JP2004343325A - 周波数変換機能を有する電子回路装置及びそれを用いた無線通信装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】周波数変換器は、温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器11と、温度に比例するバイアス電流により動作し、入力信号とローカル信号との乗算を行って周波数変換された出力信号を得るミキサ回路12とを有する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周波数変換器、直交復調器あるいは直交変調器などの周波数変換機能を有する電子回路装置及びそれを用いた無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
無線通信装置、特に携帯電話機のような無線通信端末は様々な温度環境下において使用されるため、使用される回路は特性の温度変動が小さいことが要求される。無線通信端末は、一般に無線送受信が可能な高い周波数の信号と、チャネル選択などの信号処理をすることが可能な低い周波数の信号を扱うために、周波数変換器を含んでいる。
【0003】
周波数変換器は、ローカル発振器によって生成されるローカル信号と入力信号とをミキサ回路に入力することにより、所望周波数成分の出力信号を生成する回路である。ローカル発振器とミキサ回路を用いて周波数変換機能を有する種々の回路装置、例えば直交復調器や直交変調器を実現することも可能である。
【0004】
無線通信端末では、ギルバート乗算器タイプのミキサ回路が広く用いられている。このタイプのミキサ回路は入出力間アイソレーションが大きく、また変換利得のローカル信号レベル依存性が小さいという利点があり、無線通信端末に適している。ギルバート乗算器タイプのミキサ回路は信号入力段がトランスコンダクタで構成され、トランスコンダクタの出力電流をローカル信号によってスイッチング動作をするスイッチングトランジスタ対に入力することにより、周波数変換を行う。
【0005】
ミキサ回路の変換利得は、信号入力段のトランスコンダクタンスgmとローカル信号注入レベルで決定される。変換利得の温度依存性を小さくするために、例えば非特許文献1に記載されているように、ミキサ回路のバイアス電流を温度に比例させることで、gmの温度変化を抑える手法がある。一方、ローカル信号注入レベルについては、ある一定値(所要注入レベルという)以上であれば変換利得は一定となるために、ローカル信号源であるローカル発振器は、ある一定値以上のパワーレベルのローカル信号を出力するように設計される。
【0006】
一方、非特許文献2には、出力電流が温度に比例する電流源の実現法が開示されている。
【0007】
【非特許文献1】
Osamu Watanabe, Takafumi Yamaji, Tetsuro Itakura and Ichiro Hattori “A 2−GHz Down−Converter with 3−dB Bandwidth of 600 MHz Using LO Signal Suppressing Output Buffer” IEICE Trans. Fundamentals, VOL.E85−A, Feb 2002, pp286−pp292.
