JP2004359518A - 炭素マイクロチューブとその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブとその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の炭素マイクロチューブとその製造方法は、炭素微粉体を遷移金属塩溶液に混合して溶媒を蒸発させ、乾燥後の混合粉体を不活性雰囲気下で遷移金属の溶融温度以上3000℃未満で焼成し、炭素化して析出し、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの炭素チューブを作製する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内外径がサブミクロンサイズで内外径の大きさをコントロール可能な炭素マイクロチューブと、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年におけるカーボンナノチューブの発見はナノ技術の展望を一挙に拓くものであった。その後の研究でさらに様々なナノチューブが、またその作製方法が報告されている。中でも、中空状の炭素繊維は、Fe,Co,Ni等の遷移金属触媒を使用し、いわゆる気相合成法によって製造されるものが知られている。この気相合成法には、アーク放電法、レーザー蒸発法、熱CVD法などの方法が提案され研究が続けられている。
【0003】
ところで、気相合成法によるカーボンナノチューブの合成は、遷移金属触媒の数nmの超微細触媒粒子を用いるため、チューブの内径は現在、3nm〜5nm、外径5nm〜50nmが限界といわれている。そして、この気相合成法によるのではチューブの内外径のコントロールをすることは難しい。
【0004】
同様に、気相成長炭素繊維(以下、VGCF)も中空状の長炭素繊維として知られている。これもFe,Co,Ni等の遷移金属を触媒として気相中で製造されるものである。VGCFは炭化水素の熱分解により製造され、カーボンナノチューブが炭化水素の熱分解により直径方向に成長することで得られ、外径は数nm〜約200nmにまで成長する。しかし、中空部の内径は、外径にもよるがカーボンナノチューブとほぼ同様の数nm、概ね3nm〜5nmとなる。長さは数cm以上にまで調製可能であるが、チューブの形態は枝分かれが多く、枝分かれのない直なチューブとはいえない。
【0005】
ところで、上述した気相合成法ではチューブ径のコントロールが難しいため、従来の気相合成法のように金属触媒を使用するのではなく、樹脂のコア粒子を使用することにより、ナノチューブ外径の大きさをコントロールする方法(以下、固相法)が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
特許文献1で提案された固相法は、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン、ポリスチレン等のオレフィン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のポリアルキルアクリレート、ポリオキシメチレン等の熱処理で焼失するポリマーで0.01μm〜100μmのコア粒子を製造し、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、フェノール樹脂等の炭素前駆体樹脂をこのコア粒子に被覆し、500℃〜3000℃にて0.5時間〜24時間保持することにより炭素化し、外径が200nm未満のカーボンナノチューブを得るものである。
【0007】
この特許文献1において開示された固相法は、200nm未満の外径のナノチューブを作製することを上限の目標とはするが、1nm〜100nmが好ましいとされ、具体的に実証されたものは、平均40nm以下、内径20nm、細いものでは10nmと、従来サイズのカーボンナノチューブが報告されているだけである。
【0008】
従って特許文献1の固相法においては、未実証の、例えば外径100nm〜200nmのチューブの作製可能性は、いわば今後の課題として残されている。そして、それより大きな外径200nm〜1μmのチューブを作製する方法は現在のところ存在しない。そして確かに固相法は外径のコントロールに先鞭をつけたものの、内径コントロールについては開示するところがない。チューブ径のコントロール方法としてはいわば途半ばである。実用性のあるチューブの直径をコントロールするためには、内外径をコントロールすることが必要である。
【0009】
このように従来のカーボンチューブはナノ空間のサイズに属すもので、内外径のコントロールを行う技術、また、内外ともに直径(当然に外径>内径)が100nm〜1μm、とくに200nm〜900nmのサブミクロンサイズのチューブを作製するための方法は存在しなかった。
【0010】
