JP2004344042A - 常温流通可能なゲル状食品 - Google Patents

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樹里 大下
Toshiro Omoto
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Abstract

【課題】レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行っても、タンパク質が荒れたり、凝集したりすることなく、内容成分が均質に保持でき、かつ、チルド流通のミルクプリンのような軟らかく、口溶けも良好で、なめらかな食感となり、更には、咀嚼・嚥下困難者用食品としても適した常温流通可能なゲル状食品、特には高タンパク質含量のゲル状食品を提供する。
【解決手段】常温流通可能なゲル状食品中、熱変性した微粒子の乳清タンパク質、微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物、及びゲルを形成させるためのゲル化剤を含有する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、常温流通可能な乳成分等のタンパク質を含有するゲル状食品に関する。より詳細には、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行っても、タンパク質が荒れたり、凝集したりすることなく、内容成分が均質に保持できる常温流通可能なゲル状食品に関する。更には、タンパク質含量が高くなっても、チルド流通のミルクプリンのような、軟らかく、口溶けも良好で、なめらかな食感となり、更には、咀嚼・嚥下困難者用食品としても適した、常温流通可能なゲル状食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリン等のタンパク質成分を含むゲル状食品については、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行うと、タンパク質の凝集や沈殿が起こり、ゲルが荒れることがある。この「荒れ」は、乳由来のタンパク質が凝集すること等によって内容成分の均質性が損なわれること及びその均質性が損なわれた状態を意味するが、「荒れた」食品は、通常、外見上、内容成分が凝集・混濁・懸濁したようなざらざらした質感を呈している。また、舌触りも悪く、さらに凝集成分の沈降等によって味が不均一となり、その結果、商品価値が著しく損なうという問題がある。
【0003】
このような問題より、牛乳等の乳原料、即ち、タンパク質を含むゲル状食品は、チルドで流通されるのが一般的である。また、一部では、レトルト殺菌でもゲルが荒れないゲル状食品も検討がなされ、ミックスの粘度を上げる方法なども知られているが、得られたゲル状食品が糊っぽい食感となり、プリンやムースのような、軟らかく、なめらかな食感とならないという問題点があった。
【0004】
一方で、近年高齢者の増加に伴い、食物を噛み砕き飲み込むという一連の動作に障害をもつ、いわゆる咀嚼・嚥下障害者が増加しており、経口摂食が可能で、食べる楽しみが得られ、かつ、摂食機能を向上させることが出来る嚥下障害者用の食品の開発が行われている。このような咀嚼・嚥下障害者の多くは、多量に食品を摂取することが困難な場合が多いので、少量の摂取でも栄養成分を多く摂取するように、栄養価が高くなるような食品の開発が急務となっている。更には、特に咀嚼・嚥下障害者が家庭で介護されているような場合は、チルド食品では賞味期限が短い場合が多く、買い置きができないといった問題点があるため、長期保存が可能で、必要な時にすぐに摂取できるようにベッドのそばなどに置いておけるような常温での長期保存が可能な食品が要望されている。
【0005】
ここで、咀嚼・嚥下障害者用食品に含まれる栄養成分の中でタンパク質も例外ではなく、少量の摂取でも高含量のタンパク質が摂取できるような食品の要望がある。しかし、前記の通り、レトルト殺菌等の過酷な条件ではタンパク質の凝集・沈殿が起こりやすくなるといった問題点があった。更には、一般的に常温流通可能とするためにゲル状食品をレトルト殺菌すると、食感が固くなる傾向があるため、この点からも、乳原料を含むレトルトプリンは、咀嚼・嚥下障害者用の食品には不向きであり、まして、少量の摂取でも必要なタンパク質含量が摂取できるように、タンパク質含量が高いレトルトプリンを製造することは困難であった。
【0006】
