JP2004351643A - インクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、様々な温湿度環境下であっても、インク滲み耐性、硬化性、基材との密着性に優れ、かつシワ耐性が良好な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供することにある。
【解決手段】インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】 なし
【解決手段】インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のインクジェット記録方法に関し、詳しくは、可視光、紫外線、赤外線、γ線、電子線などの活性光線を照射して、反応、硬化可能な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、様々な紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、様々な記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
一般に、UVインクとしては、ラジカル重合タイプとカチオン重合タイプがあるが、カチオン重合タイプは、酸素の重合阻害を受けないこと、用いるカチオン重合性モノマーの中でも、オキセタン、エポキシなどのイオン重合性モノマーは臭気が小さいこと、硬化収縮が少ないなどの利点があり注目されている。
【0007】
カチオン重合タイプのUVインクは、酸を触媒としたイオン重合であることから、湿度の影響を受けやすい。また、反応の活性化エネルギーがラジカル重合に比べて大きいことから温度依存性も大きいという課題を抱えている。
【0008】
通常、カチオン重合性のインクやコーティング材は、基材またはインクを加熱することにより、反応性を高める手段が採られている。しかしながら、インクを加熱し、低粘度化した後に出射すると、インクジェットノズルが高温となり、インクジェットノズル面に付着したインクミストなどの感度が高い状態となるため、長期間印字を続けると、照射光源からの紫外線の漏光等の影響により、ノズルの目詰まりが生じやすくなる。
【0009】
上記課題に対し、特願2002−258714号では、基材面におけるインクの感度とインクジェットノズル面におけるインクの感度のバランスを取るため、好ましい温度差を規定している。しかしながら、インクジェット記録方式において、基材やインクを加熱すると、インク内部の熱対流、インク表層と内部との反応性差などにより、シワが発生するという別の課題が生じる。
【0010】
また、シワの発生を改良する目的で、フィルム上にインクを塗布し、ベルトコンベアタイプの紫外線照射装置を用い画像形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)が、このような方式では、紫外線照射までの時間が長く、インクが滲んでしまう問題が発生する。
【0011】
【特許文献1】
特公平5−54667号公報
【0012】
【特許文献2】
特表2000−504778号公報
【0013】
【特許文献3】
国際公開第99/29787号パンフレット
【0014】
【特許文献4】
特開2002−258714号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、様々な温湿度環境下であっても、インク滲み耐性、硬化性、基材との密着性に優れ、かつシワ耐性が良好な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の構成により達成される。
【0017】
1.インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
2.前記着弾インクの硬化所要時間を0.05秒以上、5.0秒以下とする手段が、活性光線の照度を制御する手段、発生光線の波長を制御する手段、着弾したインク液滴の温度を制御する手段、印字環境の絶対湿度を制御する手段及び印字環境の酸素濃度を制御する手段から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法。
【0019】
3.前記光重合性化合物が、カチオン重合性化合物であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録方法。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とする。
【0021】
本発明者は、インクジェット画像の高画質化を図るため、基材へインク滴が着弾した直後に紫外線を照射する条件で、インク硬化性とシワを改善する条件について鋭意検討を重ねた結果、上記の本発明で規定する要件とすることにより、本発明の目的効果が得られることが判明した。すなわち、シワの発生を抑えるためには、インク膜中の熱対流を抑えることが重要な要件であり、インクが硬化するまでの時間が最適となる様に、種々の印字条件、具体的には、活性光線の照度、発生光線の波長、着弾したインク液滴の温度、印字環境の絶対湿度あるいは印字環境の酸素濃度を、最適に制御する手段することにより、高品位で、かつシワの発生がないインクジェット画像が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
【0022】
本発明においては、活性光線による着弾したインク液滴の硬化所要時間が0.05秒以上、5.0秒以下であることが特徴であるが、好ましくは0.1秒以上、5.0秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上、2.0秒以下である。
【0023】
なお、本発明でいうインク液滴の硬化所要時間とは、インク液滴の流動性が消失する時間と定義する。
【0024】
インク液滴の硬化所要時間が0.05秒以上であれば、急速な反応に伴うシワの発生を防止することができる。インク中での急速な反応がシワを引き起こす原因は、局部的に発生した応力の緩和時間が短いことや、一度に反応発熱量が多くなり、熱対流などが生じやすいためと考えられる。また、インク液滴の硬化所要時間が5.0秒以下であれば、印字したインク液滴の流動によるインク滲みの発生を防止でき、また、インク浸透性を有する基材を用いた際のインク浸透によるインク硬化性の低下を防止することができる。
【0025】
また、本発明のインクジェット記録方法においては、上記の活性光線の照射を開始する時間が、基材にインクが着弾した後、1.0秒以内に行うことが特徴であり、好ましくは0.01〜1.0秒であり、より好ましくは0.01〜0.3秒である。活性光線の照射開始時間を1.0秒以内とすることにより、着弾したインク液滴の過度の滲みを防止し、かつ基材の種類にかかわらず安定したインク硬化性を得ることができる。
【0026】
本発明で規定する活性光線による着弾したインク液滴の硬化所要時間を0.05秒以上、5.0秒以下とする手段としては、特に制限はないが、本発明においては、以下に示す方法の少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0027】
方法1:活性光源として紫外線を用い、紫外線の照度を最適に制御する方法
照度としては10〜500mW/cm2の範囲に制御することが好ましく、より好ましくは10〜100mW/cm2の範囲である。また、照射エネルギーとしては0.1〜150mJ/cm2が好ましい。上記に示した照度範囲とする方法は、特に制限はないが、例えば、紫外線照射光源の種類、出力電圧、光源と基材間にスリットを設ける、あるいは光源と基材との距離等を適宜調整すればよい。
【0028】
方法2:活性光源として紫外線を用い、紫外線の波長を最適に制御する方法
波長としては、280〜380nmが好ましく、更に好ましくは280〜340nmの範囲である。上記の紫外線の波長とする方法としては、特に制限はないが、例えば、紫外線照射光源の種類を適宜選択すればよい。
【0029】
方法3:着弾したインクの温度を制御する方法
着弾したインクの制御温度範囲としては、35〜100℃が好ましく、より好ましくは35〜80℃である。着弾したインク液滴の温度を、上記で示した温度範囲に制御する方法としては、特に制限はないが、例えば、出射するインク温度、インクジェットヘッドの温度、印字環境の温度を適宜設定することにより達成することができる。また、基材背面部に、基材を加熱するヒーターを設けて、基材を所望の温度に加熱する方法、基材表面からの輻射により加熱する方法も好ましい。
【0030】
方法4:印字環境の絶対湿度を制御する方法
印字環境の絶対湿度としては、0.003〜0.015%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.010%である。
【0031】
方法5:印字環境の酸素濃度を制御する方法
印字環境の酸素濃度としては、5〜30体積%であることが好ましく、より好ましくは8〜20体積%である。
【0032】
光重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含有するインクは、上記に列挙した各方法の中でも、方法1、方法2、方法3、方法5をそれぞれ単独、あるいは組み合わせて用いることが好ましく、また、光重合性化合物としてカチオン重合性化合物を含有するインクでは、上記に列挙した各方法の中でも、方法1〜方法4を単独、あるいは組み合わせて用いることが好ましい。
【0033】
次いで、本発明に係るインクの詳細について説明する。
はじめに、本発明に用いられる光重合性化合物について説明する。
【0034】
本発明で用いることのできる重合性化合物の一つは、ラジカル重合性化合物であり、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0035】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を有するものが含まれる。ラジカル重合性化合物は、1種のみ用いてもよく、又目的とする特性を向上するため、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0036】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0037】
ラジカル重合性化合物の添加量は、インク組成物に対し、好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0038】
