JP2004347764A - 液晶表示素子の駆動方法 - Google Patents

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三嘉 宮井
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Abstract

【課題】コレステリック液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法であって、液晶層がたとえ薄くても良好な表示を行うことができる駆動方法を提供する。
【解決手段】表示素子100に含まれる液晶116をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間Trs、電圧無印加状態での液晶の配列を選択するための選択期間Ts及び液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間Trtを含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行い、リセット期間Trsにおいてはリセットパルスを液晶に印加し、リセットパルスの電圧絶対値|Vrs|を液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値|Vth|の1.2倍以上2.5倍以下に設定する。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶表示素子の駆動方法及び液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、室温においてコレステリック相を示す液晶(代表的にはカイラルネマチック液晶)を用いた反射型の液晶表示素子が、電圧無印加状態でも表示を維持できるメモリー性を有し、それだけ電力消費が少なく、また、安価に製作できることから種々研究、開発されている。
【0003】
さらに、この種の液晶表示素子の高速駆動方法として、素子に含まれる液晶に、これをホメオトロピック状態にリセットするためのリセット期間、該液晶の所望最終状態を決定する選択期間及び該液晶を選択された状態に確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を印加する3ステージ駆動方法が提案されている。
【0004】
例えば、米国特許第5,748,277号明細書や、米国特許第6,154,190号明細書及び特表2000−514932号公報は、液晶にプレパレーション電圧、セレクション電圧及びエボリューション電圧を順次印加して画像表示を行う駆動方法を開示している。米国特許第6,154,190号明細書は、さらに、セレクション電圧を印加する前後にポストプレパレーションフェーズとアフターセレクションフェーズを設けることを開示している。
【0005】
また、特開2002−268036号公報は、液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行う液晶表示素子の駆動方法を開示している。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,748,277号明細書
【特許文献2】米国特許第6,154,190号明細書
【特許文献3】特表2000−514932号公報
【特許文献4】特開2002−268036号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
いずれにしても、液晶表示素子の駆動は、通常、液晶層を間にして対向配置される電極間に該液晶の状態を所望の状態に変化させる駆動電圧を印加することでなされる。その場合、液晶層の厚みが薄ければ、それだけ駆動電圧は低く済み、従って液晶への駆動電圧印加のための駆動IC等の部品類がそれだけ安価なもので足りる。また、液晶が少量で済むので、この点でも安価に済ませることができ。これらにより、液晶層の厚みを薄くすれば、それだけ液晶表示素子を安価に提供できる。
【0008】
しかしながら、本発明者の研究によると、コレステリック液晶層の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子において、該液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行う場合、液晶層の厚みを薄くしていくと、表示におけるコントラストが低下し、良好な画像表示を行うことができなくなってくる。
【0009】
また、別の問題として、かかる液晶表示素子を液晶層を間にして対向配置される複数の走査電極と複数の信号電極とを用いて単純マトリクス駆動方式で表示を行うと、つまり、前記複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、前記複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、前記選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行うと、書換え信号パルスの印加が、選択されていない走査電極にもおよび(所謂クロストーク)、選択されていない走査電極に対応する画素の液晶が該クロストークの影響を受け、それだけ表示品位が低下することがある。かかるクロストークの影響は比較的低い駆動電圧でも駆動可能の薄い液晶層ほど大きい。
【0010】
そこで本発明はコレステリック液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法であって、該素子に含まれる液晶層がたとえ薄くても良好な表示を行うことができ、ひいては、良好な表示が行える状態で液晶層を薄くできることでそれだけ安価な液晶表示素子の提供が可能となる液晶表示素子の駆動方法を提供することを課題とする。
また本発明は、コレステリック液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、該素子に含まれる液晶層がたとえ薄くても良好な表示を行うことができ、ひいては、良好な表示が行える状態で液晶層を薄くできることでそれだけ安価に製作できる液晶表示装置を提供することも課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため本発明者は鋭意研究を重ね、次のことを知見するに至った。
液晶表示素子を、該素子に含まれるコレステリック液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子配列)を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行わせるようにし、該リセット期間においては液晶をホメオトロピック状態にするためのリセットパルスを印加し、そのとき、該リセットパルスの電圧の絶対値を該液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値の1.2倍以上に設定すれば、液晶層の厚みが薄い場合でも、良好な表示が可能である。
【0012】
また、複数の走査電極と複数の信号電極との間にコレステリック相を示す液晶を保持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子を単純マトリクス駆動方式で駆動する場合、つまり、該複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、該複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、該選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行う場合、つぎのようにすれば、液晶層の厚みが薄い場合でも、クロストークの影響を抑制して、それだけ良好な表示を行うことができる。
【0013】
すなわち、選択電圧信号として、液晶をホメオトロピック状態にリセットするリセットパルスを印加するリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択する選択パルスを印加するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持パルスを印加する維持期間を含む波形の電圧信号を採用し、