【0008】
【非特許文献2】
P. Gray and R. Meyer “Analysis and Design of Analog Integrated Circuits Third Edition” John Willey & Sons, Inc.
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
バイアス電流が温度に比例するミキサ回路では、ローカル信号の所要注入レベルは、ミキサ回路に与えられるバイアス電流に依存するため、環境の温度によって変化する。このためローカル発振器としては、最も大きなローカル信号注入レベルを必要とする例えば高温時においてもミキサ回路の変換利得を安定させるような、比較的大きいパワーレベルのローカル信号を出力する発振器が用られている。従って、ローカル発振器は例えば低温時のようにミキサ回路が大きいローカル信号注入レベルを必要としない場合においても、必要以上のパワーレベルのローカル信号を出力しており、無駄に消費電流が使われている。
【0010】
このように従来の周波数変換器では、ミキサ回路の必要とするローカル信号注入レベルが最も大きい場合、すなわち高温時に合わせてローカル発振器の出力振幅を決定する設計となっており、低温時に無駄な電流を消費している。
【0011】
本発明の目的は、消費電流を無駄に消費することなく温度に対して安定な周波数変換機能を有する電子回路装置及びそれを用いた無線通信装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明の第1の観点による電子回路装置は周波数変換器であって、温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器と、温度に比例するバイアス電流により動作し、入力信号と前記ローカル信号との乗算を行うミキサ回路とを有する。
【0013】
本発明の第2の観点による電子回路装置は、いわゆる直交復調器であって、温度に比例する信号振幅を持つ基準ローカル信号を発生する発振器と、基準ローカル信号を入力して互いに直交する第1及び第2のローカル信号を生成する直交信号生成器と、温度に比例するバイアス電流により動作し、変調された入力信号と第1及び第2のローカル信号とをそれぞれ乗算することにより、互いに直交する第1及び第2の復調信号をそれぞれ出力する第1及び第2のミキサ回路とを有する。
【0014】
本発明の第3の観点による電子回路装置は、いわゆる直交復調器であって、温度に比例する信号振幅を持つ基準ローカル信号を発生する発振器と、基準ローカル信号を入力して互いに直交する第1及び第2のローカル信号を生成する直交信号生成器と、温度に比例するバイアス電流により動作し、互いに直交する第1及び第2の入力信号と前記第1及び第2のローカル信号とをそれぞれ乗算することにより、直交変調信号を出力する第1及び第2のミキサ回路とを有する。
【0015】
上述した電子回路装置によると、ミキサ回路が温度に比例したバイアス電流で動作することにより、ミキサ回路のトランスコンダクタンスの温度変化を小さくすると共に、ローカル発振器から各温度において必要最低限のローカル信号を出力することによって、各温度において必要最低限の消費電流で温度に対して安定な特性が実現される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施形態)
まず、図1を参照して本発明の第1の実施形態に係る周波数変換器について説明する。以下の説明では入力信号周波数をfinとし、ローカル信号周波数をfLOとし、出力信号周波数foutを入力信号周波数finとローカル信号周波数fLOの和または差の周波数とする。周波数変換器は、アップコンバータ(fin<fout)あるいはダウンコンバータ(fin>fout)のいずれであってもよい。
【0017】
図1に示されるように、本実施形態に係る周波数変換器はローカル発振器11とミキサ回路12を有する。ローカル発振器11とミキサ回路12は、好ましくは同一の集積回路チップ10上に形成される。ローカル発振器11からは、温度に比例する信号振幅を持つ周波数fLOのローカル信号が出力される。ローカル信号は、ミキサ回路12のローカル入力端子に入力される。ミキサ回路12の信号入力端子INには、周波数finの入力信号が入力される。
【0018】
ミキサ回路12は、温度に比例するバイアス電流によって動作し、入力信号とローカル信号との乗算を行う。ミキサ回路12の信号出力端子からは、入力信号周波数finとローカル信号周波数fLOの和|fin+fLO|、または差|fin−fLO|の周波数成分が出力される。
