JP2004520047A - 組換え型核酸分子を迅速に作製するための組成物と方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は一般的に、組換え型核酸分子の構築を促進する組成物および方法に関し、より詳しくは、一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを用いて、共有結合によって閉鎖した組換え型核酸分子を作製するための組成物、およびそのような組換え型核酸分子を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景となる情報
組換えDNA技術の到来によって、異なる多くの生物からの遺伝子のクローニングおよび同定、ならびにヒトを含むますます増えつつある生物の完全なゲノムの決定が可能となった。多数の新しいそして特徴がわかっていない遺伝子を解明するためには、これらの遺伝子を迅速に発現させて分析を行うことができる技術の必要性が逼迫している。組換え型核酸分子を構築できることは、新規「遺伝子産物」を生成する手段、そして遺伝子産物、特に異種遺伝子産物を、それらが通常生成されていない細胞、組織および生物において発現させる手段を提供した。このように、組換え型DNA技術によって、例えば、欠損遺伝子が正常な遺伝子のコピーに置換される遺伝子治療の分野;および例えば、動物によって通常産生される抗体のような遺伝子産物を植物に発現させ、それによって遺伝子産物の大規模産生を行うことができる「生物製薬工場」に至った。
【0003】
組換えDNA法の発見と開発から得られた大きい飛躍的進歩にもかかわらず、所望の特性を有する新規DNA構築物を調製するにはしばしば多くの工程を必要とする。組換えDNA方法における有意な障害は、構築物を調製するために用いられるそれぞれの核酸配列をベクターにクローニングしなければならず、ベクターを宿主細胞(一般的に細菌細胞)に導入して増幅しなければならず、増幅したベクターを宿主細胞から単離しなければならず、そして発現にとって適当な細胞タイプに形質転換またはトランスフェクトしなければならないという要件である。プロモーター、複製開始点、選択マーカー、エピトープタグ等のような適当な機能的要素を有するベクターを構築する必要があるかも知れない。そのような方法は、無数の精製および特徴付け段階の他に、多数の制限酵素消化およびライゲーション段階を必要とする。
【0004】
所望の核酸構築物を得るために必要な工程の数を減少させる方法および産物が開発中である。例えば、多くの販売元が、対象の一つまたはそれ以上の機能的要素を含み、所望のヌクレオチド配列がベクターにおいてその配列とフレームが一致してクローニングすることができるようなクローニング部位を有するベクターを提供している。しかし、そのようなベクターは、ベクターを市販用に生存可能とするために、ベクターに含めることができるのは、特定の有用なプロモーターまたはタグ等のような最も一般的に用いられる要素に限られるという点において限界がある。
【0005】
場合によっては、結合させた核酸配列を共有結合によってライゲーションする必要はないかも知れない。例えば、相補的なオーバーハング端部のハイブリダイゼーションによって形成された非共有結合構築物を用いて、細胞を程よく高い効率でトランスフェクトすることができる。しかし、そのような構築物は、ハイブリダイゼーション部位で実際上「複数のニック」を含み、したがって、共有結合した配列よりエンドヌクレアーゼによる分解を受けやすい。さらに、ニックを含む構築物は、ポリメラーゼ連鎖反応による増幅のような特定のさらなる操作には適していない。このように、核酸構築物の調製を促進する方法を同定する必要がある。本発明は、そのような必要性を満足して、さらなる長所を提供する。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを用いて二つまたはそれ以上の二本鎖(ds)ヌクレオチド配列を、一つまたは双方の鎖において共有結合させる方法に関する。そのため、本発明はまた主に、ヌクレオチド配列がそれに結合した少なくとも一つのトポイソメラーゼ(例えば、共有結合したトポイソメラーゼ)、少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位、またはその組み合わせを含む、そのような方法に従って共有結合することができるヌクレオチド配列、それによって生成された組換え型核酸分子、ヌクレオチド配列および/または組換え型核酸分子(例えば、反応混合物)を含む組成物も提供する。
【0007】
特定の態様において、少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位は、内部、すなわち一つもしくはそれ以上のヌクレオチド配列内となりうる、一本鎖ヌクレオチド配列の一つもしくは双方の末端または二本鎖ヌクレオチド配列の一つもしくは双方の鎖またはその近傍となりうる;または少なくとも一つの結合したトポイソメラーゼは一本鎖ヌクレオチド配列の一つもしくは双方の末端、または二本鎖ヌクレオチド配列の一つもしくは双方の鎖またはその近傍となりえて、そして5'オーバーハング、3'オーバーハング、または平滑末端に存在しうる。例えば、少なくとも一つのトポイソメラーゼまたは少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位の一つまたはそれ以上は、5'末端もしくはその近傍、3'末端もしくはその近傍、双方の5'末端もしくはその近傍、双方の3'末端もしくはその近傍、5'末端と3'末端もしくはその近傍、5'末端と双方の3'末端もしくはその近傍、または3'末端と双方の5'末端もしくはその近傍に存在しうる。本発明は、ヌクレオチド配列、およびそこから生成された共有結合した組換え型核酸分子、そのようなヌクレオチド配列または組換え型核酸分子の一つまたはそれ以上を含む組成物、およびそれに由来する核酸分子および組成物を調製および用いるための方法を提供する。特定の局面において、本発明は、1)それに対して様々なタイプのトポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ、IB型トポイソメラーゼ、II型トポイソメラーゼ等)が結合する(例えば、共有結合する)ヌクレオチド配列;および/または2)様々なタイプのトポイソメラーゼによって結合および/または切断されうる二つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ認識部位を含むヌクレオチド配列;および/または3)そのような結合した様々なトポイソメラーゼと様々なトポイソメラーゼ認識部位との組み合わせを含むヌクレオチド配列と共に、そのようなヌクレオチド配列を含む組成物を調製および用いる方法を提供する。
【0008】
本発明はさらに、少なくとも一つのヌクレオチド配列が、それに結合した少なくとも一つのトポイソメラーゼまたは一つのトポイソメラーゼ認識部位を含む、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を共有結合させる方法を提供する。さらに、本発明の方法において用いられるヌクレオチド配列が、同じまたは異なるヌクレオチド配列上で二つ以上のトポイソメラーゼを含む場合、トポイソメラーゼは、同じタイプまたは異なるタイプとなりうる。同様に、本発明の方法において用いられるヌクレオチド配列が、同じまたは異なるヌクレオチド配列上のいずれかに二つ以上のトポイソメラーゼ認識部位を含む場合、トポイソメラーゼ認識部位は、同じタイプまたは異なるタイプのトポイソメラーゼによって認識されうる。このように、本発明は、いずれか一つのトポイソメラーゼまたはトポイソメラーゼ認識部位を用いてヌクレオチド配列を共有結合させる方法を提供する。本発明はまた、トポイソメラーゼおよび/またはトポイソメラーゼ認識部位の如何なる組み合わせも用いてヌクレオチド配列を共有結合させる方法を提供する。本発明はまた、そのような方法によって生成された共有結合した組換え型核酸分子を提供し、さらにそのような組換え型核酸分子を含む組成物およびこれらの分子の用途を提供する。
【0009】
本発明は、一般的に、異なる機能的または構造的要素を含むヌクレオチド配列を含む、如何なる数のヌクレオチド配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)も共有結合させる方法を主に提供する。そのため、本発明は主に、そこから生成された共有結合した組換え型核酸分子に異なる特性を付与する如何なる数のヌクレオチド配列(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)も共有結合させる方法を提供する。多くの場合において、本発明の方法によって、組換え型核酸分子を作製するために共有結合した個々のヌクレオチド配列の特性および/または要素の機能的相互作用(例えば、発現制御要素とオープンリーディングフレームの機能的相互作用/結合)を有する組換え型核酸分が生成される。本発明の方法に従って生成された組換え型核酸分子に付与することができる1)機能的および構造的要素、ならびに2)特性、の例には、多クローニング部位(例えば、少なくとも二つの制限エンドヌクレアーゼ切断部位を含むヌクレオチド配列)、パッケージングシグナル(例えば、アデノウイルスパッケージングシグナル、αウイルスパッケージングシグナルのようなウイルスパッケージングシグナル等)、制限エンドヌクレアーゼ切断部位、オープンリーディングフレーム(例えば、インテイン(intein)コード配列、アフィニティ精製タグコード配列等)、発現制御配列(例えば、プロモーター、オペレーター等)等が含まれるが、これらに限定されない。一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列によって産物の組換え型核酸分子に与えることができるさらなる要素および特性は、本明細書に例示され、またはそうでなければ当技術分野で既知である。本発明はまた、上記の方法によって生成された共有結合した組換え型核酸分子と共に、これらの分子およびこれらの分子の用途を含む組成物を提供する。
【0010】
本発明はまた、本明細書に開示するヌクレオチド配列および/または組換え型核酸分子を含む組成物を提供する。例えば、本発明の組成物には、少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位含むヌクレオチド配列と、ヌクレオチド配列の少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位の少なくとも一つを認識する少なくとも一つのトポイソメラーゼとを含む混合物(例えば、反応混合物)が含まれるがこれらに限定されない。本発明の組成物にはさらに、1)それに対して少なくとも一つのトポイソメラーゼが結合(例えば、共有結合)する少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位または少なくとも一つのヌクレオチド配列、および2)一つまたはそれ以上のさらなる成分、を含む少なくとも一つのヌクレオチド配列が含まれる。そのようなさらなる成分の例には、トポイソメラーゼ;一つもしくはそれ以上のトポイソメラーゼもしくはトポイソメラーゼ認識部位を含みうるが、必ずしも必要ではないさらなるヌクレオチド配列;緩衝液;塩;ポリアミン(例えば、スペルミン、スペルミジン等);水;または本明細書に開示の、もしくは望ましければ他の如何なる成分も含まれるがこれらに限定されない。
【0011】
一つの態様において、本発明は、トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ)を用いて、第一のdsヌクレオチド配列を少なくとも第二のdsヌクレオチド配列に共有結合させて、それによって少なくとも一つの鎖が共有結合している組換え型ds核酸分子を作製する方法を提供する。そのような方法を用いて、例えば、ニックを有しない一つの鎖を含む組換え型ds核酸分子を作製するために、三つまたはそれ以上(例えば、3、4、5、6、7個等)のdsヌクレオチド配列を共有結合させることができる。一つのみの鎖が共有結合した組換え型二本鎖核酸分子を作製する方法の態様において、トポイソメラーゼはIB型トポイソメラーゼではない。
【0012】
もう一つの態様において、本発明は、少なくとも二つのdsヌクレオチド配列を少なくとも一つの鎖で共有結合させるために、IA型トポイソメラーゼとIB型トポイソメラーゼを用いる方法を提供する。例えば、第一のdsヌクレオチド配列は、一つの端部の5'末端でIA型トポイソメラーゼ、および同じ鎖の第二の端部の3'末端でIB型トポイソメラーゼを含むことができ、それによって、第一のdsヌクレオチド配列の鎖を一つまたはそれ以上の他のdsヌクレオチド配列に共有結合させて、一つの鎖が共有結合した組換え型ds核酸分子を作製する手段を提供する。もう一つの態様において、本発明は、例えば、それにIA型またはIB型トポイソメラーゼが結合した第一のdsヌクレオチド配列の端部を、IA型またはIB型トポイソメラーゼがそれぞれ結合した第二のdsヌクレオチド配列の端部に接触させることによって、またはIA型トポイソメラーゼとIB型トポイソメラーゼとが端部の5'末端と3'末端にそれぞれ結合した第一のdsヌクレオチド配列を第二のdsヌクレオチド配列に接触させることによって、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を双方の鎖で共有結合させる方法を提供する。本発明はまた、トポイソメラーゼが5'末端および/または3'末端に結合した核酸分子を含む組成物のみならず、5'および/または3'末端にトポイソメラーゼが結合した共有結合組換え型核酸分子を調製するために一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ認識部位を有する前駆体ヌクレオチド配列を提供する。
【0013】
本発明はまた、二つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のdsヌクレオチド配列を少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、7、9、10個等)のトポイソメラーゼに接触させることによって、一つまたは双方の鎖が共有結合した二本鎖組換え型核酸分子を作製する方法にも関する。例えば、本発明は、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法、および少なくとも一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する。
【0014】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は一般的に、部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ)と、接触させる少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のdsヌクレオチド配列とを、それぞれのdsヌクレオチド配列の端部の少なくとも一つの鎖が、いずれか一つまたは二つの他のdsヌクレオチド配列の端部の少なくとも一つの鎖に共有結合するような条件で接触させることによって行われる。そのような方法は、例えば、一つの鎖が基質のdsヌクレオチド配列がライゲーションする部位または複数の部位でニックを含むds組換え型核酸分子を作製するために用いることができる。本発明はまた、そのような方法によって調製される組換え型核酸分子も提供し、そのような方法において用いられるヌクレオチド配列をさらに提供する。
【0015】
少なくとも一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、多様な成分の組み合わせを用いて行うことができる。例えば、方法は、トポイソメラーゼが、基質dsヌクレオチド配列の一つまたは双方の鎖を切断して、切断部位の末端でヌクレオチドと安定な複合体を形成する、結合させる少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の基質dsヌクレオチド配列と、少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ、またはIB型トポイソメラーゼ)とを接触させることによって行うことができる。次に、トポイソメラーゼ負荷端部またはトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を、基質のdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の末端で一つの鎖が結合するが双方の鎖は結合しないように、トポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ、またはIB型トポイソメラーゼ)を負荷されるまたは負荷されうるdsヌクレオチド配列のもう一つの端部に接触させて、それによって一つの鎖が共有結合した一つまたはそれ以上のds組換え型核酸分子を作製する。部位特異的IA型トポイソメラーゼおよびIB型トポイソメラーゼは、存在すれば、そのそれぞれの結合部位でのホスホジエステル結合の形成によってそれぞれのdsヌクレオチド配列の一つの鎖に結合する。
【0016】
少なくとも一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法はまた、少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼを負荷したdsヌクレオチド配列)を、少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼを負荷したdsヌクレオチド配列)に接触させることによって;少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼを負荷したdsヌクレオチド配列)を、トポイソメラーゼ切断部位を含む少なくとも一つのdsヌクレオチド配列に、過剰量のトポイソメラーゼの存在下で接触させることによって;少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼを負荷したdsヌクレオチド配列)を、少なくとも一つのdsヌクレオチド配列に接触させることによって;または部位特異的トポイソメラーゼ切断部位(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼ切断部位)を含む少なくとも一つのdsヌクレオチド配列と、少なくとも一つのdsヌクレオチド配列とを、過剰量の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型もしくはIB型トポイソメラーゼ)の存在下で接触させることによって、行うことができる。本発明はまた、そのような方法によって調製した組換え型核酸分子と共に、そのような方法を行うための組成物を提供する。そのような組成物には、例えば、トポイソメラーゼが一つもしくは双方の5'末端;5'末端と一つもしくは双方の3'末端;または双方の5'末端と双方の3'末端に共有結合している、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が含まれる。
【0017】
そのような方法はまた、1)第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部または第二の端部の5'末端またはその近傍で、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼを、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。第一のdsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は3'オーバーハング配列を含む。
【0018】
方法はまた、1)第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、または双方の端部の5'末端またはその近傍で、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的IA型トポイソメラーゼを、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列を含む。そのため、本発明の方法は、端部の如何なる組み合わせも結合させることができ、産物の組換え型核酸分子の一つの鎖が共有結合して、第二の鎖が共有結合していない(すなわちニックを含む)手段を提供する。
【0019】
第一のdsヌクレオチド配列と少なくとも第二のdsヌクレオチド配列とを含む、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を増幅する段階をさらに含みうる。増幅は、プライマー対の第一のプライマーが、第一または第二のdsヌクレオチド配列の一つの端部またはその近傍で、共有結合した鎖に結合して、他の(すなわちそれぞれ第二または第一)dsヌクレオチド配列に向かう方向に増幅反応をプライミングして、ds組換え型核酸分子のニックのある鎖とヌクレオチド配列が同一である第一の伸長産物を生じる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させることによって行うことができる。プライマー対の第二のプライマーは、それが第一の伸長産物の3'末端またはその近傍で、第一の伸長産物に結合できるように、そして第一のプライマーの存在下で、共有結合した鎖と第一の伸長産物(またはそこから生成された伸長産物)を鋳型として用いて増幅産物を生成することができるように選択される。例えば、方法は、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型トポイソメラーゼ認識部位)が、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部またはその近傍であるように行うことができ、方法は、フォワードプライマーが第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部またはその近傍で結合することができ、リバースプライマーが第二のdsヌクレオチド配列の第二の端部の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列に結合することができる、生成されたds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させる段階;およびds組換え型核酸分子を増幅する段階をさらに含みうる。例として、第一のdsヌクレオチド配列は、コード領域を含みうる、そして第二のdsヌクレオチド配列は調節要素を含みうる、そして生成された組換え型核酸分子は発現可能なヌクレオチド配列を含みうる。
【0020】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、1)第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、またはその双方の5'末端またはその近傍で、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;3)それぞれの端部が5'末端と3'末端とをさらに含む、第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第三のdsヌクレオチド配列;および4)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、少なくとも一つのIA型トポイソメラーゼ)を、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによる切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列を含む。
【0021】
部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を含む第一のdsヌクレオチド配列、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも第三のdsヌクレオチド配列を含む、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法は、端部の如何なる組み合わせも結合して、結合される端部の一つの鎖が共有結合して一つの鎖がニックを有するように行うことができる。さらに、この態様において、第一のds組換え型ヌクレオチド分子が5'末端またはその近傍でIA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、結合させる端部に一つのみのトポイソメラーゼまたはトポイソメラーゼ認識部位が存在する限り、如何なる端部もIA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含みうる。例えば、第一のdsヌクレオチド配列が、上記の第一の端部および上記の第二の端部のそれぞれまたはその近傍で、IA部位特異的トポイソメラーゼ認識部位を含む場合、方法はさらに、IA型トポイソメラーゼが、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端を第二のヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端と共有結合させることができ、第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端を第三のヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端と共有結合させることができる条件で、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを、それぞれの端部がさらに5'末端と3'末端とを有する第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第三のdsヌクレオチド配列に接触させることを含みうる。端部とトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物の他の組み合わせも、本発明の方法を実践するために用いることができると認識されると思われる。
【0022】
もう一つの態様において、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作成する方法は、1)第一のdsヌクレオチド配列が、一つの端部の5'末端またはその近傍で部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を有し、他の端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;3)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的IA型トポイソメラーゼ;および4)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のIB型トポイソメラーゼを、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、第一のdsヌクレオチド配列の5'末端またはその近傍のトポイソメラーゼ認識部位は、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、IA型トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合し、IB型トポイソメラーゼは3'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列と5'オーバーハング配列とを含む。
【0023】
本発明の方法はさらに、1)双方の鎖共有結合したds組換え型核酸分子を得るために、産物のds組換え型核酸分子の一つまたは双方の鎖においてギャップ、特にニックを共有結合させるために;2)産物のds核酸分子を一つまたはそれ以上の他の分子に結合させるために;および/または3)産物のds組換え型核酸分子を環状化するために、リガーゼ活性(例えば、T4 DNAリガーゼのようなDNAリガーゼ)を有する一つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5個等)の酵素または試薬に、ds組換え型核酸分子を接触させる段階を含みうる。
【0024】
第一のdsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも第三のdsヌクレオチド配列を含む、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、例えばポリメラーゼ連鎖反応のような増幅反応を用いて、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を増幅する段階をさらに含みうる。そのような方法は、基質の第一、第二、および第三のdsヌクレオチド配列のそれぞれの全てまたは一部を含む共有結合した鎖の一部を含む、生成したds組換え型核酸分子の如何なる部分、特に共有結合した鎖の全てまたは一部を増幅するために用いることができる。例えば、ds組換え型核酸分子が、第二のdsヌクレオチドの一つの端部に結合した第一のdsヌクレオチド配列の端部と、第二のdsヌクレオチド配列のもう一方の端部に結合した第三のdsヌクレオチド配列の端部とを含む場合、増幅は、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させることによって行うことができ、この場合、プライマー対の第一のプライマーは、第一または第三のdsヌクレオチド配列の一つの末端またはその近傍で共有結合した鎖に結合して、第二のdsヌクレオチド配列の方向に増幅反応をプライミングして、共有結合した鎖と相補的な第一の伸長産物を作製することができ;そしてプライマー対の第二のプライマーは、典型的に、第二のヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的な配列が含まれうる、そして第三または第一のdsヌクレオチド配列とそれぞれ相補的な配列がさらに含まれうる、第一の伸長産物の3'末端またはその近傍で第一の伸長産物に結合することができ、そして第一のプライマーの存在下で、共有結合した鎖と伸長産物(またはそこから生成した伸長産物)とを鋳型として用いて増幅産物を生成することができる。方法は、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)が第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部またはその近傍であるように行うことができ、方法にはさらに、フォワードプライマーが第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部またはその近傍でヌクレオチド配列に結合することができ、リバースプライマーが第三のdsヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列に結合することができる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させる段階、およびds組換え型核酸分子を増幅する段階が含まれる。例として、第一のdsヌクレオチド配列には、転写プロモーターおよび/またはオペレーター(例えば、テトラサイクリンオペレーター)のような第一の調節要素が含まれうる、第二のdsヌクレオチド配列にはコード領域が含まれうる、そして第三のdsヌクレオチド配列には、転写終了配列のような第二の調節要素が含まれうる。さらに、本発明に従って結合される端部は、相補的なオーバーハング配列を含みうる。本発明はまた、そのような方法を用いて産生された組換え型核酸分子または増幅産物を提供する。
【0025】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する本発明の方法は、トポイソメラーゼが、第一のdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部の一つの鎖を、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部に共有結合させることができるが、双方の鎖を共有結合させることはできない条件で、1)第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が5'末端に共有結合したトポイソメラーゼ(すなわち、トポイソメラーゼ負荷5'末端)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および2)少なくとも第二のヌクレオチド配列を接触させることによって、さらに例示される。dsヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼによって5'末端に結合している鎖の端部で3'ヒドロキシル基を含むことができ、または3'ヒドロキシル基はホスファターゼを用いて作製することができる。本明細書に開示するように、そのような方法は、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列のみを用いて行うことができる、または望ましければ、それぞれのヌクレオチド配列が、選択的に一つまたは二つのトポイソメラーゼ負荷末端を含むものを含む、定義されたとおりである、第三、第四、第五、またはそれ以上のdsヌクレオチド配列を含みうる。第二(または他の)dsヌクレオチド配列は独立して、dsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部の5'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有しうる、そして特に明記していなければ、第一および第二の(または他の)dsヌクレオチド配列は同じまたは異なりうる。
【0026】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する本発明の方法は、トポイソメラーゼが第一のdsヌクレオチド配列の一つもしくは双方の端部の一つの鎖を、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の一つもしくは双方の端部、または少なくとも第三のdsヌクレオチド配列の一つもしくは双方の端部に共有結合させることができるが、双方の鎖を共有結合させることはできない条件で、1)第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が5'末端に共有結合したトポイソメラーゼ(すなわち、トポイソメラーゼ負荷5'末端)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)トポイソメラーゼを負荷してもしなくてもよい少なくとも第二のヌクレオチド配列;および3)トポイソメラーゼを負荷してもしなくてもよい少なくとも第三のヌクレオチド配列を接触させることによって、さらに例示される。dsヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼによって5'末端に結合される鎖の端部で3'ヒドロキシル基を含むことができ、または3'ヒドロキシル基はホスファターゼを用いて作製することができる。第二、第三、(またはその他の)dsヌクレオチド配列は独立して、dsヌクレオチド配列の一つの端部または双方の端部の5'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有することができ、特に明記していなければ、第一、第二および第三の(または他の)dsヌクレオチド配列は同じまたは異なりうる。
【0027】
もう一つの態様において、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、全ての成分が接触して少なくとも一つのトポイソメラーゼがその作用を発揮しうる条件で、1)部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端に結合している、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および2)第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列を接触させることによって、行うことができる。例えば、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼを用いることができる。dsヌクレオチド配列には、3'オーバーハング配列、5'オーバーハング配列が含まれうる、または平滑末端となりうる。
【0028】
もう一つの態様において、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作成する方法は、全ての成分が接触して少なくとも一つのトポイソメラーゼがその作用を発揮しうる条件で、1)部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端に結合している、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端に結合することができる、第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端に結合することができる、第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる少なくとも第三のdsヌクレオチド配列を接触させることによって、行うことができる。例えば、IA型トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIとなりうる。dsヌクレオチド配列には、3'オーバーハング配列、5'オーバーハング配列が含まれうる、または平滑末端となりうる、または定方向結合を促進しうるそのような端部の様々な組み合わせが含まれうる。
【0029】
本発明はまた、1)プライマー対の少なくとも一つのプライマーが部位特異的IA型トポイソメラーゼ認識部位をコードして、それによって第一の端部と第二の端部とを有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成し、第一の端部、第二の端部、または双方の端部が5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、PCRプライマー対を用いて第一のdsヌクレオチド配列の一部を増幅すること;ならびに2)少なくとも一つのトポイソメラーゼがIA型トポイソメラーゼ認識部位を有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列の第一および/または第二の端部を切断することができ、そしてそのライゲーション活性を発揮しうる条件で、a)増幅された第一のdsヌクレオチド配列;b)第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;およびc)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的IA型トポイソメラーゼを接触させることによって、一つの鎖が共有結合しているds組換え型核酸分子を作製する方法に関する。トポイソメラーゼ認識部位をコードするPCRプライマーはさらに、増幅された第一のdsヌクレオチド配列が部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために、本発明の方法に従って第一のdsヌクレオチド配列が結合する第二の(または他の)dsヌクレオチド配列の3'オーバー配列と相補的となりうる3'オーバーハング配列をdsヌクレオチド配列が含むように、その5'末端で、すなわち、トポイソメラーゼ認識部位に対して5'でヌクレオチド配列を含みうる。PCRプライマー対の第二のプライマーは、増幅産物が一つの端部の5'末端またはその近傍で IA型トポイソメラーゼ認識部位を含み、もう一つの端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含む、IB型トポイソメラーゼ認識部位の相補体を含み、それによって第一の端部と第二の端部とを有する増幅産物を作製することができる。
【0030】
本発明はさらに、ds組換え型核酸分子が、第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端またはその近傍で、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型トポイソメラーゼ認識部位)を含む、それぞれの端部が5'末端と3'末端とを含む第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができるds組換え型核酸分子に関する。ds組換え型核酸分子は、さらに、IA型トポイソメラーゼ認識部位を含まない端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含みうる。ds組換え型核酸分子はベクターとなりうる、またはベクターの成分、例えば、調節要素または複製開始点等の簡便な挿入を可能にする成分となりうる。
【0031】
本発明はまた、部位特異的IA型トポイソメラーゼが第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端に結合している、それぞれの端部が5'末端と3'末端とを有する、第一の端部と第二の端部とを有するトポイソメラーゼ負荷ds組換え型核酸分子にも関する。例えば、トポイソメラーゼ負荷核酸ds組換え型核酸分子には、第一と第二の端部のそれぞれの5'末端で結合したIA型トポイソメラーゼが含まれうる。トポイソメラーゼ負荷核酸ds組換え型核酸分子には、例えば、IA型トポイソメラーゼによって結合されない端部の3'末端に結合したIB型トポイソメラーゼが含まれうる、またはIA型トポイソメラーゼによって結合されない端部で部位特異的トポイソメラーゼ認識部位を含みうる。トポイソメラーゼ負荷核酸ds組換え型核酸分子は、ベクターもしくはその成分を含みうる、または調節要素、コード配列、もしくは対象の他の如何なる核酸分子も含みうる。
