JP2004361320A - 振動子の励振方法、物理量の測定方法および物理量測定装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】屈曲振動アーム2Aに駆動振動を励振する。屈曲振動アーム2Aにおいて、駆動振動Fとは異なる方向の不所望な励起振動Vに基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて励起振動の振幅を低減する。
【選択図】 図5
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、振動子の励振方法、物理量の測定方法および物理量測定装置に係るものである。
【0002】
【従来の技術】車載用途においては、振動型ジャイロスコープの使用温度範囲がきわめて広く、例えば、−40℃−+85℃の温度範囲において安定に動作することが要求される。そして、室温において、一対の屈曲振動片の共振周波数を一定値に調節していても、周囲温度が高温や低温に大きく変化したときには、共振周波数の変動やバラツキが大きくなることがある。この結果、いわゆるゼロ点温度ドリフトが発生する。
【0003】本出願人は、特許文献1において、屈曲振動片の両側面の付け根にそれぞれテーパー部を設けることによって、ゼロ点温度ドリフトを抑制することを開示した。
【特許文献1】
特開2001−12952号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者が更に検討を進めると、振動子の材質などによっては新たな問題点があることが判明してきた。即ち、特許文献1に記載されているように、屈曲振動片の両側面の付け根にそれぞれテーパー部を設け、これらのテーパー部の形状をほぼ同じにすることによって、屈曲振動片の振動モードの対称性が高まり、ゼロ点温度ドリフトは減少するものと考えられる。しかし、製造された振動子ごとにゼロ点温度ドリフトを測定すると、各振動子ごとに、ゼロ点温度ドリフトの値にバラツキが発生することがあった。そして、個々の振動子ごとのゼロ点温度ドリフトのバラツキが大きくなり、結果的に不良品の割合が増大することがあった。
【0005】なぜなら、振動子のゼロ点温度ドリフトをゼロにすることはできなくとも、ゼロ点温度ドリフトが一定値であれば、振動型ジャイロスコープの検出回路に温度ドリフトの補正回路を組み込むことによって、ゼロ点温度ドリフトを相殺することが可能である。しかし、製造されたこの振動子のゼロ点温度ドリフトのバラツキが大きくなると、ある振動子において補正回路によってゼロ点温度ドリフトを相殺できたとしても、他の振動子においてはゼロ点温度ドリフトを相殺できず、その振動型ジャイロスコープの動作が不良になってしまう。
【0006】本出願人は、特許文献2において、前記の動作不良の主原因が、振動子を作製する際の、振動子用のウエハの表面上のマスクと裏面上のマスクとのアライメントずれにあることを見いだした。この結果、目的とする振動子平面内の屈曲振動だけでなく、振動子平面に対して垂直なZ軸方向の不要な振動が励起されてしまう。この不要なZ軸方向の振動が検出側の屈曲振動アームにも発生し、検出信号中のノイズの原因となっていた。
特許文献2においては、これを防止するために、各屈曲振動アームの横断面を細長い特定形状とすることを開示したが、この方法ではウエハの厚さが大きく制約されてしまう。
【特許文献2】
特願2002−68862号
【0007】本発明の課題は、屈曲振動アームに駆動振動を励振するのに際して、屈曲振動アームにおいて駆動振動とは異なる方向の不所望な励起振動を抑制することである。
【0008】また、本発明の課題は、屈曲振動アームに駆動振動を励振するのに際して、屈曲振動アームにおいて駆動振動とは異なる方向の不所望な励起振動を抑制することによって、物理量に対応する検出信号中のノイズを低減することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、屈曲振動アームを有する振動子の励振方法であって、屈曲振動アームに駆動振動を励振し、この屈曲振動アームにおいて駆動振動アームとは異なる不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて励起振動を抑制することを特徴とする。
【0010】また、本発明は、屈曲振動アームを有する振動子を用いて物理量を検出する方法であって,屈曲振動アームに駆動振動を励振し、物理量に応じて振動子に励振される検出振動に基づく出力信号を処理し、物理量に対応する検出信号を得ると共に、屈曲振動アームにおいて駆動振動および検出振動とは異なる不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、励起信号に基づいて励起振動を抑制することを特徴とする。
