JP2004339412A - 研磨材用サブミクロンダイヤモンド粉及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】物性の制御が可能な上記の単結晶質合成ダイヤモンド研磨材粒子を出発材料として用い、サブミクロン(1μm未満)の粒度への超微粉砕及び精密分級に供して、粒度分布が極めて狭い単結晶質サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子を得ること。
【解決手段】静的加圧法による超高圧下において非ダイヤモンド炭素から転換・調製されたダイヤモンドを単離し、更に(1)鋼球を用いたボールミル粉砕操作、(2)水簸又は遠心分離処理による粗分級、及び(3)繰返し遠心分離処理による精密分級の組合せによって粒度調整を行う。
【解決手段】静的加圧法による超高圧下において非ダイヤモンド炭素から転換・調製されたダイヤモンドを単離し、更に(1)鋼球を用いたボールミル粉砕操作、(2)水簸又は遠心分離処理による粗分級、及び(3)繰返し遠心分離処理による精密分級の組合せによって粒度調整を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶質ダイヤモンド研磨材粒子、特にハードディスクのテクスチュアリング加工や薄膜型磁気ヘッドの研磨など、電子材料の精密研磨加工に適したサブミクロンダイヤモンド研磨材粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術の説明】近年、光学部品、電子部品や精密機械部品などに対して、益々高性能化、高機能化が要求されてきており、使用される材料も金属系材料、セラミックス、ガラス、プラスチックと多岐にわたり、加工仕上げ面の粗さ表示はナノメータからオングストローム領域に移行しつつある。
【0003】
この様な部品の精密研磨加工には、多結晶ダイヤモンドが広く使用されている。多結晶ダイヤモンドは、グラファイトを原料とし爆薬を用いた衝撃加圧によって合成され、合成反応時間が短いことから、直径数十nmの一次粒子が溶着してサブミクロンないしミクロンオーダーの二次粒子を構成している。そして二次粒子サイズに依存する研磨速度を確保しつつ、一次粒子が微細であることを反映して、細かな仕上げ面粗さが得られるという優れた特性を有している。
【0004】
しかし多結晶ダイヤモンドの場合は、合成反応がマイクロ秒オーダーのごく短時間の加圧・加熱反応であることから、一次粒子のサイズ並びに粒子間の溶着強度の厳密な制御に困難があり、研磨材としての物性値を狭い領域に収めることが難しいといわれている。
【0005】
一方、油圧プレスを用いた静的超高圧力下で合成される合成ダイヤモンドは、加圧・加熱の保持時間が分のオーダーであることから、研磨材としての物性値の制御は多結晶ダイヤモンドの場合に比して容易であるが、反面、この粒子は一般に直径が数十ないし数百μmの単結晶質粒子として得られるので、微細加工用の研磨材として使用するためには、この粒子をサブミクロンサイズにまで粉砕し、分級・捕集する技術の確立が必要とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明はの主な目的の一つは、物性の制御が可能な上記の単結晶質合成ダイヤモンド研磨材粒子を出発材料として用い、サブミクロン(1μm未満)の粒度への超微粉砕及び精密分級に供することにより、粒度分布が極めて狭い単結晶質サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子を得ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、かかるダイヤモンド粒子の表面を、基体ダイヤモンドから転化した非ダイヤモンド炭素で覆い、以って研磨工程においてより微細な研磨仕上げ面の達成を可能とする研磨材粒子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、単結晶質ダイヤモンド粒子を粉砕・分級工程に供して、D50平均粒度(中央値)が 500nm以下であり、かつ最多頻度を示す粒度区分内の粒子が全体の15%以上を占めることを特徴とする、サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子が調製される。ただし上記粒度値は、マイクロトラックUPA、乃至第2チャンネルの値を5.500μm、チャンネル間の粒径比率を2の4乗根の逆数とする、チャンネル数44の動的光散乱粒度分布測定機による、サイズ別検出頻度の粒度分布ヒストグラムによる。
【0009】
本発明においては本質的に、ボールミル等による衝撃破砕技術と、遠心分離機を用いた反復分級技術との組み合わせによって、粒度分布幅の狭い単結晶質サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子を得る。特に、中心粒度から大きく離れた粗粒成分ならびに微粒成分を効果的に除くことのできる反復分級技術が、本技術の主要部を構成する。
【0010】