前記信号電極に印加する書換え信号パルスの電圧の絶対値|Vc|と、前記走査電極に印加する前記維持パルスの電圧の絶対値|Vrt|とが
|Vc|≦|Vrt|×1/8
の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定すればよい。換言すれば|Vc|≦|Vrt|×1/8の関係を満たす程度に維持パルス電圧値に対し信号パルスの電圧値を小さく設定すればよい。
【0014】
さらに説明すると、クロストークの影響により液晶表示素子の表示劣化が引き起こされる主たる原因は、リセット期間及び維持期間へのクロストーク電圧の影響である。クロストークのリセット期間(リセットパルス)への影響についてみると、リセットパルス電圧Vrsをその絶対値|Vrs|が十分大きくなるように設定すれば、クロストークの影響を略完全に無くすことができる。
【0015】
しかし、維持パルス電圧値については、かかる3ステージ駆動法の原理上、その大きさに制約がある。そのため、維持期間(維持パルス)へのクローストークの影響を無くすことは困難である。そこで、クロストーク電圧値、すなわち、前記信号パルス電圧値を維持パルス電圧値に対し十分小さくすれば、維持期間におけるクロストークの影響を小さくできる。
【0016】
すなわち、維持期間中にクロストークの影響を受けて液晶に印加される電圧Ertは、Ert=Vrt±Vcとなる。ここで|Vrt|≫|Vc|であれば、Ertはその変動幅が小さくなり、信号パルス電圧Vcの影響を殆ど受けなくなる。本発明者の研究によると、|Vc|が|Vrt|の1/8より大きくなるとクロストークの影響による素子反射率の変化が急に増大する。よって、|Vc|≦|Vrt|×1/8の関係を満たす程度に維持パルス電圧値に対し信号パルスの電圧値を小さく設定すればよい。
【0017】
以上の知見に基づき本発明は次の第1及び第2の液晶表示素子の駆動方法を提供する。
(1)第1の液晶表示素子の駆動方法
コレステリツク液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法であり、
該素子に含まれる液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子の配列)を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行い、前記リセット期間においてはリセットパルスを前記液晶に印加し、該リセットパルスの電圧の絶対値を前記液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値の1.2倍以上に設定することを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
【0018】
(2)第2の液晶表示素子の駆動方法
複数の走査電極と複数の信号電極との間にコレステリック相を示す液晶を保持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の単純マトリスクス駆動方式による駆動方法であり、
前記複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、前記複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、前記選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行い、
前記選択電圧信号として、前記液晶をホメオトロピック状態にリセットするリセットパルスを印加するリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子の配列)を選択する選択パルスを印加するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持パルスを印加する維持期間を含む波形の電圧信号を採用し、
前記信号電極に印加する書換え信号パルスの電圧の絶対値|Vc|と、前記走査電極に印加する前記維持パルスの電圧の絶対値|Vrt|とが
|Vc|≦|Vrt|×1/8
の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定することを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
なお、液晶表示素子の駆動にあたっては、前記第1、第2の駆動方法の双方を採用することもできる。
【0019】
(3)液晶表示装置
また、本発明は、かかる第1、第2の駆動方法の少なくとも一方を実施する駆動回路を備えた液晶表示装置も提供する。
第1の駆動方法を採用する液晶表示装置として、
コレステリツク液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子と、該素子を駆動する駆動回路とを備えており、
該駆動回路は、該素子に含まれる液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子の配列)を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行い、前記リセット期間においてはリセットパルスを前記液晶に印加し、該リセットパルスの電圧の絶対値を前記液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値の1.2倍以上とする液晶表示装置を挙げることができる。
【0020】
第2の駆動方法を採用する液晶表示装置として、
複数の走査電極と複数の信号電極との間にコレステリック相を示す液晶を保持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子と、該素子を単純マトリスクス駆動方式にて駆動する駆動回路とを備えており、
該駆動回路は、前記複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、前記複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、前記選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行い、
前記選択電圧信号として、前記液晶をホメオトロピック状態にリセットするリセットパルスを印加するリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子の配列)を選択する選択パルスを印加するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持パルスを印加する維持期間を含む波形の電圧信号を採用し、
前記信号電極に印加する書換え信号パルスの電圧の絶対値|Vc|と、前記走査電極に印加する前記維持パルスの電圧の絶対値|Vrt|とが
|Vc|≦|Vrt|×1/8
の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定する液晶表示装置を挙げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る液晶表示素子の駆動方法はメモリ性を有し、コレステリツク液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法である。
【0022】
(第1実施形態に係る液晶表示素子の駆動方法)
第1実施形態に係る素子駆動方法は、基本的に、
液晶表示素子に含まれる液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列(液晶分子の配列)を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧(パルス群)を該液晶に印加して画像表示を行う方法である。
【0023】
そして、前記リセット期間においてはリセットパルスを前記液晶に印加し、該リセットパルスの電圧の絶対値を前記液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧Vthの絶対値の1.2倍以上に設定する。閾値電圧Vthとは、それ以上の大きさの電圧を印加することで液晶をホメオトロピック状態とすることができ、表示内容を消去できる(表示履歴が生じない)電圧である。
