JP2004352028A - バンパーの芯材および該芯材を備えたバンパー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芯材12は、第1の発泡体13と第2の発泡体14とを有する。第1の発泡体13は、互いに間隔をあけて重ねて配置された複数の壁部13a〜13dの端部を連結部13e〜13gで連結して構成され、隣り合う壁部13a〜13dの間には、凹部15a〜15cが形成される。第2の発泡体14は、中央の凹部15b内に保持される。第2の発泡体14の密度は第1の発泡体13の密度よりも小さい。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の前後など、乗物の周囲の一部に取り付けられるバンパーの構造に関し、特に、衝突時の衝撃吸収性を向上させるためにバンパーの内部に配設される芯材の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車等の乗物においては、その前後に乗物の幅方向にわたってバンパーを取り付け、運転者が意図しない接触や衝突事故により乗物のボディが損傷するのを低減することが行われている。さらに今日では、バンパーが歩行者等に接触した場合に、当該歩行者等を傷つけないようにするために、バンパーには衝撃吸収性を高める要求が高まっている。
【0003】
この種のバンパーは、一般的に、バンパーの外形を形作る、内部が空洞の外側カバーと、その空洞内に内包された、衝撃吸収性の素材からなる芯材とを有して構成される。
【0004】
外側カバーは、耐熱性の高い樹脂を比較的薄い肉厚で内側が凹状に成形されたものである。意匠性が重要視される乗物、特に自動車においては、バンパーは乗物の外装の一部を構成し、そのために、外側カバーの表面は乗物の色に合せて塗装され、一定の意匠性を確保している。また、外側カバーは、内包される芯材が太陽光の照射を受けて劣化することから保護する作用もなす。
【0005】
一方、芯材は、低密度で緩衝性を有する樹脂を成形(しばしば発泡成形)してなる。外側カバーに衝撃的な荷重が付加された場合には、その荷重は芯材に伝えられ、芯材の緩衝性によって衝撃が緩和される。これによって、衝撃が乗物のボディや歩行者等に伝わるのが低減される。
【0006】
上述のように、バンパーの衝撃吸収性は主として芯材が担う。そこで、芯材の材料特性、形状等を変えて、衝撃吸収能力を高めようとする種々の提案がなされている。例えば特許文献1には、密度の異なる2種類の発泡体を組み合わせ、衝突時の発生荷重は小さく、かつ変形を小さくした芯材が開示されている。具体的には、密度0.030〜0.100g/cm3の高密度発泡体Aと、密度0.015〜0.08g/cm3の低密度発泡体Bとからなり、かつ発泡体Aと発泡体Bとの密度差が0.01g/cm3以上である、密度の異なる2種類の発泡体を組み合わせている。
【0007】
同文献には実験データとして応力−歪み曲線が示されており、その応力−歪み曲線によれば、歪みの初期で応力の立ち上がりが早く、その後の歪みの増加に対しては応力の増加が少ない結果が得られている。
【0008】
【特許文献1】
実開平2−75249号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された芯材は、高密度の発泡体が低密度の発泡体を完全にサンドイッチされた構造となっているため、圧縮歪みの増加に対しては、発生する応力も少しずつではあるが常に右上がりの増加傾向が維持される。その結果、理想的な応力が発生する歪みの領域が狭く限られ、その前後では応力が大きすぎたり、小さすぎたりする状態になることがある。
【0010】
そこで本発明は、理想的な応力が発生する歪みの領域が広い、より平坦な応力−歪み曲線が得られ、その結果、衝撃荷重に対する緩衝機能を向上させるバンパー用の芯材、およびその芯材を用いたバンパーを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明のバンパーの芯材は、衝突発生時の衝撃を緩和するために乗物の周囲の一部に取り付けられるバンパーの内部に配設される芯材であって、互いに間隔をあけて重ねて配置された複数の壁部、および隣り合う2つの前記壁部の間に凹部を形成するように前記壁部を連結する連結部を備えた第1の発泡体と、前記凹部内に保持され、密度が前記第1の発泡体の密度よりも小さい第2の発泡体とを有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明のバンパーは、衝突発生時の衝撃を緩和するために乗物の周囲の一部に取り付けられるバンパーであって、上記本発明の芯材と、この芯材を覆う外装カバーとを有することを特徴とする。
