JP2005003566A - 結晶膜の検査方法および検査装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる結晶膜の検査方法および検査装置を提供する。
【解決手段】照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1方向および第2方向に並ぶ複数の検査部位で二次元的に検査し、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮に結晶化状態の面内分布が離散的に発生している状態であっても、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1方向および第2方向に並ぶ複数の検査部位で二次元的に検査し、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮に結晶化状態の面内分布が離散的に発生している状態であっても、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶膜の検査方法および検査装置に関し、たとえば液晶ディスプレイパネルを製造する際に、エキシマレーザーアニール装置などによる結晶化工程を経て用いられる技術に関する。
本発明において、「略長方形状」は「長方形状」を含む。
【0002】
【従来の技術】
高解像度の要望が強い液晶表示素子およびイメージセンサーなどにおいては、駆動方式として、たとえばガラスなどの絶縁基板の一表面部に高性能な半導体素子を形成したアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられている。前記TFTには、薄膜状のシリコン半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のシリコン半導体は、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)から成る非晶質シリコン半導体と、結晶性を有するシリコンから成る結晶性シリコン半導体との2つに大別される。
【0003】
非晶質シリコン半導体は、成膜温度が比較的低く、気相成長法によって比較的容易に製造することが可能であり、量産性に富むといった特徴を有するので、最も一般的に用いられている。しかし非晶質シリコン半導体は、結晶性シリコン半導体に比べて導電性などの物性が劣るので、高速特性を得るために結晶性シリコン半導体から成るTFTの製造技術の確立が強く求められている。すなわち基板の一表面部に、プラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition)法または減圧熱化学気相成長法などによって、アモルファスシリコン薄膜が形成され、固相成長結晶化工程と、レーザアニール結晶化工程とを順次経て、結晶性シリコン半導体膜(以後、単に結晶膜と呼ぶ場合もある)が形成される。
【0004】
エキシマレーザーアニール装置において、最適なレーザーエネルギー値を決定するには、レーザーエネルギー値を決定するための基板を用意しておく。以後、前記基板をパワーモニター基板と称する。予め定められた範囲のレーザーエネルギー値を用いて、パワーモニター基板に対し、レーザーエネルギー値を段階的に変化させつつレーザーエネルギーを照射する。その結果を目視観察またはラマン分光計測のような手段で計測して、結晶膜の結晶化度を確認する。その後、所望の結晶化度が得られた場所に対応するレーザーエネルギー値を用いて、エキシマレーザーアニール装置を稼動させる。
【0005】
エキシマレーザーアニール装置によって結晶化された結晶膜を生成した基板を、検査する技術も開示されている(特許文献1)。前記特許文献1に記載の従来技術には、基板の一表面部に所定の方向性を有する光を照射し、一表面部からの乱反射光の強度を計測して結晶化状態を測定し、その計測値に基づいて基板の状態を判定する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−110861号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
エキシマレーザーアニール装置によって結晶化された結晶膜の結晶化状態は、同一の設定条件のレーザーエネルギーで照射した場合であっても、基板の場所によって結晶化状態に違いがある。つまり前記結晶膜の結晶化状態は、面内分布を有する。結晶膜付きの結晶化基板の面内分布は、レーザーエネルギーの時間軸に対する変動と、レーザービームの照射エネルギー分布とによって発生する。前記レーザービームの照射エネルギー分布は、レーザー発信源から基板までの光路途中に配置されるレンズ群などのレーザー照射光学系の収差および光軸誤差などに起因して発生する。
【0008】
エキシマレーザーアニール装置は、一定期間またはレーザー照射回数などに応じて、光学系のクリーニングなどのメンテナンスつまり保守作業が必要である。前記保守作業に起因するレーザー照射エネルギー分布は、上述した保守作業毎に光学系の光学条件が変化することで一定とはならない。レーザーエネルギーを付与した基板の結晶化状態を計測した場合、結晶化基板の面内の場所によって、結晶化状態は異なる。それ故、パワーモニター基板を用いて得られたレーザーエネルギーの設定値は、保守作業毎にレーザーエネルギー分布の変化に影響を受けて、レーザーエネルギーの設定値の精度が低下する。
【0009】
またエキシマレーザーアニール装置に対し、適切なレーザーエネルギーの設定値を設定する。その後、TFT基板を製造するために、固相成長によって結晶化された製品用の結晶化基板に対し、前記エキシマレーザーアニール装置を用いてレーザーエネルギーを付与し、結晶化処理を進める。前述したように、結晶化状態は、基板内において面内分布を有するので、製品用の結晶化基板の結晶化状態を検査し、品質管理を行うには、基板内の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を特定する必要がある。逆に言えば、基板内における結晶化状態の過小箇所および過大箇所の位置が不特定であるので、基板内に、結晶化状態を測定するための多数の測定点を設定しなければならない。結果として検査時間が長くなるので、測定点数を離散的に限定するか、または、抜き取り検査するなどの対策が必要となる。したがって工程における検査精度が低下する。
【0010】
したがって本発明の目的は、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる結晶膜の検査方法および検査装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する方法であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向へ走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する第1工程と、
第1工程の検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する第2工程と、
第2工程で設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する第3工程とを含むことを特徴とする結晶膜の検査方法である。
【0012】
本発明に従えば、第1工程においては、照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、予め定める第1方向およびこの第1方向に直交する第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する。第2工程においては、第1工程の検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する。第3工程においては、第2工程で設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する。
【0013】
特に、第1工程において、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0014】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0015】
また本発明は、第2工程における結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定される。それ故、結晶膜の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0017】
また本発明は、第1工程は、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求める第1段階と、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出する第2段階と、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第3段階とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、第1段階において、各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求める。第2段階において、各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出する。第3段階において、各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0019】
また本発明は、第2工程は、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、第2工程において、各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出する。また、この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位を抽出する。これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定する。
【0021】
このように検査部位列における検査値に基づいて、検査部位行における検査値が最大値および最小値となる検査部位を抽出したうえで、前記検査部位列を設定することができる。換言すれば、モニタ用結晶膜の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となる。したがって、本発明によれば、検査部位を無作為に限定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0022】
また本発明は、第1工程は、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第4段階をさらに有し、
第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、第1工程の第4段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、第1工程のうちの第4段階では、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、第1工程の第4段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。
【0024】
その後このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0025】
また本発明は、第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定をすることができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0027】
また本発明は、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する装置であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査するモニタ検査手段と、
モニタ検査手段による検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する条件設定手段と、
条件設定手段によって設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する対象膜検査手段とを含むことを特徴とする結晶膜の検査装置である。
【0028】
本発明に従えば、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する装置において、モニタ検査手段は、照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する。
【0029】
条件設定手段は、モニタ検査手段による検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する。対象膜検査手段は、条件設定手段によって設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する。
【0030】
特に、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0031】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0032】
また本発明は、モニタ検査手段において、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求め、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出し、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する制御手段をさらに含むことを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、制御手段によって、各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求め、各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分けることができる。さらに制御手段によって、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出し、各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出することができる。