【0011】また、本発明は、屈曲振動アームを有する振動子を用いて物理量を検出する装置であって,屈曲振動アームに駆動振動を励振し、物理量に応じて振動子に励振される検出振動に基づく出力信号を処理し、物理量に対応する検出信号を得ると共に、屈曲振動アームにおいて駆動振動および検出振動とは異なる不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、励起信号に基づいて励起振動を抑制することを特徴とする。
【0012】本発明者は、屈曲振動アームに駆動振動を励振するのに際して、この屈曲振動アームにおいて駆動振動とは異なる方向の不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて励起振動の振幅を小さくするように制御することを想到した。この結果、不要な方向の励起振動を低減し、これによって検出信号中のノイズを低減することができる。また、振動型ジャイロスコープにおいてはゼロ点温度ドリフトを低減することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ、本発明を更に説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る振動子20を示す正面図である(振動子20をZ軸方向から見ている)。振動子20は、例えば一対の屈曲振動アーム2A、2Bと、各屈曲振動アームの根元を固定する固定部1とを備えている。各屈曲振動アーム2A、2Bは、それぞれ、細長い断面矩形の振動片3を備えている。
【0014】図2は、屈曲振動アーム2A(または2B)をX軸方向から見た正面図である。図3(a)は、屈曲振動アーム2Aの横断面図であり、図3(b)は、アーム2Bの横断面図である。
【0015】特に図3(a)に示すように、アーム2Aにおいては、振動片3の相対向する第一の平面3c、3d上にそれぞれ駆動電極5A、5Bが設けられている。図3(b)に示すように、アーム2Bにおいては、振動片3の第一の平面3c、3d上にそれぞれ駆動電極5C、5Dが設けられている。
【0016】各振動片3は、少なくとも一対の基部19A、19B、19C、19Dと、これらの基部を接続する接続部18とを備えており、接続部18と一対の基部とによって一対の凹部4A、4Bが形成されている。この結果、振動片の横断面は略H形状をしている。
【0017】アーム2Aにおいては、振動片3の凹部4A内に例えば一対の検出電極6A、6Bが形成されており、電極6Aと6Bとの間には絶縁部分7があり、各電極が電気的に導通しないように絶縁している。凹部4B内に一対の検出電極6C、6Dが形成されており、電極6Cと6Dとの間には絶縁部分7があり、各電極が電気的に導通しないように絶縁している。同様に、アーム2Bにおいては、振動片3の凹部4A、4B内にそれぞれ一対の検出電極6E、6Fまたは6G、6Hが形成されており、各凹部内において電極間には絶縁部分7があり、各電極が電気的に導通しないように絶縁している。
【0018】本例では、アーム2A、2Bを、図1に矢印Aで示すようにX軸方向に屈曲振動させる。この際、アーム2Aにおける振動の位相とアーム2Bにおける振動の位相とを逆相に設定する。ここで、振動子を構成する圧電材料は、矢印A方向に分極しているものとする。図3(a)のアーム2Aでは、駆動電極5Aと5Bとを同位相に設定し、交流電源に接続する。駆動電極5A、5Bから検出電極6A〜6Dに向かって矢印B、Cのように交流電界が印加される。この結果、基部19Aにおける交流電界の位相と、基部19Bにおける交流電界の位相とは、反対方向になる。従って、ある瞬間において、基部19AがY軸方向(長手方向)に伸びているものとすると、基部19BはY軸方向に縮む。この結果、振動片3は矢印Fのように屈曲振動する。
【0019】図3(b)のアーム2Bでは、駆動電極5Cと5Dとを同位相に設定し、交流電源に接続する。駆動電極5C、5Dから検出電極6E〜6Hに向かって矢印D、Eのように交流電界が印加される。この結果、基部19Cにおける交流電界の位相と、基部19Dにおける交流電界の位相とは、逆相になる。従って、ある瞬間において、基部19CがY軸方向(長手方向)に伸びているものとすると、基部19DはY軸方向に縮む。この結果、振動片3は矢印Fのように屈曲振動する。
【0020】駆動電極5A、5Bに印加される交流電圧の位相と、駆動電極5C、5Dに印加される交流電圧の位相とを逆相にすることによって、図1においてアーム2Aと2Bとを逆相で励振することができる。
【0021】本実施形態によれば、駆動電極5A〜5Dと凹部内の複数の電極との間に交流電界を印加し、基部19A、19Bの全体の圧電性を利用して振動片3を励振できる。従って、駆動振動の励振効率を高くすることができる。