【0032】
一つの局面において、本発明の方法は、所望の方向および/または順序で二つまたはそれ以上の核酸配列を結合させ、望ましければこれを、インビトロまたはインビボで行うことができる転写およびトランスフェクション技術、翻訳反応、または他の蛋白質発現技術等を含む多様なアッセイまたは技術において操作するまたは用いることができる。もう一つの局面において、1)三つもしくはそれ以上、四つもしくはそれ以上、五つもしくはそれ以上、または2)同じもしくは異なるdsヌクレオチド配列の集団もしくはライブラリを、本発明の方法に従って結合させることができる、さらにもう一つの局面において、本発明の方法を用いて、単一の核酸分子のそれぞれの端部を結合させて、環状または高次コイル分子を形成することができる。さらに、二つまたはそれ以上の核酸配列を結合させる場合、得られたds組換え型核酸分子の端部は、本発明の方法に従って一つまたは双方の鎖を共有結合させて、分子を環状化することができる。
【0033】
結合させるヌクレオチドは、如何なる起源に由来することができ、cDNA、ゲノムDNA、プラスミド、ベクター、オリゴヌクレオチド等のような天然に存在する、および化学または組換えによって合成された核酸分子となりうる。さらに、ヌクレオチド配列は、遺伝子調節要素;複製開始点;スプライス部位;ポリアデニル化部位;パッケージングシグナル;多クローニング部位;例えば、タグ配列、検出もしくは選択マーカー、細胞局在ドメイン、または他のペプチドもしくはポリペプチドをコードしうる、またはアンチセンス核酸分子、リボザイム、tRNA、もしくは他のRNA分子をコードしうるオープンリーディングフレーム等のような一つまたはそれ以上の機能的配列となりうるが、必ずしもその必要はない。そのため、本発明の方法は、同じまたは異なりうる如何なる数のヌクレオチド配列も、望ましければ、既定の順序または方向またはその双方を含む、一つまたは双方の鎖で共有結合させることができる。
【0034】
結合させるdsヌクレオチド配列は、如何なる形ともなり得て、例えば直線状、環状、または高次コイルとなり得て、結合させるそれぞれのdsヌクレオチド配列が選択したトポイソメラーゼの基質である、または基質として改変することができるという特徴を有する。トポイソメラーゼは、好ましくはホスホジエステル結合を通してdsヌクレオチド配列の一つの鎖をもう一つのdsヌクレオチド配列の一つの鎖に共有結合させることができる如何なるトポイソメラーゼともなりうる。トポイソメラーゼは部位特異的トポイソメラーゼとなりうる、または特異性が緩いものとなりうる、そして好ましくは切断を行う部位またはその近傍でdsヌクレオチド配列の一つの鎖と安定な複合体(例えば、共有結合複合体)を形成する。
【0035】
特定の局面において、本発明は、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する。そのような方法は、トポイソメラーゼと、結合させるdsヌクレオチド配列とを、一つのdsヌクレオチド配列の端部の双方の鎖が少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の他のdsヌクレオチド配列の一つの端部の双方の鎖にライゲーションさせる条件で、接触させることによって行うことができる。そのため、本発明の方法は、双方の鎖が共有結合し、したがって基質dsヌクレオチド配列がライゲーションされる部位または複数の部位のいずれかの鎖においてニックを含まないds組換え型核酸分子を作製する。本発明はまた、そのような方法に従って調製された組換え型核酸分子を提供する。
【0036】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、成分の様々な組み合わせを用いて行うことができる。例えば、方法は、トポイソメラーゼがdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の鎖を切断して、切断部位の末端でヌクレオチドと安定な複合体を形成する、共有結合させる二つまたはそれ以上の基質dsヌクレオチド配列と少なくとも一つのトポイソメラーゼとを接触させることによって行うことができる。次に、基質dsヌクレオチド配列のそれぞれの鎖が結合して、それによって一つまたはそれ以上の共有結合したds組換え型核酸分子の一つを作製するように、トポイソメラーゼ負荷末端またはトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を互いに接触させる。好ましくは、トポイソメラーゼは、それぞれの結合部位でのホスホジエステル結合の形成を媒介する。方法はまた、二つもしくはそれ以上のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を、単独で、または過剰量のトポイソメラーゼの存在下で接触させることによって、または一つもしくはそれ以上のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を、トポイソメラーゼ切断部位およびトポイソメラーゼを含む一つもしくはそれ以上のdsヌクレオチド配列に接触させることによって、行うことができる。本発明はまた、そのような方法によって調製された組換え型核酸分子を提供する。
【0037】
様々な態様において、トポイソメラーゼは、それが多様な異なるヌクレオチド配列に結合して切断することができるように比較的緩い特異性を有しうる、またはトポイソメラーゼは、特異的ヌクレオチド配列に結合してこれを切断する部位特異的トポイソメラーゼとなりうる。トポイソメラーゼはまた、dsヌクレオチド配列の一つの鎖を切断するI型トポイソメラーゼとなりうる、またはdsヌクレオチド配列の双方の鎖を切断するII型トポイソメラーゼとなりうる。トポイソメラーゼがI型トポイソメラーゼである場合、切断は、直線状のdsヌクレオチド配列が生成されるように行われ、一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼを負荷される。好ましくは、結合したトポイソメラーゼを含む鎖と相補的なdsヌクレオチド配列の鎖は、オーバーハング配列を形成する。
【0038】
本発明の方法を実施する長所は、トポイソメラーゼによって行われたライゲーション反応が非常に速やかに多様な範囲の温度で起こることである。本発明の方法のもう一つの長所は、一つまたは双方の鎖が共有結合した生成されたds組換え型核酸分子を、その後の技術において、例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)のような増幅反応の基質として、または転写もしくは翻訳、または転写/翻訳カップリング反応の基質として直接用いることができることである。
【0039】
例として、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する本発明の方法は、全ての成分が接触して、トポイソメラーゼがその活性を発揮できる条件で、1)第一の端部、第二の端部、またはその双方で、第一のdsヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部、第二の末端またはその双方で、少なくとも第二の二本鎖ヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型および/またはIB型トポイソメラーゼ)を接触させることによって行うことができる。好ましくは、トポイソメラーゼ認識部位を含む鎖と相補的な鎖は、5'ヒドロキシル基を含み、より好ましくは、トポイソメラーゼによる切断時に、5'オーバーハング配列を含む。
【0040】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、また、全ての成分が接触して、トポイソメラーゼがその活性を発揮できる条件で、1)第一の端部および第二の端部のそれぞれが3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、第一の端部と第二の端部とを有するdsヌクレオチド配列;および2)部位特異的トポイソメラーゼを接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、ワクシニア(Vaccinia)トポイソメラーゼまたは酵母菌(S. cerevisiae)のトポイソメラーゼのようなIB型トポイソメラーゼとなりうる。そのような方法は、共有結合によって閉鎖した環状化または高次コイルds組換え型核酸分子を調製するための手段を提供する。
【0041】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法はまた、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮できる条件で、1)第一のdsヌクレオチド配列が第一の端部、第二の端部またはその双方の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)少なくとも第二の二本鎖ヌクレオチド配列が第一の端部、第二の端部、またはその双方の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼを接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは、好ましくは5'末端に安定に結合する。トポイソメラーゼ認識部位、または結合したトポイソメラーゼを含む端部の3'末端は、3'ヒドロキシル基を含みうる、または3'ヒドロキシル基を含むように改変することができる。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列を含む。
【0042】
本明細書に例示する本発明の方法は、第一、第二、または他のdsヌクレオチド配列基質が対応して、端部の3'末端または5'末端またはその近傍で、二つまたはそれ以上のトポイソメラーゼの一つのトポイソメラーゼ認識部位を有する、二つまたはそれ以上の部位特異的トポイソメラーゼを用いて行うことができる。二つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ、および対応するトポイソメラーゼ認識部位を用いることは、既定の順序、方向、またはその組み合わせでdsヌクレオチド配列の結合を促進しうる。このように、トポイソメラーゼを用いて本発明の方法を例示する場合、方法は同様に、二つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを用いて行うことができると認識されると思われる。場合によっては、少なくとも一つのトポイソメラーゼを用いるという場合、特に明記していない限り、方法は、基質のdsヌクレオチド配列が適当なトポイソメラーゼ認識部位を含む限り、一つ、二つ、もしくは三つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを用いて行うことができる。同様の検討は、トポイソメラーゼが同じまたは異なりうる場合を含む、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列基質にも当てはまる。
【0043】
本発明は、双方の鎖が共有結合しているds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する。そのような方法は、1)第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の末端、またはその双方の3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位、および5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも二つ(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼを、全ての成分が接触して、トポイソメラーゼのそれぞれがその活性を発揮できる条件で接触させることによって行うことができる。トポイソメラーゼによって基質の第一のdsヌクレオチド配列の末端が切断されると、第一もしくは第二の端部の一つもしくは双方の5'末端もしくは3'末端が、オーバーハング配列を含みうるもしくは平滑末端となりうる、または第一の端部がオーバーハングを含み、第二の端部が平滑末端となりうる。存在する場合、第一の端部のオーバーハング配列は一般的に、二つの端部を特異的にハイブリダイズさせるために第二(または他の)端部のオーバーハング配列に対して十分な相補性を有すると思われる。さらに、第一と第二の端部が異なる分子に存在する場合、本発明の方法によって二つの分子が結合され、第一と第二の端部が同じ分子上に存在する場合、本発明の方法によって分子の環状化が起こる。
【0044】
そのような態様において有用な異なるトポイソメラーゼの数は、主に、第一のdsヌクレオチド配列が第一の端部または第二の端部のみにトポイソメラーゼ認識部位を含むか否か、または双方の端部にトポイソメラーゼ認識部位を含むか否か、そしてさらに、dsヌクレオチド配列が双方の端部にトポイソメラーゼ認識部位を含む場合、3'認識部位または5'認識部位が異なるか否かに依存すると思われる。さらに、方法は、他のdsヌクレオチド配列の3'末端、5'末端またはその双方またはその付近でのトポイソメラーゼ認識部位が、第一のdsヌクレオチド配列におけるトポイソメラーゼ認識部位と同じ、または異なりうる、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の一つまたはそれ以上が、第一の端部、第二の端部、または両方の端部の3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位および/または5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含みうるように行うことができる。そのため、異なるトポイソメラーゼの数は、本発明の方法に従って結合させる異なる基質のdsヌクレオチド配列の数に依存しうる。
【0045】
部位特異的トポイソメラーゼを用いて本発明の方法を行う長所は、第一のdsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、および一つまたはそれ以上のさらなるdsヌクレオチド配列が、既定の方向で一つまたは双方の鎖において共有結合しうる点である。さらなる長所は、結合部位に及ぶヌクレオチド配列を含む産物を、結合部位の下流の配列に対して選択的にハイブリダイズする第一のプライマーおよび結合部位の上流の配列に対して相補的な第二のプライマー、例えば、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子の末端または末端付近の配列に対して特異的な増幅プライマーを用いて、増幅反応を行うことによってインビトロで選択することができる点である。本発明の方法に従って生成された一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は、例えば、細胞をトランスフェクトするため;増幅(例えば、PCR)を行うための鋳型として;インビトロ転写反応において;転写/翻訳カップリング反応において;多クローニング部位に含まれうる制限エンドヌクレアーゼ部位を用いて他のヌクレオチド配列に結合させるために;または相同的組換えによって染色体組み込みのためのようなさらなる技術において直接用いることができる。したがって、本発明の方法に従って生成されたds組換え型核酸分子は、様々な目的にとってさらなる操作を必要とせずに有用となりうる。
【0046】
本発明の一つの局面において、第一のdsヌクレオチド配列は、少なくとも第一の核酸分子集団、例えば、cDNAライブラリまたは合成オリゴヌクレオチドの組み合わせライブラリのような組み合わせライブラリに由来し、そして第二のdsヌクレオチド配列は、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列集団に由来する。本発明の方法に従って、第一のdsヌクレオチド配列を第二のdsヌクレオチド配列に結合させることは、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子の組み合わせ集団を作製する手段を提供する。そのような方法に従って、一つまたはそれ以上の標的核酸分子をまた、集団の組換え型核酸分子に結合させて、さらなる集団を作製することができる。組み合わせ分子のそのような集団は、例えば、蛋白質発現および所望の特徴を有する融合蛋白質のスクリーニングによってさらに操作または分析することができる。
【0047】
一つの態様において、本発明の方法は、第一のdsヌクレオチド配列がオープンリーディングフレーム、例えば遺伝子の単離されたcDNA、コード配列、またはエキソンを含み、第二のdsヌクレオチド配列が、コード配列をそこから転写することができるようにコード配列の5'端部に機能的に共有結合させることができるプロモーターのような調節要素を含むように行われる。第二のdsヌクレオチド配列はまた、本発明の方法に従うコード配列を含む第一のdsヌクレオチド配列の5'末端に機能的に共有結合させることができる二つまたはそれ以上の調節要素、例えば、プロモーター、内部リボソーム流入部位、およびATG開始メチオニンコドンを互いに機能的に結合して含みうる。そのような方法は、例えば、コード配列の3'端部に機能的に共有結合させることができるポリアデニル化シグナルおよび/または抑制可能な停止コドンを含む第三のdsヌクレオチド配列を接触させることをさらに含みうる。そのような方法は、機能的単位として転写、翻訳、または転写と翻訳されうる発現可能な核酸分子を作製するために有用となりうる。さらにもしくはまたは、検出マーカー、例えば、エピトープタグをコードするdsヌクレオチド配列を、本発明の方法に従って第一または第二(または他の)dsヌクレオチド配列に機能的に結合させることができる。そのような構築物においてヌクレオチド配列の所望の方向性を有するds組換え型核酸分子の作製は、トポイソメラーゼによって共に共有結合されるdsヌクレオチド配列の末端で相補的な5'または3'オーバーハング配列を含めることによって促進することができる。
【0048】
一つの態様において、本発明の方法は、少なくとも第一のdsヌクレオチド配列または少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が、複数のヌクレオチド配列、例えば、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、または多様なヌクレオチド配列集団の一つであるように行われる。もう一つの態様において、本発明の方法は、一つまたは双方の鎖が共有結合しているds組換え型核酸分子をPCRプライマー対に接触させること、および共有結合したds組換え型核酸分子の全てまたは一部を増幅することをさらに含みうる。大量の産物を作製することの他に、増幅反応は、特に共有結合すべきdsヌクレオチド配列が相補的オーバーハング配列を含む場合、所望の共有結合したds組換え型核酸分子を含む構築物に関して選択的となりうる。そのため、本発明の方法は、高処理能分析にとって適しているインビトロ選択手段を提供する。
【0049】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、1)第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が3'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有する(「トポイソメラーゼ負荷」)、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および2)トポイソメラーゼを負荷しうるが、必ずしもその必要はない少なくとも第二のdsヌクレオチド配列を接触させることによって示される。好ましくは、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列または複数の配列は、トポイソメラーゼが結合した端部で5'ヒドロキシル基を含むが、5'ヒドロキシ基は、ホスファターゼを用いて作製することも可能である。本発明の方法は、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列のみを用いて行うことができる、または望ましければ、それぞれのヌクレオチドが上記の定義の通りである第三、第四、またはそれ以上のdsヌクレオチド配列を含めることができる。第一または第二(または他の)dsヌクレオチド配列は独立して、ヌクレオチド配列の一つの端部または双方の端部の3'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有しうる、そして特に明記していなければ、第一および第二(または他の)dsヌクレオチド配列は同じまたは異なりうる。
【0050】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する本発明の方法は、1)第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が5'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有する(「トポイソメラーゼ負荷5'末端」)、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および2)トポイソメラーゼを負荷しうるが、必ずしもその必要はない少なくとも第二のヌクレオチド配列を接触させることによってさらに示される。トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列または複数の配列は、結合したトポイソメラーゼを含む端部で3'ヒドロキシル基を含みうる、または3'ヒドロキシル基はホスファターゼを用いて作製することができる。本明細書に開示するように、そのような方法は、第一のdsヌクレオチド配列および第二のdsヌクレオチド配列のみを用いて行うことができる、または少なくとも一つのトポイソメラーゼ負荷5'末端を含む配列を含む、それぞれのヌクレオチド配列が上記の定義の通りである、第三、第四、またはそれ以上のdsヌクレオチド配列を望ましければ含めることができる。第一または第二の(または他の)dsヌクレオチド配列は独立して、dsヌクレオチド配列の一つの端部または双方の端部の5'末端に共有結合したトポイソメラーゼを有しうる、そして特に明記していなければ、第一および第二の(または他の)dsヌクレオチド配列は、同じまたは異なりうる。
【0051】
本発明の方法は、1)第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が5'末端に共有結合した第一のトポイソメラーゼ、および第一の端部、第二の端部、または双方の端部の3'末端に共有結合した第二のトポイソメラーゼを有する(すなわち、一つまたは双方の末端が、トポイソメラーゼ負荷5'末端とトポイソメラーゼ負荷3'末端を有する)、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および2)好ましくは、トポイソメラーゼを含む第一のdsヌクレオチド配列の端部に共有結合させる端部の5'末端および3'末端でヒドロキシル基を有する、または有するように作製されうる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列、を接触させることによってさらに示される。また、トポイソメラーゼ負荷3'末端またはトポイソメラーゼ負荷5'末端をそれぞれ含む端部の5'末端または3'末端がトポイソメラーゼ認識部位を含む方法を行うことができ、方法はさらに、トポイソメラーゼ認識部位に関してその活性を発揮しうるトポイソメラーゼに成分を接触させることを含む。本発明のそのような方法は、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列のみを用いて行うことができる、またはdsヌクレオチド配列が第一のdsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、またはその組み合わせに関して定義したとおりである、第三、第四、またはそれ以上のdsヌクレオチド配列を望ましければ含みうる。第一または第二の(または他の)dsヌクレオチド配列は独立して、第二の端部(すなわち定義されない端部)の5'末端、3'末端、または5'末端と3'末端の双方に共有結合した一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを有しうるが、必ずしもその必要はない。特に明記していない限り、第一および第二の(または他の)dsヌクレオチド配列は同じまたは異なりうる。
【0052】
本発明はさらに、1)プライマー対の少なくとも一つのプライマーがトポイソメラーゼ認識部位の相補体をコードして、それによって第一の端部と第二の端部とを有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成し、第一の端部、第二の端部、または双方が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、PCRプライマー対を用いて第一のdsヌクレオチド配列の一部を増幅すること、および2)トポイソメラーゼが、トポイソメラーゼ認識部位を有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列の端部およびトポイソメラーゼ認識部位を有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の端部(または複数の端部)を切断することができ、そのライゲーション活性を発揮できる条件で、a)増幅された第一のdsヌクレオチド配列;b)第一の端部、第二の端部、または双方が、3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有し、同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を有しうる、または有するように作製することができる、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;およびc)部位特異的トポイソメラーゼを接触させることによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法に関する。トポイソメラーゼ認識部位の相補体をコードするPCRプライマーは、その5'末端でヒドロキシル基を有しうる、またはプライマーを用いて生成された増幅した第一のdsヌクレオチド配列をホスファターゼに接触させて、その5'末端にヒドロキシル基を作製することができる。トポイソメラーゼ認識部位の相補体をコードするPCRプライマーはまた、プライマーを用いて増幅された第一のdsヌクレオチド配列が部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、dsヌクレオチド配列が、それに対して第一のdsヌクレオチド配列が本発明の方法に従って共有結合する第二の(または他の)dsヌクレオチド配列の5'オーバーハングに対して相補的な5'オーバーハング配列を含むように、その5'末端でヌクレオチド配列を含みうる。
【0053】
本発明はまた、1)プライマー対の少なくとも一つのプライマーがトポイソメラーゼ認識部位をコードして、それによって第一の端部と第二の端部とを有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成し、第一の端部、第二の端部、または双方の端部が、5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、PCRプライマー対を用いて第一のdsヌクレオチド配列の一部を増幅すること;および2)少なくとも一つのトポイソメラーゼがトポイソメラーゼ認識部位を有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列の第一および/または第二の端部、およびトポイソメラーゼ認識部位を有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の端部(または複数の端部)を切断することができ、そのライゲーション活性を発揮できる条件で、a)増幅された第一のdsヌクレオチド配列;b)第一の端部、第二の端部、または双方の端部が、5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、または同じ端部の3'末端でヒドロキシル基を有しうる、または有するように作製することができる、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;およびc)少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼを接触させることによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法にも関する。増幅された第一のdsヌクレオチド配列は、一般的にトポイソメラーゼ認識部位を含む端部の3'末端でヒドロキシル基を有する、またはそのような3'ヒドロキシル基を含むように改変することができる。トポイソメラーゼ認識部位をコードするPCRプライマーはさらに、増幅された第一のdsヌクレオチド配列が部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、dsヌクレオチド配列が、それに対して第一のdsヌクレオチド配列が本発明の方法に従って共有結合する第二(または他の)dsヌクレオチド配列の3'オーバーハング配列に対して相補的な3'オーバーハング配列を含むように、その5'末端、すなわちトポイソメラーゼ認識部位に対して5'でヌクレオチド配列を含みうる。
【0054】
本発明はさらに、1)プライマー対の少なくとも一つのプライマーがトポイソメラーゼ認識部位とトポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列とを含み、それによって第一の端部と第二の端部とを有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成し、増幅された第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、または双方の端部の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位、または3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有する、PCRプライマー対を用いて第一のdsヌクレオチド配列の一部を増幅すること;および2)i)少なくとも一つのトポイソメラーゼが、増幅された第一のdsヌクレオチド配列の第一および/または第二の端部の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を切断することができ、そのライゲーション活性を発揮しうる、およびii)少なくとも一つのトポイソメラーゼが、増幅された第一のdsヌクレオチド配列の端部の3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を切断することができ、そのライゲーション活性を発揮しうる条件で、a)増幅された第一のdsヌクレオチド配列;b)第二のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、5'ヒドロキシル基または3'ヒドロキシル基を有する、または有するように作製することができる、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;およびc)少なくとも二つの部位特異的トポイソメラーゼ、を接触させることによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作成する方法にも関する。したがって、本発明は、一つまたは双方の端部で5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位、および3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含むdsヌクレオチド配列を提供する。さらに、本発明は、5'末端、3'末端、または双方の末端でトポイソメラーゼを負荷されたそのようなdsヌクレオチド配列を提供する。
【0055】
本発明はさらに、IA型特異的トポイソメラーゼの認識部位および/またはIB型部位特異的トポイソメラーゼの認識部位と相補的なヌクレオチド配列を含む単離されたオリゴヌクレオチドにも関し、そのようなオリゴヌクレオチドは、例えば、プライマー伸長反応のプライマーとして、またはPCRのような増幅反応を行うためのプライマー対の一つと共に、トポイソメラーゼと共にインキュベートすることによって生成された産物として有用である。オリゴヌクレオチドプライマーと呼ばれるそのようなオリゴヌクレオチドは、5'末端またはその近傍の一つの端部でトポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を含み、同じ端部で、3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(例えば、IB型トポイソメラーゼ認識部位)を含むds核酸増幅産物を作製するために有用となりうるプライマー対の一つとなりうる。一般的に、オリゴヌクレオチドプライマーは、長さが約12〜100ヌクレオチドであり、通常、長さが約15〜50ヌクレオチド、特に長さが約18〜30ヌクレオチドであり、存在する場合、IA型トポイソメラーゼ認識部位のヌクレオチド配列およびIBトポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列は、少なくとも一つまたは少数(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8個等)のヌクレオチド離れうるが、必ずしもその必要はない。
【0056】
本発明のオリゴヌクレオチドプライマーはさらに、他の如何なるヌクレオチド配列、または対象のペプチド、例えば、一つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8個等)の制限エンドヌクレアーゼ認識部位、ペプチドタグ、および望ましければ、一つまたはそれ以上のさらなるIA型、II型、またはIB型トポイソメラーゼ認識部位をコードする(または相補的な)ヌクレオチド配列を含み、それによって本発明の方法を実践するための一つまたはそれ以上の簡便または容易に利用可能なトポイソメラーゼを選択することができる。オリゴヌクレオチドプライマーはさらに、増幅された第一のdsヌクレオチド配列が部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、dsヌクレオチド配列が、それに対して第一のdsヌクレオチド配列が本発明の方法に従って共有結合する第二の(もしくは他の)dsヌクレオチド配列の3'または5'オーバーハング配列と相補的な3'もしくは5'オーバーハング配列をそれぞれ含むように、その5'末端、すなわちトポイソメラーゼ認識部位(IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)に対して、もしくはIB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列に対して5'で、ヌクレオチド配列を含みうる、またはオリゴヌクレオチドプライマーは、そこから生成された増幅されたdsヌクレオチド配列が切断されると、平滑末端トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が生成されるようにデザインすることができる。
【0057】
本発明はまた、プライマーの一つが増幅反応においてフォワードプライマーとして有用であり、プライマーがリバースプライマーとして有用である、上記のような少なくとも一つのオリゴヌクレオチドプライマーを含むプライマー対を提供する。そのようなプライマー対における第一および/または第二のプライマーは、IA型トポイソメラーゼ認識部位、IB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列、またはその双方が含まれうるが必ずしもその必要はなく、対象の如何なる他のヌクレオチド配列も含みうる。一つの態様において、プライマー対には、一つのオリゴヌクレオチドプライマーがフォワードプライマーとして有用であり、第二のオリゴヌクレオチドプライマーはリバースプライマーとして有用である、本発明の少なくとも二つのオリゴヌクレオチドプライマーが含まれ、そのようなプライマー対は、例えば、末端でのIA型またはIB型または双方のトポイソメラーゼ認識部位が同じまたは異なりうる、双方の端部の双方の末端でトポイソメラーゼ認識部位を有するdsヌクレオチド配列増幅産物を作製するために有用である。したがって、本発明のプライマー対には、例えば、IA型トポイソメラーゼ認識部位をコードする第一のプライマーと、IB型トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー;IA型トポイソメラーゼ認識部位をコードする第一のプライマーと、第一のプライマーによってコードされる部位と同じまたは異なりうるIA型トポイソメラーゼ認識部位をコードする第二のプライマー;IB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第一のプライマーと、第一のプライマーによってコードされる部位と同じまたは異なりうるIB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー;IA型トポイソメラーゼ認識部位をコードする第一のプライマーと、II型認識部位またはそれに対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー;IB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第一のプライマーと、II型トポイソメラーゼ認識部位またはそれに対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー;II型トポイソメラーゼ認識部位またはそれに対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第一のプライマーと、第一のプライマーのII型トポイソメラーゼ認識部位と同じまたは異なるII型トポイソメラーゼ認識部位またはそれに対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー、が含まれる。本発明はまた、本発明の一つまたはそれ以上のプライマー対、例えば、先に例示した一つもしくはそれ以上のプライマー対、または三つのプライマー、例えば、IA型トポイソメラーゼ認識部位をコードする第一のプライマー、IB型トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第二のプライマー、およびII型トポイソメラーゼ認識部位またはそれに対して相補的なヌクレオチド配列をコードする第三のプライマーを含みうるキットを提供し、そのようなキットは、本発明の方法に従って共有結合することができるプライマー伸長または増幅産物を生成するための簡便な手段となる。
【0058】
したがって、本発明はさらに、第一の端部と第二の端部とを有し、第一の端部、第二の端部、または双方の端部の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)、および3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含む、dsヌクレオチド配列に関する。さらに、本発明は、dsヌクレオチド配列が望ましければ一つまたは双方の端部で安定に結合したIA型トポイソメラーゼ、IB型トポイソメラーゼ、または双方を含む、トポイソメラーゼ負荷分子であることを除き、先に定義したdsヌクレオチド配列を提供する。
【0059】
一つの態様において、第一のdsヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列、アンチセンスヌクレオチド配列、リボザイム、tRNA(例えば、抑制性tRNA)、三重鎖ヌクレオチド配列等のような発現可能なヌクレオチド配列を含むまたはコードし、第二の(もしくは他の)dsヌクレオチド配列は、プロモーター(例えば、GAL4プロモーター)、エンハンサー、サイレンサー、翻訳開始部位、もしくはポリアデニル化シグナルのような転写調節要素を含み、または開始メチオニン、停止コドン、細胞分画ドメイン、相同性ドメイン等のような翻訳調節要素、もしくは機能的に結合したその組み合わせをコードする。増幅した第一のdsヌクレオチド配列に関して調製した増幅した第二の(または他の)dsヌクレオチド配列となりうる第二の(または他の)dsヌクレオチド配列も同様に、検出可能な標識、例えば、酵素、酵素の基質、蛍光化合物、発光化合物、化学発光化合物、放射性核種、常磁性化合物、およびビオチンを含みうる;またはオリゴヌクレオチドタグとなりうるタグが含まれうる、またはペプチドタグ、例えば、ポリヒスチジンタグ、V5エピトープ、もしくはmycエピトープとなりうる。
【0060】
もう一つの態様において、本発明の方法は、ポリペプチドをコードする第一のdsヌクレオチド配列またはそのドメイン、および転写活性化ドメインまたはDNA結合ドメインをコードする第二の(または他の)dsヌクレオチド配列を用いて行われる。そのような方法は、2ハイブリッドアッセイ系、特に高処理能2ハイブリッドアッセイを行うために有用なキメラポリペプチドをコードする、一つまたは双方の鎖が共有結合した共有結合ds組換え型核酸分子を作製するために用いることができる。さらにもう一つの態様において、第一のdsヌクレオチド配列は、複数のヌクレオチド配列を含み、これはcDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、多様なヌクレオチド配列集団等となりうる。
【0061】
