JP2004350143A - バラントランス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】順次積層された第1〜第3の誘電体層11〜13と、第1および第2の誘電体層11・12の間の第1および第2の伝送線路1・2と、第2および第3の誘電体層12・13の間の第3〜第5の伝送線路3〜5と、積層体の下面および上面の第1の接地電極6と第2の接地電極7とから成り、第1および第3の伝送線路1・3は長さL1、第2および第4の伝送線路2・4は長さL2であって、L1≠L2であり、第1および第2の伝送線路1・2はそれぞれ幅W1および幅W2であって、W1≠W2であるバラントランスである。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯電話や無線LAN等の無線通信機器その他の各種通信機器等において使用される、伝送線路により構成された高周波回路用のバラントランスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
バラントランスとは、不平衡伝送線路を伝搬する不平衡信号と平衡伝送線路を伝搬する平衡信号とを相互に変換するためのバラン回路を用いた信号変換素子である。例えば、バラントランスの不平衡端子に不平衡信号を入力した場合、バラントランスの平衡端子には、互いに位相が180度異なり(逆相)、振幅が等しい2つの平衡信号が出力されることとなる。
【0003】
高周波信号を伝送する不平衡伝送線路と平衡伝送線路とを接続するバラントランスとしては、分布定数によるものとして伝送線路により構成されるものがある。このような従来のバラントランスの例を図9および図10に回路図で示す。
【0004】
図9において、30は第1の伝送線路、31および32は第1の伝送線路30と同一平面上で平行もしくは異なる平面上で3次元的に平行に配置されて電磁界的に結合した略等しい長さを有する第2および第3の伝送線路、INは第1の伝送線路30の一方側に設けた不平衡端子の入出力端子、OUT1およびOUT2は第2の伝送線路31および第3の伝送線路32の対向する一端側に設けた平衡端子のそれぞれの入出力端子である。そして、図9に示す例では第1の伝送線路30の入出力端子INと反対側の他端を開放端とし、第2の伝送線路31および第3の伝送線路32の入出力端子OUT1・OUT2と反対側の他端をそれぞれ接地した構成となっていた。また、図10においては、図9に示す回路図に対し、さらに入力端子INに接地容量を電気的に接続した構成となっていた。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−176918号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平11−219825号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のバラントランスにおいては、第1の伝送線路30と同一平面上で平行もしくは異なる平面上で3次元的に平行に配置されて電磁界的に結合する第2および第3の伝送線路31・32が略等しい長さを有することで、バラントランスの不平衡端子に不平衡信号を入力した場合、バラントランスの平衡端子に、互いに位相が180度異なり(逆相)、振幅が等しい2つの平衡信号が出力される動作原理となっていた。
【0008】
しかし、実際にバラントランスを作成する場合には、バラントランスに電気的な寄生成分が発生し、その影響によって、2つの平衡信号間の位相のずれが180度からずれるとともに、2つの平衡信号間の振幅もずれるという問題点があった。このため、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれおよび振幅レベルの差をさらに厳しく低減する要求に対して対応できないという問題点があった。
【0009】
また、図10に示す例では、特許文献2に記載されているように、図9に示す構成に対し、さらに入力端子INに接地容量を電気的に接続することで第1の伝送線路30の長さを中心周波数の略1/2波長より短縮するとともに、第2および第3の伝送線路31・32の長さを中心周波数の略1/4波長の長さより短縮する効果が得られ、バラントランスのサイズを小型化することができるが、バラントランスの周波数特性が狭帯域となってしまうという問題点があった。
【0010】
本発明は、上記問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的は、伝送線路により構成されたバラントランスにおいて、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれおよび振幅レベルの差を調整することができる、高周波回路に好適なバラントランスを提供することにある。
【0011】
さらに、本発明の目的は、伝送線路により構成されたバラントランスにおいて、バラントランスのサイズを小型化するとともに周波数特性の広帯域なバラントランスを実現することができる、高周波回路に好適なバラントランスを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明のバラントランスは、第1の誘電体層と、この第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、この第2の誘電体層の上に積層された第3の誘電体層と、前記第1の誘電体層の下面に配された第1の接地電極と、前記第1および第2の誘電体層の間に配された第1および第2の伝送線路と、前記第2および第3の誘電体層の間に配された第3乃至第5の伝送線路と、前記第3の誘電体層の上面に配された第2の接地電極とから成り、前記第1および第3の伝送線路は略