また、乳清タンパク質を使用したゲル状食品を製造方法としては、乳清タンパク質自体の加熱凝固性を利用してゲル化したゲル状食品が知られている。例えば、牛乳又は乳製品に乳清蛋白質濃縮物を添加し、加熱することによって得られるゲル状食品の製造法がある(特許文献1)。このような乳清タンパク質の熱凝固性を利用して製造したゲル状食品は食感が固くなる傾向があり、チルド流通のミルクプリンのような、口溶けのよい、なめらかな食感とは異なる。更には、乳清蛋白質とゼラチンの複合体を酸性領域にてゲル化させることを特徴とするゲル食品の製造法(特許文献2)があるが、製造方法に制約が多く、特殊な条件下でゼラチンと乳清タンパク質を反応させなければならず、得られるゲルは条件により大きく物性が異なるという課題がある。特に、タンパク質が5重量%を超えると強固なゲルとなってしまい、ゲル状食品に含まれるタンパク質の含量を高くすればするほど、なめらかな食感を得ることができない。
【0007】
また、卵成分及び又は乳清たんぱく質が配合され、かつハイドロコロイドでゲル化させてなるゲル状食品であって、さらに有機酸モノグリセリド及びHLBが10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルが配合されてなることを特徴とするゲル状食品(特許文献3)がある。しかし、このゲル状食品では、高タンパク質含量(例えば5重量%程度含有)とすると、レトルト殺菌後はざらざらした食感となり、なめらかな食感のゲル状食品とはならない。また、乳化剤の種類と使用方法が規定されており、有機酸モノグリセリドを含む第一成分とHLBが10以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを含む第二成分を調製し、その後それらを混合して調製しなければならず、製造工程が複雑で、効率的ではない。添加する乳化剤の種類、有無に関わらず、また、製造工程も従来のレトルトプリン等の製造ラインをそのまま使用可能で製造できるゲル状食品が望まれていた。
【0008】
【特許文献1】特許第2836867号
【特許文献2】特開平6−276953号公報
【特許文献3】特開2002−262787号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、常温流通可能な乳成分を含むゲル状食品を提供することを目的とする。より詳細には、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行っても、タンパク質が荒れたり、凝集したりすることなく、内容成分が均質に保持できるゲル状食品を提供する。
【0010】
更には、ゲル状食品中、タンパク質を高含量含有しても、チルド流通のミルクプリンのような軟らかく、口溶けも良好で、なめらかな食感となり、更には、咀嚼・嚥下困難者用食品としても適した常温流通可能なゲル状食品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねていたところ、a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質、b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物、及びc)ゲルを形成させるためのゲル化剤、を使用することにより、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌によりゲルが荒れたり、タンパク質が凝集、沈殿を起こったりすることなく、内容成分が均質に保持され、かつ、軟らかく、口溶けも良好で、なめらかな食感となる、常温流通可能な乳成分を含有するゲル状食品となることが判った。
【0012】
更に、本発明のゲル状食品は、タンパク質含量を高くしても、チルド流通のミルクプリンのような軟らかく、口溶けの良好ななめらかな食感を有し、かつ長期間常温で保存可能であるので、咀嚼・嚥下困難者用食品として適していることがわかった。
【0013】
すなわち、本発明は、下記に掲げる常温流通可能なゲル状食品である:
項1.下記a)〜c)を含有することを特徴とする常温流通可能なゲル状食品。
a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質、
b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物
c)ゲルを形成させるためのゲル化剤。
項2.a)〜c)のゲル状食品に対する添加量が下記量である、項1に記載の常温流通可能なゲル状食品。
a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質が1〜20重量%、
b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物が0.05〜5重量%、
c)ゲルを形成させるためのゲル化剤が0.05〜4重量%。
【0014】