本発明においては、重合性化合物の一つとしてカチオン重合性化合物を用いることができ、カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0039】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0040】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0041】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0043】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0044】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0045】
本発明においては、インク硬化の際の記録材料の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物を含有することが好ましい。
【0046】
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0047】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0048】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0050】
【化1】
【0051】
一般式(1)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0052】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0053】
【化2】
【0054】
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0055】
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
【0056】
【化3】
【0057】
一般式(3)において、R4は、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0058】
【化4】
【0059】
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又はC(CH3)2を表す。
【0060】
【化5】
【0061】
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0062】
【化6】
【0063】
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0064】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0065】
【化7】
【0066】
例示化合物1は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
【0067】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)のR1と同義である。
【0068】
【化8】
【0069】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
【0070】
【化9】
【0071】
一般式(8)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0072】
【化10】
【0073】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0074】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0075】
【化11】
【0076】
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0077】
【化12】
【0078】
一般式(9)において、R8は前記一般式(6)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0079】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0080】
【化13】
【0081】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0082】
【化14】
【0083】
本発明に係る光重合性化合物として、上記説明したラジカル重合性化合物あるいはカチオ重合性化合物のいずれも用いることができるが、紫外線の照射強度(mW)を変更しても、硬化感度が変動しにくい、すなわち照度不軌の小さい化合物好ましく、この観点では、酸素により重合阻害を受けるラジカル重合性化合物よりも、カチオン重合性化合物の方がより好ましい。特に、インク液滴サイズの小さなインクジェット記録システムでは、小点の硬化性がラジカル重合性化合物よりも、カチオン重合性化合物の方が良好であり、好ましい。
【0084】
本発明においては、インク中に、光重合開始剤及び光酸発生剤の少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0085】
本発明においては、硬化反応をより効率的に行なうために、公知の光重合開始剤を添加して硬化させることが好ましい。光重合開始剤としては、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
【0086】
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0087】
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性光線硬化性組成物の0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0088】
カチオン重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0089】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
【0090】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0091】
【化15】
【0092】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0093】
【化16】
【0094】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0095】
【化17】
【0096】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0097】
【化18】
【0098】
また、本発明に係るインク組成物は、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤を併用することもできる。そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号、米国特許第4,508,811号、同第5,227,227号、特開2001−125255号、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。光増感剤の使用量は、活性光線硬化性組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0099】
本発明に係るインクでは、着色剤としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる各種色材を使用することができるが、耐候性の観点から顔料が好ましい。
【0100】
本発明のインクジェットインクに用いることのできる顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色無機顔料または有彩色の有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0101】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、146、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0102】
上記顔料の中で、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
【0103】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明の照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0104】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。本発明のインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0105】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0106】
本発明のインクジェット記録方法で用いることのできる基材としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの基材の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0107】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、基材によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録材料で、良好な高精細な画像を形成できる。
【0108】
次に、本発明で用いることのできる画像形成方法について説明する。
本発明に係る画像形成方法においては、前述の様に、上記のインクをインクジェット記録方式により基材上に吐出、描画し、次いで、1.0秒以内に、0.05秒以上、5.0秒以下の時間を要して、紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法である。
【0109】
本発明では、基材上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、基材が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した基材のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
【0110】
尚、ここで「総インク膜厚」とは基材に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
【0111】
