JP2004332581A - 粒子状物質フィルター及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】粒子状物質の捕捉率が高く、小さな粒径の粒子状物質を捕捉することが可能であり、少ない量でより多くの排ガスを処理することが可能であり、構造が簡単で製造コストの低廉化が可能な粒子状物質フィルター及びその製造方法提供する。
【解決手段】略円錐容器形状の炭化ケイ素多孔体1からなり、開口部1aの周縁にはフランジ1bが一体に成形されている。炭化ケイ素多孔体はパルスCVI法により炭素質多孔体にセラミックスがコーティングされた構造とされている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジン等のエンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉し、さらにこうして捕捉された粒子状物質を燃焼除去するために用いられる粒子状物質フィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている煤、ハイドロカーボン等の粒子状物質に関して発ガン性の疑いが指摘され、環境問題となっている。そして、この問題に対処すべく、粒子状物質の排ガス規制が厳しくなりつつある。このため、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれている粒子状物質を捕捉し、さらにこれを燃焼除去するためのセラミックス製の粒子状物質フィルターが開発されている。
【0003】
例えば、特開2001−182524号公報には、セラミックス製の不織布からなる粒子状物質フィルターが記載されている。
【特許文献1】
特開2001−182524号公報
【0004】
この粒子状物質フィルターは、セラミックス繊維の不織布からなり、断面略星型形状に折り曲げられた襞部が全体として筒状に形成されている。そして排ガスが粒子状物質フィルターの外側から内側に通過する際、排ガス中の粒子状物質が粒子状物質フィルターの表面に付着して捕捉されることとなる。さらにこの粒子状物質フィルターを電気ヒータで加熱することにより、捕捉された粒子状物質を燃焼除去される構造となっている。
【0005】
また、特開平7−42532号公報には、セラミックス多孔体を利用した粒子状物質フィルターが記載されている。
【特許文献2】
特開平7−42532号公報
【0006】
この粒子状物質フィルターは、仮焼したLaMnO粉末をポリビニルアルコール水溶液と混合してスラリーとし、このスラリーをウレタンフォームに流し込んで成形体とし、これを乾燥させた後、焼結させることにより作製することができる。こうしてできた粒子状物質フィルターは、多孔性で耐熱性のあるセラミックスからなるため、粒子状物質を捕捉することができ、さらに捕捉した粒子状物質を燃焼する温度に耐えることができる。また、捕捉した粒子状物質を燃焼する際、フィルターの内部まで高温のガスが流れるため、全体を均一に加熱することができる。このため、熱応力による損傷が発生しにくい。なお、上記スラリーを石膏型に流し込み、排泥鋳込み成形法によってハニカム構造とすれば、このハニカムを構成する壁から排ガスを通過させて粒子状物質を捕捉する、いわゆるウオールスルー型の粒子状物質フィルターとすることもでき、粒子状物質の捕捉をさらに効率良いものとすることができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来のセラミックス製の粒子状物質フィルターでは、フィルターの目が粗すぎるため、粒子状物質の捕捉率が不十分となりやすく、特にμオーダー以下の細かい粒子状物質の捕捉が不十分であった。
【0008】
このため、粒子状物質のある程度十分な捕捉率を確保しようとした場合、フィルターの量を多くしなければならず、粒子状物質フィルターが大きな容積を占めることとなり、設置スペースの確保を困難としていた。
【0009】
こうした捕捉率の不足は、粒子状物質フィルターの形状を断面略星型の筒形状としたり、ハニカム構造とするなどして、表面積を高めることにより、ある程度は補うことが可能である。しかし、このために粒子状物質フィルターの形状が複雑となり、ひいては製造コストの高騰化を招来していた。
