ガスとしては、窒素ガス又は希ガスが好適である。本実施の形態においては、不活性ガス供給装置203は窒素ガスを供給するものとする。
【0063】
なお、窒素ガスは、波長が150nm程度までは透過性ガスとして使用することができるが、150nm以下の光に対しては吸光物質として作用する。一方、ヘリウムガスは、波長が100nm程度まで透過性ガスとして使用することができる。また、ヘリウムガスは熱伝導率が窒素ガスの約6倍であり、気圧変化に対する屈折率の変動量が窒素ガスの約1/8である。
【0064】
従って、より透過率を高くし光学系の特性を安定させたい場合や、露光光ELの波長が150nm以下のような場合には、コストは高くなるものの、不活性ガス(透過性ガス)としてヘリウムガスを使用することが望ましい。
【0065】
給排気装置Sの不活性ガス回収装置204は、不活性ガス供給装置203より不活性ガスが供給される各部、すなわち、前述した照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142、投影光学系150の鏡筒152及び局所ガス給排出部180の排気を行う真空ポンプである。
【0066】
不活性ガス回収装置204は、照明光学系120の照明系チャンバ133、レチクル操作部140のレチクル室142及び投影光学系150の鏡筒152については、前述したように、不活性ガス供給装置203より不活性ガスが供給される前に各容器内の空気を吸引排気する。
【0067】
また、局所ガス給排出部180については、不活性ガス回収装置204が、露光処理中常にバルブ212,213を介して真空吸引力を作用させ続け、不活性ガス供給装置203より供給される不活性ガスを含む特定空間181内の気体を排気する。これにより不活性ガスが特定空間181内をある程度の速度で流れることとなり、ウエハ230より発生するアウトガスを特定空間181より排気することができる。
【0068】
図示せぬ制御部は、露光装置100において全体として所望の露光処理が行われるように、露光装置100の各構成部を制御する。
具体的には、ウエハローダ部による露光装置100に投入されたウエハのウエハステージへのローディング及び露光の終了したウエハのアンローディング、アライメント系170により検出された信号に基づくアライメントマークの位置検出のための信号処理、検出したウエハステージ及びウエハの位置に基づくステージ駆動系の制御、及び、走査露光時のレチクル220及びウエハ230の移動、及び、位置及び姿勢の制御等を行う。
【0069】
また、制御部は、照明光学系120のインテグレータセンサで検出したビームスプリッタ126での反射光の光量、及び、予め記憶しているビームスプリッタ126の透過率あるいは反射率に基づいて、投影光学系150に対する光の入射光量及びウエハ230上での光量を検出する。この検出結果に基づいて、光源110の発光の開始及び停止、発振周波数、及び、パルスエネルギーで定まる出力を制御し、また、光アッテネータ122における減光率を調整し、最終的にウエハ230に対する露光光ELの光量を制御する。
【0070】
次に、図2を参照して投影光学系150(PL)について詳細に説明する。
反射屈折光学系からなる投影光学系150は、レチクル220のパターンの第1中間像を形成するための屈折型の第1結像光学系G1と、凹面反射鏡CMと2つの負レンズL8,L9とから構成されて第1中間像とほぼ等倍の第2中間像(第1中間像とほぼ等倍像であってレチクルパターンの2次像)を形成するための第2結像光学系G2と、第2中間像からの光に基づいてウエハ(W)230上にレチクルパターンの最終像(レチクルパターンの縮小像)を形成するための屈折型の第3結像光学系G3とを備えている。
【0071】
第1結像光学系G1と第2結像光学系G2との間の光路中において第1中間像の形成位置の近傍には、第1結像光学系G1からの光を第2結像光学系G2に向かって偏向するための第1光路折り曲げ鏡1が配置されている。また、第2結像光学系G2と第3結像光学系G3との間の光路中において第2中間像の形成位置の近傍には、第2結像光学系G2からの光を第3光学結像系G3に向かって偏向するための第2光路折り曲げ鏡2が配置されている。第1中間像および第2中間像は、第1光路折り曲げ鏡1と第2結像光学系G2との間の光路中および第2結像光学系G2と第2光路折り曲げ鏡2との間の光路中にそれぞれ形成される。
【0072】
また、第1結像光学系G1は直線状に延びた光軸AX1を有し、第3結像光学系G3は直線状に延びた光軸AX3を有し、光軸AX1と光軸AX3とは共通の単一光軸である基準光軸AXと一致するように設定されている。なお、基準光軸AXは、重力方向(すなわち鉛直方向)に沿って位置決めされている。その結果、レチクル220及びウエハ230は、重力方向と直交する面、すなわち水平面に沿って互いに平行に配置されている。加えて、第1結像光学系G1を構成するすべてのレンズ及び第3結像光学系G3を構成するすべてのレンズも、基準光軸AX上において水平面に沿って配置されている。