ダイヤモンドの微細化はへき開割れが支配的であることが、粉砕粒子のSEM観察によって認められている。従って粉砕には鋼球を用いた従来技術の衝撃破砕が、粉砕効率、運転コストの両面から好ましい方法といえる。
【0011】
粉砕工程において、ダイヤモンド結晶は、へき開割れと共に、結晶内に欠陥のある箇所や異物を含む箇所が優先的に破壊され、破面に露出した異物は後処理の薬品処理による精製工程で除かれることから、微粉化乃至粒度の低下に伴って欠陥および含有不純物量が減少し、ダイヤモンド本来の特性が得られることとなる。
【0012】
本発明において、微粉ダイヤモンドを所定のサイズ領域別に分類する工程即ち分級工程には、水中における粒子の沈降速度が粒子サイズに依存する現象を利用した一般的な水簸技術が用いられる。しかし他の物質と同様にダイヤモンドも微粉化に伴って表面が活性になって凝集しやすくなることから、水簸工程に先立ってダイヤモンド粒子表面を親水性とし、分散媒の水中における分散性を高める前処理を実施することが好ましい。この前処理方法としては特許第2691884号の表面酸化処理技術を挙げることができる。
【0013】
水簸は、狭い粒度分布幅でサイズ分けするのに適した技術としてダイヤモンド粉末の分級に一般に利用されているが、分級される粒子が細かくなるに伴って、水中での沈降速度が緩くなることから生産性が低下する。即ち水簸分級の基礎となっているストークス則から、室温でのダイヤモンド粒子の沈降速度は、粒度0.2μmの粒子の場合0.2mm/h、0.15μmのものでは0.11mm/hと計算され、これはもう水簸分級技術の限界に近い。
【0014】
生産性の高い分級方法として、遠心分離機を用い、大きな重力加速度によって粒子を移動させ、スラリー状態またはローターの壁面に付着したケーキとして回収する技術が広く用いられている。
【0015】
ところで精密研磨材としての用途においては、平均粒子径(中央値)として、0.1μm以下の差、特に0.02μm以下の狭い粒度差で分離することが要求されている。本発明者らは、このような狭い粒度差を達成する方法として、遠心分離機へ供給するスラリーを、ダイヤモンド含有量の少ない希薄スラリーとすることと併せて、遠心分離によって捕集した濃厚スラリー乃至ケーキを、再度、多量の水中に分散させて希薄スラリーとし、遠心分離機へ供給して繰返し分級することが非常に有効であることを知見した。本発明はかかる知見に基づく。
【0016】
分級操作においては、分散媒質中、特に水中に含有されている微粉のダイヤモンド粒子のうち、できるだけ多くの部分を確実に単粒子の形で分散させることが、重要であると理解される。従ってスラリー中におけるダイヤモンドの濃度は低いほど好ましいが、生産性との兼ね合いがあることから、平均粒子径(中央値)0.1μmの捕集には、ダイヤモンド濃度0.5%以下、特に0.2%以下が好ましい。
【0017】
なお必須ではないが、2度目以降の繰返し遠心分離においては、最初の遠心分離に比してスラリー濃度を低くすることが好ましい。一方、遠心分離機の運転条件については、2度目以降も最初の操作と同一条件を用いることができる。
【0018】
本発明方法において、遠心分離操作は基本的に、本質的に粗粒を除く前段の水簸装置または遠心分離機と、目的とする粒子径サイズを含む個別範囲の粒子(フラクション)を捕集する主体の遠心分離機、そして主体の遠心分離機で捕集されずに遠心分離機から出る微粒子を含むスラリーの捕集処理装置との、3種類の設備にて実施される。
【0019】
1回目の遠心分離操作(以下「粗分級」と称する)において、本体の遠心分離機で捕集した濃縮スラリーまたはケーキでは、粗粒および微粉の大部分が除かれてはいるものの、粗粒に微粉が付着したり微粉同士の凝集が認められるので、一般に粒度分布幅は広くなっている。
【0020】
そこで捕集品を多量の水中に投じて十分に撹拌して、本質的に一次粒子に、即ち個々の粒子乃至ごく少数個の粒子の凝集状態に分散し、1回目の粗分級と同様の遠心分離操作(以下「精製分級」と称する)を行なうことにより、さらに粗粒および微粉成分が除かれた粒度分布幅の狭い製品とすることが可能である。同様の操作をさらに追加すれば粒度分布幅はより狭くすることができるが、操作を繰返すことによって、目的とするサイズの製品の捕集量は順次減少し効率が低下することから、2回ないし3回が工業的に実用的な繰返し回数である。
【0021】
繰返し分級の効果は、粒度分布データを用いて評価することができる。粒度分布データは、区分されたサイズ領域(範囲)に存在する粒子数を、測定した粒子全数に対する割合で示した(相対)頻度として、サイズ領域別に集計したヒストグラムと、かかる頻度を積分して得られる累積粒度分布曲線とで表示する方式が広く用いられている。
【0022】
粒度分布状態の評価手段としては、粒度分布を表わす図形について、ピークの高さ、ならびに半値幅で表示する方法や、累積粒度分布曲線におけるD25値とD75値との比を用いる方法などがある。
【0023】
本発明の方法に拠れば、従来に比して格段に粒度範囲の狭い、即ち中央値乃至平均粒子径D50の近くのサイズ頻度値が高く、これから隔たると急激に頻度が低下し、全体として鋭い山状を呈する粒度構成のサブミクロンダイヤモンド粉が得られる。このような特性はD50平均粒度100nm以下のダイヤモンド粉においても確保される。
