JP2004350173A - 音像再生装置および立体音像再生装置 - Google Patents

音像再生装置および立体音像再生装置 Download PDF

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Yasushige Nakayama
靖茂 中山
Setsu Komiyama
摂 小宮山
Kaoru Watanabe
馨 渡辺
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Abstract

【課題】音質の変質・劣化が生ずることのない音像再生装置を提供し、さらに、この音像再生装置を用いた立体音像再生装置を提供すること。
【解決手段】複数のスピーカ11からなるスピーカアレイ10と、音源から入力された音源信号SINに所定の遅延を与える複数の遅延部20とで音像再生装置を構成し、各遅延部20に、バンドパスフィルタ21aを備える中域音系統21を設け、中域音系統21に、直接音用の信号を生成する直接音系統21Aと間接音用の信号を生成する間接音系統21Bとを設ける。そして、直接音系統21Aに入力される信号と間接音系統21Bに入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させる。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、音像の距離感を制御することができる音像再生装置及び当該音像再生装置を利用した立体音像再生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、音像の距離感(遠近感)を制御可能な音像再生装置として、面状に配置された多数のスピーカからなるスピーカアレイを用いるものが知られている。この音像再生装置は、各スピーカの前段に遅延素子を介設しておき、この遅延素子で各スピーカに入力される音源信号に微妙に異なる遅延を与えることにより、各スピーカから出力される音波(音声)を空間の一点(以下、「焦点」という。)に同時に到達させて焦点付近の音圧を局所的に高めるものである。そして、この焦点のやや後方で聴取すると、音像が焦点付近に定位し、あたかもその位置に音源があるかのように感じられる。
【0003】
また、このような原理の音像再生装置において音像の距離感を制御する方式としては、音源信号の遅延量を適宜調節して焦点の位置を移動させるもの(例えば、特許文献1参照)や、音源から聴取者に直接到達する音(直接音)と壁などに反射して間接的に到達する音(間接音)のエネルギー比(直間比)を制御するもの(例えば、特許文献2および特許文献3参照)が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特開平3−159500号公報(全頁)
【特許文献2】
特開平9−121400号公報(全頁)
【特許文献3】
特開2002−374599号公報(全頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の音像再生装置では、音源信号の全周波数帯域を一つの遅延素子で遅延させているため、焦点を形成した場合や音像を遠くに定位させた場合に、遅延しきれない周波数帯域が存在してしまう。このため、音像の距離感については忠実に再現できるものの、音質が変質・劣化してしまうという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、音像の距離感を忠実に再現でき、かつ、音質の変質・劣化が生ずることのない音像再生装置を提供することを課題とし、さらに、この音像再生装置を用いた立体音像再生装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、請求項1の発明は、複数のスピーカからなるスピーカアレイと、音源から入力された音源信号に所定の遅延を与える複数の遅延部とを備え、前記各遅延部から出力された音像制御信号で前記各スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、前記各遅延部に、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、当該直接音系統および間接音系統には、音源から入力された音源信号の高域成分を除去するフィルタが設けられており、前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする。
【0008】
かかる音像再生装置は、音像の距離感を判断する場合において、その高域成分が寄与する割合が小さいという本願発明者が見出した知見に基づいて創案されたものであり、高域成分を除去した音源信号で音像の距離感を制御するものである。
【0009】
請求項2の発明は、複数のスピーカからなるスピーカアレイと、音源から入力された音源信号に所定の遅延を与える複数の遅延部とを備え、前記各遅延部から出力された音像制御信号で前記各スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、前記各遅延部に、前記音源信号の高域成分に所定の遅延を与える高域音系統と、中域成分に所定の遅延を与える中域音系統と、低域成分に所定の遅延を与える低域音系統とが設けられており、前記中域音系統には、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする。
【0010】
