JP2004339322A - 樹脂シート - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートを提供する。
【解決手段】結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートであって、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下である樹脂シート、好ましくは、結晶性芳香族ポリエステルからなる樹脂シートであって、前記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを50重量%未満の割合で含有する樹脂シート、より好ましくは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルの融点が170℃以上である樹脂シート、更に、好ましくは、更に、オキサゾリン化合物又はカルボジイミド化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である樹脂シート。
【選択図】なし
【解決手段】結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートであって、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下である樹脂シート、好ましくは、結晶性芳香族ポリエステルからなる樹脂シートであって、前記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを50重量%未満の割合で含有する樹脂シート、より好ましくは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルの融点が170℃以上である樹脂シート、更に、好ましくは、更に、オキサゾリン化合物又はカルボジイミド化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である樹脂シート。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温での耐熱性、離型性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、離型フィルムが使用されており、具体的には、フッ素系フィルム、セルロース系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム等を用いることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。また、シリコン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム等も従来より用いられている。
一方、特に、フレキシブルプリント配線基板の製造工程においては、電気回路を形成したフレキシブルプリント配線基板本体に、熱硬化型接着剤によってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムとプレス熱板との接着防止のために、離型フィルムを用いる方法が広く行われており、離型フィルムとしては、軟質ポリオレフィンの層を中間層とし、その内外両面に結晶性ポリメチルペンテンの層を形成したものが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
他方、近年、環境問題や安全性に対する社会的要請の高まりから、これらの離型フィルムに対しては、熱プレス成形に耐える耐熱性、プリント配線基板や熱プレス板に対する離型性といった機能に加えて、廃棄処理の容易性が求められるようになってきた。更に、熱プレス成形時の製品歩留まり向上のため、銅回路に対する非汚染性も重要となってきている。
【0004】
しかしながら、従来から離型フィルムとして用いられている上記フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題点があった。
また、シリコン等の表面処理剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムやポリメチルペンテンフィルムは、表面処理剤や構成成分に含まれる低分子量体の移行によってプリント配線基板、とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがあり、ポリオレフィンワックス等の表面処理剤を塗布したポリエステルフィルムについては、離型性付与成分の移行が低減された離型フィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)ものの、熱プレス時における相手材に対する非汚染性はまだ改善が要請されるものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−283862号公報(請求項1及び段落0023等)
【特許文献2】
特開平2−175247号公報(特許請求の範囲(1),産業上の利用分野及び第2頁左上欄等)
【特許文献3】
特開平1−229045号公報(第1頁の産業上の利用分野及び第4頁右下欄等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートであって、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下である樹脂シートを提供する。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、結晶性芳香族ポリエステルからなる樹脂シートであって、前記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを50重量%未満の割合で含有する請求項1記載の樹脂シートを提供する。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルの融点が170℃以上である請求項2記載の樹脂シートを提供する。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、更に、オキサゾリン化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である請求項1、2、又は3記載の樹脂シートを提供する。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、更に、カルボジイミド化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である請求項1、2、又は3記載の樹脂シートを提供する。
【0012】
なお、本明細書において、シートとは、シートばかりではなく、フィルムをも意味する。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる。このことにより、本発明の樹脂シートは耐熱性及び機械特性が極めて優れたものとなる。
なかでも、ヘテロ原子を分子中に含まないため焼却処理時の環境負荷が軽減され、経済的にも有利であることから、結晶性芳香族ポリエステルが好ましい。
【0014】
