JP2004345458A - 舵装置および船舶 - Google Patents

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直人 中村
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Abstract

【課題】本発明の舵装置の課題は、キャビテーションを抑えてキャビテーションによるエロージョンの発生を抑えることにある。
【解決手段】船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーン1と、このラダーホーンに組み合される舵板2と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸3とを具備し、ラダーホーンにおける軸受け部の上部に位置する後側縁面と、この後側縁面と向い合う舵板の前側縁面との間の隙間に、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限シート31を設ける。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は舵装置およびこの舵装置を備えた船舶に関する。
【0002】
【従来の技術】
船舶は船体の船尾に方向制御のために舵装置を設けており、この舵装置は一般に、船体に固定されるラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンにわたり垂直方向に挿通されて舵板を左右方向に回動させる舵軸とを具備している(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
この舵装置では、船体の船尾に設けられたプロペラ(スクリュ)の後側に置かれてプロペラの回転により形成される水の流れの中で作動するが、従来の舵装置では舵板自身の形状に伴って発生するキャビテーション、あるいはプロペラの回転により発生するキャブテーションの影響によりエロージョンやペイント剥離などの損傷が発生している。
【0004】
図8は舵装置において発生するエロージョンの分布の例を示す図で、図8(a)は舵装置の左側面図、図8(b)は右側面図である。図9は舵装置においてエロージョンの原因となるキャビテーション発生する分布の例を示す図で、図8(a)は舵装置の左側面図、図9(b)は右側面図である。
【0005】
図8および図9において101は船体に固定され下端部に後方に突出する軸受け部101aを有するラダーホーン、102はラダーホーン101に組み合され軸受け部101aの上側に位置する軸挿通部102aを有する舵板、103は船体に設けられ舵板102の軸挿通部102aとラダーホーン101の軸受け部101aを垂直に挿通して舵板102を左右方向に回動させる舵軸103である。
【0006】
なお、図8(a)および図9(a)において左側が前側で、矢印は船が進む方向を示す。図8(b)および図9(b)において右側が前側で、矢印は船が進む方向を示す。
【0007】
図8においてA1ないしA6は舵装置において発生するエロージョンを示し、図9においてB1ないしB6は舵装置において発生するキャビテーションを示している。エロージョンA1ないしA6の発生箇所はキャビテーションB1ないしB6の発生箇所と対応しており、エロージョンA1ないしA6はキャビテーションB1ないしB6を原因とするものである。
【0008】
エロージョンA1、A2は舵装置の可動部で発生するキャビテーションを原因とする損傷である。A1はラダーホーン101における軸受け部101aの上部に位置する後側縁面と、この後側縁面と向い合う舵板102における軸挿通部102aの前側縁面に発生するエロージョンである。エロージョンA1はこの箇所で発生するキャビテーションB1を原因とする損傷である。図10はこの箇所を図8(b)のS−S線に沿う断面図である。この図10に示すようにラダーホーン101における後側縁面と舵板102における前側縁面との間に形成される隙間を水が貫通して左右方向に流れることによりキャビテーションB1が発生する。従来、この隙間は水が容易に流れる厚さを有している。
【0009】
A2はラダーホーン101における軸受け部101aの後側縁面とこの後側縁面と向い合う舵板102の前側縁面で発生するエロージョンである。エロージョンA2はこの箇所で発生するキャビテーションB2を原因とする損傷である。すなわち、図11はこの箇所を図8(b)のR−R線に沿う断面図である。図11に示すようにこの箇所では、ラダーホーン101における軸受け部101aの後側縁面と舵板102における前側縁面との間に形成される隙間を水が貫通して左右方向に流れることによりキャビテーションが発生する。また、この箇所は舵板102の回動を可能にするために舵板102の左右両側部において隙間に面する部分を切欠して凹部を形成している。このため、舵装置の左右両側において前側から後側へ向けて流れる水が、舵板102の凹部に入り込むことによりキャビテーションが発生する。キャビテーションB2はこれら両方のキャビテーションを指す。