【0022】回転角速度の検出方法について述べる。図4に示すように、検出電極6A、6D、6F、6Gを接続すると共に、検出電極6B、6C、6E、6Hを接続し、同電位とする。振動子20を軸Yの周りに回転させると、各振動片3には、Z軸方向の検出振動Gが発生する。検出振動Gの位相は、アーム2Aと2Bとの間で逆相になる。この結果、図4において、各基部19A〜19Dの上半分が伸びているときには、各基部の下半分は縮むことになる。このため、検出電極6Aと6Dとは同位相の起電力が発生し、電極6Bと6Cとには同位相の起電力が発生する。また、電極6Fと6Gとには同位相の起電力が発生し、電極6Eと6Hとには同位相の起電力が発生する。そして、検出電極6A、6D、6F、6Gは同位相となり、検出電極6B、6C、6E、6Hは同位相となる。従って、上述した同位相の電極同士を接続し、電気信号を得る。
【0023】得られた検出信号に対して、所定の電気的処理を施し、回転角速度に対応する数値データを得る。例えば、図4において、各出力P、Qを減算器10で減算することによって、駆動振動に起因する電気信号を相殺し、回転角速度に対応する電気信号を得ることができる。
【0024】また、各出力P、Qを加算器9で加算することによって、検出振動に起因する電気信号を相殺し、駆動振動に対応する電気信号を得ることができる。
加算器9からの出力は、駆動振動を励振するための自励振回路の制御信号として利用可能である。
【0025】ここで、屈曲振動アーム3に駆動振動を励振する際には、例えば図5に示すように、屈曲振動アームの振動にZ軸方向の成分が加わることがある。この結果、駆動振動モードは、矢印Mのように、X軸に対して若干傾斜することがある。このような不要なZ軸方向の励起振動成分Vは、例えばウエハの表面と裏面との各マスクのアライメント時の位置ずれによって起こる。
【0026】この際、屈曲振動アーム3の駆動振動に、矢印MのようにZ軸方向の振動成分が加わると、電極6Bと6Cとに同位相の電位が発生し、電極6Aと6Dとに同位相の電位が発生する。従って、電極6A、6Dの電位と電極6B、6Cの電位とを減算器10で減算すると、Z軸方向の振動成分に対応する信号が出力される。ここで、振動子がY軸の周りに回転している場合には、減算器10からの出力は、Y軸周りの回転角速度およびZ方向の不要振動の和を反映する。しかし、Y軸周りに見て回転していない場合には、Z軸方向の不要な振動の大きさを直接に測定可能である。
【0027】そして、この不要な振動に対応する励起信号を信号処理機構21に伝送し、所定の演算を施す。次いで、図5に示すように、信号処理機構21から、矢印R、S、T、Uに示すように、各電極6A、6B、6C、6Dに信号を伝送する。この際、Z軸方向の不要な励起振動Vの大きさに応じて、各電極へと重畳される信号の大きさを変更し、Z軸方向への励起振動Vを相殺できるようにフィードバック制御する。
【0028】例えば、電極6Bからの信号を適当に増幅し、電極6Dに加えたり、電極6Aからの信号を適当に増幅して電極6Cに加えることで、Z軸方向の振動を低減できる。あるいは、電極6B(または6A)からの信号を分割し、その一部を反転増幅し、電極6D(または6C)に加えることができる。
【0029】本発明において測定されるべき物理量は、特に限定はされない。振動子に駆動振動を励振し、駆動振動中の振動子に対する物理量の影響によって振動子の振動状態に変化が生じたときに、この振動状態の変化から検出回路を通して検出可能な物理量を対象とする。こうした物理量としては、振動子に印加される加速度、角速度、角加速度が特に好ましい。また、測定装置としては慣性センサーが好ましい。
特に好適な実施形態においては、後述の例に示すように、振動子に略垂直な回転軸Zの周りの回転角速度を検出振動に基づいて物理量として検出し、フィードバック制御量に基づいて、振動子に略平行な回転軸Yの周りの回転角速度を検出する。
【0030】好適な実施形態においては、振動子が圧電材料から構成されており、好ましくは圧電性単結晶によって形成されている。
【0031】圧電性単結晶は、水晶、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体、ほう酸リチウム、ランガサイトを例示できる。特に好ましくは、ニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム−タンタル酸リチウム固溶体の130°Y板である。
【0032】本発明は、いわゆる横置き型の振動型ジャイロスコープに対して、特に好適に適用できる。横置き型の振動型ジャイロスコープにおいては、振動子が、回転軸に対して略水平な所定面内に延びている。この場合に特に好ましくは、駆動振動アームと検出振動アームとの両方が、所定面に沿って屈曲振動する。図6〜図10は、この実施形態に係る振動子25を示す。