本発明の方法は、標的ゲノムDNA配列への部位特異的挿入にとって有用な、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する手段を提供する。標的ゲノムDNA配列は、如何なるゲノム配列、特に遺伝子、好ましくは、ヌクレオチド配列のいくつかまたは全てが既知である遺伝子となりうる。方法は、PCRプライマー対のような増幅プライマー対の二組とdsヌクレオチド配列とを利用して行うことができる。dsヌクレオチド配列は、第一および第二の端部を有し、一般的に、ポリペプチド、例えば選択マーカーをコードし、dsヌクレオチド配列はそれぞれの端部の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、選択的にそれぞれの端部の5'末端でヒドロキシル基を含み、好ましくは5'末端は、互いに異なるオーバーハング配列を含む。同様に、dsヌクレオチド配列は、一つまたは双方の端部の5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(またはその切断産物)、および選択的に一つまたは双方の端部の3'末端でヒドロキシル基を含み、および3'末端の一つまたは双方は、互いに同じまたは異なりうるオーバーハング配列を含みうる;またはdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部の5'末端および3'末端はそれぞれ、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含みうる(図4および5を参照のこと)。
【0062】
二組のPCRプライマー対は一般的に、Taqポリメラーゼのような適当なDNAポリメラーゼと増幅される配列を含む鋳型との存在下で、プライマーがポリペプチド(例えば、選択マーカー)を挿入するための標的部位の上流(そして隣接して)および下流(そして隣接して)に存在するゲノムDNA配列の一部を増幅するように選択される。PCRプライマー対の組も同様に、本発明の特定の方法を実践するために適当であるように、増幅産物が、5'末端もしくはその近傍、3'末端もしくはその近傍、または双方の末端を含む、一つまたは双方の鎖において選択マーカーに共有結合される少なくとも端部でトポイソメラーゼ認識部位を含むようにデザインされる。そのため、第一のPCRプライマー対には、例えば、1)それに対して増幅産物が共有結合される選択マーカーの端部の5'オーバーハング配列と相補的なヌクレオチド配列、トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列、および標的ゲノムDNA断片配列の3'配列に対して相補的なヌクレオチド配列を5'から3'の方向に含む第一のプライマー;ならびに2)それに対して第一のプライマーが相補的である3'配列の上流の標的ゲノムDNAのヌクレオチド配列を含む第二のプライマーが含まれうる。第二のPCRプライマー対には、1)それに対して共有結合される選択マーカーの端部の5'オーバーハング配列と相補的なヌクレオチド配列、トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列、および標的ゲノムDNAの5'配列が、それに対して第一のPCRプライマー対の第一のプライマーが相補的である標的ゲノムDNAの3'配列の下流である、標的ゲノムDNA断片配列の5'配列に対して相補的なヌクレオチド配列を、5'から3'の方向に含む第一のプライマー;ならびに2)第一のプライマーに含まれる標的ゲノムDNAの5'配列の下流である標的ゲノムDNAの3'配列に対して相補的であるヌクレオチド配列を含む第二のプライマーが含まれる。
【0063】
選択マーカー、PCR増幅産物、および少なくとも一つのトポイソメラーゼを含むdsヌクレオチド配列を接触させると、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が本発明の方法に従って作製される。作製されたds組換え型核酸分子は、例えば、細胞における遺伝子の機能をノックアウトするために、または生成したds組換え型核酸分子を含む細胞に新規表現型を付与するために、ゲノムにおいて相同的組換えを行うために有用である。方法はさらに、そのゲノムにおいて安定に維持される生成された組換え型核酸分子を有するヒト以外のトランスジェニック生物を作製するために用いることができる。
【0064】
本発明はまた、本発明の方法に従って調製される組成物、および方法を実践するために有用な組成物にも関する。そのような組成物には、本発明の方法において用いられる一つまたはそれ以上の反応物質および/または本発明に従って産生された一つまたはそれ以上のds組換え型核酸分子が含まれうる。そのような組成物には、例えば、一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列;これらのプライマーを用いて調製した増幅産物の一つまたは双方の端部の一つまたは双方の末端でのトポイソメラーゼ認識部位を含むdsヌクレオチド配列を調製するために有用な一つまたはそれ以上のプライマー;一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ;例えば、タグ、マーカー、調節要素等をコードするヌクレオチド配列を含む、一つまたはそれ以上の基質dsヌクレオチド配列;本発明の方法によって生成された、一つまたはそれ以上の鎖が共有結合した一つまたはそれ以上のds組換え型核酸分子;本明細書に開示のdsヌクレオチド配列、プライマー、または組換え型核酸分子を含む、または含むために有用な一つまたはそれ以上の細胞;プライマー伸長または増幅反応を行うための一つまたはそれ以上のポリメラーゼ;一つまたはそれ以上の緩衝液等が含まれうる。一つの態様において、本発明の組成物は、二つまたはそれ以上の異なるトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含む。組成物はさらに、少なくとも一つのトポイソメラーゼを含む。本発明の組成物はまた、組換え型核酸分子がそれぞれの鎖において部位特異的トポイソメラーゼの少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位を含む、部位特異的トポイソメラーゼと、一つまたはそれ以上の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子とを含みうる。一つの鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位は、例えば、一つの鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位が、相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位の約100ヌクレオチド以内である、または認識部位が互いに約50ヌクレオチド以内、または互いに約20ヌクレオチドまたはそれ以内等である、相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位とは如何なる距離も離れうる。
【0065】
本発明の方法はまた、二本鎖核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の少なくとも一つの端部を一本鎖核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の少なくとも一つの端部に結合させるために用いることができる。さらに、本発明の方法は、一本鎖核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の少なくとも一つの端部を第二の(または他の)一本鎖核酸分子(例えば、DNAまたはRNA)の少なくとも一つの端部に結合させるために用いることができる。適当な状況において、本発明の方法は、核酸分子をコンカテマーにして環状化することを含む、核酸分子を環状化するために用いることができる。このように、本発明の局面または態様において有用であるとして本明細書に開示された一つまたはそれ以上のdsヌクレオチド配列は、一つまたはそれ以上の一本鎖ヌクレオチド配列に置換することができる。本発明にはさらに、そのような方法およびそのような方法によって産生された核酸分子において用いられる組成物が含まれる。このように、例えば、本発明には、部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ、IB型トポイソメラーゼ、II型トポイソメラーゼ等)が5'または3'末端に結合する一本鎖核酸分子が含まれる。一本鎖核酸分子を他の一本鎖核酸分子に結合させる方法は、例えば、参照として本明細書に組み入れられる、国際公開公報第00/56878号に記載される。
【0066】
本発明は、DNA分子をRNA分子に結合させる方法と共に、そのような方法において用いられる組成物およびそのような方法によって産生された核酸分子を提供する。このように、本発明のヌクレオチド配列は、例えば、DNA(例えば、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA等)、またはRNA(例えば、mRNA、rRNA、tRNA、合成RNA、リボザイム等)を含みうる。そのような方法の例は、例えば、図8および参照として本明細書に組み入れられる、国際公開公報第98/56943号に示される。
【0067】
本発明は、本発明の方法を実践するために有用となりうる成分を含むキットにも関する。本発明のキットは、例えば、キットの成分の精度または適合性を調べるために有用となりうる一つまたはそれ以上の制御ヌクレオチド配列を含みうる一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列基質;一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ:トポイソメラーゼ認識部位、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド、またはその双方を含みうる一つまたはそれ以上のプライマー;キットのヌクレオチド配列またはキットを用いて生成された核酸分子を含むまたは含むために有用となりうる一つまたはそれ以上の細胞;キットを用いて方法を行うための一つまたはそれ以上の試薬、ポリマー、緩衝液等;キットを用いて方法を行うための説明書、例えばそのいずれかまたは双方が一本鎖または二本鎖ヌクレオチド配列となりうる、第一のヌクレオチド配列の一つの鎖を少なくとも第二のヌクレオチド配列の一つの鎖に共有結合させるための説明書、または第一のdsヌクレオチド配列の双方の鎖を少なくとも第二のdsヌクレオチドの双方の鎖に共有結合させるための説明書を含みうる。
【0068】
一つの局面において、本発明のキットは、dsヌクレオチド配列が一つもしくはそれ以上の端部の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む、第一の端部と第二の端部とを有し、発現されうるポリペプチド、例えば選択マーカーをコードするdsヌクレオチド配列を含む。選択的に、dsヌクレオチド配列は、もう一つの端部の一つまたは双方の5'末端で、好ましくはトポイソメラーゼ認識部位を含む、またはトポイソメラーゼを負荷された末端でヒドロキシル基を含む。特定の態様において、一つまたは双方の5'末端は、互いに同じまたは異なりうるオーバーハング配列を含む。
【0069】
本発明のキットはまた、dsヌクレオチド配列が一つもしくはそれ以上の端部の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む、第一の端部と第二の端部とを有し、発現されうるポリペプチド、例えば選択マーカーをコードするdsヌクレオチド配列を含みうる。選択的に、dsヌクレオチド配列は、一つまたは双方の端部の3'末端でヒドロキシル基を含み、好ましくは一つまたはそれ以上の3'末端は互いに同じまたは異なりうるオーバーハング配列を含む。さらに、本発明のキットは、dsヌクレオチド配列が一つもしくはそれ以上の端部の5'末端および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む、第一の端部と第二の端部とを有し、発現されうるポリペプチド、例えば選択マーカーをコードするdsヌクレオチド配列を含みうる。そのため、本発明のキットには、一つまたは双方の端部の一つの末端または双方の末端でトポイソメラーゼ認識部位を有し、一つまたはそれ以上の末端でトポイソメラーゼ負荷されているdsヌクレオチド配列を含む、一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ認識部位を含むそのようなdsヌクレオチド配列、またはトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列の如何なる様々な組み合わせも含まれうると認識すべきである。
【0070】
本発明のキットはまた、調節要素または他のヌクレオチド配列、例えばコード配列、ならびに少なくとも第一の端部の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物、および選択的に認識部位を含む端部の5'末端でヒドロキシル基を含み;または少なくとも第一の端部の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、選択的に認識部位を含む端部の3'末端でヒドロキシル基を含み;または少なくとも第一の端部の5'末端および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位を含む、dsヌクレオチド配列を含みうる。好ましくは、キットは、多様な上流の調節要素、多様な下流の調節要素、要素を含む分子を検出または同定するために有用な多様な要素、およびその組み合わせを含む。例えば、キットは、一つまたは少数の、または多くの異なるタイプの細胞において構成的に活性である、または誘導的である多様な遺伝子プロモーター要素、内部リボソーム流入部位のようなリボソームを結合させるまたは結合を促進する要素、コザック配列または開始メチオニンをコードする要素を含みうる。さらにもしくはまたは、キットは、ポリアデニル化シグナル配列、転写または翻訳を終了させる配列等のような多様な下流の調節要素を含みうる;そして同様に、エンハンサー、サイレンサー等を含みうる。同様に、キットは、エピトープタグ等のような検出マーカーをコードする要素を含みうる。好ましくは、キットは、そのそれぞれが少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位を含むそのような多様な要素を含む。より好ましくは、要素はさらに、互いに、またはそれらが本発明の方法に従う選択マーカーのようなポリペプチドをコードするdsヌクレオチド配列に、機能的に共有結合させることができるようにオーバーハング配列を含む。
【0071】
選択的に、本発明のキットは、キットに含まれる多様な要素の一つを含む構築物を増幅するために用いることができる要素特異的プライマーを含みうる。キットがそのようなプライマーを含む場合、調節要素または他の要素を含むdsヌクレオチド配列は、調節要素の中およびそれを含むプライマーの伸長を行うことができるように、プライマーによって特異的に結合されうるヌクレオチド配列を有する。特に、キットは、例えばキットの特定の5'調節要素および特定の3'調節要素を含む組換え型核酸分子を増幅するために有用なプライマー対を産生するために組み合わせることができる要素特異的なフォワードおよびリバースプライマーを含みうる。そのようなプライマー対は、本発明の方法に従って生成された双方の鎖が共有結合した所望の機能的ds組換え型核酸分子を選択的に増幅することができるが部分反応産物は増幅しない。
【0072】
もう一つの態様において、本発明のキットは、第一の端部と第二の端部とを有し、一つまたは双方の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、そして転写活性化ドメインをコードする第一のdsヌクレオチド配列;および第一の端部と第二の端部とを有し、一つまたは双方の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、そしてDNA結合ドメインをコードする第二のdsヌクレオチド配列を含み;または第一の端部と第二の端部とを有し、一つまたは双方の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、そして転写活性化ドメインをコードする第一のdsヌクレオチド配列;および第一の端部と第二の端部とを有し、一つまたは双方の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含み、そしてDNA結合ドメインをコードする第二のdsヌクレオチド配列を含む。本発明のキットはまた、少なくとも第一のdsヌクレオチド配列または第二のdsヌクレオチド配列がトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を、少なくとも一つの端部の5'末端および3'末端に含み、そして他のdsヌクレオチドが、認識部位を含むdsヌクレオチド配列の端部に共有結合される端部で3'ヒドロキシル基および5'ヒドロキシル基を含む、第一の端部と第二の端部とを有し、転写活性化ドメインをコードする第一のdsヌクレオチド配列と、第一の端部と第二の端部とを有し、DNA結合ドメインをコードする第二のdsヌクレオチド配列を含みうる。
【0073】
そのようなキットは、例えば、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子、または2ハイブリッドアッセイを行うためのキメラポリペプチドをコードする一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために有用である。キットはさらに、プライマー対の少なくとも一つのプライマーがトポイソメラーゼ認識部位、トポイソメラーゼ認識部位の相補体、またはその双方を含む、第一または第二のdsヌクレオチド配列に機能的に結合したヌクレオチド配列を増幅することができるプライマー対を含みうる。好ましくは、そのようなプライマー対を用いて生成された増幅産物は、部位特異的トポイソメラーゼによる切断後、それに対して共有結合させる第一または第二のdsヌクレオチド配列と相補的な3'または5'オーバーハング配列を含む。そのようなキットによって、キットの第一または第二のヌクレオチド配列を含み、2ハイブリッドアッセイを行うために有用なキメラポリペプチドをコードする組換え型ポリヌクレオチドの作製が容易となる。
【0074】
もう一つの態様において、本発明のキットは、それぞれの端部が5'末端および3'末端を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および第一の端部と第二の端部の少なくとも一つの5'末端および3'末端を第二のdsヌクレオチド配列の5'末端および3'末端に共有結合させるためにトポイソメラーゼを用いるための説明書を含む。そのようなキットはまた、説明書に従って第一のdsヌクレオチド配列の双方の鎖を共有結合させることができる第二の(またはそれ以上の)dsヌクレオチド配列を含みうる。さらに、キットは、トポイソメラーゼ、例えば、ワクシニアのIB型トポイソメラーゼのようなIB型トポイソメラーゼを含みうる。第一のdsヌクレオチド配列は、第一の端部、第二の端部、もしくは双方の端部の5'末端もしくは3'末端もしくはその近傍で少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位、例えば一つもしくは双方の端部の3'末端もしくはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含みうる;または第一の端部、第二の端部、もしくは双方の端部の少なくとも一つの末端に結合したトポイソメラーゼ、例えば、第一の端部、第二の端部、もしくはその双方の3'末端に結合したIB型トポイソメラーゼを有しうるそのようなキットである。
【0075】
発明の詳細な説明
本発明は、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列から組換え型核酸分子を作製するために一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼを利用する方法に関する。第一の局面において、本発明は、一つの鎖が共有結合しているds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する。そのような方法は、一つの鎖が共有結合するが双方の鎖は結合しないように(例えば、図4を参照のこと)、第一および少なくとも第二のヌクレオチド配列を、少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のトポイソメラーゼ(例えば、IA型、IB型、および/またはII型トポイソメラーゼ)に結合させることに向けられる。第二の局面において、本発明は、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する。そのような方法は、ライゲーションした端部の双方の鎖が共有結合するように(すなわち、ds組換え型核酸分子は、端部がライゲーションされた位置でニックを含まず;例えば、図5を参照のこと)、第一および少なくとも第二のヌクレオチド配列を少なくとも一つのトポイソメラーゼに結合させることに向けられる。第三の局面において、本発明は、本発明に従って結合させた基質ヌクレオチド配列が、第二の(またはそれ以上の)一本鎖ヌクレオチド配列またはdsヌクレオチド配列に共有結合させることができる、少なくとも一つの一本鎖ヌクレオチド配列を含む、一つの鎖が共有結合した組換え型核酸分子を作製する方法を提供する(例えば、図8を参照のこと)。
【0076】
本発明の方法を用いて構築した共有結合した組換え型核酸分子は、直接用いることができる、または最初に増幅してから、本明細書に例示される、またはそうでなければ当技術分野で既知の如何なる数の技術にも用いることができる。本明細書に開示するように、共有結合した組換え型核酸分子は、多様な如何なる方法でヌクレオチド配列から作製することができる(例えば、図9を参照のこと)。方法を実践するために有用なヌクレオチド配列は、例えば、化学合成によって、ゲノムDNAの制限断片もしくは他の切断産物の単離によって、または直接用いることができる、もしくは逆転写法を用いてcDNAに変換させることができるRNAの単離によることを含む様々な周知の如何なる方法も用いて得ることができる。本発明の方法に従って用いられるヌクレオチド配列が、組換え型核酸分子を作製するために適した一つまたはそれ以上の末端または領域を欠損する場合、末端および/または領域は、例えば、一つもしくは双方のプライマーが所望の配列もしくはその相補体(例えば、トポイソメラーゼ認識部位、オーバーハング配列等)をコードするPCRのような増幅反応によって、または例えば、一つもしくはそれ以上のトポイソメラーゼ認識部位を含みうる一つもしくはそれ以上(例えば、1、2、3、4個等)のアダプターリンカーをライゲーションすることによって、ヌクレオチド配列に付加することができ、またはヌクレオチド配列は、例えば、トポイソメラーゼ部位に類似の配列を実際のトポイソメラーゼ認識部位に変換するために部位特異的変位誘発のような方法を用いて改変することができる。次に、適した末端および/または領域を有するヌクレオチド配列を、本明細書に開示するように本発明の方法を用いて構築することができる。次に、そこから生成された共有結合した組換え型核酸分子をインビボまたはインビトロで増幅させることができ、その後、本明細書に例示する、またはそうでなければ当技術分野で既知の方法を含む如何なる数の方法またはプロセスにおいて用いることができる。共有結合した組換え型核酸分子はまた、インビトロ転写/翻訳、組換えクローニングのような応用に、または細胞を形質転換もしくはトランスフェクトするために直接用いることができる。したがって、本発明は、ヌクレオチド配列を操作するため、および所望の特徴を有する共有結合した組換え型核酸分子を作製するための可変の方法を提供し、さらに、そのようなヌクレオチド配列および/または組換え型核酸分子を含む組成物を提供すると共に、共有結合した組換え型核酸分子を用いる方法をさらに提供する。
【0077】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、第二のヌクレオチド配列が第一のヌクレオチド配列に共有結合することができるように、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を5'または3'末端で有する第一のdsヌクレオチド配列を、第二の(または他の)dsヌクレオチド配列、および選択的にトポイソメラーゼ(例えば、IA型、IB型、および/またはII型トポイソメラーゼ)に接触させることによって行うことができる。本明細書において開示するように、本発明の方法は、如何なる数のヌクレオチド配列も用いて、典型的に少なくとも一つのヌクレオチド配列が部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を一つまたは双方の5'末端に有するdsヌクレオチド配列を用いて行うことができる(例えば、図4A〜4Fを参照のこと)。
【0078】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、例えば、第一の端部、第二の端部または双方において、第一のdsヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(またはその切断産物)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;第一の端部、第二の端部、または双方で、少なくとも第二の二本鎖ヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(またはその切断産物)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および少なくとも一つの部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型および/またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)を、全ての成分が接触してトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で、接触させることによって行うことができる。本発明のこの局面の方法に従って共有結合したds組換え型核酸分子は、主に、それがdsヌクレオチド配列が結合する位置でいずれの鎖にもニックを含まないという点において特徴を有する。一つの態様において、方法は、そのそれぞれが、共有結合させる2つの端部の3'末端または5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有する、第一のdsヌクレオチド配列と第二の(または他の)dsヌクレオチド配列とを接触させることによって行われる。もう一つの態様において、方法は、少なくとも一つの端部の5'末端および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有する第一のdsヌクレオチド配列、および認識部位を含む第一のdsヌクレオチド配列の末端に、結合させるべき末端で3'ヒドロキシル基および5'ヒドロキシル基を有する第二の(または他の)dsヌクレオチド配列を接触させることによって行われる。本明細書に開示するように、方法は、末端と端部との様々な組み合わせを有する如何なる数のdsヌクレオチド配列も用いて行うことができる(例えば、図5A〜5Dを参照のこと)。
【0079】
トポイソメラーゼは、二本鎖核酸分子の一本鎖を切断するIA型およびIB型トポイソメラーゼを含むI型と、核酸分子の双方の鎖を切断するII型トポイソメラーゼ(ジャイレース)に分類される。IA型およびIB型トポイソメラーゼは、dsヌクレオチド配列の一つの鎖を切断する。IA型トポイソメラーゼによるdsヌクレオチド配列の切断によって、切断部位での5'ホスフェートと3'ヒドロキシルが生成され、IA型トポイソメラーゼは切断された鎖の5'末端に共有結合する。比較すると、IB型トポイソメラーゼによってdsヌクレオチド配列が切断されると、切断部位で3'ホスフェートと5'ヒドロキシルとが生成され、IB型トポイソメラーゼは切断された鎖の3'末端に共有結合する。本明細書において開示されるように、I型およびII型トポイソメラーゼは、その触媒ドメインおよび変異型と共に、本発明の方法に従って双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を生成するために有用である。
【0080】
IA型トポイソメラーゼには、他のIA型トポイソメラーゼを含む、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、真核細胞トポイソメラーゼII、原始逆ジャイレース、酵母トポイソメラーゼIII、ショウジョウバエトポイソメラーゼIII、ヒトトポイソメラーゼIII、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)トポイソメラーゼIII等が含まれる(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Berger、Biochem. Biophys. Acta. 1400:3〜18、1998;DigateおよびMarians、J. Biol. Chem. 264:17924〜17930、1989;KimおよびWang、J. Biol. Chem. 267:17178〜17185、1992;Wilsonら、J. Biol. Chem. 275:1533〜1540、2000;Hanaiら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:3653〜3657、1996、米国特許第6,277,620号を参照のこと)。配列5'-GCA-ACTT-3'を認識、結合、そして切断するIA型トポイソメラーゼである大腸菌トポイソメラーゼIIIは、本発明の方法において特に有用となりうる(参照として本明細書に組み入れられる、Zhangら、J. Biol. Chem. 270:23700〜23705、1995)。相同体であるプラスミドRP4のtraE蛋白質が、Liら(J. Biol. Chem. 272:19582〜19587、1997)によって記述されており、本発明の実践において用いることができる。DNA-蛋白質付加物は、5'チミジン残基に共有結合した酵素によって形成され、切断は2つのチミジン残基のあいだで起こる。
【0081】
IB型トポイソメラーゼには、全ての真核細胞に存在する核I型トポイソメラーゼ、ならびにワクシニアおよび他の細胞ポックスウイルスによってコードされるトポイソメラーゼが含まれる(参照として本明細書に組み入れられる、Chengら、Cell 92:841〜850、1998を参照のこと)。真核細胞IB型トポイソメラーゼは、酵母、ショウジョウバエ、およびヒト細胞を含む哺乳類細胞において発現されるトポイソメラーゼによって示される(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、CaronおよびWang、Adv. Pharmacol. 29B:271〜297、1994;Guptaら、Biochem. Biophys. Acta. 1262:1〜14、1995を参照のこと;同様に、上記のBerger(1998)も参照のこと)。ウイルスのIB型トポイソメラーゼの例は、脊椎動物ポックスウイルス(ワクシニア、ショープ線維腫ウイルス、ORFウイルス、鶏痘ウイルス、および伝染性軟属腫ウイルス)および昆虫ポックスウイルス(アムサクタモーレイエント(Amsacta moorei)モポックスウイルス)によって産生されるトポイソメラーゼによって示される(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Shuman、Biochem. Biophys. Acta. 1400:321〜337、1998;Petersenら、Virology 230:197〜206、1997;ShumanおよびPrescott、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84:7478〜7482、1987;Shuman、J. Biol. Chem. 269:32678〜32684、1994;米国特許第5,766,891号;国際特許出願番号PCT/US95/16099;国際特許出願番号PCT/US98/12372を参照のこと;同様に、Chenら(1998)も参照のこと)。
【0082】
II型トポイソメラーゼには、例えば、細菌ジャイレース、細菌DNAトポイソメラーゼIV、真核細胞DNAトポイソメラーゼII、およびT-偶数系ファージコードDNAトポイソメラーゼ(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、RocaおよびWang、Cell 71:833〜840、1992;Wang、J. Biol. Chem. 266:6659〜6662、1991;上記のBerger(1998))。IB型トポイソメラーゼと同様に、II型トポイソメラーゼは切断活性とライゲーション活性の双方を有する。さらに、IB型トポイソメラーゼと同様に、基質であるdsヌクレオチド配列は、II型トポイソメラーゼが切断部位で一つの鎖と共有結合を形成することができるように調製することができる。例えば、仔ウシ胸腺II型トポイソメラーゼは、5'端部から3ヌクレオチドの位置に存在する5'凹所トポイソメラーゼ認識部位を含む基質dsヌクレオチド配列を切断することができ、それによって切断部位に対して5'の3つのヌクレオチド配列が解離して、dsヌクレオチド配列の5'末端にトポイソメラーゼが共有結合する(Andersenら、上記、1991)。さらに、そのようなII型トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を、3'ヒドロキシル基を含む第二のヌクレオチド配列に接触させると、II型トポイソメラーゼは、配列を共にライゲーションすることができ、その後組換え型核酸分子から放出される。そのため、II型トポイソメラーゼも同様に、本発明の方法を実践するために有用である。
【0083】
トポイソメラーゼの構造分析は、IA型、IB型、およびII型トポイソメラーゼを含むそれぞれの特定のトポイソメラーゼファミリーメンバーが、他のファミリーメンバーと共通の構造的特徴を有することを示している(Berger、上記、1998)。さらに、様々なIB型トポイソメラーゼの配列分析から、構造が特に触媒ドメインにおいて高度に保存されていることが示されている(Shuman、上記、1998;Chengら、上記、1998;Petersenら、上記、1997)。例えば、アミノ酸314個のワクシニアトポイソメラーゼのアミノ酸81〜314位を含むドメインは、他のIB型トポイソメラーゼと実質的な相同性を有し、単離されたドメインは、代謝回転速度がより遅く、認識部位に対する結合親和性がより低いものの、完全長のトポイソメラーゼと本質的に同じ活性を有する(Shuman、上記、1998;Chengら、上記、1998を参照のこと)。さらに、アミノ末端ドメイン(アミノ酸残基70位および72位)が変異している変種ワクシニアトポイソメラーゼは、完全長のトポイソメラーゼと同一の特性を示す(Chengら、上記、1998)。実際に、ワクシニアIB型トポイソメラーゼの変異分析により、トポイソメラーゼの活性に影響を及ぼすことなく変異させることができる多数のアミノ酸残基が存在することが判明し、活性にとって必要ないくつかのアミノ酸が同定された(Shuman、上記、1998)。ワクシニアトポイソメラーゼ触媒ドメインと他のIB型トポイソメラーゼとが高い相同性を共有することおよびワクシニアトポイソメラーゼの詳細な変異分析を考慮すると、IB型トポイソメラーゼの単離された触媒ドメインと様々なアミノ酸変異を有するIB型トポイソメラーゼとは、本発明の方法において用いることができると認識されると考えられる。
【0084】
様々なトポイソメラーゼが広範囲の配列特異性を示す。例えば、II型トポイソメラーゼは、多様な配列に結合するが、非常に特異的認識部位で切断することができる(参照として本明細書に組み入れられる、Andersenら、J. Biol. Chem. 266:9203〜9210、1991を参照のこと)。比較すると、IB型トポイソメラーゼには、特異的ヌクレオチド配列(「トポイソメラーゼ認識部位」)に結合して切断する部位特異的トポイソメラーゼが含まれる。トポイソメラーゼ、例えば、IB型トポイソメラーゼによってdsヌクレオチド配列が切断されると、ホスホジエステル結合のエネルギーは、トポイソメラーゼにおける特異的チロシン残基とトポイソメラーゼ認識部位の3'ヌクレオチドとのあいだのホスホチロシル結合の形成によって保存される。トポイソメラーゼ切断部位が、核酸分子の3'末端近傍にある場合、下流の配列(切断部位に対して3')が解離して、新しく生成された3'末端にトポイソメラーゼが共有結合した核酸分子が残されうる(図1を参照のこと)。
【0085】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法は、1)第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、またはその双方の5'末端またはその近傍で、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および3)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)を、全ての成分が接触して、少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは、好ましくは5'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列を含む。
【0086】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法は、端部の如何なる組み合わせも結合するように、そして結合される端部の一つの鎖が共有結合されるが、もう一つの鎖は共有結合されず、ニックを含むように行うことができる。例えば、第一のdsヌクレオチド配列は、ATG開始コドンが第一の端部またはその近傍に存在して、ポリAシグナルが第二の端部またはその近傍でコードされるコード配列を含みうる;および第二のdsヌクレオチド配列は、コード配列の上流に存在して、第一の端部が第二の端部の上流に存在する場合に機能するプロモーター要素を含みうる、以下の方法、すなわち部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)が第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端またはその近傍に存在して、そしてトポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に共有結合させて、それによってポリペプチドがコード配列から発現されうるds組換え型核酸分子を作製することができる条件で接触が行われる、方法を行うことができる。または、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)が第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端またはその近傍に存在して、そしてトポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)が、第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に共有結合させて、それによってそこからアンチセンス分子を発現することができるds組換え型核酸分子を生成することができるような条件で接触が行われる方法を行うことができる。
【0087】
上記の第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを用いるもう一つの例として、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)が第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部と第二の端部のそれぞれの5'末端またはその近傍に存在する、そしてIA型トポイソメラーゼが、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に、そして第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第二の端部の3'末端に共有結合させることができるような条件で接触が行われる方法を行うことができる。そのため、方法によって生成されたds組換え型核酸分子は環状化して、鎖がトポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)によって共有結合する位置と反対のそれぞれの鎖においてニックを含む。さらに、第二のdsヌクレオチド配列のプロモーターは、第一のdsヌクレオチド配列の発現を開始させることができる。一つの態様において、環状化ds組換え型核酸分子はベクターを含む。
【0088】
上記の第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを用いるもう一つの例として、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)が、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部と第二の端部のそれぞれの5'末端またはその近傍に存在して、そしてトポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第二の端部の3'末端に、そして第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に共有結合させることができるような条件で接触が行われる方法を行うことができる。そのため、方法によって生成されたds組換え型核酸分子は環状化して、鎖がトポイソメラーゼが共有結合する位置(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)と反対のそれぞれの鎖においてニックを含む。さらに、第二のdsヌクレオチド配列のプロモーターは、アンチセンス配列の発現を開始させることができる。一つの態様において、環状化ds組換え型核酸分子はベクターを含む。
