JP2004529884A - 金属放射性医薬のためのアスコルビン酸類似体 - Google Patents
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Abstract
本発明は、金属放射性医薬を製造するための緩衝試薬およびキレート試薬としてのアスコルビン酸類似体の使用に関係する。本発明は、放射性医薬の製造および安定化のための緩衝試薬、キレート試薬、および安定化剤としてのアスコルビン酸の使用、およびその製造および使用方法にも関する。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属放射性医薬を製造するための緩衝試薬およびキレート試薬としてのアスコルビン酸類似体の使用に関する。特に、本発明は、放射性医薬の製造および安定化のための緩衝試薬、キレート試薬、および安定化剤としてのアスコルビン酸の使用に関する。本発明は、緩衝剤、キレート試薬、および安定化剤としてアスコルビン酸類似体を用いる安定な放射性医薬組成物の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
放射性医薬は放射性核種を含む薬剤である。放射性医薬は、種々の病気の診断または治療のための核医学で日常的に用いられる。それらは、典型的には一定の組成を持つ小有機もしくは無機化合物である。それらは、化学量論的に放射性核種で標識されていない抗体または抗体フラグメントのような高分子でもあり得る。放射性医薬は、種々の病気の診断および治療のための化学的基盤を形成する。in vivo診断情報は、放射性医薬を静脈注射し、ガンマカメラを用いてその生体分布を測定することにより得られる。放射性医薬の生体分布は、放射性標識化合物の物理および化学的特質に依存し、病気の存在、進行、および状態に関する情報を得るのに用いることができる。
【0003】
放射性医薬は、その生体分布がもっぱらその物理化学的特性によって決定されるものと、その最終的な分布がそのレセプターとの結合または他の生物学的相互作用によって決定されるものの2つの主なクラスに分けることができる。後のクラスは、しばしば標的特異的放射性医薬と呼ばれる。
【0004】
金属放射性医薬は、金属放射性核種を含む。標的特異的金属放射性医薬は、標的化(ターゲッティング)分子、リンカー、二機能性キレーター(BFC)、および金属放射性核種の4つの部分に分けることができる。標的化分子は、放射性核種を罹患組織のレセプター部位に運ぶビークルとして役立つ。標的化分子は、抗体のような高分子、またはペプチド、ペプチド模倣物、および非ペプチドを含む小生体分子(BM)であり得る。生体分子の選択は、標的とする病気や病気の状態に依存する。放射性核種は、放射線の供給源である。金属放射性核種の選択は、標的特定金属放射性医薬の意図した医学的用途(例えば、診断または治療)に依存する。BFCは、標的化分子と直接またはリンカーを介して共有結合し、数個の配位結合を介して金属放射性核種と強く結合する。BFCの選択は、金属放射性核種の性質および酸化状態によって主として決定される。該リンカーは、単純な炭化水素鎖または長いポリ(エチレングリコール)(PEG)、または薬物動態の修飾にしばしば用いられる「ナイーブな」ポリ陰イオンもしくは陽イオンペプチド配列であり得る。時折、代謝可能なリンカーを用いて血液クリアランスを増大させ、バックグラウンド活性を低下させて標的/バックグラウンド比を向上させる。
【0005】
金属放射性核種の使用は、金属と種々のキレーター周辺の配位環境を修飾することにより新しい放射性医薬を設計する多くの機会を提供する。金属放射性核種の配位化学は、該放射性医薬の金属キレートのジオメトリーと溶液安定性を決定するであろう。異なる金属放射性核種は、異なる配位化学を持ち、異なるドナー原子とキレーターフレームワークを持つBFCを必要とする。「金属必須」放射性医薬に関して、生体分布は、もっぱら金属キレートの物理的特質によって決定される。標的特異的放射性医薬に関して、「金属タグ」は、放射性医薬の標的への取り込みと生体分布に重要な影響を持つかもしれない。これは、多くの場合、金属キレートが全体のサイズと分子量に大きく寄与するので、低分子に基づく金属放射性医薬ではとりわけそうである。従って、BFCの設計および選択は、新しい診断用もしくは治療用放射性医薬の開発にとって非常に重要である。
【0006】
金属放射性核種、例えば99mTc、117mSn、111In、67Ga、68Ga、89Zr、および64Cuは、診断的イメージング用に提案されてきた。核医薬に用いられる放射性医薬のほぼ80%は、99mTc標識化合物である。臨床使用において99mTcがそのような卓越した状態にある理由は、その好ましい物理的特性と核特性にある。6時間の半減期は、放射化学者が放射性医薬を合成し、核医学の実施者yが有用な画像を得ることができるほどに十分に長い。それと同時に、患者に有意の放射線量を与えることなくミリキュリー量の99mTc放射能を投与することができるほど十分に短い。単色の140KeV光子は、優れた空間的解像度の画像を与えるために、容易にコリメートされる(collimate)。更に、99mTcは、低コストの市販99Mo-99mTcジェネレータから容易に利用可能である。
【0007】
生体分子の99mTc標識に関して、二機能的キレーターは、トリシン/水溶性ホスフィンまたはトリシン/ピリジン類似体もしくはトリシン/置換イミン-N含有複素環と組み合わせて用いると種々の三元リガンド系を形成するN2S2ジアミンジチオール、N2S2ジアミンジチオール、N2S2モノアミドモノアミドジチオール、N3Sアミンジアミドチオール、N3Sトリアミドチオール、およびHYNICを含む。これら三元リガンド系は、米国特許5,744,120、米国特許6,010,679、米国特許5,879,659、およびPCT特許出願WO98/53858に開示されている。種々の99mTc標識手法は、いくつかの総説に記載されている(Liu, S.およびEdwards, D. S. Chem. Rev. 1999,99,2235-2268; Jurisson, S.およびLydon, J. D. Chem. Rev. 1999, 99, 2205-2218; Liuら Bioconjugate Chem. 1997, 8, 621-636)。放射性標識後、得られる反応混合物を、所望によりSep‐Packまたは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)のような1またはそれ以上のクロマトグラフィ法を用いて精製してよい。好ましい放射性標識手順は、標識後に精製することなくキレート化を達成することができるものである。
【0008】
90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、211At、47Sc、109Pd、105Rh、186/l88Re、および67Cuを含む金属放射性核種は、放射線療法にとって潜在的に有益である。これらの放射性核種のうち、ランタニド放射性同位元素が特に興味深い。低エネルギーβ‐エミッタの177Lu、中間エネルギーβ‐エミッタの149Pmおよび153Sm、および高エネルギーβ‐エミッタの166Hoおよび90Yを含む、選択すべきいくつかのランタニド放射性同位元素がある。イットリウムおよびランタニド金属は、同様の配位化学を共有する。キレーター技術およびそれらの配位化学はよく発展し、よく理解されている。
【0009】
90Y、111In、67Ga、58Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuのような放射性核種に関して、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、およびそれらの誘導体は、BFCとして選ばれる候補であろう。DOTAのような大環式キレーターがそれらの高度に前有機体化された(preorganazed)大環式リガンドフレームワークにより高度に安定な金属キレーターを形成することが知られている。KrejcarekおよびTucker (Biochem. Biophys. Res. Commun. 1976,77,581-588)は、タンパク質と連結可能な混合無水物により活性化DTPA類似体を開発した。後に、Hnatowich et al (Science 1983, 220,613-616)は、同じ目的にDTPAの環式無水物を用いた。これら線状BFCは、種々の金属イオンと結合し、熱力学的に安定な金属キレートを形成する。しかしながら、線状BFCの金属キレートは、動力学的に不安定であり、これが金属キレートから放射性核種が失われるのに寄与し、しばしば重度の骨髄毒性をもたらす。Gansow et al (Bioconjugate Chem. 1991,2,187-194; Inorg. Chem. 1986, 25, 2772-2781)は、改良された溶解安定性を有する金属キレートを形成する一連の置換DTPA類似体を製造した。
【0010】
Mearesと共同研究者ら、熱力学的安定性が高く動力学的に不活性な67Cuおよび90Yキレートを形成する大環式BFCを最初に合成した(Anal. Biochem. 1985, 148, 249-253; Nucl. Med. Biol. 1986, 13, 311-318; J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 6266-6267)。三次元の空洞を持つ大環式キレラント(chelant)は、金属キレートの高い安定性、ドナー原子の特定の空間的配置を強化するかまたは異なるドナー原子をリガンドバックボーンに導入することによるある種の金属イオンに対する実質的な選択性、および非キレート型の前有機体化構造を導入する能力により特に興味深い。非キレートリガンドの前有機体化の程度が高まると複合体の安定性が高まるであろう。
【0011】
レニウムは、2つの同位元素、186Reおよび188Reを持ち、腫瘍療法において有益と思われる。186Reは半減期が3.68日で、治療時の画像化を可能にするβ‐放射(Emax=1.07MeV、91%アバンダンス)およびγ‐光子(E=137keV、9%アバンダンス)を生じる。188Reは半減期が16.98hで、強いβ‐放射(Emax=2.12MeV、85%アバンダンス)と155keVガンマ光子(15%アバンダンス)を生じる。関連化学、医学的応用、および直接的および間接的方法により186/l88Reで標識した抗体については最近概説された(Fritzberg, A. R. et al. Pharmaceutical Res. 1988,5,325-334; Griffiths, G. L. et al. Bioconjugate Chem. 1992, 3,91-99; Dilworth, J. R.およびParrott, S. J. Chem. Soc. Rev. 1998,27,43-55)。レニウム化学が周期的(periodic)関係のためにテクネチウム化学と非常に類似しているので、99mTc標識抗体に用いる方法を186/188Reを用いるものに適用すべきである。
【0012】
放射線療法に最も適切な同位元素を確認するのはしばしば難しい仕事であり、種々の因子を検討する必要がある。これらには、放射性核種の腫瘍への取り込みと保持、血液クリアランス、放射線送達率、半減期、および比活性、ならびに経済的方法を用いる放射性核種の大規模生産の可能性が含まれる。治療用放射性医薬のキーポイントは、放射線量の必要な量を腫瘍細胞に送達し、管理できない副作用を生じずに、細胞障害もしくは殺腫瘍効果を達成することである。
【0013】
治療用放射性核種の物理的半減期は、腫瘍部位における標的特異的放射性医薬の生物学的半減期と一致すべきである。放射性核種の半減期が短か過ぎると、放射性医薬が最大標的/バックグラウンド比に達する前に、多くの減衰が起きてしまうであろう。一方、長過ぎる半減期は、正常な組織に不必要な放射線量をもたらすであろう。理想的には、放射性核種には、最小線量率(>0.4Gy/h)を達成し、細胞周期の最も放射線に感受性な期におけるすべての細胞を照射するのに十分な長さの半減期があるべきである。放射性核種の半減期は、放射性医薬の製造、放出、および輸送に十分な時間をもたらすように十分長くなければならない。
【0014】
腫瘍療法のためのある標的化生体分子のための放射性核種を選択する際の他の実際的な考察事項には利用可能性と品質が含まれる。微量の不純物が放射性医薬の放射性化合物の純度と放射性標識に影響を及ぼし得るため、純度は十分で、再現可能でなければならない。腫瘍の標的レセプター部位は、典型的には数が限られている。これは、選ばれた放射性核種が高い比活性を持っていることを必要とする。比活性は、主として放射性核種の製造方法と分離技術に依存する。微量の金属汚染物質は、BFCに対して放射性核種としばしば競合し、それらの金属複合体が放射性標識BFC-BMコンジュゲートと結合するレセプターに対して競合するので、最小限でなければならない。
【0015】
腫瘍療法に関して、αおよびβ‐エミッタの両方を検討した。α粒子は、1または2細胞直径以内に多量のエネルギーを放散するため、特に良い細胞障害性物質である。大部分のα‐エミッタは、有害な娘産物に減衰する重元素であり、それらの透過範囲は組織でわずか50μmに限られる。該放射性医薬が腫瘍細胞に内在化される場合、透過距離の短い(short-ranged)粒子エミッタがより魅力的である。オーガ電子エミッタは、細胞膜を横切り、核近傍に来ることができる場合に限り、非常に強力であることがわかっている。これは、新しい治療用金属放射性医薬の設計のためにさらなる課題を生む。β‐粒子エミッタは、エネルギーレベルに応じて比較的長い透過範囲(組織で2-12mm)を有する。長い透過距離は、異種の血流および/またはレセプター発現を有する固形腫瘍にとって特に重要である。β‐粒子エミッタは、標的組織の中にたとえ不均一に分散しても、より均一な線量分布をもたらす。腫瘍サイズおよび位置に応じて、β‐エミッタの選択は異なるかもしれない。例えば153Smおよび177Luのような中程度もしくは低エネルギーのβ‐エミッタはより小さな転移に良いが、90Yのような高エネルギーβ‐エミッタは更に大きな腫瘍に用いられる。
【0016】
放射性標識法の選択は、標識する生体分子のタイプと研究目的によって決まる。90Y、111In、67Ga、68Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuを含む放射性核種のための種々の放射性標識技術が、いくつかの総説に記載されている(Parker, D. Chem. Soc. Rev. 1990, 19, 271-291; Liu, F. and Wu, C. Pure & Appl. Chem. 1991, 63, 427-463; Anderson, C. J. and Welch, M. J. Chem. Rev. 1999, 99, 2219-2234; Volkert, W. A. and Hoffman, T. J. Chem. Rev. 1999, 99, 2269-2292; Liu, S and Edwards, D. S. Bioconjugate Chem. 2001, 12, 7-34)。
【0017】
ランタニド放射性核種による生体分子の放射性標識に有用な2つの一般的なアプローチ、前標識(pre-labeling)アプローチと後標識(post-labeling)アプローチがある。後標識アプローチにおいて、BFCは最初に生体分子と直接もしくはリンカーを介して結合し、BFC-BMコンジュゲートが形成される。必要ならば、放射性標識は、弱いキレート試薬の存在下で緩衝溶液中の放射性金属塩化物とBFC-BMコンジュゲートの反応により簡単に達成することができる。DTPAがコンジュゲートした生体分子は、通常、非常に高い放射性標識効率(速く、高い効率で標識)を持っており、および室温およびpH5-7で10分間以内で容易に標識することができる。高い放射性標識効率は、DTPA類似体の線状キレーターバックボーンの柔軟性に起因し得る。しかしながら、DOTAがコンジュゲートした生体分子の放射性標識動力学は通常遅い。この場合、速い標識と、高い放射性標識収率を達成するにはより高いpHと高い温度が必要であることが多い。後標識アプローチは、キレート化段階に存在する厳しい放射性標識条件に対して敏感でない生体分子に有用である。加熱に対して敏感な生体分子には、前標識アプローチが最良の選択肢であろう。
【0018】
前標識アプローチには、BFCを用いる金属キレートの形成、およびトレーサレベルに関する個別の工程における生体分子へのM-BFCキレートのコンジュゲーションが含まれる。このアプローチにおいて、該化学はよく特徴づけられ、該生体分子はキレート化工程に用いられる厳しい条件にさらされない。研究目的には、このアプローチは、短期間に原理の証拠を示すのに非常に有益である。しかしながら、このアプローチは、日常的臨床使用には、あまりにも複雑で時間がかかる。該アプローチは高い放射能レベルで放射性標識分子のクロマトグラフィによる分離を包含するので、大規模生産にも実用的ではない。
【0019】
放射性標識時の反応混合物のpHは、放射性医薬の放射化学的純度の再現性を保証するため、緩衝剤を用いて制御されることが多い。緩衝剤の選択は、キレート化の最適pH値に依存する。酢酸アンモニウムは、DTPA-およびDOTAコンジュゲート生体分子の90Y-または111In-標識にしばしば用いられる。緩衝剤濃度は、通常0.1-0.5Mである。
【0020】
β放出放射性核種を含む放射性医薬組成物は、放射性医薬組成物の製造、放出、輸送、および保存時に放射線分解を受けるかもしれない。放射線分解時の放射性核種からの放出は、複合体もしくは化合物または近接した他の化合物の成分を攻撃し、細胞間および細胞内分解をもたらす。放射線分解減衰は、放射性金属キレート、または生物学的に活性な標的化分子の分解または破壊を生じ得る。標的化生体分子と結合しない放射線は、非標的組織に蓄積されるであろう。投与前または投与時の放射性医薬組成物の分解は、標的化可能性を顕著に減少させ、治療用放射性医薬組成物の毒性を増加する。このように、放射性核種と標的化部分との結合を保証し、標的化物質の特異性の維持を保証することは重要である。
【0021】
放射線分解は、水酸基およびスーパーオキシドラジカルのようなフリーラジカルの形成により生じる(Garrison, W. M. Chem. Rev. 1987,87,381-398)。フリーラジカルは、有機分子に対して非常に反応性である。有機分子に対するこれらフリーラジカルの反応性は、治療用放射性医薬組成物の溶液安定性に影響を与える主な因子である。治療用放射性医薬組成物の安定化は、標的特異的治療用放射性医薬の開発において繰り返される課題である。従って、放射性標識生体分子の放射線分解を最小限にするための安定化剤としてのラジカルスカベンジャーを用いることは非常に重要である。
【0022】
安定化剤は、水酸基およびスーパーオキシドラジカルと容易に反応する「ラジカルスカベンジング酸化防止剤」である。治療用放射性医薬組成物のための安定化剤は、以下の特性を有するべきである:ヒトへの投与に用いるときに毒性がないか低い、標的細胞または組織への放射性標識化合物の送達またはレセプター結合に干渉しない、および妥当な期間(例えば、治療用放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送時)、治療用放射性医薬を安定化する能力。
【0023】
ゲンチシン酸およびアスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャーは、99mTc(DeRoschら,W095/33757)、および186/188Re(Anticancer Res. 1997, 17, 1783-1796)放射性医薬の安定化に用いられてきた。米国特許5,393,512は、186Reおよび131I標識抗体または抗体フラグメントのための安定化剤としてアスコルビン酸の使用を開示している。ゲンチシン酸およびゲンチシルアルコールは、放射性標識ペプチドの安定化剤として米国特許5,384,113にも開示された。米国特許5,093,105および5,306,482は、99mTc放射性医薬の酸化防止剤としてのp-アミノ安息香酸、ゲンチシン酸、およびアスコルビン酸の使用を開示している。米国特許5,961,955は、放射性標識ペプチド、特に抗体のような放射性標識タンパク質の分解を、PVP(ポリビニルピロリジノン)を放射線保護剤として含むことにより改善する方法も開示している。
【0024】
金属放射性医薬組成物は、通常、金属放射性医薬の製造、放出、および輸送時の放射性医薬組成物の放射線分解による分解を抑制するための安定化剤、および放射性金属コロイドの形成を抑制するためのBFC-BMコンジュゲート、pH制御のための緩衝剤、弱いキレート試薬を含む。該pHは、生体分子の90Y-または111In標識の成功および再現性にとって重要である。反応混合物のpH制御(pH4.0-8.0)はO.1-0.5M酢酸アンモニウムを使うことによってしばしば達成される。生体分子の90Y標識に酢酸アンモニウムを使用する目的は2つある:(1)放射性標識工程時のpH制御、(2)酢酸アンモニウムは、弱90Y‐アセテートを形成し、[90Y]コロイドの形成を抑制することによってY3+のトランスファーリガンドとして作用する。放射線安定化剤は、放射性標識の前(すなわち、標識前添加)または後(すなわち、標識添後加)に反応混合物に添加することができる。しかしながら、緩衝剤および安定化剤の組み合わせは、高モル浸透圧濃度の放射性医薬組成物を生じることが多い。
【0025】
アスコルビン酸は酸化防止剤として知られ、種々の医薬および放射性医薬組成物に使われてきた。琥珀酸およびアミノカルボキシレートのような他の緩衝剤と異なり、アスコルビン酸は、アミノ基やカルボキシル基を含まない。当業者は、アスコルビン酸を、90Yまたは111In‐標識生体分子を製造するためのトランスファーリガンドおよび緩衝剤として使用することを予期しないであろう。従って、アスコルビン酸およびその類似体が、(1)放射性標識時の反応溶液のpHを制御するための緩衝剤、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンド、および(3)放射性医薬組成物の製造、放出、および輸送時の放射性医薬組成物の安定化剤として3つ全ての目的に役立つことは極めて重要で、驚くべき、予期しないことである。
【0026】
(発明の要約)
アスコルビン酸を緩衝剤として用いる利点はいくつかある。アスコルビン酸は、医薬および放射性医薬としての適用について承認されてきた。アスコルビン酸は、pKa4.2であり、緩衝能はpH3.0-5.0である。より高濃度(>50mg/mLまたは0.25M)でも、アスコルビン酸はpH範囲5.5-6.0で十分な緩衝能力があるかもしれない。アスコルビン酸は1つがpH>4.2で脱プロトン化可能な2つの水酸基を含むので、放射性金属コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンドとして用いることもできる。アスコルビン酸の定化剤としての使用が種々の診断用および治療用放射性医薬組成物について開示されているが(例えば、Deausch, E. A.ら/米国特許5,384,113/1995; Vanderheyden, J.-L.ら/米国特許5,393,512/1995; Flanagan, R. J.およびTartaglia, D./米国特許5,093,105/1992; Tartaglia, D.およびFlanagan, R. J./米国特許 5,306,482/1994; Shochat, D.ら/米国特許5,961,955/1999;およびZamora, P. 0.およびMerek, M. J./米国特許6,066,309/2000参照)、緩衝剤および/またはトランスファーリガンドとしてのアスコルビン酸の使用については教示または開示されていない。