【0033】振動子25においては、固定部11の周縁から支持部12A、12Bが突出している。各支持部12A、12Bの先端側から、各支持部に直交する方向に屈曲振動アーム(駆動振動アーム)22A、22B、22C、22Dが延びている。各屈曲振動アームの断面形状、正面形状および構成は、図1〜図5に示したとおりである。
【0034】固定部11の周縁から、細長い周方向屈曲振動アーム16A、16Bが突出している。各アーム16A、16Bの側面には検出電極17A、17Bが設けられており、表面および裏面には検出電極18A、18Bが設けられている。
【0035】各駆動振動アーム22A−22Dに対して、それぞれ前述のように交流電圧を印加することによって、矢印FのようにX−Y平面内でX方向に向かって屈曲振動させる(図6、図7、図8)。各駆動振動アームを矢印Fのように振動させ、この状態で振動子25を軸Zの回りに回転させると、一対の支持部12A、12Bが矢印Jのように、その付け根を中心として屈曲振動する。これに対応し、検出振動アーム16A、16Bが、各アームの付け根を中心として矢印Kのように屈曲振動する。この屈曲振動に基づいて検出信号を発生させ、検出回路において処理する。この結果、軸Zの周りの回転角速度が得られる。
【0036】本実施形態における振動子の励振制御方法も、図1−図5を参照しつつ説明した実施形態と基本的に同じである。
各出力P、Qを加算器9で加算することによって、検出振動に起因する電気信号を相殺し、駆動振動に対応する電気信号を得ることができる。加算器9からの出力は、駆動振動を励振するための自励振回路の制御信号として利用する。例えば、図9、図10に示すような回路構成を用いた場合には、駆動振動に対応する電流値を全波整流器.積分器でレベル制御し、次いでレベル制御後の信号を制御信号として駆動電極5に加え、自励発振を行うことができる。
【0037】ここで、屈曲振動アーム3に駆動振動を励振する際には、例えば図6に示すように、屈曲振動アームの振動にZ軸方向の成分が加わることがある。この際、屈曲振動アームの駆動振動に、矢印DのようにZ軸方向の振動成分が加わると、電極15A(15C)と15G(15H)とに同位相の電位が発生し、電極15B(15D)と15E(15F)とに同位相の電位が発生する。従って、電極15A(15C)、15G(15H)の電位と電極15B(15D)、15E(15F)の電位とを減算器10で減算すると、Z軸方向の励起振動成分に対応する信号が出力される。振動子がY軸の周りに回転している場合には、減算器10からの出力は、Y軸周りの回転角速度およびZ方向の不要振動の和を反映する。振動子がY軸周りに見て回転していない場合には、減算器10からの出力は、製品ごとの製造バラツキを直接に反映する指標となる。
【0038】そして、この不要な振動に対応する励起信号を信号処理機構21に伝送し、所定の演算を施す。次いで、図8に示すように、信号処理機構21から、矢印R、S、T、Uに示すように、各電極に信号を伝送する。この際、Z軸方向の不要な振動の大きさに応じて、各電極へと重畳される信号の大きさを変更し、Z軸方向への振動を相殺できるようにする。
【0039】好ましくは、Z軸方向の変位が約0となるように、各電極へと重畳される信号の大きさをフィードバック制御する。このためには、例えば図9に示す同期検波・積分器を用いて、減算器10からの出力が約0となるようにフィードバック制御する。
【0040】即ち、電極15A、15Bから出力される電流値の和が、左側アームのX軸方向の変位を示し、差がZ軸方向の変位を示している。同様に、電極15C、15Dからの電流の和が、右側アームのX軸方向の変位を示し、差がZ軸方向の変位を示している。
【0041】X軸方向の変位は、左側アームと右側アームで逆方向である。従って、電極15Aおよび15Bからの電流値の和と、電極15Cおよび15Dからの電流値の和との差を得ることで、両側アームのX軸方向の変位を示す電流値を得ることができる。この変位を示す電流値を、全波整流器・積分器1でレベルを制御し、駆動電極5にフィードバックすることで、自励発振を行う。
【0042】Z軸方向の変位を同期検波により検出し、0との差を積分器1,2で加算し、その出力を電極15A、15B、15C、15Dに、0との差が低減する方向でフィードバック制御する。これによって、Z軸方向の変位を徐々に減少させる。
【0043】例えば、電極15Aからの電流は、差動増幅器2を通り、同期検波器を通過することによって、Z方向変位を表す電気信号となる。この値と0との差を積分器2に加算し、D11Gとして出力する。この出力D11Gを、I/V変換器の非反転入力信号として出力することで、電極15Aの電位がD11Gと等電位になり、Z方向変位が減少する方向にフィードバック制御がなされる。このフィードバックループを繰り返すことにより、Z方向変位を0とすることができる。