インクの吐出条件としては、インクジェット記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型のインクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0112】
また、本発明では、各ノズルより吐出する最小の液滴量が2〜15plであることが好ましい。本来、高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなる。
【0113】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明に係る画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
【0114】
次いで、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
【0115】
以下、本発明に係る記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明で好ましく用いることができる記録装置の一態様であり、本発明では、ここで例示する記録装置の図面に限定されない。
【0116】
図1は、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、基材Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、基材Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
【0117】
基材Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行なう。
【0118】
ヘッドキャリッジ2は基材Pの上側に設置され、基材P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
【0119】
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
【0120】
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型のインク(例えば、UV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から基材Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
【0121】
記録ヘッド3は、基材Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に基材Pの他端まで移動するという走査の間に、基材Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、UVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
【0122】
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行なった後、搬送手段で基材Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行なう。
【0123】
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、基材P上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
【0124】
照射手段4は、特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、熱陰極管、冷陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
【0125】
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
【0126】
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、基材Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
【0127】
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と基材Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と基材Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
【0128】
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
【0129】
以上の様に、図1においては、シリアルプリント方式を例として、説明したが、そのほかにも、図2に示すような各インクジェット印字方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
【0130】
図2において、図2のa)は、記録ヘッド19を基材20の幅手方向に配置し、記録媒体を搬送しながら印字及び照射手段24より活性光線を照射する方法(ラインヘッド方式)であり、図2のb)は、記録ヘッド19が副走査方向に移動しながら印字し、更に照射手段24より活性光線を照射する方法(フラットヘッド方式)であり、図2のc)は、上記説明した記録ヘッド24が基材上の幅手方向を走査しながら印字し、更に両端に設けた照射手段24より活性光線を照射する方法(シリアルプリント方式)であり、いずれの方式も用いることができる。
【0131】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0132】
実施例1
《インクの調製》
下記の構成からなるカチオン重合性インクを調製した。
【0133】
《インクジェット画像の形成》
〔インクジェット記録装置〕
図1に記載の構成からなるシリアル方式のインクジェット記録装置を用い、それに上記調製したカチオン重合性インクを装填した。
【0134】
紫外線の照射手段としては、Integration社製のVzeroを用い、表1に記載の照度となる様に出力電圧を適宜調整し、また、基材へのインク着弾から紫外線照射までのタイミングは、最も遅い条件でも0.8秒以内に開始する様に照射間隔を制御した。
【0135】
また、記録ヘッドには、ノズルピッチを360dpiとし、4〜24plの範囲で異なるインク液滴サイズを出射できるピエゾタイプのインクジェットノズルを装着した。また、インク供給部、インク流路及びインクジェットノズルは、ヒーターにより55℃まで加温が可能とした。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
【0136】
〔画像印字〕
下記の1〜3の印字環境下で、上記インクジェット記録装置を用いて、720dpi×720dpi、1画素あたりの最大インク液適量12pl、ベタ画像の最大インク付着量8.9g/m2とし、4パスで、ドット画像及びベタ画像を出力して画像1〜6を形成した。なお、基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。また、上記基材面上の外気の風速は、1m/s未満となる様に制御した。
【0137】
印字環境1:絶対湿度0.003%(▲1▼15℃、28%RH、▲2▼21℃、21%RH、▲3▼25℃、15%RHの3条件)
印字環境2:絶対湿度0.009%(▲1▼15℃、85%RH、▲2▼21℃、62%RH、▲3▼25℃、34%RHの3条件)
印字環境3:絶対湿度0.015%(▲1▼20℃、90%RH、▲2▼25℃、75%RH、▲3▼30℃、57%RHの3条件)
〔印字画像の評価〕
以上の様にして印字した各画像について、下記の評価を行った。なお、各印字環境における結果は、▲1▼〜▲3▼の条件の平均値として表示した。
【0138】
(硬化所要時間の測定)
上記方法に従って画像形成する際に、硬化に要したパス数(紫外線照射装置の通過回数)から、硬化所要時間を求めた。なお、この硬化所要時間には、紫外線が照射されない時間も含むものとする。
【0139】
(シワの評価)
上記条件で、ベタ画像を印字し、シワの発生の有無を目視観察し、下記の基準に則りシワの評価を行った。
【0140】
○:ベタ画像が均一でグロスがあり、シワの発生がない
△:ややシワの発生が認められるが、許容される品質レベルである
×:シワの発生が認められ、グロス及び反射濃度の低下が認められ、許容限界外の品質である
(インク滲みの評価)
上記条件で、グラデーションパターン画像を印字し、下記の基準に則りインク滲みの評価を行った。
【0141】
○:ハイライト部からシャドー部まで、インク滲みによるノイズが認められない
△:中間濃度部で、インク滲みに起因するノイズが僅かに認められるが、許容される品質レベルである
×:中濃度部からシャドー部にかけて、インク滲みが発生し、ノイズが大きい
(硬化性の評価)
上記形成した各ベタ画像表面を指触してタックの有無について評価し、下記の基準に則り硬化性の評価を行った。
【0142】
○:紫外線照射後のベタ画像で、タッキネスが全く認められない
△:紫外線照射後のベタ画像で、ややタッキネスが認められる
×:紫外線照射後のベタ画像で、明らかなタッキネスが認められる
(密着性の評価)
上記形成した各ベタ画像に、碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、その表面に粘着テープを貼り付け、次いで、粘着テープを剥離した際の基材上のベタ画像の残存状態を目視観察し、下記の基準に則り密着性の評価を行った。
【0143】
○:テープ剥離による画像の変化が全くない
△:テープ剥離により、画像の一部が欠落している
×:テープ剥離により、ほとんどの画像が欠落している
以上により得られた各結果を、表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
表1より明らかなように、基材上にインクを着弾した後、1.0秒以内に着弾したインクに紫外線を照射し、かつ紫外線照射からインク硬化までの所要時間を0.05〜5.0秒とした本発明のインクジェット記録方法により作成した本発明の画像は、比較例に対し、シワの発生を抑えると共に、インク滲み耐性、硬化性及び密着性のいずれの性能も良好であることが分かる。
【0146】
実施例2
実施例1に記載の画像2の記録方法において、紫外線照度を75mW/cm2の一定条件とし、照射光源とインクジェットノズルとの距離を適宜調整して、インク着弾後紫外線照射までの時間(T)を表2に記載の条件に変更した以外は同様にして、画像7〜11を作成し、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0147】
【表2】
【0148】
