JP2005002512A - 人工皮革およびその製造方法 - Google Patents

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裕利 後藤
Hisataka Yoshiki
久貴 吉木
Yuji Iwasaki
祐二 岩崎
Katsuo Sasa
克夫 佐々
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Abstract

【課題】難燃性、耐光性および摩耗耐久性に優れ、且つ非ハロゲンである、合成繊維からなる難燃性立毛人工皮革を提供する。
【解決手段】単繊維繊度1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布、および高分子弾性体を含んでなる布帛の片面に、燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれる少なくとも1種の燐酸化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類、セルロース類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物、およびバインダー樹脂を含む難燃性組成物が付与されていることを特徴とする人工皮革およびその製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン等の高分子弾性体を含有した、合成繊維からなる人工皮革に関するものであり、さらに詳しくは、難燃性、耐光性ならびに摩耗耐久性に優れ、且つ非ハロゲンである、合成繊維からなる難燃性立毛人工皮革およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ポリウレタン等の高分子弾性体を含有する、熱可塑性合成繊維をパイル糸にもつ立毛人工皮革の開発が進み、衣料用素材として多用されてきた。これら立毛人工皮革としては、極細繊維からなる不織布や、起毛した織編物等に、高分子弾性体を含浸させたもの等が挙げられる。
【0003】
近年は、この様な立毛人工皮革を、衣料用途のみならず資材用途、例えば車輌内装材や椅子張り等のインテリア用途に展開する検討も活発になってきており、これら資材用途で要求される難燃性付与が重要な課題であった。
【0004】
難燃性付与に際し、通常の織編物では顕在化しにくい、立毛人工皮革特有の下記問題点を解決するために、種々の検討が行われてきた。
(1)立毛間部分に空隙があり、構造的に燃えやすい。
(2)高分子弾性体と熱可塑性合成繊維の難燃化機構が異なる。
(3)難燃剤が立毛人工皮革の表面品位ならびに耐光性を低下させる。
(4)難燃加工が染色堅牢度の低下や風合い硬化を誘発する。
上記問題点を解決する方法として、ハロゲン化燐酸エステルをアクリル酸エステル樹脂と共に立毛面の裏面側に付与する方法(特許文献1)、不織布に含浸するポリウレタンにあらかじめ難燃剤を含ませておく方法(特許文献2)、有機燐成分を共重合させた熱可塑性合成繊維を用いる方法(特許文献3)等が報告されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−013786号公報
【特許文献2】
特開平7−18584号公報
【特許文献3】
特開2002−294571号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ハロゲン化燐酸エステルをアクリル酸エステル樹脂と共に立毛面の裏面側に付与する方法では、難燃性には優れるものの、ハロゲンに起因した、燃焼時に発生する有毒性ハロゲン化ガスやダイオキシン、ならびにハロゲン化合物の生体内蓄積等の問題があった。また、不織布に含浸するポリウレタンにあらかじめ難燃剤を含ませておく方法では、経時的にポリウレタン重合度が低下、すなわちポリウレタンが脆化するため、長時間使用後に立毛人工皮革の強度劣化を招き、破れ、モモケ、残留歪み等が生じるだけでなく、染色の耐光堅牢度が低下する等の問題があった。また、有機燐成分を共重合させた熱可塑性合成繊維を用いる方法では、重合設備投資や品種切り替えに伴う製造コストアップのみならず、共重合繊維に特有の、不十分な、強力特性および耐光堅牢度特性等の問題があった。
【0007】