【0089】
本明細書において開示するように、第一のdsヌクレオチド配列と少なくとも第二のdsヌクレオチド配列とを含む一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法はさらに、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を増幅するための段階を含みうる。増幅反応は、対の第一のプライマーが、第一もしくは第二のdsヌクレオチド配列の一つもしくはそれ以上の端部もしくはその近傍で共有結合した鎖に結合することができる、またはds組換え型核酸分子のニックを有する鎖とヌクレオチド配列が同一である第一の伸長産物を作製するために、他のdsヌクレオチド配列に向けて増幅反応をプライミングすることができ;そしてプライマーの第二のプライマーが、典型的に3'末端またはその近傍で第一の伸長産物に結合することができる、そして第一のプライマーの存在下で、共有結合した鎖と伸長産物(またはそれから産生された伸長産物)とを鋳型として用いて増幅産物を生成することができる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させることによって行うことができる。例えば、方法は、IA型トポイソメラーゼ認識部位が第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部またはその近傍に存在するように行うことができ、方法はさらに、フォワードプライマーが第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部またはその近傍に結合することができ、リバースプライマーが第二のdsヌクレオチド配列の第二の端部の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列に結合することができる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させること;およびds組換え型核酸分子を増幅することを含む。第一のdsヌクレオチド配列は、コード領域を含みうる、そして第二のdsヌクレオチド配列は調節要素を含みうる。
【0090】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法はまた、1)第一のdsヌクレオチド配列が第一の端部、第二の端部、または双方の5'末端またはその近傍で部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を有する、第一の末端と第二の末端とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;3)それぞれの端部が5'末端と3'末端とをさらに含む、第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第三のdsヌクレオチド配列;および4)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)を、全ての成分が接触して少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮できる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、トポイソメラーゼは大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合する。好ましくは、トポイソメラーゼによって切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列を含む。
【0091】
部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を含む第一のdsヌクレオチド配列、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも第三のdsヌクレオチド配列を含む、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する本発明の方法は、端部の如何なる組み合わせも結合するように、そして結合される端部で一つの鎖が共有結合して、一つの鎖がニックを有するように行うことができる。この態様に従って、如何なる端部も、第一のds組換え型核酸分子が5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を含み、そして結合させる端部にトポイソメラーゼまたはトポイソメラーゼ認識部位一つのみが存在する限り、IA型、II型、もしくはIB型トポイソメラーゼ認識部位を含みうる、またはその切断産物を含みうる。例えば、第一のdsヌクレオチド配列が、第一および第二の端部のそれぞれまたはその近傍で部位特異的IA型トポイソメラーゼ認識部位を含む場合、方法はさらに、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを、それぞれの端部がさらに5'末端と3'末端とを含む、第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第三のdsヌクレオチド配列に、トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)が、第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端を、第二のヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に、そして第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部の5'末端を第三のヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端に共有結合させることができる条件で、接触させることを含みうる。端部とトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物の他の組み合わせも、本発明のそのような方法を行うために用いることができると認識されると思われる。
【0092】
本発明の方法はまた、IB型トポイソメラーゼが、第三のdsヌクレオチド配列の第一の端部または第二の端部の3'末端を、第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部または第二の端部の5'末端に共有結合させることができる条件で、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを、それぞれの端部がさらに5'末端と3'末端とを含む第一の端部と第二の端部とを含み、上記の第一の端部、上記の第二の端部、または上記の第一の端部と上記の第二の端部の双方の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含む、少なくとも第三のdsヌクレオチド配列;および少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のIB型トポイソメラーゼに接触させることによって行うことができる。第三のdsヌクレオチド配列が、第一の端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を含むそのような方法において、接触する段階は、IB型トポイソメラーゼが、第三のdsヌクレオチド配列の第一の端部の3'末端を第二のdsヌクレオチド配列の第一の端部の5'末端に共有結合させることができる条件で行うことができる。端部とトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物の他の組み合わせは、本発明のそのような方法を実施するために用いることができると認識されると思われる。
【0093】
もう一つの態様において、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、1)第一のdsヌクレオチド配列が一つの端部の5'末端またはその近傍で部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)、および他の端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;2)第一の端部と第二の端部とを有するまたは有するように作製することができる少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;3)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)の部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ);および4)少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個等)のIB型トポイソメラーゼを、全ての成分が接触して少なくとも一つのトポイソメラーゼがその活性を発揮しうる条件で接触させることによって行うことができる。例えば、それに対する認識部位が5'末端またはその近傍に存在するトポイソメラーゼは、大腸菌トポイソメラーゼI、大腸菌トポイソメラーゼIII、または真核細胞トポイソメラーゼIIIのようなIA型トポイソメラーゼとなりうる。dsヌクレオチド配列が切断されると、IA型トポイソメラーゼは好ましくは5'末端に安定に結合し、IB型トポイソメラーゼは好ましくは3'末端に安定に結合する。好ましくはトポイソメラーゼによる切断によって、切断されたdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハング配列および5'オーバーハング配列を含む。方法にはさらに、ds組換え型核酸分子をDNAリガーゼに接触させて、それによって双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製することが含まれうる。
【0094】
第一のdsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも第三のdsヌクレオチド配列を接触させることによって、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、さらに、ds組換え型核酸分子、特に共有結合した鎖を増幅する段階を含みうる。増幅は、対の第一のプライマーが第一または第二のdsヌクレオチド配列の一つの端部またはその近傍で、共有結合した鎖に選択的に結合して、他のdsヌクレオチド配列に向けて増幅反応をプライミングして、共有結合した鎖と相補的な第一の伸長産物を作製することができ;そして対の第二のプライマーは、典型的に3'末端またはその近傍で第一の伸長産物に選択的に結合することができ、第一のプライマーの存在下で、共有結合した鎖と伸長産物(またはそれに由来する伸長産物)とを鋳型として用いて増幅産物を生成することができる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させることによって行うことができる。方法は、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはIB型トポイソメラーゼ認識部位)が第一のdsヌクレオチド配列の第一の端部またはその近傍に存在する方法を行うことができ、そしてさらに方法は、フォワードプライマーが第一のdsヌクレオチド配列の第二の端部またはその近傍でヌクレオチド配列に結合することができ、リバースプライマーが、第三のdsヌクレオチド配列の少なくとも一部と相補的なヌクレオチド配列に結合することができる、ds組換え型核酸分子を増幅反応プライマー対に接触させること、およびds組換え型核酸分子を増幅することを含みうる。第一のdsヌクレオチド配列はコード領域を含みうる、そして第三のdsヌクレオチド配列は調節要素を含みうる。さらに、結合させる端部は、相補的なオーバーハング配列を含みうる。
【0095】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する開示の方法の代表的な態様を図4A〜4Fに示す。図4Aにおいて、dsヌクレオチド配列の一つは、3'オーバーハングを有するこの分子を、実質的に相補的な3'オーバーハングを有する第二のdsヌクレオチド配列に適した条件で接触させた場合に、3'オーバーハングを含むヌクレオチドがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがライゲーションを触媒することができるように、一つの端部の5'末端に結合したトポイソメラーゼを有する。図4Bは、一つのヌクレオチド配列の二つの異なる端部の5'末端と3'末端にトポイソメラーゼ分子が結合した第一のdsヌクレオチド配列を示し、さらに、一つの鎖が如何なるニックも有せず、もう一つの鎖がニック2個を有する核酸分子を作製するために、二つの他のヌクレオチド配列に対する第一のdsヌクレオチド配列の結合を示す。図4Cは、一つの端部の5'末端にトポイソメラーゼ分子が結合した第一のdsヌクレオチド配列、および一つの端部の5'末端にトポイソメラーゼ分子が結合した第二のdsヌクレオチド配列を示し、さらに、一つの鎖が如何なるニックも有せず、もう一つの鎖がニック2個を有する核酸分子を作製するために、一つの他のヌクレオチド配列に対する第一および第二のdsヌクレオチド配列の結合を示す。図4Dにおいて、結合させるdsヌクレオチド配列の一つは、ヌクレオチド配列を接触させた場合に、相補的3'オーバーハングがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがライゲーションを触媒するように、双方の端部の5'末端に結合した部位特異的IA型トポイソメラーゼを有する。図4Eは、5'末端でIA型トポイソメラーゼによってトポイソメラーゼを負荷した一つのdsヌクレオチド配列と、結合させる反対側の鎖の3'末端にIB型トポイソメラーゼによってトポイソメラーゼを負荷したもう一つのdsヌクレオチド配列とを用いて、ヌクレオチド配列を接触させた場合に、相補的3'オーバーハングがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがライゲーションを触媒するように、三つのdsヌクレオチド配列を互いに結合させるもう一つの例を示す。図4Fは、この場合、5'末端でトポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)によって、そして反対側の鎖の3'末端でIB型トポイソメラーゼによってトポイソメラーゼを負荷した一つのdsヌクレオチド配列を用いて、ヌクレオチド配列を適した条件で接触させると、相補的3'オーバーハングがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがライゲーションを触媒するように、三つのdsヌクレオチド配列を結合させるもう一つの例を示す。
【0096】
図4A〜4Fに示す例は、平滑末端を有する、結合すべき端部とは反対側のdsヌクレオチド配列の端部を示し、3'オーバーハング配列を有するように結合していることを示す。しかし、基質dsヌクレオチド配列は、望ましければ、端部が互いにライゲーションして、例えば環状分子を形成することができる、または適当な端部を有する他の核酸分子にライゲーションすることができるように、他の平滑末端および/または相補的である、またはその組み合わせである双方の末端を含む、如何なる端部およびオーバーハングも有しうる。このように、図4A〜4Fに示す一つまたはそれ以上の平滑末端は、そのいずれかがチミジン残基のような単一のヌクレオチド、または同じもしくは異なりうる多数のヌクレオチド(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15ヌクレオチド等)を構成しうる、5'オーバーハングまたは3'オーバーハングを含むヌクレオチド配列によって置換することができる。開示の方法の特定の態様において、第一のdsヌクレオチド配列は結合させる平滑末端を含み、第二のdsヌクレオチド配列は、オーバーハングが平滑末端を含む配列と相補的な配列を含み、それによって結合反応のために端部を適切に配置する手段として鎖の侵入を促進する、部位特異的トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)によって結合させる端部でオーバーハングを含む。
【0097】
図4A〜4Cにおいて例示するように、本発明のこの局面の方法を用いて作製されたds組換え型核酸分子には、一つの鎖(双方の鎖ではない)が結合される端部で共有結合されている核酸分子が含まれる(すなわち、これらの方法を用いて作製されたds組換え型核酸分子は二つの端部が結合するそれぞれの位置でニックを含む)。これらの態様は、共有結合した鎖をまず複製することによって、ポリメラーゼを用いてds組換え型核酸分子を複製することができるという点において特に都合がよい。例えば、PCRのような増幅反応を行うために有用なポリメラーゼのような熱安定なポリメラーゼは、共有結合した鎖を複製するために用いることができるが、ニックを含む鎖は、複製のための適した鋳型を提供しない。
【0098】
本発明はまた、産生された産物が双方の鎖においてライゲーションし、したがってニックを含まないように、二つの異なるdsヌクレオチド配列の端部、または同じdsヌクレオチド配列の二つの端部を共有結合によってライゲーションする方法を提供する。本発明のこの局面の代表的な態様を図5に示す。例えば、図5Aにおいて、dsヌクレオチド配列の一つは、5'オーバーハングを有するこの分子を、実質的に相補的な5'オーバーハングを有する第二のdsヌクレオチド配列に適した条件で接触させると、5'オーバーハングを含むヌクレオチドがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがdsヌクレオチド配列の双方の鎖のライゲーションを触媒することができるように、一つの端部の3'末端および5'末端に結合したトポイソメラーゼ分子を有する。図5Bにおいて、結合させるdsヌクレオチド配列のそれぞれの端部は、ヌクレオチド配列を適した条件で接触させた場合に、5'オーバーハングを含むヌクレオチドがハイブリダイズすることができ、トポイソメラーゼがライゲーションを触媒するように、3'末端に結合したトポイソメラーゼ分子を有する(結合させるdsヌクレオチド配列のそれぞれが、結合させる端部の5'末端に結合したトポイソメラーゼを有する、図5Cと比較)。図5Dは、双方の端部の双方の末端でトポイソメラーゼ負荷されたdsヌクレオチド配列によって三つのdsヌクレオチド配列を共に結合させることを示している。図4と同様に、図5A〜5Dに示す実施例は、平滑末端を有するように結合されないdsヌクレオチド配列の端部を示す。しかし、図4に関して考察したように、図5において例示した方法において用いられる基質dsヌクレオチド配列は、端部を、互いにライゲーションして、例えば環状分子を形成する、または望ましいように、適当な端部、平滑末端、5'オーバーハング、3'オーバーハング等を有する他の核酸分子にライゲーションすることができるように、トポイソメラーゼ負荷端部を含む、望ましい如何なる端部も有しうる。
【0099】
共有結合したトポイソメラーゼはまた、ライゲーション反応を触媒する他に、逆の反応、例えば、それに対してIB型トポイソメラーゼがホスホチロシル結合によって結合される認識配列の3'ヌクレオチドと、切断前にdsヌクレオチド配列の5'末端を含み、切断後に遊離の5'ヒドロキシ基を含むヌクレオチド配列との再ライゲーションを触媒することができる。そのため、組換え型核酸分子を産生するためにIB型トポイソメラーゼを用いる方法が開発されている。例えば、結合したIB型トポイソメラーゼを含むクローニングベクターが開発され、市販されている(インビトロジェン社、ラホヤ、カリフォルニア州)。そのようなクローニングベクターは、直線にすると、それぞれの3'末端で共有結合したIB型トポイソメラーゼを含む(「トポイソメラーゼ負荷」)。そのようなベクターにクローニングされるcDNAライブラリ、制限断片、または剪断されたゲノムDNA配列を含むヌクレオチドのようなヌクレオチド配列を、例えば、ホスファターゼによって処置して、5'ヒドロキシル末端を生じ、次にこれを、ヒドロキシル基を含む5'末端、および共有結合したトポイソメラーゼを含むベクターの3'末端で、トポイソメラーゼがヌクレオチド配列をライゲーションできる条件で、直線状のトポイソメラーゼ負荷ベクターに付加する。5'ヒドロキシル端部を含む、産生されたPCR増幅産物のようなヌクレオチド配列を、迅速な結合反応(室温で約5分)においてトポイソメラーゼ負荷ベクターにクローニングすることができる。トポイソメラーゼ結合反応に固有の迅速な結合および広い温度範囲によって、一般的に自動システムを用いて行われる高処理能の応用にトポイソメラーゼ負荷ベクターを利用することが理想的となる。
【0100】
II型トポイソメラーゼは、一般的に、組換え型核酸分子を作製するために、またはクローニング技術のために用いられていないが、上記のIB型トポイソメラーゼは、多様な技術に用いられる。本明細書において開示するように、IA型トポイソメラーゼは、IB型トポイソメラーゼに関して記述された技術と同様の多様な技術に用いることができる。しかし、IB型トポイソメラーゼを用いて二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列をライゲーションさせるこれまでに記述された方法は、結合したトポイソメラーゼのみが、それが結合する鎖の3'末端と5'ヒドロキシル基を含む第二の鎖との結合を行うという短所を有した。トポイソメラーゼは、相補的な鎖をライゲーションすることができないため、生成された核酸分子はニックを含む。そのようなニックが存在しても、ニックは一般的に細胞内で分解するために、宿主細胞のトランスフェクションのために組換え型分子を用いることは妨害されないが、二本鎖核酸分子にそのようなニックが存在すれば、組換え型分子を直接利用することは有意に制限される。例えば、ニックを含む核酸分子の鎖は、プライマー伸長反応がニックで停止するために、PCRによって増幅することができない。このように、これまでに記載の方法に従ってトポイソメラーゼを用いて調製された核酸構築物は一般的に、例えば、双方の鎖が共有結合して、したがって、PCRのようなその後の操作にとって有用となるds組換え型核酸分子を得るためにDNAリガーゼによってさらに処理しなければならない。
【0101】
核酸構築物を調製するためにこれまでに記述した方法はまた、一般的に多数の段階を必要とし、特に三つ以上のヌクレオチド配列をライゲーションする場合には多数の段階を必要とし、配列を既定の方向にライゲーションしなければならない場合には、さらにより多くの段階が必要である。例えば、結合させるヌクレオチド配列は一般的に、連続的にライゲーションして中間構築物を生じ、そのそれぞれをクローニングして、宿主細胞において増幅し、単離および特徴を調べなければならない。次に、正確な配列を含む構築物を、次のヌクレオチド配列がライゲーションされうるように十分な量および形で単離しなければならず、適切な構築物を同定するためにクローニング、増幅、単離、および特徴付けのプロセスを再度行う。明らかに、結合させる異なるヌクレオチド配列の数が増加すると、行わなければならない本質的に反復性の技術の数も増加し、このように、費用が高く、労力がかかり、冗長なプロセスとなる。
【0102】
本明細書に開示するように、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法の長所は、双方の鎖が共有結合した機能的ds組換え型核酸分子を得るために異なるライゲーション反応を行う必要がない点である(図1および5を参照のこと)。さらに、本発明のこの局面の方法は、多数の異なるdsヌクレオチド配列を既定の方向に共有結合させる場合、その後の段階に進行する前に、中間構築物をクローニング、特徴付け、および単離する必要がないように行うことができる(実施例1.Bを参照のこと)。そのため、本発明のこの局面の方法は、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための手段を、これまでに知られている方法を用いる場合に可能な場合よりはるかに迅速に実質的に低コストで提供する。
【0103】
さらなる長所として、双方の鎖が共有結合した生成されたds組換え型核酸分子は、生成された構築物がdsヌクレオチド配列が結合する部位でニックを含まないことから、さらなる技術、例えば、PCR増幅技術、または他の転写もしくは翻訳技術のような伸長またはプライマーを含む特定の技術において直接用いることができる形である。本明細書に開示するように、特定の態様において、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法も同様に、特定の態様において、生成された構築物が、dsヌクレオチド配列が結合する部位でニックを含まない一つの鎖を含むことから、生成されたds組換え型核酸分子が、さらなる技術、例えば、PCR増幅技術、または他の転写もしくは翻訳技術のようなプライマーの伸長を含む特定の技術に直接用いることができる形であるという点において都合がよい。
【0104】
「ヌクレオチド配列」または「dsヌクレオチド配列」という用語は、本明細書において、個々の核酸分子を意味するために用いられる。そのように用いられる場合、「ヌクレオチド配列」という用語は、組成物中の、または本発明の方法において用いられる成分が明らかに区別されうるように単に便宜上用いられている。このように、例えば、「dsヌクレオチド配列」と言う用語は、本発明の方法において、組換え型「核酸分子」産物を生成するために用いられる反応物質(基質)に対応する。
【0105】
本発明の特定の方法は、ワクシニアトポイソメラーゼのようなIB型トポイソメラーゼまたはIA型トポイソメラーゼを用いることを参照して、本明細書において一般的に例示される。しかし、方法はまた、それに応じて成分を単に調節することによって、例示された以外のトポイソメラーゼを用いて行うことができると認識されると思われる。例えば、下記により詳細に記載するように、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列を少なくとも部分的に含むPCRプライマーを用いて、直鎖状のdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の3'末端でIB型トポイソメラーゼ認識部位を組み入れる方法が開示される。比較すると、IA型または望ましければII型トポイソメラーゼのトポイソメラーゼ認識部位は、認識部位を含むPCRプライマーを用いてdsヌクレオチド配列に組み入れることができる。
【0106】
部位特異的IB型トポイソメラーゼによるdsヌクレオチド配列の切断によって、共有結合したトポイソメラーゼと相補的な鎖において、そして共有結合したトポイソメラーゼを含む端部と同じ端部で、5'オーバーハング配列が生成される。さらに本明細書に開示するように、IB型トポイソメラーゼ認識部位をdsヌクレオチド配列に組み入れることができ、そしてトポイソメラーゼによってdsヌクレオチド配列が切断されると、明確な規定の配列を有する相補鎖において5'オーバーハング配列をさらに産生することができるPCRプライマーをデザインすることができる。そのため、方法は、既定の方向に機能的に結合した成分dsヌクレオチド配列を有するds組換え型核酸分子を作製するように容易に適合させることができる。本開示を考慮して、IA型トポイソメラーゼ認識部位を、多様な配列のライブラリを含むdsヌクレオチド配列に導入することができるように、そして望ましければ、部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると3'オーバーハング配列を生成するように、PCRプライマーをデザインすることができると認識されると思われる。
【0107】
本明細書に開示するように、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、共有結合されるそれぞれのdsヌクレオチド配列の末端またはその近傍でトポイソメラーゼを提供することによってこれまで既知の方法を拡大する。例えば、IB型トポイソメラーゼに関して、方法は、結合すべきそれぞれの直線状のdsヌクレオチド配列の3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物(すなわち、共有結合したIB型トポイソメラーゼ)を提供する。本明細書において用いられるように、「トポイソメラーゼ認識部位」という用語は、部位特異的トポイソメラーゼによって認識および結合される既定のヌクレオチド配列を意味する。例えば、ヌクレオチド配列5'-(C/T)CCTT-3'は、ワクシニアウイルスDNAトポイソメラーゼIを含むほとんどのポックスウイルストポイソメラーゼによって特異的に結合されるトポイソメラーゼ認識部位であり、次に、これは認識部位の最も3'のチミジン後の鎖を切断して、5'-(C/T)CCTT-PO4-TOPOを含むヌクレオチド配列、すなわちトポイソメラーゼにおけるチロシン残基によって3'ホスフェートに共有結合したトポイソメラーゼ複合体を生成することができる(Shuman、J. Biol. Chem. 266:11372〜11379、1991;SekiguchiおよびShuman、Nucl. Acids. Res. 22:5360〜5365、1994;そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられ;同様に、米国特許第5,766,891号;国際特許出願番号PCT/US95/16099;国際特許出願番号PCT/US98/12372も参照のこと)。比較のために、ヌクレオチド配列5'-GCAACTT-3'はIA型大腸菌トポイソメラーゼIIIのトポイソメラーゼ認識部位である。
【0108】
dsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部の5'末端、3'末端、またはその双方に共有結合させたトポイソメラーゼを含む配列を含む、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列は、如何なる多数の方法によっても作成することができる。いくつかの場合において、そして適当な条件で、I型トポイソメラーゼは、一本鎖ヌクレオチド配列を切断することができる。例えば、IA型トポイソメラーゼである大腸菌トポイソメラーゼIのアミノ末端の67 kDaドメインを含むドメインは、トポイソメラーゼ認識部位を含む一本鎖ヌクレオチド配列を切断することができる。条件が、トポイソメラーゼが一本鎖ヌクレオチド配列を切断することができる場合、dsヌクレオチド配列の一つの端部の5'および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位を含むdsヌクレオチド配列の切断は同時に行うことができる。または、一つまたは双方のトポイソメラーゼが認識および切断のためにdsヌクレオチド配列を必要とする場合、反応は連続して行われ、より末端(遠位)のトポイソメラーゼ認識部位が最初に切断され、その後二本鎖のままで残っているより内部(近位)の部位が切断される。例えば、一つの端部の5'末端またはその近傍で大腸菌トポイソメラーゼIII認識部位を含み、同じ端部の3'末端またはその近傍でワクシニアIB型トポイソメラーゼ認識部位を含むdsヌクレオチド配列は、IB型認識部位がIA認識部位より端部により近い場合、dsヌクレオチド配列をワクシニアトポイソメラーゼと共にインキュベートすると、IB型トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が得られ、次に大腸菌トポイソメラーゼと共にインキュベートすると、5'末端にIA型トポイソメラーゼが結合して、3'末端にIB型トポイソメラーゼが結合したdsヌクレオチド配列が得られる。したがって、本発明には、少なくとも一つの端部の一つまたは双方の末端に結合したトポイソメラーゼを含むdsヌクレオチド配列を生成する方法が含まれ、およびそのようなトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列をさらに提供する。
【0109】
本明細書において用いられるように、トポイソメラーゼ認識部位に関連して用いる場合の「切断産物」という用語は、トポイソメラーゼによって一般的にその認識部位で切断されているヌクレオチド配列を意味し、IA型またはII型トポイソメラーゼの場合、トポイソメラーゼ認識部位における5'末端のヌクレオチドの5'ホスフェート基に共有結合した、またはIB型トポイソメラーゼの場合、トポイソメラーゼ認識部位における3'末端ヌクレオチドの3'ホスフェート基に共有結合したトポイソメラーゼの複合体を含む。そのような複合体は、トポイソメラーゼがそれに共有結合したトポイソメラーゼ切断dsヌクレオチド配列を含み、本明細書において「トポイソメラーゼ活性化」または「トポイソメラーゼ負荷」ヌクレオチド配列と呼ばれる。トポイソメラーゼ活性化dsヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼが認識部位でdsヌクレオチド配列を切断して、それに共有結合するようになる、切断されないトポイソメラーゼ認識部位とトポイソメラーゼとを含むdsヌクレオチド配列と同様に、本発明の方法において用いることができる。
【0110】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法の一つの態様において、トポイソメラーゼ認識部位は、IB型トポイソメラーゼの存在下で、それぞれのヌクレオチド配列が切断されて、それにトポイソメラーゼが共有結合した3'末端を生成するように、結合したそれぞれのヌクレオチド配列の端部の3'末端またはその近傍に存在する(図1を参照のこと)。共有結合したヌクレオチド配列はまた、トポイソメラーゼ認識部位を含む端部と同じ端部で5'ヒドロキシ基を含むことができ、または5'ヒドロキシル基はホスファターゼを用いて作製することができる。そのようなヌクレオチド配列と接触すると、部位特異的トポイソメラーゼは、3'ホスフェートを含むそれぞれの鎖をそれぞれの5'ヒドロキシル基にライゲーションさせて、それによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が生成され、これは、直線、環状、または陽性もしくは陰性高次コイル核酸分子として生成することができる。
【0111】
好ましくは、本発明の特定の局面の方法に従って、IB型トポイソメラーゼによって結合させるヌクレオチド配列の端部の5'末端は、相補的な5'オーバーハング配列を含み、これは望ましければ、既定の方向を含むヌクレオチド配列の最初の会合を促進しうる。または、本発明の特定の局面の方法に従って、IB型トポイソメラーゼによって結合させるヌクレオチド配列の端部の5'末端は、望ましければ既定の方向を含む鎖の侵入によるヌクレオチド配列の最初の会合を促進するために、配列の一つが5'オーバーハング配列を含み、他のヌクレオチド配列が5'末端の平滑末端で相補的配列を含む、相補的5'配列を含む。「5'オーバーハング」または「5'オーバーハング配列」という用語は、本明細書においてdsヌクレオチド配列の相補鎖の末端を超えて5'方向に伸長するdsヌクレオチド配列の鎖を意味する。都合のよいことに、5'オーバーハングは、IB型トポイソメラーゼによるdsヌクレオチド配列の部位特異的切断の結果として生成されうる(実施例1を参照のこと)。
【0112】
好ましくは、本発明の特定の局面の方法に従うIA型トポイソメラーゼによって結合されるヌクレオチド配列の端部の3'末端は、相補的3'オーバーハング配列を含み、これは、望ましければ既定の方向を含むヌクレオチド配列の初回会合を促進しうる。または、本発明の特定の局面の方法に従って、トポイソメラーゼ(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ)によって結合されるヌクレオチド配列の端部の3'末端は、望ましければ既定の方向を含む鎖の侵入によってヌクレオチド配列の初回会合を促進するために、配列の一つが3'オーバーハング配列を含み、もう一つのヌクレオチド配列が3'末端の平滑末端で相補的配列を含む、相補的3'配列を含む。「3'オーバーハング」または「3'オーバーハング配列」という用語は、本明細書においてdsヌクレオチド配列の相補鎖の末端を超えて5'方向に伸長するdsヌクレオチド配列の鎖を意味する。都合のよいことに、3'オーバーハングは、IA型またはII型トポイソメラーゼによる切断によって生成されうる。
【0113】
3'または5'オーバーハング配列は、如何なる配列も有しうるが、一般的に、本発明の方法に従って、それらによって一つのdsヌクレオチド配列の既定の端部が第二のヌクレオチド配列の既定の端部にライゲーションすることができるように、配列を選択する(図2C、実施例1.Bも参照のこと)。そのため、3'または5'オーバーハングはパリンドロームとなりうるが、それらは一般的にパリンドロームのオーバーハングを有するdsヌクレオチド配列が互いに会合して、このように既定の方向に二つまたはそれ以上のdsヌクレオチドを含む双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子の生成を減少させるために、そうなっているのではない。例えば、図2Aに示すdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列はパリンドロームであり、したがって、例えば、AGCTオーバーハングによる第一のCMV要素と第二のCMV要素との会合は、AGCTオーバーハングによるCMV要素とGFP要素との会合と同様である。そのため、5'から3'の方向に順にCMV要素、GFP要素、およびBGH要素を含む機能的に共有結合した構築物を含む構築物を作製する効率は、図2Cに示す要素を用いてそのような構築物を作製する効率と比較して減少すると思われる。図2Bに示す要素はGFP要素の一つの端部および示されるBGH要素の端部でパリンドロームオーバーハングを含み、したがって、望ましい構築物を作製するために図2Cの要素より効率が低いが、図2Aの構築物より効率が高いと思われる。
【0114】
本発明の方法およびキットにおいて用いられるヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼによる切断後の再ライゲーションを防止するために、架橋ホスホロチオエートを含むようにデザインすることができる。例えば、トポイソメラーゼが大腸菌トポイソメラーゼIIIである場合、架橋ホスホロチオエートは、GCAACTT切断/認識配列の二つのチミジンのあいだに組み入れることができる。切断されると、切り取られた配列は3'-OHの代わりに3'-SHを含み、このように、再ライゲーションが防止される(バージン(Burgin)ら、Nucl. Acids Res. 23:2973〜2979、1995を参照のこと)。
【0115】
本発明の一つの局面の方法またはキットにおいて有用なdsヌクレオチド配列は、一つの端部の3'または5'末端でトポイソメラーゼ認識部位を含むために、PCRのような増幅方法によって増幅することができる。さらに、PCRのために用いられる一つまたは双方のプライマーは、増幅されたdsヌクレオチド配列が切断されると、切断されたdsヌクレオチド配列が一つまたは双方の端部で5'または3'オーバーハングを含むようにデザインすることができる。一つの態様において、PCRプライマーは、第一のdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列が第二の(または他の)dsヌクレオチド配列上の5'オーバーハング配列と相補的であるようにデザインすることができ、それによって好ましくは既定の方向でのヌクレオチド配列の会合が促進され、それによってそれらを本発明の方法に従って共有結合させることができる。本発明に従って、結合させる異なるdsヌクレオチド配列の独自のオーバーハング配列をデザインすることによって、如何なる数のdsヌクレオチド配列も所望の順序および/または方向に結合させることができる。
【0116】
PCRは、本発明の方法に関して2つの方法で用いられると認識すべきである。一つの局面において、PCRプライマーは、所望のdsヌクレオチド配列、例えば、エピトープタグまたは細胞区画化ドメインのような、転写もしくは翻訳調節要素、または対象のコード配列をコードするdsヌクレオチド配列に特定の特徴を付与するようにデザインされる。この局面において、PCRプライマーは、増幅されると、dsヌクレオチド配列が、一つまたは双方の端部で望ましいようにトポイソメラーゼ認識部位を含むようにデザインすることができる。本明細書に開示するように、PCRプライマーはまた、部位特異的トポイソメラーゼによる増幅産物の切断後、切断されたdsヌクレオチド配列がトポイソメラーゼ切断端部で5'または3'オーバーハング配列を含むように、さらなる配列を含むことができる。5'末端に結合して切断するトポイソメラーゼを含む本発明の態様において(例えば、IA型トポイソメラーゼを含む態様)、PCRプライマーは、架橋ホスホロチオエート結合(上記参照)を含むようにデザインすることができ、これは、トポイソメラーゼ切断後の再ライゲーションを防止して、トポイソメラーゼ負荷増幅産物の生成を補助することができる。
【0117】
PCRを用いて作製されたオーバーハング配列には、PCR反応のアーチファクトとして生成された一ヌクレオチドオーバーハングが含まれうる。例えば、校正機能を有せず、固有のターミナルトランスフェラーゼ活性を有するTaqのようなポリメラーゼが一般的に用いられ、それぞれの端部で非鋳型由来一塩基3'Aオーバーハングを含むPCR産物を生成する。これらの増幅産物を、一塩基3'Tオーバーハングまたは一塩基3'dUオーバーハングを含むトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列に結合させることができ、これはT/Aクローニング反応の場合、本発明の方法を用いて一つまたは双方の端部でベクターとなりうる(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,487,993号および第5,856,144号を参照のこと)。