かかる音像再生装置は、音像の距離感を判断する際に、音源信号のすべての帯域について同等の距離表現が必要でないという前記した知見に基づいて創案されたものであり、かかる音像再生装置によると、各帯域に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が変質・劣化を低減することができる。
【0011】
請求項3の発明は、高域用スピーカおよび低域用スピーカと、音源から入力された音源信号の高域成分に所定の遅延を与えるとともに、前記高域用スピーカを駆動させるための高域用音像制御信号を出力する高域用遅延部と、前記音源信号の低域成分に所定の遅延を与えるとともに、前記低域用スピーカを駆動させるための低域用音像制御信号を出力する低域用遅延部と、複数の中域用スピーカからなるスピーカアレイと、前記音源信号の中域成分に所定の遅延を与える複数の中域用遅延部とを備え、前記各中域用遅延部から出力された中域用音像制御信号で前記各中域用スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、前記中域用遅延部には、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする。
【0012】
かかる音像再生装置は、スピーカアレイを構成する中域用スピーカとは別個に音源信号の高域成分を出力する高域用スピーカと低域成分を出力する低域用スピーカとを設けたものである。かかる音像再生装置によっても、各帯域に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が変質・劣化することがない。
【0013】
請求項4の発明は、聴取者を取り囲むように配置された複数の音像再生装置と、当該各音像再生装置に音源信号を分配する分配装置とを備えた立体音像再生装置であって、前記各音像再生装置が請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の音像再生装置であることを特徴とする。
【0014】
かかる立体音像再生装置によると、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能となるので、立体的な音像の距離感制御が可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、音像の距離感知覚と周波数帯域との関係を把握すべく本願発明者が行った実験について説明し、その後に本発明の実施の形態を説明する。実験条件を表1に示す。
【0016】
【表1】
Figure 2004350173
【0017】
実験では、残響時間を変更することができる残響可変室内に配置された遠近二つのスピーカSP1,SP2を用いた(図11参照)。このスピーカSP1,SP2に入力される音源信号のレベル比をレベル可変器で制御すると聴取位置での直間比が変化することになる。
【0018】
実験用の音源は、ホワイトノイズと4種類のオクターブバンドノイズ(中心周波数:1kHz,2kHz,4kHz,8kHz)を用い(表2参照)、直間比A1〜A6は、ホワイトノイズを用いた場合に適当な間隔になるように設定した(表3参照)。
【0019】
【表2】
Figure 2004350173
【0020】
【表3】
Figure 2004350173
【0021】
実験は、シェッフェの一対比較法を用い、音源ごとに直間比の組み合わせ30通りに対して七段階の評価尺度により評価を行った。なお、残響時間の違いによる距離感知覚の影響を検討するために、デッド(残響時間0.23sec)とライブ(残響時間1.08sec)の二種類の環境で行った。
【0022】
得られた実験結果について分散分析を行ったところ、すべての音源および残響時間において「直間比による距離感弁別の主効果」は有意であった。そこで、直間比A1〜A6ごとに距離感弁別ができているか否かを調べるために、ヤードスティックYαを算出した。図12(a)(b)(c)は、直間比と評価値平均およびヤードスティックYαの関係を示すグラフである。図12(a)に示すように、音源がホワイトノイズについては、評価値平均は直間比に対してほぼ線形であり、すべての評価音を弁別することができる。また、図12(b)に示すように、1kHzのオクターブバンドノイズについては、ホワイトノイズに比べて距離知覚の幅(レンジ)が狭いもののほぼ線形に評価されている。なお、図示は省略するが、4kHzのオクターブバンドノイズについても1kHzの場合と同様の結果が得られた。一方、図12(c)に示すように、8kHzのオクターブバンドノイズについては、直間比が十分に変化しているにもかかわらず分別ができていない。また、残響時間の差異が距離感知覚の判断に及ぼす影響は小さいことがわかった。
【0023】
このように、直間比による距離知覚には、聴感的な周波数依存性が存在し、例えば、前記した実験の場合、8kHzオクターブバンドノイズは、他の帯域に比べて距離感知覚への寄与が小さいことがわかる。このことは、音像の距離感を判断する際に、全ての周波数帯域が一様に寄与するのではなく、ある帯域ごとにその寄与率が変り、音源信号のすべての帯域について同等の距離表現が必要でないことを示している。言い換えれば、音像の定位を変化させる際に、全ての帯域において直接音と間接音との比率を調節する必要なく、高域成分について直接音と間接音との比率を調節しない場合であっても、音像の定位を変化させることができるといえる。
【0024】