同一の長さL1を有し、前記第2および第4の伝送線路は略同一の長さL2を有するとともに、L1≠L2であり、前記第1および第2の伝送線路はそれぞれ幅W1および幅W2を有するとともに、W1≠W2であり、前記第3および第4の伝送線路は、前記第1および第2の伝送線路と平行に、かつ積層方向から見て少なくとも一部が重なるように配され、前記第1および第2の接地電極は積層方向から見て前記第1乃至第5の伝送線路を覆うように配されており、前記第1および第2の伝送線路はそれぞれ一端に短絡端を有するとともに前記第4の伝送線路は一端に開放端を有し、前記第3の伝送線路の一端を不平衡端子とし、前記第3および第4の伝送線路の他端はそれぞれ前記第5の伝送線路の両端に電気的に接続されているとともに、前記第1および第2の伝送線路の前記短絡端はそれぞれ前記第2の誘電体層を挟んで前記不平衡端子および前記第4の伝送線路の前記開放端と対向する位置に配されており、前記第1および第2の伝送線路の他端をそれぞれ第1および第2の平衡端子としたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明のバラントランスによれば、第1および第3の伝送線路は略同一の長さL1を有し、第2および第4の伝送線路は略同一の長さL2を有するとともに、L1≠L2であり、第1および第2の伝送線路はそれぞれ幅W1および幅W2を有するとともに、W1≠W2であることから、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の位相量を第1および第3の伝送線路の長さL1で調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の位相量を第2および第4の伝送線路の長さL2で調整することによって、2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれを任意に調整することが可能となり、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の振幅レベルを第1の伝送線路の幅W1で調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の振幅レベルを第2の伝送線路の幅W2で調整することによって、2つの平衡信号間の振幅レベルの差を調整することが可能となるので、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる、逆相となるべき2つの平衡信号間の位相のずれおよび振幅レベルの差を調整することが可能なバラントランスを提供することができる。
【0014】
また、本発明のバラントランスは、上記構成において、前記第4の伝送線路の前記開放端に接地容量を電気的に接続したことを特徴とするものである。
【0015】
本発明のバラントランスによれば、第1および第3の伝送線路間で形成される第1の結合線路部、ならびに第2および第4の伝送線路間で形成される第2の結合線路部、ならびに第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の等価的なインダクタンスLとキャパシタンスCに対して、fr=1/{2π(LC)1/2}の関係があり、これにさらに第4の伝送線路の開放端に接地容量を電気的に接続したときには、共振周波数frに寄与するキャパシタンスCの値が大きくなるので、バラントランスの中心周波数を決める第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは低くなることとなる。一方、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLと第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路を伝播する高周波信号の伝播速度Vgに対して、fr∝Vg/Lの関係があるので、第4の伝送線路の開放端に接地容量を電気的に接続することによって、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frが低くなる分を、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLを短縮することにより共振周波数frが高くなるように調整し、これらをバランスさせれば、所望の中心周波数を有するバラントランスを実現することができることとなる。このことにより、第1〜第5の伝送線路の長さを短縮した小型なバラントランスを提供することができる。加えて、第4の伝送線路部の開放端に接地容量を電気的に接続していることによって、中心周波数近傍における周波数に対するバラントランスの入出力インピーダンスの変化が緩和され、周波数特性の広帯域なバラントランスを提供することができる。
【0016】
また、本発明のバラントランスは、上記構成において、前記第1乃至第3の誘電体層を含む誘電体基板において、前記第1乃至第5の伝送線路が前記誘電体基板の内部に形成されたストリップ線路またはコプレーナ線路から成り、前記第1および第2の伝送線路の前記短絡端が前記誘電体基板の内部に形成した貫通導体および側面に形成した端子電極の少なくとも一方を介して接地されているとともに、前記接地容量が、前記誘電体基板に内蔵された、または前記誘電体基板上に実装されたコンデンサから成ることを特徴とするものである。
【0017】
これにより、このバラントランスを用いる高周波回路の仕様に応じて、複数の誘電体層から成る誘電体基板の内部に高周波信号の伝送特性に優れた第1〜第5の伝送線路を形成するとともに、接地容量を誘電体基板に内蔵された、または誘電体基板上に実装されたコンデンサで構成できることから、設計自由度が向上するとともに、第1〜第5の伝送線路とともに接地容量を誘電体基板に一体化して構成することが可能となり、小型で高性能なバラントランスを提供することができる。