【0013】
上記のとおり構成された本発明では、芯材は、壁部の立設方向が、衝突発生時に衝撃が作用する方向になるように乗物に取り付けられる。したがって、芯材に荷重が作用し、芯材が圧縮されると、まず、第1の発泡体が荷重を受け、壁部が座屈する。さらに芯材が圧縮されると、壁部が割れ、第2の発泡体が圧縮荷重を受ける。ここで、第2の発泡体は第1の発泡体よりも密度が小さいので、圧縮の初期段階では、密度の高い第1の発泡体で圧縮荷重を受け、次いで、第1の発泡体の破壊の後、破壊によるエネルギー吸収効率の低下が第2の発泡体で補われる。これにより、理想的な応力が発生する歪みの範囲が広がり、結果的に、芯材による衝撃吸収性能がより向上する。
【0014】
壁部は、芯材が乗物に取り付けられた状態において、衝突による衝撃が作用する方向に対して傾斜していることが好ましい。これにより、壁部の破壊後の荷重低下が抑制される。また、上述した作用をより効果的に発揮するためには、第2の発泡体の外形寸法を、それが保持される凹部の寸法と実質的に等しくすることが好ましい。さらに、第1の発泡体および第2の発泡体のそれぞれの役割をより効果的に発揮させるには、第2の発泡体を、第1の発泡体と部分的な接触により保持することが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態によるバンパーの分解斜視図である。本実施形態は、自動車のフロント部に装着されるバンパー10を示している。バンパー10は、自動車のフロントグリル1の下方に、自動車の幅方向にわたって取り付けられ、このバンパー10の衝撃吸収性能の大部分を担う芯材12と、芯材12を覆い、自動車の外装の一部を構成する外側カバー11とを有する。
【0017】
外側カバー11は、フロントグリル1の下方に、自動車の幅方向にわたって装着されるものであり、ゴム系添加物、無機フィラーが配合されたポリプロピレン樹脂等を射出成形して、装着位置に沿う形状で一体に形成される。外側カバー11は、全体として、自動車への取り付け面側が凹状となっており、芯材12は、この凹状の部分の内側に保持される。外側カバー11には、リブや弾性クリップなどの装着手段が一体的に設けられており、この装着手段によって外側カバー11は、芯材12を覆って自動車に装着される。また、外側カバー11の表面には、必要に応じて、意匠性向上のための塗装が施される。外側カバー11の塗装を、特に熱硬化性樹脂からなる塗料で行えば、外側カバー11の太陽光の照射による経時的な劣化を防止することもできる。
【0018】
芯材12は、外側カバー11の凹状の部分の内側に保持されるものであり、全体として外側カバー11に沿って湾曲した形状をなしている。図2に、芯材12をその長手方向に垂直な断面で切断した断面図を示す。図2に示すように、芯材12は、互いに密度の異なる、リブ状の第1の発泡体13と塊状の第2の発泡体14とを組み合わせて構成される。第1の発泡体13は、第2の発泡体14と比べて高い密度を有する。
【0019】
発泡体13,14の素材としては、ポリプロピレン(ポリスチレン共重合体、ポリエチレン・ポリスチレン・変性ポリフェニレンエーテル共重合体など)の樹脂粒子発泡体を好ましく用いることができる。特にポリプロピレン樹脂粒子発泡体は、耐水性をはじめ、環境の変化に対して影響を受けにくいため安定した物性が発揮され、しかもリサイクル性にも優れるため、望ましい。また、発泡体13,14のその他の素材として、硬質ウレタン発泡体、硬質アクリル発泡体などを用いることもできる。さらに、発泡体13,14はそれぞれ別の素材の発泡体であってもよく、また、同じ素材の発泡体を異なる密度に成形したものでもよい。
【0020】
以下、第1の発泡体13および第2の発泡体14について、図2を参照して詳細に説明する。
【0021】
第1の発泡体13は、互いに上下に間隔をあけて重ねた状態として配置された4つの壁部13a〜13dを連結部13e〜13gで互いに連結した形状を有する。各壁部13a〜13dは、それぞれ自動車の幅方向に沿った長手成分を有し、かつ、その全域にわたって、自動車の衝突時に芯材12に圧縮力が加わる方向(以下、「作用方向」といい、本実施形態では具体的には自動車の前後方向である。)に延びている。連結部13e〜13gは、上下に隣り合う壁部13a〜13dの、芯材12の作用方向におけるいずれか一方の端部同士を連結する。
【0022】