【0073】
一方、第2結像光学系G2も直線状に延びた光軸AX2を有し、この光軸AX2は基準光軸AXと直交するように設定されている。さらに、第1光路折り曲げ鏡1および第2光路折り曲げ鏡2はともに平面状の反射面を有し、2つの反射面を有する1つの光学部材(1つの光路折り曲げ鏡FM)として一体的に構成されている。なお、この2つの反射面の交線(厳密にはその仮想延長面の交線)が第1結像光学系G1のAX1、第2結像光学系G2のAX2、および第3結像光学系G3のAX3と一点で交わるように設定されている。
【0074】
レチクル220のパターンの1次像(第1中間像)を形成するための第1結像光学系G1は、各レンズL2乃至L7から構成されている。また、投影光学系150のうち最もレチクル220側には、投影光学系150内のパージ空間の蓋の機能を有する平行平面板L1が設けられている。平行平面板L1およびレンズL2乃至L7は、分割鏡筒(サブバレル)301乃至307にそれぞれ収納されている。
【0075】
平行平面板1L及び各レンズL2乃至L7は、分割鏡筒301乃至307のそれぞれに、フレーム311乃至317を介して接続されている。なお、フレーム311乃至317には、投影光学系150の内部に流入される不活性ガス(ヘリウム、窒素等)を通過させるための開口が、その周方向に沿った複数の位置に設けられている。なお、平行平面板L1とフレーム311と分割鏡筒301との間は気密構造となっている。
【0076】
第1結像光学系G1には、レンズL2,L3,L4,L5,L6,L7を光軸方向(Z方向)へ移動させ、θx,θy方向へ傾斜させるためのアクチュエータが設けられている。このアクチュエータは、光軸から等距離であって周方向(θz方法)で異なる3箇所の位置にピッチ120°で設けられている。アクチュエータとしては、リニアモータ、ピエゾ素子、加圧流体または気体により駆動されるシリンダ機構などを用いることができる。3箇所のアクチュエータの駆動量を同量とすると、レンズのそれぞれを光軸方向へ移動させることができる。また、3箇所のアクチュエータの駆動量が各々異なるように設定することにより、レンズのそれぞれをθx,θy方向へ傾斜させることができる。また、レンズL3をXY平面内で移動させるためのアクチュエータが設けられている。
【0077】
投影光学系150(PL)は、第1光路折り曲げ鏡1及び第2光路折り曲げ鏡2が一体に形成された光路折り曲げ鏡FMを備えている。光路折り曲げ鏡FMは、例えば上面及び下面が直角二等辺三角形状である三角柱状の部材における2つの側面にアルミニウム等の金属を蒸着することにより形成されている。なお、金属膜の代わりに、誘電体多層膜を蒸着しても良い。また、第1光路折り曲げ鏡1及び第2光路折り曲げ鏡2を1つの部材上に形成する代わりに、2つの平面鏡を互いに直交するように保持しても良い。
【0078】
第2結像光学系G2は、レンズL8,L9と、凹面反射鏡CMとを備えている。この凹面反射鏡CMの材料としては、SiC或いはSiCとSiとのコンポジット材を用いることができる。このとき、脱ガス防止のために凹面反射鏡CM全体をSiCでコーティングすることが好ましい。また、凹面反射鏡CMの反射面は、アルミニウム等の金属を蒸着することにより形成される。なお、金属膜の代わりに、誘電体多層膜を蒸着しても良い。凹面反射鏡材料としては、低熱膨張材料を用いても良い。
【0079】
光路折り曲げ鏡FM及びレンズL8は分割鏡筒401に収納され、レンズL9は分割鏡筒402に収納され、凹面反射鏡CMは分割鏡筒403に収納されている。分割鏡筒401には、光路折り曲げ鏡FMを保持するための保持部材410が取り付けられている。この保持部材410と分割鏡筒401との間に、光路折り曲げ鏡FM(第1及び第2光路折り曲げ鏡)のθx,θy,θz方向の姿勢及びXYZ方向の位置を調整するための機構を設けても良い。また、第2結像光学系G2のレンズL8,L9は、支持部材411,412によってそれぞれ支持されており、凹面反射鏡CMは、支持部材413によって支持されている。
【0080】
第3結像光学系G3は、レンズL10乃至L13と可変開口絞りユニットASとを備えている。ここで、レンズL10は分割鏡筒501に収納され、レンズL11は分割鏡筒502に収納されている。この分割鏡筒502には、その外周所定高さ位置に露光装置のボディフレーム(図示せず)によって支持されるフランジFLが設けられている。
【0081】