次に、このような知見に基づいて創案された本発明の実施の形態を、添付した図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0025】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る音像再生装置1は、図1に示すように、平面状に配置された複数のスピーカ11からなるスピーカアレイ10と、複数のスピーカ11に対応して配置された複数の遅延部20と、直接音と間接音の比率を設定する直間比設定部30とを備えて構成されている。ここで、「直接音」とは、音源から発生した音のうち、聴取者の耳に直接的に到達するものをいい、「間接音」とは、部屋の壁などに反射した後に聴取者の耳に到達するものをいう。
【0026】
遅延部20は、図示しない音源信号再生装置(音源)から入力端子40を介して入力された音源信号SINに所定の遅延を与え、スピーカ11を駆動するための音像制御信号SOUTを生成するものであり、図2に示すように、音源信号SINの中域成分に所定の遅延を与える中域音系統21と、低域成分に所定の遅延を与える低域音系統22と、高域成分に所定の遅延を与える高域音系統23と、各系統21,22,23を経た信号S1A’,S1B’,S’,S’を加算する加算器24と、この加算器24で合成された信号を増幅して音像制御信号SOUTとしてスピーカ11へ出力する増幅器25とが設けられている。
【0027】
中域音系統21は、図2に示すように、その中段で直接音系統21Aと間接音系統21Bとに分かれており、これらの前段に音源信号SINの中域成分を抽出するバンドパスフィルタ21aと、このバンドパスフィルタ21aを通過した信号Sを直接音系統21Aに入力される信号S1Aと間接音系統21Bに入力される信号S1Bとに分配する分配器21bとが介設されている。また、分配器21bは、直間比設定部30から出力されたレベル差情報Jに基づいて駆動する。
【0028】
バンドパスフィルタ21aのカットオフ周波数は、適宜設定することができるが、本願発明者が距離感知覚の周波数特性を確認すべく実際の楽音を使用して行った実験の結果から、その高域側のカットオフ周波数fを1.41〜5.66(kHz)とし、その低域側のカットオフ周波数fを0.08(kHz)〜0.71(kHz)とするのが好適である。なお、高域側カットオフ周波数fを高く設定するほど、また、低域側カットオフ周波数fを低く設定するほど距離感知覚(音質)の劣化が分かりにくくなる。
【0029】
ここで、距離感知覚の周波数特性を確認するために実際の楽音を使用して行った実験の概要を説明する。実験では、楽音とスピーチとをそれぞれ図11に示すスピーカから距離差に相当するレベル差を与えて再生した場合を基準音とした。また、評価音は、聴取者の近傍に設置したスピーカSP1から高域側カットオフ周波数fよりも低い周波数成分からなる音像を再生し、高域側カットオフ周波数fよりも高い周波数成分からなる音像は聴取者の遠方に設置したスピーカSP2から統合して再生するようにした。また、高域側カットオフ周波数fをそれぞれ、0.71(kHz),1.41(kHz),2.83(kHz),5.66(kHz)として実験を行った。なお、「0.71(kHz)」は、1/1オクターブの中心周波数fが「1.00(kHz)」のときの下限周波数であり、同様に、「1.41(kHz)」、「2.83(kHz)」、「5.66(kHz)」は、それぞれ中心周波数fが「2.00(kHz)」、「4.00(kHz)」、「8.00(kHz)」のときの下限周波数である。
【0030】
図13に実験結果を示す。この図から、高域側カットオフ周波数fが高くなるほど、距離感知覚(音質)の劣化がわかり難くなることが分かる。また、高域側のカットオフ周波数fが1.41(kHz)であれば、音質の劣化が「気になる(評価2)」ことはないので、実用上問題はないが、好適には、2.83(kHz)であることが望ましい。さらに、5.66(kHz)であれば、音質の劣化が「わかるが気にならない(評価4)」程度になるため、より一層好適である。
【0031】
また、低域側カットオフ周波数fが低くなるほど、距離感知覚の劣化がわかり難くなる。その低域側のカットオフ周波数fが0.71(kHz)であれば、実用上問題はないが、好適には、0.35(kHz)であることが望ましく、より高音質のものにするには、0.18(kHz)であることが望ましい。さらに、0.08(kHz)とすれば、音質の劣化がほとんど気にならなくなる。なお、「0.71(kHz)」は、1/1オクターブの中心周波数fが「1.00(kHz)」のときの下限周波数であり、同様に、「0.35(kHz)」、「0.18(kHz)」、「0.08(kHz)」は、それぞれ中心周波数fが「0.50(kHz)」、「0.25(kHz)」、「0.125(kHz)」のときの下限周波数である。
【0032】
直接音系統21Aには、信号S1Aに所定量の遅延を与える遅延素子21cが介設されている。遅延素子21cで与えられる遅延量は、図1に示すスピーカアレイ10の中心Qから焦点Pまでの距離とスピーカ11から焦点Pまでの距離との差に基づいて設定される。すなわち、直接音系統21Aは、直接音用の信号を生成するものであり、遅延素子21cの遅延量は、直接音系統21Aを経た信号S1A’に基づいてスピーカ11から出力される音波が空間の所定位置に焦点P(図1参照)を結ぶように設定される。そして、複数の遅延部20のそれぞれにおいて、遅延素子21cの遅延量を適宜設定すると、各スピーカ11から出力される音波が焦点Pに同時に到達し、焦点Pに直接音を形成することになる。