本実施形態では、中間の2つの壁部13b、13cを連結する連結部13fは、自動車への取り付け側の端部でこれらの壁部13b、13cを連結し、最も上方の壁部13aとその下の壁部13b、および最も下方の壁部13dとその上の壁部13cをそれぞれ連結する連結部13e、13gは、中間の連結部13fとは反対側の端部で上側2つの壁部13a、13b、および下側2つの壁部13c、13dを連結している。これにより、上側2つの壁部13a、13bの間、および下側2つの壁部13c、13dの間にはそれぞれ、芯材12の取り付け側端および幅方向両端が開放した凹部15a、15cが形成され、中間の2つの壁部13b、13cの間には、芯材12の取り付け側と反対側の端および幅方向両端が開放した凹部15bが形成される。
【0023】
第1の発泡体13に形成された凹部15a〜15cの少なくとも一つは、第2の発泡体14で充填されている。本実施形態では、中間の凹部15bが第2の発泡体14で充填されている。第2の発泡体14の形状は、少なくとも凹部15bから突出しない形状とされ、好ましくは、凹部15bと同形状である。
【0024】
上記のように構成されたバンパー10によれば、自動車のフロント部が他の構造物などと衝突した場合、外側カバー11に所定以上の負荷が作用し外側カバー11が撓むと、その負荷は芯材12に伝播する。負荷が芯材12に伝播すると、芯材12には圧縮荷重が作用する。
【0025】
このときの芯材12の挙動および応力−歪みの関係について、図3および図4を参照して説明する。なお、図4のグラフ中の領域(a)〜(d)は、図3の(a)〜(d)にそれぞれ対応している。
【0026】
芯材12の圧縮の初期(歪み0〜10%)では、図3の(a)に示すように、芯材12は、未だ圧縮されず、または変形が目に見えない程度のわずかな圧縮しか生じておらず、第1の発泡体13によって、応力が素早く立ち上がる(図4の領域(a)参照)。その後、歪みが約25%になるまでの間に、図3(b)に示すように、壁部13a〜13dが座屈を開始し、応力の増加が緩和される(図4の領域(b)参照)。このように壁部13a〜13dが直ちに座屈するのは、壁部13a〜13dは、作用方向に延びており、その一端部でのみしか支持されていないからである。第1の発泡体13は、衝突時に搭乗者に大きな損傷を与えないような許容最大荷重(上限応力)が働いたときに壁部13a〜13dが座屈するように、壁部の厚さや連結部からの突出高さなどが設計される。
【0027】
さらに芯材12が圧縮されると、図3(c)に示すように、壁部13a〜13dが割れ、第2の発泡体14が圧縮荷重を受ける。壁部13a〜13dが割れることによって、第1の発泡体13によるエネルギー吸収効率は低下するが、その低下した分の応力を第2の発泡体14が立ち上げ、第2の発泡体14によってエネルギー吸収効率の低下を補う。この状態は、歪みが約70%となるまで維持され、この間は、ほぼ一定の応力を保ちながら歪みが増していく。つまり、この間ではほぼフラットな応力−歪み曲線が得られる(図4の領域(d)参照)。
【0028】
そして、芯材12の歪みが70%を越えると、図3(d)に示すように第2の発泡体14もほぼ完全に圧縮された状態となり、それ以降は歪みに対して応力が急激に立ち上がる。
【0029】
このように、本実施形態の芯材12は、互いに密度の異なる2種類の発泡体13,14を組み合わせ、圧縮の初期段階では、密度の高い第1の発泡体13で圧縮荷重を受けて第1の発泡体13の破壊を生じさせ、次いで、第1の発泡体13の破壊によるエネルギー吸収効率の低下を、第1の発泡体13よりも低い密度を有する第2の発泡体14で補う働きをする。これにより、理想的な応力が発生する歪みの範囲を広げることができ、結果的に、芯材12による衝撃吸収性能をより向上させることができる。
【0030】
上述した作用をより効果的に発揮させるには、壁部13a〜13d、特に第2の発泡体14が充填される凹部15bを形成する2つの壁部13b、13cは、望ましくは作用方向に垂直な面であるバンパー10の取り付け面Sに対して、80〜88°の傾斜角で配置されるのが好ましい。このように壁部13a〜13dを傾斜面とすることにより、結果的には作用方向に対しても傾斜することになり、適度に衝撃を吸収した後に壁部13a〜13dに割れを生じさせることができる。この傾斜角が80°より大きいと、壁部13a〜13dが取り付け面Sに対して垂直あるいは垂直に近くなるため、壁部13a〜13dの座屈後の割れが急激に生じ、このときに大きな荷重低下が生じるおそれがある。一方、傾斜角が80°より小さいと、圧縮作用にて衝撃を吸収しにくくなり、また、圧縮荷重によって壁部13a〜13dが倒れやすくなり、壁部13a〜13dが倒れたときに大きな荷重低下が生じるおそれがある。
【0031】