【0027】
放射性標識をpH4-6のアスコルビン酸存在下で行うと、アスコルビン酸は、このpH範囲で十分な緩衝能を有するので、反応溶液に酢酸アンモニウムのような緩衝剤を必要としない。その際、アスコルビン酸は、特に高濃度の、よく知られた血管拡張剤であるアンモニウムカチオンによる副作用の可能性を排除し、放射性医薬組成物のモル浸透圧濃度の劇的な低下を生じるであろう。
【0028】
(発明の詳細な説明)
[1]本発明のある態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、そして(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化1】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物を提供する。
【0029】
[2]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0030】
[3]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0031】
[4]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効な態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0032】
[5]本発明の別の態様では、XがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0033】
[6]本発明の別の態様では、YがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0034】
[7]本発明の別の態様では、Zが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0035】
[8]本発明の別の態様では、mが1〜約5である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0036】
[9]本発明の別の態様では、mが1または2である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0037】
[10]本発明の別の態様では、mが1である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0038】
[11]本発明の別の態様では、mが1〜約5であり、XがOであり、YがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0039】
[12]本発明の別の態様では、mが1または2であり、XがOであり、YがOであり、Zが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0040】
[13]本発明の別の態様では、mが1であり、XがOであり、YがOであり、およびZが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0041】
[14]本発明の別の態様では、式(I)の化合物の濃度が約2mg/mL〜約200mg/mLである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0042】
[15]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が約10mCi〜約2000mCiのレベルで存在する態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0043】
[16]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が約5mCi/mL以上の濃度で存在する態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0044】
[17]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが診断用放射性医薬である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0045】
[18]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが治療用放射性医薬である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0046】
[19]本発明の別の態様では、生体分子が抗体である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0047】
[20]本発明の別の態様では、生体分子が抗体フラグメントである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0048】
[21]本発明の別の態様では、生体分子がペプチドである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0049】
[22]本発明の別の態様では、生体分子がペプチド模倣物(peptidomimetic)である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0050】
[23]本発明の別の態様では、生体分子が非ペプチドである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0051】
[24]本発明の別の態様では、生体分子が、環式IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト、RGD含有ペプチド、フィブリノーゲンレセプターアンタゴニスト、IIb/IIIaレセプターリガンド、フィブリンの重合部位に対するリガンド、ラミニン誘導体、フィブリノーゲンに対するリガンド、トロンビンリガンド、IIIaタンパク質に対応するオリゴペプチド、ヒルジンベースのペプチド、IIb/IIIaレセプターリガンド、血栓、血小板結合もしくはアテローム斑結合ペプチド、フィブリン結合ペプチド、ヒルジンベースのペプチド、フィブリン結合タンパク質、IIb/IIIaレセプターと結合するグアニン誘導体、チロシン誘導体、白血球結合ペプチド、走化性ペプチド、白血球刺激物質、LTB4アンタゴニスト、ソマトスタチン類似体、セレクチン結合ペプチド、生物学的機能ドメイン、血小板因子4もしくは成長因子、血管形成(angiogenic)腫瘍の脈管構造に発現するか、またはそれを上方調節する(upregulate)レセプターと結合する化合物、レセプター、VEGFレセプターFlk-1/KDR、Flt-1もしくはニューロピリン-1と高親和性に結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4β1、α1β1もしくはα2β2と結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、レセプターチロシンキナーゼと相互作用する化合物、組織、臓器、酵素もしくは体液のレセプターもしくは結合部位と結合するタンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、アルツハイマー病患者に蓄積することがわかっているβ‐アミロイドタンパク質、心筋もしくは腎臓のレセプターと結合する心房性ナチュレティック(naturetic)因子由来ペプチド、梗塞組織の領域と結合する抗ミオシン抗体、またはin vivo低酸素領域に局在するニトロイミダゾール誘導体である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0052】
[25]本発明の別の態様では、キレーターが環式もしくは非環式ポリアミノカルボキシレート、ジアミンジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンモノアミドジチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、またはヒドラジンである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0053】
[26]本発明の別の態様では、キレーターが窒素、酸素、および硫黄から選ばれるドナー原子を有するテトラデンテートである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0054】
[27]本発明の別の態様では、キレーターが、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジル-シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、または6,6"-ビス[N,N,N”,N”-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
[28]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、90Y、111In、67Ga、68Ga、89Zr、99mTc、117mSn、203Pb、177Lu、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、または212Biである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0055】
[29]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が99mTc、117mSn、111In、203Pb、67Ga、68Ga、89Zr、90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、または67Cuである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0056】
[30]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が111In、90Y、または177Luである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0057】
[31]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および式(I):
【化2】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物を提供する(ただし、放射性医薬組成物はさらなる緩衝剤またはさらなるキレート試薬を含まない。)。
【0058】
[32]本発明の別の態様では、放射性医薬を、放射性医薬のpHを制御するのに有効な量の式(I):
【化3】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物と接触させることを含む該放射性医薬の緩衝方法を提供する。
【0059】
[33]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様32の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0060】
[34]本発明の別の態様では、緩衝剤が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の該放射性医薬のpHを制御する態様32の方法を提供する。
【0061】
[35]本発明の別の態様では、放射性医薬を、放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効な量の式(I):
【化4】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物と接触させることを含む該放射性医薬のキレート化方法を提供する。
【0062】
[36]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様35の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0063】
[37]本発明の別の態様では、キレート試薬が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の放射性金属コロイドの形成を抑制する態様35の方法を提供する。
【0064】
[38]本発明の別の態様では、放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定させ、そして(1)放射性医薬のpHを制御し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)方法であって、
放射性医薬を、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化5】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。
【0065】
[39]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0066】
[40]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0067】
[41]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0068】
[42]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様38の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0069】
[43]本発明の別の態様では、該量が、放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の、放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、ならびに(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効である態様38の方法を提供する。
【0070】
[44]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化6】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む安定な放射性医薬組成物の製造方法を提供する。
【0071】
[45]本発明の別の態様では、予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化7】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む密封バイアルを含むキットを提供する。
【0072】
[46]本発明の別の態様では、(a)予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化8】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む第一バイアル、および
(a)医薬的に許容される担体または希釈剤を含む第二バイアルを含むキットを提供する。
【0073】
[47]本発明の別の態様では、式(I):
【化9】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を提供する。
【0074】
明確にするため、別の態様の文脈で述べた本発明のある特徴は1つの態様の組み合わせも提供するかも知れないことは十分理解される。逆に、簡潔さのため、1つの態様の文脈で述べた本発明の種々の特徴も、別々にかもしくはあらゆるサブコンビネーションで提供されるかも知れない。
【0075】
定義
本発明の放射性医薬組成物は、放射性同位元素‐キレーター生体分子コンジュゲート、アスコルビン酸またはその類似体、および他の所望の医薬的賦形剤から成る。ガンマ線放出同位元素または陽電子放出同位元素から成る標的特異的放射性医薬は画像診断(造影)剤として有用である。ベータ粒子、アルファ粒子、またはオーガー電子放出同位元素から成る放射性医薬は、治療用放射性医薬として有用である。金属放射性同位元素は、直接、もしくは所望によりリンカーを介して1またはそれ以上の生体分子と結合したBFCによってキレート化される。生体分子は、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、または非ペプチドである。好ましくは、生体分子は、10,000g/mol分子量以下のペプチド、ペプチド模倣物、および非ペプチドである。アスコルビン酸またはその類似体は3つの目的に役立つ。すなわち、それらは、放射性標識時のpH制御のための緩衝剤の役割、放射性金属コロイドの形成を抑制するためのキレート試薬の役割、そして放射性標識化合物の放射線誘発性分解からの保護をもたらす安定化剤の役割を果たす。画像診断または治療に有用なアルファ粒子、ベータ粒子、ガンマ線、陽電子、またはオーガー電子を放出する金属放射性同位元素には、99mTc、117mSn、111In、97Ru、203Pb、67Ga、68Ga、89Zr、90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、212Bi、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、および67Cuが含まれる。
【0076】
金属放射性同位元素・キレーター生体分子(MBFC-BM)コンジュゲートの部分であるかもしれない好ましい生体分子の例には以下のものが含まれる。
【0077】
血栓塞栓性障害またはアテローム性動脈硬化症の診断のために、BMは、米国特許5,879,657に記載の環式IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト化合物、米国特許4,578,079、4,792,525、PCT/US88/04403、PCT/US89/01742、PCT/US90/03788、PCTUS91/02356、およびOjima et. al. 204th Meeting of the Amer. Chem. Soc. 1992, 抄録44に記載のRGD含有ペプチド、ヨーロッパ特許出願90202015.5、90202030.4、90202032.2、90202032.0、90311148.2、90311151.6、90311537.6に記載のフィブリノーゲンレセプターアンタゴニストであるペプチド、PCTWO93/23085のIIb/IIIaレセプターリガンド、フィブリンの重合部位のリガンド、ラミニン誘導体、フィブリノーゲンのリガンド、またはトロンビンリガンドとして記載の特異的結合ペプチドおよびポリペプチド(テクネチウム結合基を除く)、PCT/W090/00178に記載のIIIaタンパク質に対応するオリゴペプチド、PCT/W090/03391に記載のヒルジンベースのペプチド、PCT/W090/15818に記載のIIb/IIIaレセプターリガンド、PCT W092/13572(テクネチウム結合基を除く)またはGB9313965.7に記載の血栓、血小板結合、またはアテローム斑結合ペプチド、米国特許4,427,646および5,270,030に記載のフィブリン結合ペプチド、米国特許5,279,812に記載のヒルジンベースのペプチド、または米国特許5,217,705に記載のフィブリン結合タンパク質、米国特許5,086,069に記載のIIb/IIIaレセプター結合グアニン誘導体、またはヨーロッパ特許出願0478328A1およびHartman et. al., J. Med. Chem. 1992, 35,46-40に記載のチロシン誘導体、または酸化低密度リポタンパク質(LDL)を含む群から選ばれる。
【0078】
感染、炎症、または移植片拒絶の診断のためのBMは、PCTW093/17719(テクネチウム結合基を除く)、PCTW092/13572(テクネチウム結合基を除く)、または米国特許出願08-140000に記載の白血球結合ペプチド、欧州特許出願90108734.6、またはA. Fischman et. al., Semin. Nuc. Med., 1994,24,154に記載の走化性ペプチド、米国特許5,277,892に記載の白血球刺激物質、または同時係属のU.S.S.N.08/943,659に記載のLTB4アンタゴニストを含む群から選ばれる。
【0079】
癌診断用のBMは、英国特許出願8927255.3またはPCTW094/00489に記載のソマトスタチン類似体、PCTW094/05269に記載のセレクチン結合ペプチド、PCTW093/12819に記載の生物学的機能ドメイン、血小板因子4、または成長因子(PDGF、VEGF、EGF、FGF、TNF MCSF、またはインターロイキンIl1‐8)の群から選ばれる。
【0080】
BMは、血管形成腫瘍脈管構造に発現するかまたはそれを上方調節するレセプターと結合する化合物であるかもしれない。VEGFレセプター、Flk1/KDR、Flt-1、およびニューロピリン-1を標的化するための標的化部分は、レセプターと高親和性に結合するペプチド、ポリペプチド、またはペプチド模倣物から成る。例えば、VEGFのVEGFRへの結合を競合的に阻害する、VEGFのC末端ドメインの23アミノ酸部分からなるペプチドが合成されている(Soker, et. al., J. Biol. Chem., 1997, 272,31582-8)。塩基性FGFレセプター(bFGFR)と結合する11〜23アミノ酸残基の線状ペプチドは、Cosic et. al., Mol. and Cell. Biochem., 1994,130,1-9に記載されている。bFGFRの好ましい線状ペプチドアンタゴニストは、16アミノ酸ペプチド、Met-Trp-Tyr-Arg-Pro-Asp-Leu-Asp-Glu-Arg-Lys-Gln-Gln-Lys-Arg-Gluである。Ghoら(Cancer Research、1997,57,3733-40)は、内皮細胞表面のアンギオゲニンレセプターと高親和性に結合する小ペプチドの同定について記載している。好ましいペプチドは、Ala-Gln-Leu-Ala-Gly-Glu-Cys-Arg-Glu-Asn-Val-Cys-Met-Gly-Ile-Glu-Gly-Arg(2つのCys残基が細胞内ジスルフィド結合を形成する)である。Yayon et.al.(Proc. Natl.Acad.Sci, USA, 1993,90,10643-7)は、ランダムファージ表現ペプチドライブラリから同定されたFGFRの他の線状ペプチドアンタゴニストについて記載している。2本の線状オクタペプチド、Ala-Pro-Ser-Gly-His-Tyr-Lys-GlyおよびLys-Arg-Thr-Gly-Gln-Tyr-Lys-Leuは、bFGFのそのレセプターとの結合を阻害するのに好ましい。
【0081】