【0033】
間接音系統21Bには、図2に示すように、信号S1Bに所定量の遅延を与える遅延素子21dと、この遅延素子21dを通過した信号の位相を変化させる位相制御素子21eとが介設されている。
【0034】
遅延素子21dで与えられる遅延量は、直接音系統21Aの遅延素子21cで与えられる遅延量と等しく設定され、また、位相制御素子21eで与えられる位相の変化量は、各スピーカ11から出力される音波の大きさが焦点P(図1参照)でゼロになるように設定される。
【0035】
すなわち、各スピーカ11から出力される音波であって、間接音系統21Bを経た信号S1B’に基づく音波は、焦点Pに同時に到達するが、それらが互いに打ち消し合うので、焦点Pにおける直接音のエネルギーはゼロとなる。その一方で、各スピーカ11から放射された音波は、室の壁や床などに複数回反射を繰り返して減衰し、そのいくつかは焦点Pに間接音として到達する。つまり、間接音系統21Bは、間接音用の信号を生成するものであり、間接音系統21Bを経た信号S1B’に基づいてスピーカ11から出力される音波は、焦点Pにおいて間接音を形成することになる。
【0036】
低域音系統22は、音源信号SINからその低域成分を抽出するローパスフィルタ22aと、このローパスフィルタ22aを通過した信号Sに所定の遅延を与える遅延素子22bとを備えて構成されている。ローパスフィルタ22aのカットオフ周波数は、バンドパスフィルタ21aの低域側カットオフ周波数fと同じ周波数に設定する。
【0037】
遅延素子22bで与えられる遅延量は、中域音系統21の遅延素子21cの遅延量と等しく設定されている。したがって、各スピーカ11から出力される音波であって、低域音系統22を経た信号S’に基づく音波は、空間の所定位置に焦点P(図1参照)を結ぶことになる。
【0038】
高域音系統23は、音源信号SINからその高域成分を抽出するハイパスフィルタ23aと、このハイパスフィルタ23aを通過した信号Sに所定の遅延を与える遅延素子23bとを備えて構成されている。ハイパスフィルタ23aのカットオフ周波数は、バンドパスフィルタ21aの高域側カットオフ周波数fと同じ周波数に設定する。
【0039】
遅延素子23bで与えられる遅延量は、中域音系統21の遅延素子21cの遅延量と等しく設定されている。したがって、各スピーカ11から出力される音波であって、高域音系統23を経た信号S’に基づく音波は、空間の所定位置に焦点P(図1参照)を結ぶことになる。
【0040】
直間比設定部30は、直接音と間接音との比率を設定するものであり、設定された比率をレベル差情報Jとして各遅延部20の分配器21bに出力する。すなわち、音像の距離感は、もっぱら直接音と間接音とのエネルギー比に依存していることから、直間比設定部30で直接音系統21Aと間接音系統21Bへ入力される信号S1A,S1Bの比率を制御することにより、焦点形成に関与するエネルギーの割合が変わり、音像の距離感制御が実現される。
【0041】
本実施形態に係る音像再生装置1は、以上のように構成されており、図1に示すように、入力端子40に入力された音源信号SINは、複数の遅延部20に同時に入力され、各遅延部20で所定の遅延が与えられたうえで音像制御信号SOUTとしてスピーカアレイ10を構成する各スピーカ11に出力され、その結果、各スピーカ11から出力された音波により焦点Pに仮想音源が形成され、焦点Pのやや後方で聴取すると、音像が焦点P付近に定位することになる。
【0042】
そして、各遅延部20に中域音系統21と低域音系統22と高域音系統23とを設け、音源信号SINを三つの帯域に分けて遅延処理をする構成としたので、周波数に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が向上することになる。すなわち、音源信号SINの中域成分で音像の距離感を制御する構成としたので、音像の距離感を制御するに際し、遅延素子21c,21dにこれらで遅延できない周波数成分が混入する恐れがなく、結果としてスピーカアレイ10により再現される音像の音質が向上することになる。
【0043】
また、中域音系統21において、直接音系統21Aに入力される信号S1Aの比率を高めれば、焦点P近傍での直接音の比が高まり、音像が聴取者にとって近く知覚されることになる。一方、間接音系統21Bに入力される音源信号S1Bの比率を高めれば、焦点P近傍での間接音の比が高まり、音像は焦点Pからスピーカ側に後退し、聴取者にとって音像が遠ざかっているように知覚されることになる。
【0044】
なお、本実施形態に係る間接音系統21Bは、これを経由した信号S1B’に基づいて出力される音波が焦点を結ぶように構成されているが、これに限定されることはなく、間接音系統21Bを経由した信号S1B’に基づいて出力される音波が無指向性となるように構成されたものであってもよい。具体的には、位相制御素子21eを省略するとともに、遅延素子21dで信号S1Bに不規則な遅延を与えればよい。このようにすると、各スピーカ11から出力された音波であって、間接音系統21Bを経由した信号S1B’に基づく音波が空間のある位置に焦点を結ぶことはなく、当該音波が焦点Pに不規則に遅延されて到達するので、焦点Pに擬似的に間接音を与えることができる。
【0045】