また、第2の発泡体14の外形寸法は、それが保持される凹部15bの寸法と実質的に等しいこと、特に、第2の発泡体14の表面が、第1の発泡体13の、凹部15bが開放した面と、同一面上にあることが好ましい。第2の発泡体14の寸法が大きすぎ、特に第2の発泡体14が凹部15bから突出していると、第2の発泡体14が圧縮作用を受けたとき、同時に両側の壁部13b、13cを押し広げることになり、このことにより、壁部13b、13cの割れを助長してしまい、大きな荷重低下が生じるおそれがある。この逆に、第2の発泡体14の寸法が凹部15bに比べて小さすぎると、圧縮の過程で第2の発泡体14が倒れてしまい、また、作用方向における第2の発泡体14の寸法が凹部15bの深さよりも小さすぎると、壁部13b、13cに割れが生じたときに直ちに第2の発泡体14が圧縮荷重を受けることができなくなり、やはり大きな荷重低下が生じるおそれがある。
【0032】
第2の発泡体14は、第1の発泡体13と別に成形された後、凹部15bに嵌め込むか、または接着剤や接着テープで接着することによって、凹部15bに充填することができる。また、第1の発泡体13となる発泡性材料と第2の発泡体14となる発泡性材料とを組み合わせて発泡させ、両者を一体成形することもできる。いずれの場合でも、第2の発泡体14を、部分的な接触によって第1の発泡体13に支持させることが好ましい。
【0033】
第2の発泡体14を部分的な接触によって第1の発泡体13に支持させる構造として、例えば、図5に示すように、第2の発泡体14の、第1の発泡体13との対向面に複数の突起16を設け、この突起16を第1の発泡体13に接触させるようにした構造が挙げられる。また、図示しないが、第1の発泡体13に突起を設けたり、双方の発泡体13、14に突起を設けたりしてもよい。このように、第2の発泡体14を部分的な接触によって第1の発泡体13に支持させることで、圧縮時の相互のずれが生じ易くなるので、第1の発泡体13には衝突初期の荷重の確保および狙い荷重以下での破壊(割れ)という役割を持たせる一方、第2の発泡体14には第1の発泡体13の破壊後の荷重低下分を補間する役割を持たせることができ、各々の役割を発揮させやすくなる。
【0034】
第1の発泡体13および第2の発泡体14は、互いに密度が異なることは前述したとおりであるが、その具体的な値として、第1の発泡体13の密度は0.065g/cm3以上、第2の発泡体14の密度は0.065g/cm3未満であることが好ましい。その理由は、第1の発泡体13の機能は、狙い荷重の範囲内で可能な限り素早く衝突初期の荷重を立ち上げることであり、そのため、密度を0.065g/cm3以上とすることにより、第1の発泡体13に必要な、硬質で高剛性な特性を発現させることができる。一方、第2の発泡体14の機能は、第1の発泡体13が破壊した後の荷重低下分を補完し、歪みが増加しても荷重の上昇を招き難くすることなので、密度を0.065g/cm3未満とすることにより、第2の発泡体14に必要な、軟質で低剛性な特性を発現させることができる。両者の機能をより効果的に発生させるには、第1の発泡体13の密度と第2の発泡体14の密度との差が、0.010g/cm3以上であることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、図1に示したように、第1の発泡体13および第2の発泡体14が自動車の幅方向にわたって一様に形成された例を示したが、第1の発泡体13と、それに保持された第2の発泡体14とを有した構造であれば、第1の発泡体13および第2の発泡体14は、自動車の幅方向に一様な断面形状を有していなくてもよいし、また、第2の発泡体14は自動車の幅方向に連続して存在していなくてもよい。さらに、第1の発泡体13についても、自動車の幅方向に連続しているのではなく複数に分割して配置し、それぞれ第2の発泡体14を保持する構成としてもよい。
【0036】
(第2の実施形態)
図6は、本発明の第2の実施形態による芯材の、図2と同様の断面図である。図6に示す芯材22も、第1の実施形態と同様に、第1の発泡体23は4つの壁部23a〜23dを有し、それらが連結部23e〜23gで連結されている。ただし、図6に示す形態では、各壁部23a〜23dの間の間隙は全て同じ側が開放されており、この開放された側を取り付け側としている。
【0037】
芯材22を製造するに際し、芯材22の形状や、それを成形するのに適した金型構造上の理由から、第2の発泡体24の樹脂粒子充填口を取り付け面側に配置できない場合がある。
【0038】
そこで、このような制約がある場合に、図6に示したような構造の芯材22とすることで、第2の発泡体24のための樹脂粒子充填口を取り付け面側へ配置することなく、第1の発泡体23と第2の発泡体24とを一体成形した芯材22を製造することができる。