【0018】
また、本発明のバラントランスは、上記構成において、前記第3、第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W≠W1かつW≠W2であることを特徴とするものである。
【0019】
これにより、積層の際に誘電体層の層間で位置ずれをおこしても、第1の伝送線路と第3の伝送線路間および第2の伝送線路と第4の伝送線路間の積層方向から見て重なる部分の変化が小さくなり、より一層確実にかつ容易に所望の電磁界結合量を実現することが可能であり、高性能なバラントランスを提供することができる。
【0020】
また、本発明のバラントランスは、上記構成において、前記第3、第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W<W1かつW<W2であることを特徴とするものである。
【0021】
これにより、不平衡端子IN側の共振器のインダクタ成分が大きくなり、かつキャパシタ成分も小さくなる。共振現象においてインダクタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は小さくなり、それに比べキャパシタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は大きくなる。
【0022】
その結果、本発明において、第3乃至第5の伝送線路に構成されている共振器として機能する伝送線路の幅を細くした場合には、より一層共振器のインダクタ成分を大きくすることができるため、共振特性を、より一層広帯域とすることができ、極めて高性能なバラントランスを提供することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のバラントランスを図面を参照しつつ説明する。
【0024】
図1は本発明のバラントランスの実施の形態の一例を示す透視斜視図であり、図2は図1を積層方向から見た透視平面図である。図1および図2において、11は第1の誘電体層、12は第1の誘電体層11の上に積層された第2の誘電体層、13は第2の誘電体層12の上に積層された第3の誘電体層である。1および2は第1および第2の誘電体層11・12の間に配された第1および第2の伝送線路、3〜5は第2および第3の誘電体層12・13の間に配された第3〜第5の伝送線路である。6および7は第1の誘電体層11の下面に配された第1の接地電極および第3の誘電体層13の上面に配された第2の接地電極である。INは第3の伝送線路3の一端に設けた不平衡端子であり、不平衡信号の入出力端子となるものである。OUT1およびOUT2はそれぞれ第1の伝送線路1および第2の伝送線路2の他端に設けた第1および第2の平衡端子であり、平衡信号の入出力端子となるものである。
【0025】
そして、第1および第3の伝送線路1・3は長さの差が20%以内の範囲で略同一の長さL1を有し、第2および第4の伝送線路2・4は長さの差が20%以内の範囲で略同一の長さL2を有するとともにL1≠L2の関係を有している。また、第1および第2の伝送線路1・2はそれぞれ幅W1および幅W2を有するとともに、W1≠W2の関係を有している。
【0026】
第1および第3の伝送線路1・3の長さをL1とし、第2および第4の伝送線路2・4の長さをL2とし、かつL1≠L2とすることにより、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の位相量を第1および第3の伝送線路の長さL1で調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の位相量を第2および第4の伝送線路の長さL2で調整することによって、2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれを任意に調整することが可能となる。
【0027】
一方で、バラントランスの電気的な寄生成分とともに、第1および第3の伝送線路1・3と第2および第4の伝送線路2・4のそれぞれの伝送線路の長さL1・L2が異なることから電磁界結合量が異なることとなり、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の振幅レベルならびに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の振幅レベルが変化し、2つの平衡信号間の振幅レベルの差が変動する。
【0028】
この振幅レベルの差に応じて、第1の伝送線路1の幅W1および第2の伝送線路2の幅W2を、広くすれば電磁界結合量が増やせて信号の振幅レベルが大きくなり、狭くすれば電磁界結合量を減らせて信号の振幅レベルが小さくなるので、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の振幅レベルを第1の伝送線路1の幅W1を調整することによって第3の伝送線路3との電磁界結合量を調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の振幅レベルを第2の伝送線路2の幅W2の調整によって第4の伝送線路4との電磁界結合量を調整することによって、2つの平衡信号間の振幅レベルの差を調整することが可能となる。
【0029】
このため、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる、逆相となるべき2つの平衡信号間の位相のずれおよび振幅レベルの差を、第1および第3の伝送線路1・3の長さL1と、第2および第4の伝送線路2・4の長さL2を調整し、第1の伝送線路1の幅W1および第2の伝送線路2の幅W2を調整することによって調整することができる。