【0034】
特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0035】
また本発明は、制御手段は、さらに、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定する機能を有することを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、制御手段によって、モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。また制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。
【0037】
求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0038】
また本発明は、制御手段は、さらに、
モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出し、
条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、制御手段によって、モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。また制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。制御手段によって、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0040】
また本発明は、制御手段は、さらに、
条件設定手段に関して、モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、制御手段によって、条件設定手段に関して、モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る結晶膜の検査方法を段階的に示すフローチャートである。図1において、ai(i=1,2,3,・・・)はステップを示す。本実施形態は、たとえば液晶ディスプレイパネルを製造する際に、エキシマレーザーアニール装置による結晶化工程を経て用いられる技術に関する。エキシマレーザーアニール装置の条件設定のために、レーザーエネルギーを段階的に変化させてレーザーアニール処理した結晶化基板を、パワーモニター基板として作製する。前記パワーモニター基板の結晶化状態を計測して、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー条件の設定に必要なデータを得る。前記結晶化状態の計測を、パワーモニター計測と称する。
【0043】
ステップa0において、このフローをスタートさせた後、ステップa1では、エキシマレーザーアニール装置に予め登録されたパワーモニター計測条件に従い、パワーモニター計測を行う。次に、ステップa2に移行して検査条件を設定する。すなわち、パワーモニター計測によって得られた計測値のデータであって、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギーと結晶化状態の計測値との関係を表すデータを用いて、製造する製品用結晶化基板の検査に必要な後述の検査条件を設定する。次にステップa3において、製品用結晶化基板を検査する状態に移行する。すなわち、ステップa2で設定された検査条件に基づいて、製品用結晶化基板を検査する。その後、ステップa4に移行し、このフローを終了する。
【0044】
図2は、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査装置2の構成を概略示す図である。この検査装置2は、主に、基板位置決め機構と、照明4と、カメラ5と、画像処理装置6と、制御用パーソナルコンピュータ7とから構成されている。基板位置決め機構3は、XYステージ3aと、図示外のXYステージ駆動機構とを有する。前記XYステージ3aは、パワーモニター基板10または製品用結晶化基板8を支持するステージであって、長方形状のXYステージ3aの長手方向に沿った第2方向であるX方向と、支持された製品用結晶化基板8の厚み方向およびX方向に直交する第1方向であるY方向(図3参照)とに移動可能に構成されている。前記パワーモニター基板10または製品用結晶化基板8の一表面部に、結晶膜1A,1がそれぞれ形成されている。結晶膜1Aがモニタ用結晶膜に相当し、結晶膜1が検査対象結晶膜に相当する。前記製品用結晶化基板8を、単に、結晶化基板という場合もある。
【0045】
前記XYステージ駆動機構は、図示外のX方向駆動機構とY方向駆動機構とを有する。これらX方向駆動機構は、XYステージ3aをX方向に移動駆動可能な駆動源を有し、Y方向駆動機構は、XYステージ3aをY方向に移動駆動可能な駆動源を有する。パワーモニター基板10または結晶化基板8は、XYステージ3aおよびXYステージ駆動機構によって、X方向およびY方向に移動され位置決め可能に構成されている。
【0046】
照明4は、結晶化基板8の一表面部に対し光を照射する。つまり照明4は、結晶化基板8の厚み方向一方でかつ前記厚み方向に対し斜め方向から結晶化基板8に検査用の光を発するように構成されている。カメラ5は、結晶化基板8の厚み方向一方に支持され、照明4が照射した前記一表面部を撮像可能に配置して設けられている。前記カメラ5は、電荷結合素子(略称CCD:Charge Coupled Device)センサによって撮像が実現される。画像処理装置6は、カメラ5で撮像した画像データを取得および保持してデータ処理し、所望の情報を計算し得る。制御用パーソナルコンピュータ7は、基板位置決め機構3と、画像処置装置6および装置全体とを制御する。また制御用パーソナルコンピュータ7は図示外の記憶媒体を有し、この記憶媒体には、測定および検査条件が登録および格納される。前記制御用パーソナルコンピュータ7は、以降の記述で制御PC7と称する。
【0047】
制御PC7内に格納された測定および検査条件には、2種類のものがある。すなわち2種類の測定および検査条件のうち、パワーモニター計測用の検査部位である測定点とその判定基準データが、1つの測定および検査条件に相当する。また2種類の測定および検査条件のうち、製品用結晶化基板の検査用の検査部位である測定点とその判定基準データが、1つの測定および検査条件に相当する。
【0048】
パワーモニター基板10または結晶化基板8は、レーザーアニール処理によって結晶化が進むと、結晶粒界において凹凸が発生する。照明4によって前記凹凸に光が照射されると、カメラ5によって散乱光がセンシングされ、カメラ5の画像に明画像として観察される。結晶化度の進展と前記凹凸状態との間には、相関性がある。この相関性および画像の明るさすなわち濃度値によって、パワーモニター基板10または結晶化基板8の結晶化状態を計測可能としている。前記制御PC7が、条件設定手段および対象膜検査手段に相当する。
【0049】
基板位置決め機構3と、照明4およびカメラ5と、画像処理装置6と、制御用パーソナルコンピュータ7とがモニタ検査手段に相当する。
【0050】
図3は、結晶化領域に形成された測定点9を表す図であって、パワーモニター計測を説明するための図である。エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値を設定するために、一表面部に結晶膜1Aが生成されたパワーモニター基板10が用いられる。パワーモニター基板10は長方形状に形成され、その長方形状の長手方向の一辺が、XYステージの長手方向すなわちX方向に平行になるように配置される。
【0051】
ここでエキシマレーザーアニール装置は、照射対象のパワーモニター基板10に対し、所定のY方向長さと、X方向に所定小距離延びるX方向幅とを有する細長い略長方形状のレーザー光を照射するように構成されている。つまり、エキシマレーザーアニール装置のレーザービームは、照射形状が予め定める第1方向であるY方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜1Aおよび結晶膜1の結晶成長を促す作用を奏する。前記レーザービームは、Y方向および基板の厚み方向にそれぞれ直交するX方向へ走査されて照射される。本実施形態において、「略長方形状」は「長方形状」を含む。このエキシマレーザーアニール装置は、前記XYステージ駆動機構と略同等の駆動機構を備える。エキシマレーザーアニール装置は、この駆動機構によって、パワーモニター基板10を第2方向であるX方向に走査しつつこのパワーモニター基板10に対して前記レーザー光を照射する。
【0052】
前記パワーモニター基板10をX方向に送りつつ、エキシマレーザーアニール装置の照射エネルギすなわちレーザーエネルギー設定値を段階的に変化させる。これによって、基板長手方向に平行に並ぶ複数の結晶化領域11が形成される。図3においては、「a」から「j」までの10個の結晶化領域11が形成されている。この10個の結晶化領域11が、複数の検査部位列に相当する。
【0053】
上述したようにエキシマレーザーアニール装置のレーザービームの形状は、Y方向に沿って延びる細長い長方形状となっている。レーザアニール処理時には、パワーモニター基板10短辺方向つまりY方向に沿って、レーザービームが細長い形状でパワーモニター基板10に照射されるとともに、基板長手方向には、レーザービームと基板位置との相対移動による走査が行われる。
【0054】
このように、パワーモニター基板10の一表面部をレーザーアニール処理することで、パワーモニター基板10の一表面部は部分的に結晶化処理される。前記レーザーアニール処理を基板長手方向一方に一定量行い、その後レーザーエネルギー設定値を変更して、さらに基板長手方向一方にレーザーアニール処理を一定量行うことを繰り返す。これによって、基板長手方向に複数の結晶化領域11が形成される。しかも各結晶化領域11は、基板短辺方向に沿って延びるように形成される。すなわちパワーモニター基板10の一表面部の各結晶化領域11は、レーザービーム形状の長軸方向の幅の範囲で結晶化されており、前記各結晶化領域11は、レーザービーム形状の長軸方向長さと同一長さの領域となっている。
【0055】
「a」から「j」までの10個の結晶化領域11(測定点行11)には、パワーモニター計測における計測点としての測定点9がそれぞれ設定されている。各結晶化領域11において、複数の測定点9がレーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。各検査部位としての各測定点9は、X方向に並ぶ各測定点9を1つの列として、Y方向に平行に並ぶ複数の測定点列12に分けられる。しかも各測定点9は、Y方向に並ぶ各測定点9を1つの行として、X方向に平行に並ぶ複数の測定点行11すなわち結晶化領域11に分けられる。前記測定点列12が検査部位列に相当し、前記測定点行11が検査部位行に相当する。
【0056】
本実施形態においては、図3に示すように、各結晶化領域11において、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が設定されている。これら測定点列12は、基板長手方向すなわちX方向に平行な方向に配設されている。結晶化領域11に設定された前記複数の測定点9は、レーザーエネルギー設定値を段階的に変化させた基板長手方向の各結晶化領域11にも、同じ配置関係で設定されている。
【0057】
具体的には、結晶化領域「a」において、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。結晶化領域「a」の基板長手方向に隣接する結晶化領域「b」に関しても、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。以下、同様にその他の結晶化領域「c〜j」に関しても、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。
【0058】
上述したように、結晶化領域11に設定された複数の測定点9は、レーザーエネルギー設定値を段階的に変化させた基板長手方向の各結晶化領域11にも、同じ配置関係で設定されており、これら複数の測定点9は、XおよびY方向に並ぶ二次元マトリックス状態の配置構成となっている。測定点列12は、レーザービーム長軸方向のレーザーエネルギー分布に影響されず、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値に応じた結晶化状態を測定することができる測定点列である。
【0059】
図4は、パワーモニター計測における計測値を表す図である。図4の横軸には、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値が示され、縦軸には、複数の測定点9にそれぞれ対応する検査値としての計測値が示されている。図4のデータ線は、レーザーエネルギーの分布を示す。前記縦軸に平行な複数の縦線L1は、結晶化領域「a」から結晶化領域「j」のそれぞれの測定点9に相当する。前記レーザーエネルギーの分布とこれら縦線L1との交点は、各々の測定点9における計測値を示している。
【0060】
図4のデータ線としては、「A」から「I」までの9つの測定点列12のうち、説明のために特徴ある3つの測定点列12のデータ線が表されている。レーザーエネルギー設定値の増加に伴い、結晶化が進み、計測値は大きくなっていく。逆に言えば、各測定点9の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる計測値として求める。
【0061】
計測値の最大値に対応するレーザーエネルギーを超えるレーザーエネルギーを、パワーモニター基板10に与えると、レーザーエネルギー設定値の増加に伴い、計測値は減少する。前記計測値の減少は、レーザーエネルギーが結晶化を行うには過大となり、微小な結晶粒が発生するため、照明光の反射量が減少するものと考えられる。このような微小な結晶粒が発生する結晶化状態となるようなレーザーエネルギーを、製品用結晶化基板8(図6参照)に与える場合には、この製品用結晶化基板8の一表面部に形成される薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)の性能が低下する。したがって前記製品用結晶化基板8は不良品と判定される。