なお、最近、結晶面(1,1,1)をもつNi基板に炭素を固溶した炭素固溶Niを徐冷し、グラファイトを析出した後、もやし状のカーボン・ナノスプラウトを形成する方法が提案された。しかし、この方法も極小ナノサイズのチューブであり、内外ともに100nm〜1μmサブミクロンサイズのチューブではない。
【0011】
【特許文献1】
特開平14−173308号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、気相合成法によるカーボンナノチューブは、チューブ内径が3nm〜5nm、外径が5nm〜50nmで、チューブの内外径の制御ができなかった。またVGCFも、外径が数nm〜数十nm、内径はカーボンナノチューブとほぼ同様のナノサイズとなるもので、チューブの内外径のコントロールは難しいものであった。さらに特許文献1の固相法は、外径100nm〜200nmのチューブの作製は確認されておらず、内径、外径ともに直径が100nm〜900nmのサブミクロンサイズのチューブを、直径をコントロールして作製するものではない。
【0013】
なお、以下本明細書においてサブミクロンサイズというときは、100nm〜1μmを中心として、100nmより若干小さな範囲と、1μmより少し大きい近隣の範囲を含んで、全体としてサブミクロンサイズという。本発明の炭素マイクロチューブの製造方法によれば、このような範囲を含んで炭素マイクロチューブを作製できるためである。同様に、ナノサイズというときは、1nm〜100nmを中心としてナノサイズという。
【0014】
そこで本発明は、内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブを提供することを目的とする。
【0015】
そこで本発明は、内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブを安価で簡便、且つ大量に生産することができる炭素マイクロチューブの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
本発明の炭素マイクロチューブは、溶融遷移金属に溶け込んだ炭素が、析出、成長した炭素マイクロチューブであって、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズに形成された構成を備えている。
【0016】
これにより、内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブを提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の発明は、溶融遷移金属に溶け込んだ炭素が、徐々に析出、成長した炭素マイクロチューブであって、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズに形成されたことを特徴とする炭素マイクロチューブであり、溶融温度以上の熱処理の温度、遷移金属の種類、遷移金属と炭素の割合等から内外径、厚さがコントロールされた枝分かれのない直なチューブとなる。
【0018】
第1の発明の炭素マイクロチューブは次のようにして作製される。炭素微粉体を遷移金属塩溶液と混合し、溶媒を蒸発、乾燥させて、遷移金属塩と炭素微粉体が混合した粉体を調製する。遷移金属塩としては、Fe,Ni,Co,その他の遷移金属の塩化物、硝酸塩、有機系金属塩等が適当である。遷移金属塩は1種類でも、または、複数種混合して使用するのでもよい。炭素と遷移金属の好ましい混合割合は、金属種および金属種の数によって異なるが、例えば、炭素1gに対しCo塩1種類では1.7×10−4g〜1.7×10−2g(Co量)が好ましい。また、Ni塩1種類の場合は3.4×10 g〜1.7×10 g(Ni量)が好ましい。
得られた混合粉体を黒鉛坩堝に入れ、遷移金属が溶融する温度以上で熱処理を行う。熱処理温度は、使用遷移金属の融点以上で行う。また、黒鉛化された炭素マイクロチューブを作製するときは、炭素の黒鉛化温度以上で処理すればよく、1回の処理で黒鉛化された炭素マイクロチューブとなる。第1の発明の炭素マイクロチューブは、遷移金属塩と炭素微粉体が混合した粉体を調製して、不活性雰囲気下、遷移金属の溶融温度以上で熱処理することにより、炭素が溶融金属に溶け込み、この炭素が除熱の過程あるいは加熱時に徐々に析出する溶融−析出の一連のメカニズムにより生成されるものである。
以下、このメカニズムについて説明を行なう。図1は本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブ生成初期の透過型電子顕微鏡写真である。図1によれば、チューブの中央及び右方にかけてクラスター状の金属微小凝集体が形成されており、金属微小凝集体の周囲と左方にかけて長軸方向に炭素チューブが長く成長しているのが観察される。このように、第1発明の炭素マイクロチューブは、熱処理の過程で溶融遷移金属によりナノサイズもしくはサブミクロンサイズの金属微小凝集体を形成し、この周囲の表面に熱処理温度下で炭素を拡散させ、許容量以上の炭素を徐々に析出させて炭素マイクロチューブとして成長させるものである。金属微小凝集体は熱処理が進むと脱落し、炭素マイクロチューブの両端は開放される。このように金属微小凝集体の大きさをコントロールすることにより、炭素マイクロチューブ内径がコントロール可能になる。