【0118】
PCRはまた、本発明の方法によって作成された一つまたはそれ以上の鎖が共有結合した共有結合ds組換え型核酸分子を増幅するために用いられる。例えば、図6に示すように、本発明の方法は、プロモーターを含むヌクレオチド配列、コード配列を含むヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナルを含むヌクレオチド配列を含む、三つの基質dsヌクレオチド配列から発現可能なds組換え型核酸分子を作製することができる。ds組換え型核酸分子の作製は、結合されるヌクレオチド配列の端部に相補的3'(または5')オーバーハング配列を組み入れることによって容易にすることができる。例えば、発現可能なds組換え型核酸分子は、第一の端部の5'末端でIA型トポイソメラーゼおよび第二の端部の3'末端でIB型トポイソメラーゼを有する第一のdsヌクレオチド配列を、第二のdsヌクレオチド配列および第三の二本鎖ヌクレオチド配列に接触させることによって生成することができる。プロモーターから上流のプロモーターを含むヌクレオチド配列の一部に対して特異的な第一のプライマー、およびシグナルの下流であるポリアデニル化シグナルを含むヌクレオチド配列の一部に対して特異的な第二のプライマーを含むPCRプライマー対をデザインすることによって、プロモーター、コード配列、およびポリアデニル化シグナルを正しい(既定の)方向に含む完全長の機能的ds組換え型核酸分子のみが増幅されると思われる。特に、特定の反応産物、例えば、コード配列に結合したプロモーターのみを含む反応産物、およびニックを含む反応産物は増幅されない。このように、PCRを用いて、本発明の方法において有用であるようにdsヌクレオチド配列を特異的にデザインして、所望の成分および特徴を有するそれらの反応産物のみを選択的に増幅することができる。
【0119】
本明細書において用いられるように、ds組換え型核酸分子に関連して用いる場合に「共有結合した」という用語は、核酸分子が、トポイソメラーゼ媒介ライゲーションによって双方の鎖が共にライゲーションした少なくとも二つのdsヌクレオチド配列から生成されることを意味する。例えば、共有結合されるdsヌクレオチド配列の一つに共有結合したトポイソメラーゼは、他のdsヌクレオチド配列に共有結合したトポイソメラーゼと同じまたは異なりうる。このように、ワクシニアのトポイソメラーゼが一つのdsヌクレオチド配列に共有結合することができ、別のポックスウイルスまたは真核細胞核IB型トポイソメラーゼは他の鎖に結合することができる。しかし、一般的に、トポイソメラーゼは、異なる場合、同じファミリー、例えばIA型、IB型、またはII型のメンバーであるが、トポイソメラーゼが例えば、5'ホスフェートに共有結合して相補的3'オーバーハングを形成する場合、トポイソメラーゼは異なるファミリー、例えば、IA型とII型に由来しうる。
【0120】
「共有結合した」という用語はまた、本明細書において、一つの鎖が共にライゲーションされた少なくとも二つのヌクレオチド配列から生成された一本鎖または二本鎖核酸分子に関連して用いられる。例えば、トポイソメラーゼが、それに結合する第一のdsヌクレオチド配列の5'末端を第二のdsヌクレオチド配列の3'末端に共有結合させることができる条件で、5'末端またはその近傍で結合した一つのトポイソメラーゼを含む第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が、第二のdsヌクレオチド配列に接触する場合に作製されるds組換え型核酸分子は、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製することができる。
【0121】
一つの態様において、本発明に従って生成された双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は、二つのヌクレオチド配列がライゲーションされる部位でいずれの鎖にもニックを含まないが、分子の他の場所でニックを含みうる。一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法において、少なくとも端部が相補鎖において結合している位置でニックを含むds組換え型核酸分子が生成される。このニックを有するds組換え型核酸分子は、ニックを有するds組換え型核酸分子を細胞に導入することによって、または当技術分野で周知のようにリガーゼを用いるようなライゲーション反応をds組換え型核酸分子に行うことによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子に変換することができる。
【0122】
「組換え型」というという用語は、本明細書において本発明の方法に従って少なくとも二つのヌクレオチド配列を結合させることによって生成された核酸分子を意味するために用いられる。そのため、本発明に含まれるds組換え型核酸分子は、例えば、減数***の際に本来産生される可能性がある核酸分子とは区別される。例えば、本発明の特定の局面の方法に従って作製された双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は、dsヌクレオチド配列が結合される部位またはその近傍で相補鎖のそれぞれに一つずつ存在する、二つのトポイソメラーゼ認識部位の存在によって同定されうる。
【0123】
本発明の方法は、第一の端部、第二の端部、または双方で、第一のdsヌクレオチド配列が、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を3'末端またはその近傍で有し、そして同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を有する(または例えば、ホスファターゼに接触させることによって有するように作製することができる)第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;第一の端部、第二の端部、またはその双方で、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有し、同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を有する(または有するように作製することができる)、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列を、成分が接触して、トポイソメラーゼがその活性を発揮できる条件で接触させることによって行うことができる。トポイソメラーゼを、第一および第二の(または他の)dsヌクレオチド配列に接触させて、必要であれば切断すると、それぞれのヌクレオチド配列は、3'末端で共有結合したトポイソメラーゼを切断部位で含み、または接触した場合に、第一および少なくとも第二のヌクレオチド配列が双方の鎖において共有結合するように、5'末端でヒドロキシル基を有するまたは有するように作製することができる。したがって、本発明は、そのような方法によって産生された、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を提供する。
【0124】
本明細書において用いられるように、ヌクレオチド配列の3'(IB型)または5'(IA型またはII型)末端とトポイソメラーゼ認識部位との近位性に関連して用いる場合、「その場所でまたは近傍で」という用語は、その部位が3'末端または5'末端からそれぞれ約1〜100ヌクレオチド以内であること、一般的に末端から約1〜20ヌクレオチド以内、特にそれぞれの末端から約2〜12ヌクレオチド以内であることを意味する。トポイソメラーゼ認識部位が末端の約10〜15ヌクレオチド以内に存在する長所は、トポイソメラーゼによって切断されると、切断部位の下流の配列の部分が、共有結合したトポイソメラーゼを含む残りのヌクレオチド配列から自然に解離しうる点である(一般的に「自殺切断」と呼ばれ;例えば、Shuman、上記、1991;Andersenら、上記、1991を参照のこと)。トポイソメラーゼ認識部位が末端から約12〜15ヌクレオチド以上である場合、切断部位の上流または下流のヌクレオチド配列は、反応条件を改変することによって、例えば、トポイソメラーゼ切断部位を含む二本鎖の部分の融解温度以上の温度でのインキュベーション段階を提供することによって、配列の残りから解離するように誘導することができる。
【0125】
第一または第二の(または他の)dsヌクレオチド配列を、例えば、一つまたは双方の端部から約2〜15ヌクレオチドのIB型トポイソメラーゼ認識部位を含むように構築するさらなる長所は、部位特異的トポイソメラーゼによるdsヌクレオチド配列の切断後に5'オーバーハングが生成される点である。そのような5'オーバーハング配列は、それぞれ2〜15ヌクレオチドを含み、本明細書に開示のPCR法を用いて、望ましい如何なる配列も有するようにデザインすることができる。このように、切断された第一のdsヌクレオチド配列が、本発明の方法に従って選択された第二の(または他の)dsヌクレオチド配列に共有結合される場合、そして選択された配列が5'オーバーハング配列を有する場合、第一のdsヌクレオチド配列上の5'オーバーハングは、二つの(またはそれ以上の)配列が5'オーバーハングの相補性のために既定の方向に共有結合されるように、選択された第二の(または他の)ds配列上の5'オーバーハングと相補的となるようにデザインすることができる。上記のように、例えばIA型またはII型トポイソメラーゼによる切断によって生成された3'オーバーハング配列に関しても、類似の方法を用いることができる。
【0126】
本明細書において用いられるように、「第一の端部」および「第二の端部」とを有するヌクレオチド配列とは、ヌクレオチド配列が直線状であることを意味する。基質dsヌクレオチド配列は、高次コイルを含む直線状または環状となりうるが、一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼによる切断の結果として、直線状のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が一般的に産生される。例えば、二つのIB型トポイソメラーゼ認識部位を互いにそして相補鎖において約100ヌクレオチド以内、好ましくは互いにそして相補鎖において約20ヌクレオチド以内に含む環状のdsヌクレオチド配列を、それぞれの鎖が切断されて、介在配列が解離して、それによってトポイソメラーゼがそれぞれの端部に共有結合した直線状のdsヌクレオチド配列が生成されるように、部位特異的IBトポイソメラーゼに接触させることができる。
【0127】
dsヌクレオチド配列の第一の端部または第二の端部という用語は、ヌクレオチド配列の如何なる特定の方向を意味しないと解釈され、そして互いに関して端部の相対的重要性を意味しないと解釈されると理解すべきである。第一の端部と第二の端部とを有するヌクレオチド配列が二本鎖ヌクレオチド配列である場合、それぞれの端部は5'末端と3'末端とを含む。このように、本明細書において、例えば、第1の末端または第2の末端でありうる。3'末端でトポイソメラーゼ認識部位、そして同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を含むヌクレオチド配列を意味する。
【0128】
本発明の方法は、第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列のみを用いて行うことができる、またはさらに望ましいように第三、第四、またはそれ以上のdsヌクレオチド配列を含みうる。一般的に、それぞれのそのようなヌクレオチド配列は、少なくとも一つの3'または5'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断部位を含み、同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を含みうる、またはヒドロキシル基はホスファターゼを用いて作製することができる。ヌクレオチド配列が、第二のヌクレオチド配列に結合される端部またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含まない場合、トポイソメラーゼ認識部位は本明細書に開示の方法を用いて、例えば、トポイソメラーゼ認識部位の相補体を含むプライマーを用いて配列のPCR増幅によって、ヌクレオチド配列に導入することができる。
【0129】
「第一のヌクレオチド配列」、「第二のヌクレオチド配列」、「第三のヌクレオチド配列」等という用語は、本明細書においていくつかのヌクレオチド配列のうちどれが参照されているかを示す手段を提供するために限って用いられる。このように、特定のヌクレオチド配列に関して如何なる特定の定義された特徴もなく、「第一」、「第二」、「第三」等という用語は、ヌクレオチド配列またはヌクレオチド配列の集団もしくは複数に関連して用いる場合、ヌクレオチド配列に関する如何なる特定の順序、重要性、または他の情報も示さないと解釈される。このように、例示の方法が、増幅産物が一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を含むように第一のdsヌクレオチド配列を増幅するために、例えばPCRを用いることに言及している場合、同様に、第二(または他の)dsヌクレオチド配列もまたそのように増幅されうると認識されると思われる。
【0130】
「少なくとも第二のヌクレオチド配列」とは、本明細書において、第一のヌクレオチド配列の他に一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を意味するために用いられる。このように、この用語は第二のヌクレオチド配列のみ、または第二のヌクレオチド配列と第三のヌクレオチド配列(またはそれ以上)を意味しうる。そのため、「第二の(または他の)のヌクレオチド配列」または「第二の(および他の)ヌクレオチド配列」という用語は、本明細書において、「少なくとも第二のヌクレオチド配列」という用語が、第二、第三、またはそれ以上のヌクレオチド配列を意味しうるという事実を認識して用いられる。特に明記していない限り、「少なくとも第二のヌクレオチド配列」という用語の意味に含まれるヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列と同じまたは実質的に同じとなりうると認識すべきである。例えば、第一および第二のdsヌクレオチド配列は、第一および第二のdsヌクレオチド配列を本発明の方法を用いて共有結合させることができるように、トポイソメラーゼによる切断によって生じた相補的な5'オーバーハング配列を有することを例外として同じとなりうる。そのため、本発明の方法は、選択的に、例えば、調節要素のような第三のdsヌクレオチド配列が散在しうる、そして既定の方向に、例えば互いに関してそれぞれ5'から3'方向に共有結合した配列を含みうる、第一および第二のdsヌクレオチド配列のコンカテマーを生成するために用いることができる。
【0131】
本明細書において開示されるように、本発明の方法は、二つまたはそれ以上のdsヌクレオチド配列を既定の方向に共有結合させる手段を提供する。「方向」、「既定の方向」、または「既定の方向」という用語は、本明細書において、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が特定の順序で共有結合していることを意味するために用いられる。このように、本発明の方法は、コード配列の上流のプロモーター調節要素を共有結合させる手段、および機能的に発現可能なds組換え型核酸分子を生成するために、コード領域の下流のポリアデニル化シグナルを共有結合させる手段;またはそれらがフレームが一致して転写および翻訳されて融合ポリペプチドを生成することができるように二つのコード配列を共有結合させる手段を提供する。
【0132】
本発明の方法はまた、第一の端部、第二の端部、またはその双方で第一のdsヌクレオチド配列が3'末端に結合したIB型トポイソメラーゼを有し(トポイソメラーゼ負荷)、同じ端部の5'末端にヒドロキシル基を有する(または有するように作製することができる)、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および同じ端部の5'末端にヒドロキシル基を有する(または有するように作製することができる)、少なくとも第二のIB型トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を接触させることによって行うことができる。トポイソメラーゼおよび5'ヒドロキシル基を含む端部で、トポイソメラーゼ活性化第一および少なくとも第二のヌクレオチド配列を接触させると、ホスホジエステル結合がそれぞれの鎖に形成され、それによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が生成される。
【0133】
本発明はさらに、結合したds組換え型核酸分子の一つの鎖が共有結合しているが、双方の鎖は共有結合していない(すなわち、ds組換え型核酸分子は、ds組換え型核酸分子を形成するために、二つの端部が結合するそれぞれの位置で一つの鎖にニックを含む)、二つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7個等)のヌクレオチド配列を結合させる方法を提供する。説明する目的で図4Aに示す略図を用いて、本発明には、第一の端部、第二の端部、またはその双方で第一のdsヌクレオチド配列が5'末端に共有結合した部位特異的IA型トポイソメラーゼを有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および少なくとも一つの端部のいずれかの末端に共有結合したトポイソメラーゼを有しない第二のdsヌクレオチド配列を接触させることを含む、少なくとも二つのヌクレオチド配列を結合させる方法が含まれる。さらに、第二のヌクレオチド配列は、典型的に第一のdsヌクレオチド配列に結合される端部の3'末端でヒドロキシル基を有する。多くの場合において、結合させる二つのヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーションを可能にするために十分な配列相補性で3'または5'オーバーハングのいずれかを有すると思われる。関連する態様において、上記の第一および第二のdsヌクレオチド配列は、同じdsヌクレオチド配列の第一および第二の端部であってもよい。このように、二つの端部の結合によって、環状化分子が形成される。
【0134】
説明する目的の図4Bに示した略図を用いて、本発明には、三つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を結合する方法が含まれる。本発明の如何なる多様な変更も可能であるが、三つのヌクレオチド配列は、一つの端部の5'および3'末端の双方でトポイソメラーゼを含むリンカー分子を用いて結合してもよい。このように、三つのヌクレオチド配列を結合させると、接合部でニックを含まない第一の鎖と接合部でニックを含む第二の鎖とを含む一つのヌクレオチド配列が形成される。このプロセスは、三つのヌクレオチド配列を共に結合させるために一つのトポイソメラーゼ改変分子を用いる長所を有する。
【0135】
本発明はさらに、二つまたはそれ以上(例えば、2、3、4、5、6、7個等)のdsヌクレオチド配列の双方の鎖を共有結合させる方法を提供する。説明する目的で図5A に示す略図を用いて、本発明には、第一の端部、第二の端部、または双方の端部で、第一のdsヌクレオチド配列が、3'および5'末端にそれぞれ結合した二つのトポイソメラーゼ(例えば、IA型およびIB型トポイソメラーゼ)を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列;および少なくとも一つの端部のいずれかの末端にトポイソメラーゼが共有結合していない第二のdsヌクレオチド配列を接触させることを含む、少なくとも二つのヌクレオチド配列を結合させる方法が含まれる。さらに、第二のヌクレオチド配列はしばしば、第一のdsヌクレオチド配列に結合される端部の5'および3'末端でヒドロキシル基を有すると思われる。多くの場合、結合させる二つのヌクレオチド配列は、ハイブリダイゼーションを可能にするために十分な配列相補性で3'または5'オーバーハングのいずれかを有すると思われる。関連する態様において、上記の第一および第二のdsヌクレオチド配列は、同じdsヌクレオチド配列の第一および第二の端部となりうる。このように、二つの端部の結合によって、環状化分子が形成される。
【0136】
説明する目的で図5Dに示した図を用いて、本発明には、三つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を結合させる方法が含まれる。本発明の如何なる多様な変更も可能であるが、三つのヌクレオチド配列は、それぞれの端部の5'および3'末端の双方でトポイソメラーゼを含むリンカー分子を用いて結合してもよい。このように、三つのヌクレオチド配列を結合させると、接合部でニックを含まない一つのヌクレオチド配列が形成される。このプロセスは、三つのヌクレオチド配列を共に結合させるために一つのトポイソメラーゼ改変分子を用いる長所を有する。
【0137】
本発明はまた、組成物、および本発明の方法を実施するために有用な成分を含むキットを含む、そのような組成物を含むキットを提供する。一つの局面において、本発明の組成物は、本発明の方法の段階の特徴である単離された成分を含む。例えば、本発明の組成物は、二つまたはそれ以上の同じまたは異なるトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含みうる。本明細書において用いられるように、本発明の組成物のdsヌクレオチド配列に関連して用いられる「異なる」という用語は、dsヌクレオチド配列が、それぞれを最適に配置した場合に、95%未満の配列同一性を有すること、一般的に90%未満の配列同一性、そして通常70%未満の配列同一性を有することを意味する。このように、例えば、互いに多形性変種のみが異なる、または異なる5'もしくは3'オーバーハング配列を単に含むdsヌクレオチド配列は、本発明の組成物の目的にとって「異なる」とは見なされない。比較すると、異なるdsヌクレオチド配列は、ポリペプチドをコードする第一の配列と調節要素を含む第二の配列、または第一のポリペプチドをコードする第一の配列と非相同ポリペプチドをコードする第二の配列によって示される。
【0138】
本発明の組成物が、三つ以上の異なる単離されたdsヌクレオチド配列、または三つ以上の異なるトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含む場合、dsヌクレオチド配列のそれぞれは、互いに異なる、すなわち、それらは互いに全て異なる。しかし、それぞれのdsヌクレオチド配列、例えば第一のdsヌクレオチド配列と呼ばれる配列は、一般的に、互いに同一または実質的に同一であるそのようなヌクレオチド配列の集団を含むと認識されると思われる。このように、「異なる」という用語は、例えば、第一(または第一の集団)のdsヌクレオチド配列を第二(および他の)dsヌクレオチド配列と比較する場合に用いられることは明白となるはずである。二つまたはそれ以上の異なるトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含む組成物はさらに、トポイソメラーゼを含みうる。本発明の組成物の成分を含むそのようなdsヌクレオチド配列の例を本明細書に開示し、例えば、それらには、コード配列、転写調節要素、翻訳調節要素、エピトープタグまたは抗生物質抵抗性遺伝子のような検出または選択マーカーをコードする要素、細胞区画化ドメインまたはシグナルペプチドのようなポリペプチドドメインをコードする要素等が含まれる。
【0139】
本明細書において用いられるように、「単離された」という用語は、言及される分子が本来存在する以外の形であることを意味する。一般的に、単離されたヌクレオチド配列は、例えば、細胞におけるゲノムの一部ではない、または通常ヌクレオチド配列を含む細胞から物理的に分離されている、如何なるヌクレオチド配列ともなりうる。本発明の様々な組成物は、単離されたdsヌクレオチド配列の混合物を含むと認識すべきである。そのため、「単離された」という用語のみが、その天然の状態からの分子の単離に関して用いられるが、これは分子が唯一の成分ではないことを示していると理解されると思われる。
【0140】
本発明の組成物は、そのそれぞれが一つまたは双方の端部または近傍でトポイソメラーゼ認識部位と、トポイソメラーゼ認識部位でdsヌクレオチド配列に結合して切断することができる部位特異的トポイソメラーゼとを含む、二つの異なるdsヌクレオチド配列を含みうる。選択的に、異なるdsヌクレオチド配列の少なくとも一つは、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列となりうる。好ましくは、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列に共有結合したトポイソメラーゼは、組成物におけるトポイソメラーゼと同じファミリーに属する。
【0141】
成分の様々な組み合わせを本発明の方法において用いることができる。例えば、方法は、トポイソメラーゼ活性化第一のdsヌクレオチド配列;第一の端部、第二の端部、またはその双方で、第二のヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を有し、同じ端部の5'末端でヒドロキシル基を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第二のdsヌクレオチド配列;およびトポイソメラーゼを接触させることによって行うことができる。結合させる一つまたは双方の端部の5'末端が5'ホスフェート基を有する場合、ホスファターゼも同様に反応混合物の成分に接触させることができる。そのような接触を行うと、トポイソメラーゼは、第二のヌクレオチド配列を切断して、トポイソメラーゼによって活性化された第二のdsヌクレオチド配列を生成し、必要であれば、ホスファターゼは同じ端部で5'ヒドロキシル基を生成することができ、次に第二のdsヌクレオチド配列をトポイソメラーゼ活性化第一のdsヌクレオチド配列に共有結合させることができる。そのため、本発明の組成物は、本発明の方法を行うために有用な成分の様々な如何なる組み合わせも含みうる。
【0142】
一般的に、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための本発明の方法は、第一の配列と第二の配列がそれぞれ、結合させる端部でトポイソメラーゼ認識部位、例えば5'-(C/T)CCTT-3'(Shuman、上記、1991;米国特許第5,766,891号)を有する、第一のdsヌクレオチド配列を第二のdsヌクレオチド配列に接触させることによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を生成することができるという決定に基づいている。切断されると、部位特異的トポイソメラーゼが3'末端に共有結合する。切断されたヌクレオチド配列も同様に、結合したトポイソメラーゼと同じ端部で5'ヒドロキシル基を含み、二つのヌクレオチド配列の端部が会合すると、それぞれの3'末端上のトポイソメラーゼは、会合したヌクレオチド配列上の5'ヒドロキシル基にその末端を共有結合させることができる(図1を参照のこと)。
【0143】
本明細書において用いられるように、第一のヌクレオチド配列と少なくとも第二のヌクレオチド配列を「全ての成分が接触するような条件」で接触させるという場合、トポイソメラーゼがその酵素活性を発揮して、第一のヌクレオチド配列の3'または5'末端をそれぞれ、第二のヌクレオチド配列の5'または3'末端に共有結合させることができるように、ヌクレオチド配列のトポイソメラーゼ切断端部が十分な近位に来るために、反応条件が適当であることを意味する。反応温度、イオン強度、pH等を含むそのような条件の例は、本明細書に開示され、例えばトポイソメラーゼ切断によって生成された末端の特定の5'オーバーハング配列にとって必要な他の適当な条件は、経験的に、または当技術分野で周知であるように、ヌクレオチド配列の特異的ハイブリダイゼーションのための条件を予想する公式を用いて決定することができる(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Sambrookら、「Molecular Cloning : A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、1989;Ausubelら、「Current Protocols in Molecular Biology」、John Wiley and Sons、ボルチモア、メリーランド州(1987、および1995年までの補則)を参照のこと)。
【0144】
一つの態様において、本発明の方法は、一つまたはそれ以上の調節要素を推定のコード配列に機能的に結合させることによって、cDNAまたは単離されたゲノムDNA断片配列からのオープンリーディングフレームを発現可能にする手段を提供する。したがって、オープンリーディングフレームを含む第一のdsヌクレオチド配列は、望ましいように一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を有する増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成するプライマー対を用いて、好ましくは、部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、一つまたは双方の端部が明確な5'または3'オーバーハングを含むように、PCRによって増幅することができる。増幅された第一のdsヌクレオチド配列の双方の端部がそのように構築される場合、5'または3'オーバーハング配列は一般的に互いに異なるが、必ずしもそうではない。次に、増幅された第一のdsヌクレオチド配列を、プロモーターのような所望の調節要素を含み、特定の態様において、トポイソメラーゼ認識部位を含む第二のdsヌクレオチド配列と、トポイソメラーゼとに、第二のヌクレオチド配列が本発明の方法に従ってコード配列の5'端部に機能的に共有結合するように接触させることができる。
【0145】
そのような方法において、第二の(または他の)dsヌクレオチド配列も同様に、二つまたはそれ以上の調節要素、例えば、プロモーター、内部リボソーム流入部位、およびATG開始メチオニンコドン等、または他の対象の配列、例えば、エピトープタグをコードする配列を、互いに機能的に結合させて含むことができ、それらはコード配列を含む第一のdsヌクレオチド配列の5'端部に機能的に共有結合させることができる。そのような方法には、例えば、本発明の方法に従って機能的に共有結合させることができるポリアデニル化シグナルを含む第三のdsヌクレオチド配列をコード配列の3'端部に接触させて、それによって発現可能なds組換え型核酸分子を生成することがさらに含まれうる。そのため、本発明の方法は、機能的単位として転写、翻訳、またはその双方がなされうる機能的なds組換え型核酸分子を作製する手段を提供する。本明細書に開示するように、部位特異的トポイソメラーゼによって共に結合されるdsヌクレオチド配列の末端でトポイソメラーゼ切断によって生成された相補的な5'または3'オーバーハング配列を含めることにより、構築物におけるヌクレオチド配列の所望の方向を有するds組換え型核酸分子の生成が促進される。
【0146】
もう一つの態様において、本発明の方法は、第一のdsヌクレオチド配列、第二の(もしくは他の)dsヌクレオチド配列、またはその組み合わせが、複数のヌクレオチド配列の一つであるように行われる。本明細書において用いられるように、第一または少なくとも第二のヌクレオチド配列に関連して用いる場合に、「複数」という用語は、ヌクレオチド配列が関連するが、異なることを意味する。本発明の目的に関して、複数のヌクレオチド配列は、複数のそれぞれのヌクレオチド配列が一つまたはそれ以上の末端で少なくともトポイソメラーゼ認識部位またはその切断型を含む場合に「関連する」。さらに、複数のヌクレオチド配列は、それらが、例えば、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、多様なヌクレオチド配列集団等を含みうるという点において「異なる」。cDNAライブラリ、組み合わせライブラリ、多様なヌクレオチド配列集団を含むライブラリを作製する方法は、当技術分野で周知である(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,837,500号;米国特許第5,622,699号;米国特許第5,206,347号;ScottおよびSmith、Science 249:386〜390、1992;Marklandら、Gene 109:13〜19、1991;O'Connellら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:5883〜5887、1996;ゴールド、Science 249:505〜510、1990;Goldら、Ann. Rev. Biochem. 64:763〜797、1995を参照のこと)。
【0147】
本発明はさらに、プライマー対の少なくとも一つのプライマーがトポイソメラーゼ認識部位またはその相補体をコードして、それによって第一の端部、第二の端部、または双方が3'末端および/または5'末端でトポイソメラーゼ認識部位を有する、第一の端部と第二の端部とを有する第一のdsヌクレオチド配列を作製する、PCRプライマー対を用いて第一のヌクレオチド配列の一部を増幅すること;ならびに第一のdsヌクレオチド配列;第一の端部、第二の端部、または双方が3'末端および/または5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有する、第一の端部と第二の端部とを有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;およびトポイソメラーゼ、を接触させることによって、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法を提供する(図1を参照のこと)。トポイソメラーゼ認識部位を有する第一のdsヌクレオチド配列の端部と、トポイソメラーゼ認識部位を有する少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の端部が会合できる条件で接触させると、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が生成される。
【0148】
本明細書において開示されるように、増幅したdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を組み入れるようにデザインしたプライマーを用いるPCR法は、本発明の方法において有用なdsヌクレオチド配列を作製するための簡便な手段を提供する。特定の態様において、それが、5'から3'の方向に、トポイソメラーゼ認識部位に対して相補的なヌクレオチド配列と、増幅させる標的核酸分子(すなわち標的特異的領域)の3'端部に対して相補的なヌクレオチド配列とを含むように、プライマー対のプライマーの少なくとも一つをデザインする。さらに、プライマーは、トポイソメラーゼ認識部位の相補体に対して5'の位置で、如何なる長さ(一般的に約1〜100ヌクレオチド、通常約2〜20ヌクレオチド、特に約4〜12ヌクレオチド)の所望のヌクレオチド配列も含むことができ、これは部位特異的トポイソメラーゼによる増幅産物の切断後、所望の5'オーバーハングを形成する。PCRプライマー対の第二のプライマーは、増幅されるヌクレオチド配列の所望の配列に対して相補的となりうる、そしてトポイソメラーゼ認識部位に対する相補体、部位特異的トポイソメラーゼによる切断によって5'オーバーハングを生成する配列、または望ましい如何なる他の配列も含みうる。
【0149】
そのようなプライマーは、att部位、lox部位等のような部位特異的組み込み認識部位を含む対象の他の如何なる配列も含みうるもしくはコードしうる、または上記のように、そのような対象の配列を含むdsヌクレオチド配列にトポイソメラーゼ認識部位を導入するために単に用いることができる。本発明の方法に従って作製され、att部位またはlox部位のような部位特異的組み込み認識部位を含むds組換え型核酸分子は、必要な組み込み部位、例えば、それぞれatt部位またはlox部位を含む、そして部位特異的事象にとって必要な適当な酵素に接触する場合には、例えばそれぞれ、λIntおよびIHF蛋白質またはCreレコンビナーゼを含む、ベクターにおける所望の座、遺伝子座等に特異的に組み入れることができる。例えば、attBまたはattP配列を本発明の方法に従って双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子に組み入れることによって、ゲイトウェイ(GATEWAY)(商標)クローニングシステム(インビトロジェン社、カールスバッド、カリフォルニア州)を用いて核酸分子の簡便な操作を行うことができる。
【0150】
一つの態様において、本発明の方法に従って作製される構築物は、PCR反応または他の増幅反応によってさらに増幅される。本発明の方法に従って作製されたds組換え型核酸分子の直接PCRは、構築物の少なくとも一つの鎖が共有結合されているために行うことができる。そのため、PCRを用いて、大量の構築物を作製することができる。より重要なことは、上記のように、PCRは、部分的反応産物を得ることなく、本発明の方法に従って産生された所望の産物のみを得るためのインビトロ選択法を提供する。例えば、本発明の方法を用いて、プロモーターを含む第一のdsヌクレオチド配列、コード領域を含む第二のdsヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナルを含む第三のdsヌクレオチド配列を、5'から3'方向に機能的に結合させて含む、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製することができる。
【0151】
本明細書において開示されるように、結合されるdsヌクレオチド配列の端部に相補的5'オーバーハング配列を含めることによって、既定の方向を有する構築物を作製することができる。第一のdsヌクレオチド配列と相補的で、プロモーター配列の上流の第一のプライマーと、第三のdsヌクレオチド配列と相補的で、ポリアデニル化シグナルの下流の第二のプライマーとを含むPCRプライマー対を選択することによって、プロモーター、コード領域、およびポリアデニル化シグナルを含む機能的増幅産物を作製することができる。対照的に、第一のdsヌクレオチド配列または第三のdsヌクレオチド配列のいずれかを欠損する部分的反応産物は、第1または第2プライマーのいずれかが各々部分的産物にハイブリダイズしないので増幅されないと考えられる。さらに、第一と第三のdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列の相補性の欠損により、第二のdsヌクレオチド配列を欠損する構築物は作製されないと思われる。そのため、本発明の方法は、双方の鎖が共有結合した所望の機能的ds組換え型核酸分子を得るための手段を提供する。
【0152】
そのような方法にPCRを用いることは、対象の構築物を同定するために、本発明の方法に従って作製された多数の核酸分子をスクリーニングするための手段を提供する。自動高処理能分析においてPCRを用いる方法は日常的で周知であるため、本発明の方法は、高処理能システムにおいて用いるように容易に適合させることができる。そのようなシステムを用いれば、多数の構築物を同時にスクリーニングして、部分的または不完全な反応産物を同定して処置することができ、それによって、構築物の特徴を調べるため、またはさらなる実験において構築物の機能性を調べるために、そうでなければ必要な時間の浪費および出費を防止することができる。
【0153】
本発明の方法は、分子生物学の分野に広く適用される。下記により詳細に考察するように、本発明の方法は、例えば、DNAまたはRNAプローブを標識するため、方向性クローニング(実施例1.Bを参照のこと)を行うため、センスまたはアンチセンスRNA分子を生成するため(実施例2.Aを参照のこと)、2ハイブリッドアッセイを行うためのおとりまたは被食構築物を調製するため(実施例2.Cを参照のこと)、直線状の発現要素を調製するために(実施例2.Aおよび2.Bを参照のこと)、そしてインビトロ転写/翻訳カップリングアッセイにとって有用な構築物を調製するために(実施例2.Bを参照のこと)、用いることができる。例えば、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する方法は、プロモーターまたはオープンリーディングフレームに結合した他の調節要素のような二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を含む直線状の核酸分子からなる直線状の発現要素(LEEs)を作製する手段を提供する(実施例1を参照のこと)。LEEは、細胞に効率よくトランスフェクトすることが報告されており、このようにベクターにおいて発現要素をクローニングする必要がない(SykesおよびJohnston、Nat. Biotechnol. 17:355〜359、1999)。LEEの成分は非共有結合させることができ、またはライゲーション反応によって共有結合させることができる。非共有結合したLEEsの調製は、それぞれのヌクレオチド配列成分を増幅するためにデオキシウリジン残基を含むPCRプライマーを用いること、次に、ハイブリダイズすることができるオーバーハング端部を作製するためにウラシル-DNAグリコシラーゼによってPCR産物を処理することを必要とする。しかし、そのような非共有結合LEEsの効率は多様であり、場合によっては、共有結合したLEEsの効率よりはるかに低い(Sykesおよびohnston、上記、1999)。さらに、そのようなLEEsは、プライマー伸長反応が鋳型における過去のニックを超えることができず、したがって、終了して不完全な反応産物を生じるため、PCR増殖の鋳型としても使用に適さない。