また、本実施形態では、各遅延部20に中域音系統21と低域音系統22と高域音系統23とを設けたが、これに限定されることはなく、例えば、低域音系統22と高域音系統23とを省略してもよい。また、低域音系統22を省略するとともに、中域音系統21において、バンドパスフィルタ21aに替えて高域成分を除去するフィルタ(ローパスフィルタ)を介設してもよい。この場合には、音源信号SINが二つの帯域に分けられることになる。
【0046】
また、図10に示すように、聴取者Hを取り囲むように複数の音像再生装置1を配置し、各音像再生装置1に音源信号を適切な割合で分配する音像方向制御装置110を設ければ、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能な立体音像再生装置100を構成することができる。
【0047】
(第二の実施形態)
第二の実施形態に係る音像再生装置2は、二種類の音源信号S,Sを利用して音像を定位させるものであり、図3に示すように、平面状に配置された複数のスピーカ11からなるスピーカアレイ10と、複数のスピーカ11に対応して配置された複数の遅延部20’と、一方の音源信号S(以下、「近傍音源信号S」という。)と他方の音源信号S(以下、「遠方音源信号S」という。)とを加算して合成音源信号Sを生成する加算器50とを備えて構成されている。
【0048】
なお、以下の説明において、第一の実施形態に係る音像再生装置1と同一の要素には同一の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。
【0049】
遅延部20’は、図示しない音源信号再生装置(音源)から入力端子40Nを介して入力された近傍音源信号Sおよび入力端子40Fを介して入力された遠方音源信号Sに所定の遅延を与え、スピーカ11を駆動するための音像制御信号SOUTを生成するものであり、図4に示すように、近傍音源信号Sおよび遠方音源信号Sの中域成分に所定の遅延を与える中域音系統21と、合成音源信号Sの低域成分に所定の遅延を与える低域音系統22と、合成音源信号Sの高域成分に所定の遅延を与える高域音系統23と、各系統21,22,23を経た各音源信号SN1’,SF1’,S’,S’を加算する加算器24と、この加算器24を通過した信号を増幅して音像制御信号SOUTとしてスピーカ11へ出力する増幅器25とが設けられている。
【0050】
中域音系統21は、近傍音源信号Sの中域成分に所定の遅延を与える直接音系統21A’と、遠方音源信号Sの中域成分に所定の遅延を与える間接音系統21B’とを備えて構成されている。
【0051】
直接音系統21A’は、直接音用の信号を生成するものであり、近傍音源信号Sからその中域成分を抽出するバンドパスフィルタ21aと、このバンドパスフィルタ21aを通過した信号SN1に所定量の遅延を与える遅延素子21cとを備えて構成されている。遅延素子21cで与えられる遅延量は、図3に示すスピーカアレイ10の中心Qから焦点Pまでの距離とスピーカ11から焦点Pまでの距離との差に基づいて設定される。すなわち、直接音系統21A’を経た信号SN1’に基づいてスピーカ11から出力される音波が空間の所定位置に焦点P(図3参照)を結ぶように遅延素子21cの遅延量を設定する。そして、複数の遅延部20のそれぞれにおいて、遅延素子21cの遅延量を適宜設定すると、各スピーカ11から出力される音波が焦点Pに同時に到達し、焦点Pに直接音を形成することになる。
【0052】
間接音系統21B’は、間接音用の信号を生成するものであり、図4に示すように、遠方音源信号Sからその中域成分を抽出するバンドパスフィルタ21a’と、このバンドパスフィルタ21a’を通過した信号SF1に所定量の遅延を与える遅延素子21dと、この遅延素子21dを通過した信号の位相を変化させる位相制御素子21eとを備えて構成されている。
【0053】
遅延素子21dで与えられる遅延量は、第一の実施形態に係る直接音系統21Aの遅延素子21cで与えられる遅延量と等しく設定され、また、位相制御素子21eで与えられる位相の変化量は、各スピーカ11から出力される音波の大きさが焦点P(図1参照)でゼロになるように設定される。
【0054】
すなわち、各スピーカ11から出力される音波であって、間接音系統21B’を経た信号SF1’に基づく音波は、焦点P(図3参照)に同時に到達するが、それらが互いに打ち消し合うので、焦点Pにおける直接音のエネルギーはゼロとなる。その一方で、各スピーカ11から放射された音波は、室の壁や床などに複数回反射を繰り返して減衰し、そのいくつかは焦点Pに間接音として到達する。つまり、間接音系統21B’を経た信号SF1’に基づいてスピーカ11から出力される音波は、焦点Pにおいて間接音を形成することになる。
【0055】
低域音系統22および高域音系統23は、第一の実施形態で説明したものと同様であるので詳細な説明は省略するが、これらには、合成音源信号Sが入力される(図4参照)。
【0056】
本実施形態に係る音像再生装置2は、以上のように構成されており、入力端子40Nに入力された近傍音源信号S、入力端子40Fに入力された遠方音源信号Sおよびこれらを加算して生成された合成音源信号Sは、それぞれ複数の遅延部20’に同時に入力され、各遅延部20’で所定の遅延が与えられたうえで音像制御信号SOUTとして各スピーカ11に出力され、その結果、各スピーカ11から出力された音波により焦点Pに仮想音源が形成され、焦点Pのやや後方で聴取すると、音像が焦点P付近に定位することになる。
【0057】