本発明の課題は、かかる従来技術の背景に鑑み、難燃性、耐光性および摩耗耐久性に優れ、且つ非ハロゲンである、合成繊維からなる難燃性立毛人工皮革を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明に係る人工皮革は、単繊維繊度1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布、および高分子弾性体を含んでなる布帛の片面に、燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれる少なくとも1種の燐酸化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類、セルロース類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物、およびバインダー樹脂を含む難燃性組成物が付与されていることを特徴とするものからなる。
【0009】
上記バインダー樹脂は、特に限定されるものではないが、接着性および難燃性の観点からウレタン樹脂であることが好ましい。
【0010】
上記布帛の片面は立毛を有していることが好ましい。また、上記立毛を有する面の裏面側には、上記難燃性組成物が付与されていることが好ましい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る人工皮革の製造方法は、単繊維繊度1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布、および高分子弾性体を含んでなる布帛を製造し、該布帛の片面に、燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれる少なくとも1種の燐酸化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類、セルロース類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物、およびバインダー樹脂を含む難燃性組成物を付与することを特徴とする方法からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について、望ましい実施の形態とともに詳細に説明する。
本発明でいう難燃性組成物は、非ハロゲン化合物の燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム(好ましくは難水溶性)、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれた少なくとも1種の燐酸化合物を含むものである。他の燐系難燃剤である、油性の燐酸エステル類や水溶性燐酸アンモニウム、また、スルファミン酸アンモニウムや硫酸アンモニウム等の無機難燃剤を用いた場合、非ハロゲン化は達成されるものの、立毛人工皮革に含有されるポリウレタンを加水分解するため、経時的にポリウレタンが脆化する。その結果、長時間使用後に立毛人工皮革は強度劣化し、破れ、モモケ、残留歪み等が生じるだけでなく、染色の耐光堅牢度が低下する等の問題が発生するため、本発明の効果は得られない。
【0013】
また、本発明でいう難燃性組成物は、立毛人工皮革へのバインダー樹脂を含むものである。バインダー成分が含まれていないと、難燃剤の脱落が発生するため、使用耐久性を満足させることができない。バインダー樹脂としては、ウレタン樹脂が好ましく、ウレタン樹脂としては、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリカプロラクトンジオール等のポリマージオールと、芳香族イソシアネート、脂肪族もしくは脂環式ジイソシアネート等の有機ジイソシアネートと、活性水素原子を少なくとも2個以上有する低分子化合物を鎖伸長剤として反応させたポリウレタンエラストマー等、任意のものを使用することができ、指向する用途に応じて、柔軟性、耐加水分解性、耐光性、耐熱性等の各種性能を満たす組成のものを適宜選ぶことができる。なお、バインダー成分を他の樹脂にすることもできるが、接着性が良く難燃性の低下が少ない点から、ウレタン樹脂が最も好ましい。
【0014】
また、本発明でいう難燃性組成物は、発泡成分および/または炭化成分を含むものである。本発明では、非ハロゲン化を達成するために燐系難燃剤を選定している。燐系難燃剤は、ハロゲン系難燃剤に比べて難燃性能が低く、本発明の効果を得るために、発泡成分および/または炭化成分で補う必要がある。なお、難燃性向上についてのみ注目した場合、燐系難燃剤の使用量アップで対応することは可能である。しかし、同時に風合い硬化を誘発するため、実使用上は問題となる。
【0015】