表2より明らかなように、基材にインクを着弾させた後、紫外線照射までの間隔を1.0秒以内とした本発明の画像は、比較例に対し、インク滲み耐性、硬化性及び密着性を損なうことなく、シワ耐性が改良されていることが分かる。
【0149】
実施例3
《インクの調製》
下記の構成からなるラジカル重合性インクを調製した。
【0150】
《インクジェット画像の形成》
実施例1に記載のインクジェット画像の形成において、カチオン重合性インクに代えて、上記調製したラジカル重合性インクを用い、基材へのインク着弾から紫外線照射までの時間を0.7秒とし、更に、印字環境の酸素濃度、紫外線光源の照度を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、画像12〜16を作成し、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
表3より明らかなように、ラジカル重合性化合物を含有するインクを用いても、実施例1と同様に、基材にインクを着弾させた後、紫外線照射までの間隔を1.0秒以内とし、かつ紫外線照射からインク硬化までの所要時間を0.05〜5.0秒とした本発明のインクジェット記録方法により作成した本発明の画像は、比較例に対し、シワの発生を抑えると共に、インク滲み耐性、硬化性及び密着性のいずれの性能も良好であることが分かる。
【0153】
【発明の効果】
本発明により、様々な温湿度環境下であっても、インク滲み耐性、硬化性、基材との密着性に優れ、かつシワ耐性が良好な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明で用いることのできるインクジェット印字方式の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3、19 記録ヘッド
4、24 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P、20 基材
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規のインクジェット記録方法に関し、詳しくは、可視光、紫外線、赤外線、γ線、電子線などの活性光線を照射して、反応、硬化可能な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェット記録方式は簡便・安価に画像を作成出来るため、写真、各種印刷、マーキング、カラーフィルター等の特殊印刷など、様々な印刷分野に応用されてきている。特に、微細なドットを出射、制御する記録装置や、色再現域、耐久性、出射適性等を改善したインク及びインクの吸収性、色材の発色性、表面光沢などを飛躍的に向上させた専用紙を用い、銀塩写真に匹敵する画質を得ることも可能となっている。今日のインクジェット記録方式の画質向上は、記録装置、インク、専用紙の全てが揃って初めて達成されている。
【0003】
しかしながら、専用紙を必要とするインクジェットシステムは、記録媒体が制限されること、記録媒体のコストアップが問題となる。そこで、専用紙と異なる被転写媒体へインクジェット方式により記録する試みが多数なされている。具体的には、室温で固形のワックスインクを用いる相変化インクジェット方式、速乾性の有機溶剤を主体としたインクを用いるソルベント系インクジェット方式や、記録後紫外線(UV)光により架橋させるUVインクジェット方式などである。
【0004】
中でも、UVインクジェット方式は、ソルベント系インクジェット方式に比べ比較的低臭気であり、速乾性、インク吸収性の無い記録媒体への記録が出来る点で、近年注目されつつあり、様々な紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【0005】
しかしながら、これらのインクを用いたとしても、記録材料の種類や作業環境によって、着弾後のドット径が大きく変化してしまい、様々な記録材料に対して、高精細な画像を形成することは不可能である。
【0006】
一般に、UVインクとしては、ラジカル重合タイプとカチオン重合タイプがあるが、カチオン重合タイプは、酸素の重合阻害を受けないこと、用いるカチオン重合性モノマーの中でも、オキセタン、エポキシなどのイオン重合性モノマーは臭気が小さいこと、硬化収縮が少ないなどの利点があり注目されている。
【0007】
カチオン重合タイプのUVインクは、酸を触媒としたイオン重合であることから、湿度の影響を受けやすい。また、反応の活性化エネルギーがラジカル重合に比べて大きいことから温度依存性も大きいという課題を抱えている。
【0008】
通常、カチオン重合性のインクやコーティング材は、基材またはインクを加熱することにより、反応性を高める手段が採られている。しかしながら、インクを加熱し、低粘度化した後に出射すると、インクジェットノズルが高温となり、インクジェットノズル面に付着したインクミストなどの感度が高い状態となるため、長期間印字を続けると、照射光源からの紫外線の漏光等の影響により、ノズルの目詰まりが生じやすくなる。
【0009】
上記課題に対し、特願2002−258714号では、基材面におけるインクの感度とインクジェットノズル面におけるインクの感度のバランスを取るため、好ましい温度差を規定している。しかしながら、インクジェット記録方式において、基材やインクを加熱すると、インク内部の熱対流、インク表層と内部との反応性差などにより、シワが発生するという別の課題が生じる。
【0010】
また、シワの発生を改良する目的で、フィルム上にインクを塗布し、ベルトコンベアタイプの紫外線照射装置を用い画像形成する方法が提案されている(例えば、特許文献4参照。)が、このような方式では、紫外線照射までの時間が長く、インクが滲んでしまう問題が発生する。
【0011】
【特許文献1】
特公平5−54667号公報
【0012】
【特許文献2】
特表2000−504778号公報
【0013】
【特許文献3】
国際公開第99/29787号パンフレット
【0014】
【特許文献4】
特開2002−258714号公報
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記課題を鑑みなされたものであり、その目的は、様々な温湿度環境下であっても、インク滲み耐性、硬化性、基材との密着性に優れ、かつシワ耐性が良好な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記課題は、下記の構成により達成される。
【0017】
1.インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
【0018】
2.前記着弾インクの硬化所要時間を0.05秒以上、5.0秒以下とする手段が、活性光線の照度を制御する手段、発生光線の波長を制御する手段、着弾したインク液滴の温度を制御する手段、印字環境の絶対湿度を制御する手段及び印字環境の酸素濃度を制御する手段から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録方法。
【0019】
3.前記光重合性化合物が、カチオン重合性化合物であることを特徴とする前記1または2に記載のインクジェット記録方法。
【0020】
以下、本発明の詳細について説明する。
本発明のインクジェット記録方法においては、インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とする。
【0021】
本発明者は、インクジェット画像の高画質化を図るため、基材へインク滴が着弾した直後に紫外線を照射する条件で、インク硬化性とシワを改善する条件について鋭意検討を重ねた結果、上記の本発明で規定する要件とすることにより、本発明の目的効果が得られることが判明した。すなわち、シワの発生を抑えるためには、インク膜中の熱対流を抑えることが重要な要件であり、インクが硬化するまでの時間が最適となる様に、種々の印字条件、具体的には、活性光線の照度、発生光線の波長、着弾したインク液滴の温度、印字環境の絶対湿度あるいは印字環境の酸素濃度を、最適に制御する手段することにより、高品位で、かつシワの発生がないインクジェット画像が得られることを見出し、本発明に至った次第である。
【0022】
本発明においては、活性光線による着弾したインク液滴の硬化所要時間が0.05秒以上、5.0秒以下であることが特徴であるが、好ましくは0.1秒以上、5.0秒以下であり、更に好ましくは0.1秒以上、2.0秒以下である。
【0023】
なお、本発明でいうインク液滴の硬化所要時間とは、インク液滴の流動性が消失する時間と定義する。
【0024】
インク液滴の硬化所要時間が0.05秒以上であれば、急速な反応に伴うシワの発生を防止することができる。インク中での急速な反応がシワを引き起こす原因は、局部的に発生した応力の緩和時間が短いことや、一度に反応発熱量が多くなり、熱対流などが生じやすいためと考えられる。また、インク液滴の硬化所要時間が5.0秒以下であれば、印字したインク液滴の流動によるインク滲みの発生を防止でき、また、インク浸透性を有する基材を用いた際のインク浸透によるインク硬化性の低下を防止することができる。
【0025】
また、本発明のインクジェット記録方法においては、上記の活性光線の照射を開始する時間が、基材にインクが着弾した後、1.0秒以内に行うことが特徴であり、好ましくは0.01〜1.0秒であり、より好ましくは0.01〜0.3秒である。活性光線の照射開始時間を1.0秒以内とすることにより、着弾したインク液滴の過度の滲みを防止し、かつ基材の種類にかかわらず安定したインク硬化性を得ることができる。
【0026】
本発明で規定する活性光線による着弾したインク液滴の硬化所要時間を0.05秒以上、5.0秒以下とする手段としては、特に制限はないが、本発明においては、以下に示す方法の少なくとも1つを用いることが好ましい。
【0027】
方法1:活性光源として紫外線を用い、紫外線の照度を最適に制御する方法
照度としては10〜500mW/cm2の範囲に制御することが好ましく、より好ましくは10〜100mW/cm2の範囲である。また、照射エネルギーとしては0.1〜150mJ/cm2が好ましい。上記に示した照度範囲とする方法は、特に制限はないが、例えば、紫外線照射光源の種類、出力電圧、光源と基材間にスリットを設ける、あるいは光源と基材との距離等を適宜調整すればよい。
【0028】
方法2:活性光源として紫外線を用い、紫外線の波長を最適に制御する方法
波長としては、280〜380nmが好ましく、更に好ましくは280〜340nmの範囲である。上記の紫外線の波長とする方法としては、特に制限はないが、例えば、紫外線照射光源の種類を適宜選択すればよい。
【0029】
方法3:着弾したインクの温度を制御する方法