また、音像の距離感は、もっぱら直接音と間接音とのエネルギー比に依存していることから、近傍音源信号Sと遠方音源信号Sの比率を制御することにより、焦点Pの形成に関与するエネルギーの割合が変わり、音像の距離感制御が実現する。すなわち、直接音系統21A’に入力される信号(近傍音源信号S)と間接音系統21B’に入力される信号(遠方音源信号S)の比率を調節すると、音像の定位が変化することになる。
【0058】
つまり、近傍音源信号Sの比率を高めれば、焦点Pの近傍での直接音の比が高まり、音像が聴取者にとって近く知覚されることになる。一方、遠方音源信号Sの比率を高めれば、焦点P近傍での間接音の比が高まり、音像は焦点Pからスピーカ側に後退し、聴取者にとって音像が遠ざかっているように知覚されることになる。
【0059】
そして、近傍音源信号Sおよび遠方音源信号Sの中域成分で音像の距離感を制御する構成としたので、音像の距離感を制御する際に、遅延素子21c,21dにこれらで遅延できない周波数成分が混入する恐れがなく、結果としてスピーカアレイ10により再現される音像の音質が向上することになる。
【0060】
また、図示は省略するが、聴取者を取り囲むように複数の音像再生装置2を配置し、各音像再生装置2に音源信号を適切な割合で分配する音像方向制御装置を設ければ、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能な立体音像再生装置を構成することができる。
【0061】
(第三の実施形態)
第三の実施形態に係る音像再生装置は、図5に示すように、平面状に配置された複数の中域用スピーカ11’からなるスピーカアレイ10’と、複数の中域用スピーカ11’に対応して配置された複数の中域用遅延部60と、低域用スピーカ12および高域用スピーカ13と、低域用スピーカ12に対応して配置された低域用遅延部70と、高域用スピーカ13に対応して配置された高域用遅延部80と、直接音と間接音の比率を設定する直間比設定部30とを備えて構成されている。
【0062】
なお、以下の説明において、前記した各実施形態のものと同一の要素には同一の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。
【0063】
中域用遅延部60は、図示しない音源信号再生装置(音源)から入力端子40を介して入力された音源信号SINの中域成分に所定の遅延を与え、スピーカ11’を駆動するための中域用音像制御信号SOUTを生成するものであり、図6に示すように、その中段で直接音系統63Aと間接音系統63Bとに分かれており、これらの前段に音源信号SINの中域成分を抽出するバンドパスフィルタ61と、バンドパスフィルタ61を経た信号Sを直接音系統63Aに入力される信号S1Aと間接音系統63Bに入力される信号S1Bとに分配する分配器62とが介設されており、その後段に直接音系統63Aを経た信号S1A’と間接音系統63Bを経た信号S1B’とを加算する加算器64と、この加算器64を通過した信号を増幅して中域用音像制御信号SINとして出力する増幅器65とが介設されている。
【0064】
なお、中域用遅延部60を構成する各要素は、第一の実施形態に係る音像再生装置1のものと同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0065】
低域用遅延部70は、図7に示すように、音源信号SINからその低域成分を抽出するローパスフィルタ71と、このローパスフィルタ71を通過した信号Sに所定の遅延を与える遅延素子72と、この遅延素子72を通過した信号S’を増幅して高域用音像制御信号SOUT’として低域用スピーカ12へ出力する増幅器73とを備えて構成されている。なお、図5では、一つの低域用スピーカ12が配置されているが、複数の低域用スピーカ12を配置しても差し支えない。
【0066】
高域用遅延部80は、図7に示すように、音源信号SINからその高域成分を抽出するハイパスフィルタ81と、このハイパスフィルタ81を通過した信号Sに所定の遅延を与える遅延素子82と、この遅延素子82を通過した信号S’を増幅して高域用音像制御信号SOUT”として高域用スピーカ13へ出力する増幅器83とを備えて構成されている。なお、図5では、一つの高域用スピーカ13が配置されているが、複数の高域用スピーカ13を配置しても差し支えない。
【0067】
本実施形態に係る音像再生装置3は、以上のように構成されており、図5に示すように、入力端子40に入力された音源信号SINは、複数の中域用遅延部60と低域用遅延部70と高域用遅延部80とに同時に入力され、各遅延部60、70,80で所定の遅延が与えられたうえで音像制御信号SOUT,SOUT’,SOUT”として中域用スピーカ11’、低域用スピーカ12および高域用スピーカ13に出力される。そして、各スピーカ11’,12,13から出力された音波により焦点Pに仮想音源が形成され、焦点Pのやや後方で聴取すると、音像が焦点P付近に定位することになる。
【0068】
このように、中域用遅延部60と低域用遅延部70と高域用遅延部80とを設け、音源信号SINを三つの帯域に分けて遅延処理をする構成としたので、周波数に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が向上することになる。
【0069】
また、第一の実施形態に係る音像再生装置1と同様に、直間比設定部30で直接音系統63Aと間接音系統63Bへ入力される信号S1A,S1Bの比率を制御することにより、焦点形成に関与するエネルギーの割合、すなわち焦点Pの音圧のピーク高が変わり、音像の距離感制御が実現される。