本発明において、発泡成分とは、燃焼時の熱により発泡するものを示す。発泡で生じた空気断熱層により、可燃物である繊維と炎が遮断されて延焼を防ぐ効果が得られる。発泡成分としては、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミンおよびジシアンジアミドが挙げられる。一方、炭化成分とは、燃焼時の熱により炭化層を形成するものを示す。生じた炭化層により、可燃物である繊維と炎が遮断されて延焼を防ぐ効果が得られる。炭化成分としては、デンプン類、セルロース類およびソルビトールが挙げられる。デンプン類としては、ジャガイモデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、タピオカデンプン等の生デンプンや可溶性デンプン、酸化デンプン、流動性デンプン、白色デキストリン、黄色デキストリン、ブリティッシュガム燐酸デンプン等が挙げられる。一方、セルロース類としては、木綿セルロース、木材セルロース、ソーダセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース等の有機セルロース類や硫酸セルロース等の無機酸エステルセルロース類が挙げられる。
【0016】
また、発泡成分や炭化成分を添加することにより、立毛人工皮革のポリウレタン脆化が防止されることを、強制劣化試験で確認している。この効果の理由として、難燃性組成物において、上記成分が難燃剤を包み込んだミセルコロイド状態をとるためと考えられる。難燃性組成物には、発泡成分または炭化成分のいずれか一方を含むものでもよいが、両者を共に用いることが好ましい。
【0017】
なお、本発明でいう難燃性組成物は、加工剤の経時安定性や難燃加工の生産作業性向上のための増粘剤や、流動パラフィン、ポリエチレングリコールの様な柔軟剤が添加されていてもよい。
【0018】
本発明の立毛人工皮革は、高分子弾性体を含浸、立毛した人工皮革基布に対して、染色処理を施した後、ハロゲン非含有の燐酸化合物、ウレタン樹脂、発泡成分および/または炭化成分を含む難燃性組成物を、立毛面の裏面側に付与することにより得ることができる。
【0019】
上記人工皮革基布としては、単繊維繊度が1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布に高分子弾性体を含浸したものが使用される。好ましくは0.5デシテックス以下の合成繊維、より好ましくは0.3デシテックス以下の合成繊維を含むものである。そして、織物、編物または不織布は、立毛を有することが好ましい。ここで使用される合成繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらを主成分とした共重合ポリエステル系繊維に代表されるポリエステル系合成繊維、ナイロン6やナイロン6,6に代表されるポリアミド系合成繊維、ポリプロピレン系などの合成繊維を用いることができる。中でも、染色性、染色堅牢度ならびに耐摩耗性に優れるポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0020】
本発明における人工皮革基布の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。例えば、海島紡糸法によりポリスチレンを海成分、ポリエステルを島成分とする複合繊維を紡糸し、該複合繊維を用いて、スパンボンド、メルトブロー、抄紙法、カードとクロスラッパーとを組み合わせた方法等により繊維ウエブを形成し、該繊維ウエブを用いて、ニードルパンチ処理あるいはウオータージェットパンチ処理などの絡合処理により、絡合不織布を形成する。なお、該絡合処理については、ニードルパンチ処理が繊維の高絡合化による繊維の高密度化(緻密な立毛面形成)の観点から好ましく採用される。
【0021】
次に、複合繊維の海成分を、溶剤抽出または熱分解等の方法で除去する。その際、高分子弾性体が付与される前または後で溶剤抽出させる方法が、海成分除去効率の観点から好ましく採用される。高分子弾性体としては、ポリウレタンエラストマー、アクリロニトリル、ブタジエンラバー、天然ゴム、ポリ塩化ビニルなどを使用することができる。また、高分子弾性体の付与方法としては、高分子弾性体を塗布あるいは含浸して乾燥、固着させる方法等を採用することができる。
【0022】
続いて、高分子弾性体を付与した不織布に対して、表面をサンドペーパーなどを用いて起毛処理することにより、立毛面を有する人工皮革基布を得ることができる。
【0023】
本発明において、上記人工皮革基布に対して染色処理を施す方法としては、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。例えば、ジッガー染色機や液流染色機を用いた液流染色処理、連続染色機を用いたサーモゾル染色処理等の浸染処理ならびに、ローラー捺染、スクリーン捺染、インクジェット方式捺染、昇華捺染、真空昇華捺染等による立毛面への捺染処理等を用いることができる。中でも、風合い等の品位面から液流染色機を用いることが好ましい。また、必要に応じて、染色後に樹脂仕上げ加工を施してもよい。