【0010】
A3はラダーホーン101における前側縁面と下側縁面とが交叉する角部と、舵板2における前側縁面とラダーホーン101の下側縁面と組み合わさる上側縁面とが交叉する角部に発生するエロージョンである。エロージョンA3はこの箇所で発生するキャビテーションB3を原因とする損傷である。A4は舵板102における前側縁面と下側縁面とが交叉する角部に発生するエロージョンである。エロージョンA4はこの箇所で発生するキャビテーションB4を原因とする損傷である。
【0011】
A5は舵板102における下側縁面の前部に発生するエロージョンで、これはこの箇所に発生するキャビテーションA5を原因とする損傷である。A6はラダーホーン101の側面に発生するエロージョンで、これはプロペラから発生するチップボルテックキャビテーションである。
【0012】
これらのエロージョンA1ないしA6のなかで、A1ないしA4(とりわけ舵装置の可動部に発生するエロージョンA1およびA2)は損傷の度合いが大きく、舵装置の信頼性および耐久性を高めるためにはこれらのエロージョンA1ないしA4の損傷を抑えることが必要となる。
【0013】
キャビテーションA5は舵板102の形状を変更することにより発生を抑制できる。キャビテーションA6はプロペラの形状を変更することにより発生を抑制できる。
【0014】
【特許文献1】
特開平10−167190号公報(第2頁、図1および図2)
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
従来の舵装置では、エロージョンの発生に対処するために、ラダーホーン101および舵板102におけるエロージョンが発生する各部分の表面部にステンレス鋼からなる板材を貼り付けて補強していた。しかし、この方法は、あくまでキャビテーションの発生を前提とした対処療法的なもので、エロージョンの発生箇所を補強するステンレス鋼材のエロージョンの発生を抑えることはできなかった。このため、舵装置におけるエロージョンの発生を抑制することが要望されていた。
【0016】
本発明は、キャビテーションを抑えてキャビテーションによるエロージョンの発生を抑えることができる舵装置およびこの舵装置を備えた船舶を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明の舵装置は、船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸とを具備し、前記ラダーホーンにおける前記軸受け部の上部に位置する後側縁面と、この後側縁面と向い合う前記舵板の前側縁面との間の隙間に、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段が施されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、舵装置の可動部の隙間における左右方向の水の流れを抑制してキャビテーションの発生を抑え、もってキャビテーションを原因とるエロージョンの発生を抑えることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に述べる本願発明の第1ないし第4の実施の形態で対象にする船舶の舵装置について図1および図2を参照して説明する。図1は舵装置の右側面を示す図、図2は左側面を示す図である。図中51は船舶の船体(図面では船体の船尾を示している。)、52は船体51の船尾に設けられたプロペラである。舵装置53は船体51の船尾においてプロペラ52の後方に設けられている。舵装置53はラダーホーン1、舵板2および舵軸3を備えている。
【0020】
ラダーホーン1は垂直に配置された板材をなすもので、船体51に固定されている。ラダーホーン1は下端部に後方へ向けて水平に突出する矩形をなす軸受け部1aを有している。舵板2は垂直に配置された板材をなすもので、ラダーホーン1の軸受け部1aの上側に位置する軸挿通部2aと、軸挿通部2aの下側に位置して軸受け部1aを逃げて組み合さる逃げ部2bを有している。
【0021】
舵板2は逃げ部2bからラダーホーン1の下側でその前側縁面まで延びている。舵板2はラダーホーン1の後方にこれと組み合せて配置されている。ラダーホーン1と舵板2との組み合せは図3ないし図5に示すように前後方向に沿う断面が流線形をなしている。
【0022】
舵軸3は船体51から下側へ向けて垂直に突出して設けられ、舵板2の軸挿通部2aに挿通固定されるとともにラダーホーン1の軸受け部1aに回転自在に支持されている。舵軸3は船体51に設けた図示しない駆動機構により所定角度回動され、これにより舵板2を左右方向へ回動するようになっている。
【0023】
本発明の第1の実施の形態について図2を参照して説明する。図3は図1のZ−Z線に沿う断面図である。
【0024】