着弾したインクの制御温度範囲としては、35〜100℃が好ましく、より好ましくは35〜80℃である。着弾したインク液滴の温度を、上記で示した温度範囲に制御する方法としては、特に制限はないが、例えば、出射するインク温度、インクジェットヘッドの温度、印字環境の温度を適宜設定することにより達成することができる。また、基材背面部に、基材を加熱するヒーターを設けて、基材を所望の温度に加熱する方法、基材表面からの輻射により加熱する方法も好ましい。
【0030】
方法4:印字環境の絶対湿度を制御する方法
印字環境の絶対湿度としては、0.003〜0.015%であることが好ましく、より好ましくは0.005〜0.010%である。
【0031】
方法5:印字環境の酸素濃度を制御する方法
印字環境の酸素濃度としては、5〜30体積%であることが好ましく、より好ましくは8〜20体積%である。
【0032】
光重合性化合物としてラジカル重合性化合物を含有するインクは、上記に列挙した各方法の中でも、方法1、方法2、方法3、方法5をそれぞれ単独、あるいは組み合わせて用いることが好ましく、また、光重合性化合物としてカチオン重合性化合物を含有するインクでは、上記に列挙した各方法の中でも、方法1〜方法4を単独、あるいは組み合わせて用いることが好ましい。
【0033】
次いで、本発明に係るインクの詳細について説明する。
はじめに、本発明に用いられる光重合性化合物について説明する。
【0034】
本発明で用いることのできる重合性化合物の一つは、ラジカル重合性化合物であり、例えば、特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特願平7−231444号等の各号公報に記載の化合物を挙げることができる。
【0035】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態を有するものが含まれる。ラジカル重合性化合物は、1種のみ用いてもよく、又目的とする特性を向上するため、任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0036】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0037】
ラジカル重合性化合物の添加量は、インク組成物に対し、好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0038】
本発明においては、重合性化合物の一つとしてカチオン重合性化合物を用いることができ、カチオン重合性モノマーとしては、各種公知のカチオン重合性のモノマーが使用できる。例えば、特開平6−9714号、特開2001−31892、特開2001−40068、特開2001−55507、特開2001−310938、特開2001−310937、特開2001−220526に例示されているエポキシ化合物、ビニルエーテル化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。
【0039】
芳香族エポキシドとして好ましいものは、少なくとも1個の芳香族核を有する多価フェノールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体とエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジまたはポリグリシジルエーテルであり、例えばビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル、ならびにノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0040】
脂環式エポキシドとしては、少なくとも1個のシクロへキセンまたはシクロペンテン環等のシクロアルカン環を有する化合物を、過酸化水素、過酸等の適当な酸化剤でエポキシ化することによつて得られる、シクロヘキセンオキサイドまたはシクロペンテンオキサイド含有化合物が好ましい。
【0041】
脂肪族エポキシドの好ましいものとしては、脂肪族多価アルコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはポリグリシジルエーテル等があり、その代表例としては、エチレングリコールのジグリシジルエーテル、プロピレングリコールのジグリシジルエーテルまたは1,6−ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル、グリセリンあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジまたはトリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールあるいはそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル等が挙げられる。ここでアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等が挙げられる。
【0042】
これらのエポキシドのうち、速硬化性を考慮すると、芳香族エポキシド及び脂環式エポキシドが好ましく、特に脂環式エポキシドが好ましい。本発明では、上記エポキシドの1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0043】
ビニルエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、ブタンジオールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等のジ又はトリビニルエーテル化合物、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、イソプロペニルエーテル−O−プロピレンカーボネート、ドデシルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル等のモノビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0044】
これらのビニルエーテル化合物のうち、硬化性、密着性、表面硬度を考慮すると、ジ又はトリビニルエーテル化合物が好ましく、特にジビニルエーテル化合物が好ましい。本発明では、上記ビニルエーテル化合物の1種を単独で使用してもよいが、2種以上を適宜組み合わせて使用してもよい。
【0045】
本発明においては、インク硬化の際の記録材料の収縮を抑える目的で、光重合性化合物として少なくとも1種のオキセタン化合物を含有することが好ましい。
【0046】
本発明に係るオキセタン化合物は、オキセタン環を有する化合物のことであり、特開2001−220526、特開2001−310937に紹介されているような公知のあらゆるオキセタン化合物を使用できる。
【0047】
本発明に係るオキセタン化合物において、オキセタン環を5個以上有する化合物を使用すると、インク組成物の粘度が高くなるため、取扱いが困難になったり、またインク組成物のガラス転移温度が高くなるため、得られる硬化物の粘着性が十分でなくなってしまう。本発明で使用するオキセタン環を有する化合物は、オキセタン環を1〜4個有する化合物が好ましい。
【0048】
以下、本発明に係るオキセタン環を有する化合物の具体例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0049】
1個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(1)で示される化合物が挙げられる。
【0050】
【化1】
【0051】
一般式(1)において、R1は水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフルオロアルキル基、アリル基、アリール基、フリル基またはチエニル基である。R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜6個のアルキル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、2−メチル−2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基等の炭素数2〜6個のアルケニル基、フェニル基、ベンジル基、フルオロベンジル基、メトキシベンジル基、フェノキシエチル基等の芳香環を有する基、エチルカルボニル基、プロピルカルボニル基、ブチルカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルキルカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基等の炭素数2〜6個のアルコキシカルボニル基、またはエチルカルバモイル基、プロピルカルバモイル基、ブチルカルバモイル基、ペンチルカルバモイル基等の炭素数2〜6個のN−アルキルカルバモイル基等である。本発明で使用するオキセタン化合物としては、1個のオキセタン環を有する化合物を使用することが、得られる組成物が粘着性に優れ、低粘度で作業性に優れるため、特に好ましい。
【0052】
2個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
【0053】
【化2】
【0054】
一般式(2)において、R1は、上記一般式(1)におけるそれと同様の基である。R3は、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等の線状または分枝状アルキレン基、ポリ(エチレンオキシ)基、ポリ(プロピレンオキシ)基等の線状または分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基、プロペニレン基、メチルプロペニレン基、ブテニレン基等の線状または分枝状不飽和炭化水素基、またはカルボニル基またはカルボニル基を含むアルキレン基、カルボキシル基を含むアルキレン基、カルバモイル基を含むアルキレン基等である。
【0055】
また、R3としては、下記一般式(3)、(4)及び(5)で示される基から選択される多価基も挙げることができる。
【0056】
【化3】
【0057】
一般式(3)において、R4は、水素原子やメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜4個のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、メルカプト基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、またはカルバモイル基である。
【0058】
【化4】
【0059】
一般式(4)において、R5は、酸素原子、硫黄原子、メチレン基、NH、SO、SO2、C(CF3)2、又はC(CH3)2を表す。
【0060】
【化5】
【0061】