【0154】
本発明の方法は、共有結合したLEEsを作製するための簡単で単純な手段を提供し、それによってLEEを調製するためにこれまでに記述されている不便なさらなる段階を行う必要がなくなると共に、非共有結合LEEsを用いて認められるトランスフェクション効率の変動を減少させる。例えば、対象のオープンリーディングフレームをコードする第一のdsヌクレオチド配列は、一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位、またはその切断産物を含むように、本明細書に開示されるようにPCRによって増幅することができる。さらに、PCRプライマーは、部位特異的トポイソメラーゼによる増幅された第一のdsヌクレオチド配列の切断によって切断産物が既定の所望の5'オーバーハング配列を含むように、デザインすることができる。第二のヌクレオチド配列(および第三または望ましければそれ以上)は、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含むことの他に、調節要素、例えば、プロモーター、エンハンサー、サイレンサー、スプライスアクセプター部位、翻訳開始部位、リボソーム認識部位または内部リボソーム流入部位、ポリアデニル化シグナル、開始メチオニンコドン、または停止コドンを含みうる、もしくはコードしうる、またはエピトープタグもしくは細胞区画化ドメインのような他の如何なる所望の配列もコードしうる。好ましくは、第一のdsヌクレオチド配列に共有結合させる第二(または他の)dsヌクレオチド配列は、結合される第一のdsヌクレオチド配列の端部で5'オーバーハングと相補的である5'オーバーハング配列を有する。トポイソメラーゼプロモーターの存在下でそのようなヌクレオチド配列を接触させると、プロモーターは例えば、オープンリーディングフレームの5'末端に機能的に共有結合することができ、ポリアデニル化シグナルは、オープンリーディングフレームの3'末端に機能的に共有結合することができ、それによって共有結合した機能的LEEが生成される(実施例1を参照のこと)。
【0155】
本発明において有用な調節要素の例を本明細書に開示し、それらには、転写調節要素、翻訳調節要素、ヌクレオチド配列またはポリペプチドの細胞内(または細胞外)での輸送または移動を促進する要素、検出可能な表現型を付与する要素等が含まれる。転写調節要素には、例えば、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルス、およびヘルペスウイルスからのプロモーターのようなプロモーターと共に、メタロチオネイン、骨格アクチン、ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼ、ホスホグリセレート、ジヒドロ葉酸レダクターゼ、およびチミジンキナーゼをコードする遺伝子のプロモーターと共に、GAL4プロモーターおよびラウス肉腫ウイルスLTRのようなウイルスの長末端反復(LTRs)からのプロモーター;免疫グロブリンエンハンサーのような構成的に活性な、またはSV40エンハンサーのような誘導型となりうるエンハンサー等が含まれる。例えば、メタロチオネインプロモーターは、構成的に活性なプロモーターであるが、銅、ニッケル、またはカドミウムイオンのような金属イオンに曝露されても同様に、高レベルの発現を誘導されうる。比較すると、テトラサイクリン(tet)誘導型プロモーターは、テトラサイクリンまたはテトラサイクリン類似体に曝露されると誘導されるが、そうでなければ不活性であるプロモーターの例である。転写調節要素はまた、コードされた産物の発現が個体における筋細胞、または培養、例えば臓器培養中の混合細胞集団における筋細胞に限定されるように、組織特異的調節要素、例えば、筋細胞特異的調節要素となりうる。例えば、筋クレアチニンキナーゼプロモーター(Sternbergら、Mol. Cell Biol. 8:2896〜2909、1998、参照として本明細書に組み入れられる)およびミオシン軽鎖エンハンサー/プロモーター(Donoghueら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:5847〜5851、1991、参照として本明細書に組み入れられる)を含む筋細胞特異的調節要素は、当技術分野で周知である。他の組織特異的プロモーターと共に細胞または生物の特定の発達段階に限って発現される調節要素は当技術分野で周知である。
【0156】
本発明の方法に従って構築物を作製するために有用な調節または他の要素は、様々な方法で得ることができる。特に、要素の多くは、市販のベクターに含まれ、そこから単離することができ、例えば、本明細書に開示のPCR法を用いて、一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を含むように改変することができる。さらに、本明細書において有用な配列、または有用な要素をコードする配列は周知であり、出版物に開示されている。多くの場合、要素、例えば、多くの転写および翻訳調節要素と共に、細胞区画化ドメインは、比較的短い配列であり、したがって、要素または要素をコードするヌクレオチド配列の化学合成を行いやすい。このように、一つの態様において、本発明の方法に従ってds組換え型核酸分子を作製するために有用な本発明の組成物を含む、または本発明のキットに含まれる要素は、化学合成することができ、望ましければ、要素の一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を含むように、さらに部位特異的トポイソメラーゼによる切断後にオーバーハング配列を含むように合成することができる。
【0157】
トポイソメラーゼ負荷ベクターは、以下のように作製することができる(Genome Res. 9:383〜392、1999)。ベクターを制限酵素によって直線にして「付着末端」を残す。T4 DNAリガーゼのようなリガーゼを用いて、アダプターオリゴヌクレオチドを、直線のDNAの双方の端部および双方の鎖にライゲーションする。アダプターオリゴヌクレオチドは、それがトポイソメラーゼによって切断され、ベクターのそれぞれの3'端部で共有結合したトポイソメラーゼ-DNA複合体を捕獲することができるように、5'-CCCTT-3'ワクシニアトポイソメラーゼI型認識部位を含み、配置する。次に、適合させたベクターを精製ワクシニアトポイソメラーゼと、ベクターのそれぞれの端部で「トポイソメラーゼ部位」を完全にするアニーリングオリゴヌクレオチドと共にインキュベートする。アニーリングオリゴヌクレオチドは、5'-CCCTT-3'を含むオリゴヌクレオチドにおいて最後のTと反対の「底の」鎖において切断またはニックを残すように作用する。トポイソメラーゼ切断部位(「離れる基」)の「下流」であるオリゴヌクレオチドアダプター断片は、トポイソメラーゼ切断時に放出され、トポイソメラーゼ-ベクター精製プロセスにおいて除去される。「離れる基」から5'ヒドロキシル基が存在しなければ、トポイソメラーゼは、DNA端部との共有結合複合体において捕獲されて、トポイソメラーゼ負荷ベクターを生成する。
【0158】
dsヌクレオチド配列が本発明の方法に従って共有結合される場合、ヌクレオチド配列は一般的に、生成された組換え型核酸分子が所望の構造を有し、所望の機能を行う、または所望の発現産物をコードするように機能的に結合する。本明細書において用いられるように、「機能的に結合した」という用語は、二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が、それらが一つまたは双方の配列またはその組み合わせに帰することができる機能を発揮するための一単位として作用するように、互いに関連して存在することを意味する。「機能的に共有結合した」という用語は、本明細書において、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製ために本発明の方法に従って作製された機能的に結合したヌクレオチド配列を意味するために用いられる。例えば、オープンリーディングフレームを含むヌクレオチド配列は、プロモーターが、それが細胞におけるゲノムにおいて通常会合しているオープンリーディングフレームの発現を行う場合と同様に、オープンリーディングフレームに対してその調節作用を付与するように、プロモーターに機能的に結合させることができる。同様に、オープンリーディングフレームを含む二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列は、転写および翻訳の際に、キメラ融合ポリペプチドが産生されるようにフレームが一致して機能的に結合させることができる。
【0159】
本発明の方法に従って作製された、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は、一般的に直線であるが、生成された構築物はまた、環状化ds組換え型核酸分子となりうる。さらに、環状ds組換え型核酸分子は、それがベクターの特徴を有し、例えば原核宿主細胞、真核宿主細胞、または双方における複製にとって必要な調節要素(発現制御配列)を含み;抗生物質抵抗性;多クローニング部位等を付与するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含みうるように生成することができる。そのような方法の長所は、本発明の方法に従って環状化した生成されたds組換え型核酸分子が、構築物が増幅される適当な宿主細胞に形質転換またはトランスフェクトさせることができる点である。このように、本発明の方法に従って生成された直線状のds組換え型核酸分子を大量に生成するために用いることができるPCRのようなインビトロ法の他に、本発明の方法に従って生成した環状化産物の大量を得るために、宿主細胞を用いるインビボ法を用いることができる。本発明に従うトポイソメラーゼ認識部位を含む、細菌の複製開始点、抗生物質抵抗性遺伝子等を含むそのような要素は、本明細書に開示の本発明のキットに含めるために有用な成分となりうる。
【0160】
一つまたは双方の鎖が共有結合した直線状のds組換え型核酸分子はまた、その全てが周知であり、販売元から購入することができるバクテリオファージ、バキュロウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、セムリキ森林ウイルス、およびアデノ随伴ウイルスベクターのようなプラスミドベクターまたはウイルスベクターとなりうるベクターにクローニングすることができる(プロメガ社、マディソン、ウィスコンシン州;ストラタジーン社、ラホヤ、カリフォルニア州;ギブコ/BRL社、ガイサースバーグ、メリーランド州)。望ましければ、ベクターは、一つまたは双方の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含むために、本発明の方法に従って、例えばPCR法を用いて直線にして改変することができる、または当業者によって構築することができる(一般的に、参照として本明細書に組み入れられる、Meth. Enzymol. 185巻、Goeddelら、(Academic Press,Inc.、1990);Jolly、Canc. Gene Ther. 1:51〜64、1994;Flotte、J. Bioenerg. Biomemb. 25:37〜42、1993;Kirshenbaumら、J. Clin. Invest. 92:381〜387、1993を参照のこと)。
【0161】
ウイルス発現ベクターは、細胞、特に被験者における細胞に導入される一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する目的で、本発明の方法が実践される場合に特に有用となりうる。ウイルスベクターは、それらが比較的高い効率で宿主細胞に感染でき、特異的細胞タイプに感染できる、または宿主における特定の細胞に感染するように改変することができるという長所を提供する。
【0162】
特定の宿主系において用いられるためにウイルスベクターが開発されており、例えば、昆虫細胞に感染するバキュロウイルス;哺乳類細胞に感染するレトロウイルスベクター、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に基づくベクターのような他のレンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター等が含まれる(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、MillerおよびRosman、BioTechniques 7:980〜990、1992;Andersonら、Nature 392:25〜30、補則、1998;VermaおよびSomia、Nature 389:239〜242、1997;Wilson、New Engl. J. Med. 334:1185〜1187、1996を参照のこと)。例えば、HIVに基づくウイルスベクターは、T細胞を感染させるために用いることができ、アデノウイルスに基づくウイルスベクターは、例えば、呼吸器上皮細胞に感染させるために用いることができ、ヘルペスウイルスに基づくウイルスベクターは、神経細胞に感染させるために用いることができる。AAVベクターのような他のベクターは、より広い宿主範囲を有することができ、したがって、様々な細胞タイプに感染させるために用いることができるが、ウイルスまたは非ウイルスベクターも同様に、受容体媒介事象を通して標的特異性を変化させるために特異的受容体またはリガンドによって改変することができる。
【0163】
本発明はまた、ウイルス核酸配列を含む組換え型核酸分子を調製する方法と共にそのような方法によって調製された共有結合した組換え型核酸分子および組換え型核酸分子を含む組成物を提供する。例えば、アデノウイルスに由来するウイルスベクターは、遺伝子治療の方法を含む、細胞に発現可能なポリヌクレオチドを導入するために用いられている。アデノウイルスベクターは、呼吸器上皮細胞に遺伝子を輸送するために特に魅力的な媒体である。アデノウイルスは呼吸上皮に自然に感染して、そこで軽度の疾患を引き起こす。アデノウイルスに基づく輸送系の他の標的は肝臓、中枢神経系、内皮細胞、および筋肉である。アデノウイルスは、非***細胞に感染することができるという長所を有する(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、アデノウイルスに基づく遺伝子治療の論評を示すKozarskyおよびWilson、Curr. Opin. Genet. Develop. 3:499〜503、1993;アカゲザルの呼吸上皮に遺伝子を輸送するためにアデノウイルスベクターを用いることを示すBoutら、Human Gene Ther. 5:3〜10、1994を参照のこと;同様に、Rosenfeldら、Science 252:431〜434、1991;Rosenfeldら、Cell 68:143〜155、1992;Mastrangeliら、J. Clin. Invest. 91:225〜234、1993;国際公開公報第94/12649号、および国際公開公報第96/17053号;米国特許第5,998,205号;およびWangら、Gene Ther. 2:775〜783、1995を参照のこと)。したがって、本発明は、アデノウイルス配列を含むベクターを作製する方法を提供し、呼吸上皮細胞のような細胞にポリヌクレオチドを導入するためにそのようなアデノウイルスベクターを用いる方法をさらに提供する。
【0164】
アデノ随伴ウイルス(AAV)およびヘルペスウイルスに由来するウイルスベクターも同様に、細胞、特に哺乳類細胞にインビトロおよびインビボで例えば遺伝子治療技術のためにポリヌクレオチドを導入するために用いることができる(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Walshら、Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 204:289〜300、1993;米国特許第5,436,146号;Wagstaffら、Gene Ther. 5:1566〜70、1998)。例えば、ヘルペスウイルスに由来するウイルスベクターは、神経細胞においてポリヌクレオチドを導入および発現するために望ましい応用にとって特に有用である。したがって、本発明はまた、ヘルペスウイルスまたはAAVヌクレオチド配列を含むベクターを作製する方法を提供し、ポリヌクレオチドを細胞に導入するためにそのようなウイルスベクターを用いる方法をさらに提供する。
【0165】
そのため、本発明は、ウイルスベクター(例えば、アデノウイルス、αウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、AAVベクター等)の一つまたはそれ以上の機能的特性を有する組換え型核酸分子を調製する方法を提供する。特定の態様において、本発明の方法は、一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列が由来するウイルスの特徴である機能、例えば、一つまたは少数の特定の宿主細胞における複製能、ウイルス粒子へのパッケージング能等を付与するウイルスゲノムの領域を含む。
【0166】
特定の態様において、本発明には、アデノウイルス配列を含む少なくとも一つ(例えば、1、2、3、4個等)のヌクレオチド配列を一つまたはそれ以上の他のヌクレオチド配列に共有結合させることによって、アデノウイルスベクターを調製する方法が含まれる。アデノウイルスベクターおよびアデノウイルスベクターを調製するために用いることができるヌクレオチド配列の特定の例は、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,932,210号、第6,136,594号、および第6,303,362号に開示されている。本発明の方法によって調製されるアデノウイルスベクターは、複製コンピテントまたは複製欠損となりうる。例えば、複製欠損アデノウイルスベクターが望ましい場合、アデノウイルスヌクレオチド配列は、E1a領域、E1b領域、およびE3領域の一つまたはそれ以上の全てまたは一部の欠失を含みうる。これらの領域の欠失を含むアデノウイルスベクターは、例えば、米国特許第6,136,594号に記載されている。したがって、本発明の方法によって調製されたアデノウイルスベクターを、ベクターを含む組成物、およびそのようなベクターの用途、例えば、異種ポリヌクレオチドを哺乳類(例えば、ヒト)の細胞に輸送するためにアデノウイルスベクターを用いることと共に提供する。このように、本発明は、遺伝子治療プロトコールにおいて用いるために適したベクターを調製する方法を提供する。典型的に、そのようなベクターは複製欠損である。
【0167】
特定の態様において、本発明のアデノウイルスベクターは、E1a領域、E1b領域、およびE3領域の一つまたはそれ以上が欠失していることを除き、実質的に完全なアデノウイルスゲノムを含む。さらに特定の態様において、非アデノウイルスヌクレオチド配列は、E1a領域、E1b領域、およびE3領域の一つまたはそれ以上に存在しうる。特定の態様において、本発明の方法によって調製されたアデノウイルスベクターは、少なくとも一つの複製開始点および/または選択マーカー、例えば、大腸菌細胞のような原核細胞においてベクターの増幅を可能にする原核細胞の複製開始点を含む。
【0168】
上記のように、AAVおよびヘルペスウイルスベクターはまた、本発明の方法に従って調製することができる。さらに、αウイルスベクター(例えば、シンドビスウイルスベクター、セムリキ森林ウイルスベクター、ロス川ウイルスベクター、ベネズエラウマ脳脊髄炎、西部ウマ脳炎ウイルスベクター、東部ウマ脳炎ウイルスベクター等)を本発明の方法に従って調製することができる。そのため、本発明は、そのような方法によって調製されたヘルペスウイルスベクター、AAVベクター、αウイルスベクター等を提供する。
【0169】
特定の態様において、方法には、αウイルス配列を含む少なくとも一つのヌクレオチド配列を一つまたはそれ以上の他のヌクレオチド配列に共有結合させることによって、αウイルスベクターを調製する方法が含まれる。αウイルスベクターおよびαウイルスベクターを調製するために有用なそのヌクレオチド配列の特定の例は、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,739,026号および米国特許第6,224,879号;ギブコ/BRL社の説明書マニュアル番号第10179-018号、「SFV遺伝子発現系(SFV Gene Expression System)」(ガイサースバーグ、メリーランド州);およびインビトロジェン社のシンドビス発現系マニュアル、カタログ番号K750-01(バージョンE;カールスバッド、カリフォルニア州)に記載されている。特定の態様において、本発明の方法においてαウイルスベクターを調製するために用いられるαウイルスヌクレオチド配列は、αウイルス起源となりうるが必ずしもその必要はない一つまたはそれ以上のパッケージングシグナル;一つまたはそれ以上のサブゲノムプロモーター;nsp1、nsp2、nsp3、nsp4等のような非構造蛋白質をコードする一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列;およびその組み合わせを含む。
【0170】
本発明のαウイルスベクターは、DNAまたはRNA分子として細胞に導入することができる。ベクターのDNA型を細胞に導入する場合、発現制御配列(例えば、誘導型、抑制型、または構成的発現制御配列)を用いて、RNA分子を作製することができ、そこから一つまたはそれ以上の非構造蛋白質を翻訳することができる。特定の態様において、非構造蛋白質は、αウイルスベクターのDNA型から生成された転写物の全てまたは一部に対応するRNA分子を増幅することができるRNA依存的RNAポリメラーゼを形成する。そのため、これらの非構造蛋白質は、RNA鋳型からRNA分子のさらなるコピーの産生を触媒することができ、それによってRNA増幅が得られる。さらに、高レベルの発現が望ましい一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を、サブゲノムプロモーターに機能的に結合させることができ、このように、一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列に対応するRNAが高レベルで産生される。
【0171】
例となる態様において、本発明の方法によって調製されたαウイルスベクターは、誘導型プロモーターがシンドビスウイルスのnsp1、nsp2、nsp3、およびnsp4をコードするRNA分子の転写を指示する、そしてシンドビスサブゲノムプロモーターがシンドビスウイルス起源ではないヌクレオチド配列に機能的に結合している、DNAを含む。本発明はまた、本発明の方法によって調製されたαウイルスベクター、そのようなαウイルスベクターを用いる方法、およびそのようなαウイルスベクターを含む組成物を提供する。
【0172】
本発明はさらに、ヌクレオチド配列の一つまたはそれ以上が一つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4個等)のウイルスパッケージングシグナル(例えば、上記のウイルスに由来する一つまたはそれ以上のパッケージングシグナル)を含む、ヌクレオチド配列を共有結合させる方法を提供する。そのようなパッケージングシグナルが存在することによって、本発明の方法によって調製した組換え型核酸分子のウイルスベクターのパッケージングが指示される。パッケージングされたウイルスベクターを調製する一つの方法は、ウイルス様の粒子の産生に適した蛋白質を発現するパッケージング細胞株に、本発明の方法に従って調製したウイルスベクターを導入または発現させることである。したがって、本発明は、本発明のパッケージングされた組換え型核酸分子、そのようなパッケージングされた核酸分子を調製する方法、およびパッケージングされた核酸分子を含む組成物を提供する。
【0173】
本発明の方法に従って一つまたはそれ以上の他のヌクレオチド配列に共有結合するヌクレオチド配列は、如何なるヌクレオチド配列ともなり得て、一般的に、それによって生成された共有結合した組換え型核酸分子に対して何らかの望ましい構造または機能的特徴を提供するヌクレオチド配列である。例えば、ヌクレオチド配列は、制限エンドヌクレアーゼ部位もしくはリコンビナーゼ認識部位を含みうる、または二つもしくはそれ以上の制限エンドヌクレアーゼ部位もしくはリコンビナーゼ認識部位、またはその組み合わせを含む、多クローニング部位を含みうる。そのため、本発明はまた、同じまたは異なりうる、そして共有結合した組換え型核酸分子において互いに隣接しうる、または一つもしくはそれ以上のヌクレオチド配列離れている、一つまたはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5、6個等)の多クローニング部位を含む共有結合した組換え型核酸分子を調製する方法を提供する。このように、本発明の方法において用いられる一つまたはそれ以上のヌクレオチド配列は、一つまたはそれ以上の多クローニング部位を含みうる。例えば、一つまたはそれ以上の多クローニング部位を含むリンカーを結合させることによって、組換え型核酸分子を調製するために用いられるヌクレオチド配列に、一つまたはそれ以上の多クローニング部位も同様に付加することができる。関連する局面において、本発明には、本発明の方法によって調製され、一つまたはそれ以上の多クローニング部位を含む組換え型核酸分子と共に、本発明の方法によって調製された組換え型核酸分子を改変するために一つまたはそれ以上のこれらの多クローニング部位を用いることが含まれる。本発明はまた、そのような方法によって生成された組換え型核酸分子と共に、これらの分子およびこれらの分子を含む組成物を用いることを提供する。一つの態様において、生成された組換え型核酸分子はさらに、組換え型核酸分子をベクターとして機能させるヌクレオチド配列、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、AAV、またはαウイルスヌクレオチド配列のようなウイルスヌクレオチド配列を含む。
【0174】
本発明の方法において有用なヌクレオチド配列はまた、一つまたはそれ以上のオペレータを含むまたはコードしうる。オペレータは当技術分野で周知であり、これには例えば、大腸菌のトリプトファンオペロンのトリプトファンオペレータが含まれる。トリプトファンリプレッサーは、トリプトファン二分子に結合すると、大腸菌トリプトファンオペレータに結合して、プロモーターに関して適切に配置されると(すなわち、機能的に結合すると)転写を阻害する。本発明について用いるために適したオペレータのもう一つの例は、大腸菌テトラサイクリンオペロンのオペレータである。大腸菌のテトラサイクリン抵抗性系の成分は、真核細胞において機能することができ、真核細胞、例えば、ヒト細胞のような哺乳類細胞において遺伝子発現を調節するために有用である。テトラサイクリンの非存在下でテトラサイクリンオペレータに結合して、遺伝子の転写を抑制するテトラサイクリンリプレッサーはまた、テトラサイクリンオペレータ配列を含むプロモーターからの転写を抑制するために十分な高濃度で植物細胞において発現されている(Gatzら、Plants 2:397〜404、1992)。テトラサイクリン調節発現系は、例えば、参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,789,156号に記載されている。方法において、または本発明の組成物を作製するために用いることができるオペレータのさらなる例には、Lacオペレータおよび大腸菌のモリブデン酸塩輸送オペレータ/プロモーター系のオペレータが含まれる(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Croninら、Genes Devel. 15:1461〜1467、2001;Grundenら、J. Biol. Chem. 274:24308〜24315、1999を参照のこと)。
【0175】
このように、特定の態様において、本発明は、原核細胞または真核細胞において、機能的に結合した発現可能なポリヌクレオチドの発現を調節するために用いることができる一つまたはそれ以上のオペレータを含む共有結合した組換え型核酸分子を調製する方法を提供する。認識されるように、オペレータを含むそのような組換え型核酸分子が、転写機構がインビボまたはインビトロのいずれかで存在する条件で配置されると、機能的に結合したポリヌクレオチドの発現の調節は、核酸分子を、リプレッサーと、オペレータに対する適当なリプレッサーの結合を促進する一つまたはそれ以上の代謝物とに接触させることによって調節することができる。したがって、本発明はさらに、オペレータの機能を調節する一つまたはそれ以上のリプレッサーをコードする共有結合した組換え型核酸分子を調製する方法と共に、そのような方法によって産生された組換え型核酸分子、組換え型核酸分子を含む組成物、ならびに組換え型核酸分子および組成物の用途を提供する。
【0176】
本発明の方法は、キメラポリペプチドをコードする核酸分子が生成されるように、オープンリーディングフレームを含む第一のdsヌクレオチド配列をオープンリーディングフレームを含む第二の(および他の)dsヌクレオチド配列に機能的に共有結合させるために用いることができる。キメラポリペプチドは、その中で二つ(またはそれ以上の)コードされるペプチド(またはポリペプチド)が単一の産物に翻訳される、すなわちペプチドがペプチド結合によって共有結合される融合ポリペプチドを含む。例えば、第一のdsヌクレオチド配列は、細胞質膜局在ドメイン、核局在シグナル、ミトコンドリア膜局在シグナル、小胞体局在シグナル等のような細胞の区画化ドメイン、またはそれに結合したペプチドの細胞への移動を促進しうるヒト免疫不全ウイルスTAT蛋白質形質導入ドメインのような蛋白質形質導入ドメインをコードすることができる(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Schwarzeら、Science 285:1569〜1572、1999;Derossiら、J. Biol. Chem. 271:18188、1996;Hancockら、EMBO J. 10:4033〜4039、1991;Bussら、Mol. Cell. Biol. 8:3960〜3963、1988;米国特許第5,776,689号を参照のこと)。そのようなドメインは、ドメインと、それに対して本発明の方法に従って共有結合される第二のdsヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドとを含む融合ポリペプチドを、細胞における特定の区画にターゲティングするために、または細胞から分泌させるために、もしくは細胞に流入させるために有用となりうる。そのため、本発明は、キメラポリペプチドをコードする双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する手段を提供する。
【0177】
本発明の方法に従って作製した核酸分子から発現された融合ポリペプチドはまた、発現された融合ポリペプチドが検出、単離等されうるように、検出可能な標識またはタグの特徴を有するペプチドを含みうる。例えば、本明細書において開示されるように、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含むdsヌクレオチド配列は、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、ルシフェラーゼ、もしくは他の酵素のような酵素をコードしうる;またはポリヒスチジン配列(例えば、ヘキサヒスチジン)、V5エピトープ、c-mycエピトープ、ヘムアグルチニンAエピトープ、FLAGエピトープ等のようなペプチドタグをコードしうる。検出可能な標識を含む融合ポリペプチドの発現は、適当な試薬を用いて、例えば、ルシフェラーゼを含む融合ポリペプチドにルシフェリンを付加した際の光の放射を検出することによって、またはポリヒスチジンタグを含む融合蛋白質に対するニッケルイオンの結合を検出することによって、検出することができる。同様に、タグを含む融合ポリペプチドの単離は、例えば、それに結合した抗c-mycエピトープ抗体を有するカラム上でmycエピトープを含む融合ポリペプチドを通過させた後、結合した融合ポリペプチドを溶出することによって、またはポリヒスチジンタグを含む融合ポリペプチドをニッケルイオンもしくはコバルトイオンアフィニティカラムに通過させて、結合した融合ポリペプチドを溶出することによって、行うことができる。そのような融合ポリペプチドを検出または単離する方法は、選択した検出可能な標識またはタグに基づいて当業者に周知であると思われる(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Hoppら、BioTechnology 6:1204、1988;米国特許第5,011,912号を参照のこと)。
【0178】
本発明の方法はまた、ヌクレオチド配列がプローブとして有用であるように、化学または小さい有機または無機部分を有するヌクレオチド配列を検出可能に標識するために用いることができる。例えば、3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有するdsヌクレオチド配列は、本発明の方法に従って共有結合した二本鎖組換え型核酸分子を作製する際に、生成された核酸分子が標識されるように、アビジンまたはストレプトアビジンを用いて検出することができるビオチン、蛍光化合物(例えば、Cy3、Cy5、Fam、フルオレセイン、またはローダミン)、放射性核種(例えば、硫黄-35、テクネチウム-99、燐-32、またはトリチウム)、常磁性スピン標識(例えば、炭素-13)、化学発光化合物等のような検出可能な部分をそれに結合させることができる。そのような部分によってヌクレオチド配列を検出可能に標識する方法は、当技術分野で周知である(例えば、参照として本明細書に組み入れられる、Hermanson、「Bioconjugate Techniques」、(Academic Press、1996を参照のこと)。さらに、検出可能な標識を用いて、本発明によって生成されたds核酸分子を捕獲することができる。最後に、検出可能な標識、例えばビオチンは、第一のdsヌクレオチド配列のトポイソメラーゼ負荷端部の第二のdsヌクレオチド配列の標識端部へのライゲーションを阻害するために用いることができ、このように第二のdsヌクレオチド配列の非標識端部へのライゲーションを指示する方法を提供する。細胞区画化ドメイン、または検出可能な標識もしくはタグをコードするヌクレオチド配列を含む、または転写もしくは翻訳調節要素を含む本明細書に開示のような、またはそうでなければ当技術分野で既知の要素は、本明細書に開示のようなキットの有用な成分となりうると認識されるべきである。
【0179】
本発明の方法は、例えば、2ハイブリッドアッセイを行うために有用なキメラポリペプチドをコードするds組換え型核酸分子を簡便に作製する手段を提供する。そのような方法において、第一のdsヌクレオチド配列は、一つまたはそれ以上の他のポリペプチドと特異的相互作用能を有することが疑われる、または相互作用能に関して調べられているポリペプチドまたはその関連するドメインをコードする。第一のdsヌクレオチド配列は、本明細書に開示するように一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位、および望ましければ5'オーバーハング配列を含むように改変される。本発明の方法に従って第一のdsヌクレオチド配列が共有結合される第二のdsヌクレオチド配列は、転写活性化ドメインまたはDNA結合ドメインをコードすることができ(例2.C)、そしてトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物と、それが結合される第一のdsヌクレオチド配列の端部と相補的な5'オーバーハング配列とを含む。トポイソメラーゼに接触すると、ヌクレオチド配列がまだトポイソメラーゼ負荷されていなければ、2ハイブリッドアッセイ(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、FieldsおよびSong、Nature 340:245〜246、1989;米国特許第5,283,173号;フェアロン(Fearon)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:7958〜7962、1992;チエン(Chien)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:9578〜9582、1991;Young、Biol. Reprod. 58:302〜311、1998を参照のこと)または逆2ハイブリッドアッセイ(参照として本明細書に組み入れられる、LeannaおよびHannink、Nucl. Acids Res. 24:3341〜3347、1996)、抑制されたトランス活性化系(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,885,779号)、蛋白質動員系(参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,776,689号)等のような2ハイブリッドアッセイの改変型を行うために有用な第一のハイブリッドが生成される。類似の方法を用いて第一のハイブリッド蛋白質のポリペプチドまたはそのドメインとの相互作用能に関して調べられる複数のポリペプチドを含みうる第二のハイブリッド蛋白質が生成される。
【0180】
同様に、キメラ蛋白質を作製するそのような方法は、dsヌクレオチド配列がさらに、トポイソメラーゼによって切断されると相補的3'オーバーハングを含みうる、結合させる端部の少なくとも一つの5'末端で部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を含む第一および第二のdsヌクレオチド配列を用いて、一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために本発明の方法に従って行うことができる。
【0181】
同様に、キメラ蛋白質を作製するそのような方法は、dsヌクレオチド配列がトポイソメラーゼによって切断されると相補的3'オーバーハングをさらに含みうる;または第一もしくは第二のdsヌクレオチド配列の一つが、少なくとも一つの端部の5'末端および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位もしくはその切断産物を含みうる、そして他のdsヌクレオチド配列が、結合させる端部で3'ヒドロキシル基および5'ヒドロキシル基を含みうる、そしてトポイソメラーゼによって切断されると、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列は、結合させる他のdsヌクレオチド配列の端部で5'または3'オーバーハングとそれぞれ相補的である、そしてそれらとのハイブリダイゼーションを促進する5'または3'オーバーハングを含みうる、結合させる端部の少なくとも5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む第一および第二のdsヌクレオチド配列を用いて、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために本発明の方法に従って行うことができる。
【0182】
本明細書に開示するように、第一のdsヌクレオチド配列は、複数のヌクレオチド配列、例えば、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列または多様なヌクレオチド配列集団の組み合わせライブラリの一つとなりうる。そのため、本発明の方法の特に有用な態様は、ポリペプチド集団において起こる蛋白質-蛋白質相互作用を同定するための高処理能2ハイブリッドアッセイを行うために、キメラポリペプチドをコードする組換え型ポリヌクレオチドを作製することである(そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第6,057,101号および米国特許第6,083,693号を参照のこと)。そのような方法では、それぞれの複数が、少数の関連するが異なるヌクレオチド配列からそのような配列の何万にも及ぶ複雑度を有する、ポリペプチドをコードする二つのヌクレオチド配列の集団(複数集団)を調べる。例えば、PCRプライマー対の少なくとも一つのプライマーが、少なくともトポイソメラーゼ認識部位またはその相補体を含む、それぞれのヌクレオチド配列の複数を増幅するためにPCRプライマー対を用いて本発明の方法を行うことによって、キメラおとりポリペプチドの集団とキメラ被食ポリペプチドの集団とをコードする共有結合組換え型ポリヌクレオチドは、そのそれぞれがトポイソメラーゼ認識部位を含む増幅された複数のヌクレオチド配列を、トポイソメラーゼと、トポイソメラーゼ認識部位を含み、転写活性化ドメインまたはDNA結合ドメインをコードするヌクレオチド配列とに接触させることによって、容易に生成することができる。
【0183】
本発明の方法の実践にあたって、第一のdsヌクレオチド配列も同様に、例えば、リボプローブ、アンチセンスヌクレオチド配列、リボザイム、三重ヌクレオチド配列、干渉RNA(RNAi)、もしくはサプレッサーtRNAとして機能しうる、またはインビトロ翻訳反応において用いることができるリボ核酸(RNA)分子をコードすることができ、そして第二のdsヌクレオチド配列は、第一のヌクレオチド配列からのRNAを発現させるために有用な調節要素をコードしうる(実施例2.Aを参照のこと)。例えば、大量のRNAを産生することが望ましい場合、本発明の方法を行うための第二のdsヌクレオチド配列成分は、T7、T3、またはSP6 RNAポリメラーゼプロモーターのようなRNAポリメラーゼプロモーターを含みうる。RNA分子が細胞において発現される場合、例えば、アンチセンス分子を哺乳類細胞において発現させる場合、第二の(または他の)dsヌクレオチド配列には、哺乳類細胞において活性であるプロモーター、特に標的細胞に限って活性である組織特異的プロモーターが含まれうる。さらに、RNA分子が、例えばインビトロ転写/翻訳カップリング反応において翻訳される場合、第一のヌクレオチド配列または第二の(または他の)ヌクレオチド配列は、適当な翻訳調節要素を含みうる(実施例2.Bを参照のこと)。