【0024】
この液晶表示素子の駆動方法では、リセットパルスの電圧の絶対値が液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧Vthの絶対値の1.2倍以上に設定されることで、該素子に含まれる液晶層が薄くても、液晶表示素子のプレーナ状態による反射率を高めることが可能となり、それだけ素子の表示レンジが拡大し(特に明るい表示部分における明るさの幅を大きくすることができ)、コントラスト比の高い良好な表示を行える。ひいては、液晶層を薄くできる分、安価な液晶表示素子或いは液晶表示装置の提供が可能となる。
【0025】
本発明者の研究によると、リセットパルス電圧絶対値が閾値電圧絶対値の1.5倍程度以上になってくると一層確実に表示レンジが拡大し、良好な表示を行うことができる一方、2.5倍程度にまで大きくなってくると、液晶のプレーナ状態による素子反射率は飽和状態に達する。従って、これ以上大きくしても表示レンジを拡大することはできなくなってくるうえ、リセットパルス電圧を大きくしすぎると、該電圧を素子に印加するための駆動IC等の部品が高価なものとなってくる。従って、リセットパルス電圧絶対値の上限については閾値電圧絶対値の2.5倍程度が好ましいと言える。
【0026】
以上のことより、リセットパルス電圧の絶対値は、より好ましくは閾値電圧絶対値の1.2倍以上2.5倍以下、さらに好ましくは1.5倍以上2.5倍以下と言える。
【0027】
液晶表示素子は通常、一対の基板間に液晶層が保持された構成のものであるが、該液晶層の厚み(所謂セルギャップ)d〔μm〕は、安価な液晶表示素子を提供する観点から、用いる液晶(代表的にはカイラルネマチック液晶)の螺旋ピッチp〔μm〕の12倍より薄いこと、すなわち、d〔μm〕/p〔μm〕<12の関係を満たす程度の薄いものであることが好ましい。
なお、液晶の螺旋ピッチp、液晶の選択反射波長λ〔μm〕及び液晶の平均屈折率nはほぼλ=p・nの関係にある。
【0028】
前記一対の基板のうち少なくとも一方には、液晶層に接する、ラビング処理された配向膜を設けておいてもよい。ラビング処理された配向膜を採用し、前記リセットパルス電圧の絶対値を前記閾値電圧絶対値の1.2倍以上、より好ましくは1.2倍以上2.5倍以下、さらに好ましくは1.5倍以上2.5倍以下とすれば、一層確実に大きい表示レンジを得ることができる。
【0029】
但し、過度にラビング処理を行うと、素子の視野角依存性が大きくなりすぎたり、メモリ性が低下してくる。そこでかかるラビング処理は、下記式で表されるラビング密度Lが10以下程度となるゆるやかな条件で、そして好ましくは一方の基板上の配向膜にのみ、より好ましくは画像観察側とは反対側の基板上の配向膜についてのみ実施するのがよい。
【0030】
ラビング処理をラビング用布を周設したラビングローラ及び配向膜形成基板を載置するテーブルを用い、該テーブル上に載置された基板配向膜をラビングローラに臨ませ、テーブルをローラに対し相対的に移動させるとともに、ローラをテーブル移動方向に対しカウンタ方向に回転させて行う場合、
L=N・x・(1+2Πnr/v)
【0031】
ここで、N:ラビング回数
x:ラビングローラと配向膜との接触長さ〔mm〕
n:ローラ回転数〔rpm〕
r:ローラ半径〔mm〕
v:テーブルの相対移動速度〔mm/min〕
【0032】
ラビング密度Lが10以下になる例として、N:1回、x:0.4mm、n:125rpm、r:40mm、v:1450mm/min、すなわち、L=1×0.4(1+2Π×125×40/1450)=9.07を挙げることができる。
【0033】
(第2実施形態に係る液晶表示素子の駆動方法)
第2実施形態に係る素子駆動方法は、基本的に、
複数の走査電極と複数の信号電極との間にコレステリック相を示す液晶を保持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の単純マトリスクス駆動方式による駆動方法である。
【0034】
前記複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、前記複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、前記選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行う。
【0035】
前記選択電圧信号として、前記液晶をホメオトロピック状態にリセットするリセットパルスを印加するリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択する選択パルスを印加するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持パルスを印加する維持期間を含む波形の電圧信号を採用し、
前記信号電極に印加する書換え信号パルスの電圧の絶対値|Vc|と、前記走査電極に印加する前記維持パルスの電圧の絶対値|Vrt|とが
|Vc|≦|Vrt|×1/8
の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定する。
【0036】
この駆動方法によると、|Vc|≦|Vrt|×1/8の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定することで、液晶表示素子に含まれる液晶層が薄くても、クロストークの影響を小さくして良好な表示を行える。ひいては、液晶層を薄くできる分、安価な液晶表示素子或いは液晶表示装置の提供が可能となる。
【0037】
既述のとおり、リセット期間についてはリセットパルス電圧Vrsの電圧値を十分大きくすることでクロストークの影響を小さく抑制することができるので、電圧Vrsは|Vrs|≧|Vth|+|Vc|の条件を満たすように設定することが望ましい。ここでVthは液晶をホメオトロピック状態にし得る閾値電圧である。
【0038】
リセット期間中にクロストークの影響を受けて液晶に印加される電圧Ersは、Ers=Vrs±Vcである。|Vrs|を(|Vth|+|Vc|)以上に設定しておけば、常に|Ers|≧|Vth|となる。すなわち、リセット期間中は常に液晶にVth以上の電圧が印加され、液晶はホメオトロピック状態に移行することができ、実質上クロストークに影響されずにリセットを行える。
【0039】
クロストークによる凹凸波形に液晶分子が追随できなくなるように、クロストーク電圧の周波数を高くするのも、クロストークの影響を小さくするのに有効である。そこで、前記信号パルスの周波数を維持パルスの周波数より大きくしてもよい。
【0040】
例えばカイラルネマチック液晶では、一般に、液晶は約1msでホメオトロピック状態(電圧印加状態)から捩じれ状態(電圧無印加状態)に変化するレベルの応答を示す。そこで具体例として、クロストークの影響を抑制するため、信号パルスの周波数を1kHz以上に設定する場合を挙げることができる。
【0041】
第2実施形態にかかる素子駆動方法においても、第1実施形態の場合と同様に、液晶層の厚み(所謂セルギャップ)d〔μm〕は、安価な液晶表示素子を提供する観点から、用いる液晶(代表的にはカイラルネマチック液晶)の螺旋ピッチp〔μm〕の12倍より薄いこと(d〔μm〕/p〔μm〕<12)が好ましい。
【0042】
液晶表示素子は、前記選択パルス及び書換え信号パルスにより液晶に印加される印加電圧に応じて液晶のピーク選択反射波長における反射率が変化するのであるが、良好な表示を行うための広い表示レンジを得るためには、図15に示すように、素子が最大の反射率(飽和反射率)を示すときのレベルを100%としたとき、少なくともレベル20%(%R20)〜レベル80%(%R80)の範囲を表示できることが好ましい。そこで信号パルスはかかる表示を可能とする範囲に設定することが望ましい。
【0043】
書換え信号パルスの電圧値は小さいほどクロストークによる表示劣化の度合いは小さくなるが、小さくしすぎると、表示レンジ(表示再現範囲)が小さくなりすぎて良好な表示が得られなくなる。それ故、信号パルスの電圧値は少なくともレベル20%(%R20)〜レベル80%(%R80)の範囲を含み得るように設定することが望ましいと言える。
【0044】