一般式(5)において、R6は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。nは0〜2000の整数である。R7はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。R7としては、更に、下記一般式(6)で示される基から選択される基も挙げることができる。
【0062】
【化6】
【0063】
一般式(6)において、R8は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4個のアルキル基、またはアリール基である。mは0〜100の整数である。
【0064】
2個のオキセタン環を有する化合物の具体例としては、下記化合物が挙げられる。
【0065】
【化7】
【0066】
例示化合物1は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3がカルボキシル基である化合物である。また、例示化合物2は、前記一般式(2)において、R1がエチル基、R3が前記一般式(5)でR6及びR7がメチル基、nが1である化合物である。
【0067】
2個のオキセタン環を有する化合物において、上記の化合物以外の好ましい例としては、下記一般式(7)で示される化合物がある。一般式(7)において、R1は、前記一般式(1)のR1と同義である。
【0068】
【化8】
【0069】
また、3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、下記一般式(8)で示される化合物が挙げられる。
【0070】
【化9】
【0071】
一般式(8)において、R1は、前記一般式(1)におけるR1と同義である。R9としては、例えば、下記A〜Cで示される基等の炭素数1〜12の分枝状アルキレン基、下記Dで示される基等の分枝状ポリ(アルキレンオキシ)基又は下記Eで示される基等の分枝状ポリシロキシ基等が挙げられる。jは、3又は4である。
【0072】
【化10】
【0073】
上記Aにおいて、R10はメチル基、エチル基又はプロピル基等の低級アルキル基である。また、上記Dにおいて、pは1〜10の整数である。
【0074】
3〜4個のオキセタン環を有する化合物の一例としては、例示化合物3が挙げられる。
【0075】
【化11】
【0076】
さらに、上記説明した以外の1〜4個のオキセタン環を有する化合物の例としては、下記一般式(9)で示される化合物が挙げられる。
【0077】
【化12】
【0078】
一般式(9)において、R8は前記一般式(6)のR8と同義である。R11はメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基又はトリアルキルシリル基であり、rは1〜4である。
【0079】
本発明で使用するオキセタン化合物の好ましい具体例としては、以下に示す化合物がある。
【0080】
【化13】
【0081】
上述したオキセタン環を有する各化合物の製造方法は、特に限定されず、従来知られた方法に従えばよく、例えば、パティソン(D.B.Pattison,J.Am.Chem.Soc.,3455,79(1957))が開示している、ジオールからのオキセタン環合成法等がある。また、これら以外にも、分子量1000〜5000程度の高分子量を有する1〜4個のオキセタン環を有する化合物も挙げられる。これらの具体的化合物例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0082】
【化14】
【0083】
本発明に係る光重合性化合物として、上記説明したラジカル重合性化合物あるいはカチオ重合性化合物のいずれも用いることができるが、紫外線の照射強度(mW)を変更しても、硬化感度が変動しにくい、すなわち照度不軌の小さい化合物好ましく、この観点では、酸素により重合阻害を受けるラジカル重合性化合物よりも、カチオン重合性化合物の方がより好ましい。特に、インク液滴サイズの小さなインクジェット記録システムでは、小点の硬化性がラジカル重合性化合物よりも、カチオン重合性化合物の方が良好であり、好ましい。
【0084】
本発明においては、インク中に、光重合開始剤及び光酸発生剤の少なくとも1つを含有することが好ましい。
【0085】
本発明においては、硬化反応をより効率的に行なうために、公知の光重合開始剤を添加して硬化させることが好ましい。光重合開始剤としては、分子内結合開裂型と分子内水素引き抜き型の2種に大別できる。
【0086】
分子内結合開裂型の光重合開始剤としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノンの如きアセトフェノン系;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルの如きベンゾイン類;2,4,6−トリメチルベンゾインジフェニルホスフィンオキシドの如きアシルホスフィンオキシド系;ベンジル、メチルフェニルグリオキシエステル、などが挙げられる。
【0087】
一方、分子内水素引き抜き型の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル−4−フェニルベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、アクリル化ベンゾフェノン、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンの如きベンゾフェノン系;2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントンの如きチオキサントン系;ミヒラ−ケトン、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノンの如きアミノベンゾフェノン系;10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアンスラキノン、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、などが挙げられる。光重合開始剤を使用する場合の配合量は、活性光線硬化性組成物の0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0088】
カチオン重合開始剤としては、例えば、化学増幅型フォトレジストや光カチオン重合に利用される化合物が用いられる(有機エレクトロニクス材料研究会編、「イメージング用有機材料」、ぶんしん出版(1993年)、187〜192ページ参照)。本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。
【0089】
第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨードニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −、PF6 −、AsF6 −、SbF6 −、CF3SO3 −塩を挙げることができる。
【0090】
本発明で用いることのできるオニウム化合物の具体的な例を、以下に示す。
【0091】
【化15】
【0092】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができ、その具体的な化合物を、以下に例示する。
【0093】
【化16】
【0094】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができ、以下にその具体的な化合物を例示する。
【0095】
【化17】
【0096】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0097】
【化18】
【0098】
また、本発明に係るインク組成物は、紫外線の照射により硬化するが、硬化反応をより効率的に行なうために、光増感剤を併用することもできる。そのような光増感剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸(2−ジメチルアミノ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルの如きアミン類、シアニン、フタロシアニン、メロシアニン、ポルフィリン、スピロ化合物、フェロセン、フルオレン、フルギド、イミダゾール、ペリレン、フェナジン、フェノチアジン、ポリエン、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ポリメチンアクリジン、クマリン、ケトクマリン、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体等が挙げられ、更に、欧州特許第568,993号、米国特許第4,508,811号、同第5,227,227号、特開2001−125255号、特開平11−271969号等に記載の化合物も用いられる。光増感剤の使用量は、活性光線硬化性組成物中0.01〜10.00質量%の範囲が好ましい。
【0099】
本発明に係るインクでは、着色剤としては、重合性化合物の主成分に溶解または分散できる各種色材を使用することができるが、耐候性の観点から顔料が好ましい。
【0100】
本発明のインクジェットインクに用いることのできる顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無彩色無機顔料または有彩色の有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、例えば、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2Bなどの溶性アゾ顔料、アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーンなどの建染染料からの誘導体、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系有機顔料、キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタなどのキナクリドン系有機顔料、ペリレンレッド、ペリレンスカーレットなどのペリレン系有機顔料、イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジなどのイソインドリノン系有機顔料、ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジなどのピランスロン系有機顔料、チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエローなどのキノフタロン系有機顔料、イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料、その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。