【0062】
パワーモニター計測においては、各測定点列12のうち、最小のレーザーエネルギーで、計測値が最大値となる測定点列12を抽出する。具体的には、各測定点列12毎に計測値が最大すなわちピーク位置となるレーザーエネルギーを算出する。各測定点列12毎に算出した前記ピーク位置は、測定点列12毎に差異がある。前記レーザーエネルギーを算出した後、全ての測定点列12の各ピーク位置の差異であるピーク位置差δを求める。
【0063】
換言すれば、最小のレーザーエネルギーで計測値が最大値となる測定点列12を抽出する段階で抽出される測定点列12における計測値が、最大値となる測定点9のレーザーエネルギーと、最大のレーザーエネルギーで計測値が最大値となる測定点列12を抽出する段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーとのエネルギ差を求める。前記ピーク位置差δは、レーザービームの長軸方向すなわちY方向のエネルギー分布によって発生するものである。このレーザービームの長軸方向のエネルギー分布すなわち前記エネルギ差が、ピーク位置差δとなって算出される。
【0064】
前記3つの測定点列12のデータ線のうち、実線で表されるデータ線L2は、レーザービーム長軸方向のエネルギー分布内でエネルギーが最大の測定列のものである。3つの測定点列12のデータ線に関して、最小のレーザーエネルギー設定値で計測値がピークに達している。3つの測定点列12のデータ線のうち、太い破線で表されるデータ線L3は、レーザービーム長軸方向のエネルギー分布内でエネルギーが最小の測定点列12のものである。3つの測定点列12のデータ線に関して、最大のレーザーエネルギー設定値で計測値がピークに達している。最小のレーザーエネルギー設定値で、計測値がピークに達する測定点列12のピーク位置データを、最適ピーク位置14として算出する。
【0065】
図5は、最小のレーザーエネルギー設定値で計測値の最大値が得られる領域において、レーザービーム長軸方向のレーザービーム分布と計測値との関係を表す図である。図5の縦軸には、検査値としての計測値が示される。前記縦軸に平行な複数の縦線L4は、「A」から「I」までの9つの測定点列12にそれぞれ交差する測定点である。レーザーエネルギーの強度分布とこれら縦線L4との交点は、その縦線の測定点つまり測定点列12における計測値を示している。測定点9に対するレーザーエネルギーの強度分布は、一定にはならない。すなわち、最小のレーザーエネルギー設定値で、計測値がピークに達する結晶化領域11には、計測値が最大値となる測定値点15と、計測値が最小値となる測定値点16とが存在する。
【0066】
本実施形態におけるパワーモニター基板10の計測動作に関して、予め制御PC7内の記憶媒体に登録し格納されたパワーモニター条件データを用いて、パワーモニター計測を行う。前記パワーモニター条件は、測定点9の座標値を有する複数の測定点9と、判定基準とで構成されている。この判定基準は、パワーモニター計測の結果が、有効であるか無効であるかを判定する基準である。前記判定基準は、パラメータと、ピーク位置差δを判定する上限値とから構成されている。前記パラメータは、最適ピーク位置14における計測値の上限および下限値を判定するものである。
【0067】
制御PC7は、記憶媒体からパワーモニター条件データを読み出し、制御動作に利用する。パワーモニター基板10は、作業員または基板搬送機構を介して検査装置2内の所定位置に位置決めされる。この位置決めされたパワーモニター基板10は、制御PC7によって制御された基板位置決め機構3を介して移動する。つまり照明4およびカメラ5から構成される光学系によって、登録された測定点9を観察可能な位置に、パワーモニター基板10を移動する。その後、照明4およびカメラ5を用いて、複数の測定点9が観察され、その観察画像は画像処理装置6へ転送される。画像処理装置6は、転送された観察画像を画像処理したうえで計測値を算出する。本実施形態における計測値の算出方法においては、照明4およびカメラ5から構成される光学系によって得られた観察画像を量子化し、得られた各画素の濃度値に基づいて、撮像画像内の平均値を計算して用いる。
【0068】
制御手段としての制御PC7は、各機器を制御し、この制御動作を上述した複数の測定点9で行なって、パワーモニター基板10の結晶化状態を計測する。制御PC7は、前記結晶化状態を計測した後、各測定点列12毎に計測値のピーク位置を検索する。さらに制御PC7は、最適ピーク位置14とピーク位置差δとを算出し、出力する。また制御PC7は、最適ピーク位置14における計測値およびピーク位置差δの値を、判定基準によって判定する。前記判定基準とは、パワーモニター計測条件内の計測値の判定基準と同義である。
【0069】
最適ピーク位置14における計測値が、その上限基準値を超えるかまたは下限基準値を下回っていた場合には、パワーモニター基板10を不良品と判定する。つまり最適ピーク位置14における計測値が、予め設定される検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。ピーク位置差δの値がその上限基準値を超えていた場合も、パワーモニター基板10を不良品と判定する。つまりピーク位置差δの値が予め定めるエネルギ範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。前記計測値がその上限基準値以内でかつ下限基準値以上であり、しかもピーク位置差δの値がその上限基準値以内であった場合には、パワーモニター基板10を良品と判定し、その判定結果を出力する。前記パワーモニター基板10が不良品と判定された場合には、パワーモニター基板10が適切な結晶化状態でないことを意味している。
【0070】
上述したパワーモニター計測を行った後、このパワーモニター計測結果を利用して製品用結晶化基板8の検査条件を設定する。以後、パワーモニター計測結果を用いた検査条件の設定処理について説明する。製品用結晶化基板8を検査する機能としては、製品用結晶化基板8の一表面部内における複数の任意位置を測定する機能と、製品用結晶化基板8における測定点9の計測値を上限基準値と下限基準値とを用いて良否判定する機能とがある。製品用結晶化基板8の検査に関して、結晶化が不十分である場合には計測値が低くなる。計測値が下限基準値よりも低い場合には、製品用結晶化基板8の結晶化処理が不十分として、その製品用結晶化基板8を不良品と判定する。
【0071】
レーザーアニール処理では、レーザーエネルギーが過大になった場合には、前述のように微小な結晶粒が発生することに起因して製品のTFT特性が低下する。それ故、計測値がピーク付近の値である場合には、レーザーエネルギーの揺らぎ幅をマージンとして考慮して判定する。したがって計測値の上限基準値を、微小な結晶粒が発生する可能性が高い不良品として扱うことが可能となるように設定することができる。計測値が上限基準値を超えた場合には、その製品用結晶化基板8を不良品と判定する。
【0072】
また判定条件には、製品用結晶化基板8の一表面部内における欠陥測定点の上限値も設定することができる。すなわち前記一表面部内における全ての測定点9の良否を判定し、不良と判定される測定点9の上限点数を設ける。前記上限点数を超える不良の測定点9が検出された場合のみ、製品用結晶化基板8の測定結果を不良とし、それ以外は良と判定する。
【0073】
図6は、検査条件における測定点9を表す図である。図3も併せて説明する。測定点群17は、レーザービーム長軸方向である基板短辺方向に一定間隔おきに、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9点および、レーザービームと基板8との相対的な走査方向である基板長手方向に一定間隔おきに9点の合計81点の測定点9が配置される。このように、製品用結晶化基板8について、X方向およびY方向に並ぶ複数の測定点9を配置しているので、レーザーエネルギー分布が変化しても、基板8を適切に検査することができる。
【0074】
測定点群18は、パワーモニター計測時に得られたレーザービーム長軸方向の計測値の最大測定値点15と最小測定値点16とにそれぞれ対応する測定点列12に設けられる。本実施形態においては、前記最大測定値点15に対応する「C」の測定点列12および、前記最小測定値点16に対応する「I」の測定点列12に沿って、測定点群18が設けられる。しかも測定点群18は、レーザービームと基板8との相対的な走査方向である基板長手方向へは、結晶化領域「a」から結晶化領域「i」にそれぞれ対応する同等点数が設けられる。制御PC7は、パワーモニター計測終了時に、パワーモニター計測結果に基づいて、測定点群18に示す測定点9を、制御PC7内に予め格納されたプログラムに基づいて、検査条件として自動生成し、制御PC7内部の記憶媒体の検査条件として設定する。前記制御PC7が、自動制御手段および検査条件設定手段に相当する。
【0075】
パワーモニター計測において、最大測定値点15における計測値は、検査条件の計測値の上限基準値の設定基準となる値として用いられる。パワーモニター計測におけるレーザーエネルギーと計測値との関係は、レーザーエネルギーが段階的となっており、しかも離散的な計測値である。それ故、正しく測定したピーク位置の計測値であっても、この計測値は誤差を含んでいる。したがって、最大計測値点15に一定のマージン値を加えた値を、検査条件の計測値の上限基準値に設定する。このように上限基準値を設定することができる。また一般には、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定条件は、過大なレーザーパワーに起因する微小な結晶粒の発生を抑えるため、最適ピーク位置14で得られたレーザーエネルギー値より小さめのレーザーエネルギー値を設定する。
【0076】
したがって前記マージン値は、レーザーエネルギー値の設定の調整量を含めて定められ、かつ一定の値に定められる。計測値の下限基準値の設定方法に関して、製造工程内のレーザーアニール条件の管理基準をレーザーエネルギーの範囲とした場合の例で説明する。パワーモニター計測において、レーザーエネルギーと計測値との関係が明らかであることから、レーザーエネルギーの管理下限値に基づいて、パワーモニター基板10と同一のレーザーエネルギー領域の測定点9の計測値を用いて、前記計測値の下限基準値を設定する。
【0077】
ところで製造工程における管理基準は、電子移動度などのTFTの電気特性を所定の性能に保つため、レーザーエネルギーの設定を、最適な結晶化状態からレーザーエネルギーの範囲で管理することが一般的である。最適ピーク位置14によって得られるレーザーエネルギー設定値は、結晶化の最適状態におけるレーザーエネルギー設定値であることから、この最適ピーク位置を基準として考える。最適ピーク位置14から必要なレーザーエネルギーの範囲だけレーザーエネルギーを減じた設定でレーザーアニール処理した結晶化領域における計測値を用いる。
【0078】
本実施形態においては、図3に示すように、「A」から「I」までの測定点列12に沿った9箇所の測定点9において計測値が得られるが、ここでは計測値の最小値を用いることとする。この結晶化領域11で得られる最小の計測値は、結晶化に必要なレーザーエネルギーの管理基準値の下限基準値を考える基準となる値として用いられる。前記下限基準値を実際に設定する際には、上述した上限基準値と同様の考え方で、最適ピーク位置14から必要なレーザーエネルギーの範囲だけレーザーエネルギーを減じた設定で、レーザーアニール処理した結晶化領域11における最小の計測値に対し、一定のマージン値を減じた値で、計測値の下限基準値を設定する。
【0079】
レーザーアニール処理した後の結晶化状態と計測値との関係は、結晶膜の生成工程の条件が変動すると、同一のレーザーエネルギー設定値で照射しても、計測値に相違が見られる場合がある。本実施形態では、結晶膜1の生成工程において変動要因が発生しても、検査時の計測値の判定基準値を、検査時の条件に適した内容で自動的に設定することが可能となる。このように制御PC7は、パワーモニター計測によって得られた情報から、検査条件を自動的に作成し、この検査条件を制御PC内7の記憶媒体に登録しておく。
【0080】
次に、エキシマレーザーアニール装置によってアニール処理した製品用結晶化基板8の検査について説明する。制御PC7は、記憶媒体に登録された前記検査条件を読み出し、制御動作に利用する。作業員または基板搬送機構を介して検査装置2内の所定位置に位置決めされた製品用結晶化基板8を、基板位置決め機構3を介して移動する。つまり制御PC7によって制御される基板位置決め機構3を介して、製品用結晶化基板8のうちの登録された測定点9を、照明4およびカメラ5から構成される光学系を用いて観察可能な位置に相対的に移動する。
【0081】
画像処理装置6は、転送された観察画像を画像処理し、計測値を算出する。本実施形態における計測値の算出方法では、パワーモニター計測と同様に、前記光学系によって得られた観察画像を量子化し、得られた各画素の濃度値について、撮像画像内の平均値を計算して用いる。制御PC7は、各機器を制御し、この制御動作を図6に示す測定点群17または測定点群18に設定されるような複数の測定点9で行なって、製品用結晶化基板8の結晶化状態を計測する。全ての測定点9での計測処理が終了すると、全ての測定点9の結果を、検査条件の判定条件に従って各測定点9毎に判定する。さらに基板8の一表面部内において、全ての測定点9の不良点数による基板8の良否判定を行い、その判定結果を出力する。
【0082】
製品用結晶化基板8の製造時に、レーザーアニール条件が変動して、結晶膜1の結晶化状態が低下した場合には、最小測定値点16によって設定した測定点列12の計測値が下限基準値を超えるため、前記と同様に良否判定を行うことができる。結晶膜1の結晶化状態が進み過ぎてレーザーエネルギーが過大な状態になった場合には、最大測定値点15によって設定した測定点列12の計測値が上限基準値を超えるため、前記と同様に良否判定を行うことが可能となる。
【0083】