【0030】
また、第3および第4の伝送線路3・4は、第1および第2の伝送線路1・2と平行に、かつ積層方向から見て少なくとも一部が重なるように配されていることから、第1および第3の伝送線路1・3間と第2および第4の伝送線路2・4間に電磁界結合が生じる。電磁界結合を生じさせるために、積層方向からみて重なる部分は、少なくとも30%以上程度とすることが好ましく、第3および第4の伝送線路3・4または第1および第2の伝送線路1・2の一方が他方を完全に覆うように重ねて配してもよい。しかし、重なる部分の幅は30%以上に限るものではなく、伝送線路間で必要な電磁界結合を得られる幅であればよい。
【0031】
第1および第2の接地電極6・7は積層方向から見て、第1〜第5の伝送線路1〜5を覆うように配されているので、第1〜第5の伝送線路を流れる高周波信号が外部からの高周波信号によって干渉を受けることを防ぐことができる。また、第1および第2の接地電極6・7は、不平衡端子INならびに第1および第2の平衡端子OUT1・OUT2の基準電位を与えるために設けられる。
【0032】
そして、第1および第2の伝送線路1・2はそれぞれ一端に短絡端8を有し、第1および第2の接地電極6・7と電気的に接続されるとともに、第4の伝送線路4は一端に開放端9を有し、第3の伝送線路3の一端を不平衡端子INとし、第3および第4の伝送線路3・4の他端はそれぞれ第5の伝送線路5の両端に電気的に接続されている。
【0033】
また、第1および第2の伝送線路1・2の短絡端8は、第1および第2の接地電極6・7と電気的に接続されるとともに、それぞれ第2の誘電体層12を挟んで不平衡端子INおよび第4の伝送線路4の開放端9と対向する位置に配され、第1および第2の伝送線路1・2の他端をそれぞれ第1および第2の平衡端子OUT1・OUT2としている。
【0034】
さらに、このような構成の本発明のバラントランスにおいて、第4の伝送線路4の開放端9に接地容量C1を電気的に接続することにより、第1および第3の伝送線路1・3間で形成される第1の結合線路部、ならびに第2および第4の伝送線路2・4間で形成される第2の結合線路部、ならびに第5の伝送線路における等価的なインダクタンスLとキャパシタンスCによる共振回路の共振周波数fr=1/{2π(LC)1/2}に寄与するキャパシタンスCの値が大きくなるので、バラントランスの中心周波数を決める第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは低くなることとなる。
【0035】
一方、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLと第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路を伝播する高周波信号の伝播速度Vgに対して、fr∝Vg/Lの関係があるので、第4の伝送線路4の開放端9に接地容量C1を電気的に接続することによって、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frが低くなる分を、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLを短縮することにより共振周波数frが高くなるように調整し、これらをバランスさせれば、所望の中心周波数を有するバラントランスを実現することができることとなる。このことにより、第1〜第5の伝送線路1〜5の長さを短縮した小型なバラントランスを提供することができる。
【0036】
また、この第1〜第5の伝送線路1〜5の長さの短縮効果に加えて、第4の伝送線路4の開放端9に接地容量C1を電気的に接続していることによって、中心周波数近傍における周波数に対するバラントランスの入出力インピーダンスの変化が緩和され、周波数特性の広帯域なバラントランスを提供することができる。
【0037】
さらに、このような構成の本発明のバラントランスは、第1〜第3の誘電体層11〜13を含む誘電体基板20において、第1〜第5の伝送線路1〜5を誘電体基板20の内部に形成されたストリップ線路またはコプレーナ線路で形成し、第1および第2の伝送線路1・2の短絡端8を誘電体基板20の内部に形成したスルーホール導体やビア導体等の貫通導体により、および誘電体基板20の側面に形成したメタライズ導体層やいわゆるキャスタレーション導体等による端子電極の少なくとも一方を介することにより、第1および第2の接地電極6・7ならびに外部の接地導体と接続して接地するとともに、接地容量C1を誘電体基板20の容量形成領域に内蔵したコンデンサ、または誘電体基板上に実装したコンデンサで構成することにより、設計自由度が向上するとともに、第1〜第5の伝送線路1〜5とともに接地容量C1を誘電体基板20に一体化して構成することが可能となり、小型で高性能なバラントランスを提供することができる。
【0038】
なお、図1および図2において、これら接地容量C1ならびに貫通導体および端子電極の図示は省略している。また、図2においては第1〜第3の誘電体層11〜13ならびに第1および第2の接地電極6・7の図示は省略している。
【0039】
次に、図3および図4は本発明のバラントランスの実施の形態の他の例を示した断面図であり、図1および図2と同じ部位に対応するものは同一符号で示してある。図3および図4において、20は誘電体基板、21は貫通導体、22は誘電体基板20に内蔵したコンデンサ(容量発生領域)を構成する容量電極パターン、23は誘電体基板20上に実装されたコンデンサ、24はコンデンサ23を実装するための部品実装パッド、25は第4の伝送線路4の開放端9と容量電極パターン22を接続する接続線路を示す。なお、図3および図4においては、第1〜第5の伝送線路部1〜5は紙面に垂直な方向に形成されており、不平衡端子INおよび平衡端子OUT1・OUT2についての図示は省略している。また、図3においては、第4の伝送線路4の開放端9と容量電極パターン22とを接続する接続線路25を点線で図示している。また、図3には、接地容量C1の符号とともに、コンデンサの記号が書き加えてある。