この実施の形態は、図8に示すエロージョンA1を発生させる原因となる図9に示すキャビテーションB1の発生を抑制するもので、ラダーホーン1における前記軸受け部1aの上部に位置する後側縁面11と、この後側縁面11と向い合う舵板2における軸挿通部2aの前側縁面21との間の隙間L1を対象にしている。この隙間L1を形成する舵板1における前側縁面21は舵軸3の中心軸線Oを中心として描かれる円弧面(凸面)であり、ラダーホーン1の後側縁面11は例えば舵軸3の中心軸線Oを中心として描かれる円弧面(凹面)であり、隙間L1は中心軸線Oを中心として描かれる円弧をなしている。
【0025】
隙間L1に通水制限シート31が配置されている。通水制限シート31は、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段の一例で、水が前記隙間L1を通って左右方向に流れることを妨げるシートである。通水制限シート31は、耐摩耗性、耐水性、耐食性などの性質を有する材料、例えばゴムやポリ4弗化エチレンにより形成されている。通水制限シート31は隙間L1全体を塞ぐように隙間L1の長さに相当する長さを有する帯形のシートをなしている。通水制限シート31の幅は隙間L1の幅より小さくても隙間L1における水の流れを抑制することはできるが、舵板2との摩擦や損傷を考慮して隙間L1の幅に相当する大きさを有すると信頼性が高い。通水制限シート31は一側面が舵板2における前側縁面21に接触し、他側面がラダーホーン1の後側縁面11に接触するように隙間L1の厚さ(間隔)より大きい厚さ(間隔)を有している。これは舵板2との摩擦や損傷を考慮して信頼性を高めるためである。
【0026】
なお、隙間L1の厚さは、ラダーホーン1および舵板2の加工および組立て、通水制限シート31の厚さ(間隔)および取り付け、舵板2の回動などの条件を考慮して設定する。
【0027】
そして、通水制限シート31は例えば一方の面がラダーホーン1の後側縁面11に当接して例えば加粒接着、圧入接着などの方法により取り付けられ、他方の面が舵板2の前側縁面21に接触している。このため、通水制限シート31はラダーホーン1の後側縁面11と舵板2における前側縁面21とで形成される隙間L1を厚さ方向に隙間なく塞いでおり、舵板2は通水制限シート31に接触した状態で回動する。通水制限シート31は舵板2の前側縁面21に取付けて、ラダーホーン1の後側縁面11に接触させることも可能である。ただし、通水制限シート31を固定側であるラダーホーン1の後側縁面11に取付けることにより、通水制限シート31を安定して取付けることができる。
【0028】
このため、通水制限シート31は水が舵装置53の正圧側から負圧側へ隙間L1を通って左右方向へ貫通して流れることを抑制する。このため、隙間L1を左右方向に貫通する水の流れによるキャビテーションの発生を抑制することができ、図9に示すキャビテーションB1を原因とするラダーホーン101の後側縁面11と舵板2の前側縁面21における図8に示すエロージョンA1の発生を抑制することができる。
【0029】
この実施の形態では、通水制限シート31をラダーホーン1の後側縁面11および舵板2の前側縁面21の一方の面に取り付け、他方の面に接触させているが、通水制限シート31を他方の面に接触させず、他方の面に対して水の流通を妨げる厚さの隙間を形成するようにしても良い。この場合、通水制限シート31と他方の面との間の隙間の厚さ(間隔)は例えば10mmである。
【0030】
また、ラダーホーン10の後側縁面11と舵板2の前側縁面21との間の隙間L1を水が通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段としては、他に隙間L1に通水制限シート31を設けることの他に、隙間L1の厚さ(間隔)を水の流通を妨げる大きさ、例えば10mmに設定することが挙げられる。図4はこの第2の実施の形態の構成を示す断面図であり、図3と同じ部分は同じ符号を付して示している。隙間L1は厚さが前記の大きさに設定され、隙間L1に通水制限シート31を設けていない。
【0031】
第3の実施の形態について図5を参照して説明する。図5は図1のY−Y線に沿う断面図で、図3と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0032】
この実施の形態は、図8に示すエロージョンA2を発生させる原因となる図9に示すキャビテーションB2の発生を抑制するもので、ラダーホーン1における軸受け部1aの後側縁面12と、この後側縁面12と向い合う舵板2における前側縁面22のとの間で形成される隙間L2、およびその周辺を対象にしている。
【0033】
この隙間L2を形成するラダーホーン1の後側縁面12は舵軸3の中心軸線Oを中心として描かれる円弧面(凸面)であり、舵板1における前側縁面22は中心軸線Oを中心として描かれる円弧面(凹面)であり、隙間L1は中心軸線Oを中心として描かれる円弧をなしている。
【0034】
すなわち、この実施の形態では、ラダーホーン1における軸受け部1aの後側縁面12と、この後側縁面12と向い合う舵板2における前側縁面22との間の隙間L2に、水がこの隙間L2を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段を施し、且つラダーホーン1における軸受け部1aの左側部および右側部に、これら両方の側部で開口する隙間L2の開口部を覆うとともにラダーホーン1と舵板2の左側および右側で前後方向に流れる水の流れを整える案内部材を取付けている。