以上説明した結晶膜1の検査方法によれば、第1工程において、レーザーエネルギーを変化させながら走査方向であるX方向に走査されてレーザービームが照射された結晶膜1Aの結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査する。第2工程では、前記第1工程の検査結果に基づいて、結晶膜1を検査するときの少なくとも測定点9を含む検査条件を設定する。第3工程においては、前記設定される検査条件を用いて、結晶膜1を検査する。
【0084】
特に、第1工程において、結晶膜1Aの結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査しており、その検査結果に基づいて、製品用結晶化基板8の結晶膜1を検査するときの測定点9を含む検査条件を設定しているので、仮に結晶膜1Aの結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき測定点9を略特定することができる。
【0085】
このように結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査しているので、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、結晶膜1を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜1を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0086】
制御PC7は、パワーモニター計測によって得られた情報から、検査条件を自動的に作成することができる。それ故、結晶膜1の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0087】
また本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1段階において、各測定点9の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる計測値として求める。第2段階において、各測定点9を、X方向に並ぶ各測定点9を1つの列として、Y方向に平行に並ぶ複数の測定点列12に分け、各測定点列12毎に、計測値が最大値となる測定点9を抽出する。第3段階において、各測定点列12のうち、最小のレーザーエネルギーで、計測値が最大値となる測定点列12を抽出する。
【0088】
特に、結晶化状態を抑制するための最小のレーザーエネルギーで、検査値が最大値となる測定点列12を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるためのレーザーエネルギーの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0089】
また本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、各測定点9を、Y方向に並ぶ各測定点9を1つの行として、X方向に並ぶ複数の測定点行に分け、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9を有する測定点行11すなわち結晶化領域11を抽出する。また、この結晶化領域11における計測値が最大値となる測定点9および計測値が最小値となる測定点9を抽出する。これら2つの測定点9を有する測定点列12の各測定点9を、結晶膜1を検査するときの測定点9として、検査条件に設定する。
【0090】
このように測定点列12における検査値に基づいて、結晶化領域11における計測値が最大値および最小値となる測定点9を抽出したうえで、前記測定点列12を設定することができる。換言すれば、結晶膜1Aの結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜1の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0091】
また、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1工程のうちの第4段階では、各測定点列12のうち、最大のレーザーエネルギーで、測定値が最大値となる測定点列12を抽出する。第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーと、第1工程の第4段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーとのエネルギ差δを求める。
【0092】
その後このエネルギ差δが予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。求められるエネルギ差δが、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、結晶膜1Aは異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差δが、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、この結晶膜1Aは正常であると判定する。このように結晶膜1Aの異常判定を実現することができる。少なくとも、前記結晶膜1Aの異常判定に基づいて、結晶膜1の検査条件を設定することができる。
【0093】
また、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値の最大値が、予め設定される計測値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される測定点列12における計測値の最大値が、前記計測値範囲外であると判定したとき、結晶膜1Aは異常であると判定する。逆に、前記計測値の最大値が、前記計測値範囲内であると判定したとき、結晶膜1Aは正常であると判定する。このようにモニタ用の結晶膜1Aの異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用の結晶膜1Aの異常判定に基づいて、結晶膜1の検査条件を設定することができる。
【0094】
本実施形態においては、結晶化状態の計測方法として、結晶粒界における凹凸の発生を照明4とカメラ5による観察および計測による事例で示したが、結晶化状態および計測値に相対的な相関性が得られる検査手段であれば、たとえばラマン分光法などを用いる他の検査手段を用いてもよい。本実施形態においては、照明は、基板の厚み方向に対し斜め方向から光を照射する反射照明を用いているが、必ずしもこれに限定されるものではない。たとえばガラス基板の一表面部に形成された結晶膜に関しては、透過照明を用いることも可能である。その他、前記実施形態に、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において種々の部分的変更を行う場合もある。
【0095】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特に、第1工程において、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0096】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0097】
また本発明によれば、結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定される。それ故、結晶膜の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0098】
また本発明によれば、特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0099】
また本発明によれば、検査部位列における検査値に基づいて、検査部位行における検査値が最大値および最小値となる検査部位を抽出したうえで、前記検査部位列を設定することができる。換言すれば、モニタ用結晶膜の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となる。したがって、本発明によれば、検査部位を無作為に限定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0100】
また本発明によれば、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0101】
また本発明によれば、抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定をすることができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0102】
また本発明によれば、特に、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0103】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0104】
また本発明によれば、特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0105】
また本発明によれば、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0106】
また本発明によれば、制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。また制御手段によって、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。このように制御手段によって、モニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0107】
また本発明によれば、抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法を段階的に示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査装置2の構成を概略示す図である。
【図3】結晶化領域に形成された測定点9を表す図であって、パワーモニター計測を説明するための図である。
【図4】パワーモニター計測における計測値を表す図である。
【図5】最小のレーザーエネルギー設定値で計測値の最大値が得られる領域において、レーザービーム長軸方向のレーザービーム分布と計測値との関係を表す図である。
【図6】検査条件における測定点9を表す図である。
【符号の説明】
1 結晶膜
3 基板位置決め機構
4 照明
5 カメラ
6 画像処理装置
7 制御PC
8 製品用結晶化基板
9 測定点
10 パワーモニター基板
11 結晶化領域
12 測定点列
14 最適ピーク位置
15 測定値点
16 測定値点
【発明の属する技術分野】
本発明は、結晶膜の検査方法および検査装置に関し、たとえば液晶ディスプレイパネルを製造する際に、エキシマレーザーアニール装置などによる結晶化工程を経て用いられる技術に関する。
本発明において、「略長方形状」は「長方形状」を含む。
【0002】
【従来の技術】
高解像度の要望が強い液晶表示素子およびイメージセンサーなどにおいては、駆動方式として、たとえばガラスなどの絶縁基板の一表面部に高性能な半導体素子を形成したアクティブマトリックス形の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)が用いられている。前記TFTには、薄膜状のシリコン半導体を用いるのが一般的である。薄膜状のシリコン半導体は、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)から成る非晶質シリコン半導体と、結晶性を有するシリコンから成る結晶性シリコン半導体との2つに大別される。
【0003】
非晶質シリコン半導体は、成膜温度が比較的低く、気相成長法によって比較的容易に製造することが可能であり、量産性に富むといった特徴を有するので、最も一般的に用いられている。しかし非晶質シリコン半導体は、結晶性シリコン半導体に比べて導電性などの物性が劣るので、高速特性を得るために結晶性シリコン半導体から成るTFTの製造技術の確立が強く求められている。すなわち基板の一表面部に、プラズマCVD(CVD:Chemical Vapor Deposition)法または減圧熱化学気相成長法などによって、アモルファスシリコン薄膜が形成され、固相成長結晶化工程と、レーザアニール結晶化工程とを順次経て、結晶性シリコン半導体膜(以後、単に結晶膜と呼ぶ場合もある)が形成される。
【0004】
エキシマレーザーアニール装置において、最適なレーザーエネルギー値を決定するには、レーザーエネルギー値を決定するための基板を用意しておく。以後、前記基板をパワーモニター基板と称する。予め定められた範囲のレーザーエネルギー値を用いて、パワーモニター基板に対し、レーザーエネルギー値を段階的に変化させつつレーザーエネルギーを照射する。その結果を目視観察またはラマン分光計測のような手段で計測して、結晶膜の結晶化度を確認する。その後、所望の結晶化度が得られた場所に対応するレーザーエネルギー値を用いて、エキシマレーザーアニール装置を稼動させる。
【0005】
エキシマレーザーアニール装置によって結晶化された結晶膜を生成した基板を、検査する技術も開示されている(特許文献1)。前記特許文献1に記載の従来技術には、基板の一表面部に所定の方向性を有する光を照射し、一表面部からの乱反射光の強度を計測して結晶化状態を測定し、その計測値に基づいて基板の状態を判定する技術が開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−110861号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
エキシマレーザーアニール装置によって結晶化された結晶膜の結晶化状態は、同一の設定条件のレーザーエネルギーで照射した場合であっても、基板の場所によって結晶化状態に違いがある。つまり前記結晶膜の結晶化状態は、面内分布を有する。結晶膜付きの結晶化基板の面内分布は、レーザーエネルギーの時間軸に対する変動と、レーザービームの照射エネルギー分布とによって発生する。前記レーザービームの照射エネルギー分布は、レーザー発信源から基板までの光路途中に配置されるレンズ群などのレーザー照射光学系の収差および光軸誤差などに起因して発生する。
【0008】