上記結晶性芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール又は高分子量ジオールとを反応させることにより得ることができる。
【0015】
上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0016】
上記低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0017】
上記高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0018】
上述の構成成分からなる結晶性芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0019】
また、上記結晶性芳香族ポリエステルとしては、結晶成分にブチレンテレフタレート成分を含むことが好ましい。ブチレンテレフタレート成分が含まれることにより、得られる樹脂シートは、非汚染性及び結晶性に優れる。
【0020】
上記結晶性ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等が挙げられる。なかでも、ポリアミド6が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0021】
上記結晶性芳香族ポリエステルがブチレンテレフタレート成分を結晶成分として含むものである場合には、本発明の樹脂シートは、結晶融解熱量が40J/g以上であることが好ましい。結晶融解熱量が40J/g未満であると、樹脂シートは熱プレス成形に耐え得る耐熱性を発現することができないことがあり、また、170℃における寸法変化率も大きくなり、熱プレス成形時に回路パターンを損なうおそれがある。より好ましくは結晶融解熱量が50J/g以上である。
【0022】
結晶性を向上させ高い結晶融解熱量とするためには、結晶核剤等の結晶化を促進する添加剤を、本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物に加えても良く、更に樹脂シートの溶融成形時の冷却温度を、上記結晶性芳香族ポリエステルのガラス転移温度以上に設定するのが好ましく、具体的には、70〜150℃に設定するのがさらに好ましい。
なお、上記結晶融解熱量は、示差走査熱量測定により測定することができる。
【0023】
本発明の樹脂シートは、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下であることが必要である。カルボキシル基濃度が30×10−6当量/gを越える場合は、樹脂シート表面の極性が高くなり離型性、とりわけエポキシ系接着剤との離型性に悪影響を与える。
結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートは、一般的に、成形中の熱分解、加水分解によりカルボキシル基濃度は50×10−6当量/g程度であるが、本発明では、30×10−6当量/g以下とされる。
【0024】
上記カルボキシル基濃度は次のようにして求める。
試料を加熱下でベンジルアルコールに溶解させた後、クロロホルムを加えて試料溶液を得る。この試料溶液を用い、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化カリウムエタノール溶液により中和滴定を行い求める。
【0025】
本発明の樹脂シートにおける結晶性芳香族ポリエステルは、耐熱性及び離型性と、柔軟性のバランスを優れたものとするために、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを含有していることが好ましい。その割合が過剰になると、得られた樹脂シートを離型フィルムとして用いた場合に耐熱性、機械強度が低下することがあるので50重量%未満とされる。
また、含有量の下限値は特に限定されないが、柔軟性、離型性を十分なものとするために、例えば1重量%以上とされる。
【0026】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール及び高分子量ジオールとを反応させることにより得られる。
本発明の樹脂シートは、高分子量ジオール成分を含有しない結晶性芳香族ポリエステルからなるマトリックス中に、高分子量ジオール成分を含有する結晶性芳香族ポリエステルが微小に分散することにより、耐熱性及び離型性を維持しながら、柔軟性を得ることができる。
【0027】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルは、融点が170℃以上であることが好ましい。融点が170℃未満であると、得られた樹脂シートを離型フィルムとして用いた場合に離型しにくくなることがある。
【0028】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルとしては特に限定されず、例えば、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体、テレフタル酸ブタンジオールポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0029】
本発明の樹脂シートは、オキサゾリン化合物が含有されてなり、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂シートは、カルボジイミド化合物が含有されてなり、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることが好ましい。
なお、オキサゾリン化合物やカルボジイミド化合物は樹脂と反応して変性樹脂中の変性成分として存在していてもよい。
上記オキサゾリン化合物や、上記カルボジイミド化合物といったカルボキシル基との反応性が比較的高い官能基を有する化合物を添加することにより、カルボキシル基濃度を20×10−6当量/g以下に低減することができる。
【0030】
上記オキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス (4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。更にオキサゾリン化合物を含有するかあるいは変性されている樹脂であってもよい。例えば日本触媒社製「エポクロス」等のオキサゾリン変性樹脂が挙げられる。
【0031】
上記カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩等が挙げられる。更にカルボジイミド化合物を含有するかあるいは変性されている樹脂であってもよい。例えば日清紡社製「カルボジライト」等のカルボジイミド変性樹脂が挙げられる。
【0032】
上記オキサゾリン化合物及び上記カルボジイミド化合物は2種類以上併用しても良い。
上記オキサゾリン化合物の添加量、上記カルボジイミド化合物の添加量、又は、オキサゾリン化合物とカルボジイミド化合物とを併用した場合の合計の添加量は、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミド100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合、カルボキシル基濃度を低減する効果が低下してしまい、10重量部を越える場合、得られる樹脂シートの機械物性が低下してしまうことがある。