【0024】
本発明によるダイヤモンド粉の粒子構成乃至粒度分布特性は、第2チャンネルの値を5.500μm、チャンネル間の粒径比率を2の4乗根の逆数とする、チャンネル数44の粒度分布図におけるいくつかのサイズ値及びこれらの比率によって表示規定される。而して検出頻度が最多である粒度区分内の粒子が全体の15%以上を占める場合において、累積粒度分布曲線から読み取ったD90/D10の比が3.0以下、特に2.5以下であり、かつD10/D50の比率が0.6よりも大であり、またD90/D50の比率が1.8以下という、粒度分布幅の狭い粒子構成が得られる。
【0025】
本発明の上記粒度測定はレーザー回折散乱法に基づき、測定はマイクロトラック社の粒度分布測定装置UPAに拠ったが、他社の測定器を用いてもヒストグラム及び累積粒度分布曲線の形状に本質的な差違はない。
【0026】
本発明方法においては、サブミクロンダイヤモンド粉は、油圧プレス等での静的加圧法による超高圧下において非ダイヤモンド炭素から転換・調製・単離されたダイヤモンドの超微粉への粉砕と、特殊な分級操作との組合せによって粒度調整を行う。粉砕には、鋼球を用いてボールミル粉砕操作が利用でき、一方精密分級は、先ず水簸又は遠心分離処理によって粗分級を行い、次いで1回乃至数回の繰返し遠心分離処理に供することからなる精密分級を行う。
【0027】
上記粗分級及び精密分級における遠心分離操作は、次の各段階で構成することができる。即ち、(1)ダイヤモンドを含む第一の水性スラリーを調製すること、(2)該第一スラリーを遠心分離機に供給して遠心分離処理を行うこと、(3)ダイヤモンド含有率の上昇した第二のスラリー乃至ケーキとして取り出すこと、(4)該第二のスラリー乃至ケーキを、第一のスラリーと同様に上記(2)及び(3)の段階を1回以上繰り返し供すること、及び(5)ダイヤモンド含有率が更に上昇した最終スラリー乃至ケーキとして回収すること、である。
【0028】
上記において、取り出した第二のスラリー乃至ケーキではダイヤモンド含有率が上昇しているので、これを次の遠心分離操作に供する際に、このスラリー乃至ケーキをで希釈することにより、より粒度範囲の狭い粒子構成をもつスラリー乃至ケーキを得ることができる。
【0029】
上記において、第一スラリーのダイヤモンド含有率は0.5%以下0.05%以上とするのが好ましい。これより低いと生産性が低下し、逆に高過ぎると凝集粒子の割合が大きくなる。
【0030】
また上記第一スラリーを形成する前に、予めダイヤモンドを親水化処理に供し、ダイヤモンド粒子表面に、酸素等の親水性原子や、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、その他の親水性原子団乃至親水基を形成させると、水中での分散状態が向上するので、効率的な処理を行うことができる。
【0031】
上記の親水性処理は、例えば濃硫酸、濃硝酸、過塩素酸のような強酸乃至湿式酸化剤中で加熱することによって達成できる。このような処理は例えば特開2001−329252号公報に記載されている。
【0032】
一方、単乃至繰り返し分級操作後に、ダイヤモンドを800℃以上の温度で加熱処理することにより、ダイヤモンド粒子の表面を一部、黒鉛乃至乱層構造または不定形炭素等の非ダイヤモンド炭素に転換してダイヤモンド結晶本体を被覆することも効果的である。
【0033】
即ち、ダイヤモンド粒子表面に非ダイヤモンド炭素が介在することによって、研磨面に深い傷を生じたり、突き刺さりを生じる原因となる鋭い刃先の形成が抑えられ、高品位の研磨面が期待できる。
【0034】
この効果は次のように説明可能である。即ち本発明のダイヤモンド微粉は衝撃荷重で粉砕されたものであるから劈開割れによる破片が主体であって、研磨材粒子のエッジが鋭くまた形状が鋭角であり、研磨材粒子表面が硬質である。従って特に被加工材が軟質材料の場合、そのままでは研磨加工の際に研磨傷(スクラッチ)が発生しやすく、その結果、良好な研磨面品位が得られにくくなっている。
【0035】
この際、分級処理後にダイヤモンド粉を上記温度で加熱処理すると、ダイヤモンド粒子の表面に、本体と一体化されたより軟質の非ダイヤモンド炭素(NDC:特に黒鉛乃至乱層構造または不定形炭素)相が形成される。しかもこのNDC相は、ダイヤモンド粒子の特に、高反応性の尖った先端部やエッジ部において優先的に生成することから、加熱処理されたダイヤモンド粒子は、刃先が丸みを帯びた、また粒子表面に非ダイヤモンド炭素のクッション層が形成された構成となって、研磨傷の回避が期待できる。
【0036】
上記加熱処理は800〜1400℃の温度で行うのが好ましい。800℃以下では加熱処理による効果、即ちダイヤモンド粒子表面に形成される非ダイヤモンド炭素量が殆ど認められないのと併せて、ダイヤモンド粒子自体の強度にも変化が認められない。一方1400℃を超えるとダイヤモンドの黒鉛化が急激に進行するので反応の制御が困難になる。より好ましい加熱処理温度は1100〜1300℃である。
【0037】
この熱処理は800℃以上1400℃以下の処理温度で行う。被覆(析出)量は処理時間に拠って制御できるが、ダイヤモンド粒子全体に対する重量%で0.5%以上30%以下(酸化剤溶出法による質量減少率)が適切である。これより少ないと効果が顕著でなく、多すぎると切れ刃が鈍くなって切れ味が落ちる。