【0019】
(表1)はCに対するCo割合(wt%)と焼成温度との炭素マイクロチューブの作製可否の関係を示す表である。同様に(表2)は焼成温度1600℃におけるCに対するNi割合(wt%)が炭素マイクロチューブ作製に与える影響、(表3)は焼成温度を変化させたときのCに対する割合(wt%)が炭素マイクロチューブ作製に与える影響を示すものである。
【0020】
【表1】
Figure 2004359518
【0021】
【表2】
Figure 2004359518
【0022】
【表3】
Figure 2004359518
(表1)(表2)(表3)において、「○」は炭素マイクロチューブが作製できたことを示し、「×」は炭素マイクロチューブが作製できなかったことを示す。「△」は作製できた場合と作製できなかった場合があることを示し、結果が不安定なことを示す。
【0023】
(表1)によれば、Co割合(wt%)が1.7×10−2(wt%)以上と1.65×10−4(wt%)以下では炭素マイクロチューブが作製できないことが分かる。言い換えればCo割合(wt%)が1.7×10−4(wt%)〜1.7×10−2(wt%)のとき、炭素マイクロチューブの作製が可能である。
【0024】
(表2)は、1600℃という焼成温度であれば、Ni割合(wt%)が7.0×10−5(wt%)以上で8.1×10−3(wt%)以下であれば炭素マイクロチューブが作製できることを示しており、(表3)によれば、Ni割合(wt%)が1.5×10−2(wt%)という割合のとき、1400℃以下の1200℃、1300℃の焼成温度では希望通り炭素マイクロチューブを作製することができないことが分かる。このように第1の発明においては、熱処理温度、遷移金属の種類、遷移金属と炭素の割合等からチューブの内外径、厚さをコントロールするものである。
【0025】
続いて、このようにして作製した炭素マイクロチューブを実測した実測値を示す。(表4)は炭素マイクロチューブの代表的実測値の一覧表である。
【0026】
【表4】
Figure 2004359518
(表4)の炭素マイクロチューブが示すように、第1の発明の炭素マイクロチューブは、内径と外径がいずれも100nm〜1μm、厚さが数nm〜500nmの厚さが形成可能であるが、とくに内径が100nm〜600nm、外径が200nm〜1μm、厚さが50nm〜350nmの炭素マイクロチューブを確実且つきわめて容易に形成できる。なお、ここには記述していないが、実験によれば外径の最大値として1.5μm程度のものまで作製可能である。作製した炭素マイクロチューブを観察すると、いずれの場合も、図2,3に示すような枝分かれがない直なチューブが形成されている。多数の実験においても枝分かれ状のチューブは確認されなかった。図2は本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブの走査型電子顕微鏡写真、図3は本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブの透過型電子顕微鏡写真である。これはサブミクロンの大きさの金属微小凝集体を基にして炭素が徐々に析出して成長するため、安定した成長が行われるためと考えられる。
【0027】
本発明の第2の発明は、第1の発明の炭素マイクロチューブにおいて、炭素微粉体を遷移金属塩溶液に混合して、この溶媒を蒸発し、乾燥後の混合粉体を不活性雰囲気下で遷移金属の溶融温度以上3000℃未満で焼成することにより、炭素を溶融遷移金属に溶け込ませ、徐々に析出させたことを特徴とする炭素マイクロチューブであり、遷移金属の溶融温度以上で熱処理することにより、炭素を溶融金属に溶け込ませ、熱処理から除熱の過程にかけて溶融−析出のメカニズムを発現させ、炭素チューブを成長させることができる。なお、3000℃未満という点は実測した焼成炉の上限温度が3000℃であったためである。
【0028】
遷移金属塩溶液と混合する炭素微粉体としては、金属塩溶液との濡れ、表面への均一な分散等が期待できる黒鉛紛、活性炭、カーボンブラック等が好適である。中でもカーボンブラック等の微細な炭素紛が、炭素微粉体として望ましい。また遷移金属塩は上述した通りであり、溶媒としてはこれら遷移金属塩を僅かに溶解し、蒸発するものであればよく、エタノール、メタノール等有機系の溶媒、または水が好適である。そして、乾燥後の混合粉体は凝集しているので軽く粉砕するのがよい。凝集状態をほぐす程度で良いが、350μm以下にまで粉砕するのが好適である。
【0029】