可変開口絞りユニットASは分割鏡筒503に収納され、レンズ12,L13は分割鏡筒504,505にそれぞれ収納されている。レンズL10乃至L13は、セルによってそれぞれ保持されている。分割鏡筒501,502,504,505とセルはフレーム521,522,524,525によってそれぞれ接続されている。なお、フレーム521,522,524には、投影光学系150(PL)内部に流入される不活性ガス(ヘリウム、窒素等)を通過させるための開口が、その周方向に沿った複数の位置に設けられている。そして、レンズL13とセルとの間が気密構造となっている。また、第3結像光学系G3には、レンズL10乃至L12を光軸方向(Z方向)へ移動させ、θx,θy方向へ傾斜させるためのアクチュエータが設けられている。
【0082】
上記複数の分割鏡筒によって投影光学系150(PL)の各レンズ(光学素子)を保持する鏡筒PKが構成され、これら分割鏡筒のそれぞれを接続することによって、投影光学系150(PL)における露光光ELの光路空間である鏡筒PK内は密閉された密閉室Hとされている。
【0083】
次に、投影光学系150(PL)の鏡筒PK内である密閉室Hに不活性ガスを供給し、またこの密閉室Hから供給した不活性ガスを密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや不純物等とともに排気する給排気装置Sについて詳細に説明する。
【0084】
給排気装置Sは、密閉室Hの上端部から供給された不活性ガスが密閉室Hの下端部まで流れた後、該不活性ガスを排気する、密閉室Hの壁内部に形成された複数の排気通路10と、この排気通路10と連通する、フランジFLの内部に形成された複数のフランジ内排気通路20とを備える。
【0085】
密閉室Hの上端部は、配管215及び配管バルブ207を介して不活性ガス供給装置203に接続されている。
排気通路10は、第3結像光学系G3のレンズL11乃至L13及び可変絞りユニットASを保持する鏡筒PK(分割鏡筒502,503,504,505)の壁内部に光軸AX3方向に延びて形成されている。
【0086】
排気通路10の下端は、分割鏡筒505の内周面に形成した排気開口部11を介して密閉室Hの下端部内と連通しており、密閉室Hの下端部まで流れた不活性ガスはこの排気開口部11から脱ガスや不純物とともに排気通路10内に流入する。排気通路10の上端部は、フランジFLが形成されている分割鏡筒502の高さ位置まで延び、該上端部でフランジ内排気通路20の内端部(フランジFLの分割鏡筒502側の端部)と連通しており、排気通路10内を上昇した不活性ガス等は排気通路10の上端部からフランジ内通路20に流入する。フランジ内通路20の外端部は、フランジFLの外周面において配管21に接続され、該外端部から配管21及び配管バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に接続されている。フランジ内排気通路20に流入した不活性ガス等は、配管21、配管バルブ211を介して不活性ガス回収装置204に回収される。
【0087】
排気通路10は、図4(a)に示すように分割鏡筒504(502,503,505)の周方向に等間隔に6箇所形成されている。排気通路10は、例えばドリル加工によって設けられた貫通孔である。排気通路10をドリル加工などによって形成した貫通孔とすることにより、例えば不活性ガスの流入量に応じた排気量を得るため、孔の内径を任意に設定することが可能である。
【0088】
フランジFLには露光装置のボディフレームに固定するための締結部材(ボルト)用の軸方向に貫通した取付孔(図示せず)が複数箇所設けられており、フランジ内排気通路20は、この取付孔を避けるようにして、その周方向に等間隔に6箇所放射状に延びるように形成されている。
【0089】
分割鏡筒504の上端面は適度に研磨されており、図4(a)に示すように、分割鏡筒504の上端面には、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の外側位置にシール部材30が配置されている。このシール部材30は、例えばOリングによって構成されている。このシール部材30の配置によれば、鏡筒PK内の不活性ガスが外部に漏れることがない。このOリングの代わりに、コーティングや貼り付けなどによって排気通路10の外側位置に設けられたフッ素系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(登録商標))製のシートをシール部材30として使用することも可能である。
【0090】
分割鏡筒間のOリングなどのシール部材を設ける場合の変形例について説明する。