腫瘍の脈管構造に発現したインテグリンに対する標的化部分は、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4β1、α1β1、およびα2β2と結合するペプチド、ポリペプチド、およびペプチド模倣物を含む。PierschbacherおよびRouslahti(J. Biol. Chem. 1987,262,17294-17298)は、α5β1およびαvβ3と選択的に結合するペプチドについて記載している。U.S. 5,536,814は、インテグリンα5β1と高親和性に結合するペプチドについて記載している。BurgessおよびLim (J. Med. Chem. 1996,39, 4520-4526)は、αvβ3:シクロ[Arg-Gly-Asp-Arg-Gly-Asp]、シクロ[Arg-Gly-Asp-Arg-Gly-D-Asp]、および線状ペプチドArg-Gly-Asp-Arg-Gly-Aspと高親和性に結合する3つのペプチドの合成法を開示している。U.S. 5,770,565およびU.S. 5,766,591は、αvβ3と高親和性に結合するペプチドを開示している。U.S. 5,767,071およびU.S. 5,780,426は、αvβ3と高い親和性を持つ環外Argアミノ酸を有する環式ペプチドを開示している。Srivatsaら(Cardiovascular Res. 1997,36,408-428)は、αvβ3、シクロ[Ala-Arg-Gly-Asp-Mamb]の環式ペプチドアンタゴニストについて記載している。Tranら(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1997,7,997-1002)は、avB3と高親和性に結合する環式ペプチドシクロ[Arg-Gly-Asp-Val-Gly-Ser-BTD-Ser-Gly-Val-Ala]を開示している。Arapら(Science 1998,279,377-380)は、αvβ3およびαvβ5、Cys-Asp-Cys-Arg-Gly-Asp-Cys-Phe-Cysおよびシクロ[Cys-Asn-Gly-Asp-Cys]と結合する環式ペプチドについて記載している。Corbettら(Biorg. Med. Chem. Lett. 1997,7,1371-1376)は、一連のαvβ3選択的ペプチド模倣物について記載している。そしてHaubnerら(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997,36,1374-1389)は、ペプチドライブラリから得たペプチドおよびペプチド模倣物のαvβ3アンタゴニストについて開示している。
【0082】
腫瘍の脈管構造のための別の標的化部分には、レセプターチロシンキナーゼと相互作用する化合物が含まれる。レセプターチロシンキナーゼ(TK)は、細胞を横切る細胞***誘起シグナルの核への伝達に重要な役割を果たす膜タンパク質である(Rewcastle, G. W. et al J. Med. Chem. 1995, 38, 3482-3487; Thompson, A. M. et al J. Med. Chem. 1997,40,3915-3925)。同定され、特徴付けられた多くのTKのうち、上皮増殖因子レセプター(EGFR)ファミリーのものは特に重要で、種々の異所性細胞増殖過程に関与していた。ヒトEGFレセプターの過剰発現は、数種のヒト腫瘍で大幅に増幅され(Fry, D. W. Exp. Opin. Invest. Drugs 1994,3,577-595; Jardines, L. et al Pathobiology 1993,61,268-282)、これはそのタンパク質標的の過剰リン酸化を伴った。発癌TKタンパク質による基質チロシン残基のこのリン酸化の増加は、悪性形質転換に必須の段階である。したがって、抗癌剤としてTKs(TKIs)インヒビターを開発することは大きな重要性がある(Burke, T. R. Jr. Drugs Future 1992 17, 119-131; Chang, C. J.およびGeahlen, R. J. Nat. Prod. 1992,55,1529-1560)。腫瘍細胞におけるEGFレセプターの過剰発現は、TKレセプターリガンド(チロシンキナーゼインヒビター)上にキレーターおよび放射性核種を結合することにより診断用および治療用放射性医薬を開発するための基礎も供給する。
【0083】
BMは、他の組織、臓器、酵素または体液上のレセプターまたは結合部位と結合するタンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチド、またはペプチド模倣物も表すかもしれない。例には、アルツハイマー病患者に蓄積していることが示されたβ‐アミロイドタンパク質、心筋および腎臓レセプターと結合する心房性ナチュレティック因子誘導ペプチド、梗塞組織の領域と結合する抗ミオシン抗体、またはin vivo低酸素領域に局在するニトロイミダゾール誘導体が含まれる。
【0084】
連結基Lnは、いくつかの役割を果たし得る。第一に、該連結基は、金属キレートM-Chが生体分子と該生物学的標的との相互作用に干渉する可能性を最小限にするように、金属キレーターChと1またはそれ以上の生体分子BMの間のスペーシング基を供給する。連結基を試薬に組み込むことの必要性は、BMおよびM-Chの同一性に依存している。金属キレートM-Chがその生物学的標的との親和性を実質的に減少させずにBMと結合することができない場合に連結基を用いる。連結基は、M-Chと結合するある基に複数の生体分子を独立して結合させる手段も提供する。
【0085】
連結基は、薬物動態調節物質を本発明の医薬に組み込む方法を提供する。薬物動態調節物質は、生体分子BMと生物学的標的との相互作用による以外の注射した医薬の生体分布を導くのに役立つ。多種多様な官能基は、制限されるものではないが、炭水化物、ポリアルキレングリコール、ペプチドもしくは他のポリアミノ酸、およびシクロデクストリンを含む薬物動態調節物質として役立つことができる。該調節物質は、親水性を増大または低下させ、そして血液クリアランス速度を増加または低下させるのに用いることができる。該調節物質は、医薬の除去経路を導くのにも用いることができる。
【0086】
金属キレーターもしくは結合部分Chは、特定の適用のために選ばれた金属イオンと安定な複合体を形成するために選択される。診断用放射性医薬のためのキレーターもしくは結合部分は、画像化可能なガンマ線または陽電子放出を持つ放射性同位元素と安定なキレートを形成するために選択される。
【0087】
テクネチウムおよびレニウム同位元素用のキレーターは、ジアミンジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンモノアミドジチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、およびヒドラジンから選択される。該キレーターは、一般に窒素、酸素、および硫黄から選ばれるドナー原子を持つテトラデンテートである。好ましい試薬は、アミン窒素およびチオール硫黄ドナー原子を有するキレーターおよびヒドラジン結合ユニットからなる。チオール硫黄原子およびヒドラジンは、該放射性医薬を合成するために試薬を用いる前に、もしくは好ましくは放射性医薬の合成時にin situで置換することができる保護基を持っていてよい。
【0088】
チオール保護基の具体例には、GreeneおよびWuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons, New York (1991)、(この内容は本明細書の一部を構成する)に記載のものが含まれる。当該分野で知られているあらゆるチオール保護基を用いることができる。チオール保護基の例には、制限されるものではないが、以下のものが含まれる:アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、1-エトキシエチル、ベンゾイル、およびトリフェニルメチル。
【0089】
ヒドラジン結合ユニットのための保護基の具体例には、水素、アルキル、アリール、および複素環から選ばれる置換基を有するアルデヒドまたはケトンヒドラゾンであり得るヒドラゾンである。特に好ましいヒドラゾンは、同時係属のU.S.S.N. 08/476,296に記載されている(この内容は本明細書の一部を構成する)。
【0090】
金属放射性核種と結合すると、ヒドラジン結合ユニットはヒドラジドまたはジアゼニド基と称され、放射性核種の放射性医薬の残存部分への結合点として役立つ。ジアゼニド基は、末端(該基の1原子のみが放射性核種に結合している)かキレート化のいずれかであり得る。キレート化ジアゼニド基を持つため、該基の少なくとも1個の他の原子は、放射性核種にも結合しなければならない。金属と結合した原子はドナー原子と称される。
【0091】
111In、86Y、67Ga、68Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuを含む放射性核種のキレート化用のキレーターは、ポリアミノカルボキシレート、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジルシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、および6,6"-ビス[N,N,N",N"-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンから選ばれる。市販品を利用できないこれらキレーターの合成方法は、Brechbiel, M.およびGansow, 0., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1992,1,1175; Brechbiel, M.およびGansow, O., Bioconjugate Chem. 1991, 2,187; Deshpande, S., et. al., J. Nucl. Med. 1990,31, 473; Kruper, J., 米国特許5,064,956、およびToner, J., 米国特許4,859,777に開示されている(これらの内容は本明細書の一部を構成する)。
【0092】
治療用放射性医薬のためのキレーターもしくは結合部分は、アルファ粒子、ベータ粒子、オーガー、またはCoster-Kronig電子放出を持つ放射性同位元素を用いて安定な複合体を形成するために選択される。レニウム、銅、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ロジウム、銀、および金同位元素のためのキレーターは、ジアミンジチオール、モノアミンモノアミドジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、およびヒドラジンから選ばれる。イットリウム、ビスマス、およびランタニド同位元素のためのキレーターは、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジルシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、および6,6"-ビス[N,N,N",N"-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンを含む環式および非環式ポリアミノカルボキシレートから選ばれる。
【0093】
放射性医薬の完全性は、ITLC、より好ましくはHPLCを用いる放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)により測定される。HPLCを用いる利点は、放射線分解的な分解によって生じる放射性不純物を最適クロマトグラフィ条件下で放射性医薬から分離することができることである。本発明の放射性医薬組成物の長期にわたる改良された安定性は、代表的な時点で得たサンプル中の放射性標識化合物のRCPの変化を測定することによって示すことができる。本発明の放射性医薬組成物は、標識後5日間まで凍結し、解凍し、再試験したサンプルの長期の安定性を保つのに効果的である。
【0094】
該放射性医薬の最初のRCPは、主に、放射性標識条件、例えばpH、加熱時間、および時間に依存している。いったん、放射性医薬を高収量で製造すると、放射性医薬組成物を安定させる酸化防止剤の能力は、ある期間のRCP変化で評価される。
【0095】
治療用放射性医薬組成物は、放出および輸送時の大きな放射線分解を避けるため低温度で保存するのが好ましい。放出および輸送時の治療用放射性医薬組成物に用いる安定化剤の量および保存温度は、放射線分解による分解に対する特定放射性標識化合物の感受性に従って調整することができよう。
【0096】
アスコルビン酸はビタミンCとして知られており、99mTcおよび186/188Re放射性医薬(W095/33757; Anticancer Res. 1997,17,1783-1796、米国特許5,093,105、および米国特許5,306,482)、または放射性標識ペプチド(米国特許5,393,512、米国特許5,384,113、および米国特許5,961,955)の放射線分解による分解を防止するのに一般的に用いられる酸化防止剤である。アスコルビン酸は、生物学的目的に用いられる医薬組成物および他の製剤にしばしば使用される容易に利用可能なGRAS(一般に安全であると認識された)物質であり、最終製剤に200mg/mLもの高濃度で用いることができよう。本発明に開示の放射性医薬組成物にアスコルビン酸またはその類似体を用いる主な利点には以下のものが含まれる。(1)該放射性医薬は、高収率(>90%)で製造することができる。(2)放射性金属コロイドの形成は最小限である(<1%)。(3)放射性医薬組成物は、放射性医薬のRCPを維持しながら(>90%)数日間保存することができる。
【0097】
本明細書に記載の化合物は不斉中心を持つかもしれない。不斉置換原子を含む本発明の化合物は、光学活性形もしくはラセミ形で単離されるかもしれない。例えば、ラセミ形の分割もしくは光学活性出発物質からの合成による光学活性形の製造方法は当該分野でよく知られている。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体は、本明細書に記載の化合物中にも存在し得、全てのそのような安定な異性体は、本発明において予期される。本発明の化合物のシス(cis)およびトランス(trans)幾何異性体が記載されており、異性体混合物としてもしくは分離した異性体形として単離することができよう。特定の立体化学や異性体形を具体的に示さない限り、全てのキラル形、ジアステレオマー形、ラセミ形、および全ての幾何異性体形の構造が意図される。本発明の化合物および中間体を製造するのに用いるすべての方法は本発明の一部であると考えられる。
【0098】
本明細書で用いている用語「置換(された)」は、所定の原子上の1またはそれ以上のあらゆる水素を示した基から選んで置き換えることを意味する(但し、所定の原子の正常な原子価を越えず、該置換が安定な化合物を生じる)。置換基がケト(すなわち=O)である時、原子上の2個の水素が置換される。ケト置換基は、芳香族部分には存在しない。環系(例えば、炭素環式もしくは複素環式)がカルボニル基または二重結合で置換されているというときは、カルボニル基または二重結合が環の部分である(すなわち、その中にある)ことを意図する。
【0099】
本発明は、本発明化合物において発生する原子の全ての同位元素を含むことを意図している。同位元素は、原子番号が同じで、異なる質量数を持つものを含む。一般的例として、限定されるものではないが、水素の同位元素はトリチウムおよび重水素を含む。炭素の同位元素は、C-13およびC-14を含む。
【0100】
あらゆる変数(例えばR5)は化合物のあらゆる成分または式に1回以上出現する場合、それぞれの出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義と独立している。このように、例えばある基が0-2R5で置換されていると示されているとすると、該基は所望により2個までのR5基で置換されていてよく、それぞれ出現するR5は、R9の定義とは独立して選択される。また、置換および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0101】
置換基との結合が環の2つの原子を関連付ける結合を横切ることを示すとき、そのような置換基は、環上のあらゆる原子と結合してよい。置換基が、置換基がそれにより特定の式の化合物の残りの部分と結合している原子を示すことなく列挙されているとき、該置換基は、そのような置換基中のあらゆる原子を介して結合することができよう。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0102】
本明細書で用いているように「アルキル」は、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図している。アルキルの例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、s‐ブチル、t‐ブチル、n-ペンチル、およびs-ペンチルが含まれる。「シクロアルキル」は、飽和環基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルを含むことを意図している。「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖構造の炭化水素鎖、およびエテニルおよびプロペニルのような鎖に沿ったあらゆる安定な点で生じ得る1またはそれ以上の不飽和炭素-炭素結合を含むことを意図している。
【0103】
本明細書で用いている「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを表し、また「対イオン」を用いて小さな負に荷電した種、例えば塩素、臭素、ヒドロキシド、アセテート、およびサルフェートを表す。
【0104】
本明細書で用いているように「炭素環」または「炭素環式残基」は、あらゆる安定な3〜7員の単環式または二環式、または7〜13員の二環式もしくは三環式を表すことを意図し、そのあらゆるものが置換されているか、所望により非置換であるか、または芳香族であってよい。そのような炭素環の例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、およびテトラヒドロナフチルが含まれる。
【0105】
本明細書で用いているように、用語「複素環」または「複素環式系」は、飽和、部分的に不飽和、もしくは不飽和(芳香族)の、炭素原子およびN、0、およびSからなる群から独立して選ばれる1〜4個の異種原子からなる、あらゆる先に定義した複素環がベンゼン環と融合しているあらゆる二環式基を含む、安定な5〜7員の単環式もしくは二環式もしくは7〜10員の二環式複素環を意味することを意図する。窒素および硫黄異種原子は所望により酸化されていてよい。複素環は、安定な構造を生じるあらゆる異種原子または炭素原子でその側基と結合してよい。得られた化合物が安定であれば、本明細書に記載の複素環は炭素もしくは窒素原子上で置換されていてよい。複素環中の窒素は所望により四級化されてよい。複素環中のSおよび0原子の総数が1を越えるときは、これら異種原子は互いに隣り合っていないことが好ましい。複素環中のSおよびO原子の総数が1以下であることが好ましい。本明細書で用いているように、用語「芳香族複素環式系」または「ヘテロアリール」は、炭素原子、およびN、0、およびSからなる群から独立して選ばれる1〜4個の異種原子からなる、安定な5〜7員の単環式もしくは二環式、または7〜10員の二環式複素環式芳香族環を意味する。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は1以下であることが好ましい。
【0106】
複素環の例には、限定されるものではないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-15,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサントレニルが含まれる。好ましい複素環には、限定されるものではないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、オキソインドリル、ベンゾキサゾリニル、およびイサチノイルが含まれる。例えば上記複素環を含む融合環およびスピロ化合物も含まれる。
【0107】
本明細書で用いている用語「アミノ酸」は、塩基性アミノ基および酸性カルボキシル基の両方を含む有機化合物を意味する。この用語には、天然のアミノ酸(例えば、L‐アミノ酸)、修飾された異常なアミノ酸(例えば、D-アミノ酸)、および生物学的に遊離形または結合形で生じることが知られているが、通常、タンパク質には生じないアミノ酸が含まれる。この用語には、例えば、RobertsおよびVellaccio (1983) The Peptides, 5: 342-429に開示しているような修飾された異常なアミノ酸が含まれる(この内容は本明細書の一部を構成する)。天然のタンパク質を生じるアミノ酸には、限定されるものではないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、チロシン、トリプトファン、プロリン、およびバリンが含まれる。天然の非タンパク質アミノ酸には、限定されるものではないが、アルギノコハク酸、シトルリン、システインスルフィン酸、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、3-モノヨードチロシン、3,5-ジヨードトリオシン、3,5,5'-トリヨードチロニン、および3,3',5,5'-テトラヨードチロニンが含まれる。本発明を実施するのに用いることができる修飾または異常なアミノ酸には、限定されるものではないが、D‐アミノ酸、ヒドロキシリジン、4-ヒドロキシプロリン、N-Cbz-保護アミノ酸、2,4-ジアミノ酪酸、ホモアルギニン、ノルロイシン、N-メチルアミノ酪酸、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、β-フェニルプロリン、tert‐ロイシン、4-アミノシクロヘキシルアラニン、N-メチル-ノルロイシン、3,4-デヒドロプロリン、N、N-ジメチルアミノグリシン、N-メチルアミノグリシン、4-アミノピペリジン-4-カルボン酸、6-アミノカプロン酸、trans-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、2-、3-、および4-(アミノメチル)安息香酸、1-アミノシクロペンタンカルボン酸、1-アミノシクロプロパンカルボン酸、および2-ベンジル-5-アミノペンタン酸が含まれる。
【0108】
本明細書で用いている用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結される2またはそれ以上のアミノ酸(本明細書に定義したような)からなる線状化合物を意味する。本発明に用いられる「ペプチド」は、分子量10,000ダルトン以下の、好ましくは5,000ダルトン以下の、より好ましくは2,500ダルトン以下の部分を表すことを意図している。用語「ペプチド」には、ペプチドと非ペプチド成分、例えば擬似ペプチドまたはペプチド模倣物残基もしくは他の非アミノ酸成分、の両方を含む化合物も含まれる。ペプチドと非ペプチド成分の両方を含むそのような化合物は、「ペプチド類似体」とも言われるかもしれない。
【0109】
「擬似ペプチド」または「ペプチド模倣物」は、例えば、ペプチド類似体とアミノ酸残基のアミド結合以外の連結基(擬似ペプチド結合)を用いるか、そして/または非アミノ酸置換基および/または修飾アミノ酸残基を用いることによりアミノ酸残基もしくはペプチドの構造がよく似た化合物である。「擬似ペプチド残基」はペプチド中に存在する擬似ペプチドまたはペプチド模倣物の部分を意味する。
【0110】
用語「ペプチド結合」は、あるアミノ酸のカルボキシル基と第2アミノ酸のアミノ基の間の水分子の損失によって形成された共有アミド結合を意味する。
【0111】
用語「擬似ペプチド結合」には、正常なアミド結合の代わりにもしくは代替物として用いてよいペプチド結合同配体が含まれる。これら代替物またはアミド「等価」結合は、アミド結合の空間的要件とよく似た、分子を酵素分解に対して安定化させる、ペプチドまたはタンパク質中に通常みられない原子の組み合わせから形成される。
【0112】