本発明の第3の発明は、第2の発明において、1400℃〜3000℃での焼成を30分以上保持することにより、内径と外径がいずれも100nm〜900nm、厚さが50nm〜450nmに形成された炭素マイクロチューブであり、30分以上熱処理を保持し、十分成長させた炭素マイクロチューブは、内径と外径がいずれも100nm〜900nm、厚さが50nm〜450nm程度の安定した大きさとなることが分かる。処理時間は、炭素マイクロチューブを十分成長させるため30分以上焼成を保持することが実用上は望ましいが、30分以下であっても炭素マイクロチューブを形成することはできる。
【0030】
本発明の第4の発明は、第2または3の発明において、炭素微粉体が使用済みの炭素材である炭素マイクロチューブであり、現在使用済みの炭素材はリサイクルができず焼却されているが、この炭素材を炭素微粉末にすることにより、炭素マイクロチューブの原材料とすることができる。無尽蔵に存在する使用済み炭素材から炭素マイクロチューブを形成することが可能になる。
【0031】
本発明の第5の発明は、炭素微粉体を遷移金属塩溶液に混合して溶媒を蒸発させ、乾燥後の混合粉体を不活性雰囲気下で遷移金属の溶融温度以上3000℃未満で焼成し、炭素化して析出し、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの炭素チューブを作製する炭素マイクロチューブの製造方法であり、炭素微粉体を遷移金属塩溶液と混合し、溶媒を蒸発、乾燥することにより、金属塩溶液表面へ炭素微粉体を均一に分散させ、100μm〜500μm程度の凝集状態の混合粉体にすることができ、これを遷移金属の溶融温度以上で熱処理することにより、熱処理の過程で溶融遷移金属によりナノサイズもしくはサブミクロンサイズの金属微小凝集体を形成し、この周囲の表面に熱処理温度下で炭素を拡散させ、許容量以上の炭素を徐々に析出させて炭素マイクロチューブとして成長させることができる。
【0032】
炭素微粉体は、金属塩溶液との濡れ、表面への均一な分散等が期待できる黒鉛紛、活性炭、カーボンブラック、とくに、カーボンブラック等の微細な炭素紛が好適である。
遷移金属塩としては、Fe,Ni,Co,その他の遷移金属の塩化物、硝酸塩、有機系金属塩等が適当である。遷移金属塩は1種類でも、または、複数種混合して使用するのでもよい。炭素と遷移金属の好ましい混合割合は、金属種および金属種の数によって異なる。
溶媒としてはこれら遷移金属塩を僅かに溶解し、蒸発するものであればよく、エタノール、メタノール等有機系の溶媒、または水が好適である。そして、乾燥後の混合粉体は凝集しているので軽く粉砕するのがよい。凝集状態をほぐす程度で良いが、350μm以下にまで粉砕するのが好適である。
【0033】
上述した混合粉体を黒鉛坩堝に入れ、アルゴンガス、窒素ガス雰囲気等の不活性雰囲気下で遷移金属が溶融する温度以上で熱処理を行う。熱処理温度は、使用遷移金属の融点以上で行う。また、黒鉛化された炭素マイクロチューブを作製するときは、炭素の黒鉛化温度以上で処理すればよく、1回の処理で黒鉛化された炭素マイクロチューブとなる。このように遷移金属塩と炭素微粉体が混合した粉体を調製して、遷移金属の溶融温度以上で熱処理することにより、炭素が溶融金属に溶け込み、溶解許容量以上の炭素が徐々に析出する溶融−析出の一連のメカニズムにより炭素マイクロチューブを製造することができる。
【0034】
本発明の第6の発明は、第5の発明において、混合粉体を1400℃〜3000℃で焼成し、内径と外径がいずれも100nm〜1μm、厚さ数nm〜500nmの炭素チューブを作製する炭素マイクロチューブの製造方法であり、個々の遷移金属の溶融温度以上でそれぞれ熱処理する必要がなく、一様に1400℃以上に温度管理するだけで、内外径が100nm〜1μm、厚さ数nm〜500nmの炭素チューブを容易に製造することができる。
【0035】
本発明の第7の発明は、第5または6の発明において、混合粉体を1400℃〜3000℃で焼成し、30分以上保持する炭素マイクロチューブの製造方法であり、炭素マイクロチューブを十分成長させることができ、内径と外径がいずれも100nm〜900nm、厚さが50nm〜450nm程度の大きさを安定して実現できる。
【0036】
本発明の第8の発明は、第4〜7のいずれかの発明において、炭素チューブを作製後に分級処理を行う炭素マイクロチューブの製造方法であり、炭素マイクロチューブを作製したとき、微細不純物も混入しており、篩い等で分級することにより、均質で大量の炭素マイクロチューブを製造することが可能になる。
【0037】
本発明の第9の発明は、第4〜8のいずれかの発明において、溶媒が有機溶媒または水である炭素マイクロチューブの製造方法であり、遷移金属塩を僅かに溶解し、蒸発することにより、金属塩溶液表面へ炭素微粉体を均一に分散させ、100μm〜500μm程度の凝集状態の混合粉体にすることができる。
【0038】
【実施例】
(実施例1)