【0035】
通水制限手段としては、例えば前述した通水制限シート31と同様な通水制限シート41を隙間L2に設ける。すなわち、この通水制限シート41は、例えばゴムやポリ4弗化エチレン樹脂により形成され、隙間L2の幅および長さに相当する幅および長さを有するとともに隙間L2の厚さより大きい厚さを有している。そして、通水制限シート41は例えば固定側であるラダーホーン1の後側縁面12に例えばネジ止めなどの手段により取り付け、舵板2の前側縁面22に接触させる。
【0036】
これによりラダーホーン1における軸受け部1aの後側縁面12と舵板2における前側縁面22との間の隙間L2を、水が正圧側から負圧側へ向けて左右方向に貫通して流れることを抑制できる。このため、隙間L1を左右方向に貫通する水の流れによるキャビテーションの発生を抑制でき、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる。
【0037】
また、通水制限手段として通水制限シートを設ける他に、隙間L2の厚さ(間隔)を水の流通を妨げる大きさに設定することが挙げられる。
【0038】
舵板2における左側面および右側面には、隙間l2の幅方向開口に連続する部分、すなわち前側縁面22に連続する部分に、舵板厚さ方向内部へ向けて切欠した溝部(凹部)28が舵板長さ方向(上下方向)に沿って夫々形成されている。これは舵板2の回動を可能にするためのものである。ラダーホーン1の左側面および右側面における後端(後側縁面12に連続する後端)には夫々案内部材42が取付けてある。この案内部材42はラダーホーン1と舵板2の左側および右側において前側から後側へ向けて流れる水の流れを整える案内部材の一例である。この案内部材42はラダーホーン1の側面の後端から舵板2の溝部28の幅方向後端にわたる距離に相当する幅と溝部28の全長に相当する長さを有する帯形をなしている。なお、案内部材42は例えばゴム等の可撓性材料により形成されている。
【0039】
また、案内部材42の外側面は、ラダーホーン1の側面に沿って流れてきた水を、乱流を起こさず層流の状態で舵板2の側面に沿って流れるように案内するように緩やかな曲線を描く面となっている。すなわち、図4に示すようにラダーホーン1の側面と舵板2の側面はラダーホーン1から舵板2へかけて流線形を形成する曲面をなしているが、この曲面(流線形)が溝部28で途切れている。このため、水の流れがこの溝部28で乱流を起こしてキャビテーションを発生する原因となっている。案内部材42の外側面は溝部28の開口を覆って、溝部28で途切れたラダーホーン1の側面から舵板2の側面へ続く曲面を連続させるものである。
【0040】
そして、案内部材42は舵板2の左側面および右側面における溝部28の開口に溝部長さ方向に沿って配置され、幅方向前端がラダーホーン1の側面後端に取り付けられている。この取り付け手段は例えばネジ止めである。なお、案内部材42を固定側であるラダーホーン1に取り付けることにより、常に案内部材42を可動側である舵板2に対して一定位置に保持することができる。
【0041】
この案内部材42を用いた構成によれば、舵装置53の左側および右側において前側から後側へ向けて流れる水が、舵板2の左側面および右側面における溝部28の内部に入り込むことを抑制できる。舵装置53の左側および右側において前側から後側へ向けて流れる水を、ラダーホーン1の側面から舵板2の側面に沿って安定して円滑に流れるように案内する。このため、舵装置53の左側および右側において前後方向に沿って流れる水が舵板2の溝部28の存在によってキャビテーションを発生することを抑制でき、このキャビテーションを原因としてラダーホーン1および舵板2にエロージョンが発生することを抑制できる。
【0042】
これにより図9に示すキャビテーションB2を原因としてラダーホーン101の後側縁面11と舵板2の前側縁面21における図8に示すエロージョンA2の発生を抑制することができる。
【0043】
第4の実施の形態について図6を参照して説明する。図6(a)は図1のP部を拡大して示す図、図6(b)は図6(a)のX−X線に沿う(ラダーホーンおよび舵板)断面図、図6(c)は図6(a)のW−W線に沿う(舵板)断面図で、図1と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0044】
この実施の形態は、図8に示すエロージョンA3を発生させる原因となる図9に示すキャビテーションB3の発生を抑制するもので、ラダーホーン1における前側縁面13と下側縁面14とが交叉する角部15と、舵板2における下部の前側縁面23とラダーホーン1の下側縁面14と組み合わさる上側縁面24とが交叉する角部25を対象としている。
【0045】