用語「非ペプチド」は、バックボーンコア化合物、または好ましくは3個以下のアミノ酸またはアミノ酸模倣物中に3個以下のアミド結合を含む化合物を表す。
【0113】
それらの化合物を表すために本明細書で用いている用語「医薬的に許容される」は、堅実な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトまたは動物の組織と接触する使用に適した、妥当な利益/リスク比に見合ったそれら化合物、物質、組成物、および/または剤形を表す。
【0114】
本明細書で用いているように「医薬的に許容される塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を作ることにより修飾される開示した化合物の誘導体を表す。医薬的に許容される塩の例には、限定されるものではないが、アミンのような塩基性残基の無機酸塩もしくは有機酸塩、およびカルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、通常の無毒性塩、または例えば無毒性の無機酸もしくは有機酸から形成された親化合物の第4アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような通常の無毒性塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸から誘導されるもの、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、およびイセチオン酸が含まれる。
【0115】
本発明の医薬的に許容される塩は、常套的な化学的方法により塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これら化合物の遊離酸または塩基形を、水もしくは有機溶媒(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい)中、またはその2つの混合物中の、化学量論的量の適切な塩基または酸と反応させることにより製造することができる。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418に記載されている(この内容は本明細書の一部を構成する)。
【0116】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有益な程度の純度で単離し、また有効な治療剤に製剤化するのに耐えるように十分に強い化合物を意味する。
【0117】
放射性医薬の製造に有用な診断キットを製造するのに有用な凍結乾燥補助剤には、限定されるものではないが、マンニトール、乳糖、ソルビトール、デキストラン、フィコール、およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0118】
放射性医薬の製造、および該放射性医薬の製造に有用な診断キットの製造に有用な可溶化補助剤には、限定されるものではないが、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体(Pluronics)、およびレシチンが含まれる。好ましい可溶化補助剤は、ポリエチレングリコールおよびPluronicsである。
【0119】
放射性医薬の製造、および該放射性医薬の製造に有用な診断キットの製造に有用な静菌剤には、限定されるものではないが、ベンジルアルコール、塩化ザルコニウム、クロルブタノール、およびメチル、プロピルおよびブチルパラベンが含まれる。
【0120】
(実験)
放射性医薬の完全性は、ITLC、より好ましくはHPLCを用いる放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)で測定される。HPLCを用いる利点は、放射線分解による分解によって生じた放射性不純物を最適なクロマトグラフィ条件下で放射性医薬から分離することができることである。本発明の放射性医薬組成物の長期にわたる安定性の改良は、代表的な時点で得たサンプル中の放射性標識化合物のRCPの変化を測定することにより証明することができる。本発明の放射性医薬組成物は、5日間の定期的に凍結、解凍、および再試験したサンプルの長期安定性を維持するのに有効である。
【0121】
該放射性医薬の最初のRCPは、pH、加熱温度、および時間といった放射性標識条件に大きく依存する。放射性医薬が高収率で製造されると、一定期間にわたる放射性医薬のRCP変化により放射性医薬組成物の安定性を測定する。
【0122】
材料 酢酸(超純粋)、水酸化アンモニウム(超純粋)、アスコルビン酸(ナトリウム塩)、およびゲンチシン酸ナトリウムは、AldrichまたはSigma Chemical Co.から購入し、入手したままで使用した。90YCl3および111InCl3(0.05N HCl中)は、NEN(登録商標)、N. Billerica、MAから購入した。高比活性の177LuCl3は、University of Missouri Research Reactor, Columbia, MOから得た。
【0123】
分析的方法 HPLC方法1は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)で出発し、90%溶媒Aおよび8%溶媒Bまでの移動相で18分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて19〜25分間定組成(isoratic)洗浄した。
【0124】
HPLC方法2は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)で出発し、80%溶媒Aおよび20%溶媒Bまでの移動相で18分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて19〜25分間定組成洗浄した。
【0125】
HPLC方法3は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)の定組成移動相で25分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて26〜30分間定組成洗浄した。
【0126】
ITLC方法は、逆相C18TLCプレート、および溶離剤としてメタノール、アセトンおよび生理食塩水の混合物(2:1:1=v:v:v)を用いた。この方法により、[90Y]/177Lu]コロイドおよび[90Y]/177Lu]アセテートは起点に留まるが、放射性標識化合物は溶媒前方に移動する。
【0127】
実施例1
アスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL、pH=7.35)を、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いる90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロ酢酸塩(20mCi)の製造。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロ酢酸塩を、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH7.35)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート、100μgを含む0.1Mアスコルビン酸(ナトリウム塩)緩衝液(pH7.35) 1.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の90YCl3溶液(20.5mCi) 〜10μLを加え、反応混合物を、95℃で5分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをゲンチシン酸ナトリウム(10mg/mL)を含む生理食塩水で50倍に希釈し、次いでHPLC(方法1、注入容量=5μL)で分析した。RCPは99.3%であった。保持時間は、14.7分であった。TLC(逆相C18TLC)は[90Y]コロイドおよび[90Y]アセテートの不純物が最小限(0.38%)であることを示した。
【0128】
このことは、pH制御および[90Y]コロイドの形成を抑制する弱トランスファーリガンド用の緩衝剤としてアスコルビン酸を使い、90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高収率および放射化学的純度で製造することができることを明らかに示している。この結果に基づいて、アスコルビン酸を、pH制御のための緩衝剤、[90Y]コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンド、および90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートの溶液安定性のための安定化剤として用いる際の最適放射性標識条件をみいだすために放射性標識実験を計画した。実験計画では4因子を考慮した。これには、pH値(5、6、および7)、加熱時間(5分間および35分間)、アスコルビン酸ナトリウムレベル(20mgおよび100mg)、および温度(50℃および95℃)が含まれる。各条件は2本のバイアルを含む。各バイアルの活性レベルは〜10mCiであった。各バイアルからの反応混合物は、HPLCおよび逆相C18TLCで特徴づけた。
【0129】
放射性標識の結果に基づいて、(1)加熱温度が95℃である限り、AAレベルはRCPに有意な影響を与えず、(2)pHはpH=5-7でRCPにほとんど影響を示さず、(3)より長い加熱時間は95℃で僅かに良いRCPをもたらし、(4)加熱温度は、RCPに対する最も支配的な因子であることは明らかである。
【0130】
実施例2
アスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL、pH=5.0)を、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いる-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート(100mCi)の製造および溶液安定性。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1MAA緩衝液(pH5.0)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート500μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH5.0) 5.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の90YCl3溶液(101.5mCi) 〜75μLを加え、反応混合物を、95℃で30分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをゲンチシン酸ナトリウム(10mg/mL)を含む生理食塩水で50倍に希釈し、次いでHPLC(方法1、注入容量=5μL)で分析した。次いで、得られる混合物を5日間ドライアイスボックス(-78℃)に保持した。サンプルを、t=0(RCP=98.5%)、24h(RCP=98.4%)、68h(RCP=98.0%)、および120h(RCP=98.8%)で分析した。保持時間は14.8分であった。
【0131】
この実験は、以下の条件下(100mg AA、pH=5を含むAA溶液5mL中の90Y 100mCiにつき、 (2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート 500μg、95℃で30分間加熱)で、90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高PCR(>98%)で容易に製造でき、少なくとも5日間(RPC>96%)安定であることを明確に示した。アスコルビン酸は、90Y標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
【0132】
実施例3
緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤としてアスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL)を用いる111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート(2.8mCi)の製造および溶液安定性。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート150μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0) 2.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の111InCl3溶液(2.8mCi) 〜7μLを加え、反応混合物を、100℃で5分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをHPLC(方法3、注入容量=10μL)で分析した。次いで、得られる混合物を24時間温室に保持した。サンプルを、t=0(RCP=98.2%)および24h(RCP=98.6%)で分析した。保持時間は11.7分であった。
【0133】
このことは、アスコルビン酸を緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射性分解安定化剤に用いて111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高収率で製造することができるであろうことを明確に示した。111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートは、溶液中で少なくとも24時間安定である。アスコルビン酸は、111In標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
【0134】
実施例4
アスコルビン酸(AA、20mg/mL、または0.1M)を緩衝剤、トランスファーリガンド、および
放射線分解安定化剤として用いる177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲートビス(トリフルオロアセテート)の調製および溶液安定性。
清浄密封5mLバイアルに、米国特許出願09/456,300に開示のごとく製造したDOTA/(2S)-2-[[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(1S)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート) 137μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0) 2.0mLを加えた。該溶液を減圧下で再度脱気した。0.05N HCl中の177LuCl3溶液(〜17mCi) 〜6μLを加え、反応混合物を95℃で45分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルを、HPLC(方法2、注入容量=2μL)および逆相C18TLCで分析した。放射化学的純度はOhで94.9%、標識後24hで95%であった。TLCは、起点で[177Lu]コロイドおよび[177Lu]アセテート不純物が最小限であることを示した(TLCで〜1.2%)。
【0135】
アスコルビン酸を緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤に用い、177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート)を高収率で製造できたことは明らかである。177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート)は溶液中で少なくとも24時間安定である。アスコルビン酸は、177Lu標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
【0001】
本発明は、金属放射性医薬を製造するための緩衝試薬およびキレート試薬としてのアスコルビン酸類似体の使用に関する。特に、本発明は、放射性医薬の製造および安定化のための緩衝試薬、キレート試薬、および安定化剤としてのアスコルビン酸の使用に関する。本発明は、緩衝剤、キレート試薬、および安定化剤としてアスコルビン酸類似体を用いる安定な放射性医薬組成物の製造方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
放射性医薬は放射性核種を含む薬剤である。放射性医薬は、種々の病気の診断または治療のための核医学で日常的に用いられる。それらは、典型的には一定の組成を持つ小有機もしくは無機化合物である。それらは、化学量論的に放射性核種で標識されていない抗体または抗体フラグメントのような高分子でもあり得る。放射性医薬は、種々の病気の診断および治療のための化学的基盤を形成する。in vivo診断情報は、放射性医薬を静脈注射し、ガンマカメラを用いてその生体分布を測定することにより得られる。放射性医薬の生体分布は、放射性標識化合物の物理および化学的特質に依存し、病気の存在、進行、および状態に関する情報を得るのに用いることができる。
【0003】
放射性医薬は、その生体分布がもっぱらその物理化学的特性によって決定されるものと、その最終的な分布がそのレセプターとの結合または他の生物学的相互作用によって決定されるものの2つの主なクラスに分けることができる。後のクラスは、しばしば標的特異的放射性医薬と呼ばれる。
【0004】
金属放射性医薬は、金属放射性核種を含む。標的特異的金属放射性医薬は、標的化(ターゲッティング)分子、リンカー、二機能性キレーター(BFC)、および金属放射性核種の4つの部分に分けることができる。標的化分子は、放射性核種を罹患組織のレセプター部位に運ぶビークルとして役立つ。標的化分子は、抗体のような高分子、またはペプチド、ペプチド模倣物、および非ペプチドを含む小生体分子(BM)であり得る。生体分子の選択は、標的とする病気や病気の状態に依存する。放射性核種は、放射線の供給源である。金属放射性核種の選択は、標的特定金属放射性医薬の意図した医学的用途(例えば、診断または治療)に依存する。BFCは、標的化分子と直接またはリンカーを介して共有結合し、数個の配位結合を介して金属放射性核種と強く結合する。BFCの選択は、金属放射性核種の性質および酸化状態によって主として決定される。該リンカーは、単純な炭化水素鎖または長いポリ(エチレングリコール)(PEG)、または薬物動態の修飾にしばしば用いられる「ナイーブな」ポリ陰イオンもしくは陽イオンペプチド配列であり得る。時折、代謝可能なリンカーを用いて血液クリアランスを増大させ、バックグラウンド活性を低下させて標的/バックグラウンド比を向上させる。
【0005】
金属放射性核種の使用は、金属と種々のキレーター周辺の配位環境を修飾することにより新しい放射性医薬を設計する多くの機会を提供する。金属放射性核種の配位化学は、該放射性医薬の金属キレートのジオメトリーと溶液安定性を決定するであろう。異なる金属放射性核種は、異なる配位化学を持ち、異なるドナー原子とキレーターフレームワークを持つBFCを必要とする。「金属必須」放射性医薬に関して、生体分布は、もっぱら金属キレートの物理的特質によって決定される。標的特異的放射性医薬に関して、「金属タグ」は、放射性医薬の標的への取り込みと生体分布に重要な影響を持つかもしれない。これは、多くの場合、金属キレートが全体のサイズと分子量に大きく寄与するので、低分子に基づく金属放射性医薬ではとりわけそうである。従って、BFCの設計および選択は、新しい診断用もしくは治療用放射性医薬の開発にとって非常に重要である。
【0006】
金属放射性核種、例えば99mTc、117mSn、111In、67Ga、68Ga、89Zr、および64Cuは、診断的イメージング用に提案されてきた。核医薬に用いられる放射性医薬のほぼ80%は、99mTc標識化合物である。臨床使用において99mTcがそのような卓越した状態にある理由は、その好ましい物理的特性と核特性にある。6時間の半減期は、放射化学者が放射性医薬を合成し、核医学の実施者yが有用な画像を得ることができるほどに十分に長い。それと同時に、患者に有意の放射線量を与えることなくミリキュリー量の99mTc放射能を投与することができるほど十分に短い。単色の140KeV光子は、優れた空間的解像度の画像を与えるために、容易にコリメートされる(collimate)。更に、99mTcは、低コストの市販99Mo-99mTcジェネレータから容易に利用可能である。
【0007】
生体分子の99mTc標識に関して、二機能的キレーターは、トリシン/水溶性ホスフィンまたはトリシン/ピリジン類似体もしくはトリシン/置換イミン-N含有複素環と組み合わせて用いると種々の三元リガンド系を形成するN2S2ジアミンジチオール、N2S2ジアミンジチオール、N2S2モノアミドモノアミドジチオール、N3Sアミンジアミドチオール、N3Sトリアミドチオール、およびHYNICを含む。これら三元リガンド系は、米国特許5,744,120、米国特許6,010,679、米国特許5,879,659、およびPCT特許出願WO98/53858に開示されている。種々の99mTc標識手法は、いくつかの総説に記載されている(Liu, S.およびEdwards, D. S. Chem. Rev. 1999,99,2235-2268; Jurisson, S.およびLydon, J. D. Chem. Rev. 1999, 99, 2205-2218; Liuら Bioconjugate Chem. 1997, 8, 621-636)。放射性標識後、得られる反応混合物を、所望によりSep‐Packまたは高速液体クロマトグラフィ(HPLC)のような1またはそれ以上のクロマトグラフィ法を用いて精製してよい。好ましい放射性標識手順は、標識後に精製することなくキレート化を達成することができるものである。
【0008】
90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、211At、47Sc、109Pd、105Rh、186/l88Re、および67Cuを含む金属放射性核種は、放射線療法にとって潜在的に有益である。これらの放射性核種のうち、ランタニド放射性同位元素が特に興味深い。低エネルギーβ‐エミッタの177Lu、中間エネルギーβ‐エミッタの149Pmおよび153Sm、および高エネルギーβ‐エミッタの166Hoおよび90Yを含む、選択すべきいくつかのランタニド放射性同位元素がある。イットリウムおよびランタニド金属は、同様の配位化学を共有する。キレーター技術およびそれらの配位化学はよく発展し、よく理解されている。
【0009】
90Y、111In、67Ga、58Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuのような放射性核種に関して、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、およびそれらの誘導体は、BFCとして選ばれる候補であろう。DOTAのような大環式キレーターがそれらの高度に前有機体化された(preorganazed)大環式リガンドフレームワークにより高度に安定な金属キレーターを形成することが知られている。KrejcarekおよびTucker (Biochem. Biophys. Res. Commun. 1976,77,581-588)は、タンパク質と連結可能な混合無水物により活性化DTPA類似体を開発した。後に、Hnatowich et al (Science 1983, 220,613-616)は、同じ目的にDTPAの環式無水物を用いた。これら線状BFCは、種々の金属イオンと結合し、熱力学的に安定な金属キレートを形成する。しかしながら、線状BFCの金属キレートは、動力学的に不安定であり、これが金属キレートから放射性核種が失われるのに寄与し、しばしば重度の骨髄毒性をもたらす。Gansow et al (Bioconjugate Chem. 1991,2,187-194; Inorg. Chem. 1986, 25, 2772-2781)は、改良された溶解安定性を有する金属キレートを形成する一連の置換DTPA類似体を製造した。