本実施形態では、図4(a)に示すように、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の外側位置にOリングなどのシール部材30を配置した場合を示したが、分割鏡筒504の内周面に対して排気通路10の内側位置にOリングなどのシール部材30を設ける構成であってもよい。このシール部材30の配置では排気通路10のガスが装置外に漏れる可能性があるが、鏡筒PK内の不活性ガスが外部に漏れることがない。また、Oリングなどのシール部材30を各排気通路10の周りに配置してもよい。この場合、Oリングの形状は、排気通路10よりも一回り大きい外形を有するものを使用すればよい。
【0091】
また、分割鏡筒の接合部に溝を形成し、この溝を減圧排気することでリーク物質を排除することでもシール可能である。本減圧溝方式ではOリング等のシール部材30との併用も可能で、より好ましい。
【0092】
以上、分割鏡筒504について説明したが、第3結像光学系G3の他の分割鏡筒501,502,503,505についても同様の構成を有している。また、第1結像光学系G1の分割鏡筒301,302,303,304,305,306,307、第2結像光学系G2の分割鏡筒401等についてもシール部材30が配置されている。
【0093】
前述したように、投影光学系150(PL)の鏡筒PKは複数の分割鏡筒を接続することにより構成されている。図5は、分割鏡筒のうち、可変絞りユニットASを支持する分割鏡筒503とレンズ12を支持する分割鏡筒504とを接続した状態を示している。図5に示すように、分割鏡筒503の排気通路10と分割鏡筒504の排気通路10も互いに接続されている。
【0094】
分割鏡筒503と分割鏡筒504との間で且つ排気通路10の外側にはシール部材30が設けられている。したがって、鏡筒PKの外部から分割鏡筒503と分割鏡筒504との接続面を介して不純物ガス(酸素などの吸光物質)が侵入することがない。万が一侵入したとしても鏡筒PK内部に至る前に排気通路10内に流入してしまい、該排気通路10内を流れる不活性ガス等とともにフランジ内排気通路20に運ばれて排気されるので問題はない。
【0095】
分割鏡筒503と分割鏡筒504とを接続する際には、分割鏡筒504の上に分割鏡筒503を載せ、それぞれの分割鏡筒503,504の排気通路10がつなぎ合わさるように且つ各分割鏡筒503,504の中心軸(光軸)が互いに一致するようにして、分割鏡筒503を分割鏡筒504上で摺動させて位置合わせを行う。他の分割鏡筒と同様に、分割鏡筒503は、重量が重いので、分割鏡筒504上での摺動を可能にするように分割鏡筒503を若干持ち上げ、シール部材30のシール効果を維持しつつ動かして位置合わせを行う。位置合わせの終了後、分割鏡筒503と分割鏡筒504とをボルト等の固定部材(図示せず)によって固定する。なお、図5に示すように本実施形態では各分割鏡筒が直胴状になっているが、図6に示すように、分割鏡筒の端部にフランジ部31を設け、このフランジ部30を介して分割鏡筒どうしをボルトなどの固定部材により互いに接続するようにしてもよい。この場合、接続面が大きくなるので、シール部材30を設けやすくなるとともに、分割鏡筒を固定する際、ボルトやクランプ等の固定部材も設けやすくなる。
【0096】
以上、分割鏡筒503と分割鏡筒504とを接続する場合について説明したが、第3結像光学系G3の他の分割鏡筒501,502,503,505、第1結像光学系G1の分割鏡筒301,302,303,304,305,306,307、第2結像光学系G2の分割鏡筒401等の分割鏡筒どうしの接続についても同様にして行われる。
【0097】
次に、上述のように構成された給排気装置Sによって鏡筒PK内に形成された露光光ELの光路空間である密閉室H内に不活性ガスを供給、排気する方法及び密閉室Hに不活性ガスが供給された露光装置100を用いてレチクル220に形成されたパターン像をウエハ230に露光する方法について説明する。
【0098】
不活性ガス供給装置203から不活性ガスが配管215及び配管バルブ207を通って密閉室Hの上端部に供給される。供給された不活性ガスは各レンズを支持するフレームに形成された開口を介して密閉室H全体に行き渡る。不活性ガスは、密閉室Hの下端部に流れた後、密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや露光光を吸収する酸素などの不純物とともに密閉室Hの下端部の排気開口部11から排気通路10内に流入する。次いで、不活性ガス、脱ガス、不純物等は、排気通路10内を上昇してフランジFLが形成される高さ位置とほぼ同じである排気通路10の上端部に至り、この上端部からフランジ内排気通路20に流れる。この後、不活性ガス、脱ガス、不純物等は、フランジ内排気通路20から配管バルブ211及び配管21を通って不活性ガス回収装置204に送られる。不活性ガス回収装置204では不活性ガスを回収し、再生する。
【0099】