この状態で、Y軸周りの回転角速度が0であれば、Z方向変位は、製品ごとの製造バラツキに起因するものである。従って、Z方向変位を約0とするのに必要なフィードバック制御量Q1は、製品ごとの製造バラツキを反映する。
【0044】更に、振動子にY軸周りの回転角速度が加わっている場合には、各電極へのフィードバック量とY軸周りの回転角速度とは相関している。従って、各電極へのフィードバック量から検量線を用いてY軸周りの回転角速度を検出することが可能である。
【0045】即ち、Y軸周りの回転角速度が0でなくなると、Z方向変位を相殺するのに必要なフィードバック制御量Qは、製品ごとの製造バラツキを相殺するのに必要なフィードバック制御量Q1と、Y軸周り回転角速度に比例するZ方向変位を相殺するのに必要なフィードバック制御量Q2との和(Q1+Q2)となる。従って、(Q1+Q2)とY軸周りの回転角速度との間の検量線を予め求めて21内に内蔵しておくことにより、Y軸周りの回転角速度を算出することができる。
【0046】以上特定の実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上述の実施形態には限定されない。例えば、基部の形状、凹部の形状は特に限定されない。また、基部における圧電材料の分極方向、振動アーム上での駆動電極、検出電極の位置や形状は限定されない。また、各凹部内に駆動電極を設け、検出電極を第一の平面上に設けることができる。また各凹部内で各電極を分離する方法は、前述のような隙間(ギャップ)には限定されない。例えば、絶縁性材料をギャップ7内に介在させることができる。また、絶縁性材料によって各電極の表面を被覆することもできる。
【0047】
【実施例】図6〜図10を参照しつつ説明したような振動型ジャイロスコープを作製した。
具体的には、厚さ0.1mmの水晶のZ板のウエハーに、スパッタ法によって、所定位置に、クロム膜(金属下地膜)と金膜とを形成した。ウエハーの両面にレジストをコーティングした。
【0048】このウエハーを、ヨウ素とヨウ化カリウムとの水溶液に浸漬し、余分な金膜をエッチングによって除去し、更に硝酸セリウムアンモニウムと過塩素酸との水溶液にウエハーを浸漬し、余分なクロム膜をエッチングして除去した。温度80℃の重フッ化アンモニウムに20時間ウエハーを浸漬し、ウエハーをエッチングし、振動子の外形を形成した。メタルマスクを使用して、クロム膜上に金膜を電極膜として形成した。振動子の寸法は、縦3.8mm、横4.5mm、厚さ0.1mmであり、重量は約0.8mgであった。
【0049】次いで振動子をパッケージに実装した。ただし、基板はアルミナセラミックスによって形成し、接点パッドは金によって形成し、枠体はSUSによって形成した。振動子の基部をボンディングワイヤに対して超音波ボンディングによって接合し、基板上に固定した。
【0050】得られた振動型ジャイロスコープについて、回転角速度に対する振動感度(感度に対するノイズの比率)を測定した。この結果、振動感度は0.8mVであった。
【0051】また、上記の振動型ジャイロスコープについて、本発明によるZ軸方向への振動抑制を行わなかった。この結果、振動感度は2.4mVであった。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、屈曲振動アームに駆動振動を励振するのに際して、屈曲振動アームにおいて駆動振動とは異なる方向の不所望な励起振動を抑制することによって、物理量測定装置に対応する検出信号中のノイズを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用可能な振動子を示す正面図である(振動子をZ軸方向から見ている)。
【図2】屈曲振動アーム2A(または2B)をX軸方向から見た正面図である。
【図3】(a)は、屈曲振動アーム2Aの横断面図であり、(b)は、アーム2Bの横断面図である。
【図4】振動子1による検出方法を説明するための模式図である。
【図5】振動子の駆動振動への制御機構を模式的に示すブロック図である。
【図6】本発明で使用可能な振動子25を概略的に示す平面図である。
【図7】図6の振動子からの信号の処理機構を模式的に示すブロック図である。
【図8】振動子25の駆動振動への制御機構を模式的に示すブロック図である。
【図9】振動子25の制御回路(駆動側)の構成例を示す回路図である。
【図10】振動子25の制御回路(検出側)の構成例を示す回路図である。
【符号の説明】2A、2B 屈曲振動アーム 5、5A、5B 駆動電極6A、6B、6C、6D、6E、6F、6G、6H、15A、15B、15C、15D、15E、15F、15G、15H 駆動振動アーム側の検出電極 9 加算器 10 減算器 21 信号処理機構 22A、22B、22C、22D 駆動振動アーム 25 振動子