【0033】
本発明の樹脂シートは、安定剤を含有してもよい。
上記安定剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル) ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の樹脂シートは、実用性を損なわない範囲で、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、並びに、無機物及び高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
【0035】
上記繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維、アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられる。
【0036】
上記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等が挙げられる。
【0037】
上記難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げられる。
【0039】
上記帯電防止剤としては、例えば、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
【0040】
上記無機物としては、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等が挙げられる。
【0041】
上記高級脂肪酸塩としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0042】
本発明の樹脂シートは、その性質を改質するために、熱可塑性樹脂、ゴム成分を含有してもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
【0043】
上記ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0044】
本発明の樹脂シートは、アスペクト比の大きい無機化合物を含有することが好ましい。アスペクト比の大きい無機化合物を含有することにより、本発明の樹脂シートの高温での離型性を向上させることができ、更に添加剤や低分子量成分の表面へのブリードアウトを抑制して熱プレス成形時のクリーン性を向上させることができる。
【0045】
上記アスペクト比の大きい無機化合物としては、例えば、クレイ等の層状ケイ酸塩;ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
【0046】
本発明の樹脂シートの表面は、平滑性を有することが好ましいが、ハンドリングに必要なスリップ性、アンチブロッキング性等が付与されていてもよく、また、熱プレス成形時の空気抜けを目的として、少なくとも片面に適度のエンボス模様が設けられてもよい。
【0047】
本発明の樹脂シートの厚さは、5μm以上、300μm以下であることが好ましい。樹脂シートの厚さが5μm未満であると、強度が不足することがあり、300μmを超えると、熱プレス成形時の熱伝導率が悪くなることがある。10μm以上、50μm以下であることがより好ましい。
【0048】
本発明の樹脂シートは、溶融成形法により作製することができる。上記溶融成形法としては特に限定されず、例えば、空冷又は水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの成膜方法が挙げられる。
【0049】
本発明の樹脂シートには、耐熱性、離型性、寸法安定性を向上させるために、熱処理が行われてもよい。
熱処理温度は本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物の融点よりも低い温度であれば高温であるほど効果的であり、170℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
本発明の樹脂シートの耐熱性、離型性、寸法安定性を向上させる他の方法としては、例えば、1軸又は2軸方向に延伸する方法、表面をバフロール等でこする方法等が挙げられる。
【0050】
本発明の樹脂シートは、積層体フィルムの少なくとも片面に積層して用いてもよい。上記積層体フィルムを構成する樹脂組成物としては特に限定されないが、使用後の廃棄の容易さから、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0051】
また、本発明の樹脂シートと積層体フィルムとの接着性を向上させるために、酸変性ポリオレフィン又はグリシジル変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィン、もしくは本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物等が、積層体フィルム中に混合されてもよい。
【0052】
上記積層体フィルムの製造方法としては、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法、本発明の樹脂シートに積層体フィルムを構成する樹脂組成物を押出ラミネーション法にて積層する方法、本発明の樹脂シートと積層体フィルムとをドライラミネーションする方法等が挙げられる。なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚み制御に優れる点で好ましい。
【0053】
本発明の樹脂シートは、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、使用後の廃棄処理が容易にできることから、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、又は、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、プレス熱板とプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、又は、多層プリント配線板等との接着を防ぐ離型フィルムとして好適に用いられる。
【0054】
また、フレキシブルプリント配線基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルムを熱硬化性接着剤で接着する際に、カバーレイフィルムと熱プレス板、又は、カバーレイフィルム同士の接着を防ぐ離型フィルムとしても好適に用いられる。
【0055】
更に、ガラスクロス、炭素繊維、又はアラミド繊維とエポキシ樹脂とからなるプリプレグをオートクレーブ中で硬化させて製造される釣竿、ゴルフクラブ・シャフト等のスポーツ用品、及び航空機の部品を製造する際の離型フィルム、並びに、ポリウレタンフォーム、セラミックシート、及び電気絶縁板等を製造する際の離型フィルムとしても有用である。
【0056】
(作用)