【0038】
加熱処理時間は処理する炉の大きさによって異なるが概ね6〜12時間程度が好適である。
【0039】
上記熱処理によってダイヤモンド結晶は、包含している金属不純物との熱膨張率の差に起因して、細かなクラック(ひび割れ)を生じて破砕性の向上に寄与する。この破砕性の向上は、粗いダイヤモンド砥粒については定量的な評価が行われている。なお、本出願においては、このクラック発生とダイヤモンドの非ダイヤモンド炭素への転換とを、ダイヤモンド結晶構造への熱影響と称する。
【0040】
【実施例1】水簸操作によってD50平均粒径(中央値)150nm以上の粗粒フラクションを除いたスラリーを用いた。脱イオン水を加えてスラリー中のダイヤモンド濃度を0.2質量%に調整し、12000Gの第1段遠心分離機を通過させ、粒径100nmのフラクションを、粗分級ケーキとして一旦捕集した。第1段遠心分離機を出た流出液は、直列に接続した21000Gの第2段遠心分離機に送入して、80nm粒子採集用の粗分級ケーキと流出液とに分離した。
【0041】
第1段および第2段の遠心分離機で捕集した粗分級ケーキは、それぞれ100nmおよび80nm粒子採集のために、精密分級用の原料スラリータンクへ投入し、脱イオン水を加えてダイヤモンド濃度を調整し、十分撹拌して0.1%のスラリーとした。
【0042】
公称粒径値100nm品の精密分級においては、上記のスラリーを5000Gの前段遠心分離機を通過させて、混入している粗粉成分を除去し、流出液を12000Gの後段遠心分離機に導いて、ケーキと微粉成分を含む流出液とに分離した。
【0043】
公称粒径値80nm品についても同様の操作を行った。ただし前段遠心分離操作では12000Gの遠心分離機を通過させて粗粒を除去し、次いで21000Gの後段遠心分離機で、ケーキと微粉成分を含む流出液との分離を実施した。
【0044】
以上の操作で得られた粗分級品および精密分級品について、特性値をまとめて次表に掲げた。測定はマイクロトラックUPAの粒度分布測定器に拠った。
【0045】
【表1】
【0046】
上記結果に見られるように両サイズとも、D50値については粗分級品と精密分級品との間に実質的な差がないものの、精密分級を行なうことによってD90/D10については3.59及び3.16からそれぞれ3.0以下まで低下し、またピーク値フラクションの頻度は15%以上となっており、粒度分布幅が狭くなっていることが認められる。なお粗分級から精製品への歩留りは65%であった。
【0047】
上記で得られた80nm精密分級品のダイヤモンド粉末を、窒素雰囲気中で1000℃に12時間保持する加熱処理を施した。得られた加熱処理ダイヤモンドは、黒色を呈しており、硫酸−硝酸混液中で煮沸する湿式酸化処理による減量から、ダイヤモンドの表面に形成された非ダイヤモンドカーボン量は、4.5質量%と見積もられた。
【0048】
このダイヤモンドを用いた3.5インチのアルミハードディスクのテクスチュアリング加工において、加工面の面粗さとして2.7Åの値が得られ、80GBの記録密度を目指した加工砥粒として用いうることが、確かめられた。
【0049】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド微粉は、静圧法で合成されたダイヤモンドの特徴である単結晶質を保持しながら、100nm以下の粒度域において狭い粒度範囲を呈することから、精密研磨その他各種の精密用途に適する。
【発明の属する技術分野】本発明は単結晶質ダイヤモンド研磨材粒子、特にハードディスクのテクスチュアリング加工や薄膜型磁気ヘッドの研磨など、電子材料の精密研磨加工に適したサブミクロンダイヤモンド研磨材粒子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術の説明】近年、光学部品、電子部品や精密機械部品などに対して、益々高性能化、高機能化が要求されてきており、使用される材料も金属系材料、セラミックス、ガラス、プラスチックと多岐にわたり、加工仕上げ面の粗さ表示はナノメータからオングストローム領域に移行しつつある。
【0003】
この様な部品の精密研磨加工には、多結晶ダイヤモンドが広く使用されている。多結晶ダイヤモンドは、グラファイトを原料とし爆薬を用いた衝撃加圧によって合成され、合成反応時間が短いことから、直径数十nmの一次粒子が溶着してサブミクロンないしミクロンオーダーの二次粒子を構成している。そして二次粒子サイズに依存する研磨速度を確保しつつ、一次粒子が微細であることを反映して、細かな仕上げ面粗さが得られるという優れた特性を有している。
【0004】
しかし多結晶ダイヤモンドの場合は、合成反応がマイクロ秒オーダーのごく短時間の加圧・加熱反応であることから、一次粒子のサイズ並びに粒子間の溶着強度の厳密な制御に困難があり、研磨材としての物性値を狭い領域に収めることが難しいといわれている。
【0005】