F 駆動振動 K、G 検出振動 V 励起振動
Claims (17)
- 屈曲振動アームを有する振動子の励振方法であって、
前記屈曲振動アームに駆動振動を励振し、この屈曲振動アームにおいて前記駆動振動とは異なる方向の不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて前記励起振動を抑制することを特徴とする、振動子の励振方法。 - 前記屈曲振動アームに、前記駆動振動を励振するための駆動電極、および前記励起信号を検出するための検出電極を設けることを特徴とする、請求項1記載の方法。
- 前記屈曲振動アームが、少なくとも一対の基部と、これらの基部を接続する接続部とを備えており、前記接続部と前記一対の基部とによって凹部が形成されており、前記駆動電極および前記検出電極が前記凹部内に設けられていることを特徴とする、請求項2記載の方法。
- 前記屈曲振動アームが前記駆動振動モードにおいて所定面に沿って屈曲振動し、前記励起振動が前記所定面に対して略垂直な方向の振動であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記励起信号に基づいて、前記励起振動が約0となるように前記駆動振動をフィードバック制御することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 屈曲振動アームを有する振動子を用いて物理量を検出する方法であって、
前記屈曲振動アームに駆動振動を励振し、前記物理量に応じて前記振動子に励振される検出振動に基づく出力信号を処理し、前記物理量に対応する検出信号を得ると共に、前記屈曲振動アームにおいて前記駆動振動および前記検出振動とは異なる不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて前記励起振動を抑制することを特徴とする、物理量の測定方法。 - 前記屈曲振動アームに、前記駆動振動を励振するための駆動電極、および前記励起信号を検出するための検出電極を設けることを特徴とする、請求項6記載の方法。
- 前記屈曲振動アームが、少なくとも一対の基部と、これらの基部を接続する接続部とを備えており、前記接続部と前記一対の基部とによって凹部が形成されており、前記駆動電極および前記検出電極が前記凹部内に設けられていることを特徴とする、請求項7記載の方法。
- 前記屈曲振動アームが前記駆動振動モードにおいて所定面に沿って屈曲振動し、前記励起振動が前記所定面に対して略垂直な方向の振動であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記励起信号に基づいて、前記励起振動が約0となるように前記駆動振動をフィードバック制御することを特徴とする、請求項6〜9のいずれか一つの請求項に記載の方法。
- 前記検出振動に基づいて、前記振動子に略垂直な回転軸の周りの回転角速度を検出し、前記フィードバック制御量に基づいて、前記振動子に略平行な回転軸の周りの回転角速度を検出することを特徴とする、請求項10記載の方法。
- 屈曲振動アームを有する振動子を用いて物理量を検出する装置であって、
前記屈曲振動アームに駆動振動を励振し、前記物理量に応じて前記振動子に励振される検出振動に基づく出力信号を処理し、前記物理量に対応する検出信号を得ると共に、前記屈曲振動アームにおいて前記駆動振動および前記検出振動とは異なる不所望な励起振動に基づく励起信号を検出し、この励起信号に基づいて前記励起振動を抑制することを特徴とする、物理量測定装置。 - 前記屈曲振動アームに、前記駆動振動を励振するための駆動電極、および前記励起信号を検出するための検出電極が設られていることを特徴とする、請求項12記載の装置。
- 前記屈曲振動アームが、少なくとも一対の基部と、これらの基部を接続する接続部とを備えており、前記接続部と前記一対の基部とによって凹部が形成されており、前記駆動電極および前記検出電極が前記凹部内に設けられていることを特徴とする、請求項13記載の装置。
- 前記屈曲振動アームが前記駆動振動モードにおいて所定面に沿って屈曲振動し、前記励起振動が前記所定面に対して略垂直な方向の振動であることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 前記励起信号に基づいて、前記励起振動が約0となるように前記駆動振動をフィードバック制御することを特徴とする、請求項12〜15のいずれか一つの請求項に記載の装置。
- 前記検出振動に基づいて、前記振動子に略垂直な回転軸の周りの回転角速度を検出し、前記フィードバック制御量に基づいて、前記振動子に略平行な回転軸の周りの回転角速度を検出することを特徴とする、請求項16記載の装置。
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