【0101】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、146、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。
【0102】
上記顔料の中で、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。
【0103】
上記顔料の分散には、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等を用いることができる。また、顔料の分散を行う際に、分散剤を添加することも可能である。分散剤としては、高分子分散剤を用いることが好ましく、高分子分散剤としては、例えば、Avecia社のSolsperseシリーズや、味の素ファインテクノ社のPBシリーズが挙げられる。また、分散助剤として、各種顔料に応じたシナージストを用いることも可能である。これらの分散剤および分散助剤は、顔料100質量部に対し、1〜50質量部添加することが好ましい。分散媒体は、溶剤または重合性化合物を用いて行うが、本発明の照射線硬化型インクでは、インク着弾直後に反応・硬化させるため、無溶剤であることが好ましい。溶剤が硬化画像に残ってしまうと、耐溶剤性の劣化、残留する溶剤のVOCの問題が生じる。よって、分散媒体は溶剤では無く重合性化合物、その中でも最も粘度の低いモノマーを選択することが分散適性上好ましい。
【0104】
顔料の分散は、顔料粒子の平均粒径を0.08〜0.5μmとすることが好ましく、最大粒径は0.3〜10μm、好ましくは0.3〜3μmとなるよう、顔料、分散剤、分散媒体の選定、分散条件、ろ過条件を適宜設定することが好ましい。この粒径管理によって、ヘッドノズルの詰まりを抑制し、インクの保存安定性、インク透明性および硬化感度を維持することができる。本発明のインクにおいては、色材濃度としては、インク全体の1質量%乃至10質量%であることが好ましい。
【0105】
本発明に係るインクには、上記説明した以外に様々な添加剤を用いることができる。例えば、レベリング添加剤、マット剤、膜物性を調整するためのポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ワックス類を添加することができる。また、保存安定性を改良する目的で、公知のあらゆる塩基性化合物を用いることができるが、代表的なものとして、塩基性アルカリ金属化合物、塩基性アルカリ土類金属化合物、アミンなどの塩基性有機化合物などがあげられる。また、ラジカル重合性モノマーと開始剤を組み合わせ、ラジカル・カチオンのハイブリッド型硬化インクとすることも可能である。
【0106】
本発明のインクジェット記録方法で用いることのできる基材としては、通常の非コート紙、コート紙などの他、いわゆる軟包装に用いられる各種非吸収性のプラスチックおよびそのフィルムを用いることができ、各種プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、延伸ポリスチレン(OPS)フィルム、延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、延伸ナイロン(ONy)フィルム、ポリ塩化ビニル(PVC)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム等を挙げることができる。その他のプラスチックとしては、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ABS、ポリアセタール、ポリビニルアルコール(PVA)、ゴム類などが使用できる。また、金属類や、ガラス類にも適用可能である。これらの基材の中でも、特に熱でシュリンク可能な、PETフィルム、OPSフィルム、OPPフィルム、ONyフィルム、PVCフィルムへ画像を形成する場合に本発明の構成は、有効となる。これらの基材は、インクの硬化収縮、硬化反応時の発熱などにより、フィルムのカール、変形が生じやすいばかりでなく、インク膜が基材の収縮に追従し難い。
【0107】
これら、各種プラスチックフィルムの表面エネルギーは大きく異なり、基材によってインク着弾後のドット径が変わってしまうことが、従来から問題となっていた。本発明の構成では、表面エネルギーの低いOPPフィルム、OPSフィルムや表面エネルギーの比較的大きいPETまでを含む、表面エネルギーが35〜60mN/mの広範囲の記録材料で、良好な高精細な画像を形成できる。
【0108】
次に、本発明で用いることのできる画像形成方法について説明する。
本発明に係る画像形成方法においては、前述の様に、上記のインクをインクジェット記録方式により基材上に吐出、描画し、次いで、1.0秒以内に、0.05秒以上、5.0秒以下の時間を要して、紫外線などの活性光線を照射してインクを硬化させる方法である。
【0109】
本発明では、基材上にインクが着弾し、活性光線を照射して硬化した後の総インク膜厚が2〜20μmであることが好ましい。スクリーン印刷分野の活性光線硬化型インクジェット記録では、総インク膜厚が20μmを越えているのが現状であるが、基材が薄いプラスチック材料であることが多い軟包装印刷分野では、前述した基材のカール・皺の問題でだけでなく、印刷物全体のこし・質感が変わってしまうという問題が有るため、過剰な膜厚のインク吐出は好ましくない。
【0110】
尚、ここで「総インク膜厚」とは基材に描画されたインクの膜厚の最大値を意味し、単色でも、それ以外の2色重ね(2次色)、3色重ね、4色重ね(白インクベース)のインクジェット記録方式で記録を行った場合でも総インク膜厚の意味するところは同様である。
【0111】
インクの吐出条件としては、インクジェット記録ヘッド及びインクを35〜100℃に加熱し、吐出することが吐出安定性の点で好ましい。活性光線硬化型のインクは、温度変動による粘度変動幅が大きく、粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度を上げながらその温度を一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅としては、設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、更に好ましくは設定温度±1℃である。
【0112】
また、本発明では、各ノズルより吐出する最小の液滴量が2〜15plであることが好ましい。本来、高精細画像を形成するためには、液滴量がこの範囲であることが必要であるが、この液滴量で吐出する場合、前述した吐出安定性が特に厳しくなる。
【0113】
活性光線の照射方法として、その基本的な方法が、特開昭60−132767号に開示されている。これによると、ヘッドユニットの両側に光源を設け、シャトル方式でヘッドと光源を走査する。照射は、インク着弾後、一定時間を置いて行われることになる。更に、駆動を伴わない別光源によって硬化を完了させる。米国特許第6,145,979号では、照射方法として、光ファイバーを用いた方法や、コリメートされた光源をヘッドユニット側面に設けた鏡面に当て、記録部へUV光を照射する方法が開示されている。本発明に係る画像形成方法においては、これらの何れの照射方法も用いることが出来る。
【0114】
次いで、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置(以下、単に記録装置という)について説明する。
【0115】
以下、本発明に係る記録装置について、図面を適宜参照しながら説明する。尚、図面の記録装置はあくまでも本発明で好ましく用いることができる記録装置の一態様であり、本発明では、ここで例示する記録装置の図面に限定されない。
【0116】
図1は、本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。記録装置1は、ヘッドキャリッジ2、記録ヘッド3、照射手段4、プラテン部5等を備えて構成される。この記録装置1は、基材Pの下にプラテン部5が設置されている。プラテン部5は、紫外線を吸収する機能を有しており、基材Pを通過してきた余分な紫外線を吸収する。その結果、高精細な画像を非常に安定に再現できる。
【0117】
基材Pは、ガイド部材6に案内され、搬送手段(図示せず)の作動により、図1における手前から奥の方向に移動する。ヘッド走査手段(図示せず)は、ヘッドキャリッジ2を図1におけるY方向に往復移動させることにより、ヘッドキャリッジ2に保持された記録ヘッド3の走査を行なう。
【0118】
ヘッドキャリッジ2は基材Pの上側に設置され、基材P上の画像印刷に用いる色の数に応じて後述する記録ヘッド3を複数個、吐出口を下側に配置して収納する。ヘッドキャリッジ2は、図1におけるY方向に往復自在な形態で記録装置1本体に対して設置されており、ヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に往復移動する。
【0119】
尚、図1ではヘッドキャリッジ2がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の記録ヘッド3を収納するものとして描図を行なっているが、実施の際にはヘッドキャリッジ2に収納される記録ヘッド3の色数は適宜決められるものである。
【0120】
記録ヘッド3は、インク供給手段(図示せず)により供給された活性光線硬化型のインク(例えば、UV硬化インク)を、内部に複数個備えられた吐出手段(図示せず)の作動により、吐出口から基材Pに向けて吐出する。記録ヘッド3により吐出されるUVインクは色材、重合性モノマー、開始剤等を含んで組成されており、紫外線の照射を受けることで開始剤が触媒として作用することに伴なうモノマーの架橋、重合反応によって硬化する性質を有する。
【0121】
記録ヘッド3は、基材Pの一端からヘッド走査手段の駆動により、図1におけるY方向に基材Pの他端まで移動するという走査の間に、基材Pにおける一定の領域(着弾可能領域)に対して、UVインクをインク滴として吐出し、該着弾可能領域にインク滴を着弾させる。
【0122】
上記走査を適宜回数行ない、1領域の着弾可能領域に向けてUVインクの吐出を行なった後、搬送手段で基材Pを図1における手前から奥方向に適宜移動させ、再びヘッド走査手段による走査を行ないながら、記録ヘッド3により上記着弾可能領域に対し、図1における奥方向に隣接した次の着弾可能領域に対してUVインクの吐出を行なう。
【0123】
上述の操作を繰り返し、ヘッド走査手段及び搬送手段と連動して記録ヘッド3からUVインクを吐出することにより、基材P上にUVインク滴の集合体からなる画像が形成される。
【0124】
