JP2004505630A5 - - Google Patents

Description

発明の概要
変種（variant）のＥＧＩＩＩ又はＥＧＩＩＩ様セルラーゼが提供され、Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ ｒｅｅｓｅｉ由来のＥＧＩＩＩ中の残基Ｗ７，Ｇ３１，Ａ３５，Ｔ１４５，Ｙ１４７，Ｑ１６２及び／又はＹ１６８の一つ又は複数に対応する位置において置換又は欠失を含む。好ましい態様において、変種は、ＥＧＩＩＩ中の残基Ｗ７Ｙ，Ｇ３１Ｑ，Ａ３５Ｖ，Ｔ１４５Ｅ，Ｙ１４７Ｗ，Ｑ１６２Ｐ及び／又はＹ１６８Ｆの一つ又は複数に対応する位置において置換又は欠失を含む。この態様の一つの側面において、上記セルラーゼは、真菌、細菌又は放線菌に由来する。より好ましい側面において、上記セルラーゼは真菌に由来する。もっとも好ましい態様において、繊維状真菌である。好ましくは、繊維状真菌は、真正子嚢菌類（Ｅｕａｓｃｏｍｙｃｅｔｅ）、特にアスペルギルス（Ａｓｐｅｒｇｉｌｌｕｓ）種、グリオクラジウム（Ｇｌｉｏｃｌａｄｉｕｍ）種、フザリウム（Ｆｕｓａｒｉｕｍ）種、アクレモニウム（Ａｃｒｅｍｏｎｉｕｍ）種、ミセリオフトーラ（Ｍｙｃｅｌｉｏｐｈｔｏｒａ）種、バーティシリウム（Ｖｅｒｔｉｃｉｌｌｉｕｍ）種、ミロセシウム（Ｍｙｒｏｔｈｅｃｉｕｍ）種又はペニシリウム（Ｐｅｎｉｃｉｌｌｉｕｍ）種に属する。この態様の別の側面において、この発明のＥＧＩＩＩ様セルラーゼはエンドグルカナーゼである。

発明の別の態様において、この発明のＥＧＩＩＩ変種セルラーゼをコードするＤＮＡが提供される。好ましい態様において、ＤＮＡはベクター中にある。さらなる態様において、上記ＤＮＡは上記ベクターにより形質転換された宿主細胞中にある。

この発明の別の態様において、この発明のＥＧＩＩＩ変種セルラーゼを生産する方法が提供される。当該方法は、セルラーゼを生産するために適した条件下で適当な培養培地中で請求項１１記載の宿主細胞を培養し、そして生産されたセルラーゼを得る工程を含む。

発明のさらに別の態様において、界面活性剤及びセルラーゼを含む洗浄剤が提供される。好ましい態様において、上記セルラーゼは、Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ ｒｅｅｓｅｉ由来のＥＧＩＩＩ中の残基Ｗ７，Ｇ３１，Ａ３５，Ｔ１４５，Ｙ１４７，Ｑ１６２及び／又はＹ１６８の一つ又は複数に対応する位置において置換又は欠失を含む変種ＥＧＩＩＩ様セルラーゼを含む。より好ましい態様において、変種は、ＥＧＩＩＩ中の残基Ｗ７Ｙ，Ｇ３１Ｑ，Ａ３５Ｖ，Ｔ１４５Ｅ，Ｙ１４７Ｗ，Ｑ１６２Ｐ及び／又はＹ１６８Ｆの一つ又は複数に対応する位置において置換又は欠失を含む。
この発明の好ましい側面において、洗浄剤はランドリー用又は皿洗い用の洗浄剤である。この発明の別の態様において、上記変種ＥＧＩＩＩ又はＥＧＩＩＩ様セルラーゼは、セルロース含有織物の処理、特にストーンウオッシュ又はインディゴ染色されたデニムに使用される。あるいは、この発明のセルラーゼは、飼料添加物として、ウッドパルプの処理において、及びバイオマスのグルコースへの転化において使用することができる。