エキシマレーザーアニール装置は、一定期間またはレーザー照射回数などに応じて、光学系のクリーニングなどのメンテナンスつまり保守作業が必要である。前記保守作業に起因するレーザー照射エネルギー分布は、上述した保守作業毎に光学系の光学条件が変化することで一定とはならない。レーザーエネルギーを付与した基板の結晶化状態を計測した場合、結晶化基板の面内の場所によって、結晶化状態は異なる。それ故、パワーモニター基板を用いて得られたレーザーエネルギーの設定値は、保守作業毎にレーザーエネルギー分布の変化に影響を受けて、レーザーエネルギーの設定値の精度が低下する。
【0009】
またエキシマレーザーアニール装置に対し、適切なレーザーエネルギーの設定値を設定する。その後、TFT基板を製造するために、固相成長によって結晶化された製品用の結晶化基板に対し、前記エキシマレーザーアニール装置を用いてレーザーエネルギーを付与し、結晶化処理を進める。前述したように、結晶化状態は、基板内において面内分布を有するので、製品用の結晶化基板の結晶化状態を検査し、品質管理を行うには、基板内の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を特定する必要がある。逆に言えば、基板内における結晶化状態の過小箇所および過大箇所の位置が不特定であるので、基板内に、結晶化状態を測定するための多数の測定点を設定しなければならない。結果として検査時間が長くなるので、測定点数を離散的に限定するか、または、抜き取り検査するなどの対策が必要となる。したがって工程における検査精度が低下する。
【0010】
したがって本発明の目的は、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる結晶膜の検査方法および検査装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する方法であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向へ走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する第1工程と、
第1工程の検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する第2工程と、
第2工程で設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する第3工程とを含むことを特徴とする結晶膜の検査方法である。
【0012】
本発明に従えば、第1工程においては、照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、予め定める第1方向およびこの第1方向に直交する第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する。第2工程においては、第1工程の検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する。第3工程においては、第2工程で設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する。
【0013】
特に、第1工程において、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0014】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0015】
また本発明は、第2工程における結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定されることを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定される。それ故、結晶膜の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0017】
また本発明は、第1工程は、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求める第1段階と、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出する第2段階と、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第3段階とを有することを特徴とする。
【0018】
本発明に従えば、第1段階において、各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求める。第2段階において、各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出する。第3段階において、各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0019】
また本発明は、第2工程は、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定することを特徴とする。
【0020】
本発明に従えば、第2工程において、各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出する。また、この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位を抽出する。これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定する。
【0021】
このように検査部位列における検査値に基づいて、検査部位行における検査値が最大値および最小値となる検査部位を抽出したうえで、前記検査部位列を設定することができる。換言すれば、モニタ用結晶膜の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となる。したがって、本発明によれば、検査部位を無作為に限定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0022】
また本発明は、第1工程は、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第4段階をさらに有し、
第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、第1工程の第4段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、第1工程のうちの第4段階では、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、第1工程の第4段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。
【0024】
その後このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0025】
また本発明は、第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする。
【0026】
本発明に従えば、第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定をすることができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0027】
また本発明は、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する装置であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査するモニタ検査手段と、
モニタ検査手段による検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する条件設定手段と、
条件設定手段によって設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する対象膜検査手段とを含むことを特徴とする結晶膜の検査装置である。
【0028】
本発明に従えば、照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する装置において、モニタ検査手段は、照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する。
【0029】
条件設定手段は、モニタ検査手段による検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する。対象膜検査手段は、条件設定手段によって設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する。
【0030】
特に、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0031】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0032】
また本発明は、モニタ検査手段において、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求め、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出し、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する制御手段をさらに含むことを特徴とする。
【0033】
本発明に従えば、制御手段によって、各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求め、各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分けることができる。さらに制御手段によって、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出し、各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出することができる。
【0034】
特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0035】
また本発明は、制御手段は、さらに、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定する機能を有することを特徴とする。
【0036】
本発明に従えば、制御手段によって、モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。また制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。
【0037】
求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0038】
また本発明は、制御手段は、さらに、
モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出し、
条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に従えば、制御手段によって、モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する。また制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。制御手段によって、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0040】
また本発明は、制御手段は、さらに、
条件設定手段に関して、モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする。
【0041】
本発明に従えば、制御手段によって、条件設定手段に関して、モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る結晶膜の検査方法を段階的に示すフローチャートである。図1において、ai(i=1,2,3,・・・)はステップを示す。本実施形態は、たとえば液晶ディスプレイパネルを製造する際に、エキシマレーザーアニール装置による結晶化工程を経て用いられる技術に関する。エキシマレーザーアニール装置の条件設定のために、レーザーエネルギーを段階的に変化させてレーザーアニール処理した結晶化基板を、パワーモニター基板として作製する。前記パワーモニター基板の結晶化状態を計測して、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー条件の設定に必要なデータを得る。前記結晶化状態の計測を、パワーモニター計測と称する。
【0043】
ステップa0において、このフローをスタートさせた後、ステップa1では、エキシマレーザーアニール装置に予め登録されたパワーモニター計測条件に従い、パワーモニター計測を行う。次に、ステップa2に移行して検査条件を設定する。すなわち、パワーモニター計測によって得られた計測値のデータであって、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギーと結晶化状態の計測値との関係を表すデータを用いて、製造する製品用結晶化基板の検査に必要な後述の検査条件を設定する。次にステップa3において、製品用結晶化基板を検査する状態に移行する。すなわち、ステップa2で設定された検査条件に基づいて、製品用結晶化基板を検査する。その後、ステップa4に移行し、このフローを終了する。
【0044】
図2は、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査装置2の構成を概略示す図である。この検査装置2は、主に、基板位置決め機構と、照明4と、カメラ5と、画像処理装置6と、制御用パーソナルコンピュータ7とから構成されている。基板位置決め機構3は、XYステージ3aと、図示外のXYステージ駆動機構とを有する。前記XYステージ3aは、パワーモニター基板10または製品用結晶化基板8を支持するステージであって、長方形状のXYステージ3aの長手方向に沿った第2方向であるX方向と、支持された製品用結晶化基板8の厚み方向およびX方向に直交する第1方向であるY方向(図3参照)とに移動可能に構成されている。前記パワーモニター基板10または製品用結晶化基板8の一表面部に、結晶膜1A,1がそれぞれ形成されている。結晶膜1Aがモニタ用結晶膜に相当し、結晶膜1が検査対象結晶膜に相当する。前記製品用結晶化基板8を、単に、結晶化基板という場合もある。