中間調の表示は、信号パルスのパルス幅変調、位相変調、電圧値変調等により行えるが、パルス幅変調や位相変調を行うときは、信号パルスの電圧値の大きさを上記レベル範囲を含み得るように設定し、電圧値変調のときは、信号パルスの最大電圧値が上記レベル範囲を含み得るように設定することが望ましい。
【0045】
第1、第2のいずれの実施形態にかかる駆動方法においても、液晶に印加する電圧の極性は、消費電力を低減するためにフレーム毎に反転させてもよい。液晶に印加する電圧を交流電圧とするときは、液晶の劣化を抑制するうえで有利である。
【0046】
また、液晶表示素子に含まれる液晶としては、液晶の選択反射能を利用して表示を行える、室温でコレステリック相を示す液晶を採用すればよいが、特に、ネマチック液晶に対してコレステリツク液晶相を示すに十分な量のカイラル材を添加してなるカイラルネマチック液晶が好適である。カイラルネマチック液晶は、電圧無印加状態でも、選択された表示状態を長期にわたり保てるメモリ性を発揮する好適な液晶である。
【0047】
いずれにしても、液晶表示素子はモノカラー表示を行うものでも、フルカラー表示を行うものでも構わない。
【0048】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(液晶表示素子、図1参照)
まず、液晶表示装置の1例の一部を構成する液晶表示素子について説明する。図1は単純マトリクス駆動方式により駆動する反射型積層型の液晶表示素子の1例の概略構成を示している。
【0049】
この液晶表示素子100は、光吸収層121の上に、赤色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う赤色表示層111Rを配し、その上に緑色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う緑色表示層111Gを積層し、さらに、その上に青色の選択反射状態と透明状態の切換えにより表示を行う青色表示層111Bを積層したものである。
【0050】
各表示層111R、111G、111Bは、それぞれ透明電極113、114を形成した透明基板112間に樹脂製柱状構造物115、液晶116及びスペーサ117を挟持したものである。透明電極113、114上には必要に応じて絶縁膜118、配向膜119が設けられる。ここではそれらを設けてある。基板112の周縁部(表示領域外)には液晶116を封止するためのシール材120が設けられる。
【0051】
透明電極113、114はそれぞれ走査駆動IC131、信号駆動IC132(図2参照)に接続されており、透明電極113、114にそれぞれ所定のパルス電圧が印加される。この印加電圧に応答して、液晶116の表示が可視光を透過する透明状態と特定波長の可視光を選択的に反射する選択反射状態との間で切り換えられる。印加電圧によっては透明状態と選択反射状態の混在した中間調表示も可能である。
【0052】
各表示層111R、111G、111Bに設けられている透明電極113、114は、それぞれ微細な間隔を保って平行に並べられた複数の帯状電極よりなり、その帯状電極の並ぶ向きが平面から見て互いに直角方向となるように対向させてある。これら上下の帯状電極に順次通電が行われる。即ち、各液晶116に対してマトリクス状に順次電圧が印加されて表示が行われる。これをマトリクス駆動と称し、電極113、114が交差する部分が各画素を構成する。このようなマトリクス駆動を各表示層ごとに行うことにより液晶表示素子100にフルカラー画像の表示を行える。
【0053】
表示層111R、111G、111Bを積層した液晶表示素子100は、青色表示層111B及び緑色表示層111Gを液晶分子がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、赤色表示層111Rを液晶分子がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、赤色表示を行うことができる。また、青色表示層111Bを液晶分子がフォーカルコニック配列となった透明状態とし、緑色表示層111G及び赤色表示層111Rを液晶分子がプレーナ配列となった選択反射状態とすることにより、イエローの表示を行うことができる。同様に、各表示層の状態を透明状態と選択反射状態とを適宜選択することにより赤色、緑色、青色、白色、シアン、マゼンタ、イエロー、黒色の表示が可能である。さらに、各表示層111R、111G、111Bの状態として中間の選択反射状態を選択することにより中間色の表示が可能となり、フルカラー表示素子として利用できる。
【0054】
液晶116としては、室温でコレステリック相を示すコレステリック液晶が採用される。特に、ネマチック液晶にコレステリック相を示すのに十分な量のカイラル材を添加することによって得られるカイラルネマチック液晶が好適である。
【0055】
カイラル材は、ネマチック液晶に添加された場合にネマチック液晶の分子を捩じる作用を有する添加剤である。カイラル材をネマチック液晶に添加することにより、所定の捩じれ間隔を有する液晶分子の螺旋構造が生じ、これによりコレステリック相を示す。
【0056】
なお、液晶表示層は必ずしもこの構成に限定されるわけではなく、樹脂製構造物が堰状になったものや、樹脂製構造物を省略したものであってもよい。また、従来公知の高分子の3次元網目構造のなかに液晶が分散された、あるいは、液晶中に高分子の3次元網目構造が形成された、いわゆる高分子分散型の液晶複合膜として液晶表示層を構成することも可能である。
【0057】
少なくとも一つの液晶表示層における液晶116の厚み(所謂セルギャップ)d〔μm〕は実質上スペーサ117の粒径により決定されるが、それはここでは、用いる液晶116の螺旋ピッチp〔μm〕の12倍より小さくしてある(d/p<12)。このように液晶層を薄くすることで、それだけ素子駆動電圧は低く済み、後述する駆動IC等の部品が安価なものでも足り、また、液晶量を少なく済ませることができ、これらにより液晶表示素子100或いは液晶表示装置Aをそれだけ安価に提供できる。
【0058】
前記基板112としてはガラス基板、樹脂フィルム基板等を採用できる。
前記絶縁性膜118としては、酸化シリコン等の無機材料膜、ポリイミド樹脂等の有機材料膜を例示できる。絶縁性膜118には色素を添加してもよい。
【0059】
前記配向膜119としては、ポリイミド樹脂等の有機材料膜、酸化アルミニゥム等の無機材料膜を例示できる。配向膜には必要に応じラビング処理を施してもよい。ここでは、少なくとも一つの液晶表示層における画像観察側とは反対側の基板(光吸収層121側にある基板)上の配向膜119にラビング密度L=10以下でラビング処理を施してある。絶縁性膜と配向膜は互いに兼用可能である。
【0060】
前記透明電極113、114には、例えば、ITO(インジゥム錫酸化物)等の透明導電膜を用いることができる。
【0061】
液晶表示層は3層だけでなく2つの表示層を積層したものや4つの表示層を積層したものであってもよいし、単層型の素子であってもよい。2層積層型素子の例としては、青色の選択反射を行う表示層と黄色の選択反射を行う表示層とを積層し両者を同時に駆動することで白黒表示を行う積層型モノクロ表示素子が挙げられる。4層積層型素子の例としては、上記3層積層型素子に黄色の選択反射を行う表示層を追加したものが挙げられる。単層型素子の例としては、選択反射ピークがブロードな特性を示す液晶を用いたモノクロ表示素子や、黄色の選択反射を行う液晶を用いた表示層と青色の光吸収層とを備えることにより、青白表示を行うモノカラー表示素子が挙げられる。
【0062】
(駆動回路、図2及び図3参照)
図2に液晶表示素子100、さらに言えばその液晶表示層111に駆動電圧を印加する駆動回路の1例のブロック図を示し、図3に該駆動回路の詳細な構成を示す。なお、図3に示したロジック電源、ロジックレベルシフタは図2では図示を省略している。液晶表示素子100及び図2示す駆動回路等によって液晶表示装置Aが構成される。
【0063】
図2、図3に示す駆動回路は、走査駆動IC(ドライバ)131、信号駆動IC(ドライバ)132、制御部CONT及び電源140を含んでいる。制御部CONTは、全体の制御を行う中央処理装置(CPU)135と、駆動IC131、132を制御するLCDコントローラ136と、画像データに各種の処理を施す画像処理装置137と、画像データを記憶する画像メモリ138とを備えており、電源140から電力が供給される。CPU135には制御プログラムや各種データを記憶したROM及び各種データを記憶するRAMが内蔵されている。駆動IC131、132も電源140に接続されている。