【0040】
図3は、第1〜第5の伝送線路1〜5を誘電体基板20の内部に紙面垂直方向に形成し、かつ、接地容量C1を誘電体基板20の内部に形成した容量電極パターン22によって形成した構成例を示すものである。
【0041】
図4は、第1〜第5の伝送線路1〜5を誘電体基板20の内部に紙面垂直方向に形成し、かつ、接地容量C1を誘電体基板20の表面に形成された部品実装パッド24上に実装したコンデンサ23で構成した構成例を示すものである。
【0042】
これら図3および図4に示す例のような構成とすることによって、接地容量C1を、誘電体基板20に内蔵した容量電極パターン22によるコンデンサ、または誘電体基板20の表面に形成された部品実装パッド24上に実装したコンデンサ23で構成できることから、このバラントランスを用いる高周波回路の仕様に応じて、容量電極パターン22によるコンデンサまたは部品実装パッド24上に実装したコンデンサ23のいずれかの構成を選択することが可能となり、設計自由度が向上するとともに、第1〜第5の伝送線路1〜5とともに接地容量C1を誘電体基板20に一体化して構成することが可能な、小型で高性能なバラントランスを提供することができる。
【0043】
図5は、第1および第2の伝送線路1・2と第3〜第5の伝送線路3〜5の線幅を異ならせて、かつ第1の伝送線路1の線幅W1および第2の伝送線路2の線幅W2に対して第3〜第5の伝送線路3〜5の幅Wを細くするように構成した構成例を示すものである。
【0044】
この図5に示す例のような構成とすることによって、積層の際に位置ずれをおこしても第1の伝送線路1と第3の伝送線路3間および第2の伝送線路2と第4の伝送線路4間の電磁界結合量の変化が小さく、所望の電気特性が得られることが可能であり、高性能なバラントランスを提供することができる。
【0045】
一方、W=W1かつW=W2となっているバラントランスは、積層の際に誘電体層11〜13の層間で位置ずれをおこすと、第1の伝送線路1と第3の伝送線路3との間および第2の伝送線路2と第4の伝送線路4との間の電磁界結合量の変化が大きく、所望の電気特性を得るためには、高精度の積層技術が必要になるので、多数個を安定して生産することが難しい。
【0046】
また、不平衡端子IN側の共振器のインダクタ成分が大きくなり、かつキャパシタ成分も小さくなる。共振現象においてインダクタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は小さくなり、それに比べキャパシタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は大きくなる。広帯域な共振特性を望む場合は伝送線路を用いて作製されている共振器の線幅を細くする必要がある。
【0047】
これにより、共振器のインダクタ成分を大きくすることができることから、広帯域なバラントランスを提供する事が可能となり、高性能なバラントランスを提供することができる。
【0048】
一方、W>W1かつW>W2となっているバラントランスは、不平衡端子IN側の共振器のインダクタ成分が小さくなる。
【0049】
このため、W>W1かつW>W2であるバラントランスの共振特性は、W<W1かつW<W2となっているバラントランスに比べ、狭帯域な共振特性となり、W<W1かつW<W2であるバランのほうが、より一層広帯域な電気特性とすることができる。
【0050】
本発明のバラントランスを形成するに当たり、このような順次積層された第1〜第3の誘電体層11〜13を含む誘電体基板20やストリップ線路・コプレーナ線路等による第1〜第5の伝送線路1〜5、第1および第2の接地電極6・7、不平衡端子IN、第1および第2の平衡端子OUT1・OUT2、容量電極パターン22、部品実装パッド24、端子電極ならびに貫通導体21、その他これらを接続する接続導体は、周知の高周波用配線基板に使用される種々の材料・形態のものを使用することができる。
【0051】
本発明のバラントランスに用いる第1〜第3の誘電体層11〜13を含む誘電体基板20としては、例えばアルミナセラミックス・ムライトセラミックス等のセラミックス材料やガラスセラミックス等の無機系材料、あるいは四ふっ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン;PTFE)・四ふっ化エチレン−エチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−エチレン共重合樹脂;ETFE)・四ふっ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂;PFA)等のフッ素樹脂やガラスエポキシ樹脂・ポリイミド等の樹脂系材料等が用いられる。これら誘電体基板の形状や寸法(厚みや幅・長さ)は、使用される周波数や用途等に応じて設定される。
【0052】
本発明の第1〜第5の伝送線路1〜5、第1および第2の接地電極6・7、貫通導体21、容量電極パターン22、部品実装パッド24、その他これらを接続する接続導体は、高周波信号伝送用の金属材料の導体層、例えばCu層・Mo−Mnのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、Wのメタライズ層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、Cr−Cu合金層・Cr−Cu合金層上にNiメッキ層およびAuメッキ層を被着させたもの、Ta2N層上にNi−Cr合金層およびAuメッキ層を被着させたもの、Ti層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの、またはNi−Cr合金層上にPt層およびAuメッキ層を被着させたもの等を用いて、厚膜印刷法あるいは各種の薄膜形成方法やメッキ法等により形成される。その厚みや幅も、伝送される高周波信号の周波数や用途等に応じて設定される。