【0045】
前記XYステージ駆動機構は、図示外のX方向駆動機構とY方向駆動機構とを有する。これらX方向駆動機構は、XYステージ3aをX方向に移動駆動可能な駆動源を有し、Y方向駆動機構は、XYステージ3aをY方向に移動駆動可能な駆動源を有する。パワーモニター基板10または結晶化基板8は、XYステージ3aおよびXYステージ駆動機構によって、X方向およびY方向に移動され位置決め可能に構成されている。
【0046】
照明4は、結晶化基板8の一表面部に対し光を照射する。つまり照明4は、結晶化基板8の厚み方向一方でかつ前記厚み方向に対し斜め方向から結晶化基板8に検査用の光を発するように構成されている。カメラ5は、結晶化基板8の厚み方向一方に支持され、照明4が照射した前記一表面部を撮像可能に配置して設けられている。前記カメラ5は、電荷結合素子(略称CCD:Charge Coupled Device)センサによって撮像が実現される。画像処理装置6は、カメラ5で撮像した画像データを取得および保持してデータ処理し、所望の情報を計算し得る。制御用パーソナルコンピュータ7は、基板位置決め機構3と、画像処置装置6および装置全体とを制御する。また制御用パーソナルコンピュータ7は図示外の記憶媒体を有し、この記憶媒体には、測定および検査条件が登録および格納される。前記制御用パーソナルコンピュータ7は、以降の記述で制御PC7と称する。
【0047】
制御PC7内に格納された測定および検査条件には、2種類のものがある。すなわち2種類の測定および検査条件のうち、パワーモニター計測用の検査部位である測定点とその判定基準データが、1つの測定および検査条件に相当する。また2種類の測定および検査条件のうち、製品用結晶化基板の検査用の検査部位である測定点とその判定基準データが、1つの測定および検査条件に相当する。
【0048】
パワーモニター基板10または結晶化基板8は、レーザーアニール処理によって結晶化が進むと、結晶粒界において凹凸が発生する。照明4によって前記凹凸に光が照射されると、カメラ5によって散乱光がセンシングされ、カメラ5の画像に明画像として観察される。結晶化度の進展と前記凹凸状態との間には、相関性がある。この相関性および画像の明るさすなわち濃度値によって、パワーモニター基板10または結晶化基板8の結晶化状態を計測可能としている。前記制御PC7が、条件設定手段および対象膜検査手段に相当する。
【0049】
基板位置決め機構3と、照明4およびカメラ5と、画像処理装置6と、制御用パーソナルコンピュータ7とがモニタ検査手段に相当する。
【0050】
図3は、結晶化領域に形成された測定点9を表す図であって、パワーモニター計測を説明するための図である。エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値を設定するために、一表面部に結晶膜1Aが生成されたパワーモニター基板10が用いられる。パワーモニター基板10は長方形状に形成され、その長方形状の長手方向の一辺が、XYステージの長手方向すなわちX方向に平行になるように配置される。
【0051】
ここでエキシマレーザーアニール装置は、照射対象のパワーモニター基板10に対し、所定のY方向長さと、X方向に所定小距離延びるX方向幅とを有する細長い略長方形状のレーザー光を照射するように構成されている。つまり、エキシマレーザーアニール装置のレーザービームは、照射形状が予め定める第1方向であるY方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜1Aおよび結晶膜1の結晶成長を促す作用を奏する。前記レーザービームは、Y方向および基板の厚み方向にそれぞれ直交するX方向へ走査されて照射される。本実施形態において、「略長方形状」は「長方形状」を含む。このエキシマレーザーアニール装置は、前記XYステージ駆動機構と略同等の駆動機構を備える。エキシマレーザーアニール装置は、この駆動機構によって、パワーモニター基板10を第2方向であるX方向に走査しつつこのパワーモニター基板10に対して前記レーザー光を照射する。
【0052】
前記パワーモニター基板10をX方向に送りつつ、エキシマレーザーアニール装置の照射エネルギすなわちレーザーエネルギー設定値を段階的に変化させる。これによって、基板長手方向に平行に並ぶ複数の結晶化領域11が形成される。図3においては、「a」から「j」までの10個の結晶化領域11が形成されている。この10個の結晶化領域11が、複数の検査部位列に相当する。
【0053】
上述したようにエキシマレーザーアニール装置のレーザービームの形状は、Y方向に沿って延びる細長い長方形状となっている。レーザアニール処理時には、パワーモニター基板10短辺方向つまりY方向に沿って、レーザービームが細長い形状でパワーモニター基板10に照射されるとともに、基板長手方向には、レーザービームと基板位置との相対移動による走査が行われる。
【0054】
このように、パワーモニター基板10の一表面部をレーザーアニール処理することで、パワーモニター基板10の一表面部は部分的に結晶化処理される。前記レーザーアニール処理を基板長手方向一方に一定量行い、その後レーザーエネルギー設定値を変更して、さらに基板長手方向一方にレーザーアニール処理を一定量行うことを繰り返す。これによって、基板長手方向に複数の結晶化領域11が形成される。しかも各結晶化領域11は、基板短辺方向に沿って延びるように形成される。すなわちパワーモニター基板10の一表面部の各結晶化領域11は、レーザービーム形状の長軸方向の幅の範囲で結晶化されており、前記各結晶化領域11は、レーザービーム形状の長軸方向長さと同一長さの領域となっている。
【0055】
「a」から「j」までの10個の結晶化領域11(測定点行11)には、パワーモニター計測における計測点としての測定点9がそれぞれ設定されている。各結晶化領域11において、複数の測定点9がレーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。各検査部位としての各測定点9は、X方向に並ぶ各測定点9を1つの列として、Y方向に平行に並ぶ複数の測定点列12に分けられる。しかも各測定点9は、Y方向に並ぶ各測定点9を1つの行として、X方向に平行に並ぶ複数の測定点行11すなわち結晶化領域11に分けられる。前記測定点列12が検査部位列に相当し、前記測定点行11が検査部位行に相当する。
【0056】
本実施形態においては、図3に示すように、各結晶化領域11において、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が設定されている。これら測定点列12は、基板長手方向すなわちX方向に平行な方向に配設されている。結晶化領域11に設定された前記複数の測定点9は、レーザーエネルギー設定値を段階的に変化させた基板長手方向の各結晶化領域11にも、同じ配置関係で設定されている。
【0057】
具体的には、結晶化領域「a」において、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。結晶化領域「a」の基板長手方向に隣接する結晶化領域「b」に関しても、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。以下、同様にその他の結晶化領域「c〜j」に関しても、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9つの測定点9が、レーザービーム長軸方向に沿って一定間隔おきに設定されている。
【0058】
上述したように、結晶化領域11に設定された複数の測定点9は、レーザーエネルギー設定値を段階的に変化させた基板長手方向の各結晶化領域11にも、同じ配置関係で設定されており、これら複数の測定点9は、XおよびY方向に並ぶ二次元マトリックス状態の配置構成となっている。測定点列12は、レーザービーム長軸方向のレーザーエネルギー分布に影響されず、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値に応じた結晶化状態を測定することができる測定点列である。
【0059】
図4は、パワーモニター計測における計測値を表す図である。図4の横軸には、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定値が示され、縦軸には、複数の測定点9にそれぞれ対応する検査値としての計測値が示されている。図4のデータ線は、レーザーエネルギーの分布を示す。前記縦軸に平行な複数の縦線L1は、結晶化領域「a」から結晶化領域「j」のそれぞれの測定点9に相当する。前記レーザーエネルギーの分布とこれら縦線L1との交点は、各々の測定点9における計測値を示している。
【0060】
図4のデータ線としては、「A」から「I」までの9つの測定点列12のうち、説明のために特徴ある3つの測定点列12のデータ線が表されている。レーザーエネルギー設定値の増加に伴い、結晶化が進み、計測値は大きくなっていく。逆に言えば、各測定点9の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる計測値として求める。
【0061】
計測値の最大値に対応するレーザーエネルギーを超えるレーザーエネルギーを、パワーモニター基板10に与えると、レーザーエネルギー設定値の増加に伴い、計測値は減少する。前記計測値の減少は、レーザーエネルギーが結晶化を行うには過大となり、微小な結晶粒が発生するため、照明光の反射量が減少するものと考えられる。このような微小な結晶粒が発生する結晶化状態となるようなレーザーエネルギーを、製品用結晶化基板8(図6参照)に与える場合には、この製品用結晶化基板8の一表面部に形成される薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)の性能が低下する。したがって前記製品用結晶化基板8は不良品と判定される。
【0062】
パワーモニター計測においては、各測定点列12のうち、最小のレーザーエネルギーで、計測値が最大値となる測定点列12を抽出する。具体的には、各測定点列12毎に計測値が最大すなわちピーク位置となるレーザーエネルギーを算出する。各測定点列12毎に算出した前記ピーク位置は、測定点列12毎に差異がある。前記レーザーエネルギーを算出した後、全ての測定点列12の各ピーク位置の差異であるピーク位置差δを求める。
【0063】
換言すれば、最小のレーザーエネルギーで計測値が最大値となる測定点列12を抽出する段階で抽出される測定点列12における計測値が、最大値となる測定点9のレーザーエネルギーと、最大のレーザーエネルギーで計測値が最大値となる測定点列12を抽出する段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーとのエネルギ差を求める。前記ピーク位置差δは、レーザービームの長軸方向すなわちY方向のエネルギー分布によって発生するものである。このレーザービームの長軸方向のエネルギー分布すなわち前記エネルギ差が、ピーク位置差δとなって算出される。
【0064】
前記3つの測定点列12のデータ線のうち、実線で表されるデータ線L2は、レーザービーム長軸方向のエネルギー分布内でエネルギーが最大の測定列のものである。3つの測定点列12のデータ線に関して、最小のレーザーエネルギー設定値で計測値がピークに達している。3つの測定点列12のデータ線のうち、太い破線で表されるデータ線L3は、レーザービーム長軸方向のエネルギー分布内でエネルギーが最小の測定点列12のものである。3つの測定点列12のデータ線に関して、最大のレーザーエネルギー設定値で計測値がピークに達している。最小のレーザーエネルギー設定値で、計測値がピークに達する測定点列12のピーク位置データを、最適ピーク位置14として算出する。
【0065】
図5は、最小のレーザーエネルギー設定値で計測値の最大値が得られる領域において、レーザービーム長軸方向のレーザービーム分布と計測値との関係を表す図である。図5の縦軸には、検査値としての計測値が示される。前記縦軸に平行な複数の縦線L4は、「A」から「I」までの9つの測定点列12にそれぞれ交差する測定点である。レーザーエネルギーの強度分布とこれら縦線L4との交点は、その縦線の測定点つまり測定点列12における計測値を示している。測定点9に対するレーザーエネルギーの強度分布は、一定にはならない。すなわち、最小のレーザーエネルギー設定値で、計測値がピークに達する結晶化領域11には、計測値が最大値となる測定値点15と、計測値が最小値となる測定値点16とが存在する。
【0066】
本実施形態におけるパワーモニター基板10の計測動作に関して、予め制御PC7内の記憶媒体に登録し格納されたパワーモニター条件データを用いて、パワーモニター計測を行う。前記パワーモニター条件は、測定点9の座標値を有する複数の測定点9と、判定基準とで構成されている。この判定基準は、パワーモニター計測の結果が、有効であるか無効であるかを判定する基準である。前記判定基準は、パラメータと、ピーク位置差δを判定する上限値とから構成されている。前記パラメータは、最適ピーク位置14における計測値の上限および下限値を判定するものである。
【0067】
制御PC7は、記憶媒体からパワーモニター条件データを読み出し、制御動作に利用する。パワーモニター基板10は、作業員または基板搬送機構を介して検査装置2内の所定位置に位置決めされる。この位置決めされたパワーモニター基板10は、制御PC7によって制御された基板位置決め機構3を介して移動する。つまり照明4およびカメラ5から構成される光学系によって、登録された測定点9を観察可能な位置に、パワーモニター基板10を移動する。その後、照明4およびカメラ5を用いて、複数の測定点9が観察され、その観察画像は画像処理装置6へ転送される。画像処理装置6は、転送された観察画像を画像処理したうえで計測値を算出する。本実施形態における計測値の算出方法においては、照明4およびカメラ5から構成される光学系によって得られた観察画像を量子化し、得られた各画素の濃度値に基づいて、撮像画像内の平均値を計算して用いる。
【0068】