【0064】
制御部CONTは、信号駆動IC132に接続されているとともに、ロジックレベルシフタを介して走査駆動IC131に接続されている。なお、ロジックレベルシフタは走査駆動ICに供給する電圧に対応するグランド(GND)が0Vであるべきところ電位が変化したときの補償のために該電位をシフトさせ、0Vにもどす回路である。LCDコントローラ136はCPU135からの指示により、画像メモリ138を参照しながら各駆動ICを駆動する。
【0065】
この液晶表示装置Aでは、画像メモリ138に記憶された画像データに基づいてLCDコントローラ136が駆動IC131、132を制御し、液晶表示素子100のそれぞれの走査電極113及び信号電極114間に順次電圧を印加し、液晶表示素子100に画像を書き込む。
【0066】
図2では、液晶表示素子100の液晶表示層111に駆動IC131、132を接続した状態を示しているが、液晶表示素子を複数層有する液晶表示装置の場合には、かかる駆動IC131、132は各表示素子の液晶表示層ごとにそれぞれ設ければよい。例えば液晶表示素子が3層ある場合は3系統設ければよい。しかし、各表示素子ごとにそれぞれIC131、132を設ける代わりに、駆動IC131又は132のいずれかを各表示素子で共用することも可能である。
【0067】
液晶表示素子100の画素構成は、図2に示すように、複数本の走査電極113(図2ではR1、R2〜Rm)と信号電極114(図2ではC1、C2〜Cn)(m、nは自然数)とのマトリクスで表される。走査電極R1、R2〜Rmは走査駆動IC131の出力端子に接続され、信号電極C1、C2〜Cnは信号駆動IC132の出力端子に接続されている。
【0068】
走査駆動IC131は、既述のとおり走査電極R1、R2〜Rmに接続される一方、制御部CONTに接続されるとともに電源40に接続され、制御部CONTの指示のもと電源140から出力される複数種類からなる一群の電圧(ここでは、リセット電圧(Vrs)(+V1、−V1)、選択信号電圧(Vsp)(+V2、−V2)、維持電圧(Vrt)(+V3、−V3))を走査電極R1、R2〜Rmに印加する。リセット電圧Vrs、選択信号電圧Vsp、維持電圧Vrtはここではいずれもパルス電圧である。
【0069】
そして、少なくとも一つの液晶表示層について、リセットパルスの電圧Vrsの絶対値|Vrs|は液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧Vthの絶対値|Vth|の1.2倍以上2.5倍以下に設定してある。この点については後ほどさらに詳述する。
【0070】
走査電極に駆動電圧+V1〜+V3、−V1〜−V3のそれぞれを供給するために接続線の途中には、いずれも該電圧に対応するグランド(GND)に接続された電圧安定化用のコンデンサCが接続されている。なお、走査駆動IC131に接続されているロジック電源は走査駆動ICに電力を供給するための電源である。
【0071】
信号駆動IC132は、既述のとおり信号電極C1、C2〜Cnに接続される一方、制御部CONTに接続されるとともに電源140に接続され、制御部CONTの指示のもと電源140から出力される駆動電圧(書換え信号パルス電圧Vc)(+V4、−V4))を信号電極C1、C2〜Cnに印加する。
【0072】
さらに説明すると、走査駆動IC131は、制御部CONTの指示のもと、走査電極R1、R2〜Rmのうち所定のものに選択電圧信号を出力して選択状態とする一方、他の電極には非選択信号を出力して非選択状態とする。走査駆動IC131は、所定の時間差をおいて電極を切り換えながら順次各走査電極R1、R2〜Rmに選択電圧信号を印加する。一方、信号駆動IC132は、制御部CONTの指示のもと、選択状態にある走査電極R1、R2〜Rm上の各画素を書き換えるべく、画像データに応じた信号を各信号電極C1、C2〜Cnに同時に出力する。
【0073】
例えば、走査電極Raが選択されると(aはa≦mを満たす自然数)、この走査電極Raと各信号電極C1、C2〜Cnとの交差部分の画素LRa−C1〜LRa−Cnが同時に書き換えられる。これにより、各画素における走査電極に印加される選択パルス(Vsp)と信号電極に印加される信号パルス(Vc)との電圧差が画素書換えのための電圧となり、各画素がこの電圧に応じて書き換えられる。
【0074】
制御部CONTは、液晶表示素子100のマトリクス駆動のための各フレームの走査において走査電極R1、R2〜Rmへ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるように走査駆動IC131を制御する。さらに言えば、ここでは奇数番目フレームの走査においては走査駆動IC131にて正のリセットパルス+V1、正の選択パルス+V2及び正の維持パルス+V3という一群の電圧を順次各走査電極R1、R2〜Rmに印加するとともに信号駆動IC32にて書換え信号パルス±V4を各信号電極C1、C2〜Cnに印加する。偶数番目フレームの走査においては走査駆動IC31にて負のリセットパルス−V1、負の選択パルス−V2及び負の維持パルス−V3という一群の電圧を順次各走査電極R1、R2〜Rmに印加するとともに信号駆動IC132にて信号パルス±V4を各信号電極C1、C2〜Cnに印加する(図4から図6参照)。
【0075】
このとき、選択パルス(+V2、−V2)の印加期間Tspは走査期間Tssの2分の1とし、信号パルス(Vc)±V4を走査期間Tss内で極性が変化する電圧であって正負の実効電圧が走査期間Tss内において等しい又は略等しい電圧とする。さらに、信号パルスが、走査期間内で正電圧である時間の合計と負電圧である時間の合計のそれぞれが選択パルスの印加期間Tspと同長になるようにする。制御部CONTは選択パルス(+V2、−V2)の印加期間Tspを走査期間Tssの2分の1とするように走査駆動IC131を制御し、信号パルス±V4を走査期間Tss内で極性が変化するとともに正負の実効電圧が走査期間Tss内において等しい又は略等しい電圧とし、且つ、該信号パルスが、走査期間内で正電圧である時間の合計と負電圧である時間の合計のそれぞれが選択パルス(+V2、−V2)の印加期間と同長になるように信号駆動IC132を制御する。これについては後述する駆動原理及び基本駆動例のところで詳しく説明する。
【0076】
なお、ここでは信号パルス(Vc)±V4は、デューティ比が50%で、さらに正負電圧(+V4、−V4)の絶対値が同じである矩形パルスとしている。
そして、少なくとも一つの液晶表示層について、信号パルス電圧Vcをその絶対値|Vc|が維持パルス電圧の絶対値|Vrt|の1/8以下となるようにしている。
【0077】
また、少なくとも一つの液晶表示層について、リセットパルス電圧Vrsは、|Vrs|≧|Vth|+|Vc|の条件を満足するように設定している。Vthは前記のとおり液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧である。
【0078】
さらに、少なくとも一つの液晶表示層について、信号パルスの周波数は維持パルスの周波数より大きくし、さらに、少なくとも一つの液晶表示層については、信号パルス電圧値を、該層の最大反射率(飽和反射率)の少なくとも20%〜80%のレベル範囲で表示を行えるように設定している。
【0079】
さて、以上説明した駆動回路においては、電源140は正負両方の電圧を走査駆動IC131に少なくとも駆動動作中常に供給する電源であり、走査電極R1、R2〜Rmへの駆動電圧の印加は電源140に接続された走査駆動ICにより行っている。しかし、それに限定されるものではなく、走査電極R1、R2〜Rmへの駆動電圧の印加を出力電圧の正負切り替え可能である電源に接続された走査駆動ICにより行ってもよい。
【0080】
図7及び図8に駆動回路の他の構成例を示す。
図7及び図8に示す回路構成では、図3に示す回路構成において電源140と走査駆動ICとの間に電源切替回路141を配置してある。電源140と電源切替回路141とで出力電圧の正負切り替え可能である電源140’を構成している。電源140’は制御部CONTに接続されており、4個のスイッチング素子SW1〜SW4を有している。
【0081】