一方、油圧プレスを用いた静的超高圧力下で合成される合成ダイヤモンドは、加圧・加熱の保持時間が分のオーダーであることから、研磨材としての物性値の制御は多結晶ダイヤモンドの場合に比して容易であるが、反面、この粒子は一般に直径が数十ないし数百μmの単結晶質粒子として得られるので、微細加工用の研磨材として使用するためには、この粒子をサブミクロンサイズにまで粉砕し、分級・捕集する技術の確立が必要とされている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明はの主な目的の一つは、物性の制御が可能な上記の単結晶質合成ダイヤモンド研磨材粒子を出発材料として用い、サブミクロン(1μm未満)の粒度への超微粉砕及び精密分級に供することにより、粒度分布が極めて狭い単結晶質サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子を得ることである。
【0007】
本発明の別の目的は、かかるダイヤモンド粒子の表面を、基体ダイヤモンドから転化した非ダイヤモンド炭素で覆い、以って研磨工程においてより微細な研磨仕上げ面の達成を可能とする研磨材粒子を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明においては、単結晶質ダイヤモンド粒子を粉砕・分級工程に供して、D50平均粒度(中央値)が 500nm以下であり、かつ最多頻度を示す粒度区分内の粒子が全体の15%以上を占めることを特徴とする、サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子が調製される。ただし上記粒度値は、マイクロトラックUPA、乃至第2チャンネルの値を5.500μm、チャンネル間の粒径比率を2の4乗根の逆数とする、チャンネル数44の動的光散乱粒度分布測定機による、サイズ別検出頻度の粒度分布ヒストグラムによる。
【0009】
本発明においては本質的に、ボールミル等による衝撃破砕技術と、遠心分離機を用いた反復分級技術との組み合わせによって、粒度分布幅の狭い単結晶質サブミクロンダイヤモンド研磨材粒子を得る。特に、中心粒度から大きく離れた粗粒成分ならびに微粒成分を効果的に除くことのできる反復分級技術が、本技術の主要部を構成する。
【0010】
ダイヤモンドの微細化はへき開割れが支配的であることが、粉砕粒子のSEM観察によって認められている。従って粉砕には鋼球を用いた従来技術の衝撃破砕が、粉砕効率、運転コストの両面から好ましい方法といえる。
【0011】
粉砕工程において、ダイヤモンド結晶は、へき開割れと共に、結晶内に欠陥のある箇所や異物を含む箇所が優先的に破壊され、破面に露出した異物は後処理の薬品処理による精製工程で除かれることから、微粉化乃至粒度の低下に伴って欠陥および含有不純物量が減少し、ダイヤモンド本来の特性が得られることとなる。
【0012】
本発明において、微粉ダイヤモンドを所定のサイズ領域別に分類する工程即ち分級工程には、水中における粒子の沈降速度が粒子サイズに依存する現象を利用した一般的な水簸技術が用いられる。しかし他の物質と同様にダイヤモンドも微粉化に伴って表面が活性になって凝集しやすくなることから、水簸工程に先立ってダイヤモンド粒子表面を親水性とし、分散媒の水中における分散性を高める前処理を実施することが好ましい。この前処理方法としては特許第2691884号の表面酸化処理技術を挙げることができる。
【0013】
水簸は、狭い粒度分布幅でサイズ分けするのに適した技術としてダイヤモンド粉末の分級に一般に利用されているが、分級される粒子が細かくなるに伴って、水中での沈降速度が緩くなることから生産性が低下する。即ち水簸分級の基礎となっているストークス則から、室温でのダイヤモンド粒子の沈降速度は、粒度0.2μmの粒子の場合0.2mm/h、0.15μmのものでは0.11mm/hと計算され、これはもう水簸分級技術の限界に近い。
【0014】
生産性の高い分級方法として、遠心分離機を用い、大きな重力加速度によって粒子を移動させ、スラリー状態またはローターの壁面に付着したケーキとして回収する技術が広く用いられている。
【0015】
ところで精密研磨材としての用途においては、平均粒子径(中央値)として、0.1μm以下の差、特に0.02μm以下の狭い粒度差で分離することが要求されている。本発明者らは、このような狭い粒度差を達成する方法として、遠心分離機へ供給するスラリーを、ダイヤモンド含有量の少ない希薄スラリーとすることと併せて、遠心分離によって捕集した濃厚スラリー乃至ケーキを、再度、多量の水中に分散させて希薄スラリーとし、遠心分離機へ供給して繰返し分級することが非常に有効であることを知見した。本発明はかかる知見に基づく。
【0016】
分級操作においては、分散媒質中、特に水中に含有されている微粉のダイヤモンド粒子のうち、できるだけ多くの部分を確実に単粒子の形で分散させることが、重要であると理解される。従ってスラリー中におけるダイヤモンドの濃度は低いほど好ましいが、生産性との兼ね合いがあることから、平均粒子径(中央値)0.1μmの捕集には、ダイヤモンド濃度0.5%以下、特に0.2%以下が好ましい。
【0017】
なお必須ではないが、2度目以降の繰返し遠心分離においては、最初の遠心分離に比してスラリー濃度を低くすることが好ましい。一方、遠心分離機の運転条件については、2度目以降も最初の操作と同一条件を用いることができる。