【0053】
本発明のバラントランスに用いる第1〜第3の誘電体層11〜13を含む誘電体基板20の作製にあたっては、例えば誘電体基板20がガラスセラミックスから成る場合であれば、まず誘電体基板20となるガラスセラミックスのグリーンシートを準備し、これに所定の打ち抜き加工を施して貫通導体21となる貫通孔を形成した後、スクリーン印刷法によりCu等の導体ペーストを貫通孔に充填するとともに、所定の伝送線路パターンおよびその他の導体層のパターンを印刷塗布する。次に、850〜1000℃で焼成を行ない、最後に誘電体基板20の各表面導体層上にNiメッキおよびAuメッキを施す。
【0054】
【実施例】
図6および図7は、図1に示す構成の本発明のバラントランスと、図9に示す従来のバラントランスにおいて、第1および第2の平衡端子OUT1・OUT2に出力される2つの平衡信号間の振幅レベルの差および逆相からの位相のずれをシミュレーションで比較した結果を示す各線図である。
【0055】
このシミュレーションは、それぞれ図1および図9に示す構成となる各部分に以下に示すパラメータを用いてシミュレーションモデルを作製し、実施した。
【0056】
【表1】
【0057】
図6および図7において、横軸はいずれも周波数(単位:GHz)を、縦軸はそれぞれ振幅レベル差(単位:dB)および位相差(逆相からの位相のずれ)(単位:deg)を表わし、各特性曲線は、Aが本発明のバラントランスにおける結果を、Bが図9に示す従来のバラントランスにおける結果を示している。
【0058】
本発明のバラントランスによれば、第1および第3の伝送線路1・3の長さL1と第2および第4の伝送線路2.4の長さL2を独立に調整することによって、バラントランスの不平衡端子INに不平衡信号を入力して、バラントランスの第1及び第2の平衡端子OUT1・OUT2より2つの平衡信号を取り出す際の、2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれを任意に調整することが可能となる。
【0059】
また、第1および第2の伝送線路1・2の幅W1および幅W2を独立に調整することによって、2つの平衡信号間の振幅レベルの差に寄与する、第1および第3の伝送線路1・3間ならびに第2および第4の伝送線路2・4間で形成される電磁界結合量を任意に調整することができて、バラントランスの不平衡端子INに不平衡信号を入力して、バラントランスの第1及び第2の平衡端子OUT1・OUT2より2つの平衡信号を取り出す際の、振幅レベルの差を調整することができる。
【0060】
例えば、5GHzにおける振幅レベル差および位相差は図6および図7に示す結果から明らかなように、
A:振幅レベル差 0.03dB、位相差180.1deg
B:振幅レベル差 0.25dB、位相差177.5deg
であり、従来のバラントランスにおける結果(B)に比べて、本発明のバラントランスにおける結果(A)は、振幅レベルの差および逆相からの位相のずれを調整することにより改善することができる。
【0061】
図8は図5に示す構成の本発明のバラントランスと、図9に示す従来のバラントランスにおいて、第1および第2の不平衡端子IN側での反射特性をシミュレーションで比較した結果を示す各線図である。
【0062】
このシミュレーションは、それぞれ図5および図9に示す構成となる各部分に以下に示すパラメータを用いてシミュレーションモデルを作製し、実施した。
【0063】
【表2】
【0064】
図8において、横軸はいずれも周波数(単位:GHz)を、縦軸は反射特性(単位:dB)を表わし、各特性曲線は、Aが本発明のバラントランスにおける結果を、Bが図9に示す従来のバラントランスにおける結果を示している。
【0065】
本発明のバラントランスによれば、第1の伝送線路1の幅W1および第2の伝送線路2の幅W2を、第3〜第5の伝送線路3〜5の幅Wに対して、W1>WかつW2>Wとすることにより広帯域な反射特性を実現する事が可能である。
【0066】
例えば、5GHzにおける反射特性は図8に示す結果から明らかなように、
A:反射特性で−15dBにおける帯域 2.43GHz
B:反射特性で−15dBにおける帯域 1.8GHz
であり、従来のバラントランスにおける結果(B)に比べて、本発明のバラントランスにおける結果(A)は、広帯域な反射特性を実現することが可能である。
【0067】
なお、本発明は以上の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更・改良を加えることは何ら差し支えない。
【0068】
例えば、本発明のバラントランスを構成する第1〜第5の伝送線路1〜5は、図1および図2に図示するように、それぞれ必ずしも直線状の伝送線路により形成されるものに限られるものではなく、それぞれ角型状や円形状等に折り曲げた伝送線路や、コの字型・スパイラル形状・ミアンダライン形状の伝送線路等で形成したりすることができる。このような形状に形成することで、バラントランスを用いる高周波回路の仕様に応じて、複数の誘電体層から成る誘電体基板20の内部に、高周波回路とともに誘電体基板に一体化して高周波信号の伝送特性に優れた伝送線路部を、構成する際の設計自由度が向上するとともに、小型で高性能なバラントランスを提供することが可能となる。