【0070】
また、聴取者を取り囲むように複数の音像再生装置3を配置し、各音像再生装置3に音源信号を適切な割合で分配する音像方向制御装置を設ければ、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能な立体音像再生装置を構成することができる。
【0071】
(第四の実施形態)
第四の実施形態に係る音像再生装置は、二種類の音源信号(近傍音源信号S、遠方音源信号S)を利用して音像を定位させるものであり、図8に示すように、平面状に配置された複数の中域用スピーカ11’からなるスピーカアレイ10’と、複数の中域用スピーカ11’に対応して配置された複数の中域用遅延部90と、低域用スピーカ12および高域用スピーカ13と、低域用スピーカ12に対応して配置された低域用遅延部70と、高域用スピーカ13に対応して配置された高域用遅延部80と、近傍音源信号Sと遠方音源信号Sとを加算する加算器50とを備えて構成されている。
【0072】
なお、以下の説明において、前記した各実施形態のものと同一の要素には同一の符号を付すこととし、重複する説明は適宜省略する。
【0073】
中域用遅延部90は、図示しない音源信号再生装置(音源)から入力端子40Nを介して入力された近傍音源信号Sおよび入力端子40Fを介して入力された遠方音源信号Sに所定の遅延を与え、中域用スピーカ11’を駆動するための中域用音像制御信号SOUTを生成するものであり、図9に示すように、近傍音源信号Sの中域成分に所定の遅延を与える直接音系統91Aと、遠方音源信号Sの中域成分に所定の遅延を与える間接音系統91Bと、各系統91A,91Bを経た各音源信号SN1’,SF1’を加算する加算器94と、この加算器で加算された信号を増幅して中域用音像制御信号SOUTとしてスピーカ11’へ出力する増幅器95とが設けられている。
【0074】
なお、直接音系統91Aおよび間接音系統91Bは、第二の実施形態に係る音像再生装置の直接音系統21A’および間接音系統21B’とそれぞれ同一の構成であるので、その詳細な説明は省略する。
【0075】
また、低域用遅延部70および高域用遅延部80は、第三の実施形態で説明したものと同一であるので、その詳細な説明は省略するが、これらには、合成音源信号Sが入力される(図4参照)。
【0076】
本実施形態に係る音像再生装置4は、以上のように構成されており、入力端子40Nに入力された近傍音源信号S、入力端子40Fに入力された遠方音源信号Sは、それぞれ複数の中域用遅延部90に同時に入力され、各中域用遅延部90で所定の遅延が与えられたうえで中域用音像制御信号SOUTとしてスピーカアレイ10’を構成する各中域用スピーカ11’に出力される。また、近傍音源信号Sと遠方音源信号Sとを加算して生成された合成音源信号Sは、低域用遅延部70および高域用遅延部80に同時に入力され、各遅延部70,80で所定の遅延が与えられたうえで低域用音像制御信号SOUT’および高域用音像制御信号SOUT”として低域用スピーカ12および高域用スピーカ13に出力される。そして、中域用音像制御信号SOUTによりスピーカ11’が駆動されるとともに、低域用音像制御信号SOUT’および高域用音像制御信号SOUT”で低域用スピーカ12および高域用スピーカ13が駆動され、各スピーカ11’,12,13から出力された音波により焦点Pに仮想音源が形成され、焦点Pのやや後方で聴取すると、音像が焦点P付近に定位することになる。
【0077】
また、音像の距離感は、もっぱら直接音と間接音とのエネルギー比に依存していることから、近傍音源信号Sと遠方音源信号Sの比率を制御することにより、焦点形成に関与するエネルギーの割合、すなわち焦点Pの音圧のピークの高さが変わり、音像の距離感制御が実現する。すなわち、直接音系統91Aに入力される信号(近傍音源信号S)と間接音系統91Bに入力される信号(遠方音源信号S)の比率を調節すると、音像の定位が変化することになる。
【0078】
つまり、近傍音源信号Sの比率を高めれば、焦点P近傍での直接音の比が高まり、音像が聴取者にとって近く知覚されることになる。一方、遠方音源信号Sの比率を高めれば、焦点P近傍での間接音の比が高まり、音像は焦点Pからスピーカ側に後退し、聴取者にとって音像が遠ざかっているように知覚されることになる。
【0079】
そして、近傍音源信号Sおよび遠方音源信号Sの中域成分で音像の距離感を制御する構成としたので、音像の距離感を制御する際に、遅延素子91c,91dにこれらで遅延できない周波数成分が混入する恐れがなく、結果としてスピーカアレイ10’により再現される音像の音質が向上することになる。
【0080】
また、聴取者を取り囲むように複数の音像再生装置4を配置し、各音像再生装置4に音源信号を適切な割合で分配する音像方向制御装置を設ければ、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能な立体音像再生装置を構成することができる。
【0081】
【発明の効果】
請求項1に係る音像再生装置によると、各帯域に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が変質・劣化することがない。
【0082】
同様に、請求項2又は請求項3に係る音像再生装置によると、各帯域に適した遅延制御が可能となり、その結果、スピーカアレイにより再現される音像の音質が変質・劣化することがない。
【0083】