このように、本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなるので、高温での耐熱性に優れたものとなっており、しかも、これらの素材は使用後の廃棄が比較的容易なものである。また、カルボキシル基濃度を30×10−6当量/g以下と、低濃度としているので、樹脂シート表面の極性が高くならず離型性、とりわけエポキシ系接着剤との離型性が良好となっている。
【0057】
更に、本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルにポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを含有し、結晶性芳香族ポリエステルからなるマトリックス中に、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルが微小に分散するので、耐熱性及び離型性を維持しながら、樹脂シートに必要な柔軟性を得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
(1)樹脂シートの作製
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、及びポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを得た。
【0060】
(2)銅張り積層板の作製
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン)をベースフィルムとし、ベースフィルム上に厚さ35μm、幅50μmの銅箔が厚さ20μmのエポキシ系接着剤層で接着された銅張り積層板を得た。
【0061】
(3)カバーレイフィルムの作製
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン)上に、流動開始温度80℃のエポキシ系接着剤を厚さ20μmで塗布してカバーレイフィルムを得た。
【0062】
(4)樹脂フィルムの作製
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製:ノバテックLD LE425)を押出機にて230℃に加熱して溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して、厚さ100μmの樹脂フィルムを得た。
【0063】
(5)フレキシブルプリント配線基板の作製
得られた樹脂シート、銅張り積層板、カバーレイフィルム、樹脂シート、及び、樹脂フィルムをこの順に重ね合わせたものを1セットとして、32セットを熱プレス板に載置し、プレス温度170℃、プレス圧3MPa、プレス時間60分間の条件で熱プレス成形した後、プレス圧を開放し、樹脂フィルムを取り除き、樹脂シートを引き剥がして、フレキシブルプリント配線基板を得た。
【0064】
得られたフレキシブルプリント配線基板のカバーレイフィルムは、基板本体と完全に密着しており、空気の残存部分は認められなかった。カバーレイフィルムのない部分の銅箔からなる電極部分からも樹脂シートは完全に離型しており、電極部分は銅箔が完全に露出していた。また、電極部分の銅箔の導電性は十分であり、有機物の付着による汚染も認められなかった。更に、カバーレイフィルムのない部分での銅箔表面への接着剤の流れ出しは、カバーレイフィルム端部より0.1mm以下であり、接着剤の流れ出し防止効果も十分であった。
【0065】
(実施例2)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部、及びオキサゾリン化合物を含有し、一部がオキサゾリン化合物で変性されている樹脂であるエポクロスRPS−1005(日本触媒社製)5重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0066】
(実施例3)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部、及びカルボジイミド化合物を含有し、一部がカルボジイミド化合物で変性されている樹脂であるカルボジライトBペレット(日清紡社製)5重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0067】
(実施例4)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0068】
(比較例1)
押出機を用いて270℃で溶融可塑化した以外は、実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0069】
実施例1〜4及び比較例1で作製した樹脂シートについて、カルボキシル基濃度を次のようにして求めた。
試料を加熱下でベンジルアルコールに溶解させた後、クロロホルムを加えて試料溶液を得る。この試料溶液を用い、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化カリウムエタノール溶液により中和滴定を行い求めた。
また、これらの樹脂シートを用いたフレキシブルプリント配線基板の作製において、離型性、耐熱性、密着性、及び作製後のフレキシブルプリント配線基板の電極汚染を目視により評価した。これらの結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より、実施例1〜4はカルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下であり、離型性が良好であることがわかる。また、電極汚染が無く非汚染性に優れることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成からなるので、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートを提供することができる。
従って、本発明の樹脂シートは、フレキシブルプリント配線基板の製造、リジットプリント配線基板の製造等に好適に使用される。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温での耐熱性、離型性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
プリント配線基板、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、離型フィルムが使用されており、具体的には、フッ素系フィルム、セルロース系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム等を用いることが報告されている(例えば、特許文献1参照。)。また、シリコン塗布ポリエチレンテレフタレートフィルム等も従来より用いられている。
一方、特に、フレキシブルプリント配線基板の製造工程においては、電気回路を形成したフレキシブルプリント配線基板本体に、熱硬化型接着剤によってカバーレイフィルムを熱プレス接着する際に、カバーレイフィルムとプレス熱板との接着防止のために、離型フィルムを用いる方法が広く行われており、離型フィルムとしては、軟質ポリオレフィンの層を中間層とし、その内外両面に結晶性ポリメチルペンテンの層を形成したものが報告されている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