項3.ゲル状食品中のタンパク質含量が3〜20重量%である、請求項1又は2に記載の常温流通可能なゲル状食品。
項4.ゲルを形成させるためのゲル化剤が、寒天、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、サイリュームシードガム、タマリンド種子多糖類、グルコマンナン、タラガム、及びグァーガムから選ばれる1種又は2種以上のゲルを形成させる組み合わせで使用する、請求項1乃至3に記載の常温流通可能なゲル状食品。
項5.咀嚼・嚥下困難者用食品である、請求項1乃至4に記載の常温流通可能なゲル状食品。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明でいう常温流通可能なゲル状食品は、下記a)〜c)を含有することを特徴とする;
a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質、
b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物
c)ゲルを形成させるためのゲル化剤。
【0016】
本発明のゲル状食品は、乳原料、タンパク質及び他に原料として含まれる成分をゲル化剤で固化してなるものであるが、好適には半固形状物、より好ましくは更にきめ細かでつるりとした滑らかな舌触り・食感が要求されるものである。ゲル状食品として、例えば、プリン、プリンシェイク、プリンドリンクゼリー、ドリンクゼリー、ムース、ババロア、ミルクプリン、杏仁豆腐、嚥下困難者用食品等が挙げられるが、特に、高タンパク質含量のゲル状食品に向いた製品にも適用可能である。
【0017】
本発明のゲル状食品は、常温流通可能な形態に製造される。例えば、缶、ビン、紙パック、ペットボトル、ラミネートパック、チアパック等に充填、密封され、密封状態で流通、販売されるもので、気軽に摂取する事ができることが特徴である。常温流通可能な食品とするために、100〜150℃、10〜60分間程度の加熱を行うレトルト殺菌や、UHT殺菌、HTST殺菌の殺菌方法を採るが、好ましいのはレトルト殺菌である。本発明では、レトルト殺菌のような過酷な殺菌を行っても、ゲルが荒れることがなく、タンパク質が凝集、沈殿を起こすこともなく内容成分が均質に保持されたゲル状食品となるものである。
【0018】
本発明で使用する熱変性した微粒子の乳清タンパク質とは、高せん断力条件下で乳清タンパク質濃縮素材を熱して、変性した極微粒子を形成させることによって、製造された多機能性乳成分を言う。変性した極微粒子とは、乳化脂肪球とごく近い0.1〜2ミクロン程度の球形である。熱変性した微粒子の乳清タンパク質の製造法としては、チーズ製造時に副産物として得られる甘性乳清を低温殺菌し、脂肪を除去して、限外濾過にて、タンパク質を濃縮しつつ、乳糖やミネラル分を低減させ、その後、更に濃縮し、せん断力を与えながら加熱して変性した微粒子状のタンパク質になるまで加工することにより製造することが出来る。具体的には、特許第2740457号に記載の方法によっても製造することが出来る。
【0019】
なお、本発明の熱変性した微粒子の乳清タンパク質は、前述のように極微粒子の状態に調整されており、例えば、ゲル状食品の製造工程中加熱しても、熱変性を生じにくい性質を有する。よって、ゲル状食品のタンパク質含量を高くするために添加量を増やしても熱変性による凝集・沈殿等を起こすことが少なく、また、なめらかで軟らかい食感を付与することが出来る。なお、本発明の熱変性した微粒子の乳清タンパク質は、商業上入手することが出来、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のシンプレス100等を挙げることができる。
【0020】
ゲル状食品に対する熱変性した微粒子の乳清タンパク質の添加量は、ゲル状食品のタンパク質含量が1〜20重量%となるような量を例示することができる。よって、熱変性した微粒子の乳清タンパク質の添加量としては、2〜40重量%、好ましくは、6〜30重量%、より好ましくは、8〜24重量%を例示することができる。
【0021】
なお、高タンパクのゲル状食品は、特にレトルト殺菌等過酷な加熱処理を行うと、熱変性による凝集・沈殿等が起こるが、本発明の常温流通可能なゲル状食品は、熱変性した微粒子の乳清タンパク質をタンパク質成分として添加することにより、タンパク質が高含量、具体的には、3〜20重量%含んでも、熱変性による凝集・沈殿等を起こすことが少なく、また、なめらかで軟らかい食感を付与することが出来るものである。なお、他の乳成分を使用すると、タンパク質凝集等が起こりやすくなるとともに、特にゲルが硬くなるため、本発明では、なるべくタンパク質成分として熱変性した微粒子の乳清タンパク質を使用することが望ましく、他の乳成分は凝集・沈殿が起こらず、食感に影響を与えない量にとどめておく方がよい。