【0010】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、粒子状物質の捕捉率が高く、小さな粒径の粒子状物質を捕捉することが可能であり、少ない量でより多くの排ガスを処理することが可能であり、構造が簡単で製造コストの低廉化が可能な粒子状物質フィルター及びその製造方法提供することを解決すべき課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記課題を解決するために、炭素質多孔体にセラミックスをコーティングして多孔質セラミックスとし、この多孔質セラミックスで粒子状物質フィルターを製造することを考え、さらにその製造方法としてCVDの技術を利用することを考えた。しかしながら、通常のCVDの手法では、炭素質多孔体の内部までセラミックスをコーティングすることは困難である。このため鋭意研究を行った結果、パルスCVI法を用いれば、炭素質多孔体の内部にまでセラミックスを均一にコーティングすることができ、粒子状物質フィルターに適用することができることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
すなわち、第1発明の粒子状物質フィルターは、セラミックス多孔体からなり、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉し、加熱焼却するために用いられる粒子状物質フィルターにおいて、前記セラミックス多孔体は、パルスCVI法により炭素質多孔体にセラミックスがコーティングされた構造とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明の粒子状物質フィルターは、炭素質多孔体にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングしたセラミックス多孔体からなる。ここで、パルスCVIとはCVD法の一種であり、CVD法における反応圧力及び原料となるガスの導入・排出を周期的に行う方法をいう。この方法を炭素質多孔体に適用すれば、原料となるガスが炭素質多孔体の内部にまで導入・排出が繰り返されることになり、内部まで優れた膜厚の均一性を有するセラミックスのコーティング層が形成される。また、このパルスCVI法によれば、析出速度も大きなものとなる。
【0014】
炭素質多孔体は、活性炭や炭等に代表されるように、極めて小さな孔を有するものを容易に製造することができる。このため、炭素質多孔体が有する孔に沿ってセラミックスがコーティングされたセラミックス多孔体も、極めて小さな孔を有するものとなる。このため、粒子径の小さな粒子状物質であっても十分に捕捉することが可能となり、粒子状物質の捕捉率を高まり、少ない粒子状物質フィルターの量で、十分な粒子状の捕捉率を得ることができる。しかも、炭素質多孔体に存在する孔は、セラミックスがコーティングされた分だけ小さくなるため、コーティング時間を調節することによって孔の大きさを調節することも可能となる。
【0015】
また、粒子状物質フィルターを特別な形状としなくても高い捕捉率が得られるため、粒子状物質フィルターの形状を単純化することができ、製造が容易となるとともに、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0016】
したがって、本発明の粒子状物質フィルターは、粒子状物質の捕捉率が高く、細かい粒子状物質を捕捉することが可能であり、少ない量でより多くの排ガスを処理することが可能であり、構造が簡単で製造コストの低廉化が可能となる。
【0017】
第2発明の粒子状物質フィルターは、セラミックス多孔体からなり、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉し、加熱焼却するために用いられる粒子状物質フィルターにおいて、前記セラミックス多孔体は、パルスCVI法により炭素質多孔体にセラミックスがコーティングされた後、該炭素質多孔体が燃焼除去された構造とされていることを特徴とする。
【0018】
すなわち、第2発明の粒子状物質フィルターは、第1発明の粒子状物質フィルターの構成要素である炭素質多孔体を燃焼除去させてセラミックス部分のみを残した構造とされている。このため、第1発明の粒子状物質フィルターと比べて空孔率が大きくなり、粒子状物質を捕捉するための容量が増大するため、粒子状物質フィルターに必要な大きさを小さくすることが可能となる。
【0019】
第1発明及び第2発明におけるセラミックス多孔体の材質は、パルスCVI法によって製造することが可能であって、捕捉された粒子状物質を燃焼除去可能な程度の耐熱性及び耐酸化性を有しておればよい。このような材質として、例えば炭化ケイ素、窒化ケイ素等が挙げられる。この中でも、炭化ケイ素は優れた耐熱性、耐酸化性及び耐腐食性を示すため、炭化ケイ素からなるセラミックス多孔体を用いれば、極めて耐久性に優れた粒子状物質フィルターとすることができる。