以上、投影光学系150(PL)の鏡筒PK内に不活性ガスを供給する方法について説明したが、照明光学系120の照明系チャンバ133についてもバルブ205,209を開き、照明系チャンバ133内の空気を排気する一方、照明系チャンバ133内に不活性ガスを供給して、照明系チャンバ133内を不活性ガスで充満させる。また、レチクル室142についてもバルブ206,210を開き、レチクル室142内の空気を排気する一方、レチクル室142内に不活性ガスを供給して、レチクル室142内を不活性ガスで充満させる。さらに、投影光学系150の先端とウエハ操作部160に保持されたウエハ230との間の空間(特定空間)181についても、バルブ208,212,213を開き、局所ガス給排気部180によって不活性ガスを所定の方向から流すことにより、特定空間181内の吸光物質を排除する。
【0100】
なお、レチクル室142も特定空間181と同様に密閉しない構造にし、不活性ガスを所定の方向から流してレチクル室142内の吸光物質を排除するように局所的にパージするように構成してもよい。
【0101】
このようにして光源110からウエハ230に至るまでの光路全体にわたって露光光ELがほとんど吸収されることのない雰囲気が形成される。光路空間を形成する密閉室H内の不活性ガスの濃度が所定値に達したら、レチクルステージ141に支持されたレチクル220に照明光学系120より露光光ELを照明し、レチクル220に形成されたパターンの像を、投影光学系150を介してウエハ230に転写する。ここで、不活性ガスの濃度の所定値とは、真空紫外線光である露光光ELの光量を減衰させることなく所望の精度でパターン形成することができる程度の不活性ガス濃度値である。光路空間内の不活性ガスの濃度が所定値に達したか否かは、光路空間の一部に設けられた不活性ガス濃度計、あるいは吸光物質濃度計の計測値に基づいて判断される。
【0102】
本実施形態によれば、密閉室Hの上端部から不活性ガスを供給し、該不活性ガスが密閉室Hの下端部に流れた後、排気開口部11から排気通路10を通してフランジFLの高さ位置まで引き上げて、該フランジFL内に設けたフランジ内排気通路20を介して排気するようにしているので、鏡筒PKのフランジFLよりも下の部分(配管作業の困難な箇所)に排気用の配管を接続しなくても済む。また、フランジFL内部に排気通路20を形成しているので、フランジFLの有効活用を図ることができ、またこれにより排気用の配管の長さを可及的に短くすることが出来る。また、フランジFL自体は鏡筒PKの重量を支えるもので、充分に強度があり、フランジ内排気通路20を形成しても問題は生じない。さらに、密閉室H全体に不活性ガスを行き渡らせてから脱ガス、不純物等とともに排気することができ、密閉室H全体を比較的短時間のうちに不活性ガスで充満させることができる。
【0103】
また、密閉室H内の不活性ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うようにしたので、十分な光量を有する露光光ELで精度良く露光処理を行うことができる。
【0104】
図3は、図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図である。図3中、図2に示す部分と同一構成部分には同一符号が付してある。
本変形例では、排気通路10aの上端がフランジFLの高さ位置を越えるように排気通路10aを、鏡筒PK(分割鏡筒502,503,504,505)の壁部内に光軸に沿って形成し、該排気通路10aを、鏡筒PKの上端部とフランジFLとの間の位置(分割鏡筒502のフランジFLよりも高い位置)の外周面に形成した排気口12と連通させている。排気口12は、配管バルブ211及び配管21を介して不活性ガス回収装置204に接続されている。排気通路10aは鏡筒PKの周方向に沿って等間隔に6箇所形成され、排気口12は排気通路10aに合わせて鏡筒PKの周方向に沿って等間隔に6箇所形成されている。
【0105】
本変形例においても、不活性ガス供給装置203から不活性ガスが配管215及び配管バルブ207を通って密閉室Hの上端部に供給され、供給された不活性ガスは各レンズを支持するフレームに形成された開口を介して密閉室H全体に行き渡る。不活性ガスは、密閉室Hの下端部に流れた後、密閉室Hの壁部自身からの脱ガスや露光光を吸収する酸素などの不純物とともに密閉室Hの下端部の排気開口部11から排気通路10a内に流入し、該排気通路10a内を上昇して排気通路10aの上端部に至り、この上端部からフランジFLよりも高い位置にある排気口12から配管バルブ211及び配管21を通って不活性ガス回収装置204に送られる。不活性ガス回収装置204では不活性ガスを回収し、再生する。
【0106】