【0022】
次に、本発明の常温流通可能なゲル状食品は、微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物を含有することを特徴とする。微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物を添加することで、完全にタンパク質の凝集・沈殿を防止することができる。
【0023】
本発明で言う微結晶セルロースを含む組成物は、平均粒子径が40μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは、10μm以下の結晶セルロースである。微結晶セルロースを含む組成物として、微結晶セルロースを100重量%含有するものを使用しても良いが、バインダーとして、キサンタンガム、カラヤガム、カラギナン、グァーガム、CMC−Na等の増粘多糖類等を添加して、機械的なシェアをかけて磨砕して、必要に応じて乾燥することによって製剤化したものを使用するのが好ましい。微結晶セルロースを、組成物に対して、5〜100重量%となるように配合し、製剤化する場合は、残りにバインダーを使用して製剤化を行う。本発明で使用する結晶セルロースを含む組成物(微結晶セルロース製剤)は、商業的に入手することが出来、例えば、旭化成工業株式会社製のセオラスSC−900、アビセルRCN−81、セオラスSC−700等を挙げることが出来る。
【0024】
本発明で言う微小繊維状セルロースを含む組成物は、断面が1〜数百nm×1〜数百nmで長さは不定の微小繊維状のセルロースである。微小繊維状セルロースを100重量%含有するものを使用しても良いが、バインダーとして、キサンタンガム、カラヤガム、カラギナン、グァーガム、CMC−Na等の増粘多糖類等を添加して、機械的なシェアをかけて磨砕して、必要に応じて乾燥することによって製剤化したものを使用するのが好ましい。微小繊維状セルロースを、組成物に対して、5〜100重量%となるように配合し、製剤化する場合は、残りにバインダーを使用して製剤化を行う。本発明で使用する微小繊維状セルロースを含む組成物(微小繊維状セルロース製剤)は、酢酸菌から産出されるものや、パルプを特殊な方法により繊維状に調製した微小繊維状セルロースからなり、特に起源製法にこだわる必要はない。
【0025】
ゲル状食品に対する微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物の添加量は、タンパク質の凝集防止効果を示し、ゲル状食品の風味に影響を与えない限度で添加すれば良く、0.05〜5重量%、より好ましくは、0.1〜2重量%、更に好ましくは0.15〜1.5重量%を掲げることができる。
【0026】
更に、本発明の常温流通可能なゲル状食品は、ゲルを形成させるためのゲル化剤を添加する。ゲルを形成させるためのゲル化剤としては、通常食品に使用されるものであって、1種または2種以上を組み合わせて用いることにより、食品を液状から固形状態にするいわゆるゲル化作用を有したり、ゲル自身の食感を改良したりするものであればよい。例えば、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、寒天、カラギナン、キサンタンガム、ファーセレラン、アルギン酸、アルギン酸塩、ペクチン、ゼラチン、ローカストビーンガム、グァーガム、アラビアガム、カラヤガム、プルラン、タラガム、グルコマンナン、タマリンド種子多糖類、サイリウムシードガム、ファーセレラン、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、澱粉等から選択される1種又は2種以上を挙げることができる。
【0027】
中でも、好ましくは、寒天、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、サイリュームシードガム、タマリンド種子多糖類、グルコマンナン、タラガム、及びグァーガムから選ばれる1種又は2種以上である。当該成分を配合したゲル化剤製剤は商業的に入手することが出来、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のゲルアップPI、ゲルアップPI−C、ゲルアップPI−H等を挙げることができる。
【0028】
また、コーンスターチ、タピオカ澱粉等の澱粉、カルボキシメチルセルロースなどを添加してもよい。これらゲル化剤や澱粉等を、ゲルの物性に影響を与えない程度の粘度を付与する量の添加を行うことで、タンパク質の安定化効果に補助的に作用する。更に、ゲル化剤のゲル化機構に補助的に作用させる目的で、乳酸カルシウム、塩化カリウム等の塩類を添加してもよい。