素子SW1〜SW4は、制御部CONTの指示のもと、正の電圧を印加する状態(図中1側)又は負の電圧を印加する状態(図中2側)に同時切り換えられ、1側の状態にあるときは電源140からの正の電圧+V1、+V2、+V3を、2側の状態にあるときは電源140からの負の電圧−V1、−V2、−V3を走査駆動IC131に供給できる。
【0082】
図7及び図8に示す回路構成の駆動装置では、制御部CONTは走査駆動IC131に供給する電圧をフレーム毎に正の電圧+V1、+V3、+V2から負の電圧−V2、−V3、−V1に、又はその逆に切り替えることで走査電極113へ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるように電源140’及び走査駆動IC131を制御する。この駆動装置によると、簡単な回路構成で液晶表示素子の駆動を実現できる。なお、図7は素子SW1〜SW4が1側に切り換えられた奇数番目フレームの状態を示しており、図8は素子SW1〜SW4が2側に切り換えられた偶数番目フレームの状態を示している。
【0083】
画像の書換えは通常全ての走査ラインを順次選択して行う。部分的に書換える場合は、書き換えるべき部分を含むように特定の走査ラインのみを順次選択するようにすればよい。これにより、必要な部分のみを短時間で書き換えることができる。図7及び図8に示す回路構成では、走査駆動ICに供給される電圧は、図3の構成に比べて2分の1になっている。従って、走査駆動ICは図3の構成よりも安価な耐圧の低いものを使用することが可能である。
【0084】
(駆動原理及び基本駆動例、図4から図6及び図9から図11参照)
まず、前記液晶表示素子100の駆動方法の基本原理について説明する。なお、ここでは、パルス波形を用いた具体例を挙げて説明するが、駆動方法がこの波形に限定されないことはいうまでもない。
【0085】
図4(A)は走査駆動IC131から各走査電極に出力される奇数番目フレームの基本駆動波形の一例を示す図であり、図4(B)は走査駆動IC131から各走査電極に出力される偶数番目フレームの基本駆動波形の一例を示す図である。
【0086】
また、図5及び図6は走査駆動IC131から各走査電極(ロウ電極)に出力される電圧波形、信号駆動IC132から一部の信号電極(カラム電極)に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶116部分(図ではLCD1〜LCD28として示す)に印加される電圧波形を示す図であり、図5に該電圧波形のうちの奇数番目フレームのためのものを、図6に該電圧波形のうちの偶数番目フレームのためのものを示す。
【0087】
図5及び図6では、複数の走査電極113(図では28本のロウ1、2〜28)に順次選択電圧信号を出力し、複数の信号電極114のうちの一つを抜き出した一の信号電極(図ではカラムb(bはb≦nを満たす自然数)として示す)について、該カラムbから信号パルス(Vc)を出力する基本駆動例を示している。
【0088】
カラムbから出力される信号パルス波形は、ここではいずれの走査時間Tssにおいても液晶の選択反射状態を選択するパルスが順次出力されるものとして図示しているが、各走査時間Tssにおいて液晶の透明状態、液晶の選択反射状態及びそれらの混在状態をそれぞれ選択する信号パルス波形をカラムbから出力することもできる。これについてはのちほど詳述する。
【0089】
また、図中LCD1、2〜28は走査電極(ロウ1、2〜28)と信号電極(カラムb)とが交差する画素に対応する液晶であり、該画素に対応する液晶に印加される電圧波形が示されている。なお、液晶には信号電極に印加される信号パスルによるクロストークパルスが印加される。これについてものちほど説明するので、図5及び図6ではクロストークパルスが印加される領域は太線で示している。
【0090】
この駆動では、既述したように、各フレームの走査において走査電極(ロウ1、2〜28)に印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させている。例えば、走査電極(ロウ1、2〜28)のうちの最初の走査電極1から最後の走査電極28までの1回の走査が完了する1フレームの走査においては前記駆動電圧を単一極性とし、各フレーム毎に前記駆動電圧の極性を反転させている。
【0091】
駆動期間は、大きく分けて、リセット期間Trsと、選択期間Tsと、維持期間Trtと、表示期間Tiとから構成されている。選択期間Tsは、必ずしもそうである必要はないが、ここではさらに、走査期間Tssと、前選択期間Tsz及び後選択期間Tsz’を含んでいる。
【0092】
図示例では、Tsz=Tsz’であり、従って走査期間Tssは選択期間Tsの中央部を占める〔Ts−(Tsz+Tsz’)〕の期間である。ここでTss=Tsz=Tsz’であるとすると、前記のとおりTss=2×Tspであるから、選択パルス印加期間Tspは選択期間Tsの6分の1を占めることになる。なお、Tsp/Tsは1/6に限定されるものではなく、例えば必要に応じて1/2とか、1/10等も採用できる。
【0093】
図4から図6に示すように、基本駆動波形において、リセット期間Trsではリセットパルス(Vrs)(奇数番目フレームでは正パルス+V1、偶数番目フレームでは負パルス−V1)が印加される。選択期間Tsにおいては、選択パルス印加期間Tspで選択パルス(Vsp)(奇数番目フレームでは正パルス+V2、偶数番目フレームでは負パルス−V2)が印加される。さらに、この期間Tspを含む走査期間Tssでは信号駆動IC132から信号パルス(Vc)±V4が重畳される。この信号パルス±V4は画像データに基づいて設定される電圧である。信号パルス±V4は、ここでは、デューティ比が50%で、さらに正負電圧(+V4、−V4)の絶対値が同じである矩形パルスである。また、基本駆動波形において、前選択期間Tsz及び後選択期間Tsz’は電圧ゼロの期間である。さらに、維持期間Trtでは維持パルス(Vrt)(奇数番目フレームでは正パルス+V3、偶数番目フレームでは負パルス−V3)が印加される。
【0094】
液晶の動作は以下のとおりである。まず、リセット期間Trsで+V1(奇数番目フレーム)又は−V1(偶数番目フレーム)のリセットパルスが印加されると、液晶はホメオトロピック状態にリセットされる。次に、前選択期間Tszを経て(液晶は捩じれが少しだけ戻る)選択パルス印加期間Tspに到る。ここで印加される選択パルスの波形は、最終的にプレーナ状態を選択する画素と、フォーカルコニック状態を選択する画素とで異なる。
【0095】
なお図4から図6にはプレーナ状態を選択する場合について示しているが、フォーカルコニック状態を選択する場合には、例えば信号パルスの位相をプレーナ状態を選択する場合より半周期分ずらせばよく、両状態の混在状態(中間調)状態を選択するには、信号パルスの位相を半周期より短く或いは長くずらせばよい。例えば1/4周期分ずらせばよい(図11参照)。
【0096】
まず、プレーナ状態を選択する場合を説明する。この場合には、液晶に選択パルス印加期間Tspで〔(+V2)−(−V4)〕(奇数番目フレーム)(図5、図9参照)又は〔(−V2)−(+V4)〕(偶数番目フレーム)(図6参照)の電圧を印加し、再び液晶をホメオトロピック状態にする。
【0097】
その後、後選択期間Tsz’で液晶は捩じれが少しだけ戻った状態になる。その後、維持期間Trtで+V3(奇数番目フレーム)又は−V3(偶数番目フレーム)の維持パルスを印加すると、先の後選択期間Tsz’で捩じれが少しだけ戻った状態になった液晶は、維持パルスが印加されることにより再び捩じれが解け、ホメオトロピック状態になる。なお、図9〜図11においてLCDxは、ロウaに出力される選択パルス波形及びカラムbに出力される信号パルス波形の双方が印加される液晶をあらわしている。
【0098】
ここで、ホメオトロピック状態の液晶は電圧をゼロにすることによりプレーナ状態となり、プレーナ状態のまま固定される。
一方、最終的にフォーカルコニック状態を選択する場合には、選択パルス印加期間Tspで(+V2)−(+V4)(奇数番目フレーム)(図10参照)又は(−V2)−(−V4)(偶数番目フレーム)の電圧を印加する。そして、後選択期間Tsz’では、液晶は捩じれが戻ってヘリカルピッチが2倍程度に広がった状態になる。
【0099】