制御手段としての制御PC7は、各機器を制御し、この制御動作を上述した複数の測定点9で行なって、パワーモニター基板10の結晶化状態を計測する。制御PC7は、前記結晶化状態を計測した後、各測定点列12毎に計測値のピーク位置を検索する。さらに制御PC7は、最適ピーク位置14とピーク位置差δとを算出し、出力する。また制御PC7は、最適ピーク位置14における計測値およびピーク位置差δの値を、判定基準によって判定する。前記判定基準とは、パワーモニター計測条件内の計測値の判定基準と同義である。
【0069】
最適ピーク位置14における計測値が、その上限基準値を超えるかまたは下限基準値を下回っていた場合には、パワーモニター基板10を不良品と判定する。つまり最適ピーク位置14における計測値が、予め設定される検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。ピーク位置差δの値がその上限基準値を超えていた場合も、パワーモニター基板10を不良品と判定する。つまりピーク位置差δの値が予め定めるエネルギ範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。前記計測値がその上限基準値以内でかつ下限基準値以上であり、しかもピーク位置差δの値がその上限基準値以内であった場合には、パワーモニター基板10を良品と判定し、その判定結果を出力する。前記パワーモニター基板10が不良品と判定された場合には、パワーモニター基板10が適切な結晶化状態でないことを意味している。
【0070】
上述したパワーモニター計測を行った後、このパワーモニター計測結果を利用して製品用結晶化基板8の検査条件を設定する。以後、パワーモニター計測結果を用いた検査条件の設定処理について説明する。製品用結晶化基板8を検査する機能としては、製品用結晶化基板8の一表面部内における複数の任意位置を測定する機能と、製品用結晶化基板8における測定点9の計測値を上限基準値と下限基準値とを用いて良否判定する機能とがある。製品用結晶化基板8の検査に関して、結晶化が不十分である場合には計測値が低くなる。計測値が下限基準値よりも低い場合には、製品用結晶化基板8の結晶化処理が不十分として、その製品用結晶化基板8を不良品と判定する。
【0071】
レーザーアニール処理では、レーザーエネルギーが過大になった場合には、前述のように微小な結晶粒が発生することに起因して製品のTFT特性が低下する。それ故、計測値がピーク付近の値である場合には、レーザーエネルギーの揺らぎ幅をマージンとして考慮して判定する。したがって計測値の上限基準値を、微小な結晶粒が発生する可能性が高い不良品として扱うことが可能となるように設定することができる。計測値が上限基準値を超えた場合には、その製品用結晶化基板8を不良品と判定する。
【0072】
また判定条件には、製品用結晶化基板8の一表面部内における欠陥測定点の上限値も設定することができる。すなわち前記一表面部内における全ての測定点9の良否を判定し、不良と判定される測定点9の上限点数を設ける。前記上限点数を超える不良の測定点9が検出された場合のみ、製品用結晶化基板8の測定結果を不良とし、それ以外は良と判定する。
【0073】
図6は、検査条件における測定点9を表す図である。図3も併せて説明する。測定点群17は、レーザービーム長軸方向である基板短辺方向に一定間隔おきに、「A」から「I」までの測定点列12に対応する9点および、レーザービームと基板8との相対的な走査方向である基板長手方向に一定間隔おきに9点の合計81点の測定点9が配置される。このように、製品用結晶化基板8について、X方向およびY方向に並ぶ複数の測定点9を配置しているので、レーザーエネルギー分布が変化しても、基板8を適切に検査することができる。
【0074】
測定点群18は、パワーモニター計測時に得られたレーザービーム長軸方向の計測値の最大測定値点15と最小測定値点16とにそれぞれ対応する測定点列12に設けられる。本実施形態においては、前記最大測定値点15に対応する「C」の測定点列12および、前記最小測定値点16に対応する「I」の測定点列12に沿って、測定点群18が設けられる。しかも測定点群18は、レーザービームと基板8との相対的な走査方向である基板長手方向へは、結晶化領域「a」から結晶化領域「i」にそれぞれ対応する同等点数が設けられる。制御PC7は、パワーモニター計測終了時に、パワーモニター計測結果に基づいて、測定点群18に示す測定点9を、制御PC7内に予め格納されたプログラムに基づいて、検査条件として自動生成し、制御PC7内部の記憶媒体の検査条件として設定する。前記制御PC7が、自動制御手段および検査条件設定手段に相当する。
【0075】
パワーモニター計測において、最大測定値点15における計測値は、検査条件の計測値の上限基準値の設定基準となる値として用いられる。パワーモニター計測におけるレーザーエネルギーと計測値との関係は、レーザーエネルギーが段階的となっており、しかも離散的な計測値である。それ故、正しく測定したピーク位置の計測値であっても、この計測値は誤差を含んでいる。したがって、最大計測値点15に一定のマージン値を加えた値を、検査条件の計測値の上限基準値に設定する。このように上限基準値を設定することができる。また一般には、エキシマレーザーアニール装置のレーザーエネルギー設定条件は、過大なレーザーパワーに起因する微小な結晶粒の発生を抑えるため、最適ピーク位置14で得られたレーザーエネルギー値より小さめのレーザーエネルギー値を設定する。
【0076】
したがって前記マージン値は、レーザーエネルギー値の設定の調整量を含めて定められ、かつ一定の値に定められる。計測値の下限基準値の設定方法に関して、製造工程内のレーザーアニール条件の管理基準をレーザーエネルギーの範囲とした場合の例で説明する。パワーモニター計測において、レーザーエネルギーと計測値との関係が明らかであることから、レーザーエネルギーの管理下限値に基づいて、パワーモニター基板10と同一のレーザーエネルギー領域の測定点9の計測値を用いて、前記計測値の下限基準値を設定する。
【0077】
ところで製造工程における管理基準は、電子移動度などのTFTの電気特性を所定の性能に保つため、レーザーエネルギーの設定を、最適な結晶化状態からレーザーエネルギーの範囲で管理することが一般的である。最適ピーク位置14によって得られるレーザーエネルギー設定値は、結晶化の最適状態におけるレーザーエネルギー設定値であることから、この最適ピーク位置を基準として考える。最適ピーク位置14から必要なレーザーエネルギーの範囲だけレーザーエネルギーを減じた設定でレーザーアニール処理した結晶化領域における計測値を用いる。
【0078】
本実施形態においては、図3に示すように、「A」から「I」までの測定点列12に沿った9箇所の測定点9において計測値が得られるが、ここでは計測値の最小値を用いることとする。この結晶化領域11で得られる最小の計測値は、結晶化に必要なレーザーエネルギーの管理基準値の下限基準値を考える基準となる値として用いられる。前記下限基準値を実際に設定する際には、上述した上限基準値と同様の考え方で、最適ピーク位置14から必要なレーザーエネルギーの範囲だけレーザーエネルギーを減じた設定で、レーザーアニール処理した結晶化領域11における最小の計測値に対し、一定のマージン値を減じた値で、計測値の下限基準値を設定する。
【0079】
レーザーアニール処理した後の結晶化状態と計測値との関係は、結晶膜の生成工程の条件が変動すると、同一のレーザーエネルギー設定値で照射しても、計測値に相違が見られる場合がある。本実施形態では、結晶膜1の生成工程において変動要因が発生しても、検査時の計測値の判定基準値を、検査時の条件に適した内容で自動的に設定することが可能となる。このように制御PC7は、パワーモニター計測によって得られた情報から、検査条件を自動的に作成し、この検査条件を制御PC内7の記憶媒体に登録しておく。
【0080】
次に、エキシマレーザーアニール装置によってアニール処理した製品用結晶化基板8の検査について説明する。制御PC7は、記憶媒体に登録された前記検査条件を読み出し、制御動作に利用する。作業員または基板搬送機構を介して検査装置2内の所定位置に位置決めされた製品用結晶化基板8を、基板位置決め機構3を介して移動する。つまり制御PC7によって制御される基板位置決め機構3を介して、製品用結晶化基板8のうちの登録された測定点9を、照明4およびカメラ5から構成される光学系を用いて観察可能な位置に相対的に移動する。
【0081】
画像処理装置6は、転送された観察画像を画像処理し、計測値を算出する。本実施形態における計測値の算出方法では、パワーモニター計測と同様に、前記光学系によって得られた観察画像を量子化し、得られた各画素の濃度値について、撮像画像内の平均値を計算して用いる。制御PC7は、各機器を制御し、この制御動作を図6に示す測定点群17または測定点群18に設定されるような複数の測定点9で行なって、製品用結晶化基板8の結晶化状態を計測する。全ての測定点9での計測処理が終了すると、全ての測定点9の結果を、検査条件の判定条件に従って各測定点9毎に判定する。さらに基板8の一表面部内において、全ての測定点9の不良点数による基板8の良否判定を行い、その判定結果を出力する。
【0082】
製品用結晶化基板8の製造時に、レーザーアニール条件が変動して、結晶膜1の結晶化状態が低下した場合には、最小測定値点16によって設定した測定点列12の計測値が下限基準値を超えるため、前記と同様に良否判定を行うことができる。結晶膜1の結晶化状態が進み過ぎてレーザーエネルギーが過大な状態になった場合には、最大測定値点15によって設定した測定点列12の計測値が上限基準値を超えるため、前記と同様に良否判定を行うことが可能となる。
【0083】
以上説明した結晶膜1の検査方法によれば、第1工程において、レーザーエネルギーを変化させながら走査方向であるX方向に走査されてレーザービームが照射された結晶膜1Aの結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査する。第2工程では、前記第1工程の検査結果に基づいて、結晶膜1を検査するときの少なくとも測定点9を含む検査条件を設定する。第3工程においては、前記設定される検査条件を用いて、結晶膜1を検査する。
【0084】
特に、第1工程において、結晶膜1Aの結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査しており、その検査結果に基づいて、製品用結晶化基板8の結晶膜1を検査するときの測定点9を含む検査条件を設定しているので、仮に結晶膜1Aの結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき測定点9を略特定することができる。
【0085】
このように結晶化状態を、XおよびY方向に並ぶ複数の測定点9で検査しているので、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、結晶膜1を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜1を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0086】
制御PC7は、パワーモニター計測によって得られた情報から、検査条件を自動的に作成することができる。それ故、結晶膜1の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0087】
また本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1段階において、各測定点9の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる計測値として求める。第2段階において、各測定点9を、X方向に並ぶ各測定点9を1つの列として、Y方向に平行に並ぶ複数の測定点列12に分け、各測定点列12毎に、計測値が最大値となる測定点9を抽出する。第3段階において、各測定点列12のうち、最小のレーザーエネルギーで、計測値が最大値となる測定点列12を抽出する。
【0088】
特に、結晶化状態を抑制するための最小のレーザーエネルギーで、検査値が最大値となる測定点列12を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるためのレーザーエネルギーの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0089】
また本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、各測定点9を、Y方向に並ぶ各測定点9を1つの行として、X方向に並ぶ複数の測定点行に分け、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9を有する測定点行11すなわち結晶化領域11を抽出する。また、この結晶化領域11における計測値が最大値となる測定点9および計測値が最小値となる測定点9を抽出する。これら2つの測定点9を有する測定点列12の各測定点9を、結晶膜1を検査するときの測定点9として、検査条件に設定する。
【0090】
このように測定点列12における検査値に基づいて、結晶化領域11における計測値が最大値および最小値となる測定点9を抽出したうえで、前記測定点列12を設定することができる。換言すれば、結晶膜1Aの結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜1の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0091】
また、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1工程のうちの第4段階では、各測定点列12のうち、最大のレーザーエネルギーで、測定値が最大値となる測定点列12を抽出する。第2工程において、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーと、第1工程の第4段階で抽出される測定点列12における計測値が最大値となる測定点9のレーザーエネルギーとのエネルギ差δを求める。
【0092】
その後このエネルギ差δが予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。求められるエネルギ差δが、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、結晶膜1Aは異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差δが、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、この結晶膜1Aは正常であると判定する。このように結晶膜1Aの異常判定を実現することができる。少なくとも、前記結晶膜1Aの異常判定に基づいて、結晶膜1の検査条件を設定することができる。