【0029】
また、ゲル状食品に対するゲル化剤の添加量は、使用されるゲル化剤の種類、製品の種類等に応じて種々選択されるものであり一義的に定めることができないが、製品の一例としてプリンの場合を挙げるとすると、プリンの最終食品に対して、0.05〜4重量部%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.2〜1.5重量%の範囲が例示される。
【0030】
なお、本発明の常温流通可能なゲル状食品は、咀嚼・嚥下困難者用食品に非常に適した物性を有する。咀嚼・嚥下障害者に適した食品として、1)食塊形成性(口中での食品のまとまりやすさ)に優れること、2)口腔及び咽頭への付着性が少ないこと、及び3)保水性が高いことなどが要求されるが、本発明の常温流通可能なゲル状食品は、このようなテクスチャー条件を満たす食品となる。具体的には、栄養補給プリン及びゼリー、タンパク質調整食品、ムース状食品、水分補給ゼリー、ミキサー加工食品、うらごし野菜、キザミ食、高栄養流動食品等のゲル状の食品に適用することが出来る。
【0031】
なお、本発明の効果を損なわないことを限度として、本発明の常温流通可能なゲル状食品には、通常のゲル状食品に使用する食品・食品添加物、例えば、乳原料、糖質、甘味料、有機酸やその塩、香料、色素、酸化防止剤、日持ち向上剤、保存料等を添加しても良い。
【0032】
本発明で使用する乳原料としては、牛乳、生クリーム、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂練乳、ヨーグルト(発酵乳)、粉末発酵乳、豆乳等などが挙げられる。これらは単独で含まれていてもよいし、また2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。また、脱脂乳を含有する場合は、バター、生クリーム、ヤシ油、パーム油等の油成分を含有していてもよい。これら乳原料は、前記のタンパク質含量となるように調整して、本発明の効果を損なわない量を限度に添加することが出来る。
【0033】
糖質、甘味料としては、例えば、砂糖、果糖、ブドウ糖、水飴、還元水飴、はちみつ、異性化糖、転化糖、オリゴ糖(イソマルトオリゴ糖、還元キシロオリゴ糖、還元ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、テアンデオリゴ糖、大豆オリゴ糖等)、トレハロース、糖アルコール(マルチトール、エリスリトール、ソルビトール、パラチニット、キシリトール、ラクチトール等)、砂糖結合水飴(カップリングシュガー)、アスパルテーム、アセスルファムカリウム、スクラロース、アリテーム、ネオテーム、カンゾウ抽出物(グリチルリチン)、サッカリン、サッカリンナトリウム、ステビア抽出物、ステビア末等の甘味成分が挙げられる。
【0034】
有機酸やその塩として、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の有機酸や有機酸のナトリウム塩が好適に用いられる。
【0035】
また、必要に応じて、紅茶,コーヒー等のエキス成分、ココア,抹茶等の粉末成分、イチゴ,オレンジ等の果汁等を含んでいても、また人為的に乳酸カルシウム、グルコン酸カルシウム等のカルシウム類を添加して、カルシウム量を強化させたものであってもよい。更には、乳化剤、酸化防止剤、保存料、ビタミン類、鉄、マグネシウム、リン、カリウム等のカルシウム以外のミネラル類などを添加してもよい。
【0036】
本発明の常温流通可能なゲル状食品の製造方法であるが、熱変性した微粒子の乳清タンパク質、微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物、ゲル化剤及びその他の原料を水、好ましくは蒸留水に加えて加熱攪拌溶解し、均質化し、容器充填後、100〜150℃、10〜60分間程度の加熱を行うレトルト殺菌や、UHT殺菌、HTST殺菌の殺菌を行って製造することができる。また、添加する乳化剤の種類、有無に関わらず、また、製造工程も従来のレトルトプリン等の製造ラインをそのまま使用可能で製造できるようになった。
【0037】
本発明により、常温流通可能な乳成分を含有するゲル状食品が製造できるようになった。詳細には、レトルト殺菌等の過酷な加熱殺菌を行っても、タンパク質の凝集・沈殿が起こらず、内容成分が均質に保持でき、かつ、タンパク質含量を高くしても、タンパク質の凝集・沈殿が起こらず、加えて、軟らかく、口溶けの良好な、なめらかな食感のゲル状食品となった。更には、出来上がったゲル状食品の物性が、咀嚼・嚥下困難者用食品に非常に適した物性を有し、常温流通可能で、高タンパク質含量である、咀嚼・嚥下困難者用の高タンパクゲル状食品となった。