CB(三菱化学株式会社製カーボンブラック2300)5368mgに硝酸ニッケル67.5mgをエタノール50mlに溶解したものを攪拌・混合し、80℃で乾燥した。これを黒鉛坩堝にとり、タンマン炉を使って1600℃,2000℃,2400℃,2800℃、且つアルゴン雰囲気で焼成した。
【0039】
昇温速度は1800℃までは600℃/hr、1800℃〜2000℃で400℃/hr とし、各温度で2時間保持した。生成物を走査型および透過型電子顕微鏡で観察したところ、図2,3に示すようにいずれの温度域でも炭素マイクロチューブが生成した。透過型電子顕微鏡で観察した結果、炭素マイクロチューブの両端は開放され、内部に金属粒子は存在しなかった。図2を観察することによってもこれが伺える。なお、実験では昇温速度を変えたが、結果にはあまり影響しない。
【0040】
(実施例2)
CB(三菱化学株式会社製カーボンブラック2300)10.330gに塩化コバルト396mgをエタノール50mlに溶解したものを攪拌・混合し、80℃で乾燥し、乳鉢で軽く粉砕、電磁振動篩い器(筒井理化学株式会社製)で篩い分けを行った。篩いは42メッシュ、100メッシュ、200メッシュ、280メッシュ、350メッシュを用い、分別した各々を黒鉛坩堝に取り、タンマン炉を用いアルゴン雰囲気で焼成した。昇温速度は1800℃までは600℃/hr、1800℃〜2000℃で400℃/hrとし、2000℃で60分保持した。いずれの場合にも炭素マイクロチューブが生成し、全長は長いものは110μmを超えるものであった。一部には直径1.5μmの大きな外径の炭素マイクロチューブも形成された。いずれも枝分かれの少ない直な炭素チューブが作製された。
【0041】
(実施例3)
硝酸コバルトを用い、炭素と金属の混合割合を変えて同様の手順で1700℃、60分の焼成を行った。混合割合は、炭素1g当たり、Co1.67×10−2g、4.60×10−3g、5.42×10−3g、1.65×10−4gとした。いずれの場合にも、炭素マイクロチューブが作製された。
【発明の効果】
本発明の炭素マイクロチューブは、従来存在しなかった内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブを実現できる。
【0042】
本発明の炭素マイクロチューブの製造方法によれば、従来存在しなかった内外径がともにサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの枝分かれのない直な炭素マイクロチューブを安価で簡便、且つ大量に生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブ生成初期の透過型電子顕微鏡写真
【図2】本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブの走査型電子顕微鏡写真
【図3】本発明の実施の形態1における炭素マイクロチューブの透過型電子顕微鏡写真

Claims (9)

  1. 溶融遷移金属に溶け込んだ炭素が、徐々に析出、成長した炭素マイクロチューブであって、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズに形成されたことを特徴とする炭素マイクロチューブ。
  2. 請求項1記載の炭素マイクロチューブにおいて、炭素微粉体を遷移金属塩溶液に混合して、この溶媒を蒸発し、乾燥後の混合粉体を不活性雰囲気下で遷移金属の溶融温度以上3000℃未満で焼成することにより、炭素を溶融遷移金属に溶け込ませ、徐々に析出させたことを特徴とする炭素マイクロチューブ。
  3. 1400℃〜3000℃での焼成を30分以上保持することにより、内径と外径がいずれも100nm〜900nm、厚さが50nm〜450nmに形成されたことを特徴とする請求項2記載の炭素マイクロチューブ。
  4. 炭素微粉体が使用済みの炭素材であることを特徴とする請求項2または3記載の炭素マイクロチューブ。
  5. 炭素微粉体を遷移金属塩溶液に混合して溶媒を蒸発させ、乾燥後の混合粉体を不活性雰囲気下で遷移金属の溶融温度以上3000℃未満で焼成し、炭素化して析出し、内径と外径がいずれもサブミクロンサイズ、厚さがナノサイズもしくはサブミクロンサイズの炭素チューブを作製する炭素マイクロチューブの製造方法。
  6. 前記混合粉体を1400℃〜3000℃で焼成し、内径と外径がいずれも100nm〜1μm、厚さ数nm〜500nmの炭素チューブを作製する請求項5記載の炭素マイクロチューブの製造方法。
  7. 前記混合粉体を1400℃〜3000℃で焼成し、30分以上保持することを特徴とする請求項5または6記載の炭素マイクロチューブの製造方法。
  8. 炭素チューブを作製後に分級処理を行うことを特徴とする請求項4〜7のいずれかに記載の炭素マイクロチューブの製造方法。
  9. 前記溶媒が有機溶媒または水であることを特徴とする請求項4〜8のいずれかに記載の炭素マイクロチューブの製造方法。
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