他方、近年、環境問題や安全性に対する社会的要請の高まりから、これらの離型フィルムに対しては、熱プレス成形に耐える耐熱性、プリント配線基板や熱プレス板に対する離型性といった機能に加えて、廃棄処理の容易性が求められるようになってきた。更に、熱プレス成形時の製品歩留まり向上のため、銅回路に対する非汚染性も重要となってきている。
【0004】
しかしながら、従来から離型フィルムとして用いられている上記フッ素系フィルムは、耐熱性、離型性、非汚染性には優れているが、高価である上、使用後の廃棄焼却処理において燃焼しにくく、かつ、有毒ガスを発生するという問題点があった。
また、シリコン等の表面処理剤を塗布したポリエチレンテレフタレートフィルムやポリメチルペンテンフィルムは、表面処理剤や構成成分に含まれる低分子量体の移行によってプリント配線基板、とりわけ銅回路の汚染を引き起こし、品質を損なうおそれがあり、ポリオレフィンワックス等の表面処理剤を塗布したポリエステルフィルムについては、離型性付与成分の移行が低減された離型フィルムが開示されている(例えば、特許文献3参照。)ものの、熱プレス時における相手材に対する非汚染性はまだ改善が要請されるものであった。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−283862号公報(請求項1及び段落0023等)
【特許文献2】
特開平2−175247号公報(特許請求の範囲(1),産業上の利用分野及び第2頁左上欄等)
【特許文献3】
特開平1−229045号公報(第1頁の産業上の利用分野及び第4頁右下欄等)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明は、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートであって、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下である樹脂シートを提供する。
【0008】
また、請求項2記載の発明は、結晶性芳香族ポリエステルからなる樹脂シートであって、前記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを50重量%未満の割合で含有する請求項1記載の樹脂シートを提供する。
【0009】
また、請求項3記載の発明は、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルの融点が170℃以上である請求項2記載の樹脂シートを提供する。
【0010】
また、請求項4記載の発明は、更に、オキサゾリン化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である請求項1、2、又は3記載の樹脂シートを提供する。
【0011】
また、請求項5記載の発明は、更に、カルボジイミド化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下である請求項1、2、又は3記載の樹脂シートを提供する。
【0012】
なお、本明細書において、シートとは、シートばかりではなく、フィルムをも意味する。
以下に本発明を詳述する。
【0013】
本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる。このことにより、本発明の樹脂シートは耐熱性及び機械特性が極めて優れたものとなる。
なかでも、ヘテロ原子を分子中に含まないため焼却処理時の環境負荷が軽減され、経済的にも有利であることから、結晶性芳香族ポリエステルが好ましい。
【0014】
上記結晶性芳香族ポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール又は高分子量ジオールとを反応させることにより得ることができる。
【0015】
上記芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタリンジカルボン酸、パラフェニレンジカルボン酸、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、オルトフタル酸ジメチル、ナフタリンジカルボン酸ジメチル、パラフェニレンジカルボン酸ジメチル等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0016】
上記低分子量脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0017】
上記高分子量ジオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリヘキサメチレングリコール等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0018】
上述の構成成分からなる結晶性芳香族ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0019】
また、上記結晶性芳香族ポリエステルとしては、結晶成分にブチレンテレフタレート成分を含むことが好ましい。ブチレンテレフタレート成分が含まれることにより、得られる樹脂シートは、非汚染性及び結晶性に優れる。
【0020】
上記結晶性ポリアミドとしては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12等が挙げられる。なかでも、ポリアミド6が好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0021】
上記結晶性芳香族ポリエステルがブチレンテレフタレート成分を結晶成分として含むものである場合には、本発明の樹脂シートは、結晶融解熱量が40J/g以上であることが好ましい。結晶融解熱量が40J/g未満であると、樹脂シートは熱プレス成形に耐え得る耐熱性を発現することができないことがあり、また、170℃における寸法変化率も大きくなり、熱プレス成形時に回路パターンを損なうおそれがある。より好ましくは結晶融解熱量が50J/g以上である。
【0022】
結晶性を向上させ高い結晶融解熱量とするためには、結晶核剤等の結晶化を促進する添加剤を、本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物に加えても良く、更に樹脂シートの溶融成形時の冷却温度を、上記結晶性芳香族ポリエステルのガラス転移温度以上に設定するのが好ましく、具体的には、70〜150℃に設定するのがさらに好ましい。
なお、上記結晶融解熱量は、示差走査熱量測定により測定することができる。
【0023】
本発明の樹脂シートは、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下であることが必要である。カルボキシル基濃度が30×10−6当量/gを越える場合は、樹脂シート表面の極性が高くなり離型性、とりわけエポキシ系接着剤との離型性に悪影響を与える。
結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートは、一般的に、成形中の熱分解、加水分解によりカルボキシル基濃度は50×10−6当量/g程度であるが、本発明では、30×10−6当量/g以下とされる。
【0024】
上記カルボキシル基濃度は次のようにして求める。