ラダーホーン1の前側縁面13は図3および図5に示すように円弧をなし、舵板2の前側縁面23は図6(c)に示すように円弧をなしている。しかし、下側縁面14と上側縁面24は水平な直線をなす平面となっている。このため、ラダーホーン1の角部15と舵板2の角部25は夫々単体では尖った角部となっている。舵装置が舵を切っていない時は、ラダーホーン1と舵板2は前後方向に沿う同一位置に並び、下側縁面14と上側縁面24が同一位置で水平な直線であり、ラダーホーン1の角部15と舵板2の角部25が組み合さって独立して現れない。このため、水はラダーホーン1の前側縁面13と舵板2の前側縁面23を受けて円滑に流れる。
【0046】
しかし、舵板2を左右方向へ回動して舵を切った時には、ラダーホーン1の下側縁面14と舵板2の上側縁面24の位置がずれてラダーホーン1の角部15と舵板2の角部25が夫々独立して現れる。この状態であると、水が尖った各角部15、25に当たって剥離してキャビテーションを発生する。
【0047】
この実施の形態では、ラダーホーン1における前側縁面13と下側縁面14とが交叉する角部15を、前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面に形成し、また舵板2における前側縁面23と上側縁面24とが交叉する角部25を、前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面に形成している。
【0048】
このため、舵板2を左右方向へ回動してラダーホーン1の角部15と舵板2の角部25が夫々独立して現れた時に、水がラダーホーン1における3次元的に曲面を有する角部15に当たっても剥離を生じることがなく、また水がラダーホーン1における3次元的に曲面を有する角部25に当たっても剥離を生じることがない。従って、水がラダーホーン1の角部15と舵板2の角部25に当たってキャビテーションを発生することを抑制し、このキャビテーションを原因として各角部15,15にエロージョンが発生することを抑制することができる。
【0049】
第5の実施の形態について図7を参照して説明する。図7(a)は図1のQ部(舵板の角部)を拡大して示す図、図7(b)は図7(a)のV−V線に沿う(舵板)断面図、図7(c)は図7(a)のU−U線に沿う(舵板)断面図、図7(d)は図7(a)のT−T線に沿う(舵板)断面図で、図1と同じ部分は同じ符号を付して示している。
【0050】
この実施の形態は、図8に示すエロージョンA4を発生させる原因となる図9に示すキャビテーションB4の発生を抑制するもので、舵板2における下部の前側縁面23と下側縁面26とが交叉する角部27を対象としている。
【0051】
従来、舵板2における下側縁面26は水平な平面となっており、角部27は尖った角部となっている。このため、水が角部27に当たって剥離してキャビテーションを発生する。
【0052】
この実施の形態では、舵板2における前側縁面2と下側縁面2とが交叉する角部27を、前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面に形成している。舵板2における前側縁面23は図7(d)に示すように断面が円弧をなしている。舵板2における下側縁面26は図7(b)に示すように断面が円弧をなすように形成している。舵板2における角部27は図7(a)および図7(c)に示すように3次元的に円弧をなしている。このため、水がラダーホーン1における3次元的に曲面を有する角部27に当たっても剥離を生じることがなく、従って、水が舵板2の角部27に当たってキャビテーションを発生することを抑制し、このキャビテーションを原因として角部27にエロージョンが発生することを抑制することができる。
【0053】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されず、種々変形して実施することができる。本発明の舵装置は前述した各実施の形態の1または複数含むものを対象にしている。
【0054】
【発明の効果】
本願の発明の舵装置によれば、ラダーホーンにおける前記軸受け部の上部に位置する後側縁面と、この後側縁面と向い合う舵板の前側縁面とで構成される可動部におけるキャビテーションの発生を抑制し、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる。
【0055】
本願の発明の舵装置によれば、ラダーホーンの軸受け部の後側縁面とこの後側縁面と向い合う舵板の前側縁面とで構成される可動部におけるキャビテーションの発生を抑制し、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる。
【0056】
本願の発明の舵装置によれば、ラダーホーンにおける前側縁面と下側縁面とが交叉する角部と、舵板における前側縁面と上側縁面とが交叉する角部におけるキャビテーションの発生を抑制し、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる。
【0057】