【0010】
Mearesと共同研究者ら、熱力学的安定性が高く動力学的に不活性な67Cuおよび90Yキレートを形成する大環式BFCを最初に合成した(Anal. Biochem. 1985, 148, 249-253; Nucl. Med. Biol. 1986, 13, 311-318; J. Am. Chem. Soc. 1988, 110, 6266-6267)。三次元の空洞を持つ大環式キレラント(chelant)は、金属キレートの高い安定性、ドナー原子の特定の空間的配置を強化するかまたは異なるドナー原子をリガンドバックボーンに導入することによるある種の金属イオンに対する実質的な選択性、および非キレート型の前有機体化構造を導入する能力により特に興味深い。非キレートリガンドの前有機体化の程度が高まると複合体の安定性が高まるであろう。
【0011】
レニウムは、2つの同位元素、186Reおよび188Reを持ち、腫瘍療法において有益と思われる。186Reは半減期が3.68日で、治療時の画像化を可能にするβ‐放射(Emax=1.07MeV、91%アバンダンス)およびγ‐光子(E=137keV、9%アバンダンス)を生じる。188Reは半減期が16.98hで、強いβ‐放射(Emax=2.12MeV、85%アバンダンス)と155keVガンマ光子(15%アバンダンス)を生じる。関連化学、医学的応用、および直接的および間接的方法により186/l88Reで標識した抗体については最近概説された(Fritzberg, A. R. et al. Pharmaceutical Res. 1988,5,325-334; Griffiths, G. L. et al. Bioconjugate Chem. 1992, 3,91-99; Dilworth, J. R.およびParrott, S. J. Chem. Soc. Rev. 1998,27,43-55)。レニウム化学が周期的(periodic)関係のためにテクネチウム化学と非常に類似しているので、99mTc標識抗体に用いる方法を186/188Reを用いるものに適用すべきである。
【0012】
放射線療法に最も適切な同位元素を確認するのはしばしば難しい仕事であり、種々の因子を検討する必要がある。これらには、放射性核種の腫瘍への取り込みと保持、血液クリアランス、放射線送達率、半減期、および比活性、ならびに経済的方法を用いる放射性核種の大規模生産の可能性が含まれる。治療用放射性医薬のキーポイントは、放射線量の必要な量を腫瘍細胞に送達し、管理できない副作用を生じずに、細胞障害もしくは殺腫瘍効果を達成することである。
【0013】
治療用放射性核種の物理的半減期は、腫瘍部位における標的特異的放射性医薬の生物学的半減期と一致すべきである。放射性核種の半減期が短か過ぎると、放射性医薬が最大標的/バックグラウンド比に達する前に、多くの減衰が起きてしまうであろう。一方、長過ぎる半減期は、正常な組織に不必要な放射線量をもたらすであろう。理想的には、放射性核種には、最小線量率(>0.4Gy/h)を達成し、細胞周期の最も放射線に感受性な期におけるすべての細胞を照射するのに十分な長さの半減期があるべきである。放射性核種の半減期は、放射性医薬の製造、放出、および輸送に十分な時間をもたらすように十分長くなければならない。
【0014】
腫瘍療法のためのある標的化生体分子のための放射性核種を選択する際の他の実際的な考察事項には利用可能性と品質が含まれる。微量の不純物が放射性医薬の放射性化合物の純度と放射性標識に影響を及ぼし得るため、純度は十分で、再現可能でなければならない。腫瘍の標的レセプター部位は、典型的には数が限られている。これは、選ばれた放射性核種が高い比活性を持っていることを必要とする。比活性は、主として放射性核種の製造方法と分離技術に依存する。微量の金属汚染物質は、BFCに対して放射性核種としばしば競合し、それらの金属複合体が放射性標識BFC-BMコンジュゲートと結合するレセプターに対して競合するので、最小限でなければならない。
【0015】
腫瘍療法に関して、αおよびβ‐エミッタの両方を検討した。α粒子は、1または2細胞直径以内に多量のエネルギーを放散するため、特に良い細胞障害性物質である。大部分のα‐エミッタは、有害な娘産物に減衰する重元素であり、それらの透過範囲は組織でわずか50μmに限られる。該放射性医薬が腫瘍細胞に内在化される場合、透過距離の短い(short-ranged)粒子エミッタがより魅力的である。オーガ電子エミッタは、細胞膜を横切り、核近傍に来ることができる場合に限り、非常に強力であることがわかっている。これは、新しい治療用金属放射性医薬の設計のためにさらなる課題を生む。β‐粒子エミッタは、エネルギーレベルに応じて比較的長い透過範囲(組織で2-12mm)を有する。長い透過距離は、異種の血流および/またはレセプター発現を有する固形腫瘍にとって特に重要である。β‐粒子エミッタは、標的組織の中にたとえ不均一に分散しても、より均一な線量分布をもたらす。腫瘍サイズおよび位置に応じて、β‐エミッタの選択は異なるかもしれない。例えば153Smおよび177Luのような中程度もしくは低エネルギーのβ‐エミッタはより小さな転移に良いが、90Yのような高エネルギーβ‐エミッタは更に大きな腫瘍に用いられる。
【0016】
放射性標識法の選択は、標識する生体分子のタイプと研究目的によって決まる。90Y、111In、67Ga、68Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuを含む放射性核種のための種々の放射性標識技術が、いくつかの総説に記載されている(Parker, D. Chem. Soc. Rev. 1990, 19, 271-291; Liu, F. and Wu, C. Pure & Appl. Chem. 1991, 63, 427-463; Anderson, C. J. and Welch, M. J. Chem. Rev. 1999, 99, 2219-2234; Volkert, W. A. and Hoffman, T. J. Chem. Rev. 1999, 99, 2269-2292; Liu, S and Edwards, D. S. Bioconjugate Chem. 2001, 12, 7-34)。
【0017】
ランタニド放射性核種による生体分子の放射性標識に有用な2つの一般的なアプローチ、前標識(pre-labeling)アプローチと後標識(post-labeling)アプローチがある。後標識アプローチにおいて、BFCは最初に生体分子と直接もしくはリンカーを介して結合し、BFC-BMコンジュゲートが形成される。必要ならば、放射性標識は、弱いキレート試薬の存在下で緩衝溶液中の放射性金属塩化物とBFC-BMコンジュゲートの反応により簡単に達成することができる。DTPAがコンジュゲートした生体分子は、通常、非常に高い放射性標識効率(速く、高い効率で標識)を持っており、および室温およびpH5-7で10分間以内で容易に標識することができる。高い放射性標識効率は、DTPA類似体の線状キレーターバックボーンの柔軟性に起因し得る。しかしながら、DOTAがコンジュゲートした生体分子の放射性標識動力学は通常遅い。この場合、速い標識と、高い放射性標識収率を達成するにはより高いpHと高い温度が必要であることが多い。後標識アプローチは、キレート化段階に存在する厳しい放射性標識条件に対して敏感でない生体分子に有用である。加熱に対して敏感な生体分子には、前標識アプローチが最良の選択肢であろう。
【0018】
前標識アプローチには、BFCを用いる金属キレートの形成、およびトレーサレベルに関する個別の工程における生体分子へのM-BFCキレートのコンジュゲーションが含まれる。このアプローチにおいて、該化学はよく特徴づけられ、該生体分子はキレート化工程に用いられる厳しい条件にさらされない。研究目的には、このアプローチは、短期間に原理の証拠を示すのに非常に有益である。しかしながら、このアプローチは、日常的臨床使用には、あまりにも複雑で時間がかかる。該アプローチは高い放射能レベルで放射性標識分子のクロマトグラフィによる分離を包含するので、大規模生産にも実用的ではない。
【0019】
放射性標識時の反応混合物のpHは、放射性医薬の放射化学的純度の再現性を保証するため、緩衝剤を用いて制御されることが多い。緩衝剤の選択は、キレート化の最適pH値に依存する。酢酸アンモニウムは、DTPA-およびDOTAコンジュゲート生体分子の90Y-または111In-標識にしばしば用いられる。緩衝剤濃度は、通常0.1-0.5Mである。
【0020】
β放出放射性核種を含む放射性医薬組成物は、放射性医薬組成物の製造、放出、輸送、および保存時に放射線分解を受けるかもしれない。放射線分解時の放射性核種からの放出は、複合体もしくは化合物または近接した他の化合物の成分を攻撃し、細胞間および細胞内分解をもたらす。放射線分解減衰は、放射性金属キレート、または生物学的に活性な標的化分子の分解または破壊を生じ得る。標的化生体分子と結合しない放射線は、非標的組織に蓄積されるであろう。投与前または投与時の放射性医薬組成物の分解は、標的化可能性を顕著に減少させ、治療用放射性医薬組成物の毒性を増加する。このように、放射性核種と標的化部分との結合を保証し、標的化物質の特異性の維持を保証することは重要である。
【0021】
放射線分解は、水酸基およびスーパーオキシドラジカルのようなフリーラジカルの形成により生じる(Garrison, W. M. Chem. Rev. 1987,87,381-398)。フリーラジカルは、有機分子に対して非常に反応性である。有機分子に対するこれらフリーラジカルの反応性は、治療用放射性医薬組成物の溶液安定性に影響を与える主な因子である。治療用放射性医薬組成物の安定化は、標的特異的治療用放射性医薬の開発において繰り返される課題である。従って、放射性標識生体分子の放射線分解を最小限にするための安定化剤としてのラジカルスカベンジャーを用いることは非常に重要である。
【0022】
安定化剤は、水酸基およびスーパーオキシドラジカルと容易に反応する「ラジカルスカベンジング酸化防止剤」である。治療用放射性医薬組成物のための安定化剤は、以下の特性を有するべきである:ヒトへの投与に用いるときに毒性がないか低い、標的細胞または組織への放射性標識化合物の送達またはレセプター結合に干渉しない、および妥当な期間(例えば、治療用放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送時)、治療用放射性医薬を安定化する能力。
【0023】
ゲンチシン酸およびアスコルビン酸のようなラジカルスカベンジャーは、99mTc(DeRoschら,W095/33757)、および186/188Re(Anticancer Res. 1997, 17, 1783-1796)放射性医薬の安定化に用いられてきた。米国特許5,393,512は、186Reおよび131I標識抗体または抗体フラグメントのための安定化剤としてアスコルビン酸の使用を開示している。ゲンチシン酸およびゲンチシルアルコールは、放射性標識ペプチドの安定化剤として米国特許5,384,113にも開示された。米国特許5,093,105および5,306,482は、99mTc放射性医薬の酸化防止剤としてのp-アミノ安息香酸、ゲンチシン酸、およびアスコルビン酸の使用を開示している。米国特許5,961,955は、放射性標識ペプチド、特に抗体のような放射性標識タンパク質の分解を、PVP(ポリビニルピロリジノン)を放射線保護剤として含むことにより改善する方法も開示している。
【0024】
金属放射性医薬組成物は、通常、金属放射性医薬の製造、放出、および輸送時の放射性医薬組成物の放射線分解による分解を抑制するための安定化剤、および放射性金属コロイドの形成を抑制するためのBFC-BMコンジュゲート、pH制御のための緩衝剤、弱いキレート試薬を含む。該pHは、生体分子の90Y-または111In標識の成功および再現性にとって重要である。反応混合物のpH制御(pH4.0-8.0)はO.1-0.5M酢酸アンモニウムを使うことによってしばしば達成される。生体分子の90Y標識に酢酸アンモニウムを使用する目的は2つある:(1)放射性標識工程時のpH制御、(2)酢酸アンモニウムは、弱90Y‐アセテートを形成し、[90Y]コロイドの形成を抑制することによってY3+のトランスファーリガンドとして作用する。放射線安定化剤は、放射性標識の前(すなわち、標識前添加)または後(すなわち、標識添後加)に反応混合物に添加することができる。しかしながら、緩衝剤および安定化剤の組み合わせは、高モル浸透圧濃度の放射性医薬組成物を生じることが多い。
【0025】
アスコルビン酸は酸化防止剤として知られ、種々の医薬および放射性医薬組成物に使われてきた。琥珀酸およびアミノカルボキシレートのような他の緩衝剤と異なり、アスコルビン酸は、アミノ基やカルボキシル基を含まない。当業者は、アスコルビン酸を、90Yまたは111In‐標識生体分子を製造するためのトランスファーリガンドおよび緩衝剤として使用することを予期しないであろう。従って、アスコルビン酸およびその類似体が、(1)放射性標識時の反応溶液のpHを制御するための緩衝剤、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンド、および(3)放射性医薬組成物の製造、放出、および輸送時の放射性医薬組成物の安定化剤として3つ全ての目的に役立つことは極めて重要で、驚くべき、予期しないことである。
【0026】
(発明の要約)
アスコルビン酸を緩衝剤として用いる利点はいくつかある。アスコルビン酸は、医薬および放射性医薬としての適用について承認されてきた。アスコルビン酸は、pKa4.2であり、緩衝能はpH3.0-5.0である。より高濃度(>50mg/mLまたは0.25M)でも、アスコルビン酸はpH範囲5.5-6.0で十分な緩衝能力があるかもしれない。アスコルビン酸は1つがpH>4.2で脱プロトン化可能な2つの水酸基を含むので、放射性金属コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンドとして用いることもできる。アスコルビン酸の定化剤としての使用が種々の診断用および治療用放射性医薬組成物について開示されているが(例えば、Deausch, E. A.ら/米国特許5,384,113/1995; Vanderheyden, J.-L.ら/米国特許5,393,512/1995; Flanagan, R. J.およびTartaglia, D./米国特許5,093,105/1992; Tartaglia, D.およびFlanagan, R. J./米国特許 5,306,482/1994; Shochat, D.ら/米国特許5,961,955/1999;およびZamora, P. 0.およびMerek, M. J./米国特許6,066,309/2000参照)、緩衝剤および/またはトランスファーリガンドとしてのアスコルビン酸の使用については教示または開示されていない。
【0027】
放射性標識をpH4-6のアスコルビン酸存在下で行うと、アスコルビン酸は、このpH範囲で十分な緩衝能を有するので、反応溶液に酢酸アンモニウムのような緩衝剤を必要としない。その際、アスコルビン酸は、特に高濃度の、よく知られた血管拡張剤であるアンモニウムカチオンによる副作用の可能性を排除し、放射性医薬組成物のモル浸透圧濃度の劇的な低下を生じるであろう。
【0028】
(発明の詳細な説明)
[1]本発明のある態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、そして(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化1】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物を提供する。
【0029】
[2]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0030】
[3]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0031】
[4]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効な態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0032】
[5]本発明の別の態様では、XがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0033】
[6]本発明の別の態様では、YがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0034】
[7]本発明の別の態様では、Zが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0035】
[8]本発明の別の態様では、mが1〜約5である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0036】
[9]本発明の別の態様では、mが1または2である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0037】
[10]本発明の別の態様では、mが1である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0038】
[11]本発明の別の態様では、mが1〜約5であり、XがOであり、YがOである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0039】
[12]本発明の別の態様では、mが1または2であり、XがOであり、YがOであり、Zが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0040】
[13]本発明の別の態様では、mが1であり、XがOであり、YがOであり、およびZが水酸基である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0041】
[14]本発明の別の態様では、式(I)の化合物の濃度が約2mg/mL〜約200mg/mLである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0042】
[15]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が約10mCi〜約2000mCiのレベルで存在する態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0043】
[16]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が約5mCi/mL以上の濃度で存在する態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0044】
[17]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが診断用放射性医薬である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0045】
[18]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが治療用放射性医薬である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0046】
[19]本発明の別の態様では、生体分子が抗体である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0047】
[20]本発明の別の態様では、生体分子が抗体フラグメントである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0048】
[21]本発明の別の態様では、生体分子がペプチドである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0049】
[22]本発明の別の態様では、生体分子がペプチド模倣物(peptidomimetic)である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0050】
[23]本発明の別の態様では、生体分子が非ペプチドである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0051】
[24]本発明の別の態様では、生体分子が、環式IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト、RGD含有ペプチド、フィブリノーゲンレセプターアンタゴニスト、IIb/IIIaレセプターリガンド、フィブリンの重合部位に対するリガンド、ラミニン誘導体、フィブリノーゲンに対するリガンド、トロンビンリガンド、IIIaタンパク質に対応するオリゴペプチド、ヒルジンベースのペプチド、IIb/IIIaレセプターリガンド、血栓、血小板結合もしくはアテローム斑結合ペプチド、フィブリン結合ペプチド、ヒルジンベースのペプチド、フィブリン結合タンパク質、IIb/IIIaレセプターと結合するグアニン誘導体、チロシン誘導体、白血球結合ペプチド、走化性ペプチド、白血球刺激物質、LTB4アンタゴニスト、ソマトスタチン類似体、セレクチン結合ペプチド、生物学的機能ドメイン、血小板因子4もしくは成長因子、血管形成(angiogenic)腫瘍の脈管構造に発現するか、またはそれを上方調節する(upregulate)レセプターと結合する化合物、レセプター、VEGFレセプターFlk-1/KDR、Flt-1もしくはニューロピリン-1と高親和性に結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4β1、α1β1もしくはα2β2と結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、レセプターチロシンキナーゼと相互作用する化合物、組織、臓器、酵素もしくは体液のレセプターもしくは結合部位と結合するタンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、アルツハイマー病患者に蓄積することがわかっているβ‐アミロイドタンパク質、心筋もしくは腎臓のレセプターと結合する心房性ナチュレティック(naturetic)因子由来ペプチド、梗塞組織の領域と結合する抗ミオシン抗体、またはin vivo低酸素領域に局在するニトロイミダゾール誘導体である態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0052】
[25]本発明の別の態様では、キレーターが環式もしくは非環式ポリアミノカルボキシレート、ジアミンジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンモノアミドジチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、またはヒドラジンである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0053】