【0019】
ここで、ミキサ回路12のバイアス電流を温度に比例させる理由は、例えば非特許文献1に記載されているように、変換利得の温度依存性を小さくするためであり、これによって温度に対して安定した特性が得られる。さらに、本実施形態では、ローカル発振器11から出力されるローカル信号の信号振幅を温度に比例させている。このようにする理由は、環境の温度によらず消費電流を無駄に消費しないようにするためである。
【0020】
次に、ローカル発振器11及びミキサ回路12の具体的な構成について説明する。
図2に、温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器11の具体例を示す。電流源CS20は高電圧電源端、例えば電源Vccに一端が接続され、温度に比例するバイアス電流Ibias(Ibias∝T、T:温度)を他端から発生する。電流源CS20のバイアス電流Ibiasを出力する他端に、一対のインダクタL21,L22の一端がそれぞれ接続される。インダクタL21,L22の他端は、印加電圧によって静電容量が変化する可変容量ダイオードのような可変容量素子VCの両端と、一対のトランジスタQ21,Q22のコレクタ端子にそれぞれ接続される。
【0021】
トランジスタQ21,Q22のコレクタ端子は、一対のローカル出力端子O21,O22にそれぞれ接続される。トランジスタQ21のコレクタ端子とトランジスタQ22のベース端子は互いに接続され、トランジスタQ22のコレクタ端子とトランジスタQ21のベース端子は互いに接続される。トランジスタQ21,Q22のエミッタ端子は低電圧電源端、例えばグラウンドGNDに接続される。
【0022】
図2に示すローカル発振器11によると、電流源CS20から出力されるバイアス電流Ibiasが温度に比例することにより、ローカル出力端子O21とO22との間から、温度に比例した信号振幅ALO(ALO∝T)を持つローカル信号が差動信号として出力される。すなわち、バイアス電流Ibiasを温度に比例させることによって、ローカル信号の信号振幅ALOを温度に比例させる。ローカル信号可変容量素子VCの静電容量を変化させることによって、ローカル信号の周波数を変化させることもできる。
【0023】
図3には、温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器11の他の具体例を示す。この例のローカル発振器は、発振器コア部11Aと温度依存性を有する出力バッファ回路11Bを有する。発振器コア部11Aは、図2に示したローカル発振器と基本的に同様であるが、電流源CS20は温度依存性のない、あるいは温度依存性の非常に小さい電流を発生してもよい。
【0024】
出力バッファ回路11Bは、発振器コア部11Aの出力側に配置され、温度に比例するバイアス電流に従って、温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生する。すなわち、発振器コア部11Aの出力端子であるトランジスタQ21,Q22のコレクタ端子にキャパシタC31,C32の一端が接続され、キャパシタC31,C32の他端にトランジスタQ31,Q32のベース端子がそれぞれ接続される。キャパシタC31,C32の他端は抵抗R31,R32の一端にそれぞれ接続され、抵抗R31,R32の他端は電圧源Eに接続される。
【0025】
トランジスタQ31,Q32は差動対を形成し、Q31,Q32の共通エミッタ端子は温度Tに比例するバイアス電流Iを発生する電流源CS30の一端に接続され、電流源CS30の他端はグラウンドGNDに接続される。トランジスタQ31,Q32のコレクタ端子は、トランジスタQ33,Q34のエミッタ端子にそれぞれ接続される。トランジスタQ33,Q34のベース端子は電源Vccに接続され、コレクタ端子は抵抗R33,R34をそれぞれ介して電源Vccに接続される。トランジスタQ33,Q34のコレクタ端子は、さらにローカル出力端子O31,O32に接続される。従って、ローカル出力端子O31とO32との間から、温度Tに比例した信号振幅ALOを持つローカル信号が差動信号として出力される。
【0026】
図3のように発振器コア部11Aと出力バッファ回路11Bを含むローカル発振器において、発振器コア部11Aは例えば図2に示したローカル発振器と同様に、電流源CS20が温度Tに比例するバイアス電流Ibiasを発生することによって、温度に比例するローカル信号を発生してもよい。その場合、出力バッファ回路11B内の電流源CS30は温度依存性のない、あるいは温度依存性の非常に小さい電流を発生してもよい。