本変形例によれば、鏡筒PKのフランジFLよりも下の部分(配管作業の困難な箇所)に排気用の配管を接続しなくても済む。また、フランジFL内部にフランジ内排気通路20を形成する代わりに、排気通路10aをフランジFLが形成された高さ位置よりも高い位置まで延ばし、鏡筒PK(分割鏡筒502)の外周面に排気通路10aに連通する排気口12を設けているので、フランジFLの内部にフランジ内排気通路20を形成する場合に比して加工が簡単である。また、図2に示す場合にあっては、フランジFLの取付孔の位置を回避するようにフランジ内排気通路20を形成していて、フランジFLの取付孔の位置に拘束されるが、図3の変形例では排気口12の位置にこのような拘束がなく、設計の自由度がある。
【0107】
図2の本実施の形態及び図3の変形例では、排気通路10,10aをいずれも鏡筒PKの壁内部に形成した場合を示したが、例えば鏡筒PKの外周面又は内周面にパイプを沿わせて固定し、このパイプを排気通路10,10aとしてもよい。また、このパイプを光軸方向に延びるように直線状に形成する他に螺旋状に形成するようにしてもよい。
【0108】
密閉室Hから排気された不活性ガス、脱ガス、不純物等から不活性ガスを不活性ガス回収装置204によって回収し、再生するようした場合を説明したが、不活性ガスを回収、再生することなく、脱ガス等とともにそのまま外部に排気するようにしてもよい。
【0109】
本実施形態では、反射屈折系で構成される投影光学系について説明したが、投影光学系の構成は、この構成に限られるものではない。例えば、屈折光学部材(レンズ)で構成される屈折系の投影光学系、あるいは、反射光学部材(反射ミラー)で構成される反射系の投影光学系であってもよい。
【0110】
本実施形態の露光装置として、ステップ・アンド・スキャン型投影露光装置を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばレチクル220とウエハ230とを静止した状態でレチクル220のパターンを照明し、ウエハ230を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート型の露光装置にも適用することが出来る。
【0111】
露光装置の用途としては半導体製造用の露光装置に限定されることなく、例えば角形のガラスプレートに液晶表示素子パターンを露光する液晶用の露光装置や薄膜磁気ヘッドを製造するための露光装置にも広く適用できる。
【0112】
本実施形態においては、露光用ビームとしてF2レーザー光を用いた場合を示したが、これに限定されるものではなく、例えばKrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)などを用いることもできる。
【0113】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のガス給排気方法や請求項5に記載の給排気装置によれば、密閉室の他端部に流れたガスを、該他端部から密閉室の外に排気するのではなく、一旦フランジやフランジと密閉室の一端部との間の位置(フランジよりも上の部分)まで戻し、フランジから又はフランジと密閉室の一端部との間の位置から密閉室の外に排気するようにしているので、密閉室を構成する筒体のフランジと筒体の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部から他端部に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室の壁部自身からの脱ガスや密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は次第に不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0114】
請求項2に記載のガス給排気方法や請求項6に記載の給排気装置によれば、密閉室の壁内部に排気通路を形成し、この排気通路を介して、密閉室の他端部に流れたガスを、フランジから又は該フランジと密閉室の一端部との間から密閉室の外に排気するようにしているので、密閉室の他端部に流れたガスを一旦フランジやフランジと密閉室の一端部との間の位置まで戻すための配管を、密閉室を構成する筒体に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなくガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0115】
請求項3に記載のガス給排気方法や請求項7に記載の給排気装置によれば、フランジの内部に排気通路と連通するフランジ内排気通路を形成して、密閉室の他端部に流れたガスを、排気通路及びフランジ内排気通路を介して密閉室の外に排気するようにしているので、ガス等を排気するための配管の長さを可及的に短くすることが可能となる。
【0116】