[26]本発明の別の態様では、キレーターが窒素、酸素、および硫黄から選ばれるドナー原子を有するテトラデンテートである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0054】
[27]本発明の別の態様では、キレーターが、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジル-シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、または6,6"-ビス[N,N,N”,N”-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
[28]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、90Y、111In、67Ga、68Ga、89Zr、99mTc、117mSn、203Pb、177Lu、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、または212Biである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0055】
[29]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が99mTc、117mSn、111In、203Pb、67Ga、68Ga、89Zr、90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、または67Cuである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0056】
[30]本発明の別の態様では、金属放射性同位元素が111In、90Y、または177Luである態様1の放射性医薬組成物を提供する。
【0057】
[31]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および式(I):
【化2】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物を提供する(ただし、放射性医薬組成物はさらなる緩衝剤またはさらなるキレート試薬を含まない。)。
【0058】
[32]本発明の別の態様では、放射性医薬を、放射性医薬のpHを制御するのに有効な量の式(I):
【化3】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物と接触させることを含む該放射性医薬の緩衝方法を提供する。
【0059】
[33]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様32の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0060】
[34]本発明の別の態様では、緩衝剤が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の該放射性医薬のpHを制御する態様32の方法を提供する。
【0061】
[35]本発明の別の態様では、放射性医薬を、放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効な量の式(I):
【化4】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物と接触させることを含む該放射性医薬のキレート化方法を提供する。
【0062】
[36]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様35の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0063】
[37]本発明の別の態様では、キレート試薬が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の放射性金属コロイドの形成を抑制する態様35の方法を提供する。
【0064】
[38]本発明の別の態様では、放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定させ、そして(1)放射性医薬のpHを制御し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)方法であって、
放射性医薬を、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化5】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩と接触させることを含む方法を提供する。
【0065】
[39]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0066】
[40]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0067】
[41]本発明の別の態様では、該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である態様38の方法を提供する。
【0068】
[42]本発明の別の態様では、該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである態様38の方法を提供する
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。
【0069】
[43]本発明の別の態様では、該量が、放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の、放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、ならびに(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効である態様38の方法を提供する。
【0070】
[44]本発明の別の態様では、式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化6】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む安定な放射性医薬組成物の製造方法を提供する。
【0071】
[45]本発明の別の態様では、予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化7】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む密封バイアルを含むキットを提供する。
【0072】
[46]本発明の別の態様では、(a)予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
【化8】
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む第一バイアル、および
(a)医薬的に許容される担体または希釈剤を含む第二バイアルを含むキットを提供する。
【0073】
[47]本発明の別の態様では、式(I):
【化9】
[式中、XはO、NR1、またはCHR1であり、
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を提供する。
【0074】
明確にするため、別の態様の文脈で述べた本発明のある特徴は1つの態様の組み合わせも提供するかも知れないことは十分理解される。逆に、簡潔さのため、1つの態様の文脈で述べた本発明の種々の特徴も、別々にかもしくはあらゆるサブコンビネーションで提供されるかも知れない。
【0075】
定義
本発明の放射性医薬組成物は、放射性同位元素‐キレーター生体分子コンジュゲート、アスコルビン酸またはその類似体、および他の所望の医薬的賦形剤から成る。ガンマ線放出同位元素または陽電子放出同位元素から成る標的特異的放射性医薬は画像診断(造影)剤として有用である。ベータ粒子、アルファ粒子、またはオーガー電子放出同位元素から成る放射性医薬は、治療用放射性医薬として有用である。金属放射性同位元素は、直接、もしくは所望によりリンカーを介して1またはそれ以上の生体分子と結合したBFCによってキレート化される。生体分子は、タンパク質、抗体、抗体フラグメント、一本鎖抗体、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、ペプチド、ペプチド模倣物、または非ペプチドである。好ましくは、生体分子は、10,000g/mol分子量以下のペプチド、ペプチド模倣物、および非ペプチドである。アスコルビン酸またはその類似体は3つの目的に役立つ。すなわち、それらは、放射性標識時のpH制御のための緩衝剤の役割、放射性金属コロイドの形成を抑制するためのキレート試薬の役割、そして放射性標識化合物の放射線誘発性分解からの保護をもたらす安定化剤の役割を果たす。画像診断または治療に有用なアルファ粒子、ベータ粒子、ガンマ線、陽電子、またはオーガー電子を放出する金属放射性同位元素には、99mTc、117mSn、111In、97Ru、203Pb、67Ga、68Ga、89Zr、90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、212Bi、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、および67Cuが含まれる。
【0076】
金属放射性同位元素・キレーター生体分子(MBFC-BM)コンジュゲートの部分であるかもしれない好ましい生体分子の例には以下のものが含まれる。
【0077】
血栓塞栓性障害またはアテローム性動脈硬化症の診断のために、BMは、米国特許5,879,657に記載の環式IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト化合物、米国特許4,578,079、4,792,525、PCT/US88/04403、PCT/US89/01742、PCT/US90/03788、PCTUS91/02356、およびOjima et. al. 204th Meeting of the Amer. Chem. Soc. 1992, 抄録44に記載のRGD含有ペプチド、ヨーロッパ特許出願90202015.5、90202030.4、90202032.2、90202032.0、90311148.2、90311151.6、90311537.6に記載のフィブリノーゲンレセプターアンタゴニストであるペプチド、PCTWO93/23085のIIb/IIIaレセプターリガンド、フィブリンの重合部位のリガンド、ラミニン誘導体、フィブリノーゲンのリガンド、またはトロンビンリガンドとして記載の特異的結合ペプチドおよびポリペプチド(テクネチウム結合基を除く)、PCT/W090/00178に記載のIIIaタンパク質に対応するオリゴペプチド、PCT/W090/03391に記載のヒルジンベースのペプチド、PCT/W090/15818に記載のIIb/IIIaレセプターリガンド、PCT W092/13572(テクネチウム結合基を除く)またはGB9313965.7に記載の血栓、血小板結合、またはアテローム斑結合ペプチド、米国特許4,427,646および5,270,030に記載のフィブリン結合ペプチド、米国特許5,279,812に記載のヒルジンベースのペプチド、または米国特許5,217,705に記載のフィブリン結合タンパク質、米国特許5,086,069に記載のIIb/IIIaレセプター結合グアニン誘導体、またはヨーロッパ特許出願0478328A1およびHartman et. al., J. Med. Chem. 1992, 35,46-40に記載のチロシン誘導体、または酸化低密度リポタンパク質(LDL)を含む群から選ばれる。
【0078】
感染、炎症、または移植片拒絶の診断のためのBMは、PCTW093/17719(テクネチウム結合基を除く)、PCTW092/13572(テクネチウム結合基を除く)、または米国特許出願08-140000に記載の白血球結合ペプチド、欧州特許出願90108734.6、またはA. Fischman et. al., Semin. Nuc. Med., 1994,24,154に記載の走化性ペプチド、米国特許5,277,892に記載の白血球刺激物質、または同時係属のU.S.S.N.08/943,659に記載のLTB4アンタゴニストを含む群から選ばれる。
【0079】
癌診断用のBMは、英国特許出願8927255.3またはPCTW094/00489に記載のソマトスタチン類似体、PCTW094/05269に記載のセレクチン結合ペプチド、PCTW093/12819に記載の生物学的機能ドメイン、血小板因子4、または成長因子(PDGF、VEGF、EGF、FGF、TNF MCSF、またはインターロイキンIl1‐8)の群から選ばれる。
【0080】
BMは、血管形成腫瘍脈管構造に発現するかまたはそれを上方調節するレセプターと結合する化合物であるかもしれない。VEGFレセプター、Flk1/KDR、Flt-1、およびニューロピリン-1を標的化するための標的化部分は、レセプターと高親和性に結合するペプチド、ポリペプチド、またはペプチド模倣物から成る。例えば、VEGFのVEGFRへの結合を競合的に阻害する、VEGFのC末端ドメインの23アミノ酸部分からなるペプチドが合成されている(Soker, et. al., J. Biol. Chem., 1997, 272,31582-8)。塩基性FGFレセプター(bFGFR)と結合する11〜23アミノ酸残基の線状ペプチドは、Cosic et. al., Mol. and Cell. Biochem., 1994,130,1-9に記載されている。bFGFRの好ましい線状ペプチドアンタゴニストは、16アミノ酸ペプチド、Met-Trp-Tyr-Arg-Pro-Asp-Leu-Asp-Glu-Arg-Lys-Gln-Gln-Lys-Arg-Gluである。Ghoら(Cancer Research、1997,57,3733-40)は、内皮細胞表面のアンギオゲニンレセプターと高親和性に結合する小ペプチドの同定について記載している。好ましいペプチドは、Ala-Gln-Leu-Ala-Gly-Glu-Cys-Arg-Glu-Asn-Val-Cys-Met-Gly-Ile-Glu-Gly-Arg(2つのCys残基が細胞内ジスルフィド結合を形成する)である。Yayon et.al.(Proc. Natl.Acad.Sci, USA, 1993,90,10643-7)は、ランダムファージ表現ペプチドライブラリから同定されたFGFRの他の線状ペプチドアンタゴニストについて記載している。2本の線状オクタペプチド、Ala-Pro-Ser-Gly-His-Tyr-Lys-GlyおよびLys-Arg-Thr-Gly-Gln-Tyr-Lys-Leuは、bFGFのそのレセプターとの結合を阻害するのに好ましい。
【0081】
腫瘍の脈管構造に発現したインテグリンに対する標的化部分は、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4β1、α1β1、およびα2β2と結合するペプチド、ポリペプチド、およびペプチド模倣物を含む。PierschbacherおよびRouslahti(J. Biol. Chem. 1987,262,17294-17298)は、α5β1およびαvβ3と選択的に結合するペプチドについて記載している。U.S. 5,536,814は、インテグリンα5β1と高親和性に結合するペプチドについて記載している。BurgessおよびLim (J. Med. Chem. 1996,39, 4520-4526)は、αvβ3:シクロ[Arg-Gly-Asp-Arg-Gly-Asp]、シクロ[Arg-Gly-Asp-Arg-Gly-D-Asp]、および線状ペプチドArg-Gly-Asp-Arg-Gly-Aspと高親和性に結合する3つのペプチドの合成法を開示している。U.S. 5,770,565およびU.S. 5,766,591は、αvβ3と高親和性に結合するペプチドを開示している。U.S. 5,767,071およびU.S. 5,780,426は、αvβ3と高い親和性を持つ環外Argアミノ酸を有する環式ペプチドを開示している。Srivatsaら(Cardiovascular Res. 1997,36,408-428)は、αvβ3、シクロ[Ala-Arg-Gly-Asp-Mamb]の環式ペプチドアンタゴニストについて記載している。Tranら(Bioorg. Med. Chem. Lett. 1997,7,997-1002)は、avB3と高親和性に結合する環式ペプチドシクロ[Arg-Gly-Asp-Val-Gly-Ser-BTD-Ser-Gly-Val-Ala]を開示している。Arapら(Science 1998,279,377-380)は、αvβ3およびαvβ5、Cys-Asp-Cys-Arg-Gly-Asp-Cys-Phe-Cysおよびシクロ[Cys-Asn-Gly-Asp-Cys]と結合する環式ペプチドについて記載している。Corbettら(Biorg. Med. Chem. Lett. 1997,7,1371-1376)は、一連のαvβ3選択的ペプチド模倣物について記載している。そしてHaubnerら(Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 1997,36,1374-1389)は、ペプチドライブラリから得たペプチドおよびペプチド模倣物のαvβ3アンタゴニストについて開示している。
【0082】
腫瘍の脈管構造のための別の標的化部分には、レセプターチロシンキナーゼと相互作用する化合物が含まれる。レセプターチロシンキナーゼ(TK)は、細胞を横切る細胞***誘起シグナルの核への伝達に重要な役割を果たす膜タンパク質である(Rewcastle, G. W. et al J. Med. Chem. 1995, 38, 3482-3487; Thompson, A. M. et al J. Med. Chem. 1997,40,3915-3925)。同定され、特徴付けられた多くのTKのうち、上皮増殖因子レセプター(EGFR)ファミリーのものは特に重要で、種々の異所性細胞増殖過程に関与していた。ヒトEGFレセプターの過剰発現は、数種のヒト腫瘍で大幅に増幅され(Fry, D. W. Exp. Opin. Invest. Drugs 1994,3,577-595; Jardines, L. et al Pathobiology 1993,61,268-282)、これはそのタンパク質標的の過剰リン酸化を伴った。発癌TKタンパク質による基質チロシン残基のこのリン酸化の増加は、悪性形質転換に必須の段階である。したがって、抗癌剤としてTKs(TKIs)インヒビターを開発することは大きな重要性がある(Burke, T. R. Jr. Drugs Future 1992 17, 119-131; Chang, C. J.およびGeahlen, R. J. Nat. Prod. 1992,55,1529-1560)。腫瘍細胞におけるEGFレセプターの過剰発現は、TKレセプターリガンド(チロシンキナーゼインヒビター)上にキレーターおよび放射性核種を結合することにより診断用および治療用放射性医薬を開発するための基礎も供給する。
【0083】
BMは、他の組織、臓器、酵素または体液上のレセプターまたは結合部位と結合するタンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチド、またはペプチド模倣物も表すかもしれない。例には、アルツハイマー病患者に蓄積していることが示されたβ‐アミロイドタンパク質、心筋および腎臓レセプターと結合する心房性ナチュレティック因子誘導ペプチド、梗塞組織の領域と結合する抗ミオシン抗体、またはin vivo低酸素領域に局在するニトロイミダゾール誘導体が含まれる。
【0084】
連結基Lnは、いくつかの役割を果たし得る。第一に、該連結基は、金属キレートM-Chが生体分子と該生物学的標的との相互作用に干渉する可能性を最小限にするように、金属キレーターChと1またはそれ以上の生体分子BMの間のスペーシング基を供給する。連結基を試薬に組み込むことの必要性は、BMおよびM-Chの同一性に依存している。金属キレートM-Chがその生物学的標的との親和性を実質的に減少させずにBMと結合することができない場合に連結基を用いる。連結基は、M-Chと結合するある基に複数の生体分子を独立して結合させる手段も提供する。
【0085】
連結基は、薬物動態調節物質を本発明の医薬に組み込む方法を提供する。薬物動態調節物質は、生体分子BMと生物学的標的との相互作用による以外の注射した医薬の生体分布を導くのに役立つ。多種多様な官能基は、制限されるものではないが、炭水化物、ポリアルキレングリコール、ペプチドもしくは他のポリアミノ酸、およびシクロデクストリンを含む薬物動態調節物質として役立つことができる。該調節物質は、親水性を増大または低下させ、そして血液クリアランス速度を増加または低下させるのに用いることができる。該調節物質は、医薬の除去経路を導くのにも用いることができる。
【0086】
金属キレーターもしくは結合部分Chは、特定の適用のために選ばれた金属イオンと安定な複合体を形成するために選択される。診断用放射性医薬のためのキレーターもしくは結合部分は、画像化可能なガンマ線または陽電子放出を持つ放射性同位元素と安定なキレートを形成するために選択される。
【0087】
テクネチウムおよびレニウム同位元素用のキレーターは、ジアミンジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンモノアミドジチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、およびヒドラジンから選択される。該キレーターは、一般に窒素、酸素、および硫黄から選ばれるドナー原子を持つテトラデンテートである。好ましい試薬は、アミン窒素およびチオール硫黄ドナー原子を有するキレーターおよびヒドラジン結合ユニットからなる。チオール硫黄原子およびヒドラジンは、該放射性医薬を合成するために試薬を用いる前に、もしくは好ましくは放射性医薬の合成時にin situで置換することができる保護基を持っていてよい。
【0088】
チオール保護基の具体例には、GreeneおよびWuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons, New York (1991)、(この内容は本明細書の一部を構成する)に記載のものが含まれる。当該分野で知られているあらゆるチオール保護基を用いることができる。チオール保護基の例には、制限されるものではないが、以下のものが含まれる:アセトアミドメチル、ベンズアミドメチル、1-エトキシエチル、ベンゾイル、およびトリフェニルメチル。
【0089】
ヒドラジン結合ユニットのための保護基の具体例には、水素、アルキル、アリール、および複素環から選ばれる置換基を有するアルデヒドまたはケトンヒドラゾンであり得るヒドラゾンである。特に好ましいヒドラゾンは、同時係属のU.S.S.N. 08/476,296に記載されている(この内容は本明細書の一部を構成する)。
【0090】
金属放射性核種と結合すると、ヒドラジン結合ユニットはヒドラジドまたはジアゼニド基と称され、放射性核種の放射性医薬の残存部分への結合点として役立つ。ジアゼニド基は、末端(該基の1原子のみが放射性核種に結合している)かキレート化のいずれかであり得る。キレート化ジアゼニド基を持つため、該基の少なくとも1個の他の原子は、放射性核種にも結合しなければならない。金属と結合した原子はドナー原子と称される。
【0091】