照射手段4は、特定の波長領域の紫外線を安定した露光エネルギーで発光する紫外線ランプ及び特定の波長の紫外線を透過するフィルターを備えて構成される。ここで、紫外線ランプとしては、水銀ランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザー、紫外線レーザー、熱陰極管、冷陰極管、ブラックライト、LED(light emitting diode)等が適用可能であり、帯状のメタルハライドランプ、冷陰極管、水銀ランプもしくはブラックライトが好ましい。
【0125】
照射手段4は、記録ヘッド3がヘッド走査手段の駆動による1回の走査によってUVインクを吐出する着弾可能領域のうち、記録装置(UVインクジェットプリンタ)1で設定できる最大のものとほぼ同じ形状か、着弾可能領域よりも大きな形状を有する。
【0126】
照射手段4はヘッドキャリッジ2の両脇に、基材Pに対してほぼ平行に、固定して設置される。
【0127】
前述したようにインク吐出部の照度を調整する手段としては、記録ヘッド3全体を遮光することはもちろんであるが、加えて照射手段4と基材Pの距離h1より、記録ヘッド3のインク吐出部31と基材Pとの距離h2を大きくしたり(h1<h2)、記録ヘッド3と照射手段4との距離dを離したり(dを大きく)することが有効である。又、記録ヘッド3と照射手段4の間を蛇腹構造7にすると更に好ましい。
【0128】
ここで、照射手段4で照射される紫外線の波長は、照射手段4に備えられた紫外線ランプ又はフィルターを交換することで適宜変更することができる。
【0129】
以上の様に、図1においては、シリアルプリント方式を例として、説明したが、そのほかにも、図2に示すような各インクジェット印字方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
【0130】
図2において、図2のa)は、記録ヘッド19を基材20の幅手方向に配置し、記録媒体を搬送しながら印字及び照射手段24より活性光線を照射する方法(ラインヘッド方式)であり、図2のb)は、記録ヘッド19が副走査方向に移動しながら印字し、更に照射手段24より活性光線を照射する方法(フラットヘッド方式)であり、図2のc)は、上記説明した記録ヘッド24が基材上の幅手方向を走査しながら印字し、更に両端に設けた照射手段24より活性光線を照射する方法(シリアルプリント方式)であり、いずれの方式も用いることができる。
【0131】
【実施例】
以下、本発明の実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明の実施態様はこれらの例に限定されるものではない。
【0132】
実施例1
《インクの調製》
下記の構成からなるカチオン重合性インクを調製した。
【0133】
《インクジェット画像の形成》
〔インクジェット記録装置〕
図1に記載の構成からなるシリアル方式のインクジェット記録装置を用い、それに上記調製したカチオン重合性インクを装填した。
【0134】
紫外線の照射手段としては、Integration社製のVzeroを用い、表1に記載の照度となる様に出力電圧を適宜調整し、また、基材へのインク着弾から紫外線照射までのタイミングは、最も遅い条件でも0.8秒以内に開始する様に照射間隔を制御した。
【0135】
また、記録ヘッドには、ノズルピッチを360dpiとし、4〜24plの範囲で異なるインク液滴サイズを出射できるピエゾタイプのインクジェットノズルを装着した。また、インク供給部、インク流路及びインクジェットノズルは、ヒーターにより55℃まで加温が可能とした。なお、本発明でいうdpiとは、2.54cmあたりのドット数を表す。
【0136】
〔画像印字〕
下記の1〜3の印字環境下で、上記インクジェット記録装置を用いて、720dpi×720dpi、1画素あたりの最大インク液適量12pl、ベタ画像の最大インク付着量8.9g/m2とし、4パスで、ドット画像及びベタ画像を出力して画像1〜6を形成した。なお、基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルムを使用した。また、上記基材面上の外気の風速は、1m/s未満となる様に制御した。
【0137】
印字環境1:絶対湿度0.003%(▲1▼15℃、28%RH、▲2▼21℃、21%RH、▲3▼25℃、15%RHの3条件)
印字環境2:絶対湿度0.009%(▲1▼15℃、85%RH、▲2▼21℃、62%RH、▲3▼25℃、34%RHの3条件)
印字環境3:絶対湿度0.015%(▲1▼20℃、90%RH、▲2▼25℃、75%RH、▲3▼30℃、57%RHの3条件)
〔印字画像の評価〕
以上の様にして印字した各画像について、下記の評価を行った。なお、各印字環境における結果は、▲1▼〜▲3▼の条件の平均値として表示した。
【0138】
(硬化所要時間の測定)
上記方法に従って画像形成する際に、硬化に要したパス数(紫外線照射装置の通過回数)から、硬化所要時間を求めた。なお、この硬化所要時間には、紫外線が照射されない時間も含むものとする。
【0139】
(シワの評価)
上記条件で、ベタ画像を印字し、シワの発生の有無を目視観察し、下記の基準に則りシワの評価を行った。
【0140】
○:ベタ画像が均一でグロスがあり、シワの発生がない
△:ややシワの発生が認められるが、許容される品質レベルである
×:シワの発生が認められ、グロス及び反射濃度の低下が認められ、許容限界外の品質である
(インク滲みの評価)
上記条件で、グラデーションパターン画像を印字し、下記の基準に則りインク滲みの評価を行った。
【0141】
○:ハイライト部からシャドー部まで、インク滲みによるノイズが認められない
△:中間濃度部で、インク滲みに起因するノイズが僅かに認められるが、許容される品質レベルである
×:中濃度部からシャドー部にかけて、インク滲みが発生し、ノイズが大きい
(硬化性の評価)
上記形成した各ベタ画像表面を指触してタックの有無について評価し、下記の基準に則り硬化性の評価を行った。
【0142】
○:紫外線照射後のベタ画像で、タッキネスが全く認められない
△:紫外線照射後のベタ画像で、ややタッキネスが認められる
×:紫外線照射後のベタ画像で、明らかなタッキネスが認められる
(密着性の評価)
上記形成した各ベタ画像に、碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、その表面に粘着テープを貼り付け、次いで、粘着テープを剥離した際の基材上のベタ画像の残存状態を目視観察し、下記の基準に則り密着性の評価を行った。
【0143】
○:テープ剥離による画像の変化が全くない
△:テープ剥離により、画像の一部が欠落している
×:テープ剥離により、ほとんどの画像が欠落している
以上により得られた各結果を、表1に示す。
【0144】
【表1】
【0145】
表1より明らかなように、基材上にインクを着弾した後、1.0秒以内に着弾したインクに紫外線を照射し、かつ紫外線照射からインク硬化までの所要時間を0.05〜5.0秒とした本発明のインクジェット記録方法により作成した本発明の画像は、比較例に対し、シワの発生を抑えると共に、インク滲み耐性、硬化性及び密着性のいずれの性能も良好であることが分かる。
【0146】
実施例2
実施例1に記載の画像2の記録方法において、紫外線照度を75mW/cm2の一定条件とし、照射光源とインクジェットノズルとの距離を適宜調整して、インク着弾後紫外線照射までの時間(T)を表2に記載の条件に変更した以外は同様にして、画像7〜11を作成し、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行い、得られた結果を表2に示す。
【0147】
【表2】
【0148】
表2より明らかなように、基材にインクを着弾させた後、紫外線照射までの間隔を1.0秒以内とした本発明の画像は、比較例に対し、インク滲み耐性、硬化性及び密着性を損なうことなく、シワ耐性が改良されていることが分かる。
【0149】
実施例3
《インクの調製》
下記の構成からなるラジカル重合性インクを調製した。
【0150】
《インクジェット画像の形成》
実施例1に記載のインクジェット画像の形成において、カチオン重合性インクに代えて、上記調製したラジカル重合性インクを用い、基材へのインク着弾から紫外線照射までの時間を0.7秒とし、更に、印字環境の酸素濃度、紫外線光源の照度を、表3に記載の様に変更した以外は同様にして、画像12〜16を作成し、実施例1に記載の方法と同様にして、各評価を行い、得られた結果を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】
表3より明らかなように、ラジカル重合性化合物を含有するインクを用いても、実施例1と同様に、基材にインクを着弾させた後、紫外線照射までの間隔を1.0秒以内とし、かつ紫外線照射からインク硬化までの所要時間を0.05〜5.0秒とした本発明のインクジェット記録方法により作成した本発明の画像は、比較例に対し、シワの発生を抑えると共に、インク滲み耐性、硬化性及び密着性のいずれの性能も良好であることが分かる。
【0153】
【発明の効果】
本発明により、様々な温湿度環境下であっても、インク滲み耐性、硬化性、基材との密着性に優れ、かつシワ耐性が良好な活性光線硬化型インクを用いたインクジェット記録方法を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いることのできるインクジェット記録装置で、シリアルプリント方式で用いる要部の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本発明で用いることのできるインクジェット印字方式の一例を示す概略図である。
【符号の説明】
1 記録装置
2 ヘッドキャリッジ
3、19 記録ヘッド
4、24 照射手段
5 プラテン部
6 ガイド部材
7 蛇腹構造
P、20 基材
Claims (3)
- インクジェット方式により、光重合性化合物を含有するインクを加熱して基材上に出射し、該インクが基材に着弾後1.0秒以内に着弾インクに活性光線を照射して硬化するインクジェット記録方法において、該活性光線による該着弾インクの硬化所要時間が、0.05秒以上、5.0秒以下であることを特徴とするインクジェット記録方法。
- 前記着弾インクの硬化所要時間を0.05秒以上、5.0秒以下とする手段が、活性光線の照度を制御する手段、発生光線の波長を制御する手段、着弾したインク液滴の温度を制御する手段、印字環境の絶対湿度を制御する手段及び印字環境の酸素濃度を制御する手段から選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録方法。
- 前記光重合性化合物が、カチオン重合性化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録方法。
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