【0018】
本発明方法において、遠心分離操作は基本的に、本質的に粗粒を除く前段の水簸装置または遠心分離機と、目的とする粒子径サイズを含む個別範囲の粒子(フラクション)を捕集する主体の遠心分離機、そして主体の遠心分離機で捕集されずに遠心分離機から出る微粒子を含むスラリーの捕集処理装置との、3種類の設備にて実施される。
【0019】
1回目の遠心分離操作(以下「粗分級」と称する)において、本体の遠心分離機で捕集した濃縮スラリーまたはケーキでは、粗粒および微粉の大部分が除かれてはいるものの、粗粒に微粉が付着したり微粉同士の凝集が認められるので、一般に粒度分布幅は広くなっている。
【0020】
そこで捕集品を多量の水中に投じて十分に撹拌して、本質的に一次粒子に、即ち個々の粒子乃至ごく少数個の粒子の凝集状態に分散し、1回目の粗分級と同様の遠心分離操作(以下「精製分級」と称する)を行なうことにより、さらに粗粒および微粉成分が除かれた粒度分布幅の狭い製品とすることが可能である。同様の操作をさらに追加すれば粒度分布幅はより狭くすることができるが、操作を繰返すことによって、目的とするサイズの製品の捕集量は順次減少し効率が低下することから、2回ないし3回が工業的に実用的な繰返し回数である。
【0021】
繰返し分級の効果は、粒度分布データを用いて評価することができる。粒度分布データは、区分されたサイズ領域(範囲)に存在する粒子数を、測定した粒子全数に対する割合で示した(相対)頻度として、サイズ領域別に集計したヒストグラムと、かかる頻度を積分して得られる累積粒度分布曲線とで表示する方式が広く用いられている。
【0022】
粒度分布状態の評価手段としては、粒度分布を表わす図形について、ピークの高さ、ならびに半値幅で表示する方法や、累積粒度分布曲線におけるD25値とD75値との比を用いる方法などがある。
【0023】
本発明の方法に拠れば、従来に比して格段に粒度範囲の狭い、即ち中央値乃至平均粒子径D50の近くのサイズ頻度値が高く、これから隔たると急激に頻度が低下し、全体として鋭い山状を呈する粒度構成のサブミクロンダイヤモンド粉が得られる。このような特性はD50平均粒度100nm以下のダイヤモンド粉においても確保される。
【0024】
本発明によるダイヤモンド粉の粒子構成乃至粒度分布特性は、第2チャンネルの値を5.500μm、チャンネル間の粒径比率を2の4乗根の逆数とする、チャンネル数44の粒度分布図におけるいくつかのサイズ値及びこれらの比率によって表示規定される。而して検出頻度が最多である粒度区分内の粒子が全体の15%以上を占める場合において、累積粒度分布曲線から読み取ったD90/D10の比が3.0以下、特に2.5以下であり、かつD10/D50の比率が0.6よりも大であり、またD90/D50の比率が1.8以下という、粒度分布幅の狭い粒子構成が得られる。
【0025】
本発明の上記粒度測定はレーザー回折散乱法に基づき、測定はマイクロトラック社の粒度分布測定装置UPAに拠ったが、他社の測定器を用いてもヒストグラム及び累積粒度分布曲線の形状に本質的な差違はない。
【0026】
本発明方法においては、サブミクロンダイヤモンド粉は、油圧プレス等での静的加圧法による超高圧下において非ダイヤモンド炭素から転換・調製・単離されたダイヤモンドの超微粉への粉砕と、特殊な分級操作との組合せによって粒度調整を行う。粉砕には、鋼球を用いてボールミル粉砕操作が利用でき、一方精密分級は、先ず水簸又は遠心分離処理によって粗分級を行い、次いで1回乃至数回の繰返し遠心分離処理に供することからなる精密分級を行う。
【0027】
上記粗分級及び精密分級における遠心分離操作は、次の各段階で構成することができる。即ち、(1)ダイヤモンドを含む第一の水性スラリーを調製すること、(2)該第一スラリーを遠心分離機に供給して遠心分離処理を行うこと、(3)ダイヤモンド含有率の上昇した第二のスラリー乃至ケーキとして取り出すこと、(4)該第二のスラリー乃至ケーキを、第一のスラリーと同様に上記(2)及び(3)の段階を1回以上繰り返し供すること、及び(5)ダイヤモンド含有率が更に上昇した最終スラリー乃至ケーキとして回収すること、である。
【0028】
上記において、取り出した第二のスラリー乃至ケーキではダイヤモンド含有率が上昇しているので、これを次の遠心分離操作に供する際に、このスラリー乃至ケーキをで希釈することにより、より粒度範囲の狭い粒子構成をもつスラリー乃至ケーキを得ることができる。
【0029】
上記において、第一スラリーのダイヤモンド含有率は0.5%以下0.05%以上とするのが好ましい。これより低いと生産性が低下し、逆に高過ぎると凝集粒子の割合が大きくなる。
【0030】
また上記第一スラリーを形成する前に、予めダイヤモンドを親水化処理に供し、ダイヤモンド粒子表面に、酸素等の親水性原子や、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、その他の親水性原子団乃至親水基を形成させると、水中での分散状態が向上するので、効率的な処理を行うことができる。
【0031】