【0020】
第1発明及び第2発明におけるセラミックス多孔体の空孔率は90〜96%であることが好ましい。ここで空孔率とは、セラミックス多孔体の嵩密度と比重から算出したセラミックス多孔体が保有する空孔の割合をいう。空孔率がこの範囲にあれば、実用上支障ない程度の機械的強度を保ちつつ、圧力損失もそれほど大きくならない。
【0021】
第1発明及び第2発明におけるセラミックス多孔体は、重ね合わせることが可能な容器形状とされていることが好ましい。こうであれば、セラミックス多孔体をパルスCVI法によって製造する場合、反応容器内に多くの炭素質多孔体を重ね合わせて入れることにより、一度の数多くの炭素質多孔体のパルスCVI法によるセラミックスコーティングを行うことができる。このため、粒子状物質フィルターの生産効率を高めることができ、ひいては製造コストを飛躍的に低廉化することが可能となる。特に、セラミックス多孔体の形状を円錐容器形状とすれば、形状の簡素化による製造コストのさらなる低廉化が可能となる。また、セラミックス多孔体の形状を円錐容器形状とすれば、底面の半径を変えることなく円錐の高さを変えるだけで、エンジンの排気量に合わせた粒子状物質フィルターとすることができるため、パルスCVI法における反応容器の共通化や、粒子状物質フィルターを車に取り付けるための部品の共通化を図ることがでる。
【0022】
セラミックス多孔体は重ね合わせることが可能な容器形状とした場合において、開口側の周縁には、取付用のフランジが一体成形されていることが好ましい。こうであれば、取付用のフランジを別途用意する必要がなくなり、構造が簡素化され、組付けが容易となる。
【0023】
また、第1発明及び第2発明のセラミックス多孔体に存在する孔の大きさは、凹部側から凸部側への厚さ方向に向かって小さくされていることが好ましい。こうであれば、エンジンの排ガスに含まれる大きな粒径の粒子状物質はセラミックス多孔体の凹部側に存在する大きな孔で捕捉され、エンジンの排ガスに含まれる小さな粒径の粒子状物質は、セラミックス多孔体の凸部側に存在する小さな孔で捕捉されることになり、小さな圧損失で効率よく排ガス中の粒子状物質を捕捉することが可能となる。
【0024】
本発明の粒子状物質フィルターは以下の工程によって製造することができる。
【0025】
すなわち本発明の粒子状物質フィルターの製造方法は、有機質材料を成形して成形型とする型工程と、該成形型を非酸化性雰囲気下で加熱して炭化させ、炭素質多孔体からなる炭化成形型とする炭化工程と、該炭化成形型にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングするコーティング工程とを備えることを特徴とする。
【0026】
本発明の粒子状物質フィルターの製造方法では、まず型工程として、有機質材料によって成形型を作る。この有機質材料としては、非酸化性雰囲気下で熱分解することにより炭素質多孔体とすることが可能なものであればよい。このような有機質材料として例えば、綿やパルプ等のセルロース繊維、熱硬化性樹脂繊維、ポリアクリロニトリル等が挙げられる。有機質材料が紙等のセルロース繊維であれば、所望の形状とした金網に、紙抄の要領で水やアルコールに懸濁させたセルロース繊維を抄造した後、金網から外すことによって型工程を行うことができるため好適である。また、有機質材料がセルロース繊維であれば、古新聞等を再利用することも可能となり、セルロース資源の有効活用を図ることができる。
【0027】
次に、炭化工程として、成形型を非酸化性雰囲気下で加熱して炭化させて炭素質多孔体からなる炭化成形型とする。こうして得られた炭化成形型は、有機質材料がもともと有していた孔がそのまま維持され、さらに小さな孔も生じて、極めて小さな孔を有する炭素質多孔体となる。
【0028】
さらに、コーティング工程として、炭化成形型にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングする。パルスCVI法を用いることにより、炭素質多孔体の内部にまでセラミックスを均一にコーティングされた粒子状物質フィルターとなる。
【0029】