【0069】
また、第1〜第5の伝送線路1〜5は、それぞれ単一の線路導体で形成するものに限られるものではなく、それぞれ電磁気的に1つの伝送線路とみなせるような2個以上の導体で形成してもよい。
【0070】
さらにまた、図3および図4に示した例では、誘電体基板20の内部に容量電極パターン22を形成する場合として1個の容量電極パターンで形成した例を示しているが、必ずしもこの例のものに限られるものではなく、それぞれ電気的に1つの容量とみなせるような2個以上の導体で形成してもよい。
【0071】
【発明の効果】
本発明のバラントランスによれば、第1および第3の伝送線路は略同一の長さL1を有し、第2および第4の伝送線路は略同一の長さL2を有するとともに、L1≠L2であり、第1および第2の伝送線路はそれぞれ幅W1および幅W2を有するとともに、W1≠W2であることから、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の位相量を第1および第3の伝送線路の長さL1で調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の位相量を第2および第4の伝送線路の長さL2で調整することによって、2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれを任意に調整することが可能となり、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT1から出力される平衡信号の一方の振幅レベルを第1の伝送線路の幅W1で調整するとともに、不平衡端子INから入り、平衡端子OUT2から出力される平衡信号の他方の振幅レベルを第2の伝送線路の幅W2で調整することによって、2つの平衡信号間の振幅レベルの差を調整することが可能となるので、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる、逆相となるべき2つの平衡信号間の位相のずれおよび振幅レベルの差を調整することが可能なバラントランスを提供することができる。
【0072】
また、本発明のバラントランスによれば、第4の伝送線路の開放端に接地容量を電気的に接続したときには、第1および第3の伝送線路間で形成される第1の結合線路部、ならびに第2および第4の伝送線路間で形成される第2の結合線路部ならびに第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frに寄与するキャパシタンスCの値が大きくなるので、バラントランスの中心周波数を決める第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは低くなることとなる。一方、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frは、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLと第1および第2の結合線路および第5の伝送線路を伝播する高周波信号の伝播速度Vgに対して、fr∝Vg/Lの関係があるので、第4の伝送線路の開放端に接地容量を電気的に接続することによって、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される回路の共振周波数frが低くなる分を、第1および第2の結合線路部および第5の伝送線路で形成される伝送線路の長さLを短縮することにより共振周波数frが高くなるように調整し、これらをバランスさせれば、所望の中心周波数を有するバラントランスを実現することができることとなる。このことにより、第1〜第5の伝送線路の長さを短縮した小型なバラントランスを提供することができる。また、この第1〜第5の伝送線路1〜5の長さの短縮効果に加えて、第4の伝送線路部の開放端に接地容量を電気的に接続していることによって、中心周波数近傍における周波数に対するバラントランスの入出力インピーダンスの変化が緩和され、周波数特性の広帯域なバラントランスを提供することができる。
【0073】
さらにまた、本発明のバラントランスによれば、第1〜第3の誘電体層を含む誘電体基板において、第1〜第5の伝送線路が誘電体基板の内部に形成されたストリップ線路またはコプレーナ線路から成り、第1および第2の伝送線路の短絡端が誘電体基板の内部に形成した貫通導体および側面に形成された端子電極の少なくとも一方を介して接地されているときには、第1および第2の接地電極ならびに外部の接地と接続して接地するとともに、接地容量を誘電体基板に内蔵されたコンデンサ、または誘電体基板上に実装されたコンデンサで構成できることにより、設計自由度が向上するとともに、第1〜第5の伝送線路とともに接地容量を誘電体基板に一体化して構成することが可能となり、小型で高性能なバラントランスを提供することができる。
【0074】
また、本発明のバラントランスによれば、上記構成において、前記第3、第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W≠W1かつW≠W2と成るときには、積層の際に位置ずれをおこしても、第1の伝送線路と第3の伝送線路間および第2の伝送線路と第4の伝送線路間の積層方向から見て重なる部分の変化が小さくなり、より一層確実にかつ容易に所望の電磁界結合量を実現することが可能であり、高性能なバラントランスを提供することができる。
【0075】
また、本発明のバラントランスによれば、前記第3および第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W<W1かつW<W2と成るときには、不平衡端子IN側の共振器のインダクタ成分が大きくなり、かつキャパシタ成分も小さくなる。共振現象においてインダクタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は小さくなり、それに比べキャパシタ成分の大きな共振器に対しては、共振のQ値は大きくなる。