上記の親水性処理は、例えば濃硫酸、濃硝酸、過塩素酸のような強酸乃至湿式酸化剤中で加熱することによって達成できる。このような処理は例えば特開2001−329252号公報に記載されている。
【0032】
一方、単乃至繰り返し分級操作後に、ダイヤモンドを800℃以上の温度で加熱処理することにより、ダイヤモンド粒子の表面を一部、黒鉛乃至乱層構造または不定形炭素等の非ダイヤモンド炭素に転換してダイヤモンド結晶本体を被覆することも効果的である。
【0033】
即ち、ダイヤモンド粒子表面に非ダイヤモンド炭素が介在することによって、研磨面に深い傷を生じたり、突き刺さりを生じる原因となる鋭い刃先の形成が抑えられ、高品位の研磨面が期待できる。
【0034】
この効果は次のように説明可能である。即ち本発明のダイヤモンド微粉は衝撃荷重で粉砕されたものであるから劈開割れによる破片が主体であって、研磨材粒子のエッジが鋭くまた形状が鋭角であり、研磨材粒子表面が硬質である。従って特に被加工材が軟質材料の場合、そのままでは研磨加工の際に研磨傷(スクラッチ)が発生しやすく、その結果、良好な研磨面品位が得られにくくなっている。
【0035】
この際、分級処理後にダイヤモンド粉を上記温度で加熱処理すると、ダイヤモンド粒子の表面に、本体と一体化されたより軟質の非ダイヤモンド炭素(NDC:特に黒鉛乃至乱層構造または不定形炭素)相が形成される。しかもこのNDC相は、ダイヤモンド粒子の特に、高反応性の尖った先端部やエッジ部において優先的に生成することから、加熱処理されたダイヤモンド粒子は、刃先が丸みを帯びた、また粒子表面に非ダイヤモンド炭素のクッション層が形成された構成となって、研磨傷の回避が期待できる。
【0036】
上記加熱処理は800〜1400℃の温度で行うのが好ましい。800℃以下では加熱処理による効果、即ちダイヤモンド粒子表面に形成される非ダイヤモンド炭素量が殆ど認められないのと併せて、ダイヤモンド粒子自体の強度にも変化が認められない。一方1400℃を超えるとダイヤモンドの黒鉛化が急激に進行するので反応の制御が困難になる。より好ましい加熱処理温度は1100〜1300℃である。
【0037】
この熱処理は800℃以上1400℃以下の処理温度で行う。被覆(析出)量は処理時間に拠って制御できるが、ダイヤモンド粒子全体に対する重量%で0.5%以上30%以下(酸化剤溶出法による質量減少率)が適切である。これより少ないと効果が顕著でなく、多すぎると切れ刃が鈍くなって切れ味が落ちる。
【0038】
加熱処理時間は処理する炉の大きさによって異なるが概ね6〜12時間程度が好適である。
【0039】
上記熱処理によってダイヤモンド結晶は、包含している金属不純物との熱膨張率の差に起因して、細かなクラック(ひび割れ)を生じて破砕性の向上に寄与する。この破砕性の向上は、粗いダイヤモンド砥粒については定量的な評価が行われている。なお、本出願においては、このクラック発生とダイヤモンドの非ダイヤモンド炭素への転換とを、ダイヤモンド結晶構造への熱影響と称する。
【0040】
【実施例1】水簸操作によってD50平均粒径(中央値)150nm以上の粗粒フラクションを除いたスラリーを用いた。脱イオン水を加えてスラリー中のダイヤモンド濃度を0.2質量%に調整し、12000Gの第1段遠心分離機を通過させ、粒径100nmのフラクションを、粗分級ケーキとして一旦捕集した。第1段遠心分離機を出た流出液は、直列に接続した21000Gの第2段遠心分離機に送入して、80nm粒子採集用の粗分級ケーキと流出液とに分離した。
【0041】
第1段および第2段の遠心分離機で捕集した粗分級ケーキは、それぞれ100nmおよび80nm粒子採集のために、精密分級用の原料スラリータンクへ投入し、脱イオン水を加えてダイヤモンド濃度を調整し、十分撹拌して0.1%のスラリーとした。
【0042】
公称粒径値100nm品の精密分級においては、上記のスラリーを5000Gの前段遠心分離機を通過させて、混入している粗粉成分を除去し、流出液を12000Gの後段遠心分離機に導いて、ケーキと微粉成分を含む流出液とに分離した。
【0043】
公称粒径値80nm品についても同様の操作を行った。ただし前段遠心分離操作では12000Gの遠心分離機を通過させて粗粒を除去し、次いで21000Gの後段遠心分離機で、ケーキと微粉成分を含む流出液との分離を実施した。
【0044】
以上の操作で得られた粗分級品および精密分級品について、特性値をまとめて次表に掲げた。測定はマイクロトラックUPAの粒度分布測定器に拠った。
【0045】
【表1】
【0046】
上記結果に見られるように両サイズとも、D50値については粗分級品と精密分級品との間に実質的な差がないものの、精密分級を行なうことによってD90/D10については3.59及び3.16からそれぞれ3.0以下まで低下し、またピーク値フラクションの頻度は15%以上となっており、粒度分布幅が狭くなっていることが認められる。なお粗分級から精製品への歩留りは65%であった。
【0047】
上記で得られた80nm精密分級品のダイヤモンド粉末を、窒素雰囲気中で1000℃に12時間保持する加熱処理を施した。得られた加熱処理ダイヤモンドは、黒色を呈しており、硫酸−硝酸混液中で煮沸する湿式酸化処理による減量から、ダイヤモンドの表面に形成された非ダイヤモンドカーボン量は、4.5質量%と見積もられた。