【0024】
本発明においては、立毛面の裏面側に難燃性組成物を付与するが、付与の方法としては、特に限定されるものではなく、通常の方法を用いることができる。例えば、ロータリースクリーン、ナイフロールコーター、グラビアロールコーター、キッスロールコーター、カレンダコーター等の装置を用いて、立毛面の裏面側に難燃性組成物を付与する方法が挙げられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中での品質評価は次の方法に従った。
【0026】
<難燃性>
FMVSS No.302、自動車内装材燃焼試験規格に従い、燃焼速度を測定した。測定5回の平均値を算出して、80mm/分以内を合格とした。
【0027】
<耐光堅牢度>
下記条件でキセノン照射した試験片について、JIS L 0804 変退色用グレースケールを基に未照射品と比較、変退色の級判定を行い、3級以上を合格とした。
・ 耐光試験機 :Heraeus Xenotest 1200CPS
・ 照射光波長 :300〜400nm
・ 放射照度 :60W/m
・ ブラックパネル温度:100±3℃
・ 相対湿度 :20±10%RH
・ 照射量 :10MJ/m
【0028】
<強制劣化後の耐光堅牢度>
温度70℃、相対湿度95%RHの環境下に3週間放置した試験片について、上記耐光堅牢度試験を行い、同判定基準で変退色の級判定を行い、3級以上を合格とした。
【0029】
<耐摩耗性>
JIS L 1096 C法(テーバ形法)に基づき、摩耗輪CS−10、回転数1000回で試験を行い、下記判定基準で外観変化の級判定を行い、3級以上を合格とした。
5級:状態変化がない
4級:やや摩耗面が目立つ、パイル切れがある
3級:パイルが摩耗面に沿って倒れる、パイル切れがある
2級:パイルが集まり絡み合う、パイル抜けはあるが地糸が見えない
1級:パイル抜けがあり地糸が見える
【0030】
<強制劣化後の耐摩耗性>
温度70℃、相対湿度95%RHの環境下に3週間放置した試験片について、上記耐摩耗性試験を行い、同判定基準で外観変化の級判定を行い、3級以上を合格とした。
【0031】
<ポリウレタン分子量保持率>
初期試験片ならびに温度70℃、相対湿度95%RHの環境下に3週間放置した試験片各々について、下記手順でポリウレタン分子量を測定し、初期試験片の分子量を100とした場合の、放置後試験片の分子量を、ポリウレタン分子量保持率(%)とした。
▲1▼ 立毛人工皮革0.5gを細かく(約5mm×5mm)切断、LiClのDMF溶媒(LiCl濃度:0.01mol/l)10mlに含浸、12時間静置してポリウレタン成分を抽出する。
▲2▼ 上記▲1▼の溶液を攪拌、濾紙で濾過して採取した溶液から、約2gを精秤して、105℃、3時間乾燥後、重量測定して濃度(wt%)を算出する。
▲3▼ 上記▲2▼の残液を用いて、ポリウレタン0.5wt%溶液を調製する。
▲4▼ 上記▲3▼のポリウレタン溶液について、測定器HLC−8120GPC(東ソー株式会社製)、カラムTSKgel G3000PW、5000PW(東ソー株式会社製)、溶離液LiCl(LiCl濃度:0.01mol/l)のDMF溶媒を用いて、ポリウレタン分子量を測定する。
【0032】
(実施例1)
島成分としてポリエチレンテレフタレート、海成分としてポリスチレンからなる成分比80/20、島数16の2成分系海島型複合繊維を、紡糸温度285℃、引取速度1150m/分にて溶融紡糸し、複合繊維繊度11デシテックスの未延伸糸を得た。その後、スチーム温度145℃にて、延伸倍率3倍、延伸速度110m/分で延伸し、複合繊維繊度4.4デシテックス、島繊度0.2デシテックスの延伸糸を得た後、クリンパーで捲縮付与、カッターでカット処理を行い、海島型複合繊維原綿を得た。この原綿を用い、カーディングおよびクロスラッパーにて繊維積層ウェブとし、2000本/cmのニードルパンチを施すことにより目付650g/mの短繊維よりなるフェルトを作製した。かくして得られたシートを極細化し、ポリウレタンをシート重量に対し32%付与したものを、スライス後起毛処理し、厚み0.85mmの人工皮革基布を得た。次に、該基布を用い、液流染色機を使用した常法で、分散染料にて黒色に染色、還元洗浄した後、一時帯電防止剤をウェットパッドして、ショートループ乾燥機で乾燥、テンターで仕上げセットを行い、染色布を得た。
【0033】
上記のようにして得た染色布に対して、燐酸グアニジン、ウレタン樹脂、ジペンタエリスリトール、ソルビトールからなる、表1に記載の難燃性組成物をロータリースクリーン法で裏面塗布した後、温度115℃、15分間の乾燥を行い、難燃性立毛人工皮革を得た。なお、難燃性組成物の付着量(固形分)は、加工前後の重量変化により算出した。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性、耐光堅牢度、耐摩耗性は優れたものであった。