【0039】
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態による芯材の、図2と同様の断面図である。図7に示す芯材32は、第1の発泡体33は、断面がコの字形の樋形状に形成され、互いに対向する2つの壁部33a、33bと、これらの一端同士を連結する連結部33cとを有する。そして、これら壁部33a、33bおよび連結部33cで形成される凹部に、第2の発泡体34が充填されている。
【0040】
本実施形態では、壁部33a、33bの数が第1の実施形態よりも少ないので、狙い荷重を合せるために、壁部33a、33bの厚さを第1の実施形態と比べて厚くしている。そのことにより、一定荷重範囲(図2における(c)の領域)が若干低歪み側で完了する傾向が現れるため、第1の実施形態よりは衝撃吸収性能は低下する。しかし、本実施形態では、軽い衝突時に壁部33a、33bの破損が生じても、密度の小さい軟質な第2の発泡体34が大きく配置され形状の復元性に優れるため、外側カバー(不図示)の破損を防止することができる。
【0041】
上述した各実施形態では、本発明を自動車のフロントバンパーに適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はフロントバンパーだけでなく、リアバンパーやサイドバンパー、さらには自動車以外の乗物のバンパーにも適用することができる。
【0042】
【実施例】
以下に、本発明の具体的な実施例について、比較例とともに評価した結果を示す。
【0043】
(実施例1)
本実施例では、図2に示した断面形状を有し、一定範囲の衝突荷重値として5±1kNを目標とした芯材を作製した。この芯材の外形寸法は、図2における縦×横×奥行き=100mm×50mm×150mmとした。
【0044】
第1の発泡体は、壁部の厚さを9mmとした。また、取り付け面Sに対する中央の2つの壁部の傾斜角度は82°とし、これにより第2の発泡体が配される凹部の、壁部の対向する方向における寸法は、開口側長さが22mm、底部での長さが10mmであった。第1の発泡体は、ポリプロピレン樹脂を8倍の倍率で発泡させて成形し、その密度は0.11g/cm3であった。
【0045】
第2の発泡体は、それが支持される凹部に合致した形状とした。すなわち、第2の発泡体を凹部に挿入した状態において、凹部の底部側に位置する面を先端面、凹部の開口側に位置する面を開口側面としたとき、開口側面に対する対向する2つの側面の傾斜角度を82°とし、先端面および開口側面の、傾斜した側面の対向する方向における長さを、それぞれ10mmおよび22mmとした。また、第2の発泡体は、ポリプロピレン樹脂を15倍の倍率で発泡させて成形し、その密度は0.06g/cm3であった。
【0046】
そして、第2の発泡体の第1の発泡体との接触面に粗面加工を施して高さ約2mmの凹凸を形成し、凹凸が形成された第2の発泡体を、第1の発泡体の凹部に圧入して摩擦力で支持し、これを芯材とした。
【0047】
(比較例1)
図8に示すように、実施例1で用いたのと同じ第1の発泡体43のみで芯材42を構成した。
【0048】
(比較例2)
比較例2の芯材の断面形状を図9に示す。本比較例では、第2の発泡体54がプレート状の3枚の第1の発泡体53の間に2層に分けて配置されるように、第1の発泡体53と第2の発泡体54を交互に積層して芯材52を構成した。また、第1の発泡体53と第2の発泡体54は、互いに剥離することのないように密に密着させた。積層方向における第2の発泡体54の厚みは32mmとし、芯材52の全体の寸法は、実施例1と同じにした。また、第1の発泡体53の材料および第2の発泡体54の材料も、それぞれ実施例1と同じである。
【0049】
(評価方法)
実施例1および比較例1,2の各芯材に、5m/sの速度で急速な圧縮力を加えて、芯材を歪み率80%まで圧縮し、芯材の変形の様子を目視で確認するとともに、発生する応力を測定した。
【0050】
(評価結果)
図10に、実施例1および比較例1,2についての応力−歪み曲線を示す。また、図11に、比較例1についての各段階における変形状態を示し、図12に、比較例2についての各段階における変形状態を示す。なお、実施例1の変形状態は、図3に示したとおりである。
【0051】
実施例1の場合、目視による観察の結果、壁部は破壊に至ったものの、側面には圧縮作用を受けたことによるしわが発生しており、圧縮によるエネルギー吸収が生じたことが見受けられた。また、図10に示すように、歪みに対する発生応力は矩形的であり、20〜70%の歪みの領域にわたって応力が上限値に近く、広いレンジに対して発生応力をほぼ一定に保つことができた。
【0052】