また、コーティング工程の途中又は終了後において、炭化成形型を酸化雰囲気下で加熱して炭素質多孔体を燃焼除去させる燃焼工程を行うこともできる。こうであれば、第1発明の粒子状物質フィルターに存在している炭素質多孔体が燃焼除去され、第2発明の粒子状物質フィルターを容易に製造することができる。なお、この場合において炭素質多孔体を燃焼させるために、パルスCVIを採用することもできる。こうであれば、より完全に炭素質多孔体を燃焼除去させることが可能となる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施例1〜4を図面を参照しつつ説明する。
【0031】
(実施例1)
実施例1の粒子状物質フィルターは、ディーゼルエンジンの排気ガス中の粒子状物質を除去するために用いられれるものである。
【0032】
図1に示す実施例1の粒子状物質フィルター1は、炭化ケイ素多孔体からなり、略円錐容器形状とされており、開口部1aの内径Oは160mm、高さHは250mm、厚みtは10mmとされている。開口部1aの周縁には幅Wが30mmのフランジ1bが一体に成形されている。
【0033】
この粒子状物質フィルターは以下の工程により製造することができる。
【0034】
<型工程>
図2(a)に示すコーン形状に成形したステンレス製の金網2を用意する。この金網2は、製造しようとする粒子状物質フィルターとほぼ同様の形状比率とされている。ただし、後に述べる炭化工程における収縮を考慮して、最終的な粒子状物質フィルターの寸法よりも大きくされている。そして、綿をエチレングリコールに懸濁させた綿懸濁液、綿及びパルプを等量づつエチレングリコールに懸濁させた綿−パルプ懸濁液及びパルプをエチレングリコールに懸濁させたパルプ懸濁液の三種類の懸濁液を用意する。なお、エチレングリコールの替わりに水に抄造用の糊剤を加え、粘度を調整したものを使用しても良い。そして、まず金網2の外側からパルプ懸濁液を綿が均等な厚さに抄造されるように注ぎ、次に綿−パルプ懸濁液を同様に注ぎ、最後にパルプ懸濁液を注ぐ。こうして図2(b)に示すように、金網2に抄造されたセルロース型3を乾燥させた後、金網2からセルロース型3を外す。こうして得られたセルロース型3は、図3に示すように、内側に目の粗い綿からなるセルロース層3aが存在し、中間に目の粗さが中間の綿−パルプセルロース層3bが存在し、外側に目の細かいパルプセルロース層3cが存在する三層構造とされている。さらにセルロース型3をフェノールレジンのエタノール10質量%溶液に浸し、再び乾燥させてレジン強化セルロース型とする。フェノールレジンでセルロース型3を強化する理由は、次の炭化工程において生ずるセルロース型3の縮みや変形を極力防止するためである。
【0035】
<炭化工程>
次に、型工程で得られたレジン強化セルロース型を、黒鉛のスペーサーを介して一定の隙間を保つように積み重ねながら雰囲気炉の中に入れ、窒素雰囲気下において1000°Cで4時間の加熱を行う。そして、雰囲気炉を冷却した後、レジン強化セルロース型3が炭素質多孔体となった、炭化成形型を取り出す。こうして得られた炭化成形型の空孔率は98.9%であった。
【0036】
<コーティング工程>
次に、図4に示すパルスCVI装置を用いて炭化成形型に炭化ケイ素をコーティングする。このパルスCVI装置には、外郭をなすインコネル製容器と、インコネル製容器の内側に隙間を介して存在する黒鉛製容器との二層構造からなる反応容器4が備えられている。反応容器4の外側には、反応容器4を加熱するための電気ヒータ20が近接して設けられている。反応容器4の下方は開口部4aが設けられており、開口部4aの周縁はフランジ4bが設けられている。フランジ4bには図示しないボルトによって底板4cが取り付けられており、これにより開口部4aは閉鎖されている。底板4cには各種ガスを導入するための導入管5と、反応容器4内部のガスを排気するための排気管6が取り付けられている。導入管5は電磁弁7及びガス混合機8を介して流量計9a、9b、9cに接続されており、流量計9a、9bは、さらに図示しない水素ガスボンに接続され、流量計9cは大気側に開放されている。流量計9aとガス混合機8との間には、内部にメチルトリクロロシランが入れられ、温度調節することが可能な飽和器10が設けられており、水素ガスボンベからの水素の供給によりメチルトリクロロシランのバブリングが可能とされている。排気管6は電磁弁11、真空ポンプ12を介してガス洗浄器13に接続されている。電磁弁7、11、ガス混合機8、真空ポンプ12及び電気ヒータ20は、図示しない制御装置によって制御可能とされている。
【0037】