111In、86Y、67Ga、68Ga、89Zr、62Cu、64Cu、および67Cuを含む放射性核種のキレート化用のキレーターは、ポリアミノカルボキシレート、例えば、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジルシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、および6,6"-ビス[N,N,N",N"-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンから選ばれる。市販品を利用できないこれらキレーターの合成方法は、Brechbiel, M.およびGansow, 0., J. Chem. Soc. Perkin Trans. 1992,1,1175; Brechbiel, M.およびGansow, O., Bioconjugate Chem. 1991, 2,187; Deshpande, S., et. al., J. Nucl. Med. 1990,31, 473; Kruper, J., 米国特許5,064,956、およびToner, J., 米国特許4,859,777に開示されている(これらの内容は本明細書の一部を構成する)。
【0092】
治療用放射性医薬のためのキレーターもしくは結合部分は、アルファ粒子、ベータ粒子、オーガー、またはCoster-Kronig電子放出を持つ放射性同位元素を用いて安定な複合体を形成するために選択される。レニウム、銅、パラジウム、プラチナ、イリジウム、ロジウム、銀、および金同位元素のためのキレーターは、ジアミンジチオール、モノアミンモノアミドジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、およびヒドラジンから選ばれる。イットリウム、ビスマス、およびランタニド同位元素のためのキレーターは、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジルシクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、および6,6"-ビス[N,N,N",N"-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンを含む環式および非環式ポリアミノカルボキシレートから選ばれる。
【0093】
放射性医薬の完全性は、ITLC、より好ましくはHPLCを用いる放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)により測定される。HPLCを用いる利点は、放射線分解的な分解によって生じる放射性不純物を最適クロマトグラフィ条件下で放射性医薬から分離することができることである。本発明の放射性医薬組成物の長期にわたる改良された安定性は、代表的な時点で得たサンプル中の放射性標識化合物のRCPの変化を測定することによって示すことができる。本発明の放射性医薬組成物は、標識後5日間まで凍結し、解凍し、再試験したサンプルの長期の安定性を保つのに効果的である。
【0094】
該放射性医薬の最初のRCPは、主に、放射性標識条件、例えばpH、加熱時間、および時間に依存している。いったん、放射性医薬を高収量で製造すると、放射性医薬組成物を安定させる酸化防止剤の能力は、ある期間のRCP変化で評価される。
【0095】
治療用放射性医薬組成物は、放出および輸送時の大きな放射線分解を避けるため低温度で保存するのが好ましい。放出および輸送時の治療用放射性医薬組成物に用いる安定化剤の量および保存温度は、放射線分解による分解に対する特定放射性標識化合物の感受性に従って調整することができよう。
【0096】
アスコルビン酸はビタミンCとして知られており、99mTcおよび186/188Re放射性医薬(W095/33757; Anticancer Res. 1997,17,1783-1796、米国特許5,093,105、および米国特許5,306,482)、または放射性標識ペプチド(米国特許5,393,512、米国特許5,384,113、および米国特許5,961,955)の放射線分解による分解を防止するのに一般的に用いられる酸化防止剤である。アスコルビン酸は、生物学的目的に用いられる医薬組成物および他の製剤にしばしば使用される容易に利用可能なGRAS(一般に安全であると認識された)物質であり、最終製剤に200mg/mLもの高濃度で用いることができよう。本発明に開示の放射性医薬組成物にアスコルビン酸またはその類似体を用いる主な利点には以下のものが含まれる。(1)該放射性医薬は、高収率(>90%)で製造することができる。(2)放射性金属コロイドの形成は最小限である(<1%)。(3)放射性医薬組成物は、放射性医薬のRCPを維持しながら(>90%)数日間保存することができる。
【0097】
本明細書に記載の化合物は不斉中心を持つかもしれない。不斉置換原子を含む本発明の化合物は、光学活性形もしくはラセミ形で単離されるかもしれない。例えば、ラセミ形の分割もしくは光学活性出発物質からの合成による光学活性形の製造方法は当該分野でよく知られている。オレフィン、C=N二重結合などの多くの幾何異性体は、本明細書に記載の化合物中にも存在し得、全てのそのような安定な異性体は、本発明において予期される。本発明の化合物のシス(cis)およびトランス(trans)幾何異性体が記載されており、異性体混合物としてもしくは分離した異性体形として単離することができよう。特定の立体化学や異性体形を具体的に示さない限り、全てのキラル形、ジアステレオマー形、ラセミ形、および全ての幾何異性体形の構造が意図される。本発明の化合物および中間体を製造するのに用いるすべての方法は本発明の一部であると考えられる。
【0098】
本明細書で用いている用語「置換(された)」は、所定の原子上の1またはそれ以上のあらゆる水素を示した基から選んで置き換えることを意味する(但し、所定の原子の正常な原子価を越えず、該置換が安定な化合物を生じる)。置換基がケト(すなわち=O)である時、原子上の2個の水素が置換される。ケト置換基は、芳香族部分には存在しない。環系(例えば、炭素環式もしくは複素環式)がカルボニル基または二重結合で置換されているというときは、カルボニル基または二重結合が環の部分である(すなわち、その中にある)ことを意図する。
【0099】
本発明は、本発明化合物において発生する原子の全ての同位元素を含むことを意図している。同位元素は、原子番号が同じで、異なる質量数を持つものを含む。一般的例として、限定されるものではないが、水素の同位元素はトリチウムおよび重水素を含む。炭素の同位元素は、C-13およびC-14を含む。
【0100】
あらゆる変数(例えばR5)は化合物のあらゆる成分または式に1回以上出現する場合、それぞれの出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義と独立している。このように、例えばある基が0-2R5で置換されていると示されているとすると、該基は所望により2個までのR5基で置換されていてよく、それぞれ出現するR5は、R9の定義とは独立して選択される。また、置換および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0101】
置換基との結合が環の2つの原子を関連付ける結合を横切ることを示すとき、そのような置換基は、環上のあらゆる原子と結合してよい。置換基が、置換基がそれにより特定の式の化合物の残りの部分と結合している原子を示すことなく列挙されているとき、該置換基は、そのような置換基中のあらゆる原子を介して結合することができよう。置換基および/または変数の組み合わせは、そのような組み合わせが安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0102】
本明細書で用いているように「アルキル」は、特定数の炭素原子を有する分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基の両方を含むことを意図している。アルキルの例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、n‐プロピル、i‐プロピル、n‐ブチル、s‐ブチル、t‐ブチル、n-ペンチル、およびs-ペンチルが含まれる。「シクロアルキル」は、飽和環基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、またはシクロペンチルを含むことを意図している。「アルケニル」は、直鎖または分岐鎖構造の炭化水素鎖、およびエテニルおよびプロペニルのような鎖に沿ったあらゆる安定な点で生じ得る1またはそれ以上の不飽和炭素-炭素結合を含むことを意図している。
【0103】
本明細書で用いている「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを表し、また「対イオン」を用いて小さな負に荷電した種、例えば塩素、臭素、ヒドロキシド、アセテート、およびサルフェートを表す。
【0104】
本明細書で用いているように「炭素環」または「炭素環式残基」は、あらゆる安定な3〜7員の単環式または二環式、または7〜13員の二環式もしくは三環式を表すことを意図し、そのあらゆるものが置換されているか、所望により非置換であるか、または芳香族であってよい。そのような炭素環の例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、アダマンチル、シクロオクチル、[3.3.0]ビシクロオクタン、[4.3.0]ビシクロノナン、[4.4.0]ビシクロデカン、[2.2.2]ビシクロオクタン、フルオレニル、フェニル、ナフチル、インダニル、アダマンチル、およびテトラヒドロナフチルが含まれる。
【0105】
本明細書で用いているように、用語「複素環」または「複素環式系」は、飽和、部分的に不飽和、もしくは不飽和(芳香族)の、炭素原子およびN、0、およびSからなる群から独立して選ばれる1〜4個の異種原子からなる、あらゆる先に定義した複素環がベンゼン環と融合しているあらゆる二環式基を含む、安定な5〜7員の単環式もしくは二環式もしくは7〜10員の二環式複素環を意味することを意図する。窒素および硫黄異種原子は所望により酸化されていてよい。複素環は、安定な構造を生じるあらゆる異種原子または炭素原子でその側基と結合してよい。得られた化合物が安定であれば、本明細書に記載の複素環は炭素もしくは窒素原子上で置換されていてよい。複素環中の窒素は所望により四級化されてよい。複素環中のSおよび0原子の総数が1を越えるときは、これら異種原子は互いに隣り合っていないことが好ましい。複素環中のSおよびO原子の総数が1以下であることが好ましい。本明細書で用いているように、用語「芳香族複素環式系」または「ヘテロアリール」は、炭素原子、およびN、0、およびSからなる群から独立して選ばれる1〜4個の異種原子からなる、安定な5〜7員の単環式もしくは二環式、または7〜10員の二環式複素環式芳香族環を意味する。芳香族複素環中のSおよびO原子の総数は1以下であることが好ましい。
【0106】
複素環の例には、限定されるものではないが、アクリジニル、アゾシニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾキザゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾイミダゾリニル、カルバゾリル、4aH-カルバゾリル、カルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、2H,6H-15,2-ジチアジニル、ジヒドロフロ[2,3-b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H-インダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H-インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、メチレンジオキシフェニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダゾール、ピリドチアゾール、ピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H-ピロリル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、4H-キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、6H-1,2,5-チアジアジニル、1,2,3-チアジアゾリル、1,2,4-チアジアゾリル、1,2,5-チアジアゾリル、1,3,4-チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,5-トリアゾリル、1,3,4-トリアゾリル、およびキサントレニルが含まれる。好ましい複素環には、限定されるものではないが、ピリジニル、フラニル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、ピロリジニル、イミダゾリル、インドリル、ベンゾイミダゾリル、1H-インダゾリル、オキサゾリジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾイソキサゾリル、オキソインドリル、ベンゾキサゾリニル、およびイサチノイルが含まれる。例えば上記複素環を含む融合環およびスピロ化合物も含まれる。
【0107】
本明細書で用いている用語「アミノ酸」は、塩基性アミノ基および酸性カルボキシル基の両方を含む有機化合物を意味する。この用語には、天然のアミノ酸(例えば、L‐アミノ酸)、修飾された異常なアミノ酸(例えば、D-アミノ酸)、および生物学的に遊離形または結合形で生じることが知られているが、通常、タンパク質には生じないアミノ酸が含まれる。この用語には、例えば、RobertsおよびVellaccio (1983) The Peptides, 5: 342-429に開示しているような修飾された異常なアミノ酸が含まれる(この内容は本明細書の一部を構成する)。天然のタンパク質を生じるアミノ酸には、限定されるものではないが、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、チロシン、チロシン、トリプトファン、プロリン、およびバリンが含まれる。天然の非タンパク質アミノ酸には、限定されるものではないが、アルギノコハク酸、シトルリン、システインスルフィン酸、3,4-ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、3-モノヨードチロシン、3,5-ジヨードトリオシン、3,5,5'-トリヨードチロニン、および3,3',5,5'-テトラヨードチロニンが含まれる。本発明を実施するのに用いることができる修飾または異常なアミノ酸には、限定されるものではないが、D‐アミノ酸、ヒドロキシリジン、4-ヒドロキシプロリン、N-Cbz-保護アミノ酸、2,4-ジアミノ酪酸、ホモアルギニン、ノルロイシン、N-メチルアミノ酪酸、ナフチルアラニン、フェニルグリシン、β-フェニルプロリン、tert‐ロイシン、4-アミノシクロヘキシルアラニン、N-メチル-ノルロイシン、3,4-デヒドロプロリン、N、N-ジメチルアミノグリシン、N-メチルアミノグリシン、4-アミノピペリジン-4-カルボン酸、6-アミノカプロン酸、trans-4-(アミノメチル)シクロヘキサンカルボン酸、2-、3-、および4-(アミノメチル)安息香酸、1-アミノシクロペンタンカルボン酸、1-アミノシクロプロパンカルボン酸、および2-ベンジル-5-アミノペンタン酸が含まれる。
【0108】
本明細書で用いている用語「ペプチド」は、ペプチド結合によって連結される2またはそれ以上のアミノ酸(本明細書に定義したような)からなる線状化合物を意味する。本発明に用いられる「ペプチド」は、分子量10,000ダルトン以下の、好ましくは5,000ダルトン以下の、より好ましくは2,500ダルトン以下の部分を表すことを意図している。用語「ペプチド」には、ペプチドと非ペプチド成分、例えば擬似ペプチドまたはペプチド模倣物残基もしくは他の非アミノ酸成分、の両方を含む化合物も含まれる。ペプチドと非ペプチド成分の両方を含むそのような化合物は、「ペプチド類似体」とも言われるかもしれない。
【0109】
「擬似ペプチド」または「ペプチド模倣物」は、例えば、ペプチド類似体とアミノ酸残基のアミド結合以外の連結基(擬似ペプチド結合)を用いるか、そして/または非アミノ酸置換基および/または修飾アミノ酸残基を用いることによりアミノ酸残基もしくはペプチドの構造がよく似た化合物である。「擬似ペプチド残基」はペプチド中に存在する擬似ペプチドまたはペプチド模倣物の部分を意味する。
【0110】
用語「ペプチド結合」は、あるアミノ酸のカルボキシル基と第2アミノ酸のアミノ基の間の水分子の損失によって形成された共有アミド結合を意味する。
【0111】
用語「擬似ペプチド結合」には、正常なアミド結合の代わりにもしくは代替物として用いてよいペプチド結合同配体が含まれる。これら代替物またはアミド「等価」結合は、アミド結合の空間的要件とよく似た、分子を酵素分解に対して安定化させる、ペプチドまたはタンパク質中に通常みられない原子の組み合わせから形成される。
【0112】
用語「非ペプチド」は、バックボーンコア化合物、または好ましくは3個以下のアミノ酸またはアミノ酸模倣物中に3個以下のアミド結合を含む化合物を表す。
【0113】
それらの化合物を表すために本明細書で用いている用語「医薬的に許容される」は、堅実な医学的判断の範囲内で過度の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症なしにヒトまたは動物の組織と接触する使用に適した、妥当な利益/リスク比に見合ったそれら化合物、物質、組成物、および/または剤形を表す。
【0114】
本明細書で用いているように「医薬的に許容される塩」は、親化合物がその酸または塩基塩を作ることにより修飾される開示した化合物の誘導体を表す。医薬的に許容される塩の例には、限定されるものではないが、アミンのような塩基性残基の無機酸塩もしくは有機酸塩、およびカルボン酸のような酸性残基のアルカリ塩または有機塩が含まれる。医薬的に許容される塩には、通常の無毒性塩、または例えば無毒性の無機酸もしくは有機酸から形成された親化合物の第4アンモニウム塩が含まれる。例えば、そのような通常の無毒性塩には、無機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、および硝酸から誘導されるもの、および有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、およびイセチオン酸が含まれる。
【0115】
本発明の医薬的に許容される塩は、常套的な化学的方法により塩基性または酸性部分を含む親化合物から合成することができる。一般に、そのような塩は、これら化合物の遊離酸または塩基形を、水もしくは有機溶媒(一般に、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒質が好ましい)中、またはその2つの混合物中の、化学量論的量の適切な塩基または酸と反応させることにより製造することができる。適当な塩のリストは、Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., Mack Publishing Company, Easton, PA, 1985, p. 1418に記載されている(この内容は本明細書の一部を構成する)。
【0116】
「安定な化合物」および「安定な構造」は、反応混合物から有益な程度の純度で単離し、また有効な治療剤に製剤化するのに耐えるように十分に強い化合物を意味する。
【0117】
放射性医薬の製造に有用な診断キットを製造するのに有用な凍結乾燥補助剤には、限定されるものではないが、マンニトール、乳糖、ソルビトール、デキストラン、フィコール、およびポリビニルピロリドン(PVP)が含まれる。
【0118】
放射性医薬の製造、および該放射性医薬の製造に有用な診断キットの製造に有用な可溶化補助剤には、限定されるものではないが、エタノール、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノオレエート、ポリソルベート、ポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)ポリ(オキシエチレン)ブロック共重合体(Pluronics)、およびレシチンが含まれる。好ましい可溶化補助剤は、ポリエチレングリコールおよびPluronicsである。
【0119】
放射性医薬の製造、および該放射性医薬の製造に有用な診断キットの製造に有用な静菌剤には、限定されるものではないが、ベンジルアルコール、塩化ザルコニウム、クロルブタノール、およびメチル、プロピルおよびブチルパラベンが含まれる。
【0120】
(実験)
放射性医薬の完全性は、ITLC、より好ましくはHPLCを用いる放射性標識化合物の放射化学的純度(RCP)で測定される。HPLCを用いる利点は、放射線分解による分解によって生じた放射性不純物を最適なクロマトグラフィ条件下で放射性医薬から分離することができることである。本発明の放射性医薬組成物の長期にわたる安定性の改良は、代表的な時点で得たサンプル中の放射性標識化合物のRCPの変化を測定することにより証明することができる。本発明の放射性医薬組成物は、5日間の定期的に凍結、解凍、および再試験したサンプルの長期安定性を維持するのに有効である。
【0121】
該放射性医薬の最初のRCPは、pH、加熱温度、および時間といった放射性標識条件に大きく依存する。放射性医薬が高収率で製造されると、一定期間にわたる放射性医薬のRCP変化により放射性医薬組成物の安定性を測定する。
【0122】
材料 酢酸(超純粋)、水酸化アンモニウム(超純粋)、アスコルビン酸(ナトリウム塩)、およびゲンチシン酸ナトリウムは、AldrichまたはSigma Chemical Co.から購入し、入手したままで使用した。90YCl3および111InCl3(0.05N HCl中)は、NEN(登録商標)、N. Billerica、MAから購入した。高比活性の177LuCl3は、University of Missouri Research Reactor, Columbia, MOから得た。
【0123】
分析的方法 HPLC方法1は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)で出発し、90%溶媒Aおよび8%溶媒Bまでの移動相で18分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて19〜25分間定組成(isoratic)洗浄した。
【0124】
HPLC方法2は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)で出発し、80%溶媒Aおよび20%溶媒Bまでの移動相で18分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて19〜25分間定組成洗浄した。
【0125】
HPLC方法3は、UV/可視検出器(λ=220nm)、IN‐US無線検波器、およびZorbaxC18カラム(4.6mm x 250mm、ポアサイズ80Å)を用いるHP-1100 HPLC系を用いた。流速は1mL/minとし、92%溶媒A(0.025M酢酸アンモニウム緩衝液、pH6.8)および8%溶媒B(アセトニトリル)の定組成移動相で25分流し、次いで40%溶媒Aおよび60%溶媒Bを用いて26〜30分間定組成洗浄した。
【0126】
ITLC方法は、逆相C18TLCプレート、および溶離剤としてメタノール、アセトンおよび生理食塩水の混合物(2:1:1=v:v:v)を用いた。この方法により、[90Y]/177Lu]コロイドおよび[90Y]/177Lu]アセテートは起点に留まるが、放射性標識化合物は溶媒前方に移動する。
【0127】
実施例1
アスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL、pH=7.35)を、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いる90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロ酢酸塩(20mCi)の製造。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロ酢酸塩を、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH7.35)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート、100μgを含む0.1Mアスコルビン酸(ナトリウム塩)緩衝液(pH7.35) 1.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の90YCl3溶液(20.5mCi) 〜10μLを加え、反応混合物を、95℃で5分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをゲンチシン酸ナトリウム(10mg/mL)を含む生理食塩水で50倍に希釈し、次いでHPLC(方法1、注入容量=5μL)で分析した。RCPは99.3%であった。保持時間は、14.7分であった。TLC(逆相C18TLC)は[90Y]コロイドおよび[90Y]アセテートの不純物が最小限(0.38%)であることを示した。
【0128】
このことは、pH制御および[90Y]コロイドの形成を抑制する弱トランスファーリガンド用の緩衝剤としてアスコルビン酸を使い、90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高収率および放射化学的純度で製造することができることを明らかに示している。この結果に基づいて、アスコルビン酸を、pH制御のための緩衝剤、[90Y]コロイドの形成を抑制するためのトランスファーリガンド、および90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートの溶液安定性のための安定化剤として用いる際の最適放射性標識条件をみいだすために放射性標識実験を計画した。実験計画では4因子を考慮した。これには、pH値(5、6、および7)、加熱時間(5分間および35分間)、アスコルビン酸ナトリウムレベル(20mgおよび100mg)、および温度(50℃および95℃)が含まれる。各条件は2本のバイアルを含む。各バイアルの活性レベルは〜10mCiであった。各バイアルからの反応混合物は、HPLCおよび逆相C18TLCで特徴づけた。
【0129】
放射性標識の結果に基づいて、(1)加熱温度が95℃である限り、AAレベルはRCPに有意な影響を与えず、(2)pHはpH=5-7でRCPにほとんど影響を示さず、(3)より長い加熱時間は95℃で僅かに良いRCPをもたらし、(4)加熱温度は、RCPに対する最も支配的な因子であることは明らかである。
【0130】
実施例2
アスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL、pH=5.0)を、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いる-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート(100mCi)の製造および溶液安定性。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1MAA緩衝液(pH5.0)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート500μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH5.0) 5.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の90YCl3溶液(101.5mCi) 〜75μLを加え、反応混合物を、95℃で30分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをゲンチシン酸ナトリウム(10mg/mL)を含む生理食塩水で50倍に希釈し、次いでHPLC(方法1、注入容量=5μL)で分析した。次いで、得られる混合物を5日間ドライアイスボックス(-78℃)に保持した。サンプルを、t=0(RCP=98.5%)、24h(RCP=98.4%)、68h(RCP=98.0%)、および120h(RCP=98.8%)で分析した。保持時間は14.8分であった。
【0131】
この実験は、以下の条件下(100mg AA、pH=5を含むAA溶液5mL中の90Y 100mCiにつき、 (2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート 500μg、95℃で30分間加熱)で、90Y-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高PCR(>98%)で容易に製造でき、少なくとも5日間(RPC>96%)安定であることを明確に示した。アスコルビン酸は、90Y標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
【0132】
実施例3
緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤としてアスコルビン酸(AA、0.1Mまたは20mg/mL)を用いる111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート(2.8mCi)の製造および溶液安定性。
(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを、米国特許出願09/456,300に記載のごとく製造し、次いで0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0)に濃度100μg/mLとなるように溶解した。得られた溶液をさらに1-2分間、真空下で速やかに脱気した。清浄密封5mLバイアルに、(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-{2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)-プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテート150μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0) 2.0mLを加えた。該溶液を再び真空下で脱気した。0.05N HCl中の111InCl3溶液(2.8mCi) 〜7μLを加え、反応混合物を、100℃で5分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルをHPLC(方法3、注入容量=10μL)で分析した。次いで、得られる混合物を24時間温室に保持した。サンプルを、t=0(RCP=98.2%)および24h(RCP=98.6%)で分析した。保持時間は11.7分であった。
【0133】
このことは、アスコルビン酸を緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射性分解安定化剤に用いて111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートを高収率で製造することができるであろうことを明確に示した。111In-(2S)-2-[({2,6-ジメチル-4-[3-(N-2-[3-スルホ-2-(3-スルホ-2-{2-[1,4,7,10-テトラアザ-4,7,10-トリス(カルボキシメチル)シクロドデシル]アセチルアミノ}プロピル)プロピル]エチル}カルバモイル)プロポキシ]フェニル}スルホニル)アミノ]-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸 トリフルオロアセテートは、溶液中で少なくとも24時間安定である。アスコルビン酸は、111In標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
【0134】
実施例4
アスコルビン酸(AA、20mg/mL、または0.1M)を緩衝剤、トランスファーリガンド、および
放射線分解安定化剤として用いる177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲートビス(トリフルオロアセテート)の調製および溶液安定性。
清浄密封5mLバイアルに、米国特許出願09/456,300に開示のごとく製造したDOTA/(2S)-2-[[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(1S)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート) 137μgを含む0.1Mアスコルビン酸緩衝液(pH6.0) 2.0mLを加えた。該溶液を減圧下で再度脱気した。0.05N HCl中の177LuCl3溶液(〜17mCi) 〜6μLを加え、反応混合物を95℃で45分間加熱した。室温に冷却後、得られた溶液のサンプルを、HPLC(方法2、注入容量=2μL)および逆相C18TLCで分析した。放射化学的純度はOhで94.9%、標識後24hで95%であった。TLCは、起点で[177Lu]コロイドおよび[177Lu]アセテート不純物が最小限であることを示した(TLCで〜1.2%)。
【0135】
アスコルビン酸を緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤に用い、177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート)を高収率で製造できたことは明らかである。177Lu-DOTA/(2S)-2-{[(4-{3-[N-(2-{2-[(4S)-4-(N-{1-[N-(2-{4-[4({[(lS)-1-カルボキシ-2-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}-カルボニルアミノ)エチル]アミノ}スルホニル)-3,5-ジメチルフェノキシ]ブタノイルアミノ}エチル)カルバモイル]-2-スルホエチル}カルバモイル)-4-アミノブタノイルアミノ]-3-スルホプロピル}エチル)カルバモイル]プロポキシ}-2,6-ジメチルフェニル)スルホニル]アミノ}-3-({7-[(イミダゾール-2-イルアミノ)メチル]-1-メチル-4-オキソ(3-ヒドロキノリル)}カルボニルアミノ)プロパン酸コンジュゲート ビス(トリフルオロアセテート)は溶液中で少なくとも24時間安定である。アスコルビン酸は、177Lu標識生体分子の日常的製造および安定化のための、緩衝剤、トランスファーリガンド、および放射線分解安定化剤として用いることができる。
Claims (46)
- 式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、そして(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物。 - 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である請求項1の放射性医薬組成物。
- 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である請求項1の放射性医薬組成物。
- 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効な請求項1の放射性医薬組成物。
- XがOである請求項1の放射性医薬組成物。
- YがOである請求項1の放射性医薬組成物。
- Zが水酸基である請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1〜約5である請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1または2である請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1である請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1〜約5であり、XがOであり、YがOである請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1または2であり、XがOであり、YがOであり、Zが水酸基である請求項1の放射性医薬組成物。
- mが1であり、XがOであり、YがOであり、およびZが水酸基である請求項1の放射性医薬組成物。
- 式(I)の化合物の濃度が約2mg/mL〜約200mg/mLである請求項1の放射性医薬組成物。
- 金属放射性同位元素が約10mCi〜約2000mCiのレベルで存在する請求項1の放射性医薬組成物。
- 金属放射性同位元素が約5mCi/mL以上の濃度で存在する請求項1の放射性医薬組成物。
- 式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが診断用放射性医薬である請求項1の放射性医薬組成物。
- 式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートが治療用放射性医薬である請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子が抗体である請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子が抗体フラグメントである請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子がペプチドである請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子がペプチド模倣物である請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子が非ペプチドである請求項1の放射性医薬組成物。
- 生体分子が、環式IIb/IIIaレセプターアンタゴニスト、RGD含有ペプチド、フィブリノーゲンレセプターアンタゴニスト、IIb/IIIaレセプターリガンド、フィブリンの重合部位に対するリガンド、ラミニン誘導体、フィブリノーゲンに対するリガンド、トロンビンリガンド、IIIaタンパク質に対応するオリゴペプチド、ヒルジンベースのペプチド、IIb/IIIaレセプターリガンド、血栓、血小板結合もしくはアテローム斑結合ペプチド、フィブリン結合ペプチド、ヒルジンベースのペプチド、フィブリン結合タンパク質、IIb/IIIaレセプターと結合するグアニン誘導体、チロシン誘導体、白血球結合ペプチド、走化性ペプチド、白血球刺激物質、LTB4アンタゴニスト、ソマトスタチン類似体、セレクチン結合ペプチド、生物学的機能ドメイン、血小板因子4もしくは成長因子、血管形成(angiogenic)腫瘍の脈管構造に発現するか、またはそれを上方調節する(upregulate)レセプターと結合する化合物、レセプター、VEGFレセプターFlk-1/KDR、Flt-1もしくはニューロピリン-1と高親和性に結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、αvβ3、αvβ5、α5β1、α4β1、α1β1もしくはα2β2と結合するペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、レセプターチロシンキナーゼと相互作用する化合物、組織、臓器、酵素もしくは体液のレセプターもしくは結合部位と結合するタンパク質、抗体、抗体フラグメント、ペプチド、ポリペプチドもしくはペプチド模倣物、アルツハイマー病患者に蓄積することがわかっているβ‐アミロイドタンパク質、心筋もしくは腎臓のレセプターと結合する心房性ナチュレティック(naturetic)因子由来ペプチド、梗塞組織の領域と結合する抗ミオシン抗体、またはin vivo低酸素領域に局在するニトロイミダゾール誘導体である請求項1の放射性医薬組成物。
- キレーターが環式もしくは非環式ポリアミノカルボキシレート、ジアミンジチオール、トリアミドモノチオール、モノアミンモノアミドジチオール、モノアミンジアミドモノチオール、ジアミンジオキシム、またはヒドラジンである請求項1の放射性医薬組成物。
- キレーターが窒素、酸素、および硫黄から選ばれるドナー原子を有するテトラデンテートである請求項1の放射性医薬組成物。
- キレーターが、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、1,4,8,11-テトラアザズシクロテトラデカン-1,4,8,11-四酢酸(TETA)、1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(D03A)、2-ベンジル-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(2-Bz-DOTA)、α‐(2-フェネチル)-1,4,7,10-テトラアザズシクロドデカン-1-アセチック-4,7,10-トリス(メチルアセチック)酸、2-ベンジル-シクロヘキシルジエチレントリアミン五酢酸、2-ベンジル-6-メチル-ジエチレントリアミン五酢酸、または6,6"-ビス[N,N,N”,N”-テトラ(カルボキシメチル)アミノメチル)-4'-(3-アミノ-4-メトキシフェニル)-2,2':6',2"-テルピリジンである請求項1の放射性医薬組成物。
- 金属放射性同位元素が、149Pm、153Sm、166Ho、90Y、111In、67Ga、68Ga、89Zr、99mTc、117mSn、203Pb、177Lu、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、67Cu、97Ru、または212Biである請求項1の放射性医薬組成物。
- 金属放射性同位元素が99mTc、117mSn、111In、203Pb、67Ga、68Ga、89Zr、90Y、177Lu、149Pm、153Sm、166Ho、47Sc、109Pd、105Rh、186Re、188Re、60Cu、62Cu、64Cu、または67Cuである請求項1の放射性医薬組成物。
- 金属放射性同位元素が111In、90Y、または177Luである請求項1の放射性医薬組成物。
- 式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および式(I):
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C1O)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩を含む放射性医薬組成物(ただし、放射性医薬組成物はさらなる緩衝剤またはさらなるキレート試薬を含まない。)。 - 該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである請求項32の方法
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。 - 緩衝剤が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の該放射性医薬のpHを制御する請求項32の方法。
- 該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである請求項35の方法
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。 - キレート試薬が放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の放射性金属コロイドの形成を抑制する請求項35の方法。
- 放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定させ、そして(1)放射性医薬のpHを制御し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)方法であって、
放射性医薬を、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物またはその医薬的に許容される塩と接触させることを含む方法。 - 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御するのに有効である請求項38の方法。
- 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である請求項38の方法。
- 該量が、(1)放射線誘発性分解に対して放射性医薬を安定化し、(2)該放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制するのに有効である請求項38の方法。
- 該放射性医薬が式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートである請求項38の方法
[式中、Mは金属放射性同位元素であり、
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10である。]。 - 該量が、放射性医薬の製造、放出、保存、および輸送(少なくとも1つ)中の、放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、ならびに(1)放射性医薬組成物のpHを制御し、(2)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効である請求項38の方法。
- 式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
Yは、OまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む安定な放射性医薬組成物の製造方法。 - 予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲートを安定化させ、また、(2)放射性医薬組成物のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む密封バイアルを含むキット。 - (a)予め決定された量の式:M-Ch-Ln-(BM)mの放射性標識キレーター・生体分子コンジュゲート、および(1)放射線誘発性分解に対して該放射性医薬を安定化させ、また、(2)放射性医薬のpHを制御し、(3)放射性金属コロイドの形成を抑制する(少なくとも1つ)のに有効な量の式(I):
Chは金属キレーターであり、
Lnは所望の連結基であり、
BMは生体分子であり、
mは1〜約10であり、
XはO、NR1、またはCHR1であり、
YはOまたはSであり、
Zは水酸基またはハロゲンであり、
R1は、0-5R2で置換された(C1-C10)アルキル、0-5R2で置換された(C3-C10)シクロアルキル、0-5R2で置換された(C2-C10)アルケニル、および0-5R2で置換されたアリールから選ばれ、
R2は、それぞれ独立してNH2、OH、CO2H、C(=O)NH2、NHC(=NH)NH2、PO3H2、およびSO3Hから選ばれる。]
の化合物または該医薬的に許容される塩を含む第一バイアル、および
(b)医薬的に許容される担体または希釈剤を含む第二バイアルを含むキット。
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