発明の詳細な説明
出願人は、Ｔｒｉｃｈｏｄｅｒｍａ ｒｅｅｓｅｉ由来のＥＧＩＩＩに相同性を有するセルラーゼのファミリーの新規なメンバーを単離した。これらのセルラーゼの分析は、有意な相同性にも拘わらず、セルラーゼの間で異なる性能をもたらした。特に、Ｈｕｍｉｃｏｌａ ｉｎｓｏｌｅｎｓ，Ｈｕｍｉｃｏｌａ ｇｒｉｓｅａ，Ｍｅｍｎｏｎｅｌｌａ ｅｃｈｉｎａｔａ、Ｆｕｓａｒｉｕｍ ｊａｖａｎｉｃｕｍ及びＥｍｅｒｉｃｅｌｌａ ｄｅｓｅｒｔｏｒｕ由来のＥＧＩＩＩ様セルラーゼは熱ストレス下の条件において優秀な性能を有することが発見された。これらのＥＧＩＩＩ様セルラーゼにおけるアミノ酸配列をＥＧＩＩＩのそれと整列化することにより、熱に対してより安定なセルラーゼとＥＧＩＩＩの間の残基の差異を同定して、即ちＥＧＩＩＩ様セルラーゼの熱安定性を改善するのに重要な残基を同定することが可能である。従って、ＥＧＩＩＩ内並びにＥＧＩＩＩ様セルラーゼ内で同定された残基を最適化することにより、ＥＧＩＩＩ及びＥＧＩＩＩ様セルラーゼの両方の熱安定性をさらに改善することが可能である。

本発明により改善された蛋白質は、前駆体蛋白質のアミノ酸配列に由来するアミノ酸配列を含む。前駆体蛋白質は天然に生じる蛋白質又は組換え蛋白質であってよい。改善された蛋白質のアミノ酸配列は、前駆体アミノ酸配列の一つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失又は挿入により前駆体蛋白質のアミノ酸配列に由来する。そのような修飾は、前駆体蛋白質自体の操作よりもむしろ前駆体蛋白質のアミノ酸配列をコードする前駆体ＤＮＡ配列に一般的である。前駆体ＤＮＡ配列のそのような修飾の適切な方法は、本明細書において援用される、共通の譲受人の米国特許第４，７６０，０２５号、第５，１８５，２５８号に開示された方法を含む。

【０１２１】
【表１】
表１
ＥＧＩＩＩ様セルラーゼ ハーフタイム（分）
Ｈ．ｇｒｉｓｅａ 安定＊
Ｈ．ｉｎｓｏｌｅｎｓ 安定＊
Ｅ．ｄｅｓｅｒｔｏｒｕ ２００
Ｆ．ｊａｖａｎｉｃｕｍ ９３
Ｍ．ｅｃｈｉｎａｔａ １９２
Ｔ．ｒｅｅｓｅｉ（ＥＧＩＩＩ） ２３
＊「安定」は２００分間で２０％未満の活性損失を示す
上記の結果から認識し得るとおり、ＥＧＩＩＩ様セルラーゼはＴ．ｒｅｅｓｅｉ由来のＥＧＩＩＩに対して相対的に相同であるにも拘わらず、有意に改善された安定性を有した。従って、より安定な相同体において異なる残基がＥＧＩＩＩ様セルラーゼの改善された安定性に必須であり、そしてそのようにして、これらの残基を修飾することによりＥＧＩＩＩ様セルラーゼ及びＥＧＩＩＩ自体のさらなる改善がＥＧＩＩＩ及びＥＧＩＩＩ様セルラーゼの安定性の追加の改善をもたらすことは明らかである。
実施例３：熱安定性のＥＧＩＩＩ様セルラーゼからの残基を有するＥＧＩＩＩの安定性
以下のプライマーを用いて、Ｔ．ｒｅｅｓｅｉ由来のＥＧＩＩＩ及びＨ．ｇｒｉｓｅａ由来のＥＧＩＩＩ様セルラーゼの中のシステイン置換を生じさせた。ＰＣＲは公知の技術に従い実施した。