【0038】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0039】
実施例1:レトルトプリンの調製
清水、ヤシ油に、攪拌機で攪拌しながら、砂糖、熱変性した微粒子の乳清タンパク質、ゲル化剤を含む組成物及び乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、香料、色素を添加し、蒸発水を全量補正した後、均質機に通した(9800kPa=100kg/cm)。これを容器に充填し、121℃20分間レトルト殺菌し、レトルトプリンを調製した(タンパク質含量5%)。
【0040】
Figure 2004344042
【0041】
参照1:ゲルアップ PI−970:ローカストビーンガム、ジェランガム、寒天、ペクチン、微結晶セルロースを含む組成物からなる配合製剤
【0042】
比較例として、熱変性した微粒子の乳清タンパク質に代えて、脱脂粉乳15部を用いた以外は、実施例1と同様にして調製したレトルトプリン(比較例1、タンパク質含量5%)、熱変性した微粒子の乳清タンパク質に変えて、通常の乳清タンパク質(ミルプロ※LN−1*)6.5部を用いた以外は実施例1と同様にして調製したレトルトプリン(比較例2、タンパク質含量5%)を作成した。
【0043】
実施例1のレトルトプリンは、凝集・沈殿も見られず、食してもチルド流通のミルクプリンのような、プリン特有の軟らかい、なめらかでつるんとした食感が感じられ、良好なプリンであった。また、2ヶ月間常温(25℃)で保存した後も調製直後と変わらず、凝集・沈殿もみられず、なめらかな食感を維持していた。実施例のプリンは、食塊形成性に優れ、口腔及び咽頭への付着性が少なく、保水性が高く、更には常温流通可能であるので、咀嚼・嚥下困難者用食品に適したゲル状食品となった。
【0044】
一方、比較例1のレトルトプリンは、乳中のタンパク質成分由来と考えられるわずかな凝集が認められ、食しても若干ざらざらとした食感となり、所望の軟らかくなめらかな食感が得られなかった。比較例2のレトルトプリンは、食感が固くなり過ぎて、所望の軟らかくなめらかな食感が得られず、咀嚼・嚥下困難者用食品には、適さないゲル状食品であった。
【0045】
実施例2:レトルトココアプリンの調製
清水、ヤシ油に、攪拌機で攪拌しながら、スクラロース、熱変性した微粒子の乳清タンパク質、微小繊維状セルロース60%含有品、ゲル化剤及び乳化剤の粉体混合物を添加し、80℃10分間加熱攪拌溶解した後、香料、ココア末を添加し、蒸発水を全量補正した後、均質機に通した(9800kPa=100kg/cm)。これを容器に充填し、121℃20分間レトルト殺菌し、レトルトココアプリンを調製した(タンパク質含量10%)。
【0046】
Figure 2004344042
【0047】
参照2:ゲルアップ PI:ローカストビーンガム、カラギナンを含む組成物からなる配合製剤
【0048】
実施例2のレトルトココアプリンは、凝集・沈殿も見られず、食してもチルド流通のミルクプリンのような、プリン特有の軟らかい、なめらかでつるんとした食感が感じられ、良好なプリンであった。

Claims (5)

  1. 下記a)〜c)を含有することを特徴とする常温流通可能なゲル状食品。
    a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質、
    b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物
    c)ゲルを形成させるためのゲル化剤。
  2. a)〜c)のゲル状食品に対する添加量が下記量である、請求項1に記載の常温流通可能なゲル状食品。
    a)熱変性した微粒子の乳清タンパク質が1〜20重量%、
    b)微結晶セルロース及び/又は微小繊維状セルロースを含む組成物が0.05〜5重量%、
    c)ゲルを形成させるためのゲル化剤が0.05〜4重量%。
  3. ゲル状食品中のタンパク質含量が3〜20重量%である、請求項1又は2に記載の常温流通可能なゲル状食品。
  4. ゲルを形成させるためのゲル化剤が、寒天、脱アシル型ジェランガム、ネイティブ型ジェランガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ペクチン、サイリュームシードガム、タマリンド種子多糖類、グルコマンナン、タラガム、及びグァーガムから選ばれる1種又は2種以上のゲルを形成させる組み合わせで使用する、請求項1乃至3に記載の常温流通可能なゲル状食品。
  5. 咀嚼・嚥下困難者用食品である、請求項1乃至4に記載の常温流通可能なゲル状食品。
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