その後、維持期間Trtで維持パルス+V3(奇数番目フレーム)又は−V3(偶数番目フレーム)を印加する。後選択期間Tsz’で捩じれが戻ってきた液晶は、この維持パルスを印加することにより、フォーカルコニック状態へと遷移する。ここで、フォーカルコニック状態の液晶は電圧をゼロにしても、フォーカルコニック状態のまま固定される。
【0100】
中間調状態を選択するには、例えば信号パルスの位相を1/4周期分ずらすときには、奇数番目フレームについては図11に示すように、選択パルス印加期間Tspの1/2の期間で〔(+V2)−(+V4)〕を、引き続き残る1/2の期間で〔(+V2)−(−V4)〕を印加し、偶数番目フレームについてはTsp/2の期間で〔(−V2)−(−V4)〕を、引き続き残るTsp/2の期間で〔(−V2)−(+V4)〕を印加すればよい。
【0101】
以上説明した液晶表示装置によると、液晶表示素子100のマトリクス駆動のための各フレームの走査において走査電極113へ印加する駆動電圧の極性を、各フレームにおいては単一極性とし、フレーム毎に反転させるので、それだけ各フレームにおいて液晶116に印加される電圧の単一極性の状態が連続して続く時間を長くできる。これにより、液晶116に印加する電圧として、例えば、各フレームにおいて電圧波形の極性が周期的に変化する交番電圧を採用する場合に比べ、液晶116に印加される電圧の実質的な波形繰り返し周波数を下げることができるとともに走査電極113へ印加する駆動電圧の電圧値を2分の1にすることができ、それだけ液晶表示素子100を駆動するための消費電力を低下させることができる。従って、液晶表示素子100を駆動するための消費電力を小さくできる。
【0102】
また、図5及び図6の太線で示すように、どの画素に対応する液晶LCD1、LCD2〜LCD28に印加される電圧波形も信号電極に印加される信号パルスによるクロストークを受ける。
【0103】
しかし、ここではロウaに印加される選択パスルを、印加時間Tspを走査時間Tssの2分の1にした電圧とし、カラムbに印加される信号パルスを、デューティ比が50%で、さらに正負電圧の絶対値が同じである矩形パルスとすることで、各画素に対応する液晶LCD1、LCD2〜LCD28に印加されるクロストークによる電圧を実質上一定にでき、これにより該クロストークを受けたときの画像表示におけるシャードーイングが抑制される。
【0104】
また、少なくとも一つの液晶表示層における画像観察側とは反対側の基板上の配向膜119にラビング密度L=10以下でラビング処理を施してあるので、液晶の選択反射状態における反射率を大きくして表示レンジを広くし、それにより良好な表示を行え、それでいて素子100の視野角依存性が大きくなりすぎず、また、メモリ性を著しく低下させることがない。
【0105】
さらに、少なくとも一つの液晶表示層について、リセットパルスの電圧の絶対値|Vrs|は液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値|Vth|の1.2倍以上2.5倍以下に設定してあるので、液晶層の厚みdを前記のように薄くする場合でも素子100の表示レンジをそれだけ広くして良好な表示が行える。後述するように|Vrs|を|Vth|の1.5倍以上2.5倍以下に設定すれば、一層確実に表示レンジを拡大させることができる。
【0106】
また、少なくとも一つの液晶表示層について、信号パルス電圧Vcをその絶対値|Vc|が維持パルス電圧の絶対値|Vrt|の1/8以下となるようにしているので、それだけ維持期間における信号パルスによるクロートークの影響を小さくして、前記のように薄い液晶層を採用する場合でも良好な表示を行える。
【0107】
また、少なくとも一つの液晶表示層について、リセットパルス電圧Vrsは、|Vrs|≧|Vth|+|Vc|の条件を満足するように設定しているので、それだけリセット期間において確実に液晶をホメオトロピック状態へ移行させることができそれだけ良好な表示を行える。
【0108】
さらに、少なくとも一つの液晶表示層について、信号パルスの周波数は維持パルスの周波数より大きくしているので、この点でもクロストークの影響が小さい。さらに、少なくとも一つの液晶表示層については、信号パルス電圧値を、該層の最大反射率(飽和反射率)の少なくとも20%〜80%のレベル範囲で表示を行えるように設定しているので、それだけ広い表示レンジが得られる。
【0109】
なお、走査電極への電圧印加は前記したようなフレームごとのプラス、マイナスの反転電圧印加である必要はなく、いずれのフレームについても交番電圧印加であってもよい。図12は走査駆動ICから各走査電極に交番電圧を印加する基本駆動波形の一例を示しており、図13は走査駆動ICから各走査電極(ロウ電極)に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極(カラム電極)に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶116部分(図ではLCD1〜LCD28として示す)に印加される電圧波形の例を示している。
【0110】
また図14(A)は画素液晶LCDxがプレーナ状態となる印加電圧波形例を、図14(B)は液晶LCDxがフォーカルコニック状態となる印加電圧波形例を、図14(C)は液晶LCDxが中間調表示となる印加電圧波形例を示している。
【0111】
次に、少なくとも一つの液晶表示層について、前記のとおりリセットパルスの電圧Vrsの絶対値|Vrs|を液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧Vthの絶対値|Vth|の1.2倍以上に設定すれば、それだけ良好な表示を行えること確認した実験について説明する。
【0112】
図16は以下の液晶表示素子を駆動した実験の結果を示している。
素子:ITO(インジゥム錫酸化物)電極を形成した一対のポリカーボネート(帝人社製)の基板(厚み100μm)を該電極を互いに対向させて配置するとともに該両基板間にカイラルネマチック液晶及びスペーサを保持させ、両基板周縁部をシール材で封止した素子。
カイラルネマチック液晶はネマチック液晶とカイラル材とを混合し、ヘリカルピッチpが0.35μm、液晶屈折率nが1.6、選択反射波量λが0.55μmとなるように調合したもの。
該カイラルネマチック液晶をホメオトロピック状態とする閾値電圧の絶対値|Vth|は25Vである。
スペーサは積水ファインケミカル社製ミクロパールであり、粒径3μmである。
シール材は住友ベークライト社製ERS−2400である。
液晶層の厚みdはスペーサ径と同じ3μmであり、従ってd/pは8.57となる。
【0113】
かかる液晶表示素子の一方の電極に、図12に示すように、交流リセット電圧±VR〔V〕を50〔ms〕印加し、リセット電圧印加の終了後に0.2msの前選択期間をおいて種々の交流選択パルスをそれぞれ0.2ms印加するとともに他方電極には信号パルスを印加し、その後0.2msの後選択期間をおいて維持パルス±21〔V〕を50〔ms〕印加した。維持パルス印加終了後に素子の反射率をミノルタ株式会社製の分光測色計CM3700dにて測定した。その結果を、横軸に選択パルスと信号パルスとにより液晶に印加される印加電圧値(選択電圧値)を、縦軸に反射率をとって図16に示す。
【0114】
図16においてVRはリセットパルス電圧の絶対値|Vrs|であり、VHは閾値電圧の絶対値|Vth|である。図16に示すように、リセットパルス電圧の絶対値VRが閾値電圧絶対値VHの1.2倍程度以上になってくると、反射率の高い明るい領域が急に拡大してくる。このように反射率の高い明るい領域の拡大により、表示素子の表示レンジ(表示再現範囲)がそれだけ拡大し、良好な表示を行えることが分かる。従って、既述のように、リセットパルス電圧の絶対値を閾値電圧絶対値の1.2倍以上に設定することで、良好な表示が可能である。
【0115】
また、図16から分かるように、リセットパルス電圧絶対値が閾値電圧絶対値の1.5倍程度以上になってくるとより確実に表示レンジが拡大する一方、2.5倍程度にまで大きくなってくると、素子反射率が飽和状態に達する。従って、これ以上大きくしても表示レンジを拡大することはできなくなってくるうえ、リセットパルス電圧を大きくしすぎると、該電圧を素子に印加するための駆動IC等の部品が高価なものとなってくる。従って、リセットパルス電圧絶対値の上限については閾値電圧絶対値の2.5倍程度が好ましいと言える。