【0093】
また、本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法によれば、第1工程の第3段階で抽出される測定点列12における計測値の最大値が、予め設定される計測値範囲内にあるか否かを判定する。抽出される測定点列12における計測値の最大値が、前記計測値範囲外であると判定したとき、結晶膜1Aは異常であると判定する。逆に、前記計測値の最大値が、前記計測値範囲内であると判定したとき、結晶膜1Aは正常であると判定する。このようにモニタ用の結晶膜1Aの異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用の結晶膜1Aの異常判定に基づいて、結晶膜1の検査条件を設定することができる。
【0094】
本実施形態においては、結晶化状態の計測方法として、結晶粒界における凹凸の発生を照明4とカメラ5による観察および計測による事例で示したが、結晶化状態および計測値に相対的な相関性が得られる検査手段であれば、たとえばラマン分光法などを用いる他の検査手段を用いてもよい。本実施形態においては、照明は、基板の厚み方向に対し斜め方向から光を照射する反射照明を用いているが、必ずしもこれに限定されるものではない。たとえばガラス基板の一表面部に形成された結晶膜に関しては、透過照明を用いることも可能である。その他、前記実施形態に、特許請求の範囲を逸脱しない範囲において種々の部分的変更を行う場合もある。
【0095】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、特に、第1工程において、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0096】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0097】
また本発明によれば、結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定される。それ故、結晶膜の検査条件を短時間でかつ正確に設定することができる。
【0098】
また本発明によれば、特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0099】
また本発明によれば、検査部位列における検査値に基づいて、検査部位行における検査値が最大値および最小値となる検査部位を抽出したうえで、前記検査部位列を設定することができる。換言すれば、モニタ用結晶膜の結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となる。したがって、本発明によれば、検査部位を無作為に限定するか、または、抜き取り検査などの対策を講じることなく、検査条件を設定することができる。それ故、結晶膜の結晶化状態の検査を、従来技術よりも高い精度で実現することが可能となる。
【0100】
また本発明によれば、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0101】
また本発明によれば、抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定をすることができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0102】
また本発明によれば、特に、前記モニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査しており、その検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定しているので、仮にモニタ用結晶膜の結晶化状態について、面内分布が発生している状態であっても、検査すべき検査部位を略特定することができる。
【0103】
たとえば、前記結晶化状態の過小箇所および過大箇所を略特定することが可能となるので、検査対象結晶膜を、従来技術よりも高い精度で計測および検査することが可能となる。したがって、所望の結晶化度が得られる結晶膜を形成することが可能となり、製造プロセスの安定稼動を図ることが可能となる。
【0104】
また本発明によれば、特に、結晶化状態を抑制するための最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を求めているので、仮に結晶化状態を進行させるための照射エネルギの分布状態が変動していたとしても、その分布状態に適した計測を行うことができる。
【0105】
また本発明によれば、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲外にあると判定したとき、モニタ用結晶膜は異常であると判定する。逆に、求められるエネルギ差が、前記エネルギ範囲内にあると判定したとき、このモニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0106】
また本発明によれば、制御手段によって、条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求める。また制御手段によって、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定する。このように制御手段によって、モニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【0107】
また本発明によれば、抽出される検査部位列における検査値の最大値が、前記検査値範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する。逆に、前記検査値の最大値が、前記検査値範囲内であると判定したとき、モニタ用結晶膜は正常であると判定する。このようにモニタ用結晶膜の異常判定を実現することができる。少なくとも、前記モニタ用結晶膜の異常判定に基づいて、結晶膜の検査条件を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査方法を段階的に示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施形態に係る結晶膜1の検査装置2の構成を概略示す図である。
【図3】結晶化領域に形成された測定点9を表す図であって、パワーモニター計測を説明するための図である。
【図4】パワーモニター計測における計測値を表す図である。
【図5】最小のレーザーエネルギー設定値で計測値の最大値が得られる領域において、レーザービーム長軸方向のレーザービーム分布と計測値との関係を表す図である。
【図6】検査条件における測定点9を表す図である。
【符号の説明】
1 結晶膜
3 基板位置決め機構
4 照明
5 カメラ
6 画像処理装置
7 制御PC
8 製品用結晶化基板
9 測定点
10 パワーモニター基板
11 結晶化領域
12 測定点列
14 最適ピーク位置
15 測定値点
16 測定値点
Claims (11)
- 照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する方法であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向へ走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査する第1工程と、
第1工程の検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する第2工程と、
第2工程で設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する第3工程とを含むことを特徴とする結晶膜の検査方法。 - 第2工程における結晶膜の検査条件は、第1工程で検査結果が得られると、自動制御手段によって自動的に設定されることを特徴とする請求項1記載の結晶膜の検査方法。
- 第1工程は、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求める第1段階と、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出する第2段階と、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第3段階とを有することを特徴とする請求項1または2記載の結晶膜の検査方法。 - 第2工程は、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定することを特徴とする請求項3記載の結晶膜の検査方法。 - 第1工程は、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する第4段階をさらに有し、
第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、第1工程の第4段階で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする請求項3または4記載の結晶膜の検査方法。 - 第2工程は、第1工程の第3段階で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定することを特徴とする請求項3または4記載の結晶膜の検査方法。
- 照射形状が予め定める第1方向へ延びる略長方形状であり、結晶膜の結晶成長を促すためのレーザービームが、第1方向に直交する第2方向へ走査されて照射される検査対象結晶膜を検査する装置であって、
照射エネルギを変化させながら第2方向に走査されてレーザービームが照射されたモニタ用結晶膜の結晶化状態を、第1および第2方向に並ぶ複数の検査部位で検査するモニタ検査手段と、
モニタ検査手段による検査結果に基づいて、検査対象結晶膜を検査するときの少なくとも検査部位を含む検査条件を設定する条件設定手段と、
条件設定手段によって設定される検査条件を用いて、検査対象結晶膜を検査する対象膜検査手段とを含むことを特徴とする結晶膜の検査装置。 - モニタ検査手段において、
各検査部位の結晶化状態を、結晶の成長度が高くなるにつれて大きな値となる検査値として求め、
各検査部位を、第2方向に並ぶ各検査部位を1つの列として、第1方向に並ぶ複数の検査部位列に分け、各検査部位列毎に、検査値が最大値となる検査部位を抽出し、
各検査部位列のうち、最小の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出する制御手段をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の結晶膜の検査装置。 - 制御手段は、さらに、
各検査部位を、第1方向に並ぶ各検査部位を1つの行として、第2方向に並ぶ複数の検査部位行に分け、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位を有する検査部位行を抽出し、
この検査部位行における検査値が最大値となる検査部位および検査値が最小値となる検査部位とを抽出し、
これら2つの検査部位を有する検査部位列の各検査部位を、検査対象結晶膜を検査するときの検査部位として、検査条件に設定する機能を有することを特徴とする請求項8に記載の結晶膜の検査装置。 - 制御手段は、さらに、
モニタ検査手段に関して、各検査部位列のうち、最大の照射エネルギで、検査値が最大値となる検査部位列を抽出し、
条件設定手段に関して、抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギと、前記モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値が最大値となる検査部位の照射エネルギとのエネルギ差を求め、このエネルギ差が予め定めるエネルギ範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする請求項8に記載の結晶膜の検査装置。 - 制御手段は、さらに、
条件設定手段に関して、モニタ検査手段で抽出される検査部位列における検査値の最大値が、予め設定される検査値範囲内にあるか否かを判定して、範囲外であると判定したとき、モニタ用結晶膜が異常であると判定する機能を有することを特徴とする請求項8に記載の結晶膜の検査装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003168656A JP2005003566A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 結晶膜の検査方法および検査装置 |
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JP2003168656A JP2005003566A (ja) | 2003-06-13 | 2003-06-13 | 結晶膜の検査方法および検査装置 |
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JP2005003566A true JP2005003566A (ja) | 2005-01-06 |
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ID=34094026
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JP (1) | JP2005003566A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102122087B (zh) * | 2010-01-11 | 2012-08-22 | 京东方科技集团股份有限公司 | 用于进行光学测试的测试装置 |
-
2003
- 2003-06-13 JP JP2003168656A patent/JP2005003566A/ja active Pending
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