比較例1の場合、目視による観察の結果、壁部は破壊に至っており、側面に圧縮作用を受けたような形跡は確認されず、衝突初期に圧縮作用を受けた直後、早期の割れが生じたことが見受けられた。その結果、図10にも示されるように、20〜25%の歪みの領域では応力を上限値に近くできるが、25%の歪みを超えると、壁部の割れによる大きな荷重低下が発生してしまい、広いレンジに対して発生応力をほぼ一定に保つことはできなかった。
【0053】
比較例2の場合、目視による観察の結果、第1の発泡体は第2の発泡体に密に密着していることから、第1の発泡体には割れや座屈等は発生せず、圧縮作用が強く生じたことが見受けられた。その結果、図10にも示されるように、歪みに対する発生応力は全体として右上がりとなり、20〜60%の歪みの領域では応力を上限値に近くできるが、歪みが60%を超えると応力が上限値以上となってしまい、広いレンジに対して発生応力をほぼ一定に保つことはできなかった。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したとおり本発明によれば、芯材を、複数の壁部およびこれらを連結する連結部を備えた第1の発泡体と、この第1の発泡体に形成される凹部内に保持され、かつ第1の発泡体よりも密度が小さい第2の発泡体とを有する構成とすることで、広い歪みの範囲にわたって応力をほぼ一定に保つことができ、結果的に、衝撃吸収性能をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態によるバンパーの分解斜視図である。
【図2】図1に示す芯材の、長手方向に垂直な面での断面図である。
【図3】図1に示す芯材の、圧縮荷重が作用したときの挙動を示す図である。
【図4】図1に示す芯材に圧縮荷重が作用したときの、応力と歪みの関係を示すグラフである。
【図5】第1の発泡体と第2の発泡体との接触面構造の一例の拡大図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による芯材の断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態による芯材の断面図である。
【図8】比較例1の断面図である。
【図9】比較例2の断面図である。
【図10】実施例1、および比較例1,2の応力−歪み曲線である。
【図11】比較例1に圧縮荷重を加えたときの各段階での変形状態を示す図である。
【図12】比較例2に圧縮荷重を加えたときの各段階での変形状態を示す図である。
【符号の説明】
1 フロントグリル
10 バンパー
11 外側カバー
12、22、32 芯材
13、23、33 第1の発泡体
13a〜13d、23a〜23d、33a、33b 壁部
13e〜13g、23e〜23g、33c 連結部
14、24、34 第2の発泡体
15a〜15c 凹部
16 突起
Claims (7)
- 衝突発生時の衝撃を緩和するために乗物の周囲の一部に取り付けられるバンパーの内部に配設される芯材であって、
互いに間隔をあけて重ねて配置された複数の壁部、および隣り合う2つの前記壁部の間に凹部を形成するように前記壁部を連結する連結部を備えた第1の発泡体と、
前記凹部内に保持され、密度が前記第1の発泡体の密度よりも小さい第2の発泡体とを有することを特徴とする芯材。 - 前記壁部は、前記芯材が乗物に取り付けられた状態において、衝突による衝撃が作用する方向に対して傾斜している、請求項1に記載の芯材。
- 前記第2の発泡体の外形寸法は、それが保持される前記凹部の寸法と実質的に等しい、請求項1または2に記載の芯材。
- 前記第2の発泡体は、前記第1の発泡体と部分的な接触により保持されている、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の芯材。
- 前記第1の発泡体の密度は0.065g/cm3以上であり、前記第2の発泡体の密度は0.065g/cm3未満である、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の芯材。
- 前記第1の発泡体の密度と前記第2の発泡体の密度との差が0.010g/cm3以上である、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の芯材。
- 衝突発生時の衝撃を緩和するために乗物の周囲の一部に取り付けられるバンパーであって、
請求項1ないし6のいずれか1項に記載の芯材と、
前記芯材を覆う外装カバーとを有することを特徴とするバンパー。
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