このパルスCVI装置を用いて、炭化工程で得られた炭化成形型に対して次のようにして炭化ケイ素のコーティングを行う。すなわち、まずフランジ4bと底板4cとを接続するボルトを取り外し、反応容器4を外してから、底板4c上に炭化工程で得られた炭化成形型を黒鉛製スペーサーを介して、4列に積み重ねる(図5参照)。その後、再び反応容器4を底板4c上に被せ、フランジ4bと底板4cとをボルトで固定する。そして、制御装置によって電磁弁7を閉じ、電磁弁11を開けて真空ポンプ11を駆動し反応容器4内部の圧力を130Pa以下とした後、電気ヒータ20により、反応容器4の内部の温度を1000°Cとする。さらに電磁弁11を閉じ、電磁弁7を開け、水素ガス及びメチルトリクロロシランを含む水素ガスをガス混合機10により混合してメチルトリクロロシランの濃度を約4%とした後、減圧下で反応容器4内に導入する。その後、反応容器4の排気とガス導入とを2〜4秒/サイクルの間隔で10000回繰り返す。こうして、パルスCVI法により、炭化成形型に対し炭化ケイ素のコーティングを行った後、電気ヒータ20による加熱を停止し、冷却後フランジ4bと底板4cとを接続するボルトを取り外し、反応容器4を外して炭化成形型に炭化ケイ素がコーティングされた実施例1の粒子状物質フィルターを取り出す。
【0038】
(評価)
こうして得られた実施例1の粒子状物質フィルター及び炭化工程で得られた炭化成形型について、走査型電子顕微鏡による断面観察を行った。その結果、炭化工程で得られた炭化成形型は、数μm〜数十μm程度の多数の孔を有しており、その孔の大きさは凹部側から凸部側への厚さ方向に向かって小さくなっていることが観察された。また、実施例1の粒子状物質フィルターは、炭化成形型の表面に10μm程度の形成の炭化ケイ素のコーティング゛膜が均一に形成されており、炭化成形型に存在していた孔も炭化ケイ素の膜厚分だけ小さくなって残存していた。また、その曲げ強度を測定したところ、炭化成形型は0.1MPa未満であるのに対し、実施例1の粒子状物質フィルターは10MPa程度となり、炭化ケイ素のコーティングにより強化されていることが分かった。
【0039】
以上の結果から、実施例1の粒子状物質フィルターは、ディーゼルエンジン等の排ガスに含まれている粒子状物質を捕捉することが十分に可能であることが分かった。またこの粒子状物質フィルターは、炭化ケイ素焼結体やセラミックス繊維の不織布と比べて粒子状物質を捕捉するための孔が小さいため、少ない量で高い捕捉率を確保できる。さらに、その孔は、凹部側から凸部側への厚さ方向に向かって小さくされているため、小さな圧損失で効率よく排ガス中の粒子状物質を捕捉することが可能となる。また、炭化ケイ素のコーティング層の厚さは、コーティング工程における反応容器4内の排気とガス導入の繰返しの回数に依存するため、炭化ケイ素のコーティングの厚さを容易にコントロールすることができる。さらに炭化ケイ素のコーティング厚さが厚いほど、セラミックス多孔体の孔の大きさは小さくなるため、粒子状物質フィルターの目の粗さを排気とガス導入の繰返しの回数によってコントロールすることができる。このため、所望の目の粗さの粒子状物質フィルターを容易に製造することができる。
【0040】
この粒子状物質フィルターをディーゼル車の排気管の途中に組み付けた状態を図6に示す。粒子状物質フィルター1のフランジ1bは、耐熱性のパッキン16、17を介在して排気管15のフランジ15aと図示しない板バネによって密着され容易に組み付けることができる。また、粒子状物質フィルター1の高さHを適宜長くしたり短くすることにより、ディーゼルエンジンの排気量に見合った粒子状物質フィルターとすることもできる。
【0041】
(実施例2)
実施例2の粒子状物質フィルターは、コーティング工程反応容器4の排気とガス導入とを2〜4秒/サイクルの間隔で5000回繰り返した。他の操作は実施例1と同様である。
【0042】
(実施例3)
実施例3の粒子状物質フィルターは、コーティング工程反応容器4の排気とガス導入とを2〜4秒/サイクルの間隔で15000回繰り返した。他の操作は実施例1と同様である。
【0043】
<空孔率の測定>
実施例1〜3の粒子状物質フィルターの空孔率を嵩密度及び炭化ケイ素の密度の文献値から算出したところ、コーティングのパルス回数を10000回とした実施例1では96.3%、5000回とした実施例2では97.5%、15000回とした実施例3では95.6%となった。このことから、コーティングのパルス回数を増減することにより、粒子状物質フィルターの空孔率がコントロールできることが分かった。
【0044】
(実施例4)
実施例4の粒子状物質フィルターも、実施例1の粒子状物質フィルターと同様の形状とされており、以下のように製造された。