請求項4に記載のガス給排気方法や請求項8に記載の給排気装置によれば、フランジと密閉室の一端部との間の位置(フランジよりも上の部分)に排気通路と連通する排気口を形成して、密閉室の他端部に流れたガスを、排気通路及び排気口を介して前記密閉室の外に排気するようにしているので、ガス等を排気するための配管がより容易となる。
【0117】
請求項9に記載の鏡筒よれば、鏡筒の一端部とフランジとの間からガスを供給するガス給気装置と、鏡筒の他端部に流れたガスを、フランジから又はフランジと鏡筒の一端部との間(フランジよりも上の部分)から鏡筒の外に排気する排気機構とを含むので、鏡筒のフランジと鏡筒の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部から他端部に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになる。
【0118】
請求項10に記載の鏡筒によれば、鏡筒の壁内部に鏡筒の他端部から一端部に向けて延びる排気通路を形成し、この排気通路を介して、鏡筒の他端部に流れたガスを、フランジから又は該フランジと鏡筒の一端部との間から鏡筒の外に排気するようにしているので、鏡筒の他端部に流れたガスを一旦フランジやフランジと鏡筒の一端部との間の位置まで戻すための配管を、鏡筒に接続しなくても済み、煩雑な配管作業を行うことなく、ガスの給排気が行え、作業性が向上する。
【0119】
請求項13に記載の露光装置によれば、投影光学系は複数の光学素子で構成され、該複数の光学素子は請求項9乃至12のいずれかに記載の鏡筒で保持されているので、鏡筒のフランジと鏡筒の他端部との間(鏡筒のフランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)、ガスの給排気を行うことが出来る。また、鏡筒に供給されたガスは鏡筒の一端部から他端部に流れた後(鏡筒全体を流れた後)、鏡筒内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより次第に鏡筒は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、パターンの転写を精度良く行うことが出来る。
【0120】
請求項18に記載の露光方法によれば、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室内にガスを供給する一方、ガスが密閉室の他端部に流れた後、ガスを密閉室の外に排気するガス給排気を、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス給排気方法によって行い、密閉室内の前記ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うようにしているので、露光光の光路を含む空間を形成する密閉室のガスの給排気は、密閉室を構成する筒体のフランジと筒体の他端部との間(フランジよりも下の部分)に配管を接続することなく(配管の困難な場所での配管作業を行うことなく)行うことが出来る。また、密閉室に供給されたガスは密閉室の一端部から他端部(下端部)に流れた後(密閉室全体を流れた後)、密閉室内に存在する不純物等とともに排気されるので、ガスの給排気を繰り返すことにより密閉室内は不純物等の殆ど存在しないガスで充満されることになり、比較的短時間で密閉室内のガスの濃度が所定値に達する。さらに、密閉室内のガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うので、精度良く露光処理を行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス供給装置及び露光装置の実施形態を示す全体構成図である。
【図2】図1の露光装置に装備される投影光学系(鏡筒)の実施態様を示す縦断面図である。
【図3】図2の投影光学系(鏡筒)の変形例を示す縦断面図である。
【図4】図4(a)は図2又は図3の分割鏡筒504の壁部内に形成された排気通路を示す横断面図である。図4(b)は図4(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図5】分割鏡筒503と分割鏡筒504とが接合された状態を示す縦断面図である。
【図6】分割鏡筒の接続部の他の実施態様を示す部分縦断面図である。
【符号の説明】
10 排気通路
11 排気用開口部
12 排気口
20 フランジ内排気通路
21 配管
150 投影光学系
203 不活性ガス供給装置
204 不活性ガス回収装置
207,211 配管バルブ
215 配管
PK 鏡筒
H 密閉室
S 給排気装置
Claims (21)
- 密閉室の一端部からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気方法において、