試料を加熱下でベンジルアルコールに溶解させた後、クロロホルムを加えて試料溶液を得る。この試料溶液を用い、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化カリウムエタノール溶液により中和滴定を行い求める。
【0025】
本発明の樹脂シートにおける結晶性芳香族ポリエステルは、耐熱性及び離型性と、柔軟性のバランスを優れたものとするために、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを含有していることが好ましい。その割合が過剰になると、得られた樹脂シートを離型フィルムとして用いた場合に耐熱性、機械強度が低下することがあるので50重量%未満とされる。
また、含有量の下限値は特に限定されないが、柔軟性、離型性を十分なものとするために、例えば1重量%以上とされる。
【0026】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルは、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体と、低分子量脂肪族ジオール及び高分子量ジオールとを反応させることにより得られる。
本発明の樹脂シートは、高分子量ジオール成分を含有しない結晶性芳香族ポリエステルからなるマトリックス中に、高分子量ジオール成分を含有する結晶性芳香族ポリエステルが微小に分散することにより、耐熱性及び離型性を維持しながら、柔軟性を得ることができる。
【0027】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルは、融点が170℃以上であることが好ましい。融点が170℃未満であると、得られた樹脂シートを離型フィルムとして用いた場合に離型しにくくなることがある。
【0028】
上記ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルとしては特に限定されず、例えば、テレフタル酸ブタンジオールポリテトラメチレングリコール共重合体、テレフタル酸ブタンジオールポリプロピレングリコール共重合体等が挙げられる。
【0029】
本発明の樹脂シートは、オキサゾリン化合物が含有されてなり、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることが好ましい。
また、本発明の樹脂シートは、カルボジイミド化合物が含有されてなり、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることが好ましい。
なお、オキサゾリン化合物やカルボジイミド化合物は樹脂と反応して変性樹脂中の変性成分として存在していてもよい。
上記オキサゾリン化合物や、上記カルボジイミド化合物といったカルボキシル基との反応性が比較的高い官能基を有する化合物を添加することにより、カルボキシル基濃度を20×10−6当量/g以下に低減することができる。
【0030】
上記オキサゾリン化合物としては、例えば、2,2’−o−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−p−フェニレンビス(4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−m−フェニレンビス (4,4’−ジメチル−2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−テトラメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−ヘキサメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−オクタメチレンビス(2−オキサゾリン)、2,2’−エチレンビス(4−メチル−2−オキサゾリン)、2,2’−ジフェニレンビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。更にオキサゾリン化合物を含有するかあるいは変性されている樹脂であってもよい。例えば日本触媒社製「エポクロス」等のオキサゾリン変性樹脂が挙げられる。
【0031】
上記カルボジイミド化合物としては、例えば、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド・塩酸塩等が挙げられる。更にカルボジイミド化合物を含有するかあるいは変性されている樹脂であってもよい。例えば日清紡社製「カルボジライト」等のカルボジイミド変性樹脂が挙げられる。
【0032】
上記オキサゾリン化合物及び上記カルボジイミド化合物は2種類以上併用しても良い。
上記オキサゾリン化合物の添加量、上記カルボジイミド化合物の添加量、又は、オキサゾリン化合物とカルボジイミド化合物とを併用した場合の合計の添加量は、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミド100重量部に対して0.1〜10重量部が好ましい。0.1重量部未満の場合、カルボキシル基濃度を低減する効果が低下してしまい、10重量部を越える場合、得られる樹脂シートの機械物性が低下してしまうことがある。
【0033】
本発明の樹脂シートは、安定剤を含有してもよい。
上記安定剤としては、例えば、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等のヒンダードフェノール系酸化防止剤;トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル) ホスファイト、トリラウリルホスファイト、2−t−ブチル−α−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルビス(p−ノニルフェニル)ホスファイト、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスチリルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル3,3’−チオジプロピオネート等の熱安定剤等が挙げられる。
【0034】
本発明の樹脂シートは、実用性を損なわない範囲で、繊維、無機充填剤、難燃剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、並びに、無機物及び高級脂肪酸塩等の添加剤を含有してもよい。
【0035】
上記繊維としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ボロン繊維、炭化珪素繊維、アルミナ繊維、アモルファス繊維、シリコン・チタン・炭素系繊維等の無機繊維、アラミド繊維等の有機繊維等が挙げられる。
【0036】
上記無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等が挙げられる。
【0037】
上記難燃剤としては、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン、トリス−(2,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ペンタブロモフェニルアリルエーテル等が挙げられる。
【0038】