【0184】
本発明の方法は、例えば、サプレッサーtRNA分子をコードする共有結合した組換え型核酸分子を生成するために用いることができる。サプレッサーtRNAをコードするヌクレオチド配列は、発現制御要素、特に構成的に活性または誘導型となりえて、原核細胞または真核細胞において機能的となりうる転写プロモーターに機能的に結合させることができる。さらに、同じ組換え型核酸分子または異なる組換え型核酸分子は、サプレッサーtRNAによって抑制されうる停止コドンを含むヌクレオチド配列がそのあいだに存在する第一および第二のコード配列を含みうる。次に、サプレッサーtRNAが発現されると、停止コドンを抑制することができ、それによって融合蛋白質が生成される。例えば、サプレッサーtRNAが誘導型プロモーターから発現可能である場合、細胞に導入することができる系は、第一のコード配列(サプレッサーtRNAの発現の非存在下)によってコードされるポリペプチド、または望ましいように、単に誘導型プロモーターに対して特異的な誘導物質を含めるまたは除外することによって、第二のコード配列(サプレッサーtRNAの発現の存在下)によってコードされるポリペプチドに機能的に結合した第一のコード配列によってコードされるポリペプチドを含む融合蛋白質を発現する手段を提供する。そのような系のポリペプチドは、本明細書に例示する、またはそうでなければ当技術分野で既知の如何なるポリペプチドとなりうる。
【0185】
本発明の方法はまた、インビボで遺伝子の沈黙化を可能にする構築物を産生するために用いてもよい。遺伝子を沈黙化する一つの方法は、二本鎖RNAiを産生することを含む(例えば、参照として本明細書に組み入れられる、Metteら、EMBO J. 19:5194〜5201、2000を参照のこと)。それによってRNAiが機能すると考えられている作用機序は、Fjoseら(Biotechnol. Ann. Rev. 7:31〜57、2001)によって論評され、二本鎖RNAが特異的RNA分子の分解を誘導できるか否かに基づいているように思われる。この作用機序は、二本鎖RNAを、相同的なRNA標的(例えば、mRNA標的)に対してリボヌクレアーゼを向ける短いRNAに変換することを含むことが報告されている。本発明の方法は、RNAiのような分子を産生するために多くの方面で用いることができる。このように、本発明の核酸分子の発現産物は遺伝子発現を沈黙化するために用いることができる。
【0186】
RNAiを産生するようにデザインされた核酸分子の一つの例は、双方の鎖に対応するRNAが、2つの異なる転写物としてまたは同じ転写物の一部として産生されるように、核酸セグメントが一つまたはそれ以上のプロモーターに結合している分子である。例えば、同じまたは異なっていてもよい2つの離れたRNAポリメラーゼプロモーター(例えば、T7プロモーターおよび/またはSP6プロモーター)は、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列に対して5'および3'に存在することができる。さらに、RNAポリメラーゼプロモーターは、それぞれのプロモーターによって促進される転写によって、発現可能なポリヌクレオチドのそれぞれの鎖に対応するRNAが産生されるように、発現可能なポリヌクレオチドに機能的に結合させることができる。このように、一つのプロモーターからの転写によって、センスRNAが産生され、他のプロモーターの転写によって、アンチセンスRNAが産生される。RNA鎖は相補的であるため、それらは、RNAi分子を産生する生理的条件において互いにハイブリダイズすることができる。
【0187】
RNAiを産生するために用いることができる組換え型核酸分子のもう一つの例は、その中でオープンリーディングフレームがそれぞれの端部で、オープンリーディングフレームの転写を反対方向に促進するプロモーターに隣接する分子である。第三の例として、二本鎖RNAは、一つの末端で「早戻し」領域(例えば、長さが6、7、8、9、10ヌクレオチド等である領域)を有するRNA分子をコードする組換え型核酸分子から産生することができる。そのようなRNA転写物は、一つの末端またはその近傍でヘアピンターンを形成することができ、RNA依存的RNAポリメラーゼの存在下で適当な条件でインキュベートすると、ヘアピンによって形成された二本鎖領域が第二の鎖の合成をプライミングして、RNAi分子のような二本鎖RNA分子を形成することができる。
【0188】
上記の組換え型核酸分子から上記のRNAiを産生するためにデザインされたヌクレオチド配列は、遺伝子の完全なコード配列(すなわち、エキソンの全てを含む少なくとも一部)または完全長のオープンリーディングフレーム(ORF)に対応しうるが、必ずしもその必要はない。例えば、ヌクレオチド配列がORFの一部に対応して、したがってORFの全てに対応しないRNA分子をコードする場合、ヌクレオチド配列は、少なくとも約15(例えば、約20、約30、約40、約50、約60等)ヌクレオチド、例えば、少なくとも約15〜約30(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30)ヌクレオチドを、ORFの5'端部、ORFの3'端部、またはORFの内部に含みうる。このように、特定の態様において、本発明は、少なくとも3つの共有結合したヌクレオチド配列を含む組換え型核酸分子を調製する方法を提供する。いくつかの態様において、ヌクレオチド配列の少なくとも2つは、少なくとも1つ(例えば、長さが少なくとも約20、少なくとも約30、少なくとも約40、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約100ヌクレオチド等の領域)の配列同一性領域、例えば、長さが約15〜30(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30)ヌクレオチドのの配列同一性領域を有する。他の態様において、一つのヌクレオチド配列は、ヌクレオチド配列分子の内部部分からの転写を反対方向に付与することができる領域によって隣接され、このように、センスおよびアンチセンスRNA転写物を生成することができる。そのため、本発明は、本発明の方法によって調製される共有結合した組換え型核酸分子を提供し、遺伝子発現を阻害する、または特異的標的RNA分子の分解を促進するためにそのような分子を用いる方法をさらに提供する。
【0189】
本発明はまた、アンチセンスRNA(例えば、アンチセンスmRNA)を発現するために用いることができる共有結合した組換え型核酸分子を作製する方法も提供する。RNAiを産生するために上記と類似の方法を用いることができるが、コード鎖のみが一般的に転写され、それによってアンチセンスRNA分子が生成される。
【0190】
RNAiおよびアンチセンスRNAのような成分を用いることを含む遺伝子沈黙化法は、例えば、遺伝子機能を同定するために特に有用である。より詳しく述べると、遺伝子沈黙化法を用いて、細胞または生物における一つまたはそれ以上の遺伝子の発現を減少または阻害することができる。次に、遺伝子機能の選択的阻害に関連した表現型の発現を用いて、「沈黙化した」遺伝子または複数の遺伝子に役割を割付することができる。例として、Chuangら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 97:4985〜4990、2000)は、RNAiのインビボ産生がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)における遺伝子活性を変化させうることを証明した。このように、本発明は、RNAi分子、アンチセンスRNA分子、またはその組み合わせを発現させることによって、インビボで(例えば、細胞および組織において)および/またはインビトロで核酸分子の発現を調節する方法を提供する。本発明はさらに、発現可能なポリヌクレオチドの一つまたは双方の鎖に対応するRNAを産生するために有用な共有結合した組換え型核酸分子を調製する方法を提供する。
【0191】
関連する態様において、センスRNAまたはアンチセンスRNAの転写を促進するプロモーターは、構成的(例えば、CMVプロモーター、SV40プロモーター等)、誘導型(例えば、メタロチオネインプロモーター等)、または抑制型のいずれかとなりうる。このように、例えば、2つの異なる誘導型プロモーターを用いて、センスRNAおよびアンチセンスRNAの転写を促進することができる。そのような場合において、プロモーターの活性化は、センスRNA、アンチセンスRNA、またはセンスRNAとアンチセンスRNAの双方の産生を誘導するために用いることができる。さらに、産生されたセンスRNAおよび/またはアンチセンスRNAの量は、例えば、段階的なプロモーターの誘導および/または抑制を用いて関連させることができる。
【0192】
本発明はまた、リボザイムをコードする共有結合した組換え型核酸分子を作製する方法と共に、そのような組換え型核酸分子を含む組成物および遺伝子沈黙化のためにそのような分子を用いる方法にも関する。特に、本発明は、1)標的遺伝子に対応するアンチセンスRNA、および2)RNAを切断する一つまたはそれ以上のリボザイム(例えば、ハンマーヘッドリボザイム、ヘアピンリボザイム、δリボザイム、テトラヒメナ(Tetrahymena)L-21リボザイム等)を含むアンチセンスRNA/リボザイム融合体を提供する。本発明によってさらに、そのような融合体を発現するベクター、そのようなベクターを作製する方法、およびそのようなベクターを用いて遺伝子発現を抑制する方法が提供される。
【0193】
リボザイムに融合したアンチセンス分子の発現は、例えば、転写物のアンチセンスRNA部分が特定のmRNA分子とハイブリダイズするようにデザインすることができることから、細胞において特異的RNA分子を切断するために用いることができる。さらに、転写物のリボザイム部分は、ハイブリダイズしたRNA分子を切断するようにデザインすることができる。例えば、リボザイムは、二本鎖RNAを切断するリボザイム(例えば、テトラヒメナL-21リボザイム)となりうる。
【0194】
本発明はさらに、第二のヌクレオチド配列と一つまたはそれ以上の相同性領域を有する第一のヌクレオチドを用いて、第一のヌクレオチド配列に第二のヌクレオチド配列の全てまたは一部を挿入するクローニング反応を実施するために適したヌクレオチド配列を提供する。本発明はさらに、そのようなクローニング反応を実施するための組成物および方法を提供する。
【0195】
そのようなプロセスの一例は、RecE/Tクローニング(参照として本明細書に組み入れられる、国際公開公報第01/04288号を参照のこと)。典型的に、RecE/Tクローニングにおいて、直鎖状の第一のヌクレオチド配列(例えば、ベクター)を、1)細胞に存在する第二のヌクレオチド配列(例えば、プラスミド、細菌人工染色体、天然の染色体等)の2つの離れた隣接領域(例えば、長さが約20〜30、約20〜40、約20〜50、約30〜40、約40〜50、約40〜60、約40〜80、または約50〜90ヌクレオチド等である領域)と相同性を有する末端領域、2)選択マーカー、および3)複製開始点を含む細胞に導入する。直鎖状の第一のヌクレオチド配列は一般的に、それが環状化した場合に限って複製する。さらに、第一のヌクレオチド配列は典型的に、第二のヌクレオチド配列との組換えを受けて、相同性領域のあいだに介在する第二のヌクレオチド配列の一部を獲得すると環状化する。そのような態様において、第一のヌクレオチド配列における相同性領域は、典型的に、第二のヌクレオチド配列と比較して逆方向であると思われる。一般的に、組換えが起こる細胞は、RecE/TまたはRedα/βのようなリコンビナーゼを発現する細胞である。このように、本発明は、主に、RecE/Tクローニングを行う方法、そのような方法によって調製された共有結合したds組換え型核酸分子、そのような組換え型核酸分子を含む組成物、ならびにそのような核酸分子および組成物を用いる方法を提供する。
【0196】
RecE/Tプロセスの改変を用いて、異なる多くの端部産物を作製することができる。例えば、相同性領域を様々な方法で配置する場合、第一のヌクレオチド配列は、1)第二のヌクレオチド配列に挿入するために、または2)第二のヌクレオチド配列の一部を欠失するために、デザインすることができる。典型的に、第二のヌクレオチド配列に第二のヌクレオチド配列を挿入することが望ましい場合、第一のヌクレオチド配列の相同性領域は、第二のヌクレオチド配列の相同性領域に関して同じ方向である。さらに、第二のヌクレオチド配列からの核酸の欠失が望ましい場合、第一のヌクレオチド配列の相同性領域は一般的に、第二のヌクレオチド配列における相同性領域とは逆方向である。同様に、第二のヌクレオチド配列に第一のヌクレオチド配列を挿入することが望ましい場合、典型的に、第一のヌクレオチド配列は複製開始点を欠損する。したがって、本発明は、そのようなプロセスを行う方法と共に、上記の方法において用いられるヌクレオチド配列および組成物を提供する。
【0197】
本発明の方法は、標的DNA配列に部位特異的に挿入することができる発現可能なds組換え型核酸分子を作製するために特に有用となりうる。標的DNA配列配列は、如何なるDNA配列ともなりえて、特にゲノムDNA配列となりえて、好ましくは、それに対するヌクレオチド配列のいくつかまたは一部が既知である遺伝子となりうる。方法は、第一のdsヌクレオチド配列が、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物をそれぞれの端部の3'末端に含み、そして選択的にそれぞれの端部の5'末端にヒドロキシル基を含む、そして好ましくは、5'末端は、互いに異なる5'オーバーハング配列を含む、第一の端部と第二の端部とを有し、ポリペプチド、例えば、選択マーカーをコードする第一のdsヌクレオチド配列を利用することによって;ならびに本発明の方法に従って第一のdsヌクレオチド配列を第一および第二のPCR増幅産物に共有結合させることによって、行うことができる。第一および第二の増幅産物は、構築物が挿入される部位の上流および下流の配列から生成され、それぞれの増幅産物は、トポイソメラーゼ認識部位を含み、好ましくは、部位特異的トポイソメラーゼとの接触後生成される5'オーバーハング配列を含む。好ましくは、第一および第二の増幅産物は、それぞれが第一のdsヌクレオチド配列の既定の端部に結合することができるように、異なる5'オーバーハング配列を有する。そのような方法は、同様に、トポイソメラーゼによって切断されると、トポイソメラーゼ負荷分子がトポイソメラーゼを含む一つまたは双方の端部で3'オーバーハングを含みうる、一つまたは双方の端部の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含むds増幅産物を用いて行うことができる。さらに、方法は、トポイソメラーゼによって切断されると、トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が好ましくは、トポイソメラーゼを含む一つまたは双方の端部で5'または3'オーバーハングを含む、一つまたは双方の端部の5'末端および3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含むds増幅産物を用いて行うことができる。
【0198】
第一および第二の増幅産物は、2組のPCRプライマー対を用いて作製される。2組のPCRプライマー対は、Taqポリメラーゼのような適当なポリメラーゼと増幅される配列を含む鋳型との存在下で、プライマーが選択マーカーの挿入部位に対して上流で隣接して、そして下流で隣接する標的DNA配列の一部を増幅するように選択される。さらに、PCRプライマー対の組は、増幅産物がトポイソメラーゼ認識部位と、部位特異的トポイソメラーゼによる切断後、選択マーカーに共有結合される端部で5'オーバーハング配列とを含むようにデザインされる。そのため、第一のPCRプライマー対は、1)それに対して増幅産物が共有結合される選択マーカーの端部の5'オーバーハング配列と相補的なヌクレオチド配列、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列と、挿入部位の上流で標的DNA配列の3'配列と相補的なヌクレオチド配列とを、5'から3'方向に含む第一のプライマー;ならびに2)それに対して第一のプライマーが相補的である3'配列の上流、すなわち挿入部位の下流の標的ゲノムDNAのヌクレオチド配列を含む第二のプライマーを含む。第二のPCRプライマー対は、1)それに対して共有結合される選択マーカーの端部の5'オーバーハング配列と相補的なヌクレオチド配列、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列、および標的ゲノムDNAの5'配列がそれに対して第一のPCRプライマー対の第一のプライマーが相補的である標的DNA配列の3'配列の下流に存在する、標的DNA配列の5'配列のヌクレオチド配列を、5'から3'方向に含む第一のプライマー;第二のプライマー対の第二のプライマーは、第一のプライマーに含まれる標的ゲノムDNAの5'配列の下流である標的DNA配列の3'配列と相補的なヌクレオチド配列を含む。当業者は、標的ゲノムDNAの5'配列と相補的なプライマーの配列が標的DNAの配列に基づいて選択されることを認識すると思われる。
【0199】
選択マーカー、第一および第二の増幅産物、ならびにトポイソメラーゼ(分子がトポイソメラーゼ負荷でない場合)を含むdsヌクレオチド配列が接触すると、本発明の方法に従って、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が生成される。生成されたds組換え型核酸分子は、望ましければ、標的ゲノムDNAの上流と下流の配列に対して特異的なPCRプライマーを用いて、このように、機能的構築物のみが確実に増幅されるように増幅することができる。生成されたds組換え型核酸分子は、ゲノムにおいて相同的組換えを行うために、例えば、細胞における遺伝子の機能をノックアウトするために、または生成された組換え型核酸分子を含む細胞に新規表現型を付与するために、有用である。方法はさらに、そのゲノムにおいて安定に維持された生成されたds組換え型核酸分子を有するヒト以外のトランスジェニック生物を作製するために用いることができる。
【0200】
本発明の方法はまた、複数のdsヌクレオチド配列のそれぞれを含む、対象のdsヌクレオチド配列の一つまたは双方の端部にアダプターまたはリンカー配列を共有結合させるために有用である。例えば、第一のdsヌクレオチド配列の双方の端部にリンカーを付与することが望ましい場合、方法は、一つまたは双方の3'または5'末端にトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を有し、双方の5'末端にヒドロキシル基を含みうる第一のdsヌクレオチド配列;ならびにそのそれぞれが適当な3'または5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含みうる、そして同様に望ましければ同じ末端で5'ヒドロキシル基を含みうる、第二のdsヌクレオチド配列および少なくとも第三の二本鎖ヌクレオチド配列に、トポイソメラーゼを接触させることによって行うことができる。適当な末端は、リンカーを少なくとも一つの鎖において第一のヌクレオチド配列に共有結合させる末端である。一つの態様において、一つまたは双方のリンカー配列は、それに対してリンカーが共有結合する第一のdsヌクレオチド配列の端部の5'末端で配列と相補的なオーバーハング配列を含み、それによって適当な(既定の)方向にヌクレオチド配列の最初の会合を促進する(例えば、図2および実施例1.B.を参照のこと)。そのような方法を行う場合、第二および少なくとも第三のヌクレオチド配列を含むリンカー配列は同じまたは異なりうる。
【0201】
図7は、配列の一つの端部の5'末端に結合したトポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ)を含み、同じ端部がさらに3'オーバーハングを含むdsヌクレオチド配列を調製するプロセスの一例を示す(図7の(4)を参照のこと)。段階Aにおいて、トポイソメラーゼによって改変すべきヌクレオチド配列を、「付着」末端を生じる制限酵素によって消化する。次に、制限されたヌクレオチド配列を、段階Bにおいて5'末端に結合したトポイソメラーゼを含む直線状の一本鎖ヌクレオチド配列とリガーゼ(例えば、T4 DNAリガーゼのようなDNAリガーゼ)とに接触させる。直線状の一本鎖ヌクレオチド配列はまた、2つの分子がハイブリダイズするように、制限酵素によって生成された「付着」末端に対して十分な配列相補性を有する領域を3'末端に含む。このように、段階Bにおいて、二つのヌクレオチド配列は互いにライゲーションされる。段階Cにおいて、第二の段階の産物を、段階Bにおいて生成された直線状の一本鎖核酸分子の一部と配列相補性を有する第三のヌクレオチド配列に接触させる。(4)に示す段階Cの産物は、一つの端部の5'末端に結合したトポイソメラーゼおよび同じ端部に3'オーバーハングを含むdsヌクレオチド配列である。例示の方法の様々な変更は本発明の範囲内であると認識されると思われる。例えば、一つの端部の3'末端に結合したトポイソメラーゼを含む、またはトポイソメラーゼが結合する端部で5'オーバーハングもしくは平滑末端を有する核酸分子を調製するために類似のプロセスを行うことができる。もう一つの例において、図7において3番と表示されるヌクレオチド配列は、以下のように産生することができる:dsヌクレオチド配列を制限酵素によって消化して、IA型トポイソメラーゼ認識部位を含む一本鎖5'オーバーハングを有するdsヌクレオチド配列を作製することができる。次に、一本鎖オーバーハングを有するdsヌクレオチド配列をIA型トポイソメラーゼに接触させて、IA型トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を作製することができる。
【0202】
図8は、一本鎖または二本鎖DNAが一本鎖RNAに共有結合する本発明の二つの態様を示す。一本鎖DNAを一本鎖RNAに結合させる場合、リボヌクレオチド配列の3'端部をデオキシリボヌクレオチド配列の5'端部に共有結合させる。二本鎖DNAを一本鎖RNAに結合させる場合、リボヌクレオチド配列の3'端部は、二つの分子がハイブリダイズするように、デオキシリボヌクレオチド配列の3'オーバーハングに対して十分な配列相補性を有する。上記のように、リボヌクレオチド配列の3'端部はまた、デオキシリボヌクレオチド配列の5'端部にも共有結合する。認識されるように、上記に多数の改変を行っても本発明の範囲内である。例えば、RNA分子は二本鎖となりうる。もう一つの例において、ヌクレオチド配列は全て、デオキシリボヌクレオチド配列となりうる。
【0203】
本発明は、ベクターが部位特異的IA型トポイソメラーゼ認識部位を第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端またはその近傍に含む、それぞれの端部が5'末端および3'末端を含む、第一の端部と第二の端部とを有する、または有するように作製することができる、ds組換え型核酸分子を提供する。ds組換え型核酸分子はさらに、IA型トポイソメラーゼ認識部位を含まない端部の3'末端またはその近傍でIB型トポイソメラーゼ認識部位をさらに含みうる。ds組換え型核酸分子はベクターとなりうる。
【0204】
本発明はさらに、部位特異的IA型トポイソメラーゼが第一の端部、第二の端部、または第一の端部と第二の端部の双方の5'末端で結合している、それぞれの端部が5'末端および3'末端を有する、第一の端部と第二の端部とを有するトポイソメラーゼ負荷ds組換え型核酸分子を提供する。例えば、トポイソメラーゼ負荷ds組換え型核酸分子は、第一および第二の端部のそれぞれの5'末端で結合したIA型トポイソメラーゼを含みうる。トポイソメラーゼ負荷核酸ds組換え型核酸分子は、IA型トポイソメラーゼによって結合されない端部の3'末端で結合するIB型トポイソメラーゼを含みうる。トポイソメラーゼ負荷ds組換え型核酸分子はベクターとなりうる。
【0205】
本発明はまた、本発明の方法を簡便に実践するために有用な成分を含むキットを提供する。本発明のキットは、如何なる数の成分も含むことができ、一般的に少なくとも二つの成分を含む。例えば、本発明のキットは、1)一つまたはそれ以上のトポイソメラーゼ認識部位を含む第一のヌクレオチド配列、および2)本明細書に開示の方法を用いて、第一のヌクレオチド配列を第二の(または他の)ヌクレオチド配列に共有結合させるための説明書を含みうる。特定の態様において、説明書は一つまたは双方の鎖において二つまたはそれ以上のヌクレオチド配列を共有結合させる方法を提供する。例えば、説明書は、双方の鎖において二つまたはそれ以上のdsヌクレオチド配列を共有結合させるためとなりえて、トポイソメラーゼ認識部位を含む、または第一のdsヌクレオチド配列に共有結合させる一つまたはそれ以上の末端でトポイソメラーゼが負荷された第二の(または他の)dsヌクレオチド配列を得るための説明書を含みうる、または、そのようなプライマー対(そのようなプライマーを含む)を用いて作製された増幅産物の末端を、結合させるべき端部の3'末端でIB型トポイソメラーゼ認識部位を有する、またはその末端でトポイソメラーゼが負荷されている第一のdsヌクレオチド配列の端部に共有結合させることができる(IB型トポイソメラーゼの存在下で)ように、例えば、IB型トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列を含むプライマー対の一つとなりうるプライマーを作製するまたは得るための説明書を含みうる。関連する態様において、第一のヌクレオチド配列は、キットに含める前にトポイソメラーゼに適合させる(トポイソメラーゼ負荷される)。
【0206】
一つの態様において、本発明のキットは、ポリペプチド、特に選択マーカーをコードし、それぞれの端部にトポイソメラーゼ認識部位を含む第一のdsヌクレオチド配列を含む。好ましくは、第一のヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼ活性化ヌクレオチド配列を含む。より好ましくは、トポイソメラーゼが負荷された第一のヌクレオチド配列は、それぞれの端部で5'オーバーハング配列を含み、最も好ましくは5'オーバーハング配列は、互いに異なる。選択的に、5'末端のそれぞれは5'ヒドロキシル基を含む。
【0207】
さらに、キットは、上流もしくは下流の調節要素、または他の要素となりえて、そして一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位を含む、調節要素を含む少なくともヌクレオチド配列(またはその相補体)を含みうる。好ましくは、キットは、それぞれが、異なる調節要素または他の要素、例えばタグもしくは他の検出分子または細胞区画化ドメインをコードする配列を含む、複数のdsヌクレオチド配列を含む。異なる要素は、異なるタイプの特定の調節要素、例えば、構成的プロモーター、誘導型プロモーターおよび組織特異的プロモーターとなりうる、または例えば、転写および翻訳調節要素、エピトープタグ等を含む異なるタイプの要素となりうる。そのようなdsヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼによって活性化されることができ、特に、選択マーカーのようなポリペプチドがインビトロまたは一つもしくはそれ以上の細胞タイプにおいて発現可能となるように、既定の方向への要素の機能的共有結合を促進する5'オーバーハングまたは3'オーバーハングを含みうる。
【0208】
キットはまた、キットの成分を用いて作製した、一つまたは双方の鎖が共有結合した所望のds組換え型核酸分子を増幅するために、第一および第二のプライマーを含むプライマー対を選択して用いることができる、第一および第二のプライマーを含むプライマーを含みうる。例えば、プライマーは、生成されたds組換え型核酸分子、例えば、プロモーター要素を含むdsヌクレオチド配列の一部の5'端部に一般的に存在する要素に対して相補的な第一のプライマーと、生成されたds組換え型核酸分子、例えば、転写終了部位を含むまたはエピトープタグをコードするdsヌクレオチド配列の一部の3'端部に一般的に存在する要素に対して相補的な第二のプライマーを含みうる。双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するためのキットから選択した要素に応じて、完全長の機能的構築物を増幅するために、適当な第一および第二のプライマーを選択して用いることができる。
【0209】
もう一つの態様において、本発明のキットは、そのそれぞれが一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ活性化されうる、そしてそのそれぞれが5'オーバーハング配列、3'オーバーハング配列、またはその組み合わせを含みうる、複数の異なる要素を含む。5'もしくは3'オーバーハング配列は、特定の要素に対して独自となりうるか、または関連する複数の要素、例えば、異なる複数のプロモーター要素に対して一般的となりうる。好ましくは、要素の5'オーバーハング配列は、一つまたはそれ以上の要素が有用な機能を提供するために機能的に共有結合することができるようにデザインされ、例えば、コザック配列を含む要素および翻訳開始部位を含む要素は、要素が、本発明の方法に従って機能的に共有結合されうるように、相補的な5'オーバーハング配列を有しうる。
【0210】
キットにおける複数の要素は、転写または翻訳調節要素;細菌、酵母、または哺乳類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の複製にとって必要な要素;制限エンドヌクレアーゼまたはリコンビナーゼのような部位特異的核酸結合蛋白質の認識配列を含む要素;エピトープタグまたは薬物抵抗性遺伝子のような発現可能な産物をコードする要素等を含む、如何なる要素も含みうる。そのため、本発明のキットは、例えば、本発明の方法に従って生成される構築物が導入または発現される特定の細胞に応じて選択することができる異なる都合のよい要素源を提供する。キットはまた、上記のように、キットの要素を用いて生成された、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を増幅するために上記のように組み合わせることができる第一および第二のプライマーを含むPCRプライマーを含みうる。選択的に、キットはさらに、少なくとも一つの鎖において、トポイソメラーゼ認識部位を含む第一のdsヌクレオチド配列を、選択的にトポイソメラーゼ活性化dsヌクレオチド配列またはトポイソメラーゼ認識部位を含むヌクレオチド配列となりうる第二の(または他の)ヌクレオチド配列に共有結合させるために有用な量で部位特異的トポイソメラーゼを含む。
【0211】
なおさらなる態様において、本発明のキットは、選択マーカーをコードして、それぞれの端部においてトポイソメラーゼ認識部位を含む第一のdsヌクレオチド配列;本発明の方法に従って既定の方向に、一つまたは双方の鎖を第一のdsヌクレオチド配列に共有結合させることができる第一および第二の増幅産物を生成することができる第一および第二のプライマー対、を含む。そのような生成された構築物は、細胞に導入することができ、部位特異的に相同的組換えによって細胞のゲノムに組み入れることができ、そこで構築物は安定に維持されて、細胞において異種ポリペプチドを発現することができる、または標的遺伝子機能をノックアウトすることができる。ノックアウトすべき標的遺伝子は、例えば、配列の少なくとも一部が既知であるまたは容易に決定することができ、その機能を破壊したいと望む如何なる遺伝子、例えば、腫瘍遺伝子、アポトーシスに関係する遺伝子、セリン/トレオニンもしくはチロシンキナーゼをコードする遺伝子、または他の如何なる遺伝子となりうる。
【0212】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために有用な本発明のキットにおける第一のPCRプライマー対は、それが共有結合するdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列に対して相補的なヌクレオチド配列(例えば、選択マーカーをコードするdsヌクレオチド配列の端部)、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列、および標的DNA配列の3'配列と相補的なヌクレオチド配列を5'から3'方向に含む、第一のプライマーを含む。第一のPCRプライマー対はまた、それに対して第一のプライマーが相補的である3'配列の上流の標的DNA配列のヌクレオチド配列を含む第二のプライマーを含む。
【0213】
双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために有用な第二のPCRプライマー対は、それが共有結合するdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列と相補的なヌクレオチド配列、トポイソメラーゼ認識部位と相補的なヌクレオチド配列、および標的遺伝子の5'配列が、それに対して第一のプライマー対の第一のプライマーが相補的である標的DNA配列の3'配列の下流に存在する、標的DNA配列の5'配列のヌクレオチド配列を、5'から3'方向に含む第一のプライマーを含む。第二のPCRプライマー対はまた、第一のプライマーに含まれる標的DNA配列の5'配列の下流である標的遺伝子の3'配列と相補的なヌクレオチド配列を含む第二のプライマーを含む。
【0214】
もう一つの態様において、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために有用な本発明のキットは、転写活性化ドメインをコードしてトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を3'末端に含む、第一のdsヌクレオチド配列;およびDNA結合ドメインをコードして、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を3'末端に含む、第二のdsヌクレオチド配列を含む。部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、第一または第二のdsヌクレオチド配列は、5'オーバーハングを有しうる、または双方の配列が同じまたは互いに異なる5'オーバーハングを有しうる。dsヌクレオチド配列が5'オーバーハングを有する場合、オーバーハングは一般的に、それに対して第一または第二のdsヌクレオチド配列が本発明に従って共有結合されるdsヌクレオチド配列と相補的である。キットはまた、一つまたは双方の3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含みうる一つまたは対のアダプター、リンカー等;および選択的に同じ末端/複数の末端でヒドロキシル基を含みうる。そのようなアダプター、リンカー等は、それらが上記およびキットの一部の二つのdsヌクレオチド配列の一つまたは他と相補的である5'オーバーハングを含むように選択される。
【0215】
同様に、本発明のキットは、一つまたは双方の5'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含みうる一つまたは対のアダプター、リンカー等;および選択的に同じ末端(または複数の末端)でヒドロキシル基を含みうる。そのようなアダプター、リンカー等は、それらが上記およびキットの一部の二つのdsヌクレオチド配列の一つまたは他と相補的である3'オーバーハングを含むように選択される。さらに、キットは、一つまたは双方の5'および/または3'末端でトポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む一つまたは対のアダプター、リンカー等、ならびに選択的に同じ末端/複数の末端でヒドロキシル基を含みうる。
【0216】
アダプター、リンカー等は、一般的に、それらが、本明細書に開示のおよびキットの一部の二つのdsヌクレオチド配列の一つまたは他と相補的である5'および/または3'オーバーハングを含むように選択される。そのようなアダプター、リンカー等は、キットに提供される第一または第二のdsヌクレオチド配列の一つまたは他に共有結合するdsヌクレオチド配列の端部に結合させることができ、このようにして、2ハイブリッドアッセイにおいて有用なおとりおよび被食ポリペプチドをコードするキメラポリヌクレオチドの構築が促進される。そのようなキットはまた、トポイソメラーゼ認識部位またはその切断産物を含む増幅された複数のヌクレオチド配列を調製するために用いることができるPCRプライマーまたはプライマー対を含みうる(表1および実施例1を参照のこと)。
【0217】
一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために用いることができる本発明のキットにおけるPCRプライマー対は、それが結合するdsヌクレオチド配列の5'オーバーハング配列のヌクレオチド配列(例えば、選択マーカーをコードするdsヌクレオチド配列の端部)、トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)、および標的DNA配列の5'配列に対して相補的なヌクレオチド配列を、5'から3'方向に含む第一のプライマーを含みうる。PCRプライマー対はまた、それに対して第一のプライマーが相補的である5'配列の下流の標的DNA配列のヌクレオチド配列を含む第二のプライマーを含む。
【0218】
もう一つの態様において、本発明のキットは、転写活性化ドメインをコードして、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を5'末端に含む第一のdsヌクレオチド配列;およびDNA結合ドメインをコードして部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を5'末端に含む第二のdsヌクレオチド配列を含む。部位特異的トポイソメラーゼによって切断されると、第一または第二のdsヌクレオチド配列は、3'オーバーハングを有しうる、または双方の配列が互いに同じまたは異なる3'オーバーハングを有しうる。dsヌクレオチド配列が3'オーバーハングを有する場合、オーバーハングは一般的に、本発明の方法に従ってそれに対して第一または第二のdsヌクレオチド配列が結合されるdsヌクレオチド配列と相補的である。キットはまた、部位特異的トポイソメラーゼ認識部位(例えば、IA型またはII型トポイソメラーゼ認識部位)またはその切断産物を一つまたは双方の5'末端に含み、キットの二つのdsヌクレオチド配列の一つまたは他と相補的な5'オーバーハングを含みうる、一つまたは対のアダプター、リンカー等を含みうる。
【0219】
本発明のキットはまた、第一および少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の配列が互いに異なる、第一の単離されたトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列と、少なくとも第二の単離されたトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列とを含みうる;そのそれぞれが一つまたは双方の端部でトポイソメラーゼ認識部位と、トポイソメラーゼ認識部位で少なくとも二つの異なるdsヌクレオチド配列に結合して切断することができる部位特異的トポイソメラーゼとを含む、少なくとも二つの異なるdsヌクレオチド配列を含みうる;または、共有結合したds組換え型核酸分子がそれぞれの相補鎖において部位特異的トポイソメラーゼの少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位を含み、それぞれの相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位が、互いに約50ヌクレオチド以内であり、部位特異的トポイソメラーゼがそれぞれの相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位に結合して切断することができる、部位特異的トポイソメラーゼと共有結合ds組換え型核酸分子とを含みうる。さらに、本発明のキットは、第一のdsヌクレオチド配列がさらにそれぞれの端部に結合したトポイソメラーゼを含む、第一の端部と第二の端部とを含み、ポリペプチドをコードする、第一のdsヌクレオチド配列;および、それぞれのdsヌクレオチド配列集団が第一の端部と第二の端部とを含み、調節要素を含み、それぞれのdsヌクレオチド配列が第一の端部、第二の端部、または双方の端部に結合したトポイソメラーゼをさらに含み、それぞれの複数の集団が互いに異なる集団であり、それぞれのdsヌクレオチド配列集団が、互いの集団におけるdsヌクレオチド配列におけるオーバーハング配列とは異なる、同じオーバーハング配列を含む、複数のdsヌクレオチド配列集団を含みうる。そのようなキットはまた、それぞれのヌクレオチド配列集団においてdsヌクレオチド配列に対して特異的なPCRプライマーを含みうる。一つの態様において、第一のdsヌクレオチド配列によってコードされるポリペプチドは選択マーカーである。
【0220】
一つまたは双方の鎖が共有結合して、本発明の方法によって生成されたds組換え型核酸分子は、例えば、細胞においてポリペプチドを発現させる目的、病態を診断または治療する目的等を含む様々な目的のために用いることができる。そのため、本発明は、一つもしくはそれ以上の細胞においてポリペプチドを発現することによって、またはアンチセンス分子を発現させること等によって、病態を治療するために有用となりうる薬剤を提供する。そのようなds組換え型核酸分子は、細胞をエクスビボで接触させることによって細胞に提供した後、細胞を被験者に投与することができ、そのような方法によってまた、そのような投与の前にds組換え型核酸分子を含む細胞の選択および/または増殖を行うことができる、または被験者に直接提供することができる。生きている被験者に投与する場合、一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は一般的に、被験者に投与するために適した組成物に処方される。このように、本発明は、本発明の方法に従って作製した一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を含む組成物を提供する。本明細書に開示するように、そのような核酸分子は、病態を有する被験者を治療するための薬剤として有用である。