【0034】
(実施例2)
表1に示す様に、燐酸グアニジンの代わりに難水溶性ポリ燐酸アンモニウムを用いる以外は、実施例1と同様に行った。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性、耐光堅牢度、耐摩耗性は優れたものであった。
【0035】
(実施例3)
表1に示す様に、燐酸グアニジンの代わりにポリ燐酸メラミンを用いる以外は、実施例1と同様に行った。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性、耐光堅牢度、耐摩耗性は優れたものであった。
【0036】
(実施例4)
表1に示す様に、燐酸グアニジンの代わりに燐酸アミドを用いる以外は、実施例1と同様に行った。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性、耐光堅牢度、耐摩耗性は優れたものであった。
【0037】
(比較例1)
表1に示す様に、ジペンタエリスリトールならびにソルビトールを用いない以外は、実施例1と同様に行い、発泡成分及び/または炭化成分を併用する効果を確かめた。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性は満足出来るものではなかった。また、ウレタン分子量保持率も若干低下していた。
【0038】
(比較例2)
表1に示す様に、燐酸グアニジンの変わりに水溶性燐酸アンモニウムを用いる以外は、実施例1と同様に行った。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。強制劣化後の耐光堅牢度ならびに耐摩耗性は満足出来るものではなかった。また、ポリウレタン分子量の保持率も著しく低下していた。
【0039】
(比較例3)
表1に示す様に、燐酸グアニジンの変わりに代表的な燐酸エステル難燃剤であるトリフェニルホスフェート(TPP)を用いる以外は、実施例1と同様に行った。得られた立毛人工皮革の評価結果を表1に示す。難燃性が弱く、強制劣化後の堅牢度も満足のいくものではなかった。また、ウレタン分子量保持率も若干低下していた。
【0040】
【表1】
Figure 2005002512
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、難燃性、耐光性および摩耗耐久性に優れ、且つ非ハロゲンである、合成繊維からなる難燃性立毛人工皮革およびその製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 単繊維繊度1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布、および高分子弾性体を含んでなる布帛の片面に、燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれる少なくとも1種の燐酸化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類、セルロース類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物、およびバインダー樹脂を含む難燃性組成物が付与されていることを特徴とする人工皮革。
  2. 前記バインダー樹脂がウレタン樹脂であることを特徴とする請求項1記載の人工皮革。
  3. 前記合成繊維が絡合されていることを特徴とする請求項1または2に記載の人工皮革。
  4. 前記布帛の片面に立毛を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の人工皮革。
  5. 前記立毛を有する面の裏面側に前記難燃性組成物が付与されていることを特徴とする請求項4に記載の人工皮革。
  6. 単繊維繊度1デシテックス以下の合成繊維を含む織物、編物または不織布、および高分子弾性体を含んでなる布帛を製造し、該布帛の片面に、燐酸グアニジン、ポリ燐酸アンモニウム、ポリ燐酸メラミンおよび燐酸アミドから選ばれる少なくとも1種の燐酸化合物、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、メラミン、ジシアンジアミド、デンプン類、セルロース類およびソルビトールから選ばれる少なくとも1種の化合物、およびバインダー樹脂を含む難燃性組成物を付与することを特徴とする人工皮革の製造方法。
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