上記紫外線吸収剤としては、例えば、p−t−ブチルフェニルサリシレート、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン等が挙げられる。
【0039】
上記帯電防止剤としては、例えば、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)アルキルアミン、アルキルアリルスルホネート、アルキルスルファネート等が挙げられる。
【0040】
上記無機物としては、例えば、硫酸バリウム、アルミナ、酸化珪素等が挙げられる。
【0041】
上記高級脂肪酸塩としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸バリウム、パルミチン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0042】
本発明の樹脂シートは、その性質を改質するために、熱可塑性樹脂、ゴム成分を含有してもよい。
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエステル等が挙げられる。
【0043】
上記ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、ポリブタジエン、ポリイソプレン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体(EPM、EPDM)、ブチルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ウレタンゴム、オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー、塩ビ系熱可塑性エラストマー、エステル系熱可塑性エラストマー、アミド系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
【0044】
本発明の樹脂シートは、アスペクト比の大きい無機化合物を含有することが好ましい。アスペクト比の大きい無機化合物を含有することにより、本発明の樹脂シートの高温での離型性を向上させることができ、更に添加剤や低分子量成分の表面へのブリードアウトを抑制して熱プレス成形時のクリーン性を向上させることができる。
【0045】
上記アスペクト比の大きい無機化合物としては、例えば、クレイ等の層状ケイ酸塩;ハイドロタルサイト等の層状複水和物等が挙げられる。
【0046】
本発明の樹脂シートの表面は、平滑性を有することが好ましいが、ハンドリングに必要なスリップ性、アンチブロッキング性等が付与されていてもよく、また、熱プレス成形時の空気抜けを目的として、少なくとも片面に適度のエンボス模様が設けられてもよい。
【0047】
本発明の樹脂シートの厚さは、5μm以上、300μm以下であることが好ましい。樹脂シートの厚さが5μm未満であると、強度が不足することがあり、300μmを超えると、熱プレス成形時の熱伝導率が悪くなることがある。10μm以上、50μm以下であることがより好ましい。
【0048】
本発明の樹脂シートは、溶融成形法により作製することができる。上記溶融成形法としては特に限定されず、例えば、空冷又は水冷インフレーション押出法、Tダイ押出法等の従来公知の熱可塑性樹脂フィルムの成膜方法が挙げられる。
【0049】
本発明の樹脂シートには、耐熱性、離型性、寸法安定性を向上させるために、熱処理が行われてもよい。
熱処理温度は本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物の融点よりも低い温度であれば高温であるほど効果的であり、170℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。
本発明の樹脂シートの耐熱性、離型性、寸法安定性を向上させる他の方法としては、例えば、1軸又は2軸方向に延伸する方法、表面をバフロール等でこする方法等が挙げられる。
【0050】
本発明の樹脂シートは、積層体フィルムの少なくとも片面に積層して用いてもよい。上記積層体フィルムを構成する樹脂組成物としては特に限定されないが、使用後の廃棄の容易さから、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
【0051】
また、本発明の樹脂シートと積層体フィルムとの接着性を向上させるために、酸変性ポリオレフィン又はグリシジル変性ポリオレフィン等の変性ポリオレフィン、もしくは本発明の樹脂シートを構成する樹脂組成物等が、積層体フィルム中に混合されてもよい。
【0052】
上記積層体フィルムの製造方法としては、例えば、水冷式又は空冷式共押出インフレーション法、共押出Tダイ法で製膜する方法、本発明の樹脂シートに積層体フィルムを構成する樹脂組成物を押出ラミネーション法にて積層する方法、本発明の樹脂シートと積層体フィルムとをドライラミネーションする方法等が挙げられる。なかでも、共押出Tダイ法で製膜する方法が各層の厚み制御に優れる点で好ましい。
【0053】
本発明の樹脂シートは、高温での柔軟性、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、使用後の廃棄処理が容易にできることから、プリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、又は、多層プリント配線板等の製造工程において、プリプレグ又は耐熱フィルムを介して銅張積層板又は銅箔を熱プレスする際に、プレス熱板とプリント配線基板、フレキシブルプリント配線基板、又は、多層プリント配線板等との接着を防ぐ離型フィルムとして好適に用いられる。
【0054】
また、フレキシブルプリント配線基板の製造工程において、熱プレス成形によりカバーレイフィルムを熱硬化性接着剤で接着する際に、カバーレイフィルムと熱プレス板、又は、カバーレイフィルム同士の接着を防ぐ離型フィルムとしても好適に用いられる。
【0055】
更に、ガラスクロス、炭素繊維、又はアラミド繊維とエポキシ樹脂とからなるプリプレグをオートクレーブ中で硬化させて製造される釣竿、ゴルフクラブ・シャフト等のスポーツ用品、及び航空機の部品を製造する際の離型フィルム、並びに、ポリウレタンフォーム、セラミックシート、及び電気絶縁板等を製造する際の離型フィルムとしても有用である。
【0056】
(作用)
このように、本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなるので、高温での耐熱性に優れたものとなっており、しかも、これらの素材は使用後の廃棄が比較的容易なものである。また、カルボキシル基濃度を30×10−6当量/g以下と、低濃度としているので、樹脂シート表面の極性が高くならず離型性、とりわけエポキシ系接着剤との離型性が良好となっている。
【0057】
更に、本発明の樹脂シートは、結晶性芳香族ポリエステルにポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを含有し、結晶性芳香族ポリエステルからなるマトリックス中に、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルが微小に分散するので、耐熱性及び離型性を維持しながら、樹脂シートに必要な柔軟性を得ることができる。