【0076】
その結果、本発明において、第3乃至第5の伝送線路に構成されている共振器として機能する伝送線路の幅を細くした場合には、より一層共振器のインダクタ成分を大きくすることができるため、共振特性を、より一層広帯域とすることが可能となり、高性能なバラントランスを提供することができる。
【0077】
以上のように、本発明によれば、伝送線路により構成されたバラントランスにおいて、バラントランスを外部回路と接続する際に生じる2つの平衡信号間の逆相からの位相のずれおよび振幅レベルの差を調整することができる、高周波回路に好適なバラントランスを提供することができた。
【0078】
さらに、本発明によれば、伝送線路により構成されたバラントランスにおいて、バラントランスのサイズを小型化するとともに周波数特性の広帯域なバラントランスを実現することができる、高周波回路に好適なバラントランスを提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のバラントランスの実施の形態の一例を示す透視斜視図である。
【図2】本発明のバラントランスの実施の形態の一例を示す透視平面図である。
【図3】本発明のバラントランスの実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図4】本発明のバラントランスの実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図5】本発明のバラントランスの実施の形態の他の例を示す透視斜視図である。
【図6】本発明のバラントランスおよび従来のバラントランスにおける出力平衡信号の振幅レベル差を示す線図である。
【図7】本発明のバラントランスおよび従来のバラントランスにおける出力平衡信号の位相差を示す線図である。
【図8】本発明のバラントランスおよび従来のバラントランスにおける入力平衡信号の反射特性を示す線図である。
【図9】従来のバラントランスの例を示す回路図である。
【図10】従来のバラントランスの他の例を示す回路図である。
【符号の説明】
1〜5・・・・・・・・・第1〜第5の伝送線路
6〜7・・・・・・・・・第1および第2の接地電極
8・・・・・・・・・・・短絡端
9・・・・・・・・・・・開放端
11〜13・・・・・・・・・第1〜第3の誘電体層
20・・・・・・・・・・・誘電体基板
21・・・・・・・・・・・貫通導体
22・・・・・・・・・・・容量電極パターン
23・・・・・・・・・・・コンデンサ
24・・・・・・・・・・・部品実装パッド
C1・・・・・・・・・・接地容量
IN・・・・・・・・・・不平衡端子(入出力端子)
OUT1、OUT2・・・第1および第2の平衡端子(入出力端子)
Claims (5)
- 第1の誘電体層と、該第1の誘電体層の上に積層された第2の誘電体層と、該第2の誘電体層の上に積層された第3の誘電体層と、前記第1の誘電体層の下面に配された第1の接地電極と、前記第1および第2の誘電体層の間に配された第1および第2の伝送線路と、前記第2および第3の誘電体層の間に配された第3乃至第5の伝送線路と、前記第3の誘電体層の上面に配された第2の接地電極とから成り、
前記第1および第3の伝送線路は略同一の長さL1を有し、前記第2および第4の伝送線路は略同一の長さL2を有するとともに、L1≠L2であり、
前記第1および第2の伝送線路はそれぞれ幅W1および幅W2を有するとともに、W1≠W2であり、
前記第3および第4の伝送線路は、前記第1および第2の伝送線路と平行に、かつ積層方向から見て少なくとも一部が重なるように配され、
前記第1および第2の接地電極は積層方向から見て前記第1乃至第5の伝送線路を覆うように配されており、
前記第1および第2の伝送線路はそれぞれ一端に短絡端を有するとともに前記第4の伝送線路は一端に開放端を有し、前記第3の伝送線路の一端を不平衡端子とし、前記第3および第4の伝送線路の他端はそれぞれ前記第5の伝送線路の両端に電気的に接続されているとともに、前記第1および第2の伝送線路の前記短絡端はそれぞれ前記第2の誘電体層を挟んで前記不平衡端子および前記第4の伝送線路の前記開放端と対向する位置に配されており、
前記第1および第2の伝送線路の他端をそれぞれ第1および第2の平衡端子としたことを特徴とするバラントランス。 - 前記第4の伝送線路の前記開放端に接地容量を電気的に接続したことを特徴とする請求項1記載のバラントランス。
- 前記第1乃至第3の誘電体層を含む誘電体基板において、前記第1乃至第5の伝送線路が前記誘電体基板の内部に形成されたストリップ線路またはコプレーナ線路から成り、前記第1および第2の伝送線路の前記短絡端が前記誘電体基板の内部に形成した貫通導体および側面に形成した端子電極の少なくとも一方を介して接地されているとともに、前記接地容量が、前記誘電体基板に内蔵された、または前記誘電体基板上に実装されたコンデンサから成ることを特徴とする請求項1または請求項2記載のバラントランス。
- 前記第3、第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W≠W1かつW≠W2であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のバラントランス。
- 前記第3、第4および第5の伝送線路は略同一の幅Wを有し、W<W1かつW<W2であることを特徴とする請求項4記載のバラントランス。
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