【0116】
以上のことより、リセットパルス電圧の絶対値は、閾値電圧絶対値の1.2倍以上、より好ましくは閾値電圧絶対値の1.2倍以上2.5倍以下、さらに好ましくは1.5倍以上2.5倍以下と言える。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によると、コレステリック液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法であって、該素子に含まれる液晶層がたとえ薄くても良好な表示を行うことができ、ひいては、良好な表示が行える状態で液晶層を薄くできることでそれだけ安価な液晶表示素子の提供が可能となる液晶表示素子の駆動方法を提供することができる。
【0118】
また本発明によると、コレステリック液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子を備えた液晶表示装置であって、該素子に含まれる液晶層がたとえ薄くても良好な表示を行うことができ、ひいては、良好な表示が行える状態で液晶層を薄くできることでそれだけ安価に提供できる液晶表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単純マトリクス駆動方式により駆動できる反射型積層型液晶表示素子の概略構成を示す断面図である。
【図2】液晶層に駆動電圧を印加する駆動装置の主要部である駆動回路の1例のブロック図である。
【図3】図2に示す駆動回路の詳細な構成の一例を示す図である。
【図4】図4(A)は走査駆動ICから各走査電極に出力される奇数番目フレームの基本駆動波形を示す図であり、図4(B)は走査駆動ICから各走査電極に出力される偶数番目フレームの基本駆動波形を示す図である。
【図5】走査駆動ICから各走査電極に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶に印加される電圧波形を示す図であり、該電圧波形のうちの奇数番目フレームのものを示す図である。
【図6】走査駆動ICから各走査電極に出力される電圧波形、信号駆動ICから一部の信号電極に出力される電圧波形、及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶に印加される電圧波形を示す図であり、該電圧波形のうちの偶数番目フレームのものを示す図である。
【図7】図3に示す駆動回路の他の構成例を示す図であり、スイッチング素子が1側に切り換えられた奇数番目フレームの状態を示すものである。
【図8】図4に示す回路構成において、スイッチング素子が2側に切り換えられた偶数番目フレームの状態を示すものである。
【図9】ロウ電極に出力される選択パルス波形、カラム電極に出力される信号パルス波形、これらの電圧によって液晶に印加される電圧波形の選択期間部分を中心とする部分を拡大した図であり、液晶を選択反射状態にする様子を示している。
【図10】図9と同様の図であり、液晶を透明状態にする様子を示している。
【図11】図9と同様の図であり、液晶を中間調表示状態にする様子を示している。
【図12】液晶表示素子の駆動方法の他の例において走査電極へ印加する基本駆動波形を示す図である。
【図13】図12に示す基本駆動波形を採用した場合の走査電極へ出力される電圧波形、信号電極へ出力される電圧波形及びこれらの電圧により各画素に対応する液晶部分に印加される電圧波形の例を示す図である。
【図14】図12に示す基本駆動波形を採用した場合において画素液晶のプレーナ状態等の状態をもたらす印加電圧波形例を示しており、図14(A)は画素の液晶LCDxがプレーナ状態となる電圧波形例を、図14(B)は液晶LCDxがフォーカルコニック状態となる選択電圧波形例を、図14(C)は液晶LCDxが中間調表示となる選択電圧波形例を示している。
【図15】液晶表示素子の液晶層に印加される液晶の最終状態を選択するための印加電圧と該電圧に基づく該素子のピーク選択反射波長における反射率との関係を示す曲線の例を示す図である。
【図16】実験に用いた液晶表示素子についての図15に示すと同様の曲線をリセット期間に印加するリセット電圧を種々変えて、各リセット電圧毎に示した図である。
【符号の説明】
100 液晶表示素子
111 液晶表示層
112 透明基板
113 透明電極(走査電極、ロウ)
114 透明電極(信号電極、カラム)
115 樹脂製柱状構造物
116 コレステリック相を示す液晶
117 スペーサ
118 絶縁膜
119 配向制御膜
120 シール材
121 光吸収層
131 走査駆動IC(ドライバ)
132 信号駆動IC(ドライバ)
135 中央処理装置(CPU)
136 LCDコントローラ
137 画像処理装置
138 画像メモリ
140 電源
140’ 出力電圧の正負切り替え可能である電源
141 電源切替回路
a 複数のロウのうちの一つを抜き出した一のロウ
b 複数のカラムのうちの一つを抜き出した一のカラム
CONT 制御部
C 電圧安定化用のコンデンサ
C1,C2〜Cn 信号電極
R1,R2〜Rm 走査電極
SW1〜SW4 スイッチング素子
Ti 表示期間
Trs リセット期間
Vrs リセットパルス電圧
Trt 維持期間
Vrt 維持パルス電圧
Ts 選択期間
Tsp 選択パルス印加期間
Vsp 選択パルス電圧
Tss 走査時間
Tsz 前選択期間
Tsz’ 後選択期間
Tw 書換え信号電圧の印加時間
Vc 信号パルス電圧

Claims (5)

  1. コレステリツク液晶相の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の駆動方法であり、
    該素子に含まれる液晶をホメオトロピック状態へリセットするリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持期間を含む波形の駆動電圧を該液晶に印加して画像表示を行い、前記リセット期間においてはリセットパルスを前記液晶に印加し、該リセットパルスの電圧の絶対値を前記液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値の1.2倍以上に設定することを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
  2. 前記リセットパルスの電圧の絶対値を前記液晶をホメオトロピック状態にする閾値電圧の絶対値の1.2倍以上2.5倍以下に設定する請求項1記載の液晶表示素子の駆動方法。
  3. 前記液晶表示素子に含まれる液晶の層の厚みd〔μm〕と該液晶の螺旋ピッチp〔μm〕とが(d/p)<12の関係にある請求項1又は2記載の液晶表示素子の駆動方法。
  4. 複数の走査電極と複数の信号電極との間にコレステリック相を示す液晶を保持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示素子の単純マトリスクス駆動方式による駆動方法であり、
    前記複数の走査電極に所定の時間差をおいて順次選択電圧信号を印加して選択状態とする一方、前記複数の信号電極に書換え信号パルスを印加し、該書換え信号パルスの印加は、前記選択状態とされる走査電極ごとに、該走査電極への前記選択電圧信号印加に同期して該走査電極に対応する書換え信号パルスを印加することで行い、
    前記選択電圧信号として、前記液晶をホメオトロピック状態にリセットするリセットパルスを印加するリセット期間、電圧無印加状態での該液晶の配列を選択する選択パルスを印加するための選択期間及び該液晶の最終的な表示状態を確立するための維持パルスを印加する維持期間を含む波形の電圧信号を採用し、
    前記信号電極に印加する書換え信号パルスの電圧の絶対値|Vc|と、前記走査電極に印加する前記維持パルスの電圧の絶対値|Vrt|とが
    |Vc|≦|Vrt|×1/8
    の条件を満たすように該書換え信号パルス及び維持パルスを設定することを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
  5. 前記書換え信号パルスの周波数が前記維持パルスの周波数より大きい請求項4記載の液晶表示素子の駆動方法。
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