本願の発明の舵装置によれば、舵板における前側縁面と下側縁面とが交叉する角部におけるキャビテーションの発生を抑制し、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる。
【0058】
本願の発明の船舶によれば、キャビテーションの発生を抑制し、このキャビテーションを原因とするエロージョンの発生を抑制できる舵装置を装備することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかわる舵装置を示す側面図。
【図2】本発明にかかわる舵装置を示す側面図。
【図3】本発明の第1の実施の形態における舵装置を示す断面図。
【図4】第2の実施の形態における舵装置を示す断面図。
【図5】第3の実施の形態における舵装置を示す断面図。
【図6】第4の実施の形態における舵装置を示す断面図。
【図7】第5の実施の形態における舵装置を示す断面図。
【図8】舵装置を示す側面図。
【図9】舵装置を示す側面図。
【図10】従来の舵装置を示す断面図。
【図11】従来の舵装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…ラダーホーン
2…舵板
3…舵軸
11…後側縁面
12…後側縁面
13…前側縁面
14…下側縁面
15…角部
21…前側縁面
22…前側縁面
23…前側縁面
24…上側縁面
25…角部
26…下側縁面
27…角部
28…溝部
31…通水制限シート
41…通水制限シート
42…案内部材
51…船体
52…プロペラ
53…舵装置
A1〜A6…エロージョン
B1〜B6…キャビテーション

Claims (9)

  1. 船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸とを具備し、
    前記ラダーホーンにおける前記軸受け部の上部に位置する後側縁面と、この後側縁面と向い合う前記舵板の前側縁面との間の隙間に、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段が施されていることを特徴とする舵装置。
  2. 前記通水制限手段は、前記ラダーホーンの後側縁面または前記舵板の前側縁面の一方に取り付けられ、且つ他方に接触し、または他方に対して水の流れを阻害する隙間を存して向い合う部材であることを特徴とする請求項1に記載の舵装置。
  3. 前記通水制限手段は、前記ラダーホーンの後側縁面と前記舵板の前側縁面との間の隙間の厚さを、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる大きさとしたものであることを特徴とする請求項1に記載の舵装置。
  4. 船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸とを具備し、
    前記ラダーホーンの軸受け部の後側縁面とこの後側縁面と向い合う前記舵板の前側縁面との間の隙間に、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる通水制限手段が施され、且つ前記ラダーホーンの軸受け部の左側部および右側部に、前記ラダーホーンと前記舵板の左側および右側で前後方向に流れる水の流れを整える案内部材が取付けられていることを特徴とする舵装置。
  5. 前記通水制限手段は、前記ラダーホーンの後側縁面または前記舵板の前側縁面の一方に取付けられ、且つ他方に接触し、または他方に対して水の流れを阻害する隙間を存して向い合う部材であることを特徴とする請求項4に記載の舵装置。
  6. 前記通水制限手段は、前記ラダーホーンの後側縁面と前記舵板の前側縁面との間の隙間の厚さを、水がこの隙間を通って左右方向に流れることを妨げる大きさとしたものであることを特徴とする請求項4に記載の舵装置。
  7. 船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸とを具備し、
    前記ラダーホーンにおける前側縁面と下側縁面とが交叉する角部が前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面をなし、
    且つ前記舵板における前側縁面と、前記ラダーホーンの下側縁面と組み合わさる上側縁面とが交叉する角部が前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面をなしていることを特徴とする舵装置。
  8. 船体に固定され下端部に軸受け部を有するラダーホーンと、このラダーホーンに組み合される舵板と、この舵板と前記ラダーホーンの軸受け部にわたり垂直方向に挿通され前記舵板を回動させる舵軸とを具備し、
    前記舵板における前側縁面と下側縁面とが交叉する角部が前後方向、上下方向および左右方向に丸みを持つ曲面をなしていることを特徴とする舵装置。
  9. 船体と、前記請求項1ないし8のいずれかに記載の舵装置とを具備することを特徴とする船舶。
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