【0221】
投与のための組成物は一般的に、当技術分野で周知の薬学的に許容される一つまたはそれ以上の担体を用いて調製され、これには例えば、水もしくは生理的な緩衝生理食塩液、またはグリコール、グリセロール、オリーブ油のような油、もしくは注射可能な有機エステルのような他の溶媒または媒体が含まれる。薬学的に許容される担体は、例えば、結合物の吸収を安定化または増加するように作用する生理的に許容される化合物を含みうる。そのような生理的に許容される化合物には、例えば、グルコース、蔗糖、もしくはデキストランのような糖質、アスコルビン酸もしくはグルタチオンのような抗酸化剤、キレート剤、低分子量蛋白質または他の安定化剤もしくは賦形剤が含まれる。当業者は、生理的に許容される化合物を含む薬学的に許容される担体の選択は、例えば、経口または静脈内のような非経口、注射、挿管、もしくは当技術分野で既知の他のそのような方法となりうる組成物の投与経路に依存することを知っていると思われる。本発明の組成物はまた、診断試薬、栄養物質、毒素、または治療物質、例えば、癌化学療法剤のような第二の試薬を含みうる。
【0222】
一つまたは双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子は、水中油型乳剤、微小乳剤、ミセル、混合ミセル、リポソーム、ミクロスフェア、または他のポリマーマトリクスのような封入剤の中に組み入れることができる(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、Gregoriadis、「Liposome Technology」、第1巻(CRC出版、ボカレートン、フロリダ州、1984);Fraleyら、Trends Biochem. Sci. 6:77、1981を参照のこと)。例えば、ホスホリピッドまたは他の脂質からなるリポソームは、作製および投与が比較的単純な非毒性の、生理的に許容される代謝可能な担体である。「スティルス(Stealth)」リポソーム(例えば、そのそれぞれが参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,882,679号、第5,395,619号、および第5,225,212号を参照のこと)は、薬学的組成物を調製するために特に有用なそのような封入材料の例であり、核酸分子が循環中に留まっている時間を延長させるリポソームのような他の「マスクされた」リポソームも同様に用いることができる。例えば、陽イオンリポソームも同様に、特定の受容体またはリガンドによって改変することができる(Morishitaら、J. Clin. Invest. 91:2580〜2585、1993、参照として本明細書に組み入れられる)。核酸分子はまた、それをアデノウイルス-ポリリジン複合体と複合体を形成することによって細胞に導入することができる(例えば、参照として本明細書に組み入れられる、Michaelら、J. Biol. Chem. 268:6866〜6869、1993を参照のこと)。そのような組成物は、核酸分子を含む細胞が被験者に戻して投与される、エクスビボを含むインビボまたはインビトロで細胞に核酸分子を導入するために特に有用となりうる(例えば、参照として本明細書に組み入れられる、米国特許第5,399,346号を参照のこと)。本発明の方法に従って生成された核酸分子はまた、バイオリスティック法を用いて細胞に導入することもできる(例えば、SykesおよびJohnston、上記、1999を参照のこと)。
【0223】
以下の実施例は本発明を説明するためであって、制限すると解釈されない。
【0224】
実施例1
トポイソメラーゼを用いる共有結合二本鎖組換え型核酸分子の構築
本実験は、トポイソメラーゼを用いて、共有結合した二本鎖(ds)組換え型核酸分子を作製することができることを証明する。
【0225】
A .方法
明記している場合を除き、実験は以下の方法を用いて実施した。PCRはプラスミド10 ng(鋳型)、各プライマー100 ng、Taq DNAポリメラーゼ(シグマ社)2.5単位、10×PCR緩衝液5μl、およびdNTPs(それぞれ200 μM)4μlを含む、反応液50 μlにおいて実施した。初回変性は、反応物を94℃で4分間インキュベートすることによって行い;その後変性のために94℃(45秒)。プライマーのアニーリングのために55℃(45秒)、および伸長のために72℃(標的配列1kbあたり1分)を用いるPCRを30サイクル行った。サイクル終了後、反応物を72℃(10分間)でインキュベートした後、4℃に置いた。
【0226】
トポイソメラーゼ結合反応は、各増幅要素(PCR生成または合成)50〜100 ng、500 mMトリス(pH 7.5)0.5 μl、およびトポイソメラーゼ0.5 μgを含む、5μl中で行った。反応物を室温で5分間インキュベートした後、トポイソメラーゼ結合産物1〜2μlを直線状の断片を生成するために用いた。
【0227】
PCRによる直線状の断片生成は、トポイソメラーゼ結合産物(鋳型)1〜2μl、各プライマー100 ng、Taq DNAポリメラーゼ(シグマ社)2.5 U、10×PCR緩衝液5μl、およびdNTPs(各200 μM)4μlを含む反応物50 μlにおいて実施した。PCRは上記のように実施した。
【0228】
得られた直線状の断片は、製造元によって記述されるように、SNAPミニプレップキット(インビトロジェン社)を用いて精製した。本質的に、PCR産物100 μlを結合緩衝液300 μl、イソプロパノール750 μlと共に混合して、混合物をSNAPミニプレップカラム/回収チューブに適用して、7,000 rpmで30秒間遠心した。カラムを洗浄緩衝液700 μlによって洗浄して、7,000 rpmで30秒間遠心した後、1×最終洗浄液900 μlによって洗浄して、7,000 rpmで30秒間遠心した。次に、カラムを7,000 rpmでさらに30秒間遠心して、残っている液体を全て除去した。水(30〜50 μl)を加えて、カラムを7,000 rpmで30秒間遠心して、精製DNAを溶出させた。DNA濃度は分光光度法によって決定した。
【0229】
B .トポイソメラーゼ結合直線状核酸分子の作製
緑色蛍光蛋白質(GFP;図2を参照のこと)のコード配列に対する要素の定方向付加を調べるためにPCR反応をデザインした。CMVプロモーター(約700 bp)およびBGHポリアデニル化シグナル配列(約380 bp)をpCMV/myc/nucプラスミド鋳型から増幅して、図2に示したプライマーを用いて、GFP要素(約700 bp)をpcDNA3.1/GFPプラスミド鋳型(インビトロジェン社)から増幅した。得られた増幅産物を上記のようにトポイソメラーゼを用いて結合させて、ライゲーション反応の一部は、プライマーF6945(配列番号:11)およびF6948(配列番号:15)によるPCRの鋳型として用いて、完全な構築物(CMV+GFP+BGH;約1,700 bp)を増幅した。さらに、ライゲーション混合物5μlをプロテナーゼKによって37℃で30分間処置して、如何なる結合したトポイソメラーゼも除去した後、ライゲーションした産物を調べるために3〜8%NuPAGEトリス-アセテートゲル上で電気泳動を行った。
【0230】
パリンドロームのオーバーハング配列を有する要素(図2Aまたは2B)を用いて組換え型核酸分子を作製した場合には、正しい大きさ(1.7 kb)のライゲーション産物はごく少量認められたに過ぎなかったが、非パリンドロームオーバーハングを有する要素(図2C)を用いた場合には、所望の産物の有意な量が得られた。これらの結果は、既定の方向に機能的に結合したヌクレオチド配列を含む双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する効率が、オーバーハング配列の特性に関係することを証明する。特に、パリンドローム領域を欠損するオーバーハング配列を選択することによって、双方の鎖が共有結合した所望のds組換え型核酸分子の効率的な産生が得られるが、オーバーハングにパリンドローム配列が存在すれば、意図する産物以外のライゲーション産物が形成され、それによって、所望の産物の生成効率は減少する。
【0231】
実施例2
トポイソメラーゼによって作製された ds 組換え型核酸分子の機能的特徴付け
本実施例は、本発明の方法が、双方の鎖が共有結合した機能的ds組換え型核酸分子を作製する手段を提供することを証明する。
【0232】
A .トポイソメラーゼライゲーション構築物からのセンスおよびアンチセンス mRNA の発現
対象の遺伝子に隣接する機能的な上流および下流の要素を含むds組換え型核酸分子を作製できるか否かは、T7またはT3プロモーター配列のいずれかを含む2つの合成要素を用いて調べた。要素は、合成オリゴヌクレオチド対のアニーリングによって作製した。T7リンカーは、等モル量のT7トップ(F9304;配列番号:20)およびT7ボトム(F9305;配列番号:21)オリゴヌクレオチド(表1)を混合することによって作製した。T3リンカーは、等モル量のT3トップ(F9661;配列番号:23)およびT7ボトム(F9662;配列番号:24)オリゴヌクレオチド(表1)を混合することによって作製した。混合物を沸騰水において5分間加熱した後、室温まで冷却した。双方の要素は、一つの端部にトポイソメラーゼ認識部位を含むようにデザインされた。
【0233】
GFP遺伝子はGFPプライマーF8418(配列番号:17)およびF8420(配列番号:18;表1;同様に図2Cも参照のこと)によって増幅した。非精製GFP PCR産物(2μl)を、T7リンカー50 ngとT3リンカー50 ngと共に混合して、トポイソメラーゼを加えて、トポイソメラーゼ結合反応を室温で5分間進行させた。結合反応物2μlをT7およびT3配列のプライマーと共にPCR反応物50 μlの鋳型として用いた。
【0234】
増幅後、PCR反応物の少量4μlをインビトロ転写の鋳型として用いた。反応は、製造元の説明書に従って、プロメガ社リボプローブインビトロ転写システムキットを用いて実施した。反応はT7またはT3 RNAポリメラーゼ(最終容積20μl)によって37℃で60分間進行させた。インビトロ転写反応の少量をRNアーゼまたはDNアーゼによって消化して、未消化および消化した試料に2%TBEゲルでの電気泳動を行った。予想される大きさ(センスまたはアンチセンス方向のいずれか)の既定のバンドが非消化試料において認められた。産物のバンドの減少は、DNアーゼによって処置した試料において認められた。試料をRNアーゼによって処置すると、産物のバンドは消失し、産物がRNAであったことを示している。これらの結果は、トポイソメラーゼが本発明の方法に従って、既定の方向に双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために用いることができること、そしてそのような核酸分子からRNA転写物を発現させることができることを証明している。
【0235】
B .トポイソメラーゼライゲーション構築物からの翻訳産物の発現
トポイソメラーゼライゲーションポリヌクレオチドが、インビトロ転写/翻訳カップリングを支持するか否かを調べた。ds組換え型核酸分子は、T7プロモーター(+コザック配列)を含む要素を1kb、2kb、または3kbのlacZ PCR産物に結合させることによって、本発明の方法に従って生成された。生成された産物2μlをPCR増幅反応の鋳型として用いた(プライマー、配列番号:25〜28;表1)。増幅反応(3μl)の精製していない少量を、製造元(プロメガ社)の説明書に従ってPCR DNAキットのTNT T7クイックによって転写/翻訳のカップリングの鋳型として用いた。
【0236】
各反応物の少量2μlをトリス-グリシンゲル(ノベックス社)上での電気泳動によって分離して、オートラジオグラフィーによって可視化したところ、予想された大きさに移動する蛋白質産物が判明した。これらの結果は、本発明の方法が、インビトロ転写/翻訳カップリング反応によってポリペプチドを発現するための鋳型として有用な、双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するために用いることができることを証明している。
【0237】
C . 2 ハイブリッドアッセイを行うためのトポイソメラーゼライゲーション構築物の作製
2ハイブリッドアッセイは、インビボでの蛋白質-蛋白質相互作用を検出するための強力な方法を提供する。これらのアッセイは、多くの真核細胞転写活性化因子が、特異的DNA配列に結合するDNA結合ドメイン、および基礎となる転写機構と相互作用する転写活性化ドメインを含む、二つの物理的および機能的に異なるドメインからなるという事実に基づく。トランス活性化ドメインとDNA結合ドメインとが会合すると、機能的RNAポリメラーゼII複合体の構築を促進することができ、それによって例えば検出可能なレポーター遺伝子の転写活性化が起こる(フィールド&ソング(Field and Song)、上記、1989)。第一の蛋白質XがDNA結合ドメイン、例えばGAL4結合ドメインに融合して、Xと同じまたは異なりうる第二の蛋白質Yが、トランス活性化ドメイン、例えばVP16ドメインに融合すると、蛋白質XとYの相互作用は、GAL4プロモーターを有するレポーター遺伝子の転写を検出することによって同定することができる。
【0238】
本発明の方法が哺乳類の2ハイブリッドアッセイを行うための融合蛋白質を発現するための直鎖状の構築物を作製することができるか否かを調べた。PCRを用いて、適当な端部でトポイソメラーゼ部位を含むGAL4(F10779およびF12667プライマー;それぞれ、配列番号:1および3)、VP16(F10779およびF12668プライマー;それぞれ、配列番号:1および5)、p53(F12669およびF12505プライマー;それぞれ、配列番号:8および4)、T抗原(F12670およびF12505プライマー;それぞれ、配列番号:9および4)、およびSV40pA(F12016およびF561プライマー;それぞれ、配列番号:6および7)要素を作製した。トポイソメラーゼを用いて、共有結合した二本鎖構築物GAL4+p53+SV40pAおよびVL16+T抗原+SV40pAを作製して、得られたライゲーション産物をPCR増幅の鋳型として用いた。
【0239】
精製GAL4+p53+SV40pAおよびVP16+T抗原+SV40pA PCR構築物を、CHO細胞(6ウェルプレート、1×105個/ウェル)にlacZレポーター遺伝子(pGege/lacZプラスミド;インビトロジェン社)と同時トランスフェクトした。平行した実験において、非精製構築物を含むPCR反応混合物を用いる場合と同様に、発現構築物を含むプラスミドベクターを用いる場合を調べた。対照反応は、インサートを有しないGAL4+pAおよびVP16+pA、またはp53+VP16(陽性対照)を用いて行った。細胞をトランスフェクションの48時間後に溶解して、レポーター遺伝子活性をβ-ガラクトシダーゼアッセイキットを用いて測定した。
【0240】
高レベルのレポーター遺伝子活性が、陽性対照によって検出され(図3、試料3)、試料において、レポーター遺伝子ならびに直線状のGAL4+p53+SV40pAおよびVP16+T抗原+SV40pA構築物(図3、試料4)と共に同時トランスフェクトした。低いレベルの活性(しかし陰性対照より大きい;試料5、6、8および9)は、構築物のプラスミド版を用いた場合に検出された(図3、試料1)。低レベル活性はまた、非精製PCRによって生成された被食およびおとり構築物(試料7)を同時トランスフェクトした試料においても認められた。これらの結果は、本発明の方法を用いて、2ハイブリッドアッセイを行うために有用な構築物を調製することができることを証明している。
【0241】
本発明は、上記の実施例を参照して説明してきたが、改変および変更も本発明の精神および範囲に含まれると理解されると思われる。したがって、本発明は、以下の請求の範囲に限って制限される。
【図面の簡単な説明】
【0242】
【図1A−B】本発明の方法に従ってそれぞれの端部に要素を含む共有結合した二本鎖ヌクレオチド配列の作製を表す。「PCR」はポリメラーゼ連鎖反応を示し;「TOPO」は、トポイソメラーゼを示し;トポイソメラーゼは配列につけた丸印で示し;「P1」および「P2」は、PCRプライマーを示す。トポイソメラーゼ認識部位は太字で示す。
【図2】サイトメガロウイルスプロモーター要素(「CMV」)、緑色蛍く光蛋白質要素(「GFP」)、およびウシ成長ホルモンポリアデニル化シグナル(「BGH」)要素を示す、PCR産物の端部を示す。図2A、2B、および2CのPCR産物を構築するために用いたプライマーは、「F」の数で示す(表1を参照のこと)。トポイソメラーゼ認識部位(CCCTT)を含む一つまたは双方の端部の一部を示す。太字はオーバーハング配列を示す。図2Aおよび2Bにおいて、オーバーハング配列の一つ(図2B)または双方(図2A)は本質的にパリンドロームとなっている。配列は従来通りの方向で示し、上の鎖は左から右に5'から3'方向を示し、下の鎖は左から右に3'から5'方向を示す。配列の上または下の括弧内の数値は、配列番号を示す。
【図3】2ハイブリッドアッセイを行うためにポリペプチドをコードする双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を用いることができるか否かを調べる実験の構築物(図3A)および結果(図3B)を示す。図3Aは、トランスフェクションのために用いるそれぞれの構築物の量を示す。反応物質の量または容積の前の「p」は、プラスミド型を示し、「l」は直線型を示し、そして「PCR」はPCR増幅反応混合物を示す。図3Bは、それぞれのトランスフェクト試料に関連したβ-ガラクトシダーゼ(「LacZ活性」)のレベルを示す。LacZ活性が増加すれば、相互作用が陽性であることを示す。
【図4】一つの鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための組成物および方法の様々な態様を表す。トポイソメラーゼは黒丸で示し、基質dsヌクレオチド配列の末端に結合するか、または結合反応の後放出される。
【図5】共有結合したds組換え型核酸分子を作製するための組成物および方法の様々な態様を表す。トポイソメラーゼは黒丸で示し、基質dsヌクレオチド配列の末端に結合するか、または結合反応の後放出される。示されるように、基質dsヌクレオチド配列は、5'オーバーハング配列を有するが、それらはまた3'オーバーハング配列を有しうる、または平滑末端となりうる。さらに、示したdsヌクレオチド配列は、トポイソメラーゼがそれに結合しているように示されるが(トポイソメラーゼ負荷)、トポイソメラーゼがそれに結合しているように示した末端の一つまたはそれ以上も同様に、トポイソメラーゼ認識部位を有することができ(すなわち、トポイソメラーゼ認識部位を含む一つまたはそれ以上の末端)、この場合、結合反応は、適当であれば、一つまたはそれ以上の部位特異的トポイソメラーゼの付加がさらに必要であると思われる。図5Aは、一つの端部の5'末端と3'末端のそれぞれに結合したトポイソメラーゼを有する第一のdsヌクレオチド配列を示し、さらに、第二のdsヌクレオチド配列に対する第一のdsヌクレオチド配列の結合を示す。図5Bは、トポイソメラーゼが一つの端部の3'末端に結合した第一のdsヌクレオチド配列と、トポイソメラーゼが一つの端部の3'末端に結合した第二のdsヌクレオチド配列とを示し、さらに、トポイソメラーゼ負荷基質dsヌクレオチド配列を含む端部の接触により生成された共有結合ds組換え型核酸分子を示す。図5Cは、トポイソメラーゼが一つの端部の5'末端に結合した第一のdsヌクレオチド配列と、トポイソメラーゼが一つの端部の5'末端に結合した第二のdsヌクレオチド配列とを示し、さらに、トポイソメラーゼ負荷基質dsヌクレオチド配列を含む端部の接触により生成された共有結合ds組換え型核酸分子を示す。図5Dは、トポイソメラーゼが双方の端部の5'末端と3'末端のそれぞれに結合したdsヌクレオチド配列を示し、さらに、それぞれの端部で二つのdsヌクレオチド配列に対するトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列の結合を示す。5'末端のそれぞれおよび/または3'末端のそれぞれのトポイソメラーゼは同じまたは異なりうる。
【図6】発現可能なds組換え型核酸分子の生成と、発現可能なds組換え型核酸分子の増幅を示す。トポイソメラーゼは黒丸で示し、基質dsヌクレオチド配列の末端に結合するか、または結合反応後放出される。発現可能なds組換え型核酸分子は、プロモーターを含むヌクレオチド配列、コード配列を含むヌクレオチド配列、およびポリアデニル化シグナルを含むヌクレオチド配列を含む、三つのdsヌクレオチド配列から生成される。核酸分子の生成は、相補的な5'および/または3'オーバーハング配列を、結合させるdsヌクレオチド配列の端部に組み入れることによって容易にすることができる。発現可能なds組換え型核酸分子は、第一の端部の5'末端でIA型トポイソメラーゼと、第二の端部の3'末端でIB型トポイソメラーゼとを有する第一のdsヌクレオチド配列を、第二のdsヌクレオチド配列および第三の二本鎖ヌクレオチド配列に接触させることによって生成される。発現可能なds組換え型核酸分子は、プロモーターの上流の第二のds組換え型核酸分子とハイブリダイズする第一のプライマーと、ポリアデニル化シグナルの下流の第三のds組換え型核酸分子とハイブリダイズする第二のプライマーとを用いて増幅する。
【図7】分子の同じ端部がさらに3'オーバーハングを含む(この図の(4)を参照のこと)、分子の一つの端部の5'末端に結合したトポイソメラーゼ(例えば、IA型トポイソメラーゼ)を含む二本鎖核酸分子を調製するためのプロセスの一例を示す。
【図8】一本鎖または二本鎖DNAヌクレオチド配列が一本鎖RNAヌクレオチド配列に結合した本発明の2つの態様を示す。
【図9】本発明の方法を例示する概略を示す。第一の段階において、構築すべきヌクレオチド配列をPCRのような増幅方法を用いて作製する。第二段階において、第一段階で生成されたヌクレオチド配列を本発明の方法を用いて構築する(例えば、一つのヌクレオチド配列の少なくとも一つの鎖を第二の(または他の)ヌクレオチド配列の少なくとも一つの鎖に共有結合させるためにトポイソメラーゼを利用する方法)。例示するように、第三段階において、第二段階で生成された構築した核酸分子(すなわち、組換え型核酸分子)を、直接用いるかまたは増幅させてから、本明細書に開示またはそうでなければ望ましい如何なる目的にとっても用いることができる。
Claims (74)
- トポイソメラーゼが、第一のdsヌクレオチド配列の少なくとも一つの端部の双方の鎖を第二のdsヌクレオチド配列の少なくとも一つの端部の双方の鎖に共有結合させて、それによって双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を生成することができる条件で、第一のdsヌクレオチド配列、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも一つのトポイソメラーゼを接触させる段階を含む、双方の鎖が共有結合した二本鎖(ds)組換え型核酸分子を作製する方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列および少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の少なくとも一つが、複数のヌクレオチド配列の一つを含む、請求項1記載の方法。
- 複数のヌクレオチド配列が、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、または多様なヌクレオチド配列集団を含む、請求項2記載の方法。
- トポイソメラーゼが部位特異的トポイソメラーゼである、請求項1記載の方法。
- 部位特異的トポイソメラーゼがI型トポイソメラーゼである、請求項4記載の方法。
- トポイソメラーゼがIB型トポイソメラーゼである、請求項5記載の方法。
- IB型トポイソメラーゼがポックスウイルスIB型トポイソメラーゼである、請求項6記載の方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列と少なくとも第二のdsヌクレオチド配列のそれぞれが、第一の端部と第二の端部とを含む、請求項1記載の方法。
- 第一の端部、第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方において、第一のdsヌクレオチド配列および少なくとも第二のdsヌクレオチド配列がトポイソメラーゼ認識部位を含む、請求項8記載の方法。
- トポイソメラーゼ認識部位が、第一のdsヌクレオチドおよび少なくとも第二のdsヌクレオチドの第一の端部、第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方の3'末端またはその近傍に存在する、請求項9記載の方法。
- トポイソメラーゼ認識部位がIB型トポイソメラーゼの認識部位である、請求項10記載の方法。
- 第一の端部、第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方において、第一のヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、第一のdsヌクレオチド配列が第一の端部と第二の端部とを含み;および
該第一の端部、該第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方において、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が第一の端部と第二の端部とを含む、請求項1記載の方法。 - PCRプライマー対の少なくとも一つのPCRプライマーが、トポイソメラーゼ認識部位またはその相補体を含み、それによって第一の端部と第二の端部とを含む増幅産物を産生し、第一の端部、第二の端部、またはその双方において、増幅産物が3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、第一のdsヌクレオチド配列、少なくとも第二のdsヌクレオチド配列またはその組み合わせが、PCRプライマー対を用いて産生されたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅産物である、請求項1記載の方法。
- 双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)プライマー対に接触させる段階;およびds組換え型核酸分子を増幅する段階をさらに含む、請求項1記載の方法。
- トポイソメラーゼが共有結合した第一のdsヌクレオチド配列の一つの端部が、トポイソメラーゼが共有結合した少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の一つの端部に接触して、それによって双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子を作製する条件で、第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列と少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列とを接触させる段階を含む、双方の鎖が共有結合した二本鎖(ds)組換え型核酸分子を作製する方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とを含む、請求項15記載の方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列と第二のdsヌクレオチド配列とが同じである、請求項16記載の方法。
- 少なくとも第三のdsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項15記載の方法。
- 少なくとも第三のトポイソメラーゼdsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項15記載の方法。
- 第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列、少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列、またはその組み合わせが、双方の端部でトポイソメラーゼを有する、請求項15記載の方法。
- 第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列および少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列のそれぞれが、一つまたは双方の3'末端で共有結合したトポイソメラーゼを含む、請求項15記載の方法。
- トポイソメラーゼがIB型トポイソメラーゼまたはIB型トポイソメラーゼの触媒ドメインである、請求項15記載の方法。
- a) 第一の端部、第二の端部、またはその双方において、第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が、結合したトポイソメラーゼを含む端部の3'末端で結合したトポイソメラーゼを含み、5'末端でヒドロキシル基を含む、第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が、それぞれの端部が5'末端および3'末端を含む第一の端部と第二の端部とを含み;ならびに
b) 該第一の端部、該第二の端部、またはその双方において、少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が、結合したトポイソメラーゼを含む端部の3'末端でトポイソメラーゼを含み、5'末端でヒドロキシル基を含む、少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が、それぞれの端部が5'末端および3'末端を含む第一の端部と第二の端部とを含む、請求項15記載の方法。 - 第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が双方の鎖にトポイソメラーゼを有する、請求項23記載の方法。
- 以下を含む、双方の鎖が共有結合した二本鎖(ds)組換え型核酸分子を作製する方法:
a) 第一の端部、第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方で、増幅された第一のdsヌクレオチド配列が少なくとも一つの末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、
プライマー対の少なくとも一つのPCRプライマーがトポイソメラーゼ認識部位またはその相補体を含む、増幅プライマー対を用いて第一のdsヌクレオチド配列の一部を増幅し、
それによって、それぞれの端部が5'末端および3'末端を含む、第一の端部と第二の端部とを含む増幅された第一のdsヌクレオチド配列を生成する段階;ならびに
b) トポイソメラーゼ認識部位を含む該増幅された第一のdsヌクレオチド配列の一つの端部と、トポイソメラーゼ認識部位を含む少なくとも第二のdsヌクレオチド配列の一つの端部とが接触して、それによって双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子が生成される条件で、
増幅された第一のdsヌクレオチド配列;該第一の端部、該第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方で、該少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が、少なくとも一つの末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、それぞれの端部が5'末端と3'末端とを含む、第一の端部と第二の端部とを含む少なくとも第二のdsヌクレオチド配列;および少なくとも一つのトポイソメラーゼを接触させる段階。 - 増幅された第一のdsヌクレオチド配列および少なくとも第二のdsヌクレオチド配列のそれぞれが、少なくとも一つの3'末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、請求項25記載の方法。
- 少なくとも一つのトポイソメラーゼがIB型トポイソメラーゼである、請求項26記載の方法。
- 増幅された第一のdsヌクレオチド配列が複数のヌクレオチド配列の一つを含む、請求項25記載の方法。
- 複数のヌクレオチド配列が、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、または多様なヌクレオチド配列集団である、請求項28記載の方法。
- 増幅された第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部および第二の端部のそれぞれの3'末端でトポイソメラーゼ認識部位を含む、請求項25記載の方法。
- 少なくとも第二のdsヌクレオチド配列がリンカー配列を含む、請求項25記載の方法。
- 少なくとも第三のdsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項25記載の方法。
- 少なくとも第三のdsヌクレオチド配列が、5'末端または3'末端の少なくとも一つまたはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、それぞれの端部が5'末端および3'末端を含む、第一の端部と第二の端部とを含む少なくとも第三のdsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項25記載の方法。
- 増幅された第一のdsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、および少なくとも第三のdsヌクレオチド配列のそれぞれが、トポイソメラーゼ認識部位を含む端部でオーバーハング配列を含む、請求項33記載の方法。
- トポイソメラーゼ認識部位が、少なくとも一つの3'末端またはその近傍であり、オーバーハング配列が5'オーバーハング配列である、請求項34記載の方法。
- 共有結合されるdsヌクレオチド配列の端部のオーバーハング配列が相補的である、請求項34記載の方法。
- 少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が調節要素を含むまたはコードする、請求項25記載の方法。
- 調節要素がプロモーター、エンハンサー、サイレンサー、翻訳開始部位、またはポリアデニル化シグナルである、請求項37記載の方法。
- 調節要素が開始メチオニンコドンまたは停止コドンである、請求項37記載の方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列が発現可能なヌクレオチド配列を含む、請求項25記載の方法。
- 発現可能なヌクレオチド配列がポリペプチドをコードする、請求項40記載の方法。
- 発現可能なヌクレオチド配列が、アンチセンスヌクレオチド配列、tRNA、リボザイム、RNAiヌクレオチド配列、または三重鎖ヌクレオチド配列を含む、請求項41記載の方法。
- tRNAがサプレッサーtRNAである、請求項42記載の方法。
- 少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が検出可能な標識を含むまたはコードする、請求項25記載の方法。
- 検出可能な標識が、酵素、酵素の基質、蛍光化合物、発光化合物、化学発光化合物、放射性核種、常磁性化合物、またはビオチンである、請求項44記載の方法。
- 少なくとも第二のdsヌクレオチド配列がタグを含むまたはコードする、請求項25記載の方法。
- タグがオリゴヌクレオチドタグまたはペプチドタグである、請求項46記載の方法。
- ペプチドタグがポリヒスチジンタグ、V5エピトープ、またはmycエピトープである、請求項47記載の方法。
- 少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が、転写活性化ドメインまたはDNA結合ドメインをコードする、請求項25記載の方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列が複数のヌクレオチド配列を含む、請求項49記載の方法。
- 複数のヌクレオチド配列が、cDNAライブラリ、ヌクレオチド配列の組み合わせライブラリ、または多様なヌクレオチド配列集団である、請求項50記載の方法。
- 第一のdsヌクレオチド配列および少なくとも第二のdsヌクレオチド配列が既定の方向に共有結合される、請求項25記載の方法。
- ds組換え型核酸分子を用いて転写/翻訳カップリング反応を行う段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
- 細胞にds組換え型核酸分子をトランスフェクトさせる段階をさらに含む、請求項25記載の方法。
- プライマー対のプライマーが、IB型トポイソメラーゼ認識部位の相補体を含み、増幅プライマーが5'ヒドロキシル基をさらに含む、請求項25記載の方法。
- トポイソメラーゼ認識部位またはその相補体を含むプライマーが、トポイソメラーゼ認識部位またはその相補体に対して5'に約2〜12ヌクレオチドのヌクレオチド配列をさらに含む、請求項25記載の方法。
- 第一および少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列の配列が互いに異なり;ならびに
第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列と少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列とが、双方の鎖において互いに共有結合することができる、
単離された第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列と少なくとも第二の単離されたトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列とを含む組成物。 - 第一、第二、および少なくとも第三のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が互いに異なる、少なくとも第三のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項57記載の組成物。
- トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含むトポイソメラーゼと同じファミリーの単離トポイソメラーゼをさらに含む、請求項57記載の組成物。
- 第一および少なくとも第二のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列が独立してポリペプチドをコードする、リボ核酸配列をコードする、転写調節要素を含む、または翻訳調節要素を含む、請求項57記載の組成物。
- トポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列を含むトポイソメラーゼが同じである、請求項57記載の組成物。
- 第一のトポイソメラーゼ負荷dsヌクレオチド配列、第二のdsヌクレオチド配列、またはその双方が、それに結合した二つのトポイソメラーゼ分子を含む、請求項57記載の組成物。
- 二つのトポイソメラーゼ分子が異なる、請求項62記載の組成物。
- ds組換え型核酸分子がそれぞれの相補鎖において部位特異的トポイソメラーゼの少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位を含み、部位特異的トポイソメラーゼが一つまたは双方の鎖においてトポイソメラーゼ認識部位に結合して切断することができる、部位特異的トポイソメラーゼと双方の鎖が共有結合したds組換え型核酸分子とを含む組成物。
- 一つの鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位が、相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位の約100ヌクレオチド以内である、請求項64記載の組成物。
- 一つの鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位が、相補鎖におけるトポイソメラーゼ認識部位の約20ヌクレオチド以内である、請求項64記載の組成物。
- 以下を含むキット:
a) それぞれの端部が5'末端と3'末端とを含む、第一の端部と第二の端部とを含む第一のdsヌクレオチド配列;および
b) 第一の端部および第二の端部の少なくとも一つの5'末端および3'末端を、第二のdsヌクレオチド配列の端部の5'末端および3'末端に共有結合させるためにトポイソメラーゼを用いる説明書。 - 第二のdsヌクレオチド配列をさらに含む、請求項67記載のキット。
- トポイソメラーゼをさらに含む、請求項67記載のキット。
- 第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、または該第一の端部および該第二の端部の双方の5'末端または3'末端またはその近傍で少なくとも一つのトポイソメラーゼ認識部位を含む、請求項67記載のキット。
- 第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、該第二の端部、または該第一の端部および該第二の端部の双方の少なくとも一つの末端に結合したトポイソメラーゼを含む、請求項67記載のキット。
- トポイソメラーゼが、第一の端部、第二の端部、または該第一の端部と該第二の端部の双方の3'末端に結合したIB型トポイソメラーゼである、請求項71記載のキット。
- 第一のdsヌクレオチド配列が、第一の端部、第二の端部、または該第一の端部および該第二の端部の双方の少なくとも一つの末端またはその近傍でトポイソメラーゼ認識部位を含む、請求項67記載のキット。
- トポイソメラーゼ認識部位がIB型トポイソメラーゼ認識部位である、請求項73記載のキット。
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