【0045】
実施例1と同様に「型工程」、「炭化工程」及び「コーティング工程」を行った後、さらに以下のような燃焼工程を行った。
【0046】
<燃焼工程>
コーティング工程終了後、取り出された実施例1の粒子状物質フィルターを積み重ねて電気炉の中に入れ、空気雰囲気下で1100°Cで1時間の加熱を行う。この操作により、炭化成形型が酸化除去され、炭化ケイ素のコーティング層のみが抜け殻となって残る。こうして、円錐容器形状の炭化ケイ素多孔体からなる実施例2の粒子状物質フィルターを得た。
【0047】
以上のようにして得られた実施例4の粒子状物質フィルターを走査型電子顕微鏡で観察したところ、炭化ケイ素のコーティング層の下に存在していた炭化成形型が酸化除去され、空洞が形成されていることが分かった。このことから、実施例4の粒子状物質フィルターは、粒子状物質を捕捉可能な量が増大し、粒子状物質フィルターに必要とされる大きさを小さくすることが可能となることが分かった。
【0048】
なお、上記実施例1〜4では、反応ガスとしてメチルトリクロロシラン及び水素を用いたが、この替わりに、テトラクロロシランとメタンと水素の混合ガスを用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の粒子状物質フィルターの断面図である。
【図2】実施例における型工程開始前及び型工程終了後の金網及びセルロース型の断面模式図である。
【図3】実施例におけるセルロース型の部分断面図である。
【図4】実施例で使用したパルスCVI装置の模式図である。
【図5】実施例に係り、炭化成形型を底板上に積み重ねた状態の平面図である。
【図6】実施例の粒子状物質フィルターをディーゼル車の排気管に組み付けた場合の断面図である。
【符号の説明】
1…セラミックス多孔体
1b…フランジ

Claims (11)

  1. セラミックス多孔体からなり、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉し、加熱焼却するために用いられる粒子状物質フィルターにおいて、
    前記セラミックス多孔体は、パルスCVI法により炭素質多孔体にセラミックスがコーティングされた構造とされていることを特徴とする粒子状物質フィルター。
  2. セラミックス多孔体からなり、エンジンから排出される排気ガス中に含まれる粒子状物質を捕捉し、加熱焼却するために用いられる粒子状物質フィルターにおいて、
    前記セラミックス多孔体は、パルスCVI法により炭素質多孔体にセラミックスがコーティングされた後、該炭素質多孔体が燃焼除去された構造とされていることを特徴とする粒子状物質フィルター。
  3. セラミックスは炭化ケイ素であることを特徴とする請求項1又は2記載の粒子状物質フィルター。
  4. セラミックス多孔体の空孔率は90〜96%とされていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の粒子状物質フィルター。
  5. セラミックス多孔体は重ね合わせることが可能な容器形状とされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の粒子状物質フィルター。
  6. セラミックス多孔体は円錐容器形状とされていることを特徴とする請求項5記載の粒子状物質フィルター。
  7. セラミックス多孔体に存在する孔の大きさは、凹部側から凸部側への厚さ方向に向かって小さくされていることを特徴とする請求項5又は6記載の粒子状物質フィルター。
  8. 開口側の周縁には、取付用のフランジが一体成形されていることを特徴とする請求項5乃至7記載のいずれか1項記載の粒子状物質フィルター。
  9. 有機質材料を成形して成形型とする型工程と、
    該成形型を非酸化性雰囲気下で加熱して炭化させ、炭素質多孔体からなる炭化成形型とする炭化工程と、
    該炭化成形型にパルスCVI法を施してセラミックスをコーティングするコーティング工程とを備えることを特徴とする粒子状物質フィルターの製造方法。
  10. コーティング工程の途中又は終了後において、炭化成形型を酸化雰囲気下で加熱して炭素質多孔体を燃焼除去させる燃焼工程を備えていることを特徴とする請求項9記載の粒子状物質フィルターの製造方法。
  11. 有機質材料はセルロース繊維であることを特徴とする請求項9又は10記載の粒子状物質フィルターの製造方法。
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