【0058】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳しく説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1)
(1)樹脂シートの作製
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、及びポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを得た。
【0060】
(2)銅張り積層板の作製
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン)をベースフィルムとし、ベースフィルム上に厚さ35μm、幅50μmの銅箔が厚さ20μmのエポキシ系接着剤層で接着された銅張り積層板を得た。
【0061】
(3)カバーレイフィルムの作製
厚さ25μmのポリイミドフィルム(デュポン社製:カプトン)上に、流動開始温度80℃のエポキシ系接着剤を厚さ20μmで塗布してカバーレイフィルムを得た。
【0062】
(4)樹脂フィルムの作製
低密度ポリエチレン樹脂(日本ポリケム社製:ノバテックLD LE425)を押出機にて230℃に加熱して溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して、厚さ100μmの樹脂フィルムを得た。
【0063】
(5)フレキシブルプリント配線基板の作製
得られた樹脂シート、銅張り積層板、カバーレイフィルム、樹脂シート、及び、樹脂フィルムをこの順に重ね合わせたものを1セットとして、32セットを熱プレス板に載置し、プレス温度170℃、プレス圧3MPa、プレス時間60分間の条件で熱プレス成形した後、プレス圧を開放し、樹脂フィルムを取り除き、樹脂シートを引き剥がして、フレキシブルプリント配線基板を得た。
【0064】
得られたフレキシブルプリント配線基板のカバーレイフィルムは、基板本体と完全に密着しており、空気の残存部分は認められなかった。カバーレイフィルムのない部分の銅箔からなる電極部分からも樹脂シートは完全に離型しており、電極部分は銅箔が完全に露出していた。また、電極部分の銅箔の導電性は十分であり、有機物の付着による汚染も認められなかった。更に、カバーレイフィルムのない部分での銅箔表面への接着剤の流れ出しは、カバーレイフィルム端部より0.1mm以下であり、接着剤の流れ出し防止効果も十分であった。
【0065】
(実施例2)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部、及びオキサゾリン化合物を含有し、一部がオキサゾリン化合物で変性されている樹脂であるエポクロスRPS−1005(日本触媒社製)5重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0066】
(実施例3)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)70重量部、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルであるペルプレンP150B(東洋紡績社製)30重量部、及びカルボジイミド化合物を含有し、一部がカルボジイミド化合物で変性されている樹脂であるカルボジライトBペレット(日清紡社製)5重量部を混合したものを用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0067】
(実施例4)
樹脂シートを構成する樹脂組成物として、結晶性芳香族ポリエステルであるノバデュラン5040ZS(ポリブチレンテレフタレート樹脂、三菱エンジニアリングプラスチックス社製)を用い、押出機を用いて250℃で溶融可塑化し、Tダイスより押出成形して厚さ50μmの樹脂シートを作製し、これを用いた以外は実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0068】
(比較例1)
押出機を用いて270℃で溶融可塑化した以外は、実施例1と同様の方法によりフレキシブルプリント配線基板を得た。
【0069】
実施例1〜4及び比較例1で作製した樹脂シートについて、カルボキシル基濃度を次のようにして求めた。
試料を加熱下でベンジルアルコールに溶解させた後、クロロホルムを加えて試料溶液を得る。この試料溶液を用い、フェノールフタレイン指示薬を用いて水酸化カリウムエタノール溶液により中和滴定を行い求めた。
また、これらの樹脂シートを用いたフレキシブルプリント配線基板の作製において、離型性、耐熱性、密着性、及び作製後のフレキシブルプリント配線基板の電極汚染を目視により評価した。これらの結果を表1に示した。
【0070】
【表1】
【0071】
表1より、実施例1〜4はカルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下であり、離型性が良好であることがわかる。また、電極汚染が無く非汚染性に優れることがわかる。
【0072】
【発明の効果】
本発明は、上述の構成からなるので、耐熱性、離型性、非汚染性に優れ、かつ、使用後の廃棄が容易な樹脂シートを提供することができる。
従って、本発明の樹脂シートは、フレキシブルプリント配線基板の製造、リジットプリント配線基板の製造等に好適に使用される。
Claims (5)
- 結晶性芳香族ポリエステルもしくは結晶性ポリアミドからなる樹脂シートであって、カルボキシル基濃度が30×10−6当量/g以下であることを特徴とする樹脂シート。
- 結晶性芳香族ポリエステルからなる樹脂シートであって、前記結晶性芳香族ポリエステルは、ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルを50重量%未満の割合で含有することを特徴とする請求項1記載の樹脂シート。
- ポリエーテル骨格を主鎖中に有するポリエステルの融点が170℃以上であることを特徴とする請求項2記載の樹脂シート。
- 更に、オキサゾリン化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の樹脂シート。
- 更に、カルボジイミド化合物が含有されてなる、上記カルボキシル基濃度が20×10−6当量/g以下であることを特徴とする請求項1、2、又は3記載の樹脂シート。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008050596A (ja) * | 2006-07-28 | 2008-03-06 | Toray Ind Inc | ポリエステル樹脂およびそれを含有する熱可塑性樹脂組成物 |
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WO2021106768A1 (ja) * | 2019-11-29 | 2021-06-03 | デンカ株式会社 | 回路基板用lcp樹脂組成物、回路基板用lcpフィルム及びその製造方法 |
-
2003
- 2003-05-14 JP JP2003136291A patent/JP2004339322A/ja not_active Withdrawn
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