【0027】
図4には、温度に比例するバイアス電流によって動作するミキサ回路12の具体例を示す。この例では電流スイッチタイプのミキサ回路について説明するが、これに限られるものではない。図4において、ローカル入力端子LO1,LO2には、ローカル発振器11からの差動のローカル信号が入力される。例えば、ローカル入力端子LO1,LO2には図2に示したローカル発振器のローカル出力端子O21,O22、あるいは図3に示したローカル発振器のローカル出力端子O31,O32がそれぞれ接続される。
【0028】
電流スイッチペアを形成するトランジスタQ41,Q42のベース端子はローカル入力端子LO1,LO2に接続され、Q41,Q42の共通エミッタ端子はトランジスタQ43のコレクタ端子に接続され、Q41,Q42のコレクタ端子は信号出力端子OUT1,OUT2にそれぞれ接続される。トランジスタQ43のベース端子は信号入力端子INに接続されると共に、抵抗R41,R42の直列回路を介してトランジスタQ44のベース端子に接続される。トランジスタQ44のエミッタ端子はグラウンドGNDに接続され、コレクタ端子は電流源CS40に接続される。
【0029】
図4は、いわゆるシングルバランス型構成のミキサ回路を示しているが、例えば図4のトランジスタQ41,Q42,Q43によってそれぞれ形成される二組の差動回路を並列に接続するダブルバランス型構成のミキサ回路を用いることも可能である。ミキサ回路の具体例については、後に説明する他の実施形態においても同様に用いることができる。
【0030】
図4に示すミキサ回路では、トランジスタQ43に信号入力端子INに入力される入力信号の電圧に応じて電流Ibias+IINが流れる。ここで、Ibiasは入力信号が0の時の電流(バイアス電流)、IINは入力信号が0でないときに流れる電流のIbiasからの変化分であり、入力信号電圧レベルに応じた電流である。トランジスタQ41,Q42に、ローカル入力端子LO1,LO2に入力されるローカル信号の電圧に応じた電流分割比で電流が流れることにより、入力信号とローカル信号との乗算が行われる。従って、乗算により得られる入力信号周波数finとローカル信号周波数fLOの和または差の周波数成分の信号が信号出力端子OUT1,OUT2から差動の電流信号として出力される。
【0031】
ここで、図4に示すミキサ回路の周波数変換利得は、トランジスタQ41,Q42及びQ43によって形成されるトランスコンダクタ(電圧−電流変換器)のトランスコンダクタンスgmと、ローカル入力端子LO1,LO2に入力されるローカル信号のレベル(ローカル信号注入レベル)によって定まる。トランスコンダクタgmは、バイアス電流Ibiasと熱電圧VT =q/kT(q:単位電荷、k:ボルツマン係数、T:絶対温度)との比で決まるため、Ibiasを温度に比例させることにより、gmの温度変化を小さくすることができる。図4の例では、電流源CS40として温度に比例する電流源を用い、トランジスタQ44,Q43及び抵抗R41,R42を用いたカレントミラー回路によりトランジスタQ43のバイアス電流Ibiasを温度に比例させている。
【0032】
一方、電流スイッチペアを形成するトランジスタQ41,Q42をスイッチングさせるために、ローカル発振器11により発生されるローカル信号に従ってトランジスタQ41,Q42に流すべき電流は、バイアスIbiasに比例する。本実施形態では、ローカル発振器11から出力されるローカル信号の信号振幅をバイアス電流Ibiasの温度変化に応じた値、つまり温度に比例した値とする。
【0033】
このようにローカル発振器11から温度に比例した信号振幅を持つローカル信号をミキサ回路12に注入することにより、各温度において必要最小限のローカル信号注入レベルを実現することが可能である。以下、この点について詳しく説明する。
【0034】
ミキサ回路11は、周波数変換利得の温度依存性を小さくするために、温度に比例するバイアス電流に従って動作するように構成される。この場合、ミキサ回路12に対するローカル信号の所要注入レベル、つまりミキサ回路12の変換利得を一定とする下限のローカル信号注入レベルは、ミキサ回路12におけるバイアス電流に依存するため、バイアス電流を決定する温度によって変化することになる。
【0035】