前記密閉室の他端部に流れた前記ガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジから又は該フランジと前記密閉室の一端部との間から前記密閉室の外に排気することを特徴とするガス給排気方法。 - 請求項1に記載のガス給排気方法において、
前記密閉室の他端部に流れた前記ガスは、前記密閉室の壁内部に形成した排気通路を介して、前記フランジから又は該フランジと前記密閉室の一端部との間から前記密閉室の外に排気されることを特徴とするガス給排気方法。 - 請求項2に記載のガス給排気方法において、
前記ガスを、前記排気通路と連通する、前記フランジの内部に形成したフランジ内排気通路を介して、前記密閉室の外に排気することを特徴とするガス給排気方法。 - 請求項2に記載のガス給排気方法において、
前記ガスを、前記排気通路と連通する、前記フランジと前記密閉室の一端部との間の所定位置に形成した排気口を介して、前記密閉室の外に排気することを特徴とするガス給排気方法。 - 密閉室の一端部からガスを供給する一方、該ガスが該密閉室の他端部に流れた後、前記ガスを、前記密閉室の外に排気するガス給排気装置において、
前記密閉室の他端部に流れたガスを、前記密閉室の外周に設けたフランジから又は該フランジと前記密閉室の一端部との間から前記密閉室の外に排気する排気機構を備えてなることを特徴とするガス給排気装置。 - 請求項5に記載のガス給排気装置において、
前記排気機構は、前記密閉室の他端部から一端部に向けて延びる、前記密閉室の壁内部に形成された排気通路を含むことを特徴とするガス給排気装置。 - 請求項6に記載のガス給排気装置において、
前記排気機構は、前記フランジ内に形成されて、前記排気通路に連通するフランジ内排気通路を含むことを特徴とするガス給排気装置。 - 請求項6に記載のガス給排気装置において、
前記排気機構は、前記フランジと前記密閉室の一端部との間の所定位置に形成されて、前記排気通路に連通する排気口を含むことを特徴とするガス給排気装置。 - 複数の光学素子を保持し、外周にフランジが形成された鏡筒において、
前記鏡筒の一端部と前記フランジとの間からガスを供給するガス給気装置と、
前記鏡筒の他端部に流れたガスを、前記フランジから又は該フランジと前記鏡筒の一端部との間から前記鏡筒の外に排気する排気機構とを含むことを特徴とする鏡筒。 - 請求項9に記載の鏡筒において、
前記排気機構は、前記鏡筒の他端部から一端部に向けて延びる、前記鏡筒の壁内部に形成された排気通路を含むことを特徴とする鏡筒。 - 請求項10に記載の鏡筒において、
前記排気機構は、前記フランジ内に形成されて、前記排気通路に連通するフランジ内排気通路を含むことを特徴とする鏡筒。 - 請求項10に記載の鏡筒において、
前記排気機構は、前記フランジと前記鏡筒の一端部との間の所定位置に形成されて、前記排気通路に連通する排気口を含むことを特徴とする鏡筒。 - マスクに形成されたパターンを所定面上に転写する投影光学系を備える露光装置において、
前記投影光学系は複数の光学素子で構成され、該複数の光学素子は請求項9乃至12のいずれかに記載の鏡筒で保持されていることを特徴とする露光装置。 - 請求項13に記載の露光装置において、
前記排気通路は前記投影光学系の光軸方向に延びていることを特徴とする露光装置。 - 請求項12又は13に記載の露光装置において、
前記鏡筒内を通る光が、波長200nm以下の光であることを特徴とする露光装置。 - 請求項13乃至15のいずれかに記載の露光装置において、
前記ガスが、前記鏡筒内を通る光を殆ど吸収しないか又は該光の吸収率が低い気体であることを特徴とする露光装置。 - 請求項13乃至16のいずれかに記載の露光装置において、
前記ガスが、窒素ガス又は希ガスであることを特徴とする露光装置。 - 露光光を用いてパターンを被露光基板に転写露光する露光方法において、
前記露光光の光路を含む空間を形成する密閉室内にガスを供給する一方、該ガスが前記密閉室の他端部に流れた後、前記ガスを前記密閉室の外に排気するガス給排気を、請求項1乃至4のいずれかに記載のガス給排気方法によって行い、前記密閉室内の前記ガスの濃度が所定値に達した後、露光処理を行うことを特徴とする露光方法。 - 請求項18に記載の露光方法において、
前記露光光が、波長180nm以下の光であることを特徴とする露光方法。 - 請求項18又は19に記載の露光方法において、
前記ガスが、前記露光光を吸収しないか又は露光光の吸収率が低いガスであることを特徴とする露光方法。 - 請求項18乃至20のいずれかに記載の露光方法において、
前記ガスが、窒素ガス又は希ガスであることを特徴とする露光方法。
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