また、請求項4に係る立体音像再生装置によると、音像の奥行方向の距離感のみならず左右方向の距離感をも制御することが可能となるので、立体的な音像の距離感制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態に係る音像再生装置を示す模式図である。
【図2】第一の実施形態に係る音像再生装置の遅延部を示すブロック構成図である。
【図3】第二の実施形態に係る音像再生装置を示す模式図である。
【図4】第二の実施形態に係る音像再生装置の遅延部を示すブロック構成図である。
【図5】第三の実施形態に係る音像再生装置を示す模式図である。
【図6】第三の実施形態に係る音像再生装置の中域用遅延部を示すブロック構成図である。
【図7】同じく低域用遅延部および高域用遅延部を示すブロック構成図である。
【図8】第四の実施形態に係る音像再生装置を示す模式図である。
【図9】第四の実施形態に係る音像再生装置の中域用遅延部を示すブロック構成図である。
【図10】立体音像装置を示す模式図である。
【図11】音像の距離感知覚と周波数帯域との関係を把握するために行った実験の概要を説明する模式図である。
【図12】音像の距離感知覚と周波数帯域との関係を把握するために行った実験の結果を示すグラフであって、(a)はホワイトノイズの実験結果、(b)は1kHzバンドノイズの実験結果、(c)は8kHzバンドノイズの実験結果である。
【図13】距離感知覚の周波数特性を確認するために行った実験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,2,3,4 音像再生装置
10,10’ スピーカアレイ
11 スピーカ
11’ 中域用スピーカ
12 低域用スピーカ
13 高域用スピーカ
20,20’ 遅延部
21 中域音系統
21a,21a’ バンドパスフィルタ
21A,21A’,63A,91A 直接音系統
21B,21B’,63B,91B 間接音系統
22 低域音系統
22a ローパスフィルタ
23 高域音系統
23a ハイパスフィルタ
30 直間比設定部
40,40N,40F 入力端子
60,90 中域用遅延部
70 低域用遅延部
80 高域用遅延部
100 立体音像再生装置
IN,S,S 音源信号
OUT 音像制御信号
J レベル差情報

Claims (4)

  1. 複数のスピーカからなるスピーカアレイと、
    音源から入力された音源信号に所定の遅延を与える複数の遅延部とを備え、
    前記各遅延部から出力された音像制御信号で前記各スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、
    前記各遅延部に、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、
    当該直接音系統および間接音系統には、音源から入力された音源信号の高域成分を除去するフィルタが設けられており、
    前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする音像再生装置。
  2. 複数のスピーカからなるスピーカアレイと、
    音源から入力された音源信号に所定の遅延を与える複数の遅延部とを備え、
    前記各遅延部から出力された音像制御信号で前記各スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、
    前記各遅延部に、前記音源信号の高域成分に所定の遅延を与える高域音系統と、中域成分に所定の遅延を与える中域音系統と、低域成分に所定の遅延を与える低域音系統とが設けられており、
    前記中域音系統には、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、
    前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする音像再生装置。
  3. 高域用スピーカおよび低域用スピーカと、
    音源から入力された音源信号の高域成分に所定の遅延を与えるとともに、前記高域用スピーカを駆動させるための高域用音像制御信号を出力する高域用遅延部と、
    前記音源信号の低域成分に所定の遅延を与えるとともに、前記低域用スピーカを駆動させるための低域用音像制御信号を出力する低域用遅延部と、
    複数の中域用スピーカからなるスピーカアレイと、
    前記音源信号の中域成分に所定の遅延を与える複数の中域用遅延部とを備え、
    前記各中域用遅延部から出力された中域用音像制御信号で前記各中域用スピーカを駆動して空間の所定位置に音像を定位させる音像再生装置であって、
    前記中域用遅延部には、直接音用の信号を生成する直接音系統と間接音用の信号を生成する間接音系統とが設けられており、
    前記直接音系統に入力される信号と前記間接音系統に入力される信号の比率を調節することにより音像の定位を変化させることを特徴とする音像再生装置。
  4. 聴取者を取り囲むように配置された複数の音像再生装置と、当該各音像再生装置に音源信号を分配する分配装置とを備えた立体音像再生装置であって、
    前記各音像再生装置が請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の音像再生装置であることを特徴とする立体音像再生装置。
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