ローカル信号の所要注入レベルは、ミキサ回路12のバイアス電流が大きくなる高温時(例えば、PDCの場合で85℃〜100℃程度の温度範囲)では、より大きくすることが必要である。これに対して、低温時(例えば、PDCの場合で−40℃〜85℃程度の温度範囲)では、ミキサ回路12のバイアス電流が小さいため、ローカル信号の所要注入レベルは小さくてよい。
【0036】
そこで、本実施形態ではローカル発振器11から出力されるローカル信号の信号振幅、すなわちミキサ回路12へのローカル信号の注入レベルを高温時には大きくし、温度が低下するほど小さくする。こうすることにより、特に比較的低温時に所要注入レベル以上のローカル信号を発生することによる無駄な電流消費を防ぎ、種々の温度下において最小限の消費電流で安定した特性を実現することが可能となる。
【0037】
本実施形態においては、例えば図2における電流源CS20、図3における電流源30、あるいは図4における電流源CS40に、出力電流が温度に比例する電流源が必要である。そのような電流源としては、例えば先の非特許文献1に記載されたVBE referenced bias circuit, VT referenced bias circuit のような公知の回路を用いることができる。
【0038】
図5は、VT referenced bias circuit と呼ばれる電流源の回路例を示している。これは熱電圧VT を基準として温度に比例する電流を出力する電流源であり、トランジスタQ51,Q52により第1のカレントミラー回路、トランジスタQ53,Q54,Q55により第2のカレントミラー回路、そしてトランジスタQ57,Q58により第3のカレントミラー回路がそれぞれ形成される。図5の回路は、電流吐き出し型電流源と電流吸い込み型電流源の二つの機能を併せ持っている。電流吐き出し型である図2における電流源CS20や図4における電流源CS40は、トランジスタQ55のコレクタ電流を出力電流に用いる。電流吸い込み型電流源である図3における電流源CS30は、トランジスタQ58のコレクタ電流を出力電流として用いる。
【0039】
このように本実施形態によれば、ミキサ回路12のバイアス電流を温度に比例させる共に、ローカル発振器11から出力されるローカル信号の信号振幅を温度に比例させることによって、種々の温度において消費電流を最小限に抑えつつ、温度に対して安定した良好な特性を持つ周波数変換器を提供することができる。
【0040】
さらに、本実施形態によると、ローカル発振器11とミキサ回路12が同一の集積回路チップ10上に形成されている。同一の集積回路チップ上では、各素子の温度係数は等しい。従って、ローカル発振器11とミキサ回路12を同一の集積回路チップ10上に形成することによって、より高い温度安定性を実現することが可能である。
【0041】
(第2の実施形態)
図6に示すように、本発明の第2の実施形態に係る周波数変換器では、ミキサ回路12はローカル信号増幅器61とミキサ回路コア部62を含んでいる。ローカル発振器11から出力されるローカル信号は、ローカル信号増幅器61によって増幅された後、ミキサ回路コア部62に入力される。ローカル信号増幅器61は、ローカル発振器11の出力レベルが小さい場合や、あるいはローカル発振器11とミキサ回路コア部62とのアイソレーションを十分に確保したい場合などに用いられる。
【0042】
本実施形態によると、ローカル信号増幅器61のバイアス電流を温度に比例させることにより、ミキサ回路コア部62に各温度において必要最小限のローカル信号注入レベルを供給可能とし、低消費電力で温度に対して安定な周波数変換器を実現することができる。
【0043】
(第3の実施形態)
図7には、本発明の第3の実施形態に係る直交復調器を示す。ローカル発振器21から出力されるローカル信号は、直交信号生成器22に入力される。直交信号生成器22は90°移相器とも呼ばれ、互いに直交する(90°の位相差を持つ)2つのローカル信号を生成する。直交生成器22から出力される2つのローカル信号は、ミキサ回路23A,23Bのローカル入力端子にそれぞれ入力される。ミキサ回路23A,23Bの共通の信号入力端子INには、変調された信号が入力される。従って、ミキサ回路23A,23Bの信号出力端子I_OUT,Q_OUTから直交復調出力、すなわち互いに直交する2つの復調信号が出力される。
【0044】
ここで、第1の実施形態と同様に、ローカル発振器21は温度に比例する信号振幅のローカル信号を出力し、ミキサ回路23A,23Bは温度に比例するバイアス電流で動作する。従って、第1の実施形態と同様の原理によって、各温度において無駄のない消費電流で、安定した温度特性の直交復調器を実現することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