【0048】
このダイヤモンドを用いた3.5インチのアルミハードディスクのテクスチュアリング加工において、加工面の面粗さとして2.7Åの値が得られ、80GBの記録密度を目指した加工砥粒として用いうることが、確かめられた。
【0049】
【発明の効果】本発明のダイヤモンド微粉は、静圧法で合成されたダイヤモンドの特徴である単結晶質を保持しながら、100nm以下の粒度域において狭い粒度範囲を呈することから、精密研磨その他各種の精密用途に適する。
Claims (17)
- 粉砕・分級工程を経て調製された、単結晶質ダイヤモンド粒子において、マイクロトラックUPAによるサイズ別検出頻度の粒度分布ヒストグラム(第2チャンネルの値を5.500μm、チャンネル間の粒径比率を2の4乗根の逆数とする、チャンネル数44の動的光散乱遠心粒度分布測定機)において、D50平均粒度(中央値)が 500nm以下であり、かつ最多頻度を示す粒度区分内の粒子が全体の15%以上を占めることを特徴とする、研磨材用サブミクロンダイヤモンド微細粉。
- 上記D50平均粒度が100nm以下である、請求項2に記載のダイヤモンド粉。
- 上記ヒストグラムにおいて最大の検出頻度を呈する粒度フラクションが全体の15%以上である、請求項1に記載の単結晶質サブミクロンダイヤモンド微細粉。
- 上記粒度ヒストグラムにおいて、さらに、D90/D10の比率が3.0以下である、請求項1に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記D90/D10の比率が2.5以下である、請求項4に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記ヒストグラムにおいて、さらに、D10/D50の比率が0.6よりも大である、請求項1に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記粒度分布ヒストグラムにおいて、さらに、D90/D50の比率が1.8以下である、請求項1に記載のダイヤモンド微細粉。
- 単結晶質ダイヤモンド粒子の表面が、加熱処理による熱影響構造を有し、かつダイヤモンド粒子全体に対する質量比において0.5%以上の非ダイヤモンド炭素で被覆されている請求項1に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記非ダイヤモンド炭素が黒鉛乃至乱層構造または不定形炭素である、請求項8に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記非ダイヤモンド炭素のダイヤモンド粒子全体に対する割合が、酸化剤溶出法による質量減少率において30%以下である、請求項1に記載のダイヤモンド微細粉。
- 上記ダイヤモンド粒子が上記加熱処理の影響としてクラックを含む、請求項8に記載のダイヤモンド微細粉。
- 静的加圧法による超高圧下において非ダイヤモンド炭素から転換・調製されたダイヤモンドを単離し、更に(1)鋼球を用いたボールミル粉砕操作、(2)水簸又は遠心分離処理による粗分級、及び(3)繰返し遠心分離処理による精密分級の組合せによって粒度調整を行うことを特徴とする、請求項1に記載のダイヤモンド微細粉の製造方法。
- 上記遠心分離操作が次の各段階で構成される、請求項12に記載のダイヤモンド微細粉の製造方法:
(1) ダイヤモンドを含む第一の水性スラリーを調製すること、
(2) 該第一スラリーを遠心分離機に供給して遠心分離処理を行うこと、
(3) ダイヤモンド含有率の上昇した第二のスラリー乃至ケーキとして取り出すこと、
(4) 該第二のスラリー乃至ケーキを、第一のスラリーと同様に上記(2)及び(3)の段階を1回以上繰り返し供すること、及び
(5) ダイヤモンド含有率が更に上昇した最終スラリー乃至ケーキとして回収すること。 - 上記遠心分離操作が次の各段階で構成される、請求項12に記載のダイヤモンド微細粉の製造方法:
(1) ダイヤモンドを含む第一の水性スラリーを調製すること、
(2) 該第一スラリーを遠心分離機に供給して遠心分離処理を行うこと、
(3) ダイヤモンド含有率の上昇した第二のスラリー乃至ケーキとして取り出すこと、
(4) 該第二スラリー乃至ケーキを水で希釈して第三のスラリーを調製すること、
(5) 該第三スラリーを、第一のスラリーと同様に、上記(2)及び(3)の段階を1回以上繰り返すこと、及び
(6) ダイヤモンド含有率が更に上昇した最終スラリー乃至ケーキとして回収すること。 - 上記第一スラリーのダイヤモンド含有率が0.5%以下である、請求項13及び14の各項に記載されたダイヤモンド微細粉の製造方法。
- 上記第一スラリーを形成する前に、予めダイヤモンドを親水化処理に供し、ダイヤモンド粒子表面に親水基を形成させる、請求項13及び14の各項に記載されたダイヤモンド微細粉の製造方法。
- 上記ダイヤモンドを、繰り返し分級操作の後に800℃以上1400℃以下の加熱処理温度に供する、請求項12に記載されたダイヤモンド微細粉の製造方法。
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