図8には、本発明の第4の実施形態に係る直交変調器を示す。本実施形態の直交復調器の構成要素は、図7に示した直交復調器とほぼ同様であるが、ミキサ回路23A,23Bのそれぞれの信号入力端子I_IN,Q_INに互いに直交する信号、例えばベースバンド信号が入力される。従って、ミキサ回路23A,23Bの共通の信号出力端子OUTから直交変調信号が出力される。
【0046】
ローカル発振器21が温度に比例する信号振幅のローカル信号を出力し、ミキサ回路23A,23Bが温度に比例するバイアス電流で動作する点は、第3の実施形態と同様である。従って、第1の実施形態と同様の原理によって、各温度において無駄のない消費電流で安定した温度特性の直交変調器を実現することができる。
【0047】
(第5の実施形態)
図9には、本発明の第5の実施形態に係る直交復調器を示す。図7に示した第3の実施形態との相違点は、直交信号生成回路24が能動回路であり、そのバイアス電流が温度に比例している(Ibias∝T)点である。従って、本実施形態によっても、各温度において無駄のない消費電流で安定した温度特性の直交復調器を提供することができる。
【0048】
(第6の実施形態)
図10には、本発明の第6の実施形態に係る直交変調器を示す。本実施形態の直交復調器の構成要素は、図9に示した直交復調器とほぼ同様であり、ミキサ回路23A,23Bのそれぞれの信号入力端子I_IN,Q_INに互いに直交する信号、例えばベースバンド信号が入力される点が異なる。従って、ミキサ回路23A,23Bの共通の信号出力端子OUTから直交変調信号が出力される。従って、各温度において無駄のない消費電流で安定した温度特性の直交変調器を実現することができる。
【0049】
(第7の実施形態)
図11に、本発明の第7の実施形態に係る周波数変換器を示す。第1の実施形態で説明した周波数変換器と同様に、温度に比例した信号振幅のローカル信号を出力するローカル発振器31と、温度に比例したバイアス電流で動作するミキサ回路32を有する。図1に示した第1の実施形態との相違点は、ローカル発振器31が例えば電圧制御発振器であり、ローカル発振器31から出力されるローカル信号の周波数が制御端子fcontrolに入力される制御信号により制御されることである。ローカル発振器31は、例えば図2に示したような回路であり、可変容量素子VCの両端に、制御端子fcontrolに入力される制御信号の電圧が引火される。
【0050】
システム帯域内に複数のチャネルを持つ通信システムにおいては、周波数変換器に含まれるローカル発振器の発振周波数を切り替えることで、受信周波数または送信周波数を切り替えて、所望のチャネルの受信または送信が行われる。本実施形態の周波数変換器は、このようなローカル信号周波数を可変とした周波数変換器として有用である。
【0051】
このようにローカル発振器の出力信号周波数を制御信号により制御して所望帯域の受信または送信する技術は、本実施形態で説明したような周波数変換器のみでなく、第3乃至第6の実施形態で説明した直交復調器や直交変調器に対しても適用が可能である。
【0052】
(第8の実施形態)
次に、本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置として、例えば図12に無線通信端末の受信部を示す。アンテナ101によって受信されたRF信号は、低雑音増幅器102により増幅された後、周波数変換器103に入力され、例えばダウンコンバートされる。周波数変換器103からの出力信号はフィルタ104を介して直交復調器105に入力され、互いに直交する2つのベースバンド信号(I信号及びQ信号)として復調される。直交復調器105から出力されるベースバンド信号は、A/D変換器とDSP(ディジタル・シグナルプロセッサ)を含むベースバンド処理部106によって処理され、元のデータが復号・再生される。
【0053】
ここで、本実施形態では周波数変換器103に例えば図11に示したローカル信号周波数が可変の周波数変換器が用いられ、直交復調器105に例えば図7に示した直交復調器が用いられる。これにより、安定した温度特性を持ち、かつ環境の温度変化に対して無駄に電流を消費することがなく省電力の無線通信端末を提供することができる。
【0054】
本発明の他の実施形態として、例えば図7あるいは図9に示した直交復調器に含まれるローカル発振器を周波数制御可能な電圧制御発振器とし、これを低雑音増幅器の後段に配置した受信機や、図1、図6あるいは図11に示した周波数変換器をアップコンバータとして用い、さらに図8あるいは図10に示した直交変調器を用いた送信機など様々な実施形態が可能である。
【0055】
第2〜第8の実施形態においても、第1の実施形態で説明したと同様に、ローカル発振器とミキサ回路、さらには直交信号生成器を同一の集積回路チップ上に形成することにより、温度特性のより一層の安定化を図ることができることはいうまでもない。
【0056】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る周波数変換器の構成を示すブロック図
【図2】温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器の第1の具体例を示す回路図
【図3】温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器の第2の具体例を示す回路図
【図4】バイアス電流が温度に比例するミキサ回路の具体例を示す回路図
【図5】温度に比例する電流を出力する電流源の具体例を示す回路図
【図6】本発明の第2の実施形態に係る周波数変換器の構成を示すブロック図
【図7】本発明の第3の実施形態に係る直交復調器の構成を示すブロック図
【図8】本発明の第4の実施形態に係る直交変調器の構成を示すブロック図
【図9】本発明の第5の実施形態に係る直交復調器の構成を示すブロック図
【図10】本発明の第6の実施形態に係る直交変調器の構成を示すブロック図
【図11】本発明の第7の実施形態に係る周波数変換器の構成を示すブロック図
【図12】本発明の第8の実施形態に係る無線通信装置の受信系の構成例を示すブロック図
【符号の説明】
10…集積回路チップ
11,21,31…ローカル発振器
12,23A,23B,32…ミキサ回路
11A…発振器コア部
11B…出力バッファ回路
22,24…直交信号生成器
61…ローカル信号増幅器
62…ミキサ回路コア部
101…アンテナ
102…低雑音増幅器
103…周波数変換器
104…フィルタ
105…直交復調器
106…ベースバンド処理部
Claims (9)
- 温度に比例する信号振幅を持つローカル信号を発生するローカル発振器と;
温度に比例するバイアス電流により動作し、入力信号と前記ローカル信号との乗算を行うミキサ回路と
を具備する周波数変換機能を有する電子回路装置。 - 前記ミキサ回路は、前記入力信号の周波数と前記ローカル信号の周波数との和または差の周波数を有する出力信号を発生する請求項1に記載の電子回路装置。
- 前記発振器及び前記ミキサ回路は、同一の集積回路チップ上に形成される請求項1記載の電子回路装置。
- 前記ミキサ回路は、前記ローカル信号を増幅する増幅器を含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子回路装置。
- 温度に比例する信号振幅を持つ基準ローカル信号を発生する発振器と;
前記基準ローカル信号を入力して互いに直交する第1及び第2のローカル信号を生成する直交信号生成器と;
温度に比例するバイアス電流により動作し、変調された入力信号と前記第1及び第2のローカル信号とをそれぞれ乗算することにより、互いに直交する第1及び第2の復調信号をそれぞれ出力する第1及び第2のミキサ回路と
を具備する電子回路装置。 - 温度に比例する信号振幅を持つ基準ローカル信号を発生する発振器と;
前記基準ローカル信号を入力して互いに直交する第1及び第2のローカル信号を生成する直交信号生成器と;
温度に比例するバイアス電流により動作し、互いに直交する第1及び第2の入力信号と前記第1及び第2のローカル信号とをそれぞれ乗算することにより、直交変調信号を出力する第1及び第2のミキサ回路と
を具備する電子回路装置。 - 前記直交信号生成器は、温度に比例するバイアス電流によって動作する能動回路である請求項5または6に記載の電子回路装置。
- 前記ローカル発振器は、発振周波数が制御信号により制御される請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子回路装置。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載の電子回路装置を含む無線通信装置。
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